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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003567
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】吐水装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/05 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
E03C1/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104717
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川添 俊介
(72)【発明者】
【氏名】若原 恭佑
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA05
2D060BB01
2D060BC07
2D060CA04
2D060CA07
2D060CA13
2D060CD09
(57)【要約】
【課題】計量吐水における正確性の向上を図ることができる吐水装置を提供する。
【解決手段】吐水装置1は、吐水部10、水量計測部41、電動開閉弁(第1開閉弁21、第2開閉弁22)、及び制御部50を備えている。吐水部10は、流路(給水流路71、給湯流路72、流出流路73、浄水用流路81)を形成している。水量計測部41は流路を流れる水の水量に応じた出力値を計測する。電動開閉弁は流路を開閉する。制御部50は電動開閉弁の駆動を制御する。制御部50は、吐水量設定操作部(スマートスピーカー3)の操作によって設定される設定水量Wsを吐水部10から吐水するように、水量計測部41の出力値(実測出力値Vr)に基づいて電動開閉弁を駆動する計量吐水制御を実行する。制御部50は、水量計測部41の校正情報を取得する校正情報取得部53を有し、校正情報によって校正された水量計測部41の出力値に基づいて計量吐水制御を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路が形成された吐水部と、
前記流路を流れる水の水量に応じた出力値を計測する水量計測部と、
前記流路を開閉する電動開閉弁と、
前記電動開閉弁の駆動を制御する制御部と、
を備えており、
前記制御部は、前記吐水部から吐水する水量を設定する吐水量設定操作部の操作によって設定される設定水量に関する情報を取得し、前記設定水量を前記吐水部から吐水するように、前記水量計測部が計測する前記出力値に基づいて前記電動開閉弁を駆動する計量吐水制御を実行し、
前記制御部は、前記水量計測部の校正情報を取得する校正情報取得部を有しており、前記校正情報によって校正された前記水量計測部が計測する前記出力値に基づいて前記計量吐水制御を実行する吐水装置。
【請求項2】
前記水量計測部は、水車式フローセンサを有している請求項1に記載の吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の吐水装置を開示している。この吐水装置は、吐水口と、流量センサーと、第1開閉弁と、第1制御部とを備えている。この吐水装置において、第1制御部は、使用者による吐水量を設定する音声操作に基づいて第1開閉弁を開閉し、設定された吐水量の水を吐水口から吐出する制御を実行する。第1制御部は、流量センサーが計測した流量に基づいて、吐水口から出水する水を所定の量とするように、第1開閉弁を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-124691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、第1制御部は、流量センサーが計測した流量に基づいて、吐水口から吐水する水量が所定量となるまでの予測時間を算出し、この予測時間に基づいて、第1開閉弁を制御する。流量センサーは、製品誤差や水温、水圧等の違いに起因して計測値がばらつくため、計量誤差が生じるおそれがある。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、計量吐水における正確性の向上を図ることができる吐水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る吐水装置は、流路が形成された吐水部と、前記流路を流れる水の水量に応じた出力値を計測する水量計測部と、前記流路を開閉する電動開閉弁と、前記電動開閉弁の駆動を制御する制御部と、を備えており、前記制御部は、前記吐水部から吐水する水量を設定する吐水量設定操作部の操作によって設定される設定水量に関する情報を取得し、前記設定水量を前記吐水部から吐水するように、前記水量計測部が計測する前記出力値に基づいて前記電動開閉弁を駆動する計量吐水制御を実行し、前記制御部は、前記水量計測部の校正情報を取得する校正情報取得部を有しており、前記校正情報によって校正された前記水量計測部が計測する前記出力値に基づいて前記計量吐水制御を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る吐水装置の構成を模式的に示す図である。
図2】実施形態に係る吐水装置の構成を模式的に示す図である。
図3】実施形態に係る吐水装置の構成を概略的に示すブロック図である。
図4】計量吐水時の止水遅れを説明するためのグラフである。
図5】実施形態に係る計量吐水制御を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態に係る吐水装置1はキッチンの流し台に設けられる。吐水装置1はいわゆる自動水栓である。吐水装置1は、使用者の手等をセンサが検知することによる従来同様の自動吐水を行うことができる。これに加えて、吐水装置1は、使用者によって設定される任意の水量を吐水する計量吐水を行うことができる。
【0009】
図1及び図2に示すように、吐水装置1は、吐水部10、第1開閉弁21、第2開閉弁22、第1センサ31、第2センサ32、第3センサ33、水量計測部41、水温計測部42、制御部50、及び浄水カートリッジ60を備えている。
【0010】
図1及び図2に示すように、吐水部10は、本体部11と、吐水管12と、レバーハンドル13とを有している。本体部11は流し台のカウンタ上面等の平坦な設置面S上に設置される。本体部11の内部には混合弁14が配置されている。混合弁14は、給水流路71及び給湯流路72から供給される水及び湯を、レバーハンドル13の操作に応じて任意の比率で混合するとともに、混合した湯水を流出流路73に流出する。給水流路71、給湯流路72、及び流出流路73は、それぞれ本開示に係る流路の例示である。
【0011】
給水流路71は、水道管等の図示しない給水配管から供給される水を混合弁14に供給する。給水流路71の上流側には止水栓74及び逆止弁75が設けられている。給湯流路72は、図示しない給湯器等の給湯源から供給される湯を混合弁14に供給する。給湯流路72の上流側には止水栓76及び逆止弁77が設けられている。流出流路73は、混合弁14から吐水管12の先端の吐水口12Aに連なる。流出流路73には、混合弁14との接続部である上流端側から順に、第1開閉弁21、水温計測部42、及び水量計測部41が設けられている。
【0012】
第1開閉弁21は流路としての流出流路73を開閉する。第1開閉弁21は、制御部50によって駆動制御される電動開閉弁である。本実施形態の場合、第1開閉弁21は電磁弁である。水温計測部42は、流出流路73を流れる水の水温を計測する。水温計測部42は、温度変化に応じて電気抵抗値が変化するサーミスタを有して構成されている。水温計測部42は、サーミスタを流れる電気の抵抗値に基づいて水温を計測する。水温計測部42は、計測した水温を示す信号を制御部50に出力する。
【0013】
水量計測部41は、流出流路73を流れる水の水量に応じた出力値を計測する。水量計測部41は水車式のフローセンサを有して構成されている。フローセンサは、流出流路73を流れる水によって水車が回転し、回転に応じてパルス信号を発生する。水量計測部41は、このパルス信号を出力値として制御部50に出力する。
【0014】
流出流路73における第1開閉弁21と水温計測部42との間には接続部78が設けられている。接続部78には、浄水用流路81の下流端が接続されている。浄水用流路81は、上流端において、給水流路71における分岐部79に接続されている。分岐部79は、給水流路71における止水栓74の下流側であって逆止弁75の上流側に設けられている。浄水用流路81は本開示に係る流路の例示である。
【0015】
浄水用流路81は、給水流路71から導入した水を浄水カートリッジ60に通して改質し、改質した水を浄水として流出流路73に流出する。浄水用流路81には、上流側から順に、定流量弁82、第2開閉弁22、浄水カートリッジ60、逆止弁83が設けられている。定流量弁82は、浄水用流路81内の流量を一定の流量に調整する。第2開閉弁22は、浄水用流路81を開閉する。第2開閉弁22は、第1開閉弁21と同様の電動開閉弁であり、制御部50によって駆動制御される。浄水カートリッジ60は、浄水用流路81に対して着脱自在に取り付けられる。
【0016】
浄水カートリッジ60は、ろ過する成分の違い等、改質内容に応じた複数種類のカートリッジから選択して取付可能である。吐水装置1は、どの種類の浄水カートリッジ60が取り付けられているかを登録する機能を有している。浄水カートリッジ60は、種類によって、水が内部を通過する際の圧力損失が異なる。吐水装置1は、浄水カートリッジ60の種類を登録することによって、浄水カートリッジ60の種類毎の圧力損失を考慮した計量を行うようにしている。浄水カートリッジ60の種類の登録は、後述するスマートフォン4の専用アプリケーションを用いて、バーコードや2次元コード等の読み取り、複数の選択肢の中からの選択、型番の直接入力等によって登録する方法、浄水カートリッジに組み込まれたICチップ等の半導体チップから種類に関する情報を読み取るリーダ機能を備える方法等、種々の方法を採用することができる。
【0017】
吐水管12は、基端部において本体部11に回転自在に支持されている。吐水管12は、基端部から先端部にかけて円弧状に延びるいわゆるグースネック状の外形形状を有している。吐水管12の内部には混合弁14から連なる流出流路73が形成されている。吐水管12の先端には吐水口12Aが形成されている。吐水口12Aは流出流路73の下流端に位置する。吐水口12Aは、下方の吐水領域Aに向けて吐水する。
【0018】
吐水管12には、第1センサ31、第2センサ32、第3センサ33、及びスイッチ34が配置されている。各センサ31,32,33は、使用者の手等の被検出対象がそれぞれの検知領域にあるか否かを検知する非接触式のセンサである。各センサ31,32,33は、検知結果を示す信号を制御部50に出力する。第1センサ31、第2センサ32、及び第3センサ33は、それぞれ本開示に係る吐水開始操作部の例示である。各センサ31,32,33から制御部50に出力される信号は、本開示に係る吐水開始指示に関する情報に相当する。
【0019】
第1センサ31は、吐水管12の先端部において吐水口12Aに隣接して配置されている。第1センサ31は、吐水管12の先端部から下方に向けた検知領域A1を有している。第1センサ31の検知領域A1は、吐水口12Aからの吐水領域Aの一部を含んでいる。第1センサ31は、給水源及び給湯源から混合弁14を経由する湯水(原水)を吐出させるためのセンサである。第1センサ31は、使用者の手等の被検出対象が検知領域A1内にある間のみ信号を出力するいわゆるモーメンタリ動作式である。
【0020】
第2センサ32及び第3センサ33は、それぞれ吐水管12における下方に湾曲して垂れ下がった部分の上側に設けられている。第2センサ32及び第3センサ33は、吐水管12の延伸方向に沿って並んで配置されている。第2センサ32及び第3センサ33は、それぞれ吐水管12の上方を検知領域としている。第2センサ32は、第1センサ31と同様、原水を吐出させるためのセンサである。第2センサ32は、いわゆるオルタネート動作式であり、使用者の手等の被検出対象が検知領域に出入りする度に吐水と止水とを切り替える。第3センサ33は、給水源から浄水用流路81の浄水カートリッジ60を経由する浄水を吐出させるためのセンサである。第3センサ33は、第2センサ32と同様、オルタネート動作によって浄水の吐止水を切り替える。スイッチ34は、第1センサ31のオンオフを切り替える。
【0021】
制御部50は、吐水部10における各部を制御する。制御部50は、例えばコンピュータを主体とし、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置等を有して構成されている。制御部50は、Wi-Fi(登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の通信規格に準拠した無線通信を行い得る機能を有している。
【0022】
図2及び図3に示すように、制御部50は、第1センサ31、第2センサ32、第3センサ33、水量計測部41、水温計測部42、第1開閉弁21、第2開閉弁22のそれぞれと接続されている。図3に示すように、制御部50は、ルータ2を介して、スマートスピーカー3、スマートフォン4、外部サーバ6等の外部機器に無線接続されている。
【0023】
ルータ2は、Wi-Fi(登録商標)によって制御部50との無線通信を行い得る。ルータ2は、自身を中心としたLAN(Local Area Network)を構築している。ルータ2には、制御部50の他、スマートスピーカー3、スマートフォン4等の無線通信機器が接続される。ルータ2は、インターネット等の広域通信網5を介して外部サーバ6に接続し得る。
【0024】
スマートスピーカー3は、使用者が発した音声を認識し、認識した操作指示の内容に応じた信号を、ルータ2を介して制御部50に出力する。スマートスピーカー3による音声認識の手法は、既知の種々の手法を採用することができる。本実施形態において、スマートスピーカー3は、本開示に係る吐水量設定操作部として機能する。本実施形態では、計量吐水における吐水量設定操作として、スマートスピーカー3に対して音声による操作を行う場合を例示する。スマートスピーカー3は、音声操作による吐止水の切り替えを行うこともできる。すなわち、スマートスピーカー3は、本開示に係る吐水開始操作部としても機能し得る。
【0025】
スマートフォン4は、吐水装置1を操作するアプリケーションを有している。このアプリケーションには、後述する水量計測部41の校正情報Icをタッチパネルから入力する機能が備えられている。スマートフォン4は、入力操作の内容に応じた信号をルータ2を介して制御部50に出力する。スマートフォン4は、BLE通信によって、ルータ2を介すことなく制御部50に直接に信号を出力することもできる。このアプリケーションには、自動吐水及び計量吐水における各種操作の入力機能が備えられている。これによって、スマートフォン4は、本開示に係る吐水開始操作部、及び吐水量設定操作部としても機能し得る。スマートフォン4は、計量吐水における後述する補正情報Irの生成に用いる情報等の入力機能等が備えられている。スマートフォン4は、スマートスピーカー3と同様の音声操作を行うこともできる。
【0026】
外部サーバ6は、広域通信網5を介してルータ2と接続する。外部サーバ6は、計量吐水の際の設定出力値Vsの算出に用いるデータテーブルやアルゴリズム等、吐水装置1が参照可能な各種データを格納し得る。吐水装置1は、ルータ2及び広域通信網5を介し、必要に応じて外部サーバ6に接続して格納されたデータを参照することができる。
【0027】
制御部50は、第1開閉弁21及び第2開閉弁22の駆動制御を実行する。制御部50は自動吐水制御を実行する。自動吐水制御において、制御部50は、第1センサ31、第2センサ32、第3センサ33等の吐水開始操作部の操作によって発信される吐水開始指示信号を受けて、第1開閉弁21及び第2開閉弁22を駆動する。
【0028】
制御部50は計量吐水制御を実行する。計量吐水制御は、使用者が設定する設定水量Wsを計量して吐水する制御である。設定水量Wsは、計量吐水において実際に吐水したい水量であり、使用者によるスマートスピーカー3、スマートフォン4等の吐水量設定操作部の操作によって設定される。制御部50は、設定水量Wsに関する情報を取得した場合に計量吐水制御を実行する。
【0029】
吐水装置1における自動吐水及び計量吐水では、原水及び浄水のいずれの種類の水を計量吐水するのかを指定することができる。自動吐水の場合、吐水量設定操作部としてのスマートスピーカー3に対して、「浄水を出して。」、「原水を出して。」等の音声による操作指示を発する。これによって、スマートスピーカー3が指示内容を認識し、水の種類に応じた開閉弁21,22を開弁して吐水開始される。止水する場合には、単に「止めて。」等の音声による操作指示を発することによって、吐水中の水の種類に関わらず止水することができる。
【0030】
計量吐水では、設定水量Wsの設定と併せて水の種類の指定を行う。例えば、設定水量Wsを設定する際、吐水量設定操作部としてのスマートスピーカー3に対して、「浄水100ccを出して。」、「原水1リットルを出して。」等の音声指示を発する。スマートスピーカー3は指示内容を認識し、水の種類及び設定水量Wsに関する情報を制御部50に出力する。制御部50は、取得した情報に応じて水の種類及び設定水量Wsを設定する。
【0031】
本実施形態の場合、制御部50は、計量吐水制御において、吐水部10からの吐水を開始するための吐水開始指示に関する情報を取得した後に、第1開閉弁21及び第2開閉弁22のいずれかを開弁して計量吐水を開始する。すなわち、計量吐水制御では、制御部50が設定水量Wsに関する情報を取得した時点では開閉弁21,22は開弁されず、吐水部10からの吐水は開始されない。換言すると、制御部50は、計量吐水制御において、設定水量Wsに関する吐水量設定指示の取得後は、吐水開始指示の入力を待機している状態となる。
【0032】
本実施形態の場合、設定水量Wsに関する情報を取得した制御部50は、第1センサ31、第2センサ32、第3センサ33等の複数の吐水開始操作部のうち、特定の吐水開始操作部が操作されても開閉弁21,22の閉弁状態を維持する制御を実行する。例えば、浄水100mlを計量吐水する場合、制御部50は、特定の吐水開始操作部としての第1センサ31及び第2センサ32を操作しても第1開閉弁21の閉弁状態が維持される制御を実行する。すなわち、制御部50は、浄水100mlの計量吐水をする場合、第3センサ33の操作による吐水開始指示のみに従って吐水を開始する。同様に、原水の計量吐水の場合には、第1センサ31、及び第3センサ33が操作されても開閉弁21,22の閉弁状態が維持される。
【0033】
「閉弁状態の維持」とは、例えば、特定の吐水開始操作部からの吐水開始指示信号を受信してもそれを無視する形態、特定の吐水開始操作部の操作自体を無効にして吐水開始指示信号が出力されないようにする形態等、特定の吐水開始操作部に紐づけられた電動開閉弁を開弁しないようにするものである限り、どのような形態であってもよい。本開示において、複数の吐水開始操作部のうちの特定の吐水開始操作部以外の吐水開始操作部、すなわち設定水量Wsの設定後も有効な吐水開始操作部は、1つのみであってもよいし、2つ以上であってもよい。
【0034】
第1センサ31は、計量吐水における設定水量Wsの設定後は、水種に依らず吐水開始指示操作が無効にされる。これは、第1センサ31の検知領域A1が吐水口12Aからの吐水領域Aの一部に重なっているため、コップ等の容器を吐水口12Aの下方に設置しようとしている途中で吐水が開始されてしまう等、計量吐水における不意の吐水を防止するためである。第2センサ32及び第3センサ33については、計量吐水において指定された水種に応じて無効にされる。これは、指定された水種以外の水種が吐水されるのを防止するためである。上述のように、吐水開始操作部としては、スマートスピーカー3、スマートフォン4等の操作部も含まれる。これらの吐水開始操作部は、計量吐水における吐水開始操作部として機能してもよいし、計量吐水において無視(無効に)される特定の吐水開始操作部として機能してもよい。
【0035】
計量吐水制御において、制御部50は設定出力値Vsを設定する。設定出力値Vsは、計量吐水制御における設定水量Wsを水量計測部41の出力値に換算した値である。設定出力値Vsは設定水量Wsに基づいて設定される。設定出力値Vsは、後述する校正情報Ic及び補正情報Irを考慮して制御部50によって算出される。制御部50は、この設定出力値Vsを目標値として、水量計測部41が実際に計測する実測出力値Vrを設定出力値Vsと比較することによって、設定水量Wsを吐水したか否かを判断する。
【0036】
図3に示すように、制御部50は、記憶部51、操作情報取得部52、校正情報取得部53、水情報取得部54、補正情報取得部55、演算部56、及び出力部57を有している。記憶部51は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有して構成される。記憶部51には、吐水装置1における各機能部を制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。記憶部51は、後述する校正情報Ic、補正情報Ir、水情報Iw等を記憶し得る。記憶部51は、吐水装置1における各種設定を記憶可能である。
【0037】
操作情報取得部52は吐水装置1の操作情報を取得する。操作情報は、第1センサ31、第2センサ32、第3センサ33、スマートスピーカー3、スマートフォン4等の各操作部を操作することによって出力される。操作情報とは、吐水開始指示に関する情報、吐水終了(止水)指示に関する情報、吐止水の切り替え指示に関する情報、計量吐水における設定水量Wsに関する情報等の吐水装置1の操作に関する情報である。制御部50は、これら操作情報を取得した場合に、第1開閉弁21及び第2開閉弁22の駆動制御を実行する。
【0038】
校正情報取得部53は、記憶部51に記憶された校正情報Icを取得する。制御部50は、校正情報取得部53が取得した校正情報Icによって水量計測部41を校正し、校正された水量計測部41が計測する出力値に基づいて、計量吐水制御を実行する。校正情報Icは、例えば、フローセンサの製品誤差、季節による水温の違い、給水源の水圧の違い、流路の圧力損失等に起因して生じる水量計測部41の計測誤差を縮小するための情報である。校正情報Icは、季節毎等、随時更新され得る。校正情報Icとしては、例えば、実際の測定に基づく情報、外部サーバから季節毎等の定期的に送信される情報等であることができる。
【0039】
本実施形態において、校正情報Icを生成するための実際の測定は、吐水装置1の使用者、施工業者等によって以下のようにして実施される。最初に、吐水装置1において所定の水量、例えば、100ml等を設定水量Wsとする計量吐水を行う。制御部50による計量吐水制御においては、例えば初期設定1ml当たり1パルス等、予め定められた単位水量当たりの出力値で換算することで計量を行うように設定されている。制御部50は、設定水量Ws(例えば100ml)を単位水量当たりの出力値に換算した設定出力値Vs(例えば100パルス)を設定し、開弁後に水量計測部41によって実際に計測される出力値である実測出力値Vrが設定出力値Vsに達するまでカウントすることで、設定水量Wsが吐出されたと判断する計量吐水制御を実行する。
【0040】
次に、計量吐水によって実際に得られた水量をはかり等の他の計測手段によって計測する。そして、他の計測手段によって計測した値を制御部50に入力する。本実施形態の場合、水量計測部41とは異なる他の計測手段によって実際に計測した値の制御部50への入力は、スマートフォン4のアプリケーションを介して行われる。制御部50は、入力された実測値に基づいて校正情報Icを生成する。例えば、設定水量Ws100mlの計量吐水を実行し、実際に吐水された水を他の計測手段によって計測した値が110mlであったとする。制御部50は、この実測値110mlと設定水量Wsとして設定した100mlとに基づいて、初期設定された単位水量当たりの出力値に対して100ml/110mlの係数を乗じる校正情報Icを生成する。生成された校正情報Icは記憶部51に記憶される。これによって、単位水量当たりの水量計測部41の出力値の設定を校正することができ、計量吐水時における計量誤差を縮小できる。
【0041】
校正情報Icを生成するための計量吐水の実行回数としては、1回よりも2回、2回よりも3回等、多いほうが好ましい。複数回の計量吐水を行う場合、各回の設定水量は、100ml、200ml、300ml等、異なる設定水量であることが好ましい。記憶部51に記憶された校正情報Icは、季節等に応じて、毎年再利用してもよい。
【0042】
水情報取得部54は水情報Iwを取得する。水情報Iwとは、例えば、計量吐水における水量に関する情報のみならず、流路71,72,73を流れる水の水温、水圧、流量(単位時間当たりに流れる水量)、流速等、吐水装置1を流れる水から取得した情報や、地域の水道圧、使用中の浄水カートリッジの種類等、吐水装置1を流れる水に関連する既知の情報等が挙げられる。本実施形態の場合、水情報Iwは、水量計測部41からの出力値であるフローセンサから出力されるパルス信号数に基づいた水量に関する情報、パルス信号の間隔に基づいた流量に関する情報、水温計測部42からの出力値としてのサーミスタにおける電気抵抗値の大きさに基づいた水温に関する情報等である。水情報Iwは、浄水の計量吐水の場合には、登録されている浄水カートリッジ60の種類に応じた圧力損失の大きさに関する情報も含まれる。取得した水情報Iwは、記憶部51に記憶される。水情報取得部54が取得した水情報Iwは、後述する補正情報Irの生成に用いられる。
【0043】
制御部50は、計量吐水制御を実行するにあたり、水量計測部41が計測する出力値である実測出力値Vrと、水温計測部42が計測する水温とに基づいて、開閉弁21,22を駆動制御する。具体的には、制御部50は、水量計測部41が計測する出力値に基づいて計量吐水制御を実行するにあたり、水温計測部42が計測する水温に応じて設定出力値Vsの値を更新しつつ、計量吐水制御を実行する。制御部50は、実行中の計量吐水制御において、水量計測部41によって計測される実測出力値Vrの目標値となる設定出力値Vsを、水温に応じて都度更新するフィードバック制御を実行する。
【0044】
例えば、水温10℃の水と60℃の湯とでは、粘度及び動粘度が大きく異なる。例えば、図4は、異なる水温において同量の設定水量Wsを吐水する計量吐水時の経過時間に対する流量の変化を示すグラフである。同図において、実線は高温時、点線は低温時の変化を示しており、それぞれ大きさが異なっていることが認められる。したがって、このような水温の違いは、流路を流通する際の圧力損失、フローセンサにおける水車の回転等に少なからず影響を及ぼし、計量誤差の原因となり得る。制御部50は、流路を流れる水の温度を水温計測部42によって計測し、この水温に応じて設定出力値Vsを修正しつつ、計量吐水制御を実行する。設定出力値Vsの更新に用いる水情報Iwとしては、水温に限らず、例えば、水圧、流路中の水の流速、給水流路と給湯流路との差圧等であってもよい。
【0045】
制御部50は、水情報取得部54が取得する水情報Iwに基づいて補正情報Irを生成する。制御部50は、補正情報Irによって設定出力値Vsを補正し、第1開閉弁21及び第2開閉弁22の駆動制御を変更する。補正情報Irは、記憶部51に記憶され、補正情報取得部55によって取得される。補正情報Irは、閉弁信号の発信タイミングと、閉弁してから実際の止水までのタイミングとのタイムラグ(止水遅れ)に起因する計量誤差を緩和するための情報である。図4において、閉弁信号はC1及びC2のタイミングでそれぞれ発信されている。しかし、閉弁信号を発信してから流量が0になるまでにはタイムラグが生じている。すなわち、閉弁信号発信後も吐水が継続されている。補正情報Irは、このような止水遅れを見越し、閉弁信号発信後の吐水量を考慮した設定水量Wsを設定するための情報である。具体的には、制御部50は、設定水量Wsに基づいて設定出力値Vsを算出するにあたり、補正情報Irに基づいて、閉弁信号発信後に計測されることが想定されるパルス信号数を予め差し引いた設定出力値Vsを算出する。
【0046】
補正情報Irの生成に用いる水情報Iwは、例えば、水量、流路を流れる水の種類、流量、流速、水温、浄水カートリッジの種類等である。補正情報Irは、これら水量、水の種類、流量、流速、水温、浄水カートリッジの種類等に関する情報毎に予めテーブル化されたデータテーブルを参照し、このデータテーブルと水情報取得部54が実際に取得した水情報Iwと比較することによって生成される。
【0047】
補正情報Irは、第1開閉弁21及び第2開閉弁22のいずれかが開弁中に取得される水情報Iw、第1開閉弁21及び第2開閉弁22のいずれかに対する閉弁信号発信後に取得される水情報Iw、これらの水情報Iwの組み合わせに基づいて生成され得る。閉弁信号発信後に取得される水情報Iwとしては、単に水量計測部41によって計測される出力値としてのパルス信号数であってもよい。この場合、設定出力値Vsの算出にあたり、閉弁信号発信後に取得されたパルス信号数を、閉弁信号発信後に計測されることが想定されるパルス信号数として直接的に利用でき、設定出力値Vsの算出を極めて簡易に行うことができる。
【0048】
補正情報Irの生成に用いるデータテーブルは、外部サーバ6に格納されていてもよいし、記憶部51のような吐水装置1に備えられる記憶手段に格納しておいてもよい。補正情報Irを生成するためのデータテーブルは、予め作成されたものを利用してもよいし、吐水装置1において過去に取得された水情報Iwから作成してもよい。補正情報Irを生成するためのデータテーブルは、吐水装置1において取得した水情報Iwを用いて随時更新してもよい。補正情報Irは、例えば、水情報Iwに基づいて演算式から生成するようにしてもよい。
【0049】
演算部56は各種演算を行う。具体的には、演算部56は、計量吐水において設定された設定水量Wsの設定出力値Vsへの換算、校正情報Icに基づく計量吐水における単位水量当たりの出力値の校正、補正情報Irに基づく設定出力値Vsの補正、水情報Iwに基づく設定出力値Vsの更新等の各種演算等を実行する。
【0050】
出力部57は、第1開閉弁21及び第2開閉弁22に対して開弁及び閉弁の制御信号を出力する。自動吐水制御の場合、開弁及び閉弁の制御信号は、各センサ31,32,33、スマートスピーカー3、スマートフォン4等の吐水開始指示操作部に相当する操作部からの操作情報に直接的に対応して出力される。計量吐水制御の場合、開弁の制御信号については、上記各吐水開始操作部からの操作情報に直接的に対応して出力される。但し、上述のように、計量吐水制御においては、開弁の制御信号の出力は、特定の吐水開始操作部以外の吐水開始操作部からの操作情報を取得した場合のみ許容される。
【0051】
制御部50による計量吐水制御を図5に示すフローチャートに基づいて説明する。以下の説明では、混合弁14を経由する原水を100cc吐水する場合の計量吐水制御について説明する。
【0052】
計量吐水制御において、制御部50は、最初に、ステップS1として、設定水量Wsを取得する。設定水量Wsは、使用者による吐水量設定操作部の操作によって設定される。具体的には、設定水量Wsの設定は、吐水装置1の使用者が吐水量設定操作部としてのスマートスピーカー3に対して水量を指定する音声指示を発することによってなされる。原水100ccを吐水する計量吐水の場合、吐水装置1の使用者は、例えば「原水100ccを出して。」のように音声指示を発する。スマートスピーカー3は、指示内容を認識し、設定水量Wsに関する情報を出力する。
【0053】
本実施形態の場合、スマートスピーカー3は、指示内容の認識に際し、計量吐水において吐水する水の種類についても認識する。すなわち、スマートスピーカー3は、吐水量の認識と併せて、原水を吐水するのか、浄水を吐水するのかを認識する。水の種類を認識したスマートスピーカー3は、設定水量Wsに関する情報とともに水の種類に関する情報を加えた情報を操作情報として操作情報取得部52に出力する。操作情報取得部52は、取得した操作情報から設定水量Ws及び水の種類についての情報を取得する。操作情報取得部52が取得した設定水量Ws及び水の種類の情報は、記憶部51に記憶される。
【0054】
制御部50は、ステップS2及びステップS3において校正情報Ic及び補正情報Irをそれぞれ取得し、これら校正情報Ic及び補正情報Irに基づいて、ステップS4において設定出力値Vsを算出する。校正情報Ic及び補正情報Irは記憶部51に記憶されており、それぞれ校正情報取得部53及び補正情報取得部55によって取得される。上述のように、校正情報Icは水量計測部41を校正する情報であり、補正情報Irは止水遅れに関する情報である。これら校正情報Ic及び補正情報Irに基づいて算出された設定出力値Vsは記憶部51に記憶される。校正情報Ic及び補正情報Irの取得順序は、これに限定されるものではない。校正情報Ic及び補正情報Irは、設定水量Wsの取得に先立って取得しておき、設定出力値Vsの算出に用いる演算式に予め組み入れておいてもよい。
【0055】
ステップS5において、制御部50は、特定の吐水開始操作部を無効化する。具体的には、原水の計量吐水の場合、制御部50は、第1センサ31及び第3センサ33を無効化する。上述のように、第1センサ31は、吐水口12Aに隣接して配置され、吐水口12Aの吐水領域Aの一部を検知領域A1に含むセンサであり、第3センサ33は、第2開閉弁22を開弁及び閉弁して浄水を吐水するためのセンサである。制御部50は、第1センサ31を無効化することによって、吐水口12A下方の吐水領域Aにコップ等の容器を配置する際の意図しない吐水を回避する。制御部50は、第3センサ33を無効化することによって、計量吐水制御において吐水する水の種類以外の水である浄水が吐水されるのを回避する。
【0056】
ステップS6では、制御部50は、吐水開始操作部を操作することによって出力される吐水開始に関する情報を取得したか否かを判断する。すなわち、制御部50は、吐水開始操作部の操作による吐水開始に関する情報が入力されるのを待機する。本実施形態の場合、制御部50は、吐水開始に関する情報としての第2センサ32からの検知信号の入力を待機する。吐水装置1の使用者は、第2センサ32を操作する前に、吐水口12Aの下方にコップ等の容器を配置しておく。この時、ステップS5において第1センサ31を無効化したことから、第1センサ31が容器等を検知してしまうことによる不意の吐水が回避される。
【0057】
ステップS6において吐水開始指示情報を取得すると、制御部50は、ステップS7において第1開閉弁21を開弁する。これによって、混合弁14を経由した原水が流出流路73を流通して吐水口12Aから吐出され、計量が開始される。浄水の計量吐水の場合には第2開閉弁22が開弁され、浄水カートリッジ60を経由した浄水が吐出される。
【0058】
計量吐水中の吐水装置1において、制御部50は、ステップS8として、水情報Iwを取得する。具体的には、制御部50は、水情報Iwとして、水量計測部41が計測する出力値と、水温計測部42が計測する水の温度とを水情報取得部54によって取得する。取得した水情報Iwは記憶部51に記憶される。
【0059】
ステップS9において、制御部50は設定出力値Vsを更新する。設定出力値Vsの更新は、ステップS8において取得した水情報Iwのうち、水温計測部42が計測した水の温度に基づいてなされる。すなわち、制御部50は、流出流路73を流れる水の温度に応じて、ステップS4において算出した設定出力値Vsを更新する。これによって、実行中の計量吐水制御における第1開閉弁21の駆動制御が変更される。具体的には、ステップS4において最初に設定した設定出力値Vsが水温に応じて変更され、第1開閉弁21の閉弁のタイミングが変更される。
【0060】
ステップS10において、制御部50は、実測出力値Vrと設定出力値Vsとを比較する。詳細には、制御部50は、ステップS8において取得した水情報Iwのうち、水量計測部41が計測する出力値としての実測出力値Vrと、ステップS4において算出され、ステップS9において更新された設定出力値Vsと、を比較する。制御部50は、実測出力値Vrが設定出力値Vs未満である場合には、ステップS8に戻り再び水情報Iwを取得するとともに、ステップS9において設定出力値Vsを更新する。制御部50は、実測出力値Vrが設定出力値Vsと等しくなるまで、ステップS8からステップS10を繰り返し実行する。制御部50は、実測出力値Vrが設定出力値Vs以上である場合には、ステップS11に進む。
【0061】
ステップS11では、制御部50は第1開閉弁21を閉弁する。ステップS12では、制御部50は、第1センサ31及び第3センサ33の無効化を解除する。最後に、制御部50は、ステップS13において、補正情報Irを更新する。補正情報Irは、ステップS11において第1開閉弁21を閉弁した後に取得される水量計測部41が計測する出力値(パルス信号数)に基づいて更新される。この補正情報Irは、記憶部51に記憶されて次回以降の計量吐水制御において取得され(ステップS3)、設定出力値Vsの算出(ステップS4)に利用される。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る吐水装置1は、吐水部10と、水量計測部41と、電動開閉弁としての第1開閉弁21及び第2開閉弁22と、制御部50とを備えている。吐水部10は、流路としての給水流路71、給湯流路72、流出流路73、及び浄水用流路81を形成している。水量計測部41は、流路としての流出流路73を流れる水の水量に応じた出力値を計測する。第1開閉弁21は流出流路73を開閉する。第2開閉弁22は浄水用流路81を開閉する。制御部50は、第1開閉弁21及び第2開閉弁22の駆動を制御する。制御部50は、吐水量設定操作部としてのスマートスピーカー3の操作によって設定される設定水量Wsに関する情報を取得し、この設定水量Wsを吐水部10における吐水口12Aから吐水するように、水量計測部41が計測する出力値としての実測出力値Vrに基づいて第1開閉弁21及び第2開閉弁22の一方を駆動する計量吐水制御を実行する。制御部50は校正情報取得部53を有している。校正情報取得部53は、水量計測部41の校正情報Icを取得する。制御部50は、校正情報Icによって校正された水量計測部41が計測する出力値に基づいて計量吐水制御を実行する。
【0063】
このように、吐水装置1は、校正情報Icによって水量計測部41を校正する。これによって、計測環境に起因する水量計測部41が計測する出力値のばらつきが緩和される。したがって、吐水装置1は、計量吐水における正確性の向上を図ることができる。
【0064】
水量計測部41は水車式フローセンサを有して構成されている。このため、簡易な構成の水量計測部41を実現できる。吐水装置1は、水量計測部41におけるフローセンサの製品誤差、水車の回転に影響を及ぼし得る水温等による出力値のばらつきを校正情報Icによって緩和できる。このように、吐水装置1において、水量計測部41を校正する意義は大きい。
【0065】
吐水装置1は、吐水部10と、電動開閉弁としての第1開閉弁21及び第2開閉弁22と、制御部50と、を備えている。吐水部10は、流路としての給水流路71、給湯流路72、流出流路73、及び浄水用流路81を形成している。第1開閉弁21は流出流路73を開閉する。第2開閉弁22は浄水用流路81を開閉する。制御部50は、第1開閉弁21及び第2開閉弁22の駆動を制御する。制御部50は、吐水部10から吐水する水量を設定する吐水量設定操作部としてのスマートスピーカー3の操作によって設定される設定水量Wsに関する情報を取得する。制御部50は、設定水量Wsを吐水部10から吐水するように第1開閉弁21及び第2開閉弁22の一方を駆動する計量吐水制御を実行する。計量吐水制御において、制御部50は、吐水部10からの吐水開始を指示する吐水開始操作部としての第2センサ32及び第3センサ33の一方の操作によって出力される吐水開始指示に関する情報を取得することによって、第1開閉弁21及び第2開閉弁22の一方を開弁して計量吐水を開始する。
【0066】
吐水装置1は、計量吐水における設定水量Wsの設定後は待機状態となり、その後吐水開始指示を受けてから吐水を開始する。このため、吐水装置1は、コップや鍋等の計量した水を受ける容器を配置する前に吐水開始されてしまう等の不備の回避を図ることができる。吐水装置1における計量吐水は、コップや鍋等の計量した水を受ける容器を設定水量Wsの設定前に予め配置しておく、という手順だけでなく、設定水量Wsを設定してから容器を配置する、という手順で行ってもよい。このように、吐水装置1は、従来のように設定水量を設定と比較して、計量吐水における作業手順の自由度の向上を図ることができる。例えば、設定水量の設定後直ちに吐水される場合には、設定水量を設定する前に容器を配置しておかないと設定した水量の全量を確保することができず、正確な計量を行うことができない。これに対し、吐水装置1は、使用者の所望のタイミングで計量吐水における吐水を開始することができるので、使用者の所望のタイミングで容器を配置でき、計量吐水における設定水量Wsの確保が容易である。したがって、吐水装置1は、正確な計量吐水を使い勝手よく実現できる。
【0067】
吐水装置1は、複数の吐水開始操作部としての第1センサ31、第2センサ32、第3センサ33等を有している。計量吐水制御において、制御部50は、これら複数の吐水開始操作部のうちの特定の吐水開始操作部が操作されても、電動開閉弁の閉弁状態を維持する。具体的には、制御部50は、原水の計量吐水においては第1センサ31及び第3センサ33のいずれかが操作されても第1開閉弁21及び第2開閉弁22の閉弁状態を維持する。浄水の計量吐水においては、制御部50は、第1センサ31及び第2センサ32のいずれかが操作されても第1開閉弁21の閉弁状態を維持する。このため、吐水装置1は、計量吐水における設定水量Wsを設定した後、特定の操作部を誤って操作したとしても吐水開始されることがないので、誤操作による吐水開始を防止することができる。このように、吐水装置1は、特定の吐水開始操作部以外の操作部の操作のみを受け付けて吐水を開始することができるので、不意に計量吐水が開始されてしまったり、計量吐水がキャンセルされて他の吐水が開始されてしまったり等の不具合を回避でき、使い勝手の更なる向上を図ることができる。
【0068】
吐水装置1において、複数の吐水開始操作部のうちの特定の吐水開始操作部とは第1センサ31である。この第1センサ31は、吐水部10における吐水口12Aからの吐水領域Aの少なくとも一部を検知領域A1に含んでいる。このため、特定の吐水開始操作部を不意に操作してしまうことによる吐水を防止することの意義が大きい。すなわち、設定水量Wsの設定後に容器を配置する場合等において、第1センサ31の検知による不意の吐水開始を回避することができる。
【0069】
吐水装置1は、吐水部10と、水量計測部41と、水温計測部42と、電動開閉弁としての第1開閉弁21及び第2開閉弁22と、制御部50とを備えている。吐水部10は、流路としての給水流路71、給湯流路72、流出流路73、及び浄水用流路81を形成している。水量計測部41は、流路としての流出流路73を流れる水の水量に応じた出力値を計測する。水温計測部42は、流路としての流出流路73を流れる水の温度を計測する。第1開閉弁21は流出流路73を開閉する。第2開閉弁22は浄水用流路81を開閉する。制御部50は、第1開閉弁21及び第2開閉弁22の駆動を制御する。制御部50は、吐水量設定操作部としてのスマートスピーカー3の操作によって設定される設定水量Wsに関する情報を取得し、この設定水量Wsを吐水部10における吐水口12Aから吐水するように、水量計測部41が計測する出力値としての実測出力値Vrと、水温計測部42が計測する水温とに基づいて、第1開閉弁21及び第2開閉弁22の一方を駆動する計量吐水制御を実行する。
【0070】
すなわち、制御部50は、水温計測部42が計測する水温に応じて、設定水量Wsに対応する設定出力値Vsを修正するフィードバック制御を実行する。このように、吐水装置1では、計量吐水中の環境変化に応じて設定出力値Vsを随時更新する。このため、吐水装置1は、計量吐水における正確性の向上を図ることができる。
【0071】
吐水装置1は、吐水部10と、水量計測部41と、水情報取得部54と、電動開閉弁としての第1開閉弁21及び第2開閉弁22と、制御部50と、を備えている。吐水部10は、流路としての給水流路71、給湯流路72、流出流路73、及び浄水用流路81を形成している。水量計測部41は、流路としての流出流路73を流れる水の水量に応じた出力値を計測する。水情報取得部54は、流路を流れる水に関する情報としての水情報Iwを取得する。第1開閉弁21は流出流路73を開閉する。第2開閉弁22は浄水用流路81を開閉する。制御部50は、第1開閉弁21及び第2開閉弁22の駆動を制御する。制御部50は、吐水量設定操作部としてのスマートスピーカー3の操作によって設定される設定水量Wsに関する情報を取得し、この設定水量Wsを吐水部10における吐水口12Aから吐水するように、水量計測部41が計測する出力値としての実測出力値Vrと、水情報取得部54が取得する水情報Iwとに基づいて、第1開閉弁21及び第2開閉弁22の一方を駆動する計量吐水制御を実行する。
【0072】
すなわち、制御部50は、水情報取得部54が取得した水情報Iwに基づいて生成した補正情報Irを取得する。補正情報Irは、閉弁信号送信後に吐出される水量に関する情報、すなわち止水遅れに関する情報である。制御部50は、この補正情報Irに応じて、設定水量Wsに対応する設定出力値Vsを補正する。このため、吐水装置1は、止水遅れに起因する計量誤差を緩和でき、計量吐水における正確性の向上を図ることができる。
【0073】
制御部50は、第1開閉弁21及び第2開閉弁22のいずれかを閉弁した後に取得した水情報Iwとしてのパルス信号数に基づいて、その後の計量吐水制御における第1開閉弁21及び第2開閉弁22の駆動制御を実行する。このため、吐水装置1は、止水遅れに起因する計量誤差を簡易に緩和することができ、正確性の向上を図ることができる。
【0074】
計量吐水制御において、制御部50は、第1開閉弁21及び第2開閉弁22のいずれかを開弁中に取得した水情報Iwとしての水温に関する情報に基づいて、第1開閉弁21及び第2開閉弁22の駆動制御を実行する。すなわち、制御部50は、水温計測部42が計測する水温に応じて、設定水量Wsに対応する設定出力値Vsを修正するフィードバック制御を実行する。このため、吐水装置1は、計量吐水における正確性の向上を図ることができる。
【0075】
吐水装置1は、流路としての流出流路73を開閉する第1開閉弁21と、流路としての浄水用流路81を開閉する第2開閉弁22とを有している。制御部50は、吐水部10から吐水する水の種類に関する情報を取得し、水の種類に応じて第1開閉弁21及び第2開閉弁22の一方を駆動する制御を実行する。このように、吐水装置1は、複数種類の水の計量吐水を実行することができる。
【0076】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施の形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0077】
吐水装置は、キッチンの流し台用に限定されない。吐水装置は、洗面所の洗面台等の水回り全般に採用することができる。
【0078】
吐水装置は、原水及び浄水のいずれか一方のみを吐出するものであってもよい。
【0079】
本開示に係る吐水部の構成、形状、大きさ等は上記実施形態に限定されない。吐水部における各構成要素の形状、配置等も特に問わない。
【0080】
本開示に係る電動開閉弁は、上記実施形態において例示した電磁弁に限定されない。電動開閉弁は、例えば、電動シリンダ弁、電動ボール弁等、制御部の制御によって電気で作動する種々の弁を採用することができる。
【0081】
本開示に係る制御部の構成等は、上記実施形態に限定されない。
【0082】
本開示に係る吐水量設定操作部は、上記実施形態において例示したスマートスピーカーに限定されない。吐水量設定操作部としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等を採用してもよい。この場合、吐水量設定操作は、音声操作の他、タッチパネルやキーボードの操作によるものであってもよい。吐水量設定操作部は、外部機器に限定されず、例えば、本開示に係る吐水装置専用の入力手段等、吐水装置に吐水量設定操作部としての機能が備えられたものであってもよい。
【0083】
校正情報は、例えば、記憶部や外部サーバに記憶された種々の校正情報を、広域通信網から取得した気象データ、季節等に応じて、制御部が自動的に選択して採用するようにしてもよい。
【0084】
本開示に係る水量計測部は、流路を流れる水の水量に応じた出力値を計測する限り、その構成は特に問わない。水量計測部がフローセンサを有して構成される場合、フローセンサの形式は、水車式に限らず、超音波式、電磁式、カルマン渦式等、如何様な形式であってもよい。
【0085】
本開示に係る吐水装置において、制御部が吐水開始操作部の操作によって出力される吐水開始指示に関する情報を取得することによって電動開閉弁を開弁して計量吐水を開始することは必須ではない。計量吐水制御において、制御部は、例えば、設定水量が設定された後、所定時間経過後に自動的に計量吐水を開始するようにしてもよい。
【0086】
吐水開始操作部は、上記実施形態において例示した各センサに限定されない。吐水開始操作部としては、例えば、スマートスピーカー、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等にその機能が備えられたものを採用してもよい。この場合、吐水開始操作は、音声操作によるものであってもよいし、タッチパネルやキーボードの操作によるものであってもよい。
【0087】
本開示に係る吐水装置において、補正情報の取得に係る構成、及び設定出力値の更新に係る構成は、いずれも必須の構成ではない。
【0088】
水温計測部を備える場合、その配置は、上記実施形態に例示した配置に限定されない。水温計測部は、例えば、流出流路における水量計測部と第1開閉弁との間や第1開閉弁と混合弁との間等に配置されてもよい。水温計測部は、例えば、給水流路、及び給湯流路に配置されてもよい。水温計測部は、例えば、給水流路、及びにおける逆止弁の下流側、逆止弁と止水栓との間等に配置されてもよい。水温計測部は、例えば、浄水用流路に配置されてもよい。水温計測部は、例えば、浄水用流路における浄水カートリッジと逆止弁との間に配置されてもよい。水温計測部は、例えば、実施形態における配置及び上述の各配置のうちの2箇所以上に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…吐水装置、3…スマートスピーカー(吐水量設定操作部)、10…吐水部、21…第1開閉弁(電動開閉弁)、22…第2開閉弁(電動開閉弁)、41…水量計測部、53…校正情報取得部、71…給水流路(流路)、72…給湯流路(流路)、73…流出流路(流路)、Ws…設定水量
図1
図2
図3
図4
図5