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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034838
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/50 20060101AFI20230306BHJP
   B66B 11/02 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B66B1/50 Z
B66B11/02 Q
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141279
(22)【出願日】2021-08-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100207826
【弁理士】
【氏名又は名称】尾畑 誠治
(72)【発明者】
【氏名】濱口 萌子
【テーマコード(参考)】
3F306
3F502
【Fターム(参考)】
3F306CB49
3F306CB50
3F502JA06
3F502MA01
3F502MA11
(57)【要約】
【課題】 非接触による操作が可能であって、非接触により誤って操作が登録されることを抑制するエレベータを提供する。
【解決手段】 エレベータは、乗りかごの壁面に設置され、エレベータの操作を非接触で検出する非接触検出部を有する操作盤と、操作盤の前方に配置される手摺と、非接触検出部の検出結果に基づいて操作を受け付ける制御部と、を備え、非接触検出部の検出範囲は、水平方向について、手摺よりも乗りかごの内室側の領域を含まない、ことを特徴とする。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごの壁面に設置され、エレベータの操作を非接触で検出する非接触検出部を有する操作盤と、
前記操作盤の前方に配置される手摺と、
前記非接触検出部の検出結果に基づいて前記操作を受け付ける制御部と、を備え、
前記非接触検出部の検出範囲は、水平方向について、前記手摺よりも前記乗りかごの内室側の領域を含まない、
ことを特徴とする、エレベータ。
【請求項2】
前記手摺はさらに、前記手摺が使用されていることを検出する、手摺検出部を備え、
前記制御部は、前記非接触検出部で前記操作を検出した場合において、前記手摺検出部が検出されないことを条件に、前記操作を受け付ける、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記制御部は、前記非接触検出部で前記操作を検出した場合において、さらに、前記操作の検出開始前の所定時間内に前記手摺検出部が検出されないことを条件に、前記操作を受け付ける、
ことを特徴とする、請求項2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記制御部は、前記非接触検出部で前記操作を検出した場合において、さらに、前記操作の検出後の所定時間内に前記手摺検出部が検出されないことを条件に、前記操作を受け付ける、
ことを特徴とする、請求項2又は3に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記手摺は、前記壁面との接合部を有し、
前記手摺検出部は、前記接合部に配置される荷重センサにより構成される、
ことを特徴とする、請求項2乃至4に記載のエレベータ。
【請求項6】
前記手摺検出部は、前記手摺への接触を検出する、手摺接触検出部により構成される、
ことを特徴とする、請求項2乃至4に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータに関し、特に、非接触式操作盤を備えたエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、非接触式操作盤を備えたエレベータは、利用者が手でセンサを遮光することにより、操作を登録する(例えば、特許文献1)。ところで、特許文献1のようなエレベータは、例えば、利用者が操作盤の付近にもたれた場合など、センサに意図せず近接したときに、誤って操作が登録される可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-124166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、非接触による操作が可能であって、非接触により誤って操作が登録されることを抑制するエレベータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
エレベータは、乗りかごの壁面に設置され、エレベータの操作を非接触で検出する非接触検出部を有する操作盤と、前記操作盤の前方に配置される手摺と、前記非接触検出部の検出結果に基づいて前記操作を受け付ける制御部と、を備え、前記非接触検出部の検出範囲は、水平方向について、前記手摺よりも前記乗りかごの内室側の領域を含まない、ことを特徴とする。
【0006】
また、エレベータは、前記手摺はさらに、前記手摺が使用されていることを検出する、手摺検出部を備え、前記制御部は、前記非接触検出部で前記操作を検出した場合において、前記手摺検出部が検出されないことを条件に、前記操作を受け付ける、という構成でもよい。
【0007】
また、エレベータは、前記制御部は、前記非接触検出部で前記操作を検出した場合において、さらに、前記操作の検出開始前の所定時間内に前記手摺検出部が検出されないことを条件に、前記操作を受け付ける、という構成でもよい。
【0008】
また、エレベータは、前記制御部は、前記非接触検出部で前記操作を検出した場合において、さらに、前記操作の検出後の所定時間内に前記手摺検出部が検出されないことを条件に、前記操作を受け付ける、という構成でもよい。
【0009】
また、エレベータは、前記手摺は、前記壁面との接合部を有し、前記手摺検出部は、前記接合部に配置される荷重センサにより構成される、という構成でもよい。
【0010】
また、エレベータは、前記手摺検出部は、前記手摺への接触を検出する、手摺接触検出部により構成される、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態であるエレベータの乗りかご内の構成を示す図である。
図2図2は、本発明の一実施形態であるエレベータに適用される操作盤の構成を示す図である。
図3図3は、図2に示す非接触検出部と同検出部の検出領域と、手摺の位置関係を示す模式図である。
図4図4は、本発明の一実施形態であるエレベータに適用される手摺検出部の構成を示す図である。
図5図5は、本発明の一実施形態であるエレベータに適用される制御ブロック図である。
図6図6は、本発明の一実施形態であるエレベータの制御を示すフロー図である。
図7図7は、本発明の第1変形例であるエレベータの制御を示すフロー図である。
図8図8は、本発明の第2変形例であるエレベータの制御を示すフロー図である。
図9図9は、本発明の第3変形例であるエレベータの手摺検出部の構成を示す図である。
図10図10は、本発明の第4変形例であるエレベータの手摺検出部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態であるエレベータ10について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、図中に示す「X」は扉22Aに垂直な水平方向Xを示し、「Y」は上下方向Yを示し、「Z」は水平方向X,および上下方向Yに各々直交する水平方向Zを示すものとする。
【0013】
1.構成
図1は、本発明の一実施形態であるエレベータの乗りかご内の構成を示す図である。
【0014】
図1に示すように、エレベータ10の乗りかご22は、乗降口27と、乗降口27に隣接する袖壁22-1と、側壁26と、背面25と、を備える。また、乗降口27には、扉22Aが設置される。さらに、側壁26には、操作盤28と、手摺29が設けられている。手摺29は、操作盤28の前方(図1において水平方向Zの紙面手前側)に位置し、側壁26と手摺29は、接合部24で接合されている。
【0015】
なお、操作盤28や手摺29は、このような構成に限られず、背面25や袖壁22-1に設けられてもよい。要は、乗りかご22内の壁面に設けられればよい。
【0016】
エレベータ10の利用者は、操作盤28を操作することにより、乗りかご22の行先階を登録する。また、エレベータ10の利用者は、操作盤28を操作することにより、扉22Aの戸開閉に関する操作を入力する。
【0017】
また、手摺29の接合部24には、手摺29が使用されていることを検出する、手摺検出部34が設けられている。ここで、「手摺29が使用されていること」とは、利用者が手摺29を握ったことだけでなく、例えば、利用者が手摺29にもたれた場合など、手摺29に利用者の体の一部が触れたことを含む。なお、本実施形態における手摺検出部34の詳細は、後述する。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態であるエレベータに適用される操作盤の構成を示す図である。
【0019】
図2に示すように、操作盤28は、かご22の行先階を決定する入力操作を行う機能を有する行先階操作部30が設けられている。行先階操作部30は、複数の非接触検出部32A,32B,32C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は非接触検出部「32」と表記)が水平方向Xに沿って配置される。非接触検出部32は行先階(呼び)を登録するための入力操作を行う機能を有する。
【0020】
また、操作盤28には、非接触による操作を受けつけたことを利用者に報知する報知部33A,33B,33C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は報知部「33」と表記)を有する。より具体的には、図2に示すように、報知部33A,33B,33C,…は、行先階を示す数字の形をした透光部が設けられており、内部に設けられた不図示のランプが点灯することによって発光可能に構成される。非接触検出部32が手をかざす動作などの操作を検出することにより、後述する制御に応じて、報知部33が点灯又は点滅するように構成される。
【0021】
非接触検出部32には矩形状の孔が設けられ、各孔の奥側には、投光器と受光器が一体になった反射型光電センサがそれぞれ格納される。反射型光電センサは、投光器から光を照射し、受光器が受光する物体からの反射光の受光量の変化に基づいて物体の有無を検出する。また、各矩形孔は、透光性を有する保護プレート36A,36B,36C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は保護プレート「36」と表記)によって各々覆われている。なお、非接触検出部32はこのような構成に限られず、他の非接触操作を検出する装置、例えば超音波センサや、静電容量センサ、距離センサにより構成されてもよい。
【0022】
本実施形態では、受光器側の受光量(センサの感度)を調整し、予め設定されている検出領域Pの物体を検出可能に構成されている。ここで、図3は、非接触検出部32と検出領域Pと、手摺29の位置関係を示す模式図である。図3では、非接触検出部32、検出領域P、手摺29以外の構成については適宜省略して示している。また、図3では、ハッチングを付して検出領域Pを図示している。
【0023】
図3に示すように、検出領域Pは、非接触検出部32から水平方向Zに第1所定距離L1だけ離れた位置から水平方向Zに第2所定距離L2だけ離れた位置までを含む空間領域に設定される。
【0024】
第1所定距離L1としては、2cm≦L1≦3cmとなるように設定するのが好ましい。これにより、視覚障がいのある利用者が操作盤28の位置を手探りで探すような場合や利用者が不意に非接触検出部32に触れてしまうような場合において、利用者の指などに非接触検出部32が反応して誤って操作されるのを抑制できる。
【0025】
また、第2所定距離L2としては、4cm≦L2≦10cmとなるように設定するのが好ましい。これにより、検出領域Pが操作盤28付近に限られるため、乗りかご22内が混雑しているときなどに利用者の身体の一部や持ち物などを非接触検出部32が誤検知し難くできる。この結果、乗りかご22内が混雑しているときなどに利用者の身体の一部や持ち物などが非接触検出部32に近接し、誤って操作されるのを抑制できる。
【0026】
なお、検出領域Pはこのような構成に限られず、例えば、非接触検出部32から水平方向Zに第2所定距離L2だけ離れた位置までの空間領域に設定されてもよい。
【0027】
図2に示すように、検出領域Pに利用者が手Uをかざすなどの所定操作を行うことで、非接触検出部32が予め設定された時間(例えば、0.3秒)以上の遮光を検知すると、後述する制御装置46に検出信号が送信され、操作が登録される。
【0028】
なお、非接触検出部32は、このような構成に限られず、例えば、非接触検出部32が遮光を検知すると、直ちに制御装置46に検出信号が送信される、という構成でもよい。
【0029】
図3に戻り、本実施形態においては、検出領域Pは、水平方向Zについて、手摺29よりも乗りかご22の内室側(図3において水平方向Zの右側)の領域を含まない、という構成である。乗りかご22に乗車する利用者は、手摺29を手で握る場合や、手摺29にもたれる場合等、手摺29が使用される場合を除けば、手摺29があることで、手摺29より内室側に位置する。よって、これにより、利用者が非接触検出部32の検出領域Pに意図せず近接することを抑制することができ、非接触により誤って操作が登録されることを抑制することができる。
【0030】
ここで、手摺29は、操作盤28の前方に位置する、という構成であるが、操作盤28が設置された側壁26に対向する側壁(不図示)にも手摺が別途設置されている場合には、検出領域Pは、水平方向Zについて、操作盤28に最も近い手摺29よりも乗りかご22の内室側の領域を含まない、という構成であればよい。
【0031】
報知部33は、非接触検出部32に手をかざす動作などの操作により、操作が受け付けられると、点灯又は点滅するように構成される。このような構成によれば、非接触検出部32を介して操作を行った際に、操作が受け付けられているか否かを利用者が目視確認することができる。図2では、報知部33Bにハッチングを付して点灯状態を模式的に示している。
【0032】
行先階操作部30の下部には、かご扉22Aの開閉操作を行う開釦41と閉釦42が並設されている。また、外部との連絡を行うための連絡釦43が設けられている。なお、これらの各釦41~43は、何れも、従来公知の押釦であるが、非接触検出部32と同様の構成を採用することとしても構わない。
【0033】
操作盤28は、さらに、表示部44を有する。表示部44は、例えば、液晶ディスプレイからなり、例えば、乗りかご22の移動方向や乗りかご22の通過階、その他乗客に報知する情報を表示する。表示部44は、行先階操作部30の上方に設けられている。操作盤28には、また、音声を出力するスピーカー(不図示)が内蔵されている。
【0034】
図4は、本発明の一実施形態であるエレベータに適用される手摺検出部の構成を示す図である。
【0035】
図4に示すように、手摺29と側壁26の接合部24は、ヒンジ24Aが設けられ、手摺29がヒンジ24Aを中心に回動可能に接合されている。また、手摺29と側壁26との間には、手摺検出部34として、荷重センサ34Aが設けられる。
【0036】
荷重センサ34Aは、例えばロードセルで構成され、圧縮されることで電圧変化が生じる。利用者が手摺29を使用すると、手摺29に荷重が生じ、手摺29がヒンジ24Aを中心に回動することで、荷重センサ34Aが圧縮され、電圧変化が生じ、手摺29が使用されていることを検出することができる。これにより、後述する制御によって、手摺検出部34が検出されているか否かに基づいて、非接触による操作を受け付けることができる。
【0037】
なお、接合部24は、このような構成に限られず、例えば、手摺29と側壁26とが荷重センサ34Aを介して結合され、荷重センサ34Aが変形することで電圧変化が生じる、という構成でもよい。要は、手摺検出部34は、接合部24に配置される荷重センサ34Aにより構成されればよい。
【0038】
また、手摺29にかかる荷重に基づいて手摺29が使用されていることを検出することができるため、例えば、手摺29にかかる荷重に判定閾値を設け、当該荷重が判定閾値を超えたことをもって、手摺29が使用されていると判定することができる。これにより、手摺29が使用されている状態と、わずかに手摺29に触れた状態とを容易に判別することができる。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態であるエレベータに適用される制御ブロック図である。
【0040】
制御装置46は、エレベータ10の運転制御全般を統括して行うコンピュータであり、CPUなどの制御部46aと、メモリ、HDDなどの記憶部46bを備える。記憶部46bには、例えば、巻上機(不図示)の駆動制御、行先階の登録制御などを行うための各種制御プログラムが格納されている。制御部46aが、これらのプログラムを読み出して実行することにより、制御装置46によるエレベータ10の円滑な運転が実現される。
【0041】
本実施形態のエレベータ10では、後述する操作登録制御も制御装置46によって行われる。制御装置46の記憶部46bには、操作登録制御プログラムが格納されており、制御部46aが当該制御プログラムを読み出し、後述する制御に従って操作(例えば、行先階を登録する操作)を受け付け、記憶部46bに登録する。
【0042】
乗りかご22に設けられる操作盤28は、制御装置46と電気的に接続されている。操作盤28は、非接触検出部32、報知部33を備える。
【0043】
非接触検出部32は、制御部46aに操作検出信号を送信し、報知部33は、制御部46aからの指令に基づいて、点灯又は点滅する。
【0044】
また、乗りかご22に設けられる手摺検出部34は、制御装置46と電気的に接続されている。手摺検出部34は、制御部46aに検出信号を送信する。
【0045】
2.動作
図6は、本発明の一実施形態であるエレベータの制御を示すフロー図である。以下、エレベータ10における制御について、図6を参照しながら説明する。
【0046】
図6に示すフローは、本実施形態においては、非接触検出部32が操作されたことを検出すると、開始し(ステップS1)、ステップS2へ進む。
【0047】
ここで、「非接触検出部32が操作された」とは、非接触検出部32が予め設定された時間(例えば、0.3秒)以上、遮光された状態が継続したことを指す。なお、このような構成に限られず、例えば、非接触検出部32が遮光されたことをもって、「非接触検出部32が操作された」としてもよい。また、複数の非接触検出部32(例えば、非接触検出部32A,32B)が遮光されている場合においては、誤って操作が登録されることを抑制するため、図5に示すフローを開始しないこととしてもよい。
【0048】
図5に戻り、制御部46aは、手摺検出部34が手摺29の使用を検出しているか否かを判定する(ステップS2)。手摺検出部34が手摺29の使用を検出していない場合(ステップS2でNO)は、ステップS1において検出した非接触検出部32の操作を受け付け(ステップS3)、フローを終了する。
【0049】
ここで、「非接触検出部32の操作を受け付ける」とは、本実施形態においては、非接触検出部32に対応する階を行先階として登録することである。また、操作を受け付けた非接触検出部32に対応する階が、既に行先階として登録されている場合には、「非接触検出部32の操作を受け付ける」とは、既に登録されている行先階を解除することとしてもよい。
【0050】
さらに、ステップS3において、非接触検出部32の操作を受け付けたときは、対応する報知部33が消灯している場合には、点灯又は点滅してもよいし、対応する報知部が点灯している場合には、消灯してもよい。これにより、接触検出部31の操作が受け付けられたことを、利用者に報知することができる。
【0051】
他方、ステップS2において、手摺検出部34が手摺29の使用を検出している場合(ステップS2でYES)は、ステップS1において検出した非接触検出部32の操作を受け付けずに(ステップS4)、フローを終了する。
【0052】
ここで、手摺検出部34が所定時間(例えば、0.3秒)以上、検出信号を継続して制御部46aに送信したことをもって、「手摺29の使用を検出している」としてもよい。
【0053】
また、ステップS4において、非接触検出部32の操作を受け付けない場合には、対応する報知部33を所定時間(例えば、3秒)だけ点滅させ、その後、点滅前の状態(例えば、消灯状態)に戻してもよい。これにより、非接触検出部32の操作が受け付けられなかったことを、利用者に報知することができる。
【0054】
さらに、ステップS4において、非接触検出部32の操作を受け付けない場合の報知は、このような構成に限られず、例えば、報知部33を所定時間(例えば、3秒)だけ、操作を受け付けた場合と異なる点灯色で点灯させてもよいし、操作が受け付けられなかったことを示すブザー音を、スピーカーから鳴動させてもよい。さらにまた、表示部44やスピーカーを用いて、操作が受け付けられなかった旨を報知してもよい。
【0055】
なお、ステップS4により非接触検出部32の操作が受け付けられない状態が所定時間(例えば、10秒)継続した場合には、スピーカー(不図示)からアナウンスを放送することによって報知してもよい。これにより、操作盤28を利用したい利用者のために、例えば、手摺29にもたれている他の利用者に、もたれるのを止めるように報知することで、利便性を高めることができる。
【0056】
3.本実施形態のまとめ
以上により、本実施形態に係るエレベータ10は、乗りかご22の側壁26(壁面)に設置され、エレベータ10の操作を非接触で検出する非接触検出部32を有する操作盤28と、操作盤28の前方に配置される手摺29と、非接触検出部32の検出結果に基づいて操作を受け付ける制御部46aと、を備え、非接触検出部32の検出範囲Pは、水平方向Zについて、手摺29よりも乗りかご22の内室側の領域を含まない。
【0057】
手摺29があることで、乗りかご22に乗車する利用者は、手摺29より内室側に位置することから、本実施形態の構成によれば、利用者が非接触検出部32の検出領域Pに意図せず近接することを抑制することができ、非接触により誤って操作が登録されることを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態に係るエレベータ10は、手摺29はさらに、手摺29が使用されていることを検出する、手摺検出部34を備え、制御部46aは、非接触検出部32で操作を検出した場合において、手摺検出部34が検出されないことを条件に、操作を受け付ける、という構成である。
【0059】
本実施形態の構成によれば、非接触検出部32で操作を検出したときであっても、例えば、手摺29を手で握る場合や、手摺29にもたれる場合等、手摺29が使用される場合が考えられ、このような場合に非接触検出部32の操作を受け付けない構成とすることで、誤って操作が登録されることを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態に係るエレベータ10は、手摺29は、壁面との接合部24を有し、手摺検出部34は、接合部24に配置される荷重センサ34Aにより構成される、という構成である。
【0061】
本実施形態の構成によれば、手摺29にかかる荷重に基づいて手摺29が使用されていることを検出することができるため、手摺29が使用されている状態と、わずかに手摺29に触れた状態とを容易に判別することができる。
【0062】
なお、エレベータ10は、上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、修正、又は変形が可能である。例えば、下記の変形例の構成を選択し、上記の実施形態の構成に採用することも可能である。
【0063】
4.変形例
(1)上記の実施例に係るエレベータ10においては、制御部46aは、非接触検出部32で操作を検出した場合において、手摺検出部34が検出されないことを条件に、操作を受け付ける、という構成である。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。
【0064】
例えば、第1変形例に係るエレベータ10は、制御部46aは、非接触検出部32で操作を検出した場合において、さらに、操作の検出開始前の所定時間内に手摺検出部34が検出されないことを条件に、操作を受け付ける、という構成でもよい。
【0065】
図7は、本発明の第1変形例であるエレベータの制御を示すフロー図である。以下、エレベータ10における制御について、図7を参照しながら説明する。
【0066】
図7に示すフローは、第1変形例においては、非接触検出部32が操作されたことを検出すると、開始し(ステップS11)、ステップS12へ進む。
【0067】
制御部46aは、手摺検出部34が手摺29の使用を検出しているか否かを判定する(ステップS12)。手摺検出部34が手摺29の使用を検出している場合(ステップS12でYES)は、ステップS11において検出した非接触検出部32の操作を受け付けずに(ステップS15)、フローを終了する。
【0068】
他方、ステップS12において、手摺検出部34が手摺29の使用を検出していない場合(ステップS12でNO)は、ステップS13に進む。
【0069】
次に、制御部46aは、操作の検出開始前の所定時間(例えば、1秒)内に、手摺検出部34が手摺29の使用を検出しているか否かを判定する(ステップS13)。操作の検出開始前の所定時間内に、手摺検出部34が手摺29の使用を検出していない場合(ステップS13でNO)は、ステップS11において検出した非接触検出部32の操作を受け付け(ステップS14)、フローを終了する。
【0070】
他方、ステップS13において、操作の検出開始前の所定時間内に、手摺検出部34が手摺29の使用を検出している場合(ステップS13でYES)は、ステップS11において検出した非接触検出部32の操作を受け付けずに(ステップS15)、フローを終了する。
【0071】
例えば、利用者が手摺29の付近にもたれた状態から、手摺29の付近を離れる時に、非接触検出部32は検出しているが、手摺検出部34が検出していない状態が生じる。第1変形例の構成によれば、手摺29の付近を離れる前に手摺検出部34が検出していれば、非接触検出部32の操作を受け付けないことから、誤って操作が登録されることを抑制することができる。
【0072】
(2)また、例えば、第2変形例に係るエレベータ10は、制御部46aは、非接触検出部32で操作を検出した場合において、さらに、操作の検出後の所定時間内に手摺検出部34が検出されないことを条件に、操作を受け付ける、という構成でもよい。
【0073】
図8は、本発明の第2変形例であるエレベータの制御を示すフロー図である。以下、エレベータ10における制御について、図8を参照しながら説明する。
【0074】
図8に示すフローは、第2変形例においては、非接触検出部32が操作されたことを検出すると、開始し(ステップS21)、ステップS22へ進む。
【0075】
制御部46aは、手摺検出部34が手摺29の使用を検出しているか否かを判定する(ステップS22)。手摺検出部34が手摺29の使用を検出していない場合(ステップS22でNO)は、ステップS23に進む。
【0076】
次に、制御部46aは、ステップS21の操作の検出後、所定時間(例えば、1秒)が経過したか否かを判定する(ステップS23)。操作の検出後、所定時間が経過していない場合(ステップS23でNO)は、ステップS22へ戻る。また、操作の検出後、所定時間が経過した場合(ステップS23でYES)は、ステップS21において検出した非接触検出部32の操作を受け付け(ステップS24)、フローを終了する。
【0077】
他方、ステップS22において、手摺検出部34が手摺29の使用を検出している場合(ステップS22でYES)は、ステップS21において検出した非接触検出部32の操作を受け付けずに(ステップS25)、フローを終了する。
【0078】
例えば、利用者が手摺29の付近にもたれようとして近づいた場合に、非接触検出部32が先に検出し、後から手摺検出部34が検出する状態が生じる。第2変形例の構成によれば、非接触検出部32が検出した後の所定時間内に手摺検出部34が検出すれば、非接触検出部32の操作を受け付けないことから、誤って操作が登録されることを抑制することができる。
【0079】
(3)また、上記の実施例に係るエレベータ10においては、手摺29は、壁面との接合部24を有し、手摺検出部34は、接合部24に配置される荷重センサ34Aにより構成される、という構成である。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。
【0080】
例えば、第3変形例に係るエレベータ10は、手摺検出部34は、手摺29への接触を検出する、手摺接触検出部34Bにより構成される、という構成でもよい。
【0081】
具体的には、手摺29は、手摺29の表面に人又は物が接触したことを検出する手摺接触検出部34Bが設けられる。ここで、手摺接触検出部34Bは、静電容量方式のタッチセンサにより構成されるが、このような構成に限られず、例えば圧力センサや、温度センサにより構成されてもよい。
【0082】
また、手摺接触検出部34Bは、手摺29の一部、例えば、図9でハッチングを付して示すように、利用者が手摺29にもたれた場合に操作盤28に近接する部分のみに設けられる、という構成でもよい。
【0083】
これにより、操作盤28から十分離れた位置で利用者が手摺29と接触していた場合に、操作盤28の非接触操作が受け付けられない事態を抑制することができる。
【0084】
(4)また、例えば、第4変形例に係るエレベータ10は、手摺検出部34は、接合部24に配置されるスイッチ34Cにより構成される、という構成でもよい。
【0085】
具体的には、図10に示すように、手摺29と側壁26の接合部24は、ヒンジ24Aが設けられ、手摺29がヒンジ24Aを中心に回動可能に接合されている。また、手摺29と側壁26との間には、ゴム24Bとスイッチ34Cが設けられる。
【0086】
利用者が手摺29を使用すると、手摺29に荷重が生じ、手摺29がヒンジ24Aを中心に回動することで、ゴム24Bが圧縮される。ゴム24Bの圧縮により、手摺29と側壁26との間の距離が短くなることで、スイッチ34Cがオンし、これにより、手摺29が使用されていることを検出することができる。
【0087】
(5)また、上記の実施例に係るエレベータ10においては、報知部33は、行先階を示す数字の形をした透光部が設けられており、内部に設けられた不図示のランプが点灯することによって発光可能に構成される。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。
【0088】
例えば、報知部33として、表示部44を利用して、文字やイラスト、色などを表示することによって報知することができる。また、報知部33は、スピーカー又はブザーであって、音声や「ピッ、ピッ、・・・」という断続音、「ピ―」という連続音などを発することによって報知することができる。さらにまた、報知部33は、ランプ、表示部44、スピーカー、ブザーの種々の組合せにより構成することができる。
【0089】
(6)また、手摺検出部34が検出されている間は、報知部33を、操作を受け付けた場合と異なる点灯色で点灯させてもよいし、表示部44やスピーカーを用いて、非接触による操作が受け付けられない旨を報知してもよい。
【0090】
これにより、利用者は、非接触検出部32への操作が受け付けられないことが、手摺29の使用によって生じていることを認識することができる。
【0091】
(7)また、上記の実施例に係るエレベータ10においては、行先階操作部30は、複数の非接触検出部32A,32B,32C,…によって構成される。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。例えば、それぞれの行先階に対応して、公知の押釦が併設されてもよい。さらに、非接触検出部32と押釦とが、一体で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0092】
10 エレベータ
22 乗りかご
22A 扉
24 接合部
27 乗降口
28 操作盤
29 手摺
30 行先階操作部
32,32A,32B,32C 非接触検出部
34 手摺検出部
34A 荷重センサ
34B 手摺接触検出部
41 開釦
42 閉釦
43 連絡釦
46 制御装置
L1 第1距離
L2 第2距離
P 検出領域
U 手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごの壁面に設置され、エレベータの操作を非接触で検出する非接触検出部を有する操作盤と、
前記操作盤の前方に配置される手摺と、
前記非接触検出部の検出結果に基づいて前記操作を受け付ける制御部と、を備え、
前記非接触検出部の検出範囲は、水平方向について、前記手摺よりも前記乗りかごの内室側の領域を含まない、
ことを特徴とする、エレベータ。
【請求項2】
前記非接触検出部の検出範囲は、水平方向について、前記手摺よりも前記壁面側の領域のみから成る、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記手摺はさらに、前記手摺が使用されていることを検出する、手摺検出部を備え、
前記制御部は、前記非接触検出部で前記操作を検出した場合において、前記手摺検出部が検出されないことを条件に、前記操作を受け付ける、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記制御部は、前記非接触検出部で前記操作を検出した場合において、さらに、前記操作の検出開始前の所定時間内に前記手摺検出部が検出されないことを条件に、前記操作を受け付ける、
ことを特徴とする、請求項に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記制御部は、前記非接触検出部で前記操作を検出した場合において、さらに、前記操作の検出後の所定時間内に前記手摺検出部が検出されないことを条件に、前記操作を受け付ける、
ことを特徴とする、請求項又はに記載のエレベータ。
【請求項6】
前記手摺は、前記壁面との接合部を有し、
前記手摺検出部は、前記接合部に配置される荷重センサにより構成される、
ことを特徴とする、請求項乃至に記載のエレベータ。
【請求項7】
前記手摺検出部は、前記手摺への接触を検出する、手摺接触検出部により構成される、
ことを特徴とする、請求項乃至に記載のエレベータ。