(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003213
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】通信システム、無線接続方法、及び、無線装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/26 20060101AFI20221228BHJP
H04W 88/02 20090101ALI20221228BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
H01Q3/26 B
H04W88/02 140
H01Q21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104258
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 聡
【テーマコード(参考)】
5J021
5K067
【Fターム(参考)】
5J021AA09
5J021DB05
5J021HA05
5J021JA01
5K067EE02
5K067KK02
(57)【要約】
【課題】互いに遠方に位置する無線装置と他の無線装置との無線接続作業を簡単かつ効率的に行う。
【解決手段】他の無線装置と無線接続を行う無線装置と、当該無線装置に接続される情報処理装置とを備える通信システムにおいて、情報処理装置は、無線装置の電波の受信方向が撮像される撮像画像を表示し、ユーザによって撮像画像の表示を変化させる操作がなされた場合、当該操作によって生成された情報を無線装置へ送信し、無線装置は、情報処理装置から受信した情報に基づいて、電波の受信範囲を変化させる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の無線装置と無線接続を行う無線装置と、当該無線装置に接続される情報処理装置とを備える通信システムであって、
前記情報処理装置は、
前記無線装置の電波の受信方向が撮像される撮像画像を表示し、
ユーザによって前記撮像画像の表示を変化させる操作がなされた場合、当該操作によって生成された情報を前記無線装置へ送信し、
前記無線装置は、
前記情報処理装置から受信した情報に基づいて、前記電波の受信範囲を変化させる、
通信システム。
【請求項2】
前記操作によって生成された情報は、前記撮像画像の表示の変化を示す情報である、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記操作によって生成された情報は、前記電波の受信範囲及び受信利得を変化させる度合いを示す情報であり、
前記無線装置は、前記情報処理装置から受信した前記電波の受信範囲及び受信利得を変化させる度合いを示す情報に基づいて、前記電波の受信範囲及び受信利得を変化させる、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記撮像画像の表示を変化させる操作は、前記撮像画像の撮像倍率を変化させる操作であり、
前記撮像画像の表示の変化を示す情報は、前記撮像倍率を示す情報であり、
前記無線装置は、前記情報処理装置から受信した前記撮像倍率を示す情報に基づいて、前記電波の受信範囲及び受信利得を変化させる、
請求項2に記載の通信システム。
【請求項5】
前記撮像倍率が第1の倍率の場合における前記電波の受信利得は、前記撮像倍率が前記第1の倍率よりも小さい第2の倍率の場合における前記電波の受信利得よりも、大きい、
請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記無線装置は、
前記撮像倍率と、前記電波の受信範囲がそれぞれ異なるアンテナパターンを示すセクタIDと、を対応付ける変換情報を有し、
前記変換情報に基づいて、前記情報処理装置から受信した前記撮像倍率に対応する前記セクタIDを特定し、
特定した前記セクタIDが示すアンテナパターンに基づいて前記電波の受信範囲を変更する、
請求項4に記載の通信システム。
【請求項7】
無線装置を他の無線装置に無線接続させる無線接続方法であって、
情報処理装置は、
前記無線装置の電波の受信方向が撮像される撮像画像を表示し、
ユーザによって前記撮像画像の表示を変化させる操作がなされた場合、当該操作によって生成された情報を前記無線装置へ送信し、
前記無線装置は、
前記情報処理装置から受信した情報に基づいて、前記電波の受信範囲を変化させ、
前記他の無線装置と無線接続を行う、
無線接続方法。
【請求項8】
前記操作によって生成された情報は、前記撮像画像の表示の変化を示す情報である、
請求項7に記載の無線接続方法。
【請求項9】
前記操作によって生成された情報は、前記電波の受信範囲及び受信利得を変化させる度合いを示す情報であり、
前記無線装置は、前記情報処理装置から受信した前記電波の受信範囲及び受信利得を変化させる度合いを示す情報に基づいて、前記電波の受信範囲及び受信利得を変化させる、
請求項7に記載の無線接続方法。
【請求項10】
前記撮像画像の表示を変化させる操作は、前記撮像画像の撮像倍率を変化させる操作であり、
前記撮像画像の表示の変化を示す情報は、前記撮像倍率を示す情報であり、
前記無線装置は、前記情報処理装置から受信した前記撮像倍率を示す情報に基づいて、前記電波の受信範囲及び受信利得を変化させる、
請求項8に記載の無線接続方法。
【請求項11】
前記撮像倍率が第1の倍率の場合における前記電波の受信利得は、前記撮像倍率が前記第1の倍率よりも小さい第2の倍率の場合における前記電波の受信利得よりも、大きい、
請求項10に記載の無線接続方法。
【請求項12】
前記無線装置は、
前記撮像倍率と、前記電波の受信範囲がそれぞれ異なるアンテナパターンを示すセクタIDと、を対応付ける変換情報を有し、
前記変換情報に基づいて、前記情報処理装置から受信した前記撮像倍率に対応する前記セクタIDを特定し、
特定した前記セクタIDが示すアンテナパターンに基づいて前記電波の受信範囲を変更する、
請求項10に記載の無線接続方法。
【請求項13】
他の無線装置と無線接続を行う無線装置であって、
複数のアンテナ素子と、
所定の情報処理装置から前記アンテナ素子にて受信する電波の受信方向が撮像される撮像画像の表示を変化させる操作によって生成された情報を受信した場合、当該受信した情報に基づいて、前記電波の受信範囲を変化させるプロセッサと、を備える、
無線装置。
【請求項14】
前記操作によって生成された情報は、前記撮像画像の表示の変化を示す情報である、
請求項13に記載の無線装置。
【請求項15】
前記操作によって生成された情報は、前記電波の受信範囲及び受信利得を変化させる度合いを示す情報であり、
前記プロセッサは、前記情報処理装置から受信した前記電波の受信範囲及び受信利得を変化させる度合いを示す情報に基づいて、前記電波の受信範囲及び受信利得を変化させる、
請求項13に記載の無線装置。
【請求項16】
前記撮像画像の表示を変化させる操作は、前記撮像画像の撮像倍率を変化させる操作であり、
前記撮像画像の表示の変化を示す情報は、前記撮像倍率を示す情報であり、
前記プロセッサは、前記情報処理装置から受信した前記撮像倍率を示す情報に基づいて、前記電波の受信範囲及び受信利得を変化させる、
請求項14に記載の無線装置。
【請求項17】
前記撮像倍率が第1の倍率の場合における前記電波の受信利得は、前記撮像倍率が前記第1の倍率よりも小さい第2の倍率の場合における前記電波の受信利得よりも、大きい、
請求項16に記載の無線装置。
【請求項18】
前記撮像倍率と、前記電波の受信範囲がそれぞれ異なるアンテナパターンを示すセクタIDと、を対応付ける変換情報を保持するメモリ、をさらに備え、
前記プロセッサは、
前記変換情報に基づいて、前記情報処理装置から受信した前記撮像倍率に対応する前記セクタIDを特定し、
特定した前記セクタIDが示すアンテナパターンに基づいて前記電波の受信範囲を変更する、
請求項16に記載の無線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システム、無線接続方法、及び、無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信を行う際、アンテナによって送信又は受信される電波の指向性ビームの方向を通信相手の方向に合わせることにより、通信品質が向上することが知られる。
【0003】
特許文献1には、無線端末装置が備えるカメラによって当該無線端末装置の近傍を撮像し、その撮像した画像データから基地局などの通信相手局を見つけ出してその方向を推定し、その推定した方向に、アンテナによって送信又は受信される電波の指向性ビームを向けることが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通信相手との距離が遠い場合、通信相手の方向に指向性ビームを向けるだけでは、通信相手に無線接続することができない場合がある。
【0006】
本開示の目的は、通信相手との距離が近い場合はもちろんのこと、通信相手との距離が遠い場合であっても無線接続を容易に行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、他の無線装置と無線接続を行う無線装置と、当該無線装置に接続される情報処理装置とを備える通信システムであって、前記情報処理装置は、前記無線装置の電波の受信方向が撮像される撮像画像を表示し、ユーザによって前記撮像画像の表示を変化させる操作がなされた場合、当該操作によって生成された情報を前記無線装置へ送信し、前記無線装置は、前記情報処理装置から受信した情報に基づいて、前記電波の受信範囲を変化させる、通信システムを提供する。
【0008】
本開示は、無線装置を他の無線装置に無線接続させる無線接続方法であって、情報処理装置は、前記無線装置の電波の受信方向が撮像される撮像画像を表示し、ユーザによって前記撮像画像の表示を変化させる操作がなされた場合、当該操作によって生成された情報を前記無線装置へ送信し、前記無線装置は、前記情報処理装置から受信した情報に基づいて、前記電波の受信範囲を変化させ、前記他の無線装置と無線接続を行う、無線接続方法を提供する。
【0009】
本開示は、他の無線装置と無線接続を行う無線装置であって、複数のアンテナ素子と、所定の情報処理装置から前記アンテナ素子にて受信する電波の受信方向が撮像される撮像画像の表示を変化させる操作によって生成された情報を受信した場合、当該受信した情報に基づいて、前記電波の受信範囲を変化させるプロセッサとを備える、無線装置を提供する。
【0010】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、通信相手との距離が近い場合はもちろんのこと、通信相手との距離が遠い場合であっても無線接続を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】APとSTAとの無線接続を説明するための概念図
【
図2】本実施の形態に係る通信システムの構成例を示すブロック図
【
図3】本実施の形態に係る無線モジュールの構成例を示すブロック図
【
図4】本実施の形態に係るアンテナパターン情報の一例を示す図
【
図6】本実施の形態に係る無線接続方法の一例を示すシーケンスチャート
【
図7】本実施の形態に係るSTAへのスマートフォンの装着例を示す図
【
図8】本実施の形態に係るスマートフォンの表示装置に表示される調整用UI画像の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0014】
(本実施の形態)
図1は、AP(Access Point)10とSTA(Station)20との無線接続を説明するための概念図である。なお、
図1は、AP10及びSTA20を上から見た平面図である。
【0015】
図1に示すように、通信システム1は、AP10、STA20及びスマートフォン30を備える。なお、AP10は第1の無線装置と読み替えられ、STA20は第2の無線装置と読み替えられてよい。また、第1の無線装置と第2の無線装置とを区別しない場合は、単に無線装置と称する場合がある。また、スマートフォン30は、情報処理装置と読み替えられてもよい。
【0016】
AP10及びSTA20は、無線通信の一例であるミリ波通信が可能であり、ビームフォーミング機能を有する。すなわち、AP10及びSTA20は、複数のアンテナ素子44にて送信又は受信される電波について指向性ビームの設定が可能である。なお、AP10とSTA20が無線通信に用いる電波の波長帯は、ミリ波帯に限られず、どのような波長帯であってもよい。
【0017】
従来、互いに離れた位置に設置されたAP10とSTA20とを無線接続(つまり無線リンクを確立)させる場合、次の手順(S1)~(S2)が行われる。
(S1)AP10は、指向性ビーム100にてビーコンを送信する。
(S2)STA20は、疑似オムニパターン110を用いて、AP10の指向性ビーム100によって送信されるビーコンを受信し、AP10に無線接続する。
【0018】
疑似オムニパターン110は、指向性ビームと比べて、受信範囲(受信角度)は広いものの、受信利得は低い。そのため、AP10の送信利得と、STA20の受信利得と、AP10とSTA20の間の伝搬損失(ただし伝搬損失はマイナスの値)との和が、STA20の受信感度を上回らず通信を確立できない場合が存在し得る。
【0019】
一方、STA20に受信範囲(受信角度)の狭い指向性ビーム200を設定することにより、STA20の受信利得が高くなる。よって、STA20をより遠くのAP10にも無線接続させることができるようになる。しかし、AP10から指向性ビーム100にて送信されるビーコンをSTA20が受信できるようにSTA20の指向性ビーム200の受信範囲をAP10の指向性ビーム100の送信範囲に合わせ込むことが難しい。
【0020】
そこで以下において、AP10とSTA20との間の距離が近い場合はもちろんのこと、AP10とSTA20との間の距離が遠い場合であっても、AP10とSTA20との無線接続を容易に行うことができる通信システム、無線接続方法、及び、無線装置について説明する。
【0021】
<通信システムの構成>
図2は、本実施の形態に係る通信システム1の構成例を示すブロック図である。
図3は、本実施の形態に係る無線モジュール24の構成例を示すブロック図である。
【0022】
AP10(第1の無線装置)は、プロセッサ11、メモリ12、接続インタフェース13、及び、無線モジュール14を備える。STA20(第2の無線装置)は、プロセッサ21、メモリ22、接続インタフェース23、及び、無線モジュール24を備える。AP10及びSTA20は、
図2に示すように、同様の構成であってよい。そこで、
図2及び
図3の説明では、STA20の構成要素について説明し、AP10の構成要素については説明を省略する。
【0023】
プロセッサ21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又は、FPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成される。プロセッサ21は、STA20の各部22~24の動作を全体的に統括するための制御処理を行う。
【0024】
メモリ22は、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又は、フラッシュメモリ等を含んでいてよく、プロセッサ21によって実行される各種プログラムや各種データを保持する。例えば、メモリ22は、
図5に示す変換情報70を保持する。
【0025】
接続インタフェース23は、スマートフォン30などの外部装置を接続するためのインタフェースである。接続インタフェース23は、有線通信又は無線通信に対応する通信回路を含む。有線通信の接続インタフェース23の例として、USB(Universal Serial Bus)インタフェースが挙げられる。無線通信の接続インタフェース23の例として、Wi-Fi(登録商標)通信用インタフェース、又は、Bluetooth(登録商標)通信用インタフェースが挙げられる。
【0026】
無線モジュール24は、
図3に示すように、無線信号を処理する無線制御回路41と、複数のゲイン調整回路42と、複数の位相調整回路43と、複数のアンテナ素子44とを含んで構成される。複数のアンテナ素子44は、アレイアンテナと読み替えられてよい。
【0027】
図3に示すように、1つのアンテナ素子44に対して、1つのゲイン調整回路42と、1つの位相調整回路43とが対応付けられる。無線制御回路41は、各アンテナ素子44に対応付けられているゲイン調整回路42及び位相調整回路43にて信号のゲイン値及び位相値をそれぞれ調整することにより、様々なパターンの指向性ビーム200を実現できる。例えば、無線制御回路41は、指向性ビーム200の受信範囲(受信角度)を狭くして受信利得を高くしたり、指向性ビーム200の受信範囲(受信角度)を広くして受信利得を低くしたりすることができる。加えて、無線制御回路41は、指向性ビーム200の方向を上下左右に変化させることができてもよい。
【0028】
情報処理装置の一例であるスマートフォン30は、プロセッサ31、メモリ32、接続インタフェース33、カメラ34、及び、表示装置35、及び、入力装置36を備える。
【0029】
プロセッサ31は、例えば、CPU、MPU、DSP、又は、FPGAを用いて構成される。プロセッサ31は、スマートフォン30の各部32~36の動作を全体的に統括するための制御処理を行う。
【0030】
メモリ32は、ROM、RAM、又は、フラッシュメモリ等を含んでいてよく、プロセッサ31によって実行される各種プログラムや各種データを保持する。例えば、メモリ32は、後述する調整UIプログラムを保持する。
【0031】
接続インタフェース33は、スマートフォン30をSTA20に接続するためのインタフェースである。接続インタフェース33は、有線通信又は無線通信に対応する通信回路を含む。有線通信の接続インタフェース33の例として、USBインタフェースが挙げられる。無線通信の接続インタフェース33の例として、Wi-Fi通信用インタフェース、又は、Bluetooth通信用インタフェースが挙げられる。
【0032】
カメラ34は、レンズ及び撮像素子を含んで構成され、画像を撮像する。カメラ34は、ズーム機構を備えてもよい。なお、カメラ34は、撮像装置と読み替えられてもよい。また、ズーム機構に代えて、あるいは、ズーム機構に加えて、プロセッサ31がデジタルズーム処理機能を備えてもよい。
【0033】
表示装置35は、画像を表示する装置である。表示装置35は、例えば、液晶ディスプレイ、又は、有機ELディスプレイである。
【0034】
入力装置36は、ユーザの一例である作業者からの入力操作を検出する装置である。入力装置36は、例えば、タッチパネル、ボタン、スイッチ、バー、キーボード、マウス、及び/又は、マイク等である。
【0035】
<アンテナパターン情報>
図4は、本実施の形態に係るアンテナパターン情報60の一例を示す。
【0036】
アンテナパターン情報60は、各アンテナ素子44のゲイン値及び位相値の組み合わせと、セクタIDとの対応関係を示す情報である。アンテナパターン情報60は、無線モジュール24の無線制御回路41に保持されてよい。ただし、アンテナパターン情報60は、メモリ22に保持されてもよい。
【0037】
図4において、「disable」は、該当するアンテナ素子44を使用しないことを示し、「A
m,n」(m,nは1以上の整数)は、該当するアンテナ素子44に対応するゲイン調整回路42に設定されるゲイン値を示し、「θ
m,n」は、該当するアンテナ素子44に対応する位相調整回路43に設定される位相値を示す。
【0038】
アンテナパターン情報60は、セクタIDが異なる場合、指向性ビーム200の受信範囲(受信角度)及び受信利得の少なくとも1つが異なるように設定されてよい。
【0039】
例えば、
図4に示すアンテナパターン情報60は、セクタID「0xFF」に対応付けられる各アンテナ素子44のゲイン値及び位相値の組み合わせが指向性ビーム200の受信範囲(受信角度)が最も広くかつ受信利得が最も低くなっており、セクタID「0xFE」、セクタID「0xFD」、セクタID「0xFC」の順に、指向性ビーム200の受信範囲が狭くかつ受信利得が高くなるように設定されている。
【0040】
<変換情報>
図5は、本実施に係る変換情報70の一例を示す。
【0041】
変換情報70は、カメラ34の撮像倍率とセクタIDとの対応関係を示す情報である。変換情報70は、STA20のメモリ22に保持されてよい。
【0042】
変換情報70は、カメラ34の撮像倍率が大きいものほど、指向性ビーム200の受信範囲(受信角度)が狭くかつ受信利得が高いセクタIDに対応付けられるように設定されてよい。別言すると、変換情報70は、カメラ34の撮像倍率が小さいものほど、指向性ビーム200の受信範囲(受信角度)が広くかつ受信利得が低いセクタIDに対応付けられるように設定されてよい。
【0043】
例えば、
図5に示す変換情報70では、カメラ34の撮像倍率「1倍」に、指向性ビーム200の受信範囲(受信角度)が最も広くかつ受信利得が最も低いセクタID「0xFF」が対応付けられており、カメラ34の撮像倍率が「2倍」、「4倍」、「8倍」の順に、指向性ビーム200の受信範囲が狭くかつ受信利得が高くなるように、それぞれ、セクタID「0xFE」、セクタID「0xFD」、セクタID「0xFC」が対応付けられている。
【0044】
<無線接続方法>
図6は、本実施の形態に係る無線接続方法の一例を示すシーケンスチャートを示す。
図7は、本実施の形態に係るSTA20へのスマートフォン30の装着例を示す図である。
図8は、本実施の形態に係るスマートフォン30の表示装置35に表示される調整用UI画像300の例を示す図である。
【0045】
図7に示すように、STA20は、高さ方向に延びるポール26の所定の高さ位置に固定され、STA20の指向性ビーム200の方向F1は、水平方向であってよい。作業者は、STA20をポール26に固定する際、STA20の指向性ビーム200の方向F1がAP10の方向を向くように調整してよい。例えば、作業者は、STA20がAP10の方向を向くように、ポール26の軸を中心にSTA20を水平回転(軸回転)させて、STA20をポール26に固定する。
【0046】
作業者は、スマートフォン30をSTA20のアダプタ25に装着する(ステップS11)。アダプタは、
図7に示すように、スマートフォン30を装着した際に、スマートフォン30のカメラ34が、STA20のアレイアンテナによる電波の受信方向が撮像される方向F2(つまり指向性ビーム200の方向F1)を向くように構成される。例えば、アダプタ25は、
図7に示すように、スマートフォン30を上からスライドさせて装着できるような構成であってよい。
【0047】
作業者は、スマートフォン30の調整UIプログラムを起動する(ステップS12)。これにより、
図8に示すように、スマートフォン30の表示装置35に調整用UI画像300が表示される。調整用UI画像300には、
図8に示すように、カメラ34の撮像画像350と、カメラ34の撮像倍率を調整するための倍率操作バー351と、カメラ34の撮像倍率を示す倍率画像352と、撮像倍率の調整を完了するための完了ボタン353と、撮像画像の中心位置を示す中心マーク354とが表示されてよい。なお、本実施の形態では調整UIプログラムの構成要素全てがスマートフォン30に記録され、起動される例を示すが、本開示の範囲はこれに限られない。例えば、調整UIプログラムの一部又は全部が他の情報処理装置において実行されてもよい。さらに、スマートフォン30は、撮像倍率等の必要な情報を他の情報処理を介してSTA20に送信してもよい。
【0048】
作業者は、撮像画像350の表示を変化させる操作を行う。例えば、作業者は、倍率操作バー351を操作して、カメラ34の撮像倍率を変更(例えば拡大又は縮小)する操作を行う(ステップS13)。なお、この撮像倍率の変更は、カメラ34のレンズ位置を物理的に調整して撮像画像を光学的に拡大又は縮小する変更であってもよいし、表示装置35に表示される撮像画像をデジタル的に拡大又は縮小する変更であってもよい。
【0049】
スマートフォン30は、変更されたカメラ34の撮像倍率を示す情報をSTA20に送信する(ステップS14)。
【0050】
STA20のプロセッサ21は、変換情報70を参照して、スマートフォン30から送信された撮像倍率に対応するセクタIDを特定する(ステップS15)。
【0051】
STA20のプロセッサ21は、特定したセクタIDを無線モジュール24に送信する(ステップS16)。
【0052】
無線モジュール24の無線制御回路41は、ステップS16にてプロセッサ21から送信されたセクタIDを受信し、アンテナパターン情報60を参照して、その受信したセクタIDに対応するアンテナパターンを特定する(ステップS17)。アンテナパターンは、上述した通り、各アンテナ素子44のゲイン値及び位相値の組み合わせであってよい。
【0053】
無線モジュール24の無線制御回路41は、特定したアンテナパターンが示す各アンテナ素子44のゲイン値及び位相値を、各アンテナ素子44のゲイン調整回路42及び位相調整回路43にそれぞれ設定することにより、
図8に示すように、指向性ビーム200の受信範囲(受信角度θ)及び受信利得dを変更する(ステップS18)。
【0054】
ステップS14からステップS18の処理は、作業者がステップS13にてカメラ34の撮像倍率を変更するごとに繰り返し実行されてよい。
【0055】
例えば、作業者がステップS13において、
図8(a)に示すように、撮像倍率を「1倍」に設定した場合、STA20は、ステップS17及びステップS18において比較的受信範囲(受信角度θ)が広くかつ受信利得dの低い指向性ビーム200Aを設定する。例えば、作業者がステップS13において、
図8(b)に示すように、撮像倍率を「2倍」に設定した場合、STA20は、ステップS17及びステップS18において撮像倍率が「1倍」のときよりも受信範囲(受信角度θ)が狭くかつ受信利得dの高い指向性ビーム200Bを設定する。例えば、作業者がステップS13において、
図8(c)に示すように、撮像倍率を「8倍」に設定した場合、STA20は、ステップS17及びステップS18において撮像倍率が「2倍」のときよりも受信範囲(受信角度θ)が狭くかつ受信利得dの高い指向性ビーム200Cを設定する。
【0056】
このように、作業者は、スマートフォン30のカメラ34の撮像倍率を調整することにより、STA20の指向性ビーム200の受信範囲(受信角度θ)及び受信利得dを容易に調整することができる。例えば、作業者は、撮像倍率を徐々に拡大してAP10が撮像画像350にて視認できるようにスマートフォン30を操作することにより、STA20の指向性ビーム200におけるAP10の方向の受信利得dを、徐々に高くすることができる。これにより、作業者は、簡単な作業で、従来の疑似オムニパターン110では検出が難しかった距離に位置するAP10をSTA20に検出させることができる。つまり、STA20をより遠くに位置するAP10に無線接続させる作業を簡単かつ効率的に行うことができる。
【0057】
図6の説明に戻る。作業者は、STA20とAP10との無線接続が完了した場合、入力装置36を通じて、完了ボタン353を選択(例えばタップ)する(ステップS19)。
【0058】
スマートフォン30は、完了ボタン353の選択(例えばタップ)を検知した場合、STA20に完了通知を送信する(ステップS20)。
【0059】
STA20のプロセッサ21は、スマートフォン30から送信された完了通知を受信した場合、現在のセクタIDをメモリ22に保存する(ステップS21)。つまり、STA20は、現在のセクタIDに対応するアンテナパターンを、AP10と無線通信するための指向性ビーム200に決定する。そして、STA20のプロセッサ21は、本処理を終了する。
【0060】
以上の処理により、作業者は、STA20に接続されたスマートフォン30のカメラ34の撮像倍率を調整することにより、STA20の指向性ビーム200の受信範囲(受信角度θ)及び受信利得dを容易に調整することができ、遠方に位置するAP10にSTA20を無線接続する作業を簡単かつ効率的に行うことができる。
【0061】
なお、
図6のステップS14においてスマートフォン30からSTA20へ送信されるカメラ34の撮像倍率を示す情報は、ユーザによって撮像画像350の表示を変化させる操作がなされた場合に当該操作によって生成された情報の一例である。例えば、操作によって生成された情報には、撮像画像350の表示の変化を示す情報が含まれてよい。例えば、操作によって生成された情報には、電波の受信範囲及び受信利得を変化させる度合いを示す情報が含まれてよい。例えば、操作によって生成された情報には、撮像倍率に対応するセクタIDが含まれてよい。例えば、操作によって生成された情報には、撮像倍率に対応する指向性ビームを設定するためのパラメータ(例えば各アンテナ素子のゲイン値及び位相値)が含まれてよい。
【0062】
(本開示のまとめ)
本開示の内容は以下のように表現することができる。
【0063】
<表現1>
通信システム1は、他の無線装置(例えばAP10)と無線接続を行う無線装置(例えばSTA20)と、当該無線装置に接続される情報処理装置(例えばスマートフォン30)とを備え、情報処理装置は、無線装置の電波の受信方向が撮像される撮像画像350を表示し、ユーザ(例えば作業者)によって撮像画像350の表示を変化させる操作がなされた場合、当該操作によって生成された情報を無線装置へ送信し、無線装置は、情報処理装置から受信した情報に基づいて、電波の受信範囲を変化させる。
これにより、ユーザは、撮像画像350の表示を変化させる操作を行うことで、無線装置の電波の受信範囲を容易に変化させることができる。よって、ユーザは、他の無線装置から送信されるビーコンを受信できるように無線装置の電波の受信範囲を調整して無線装置を他の無線装置に無線接続させる作業を、効率的に行うことができる。
【0064】
<表現2>
表現1に記載の通信システム1において、操作によって生成された情報は、撮像画像の表示の変化を示す情報であってよい。
これにより、無線装置は、情報処理装置から受信した撮像画像の表示の変化を示す情報に基づいて、電波の受信範囲を変化させることができる。
【0065】
<表現3>
表現1に記載の通信システム1において、操作によって生成された情報は、電波の受信範囲及び受信利得を変化させる度合いを示す情報であり、無線装置は、情報処理装置から受信した電波の受信範囲及び受信利得を変化させる度合いを示す情報に基づいて、電波の受信範囲及び受信利得を変化させてよい。
これにより、無線装置は、情報処理装置から受信した電波の受信範囲及び受信利得を変化させる度合いを示す情報に基づいて、電波の受信範囲及び受信利得を変化させることができる。
【0066】
<表現4>
表現2に記載の通信システム1において、撮像画像350の表示を変化させる操作は、撮像画像350の撮像倍率を変化させる操作であり、撮像画像350の表示の変化を示す情報は、撮像倍率を示す情報であり、無線装置は、情報処理装置から受信した撮像倍率を示す情報に基づいて、電波の受信範囲及び受信利得を変化させてよい。
これにより、ユーザは、情報処理装置の撮像画像350の撮像倍率を変化させる操作を行うことで、無線装置の電波の受信範囲及び受信利得を容易に変化させることができる。よって、ユーザは、情報処理装置を通じて、他の無線装置から送信されるビーコンを受信できるように無線装置の電波の受信範囲及び受信利得を調整して無線装置を他の無線装置に無線接続させる作業を、効率的に行うことができる。
【0067】
<表現5>
表現4に記載の通信システム1において、撮像倍率が第1の倍率の場合における電波の受信利得は、撮像倍率が第1の倍率よりも小さい第2の倍率の場合における電波の受信利得よりも、大きくてよい。
これにより、ユーザは、撮像倍率を大きくする操作を行うことにより、無線装置の電波の受信利得を大きくすることができる。
【0068】
<表現6>
表現4に記載の通信システム1において、無線装置は、撮像倍率と、電波の受信範囲がそれぞれ異なるアンテナパターンを示すセクタIDと、を対応付ける変換情報70を有し、変換情報70に基づいて、情報処理装置から受信した撮像倍率に対応するセクタIDを特定し、特定したセクタIDが示すアンテナパターンに基づいて電波の受信範囲を変更してよい。
これにより、無線装置は、情報処理装置から受信した撮像倍率に適切なアンテナパターンを示すセクタIDを特定することができる。つまり、無線装置は、情報処理装置から受信した撮像倍率に適切な電波の受信範囲を設定することができる。
【0069】
<表現7>
無線装置(例えばSTA20)を他の無線装置(例えばAP10)に無線接続させる無線接続方法において、情報処理装置(例えばスマートフォン30)は、無線装置の電波の受信方向が撮像される撮像画像350を表示し、ユーザによって撮像画像350の表示を変化させる操作がなされた場合、当該操作によって生成された情報を無線装置へ送信し、無線装置は、情報処理装置から受信した情報に基づいて、電波の受信範囲を変化させ、他の無線装置と無線接続を行う。
これにより、ユーザは、情報処理装置の撮像画像350の表示を変化させる操作を行うことで、無線装置の電波の受信範囲を容易に変化させることができる。よって、ユーザは、他の無線装置から送信されるビーコンを受信できるように無線装置の電波の受信範囲を調整して無線装置を他の無線装置に無線接続させる作業を、簡単かつ効率的に行うことができる。
【0070】
<表現8>
他の無線装置(例えばAP10)と無線接続を行う無線装置(例えばSTA20)は、複数のアンテナ素子40と、所定の情報処理装置(例えばスマートフォン30)からアンテナ素子44にて受信する電波の受信方向が撮像される撮像画像350の表示を変化させる操作によって生成された情報を受信した場合、当該受信した情報に基づいて、電波の受信範囲を変化させるプロセッサ21と、を備える。
これにより、無線装置は、情報処理装置から撮像画像の表示を変化させる操作によって背生成された情報を受信し、当該受信した情報に基づいて、電波の受信範囲を変化させることができる。よって、ユーザは、情報処理装置を通じて、他の無線装置から送信されるビーコンを受信できるように無線装置の電波の受信範囲を調整して無線装置を他の無線装置に無線接続させる作業を、簡単かつ効率的に行うことができる。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本開示の技術は、互いに遠方に位置する2台の無線装置を無線接続させる場合に有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 通信システム
10 AP
11 プロセッサ
12 メモリ
13 接続インタフェース
14 無線モジュール
20 STA
21 プロセッサ
22 メモリ
23 接続インタフェース
24 無線モジュール
25 アダプタ
26 ポール
30 スマートフォン
31 プロセッサ
32 メモリ
33 接続インタフェース
34 カメラ
35 表示装置
36 入力装置
41 無線制御回路
42 ゲイン調整回路
43 位相調整回路
44 アンテナ素子
60 アンテナパターン情報
70 変換情報
100 指向性ビーム
110 疑似オムニパターン
200、200A、200B、200C 指向性ビーム
300 調整用UI画像
350 撮像画像
351 倍率操作バー
352 倍率画像
353 完了ボタン
354 中心マーク