(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035578
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】表示制御システム、及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/34 20120101AFI20230306BHJP
【FI】
G06Q50/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142543
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 純
(72)【発明者】
【氏名】萩原 一史
(72)【発明者】
【氏名】寺林 渉
(72)【発明者】
【氏名】本多 忠光
(72)【発明者】
【氏名】阿部 勝栄
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 準
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC55
(57)【要約】
【課題】公営競技の場内モニタにおいて、ファンの要望に応じた表示制御を実現すること。
【解決手段】表示制御システムは、公営競技のレースに関する情報を表示するモニタ装置(5)と、モニタ装置の周辺の所定範囲を撮像する撮像装置(6)と、撮像装置によって撮像された画像に基づいてモニタ装置を閲覧するファンの人数を算出し、ファンの人数に基づいてモニタ装置に表示する情報を切り替える表示制御装置(3)と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
公営競技のレースに関する情報を表示するモニタ装置と、
前記モニタ装置の周辺の所定範囲を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記モニタ装置を閲覧するファンの人数を算出し、前記ファンの人数に基づいて前記モニタ装置に表示する前記情報を切り替える表示制御装置と、を備える、表示制御システム。
【請求項2】
前記表示制御装置は、前記レースに関する情報として複数の賭け式情報の表示スケジュールを生成し、前記ファンの人数に基づいて前記表示スケジュールを変更する、請求項1に記載の表示制御システム。
【請求項3】
前記表示制御装置は、前記ファンの人数に基づいて、対応する賭け式情報の注目度を算出し、当該注目度に基づいて前記表示スケジュールを変更する、請求項2に記載の表示制御システム。
【請求項4】
前記表示制御装置は、前記注目度を所定の条件テーブルに基づいて点数化し、前記注目度の大小に応じて前記表示スケジュールを変更する、請求項3に記載の表示制御システム。
【請求項5】
前記表示制御装置は、投票締め切りの残時間に基づいて前記表示スケジュールが設定された選択パターンを生成し、前記選択パターンに基づいて前記賭け式情報を前記モニタ装置に表示する、請求項4に記載の表示制御システム。
【請求項6】
前記表示制御装置は、前記注目度が比較的高い賭け式情報の表示時間を延長し、前記注目度が比較的低い賭け式情報の表示時間を短縮する、請求項5に記載の表示制御システム。
【請求項7】
前記表示制御装置は、現在表示されている賭け式情報とは異なる賭け式情報へのアクセスを可能とする2次元コードを前記モニタ装置に表示する、請求項2から請求項6のいずれかに記載の表示制御システム。
【請求項8】
前記モニタ装置に対向配置された他のモニタ装置と、
前記他のモニタ装置の周辺に配置され、前記モニタ装置の画面を撮像する他の撮像装置と、を更に備え、
前記撮像装置は、前記他のモニタ装置に表示された前記2次元コードを撮像し、
前記他の撮像装置は、前記モニタ装置に表示された前記2次元コードを撮像し、
前記表示制御装置は、各モニタ装置から取得した前記2次元コードの示す情報を照合することにより、前記モニタ装置又は前記他のモニタ装置の故障を判断する、請求項7に記載の表示制御システム。
【請求項9】
公営競技のレースに関する情報をモニタ装置に表示するステップと、
前記モニタ装置の周辺の所定範囲を撮像装置で撮像するステップと、
前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記モニタ装置を閲覧するファンの人数を算出するステップと、
前記ファンの人数に基づいて前記モニタ装置に表示する前記情報を切り替えるステップと、を実施する、表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公営競技で採用されるモニタ装置の表示制御システム、及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、競艇、競馬、競輪、オートレースなどの公営競技においては、レース前に、投票を行う際に参考となる前売オッズの情報が場内モニタに表示される(例えば特許文献1参照)。このような前売オッズの情報は、所定の時間間隔で切り替え表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、場内モニタに表示される所定の情報(レース情報)は、通常、予め設定されたスケジュールに基づいて表示内容が切り替えられる。例えば、所定のレースに関して複数の賭け式に応じたオッズ情報が所定時間毎に切り替え表示される。
【0005】
しかしながら、従来のモニタ表示は、各賭け式に対応したオッズ情報が決まった時間毎に切り替わるだけにとどまっており、その情報を閲覧するファンの要望に必ずしも応えるものとはいえなかった。例えば、賭け式毎にモニタを増設することも考えられるが、設備投資やメンテナンスにコストがかかるため、あまり好ましくはない。
【0006】
本発明は、上述課題に鑑み、公営競技の場内モニタにおいて、ファンの要望に応じた表示制御を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述目的を達成するために、本発明の表示制御システムは、公営競技のレースに関する情報を表示するモニタ装置と、前記モニタ装置の周辺の所定範囲を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記モニタ装置を閲覧するファンの人数を算出し、前記ファンの人数に基づいて前記モニタに表示する前記情報を切り替える表示制御装置と、を備える。
【0008】
また、本発明の表示制御方法は、公営競技のレースに関する情報をモニタ装置に表示するステップと、前記モニタ装置の周辺の所定範囲を撮像装置で撮像するステップと、前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記モニタ装置を閲覧するファンの人数を算出するステップと、前記ファンの人数に基づいて前記モニタ装置に表示する前記情報を切り替えるステップと、を実施する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、公営競技の場内モニタにおいて、ファンの要望に応じた表示制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】公営競技管理システムの一例を示す概略構成図である。
【
図2】公営競技管理システムの一例を示す概念図である。
【
図3】場内システムの一例を示す概略構成図である。
【
図4】本実施の形態に係る各種端末の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】本実施の形態に係る各種端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】本実施の形態に係る賭式表示制御の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】本実施の形態に係る情報収集フローの一例を示す図である。
【
図8】注目度を算出するための条件テーブルのバリエーションである。
【
図9】本実施の形態に係る表示内容選択フローの一例を示す図である。
【
図10】表示内容の選択パターン(表示スケジュール)例を示す図である。
【
図12】第2実施形態に係る表示制御システムの一例を示す図である。
【
図13】第2実施形態に係るモニタ監視フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、公営競技管理システムの一例を示す概略構成図である。なお、以下に示す公営競技管理システムはあくまで一例に過ぎず、これに限定されることなく適宜変更が可能である。
【0012】
図1に示すように、公営競技管理システム100は、センターシステム10と、情報管理システム11と、場内システム12と、が、ネットワークNを介して相互に接続されたシステムにより構成されている。なお、情報管理システム11と場内システム12は、公営競技が行われる場内の電算室においてLANにより接続される構成であってもよい。
【0013】
センターシステム10は、競艇、競馬、競輪、オートレースなどの公営競技での投票券の発売と払戻に関する業務を処理するサーバ装置(情報配信サーバ)で構成される。センターシステム10は、全国からインターネット回線などを通じて投票される投票情報を集計し、当回のオッズ及び前売オッズの情報などをネットワークNを介して情報管理システム11(後述する制御端末3)へ送信する。ここで当回とは、現在行われているレースのことを言う。
【0014】
また、投票とは、例えば競艇の場合であれば、舟券を購入することを言う。このことから、ある組番について無投票であるということは、その組番の舟券が購入されていないことを意味する。組番とは、投票(選択)可能な数字又は数字の組合せをいい、6艇によって競技を行う競艇においては、賭式が単勝の場合であれば組番は1から6となる。この場合の全組番数は6となる。賭式には、単勝以外に、複勝、2連単、2連複、3連単、3連複、拡連複などがある。センターシステム10は、トータリゼータシステムと呼ばれてもよい。
【0015】
図2は、公営競技管理システムの一例を示す概念図である。情報管理システム11は、公営競技の場内に設置されたサーバ装置(後述する表示制御装置)で構成され、解析端末2と制御端末3とを含んでいる。情報管理システム11は、センターシステム10からレースに関する情報配信を受けると共に、当該情報に基づいて場内のモニタ装置5に表示すべき情報の処理を実現する。例えば情報管理システム11は、センターシステム10から当回の賭式のオッズの情報及び当回以降のレースの賭式の前売オッズの情報や、レース結果などを取得し、取得した情報を処理して場内システム12に送信する。なお、解析端末2と制御端末3は、1つのコンピュータで構成されてもよく、3つ以上のコンピュータに分けて構成されてもよい。
【0016】
図3は、場内システムの一例を示す概略構成図である。場内システム12は、場内でレースに関する情報を画面表示するように構成され、映像制御装置4と、モニタ装置5と、撮像装置6と、を含んでいる。なお、詳細は後述するが、場内システム12には、ファンが所有する携帯端末7が含まれてもよい。
【0017】
映像制御装置4は、例えばHD-SDI(High Definition Serial Digital Interface)により情報管理システム11(制御端末3)から出力される表示データ(当回のオッズ及び前売オッズや、レース結果のデータなど)を取得し、モニタ装置5に当回のオッズの情報及び前売オッズの情報や、レース結果などを表示させる。
【0018】
モニタ装置5は、場内に設置されるモニタであって、映像制御装置4からデータを取得し、そのデータに含まれる当回のオッズ及び前売オッズや、レース結果などをチャネルごとに表示する。なお、本実施の形態では、単一のモニタ装置5のみ示しているが、これに限定されず、場内には複数のモニタ装置5が配置されてよい。
【0019】
撮像装置6は、モニタ装置5の周辺の所定範囲を撮像するカメラで構成される。例えば
図3に示すように、2つの撮像装置6がモニタ装置5の左右に配置されている。2つの撮像装置6は、モニタ装置5の画面前方において、所定の角度範囲で撮像領域を備えている。撮像装置6は、当該撮像領域における撮像画像を解析端末2に送信する。これらの撮像装置6は、モニタ装置5の表示画面を閲覧するファンを検出するファン検出部として機能する。なお、本実施の形態では、撮像装置6が2つ配置される場合について説明しているが、これに限定されず、撮像装置6の個数、配置箇所、撮像範囲(撮像領域)は適宜変更が可能である。
【0020】
本実施の形態では、情報管理システム11と場内システム12とを合わせて本発明に係る表示制御システムが構成されるものとする。特に本実施の形態において、情報管理システム11は、場内に配置されたモニタ装置5を閲覧するファンの人数に基づいてモニタ装置5に表示すべき情報を処理(制御)する。
【0021】
具体的に解析端末2は、撮像装置6から取得した撮像画像に基づいて、モニタ装置5を閲覧するファンの人数を解析する。解析端末2は、表示制御装置と呼ばれてもよい。詳細後述するが、解析端末2は、取得した撮像画像に基づいてモニタ装置5の画面に目線を向けているファンの人数を算出する。更に解析端末2は、算出したファンの人数に基づいて表示画面の注目度を算出する。このように、解析端末2は、撮像装置6の撮像画像からモニタ装置5の表示画面の注目度に関する情報を取得し、その情報に基づいて表示画面の注目度を算出する。また、解析端末2は、算出した注目度に関する情報を制御端末3に送信する。
【0022】
制御端末3は、モニタ装置5に表示するための情報をコントロールするように構成され、表示制御装置と呼ばれてもよい。制御端末3は、センターシステム10を介して取得したオッズの情報などに基づいて、オッズの情報(当回オッズ及び前売オッズの情報)などをモニタ装置5に表示させるための処理を行い、映像制御装置4へ表示データとして送信する。例えば、制御端末3は、解析端末2から取得した注目度に基づいて表示画面のスケジューリング及び生成を実施する。また、制御端末3は、オッズの情報以外に、レース結果や選手の情報などを表示させるための処理も行う。なお、本実施の形態では、レースに関する情報としてオッズの情報(賭け式情報)や結果情報等をモニタ装置5に表示する場合について説明しているが、これに限らず、広告等を表示してもよい。
【0023】
図4は、本実施の形態に係る各種端末(解析端末2、制御端末3、及び映像制御装置4を含む)の機能構成の一例を示すブロック図である。解析端末2、制御端末3、及び映像制御装置4は、それぞれ
図4に示す機能ブロックを有している。
【0024】
解析端末2は、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、入力部140と、出力部150と、を有する。なお、本例では、本実施形態における特徴部分の機能ブロックを主に示しており、解析端末2は、他の処理に必要な他の機能ブロックも有してもよい。また、一部の機能ブロックを含まない構成としてもよい。
【0025】
また、ここでは解析端末2の機能ブロックについて説明するが、制御端末3及び映像制御装置4も同様の機能ブロックを有するものとする。
【0026】
なお、制御端末3及び映像制御装置4ともに、解析端末2と同一符号の機能ブロックを有するが、それぞれが独立した固有の機能を有するものとする。すなわち、以下の機能ブロックの説明において、解析端末2は、制御端末3又は映像制御装置4に読み替えが可能である。
図5に示すハードウェアの構成も同様に解析端末2、制御端末3及び映像制御装置4のいずれかに読み替えが可能である。
【0027】
制御部110は、解析端末2の制御を実施する。制御部110は、本開示に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるコントローラ、制御回路又は制御装置により構成することができる。
【0028】
記憶部120は、解析端末2において利用する情報を記憶(保持)する。記憶部120は、例えば、本開示に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるメモリ、ストレージ、記憶装置などにより構成することができる。
【0029】
通信部130は、ネットワークを介した他の通信デバイス(機器、サーバなど)との通信を行う。通信部130は、受信した種々の情報を例えば制御部110に出力してもよい。
【0030】
通信部130は、本開示に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるトランスミッター/レシーバー、送受信回路又は送受信装置により構成することができる。なお、通信部130は、送信部及び受信部から構成されてもよい。
【0031】
入力部140は、ユーザからの操作により入力を受け付ける。また、入力部140は、所定の機器、記憶媒体などと接続され、データの入力を受け付けてもよい。入力部140は、入力結果を例えば制御部110に出力してもよい。
【0032】
入力部140は、本開示に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるキーボード、マウス、ボタンなどの入力装置、入出力端子、入出力回路などにより構成することができる。また、入力部140は、表示部と一体となった構成(例えば、タッチパネル)としてもよい。
【0033】
出力部150は、ユーザに対して知覚できる形式でデータ、コンテンツなどの出力を行う。例えば、出力部150は、画像を表示する表示部、音声を出力する音声出力部などを含んで構成されてもよい。
【0034】
表示部は、例えば、本開示に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるディスプレイ、モニタなどの表示装置により構成することができる。また、音声出力部は、本開示に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるスピーカーなどの出力装置により構成することができる。
【0035】
出力部150は、例えば、本開示に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される演算器、演算回路、演算装置、プレイヤー、画像/映像/音声処理回路、画像/映像/音声処理装置、アンプなどを含んで構成することができる。
【0036】
なお、通信部130又は入力部140は、取得部と呼ばれてもよい。また、制御部110は、後述する
図6、7、9、13で示す所定のステップに基づく処理を実施してもよい。
【0037】
図5は、本実施の形態に係る各種端末(
図4と同様に解析端末2、制御端末3、及び映像制御装置4を含む)のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的に分離した2つ以上の装置を有線又は無線によって接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0038】
例えば、本開示の一実施形態における装置(解析端末2等)は、本開示の表示制御処理を行うコンピュータとして機能してもよい。上述の解析端末2、制御端末3、及び映像制御装置4は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0039】
なお、本開示において、装置、回路、デバイス、ユニット、サーバなどは、互いに読み替えることができる。解析端末2、制御端末3、及び映像制御装置4を含むなどのハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0040】
例えば、プロセッサ1001は1つだけ図示されているが、複数のプロセッサがあってもよい。また、処理は、1のプロセッサによって実行されてもよいし、処理が同時に、逐次に、又はその他の手法を用いて、2以上のプロセッサによって実行されてもよい。なお、プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。
【0041】
解析端末2、制御端末3、及び映像制御装置4における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みなどを制御することによって実現される。
【0042】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。なお、上述の制御部110などの各部は、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0043】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、制御部110は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。
【0044】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)、RAM(Random Access Memory)、その他の適切な記憶媒体の少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、一実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0045】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、フレキシブルディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD-ROM(Compact Disc ROM)など)、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、リムーバブルディスク、ハードディスクドライブ、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、磁気ストライプ、データベース、サーバ、その他の適切な記憶媒体の少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。なお、上述の記憶部120は、メモリ1002及び/又はストレージ1003によって実現されてもよい。
【0046】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、SIMカードを含んでもよい。なお、上述の通信部130は、通信装置1004によって実現されてもよい。
【0047】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウスなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカーなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。なお、上述の入力部140及び出力部150は、それぞれ入力装置1005及び出力装置1006によって実現されてもよい。
【0048】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスによって構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0049】
また、解析端末2、制御端末3、及び映像制御装置4等は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0050】
ところで、公営競技場における映像表示制御システムは、ファンに提供する各賭式のオッズ表示を制御する装置である。このシステムでは、あらかじめ設定したスケジュール(計画表)に基づき、レースにおける各賭式のオッズ表示を専用フォーマットで作成し、ファン向けモニタに表示する。
【0051】
既存の映像表示制御装置(制御端末3)は、センターシステム10から情報配信サーバ経由で各種情報を受信し、専用画面を作成してファン向けモニタに表示している。この場合、決められた表示時間・台数で複数の画面を表示するために、表示内容が賭け式毎に所定時間間隔で切り替えられている(サイクリック表示)。このように、モニタで表示する画面は、あらかじめ設定した専用スケジュールで運用しており、変更にはメーカ技術者によるメンテナンスが必要である。更に表示内容を追加するには設備投資(モニタの増設)が必要である。
【0052】
また、モニタに表示する各賭け式のオッズ情報が多岐にわたること、併売数の増加により、ファン向けに表示したい情報が増えていることが課題として挙げられる。また、ファンの立場からすると、モニタが多すぎる場合、どのモニタを見ていいか分かりにくく、移動も手間であるという問題が生じ得る。更に、現状のサイクリック表示だけでは、ファンが見ているときに画面が自動的に切り替わってしまうため、所望の画面をじっくり見ることができないという問題も挙げられる。
【0053】
そこで、本件発明者等は、モニタ装置5の画面を閲覧するファンの人数に着目し、ファンの人数に応じて表示内容を変更することに想到した。例えばモニタ装置5の脇にカメラ(撮像装置6)を搭載し、モニタ装置5周辺の人数、モニタ装置5への視線を監視して、注目されている表示賭け式の表示時間を長くする。
【0054】
具体的に本実施の形態に係る表示制御システムは、公営競技のレースに関する情報を表示するモニタ装置5と、モニタ装置5の周辺の所定範囲を撮像する撮像装置6と、撮像装置6によって撮像された画像に基づいてモニタ装置5を閲覧するファンの人数を算出し、ファンの人数に基づいてモニタ装置5に表示する情報を切り替える表示制御装置(制御端末3)と、を備えている。
【0055】
このように、本実施の形態は、モニタ装置5の近傍に設置された撮像装置6で、モニタ装置5を見ているファンの目線情報を収集・解析し、ファンが要望する賭式のオッズを優先的に画面表示するものである。より具体的には、選択された賭け式のオッズの表示前・表示後の情報を収集し、ファンが興味を持つ情報であったかを解析・蓄積し、次回表示する賭け式の選択判断材料とする。
【0056】
よって、本実施の形態によれば、モニタ装置5の周辺で当該モニタ装置5を閲覧しているファンの人数をカウントすることにより、ファンが注目している情報を推定してファンの要望に応じた表示制御を実現することが可能である。また、詳細は後述するが、オッズ表示の中に、暗号化されたコードを表示し、スマートフォンなどの携帯端末7で読み込むと、モニタ装置5と同じ情報、または、それとは異なる他の賭式の情報が表示される。
【0057】
次に、
図6を参照して具体的なシステムの流れについて説明する。
図6は、本実施の形態に係る賭式表示制御の一例を示すシーケンス図である。なお、以下に示すシーケンスはあくまで一例を示すものであり、必要に応じて他の処理(ステップ)を追加してもよい。
【0058】
図6に示すように、制御端末3は、予め設定された表示スケジュールに基づいて、センターシステム10から取得したレースの賭け式情報を所定の表示形式に編集した表示データを作成する。詳細は
図10で後述するが、初期の表示スケジュールは、複数の賭け式情報(例えば4つ)を所定時間(例えば20秒)毎に切り替えるものである。制御端末3は、初期の表示スケジュール(デフォルト)に基づいた表示内容で映像制御装置4に指示をする(S0)。具体的に制御端末3は、上記表示スケジュール及び表示内容に基づいた表示データを生成し、その表示データを映像制御装置4に送信する。
【0059】
映像制御装置4は、取得した表示データに基づいてモニタ装置5に所定の賭け式情報をサイクリック表示させる(S0’)。
【0060】
モニタ装置5に賭け式情報がサイクリック表示されている間、解析端末2は、撮像装置6から撮像画像を取得する(S1:情報収集フロー)。なお、撮像画像の取得は、モニタ装置5に表示されている賭け式情報毎に所定周期で実施されることが好ましい。例えば解析端末2は、所定の賭け式情報が表示されている20秒間の間、5秒毎に撮像画像を取得してもよい。情報収集フローの詳細は後述するが、解析端末2は、取得した撮像画像に基づいてモニタ装置5を閲覧しているファンの人数をカウントし、そのファンの人数から対応する賭け式情報の注目度を算出する。
【0061】
更に解析端末2は、算出した注目度に基づいて、賭け式情報の表示内容を選択する(S2:表示内容選択フロー)。表示内容選択フローについては後述するが、解析端末2は、投票受付の締め切りまでの残時間に基づいて賭け式表示の選択パターンを生成する。
【0062】
そして解析端末2は、注目度に関する情報、及び選択したパターンに関する情報を制御端末3に送信する(S3:表示内容変更指示)。
【0063】
次に制御端末3は、解析端末2が先に算出した注目度及び選択パターンに基づいて賭け式情報の表示時間を調整する(S4:表示スケジュール編集)。表示スケジュールの編集については後述する。
【0064】
そして制御端末3は、編集した表示スケジュールを新たな表示データとして映像制御装置4に送信する(S5)。
【0065】
映像制御装置4は、新たに取得した表示データに基づいてモニタ装置5に所定の賭け式情報を表示させる(S6)。このように、本実施の形態では、ファンの注目度に応じて表示内容を適宜変更するように構成されている。これにより、ファンの要望に適切に対応した情報提供が可能となる。
【0066】
図7は、本実施の形態に係る情報収集フローの一例を示す図である。なお、
図7に示すフローにおいては、特に明示がない限り、動作の主体は解析端末2とする。なお、以下に示すフローはあくまで一例を示すものであり、必要に応じて他のステップを追加してもよい。
【0067】
図7に示すように、解析端末2は、所定周期で撮像装置6から撮像画像を取得し、その撮像画像におけるファンの目線情報からモニタ装置5を見ているファンの人数をカウントする。所定周期は適宜変更が可能である。そして、そのファンの人数やその人数の経時的変化に基づいて、対応する賭け式情報の注目度を算出する。
【0068】
具体的に先ず解析端末2は、撮像画像からa人のファンがモニタ装置5を閲覧していることを検出する(ステップST101:情報収集1回目)。
【0069】
次に解析端末2は、撮像画像からb人のファンがモニタ装置5を閲覧していることを検出する(ステップST102:情報収集2回目)。
【0070】
そして解析端末2は、情報収集1回目と2回目の差分(b-a=X)を算出する(ステップST103:比較1回目)。
【0071】
更に解析端末2は、算出した差分Xがプラスかマイナスを判定し(ステップST104:判定1回目)、当該情報(判定1回目:+X)を所定の記憶領域に蓄積する(ステップST105)。
【0072】
次に解析端末2は、撮像画像からc人のファンがモニタ装置5を閲覧していることを検出する(ステップST106:情報収集3回目)。
【0073】
そして解析端末2は、情報収集2回目と3回目の差分(c-b=Y)を算出する(ステップST107:比較2回目)。
【0074】
更に解析端末2は、算出した差分Yがプラスかマイナスを判定し(ステップST108:判定2回目)、当該情報(判定1回目:+X、判定2回目:+Y)を所定の記憶領域に蓄積する(ステップST109)。
【0075】
これ以降、情報収集を所定回数(n回)、判定を所定回数(n-1回)実施してその情報を蓄積する。なお、nは適宜変更が可能である。
【0076】
更に解析端末2は、これまでに蓄積した情報(ファンの人数a、b、c、・・・、ファン増減数X、Y,・・・)から所定の条件テーブルに基づいて、対応する賭け式情報の注目度を算出し(ステップST110)、本フローを終了して次のステップに進む。
【0077】
次に、注目度の算出方法について説明する。
図8A-Cは、注目度を算出するための条件テーブルのバリエーションである。
例えば、
図8Aに示すように、条件テーブル1では、直近2回の閲覧数の増減度合い(上記したX、Y、・・・)に基づいて注目度を算出することが可能である。
条件テーブル1では、
5点:注目度大・混雑(増加+4以上)
4点:注目度中・やや混雑(増加+2~3)
3点:変化なし(増減-1~+1)
2点:注目度小・やや閑散(減少-2~3)
0点:注目度なし・閑散(減少-4以下)
の5パターンで点数化し、直近n回分までの合計点をその賭け式情報に対応した注目度とする。この場合、点数が高い表示(賭け式情報)ほど、注目度が高いと判断できる。
【0078】
また、
図8Bに示すように、条件テーブル2では、閲覧数(上記したa、b、c・・・)に基づいた混雑具合に対応した注目度を算出することが可能である。
5点:注目度大・混雑(12人以上)
4点:注目度中・やや混雑(8~11人)
3点:注目度小(5~7人)
2点:注目度微小・やや閑散(2人~4人)
0点:注目度なし・閑散(0~1人)
の5パターンで点数化し、直近n回分の合計点をその賭け式情報に対応した注目度とする。この場合、点数が高い表示(賭け式情報)ほど、注目度が高い(混雑している)と判断できる。
【0079】
また、
図8Aでは、直近2回の閲覧数から増減度合いを算出する場合について説明したが、
図8Cのように直近2回ではなく、更に過去にさかのぼって増減度合いを算出してもよい。例えば、n回目とn-2回目の差分を増減度合いとして算出してもよい。
この場合、特殊条件(条件テーブル1′)として、
(i)3回目の人数が1回目の人数より「+12以上」であれば「注目度大・混雑」とし(ii)3回目の人数が1回目の人数より「-12以下」であれば「注目度なし・閑散」としてもよい。
この特殊条件を用いると、1回でも「+4以上」が発生したら、ある程度「注目がある」と判断することが可能である。
【0080】
なお、
図8における注目度の点数配分は、一例にすぎず適宜変更が可能である。また、
図8A-Cの各条件テーブルは、単独で用いてもよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0081】
このような条件テーブルを用いることにより、対応した賭け式情報の注目度を定量化することが可能である。
【0082】
図9は、本実施の形態に係る表示内容選択フローの一例を示す図である。なお、
図9に示すフローにおいては、特に明示がない限り、動作の主体は解析端末2とする。なお、以下に示すフローはあくまで一例を示すものであり、必要に応じて他のステップを追加してもよい。また、本フローは、解析端末2ではなく、制御端末3が実施してもよい。
【0083】
図9に示すように、解析端末2は、情報収集フローの後、算出した注目度に基づいて複数の賭け式情報の表示スケジュールが設定された選択パターンを生成する。選択パターンについては後述する。
【0084】
先ず解析端末2は、投票受付の締め切りまでの残時間を判定する(ステップST201)。本実施の形態では、当該残時間を4つに区分し、その区分に対応した選択パターン(選択パターン1-4とする)を生成するものとする。
【0085】
本実施の形態では、上記残時間が大きい区分の順にステップST202AからステップST202Dのいずれかに進むものとする。
【0086】
例えば、残時間が10分以上ある場合、解析端末2は、選択パターン1の表示スケジュールを生成する(ステップST202A)。また、残時間が5分以上10分未満の場合、解析端末2は、選択パターン2の表示スケジュールを生成する(ステップST202B)。また、残時間が3分以上5分未満の場合、解析端末2は、選択パターン3の表示スケジュールを生成する(ステップST202C)。また、残時間が3分未満の場合、解析端末2は、選択パターン4の表示スケジュールを生成する(ステップST202D)。
【0087】
解析端末2は、所定の選択パターンに基づいた表示スケジュールを生成したら、その情報を制御端末3に送信する(ステップST203)。
【0088】
図10は、表示内容の選択パターン(表示スケジュール)例を示す図である。また、
図10では、デフォルトの表示スケジュールに加え、4つの選択パターン1-4を例示する。更に
図10において、モニタ装置5に表示される対象となる複数の賭け式情報は、4つ存在するものとする(賭け式情報A-D)。また、注目度の大小は、
図10中のドットハッチングの濃さ(密度)に応じて3つに分類されている。なお、選択パターンの分類数や賭け式情報の数、注目度の分類数は、これらに限らず適宜変更が可能である。
【0089】
先ず予め設定された初期の表示スケジュールについて説明する。初期の表示スケジュールでは、4つの賭け式情報A-Dがそれぞれ20秒ずつに一律で表示される内容である。
図10では、賭け式情報A-Dがこの順番に20秒ずつ表示されることを1サイクルとして、合計2サイクル分の表示スケジュールが示されている。すなわち、初期のスケジュールでは、1サイクルが80秒(20秒×4)に設定されている。また、初期の場合、賭け式情報Aは「注目度:なし」と判定されており、賭け式情報B、Cは「注目度:大」と判定されており、賭け式情報Dは注目度が「変化なし」と判定されているものとする。以下の選択パターンは、当該初期の表示スケジュールを基準にして生成されるものとする。
【0090】
選択パターン1は、残時間が十分にあり、注目度が上位の2賭け式(賭け式情報B、D)は、表示時間が初期の3倍である60秒(20秒×3)に設定される。一方で、これらより比較的注目度の低い賭け式情報A、Dは、初期と同じ20秒に設定される。また、選択パターン1では、1サイクルが160秒(20秒+60秒+60秒+20秒)となり、初期よりも1サイクルが長くなっている(初期の2倍)。
【0091】
選択パターン2は、選択パターン1に劣るものの、比較的残時間がある。この場合、注目度が上位の2賭け式(賭け式情報B、D)は、表示時間が初期の2倍である40秒(20秒×2)に設定される。選択パターン2では、1サイクルが120秒(20秒+40秒+40秒+20秒)となり、初期よりも1サイクルが長くなっている。
【0092】
選択パターン3は、やや締め切り時間に近づいているため、表示する内容として賭け式情報だけでなく、締め切り案内に関する情報もスケジューリングされる。また、注目度が上位の2賭け式(賭け式情報B、D)は、表示時間が初期の2倍である40秒分だけ割り当てられる。この場合、一度に40秒続けて表示するのではなく、1サイクルのうち、20秒を2回表示するようにスケジューリングされる。具体的には、締め切り案内(5分前)の情報が5秒、賭け式情報Aが20秒、賭け式情報Bが20秒、賭け式情報Cが20秒、更に締め切り案内(4分前)の情報が5秒、再度賭け式情報B、Cが20秒ずつ、そして賭け式情報Dが20秒の合計110秒が1サイクルとしてスケジューリングされる。
【0093】
選択パターン4は、選択パターン3よりもさらに締め切り時間に近いため、注目度の比較的低い賭け式情報A、Dの表示はスケジューリングされない。この場合、締め切り案内(3分前)の情報が5秒、賭け式情報B、Cがそれぞれ初期と同様の20秒にスケジューリングされる。この場合、1サイクルは、45秒(5秒+20秒+20秒)に短縮される。
【0094】
このように、本実施の形態では、投票締め切りまでの時間に基づいて1サイクル当たりの表示時間を変更し、注目度の高い賭け式は締め切りギリギリまで表示を許可する一方、注目度の低い賭け式は表示を省略している。これにより、ファンの要望により近づけた画面制御が実現可能である。また、締め切り直前は、賭け式情報に限らず締め切り案内が表示されるため、ファンの購入漏れを防止することが可能である。
【0095】
また、上記実施の形態では、撮像装置6の撮像画像に基づいて閲覧数をカウントして注目度を算出し、比較的多数のファンの要望に対応した画像表示制御を実現する者であった。しかしながら、少数派のファンにとっては、必ずしも上記制御が適切とは限らず、個別に現在表示されている賭け式情報とは違う情報を閲覧したい場合も想定される。
【0096】
そこで、本実施の形態では、所定の賭け式情報にアクセスするために暗号化された2次元コードをモニタ装置5に表示させ、ファンが所有する携帯端末7から直接所望の賭け式情報にアクセスできるように構成した。
【0097】
図11は、携帯端末の使用例を示す図である。
図11に示すように、モニタ装置5の所定箇所(例えば角部)には、所定の賭け式情報にアクセスするために暗号化された2次元コード(例えばQRコード:登録商標)が表示されている。この場合、制御端末3は、生成する表示データに当該2次元コードに対応した情報を付加して映像制御装置4に送信する。
【0098】
携帯端末7を所有するファンは、携帯端末7のカメラで2次元コードを読み取ることにより、現在モニタ装置5に表示されている賭け式情報とは異なる情報の閲覧が可能となる。したがって、少数派のファンに対しても所望の画像制御が実現可能である。
【0099】
次に
図12、13を参照して第2実施形態について説明する。
図12は、第2実施形態に係る表示制御システムの一例を示す図である。
図13は、第2実施形態に係るモニタ監視フローの一例を示す図である。
【0100】
ところで、公営競技場内のモニタ装置5の定期点検は、警備員や保守員の目視によって確認されるのみである。そのため、モニタ装置5に故障が発生した場合、その検知が遅れるために情報提供不可時間が長くなってしまうという問題があった。そこで、本件発明者は、更に自動でモニタ装置5の故障判断を実現すべく、上記した2次元コードを活用することに想到した。
【0101】
具体的に第2実施形態では、
図12に示すように、1セットのモニタ装置5及び撮像装置6の画面に対向するように、もう1セットのモニタ装置5及び撮像装置6を配置する構成とした。この場合、各セットの撮像装置6の撮像領域が、対向するモニタ装置5の画面に重なるように配置されることが好ましい。このように、互いのモニタ装置5の画面を撮像可能にし、それぞれのモニタ装置5に2次元コードを表示させる。なお、各モニタ装置5に表示させる2次元コードは、同一であってもよく、異なっていてもよい。各セットの撮像装置6は、対向するモニタ装置5の2次元コードを読み取り、制御端末3に送信する。制御端末3は、それぞれの撮像装置6から取得した2次元コードの読み取り結果が制御端末3で記憶している情報と同じであれば、モニタ装置5が正常表示されていると判断でき、読み取り結果が異なる場合はモニタ装置5に異常が発生していると判断できる。このようにして、モニタ装置5の監視が可能である。
【0102】
具体的なモニタ監視フローについて説明する。
図13では、特に明示がない限り、動作の主体は制御端末3とする。なお、以下に示すフローはあくまで一例を示すものであり、必要に応じて他のステップを追加してもよい。また、本フローは、制御端末3ではなく、解析端末2が実施してもよい。
【0103】
図13に示すように、制御端末3は、所定の表示スケジュールに基づいた情報が画面に表示されていることを認識する(ステップST701)。
【0104】
次に制御端末3は、その情報に対応した残表示時間が存在するか否かを判定する(ステップST702)。残表示時間がある場合(ステップST702:YES)、ステップST703に進み、残表示時間がない場合(ステップST702:NO)、フローを終了する。
【0105】
ステップST703において、制御端末3は、各セットの撮像装置6から2次元コードの撮像画像を取得する。次に制御端末3は、互い撮像装置6から読み取った2次元コードを照合し、位置するか否かを判定する。
【0106】
制御端末3は、照合した結果、2次元コードの示す情報が一致した場合(ステップST704:YES)、モニタ装置5は正常であるとして、ステップST702に戻る。一方で制御端末3は、照合した結果、2次元コードの示す情報が一致しない場合(ステップST704:NO)、制御端末3のディスプレイや音声を用いてアラームを発生する(ステップST705:報知)。このようにして、モニタ装置5の故障判断が可能である。
【0107】
以上説明したように、本実施の形態によれば、カメラを用いて、どの賭け式の情報を表示しているときにファンが多く見ているかを判別し、閲覧しているファンの数やその増減数に応じて表示スケジュールを変更する。これにより、注目度上位の賭け式情報を優先的に表示し、多数派のファンの要望に応えることが可能である。一方で、少数派のファンに対しては、2次元コードを画面上に表示することで、ファンの所有する携帯端末7を活用して所望の情報にアクセスすることが可能になっている。
【0108】
これらにより、ファンは、投票する内容を検討する時間が短くなり、他の投票券を購入する機会が増える。また、施設管理者側にとっては、設備投資額(機器費、工事費)、設置スペースを抑えることが可能である。このように、モニタ周辺の人数、モニタへの視線情報を収集することで、施設運用の最適化の検討(運営改善)を行うことができる。また、モニタの最適配置が可能となり、人気のある場所のモニタを大型化すること、人気のない場所のモニタの数を削減することで、設備の合理化を図ることが可能である。
【0109】
また、暗号化された2次元コードをモニタ装置5の近傍に設置された撮像装置6で、相互に読み出し、表示状態の監視を行うことにより、故障を早期に発見することが可能である。
【0110】
なお、本発明の実施の形態は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。更には、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。従って、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施形態をカバーしている。
【0111】
下記に、上記実施の形態における特徴点を整理する。
【0112】
上記実施の形態に記載の表示制御システムは、公営競技のレースに関する情報を表示するモニタ装置と、前記モニタ装置の周辺の所定範囲を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記モニタ装置を閲覧するファンの人数を算出し、前記ファンの人数に基づいて前記モニタ装置に表示する前記情報を切り替える表示制御装置と、を備える。
【0113】
また、上記実施の形態に記載の表示制御システムにおいて、前記表示制御装置は、前記レースに関する情報として複数の賭け式情報の表示スケジュールを生成し、前記ファンの人数に基づいて前記表示スケジュールを変更する。
【0114】
また、上記実施の形態に記載の表示制御システムにおいて、前記表示制御装置は、前記ファンの人数に基づいて、対応する賭け式情報の注目度を算出し、当該注目度に基づいて前記表示スケジュールを変更する。
【0115】
また、上記実施の形態に記載の表示制御システムにおいて、前記表示制御装置は、前記注目度を所定の条件テーブルに基づいて点数化し、前記注目度の大小に応じて前記表示スケジュールを変更する。
【0116】
また、上記実施の形態に記載の表示制御システムにおいて、前記表示制御装置は、投票締め切りの残時間に基づいて前記表示スケジュールが設定された選択パターンを生成し、前記選択パターンに基づいて前記賭け式情報を前記モニタ装置に表示する。
【0117】
また、上記実施の形態に記載の表示制御システムにおいて、前記表示制御装置は、前記注目度が比較的高い賭け式情報の表示時間を延長し、前記注目度が比較的低い賭け式情報の表示時間を短縮する。
【0118】
また、上記実施の形態に記載の表示制御システムにおいて、前記表示制御装置は、現在表示されている賭け式情報とは異なる賭け式情報へのアクセスを可能とする2次元コードを前記モニタ装置に表示する。
【0119】
また、上記実施の形態に記載の表示制御システムは、前記モニタ装置に対向配置された他のモニタ装置と、前記他のモニタ装置の周辺に配置され、前記モニタ装置の画面を撮像する他の撮像装置と、を更に備え、前記撮像装置は、前記他のモニタ装置に表示された前記2次元コードを撮像し、前記他の撮像装置は、前記モニタ装置に表示された前記2次元コードを撮像し、前記表示制御装置は、各モニタ装置から取得した前記2次元コードの示す情報を照合することにより、前記モニタ装置又は前記他のモニタ装置の故障を判断する。
【0120】
また、上記実施の形態に記載の表示制御方法は、公営競技のレースに関する情報をモニタ装置に表示するステップと、前記モニタ装置の周辺の所定範囲を撮像装置で撮像するステップと、前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記モニタ装置を閲覧するファンの人数を算出するステップと、前記ファンの人数に基づいて前記モニタ装置に表示する前記情報を切り替えるステップと、を実施する。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明によれば、公営競技の場内モニタにおいて、ファンの要望に応じた表示制御を実現することができるという効果を有し、特に、公営競技で採用されるモニタ装置の表示制御システム、及び表示制御方法に有用である。
【符号の説明】
【0122】
100 :公営競技管理システム
10 :センターシステム
11 :情報管理システム
12 :場内システム
2 :解析端末(表示制御装置)
3 :制御端末(表示制御装置)
4 :映像制御装置
5 :モニタ装置
6 :撮像装置
7 :携帯端末