(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035514
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】遠隔制御システム、制御装置、モバイル装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B60R 25/24 20130101AFI20230306BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B60R25/24
E05B49/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142417
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 了也
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】小川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岩井 浩紀
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250BB65
2E250CC21
2E250DD06
2E250FF27
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
2E250JJ46
2E250KK03
2E250LL00
2E250LL01
2E250QQ02
2E250SS01
(57)【要約】
【課題】モバイル装置を用いて被制御装置を遠隔制御する遠隔制御システムの利便性を高める。
【解決手段】モバイル装置11は、人物20による携帯が可能である。第一通信装置131は、モバイル装置11から送信される電波を受信可能である。第二通信装置132は、所定の位置に配置されたモバイル装置11から送信される電波を受信可能である。制御装置12は、第一通信装置131による電波の受信強度が閾値を上回るかに基づいて被制御装置31の動作を制御し、第二通信装置132による電波の受信強度に基づいて当該閾値とモバイル装置11における電波の送信強度の少なくとも一方を変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物による携帯が可能であるモバイル装置と、
前記モバイル装置から送信される電波を受信可能である第一通信装置と、
所定の位置に配置された前記モバイル装置から送信される電波を受信可能である第二通信装置と、
前記第一通信装置による前記電波の受信強度が閾値を上回るかに基づいて被制御装置の動作を制御し、前記第二通信装置による前記電波の受信強度に基づいて当該閾値と前記モバイル装置における前記電波の送信強度の少なくとも一方を変更する制御装置と、
を備えている、
遠隔制御システム。
【請求項2】
前記閾値は、第一被制御動作に関連付けられた第一閾値と第二被制御動作に関連付けられた第二閾値を含んでおり、
前記制御装置は、前記モバイル装置からの指示に基づいて、前記第一閾値と前記第二閾値の少なくとも一方を変更可能である、
請求項1に記載の遠隔制御システム。
【請求項3】
前記モバイル装置は、前記閾値に関連付けられた領域を前記人物に対して可視化する表示部を備えている、
請求項1または2に記載の遠隔制御システム。
【請求項4】
前記モバイル装置に加わる加速度を検出する加速度センサが前記モバイル装置に搭載されており、
前記制御装置は、検出された前記加速度が閾値を下回る場合に前記閾値と前記送信強度の少なくとも一方を変更する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の遠隔制御システム。
【請求項5】
前記第二通信装置は、近接無線通信規格または無線給電規格に基づいて動作するように構成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の遠隔制御システム。
【請求項6】
前記第一通信装置と前記第二通信装置は、移動体に搭載されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の遠隔制御システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記移動体に搭載されている、
請求項6に記載の遠隔制御システム。
【請求項8】
人物による携帯が可能であるモバイル装置から送信された電波の第一通信装置による受信強度に対応する第一データを取得する第一受付部と、
所定の位置に配置された前記モバイル装置から送信された電波の第二通信装置による受信強度に対応する第二データを取得する第二受付部と、
前記第一データに対応する前記電波の受信強度が閾値を上回るかに基づいて被制御装置の動作を制御し、前記第二データに基づいて当該閾値と前記モバイル装置における前記電波の送信強度の少なくとも一方を変更する処理部と、
を備えている、
制御装置。
【請求項9】
制御装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置は、
ユーザによる携帯が可能であるモバイル装置から送信された電波の第一通信装置による受信強度に対応する第一データを取得し、
所定の位置に配置された前記モバイル装置から送信された電波の第二通信装置による受信強度に対応する第二データを取得し、
前記第一データに対応する前記電波の受信強度が閾値を上回るかに基づいて被制御装置の動作を制御し、
前記第二データに基づいて当該閾値と前記モバイル装置における前記電波の送信強度の少なくとも一方を変更する、
コンピュータプログラム。
【請求項10】
人物により携帯が可能であるモバイル装置であって、
電波を送信可能である送信部と、
前記送信部から送信された前記電波への応答として被制御装置の動作を制御する制御装置から送信される指示に基づいて、前記電波の送信強度を変更する処理部と、
を備えている、
モバイル装置。
【請求項11】
人物により携帯が可能であるモバイル装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記モバイル装置は、
電波を送信し、
前記電波への応答として被制御装置の動作を制御する制御装置から送信される指示に基づいて、前記電波の送信強度を変更する、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物による携帯が可能なモバイル装置を用いて被制御装置を遠隔制御する遠隔制御システムに関連する。本発明は、当該被制御装置の動作を制御する制御装置、および当該モバイル装置にも関連する。本発明は、当該制御装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。本発明は、当該モバイル装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、遠隔制御システムの一例として認証システムを開示している。当該システムにおいては、被制御装置の一例としての車両の施錠装置の動作を制御する制御装置と人物により携帯可能であるモバイル装置の一例としてのキーとの間で、電波による通信を通じて認証が行なわれる。認証が成立すると、当該車両のドアの施錠が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、モバイル装置を用いて被制御装置を遠隔制御する遠隔制御システムの利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための一態様は、認証システムであって、
人物による携帯が可能であるモバイル装置と、
前記モバイル装置から送信される電波を受信可能である第一通信装置と、
所定の位置に配置された前記モバイル装置から送信される電波を受信可能である第二通信装置と、
前記第一通信装置による前記電波の受信強度が閾値を上回るかに基づいて被制御装置の動作を制御し、前記第二通信装置による前記電波の受信強度に基づいて当該閾値と前記モバイル装置における前記電波の送信強度の少なくとも一方を変更する制御装置と、
を備えている。
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、制御装置であって、
人物による携帯が可能であるモバイル装置から送信された電波の第一通信装置による受信強度に対応する第一データを取得する第一受付部と、
所定の位置に配置された前記モバイル装置から送信された電波の第二通信装置による受信強度に対応する第二データを取得する第二受付部と、
前記第一データに対応する前記電波の受信強度が閾値を上回るかに基づいて被制御装置の動作を制御し、前記第二データに基づいて当該閾値と前記モバイル装置における前記電波の送信強度の少なくとも一方を変更する処理部と、
を備えている。
【0007】
上記の目的を達成するための一態様は、制御装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置は、
ユーザによる携帯が可能であるモバイル装置から送信された電波の第一通信装置による受信強度に対応する第一データを取得し、
所定の位置に配置された前記モバイル装置から送信された電波の第二通信装置による受信強度に対応する第二データを取得し、
前記第一データに対応する前記電波の受信強度が閾値を上回るかに基づいて被制御装置の動作を制御し、
前記第二データに基づいて当該閾値と前記モバイル装置における前記電波の送信強度の少なくとも一方を変更する。
【0008】
上記の目的を達成するための一態様は、人物により携帯が可能であるモバイル装置であって、
電波を送信可能である送信部と、
前記送信部から送信された前記電波への応答として被制御装置の動作を制御する制御装置から送信される指示に基づいて、前記電波の送信強度を変更する処理部と、
を備えている。
【0009】
上記の目的を達成するための一態様は、人物により携帯が可能であるモバイル装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記モバイル装置は、
電波を送信し、
前記電波への応答として被制御装置の動作を制御する制御装置から送信される指示に基づいて、前記電波の送信強度を変更する。
【0010】
モバイル装置からの電波の送信強度は、装置の機種や使用履歴などに応じて個体間で相違しうる。この送信強度のばらつきに伴い、特定される第一通信装置からモバイル装置までの距離が変化しうる。上記の各態様に係る構成によれば、第二通信装置からの距離を特定可能な位置から送信された電波の受信強度が取得されうる。したがって、モバイル装置ごとの電波の送信強度のばらつきを検出できる。モバイル装置に電波の送信強度を、当該ばらつきを解消するように変更させることにより、あるいは、制御装置において用いられる第一通信装置における電波の受信強度に係る閾値を、当該ばらつきを補うように変更することにより、第一通信装置に対して所望の位置にあるモバイル装置を被制御装置の動作制御に関連付けることができる。
【0011】
これにより、モバイル装置の機種や使用履歴などに伴う電波の送信強度のばらつきに起因する被制御装置の遠隔制御の正確性の低下を抑制できる。したがって、モバイル装置を用いて被制御装置を遠隔制御する遠隔制御システムの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る認証システムの構成を例示している。
【
図2】
図1の認証システムの機能構成を例示している。
【
図3】
図1のモバイル装置により実行される処理の流れの一例を示している。
【
図4】
図1の制御装置により実行される処理の流れの一例を示している。
【
図5】
図1の制御装置により実行される処理の流れの別例を示している。
【
図6】
図2の表示部に表示される画像の一例を示している。
【
図7】
図2の表示部に表示される画像の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。
図1は、一実施形態に係る認証システム10の構成を例示している。認証システム10は、遠隔制御システムの一例である。
【0014】
認証システム10は、モバイル装置11を含んでいる。モバイル装置11は、人物20による携帯が可能な装置である。認証システム10は、例えば、モバイル装置11を認証することにより、モバイル装置11を携帯している人物20による車両30の利用を許可するために使用されうる。車両30の形状は、例示に過ぎない。車両30は、移動体の一例である。
【0015】
認証システム10は、制御装置12を含んでいる。本例においては、制御装置12は、車両30に搭載されている。制御装置12は、モバイル装置11を認証する認証処理に基づいて、車両30に搭載された被制御装置31の動作を制御するように構成されている。
【0016】
図1においては、被制御装置31として施解錠装置311とイグニッション電源312が例示されている。施解錠装置311は、車両30のドアを施解錠する装置である。イグニッション電源312は、車両30のエンジンを始動させるための電力を供給する装置である。エンジンは、内燃機関と電動モータの少なくとも一方を備えうる。
【0017】
認証システム10は、第一通信装置131を含んでいる。第一通信装置131は、車両30に搭載されており、無線通信領域Aを形成可能なアンテナを備えている。無線通信領域Aは、モバイル装置11との短距離無線通信を行なうことが可能な領域である。
【0018】
本明細書において用いられる「短距離無線通信」という語は、標準規格であるIEEE802.15またはIEEE802.11に準拠しつつ電波を用いて行なわれる非接触通信を意味する。短距離無線通信を実行可能な技術としては、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(登録商標)、超広帯域無線通信(Ultra Wide Band; UWB)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などが挙げられる。本明細書における「短距離無線通信」は、電磁誘導による結合を通じて情報の送信を行なう非接触通信である「近接無線通信」とは区別される。近接無線通信を実行可能な技術としては、NFC(Near Field Communication)やRF-IDやなどが挙げられる。
【0019】
本明細書において用いられる「信号を電波で送信する」という表現は、上記の短距離無線通信規格において定められる周波数あるいは周波数帯の電波で信号を無線送信することを意味する。
【0020】
人物20に携帯されたモバイル装置11が無線通信領域A内に進入すると、モバイル装置11と制御装置12との間で認証処理が行なわれる。
図2から
図4を参照しつつ、認証処理の一例について説明する。
【0021】
図2に例示されるように、第一通信装置131は、トリガ信号TRを電波で送信するように構成されている。トリガ信号TRは、所定の時間間隔をおいて断続的に送信されてもよいし、時間連続的に送信されてもよい。
【0022】
モバイル装置11は、受信部111を備えている。受信部111は、第一通信装置131から電波で送信されたトリガ信号TRを受信可能なアンテナを備えている。
【0023】
モバイル装置11は、処理部112と送信部113を備えている。処理部112は、受信部111により受信されたトリガ信号TRの強度が閾値を上回る場合に、送信部113から確認信号AKを電波で送信するように構成されている。当該閾値は、無線通信領域Aの大きさに対応している。
【0024】
すなわち、送信部113は、確認信号AKを送信可能なアンテナを備えている。他方、第一通信装置131は、確認信号AKを受信可能なアンテナを備えている。
【0025】
制御装置12は、第一受付部121を備えている。第一受付部121は、第一通信装置131における確認信号AKの受信強度に対応する第一データD1を取得するインターフェースとして構成されている。第一通信装置131における確認信号AKの受信強度がアナログデータの形態で提供される場合、第一受付部121は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0026】
制御装置12は、処理部122を備えている。処理部122は、第一データD1に基づいて、第一通信装置131に対するモバイル装置11の位置を推定できるように構成されている。第一データD1に対応する第一通信装置131における確認信号AKの受信強度がより強いほど、モバイル装置11が第一通信装置131により近い位置にあることが推定される。
【0027】
処理部122は、第一データD1に対応する第一通信装置131における確認信号AKの受信強度が第一閾値It1を上回る場合に、認証処理を開始するように構成されている。例えば、第一閾値It1は、
図1において第一通信装置131から第一距離d1だけ離れた位置にあるモバイル装置11から送信された確認信号AKの受信強度に対応するように定められうる。
【0028】
図2に例示されるように、処理部122は、認証処理が開始されると、第一通信装置131を通じてモバイル装置11へ要求信号RQを電波で送信するように構成されている。要求信号RQは、モバイル装置11に認証情報AIの無線送信を要求する信号である。
【0029】
すなわち、第一通信装置のアンテナは、要求信号RQも送信可能に構成されている。他方、モバイル装置11の受信部111のアンテナは、要求信号RQも受信可能に構成されている。
【0030】
モバイル装置11の処理部112は、要求信号RQへの応答として、送信部113を通じて認証情報AIを電波で送信するように構成されている。認証情報AIは、モバイル装置11と人物20の少なくとも一方を特定しうる情報である。認証情報AIは、アナログデータの形態でもよいし、デジタルデータの形態でもよい。
【0031】
すなわち、送信部113のアンテナは、認証情報AIも送信可能に構成されている。他方、第一通信装置131のアンテナは、認証情報AIも受信可能に構成されている。
【0032】
制御装置12の第一受付部121は、第一通信装置131を通じて認証情報AIも受け付け可能なインターフェースとして構成されている。認証情報AIがアナログデータの形態である場合、第一受付部121は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0033】
制御装置12の処理部122は、不図示の記憶装置に格納された認証情報AIの読み出しまたは参照を行なう処理を実行可能に構成されている。処理部122は、第一受付部121により受け付けられた認証情報AIと、記憶装置に記憶された認証情報AIとの照合を行ない、両者の一致度が閾値を上回る場合に認証を成立させる。
【0034】
制御装置12は、出力部123を備えている。処理部122は、出力部123からの制御信号CSの出力を許容する。制御信号CSは、被制御装置31の動作を制御する信号である。制御信号CSは、デジタル信号でもよいし、アナログ信号でもよい。制御信号CSがアナログ信号である場合、出力部123は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0035】
例えば、制御信号CSは、施解錠装置311に車両30のドアを解錠させる信号でありうる。すなわち、第一通信装置131から第一距離d1未満の位置にあるモバイル装置11が認証されると、当該モバイル装置11を携帯している人物20が車両30のユーザとみなされ、ドアの解錠が許可される。施解錠装置311による車両30のドアの解錠動作は、第一被制御動作の一例である。
【0036】
第一通信装置131における確認信号AKの受信強度に係る閾値は、二つ以上定められうる。例えば、
図1における第一通信装置131から第二距離d2だけ離れた位置にあるモバイル装置11から送信された確認信号AKの受信強度に対応するように第二閾値It2が定められうる。第二距離d2は、第一距離d1よりも短い。よって、第二閾値It2は、第一閾値It1よりも大きい。
【0037】
例えば、第二閾値It2は、イグニッション電源312の動作制御に関連付けられうる。この場合、制御装置12の処理部122は、第一データD1に対応する第一通信装置131における確認信号AKの受信強度が第二閾値It2を上回る場合に、イグニッション電源312を起動する制御信号CSを出力部123から出力するように構成されうる。認証処理は、省略されてもよいし、再度行なわれてもよい。イグニッション電源312の起動は、第二被制御動作の一例である。
【0038】
すなわち、モバイル装置11が第一通信装置131から第二距離d2未満の位置にあることが確認されると、当該モバイル装置11を携帯している人物20による車両30のエンジンの始動が許容される。
【0039】
本例では二つの被制御動作のみを例示したが、第一通信装置131からの距離に応じて三つ以上の被制御動作が定められうる。すなわち、第一通信装置131における確認信号AKの受信強度について三つ以上の閾値が定められうる。他の被制御動作の例としては、施解錠装置311によるドアの施錠、イグニッション電源312の始動禁止、エンジン不停止のまま車両30を離れる行為への警告出力、エンジンの強制停止、空調設備の始動または停止などが挙げられる。
【0040】
図1と
図2に例示されるように、認証システム10は、第二通信装置132を含んでいる。第二通信装置132は、車両30に搭載されており、所定の位置に配置されたモバイル装置11から確認信号AKを受信可能なアンテナを備えている。例えば、当該アンテナは、車両30の車室内に設置されたトレイやホルダ内に配置されうる。人物20は、当該トレイやホルダにモバイル装置11を置くことにより、「所定の位置に配置された」状態を実現できる。
【0041】
第二通信装置132もまた、トリガ信号TRを電波で送信するように構成されている。トリガ信号TRは、常に送信されていてもよいし、人物20による特定の操作に応じて送信されてもよい。「所定の位置」は、モバイル装置11の受信部111におけるトリガ信号TRの受信強度が上記の閾値を上回るように定められている。したがって、所定の位置に配置されたモバイル装置11は、トリガ信号TRを受信すると、直ちに応答として確認信号AKを電波で送信する。第二通信装置132は、確認信号AKを受信可能なアンテナを備えている。
【0042】
制御装置12は、第二受付部124を備えている。第二受付部124は、第二通信装置132における確認信号AKの受信強度に対応する第二データD2を取得するインターフェースとして構成されている。第二通信装置132における確認信号AKの受信強度がアナログデータの形態で提供される場合、第二受付部124は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0043】
制御装置12の処理部122は、第二データD2に対応する第二通信装置132における確認信号AKの受信強度と所定の受信強度との差分が閾値を上回るかを判断するように構成されている。
【0044】
当該差分が閾値を上回ると判断されると、処理部122は、第二通信装置132から強度変更信号ICを電波で送信するように構成されている。強度変更信号ICは、モバイル装置11に確認信号AKの送信強度を変更させる指示を含んでいる。送信強度の変更量は、上記の差分が閾値を上回らなくなるように定められる。
【0045】
すなわち、第二通信装置132のアンテナは、強度変更信号ICも送信可能に構成される。モバイル装置11の受信部111のアンテナは、強度変更信号ICも受信可能に構成される。
【0046】
モバイル装置11の処理部112は、受信部111により受信された強度変更信号ICにより指定される変更量に基づいて、送信部113から送信される確認信号AKの送信強度を変更するように構成される。
【0047】
図3と
図4を参照しつつ、上記のように構成された認証システム10においてモバイル装置11と制御装置12の間で行なわれる処理の流れを説明する。
図3は、モバイル装置11の処理部112により実行される処理の流れを例示している。
図4は、制御装置12の処理部122により実行される処理の流れを例示している。
【0048】
処理部112は、受信部111を通じて受信されたトリガ信号TRの強度が閾値を上回るかを判断する(
図3のSTEP11)。トリガ信号TRの受信強度が閾値を上回ると判断されるまで、当該処理が繰り返される(STEP11においてNO)。トリガ信号TRが第一通信装置131から送信されている場合、モバイル装置11が第一通信装置131にある程度近づくまで当該処理が繰り返される。
【0049】
トリガ信号TRの受信強度が閾値を上回ると判断されると(STEP11においてYES)、処理部112は、送信部113を通じて確認信号AKを電波で送信する(STEP12)。トリガ信号TRが第二通信装置132から送信されている場合、確認信号AKの送信が直ちになされる。
【0050】
制御装置12の処理部122は、第二受付部124を通じて取得された第二データD2に対応する第二通信装置132における確認信号AKの受信強度と所定の受信強度との差分が閾値を上回るかを判断する(
図4のSTEP21)。当該差分が当該閾値を上回っていないと判断されると(STEP21においてNO)、処理は終了する。
【0051】
当該差分が当該閾値を上回っていると判断されると(STEP21においてYES)、処理部122は、当該差分が閾値以下となるために必要な確認信号AKの送信強度の変更量を算出し、当該変更量を情報として含む強度変更信号ICを第二通信装置132から送信する(STEP22)。その後、処理は終了する。
【0052】
モバイル装置11の処理部112は、確認信号AKの送信後、受信部111により強度変更信号ICが受信されたかを判断する(
図3のSTEP13)。受信部111により強度変更信号ICが受信されていないと判断されると(STEP13においてNO)、処理部112は、確認信号AKの送信から所定時間が経過したかを判断する(STEP14)。強度変更信号ICが受信されたと判断されるか所定時間が経過したと判断されるまで、STEP13とSTEP14の処理が繰り返される。強度変更信号ICが受信されずに所定時間が経過したと判断されると(STEP14においてYES)、処理は終了する。
【0053】
受信部111により強度変更信号ICが受信されたと判断されると(STEP13においてYES)、処理部112は、強度変更信号ICにより指定される変更量に基づいて、送信部113から送信される確認信号AKの送信強度を変更し(STEP15)、処理を終了する。
【0054】
モバイル装置11からの確認信号AKの送信強度は、装置の機種や使用履歴などに応じて個体間で相違しうる。この送信強度のばらつきに伴い、特定される第一通信装置131からモバイル装置11までの距離が変化しうる。例えば、
図1に例示されているモバイル装置11の場合、第一通信装置131から第一距離d1の位置から送信された確認信号AKの第一通信装置131における受信強度が第一閾値It1を上回ると説明した。確認信号AKの送信強度がより弱いモバイル装置の場合、例えば第一通信装置131からの距離が第一距離d1よりも短い第三距離d3の位置に至って初めて確認信号AKの第一通信装置131における受信強度が第一閾値It1を上回ることになる。すなわち、本来は第一通信装置131から第一距離d1の位置で施解錠装置311の動作制御が許容されうるところ、確認信号AKの送信強度がより弱いモバイル装置の場合、第一通信装置131から第三距離d3の位置まで接近しなければ、施解錠装置311の動作制御が許容されない。
【0055】
上記の構成によれば、第二通信装置132を通じて所定の位置に配置されたモバイル装置11から電波で送信される確認信号AKの受信強度が取得される。換言すると、第二通信装置132からの距離を特定可能な位置から送信された確認信号AKの受信強度が取得される。したがって、モバイル装置ごとの確認信号AKの送信強度のばらつきを検出できる。このばらつきを解消するようにモバイル装置11に確認信号AKの送信強度を変更させることにより、第一通信装置131に対して所望の位置にあるモバイル装置11を施解錠装置311の動作制御に関連付けることができる。
【0056】
例えば、前述した確認信号AKの送信強度が所定値よりも弱いモバイル装置の場合、第一通信装置131から第一距離d1の位置から送信された確認信号AKの第一通信装置131における受信強度が第一閾値It1を上回る程度まで確認信号AKの送信強度が強められるように、第二通信装置132から送信される強度変更信号ICが構成される。逆に確認信号AKの送信強度が所定値よりも強いモバイル装置の場合、送信強度を弱めさせるように強度変更信号ICが構成される。
【0057】
これにより、モバイル装置11の機種や使用履歴などに伴う確認信号AKの送信強度のばらつきに起因する被制御装置31の遠隔制御の正確性の低下を抑制できる。したがって、モバイル装置11を用いて被制御装置31を遠隔制御する認証システム10の利便性を高めることができる。
【0058】
図4を参照して説明した処理に加えてあるいは代えて、制御装置12の処理部122は、
図5に例示される処理を行ないうる。
【0059】
具体的には、制御装置12の処理部122は、第二受付部124を通じて取得された第二データD2に対応する第二通信装置132における確認信号AKの受信強度と所定の受信強度との差分が閾値を上回ると判断されると(STEP21においてYES)、処理部122は、当該差分に応じて第一閾値It1および第二閾値It2を変更する(STEP32)。
【0060】
例えば、
図1に例示されているモバイル装置11の場合、第一通信装置131から第一距離d1の位置から送信された確認信号AKの第一通信装置131における受信強度が第一閾値It1を上回ると説明した。確認信号AKの送信強度がより弱いモバイル装置の場合、第一通信装置131から第一距離d1の位置から送信された確認信号AKの第一通信装置131における受信強度は、第一閾値It1を下回る値Ioでありうる。すなわち、本来は第一通信装置131から第一距離d1の位置で施解錠装置311の動作制御が許容されうるところ、確認信号AKの送信強度がより弱いモバイル装置の場合、当該位置においては施解錠装置311の動作制御が許容されない。
【0061】
前述したように、上記の構成によれば、モバイル装置ごとの確認信号AKの送信強度のばらつきを検出できる。このばらつきを補うように、制御装置12の処理部122において用いられる第一通信装置131における確認信号AKの受信強度に係る閾値を変更することにより、第一通信装置131に対して所望の位置にあるモバイル装置11を被制御装置31の動作制御に関連付けることができる。
【0062】
例えば、前述した確認信号AKの送信強度が所定値よりも弱いモバイル装置の場合、施解錠装置311の動作制御の可否を判断するために用いられる第一閾値を、It1からIoまで小さくする変更がなされる。すなわち、第一通信装置131における確認信号AKの受信強度が当初の第一閾値It1よりも小さい新たな第一閾値Ioを上回ると施解錠装置311の動作制御が許容されうるように変更がなされる。これにより、第一通信装置131から第一距離d1の位置にある送信強度の弱いモバイル装置から送信された確認信号AKに基づいて、施解錠装置311の動作制御が許容されうる。逆に確認信号AKの送信強度が所定値よりも強いモバイル装置の場合、第一閾値It1を大きくする変更がなされる。
【0063】
このような構成によっても、モバイル装置11の機種や使用履歴などに伴う確認信号AKの送信強度のばらつきに起因する被制御装置31の遠隔制御の正確性の低下を抑制できる。したがって、モバイル装置11を用いて被制御装置31を遠隔制御する認証システム10の利便性を高めることができる。
【0064】
上記の例においては、第一通信装置131における確認信号AKの受信強度に係る第一閾値It1と第二閾値It2がともに変更されている。認証システム10は、モバイル装置11からの指示に基づいて、第一閾値It1と第二閾値It2の少なくとも一方を個別に変更できるように構成されうる。
【0065】
例えば、
図2に例示されるように、モバイル装置11は、表示部114を備えうる。表示部114は、
図6に例示されるように、第一閾値It1に関連付けられた第一無線通信領域A1と第二閾値It2に関連付けられた第二無線通信領域A2とを人物20に対して可視化するように構成されている。
【0066】
図7に例示されるように、人物20は、特定の操作を通じて第一無線通信領域A1と第二無線通信領域A2の少なくとも一方の大きさを変更できる。同図においては、表示部114が人物20によるタッチ操作を受付可能に構成されており、二点鎖線で示される当初の第二無線通信領域A2がタッチ操作を通じて拡大されている例が示されている。この操作は、イグニッション電源312の動作制御の可否判断に用いられる第一通信装置131における確認信号AKの受信強度に係る第二閾値It2を小さくする変更に対応している。これにより、当初よりも第一通信装置131からの距離が離れた位置において、イグニッション電源312の動作制御が許容されうる。
【0067】
この場合、
図3に例示されるように、モバイル装置11の処理部112は、ユーザインターフェースを通じて第一無線通信領域A1と第二無線通信領域A2の少なくとも一方の大きさを変更する操作が入力されたかを判断するように構成される(STEP16)。操作が入力されたと判断されるまで、当該処理が繰り返される(STEP16においてNO)。
【0068】
ユーザインターフェースを通じて第一無線通信領域A1と第二無線通信領域A2の少なくとも一方の大きさを変更する操作が入力されたと判断されると(STEP16においてYES)、処理部112は、送信部113から閾値変更信号TCを電波で送信する(STEP17)。閾値変更信号TCは、入力された操作に対応する第一閾値It1と第二閾値It2の少なくとも一方を制御装置12の処理部122に変更させる指示を含むように構成される。
【0069】
すなわち、
図2に例示されるように、送信部113のアンテナは、閾値変更信号TCも送信可能に構成されうる。閾値変更信号TCは、第一通信装置131によって受信されてもよいし、第二通信装置132によって受信されてもよい。したがって、第一通信装置131のアンテナと第二通信装置132のアンテナの各々は、閾値変更信号TCも受信可能に構成されうる。
【0070】
この場合、
図5に例示されるように、制御装置12の処理部122は、第一通信装置131または第二通信装置132を通じて閾値変更信号TCが受信されたかを判断するように構成される(STEP33)。閾値変更信号TCが受信されたと判断されるまで、当該処理が繰り返される(STEP33においてNO)。
【0071】
第一通信装置131または第二通信装置132を通じて閾値変更信号TCが受信されたと判断されると(STEP33においてYES)、処理部122は、閾値変更信号TCに含まれる指示に基づいて第一閾値It1と第二閾値It2の少なくとも一方を変更する(STEP32)。
【0072】
このような構成によれば、少なくとも一つの被制御装置31の作動条件を人物20の好みや行動態様に応じて変更できる。したがって、人物20による携帯が可能なモバイル装置11を用いる認証システム10の利便性をさらに高めることができる。
【0073】
特にモバイル装置11が被制御装置31の動作制御の可否判断に係る閾値に関連付けられた領域を可視化する表示部114を備える場合、人物20に対してより直感的なユーザインターフェースを提供できる。したがって、人物20による携帯が可能なモバイル装置11を用いる認証システム10の利便性をさらに高めることができる。
【0074】
しかしながら、第一無線通信領域A1と第二無線通信領域A2の少なくとも一方の大きさを変更する操作は、音声指示入力によってなされてもよい。例えば、第一無線通信領域A1と第二無線通信領域A2の少なくとも一方を指定し、「もっと広く/遠く」「もっと狭く/近く」といった音声を入力することにより、領域の大きさの変更がなされうる。
【0075】
図2に例示されるように、モバイル装置11は、加速度センサ115を備えうる。加速度センサ115は、モバイル装置11に加わる加速度に検出するように構成されている。
【0076】
モバイル装置11の処理部112は、加速度センサ115により検出された加速度に基づいて、送信部113から加速度信号ACを電波で送信するように構成されている。加速度信号ACは、検出された加速度の値を示すように構成されうる。
【0077】
すなわち、送信部113のアンテナは、加速度信号ACも送信可能に構成されうる。他方、第二通信装置132のアンテナは、加速度信号ACも受信可能に構成されうる。
【0078】
図4と
図5に例示されるように、制御装置12の処理部122は、第二通信装置132により受信された加速度信号ACが示す加速度の値が閾値を下回るかを判断するように構成されうる(STEP23)。加速度の値が閾値を下回ると判断されるまで、当該処理が繰り返される(STEP23においてNO)。
【0079】
第二通信装置132により受信された加速度信号ACが示す加速度の値が閾値を下回ると判断されると(STEP23においてYES)、処理部122は、第二通信装置132における確認信号AKの受信強度と所定の受信強度との差分が閾値を上回るかを判断する(STEP21)。
【0080】
なお、
図2に例示されるように、モバイル装置11の処理部112は、加速度センサ115により検出された加速度の値が閾値を下回る場合に送信部113から加速度信号ACを電波で送信するように構成されてもよい。この場合、制御装置12の処理部122は、第二通信装置132により加速度信号ACが受信された事実をもって、加速度の値が閾値を下回っていると判断する(
図4と
図5のSTEP23においてYES)。
【0081】
すなわち、制御装置12は、モバイル装置11に加わる加速度の値が閾値を下回る場合に、モバイル装置11から送信される確認信号AKの送信強度の変更と、第一通信装置131における確認信号AKの受信強度に係る閾値の変更との少なくとも一方を行なうように構成されうる。
【0082】
このような構成によれば、モバイル装置11が大きく変位していない状態で第二通信装置132による確認信号AKの受信強度の取得がなされるので、モバイル装置ごとの確認信号AKの送信強度のばらつきの検出精度の低下を抑制できる。したがって、当該ばらつきに起因する被制御装置31の遠隔制御の正確性の低下を抑制できる。
【0083】
これまで説明した様々な機能を有するモバイル装置11の処理部112は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。上記のコンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、不図示の無線通信ネットワークを介して不図示の外部サーバ装置からダウンロードされた後、汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、当該外部サーバ装置は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0084】
処理部112は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。各プロセッサは、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0085】
これまで説明した様々な機能を有する制御装置12の処理部122は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。上記のコンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、不図示の無線通信ネットワークを介して不図示の外部サーバ装置からダウンロードされた後、汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、当該外部サーバ装置は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0086】
処理部122は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。各プロセッサは、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0087】
上記の各実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の各実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0088】
第二通信装置132におけるモバイル装置11から送信された電波の受信強度の取得に供される信号は、確認信号AKに限られない。第一通信装置131におけるモバイル装置11から送信された電波の受信強度を取得できるのであれば、モバイル装置11から電波で送信される適宜の信号が使用されうる。例えば、第二通信装置132は、RF-IDやNFCのような近接無線通信規格に基づいて動作する装置として構成されてもよいし、Qi(登録商標)のような無線給電規格に基づいて動作する装置として構成されてもよい。この場合、第二通信装置132におけるモバイル装置11から送信された電波の受信強度の取得に供される信号は、当該規格において使用される信号でありうる。
【0089】
第二通信装置132が近接無線通信規格または無線給電規格に基づいて動作するように構成される場合、モバイル装置11から送信される電波を受信させるために、モバイル装置11を第二通信装置132に近接させる必要がある。これにより、モバイル装置11が大きく変位していない状態で第二通信装置132による電波の受信強度の取得がなされるので、モバイル装置ごとの確認信号AKの送信強度のばらつきの検出精度の低下を抑制できる。したがって、当該ばらつきに起因する被制御装置31の遠隔制御の正確性の低下を抑制できる。
【0090】
車両30に対するモバイル装置11の位置は、複数の第一通信装置131の各々における確認信号AKの受信強度に基づいて推定されうる。
【0091】
上記の各実施形態においては、制御装置12は、車両30に搭載されている。このような構成によれば、モバイル装置11との短距離無線通信において生じうる通信遅延を抑制しやすい。
【0092】
しかしながら、制御装置12の処理部122により行なわれる認証処理の少なくとも一部は、不図示の無線通信ネットワークを介してモバイル装置11と通信可能な不図示の外部サーバ装置において行なわれうる。
【0093】
認証処理の結果として制御装置12により制御される被制御装置は、施解錠装置311およびイグニッション電源312に限られない。他の被制御装置の例としては、車両30に搭載された空調装置、音響映像機器、照明装置、シートやステアリングホイールの位置調節機構などが挙げられる。
【0094】
認証システム10は、車両30以外の移動体にも適用されうる。他の移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。当該移動体は、運転者を必要としなくてもよい。
【0095】
施解錠装置により施解錠される開閉体は、移動体のドアに限られない。住宅や施設における扉や窓もまた開閉体の一例になりうる。すなわち、第一通信装置131と第二通信装置132は、移動体に搭載されることを要しない。
【0096】
人物20により携帯されるモバイル装置11を用いて被制御装置の動作を制御するために、必ずしも認証処理が行なわれることを要しない。
【符号の説明】
【0097】
10:認証システム、11:モバイル装置、112:処理部、113:送信部、114:表示部、115:加速度センサ、12:制御装置、121:第一受付部、122:処理部、124:第二受付部、131:第一通信装置、132:第二通信装置、20:人物、30:車両、31:被制御装置、311:施解錠装置、312:イグニッション電源、AK:確認信号、D1:第一データ、D2:第二データ、It1:第一閾値、It2:第二閾値