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特開2023-35588分析システム、管理サーバ、分析装置、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035588
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】分析システム、管理サーバ、分析装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20230306BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
G01N35/00 A
G01N35/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142567
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 彰
(72)【発明者】
【氏名】川上 大輔
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058AA08
2G058GA11
2G058GA14
2G058GD05
(57)【要約】
【課題】ユーザが分析装置から出力される分析結果を容易に評価できるようにするための技術を提供すること。
【解決手段】LIS1は、検査技師から、分析装置3が分析結果の導出のために利用する内容の少なくとも1つの項目を指定する評価用情報を受け付ける。LIS1は、分析装置3に、分析の指示と、評価用情報のリクエストとを送信する。分析装置3は、LIS1に、分析結果とともに、評価用情報によって指定される項目の値(たとえば、分析に利用された試薬名)を送信する。検査技師は、LIS1において、分析結果を、評価用情報によって指定される項目の値を参照して評価する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置と、
前記分析装置における分析を管理する管理サーバと、を備え、
前記管理サーバは、
サンプルごとに、分析の指示および分析の評価用情報の入力を受け付ける入力部と、
前記分析の指示と前記評価用情報のリクエストとを前記分析装置に送信する第1の通信インターフェースと、を含み、
前記評価用情報は、前記分析装置が分析結果の導出のために利用する内容の少なくとも1つの項目を指定し、
前記分析装置は、
前記分析の指示に応じてサンプルを分析することにより分析結果を導出する分析部と、
前記分析結果と、前記分析結果の導出に利用された内容の中の前記評価用情報によって指定される項目の値とを、前記管理サーバに送信する第2の通信インターフェースと、を含み、
前記管理サーバは、
前記分析結果と前記評価用情報によって指定された項目の値とを出力する出力部をさらに含む、分析システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの項目は、分析条件、および、前記分析部において前記分析結果のために導出された基礎データの中の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の分析システム。
【請求項3】
前記分析条件は、試薬情報、消耗品情報、検量線情報、使用ソフトウェア、成分同定に使用した情報、前処理プロトコル情報、および分析メソッド情報の中の少なくとも1つを含む、請求項2に記載の分析システム。
【請求項4】
前記基礎データは、サンプルについて取得される、マススペクトルおよびマスクロマトグラムの中の少なくとも1つを含む、請求項2または請求項3に記載の分析システム。
【請求項5】
前記管理サーバに、サンプルの検査の指示を送信する指示サーバをさらに備え、
前記出力部は、前記指示サーバからの前記検査の指示の内容を出力し、
前記分析の指示および前記評価用情報の入力は、前記出力部が前記検査の指示を出力した後で受け付けられる、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項6】
前記入力部は、サンプルごとに、前記出力部が前記分析結果と前記評価用情報として指定された項目の値とを出力した後、前記分析結果の評価を受け付け、
前記第1の通信インターフェースは、前記評価の値として適正を有するサンプルについて、前記指示サーバに前記分析結果を送信する、請求項5に記載の分析システム。
【請求項7】
前記第1の通信インターフェースは、前記評価の値として不適正を有するサンプルについて、前記分析装置に再分析の指示を送信する、請求項6に記載の分析システム。
【請求項8】
サンプルを分析する分析装置を管理する管理サーバであって、
サンプルごとに、分析の指示および分析の評価用情報の入力を受け付ける入力部を備え、
前記評価用情報は、前記分析装置が分析結果の導出のために利用する内容の少なくとも1つの項目を指定し、
前記分析の指示と前記評価用情報のリクエストとを前記分析装置に送信する通信インターフェースと、
前記分析装置から送信された、前記分析の指示に応じた分析結果と、前記評価用情報によって指定された項目の値とを出力する出力部と、をさらに備える、管理サーバ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの項目は、分析条件、および、前記分析装置において前記分析結果のために導出された基礎データの中の少なくとも1つを含む、請求項8に記載の管理サーバ。
【請求項10】
前記分析条件は、試薬情報、消耗品情報、検量線情報、使用ソフトウェア、成分同定に使用した情報、前処理プロトコル情報、および分析メソッド情報の中の少なくとも1つを含む、請求項9に記載の管理サーバ。
【請求項11】
前記基礎データは、サンプルについて取得される、マススペクトルおよびマスクロマトグラムの中の少なくとも1つを含む、請求項9または請求項10に記載の管理サーバ。
【請求項12】
前記通信インターフェースは、指示サーバから、サンプルの検査の指示を受信し、
前記出力部は、前記指示サーバからの前記検査の指示の内容を出力し、
前記分析の指示および前記評価用情報の入力は、前記通信インターフェースが前記検査の指示を受信した後に受け付る、請求項8~請求項11のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項13】
前記入力部は、サンプルごとに、前記出力部が前記評価用情報として指定された項目の値を出力した後、前記分析結果の評価を受け付け、
前記通信インターフェースは、前記評価の値として適正を有するサンプルについて、前記指示サーバに前記分析結果を送信する、請求項12に記載の管理サーバ。
【請求項14】
前記通信インターフェースは、前記評価の値として不適正を有するサンプルについて、前記分析装置に再分析の指示を送信する、請求項13に記載の管理サーバ。
【請求項15】
サンプルを分析する分析装置であって、
管理サーバから、サンプルごとに、分析の指示と分析の評価用情報のリクエストとを受信する通信インターフェースを備え、
前記評価用情報は、前記分析装置がサンプルの分析結果の導出のために利用する内容の少なくとも1つの項目を指定し、
前記分析の指示に応じて、サンプルを分析することにより分析結果を導出する分析部をさらに備え、
前記通信インターフェースは、前記分析結果と、前記評価用情報によって指定された項目の値とを前記管理サーバに送信する、分析装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの項目は、分析条件、および、前記分析部において前記分析結果のために導出された基礎データの中の少なくとも1つを含む、請求項15に記載の分析装置。
【請求項17】
前記分析条件は、試薬情報、消耗品情報、検量線情報、使用ソフトウェア、成分同定に使用した情報、前処理プロトコル情報、および分析メソッド情報の中の少なくとも1つを含む、請求項16に記載の分析装置。
【請求項18】
前記基礎データは、前記サンプルについて取得された、マススペクトルおよびマスクロマトグラムの中の少なくとも1つを含む、請求項16または請求項17に記載の分析装置。
【請求項19】
管理サーバのコンピュータによって実行されることにより、前記コンピュータに、分析装置による分析結果を管理させる方法を実施させるプログラムであって、
前記方法は、
サンプルごとに、分析の指示および分析の評価用情報の入力を受け付けるステップを含み、
前記評価用情報は、前記分析装置が分析結果の導出のために利用する内容の少なくとも1つを指定し、
前記方法は、さらに、
前記分析の指示と前記評価用情報のリクエストとを分析装置に送信するステップと、
前記分析装置から送信された、前記分析の指示に応じた分析結果と、前記評価用情報によって指定された項目の値とを出力するステップとをさらに含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分析装置によるサンプルの分析結果の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床または研究において、サンプル(たとえば、血液または尿)の分析に、分析装置が利用されている。このような分析装置として、たとえば、LC-MS/MS(Liquid Chromatograph-tandem Mass Spectrometer)が知られている。
【0003】
分析装置による分析を管理するシステムは、LIS(Laboratory Information System)と称される場合がある。LISは、ユーザ(たとえば、検査技師)からの、分析装置への指示を受け付ける。LISは、また、分析装置から出力された分析結果をユーザに提示する。
【0004】
病院では、LISに加えて、HIS(Hospital Information System)と呼ばれる管理装置がさらに利用される場合がある。HISは、医師からの分析の指示をLISに伝えるためのシステムである。特許文献1(特開2020-51838号公報)は、病院において、LISおよびHISを利用して、分析装置による分析を管理する構成を開示している。この構成では、LISは、分析装置から出力された分析結果をHISに報告する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-51838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザは、LISによって提示された分析結果を、最終的な分析結果として(たとえばHISへの報告に)利用してよいか否かという観点から評価する。当該評価において、ユーザは、分析装置による分析が適正に行われたか否かを判定する。特許文献1に記載されたような技術では、分析が適正に行われたと判定すると、ユーザは、LISにHISへ上記分析結果を報告させる。
【0007】
分析が適正に行われていないと判定すると、ユーザは、分析に影響しうる情報(例えば試薬情報、検量線、マススペクトル等)を精査する。このような場合、ユーザは、必要に応じて分析装置まで分析に影響しうる情報を確認しにいくことを必要とされていた。すなわち、ユーザは、分析結果の評価のために、わざわざ分析装置まで上記情報を確認しにいくという余計な手間と時間を必要とされていた。
【0008】
本開示は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、ユーザが分析装置から出力される分析結果を容易に評価できるようにするための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、分析装置と、前記分析装置における分析を管理する管理サーバと、を備え、前記管理サーバは、サンプルごとに、分析の指示および分析の評価用情報の入力を受け付ける入力部と、前記分析の指示と前記評価用情報のリクエストとを前記分析装置に送信する第1の通信インターフェースと、を含み、前記評価用情報は、前記分析装置が分析結果の導出のために利用する内容の少なくとも1つの項目を指定し、前記分析装置は、前記分析の指示に応じてサンプルを分析することにより分析結果を導出する分析部と、前記分析結果と、前記分析結果の導出に利用された内容の中の前記評価用情報によって指定される項目の値とを、前記管理サーバに送信する第2の通信インターフェースと、を含み、前記管理サーバは、前記分析結果と前記評価用情報によって指定された項目の値とを出力する出力部をさらに含む分析システムに関する。
【0010】
本発明の第2の態様は、サンプルを分析する分析装置を管理する管理サーバであって、サンプルごとに、分析の指示および分析の評価用情報の入力を受け付ける入力部を備え、前記評価用情報は、前記分析装置が分析結果の導出のために利用する内容の少なくとも1つの項目を指定し、前記分析の指示と前記評価用情報のリクエストとを前記分析装置に送信する通信インターフェースと、前記分析装置から送信された、前記分析の指示に応じた分析結果と、前記評価用情報によって指定された項目の値とを出力する出力部と、をさらに備える、管理サーバに関する。
【0011】
本発明の第3の態様は、サンプルを分析する分析装置であって、管理サーバから、サンプルごとに、分析の指示と分析の評価用情報のリクエストとを受信する通信インターフェースを備え、前記評価用情報は、前記分析装置がサンプルの分析結果の導出のために利用する内容の少なくとも1つの項目を指定し、前記分析の指示に応じて、サンプルを分析することにより分析結果を導出する分析部をさらに備え、前記通信インターフェースは、前記分析結果と、前記評価用情報によって指定された項目の値とを前記管理サーバに送信する、分析装置に関する。
【0012】
本発明の第4の態様は、管理サーバのコンピュータによって実行されることにより、前記コンピュータに、分析装置による分析結果を管理させる方法を実施させるプログラムであって、前記方法は、サンプルごとに、分析の指示および分析の評価用情報の入力を受け付けるステップを含み、前記評価用情報は、前記分析装置が分析結果の導出のために利用する内容の少なくとも1つを指定し、前記方法は、さらに、前記分析の指示と前記評価用情報のリクエストとを分析装置に送信するステップと、前記分析装置から送信された、前記分析の指示に応じた分析結果と、前記評価用情報によって指定された項目の値とを出力するステップとをさらに含む、プログラムに関する。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、評価用情報は、分析装置が分析結果の導出のために利用する内容の1以上の項目の中の少なくとも1つを指定する。管理サーバは、分析装置から、分析結果と評価用情報によって指定された項目の値とを取得する。管理サーバのユーザは、評価用情報によって指定された項目の値を確認して、分析結果を評価できる。これにより、ユーザは、わざわざ分析装置まで移動することを必要とされることなく、分析結果を評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る分析システム100の構成を示す概略図である。
図2図1のステップ(11)において受け付けられた評価が「不適正」であったときの流れを示す図である。
図3】HIS5のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】LIS1のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】分析装置3の構成の一例を示す図である。
図6】入力画面SC1の一例を示す図である。
図7】入力画面SC1の他の例を示す図である。
図8】結果画面SC2の一例を示す図である。
図9】HIS5、LIS1、および分析装置3のそれぞれにおいて実行される処理のフローチャートである。
図10】HIS5、LIS1、および分析装置3のそれぞれにおいて実行される処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一の符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0016】
[1.分析システムの構成]
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る分析システム100の構成を示す概略図である。一実現例では、分析システム100は、病院などの医療機関において、患者から採取されたサンプルの分析結果を管理するシステムとして実現される。分析システム100は、LIS1と、分析装置3と、HIS5とを含む。
【0018】
LIS1は、臨床検査に関する業務を電子的に管理する。LIS1は、検査技師により操作され、分析装置3における分析を管理するサーバとして例示される。検査技師は、LIS1のユーザの一例である。
【0019】
分析装置3は、サンプルを分析することにより、当該サンプルの分析結果を導出する。サンプルは、たとえば、血液、尿、または、他の代謝物である。分析装置3は、図5を参照して後述されるようにLC-MS/MSであってもよいが、定性分析および/または定量分析によりサンプルの分析結果を導出できる装置であれば他の種類の装置であってもよい。分析装置3とLIS1とは有線または無線で接続される。図1の例では、分析装置3とLIS1とはネットワーク7Aを介して接続される。
【0020】
HIS5は、病院の業務を電子的に管理し、電子カルテとも呼ばれる。HIS5は、医師または看護師からの検査の指示および結果、ならびに、診断内容を管理するサーバとして例示される。HIS5とLIS1とは有線または無線で接続される。図1の例では、HIS5とLIS1とはネットワーク7Bを介して接続される。
【0021】
[2.分析システムにおける処理の概要]
【0022】
図1において、(1)~(14)は、分析システム100において実施される処理の順序を表す。以下、(1)~(14)を参照して、処理の流れを説明する。
【0023】
ステップ(1)において、HIS5は、検査項目の入力を受け付ける。検査項目とは、分析装置3から出力されることが期待される値の種類を特定する。例えば、患者がある疾病に罹患しているか否かを判定したい場合、医師は、その疾病のマーカとなる物質の血中濃度を必要とする。この場合、医師は、検査項目として、当該物質の血中濃度をHIS5に入力する。
【0024】
ステップ(2)において、HIS5は、検査の指示をLIS1に送信する。検査の指示は、検査項目を含む。
【0025】
ステップ(3)において、サンプルが患者から採取される。採取されるサンプルの種類は、ステップ(1)においてHIS5に入力された検査項目に対応する。たとえば、検査項目が所与の物質の血中濃度であれば、患者から血液が採取される。患者からのサンプルを採取する者は、サンプルの種類によって特定され得る。たとえば、サンプルとして血液が採取される場合、医師や看護師などの、所与の資格を有する者がサンプルを採取する。サンプルとして尿が採取される場合、患者自身がサンプルを採取しても良い。
【0026】
ステップ(4)において、サンプルが分析装置3に収納される。サンプルは、たとえば検査技師によって収納される。
【0027】
ステップ(5)において、分析装置3は、LIS1にサンプルの分析項目を問い合わせる。
【0028】
ステップ(6)において、LIS1は、分析項目と評価用情報とを受け付ける。
【0029】
分析項目は、検査項目と同様に、分析装置3から出力されることが期待される値の種類を特定する。検査技師は、ステップ(2)においてHIS5からLIS1に送信された検査項目を、そのまま分析項目としてLIS1に入力してもよい。検査技師は、また、上記検査の指示に含まれる検査項目と、当該検査項目に関連する他の項目とを、分析項目としてLIS1に入力してもよい。
【0030】
評価用情報は、分析装置3において分析結果の導出のために利用される1以上の項目の中の少なくとも1つを指定する情報である。一実現例では、評価用情報は、分析に利用された試薬を指定する。分析装置3において分析結果の導出のために利用される1以上の項目、および、評価用情報は、図6を参照して後述される。
【0031】
ステップ(7)において、LIS1は、分析装置3に、分析の指示と評価用情報のリクエストを送信する。分析の指示は、ステップ(6)において入力された分析項目を含む。
【0032】
ステップ(8)において、分析装置3は、LIS1からの分析の指示に基づいて、サンプルの分析を実行する。
【0033】
ステップ(9)において、分析装置3は、LIS1に、分析結果および評価用情報によって指定された項目の値を送信する。分析装置3は、LIS1からの分析の指示に含まれる分析項目に応じて、分析結果を導出し、LIS1に送信する。分析装置3は、分析装置3において、評価用情報によって指定された項目の値を特定し、LIS1に送信する。たとえば、評価用情報が分析に利用された試薬を指定する場合、分析装置3は、分析装置3内の所与の記憶装置から当該試薬を特定する情報(たとえば、試薬名)を読み出し、LIS1に送信する。
【0034】
ステップ(10)において、LIS1は、ステップ(9)において分析装置3から送信された情報を出力する。すなわち、LIS1は、分析結果および評価用情報によって指定された項目の値を出力する。検査技師は、分析結果を評価する。検査技師は、さらに、評価用情報によって指定された項目の値を参照することにより、分析結果を評価できる。
【0035】
ステップ(11)において、LIS1は、検査技師からの分析結果の評価を受け付ける。一実現例では、評価として、「適正」または「不適正」のいずれかの値が入力される。
【0036】
ステップ(12)は、評価として値「適正」が入力された場合に実施される。ステップ(12)では、LIS1は、HIS5に、検査結果として、ステップ(9)において分析装置3から送信された分析結果を送信する。
【0037】
ステップ(13)において、HIS5は、検査結果を出力する。医師は、当該検査結果を確認する。
【0038】
ステップ(14)において、医師は、検査結果に基づいて診断を行なう。
【0039】
図2は、図1のステップ(11)において受け付けられた評価が「不適正」であったときの流れを示す図である。図2において、(21)~(24)は、分析システム100においてステップ(11)の後に実施される処理の順序を表す。図2の例では、ステップ(11)の後、LIS1の処理は、ステップ(21)に進む。
【0040】
ステップ(21)において、LIS1は、検査技師から、再分析の指示および評価用情報を受け付ける。再分析の指示は、ステップ(7)の分析の指示と同様に、分析項目を含む。
【0041】
ステップ(22)において、LIS1は、分析装置3に、再分析の指示および評価用情報のリクエストを送信する。
【0042】
ステップ(23)において、分析装置3は、再分析の指示に基づいて、サンプルの再分析を実行する。
【0043】
ステップ(24)において、分析装置3は、LIS1に、再分析の分析結果、および、評価用情報(ステップ(22))によって指定された項目の値を送信する。
【0044】
その後、分析システム100では、上述した図1のステップ(10)以降と同様の流れで処理が進む。すなわち、LIS1は、ステップ(10)において、再分析の分析結果および評価用情報によって指定された項目の値を出力する。検査技師は、再分析の分析結果を確認し、また、評価用情報によって指定された項目の値を参照することにより、再分析の分析結果を評価できる。LIS1は、その後、検査技師からの分析結果の評価を受け付ける。
【0045】
図1および図2を参照して説明された流れによれば、LIS1は、分析結果だけでなく、評価用情報によって指定された項目の値を取得する。評価用情報によって指定された項目の値は、HIS5への分析結果の送信の可否のためだけでなく、事後的に分析結果を評価する際にも利用され得る。これにより、検査技師は、事後的に分析結果のトレーサビリティを要求された場合にも、容易に対応し得る。
【0046】
[3.ハードウェア構成]
【0047】
(1)HIS
【0048】
図3は、HIS5のハードウェア構成の一例を示す図である。図3を参照して、HIS5は、プロセッサ50、記憶部51、I/O(Input/Output)インターフェース53、通信インターフェース55、ディスプレイ56、および入力部57を含む。
【0049】
プロセッサ50は、HIS5全体を制御し、一実現例では、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)によって実現される。
【0050】
記憶部51は、たとえば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)および/またはHDD(Hard Disk Drive)によって実現される。ROMは、プロセッサ50によって実行されるプログラムを格納することができる。RAMは、プロセッサ50におけるプログラムの実行中に利用されるデータを一時的に格納することができ、作業領域として利用される一時的なデータメモリとして機能することができる。HDDは、不揮発性の記憶装置である。HDDに加えて、あるいは、HDDに代えて、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を採用してもよい。上記プログラムおよび/またはデータは、プロセッサ50がアクセス可能な外部の記憶装置に格納されていてもよい。
【0051】
記憶部51は、プログラム格納領域510およびデータ格納領域511を含む。HIS5はプログラム格納領域510に格納されたプログラムに従って動作するように構成される。プログラム格納領域510には、例えば、LIS1に分析の指示を出すためのプログラムが格納される。データ格納領域511には、例えば、患者の診察結果が格納される。
【0052】
通信インターフェース55は、HIS5が外部機器(たとえば、LIS1)と無線または有線で通信するためのインターフェースである。
【0053】
I/Oインターフェース53は、外部信号をHIS5へ入力するための、またはHIS5からの信号を外部機器へ出力するためのインターフェースである。HIS5は、I/Oインターフェース53を介して、入力部57およびディスプレイ56に接続される。
【0054】
入力部57は、検査技師からの入力を受け付ける。入力は、HIS5に対する指示を含む。入力部57は、入力装置によって実現される。入力装置は、たとえば、キーボード、マウス、および/または、ディスプレイ56の表示画面と一体的に構成されたタッチパネルである。
【0055】
ディスプレイ56は、表示装置の一例であり、例えば液晶ディスプレイである。
【0056】
以上の説明では、HIS5は単体のサーバとして説明されたが、これに限定されない。HIS5は、2台以上のコンピュータが連携することによって実現されてもよい。例えば、HIS5は、記憶部51を含むサーバと、当該サーバと通信する端末とによって構成されてもよい。端末は、一実現例では、医師によって所有され、入力部57およびディスプレイ56を含む。
【0057】
(2)LIS
【0058】
図4は、LIS1のハードウェア構成の一例を示す図である。図4を参照して、LIS1は、プロセッサ10、記憶部11、I/Oインターフェース13、通信インターフェース15、ディスプレイ16および入力部17を含む。
【0059】
プロセッサ10は、LIS1全体を制御し、一実現例では、少なくとも1つのCPUによって実現される。
【0060】
記憶部11は、たとえば、ROM、RAMおよび/またはHDDによって実現される。ROMは、プロセッサ10によって実行されるプログラムを格納することができる。RAMは、プロセッサ10におけるプログラムの実行中に利用されるデータを一時的に格納することができ、作業領域として利用される一時的なデータメモリとして機能することができる。HDDは、不揮発性の記憶装置である。HDDに加えて、あるいは、HDDに代えて、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を採用してもよい。上記プログラムおよび/またはデータは、プロセッサ10がアクセス可能な外部の記憶装置に格納されていてもよい。
【0061】
記憶部11は、プログラム格納領域110およびデータ格納領域111を含む。LIS1はプログラム格納領域110に格納されたプログラムに従って動作するように構成される。プログラム格納領域110には、例えば、評価用情報等のリクエストに関するプログラムが格納される。
【0062】
通信インターフェース15は、LIS1が外部機器(たとえば、HIS5および分析装置3)と通信するためのインターフェースである。
【0063】
I/Oインターフェース13は、外部信号をLIS1へ入力するための、またはLIS1からの信号を外部機器へ出力するためのインターフェースである。LIS1は、I/Oインターフェース13を介して、入力部17およびディスプレイ16に接続される。
【0064】
入力部17は、検査技師からの入力を受け付ける。入力は、LIS1に対する指示を含む。入力部17は、入力装置によって実現される。入力装置は、たとえば、キーボード、マウス、および/または、ディスプレイ16の表示画面と一体的に構成されたタッチパネルである。
【0065】
ディスプレイ16は、表示装置の一例であり、例えば液晶ディスプレイである。
【0066】
以上の説明では、LIS1は単体のサーバとして説明されたが、これに限定されない。LIS1は、2台以上のコンピュータが連携することによって実現されてもよい。例えば、LIS1は、記憶部11を含むサーバと、当該サーバと通信する端末とによって構成されていてもよい。端末は、一実現例では、検査技師によって所有され、入力部17およびディスプレイ16を含む。
【0067】
(3)分析装置
【0068】
図5は、分析装置3の構成の一例を示す図である。図5を参照して、分析装置3は、例えばLC-MS/MSであり、制御部300、収納部32、検出部33、前処理部34、液体クロマトグラフ38および質量分析器39を含む。液体クロマトグラフは、LCと標記される場合がある。質量分析器は、MSと標記される場合がある。
【0069】
制御部300は、収納部32、検出部33、前処理部34、液体クロマトグラフ38および質量分析器39を制御する。制御部300は、プロセッサ30、記憶部31、通信インターフェース35、ディスプレイ36および入力部37を含む。
【0070】
プロセッサ30は、分析装置3全体を制御し、一実現例では、少なくとも1つのCPUによって実現される。
【0071】
記憶部31は、たとえば、ROM、RAMおよび/またはHDDによって実現される。ROMは、プロセッサ30によって実行されるプログラムを格納することができる。RAMは、プロセッサ30におけるプログラムの実行中に利用されるデータを一時的に格納することができ、作業領域として利用される一時的なデータメモリとして機能することができる。HDDは、不揮発性の記憶装置である。HDDに加えて、あるいは、HDDに代えて、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を採用してもよい。上記プログラムおよび/またはデータは、プロセッサ30がアクセス可能な外部の記憶装置に格納されていてもよい。
【0072】
記憶部31は、プログラム格納領域310およびデータ格納領域311を含む。分析装置3はプログラム格納領域310に格納されたプログラムに従って動作するように構成される。プログラム格納領域310には、例えば、分析装置3の制御に関するプログラムが格納される。データ格納領域311には、例えば、分析条件、基礎データ等が格納される。
【0073】
通信インターフェース35は、分析装置3が外部機器(たとえば、LIS1)と通信するためのインターフェースである。
【0074】
入力部37は、検査技師からの入力を受け付ける。入力は、分析装置3に対する指示を含む。入力部37は、入力装置によって実現される。入力装置は、例えば、ディスプレイ16の表示画面と一体的に構成されたタッチパネル、ボタン、および/またはスイッチである。
【0075】
ディスプレイ36は、表示装置の一例であり、例えば液晶ディスプレイである。
【0076】
収納部32は、作業者(たとえば検査技師)により、所定の容器に収納されるサンプルを収容する。分析装置3は、収納部32へ自動的にサンプルを収納するための機構(搬送システム)を有していてもよい。
【0077】
検出部33は、収納部32へのサンプルの収納を検出し、また、収納部32に収納されたサンプルを識別する情報(サンプルID)を読み取る。検出部33は、サンプルの収納の検出のために、たとえば光学センサを含む。検出部33は、また、サンプルIDの検出のために、バーコードリーダを含む。サンプルの容器には、たとえば、サンプルIDを提示する識別子が付されている。識別子は、バーコードであってもよいし、他のいかなる種類の識別子(QRコード(登録商標)、ICチップ、など)であってもよい。サンプルIDは、サンプルが採取された分析対象(たとえば患者)のID、サンプルを採取した日時、および/またはサンプルの種類(たとえば、尿、血液)と関連付けられていてもよい。
【0078】
前処理部34は、サンプルに対して、液体クロマトグラフ38および/または質量分析器39による測定に適した状態にするための前処理を実施する。前処理は、たとえば、サンプル中のタンパク質の変性、不純物の除去、目的成分の抽出もしくは誘導体化、希釈、濃縮、酵素処理、および、遠心分離の中の少なくとも1つを含む。
【0079】
液体クロマトグラフ38は、サンプルを成分ごとに分離する。
【0080】
質量分析器39は、タンデム質量分析計であってもよく、マスクロマトグラムを測定により得る。質量分析器39は、また、液体クロマトグラフ38から導入されるサンプルの各成分のマススペクトルを測定し、当該マススペクトルのパターンを所与のデータベースと照合することにより、サンプルの各成分を同定する。さらに、質量分析器39は、サンプルの各成分に対応するピーク値の、標準物質のピーク値に対する比を算出することにより、各成分の濃度値を出力する。
【0081】
分析装置3では、液体クロマトグラフ38および/または質量分析器39は、サンプルの測定結果および各種の物質の濃度値を導出する。物質の濃度値は、分析結果の一例である。この意味において、分析装置3では、前処理部34、液体クロマトグラフ38、および質量分析器39によって、分析結果を導出する分析部が構成される。分析部は、分析結果を導出するために、定性分析および/または定量分析を実施する。定性分析は、たとえば、マススペクトルのパターンとデータベースとを照合することによる、成分同定である。定量分析は、たとえば、マスクロマトグラムのピーク面積を用いた物質の濃度値の測定である。
【0082】
一実現例では、前処理部34、液体クロマトグラフ38および質量分析器39のそれぞれにおいて分析結果を導出するために利用された内容は、記憶部31に格納される。プロセッサ30は、LIS1からの評価用情報のリクエストに応じて、記憶部31内に格納された情報から評価用情報において指定される項目の値を読み出す。
【0083】
以上の説明では、分析装置3は、制御部300、前処理部34、液体クロマトグラフ38および質量分析器39を一体化した装置として説明されたが、これに限定されない。分析装置3は、1つまたは複数のコンピュータおよび1つまたは複数の分析機器の集合体によって構成されていてもよい。例えば、前処理部34は、液体クロマトグラフ38および質量分析器39に対して独立した装置であってもよい。制御部300は、前処理部34に含まれていてもよいし、液体クロマトグラフ38および質量分析器39に含まれていてもよい。制御部300は、記憶部31を有するコンピュータと、当該コンピュータと通信する端末とによって構成されてもよい。端末は、入力部37およびディスプレイ36を有する。
【0084】
[4.従来の分析システムとの対比]
【0085】
従来の分析システムにおいて、検査技師は、LISを用いて、分析装置に、サンプルの分析の指示を送信していた。分析は、定量分析(たとえば、特定の成分の濃度計測)であってもよいし、定性分析(たとえば、多成分の一斉スクリーニング)であってもよい。上記指示に応じて、分析装置は、LISに、分析結果を送信した。検査技師は、LISで、分析装置からの分析結果を確認した。
【0086】
検査技師は、分析結果を確認したとき、分析の精度に疑念を持つ場合がある。検査技師は、このような場合、分析結果の導出のために利用された内容(たとえば、分析に利用された試薬、マスクロマトグラム等)を確認するために、分析装置(が設置されている場所)まで行く必要があった。すなわち、ユーザは、分析結果の評価のために、分析装置まで移動するという追加的な作業を必要とされた。
【0087】
一方、本実施の形態に係る分析システム100では、分析結果の導出のために利用される内容の少なくとも1つの項目が、評価用情報として入力される。より具体的には、検査技師は、LIS1に評価用情報を入力する。これに応じて、LIS1は、分析装置3に、分析の指示とともに、評価用情報のリクエストを送信する。分析装置3は、分析結果と共に、評価用情報によって指定される項目の値を、LIS1に送信する。これにより、検査技師は、分析結果とともに、評価用情報によって指定された項目の値を参照し、分析結果を評価し得る。評価用情報によって指定された項目の値が、分析結果とともにLIS1に送信されるので、検査技師は、当該値の確認のために、上述のような追加的な作業を必要とされない。したがって、分析システム100は、分析システムの品質管理の作業効率向上に貢献する。
【0088】
[5.ユーザインターフェース]
【0089】
次に、図6図8を用いて、LIS1において表示されるユーザインターフェースについて説明する。図6図8のそれぞれに記載される各画面は、例えばLIS1のプロセッサ10が所与のアプリケーションを実行することによって、ディスプレイ16に表示される。
【0090】
(1.入力画面)
【0091】
図6は、入力画面SC1の一例を示す図である。入力画面SC1は、検査技師からの分析項目および評価用情報の入力を受け付けるために表示される(図1のステップ(6))。入力画面SC1は、欄SC11~SC14を含む。
【0092】
欄SC11は、サンプルIDを含む。欄SC11は、さらに、検査技師による入力画面SC1での選択を分析装置3に向けて送信するための送信ボタンを含む。
【0093】
欄SC12は、一般項目を含む。一般項目は、分析装置3での分析に関する一般的な情報の項目を意味する。図6の例では、一般項目として、項目「分析実施者」「分析日時」「分析装置内での再分析の有無」が示されている。
【0094】
欄SC13は、分析項目を含む。図6の例では、分析項目として、複数の物質(物質X,Y,Z)の濃度値が示されている。
【0095】
欄SC14は、補助項目を含む。補助項目は、上述の「分析結果の導出のために利用される内容」に相当する。
【0096】
図6の例では、補助項目として、項目「試薬情報」「消耗品情報」「検量線情報」「使用ソフトウェア」「成分同定に使用した情報」「前処理プロトコル情報」「分析メソッド情報」「マススペクトル」および「マスクロマトグラム」が示される。
【0097】
補助項目は、分析条件と、基礎データとに分類され得る。「試薬情報」「消耗品情報」「検量線情報」「使用ソフトウェア」「成分同定に使用した情報」「前処理プロトコル情報」および「分析メソッド情報」のそれぞれは、分析条件の具体例である。「マススペクトル」および「マスクロマトグラム」のそれぞれは、基礎データの具体例である。
【0098】
分析条件は、サンプルの分析のための分析装置3における設定を意味する。
【0099】
基礎データは、分析装置3が、サンプルの最終的な分析結果を導出するために、当該サンプルについて取得したデータを意味する。たとえば、サンプル中の物質Yの濃度値を取得するために、分析装置3は、当該サンプルのマスクロマトグラムを得る。そして、分析装置3は、当該マスクロマトグラムのピーク面積値を利用して、サンプル中の物質Yの濃度値を導出する。この場合、物質Yの濃度値が分析項目に対応し、マスクロマトグラムが基礎データに対応する。
【0100】
分析条件の各項目について説明する。「試薬情報」は、サンプルの分析結果の導出に利用された試薬を意味し、たとえば、質量分析器39において所与の物質の濃度値の導出に利用された標準物質の試薬である。
【0101】
「消耗品情報」は、分析装置3において利用された消耗品を意味し、たとえば、質量分析器39の洗浄に利用された試薬である。
【0102】
「検量線情報」は、分析結果の導出に利用された検量線を意味する。図6の例では、「検量線情報」は、グラフ、作成者、作成日時、および、使用試薬/消耗品に細分化されている。グラフは、検量線のグラフを意味する。作成者は、検量線の作成者を意味する。作成日時は、検量線が作成された日時を意味する。使用試薬/消耗品は、検量線の作成に利用された試薬および消耗品を意味する。
【0103】
「使用ソフトウェア」は、分析結果の導出に利用されたソフトウェア、または成分同定に必要な情報を含むデータベースを意味する。たとえば、質量分析器39において所与の物質の濃度値の導出に利用されたソフトウェアである。このソフトウェアの一例は、質量分析器39において、マスクロマトグラムから所与の物質の濃度値を算出するために利用されるソフトウェアである。
【0104】
「成分同定に使用した情報」は、分析結果の導出の一部として成分が同定される場合、当該同定の基準として利用される情報を意味する。
【0105】
「前処理プロトコル情報」は、前処理部34において利用されるプロトコルを規定する情報を意味する。
【0106】
「分析メソッド情報」は、分析結果の導出に利用されたメソッドを規定する情報を意味する。
【0107】
基礎データの各項目について説明する。「マススペクトル」および「マスクロマトグラム」のそれぞれは、分析の結果(成分の同定または濃度値)を算出するのに利用されたマススペクトルおよびマスクロマトグラムのそれぞれを意味する。
【0108】
入力画面SC1において、欄SC13,SC14は、各項目に対応するチェックボックスをさらに含む。検査技師は、欄SC13内のチェックボックスにチェックを入れることにより、当該チェックボックスに対応する項目を分析項目として指定する。検査技師は、欄SC14内のチェックボックスにチェックを入れることにより、当該チェックボックスに対応する項目を評価用情報として指定する。
【0109】
以上、図6を参照して説明された入力画面SC1に含まれる項目は、単なる一例である。たとえば、補助項目を構成する項目は、欄SC14に表示されたものに限定されない。一般項目として欄SC12に含まれる項目が、補助項目を構成してもよい。また、補助項目は、欄SC14に含まれる項目以外の他の項目を含んでいてもよい。他の項目は、たとえば、照合用ライブラリ、または、検体種別(未知検体/キャリブレーション・QC用サンプルの別)である。
【0110】
図6に示された入力画面SC1は、図1のステップ(2)の時点(HIS5からLIS1に検査の指示がなされた時点)で表示される。すなわち、図6に示された入力画面SC1は、HIS5から送信された検査の指示の内容(検査の指示に含まれる検査項目)を表示する。このことから、図6に示された状態では、医師からの分析の指示に対応した項目(物質Yの濃度値)に対応するチェックボックスにのみ、チェックが入っている。
【0111】
図7は、入力画面SC1の他の例を示す図である。図7に示された入力画面SC1は、図1のステップ(6)の時点、すなわち、LIS1が検査技師から分析項目および評価用情報を受け付けた時点で表示される。
【0112】
図7の入力画面SC1では、図6に示された状態でチェックを入れられていなかったチェックボックスにもチェックが入れられている。このことは、図1のステップ(6)において、検査技師がチェックを入れるための操作を行ったことを意味する。
【0113】
たとえば、図7の入力画面SC1の欄SC22では、図6の入力画面SC1ではチェックが入っていなかった項目「分析実施者」「分析日時」および「分析装置内での再分析の有無」についてもチェックが入れられている。このことは、検査技師が、これらの項目についてチェックを入れたことを意味する。
【0114】
また、図7の入力画面SC1の欄SC23では、図6の入力画面SC1ではチェックが入っていなかった項目「物質Zの濃度値」についてもチェックが入れられている。このことは、医師が「物質Yの濃度値」のみを検査項目として指示してきたときに、検査技師がさらに「物質Zの濃度値」も、分析項目として指定できることを意味する。
【0115】
図7の入力画面SC1において送信ボタンが操作されると、LIS1は、図1のステップ(7)として説明されたように、分析装置3に、検査の指示と評価用情報のリクエストとを送信する。検査の指示は、検査項目を含む。検査項目は、欄SC13においてチェックを入れられた項目である。リクエストされる評価用情報は、欄SC14においてチェックを入れられた項目を指定する。
【0116】
図7の例において、LIS1は、欄SC14においてチェックボックスへのチェックを受け付けることによって、評価用情報の入力を受け付ける。LIS1は、送信ボタンへの操作を受け付けることによって、分析の指示を受け付ける。なお、分析の指示には、欄SC13においてどのチェックボックスにチェックが入っているかという情報が含まれる。
【0117】
(2.結果画面)
【0118】
図8は、結果画面SC2の一例を示す図である。結果画面SC2は、図1のステップ(10)として説明された、分析結果および評価用情報によって指定された項目の値の出力の一例として表示される。
【0119】
図8に示されるように、結果画面SC2は、欄SC21~SC23を含む。
【0120】
欄SC21は、入力画面SC1の欄SC11と同様に、サンプルIDを含む。欄SC21は、さらに、報告ボタンおよび再分析ボタンを含む。一実現例では、報告ボタンは分析結果の評価「適正」に対応し、再分析ボタンは分析結果の評価「不適正」に対応する。
【0121】
検査技師は、分析結果が適正であると評価すると、報告ボタンを操作する。これにより、LIS1は、分析結果を、検査結果としてHIS5に送信する。検査技師は、分析結果が不適正であると評価すると、再分析ボタンを操作する。これにより、LIS1は、分析装置3に再分析の指示を送信する。再分析の指示は、分析項目を含む。
【0122】
一実現例では、再分析の指示に含まれる分析項目は、分析の指示に含まれていた分析項目と同じであってもよい。他の実現例では、LIS1は、再分析ボタンの操作に応じて再度入力画面SC1を表示してもよい。このときの入力画面SC1において設定された分析項目が、再分析の指示に含まれる分析項目であってもよい。
【0123】
LIS1は、分析装置3に、再分析の指示とともに、評価用情報のリクエストを送信する。一実現例では、再分析の指示とともに送信されるリクエストが対象とする評価用情報は、分析の指示とともに送信されたリクエストが対象とする評価用情報と同じであってもよい。他の実現例では、LIS1は、再分析ボタンの操作に応じて再度入力画面SC1を表示してもよい。このときの入力画面SC1において設定された評価用情報が、再分析の指示とともに送信されるリクエストが対象とする評価用情報であってもよい。
【0124】
欄SC22は、入力画面SC1の欄SC12と同様に一般項目を含み、さらに、一般項目の値を含む。たとえば、欄SC22は、項目「分析実施者」と、その値「山田太郎」とを含む。なお、欄SC22は、当該欄SC22に含まれる項目のうち、入力画面SC1においてチェックを入れられた項目についてのみ、値を含む。
【0125】
欄SC23は、入力画面SC1の欄SC13と同様に分析項目を含み、さらに、分析項目の値を含む。分析項目の値が、分析結果に相当する。たとえば、欄SC23は、項目「物質Yの濃度値」と値「1.0mg/L」とを含む。項目「物質Yの濃度値」は分析項目の一例であり、値「1.0mg/L」は分析結果の一例である。欄SC23は、項目「物質Zの濃度値」と値「エラーフラグAA」とを含む。項目「物質Zの濃度値」は、分析項目の他の例であり、値「エラーフラグAA」は、分析結果の他の例である。値「エラーフラグAA」は、対応する分析項目の分析が正常に完了しなかったことと、その原因の分類(エラーフラグAA)とを意味する。
【0126】
欄SC23は、当該欄SC23に含まれる項目のうち、入力画面SC1においてチェックを入れられた項目についてのみ、値を含む。欄SC23は、項目「物質Xの濃度値」を含むが、この項目の値は含まない。このことは、入力画面SC1において、項目「物質Xの濃度値」のチェックボックスにはチェックが入れられていなかったことを意味する。
【0127】
欄SC24は、入力画面SC1の欄SC14と同様に補助項目を含み、さらに、補助項目の値を含む。たとえば、欄SC24は、項目「試薬情報」と、その値「試薬A(ロットABC)」とを含む。「試薬A」は、試薬の名称の一例である。「ロットABC」は、分析装置3において利用されたロット番号を特定する情報である。すなわち、分析装置3は、LIS1に、評価用情報によって指定された項目の値として、試薬の名称とロット番号とを送信し、LIS1は、試薬の名称とロット番号とを欄SC24に表示する。
【0128】
欄SC24は、項目の値を間接的に表示してもよい。図7の例では、項目「検量線情報」の中の項目「グラフ」の値として、ファイルのリンク情報(検量線グラフリンク)が示されている。LIS1は、当該リンク情報をクリックされることにより、検量線グラフの画像ファイルを読み出し、ディスプレイ16に表示する。この場合、分析装置3は、LIS1に、評価用情報によって指定された項目の値として検量線グラフの画像ファイルを送信する。LIS1は、欄SC24に、当該画像ファイルを直接表示する代わりに、上記リンク情報を表示する。
【0129】
欄SC24は、当該欄SC24に含まれる項目のうち、入力画面SC1においてチェックを入れられた項目についてのみ、値を含む。欄SC24は、項目「マスクロマトグラム」を含むが、この項目の値は含まない。このことは、入力画面SC1において、項目「マスクロマトグラム」のチェックボックスにはチェックが入れられていなかったことを意味する。
【0130】
図7を参照して説明されたように、補助項目は、項目「試薬」を含む。入力画面SC1においてこの項目にチェックを入れていれば、検査技師は、結果画面SC2において、試薬の名前を確認できる。これにより、検査技師は、指定された分析項目の分析には使用されるべき試薬以外の試薬が誤って分析に用いられていた場合に気づくことができる。
【0131】
結果画面SC2では、さらに、項目「試薬」の値は、ロット番号を含む。これにより、検査技師は、検査に利用された試薬のロットから、古すぎる試薬が利用されたこと、または、分析結果に異常が出ることが懸念されているロットの試薬が利用されたことに気づくことができる。
【0132】
結果画面SC2の項目「グラフ」の値は、検量線グラフの画像ファイルに対応する。すなわち、検査技師は、結果画面SC2を利用して、検量線グラフの画像ファイルを確認できる。これにより、検査技師は、分析の基礎となる検量線グラフ自体が異常である場合に気づくことができる。
【0133】
結果画面SC2は、項目「ソフトウェア」「成分同定に使用した情報」「前処理プロトコル情報」「分析メソッド情報」の値を含む。これらの値を参照することにより、検査技師は、分析を不適正にする要因を包括的に検討できる。
【0134】
結果画面SC2は、さらに、基礎データ(「マススペクトル」「マスクロマトグラム」)の値を含む。項目「マススペクトル」「マスクロマトグラム」のそれぞれの値は、たとえば2次元データである。検査技師は、基礎データの値として2次元データを確認することで、分析結果の評価において、当該分析結果の前提として測定されたデータが正常であったか否かを確認できる。2次元データは、たとえば、S/N比が正常であるか、クロマトグラムの波形が正常であるか、等の視点に従って確認される。
【0135】
分析システム100では、検査技師は、入力画面SC1においてサンプルごとに、評価用情報として項目を指定できる。結果画面SC2は、サンプルごとに、指定された項目の値を表示する。すなわち、検査技師は、サンプルごとに、必要最小限の情報を得ることができる。これにより、分析結果の評価において、検査技師が情報過多によって負担を強いられる事態が回避され得る。
【0136】
値「エラーフラグAA」として例示されたように、分析結果として表示される値は、分析が正常に完了しなかった場合の原因を表す場合もある。このような場合でも、検査技師は、欄SC24に表示された補助項目の値を参照することにより、分析結果を評価できる。
【0137】
[6.分析システムにおける処理の流れ]
【0138】
図9および図10は、HIS5、LIS1、および分析装置3のそれぞれにおいて実行される処理のフローチャートである。一実現例では、図9および図10に示された処理は、HIS5のプロセッサ50、LIS1のプロセッサ10、および分析装置3の制御部300のプロセッサ30のそれぞれが所与のプログラムを実行することによって実現される。
【0139】
まず図9を参照して、ステップS502において、HIS5は、医師からの検査項目の入力を受け付ける。
【0140】
ステップS504において、HIS5は、当該検査項目を含む検査の指示をLIS1に送信する。
【0141】
ステップS506において、HIS5は、サンプル採取の指示を出力する。指示の出力は、たとえば、ディスプレイ56における指示の表示である。HIS5からの指示に基づいて、患者からサンプルが採取される。一実現例では、看護師は患者からサンプルを採取する。採取されたサンプルは、分析装置3に収納される。
【0142】
ステップS102において、LIS1は、HIS5から送信された検査項目を記憶部11に格納する。
【0143】
ステップS302において、分析装置3は、サンプルの収納を検出すると、サンプルに付された識別子からサンプルIDを読み取る。
【0144】
ステップS304において、分析装置3は、読み取られたサンプルIDに対応する分析項目の問い合わせをLIS1に送信する。
【0145】
ステップS104において、LIS1は、ステップS302において送信された問い合わせをディスプレイ16に表示する。一実現例では、問い合わせは、入力画面SC1として表示されてもよい。
【0146】
ステップS106において、LIS1は、分析項目および評価用情報を受け付ける。一実現例では、分析項目および評価用情報は入力画面SC1への入力として受け付けられる。
【0147】
ステップS107において、LIS1は、分析の指示を受け付ける。分析の指示は、たとえば入力画面SC1の操作ボタンへの操作として受け付けられる。
【0148】
ステップS108において、LIS1は、分析の指示および評価用情報のリクエストを分析装置3に送信する。
【0149】
ステップS306において、分析装置3は、ステップS108において送信された分析の指示に含まれる分析項目および評価用情報のリクエストを記憶部31に格納する。
【0150】
ステップS308において、分析装置3は、分析項目に基づく分析を実行する。
【0151】
ステップS310において、分析装置3は、分析装置3における分析の終了を検出する。
【0152】
ステップS312において、分析装置3は、LIS1に、分析結果および評価用情報によって指定された項目の値を送信する。
【0153】
ステップS110において、LIS1は、ステップS312において送信された、分析結果および評価用情報によって指定された項目の値をディスプレイ16に表示する。表示は、出力の一態様である。
【0154】
ステップS112において、LIS1は、分析結果の評価を受け付ける。
【0155】
ステップS114において、LIS1は、ステップS112において受け付けた評価が「適正」であるか否かを判断する。LIS1は、「適正」であると判断すると(ステップS114においてYES)、ステップS116へ制御を進め、そうでなければ(ステップS114にてNO)、ステップS120(図10)へ制御を進める。
【0156】
ステップS116において、LIS1は、分析結果を、検査結果としてHIS5に送信する。
【0157】
ステップS508において、HIS5は、ステップS116において送信された検査結果をディスプレイ56に表示する。
【0158】
図10を参照して、ステップS120において、LIS1は、分析装置3に、再分析の指示および評価用情報のリクエストを送信する。
【0159】
ステップS320において、分析装置3は、ステップS120において送信された再分析の指示および評価用情報のリクエストを記憶部31に格納する。
【0160】
ステップS322において、分析装置3は、再分析の指示に基づく再分析を実行する。
【0161】
ステップS324において、分析装置3は、再分析の終了を検知する。
【0162】
ステップS326において、分析装置3は、LIS1に、再分析の分析結果、および、評価用情報によって指定される項目の値を送信する。
【0163】
ステップS122において、LIS1は、ステップS326において送信された、再分析の分析結果、および、評価用情報によって指定される項目の値をディスプレイ16に表示する。
【0164】
ステップS128において、LIS1は、再分析の分析結果の評価を受け付ける。その後、LIS1は、ステップS114へ制御を戻す。再分析の分析結果の評価を受け付けた場合、LIS1は、ステップS114において、再分析の分析結果の評価が「適正」であるか否かを判断する。
【0165】
図9および図10を参照して説明された処理では、LIS1は、分析結果に加えて、評価用情報によって指定される項目の値を表示する。検査技師は、LIS1によって表示される値を確認すれば、分析装置3まで移動することなく、分析結果を評価できる。これにより、分析システム100における、分析の品質マネジメントの確立および維持のための検査技師の負担が軽減され得る。
【0166】
[態様]
【0167】
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0168】
(第1項)一態様に係る分析システムは、分析装置と、前記分析装置における分析を管理する管理サーバと、備えていてもよい。前記管理サーバは、サンプルごとに、分析の指示および分析の評価用情報の入力を受け付ける入力部と、前記分析の指示と前記評価用情報のリクエストとを前記分析装置に送信する第1の通信インターフェースと、を含んでいてもよい。前記評価用情報は、前記分析装置が分析結果の導出のために利用する内容の少なくとも1つの項目を指定してもよい。前記分析装置は、前記分析の指示に応じてサンプルを分析することにより分析結果を導出する分析部と、前記分析結果と、前記分析結果の導出に利用された内容の中の前記評価用情報によって指定される項目の値とを、前記管理サーバに送信する第2の通信インターフェースと、を含んでいてもよい。前記管理サーバは、前記分析結果と前記評価用情報によって指定された項目の値とを出力する出力部をさらに含んでいてもよい。
【0169】
第1項に記載の分析システムによれば、評価用情報は、分析装置が分析結果の導出のために利用する内容の1以上の項目の中の少なくとも1つを指定する。管理サーバは、分析装置から、分析結果と評価用情報によって指定された項目の値とを取得する。管理サーバのユーザは、評価用情報によって指定された項目の値を確認して、分析結果を評価できる。これにより、ユーザは、わざわざ分析装置まで移動することを必要とされることなく、分析結果を評価できる。
【0170】
(第2項)第1項に記載の分析システムにおいて、前記少なくとも1つの項目は、分析条件、および、前記分析部において前記分析結果のために導出された基礎データの中の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0171】
第2項に記載の分析システムによれば、評価用情報として、ユーザは、分析結果の評価において、分析条件および/または基礎データを確認できる。分析条件および基礎データは、分析結果の導出に直接的に関与し得る。したがって、ユーザは、分析結果の導出に直接的に関与し得る情報を利用して、分析結果を評価できる。
【0172】
(第3項)第2項に記載の分析システムにおいて、前記分析条件は、試薬情報、消耗品情報、検量線情報、使用ソフトウェア、成分同定に使用した情報、前処理プロトコル情報、および分析メソッド情報の中の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0173】
第3項に記載の分析システムによれば、ユーザは、分析結果の導出に直接的に関与し得る情報を利用して、分析結果を評価できる。
【0174】
(第4項)第2項または第3項に記載の分析システムにおいて、前記基礎データは、サンプルについて取得される、マススペクトルおよびマスクロマトグラムの中の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0175】
第4項に記載の分析システムによれば、ユーザは、分析結果の導出に直接的に関与し得る情報を利用して、分析結果を評価できる。
【0176】
(第5項)第1項~第4項のいずれか1項に記載の分析システムは、前記管理サーバに、サンプルの検査の指示を送信する指示サーバをさらに備えていてもよい。前記出力部は、前記指示サーバからの前記検査の指示の内容を出力してもよい。前記分析の指示および前記評価用情報の入力は、前記出力部が前記検査の指示を出力した後で受け付けられてもよい。
【0177】
第5項に記載の分析システムによれば、管理サーバのユーザは、入力部に、指示サーバからの指示の内容に基づいて、分析の指示および評価用情報を入力できる。
【0178】
(第6項)第5項に記載の分析システムにおいて、前記入力部は、サンプルごとに、前記出力部が前記分析結果と前記評価用情報として指定された項目の値とを出力した後、前記分析結果の評価を受け付けてもよい。前記第1の通信インターフェースは、前記評価の値として適正を有するサンプルについて、前記指示サーバに前記分析結果を送信してもよい。
【0179】
第6項に記載の分析システムによれば、分析結果が適正であると評価されたことを条件として、管理サーバから指示サーバへの分析結果が送信される。
【0180】
(第7項)第6項に記載の分析システムにおいて、前記第1の通信インターフェースは、前記評価の値として不適正を有するサンプルについて、前記分析装置に再分析の指示を送信してもよい。
【0181】
第7項に記載の分析システムによれば、ユーザは、ある分析結果が不適正であると評価された場合に、再分析による新たな分析結果を提供され得る。
【0182】
(第8項)一態様に係る管理サーバは、サンプルを分析する分析装置を管理する管理サーバであってもよい。管理サーバは、サンプルごとに、分析の指示および分析の評価用情報の入力を受け付ける入力部を備えていてもよい。前記評価用情報は、前記分析装置が分析結果の導出のために利用する内容の少なくとも1つの項目を指定してもよい。管理サーバは、前記分析の指示と前記評価用情報のリクエストとを前記分析装置に送信する通信インターフェースと、前記分析装置から送信された、前記分析の指示に応じた分析結果と、前記評価用情報によって指定された項目の値とを出力する出力部と、をさらに備えていてもよい。
【0183】
第8項に記載の管理サーバによれば、評価用情報は、分析装置が分析結果の導出のために利用する内容の1以上の項目の中の少なくとも1つを指定する。管理サーバは、分析装置から、分析結果と評価用情報によって指定された項目の値とを取得する。管理サーバのユーザは、評価用情報によって指定された項目の値を確認して、分析結果を評価できる。これにより、ユーザは、わざわざ分析装置まで移動することを必要とされることなく、分析結果を評価できる。
【0184】
(第9項)第8項に管理サーバは、前記少なくとも1つの項目は、分析条件、および、前記分析装置において前記分析結果のために導出された基礎データの中の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0185】
第9項に記載の管理サーバによれば、評価用情報として、ユーザは、分析結果の評価において、分析条件および/または基礎データを確認できる。分析条件および基礎データは、分析結果の導出に直接的に関与し得る。したがって、ユーザは、分析結果の導出に直接的に関与し得る情報を利用して、分析結果を評価できる。
【0186】
(第10項)第9項に記載の管理サーバにおいて、前記分析条件は、試薬情報、消耗品情報、検量線情報、使用ソフトウェア、成分同定に使用した情報、前処理プロトコル情報、および分析メソッド情報の中の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0187】
第10項に記載の分析システムによれば、ユーザは、分析結果の導出に直接的に関与し得る情報を利用して、分析結果を評価できる。
【0188】
(第11項)第9項または第10項に記載の管理サーバにおいて、前記基礎データは、サンプルについて取得される、マススペクトルおよびマスクロマトグラムの中の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0189】
第11項に記載の分析システムによれば、ユーザは、分析結果の導出に直接的に関与し得る情報を利用して、分析結果を評価できる。
【0190】
(第12項)第8項~第11項のいずれか1項に記載の管理サーバにおいて、前記通信インターフェースは、指示サーバから、サンプルの検査の指示を受信してもよい。前記出力部は、前記指示サーバからの前記検査の指示の内容を出力してもよい。前記分析の指示および前記評価用情報の入力は、前記通信インターフェースが前記検査の指示を受信した後に受け付けられてもよい。
【0191】
第12項に記載の管理サーバによれば、管理サーバのユーザは、入力部に、指示サーバからの指示の内容に基づいて、分析の指示および評価用情報を入力できる。
【0192】
(第13項)第12項に記載の管理サーバにおいて、前記入力部は、サンプルごとに、前記出力部が前記評価用情報として指定された項目の値を出力した後、前記分析結果の評価を受け付けてもよい。前記通信インターフェースは、前記評価の値として適正を有するサンプルについて、前記指示サーバに前記分析結果を送信してもよい。
【0193】
第13項に記載の管理サーバによれば、分析結果が適正であると評価されたことを条件として、管理サーバから指示サーバへの分析結果が送信される。
【0194】
(第14項)第13項に記載の管理サーバにおいて、前記通信インターフェースは、前記評価の値として不適正を有するサンプルについて、前記分析装置に再分析の指示を送信してもよい。
【0195】
第14項に記載の管理サーバによれば、ユーザは、ある分析結果が不適正であると評価された場合に、再分析による新たな分析結果を提供され得る。
【0196】
(第15項)一態様に係る分析装置は、サンプルを分析する分析装置であってもよい。分析装置は、管理サーバから、サンプルごとに、分析の指示と分析の評価用情報のリクエストとを受信する通信インターフェースを備えていてもよい。前記評価用情報は、前記分析装置がサンプルの分析結果の導出のために利用する内容の少なくとも1つの項目を指定してもよい。分析装置は、前記分析の指示に応じて、サンプルを分析することにより分析結果を導出する分析部をさらに備えていてもよい。前記通信インターフェースは、前記分析結果と、前記評価用情報によって指定された項目の値とを前記管理サーバに送信してもよい。
【0197】
第15項に記載の分析装置によれば、評価用情報は、分析装置が分析結果の導出のために利用する内容の1以上の項目の中の少なくとも1つを指定する。管理サーバは、分析装置から、分析結果と評価用情報によって指定された項目の値とを取得する。管理サーバのユーザは、評価用情報によって指定された項目の値を確認して、分析結果を評価できる。これにより、ユーザは、わざわざ分析装置まで移動することを必要とされることなく、分析結果を評価できる。
【0198】
(第16項)第15項に記載の分析装置において、前記少なくとも1つの項目は、分析条件、および、前記分析部において前記分析結果のために導出された基礎データの中の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0199】
第16項に記載の分析装置によれば、評価用情報として、ユーザは、分析結果の評価において、分析条件および/または基礎データを確認できる。分析条件および基礎データは、分析結果の導出に直接的に関与し得る。したがって、ユーザは、分析結果の導出に直接的に関与し得る情報を利用して、分析結果を評価できる。
【0200】
(第17項)第15項に記載の分析装置において、前記分析条件は、試薬情報、消耗品情報、検量線情報、使用ソフトウェア、成分同定に使用した情報、前処理プロトコル情報、および分析メソッド情報の中の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0201】
第17項に記載の分析装置によれば、ユーザは、分析結果の導出に直接的に関与し得る情報を利用して、分析結果を評価できる。
【0202】
(第18項)第15項に記載の分析装置において、前記基礎データは、前記サンプルについて取得された、マススペクトルおよびマスクロマトグラムの中の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0203】
第18項に記載の分析装置によれば、ユーザは、分析結果の導出に直接的に関与し得る情報を利用して、分析結果を評価できる。
【0204】
(第19項)一態様に係るプログラムは、管理サーバのコンピュータによって実行されることにより、前記コンピュータに、分析装置による分析結果を管理させる方法を実施させるプログラムであってもよい。前記方法は、サンプルごとに、分析の指示および分析の評価用情報の入力を受け付けるステップを含んでいてもよい。前記評価用情報は、前記分析装置が分析結果の導出のために利用する内容の少なくとも1つを指定してもよい。前記方法は、さらに、前記分析の指示と前記評価用情報のリクエストとを分析装置に送信するステップと、前記分析装置から送信された、前記分析の指示に応じた分析結果と、前記評価用情報によって指定された項目の値とを出力するステップとをさらに含んでいてもよい。
【0205】
第19項に記載のプログラムによれば、評価用情報は、分析装置が分析結果の導出のために利用する内容の1以上の項目の中の少なくとも1つを指定する。管理サーバは、分析装置から、分析結果と評価用情報によって指定された項目の値とを取得する。管理サーバのユーザは、評価用情報によって指定された項目の値を確認して、分析結果を評価できる。これにより、ユーザは、わざわざ分析装置まで移動することを必要とされることなく、分析結果を評価できる。
【0206】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0207】
1 LIS、3 分析装置、5 HIS、7A,7B ネットワーク、10,30,50 プロセッサ、11,31,51 記憶部、13,53 インターフェース、15,35,55 通信インターフェース、16,36,56 ディスプレイ、17,37,57 入力部、32 収納部、33 検出部、34 前処理部、38 液体クロマトグラフ、39 質量分析器、100 分析システム、110,310,510 プログラム格納領域、111,311,511 データ格納領域、300 制御部、SC1 入力画面、SC2 結果画面、SC11~SC14,SC21~SC24 欄。
図1
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