(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032633
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/639 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138884
(22)【出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西谷 章弘
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 拓馬
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA14
5E021FA16
5E021FC36
5E021HC09
(57)【要約】
【課題】ロックアームに生じる最大応力を小さく抑えながら、ロックアームによる保持力を高める。
【解決手段】コネクタは、雄側ハウジング41と雌側ハウジング11とロックアーム20とを備え、ロックアーム20は、雌側ハウジング11に連なる基端部21と、基端部21から延出したアーム本体部22とを有し、アーム本体部22は、対向面26を雌側ハウジング11に接近させる方向へ弾性変形可能であり、アーム本体部22には、雄側ハウジング41の受け部45に係止されるロック部27が形成され、アーム本体部22のうち基端部21からロック部27側へ延出した第1撓み部37は、基端部21からロック部27側に向かって厚さ寸法が次第に小さくなる形状であり、アーム本体部22のうち第1撓み部37の延出端37Rに対して基端部21とは反対側に連なる第2撓み部38は、対向面26を曲面のみで構成した形状である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄側ハウジングと、
前記雄側ハウジング内に嵌合される雌側ハウジングと、
前記雌側ハウジングに形成されたロックアームとを備え、
前記ロックアームは、前記雌側ハウジングに連なる基端部と、前記基端部から前記雌側ハウジングに沿って延出したアーム本体部とを有し、
前記アーム本体部は、前記雌側ハウジングとの対向面を前記雌側ハウジングに接近させる方向へ弾性変形可能であり、
前記アーム本体部には、前記雄側ハウジングに形成した受け部に係止されるロック部が形成され、
前記アーム本体部のうち前記基端部から前記ロック部側へ延出した第1撓み部は、前記基端部から前記ロック部側に向かって厚さ寸法が次第に小さくなる形状であり、
前記アーム本体部のうち前記第1撓み部の延出端に対して前記基端部とは反対側に連なる第2撓み部は、前記対向面を曲面のみで構成した形状であるコネクタ
【請求項2】
前記第2撓み部の前記対向面は、前記第1撓み部の前記対向面よりも曲率の大きい曲面で構成されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第2撓み部の前記対向面は、前記第1撓み部の前記延出端から遠ざかるほど曲率が大きくなる曲面で構成されている請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記アーム本体部の延出方向及び弾性変形方向の両方向と直角に視た側面視において、前記第1撓み部の前記対向面と前記第2撓み部の前記対向面が、1つの放物線によって構成されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記アーム本体部の延出方向及び弾性変形方向の両方向と直角に視た側面視において、前記アーム本体部のうち前記雄側ハウジングの内面と対向する外面が、前記雄側ハウジングと前記雌側ハウジングの嵌合方向と平行な直線で構成されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ロック部が前記第2撓み部に形成されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記アーム本体部は、前記第2撓み部から前記第1撓み部とは反対方向へ延出し、延出端が前記雌側ハウジングに連なった延出部を有している請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、雄コネクタハウジングと、ロックアームを有する雄コネクタハウジングとを備えたコネクタが開示されている。雌コネクタハウジングを雄コネクタハウジング内に嵌合すると、ロックアームの係合突部が雄コネクタハウジングの係合受部に係合することによって、両コネクタハウジングが嵌合状態にロックされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロックアームによって両コネクタハウジングを嵌合状態に保持する保持力を高めるためには、ロックアームが撓んだときに係合突部の近傍に生じる応力を高める必要がある。上記ロックアームの撓み方向の厚さは、ロックアームの撓みの支点となる基端部から係合突部に至るまで一定の寸法である。このような寸法設定の場合、ロックアームに生じる応力は、基端部から係合突部まで一定ではなく、基端部において最大となり、係合突部に近づくほど小さくなっていく。したがって、係合突部の近傍における応力を高めてロックアームの保持力を確保しようとすると、ロックアームに生じる最大応力が大きくなる。
【0005】
本開示のコネクタは、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ロックアームに生じる最大応力を小さく抑えながら、ロックアームによる保持力を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、
雄側ハウジングと、
前記雄側ハウジング内に嵌合される雌側ハウジングと、
前記雌側ハウジングに形成されたロックアームとを備え、
前記ロックアームは、前記雌側ハウジングに連なる基端部と、前記基端部から前記雌側ハウジングに沿って延出したアーム本体部とを有し、
前記アーム本体部は、前記雌側ハウジングとの対向面を前記雌側ハウジングに接近させる方向へ弾性変形可能であり、
前記アーム本体部には、前記雄側ハウジングに形成した受け部に係止されるロック部が形成され、
前記アーム本体部のうち前記基端部から前記ロック部側へ延出した第1撓み部は、前記基端部から前記ロック部側に向かって厚さ寸法が次第に小さくなる形状であり、
前記アーム本体部のうち前記第1撓み部の延出端に対して前記基端部とは反対側に連なる第2撓み部は、前記対向面を曲面のみで構成した形状である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ロックアームに生じる最大応力を小さく抑えながら、ロックアームによる保持力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1の雌側コネクタを斜め上前方から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、雄側コネクタを斜め下前方から見た一部切欠斜視図である。
【
図3】
図3は、両コネクタの嵌合過程において、ロック部を幅方向と直角に切断した側断面図である。
【
図4】
図4は、両コネクタが正規嵌合した状態において、ロック部を幅方向と直角に切断した側断面図である。
【
図5】
図5は、実施例2の雌側コネクタを斜め上前方から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、雌側コネクタを幅方向と直角に切断した側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)雄側ハウジングと、前記雄側ハウジング内に嵌合される雌側ハウジングと、前記雌側ハウジングに形成されたロックアームとを備え、前記ロックアームは、前記雌側ハウジングに連なる基端部と、前記基端部から前記雌側ハウジングに沿って延出したアーム本体部とを有し、前記アーム本体部は、前記雌側ハウジングとの対向面を前記雌側ハウジングに接近させる方向へ弾性変形可能であり、前記アーム本体部には、前記雄側ハウジングに形成した受け部に係止されるロック部が形成され、前記アーム本体部のうち前記基端部から前記ロック部側へ延出した第1撓み部は、前記基端部から前記ロック部側に向かって厚さ寸法が次第に小さくなる形状であり、前記アーム本体部のうち前記第1撓み部の延出端に対して前記基端部とは反対側に連なる第2撓み部は、前記対向面を曲面のみで構成した形状である。この構成によれば、アーム本体部が弾性変形したときに、第1撓み部と第2撓み部に生じる応力が、延出方向の全長に亘って分散される。ロックアームによる保持力を高めるために、基端部の近傍部位に生じる応力を高めても、アーム本体部に生じる最大応力は過大にならない。本開示によれば、ロックアームに生じる最大応力を小さく抑えながら、ロックアームによる保持力を高めることができる。
【0010】
(2)前記第2撓み部の前記対向面は、前記第1撓み部の前記対向面よりも曲率の大きい曲面で構成されていることが好ましい。この構成によれば、アーム本体部が弾性変形したときに第1撓み部及び第2撓み部に生じる応力を、効果的に分散させることができる。
【0011】
(3)前記第2撓み部の前記対向面は、前記第1撓み部の前記延出端から遠ざかるほど曲率が大きくなる曲面で構成されていることが好ましい。この構成によれば、アーム本体部が弾性変形したときに第2撓み部に生じる応力を、効果的に分散させることができる。
【0012】
(4)前記アーム本体部の延出方向及び弾性変形方向の両方向と直角に視た側面視において、前記第1撓み部の前記対向面と前記第2撓み部の前記対向面が、1つの放物線によって構成されていることが好ましい。この構成によれば、アーム本体部が弾性変形したときに第1撓み部と第2撓み部に生じる応力を、効果的に分散させることができる。
【0013】
(5)前記アーム本体部の延出方向及び弾性変形方向の両方向と直角に視た側面視において、前記アーム本体部のうち前記雄側ハウジングの内面と対向する外面が、前記雄側ハウジングと前記雌側ハウジングの嵌合方向と平行な直線で構成されていることが好ましい。この構成によれば、雄側ハウジングと雌側ハウジングを嵌合した状態において、アーム本体部の外面と雄側ハウジングの内面との間のデッドスペースをなくすことができる。
【0014】
(6)前記ロック部が前記第2撓み部に形成されていることが好ましい。この構成によれば、アーム本体部のうちロック部が形成されている部位には、一定程度の大きさの応力が生じるので、ロック部による高い保持力を得ることができる。
【0015】
(7)前記アーム本体部は、前記第2撓み部から前記第1撓み部とは反対方向へ延出し、延出端が前記雌側ハウジングに連なった延出部を有していることが好ましい。この構成によれば、ロックアームは、長さ方向両端部において雌側ハウジングに支持されているので、アーム本体部が弾性変形したときに生じる応力が大きい。よって、ロックアームは高い保持力を発揮することができる。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示を具体化した実施例1を、
図1~
図4を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0017】
本実施例1のコネクタは、互いに嵌合及び離脱が可能な雌側コネクタ10と雄側コネクタ40とを有する。両コネクタ10,40の嵌合及び離脱方向は前後方向である。本実施例1において、前後方向については、
図1~4におけるX軸の正方向側を前方と定義する。両コネクタ10,40の嵌合離脱方向と、前後方向を同義で用いる。上下方向については、
図1~4におけるZ軸の正方向側を上方と定義する。上下方向と高さ方向を同義で用いる。左右方向については、
図1,2におけるY軸の正方向側を右方と定義する。左右方向と幅方向を同義で用いる。上下方向と幅方向は、雄側コネクタ40と雌側コネクタ10の嵌合方向と交差する方向である。
【0018】
<雌側コネクタ10>
雌側コネクタ10は、合成樹脂製の雌側ハウジング11と、複数の雌端子金具15とを組み付けて構成されている。
図1に示すように、雌側ハウジング11は、左右対称な偏平な形状の単一部品である。雌側ハウジング11は、ハウジング本体部12と、ハウジング本体部12に一体に形成されたロックアーム20とを有する。ハウジング本体部12は、全体として偏平な直方形をなす。
図2,3に示すように、ハウジング本体部12内には、ハウジング本体部12を前後方向に貫通する複数の端子収容室13が、幅方向に一定ピッチで並んだ状態で形成されている。各端子収容室13内には、電線14の前端部に固着された雌端子金具15が挿入されている。
【0019】
ロックアーム20は、雌側ハウジング11の幅方向における中央部に配置されている。ロックアーム20は、基端部21と、アーム本体部22と、操作部25とを有する。基端部21は、ロックアーム20の前端部を構成し、ハウジング本体部12の外壁面12S(上面)の前端部に連なっている。基端部21は、前後方向の長さ寸法よりも幅寸法の大きい偏平な形状であり、ハウジング本体部12の外壁面12Sから上方へ突出している。アーム本体部22は、全体として平板状をなし、基端部21からハウジング本体部12の外壁面12Sに沿うように後方へ片持ち状に延出している。アーム本体部22は、ハウジング本体部12の外壁面12S(上面)を上から覆うように配置されている。
【0020】
アーム本体部22は、基端部21の後端に連なる1つの平板部23と、左右対称な一対の延出部24とを有する。基端部21からのアーム本体部22の延出方向において、平板部23は、アーム本体部22のうち基端部21側の部位を構成する。平板部23の幅寸法は、基端部21の幅寸法と同じ寸法である。一対の延出部24は、平板部23の後端における左右両端部から後方へ片持ち状に延出している。操作部25は、一対の延出部24の後端部同士を繋ぐように配置され、延出部24の上面から上方へ突出している。
【0021】
ロックアーム20は、常には、アーム本体部22の外面22S(上面)が雌側ハウジング11の外壁面12Sと平行となるロック位置(
図4を参照)を保つ。アーム本体部22において雌側ハウジング11の外壁面12Sと対向する面を、対向面26と定義する。アーム本体部22の外面22Sは、対向面26とは反対側の面である。
【0022】
ロックアーム20に下向きの外力が作用すると、ロックアーム20が、基端部21を支点として、ロック解除位置(
図3を参照)へ弾性的に変位するようになっている。ロックアーム20を弾性変位方向(上下方向)及びアーム本体部22の延出方向(前後方向)の両方向と直角に見ることを、側面視と定義する。ロックアーム20がロック解除位置へ変位した状態では、アーム本体部22が、側面視において湾曲するように弾性変形しながら、基端部21の後端を支点として下方へ変位する。つまり、アーム本体部22は、対向面26を雌側ハウジング11の外壁面12Sに接近させる方向へ弾性変位する。
【0023】
アーム本体部22の外面22Sには、左右対称な一対のロック部27が幅方向に間隔を空けて形成されている。前後方向における両ロック部27の形成位置は、平板部23の後端部である。一対のロック部27は、平板部23の左右両端部に位置する。ロック部27は、アーム本体部22の外面22Sから上方へ突出した形状である。ロック部27の前面は、両コネクタ10,40の嵌合離脱方向に対して傾斜した平面からなり、誘導面28として機能する。ロック部27の後面は、嵌合離脱方向と直角な平面からなり、ロック面29として機能する。
【0024】
アーム本体部22には、台座部30が一体に形成されている。台座部30は、アーム本体部22の幅方向中央に位置する。台座部30の前端は平板部23の後端に連なっている。台座部30の後端は操作部25の前端に連なっている。台座部30の上面全領域は、アーム本体部22の外面22Sと平行な平面からなる雌側衝突面31として機能する。雌側衝突面31の前端は、前後方向において平板部23の後端及びロック面29と同じ位置に配置されている。雌側衝突面31の後端は、前後方向において操作部25の前端と同じ位置である。雌側衝突面31の全体が、平板部23の後端及びロック部27の後端よりも後方に位置する。
【0025】
ロックアーム20の外面22Sにおける幅方向中央部には、前後方向に細長い突部32が形成されている。前後方向における突部32の形成範囲は、基端部21の前端から、平板部23の後端に至る領域である。突部32の幅寸法は、全長に亘って一定の寸法であり、一対のロック部27の間隔と同じ寸法である。突部32の後端部とロック部27は連なっている。アーム本体部22の外面22Sから突部32の突出高さは、ロック部27と同じ高さである。
【0026】
ロックアーム20には、左右対称な一対の補強リブ33が形成されている。一対の補強リブ33は、基端部21の上面及び平板部23の上面から上方へ突出し、ロックアーム20の左右両側縁に沿って前後方向に細長く延びている。前後方向における補強リブ33の形成範囲は、基端部21の前端から、平板部23の後端(ロック面29)に至る領域である。補強リブ33の後端と延出部24の前端は前後に連なっている。補強リブ33の後端部とロック部27は左右に連なっている。前後方向において、補強リブ33の形成範囲は、平板部23の形成範囲の全体を含む。補強リブ33の上面は、ロック部27の上面及び延出部24の上面に対して、面一状に連なっている。
【0027】
ロックアーム20の外面22Sには、左右対称な一対のガイド溝34が形成されている。ガイド溝34の左右両側縁は、突部32と補強リブ33とによって区画されている。ガイド溝34の前端は、ロックアーム20の前端面に開放されている。ガイド溝34の後端にはロック部27の誘導面28が臨んでいる。アーム本体部22には、左右対称な一対のロック用凹部35が形成されている。一対のロック用凹部35は、台座部30の左右両側面、ロック部27の後面(ロック面29)、延出部24の内側面及び操作部25の前面によって区画されている。ロック用凹部35は、ロックアーム20を上下に貫通した空間である。前後方向におけるロック用凹部35の形成範囲は、平板部23の後端から操作部25の前端に至る領域である。
【0028】
ロックアーム20の後端部には、左右対称な一対の張出部36が形成されている。張出部36は、延出部24及び補強リブ33の外側面から幅方向外方へ張り出している。前後方向における張出部36の形成範囲は、ロック部27の前端よりも少し前方の位置から、操作部25の前端に至る領域である。換言すると、張出部36の前後方向の成形範囲は、平板部23の後端部と延出部24の全体とを含む領域である。
【0029】
平板部23は、第1撓み部37と第2撓み部38とによって構成されている。第1撓み部37は、基端部21の後端に連なり、基端部21から後方へ延出している。第1撓み部37の後端37Rは、アーム本体部22の前後方向中央に位置する。第2撓み部38は、第1撓み部37の後端37Rに連なり、第1撓み部37から後方へ突出している。前後方向において、第2撓み部38の前端38Fはロック部27の前端と同じ位置に配置されている。第1撓み部37の前端37Fは、前後方向において平板部23の前端と同じ位置に配置されている。第2撓み部38の後端38Rは、前後方向において平板部23の後端と同じ位置に配置されている。一対の延出部24は、第2撓み部38の後端38Rから後方へ延出している。第2撓み部38の前後方向の長さ寸法は、第1撓み部37及び延出部24の長さ寸法よりも小さい。
【0030】
平板部23における対向面26の側面視形状は、下方に向かって膨らむように湾曲した放物線によって構成されている。放物線の曲率は、平板部23の前端において最小であり、平板部23の後端において最大である。第1撓み部37の対向面26における放物線は、曲率が0に近く、ほぼ直線状をなしている。第2撓み部38の対向面26における放物線は、後方に向かって曲率が大きくなっていく。対向面26の高さは、平板部23(第1撓み部37)の前端において最も低く、平板部23(第2撓み部38)の後端において最も高い。
【0031】
平板部23の上面は、ロック部27を除いて高さが一定である。したがって、第1撓み部37の上下方向の厚さ寸法は、第1撓み部37の前端37Fにおいて最大である。第1撓み部37の後端37R(第2撓み部38の前端38F)において最小である。延出部24の対向面26における前端側領域の高さと、台座部30の対向面26の高さは、第2撓み部38の後端38Rと同じ高さに設定されている。
【0032】
<雄側コネクタ40>
雄側コネクタ40は、合成樹脂製の雄側ハウジング41と、複数の雄端子金具47とを組み付けて構成されている。雄側コネクタ40は、回路基板(図示省略)に実装される基板用コネクタとして機能する。
【0033】
図5,6に示すように、雄側ハウジング41は、壁状をなす端子保持部42と、端子保持部42の外周縁から雌側コネクタ10側へ偏平な角筒状に突出したフード部43とを有する単一部品である。フード部43を構成する上壁部44には、左右対称な一対の受け部45が形成されている。一対の受け部45は、上壁部44の内面(下面)から下方へ突出し、フード部43の開口端に臨むように配置されている。幅方向において、一対の受け部45は一対のロック部27と同じ位置に配置されている。
【0034】
上壁部44の内面(下面)には、雄側衝突面46が形成されている。雌側ハウジング11を下から見た底面視において、雄側衝突面46の形成範囲は、両コネクタ10,40が正規嵌合した状態において雌側衝突面31が衝突する長方形領域である。上壁部44の内面のうち一対の受け部45の間の平面領域が、雄側衝突面46として機能する。
図2においては、理解のし易さを考慮して、雄側衝突面46と、雄側衝突面46に隣接する領域との境界を破線で示したが、実際には、雄側衝突面46と、雄側衝突面46に隣接する領域とは面一状に連続している。
【0035】
雄端子金具47は、細長い金属棒材を屈曲して成形したものである。雄端子金具47は、前後方向に延びる端子接続部48と、L字形に屈曲した基板接続部49とを有する。端子接続部48は、端子保持部42を前後方向に貫通している。端子接続部48の先端部のタブは、フード部43内に配置されている。基板接続部49は、雄側ハウジング41(フード部43)の外部において、端子接続部48の基端から下方へ延出している。基板接続部49は回路基板に接続される。
【0036】
<実施例1の作用>
雄側コネクタ40の雌側ハウジング11と雌側コネクタ10の雌側ハウジング11を嵌合する際には、雌側ハウジング11をフード部43内に進入させる。両コネクタ10,40の嵌合が、正規嵌合状態の直前まで進むと、
図3に示すように、ロック部27と受け部45とが干渉し、ロックアーム20がアーム本体部22の対向面26を雌側ハウジング11(ハウジング本体部12)の外壁面12Sに接近させるように弾性変位する。ロックアーム20が弾性変形するときには、アーム本体部22の平板部23が、側面視において、基端部21の後端とロック部27との間で上方へ膨らむように弾性変形する。
【0037】
平板部23の対向面26の側面視形状は放物線で構成されているので、平板部23の弾性変形によってアーム本体部22に生じる応力は、平板部23の前端から後端に亘って均一化が実現されている。つまり、ロックアーム20(アーム本体部22)に生じる最大応力は、基端部21の近傍に生じる応力、及びロック部27の近傍に生じる応力と概ね同じ大きさに抑えられる。したがって、最大応力を過剰に大きくすることなく、基端部21の近傍に生じる応力と、ロック部27の近傍に生じる応力を大きく設定することができる。
【0038】
両コネクタ10,40が正規の嵌合状態に至ると、
図4に示すように、ロック部27が受け部45を通過し、ロックアーム20が、ロックアーム20の弾性復元力によってロック解除位置からロック位置へ弾性復帰する。これにより、ロック部27のロック面29が、受け部45に対して前方から係止するので、雌側コネクタ10が雄側コネクタ40に対して後方へ離脱することを規制される。受け部45はロック用凹部35に収容される。以上により、両コネクタ10,40がロックアーム20によって正規嵌合状態にロックされる。
【0039】
両コネクタ10,40が正規の嵌合状態に至り、ロック部27が受け部45から外れると、ロックアーム20が勢い良く上方へ弾性復帰する。ロックアーム20が一気に弾性復帰することによって、雌側衝突面31が雄側衝突面46に対して下から衝突し、嵌合音(衝突音)が発生する。アーム本体部22が弾性変形したときに、基端部21の近傍に生じる応力を大きく設定できるので、アーム本体部22の弾性復元力を高めることができる。アーム本体部22の弾性復元力を高めることによって、雄側衝突面46に対する雌側衝突面31の衝突エネルギーが大きくなるので、大きな嵌合音を発生させることができる。
【0040】
ロックアーム20によって両ハウジング11,41を嵌合状態にロックする機能、即ちロックアーム20の保持力を高めるためには、アーム本体部22の弾性変位の支点となる基端部21の近傍に生じる応力を大きくすればよい。基端部21の近傍に生じる応力を高めるためには、アーム本体部22の全体の厚さ寸法を大きくすればよいが、そうすると、最大応力が過剰に大きくなってしまう。本実施例1では、アーム本体部22の対向面26の側面視形状を放物線にしたので、最大応力を過剰に大きくすることなく、基端部21の近傍の応力を高めることができ、ロックアーム20の保持力の向上を実現している。
【0041】
<実施例1の効果>
本実施例1のコネクタは、雄側ハウジング41と、雄側ハウジング41内に嵌合される雌側ハウジング11と、雌側ハウジング11に形成されたロックアーム20とを備えている。ロックアーム20は、雌側ハウジング11に連なる基端部21と、基端部21から雌側ハウジング11の外壁面12Sに沿って延出したアーム本体部22とを有する。アーム本体部22は、雌側ハウジング11との対向面26を雌側ハウジング11に接近させる方向へ弾性変形可能である。アーム本体部22には、雄側ハウジング41に形成した受け部45に係止されるロック部27が形成されている。
【0042】
アーム本体部22は、第1撓み部37と第2撓み部38を有する。第1撓み部37は、基端部21からロック部27側へ延出した部位であり、基端部21からロック部27側に向かって厚さ寸法が次第に小さくなる形状である。第2撓み部38は、第1撓み部37の延出端(後端37R)に対して基端部21とは反対側(後側)に連なっている。第2撓み部38は、対向面26を曲面のみで構成した形状である。
【0043】
この構成によれば、アーム本体部22が弾性変形したときに、第1撓み部37と第2撓み部38に生じる応力が、延出方向の全長に亘って分散される。ロックアーム20による保持力を高めるために、基端部21の近傍部位に生じる応力を高めても、アーム本体部22に生じる最大応力は過大にならない。本実施例1によれば、ロックアーム20に生じる最大応力を小さく抑えながら、ロックアーム20による保持力を高めることができる。
【0044】
第2撓み部38の対向面26は、第1撓み部37の対向面26よりも曲率の大きい曲面で構成されている。この構成によれば、アーム本体部22が弾性変形したときに第1撓み部37及び第2撓み部38に生じる応力を、効果的に分散させることができる。第2撓み部38の対向面26は、第1撓み部37の延出端(後端37R)から遠ざかるほど曲率が大きくなる曲面で構成されている。この構成によれば、アーム本体部22が弾性変形したときに第2撓み部38に生じる応力を、効果的に分散させることができる。
【0045】
アーム本体部22の延出方向及び弾性変形方向の両方向と直角に視た側面視において、第1撓み部37の対向面26と第2撓み部38の対向面26が、1つの放物線によって構成されている。この構成によれば、アーム本体部22が弾性変形したときに第1撓み部37と第2撓み部38に生じる応力を、効果的に分散させることができる。
【0046】
側面視において、アーム本体部22のうち雄側ハウジング41の内面と対向する外面22Sが、雄側ハウジング41と雌側ハウジング11の嵌合方向と平行な直線で構成されている。この構成によれば、雄側ハウジング41と雌側ハウジング11を嵌合した状態において、アーム本体部22の外面22Sと雄側ハウジング41の内面との間のデッドスペースをなくすことができる。
【0047】
ロック部27が第2撓み部38に形成されている。この構成によれば、アーム本体部22のうちロック部27が形成されている部位には、一定程度の大きさの応力が生じるので、ロック部27による高い保持力を得ることができる。
【0048】
[実施例2]
本開示を具体化した実施例2を、
図5~
図6を参照して説明する。実施例2のコネクタは、雄側コネクタ(図示省略)に嵌合される雌側コネクタ50を有する。本実施例2において、前後方向については、
図5,6におけるX軸の正方向側を前方と定義する。上下方向については、
図5,6におけるZ軸の正方向側を上方と定義する。上下方向と高さ方向を同義で用いる。左右方向については、
図1におけるY軸の正方向側を右方と定義する。左右方向と幅方向を同義で用いる。上下方向と幅方向は、雄側コネクタと雌側コネクタ50の嵌合方向と交差する方向である。
【0049】
<雌側コネクタ50>
雌側コネクタ50は、合成樹脂製の雌側ハウジング51と、一対の雌端子金具55とを組み付けて構成されている。
図1に示すように、雌側ハウジング51は、前後方向に細長い形状の単一部品である。雌側ハウジング51は、ハウジング本体部52と、ハウジング本体部52に一体に形成されたロックアーム60とを有する。
図6に示すように、ハウジング本体部52内には、ハウジング本体部52を前後方向に貫通する左右一対の端子収容室53が、幅方向に並んだ状態で形成されている。各端子収容室53内には、電線54の前端部に固着された雌端子金具55が挿入されている。
【0050】
ロックアーム60は、左右対称な形状である。ロックアーム60は、左右一対の基端部61と、左右一対のアーム本体部62と、延出部63と、操作部66とを有する。基端部61は、ロックアーム60の後端部を構成し、ハウジング本体部52の外壁面52S(上面)の後端部に連なっている。基端部61は、ハウジング本体部52の外壁面52Sから斜め上前方へ突出している。一対のアーム本体部62は、前後方向に細長い形状をなし、基端部61からハウジング本体部52の外壁面52Sに沿うように前方へ延出している。アーム本体部62は、ハウジング本体部52の外壁面52Sを上から覆うように配置されている。
【0051】
延出部63は、左右一対のアーム部64と、1つの板状部65とを有する。延出部63は、ハウジング本体部52の外壁面52Sを上から覆うように配置されている。一対のアーム部64は、一対のアーム本体部62の前端から前方へ延出した形状である。板状部65は、ハウジング本体部52の外壁面52Sの前端部から後方へ延出している。一対のアーム部64の前端は、板状部65の後端における左右両端部に連なっている。アーム部64の前端と板状部65の後端は、ロックアーム60の前後方向における中央部に位置する。
【0052】
操作部66は、一対のアーム本体部62の前端部同士、及び一対のアーム部64の後端部同士を繋ぐように配置されている。操作部66は、アーム本体部62の上面及びアーム部64の上面かに上方へ突出している。板状部65の後端部には、ロック部67が形成されている。ロック部67は、雄側コネクタに形成した受け部に係止することによって、雄側コネクタと雌側コネクタ50を嵌合状態にロックする部位である。ロック部67の前面は、前後方向(雄側コネクタと雌側コネクタ50の嵌合方向)に対して傾斜した誘導面68して機能する。ロック部67の後面、即ち板状部65の後端面は、前後方向と直交するロック面69として機能する。ロック部67は、操作部66よりも前方に配置され、ロックアーム60の前後方向における中央部に位置する。
【0053】
ロックアーム60は、常には、アーム本体部62の外面62S(上面)と延出部63の外面63S(上面)が雌側ハウジング51の外壁面52Sと平行となるロック位置(
図5,6を参照)を保つ。アーム本体部62及び延出部63において雌側ハウジング51の外壁面52Sと対向する面を、対向面70と定義する。アーム本体部62と延出部63の外面63Sは、対向面70とは反対側の面である。
【0054】
ロックアーム60に下向きの外力が作用すると、ロックアーム60が、基端部61と板状部65の前端部とを支点として、ロック解除位置(図示省略)へ弾性的に変位するようになっている。ロックアーム60を弾性変位方向(上下方向)及びアーム本体部62の延出方向(前後方向)の両方向と直角に見ることを、側面視と定義する。ロックアーム60がロック解除位置へ変位した状態では、アーム本体部62と延出部63が、側面視において湾曲するように弾性変形しながら、基端部61の後端を支点として下方へ変位する。つまり、アーム本体部62と延出部63は、対向面70を下方へ膨らませながら雌側ハウジング51の外壁面52Sに接近させる方向へ弾性変位する。
【0055】
アーム本体部62は、第1撓み部71と第2撓み部72とによって構成されている。第1撓み部71は、基端部61の前端に連なり、基端部61から前方へ延出している。第2撓み部72は、第1撓み部71の前端71Fに連なり、第1撓み部71から前方へ突出している。第1撓み部71の後端71Rは、前後方向においてアーム本体部62の後端と同じ位置に配置されている。第2撓み部72の前端72Fは、前後方向においてアーム本体部62の前端と同じ位置に配置されている。前後方向において、第2撓み部72の全体は、ロック部67の後端(ロック面69)及び操作部66の前端よりも後方に配置されている。操作部66の後端は、第1撓み部71の前端71F(第2撓み部72の後端72R)よりも後方に位置する。
【0056】
アーム本体部62における対向面70の側面視形状は、下方に向かって膨らむように湾曲した放物線によって構成されている。放物線の曲率は、第1撓み部71の後端(アーム本体部62の後端)において最小であり、第2撓み部72の前端72F(アーム本体部62の前端)において最大である。第1撓み部71の対向面70における放物線は、曲率が0に近く、ほぼ直線状をなしている。第2撓み部72の対向面70における放物線は、前方に向かって曲率が大きくなっていく。
【0057】
対向面70の高さは、第1撓み部71(アーム本体部62)の後端71Rにおいて最も低く、第2撓み部72(アーム本体部62)の前端72Fにおいて最も高い。アーム本体部62の上面は、操作部66を除いて高さが一定であるから、第1撓み部71の上下方向の厚さ寸法は、第1撓み部71の後端71Rにおいて最大であり、第1撓み部71の前端71F(第2撓み部72の後端72R)において最小である。アーム部64の対向面70の高さは、第2撓み部72の前端72Fと同じ高さに設定されている。
【0058】
雄側コネクタ(図示省略)に雌側コネクタ50を嵌合する際には、雌側ハウジング51を雄側コネクタのフード部(図示省略)内に進入させる。雄側コネクタに対する雌側コネクタ10の嵌合が、正規嵌合状態の直前まで進むと、ロック部67と雄側コネクタの受け部(図示省略)とが干渉し、ロックアーム60がアーム本体部62の対向面70を雌側ハウジング51(ハウジング本体部52)の外壁面52Sに接近させるように弾性変位する。ロックアーム60が弾性変形するときには、アーム本体部62の全体と延出部63の全体が、側面視において、基端部61の前端と延出部63の前端部との間で下方へ膨らむように弾性変形する。
【0059】
アーム本体部62の対向面70の側面視形状は放物線で構成されているので、ロックアーム60の弾性変形によってアーム本体部62に生じる応力は、アーム本体部62の前端(第2撓み部72の前端72F)から後端(第1撓み部71の後端72R)に亘って均一化が実現されている。つまり、アーム本体部62に生じる最大応力は、基端部61の近傍に生じる応力と概ね同じ大きさに抑えられる。したがって、最大応力を過剰に大きくすることなく、基端部61の近傍に生じる応力を大きく設定することができる。
【0060】
<実施例2の作用>
雄側コネクタに対して雌側コネクタ10が正規の嵌合状態に至ると、ロック部67が受け部を通過し、ロックアーム60が、ロックアーム60の弾性復元力によってロック解除位置からロック位置へ弾性復帰する。これにより、ロック部67のロック面69が、受け部に対して前方から係止するので、雌側コネクタ50が雄側コネクタに対して後方へ離脱することを規制される。以上により、両コネクタがロックアーム60によって正規嵌合状態にロックされる。
【0061】
ロックアーム60によって雌側コネクタ50と雄側コネクタを嵌合状態にロックする機能、即ちロックアーム60の保持力を高めるためには、アーム本体部62の弾性変位の支点となる基端部61の近傍に生じる応力を大きくすればよい。基端部61の近傍に生じる応力を高めるためには、アーム本体部62の全体の厚さ寸法を大きくすればよいが、そうすると、最大応力が過剰に大きくなってしまう。本実施例2では、アーム本体部62の対向面70の側面視形状を放物線にしたので、最大応力を過剰に大きくすることなく、基端部61の近傍の応力を高めることができ、ロックアーム60の保持力の向上を実現している。
【0062】
<実施例2の効果>
実施例2のコネクタは、雄側ハウジング(図示省略)内に嵌合される雌側ハウジング51と、雌側ハウジング51に形成されたロックアーム60とを備えている。ロックアーム60は、雌側ハウジング51の外壁面52Sに連なる基端部61と、基端部61から雌側ハウジング51に沿って延出したアーム本体部62とを有する。アーム本体部62は、雌側ハウジング51との対向面70を雌側ハウジング51に接近させる方向へ弾性変形可能である。アーム本体部62には、雄側ハウジングに形成した受け部(図示省略)に係止されるロック部67が形成されている。
【0063】
アーム本体部62は第1撓み部71と第2撓み部72を有する。第1撓み部71は、基端部61からロック部67側へ延出した部位であり、基端部61からロック部67側に向かって厚さ寸法が次第に小さくなる形状である。第2撓み部72は、第1撓み部71の前端71F(延出端)に対して基端部61とは反対側(前側)に連なっている。第2撓み部72は、対向面70を曲面のみで構成した形状である。
【0064】
この構成によれば、アーム本体部62が弾性変形したときに、第1撓み部71と第2撓み部72に生じる応力が、アーム本体部62の延出方向の全長に亘って分散される。ロックアーム60による保持力を高めるために、アーム本体部62のうちロック部67に近い部位に生じる応力を高めても、アーム本体部62の基端部61に生じる最大応力は過大にならない。実施例2によれば、ロックアーム60に生じる最大応力を小さく抑えながら、ロックアーム60による保持力を高めることができる。
【0065】
第2撓み部72の対向面70は、第1撓み部71の対向面70よりも曲率の大きい曲面で構成されている。この構成によれば、アーム本体部62が弾性変形したときに第1撓み部71及び第2撓み部72に生じる応力を、効果的に分散させることができる。第2撓み部72の対向面70は、第1撓み部71の前端71F(延出端)から遠ざかるほど曲率が大きくなる曲面で構成されている。この構成によれば、アーム本体部62が弾性変形したときに第2撓み部72に生じる応力を、効果的に分散させることができる。
【0066】
アーム本体部62の延出方向及び弾性変形方向の両方向と直角に視た側面視において、第1撓み部71の対向面70と第2撓み部72の対向面70が、1つの放物線によって構成されている。この構成によれば、アーム本体部62が弾性変形したときに第1撓み部71と第2撓み部72に生じる応力を、効果的に分散させることができる。
【0067】
側面視において、アーム本体部62のうち雄側ハウジングの内面と対向する外面62Sが、雄側ハウジングに対する雌側ハウジング51の嵌合方向と平行な直線で構成されている。この構成によれば、雄側ハウジングと雌側ハウジング51を嵌合した状態において、アーム本体部62の外面62Sと雄側ハウジングの内面との間のデッドスペースをなくすことができる。
【0068】
アーム本体部62は、第2撓み部72から第1撓み部71とは反対方向(前方)へ延出し、延出端部が雌側ハウジング51に連なった延出部63を有している。この構成によれば、ロックアーム60は、長さ方向両端部において雌側ハウジング51に支持されているので、アーム本体部62が弾性変形したときに生じる応力が大きい。よって、ロックアーム60は高い保持力を発揮することができる。
【0069】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
・実施例1,2において、アーム本体部の外面の側面視形状は、曲線を含む形状であってもよい。
・実施例1,2において、側面視において、第1撓み部の対向面と第2撓み部の対向面が、1つの放物線以外の曲線で構成されていてもよい。
・実施例1,2において、第1撓み部の対向面は、平面だけで構成されていてもよく、平面と曲面とによって構成されていてもよい。
・実施例1,2において、第2撓み部の対向面は、側面視において曲率が一定の曲面で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10…雌側コネクタ
11…雌側ハウジング
12…ハウジング本体部
12S:ハウジング本体部の外壁面
13…端子収容室
14…電線
15…雌端子金具
20…ロックアーム
21…基端部
22…アーム本体部
22S:アーム本体部の外面
23…平板部
24…延出部
25…操作部
26…対向面
27…ロック部
28…誘導面
29…ロック面
30…台座部
31…雌側衝突面
32…突部
33…補強リブ
34…ガイド溝
35…ロック用凹部
36…張出部
37…第1撓み部
37F:第1撓み部の前端
37R:第1撓み部の後端(第1撓み部の延出端)
38…第2撓み部
38F:第2撓み部の前端
38R:第2撓み部の後端(アーム本体部及び第2撓み部の延出端)
40…雄側コネクタ
41…雄側ハウジング
42…端子保持部
43…フード部
44…上壁部
45…受け部
46…雄側衝突面
47…雄端子金具
48…端子接続部
49…基板接続部
50…雌側コネクタ
51…雌側ハウジング
52…ハウジング本体部
52S:ハウジング本体部の外壁面
53…端子収容室
54…電線
55…雌端子金具
60…ロックアーム
61…基端部
62…アーム本体部
62S:アーム本体部の外面
63…延出部
63S:延出部の外面
64…アーム部
65…板状部
66…操作部
67…ロック部
68…誘導面
69…ロック面
70…対向面
71…第1撓み部
71F:第1撓み部の前端(第1撓み部の延出端)
71R:第1撓み部の後端
72…第2撓み部
72F:第2撓み部前端(アーム本体部及び第2撓み部の延出端)
72R:第2撓み部後端