(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036932
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】抗ソルチリン抗体及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230307BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230307BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230307BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230307BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20230307BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230307BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230307BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230307BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230307BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20230307BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230307BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20230307BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20230307BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230307BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230307BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20230307BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230307BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230307BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230307BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230307BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12P21/08
C07K16/28
C07K16/46
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P25/28
A61P25/08
A61P27/02
A61P21/02
A61P17/02
A61P9/10
A61P25/16
A61P27/06
A61P25/00
A61P31/04
A61P19/02
A61P29/00
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】47
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000337
(22)【出願日】2023-01-05
(62)【分割の表示】P 2019559056の分割
【原出願日】2019-07-12
(31)【優先権主張番号】62/698,007
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/860,184
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/868,849
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517041235
【氏名又は名称】アレクトル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュワーブ, ティナ
(72)【発明者】
【氏名】クルネラス, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンタール, アーノン
(72)【発明者】
【氏名】ペジャール, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】クーパー, アンソニー ビー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】抗ソルチリン抗体、及びそのような抗体の治療的使用を提供する。
【解決手段】ソルチリンタンパク質、例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリンに特異的に結合し、改善及び/または増強された機能性特徴を有する抗体、例えば、モノクローナル、キメラ、親和性成熟、ヒト化抗体、抗体フラグメントなどを含む組成物、及び予防、リスクの減少、処置を必要とする個体を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを処置する際のそのような組成物の使用を対象とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、
(a)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(b)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRVS(配列番号30)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(c)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLES(配列番号3)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(d)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(e)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(f)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(g)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号26)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(h)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQGLLRSNGYNYLD(配列番号27)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(i)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号10)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;または
(j)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号21)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、前記抗体。
【請求項2】
前記抗ソルチリン抗体が:
(a)ソルチリンの細胞表面レベルを、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体によって生じる低下のレベルよりも大きく低下させる;
(b)プログラニュリンの細胞外レベルを、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体によって生じる上昇のレベルよりも大きく上昇させる;
(c)ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体によって生じる阻害のレベルよりも大きく阻害する;または
(d)(a)~(c)の任意の組み合わせを行う、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
ヒトソルチリンについて、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体よりも1倍超から最高約2.1倍低い解離定数(KD)を有し、前記KDは、FACSによって決定される、請求項1または請求項2に記載の抗体。
【請求項4】
ヒトソルチリンについて、約5.0E-10M~約1.0E-9Mの範囲の解離定数(KD)を有し、前記KDは、FACSによって決定され、または約250~500pMの範囲のKDを有し、前記KDは、バイオレイヤー干渉法によって決定される、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項5】
ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、及びアミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域が、アミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、前記抗体。
【請求項6】
ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、及びアミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域が、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、前記抗体。
【請求項7】
ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、
(a)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(b)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号58のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(c)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号59のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(d)配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(e)配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号58のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(f)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(g)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(h)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号78のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(i)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号79のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(j)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(k)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(l)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または
(m)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号72のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、前記抗体。
【請求項8】
ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、前記抗体。
【請求項9】
ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、前記抗体。
【請求項10】
ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、配列番号137のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号142のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、前記抗体。
【請求項11】
ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号142のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、前記抗体。
【請求項12】
IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスのものである、請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項13】
IgGクラスのものであり、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプを有する、請求項12に記載の抗体。
【請求項14】
(a)IgG1またはIgG2アイソタイプであり、かつFc領域が、アミノ酸置換をP331S位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである;
(b)IgG1アイソタイプであり、かつFc領域が、アミノ酸置換をL234A、L235A、及びP331S位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである;
(c)IgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプであり、かつFc領域が、アミノ酸置換をN297A位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである;または
(d)Fc領域が、アミノ酸置換をS267E及びL328F位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである、請求項13に記載の抗体。
【請求項15】
IgG1アイソタイプであり、かつFc領域が、アミノ酸置換をL234A、L235A、及びP331S位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである、請求項14に記載の抗体。
【請求項16】
前記ソルチリンタンパク質がヒトソルチリンタンパク質である、請求項1~15のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項17】
前記ヒトソルチリンタンパク質が配列番号81のaミノ酸配列を含む、請求項16に記載の抗体。
【請求項18】
前記ソルチリンタンパク質が、野生型タンパク質、天然に存在するバリアント、または疾患バリアントである、請求項1~16のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項19】
ヒト抗体、二重特異性抗体、モノクローナル抗体、多価抗体、またはコンジュゲート抗体である、請求項1~18のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項20】
第1の抗原及び第2の抗原を認識する二重特異性抗体である、請求項19に記載の抗体。
【請求項21】
前記第1の抗原がソルチリンであり、かつ前記第2の抗原が、血液脳関門を通過する輸送を促進する抗原である、請求項20に記載の抗体。
【請求項22】
前記第2の抗原が、ソルチリン、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR-1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマシングルドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質形質導入ドメイン、TAT、Syn-B、ペネトラチン、ポリ-アルギニンペプチド、アンギオペップペプチド、バシギン、Glut1、CD98hc、及びANG1005からなる群から選択される、請求項21に記載の抗体。
【請求項23】
ヒトソルチリンタンパク質に結合する抗体フラグメントである、請求項1~9及び12~22のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項24】
前記抗体フラグメントが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、またはscFvフラグメントである、請求項23に記載の抗体。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか1項に記載の抗体をコードする核酸配列を含む単離核酸。
【請求項26】
請求項25に記載の核酸を含むベクター。
【請求項27】
請求項26に記載のベクターを含む単離宿主細胞。
【請求項28】
ソルチリンに結合する抗体を産生する方法であって、請求項27に記載の宿主細胞を、前記抗体が産生されるように培養することを含む、前記方法。
【請求項29】
前記宿主細胞によって産生される前記抗体を回収することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項28または29に記載の方法によって産生されるソルチリンに結合する単離抗体。
【請求項31】
請求項1~24及び請求項30のいずれか1項に記載の抗体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項32】
疾患、障害、または損傷を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを有する個体を処置する方法であって、前記個体に、治療有効量の請求項1~24及び請求項30のいずれか1項に記載の抗体または請求項31に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項33】
前記疾患、障害、または損傷が、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性播種性脳脊髄炎、網膜変性、加齢黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血症性ショック、細菌感染、関節炎、または変形性関節症からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記疾患、障害、または損傷が、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、及び筋萎縮性側索硬化症から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
神経炎症、短い軸索伸長及び異常な分枝によって特徴づけられる軸索変性症、ミクログリア活性化、ならびに炎症応答のうちの1つまたは複数を阻害することを必要とする個体において、それを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の請求項1~24及び請求項30のいずれか1項に記載の抗ソルチリン抗体または請求項31に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項36】
創傷治癒、自食作用、及び凝集タンパク質のクリアランスのうちの1つまたは複数を促進することを必要とする個体において、それを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の請求項1~24及び請求項30のいずれか1項に記載の抗ソルチリン抗体または請求項31に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項37】
関節炎を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを処置することを必要とする個体において、それを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の請求項1~24及び請求項30のいずれか1項に記載の抗ソルチリン抗体または請求項31に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項38】
1種または複数の炎症誘発性メディエーターの発現を減少させることを必要とする個体において、それを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の請求項1~24及び請求項30のいずれか1項に記載の抗ソルチリン抗体または請求項31に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項39】
前記1種または複数の炎症誘発性メディエーターが、IL-6、IL12p70、IL12p40、IL-1β、TNF-α、CXCL1、CCL2、CCL3、CCL4、及びCCL5からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する方法であって、ソルチリンを発現する細胞を、請求項1~24及び請求項30のいずれか1項に記載の抗ソルチリン抗体または請求項31に記載の医薬組成物に曝露することを含む、前記方法。
【請求項41】
前記細胞がインビトロである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記細胞がインビボである、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記細胞表面で発現されるソルチリンのレベルを低下させることをさらに含む、請求項40~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
プログラニュリンの細胞外レベルを上昇させる、請求項40~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
プログラニュリンのレベルを上昇させることを必要とする個体において、それを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の請求項1~24及び請求項30のいずれか1項に記載の抗ソルチリン抗体または請求項31に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項46】
プログラニュリンのレベルを血漿中で上昇させる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
プログラニュリンのレベルを脳脊髄液中で上昇させる、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
ソルチリンのレベルを低下させることを必要とする個体においてそれを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の請求項1~24及び請求項30のいずれか1項に記載の抗ソルチリン抗体または請求項31に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項49】
前記ソルチリンのレベルを末梢白血球において低下させる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記個体が、プログラニュリンをコードする遺伝子に1つまたは複数の変異を有する、請求項32~34及び45~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記個体が、プログラニュリンをコードする遺伝子における1つまたは複数の機能喪失型変異についてヘテロ接合である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記個体が前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、または筋萎縮性側索硬化症を有する、またはそのリスクがある、請求項50または請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記抗ソルチリン抗体が2種以上の抗ソルチリン抗体を含む、請求項32~52のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年7月13日出願の米国仮特許出願第62/698,007号、2019年6月11日出願の米国仮特許出願第62/860,184号、及び2019年6月28日出願の米国仮特許出願第62/868,849号の利益を主張し、それぞれ、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
発明は、米国国立衛生研究所により授与された助成番号R44AG050363の下に政府支援により成された。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0003】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの次の提出物の内容は、その全体が参照によって本明細書に援用される:配列表のコンピュータ可読形式(CRF)(ファイル名:735022001940SEQLIST.TXT、記録日:2019年7月10日、サイズ:153KB)。
【0004】
分野
本開示は、抗ソルチリン抗体及びそのような抗体の治療的使用に関する。
【背景技術】
【0005】
背景
ソルチリンは、数種のリガンドの受容体として作用し、かつ選択カーゴをトランス-ゴルジネットワーク(TGN)から後期エンドソーム及びリソソームへと分解のために選別する際にも作用するI型膜貫通タンパク質である。ソルチリンは、酵母VPS10Pと相同性がある、VPS10ファミリーの一部である大きな細胞外ドメインを有し、10枚ブレードのベータプロペラ構造及びシステインリッチな10CCモジュールを含有する(Nykjaer,A et al.,(2012)Trends Neurosci 35:261-270;及びZheng,Y et al.,(2011)PLoS One 6:e21023)。ソルチリンのごく一部は、ADAM10またはガンマセクレターゼ(<5%)の活性によって放出され得る(Nykjaer,A et al.,(2012)Trends Neurosci 35:261-270;及びWillnow,TE et al.,(2011)Curr Opin Lipidol 22:79-85)。
【0006】
ソルチリンは、分泌タンパク質プログラニュリン(PGRN)と結合し、これをリソソーム分解のために標的化するので、したがって、PGRNの細胞外レベルを負に調節する(Hu,F et al.(2010)Neuron 68,654-667。これに伴い、ソルチリンの欠乏は、インビボのマウスモデル及びインビトロのヒト細胞の両方において、血漿中PGRNレベルを有意に上昇させる(Carrasquillo,M.M et al.,(2010)Am J Hum Genet 87,890-897;Lee,W.C et al.,(2014)Hum Mol Genet 23,1467-1478)。さらに、ソルチリンの多型性は、ヒトにおけるPGRN血清中レベルと強く関連していることが示された(Carrasquillo MM e al.,(2010),Am J Hum Genet.10;87(6):890-7)。
【0007】
プログラニュリン(PGRN)は、成長因子様の栄養及び抗炎症の分泌タンパク質であり、食事性肥満及びインスリン抵抗性に関係するアディポカインとしての役割も果たす(Nguyen DA et al.,(2013).Trends in Endocrinology and Metabolism,24,597-606)。プログラニュリン欠乏は、早発性神経変性疾患である前頭側頭型認知症(FTD)の遺伝型全体のほぼ25%を占めている。PGRNにヘテロ接合性機能喪失型変異を有する患者では、このタンパク質の細胞外レベルが約50%低下しており、例外なくFTDを発症することとなるので、PGRNは、この疾患の原因遺伝子とされている(Baker,M et al.,(2006)Nature 442,916-919;Carecchio M et al.,(2011)J Alzheimers Dis 27,781-790;Cruts,M et al.,(2008)Trends Genet 24,186-194;Galimberti,D et al.,(2010)J Alzheimers Dis 19,171-177)。加えて、PGRN変異対立遺伝子がアルツハイマー病患者において同定されている(Seelaar,H et al.,(2011).Journal of neurology,neurosurgery,and psychiatry 82,476-486)。重要なことに、PGRNは、PGRNレベルを上昇させた複数の疾患モデルにおいて保護的に作用し、虚血からの行動回復を加速し(Tao,J et al.,(2012)Brain Res 1436,130-136;Egashira,Y.et al.,(2013).J Neuroinflammation 10,105)、パーキンソン病モデルにおける歩行障害を抑制し(Van Kampen,J.M et al.(2014).PLoS One 9,e97032)、筋萎縮性側索硬化症(Laird,A.S et al.,(2010).PLoS One 5,e13368.)及び関節炎(Tang,W et al.,(2011).Science 332,478-484)のモデルにおいて病状を緩和し、かつアルツハイマー病モデルにおいて記憶障害を予防する(Minami,S.S et al.,(2014).Nat Med 20,1157-1164)。
【0008】
ソルチリンはまた、プロドメインを含み、典型的にアポトーシス促進性であるプロ神経成長因子(pro-NGF)、pro-BDNF、プロニューロトロフィン-3などのプロニューロトロフィンに直接結合する。そのようなプロニューロトロフィン前駆体は、ストレス下で放出され、それらの放出の制御、さらには受容細胞への結合及びp75NTRと連係したアポトーシスの刺激に、ソルチリンが関与している(Willnow,TE et al.,(2008)Nat Rev Neurosci 9:899-909;Nykjaer,A et al.,Trends Neurosci 35:261-270;及びNykjaer,A et al.,(2004)Nature 427:843-848;Hiroko Yano et al.,(2009)J Neurosci.;29:14790-14802.Teng H.K.,et al.,J.Neurosci.25:5455-5463(2005))。ソルチリンはまた、p75NTRに直接結合する(Skeldal S et al.,(2012)J Biol Chem.;287:43798)。ソルチリンはまた、プログラニュリン結合と部分的に重複する領域でニューロテンシンに結合する(Quistgaard,EM et al.,(2009)Nat Struct Mol Biol 16:96-98;及びZheng,Y et al.,PLoS One 6:e21023)。ソルチリンはまた、Trk受容体のNTRK1、NTRK2、及びNTRK3と相互作用し;それらの順行性軸索輸送及びシグナル伝達を調節し得る(Vaegter,CB et al.,(2011)Nat.Neurosci.14:54-61)。ソルチリンはまた、アミロイド前駆体タンパク質のプロセシング及び輸送ならびにその結果生じる異常なベータアミロイドペプチドの産生と相互作用し、それを調節する(Gustafsen C et al.,(2013).J Neurosci.2;33(1):64-71)。
【0009】
ソルチリンはまた、アポリポタンパク質及びリポタンパク質リパーゼに結合することが示されており;したがって、欠乏は、肝臓からのVLDL放出の減少及びコレステロールの減少をもたらす(Willnow,TE et al.,(2011)Curr Opin Lipidol 22:79-85;Kjolby,M et al.,(2010)Cell Metab 12:213-223;Nilsson,SK et al.,(2007)Biochemistry 46:3896-3904.;Nilsson,SK et al.,(2008)J Biol Chem 283:25920-25927;及びKlinger,SC et al.,(2011)J Cell Sci 124:1095-1105)。最近では、ソルチリンはまた、直接的にAPPへの結合(Gustafsen,C et al.,(2013)J.Neurosc.33:64-71)、またAPPプロセシング酵素BACE1への結合(Gustafsen,C et al.,(2013)J.Neurosc.33:64-71;及びFinan,GM et al.,J Biol Chem 286:12602-12616)に関係があるとされている。ソルチリンはまた、アポリポタンパク質E(APOE)、Aベータペプチド(Carlo,AS et al.,(2013)J.Neurosc,33:358-370)、及びPCSK9(Gustafsen et al,(2014)Cell Metab,19:310-318)に結合する。ソルチリンはまた、低密度リポタンパク質受容体をリソソームでの分解に導くPCSK9に結合し、その細胞外レベルを制御して、LDLコレステロールのレベルを上昇させることが示されている(Gustafsen C et al.,(2014).Cell Metab.2014 Feb 4;19(2):310-8)。
【0010】
エンドソームなどの細胞内ベシクルに存在する場合、ソルチリンのアミノ末端細胞外ドメインは、ベシクルのカーゴが存在する内腔側に向いている。しかしながら、ソルチリンのカルボキシ末端の細胞内/細胞質ドメインは、表面からの輸送及び細胞内コンパートメント内の輸送を調節する一連のアダプタータンパク質に結合する。これらには、AP2(細胞表面からのエンドサイトーシスを調節するためのクラスリンアダプター)、ならびにレトロマー複合体/AP1(初期エンドソームからゴルジ体へのリサイクリングの動きを調節する)が含まれ;かつゴルジ体から初期エンドソームへ直接移動させ、通常は、それに続くリソソームを介した分解のためのGGA(ゴルジ体局在性γ-ear含有ADPリボース化因子結合)ファミリータンパク質との相互作用を含む。したがって、ソルチリンは、その内腔ドメインでリガンドに結合し得る一方で、その目的地を決定する細胞質アダプターに結合して、プログラニュリン及び他の因子の分解などの細胞内運命を決定する。
【0011】
プログラニュリンなどのタンパク質とのその様々な相互作用によって、ソルチリン及びその多数のリガンドは、前頭側頭型認知症、筋萎縮性側索硬化症、筋萎縮性側索硬化症-前頭側頭型認知症表現型、アルツハイマー病、パーキンソン病、うつ病、精神神経障害、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、加齢黄斑変性、緑内障、外傷性脳損傷、老化、痙攣発作、創傷治癒、脳卒中、関節炎、及びアテローム硬化性血管疾患などの様々な疾患、障害、及び状態に関係していることが示されている。
【0012】
したがって、ソルチリン活性に関連する1種または複数の疾患、障害、及び状態を処置するために、ソルチリンタンパク質に特異的に結合し、かつプログラニュリンなどのそのリガンドへのソルチリンの結合を遮断するか、または別段に、リガンドの有効濃度を調節する治療用抗体が必要とされている。
【0013】
特許、特許出願及び刊行物を含む、本明細書に引用されるすべての参考文献は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【発明の概要】
【0014】
本開示は概して、ヒトソルチリンと特異的に結合する抗体、例えば、モノクローナル、キメラ、ヒト化抗体、抗体フラグメントなどを含む組成物、及びそのような組成物を使用する方法を対象とする。
【0015】
一部の態様では、本開示は、ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、その際、重鎖可変領域が、配列番号1を含むHVR-H1、配列番号2または配列番号3を含むHVR-H2、及び配列番号5または配列番号6を含むHVR-H3を含み;かつ軽鎖可変領域が、配列番号8~27のいずれかを含むHVR-L1、配列番号29または配列番号30を含むHVR-L2、及び配列番号32を含むHVR-L3を含む、抗体を提供する。
【0016】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0017】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRVS(配列番号30)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0018】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLES(配列番号3)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0019】
一部の態様では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0020】
一部の態様では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0021】
一部の態様では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号10)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0022】
一部の態様では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号21)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0023】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0024】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号26)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0025】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQGLLRSNGYNYLD(配列番号27)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0026】
一部の態様では、本開示は、ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、その際、重鎖可変領域が、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、及びアミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ該軽鎖可変領域が、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、抗体を提供する。
【0027】
一部の態様では、本開示は、ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、該抗体が、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、及びアミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を有する重鎖可変領域を含み;かつ該軽鎖可変領域が、アミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、抗体を提供する。
【0028】
上記態様のいずれかの一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、(a)ソルチリンの細胞表面レベルを、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体によって生じる低下のレベルよりも大きく低下させる;(b)プログラニュリンの細胞外レベルを、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体によって生じる上昇のレベルよりも大きく上昇させる;(c)ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体によって生じる阻害レベルよりも大きく阻害する;または(d)(a)~(c)の任意の組み合わせを行う。上記態様のいずれかの一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、(a)ソルチリンの細胞表面レベルを、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-7、またはS-60-8からなる群から選択される抗ソルチリン抗体によって生じる低下のレベルよりも大きく低下させる;(b)プログラニュリンの細胞外レベルを、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-7、またはS-60-8からなる群から選択される抗ソルチリン抗体によって生じる上昇のレベルよりも大きく上昇させる;(c)ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-7、またはS-60-8からなる群から選択される抗ソルチリン抗体によって生じる阻害レベルよりも大きく阻害する;または(d)(a)~(c)の任意の組み合わせを行う。
【0029】
本開示のある特定の態様は、配列番号54~56からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;及び/または配列番号57~58、60~78、または80からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体を提供する。
【0030】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0031】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号58のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0032】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号59のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0033】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0034】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号58のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0035】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0036】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0037】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号78のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0038】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号79のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0039】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0040】
一部の態様では、本開示は、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ソルチリンタンパク質に結合する抗体を提供する。
【0041】
ある特定の態様では、本開示は、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ソルチリンタンパク質に結合する抗体を提供する。
【0042】
ある特定の態様では、本開示は、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ソルチリンタンパク質に結合する抗体を提供する。
【0043】
ある特定の態様では、本開示は、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号72のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ソルチリンタンパク質に結合する抗体を提供する。
【0044】
先行する態様のいずれかと組み合わせてもよい一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスのものである。ある特定の特異的実施形態では、抗ソルチリン抗体は、IgGクラスのものであり、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプを有する。本開示の一部の実施形態では、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプの抗ソルチリン抗体を提供し、その際、(a)抗体は、IgG1またはIgG2アイソタイプであり、かつFc領域は、アミノ酸置換をP331S位で含む(残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによる);(b)抗体は、IgG1アイソタイプであり、かつFc領域は、アミノ酸置換をL234A、L235A、及びP331S位で含む(残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによる);(c)抗体は、IgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプであり、かつFc領域はアミノ酸置換をN297A位で含む(残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによる);または(d)Fc領域は、アミノ酸置換をS267E及びL328F位で含む(残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによる)。一部の実施形態では、抗体は、IgG1アイソタイプであり、かつFc領域は、アミノ酸置換をL234A、L235A、及びP331S位で含む(残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによる)。
【0045】
一部の態様では、本開示は、配列番号137のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号142のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ソルチリンタンパク質に結合する抗体を提供する。
【0046】
一部の態様では、本開示は、配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号142のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ソルチリンタンパク質に結合する抗体を提供する。
【0047】
本開示のある特定の実施形態では、ソルチリンタンパク質は、ヒトタンパク質である。一部の実施形態では、ソルチリンタンパク質は、野生型タンパク質である。ある特定の実施形態では、ソルチリンタンパク質は、天然に存在するバリアントである。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンタンパク質に特異的に結合する。先行する実施形態のいずれかと組み合わせてもよい一部の実施形態では、抗体は、ヒト抗体、二重特異性抗体、モノクローナル抗体、多価抗体、コンジュゲート抗体、またはキメラ抗体である。ある特定の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体である。
【0048】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、第1の抗原及び第2の抗原を認識する二重特異性抗体である。ある特定の実施形態では、本開示の二重特異性抗体は、ソルチリンと、血液脳関門を通過する輸送を促進する抗原との両方を認識する。一部の特異的実施形態では、第1の抗原は、ソルチリンであり、かつ第2の抗原は、ソルチリン、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR-1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマシングルドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質形質導入ドメイン、TAT、Syn-B、ペネトラチン、ポリ-アルギニンペプチド、アンギオペップペプチド、バシギン、Glut1、CD98hc、またはANG1005である。
【0049】
本開示のある特定の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンタンパク質に結合する抗体フラグメントである。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン、天然に存在するヒトソルチリンのバリアント、及びヒトソルチリンの疾患バリアントからなる群から選択される1種または複数のヒトタンパク質に結合する抗体フラグメントである。先行する実施形態のいずれかと組み合わせてもよいある特定の実施形態では、抗ソルチリン抗体フラグメントは、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、またはscFvフラグメントである。
【0050】
ある特定の実施形態では、本開示は、(a)プログラニュリンの細胞外レベルを上昇させる、ソルチリンの細胞レベルを低下させる、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する、またはそれらの任意の組み合わせを行う;(b)ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる、プログラニュリンの細胞外レベルを上昇させる、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する、またはそれらの任意の組み合わせを行う;(c)ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる、ソルチリンの細胞内レベルを低下させる、ソルチリンの総レベルを低下させる、またはそれらの任意の組み合わせを行う;(d)ソルチリン分解、ソルチリン切断、ソルチリン内在化、ソルチリン下方調節、またはそれらの任意の組み合わせを誘導する;(e)ソルチリンの細胞レベルを低下させる、及びソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する;(f)ソルチリンの細胞レベルを低下させる、及びプログラニュリンの細胞レベルを上昇させる;及び/または(g)プログラニュリンの有効濃度を上昇させる抗ソルチリン抗体を提供する。
【0051】
ある特定の実施形態では、本開示は、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる、プログラニュリンの細胞外レベルを上昇させる、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する、またはそれらの任意の組み合わせを行う抗ソルチリン抗体を提供する。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体よりも最大2.5倍低い解離定数(KD)(この場合、KDは、FACSによって決定される。例えば、実施例1を参照されたい)を有する。一部の実施形態では、抗体は、ヒトソルチリンについて、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体よりも1倍超から最高約2.1倍低い解離定数(KD)(この場合、KDは、FACSによって決定される)を有する。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、約1.10E-8M~約4.68E-10M(この場合、KDは、FACSによって決定される。例えば、実施例1を参照されたい)、または約270~約2910pM(この場合、KDは、バイオレイヤー干渉法によって決定される。例えば、実施例4を参照されたい)の範囲である解離定数(KD)を有する。一部の実施形態では、抗体は、ヒトソルチリンについて、約5.0E-10M~約1.0E-9M(この場合、KDは、FACSによって決定される)、または約250~500pM(この場合、KDは、バイオレイヤー干渉法によって決定される)の範囲である解離定数(KD)を有する。
【0052】
先行する実施形態のいずれかと組み合わせてもよい一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は(a)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルを、150pM未満である50%効果濃度(EC50)で低下させる;(b)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルを、対照と比べて1.25nM IgGで約50%超、0.63nM IgGで約80%超、または150nM IgGで約69%超低下させる;標準的なELISAによって測定した場合に、プログラニュリン分泌を、0.63nM IgGで対照に対して約1.13倍超または50nM IgGで対照に対して約1.22倍超増加させる;フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンへのプログラニュリンの結合を、0.325nM未満である50%効果濃度(EC50)で遮断する;(e)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンへのプログラニュリンの結合を、対照に対して50nM IgGで約88%超、または150nM IgGで約27.5%超遮断する;または(f)それらの任意の組み合わせを行う。
【0053】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、(a)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルを、681pM未満である50%効果濃度(EC50)で低下させる;(b)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルを、対照に対して1.25nM IgGで約40%超、0.6nM IgGで約29%超、または150nM IgGで約62%超低下させる;(c)標準的なELISAによって測定した場合に、プログラニュリン分泌を、0.63nM IgGで対照に対して約1.11倍超、または50nM IgGで対照に対して約1.75倍超増加させる;(d)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンへのプログラニュリンの結合を、0.751nM未満である50%効果濃度(EC50)で遮断する;(e)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンへのプログラニュリンの結合を、対照に対して50nM IgGで約90%超、または150nM IgGで約95%超遮断する;または(f)それらの任意の組み合わせを行う。
【0054】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-16、S-60-18、S-60-19、S-60-24、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される抗体の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む抗体と競合する。先行する実施形態のいずれかと組み合わせてもよい一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-16、S-60-18、S-60-19、及びS-60-24からなる群から選択される抗体の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む抗体と本質的に同じソルチリンエピトープに結合する。
【0055】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の方法のいずれかによって産生される抗体に関する。一部の態様では、本開示は、先行する態様及び実施形態のいずれか1つの抗ソルチリン抗体をコードする核酸配列を含む単離核酸を提供する。したがって、一部の態様は、抗ソルチリン抗体をコードする核酸を含むベクターを提供し、かつ一部の態様は、そのようなベクターを含有する単離宿主細胞を提供する。ある特定の態様では、本開示は、そのような単離宿主細胞を、抗ソルチリン抗体が産生されるように培養することを含む、ソルチリンに結合する抗ソルチリン抗体を産生する方法を提供する。ある特定の実施形態では、方法は、細胞によって産生される抗体を回収することをさらに含む。一部の態様では、ソルチリンに結合し、かつ本開示の方法によって産生される単離抗体を本明細書で提供する。
【0056】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体のいずれか及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。一部の実施形態では、本開示は、医薬品を調製または製造するための本明細書に記載の抗体または組成物のいずれかの使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、神経障害性疼痛、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性播種性脳脊髄炎、網膜変性、加齢黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血症性ショック、細菌感染、関節炎、または変形性関節症を処置するための医薬品を調製または製造するための、本明細書に記載の抗体または組成物のいずれかの使用に関する。一部の実施形態は、処置方法で使用するための、本明細書に記載の抗体または組成物を提供する。一部の実施形態は、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、神経障害性疼痛、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性播種性脳脊髄炎、網膜変性、加齢黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血症性ショック、細菌感染、関節炎、または変形性関節症の処置方法で使用するための、本明細書に記載の抗体または組成物を提供する。
【0057】
ある特定の態様では、疾患、障害、または損傷を予防する、そのリスクを減少する、またはそれを有する個体を処置する方法であって、それを必要とする個体に、治療有効量の本開示の抗ソルチリン抗体を投与することを含む、方法を本明細書において提供する。一部の実施形態では、疾患、障害または損傷は、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、神経障害性疼痛、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性播種性脳脊髄炎、網膜変性、加齢黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血症性ショック、細菌感染、関節炎、及び変形性関節症からなる群から選択される。一部の実施形態では、疾患、障害、または損傷は、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、及び筋萎縮性側索硬化症から選択される。
【0058】
ある特定の態様では、神経炎症、短い軸索伸長及び異常な分枝によって特徴づけられる軸索変性症、ミクログリア活性化、ならびに炎症応答のうちの1つまたは複数を阻害する方法であって、個体に、治療有効量の本開示の抗ソルチリン抗体を投与することを含む、方法を本明細書において提供する。
【0059】
ある特定の態様では、創傷治癒、自食作用、及び凝集タンパク質のクリアランスのうちの1つまたは複数を促進する方法であって、個体に、治療有効量の本開示の抗ソルチリン抗体を投与することを含む、方法を本明細書において提供する。
【0060】
ある特定の態様では、関節炎を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを有する個体を処置する方法であって、個体に、治療有効量の本開示の抗ソルチリン抗体を投与することを含む、方法を本明細書において提供する。
【0061】
ある特定の態様では、1種または複数の炎症誘発性メディエーターの発現を減少する方法であって、個体に、治療有効量の本開示の抗ソルチリン抗体を投与することを含む、方法を本明細書において提供する。一部の実施形態では、1種または複数の炎症誘発性メディエーターは、IL-6、IL12p70、IL12p40、IL-1β、TNF-α、CXCL1、CCL2、CCL3、CCL4、及びCCL5からなる群から選択される。
【0062】
一部の態様では、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する方法であって、ソルチリンを発現する細胞を、本開示の抗ソルチリン抗体または医薬組成物に曝露することを含む、方法を本明細書において提供する。一部の実施形態では、細胞は、インビトロである。一部の実施形態では、細胞は、インビボである。一部の実施形態では、該方法はさらに、細胞表面で発現されるソルチリンのレベルを低下させることを含む。一部の実施形態では、プログラニュリンの細胞外レベルを上昇させる。
【0063】
一部の態様では、プログラニュリンのレベルを上昇させることを必要とする個体においてそれを行う方法であって、個体に、治療有効量の本開示の抗ソルチリン抗体または医薬組成物を投与することを含む、方法を本明細書において提供する。一部の実施形態では、プログラニュリンのレベルが血漿中で上昇する。一部の実施形態では、プログラニュリンのレベルが脳脊髄液中で上昇する。一部の態様では、ソルチリンのレベルを低下させることを必要とする個体においてそれを行う方法であって、個体に、治療有効量の本開示の抗ソルチリン抗体または医薬組成物を投与することを含む、方法を本明細書において提供する。一部の実施形態では、ソルチリンのレベルが、末梢白血球において低下する。一部の実施形態では、個体は、プログラニュリンをコードする遺伝子に1つまたは複数の変異を有する。一部では、個体は、プログラニュリンをコードする遺伝子における1つまたは複数の機能喪失型変異についてヘテロ接合性である。一部の実施形態では、個体は、c9orf72ヘキサヌクレオチドリピート伸長を有する。個体は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、または筋萎縮性側索硬化症を有するか、またはそのリスクがある。
【0064】
先行する態様または実施形態のいずれかと組み合わせてもよい一部の実施形態では、本開示は、該抗ソルチリン抗体が2種以上の抗ソルチリン抗体を含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1A】単回投与の抗ソルチリン抗体S-60-15.1[N33T]LALAPS(L234A/L235A/P331S変異を有するhuIgG1とのS-60-15.1[N33T])を投与された非ヒト霊長類の薬物動態及び薬力学研究が示されている。
図1Aは、処置後の指定時点(時)での末梢白血球におけるSORT1のレベルを基線からのパーセンテージとして、指定の抗ソルチリン抗体用量と共に示している。SORT1発現は、試験した抗ソルチリン抗体用量のすべてで減少した。より高い抗体用量(60mg/kg、200mg/kg)は、より低い抗ソルチリン抗体用量(5mg/kg、20mg/kg)と比較して、SORT1レベルのより早期及びより長期の低下の両方をもたらした。
図1Bは、処置後の指定時点(時)での血漿中のPGRNのレベルを基線からのパーセンテージとして、指定の抗ソルチリン抗体用量と共に示している。PGRNのレベルは、時間及び用量依存的に上昇した。特に、血漿中PGRNレベルは、試験したすべての抗ソルチリン抗体用量について、基線レベルと比較して、C
maxで3~4倍上昇し、かつより高い抗体用量では、長期間にわたって上昇したままであった。
図1Cは、処置後の指定時点(時)でのCSF中のPGRNのレベルを基線からのパーセンテージとして、指定の抗ソルチリン抗体用量と共に示している。CSF中PGRNレベルは、20mg/kg、60mg/kg、または200mg/kgのいずれかを投与された動物において、基線に対して2~3倍上昇した。血漿中PGRNレベル(
図1B)で観察されるとおり、CSF中PGRNレベルは、より高い抗体用量群では、長時間にわたって上昇したままであった。
図1A~1Cでは、1投与あたりn=動物3匹。
【
図1B】単回投与の抗ソルチリン抗体S-60-15.1[N33T]LALAPS(L234A/L235A/P331S変異を有するhuIgG1とのS-60-15.1[N33T])を投与された非ヒト霊長類の薬物動態及び薬力学研究が示されている。
図1Aは、処置後の指定時点(時)での末梢白血球におけるSORT1のレベルを基線からのパーセンテージとして、指定の抗ソルチリン抗体用量と共に示している。SORT1発現は、試験した抗ソルチリン抗体用量のすべてで減少した。より高い抗体用量(60mg/kg、200mg/kg)は、より低い抗ソルチリン抗体用量(5mg/kg、20mg/kg)と比較して、SORT1レベルのより早期及びより長期の低下の両方をもたらした。
図1Bは、処置後の指定時点(時)での血漿中のPGRNのレベルを基線からのパーセンテージとして、指定の抗ソルチリン抗体用量と共に示している。PGRNのレベルは、時間及び用量依存的に上昇した。特に、血漿中PGRNレベルは、試験したすべての抗ソルチリン抗体用量について、基線レベルと比較して、C
maxで3~4倍上昇し、かつより高い抗体用量では、長期間にわたって上昇したままであった。
図1Cは、処置後の指定時点(時)でのCSF中のPGRNのレベルを基線からのパーセンテージとして、指定の抗ソルチリン抗体用量と共に示している。CSF中PGRNレベルは、20mg/kg、60mg/kg、または200mg/kgのいずれかを投与された動物において、基線に対して2~3倍上昇した。血漿中PGRNレベル(
図1B)で観察されるとおり、CSF中PGRNレベルは、より高い抗体用量群では、長時間にわたって上昇したままであった。
図1A~1Cでは、1投与あたりn=動物3匹。
【
図1C】単回投与の抗ソルチリン抗体S-60-15.1[N33T]LALAPS(L234A/L235A/P331S変異を有するhuIgG1とのS-60-15.1[N33T])を投与された非ヒト霊長類の薬物動態及び薬力学研究が示されている。
図1Aは、処置後の指定時点(時)での末梢白血球におけるSORT1のレベルを基線からのパーセンテージとして、指定の抗ソルチリン抗体用量と共に示している。SORT1発現は、試験した抗ソルチリン抗体用量のすべてで減少した。より高い抗体用量(60mg/kg、200mg/kg)は、より低い抗ソルチリン抗体用量(5mg/kg、20mg/kg)と比較して、SORT1レベルのより早期及びより長期の低下の両方をもたらした。
図1Bは、処置後の指定時点(時)での血漿中のPGRNのレベルを基線からのパーセンテージとして、指定の抗ソルチリン抗体用量と共に示している。PGRNのレベルは、時間及び用量依存的に上昇した。特に、血漿中PGRNレベルは、試験したすべての抗ソルチリン抗体用量について、基線レベルと比較して、C
maxで3~4倍上昇し、かつより高い抗体用量では、長期間にわたって上昇したままであった。
図1Cは、処置後の指定時点(時)でのCSF中のPGRNのレベルを基線からのパーセンテージとして、指定の抗ソルチリン抗体用量と共に示している。CSF中PGRNレベルは、20mg/kg、60mg/kg、または200mg/kgのいずれかを投与された動物において、基線に対して2~3倍上昇した。血漿中PGRNレベル(
図1B)で観察されるとおり、CSF中PGRNレベルは、より高い抗体用量群では、長時間にわたって上昇したままであった。
図1A~1Cでは、1投与あたりn=動物3匹。
【
図2A】
図2A~2Cは、抗ソルチリン抗体S-60-15.1[N33T]LALAPS反復投与を投与された非ヒト霊長類の薬物動態及び薬力学研究を示している。動物(雄2匹及び雌2匹)に、抗ソルチリン抗体S-60-15.1[N33T]LALAPSを60mg/kgの用量で、週1回、4週間にわたって投与した。投与を行った日が、垂直破線で示されている。
図2Aは、指定時点(日)での末梢白血球(WBC)におけるSORT1の濃度の平均(+/-標準偏差)を基線に対するパーセンテージとして示している。末梢白血球におけるSORT1レベルは、研究期間を通じて低下したままであった。
図2Bは、指定時点(日)での血漿中のPGRNの濃度の平均(+/-標準偏差)を基線に対するパーセンテージ(正規化)として示している。血漿中PGRNレベルは、ピークレベルで、基線に対して5~6倍に上昇した。抗ソルチリン抗体の4回目及び最終回の投与後に血漿中PGRNの低下が観察された;しかしながら、血漿中PGRNレベルは、基線に対して2倍上昇したままであった。
図2Cは、指定時点(日)でのCSF中PGRNの濃度の平均(+/-標準偏差)を基線に対するパーセンテージ(正規化)として示している。CSF中PGRNレベルは、基線に対して3~4倍上昇した(
図2C)。
【
図2B】
図2A~2Cは、抗ソルチリン抗体S-60-15.1[N33T]LALAPS反復投与を投与された非ヒト霊長類の薬物動態及び薬力学研究を示している。動物(雄2匹及び雌2匹)に、抗ソルチリン抗体S-60-15.1[N33T]LALAPSを60mg/kgの用量で、週1回、4週間にわたって投与した。投与を行った日が、垂直破線で示されている。
図2Aは、指定時点(日)での末梢白血球(WBC)におけるSORT1の濃度の平均(+/-標準偏差)を基線に対するパーセンテージとして示している。末梢白血球におけるSORT1レベルは、研究期間を通じて低下したままであった。
図2Bは、指定時点(日)での血漿中のPGRNの濃度の平均(+/-標準偏差)を基線に対するパーセンテージ(正規化)として示している。血漿中PGRNレベルは、ピークレベルで、基線に対して5~6倍に上昇した。抗ソルチリン抗体の4回目及び最終回の投与後に血漿中PGRNの低下が観察された;しかしながら、血漿中PGRNレベルは、基線に対して2倍上昇したままであった。
図2Cは、指定時点(日)でのCSF中PGRNの濃度の平均(+/-標準偏差)を基線に対するパーセンテージ(正規化)として示している。CSF中PGRNレベルは、基線に対して3~4倍上昇した(
図2C)。
【
図2C】
図2A~2Cは、抗ソルチリン抗体S-60-15.1[N33T]LALAPS反復投与を投与された非ヒト霊長類の薬物動態及び薬力学研究を示している。動物(雄2匹及び雌2匹)に、抗ソルチリン抗体S-60-15.1[N33T]LALAPSを60mg/kgの用量で、週1回、4週間にわたって投与した。投与を行った日が、垂直破線で示されている。
図2Aは、指定時点(日)での末梢白血球(WBC)におけるSORT1の濃度の平均(+/-標準偏差)を基線に対するパーセンテージとして示している。末梢白血球におけるSORT1レベルは、研究期間を通じて低下したままであった。
図2Bは、指定時点(日)での血漿中のPGRNの濃度の平均(+/-標準偏差)を基線に対するパーセンテージ(正規化)として示している。血漿中PGRNレベルは、ピークレベルで、基線に対して5~6倍に上昇した。抗ソルチリン抗体の4回目及び最終回の投与後に血漿中PGRNの低下が観察された;しかしながら、血漿中PGRNレベルは、基線に対して2倍上昇したままであった。
図2Cは、指定時点(日)でのCSF中PGRNの濃度の平均(+/-標準偏差)を基線に対するパーセンテージ(正規化)として示している。CSF中PGRNレベルは、基線に対して3~4倍上昇した(
図2C)。
【発明を実施するための形態】
【0066】
定義
本明細書で使用される場合、用語「予防する」は、個体における特定の疾患、障害、または状態の発生または再発に関する予防法の提供を含む。個体は、特定の疾患、障害、もしくは状態に罹患しやすい、かかりやすい、またはそのような疾患、障害、もしくは状態を発症するリスクがあり得るが、まだ疾患、障害、もしくは状態と診断されていない。
【0067】
本明細書で使用される場合、特定の疾患、障害、または状態を発症する「リスクがある」個体は、検出可能な疾患または疾患の症状を有してもよいし、または有しなくてもよく、かつ本明細書に記載の処置方法の前に、検出可能な疾患または疾患の症状を示していてもよいし、または示していなくてもよい。「リスクがある」は、個体が、当技術分野で公知のとおり、特定の疾患、障害、または状態の発症と相関する測定可能なパラメータである1つまたは複数のリスク因子を有することを示す。これらのリスク因子の1つまたは複数を有する個体は、これらのリスク因子の1つまたは複数を有しない個体よりも、特定の疾患、障害、または状態を発症する確率が高い。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「処置」は、臨床病理の経過中に処置される個体の自然経過を変更するように設計された臨床的介入を指す。望ましい治療効果には、進行速度を減少させること、病的状態を改善すること、または軽減させること、及び特定の疾患、障害、または状態の寛解または予後の改善が含まれる。個体は、例えば、特定の疾患、障害、または状態と関連する1つまたは複数の症状が緩和または排除される場合、成功裏に「処置される」。
【0069】
「有効量」は、所望の治療または予防結果を達成するために必要な投薬量及び期間での、少なくとも有効である量を指す。有効量は、1回または複数回の投与で提供することができる。本明細書における有効量は、個体の病状、年齢、性別、及び体重などの因子、ならびに個体において治療が所望の反応を誘導する能力に応じて変化し得る。有効量はまた、処置の有毒または有害作用を、治療上の有益効果が上回るものである。予防的使用については、有益な、または所望の結果には、疾患、その合併症、及び疾患の発症の過程で見られる中間の病理学的表現型の生化学的、組織学的、及び/または行動上の症状を含めた疾患のリスクの除去もしくは減少、重症度の軽減、または発症の遅延などの結果が含まれる。治療的使用については、有益な、または所望の結果には、臨床結果、例えば、疾患に起因する1つまたは複数の症状の軽減、疾患に罹患しているものの生活の質の向上、疾患の治療に必要な他の薬物の用量の減少、例えば標的化を介した別の薬物の効果の増強、疾患の進行の遅延、及び/または生存の延長が含まれる。薬物、化合物、または医薬組成物の有効量は、直接もしくは間接的に予防的または治療的処置を達成するのに十分な量である。臨床状況で理解されるように、薬物、化合物、または医薬組成物の有効量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併せて達成されてもよいし、またはされなくてもよい。したがって、「有効量」は、1つまたは複数の治療薬の投与に照らして判断され得、単一の薬剤は、1つまたは複数の他の薬剤と併せて所望の結果が達成され得るか、または達成される場合に、有効量で与えられるとみなされ得る。
【0070】
本明細書で使用される場合、別の化合物または組成物と「併せて」投与することには、同時投与及び/または異なる時における投与が含まれる。併せて投与することには、異なる投薬頻度または間隔のもの、及び同じ投与経路または異なる投与経路を使用するものも含まれる、共製剤としての投与または別の組成物としての投与も包含される。
【0071】
処置する、予防する、またはリスクを減少させる目的での「個体」は、ヒト、家畜及び牧畜動物、及び動物園、スポーツ、またはペット用動物、例えば、イヌ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ハムスター、アレチネズミ、マウス、フェレット、ラット、ネコなどを含む哺乳類として分類される任意の動物を指す。一部の実施形態では、個体は、ヒトである。
【0072】
用語「ソルチリン」または「ソルチリンポリペプチド」は、本明細書において互換的に使用され、本明細書では、別段に示されていない限り霊長類(例えば、ヒト及びカニクイザル)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む、任意の哺乳類源からの任意の天然ソルチリンを指す。一部の実施形態では、この用語は、野生型配列及び天然に存在するバリアント配列、例えば、スプライシング変異型または対立遺伝子変異型の両方を包含する。一部の実施形態では、この用語は、「全長」非プロセシングソルチリン、さらには、細胞におけるプロセシングから生じている任意の型のソルチリンを包含する。一部の実施形態では、ソルチリンは、ヒトソルチリンである。一部の実施形態では、例示的なヒトソルチリンのアミノ酸配列は、配列番号81である。
【0073】
用語「抗ソルチリン抗体」及び「ソルチリンに結合する抗体」及び「ソルチリンに特異的に結合する抗体」は、その抗体がソルチリンの標的化において診断用及び/または治療用作用物質として有用であるような十分な親和性で、ソルチリンに結合することができる抗体を指す。一実施形態では、無関係の非ソルチリンポリペプチドへの抗ソルチリン抗体の結合規模は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定した場合、ソルチリンへの該抗体の結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、ソルチリンに結合する抗体は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、または<0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。ある特定の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、異なる種からのソルチリン内に保存されているソルチリンのエピトープに結合する。
【0074】
「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書の「抗体」と互換的に使用される。本明細書の用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、具体的には、所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体フラグメントを含める。
【0075】
「天然抗体」は通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によって、重鎖に結合されているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖によって異なる。各重鎖及び軽鎖はまた、規則的間隔の鎖内ジスルフィド架橋も有している。各重鎖は、一端に、多数の定常ドメインが続く可変ドメイン(VH)を有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を、その他端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1定常ドメインと整列しており、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインの間のインターフェースを形成すると考えられている。
【0076】
異なるクラスの抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology,8th Ed.,Daniel P.Stites,Abba I.Terr and Tristram G.Parslow(eds.),Appleton & Lange,Norwalk,CT,1994,page 71及びChapter 6を参照されたい。
【0077】
任意の脊椎動物種由来の軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ(「κ」)及びラムダ(「λ」)と呼ばれる2つの明らかに異なる種類のうちの1つに割り当てることができる。それらの重鎖定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てることができる。5つのクラスの免疫グロブリン、すなわち、それぞれアルファ(「α」)、デルタ(「δ」)、イプシロン(「ε」)、ガンマ(「γ」)、及びミュー(「μ」)と指定された重鎖を有するIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがある。γ及びαクラスは、CH配列及び機能における比較的小さな差異に基づき、さらにサブクラス(アイソタイプ)に分けられる。例えば、ヒトは以下のサブクラスを発現する:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2。サブユニット構造及び異なるクラスの免疫グロブリンの三次元形状は周知であり、例えば、Abbas et al.,Cellular and Molecular Immunology,4th ed.(W.B.Saunders Co.,2000)に一般的に記載されている。
【0078】
本開示の抗ソルチリン抗体などの抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、「VH」及び「VL」と称されることがある。これらのドメインは一般に、(同じクラスの他の抗体と比べて)抗体の最も可変な部分であり、抗原結合部位を含有する。
【0079】
「可変」という用語は、可変ドメインの特定のセグメントが、本開示の抗ソルチリン抗体などの抗体間の配列において広範囲にわたって異なるという事実を指す。可変ドメインは、抗原結合を媒介し、特定の抗体の、特定の抗原に対する特異性を規定する。しかし、可変性は、可変ドメインの範囲全体にわたって均一に分布しない。その代わりに、可変性は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインの両方の超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中する。可変ドメインの、より高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、主にベータシート立体配置をとり、ベータシート構造を連結させるループを形成し、場合によっては、ベータシート構造の一部を形成する、3つのHVRによって連結される4つのFR領域を含む。各鎖のHVRは、FR領域によって、共に近接して保たれ、他の鎖のHVRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,MD(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、抗体の抗体依存性細胞毒性への関与などの種々のエフェクター機能を示す。
【0080】
本開示の抗ソルチリン抗体などの「単離」抗体は、(例えば、天然または組換えでの)産生環境の構成成分から、同定、分離、及び/または回収されている抗体である。好ましくは、単離ポリペプチドは、産生環境からの他のすべての汚染構成成分との関連性がない。組換え遺伝子導入された細胞から生じるような、産生環境からの汚染構成成分は通常、抗体に対する研究、診断、または治療的使用に支障を来すことになる材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質溶質または非タンパク質溶質を含むことがある。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、(1)例えば、Lowry法によって測定される場合、抗体の95重量%を超えるまで、一部の実施形態では、99重量%を超えるまで、(2)N末端の少なくとも15残基、もしくはスピニングカップシーケンサーの使用によって内部アミノ酸配列を得るために十分な程度まで、または(3)クーマシーブルーもしくは好ましくは、銀染色を使用して、非還元もしくは還元条件下のSDS-PAGEによって、均一になるまで精製されることになる。単離抗体は、組換えT細胞内のin situ抗体を含む。それというのも、抗体の自然環境の少なくとも1つの構成成分は、存在しないからである。しかしながら、普通は、単離ポリペプチドまたは抗体は、少なくとも1つの精製段階によって調製されるであろう。
【0081】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られた本開示のモノクローナル抗ソルチリン抗体などの抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る可能な天然変異及び/または翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化など)を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して向けられる。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して向けられる異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して向けられる。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンによって汚染されていない、ハイブリドーマ培養によって合成される点で有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な抗体集団から得られるような抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるべきモノクローナル抗体は、限定されないが、次の方法の1つまたは複数:DNA(複数可)、ウイルス様粒子、ポリペプチド(複数可)、及び/または細胞(複数可)のうちの1種または複数での、限定されないが、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、ハムスター及び/またはニワトリを含む動物の免疫化法、ハイブリドーマ法、B細胞クローニング法、組換えDNA法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座またはヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部または全部を有する動物においてヒトまたはヒト様抗体を産生するための技術を包含する様々な技術によって作製され得る。
【0082】
「全長抗体」、「インタクト抗体」、または「完全抗体」という用語は、抗体フラグメントとは対照的に、実質的にインタクトな形態の、本開示の抗ソルチリン抗体などの抗体を指すために互換的に使用される。具体的には、完全抗体には、Fc領域を含む、重鎖及び軽鎖を有する抗体が含まれる。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列バリアントであってもよい。場合によっては、インタクトな抗体は、1つまたは複数のエフェクター機能を有することがある。
【0083】
「抗体フラグメント」は、インタクト抗体の一部、好ましくは、インタクト抗体の抗原結合領域及び/または可変領域を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFvフラグメント;ダイアボディ;線状抗体(米国特許第5,641,870号の実施例2;Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062(1995)を参照されたい);一本鎖抗体分子;ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が含まれる。
【0084】
本開示の抗ソルチリン抗体などの抗体のパパイン消化は、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメント、及び残りの「Fc」フラグメント(名称が容易に結晶化する能力を反映している)を生じる。Fabフラグメントは、H鎖の可変領域ドメイン(VH)と共にL鎖全体、及び1つの重鎖の第1定常ドメイン(CH1)からなる。各Fabフラグメントは、抗原結合に関して一価であり、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理は、異なる抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合されたFabフラグメントにおおよそ対応し、依然として抗原を架橋できる単一の大きなF(ab’)2フラグメントをもたらす。Fab’フラグメントは、抗体ヒンジ領域由来の1つまたは複数のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端に、いくつかのさらなる残基を有する点で、Fabフラグメントとは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が、遊離チオール基を持つFab’のための本明細書での名称である。F(ab’)2抗体フラグメントは元々、それらの間にヒンジシステインを有するFab’フラグメントのペアとして産生された。抗体フラグメントの他の化学的連結も、知られている。
【0085】
Fcフラグメントは、ジスルフィドで共に保持される両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域の配列によって決定され、領域は、特定種類の細胞に見られるFc受容体(FcR)によっても認識される。
【0086】
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含有する最小の抗体フラグメントである。このフラグメントは、緊密に非共有結合的に会合した、1つの重鎖可変領域ドメイン及び1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これらの2つのドメインの折りたたみから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与して、抗体に抗原結合特異性を付与する6つの超可変ループ(それぞれH鎖及びL鎖から3ループ)が出ている。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)は、結合部位全体よりも親和性が低いが、抗原を認識して結合する能力を有する。
【0087】
「sFv」または「scFv」とも略記される「一本鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に連結されたVH及びVL抗体ドメインを含む抗体フラグメントである。好ましくは、sFvポリペプチドは、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするVHドメイン及びVLドメインとの間に、ポリペプチドリンカーをさらに含み、このことで、sFvは、抗原結合のための所望の構造を形成することが可能となる。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照されたい。
【0088】
本開示の抗ソルチリン抗体などの抗体の「機能的フラグメント」は、インタクトな抗体の抗原結合もしくは可変領域、またはFcR結合能を保持する、もしくは修飾している抗体のF領域を一般に含むインタクトな抗体の一部を含む。抗体フラグメントの例には、線状抗体、一本鎖抗体分子、及び抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が含まれる。
【0089】
「ダイアボディ」という用語は、可変ドメインの鎖内ペアリングではなく鎖間ペアリングが達成され、それによって2価のフラグメント、すなわち、2つの抗原結合部位を有するフラグメントを生じるように、VHドメイン及びVLドメインとの間に短いリンカー(約5~10残基)を有するsFvフラグメント(先行段落を参照されたい)を構築することによって調製された小さな抗体フラグメントを指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVH及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する2つの「クロスオーバー」sFvフラグメントのヘテロ二量体である。
【0090】
本明細書で使用される場合、「キメラ抗体」は、所望の生物学的活性を示す限り、重鎖及び/または軽鎖の一部が、特定の種に由来する、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同であるが、鎖(複数可)の残部が、別の種に由来する、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同である本開示のキメラ抗ソルチリン抗体などの抗体(免疫グロブリン)、さらには、そのような抗体のフラグメントを指す。本明細書の目的のキメラ抗体は、抗体の抗原結合領域が、例えば、目的の抗原をマカクザルに免疫することによって産生される抗体に由来するPRIMATIZED(登録商標)抗体を含む。本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」は、「キメラ抗体」のサブセットとして使用される。
【0091】
本開示の抗ソルチリン抗体のヒト化形態などの非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒトHVRからのアミノ酸残基及びヒトFRからのアミノ酸残基を含むキメラ抗体である。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、HVR(例えば、CDR)のすべてまたは実質的にすべてが、非ヒト抗体のものに対応し、FRのすべてまたは実質的にすべてが、ヒト抗体のものに対応する、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含むであろう。ヒト化抗体は任意選択で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化を施されている抗体を指す。
【0092】
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される、及び/または本明細書で開示されるとおり、ヒト抗体を作成するための技術のいずれかを使用して作製されている、本開示の抗ソルチリン抗体などの抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。ヒト抗体のこの定義は特に、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特異的に排除する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリ及び酵母ベースのプラットフォーム技術を含む、様々な当技術分野で公知の技術を使用して産生することができる。ヒト抗体は、抗原曝露に応答してこのような抗体を産生するために修飾されているが、その内因性の遺伝子座は無効化されているトランスジェニック動物、例えば免疫化ゼノマウスに、抗原を投与することによって調製することができる。さらに、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術によって生成することができる。
【0093】
用語「超可変領域」、「HVR」、または「HV」という用語は、本明細書で使用される場合、配列中で超可変である、及び/または構造的に規定されたループを形成する、本開示の抗ソルチリン抗体のもののような抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は、6つのHVR;VHの3つ(H1、H2、H3)及びVLの3つ(L1、L2、L3)を含む。天然抗体では、H3及びL3は、6つのHVRのうち最も大きな多様性を示し、H3は特に、抗体に細かい特異性を付与することにおいて、独特の役割を果たすと考えられている。重鎖のみからなる天然に存在するラクダ抗体は、軽鎖の非存在下では機能的で安定である。
【0094】
複数のHVRの描写が使用されており、本明細書に包含される。一部の実施形態では、HVRは、配列可変性に基づくKabat相補性決定領域(CDR)であり得、最も一般的に使用されている(前出Kabatら)。一部の実施形態では、HVRは、Chothia CDRであり得る。その代わりに、Chothiaは、構造ループの位置を指す(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。一部の実施形態では、HVRは、AbM HVRであり得る。AbM HVRは、Kabat CDR及びChothia構造ループとの間の折衷案を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用される。一部の実施形態では、HVRは、「接触」HVRであり得る。「接触」HVRは、利用可能な複雑な結晶構造の分析に基づいている。これらのHVRのそれぞれからの残基を以下に示す。
【0095】
HVRは、次のように「拡張HVR」を含んでもよい:VLの24~36または24~34(L1)、46~56または50~56(L2)、及び89~97または89~96(L3)、ならびに、VHの26~35(H1)、50~65または49~65(好ましい実施形態)(H2)、及び93~102、94~102、または95~102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの拡張HVRの定義のそれぞれについて、前出Kabatらに従ってナンバリングされる。
【0096】
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書において規定するとおりのHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
【0097】
本明細書で使用される場合の「アクセプターヒトフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来するVLまたはVHフレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでいてもよく、または既存のアミノ酸配列変化を含んでもよい。一部の実施形態では、既存のアミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。既存のアミノ酸変化がVHに存在する場合、好ましいこれらの変化は、位置71H、73H、及び78Hの3つ、2つ、または1つのみで生じ、例えば、これらの位置のアミノ酸残基は、71A、73T、及び/または78Aであってもよい。一実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、配列が、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一である。
【0098】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において、最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからのものである。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)においてのとおりのサブグループである。例えば、VLでは、サブグループは、前出KabatらのようなサブグループカッパI、カッパII、カッパIII、またはカッパIVであってもよい。加えて、VHでは、サブグループは、前出KabatらのようなサブグループI、サブグループII、またはサブグループIIIであってもよい。
【0099】
例えば、本開示の抗ソルチリン抗体の、特定の位置での「アミノ酸修飾」は、特定の残基の置換もしくは欠失、または特定の残基に隣接する少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入を指す。特定の残基に「隣接している」挿入は、その1~2残基内の挿入を意味する。挿入は、特定の残基のN末端またはC末端であってもよい。本明細書の好ましいアミノ酸修飾は、置換である。
【0100】
本開示の抗ソルチリン抗体などの「親和性成熟」抗体は、その1つまたは複数のHVRに1つまたは複数の改変を有する抗体であり、これらは、これらの改変(複数可)を有さない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性に改善をもたらす。一実施形態では、親和性成熟抗体は、標的抗原に対するナノモルまたはさらにピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当技術分野で公知の手順によって産生される。例えば、Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992)は、VHドメイン及びVLドメインシャッフリングによる親和性成熟について記載する。HVR及び/またはフレームワーク残基のランダム変異導入は、例えば、Barbas et al.Proc Nat.Acad.Sci.USA 91:3809-3813(1994);Schier et al.Gene 169:147-155(1995);Yelton et al.J.Immunol.155:1994-2004(1995);Jackson et al.,J.Immunol.154(7):3310-9(1995);及びHawkins et al,J.Mol.Biol.226:889-896(1992)によって記載されている。
【0101】
本明細書で使用する場合、「特異的に認識する」または「特異的に結合する」という用語は、生物学的分子を含む分子の異種集団の存在下で、標的の存在を決定づける、例えば、標的と本開示の抗ソルチリン抗体などの抗体の間の引力または結合などの測定可能で再現性のある相互作用を指す。例えば、標的またはエピトープに特異的または優先的に結合する、本開示の抗ソルチリン抗体などの抗体は、他の標的または標的の他のエピトープに結合するよりも、より高い親和性、抗体結合活性を有し、より容易に、及び/またはより長い期間、この標的またはエピトープに結合する抗体である。例えば、第1の標的に特異的または優先的に結合する抗体(または部分)は、第2の標的に特異的または優先的に結合することがある、または結合しないことがあることが、この定義を読むことによっても理解される。したがって、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的結合を(含むことができるが)必ずしも必要とはしない。標的に特異的に結合する抗体は、少なくとも約103M-1もしくは104M-1の、時によると、約105M-1もしくは106M-1、他の場合、約106M-1もしくは107M-1、約108M-1~109M-1、または約1010M-1~1011M-1以上の結合定数を有し得る。様々なイムノアッセイフォーマットは、特定のタンパク質と特異的免疫反応性のある抗体を選択するために使用することができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的免疫反応性のあるモノクローナル抗体を選択するために日常的に使用される。特異的免疫反応性を決定するために使用することができるイムノアッセイフォーマット及び条件の記載については、例えば、Harlow and Lane(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Publications,New Yorkを参照されたい。
【0102】
本明細書で使用される場合、ソルチリンタンパク質及び第2のタンパク質の間の「相互作用」は、限定ではないが、タンパク質-タンパク質相互作用、物理的相互作用、化学的相互作用、結合、共有結合、及びイオン結合を包含する。本明細書で使用される場合、抗体が、2つのタンパク質間の相互作用を、破壊、減少、または完全に排除する時に、抗体は、2つのタンパク質間の「相互作用を阻害する」。本開示の抗体またはそのフラグメントは、抗体またはそのフラグメントが、2つのタンパク質の1つに結合する時に、2つのタンパク質間の「相互作用を阻害する」。
【0103】
「アゴニスト」抗体または「活性化」抗体は、抗体が抗原に結合した後に、抗原の1つまたは複数の活性または機能を誘導する(例えば、増加させる)本開示のアゴニスト抗ソルチリン抗体などの抗体である。
【0104】
「遮断」抗体、「アンタゴニスト」抗体、または「阻害」抗体は、抗体が抗原に結合した後に、1つまたは複数のリガンドへの抗原結合を阻害する、または縮小させる(例えば、減少させる)、及び/または抗体が抗原に結合した後に、抗原の1つまたは複数の活性または機能を阻害する、または縮小させる(例えば、減少させる)本開示の抗ソルチリン抗体などの抗体である。一部の実施形態では、阻止抗体、アンタゴニスト抗体、または阻害抗体は、1つまたは複数のリガンドへの抗原結合、及び/または抗原の1つまたは複数の活性または機能を実質的または完全に阻害する。
【0105】
抗体「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列バリアントFc領域)に起因する生物学的活性を指し、抗体アイソタイプによって異なる。
【0106】
本明細書の用語「Fc領域」は、天然配列Fc領域及びバリアントFc領域を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を規定するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は、変化することがあるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、Cys226位またはPro230位のアミノ酸残基から、そのカルボキシル末端に伸びると規定される。Fc領域のC末端リシン(EUナンバリングシステムによる残基447)は、例えば、抗体の産生もしくは精製の間に、または抗体の重鎖をコードする核酸を組換え遺伝子操作することによって、除去されてもよい。したがって、インタクト抗体の組成物は、すべてのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、ならびにK447残基を有する抗体及びK447残基を有しない抗体の混合物を有する抗体集団を含んでもよい。本開示の抗体で使用するために適した天然配列Fc領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む。
【0107】
「天然配列Fc領域」は、天然に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列ヒトFc領域は、天然配列ヒトIgG1 Fc領域(非Aアロタイプ及びAアロタイプ);天然配列ヒトIgG2 Fc領域;天然配列ヒトIgG3 Fc領域;及び天然配列ヒトIgG4 Fc領域、ならびにそれらの天然に存在するバリアントを含む。
【0108】
「バリアントFc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾、好ましくは1つまたは複数のアミノ酸置換(複数可)のために天然配列Fc領域のものと異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、バリアントFc領域は、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域に、約1~約10のアミノ酸置換、好ましくは、約1~約5のアミノ酸置換を有する。本明細書のバリアントFc領域は、好ましくは、天然配列Fc領域及び/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、最も好ましくは、それらと少なくとも約90%の相同性、より好ましくは、それらと少なくとも約95%の相同性を有することになる。
【0109】
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を表す。好ましいFcRは、天然配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合し、これらの受容体の対立遺伝子変異型及び選択的スプライシング形態を含むFcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含むものであり、FcγRII受容体は、主にその細胞質ドメインが異なる類似のアミノ酸配列を有するFcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)を含む。活性化受容体FcγRIIAは、細胞質ドメインに、免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(「ITAM」)を含有する。阻害受容体FcγRIIBは、細胞質ドメインに、免疫受容体チロシン系阻害モチーフ(「ITIM」)を含有する。将来同定されるべきものを含む他のFcRは、本明細書の用語「FcR」に包含される。FcRはまた、抗体の血清半減期を増加させることができる。ペプチド、ポリペプチド、または抗体配列に関して本明細書で使用される「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」及び「相同性」は、配列を整列し、必要であればギャップを導入して最大限の配列同一性パーセントを得た後、配列同一性の一部として保存的置換を考慮せずに、特定のペプチドまたはポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一のアミノ酸残基の候補配列における割合(%)を指す。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアラインメントは、当業者が備えている技術の範囲内にある様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMEGALIGN(商標)(DNASTAR)ソフトウェアなどの公開されているコンピュータソフトウェアを用いて達成することができる。当業者であれば、比較される配列の全長にわたって最大限のアラインメントを実現するのに必要な当技術分野で公知の任意のアルゴリズムを含め、アラインメントの比較のための適切なパラメータを決めることができる。
【0110】
「単離」細胞は、産生された環境中に普通は随伴している少なくとも1個の混入細胞から識別及び分離されている分子または細胞である。一部の実施形態では、単離細胞は、産生環境と関連するすべての成分を随伴しない。単離細胞は、天然で見い出される形態または状況以外の形態にある。単離細胞は、組織、器官、または個体において天然に存在する細胞から区別されている。一部の実施形態では、単離細胞は、本開示の宿主細胞である。
【0111】
本開示の抗ソルチリン抗体などの抗体をコードする「単離」核酸分子は、同定され、それが産生された環境に普通は関連する少なくとも1つの汚染核酸分子から分離される核酸分子である。好ましくは、単離核酸は、産生環境に関連するすべての構成成分との関連がない。本明細書のポリペプチド及び抗体をコードする単離核酸分子は、天然に見出される形態または状況以外の形態である。したがって、単離核酸分子は、細胞中に天然に存在する、本明細書のポリペプチド及び抗体をコードする核酸とは区別される。
【0112】
本明細書で使用される場合の用語「ベクター」は、それが結合されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指すこととする。ベクターの1種は、「プラスミド」であり、これは、追加のDNAセグメントがライゲーションされ得る環状二本鎖DNAを指す。ベクターの別の種類は、ファージベクターである。ベクターの別の種類は、追加のDNAセグメントがウイルスゲノムにライゲーションされ得るウイルスベクターである。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自律的複製することができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム性哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に、宿主細胞のゲノムに組み込むことができ、それによって宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、それらが作動可能に結合されている遺伝子の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書では「組換え発現ベクター」または単に「発現ベクター」と称される。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは多くの場合に、プラスミドの形態である。本明細書では、プラスミドが最も一般的に使用されるベクターの形態であるため、「プラスミド」及び「ベクター」は、互換的に使用され得る。
【0113】
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドもしくは塩基、及び/またはそれらの類似体、あるいは、DNAもしくはRNAポリメラーゼによって、または合成反応によって、ポリマーに取り込むことができる任意の基質である可能性がある。
【0114】
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチドインサートの取り込みのためのベクター(複数可)のレシピエントであり得る、またはそれであった個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、子孫は、自然の、偶然の、または故意の変異のために元の親細胞とは必ずしも(形態学的に、またはゲノムDNA相補的に)完全に同一でないことがある。宿主細胞は、本開示のポリヌクレオチド(複数可)を、インビボで遺伝子導入された細胞を含む。
【0115】
本明細書で使用される場合の「担体」は、用いられる投薬量及び濃度で、それに曝露される細胞または哺乳動物に対して非毒性である薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤を含む。
【0116】
本明細書で使用される場合の「約」という用語は、当業者に容易に知られているそれぞれの値に対する通常の誤差範囲を指す。本明細書での「約」値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータそれ自体に関する実施形態を含む(及び記載する)。
【0117】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明示しない限り、複数の言及を含む。例えば、「抗体」への言及は、モル量などの1つの抗体から多くの抗体までの言及であり、当業者に公知のそれらの等価物を含むなどである。
【0118】
本明細書に記載の本開示の態様及び実施形態が、態様及び実施形態「を含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」を含むことは理解される。
【0119】
概要
本開示は、一部では、WO2016164637に記載の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体、S-60と比べて、1つまたは複数の改善及び/または増強された機能的特徴を示す抗ソルチリン抗体に関する。非限定的な改善及び/または増強された機能特性には、例えば、より高い親和性でソルチリンに結合する、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させるための50%効果濃度(EC50)を減少させる、ソルチリンの細胞表面レベルの最大低下を改善する、ソルチリンリガンド:例えば、プログラニュリン(PGRN)の細胞外分泌を増加させる、ソルチリンへのPGRN結合を遮断するための50%効果濃度(EC50)を減少させる、ソルチリンへのPGRN結合の最大遮断を改善する、またはそれらの任意の組み合わせを行うことができる抗体が含まれる。ソルチリンの細胞表面レベルを低下させるための50%効果濃度(EC50)を減少させること、ソルチリンの細胞表面レベルの最大低下を改善すること、ソルチリンリガンド:例えば、プログラニュリン(PGRN)の細胞外分泌を増加させること、ソルチリンへのPGRN結合を遮断するための50%効果濃度(EC50)を減少させること、及びソルチリンへのPGRN結合の最大遮断を改善することを含めて、1つまたは複数の改善及び/または増強された機能的特徴を示す種々のFcバリアントを有する抗ソルチリン抗体も本明細書では企図される。
【0120】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞表面レベルの低下において、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体と比べて、より高い有効性を有する。一部の実施形態では、有効性は、SORT1の細胞表面細胞レベルの低下についての50%効果濃度(EC50)によって測定される。
【0121】
本開示はさらに、本明細書に記載のとおりの抗ソルチリン抗体を作製及び使用する方法;そのような抗体を含有する医薬組成物;そのような抗体をコードする核酸;ならびにそのような抗体をコードする核酸を含有する宿主細胞に関する。
【0122】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、少なくとも部分的に、ソルチリンの分解、下方調節、切断、受容体脱感作、及び/またはリソソーム標的化を誘導することによってソルチリンのレベル(例えば、細胞表面レベル)を低下させる抗体の能力により、1つまたは複数の活性を有し得る。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、次の特性のうちの1つまたは複数を示す:a.ヒトソルチリンについて、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体のものよりも低い解離定数(KD)を有する;b.S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体のものよりも低い50%効果濃度(EC50)で、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる(例えば、インビトロでヒトソルチリンを発現する遺伝子操作細胞上のソルチリンの細胞表面レベルを低下させる);c.例えば、KDが蛍光活性化セルソーティング(FACS)によって決定される場合、ヒトソルチリンについて、約0.560nM~約1.63nMの範囲であり得る解離定数(KD)を有する;d.例えば、KDがバイオレイヤー干渉法によって決定される場合、ヒトソルチリンについて、約0.270nM~約2.910nMであり得る解離定数(KD)を有する;e.例えば、EC50がインビトロでFACSによって決定される場合、約72.58pM~約103.6pMの範囲であり得る50%効果濃度(EC50)で、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる(例えば、インビトロでヒトソルチリンを発現する遺伝子操作細胞上のソルチリンの細胞表面レベルを低下させる);f.約51.33%~88.76%の範囲であり得る最大低下で、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる;g.S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体のものよりも高く、PGRNの細胞外分泌を増加させる;h.例えば、EC50がインビトロでFACSによって決定された場合に、約0.325nM~約2.27nMの範囲であり得る50%効果濃度(EC50)で、ソルチリンへのPGRN結合を遮断する(例えば、インビトロでヒトソルチリンを発現する遺伝子操作細胞上のソルチリンへのPGRNの結合を遮断する);及び/またはi.S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体のものよりも高く、ソルチリンへのPGRN結合の最大遮断を改善する。
【0123】
有利には、本開示の抗ソルチリン抗体は、対照抗ソルチリン抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する対照抗ソルチリン抗体)と比較して、より強力に(例えば、より低いEC50で)、ソルチリンの細胞表面レベルを(例えば、最高で約3.02倍)低下させる(例えば、実施例2を参照されたい)。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、対照抗ソルチリン抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する対照抗ソルチリン抗体)と比較して、より強力に、より低いEC50(最高で約5.36倍)でソルチリンへのPGRNの結合を減少させる(例えば、実施例3を参照されたい)。さらに、有利には、本開示の抗ソルチリン抗体は、対照抗ソルチリン抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する対照抗ソルチリン抗体)と比較して、ソルチリンについて、より高い親和性(例えば、最高で約2.79倍高い親和性)(例えば、FACSまたはバイオレイヤー干渉法によって測定した場合に、より低いKD値)を有する(例えば、実施例1及び4を参照されたい)。驚くべきことに、ソルチリンについてのより高い親和性は、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる能力または有効性の上昇(例えば、実施例2及び4を参照されたい)とも、ソルチリンへのPGRNの結合を遮断する能力または有効性の上昇(例えば、実施例3及び4を参照されたい)とも、必ずしも相関しない。
【0124】
本開示はさらに、製造、貯蔵、及びインビボ投与中の安定性が改善されている抗ソルチリン抗体に関する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、様々なストレス条件下での安定性が改善されている(例えば、実施例4を参照されたい)。
【0125】
ソルチリンタンパク質
一態様では、本開示は、本開示のソルチリンタンパク質内のエピトープなどの領域と相互作用する、または別段にそれに結合する単離(例えば、モノクローナル)抗体などの抗体を提供する。一部の実施形態では、抗体は、(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体に対して)改善/増強された反応速度で、本開示のソルチリンタンパク質内のエピトープなどの領域と相互作用する、または別段にそれに結合する。一部の実施形態では、抗体は、対照抗体のものよりも(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体に対して)低い50%効果濃度(EC50)で、ヒトソルチリンタンパク質内のエピトープなどの領域と相互作用する、または別段にそれに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンタンパク質に結合し、かつソルチリンタンパク質に結合した後に、1つまたは複数のソルチリン活性、例えば、細胞上でのソルチリン発現と関連する活性を調節する。本開示のソルチリンタンパク質には、限定ではないが、哺乳類ソルチリンタンパク質、ヒトソルチリンタンパク質、マウスソルチリンタンパク質、及びラットソルチリンタンパク質が含まれる。例示的なソルチリンタンパク質配列は、表32に示されている。
【0126】
ソルチリンは、ソルチリン1、SORT1、100kDa NT受容体、糖タンパク質95(GP95)、プログラニュリン受容体(PGRN-R)、及びニューロテンシン受容体3(NT-3またはNTR-3)と様々に呼ばれる。ソルチリンは、I型膜受容体をコードする831アミノ酸タンパク質である。様々なソルチリンホモログが公知であり、それには、限定ではないが、ヒトソルチリン、ラットソルチリン、及びマウスソルチリンが含まれる。ヒトソルチリンのアミノ酸配列は、配列番号81として下記に示されている(プログラニュリン結合に関係すると予測されている重要なアミノ酸残基は太字で示されており、予測pro-NGF結合領域には下線が付されている):
【0127】
マウスソルチリンのアミノ酸配列は、配列番号82に示されている:
【0128】
ラットソルチリンのアミノ酸配列は、配列番号83に示されている:
【0129】
一部の実施形態では、ソルチリンは、シグナル配列を含むプレタンパク質である。一部の実施形態では、ソルチリンは、成熟タンパク質である。一部の実施形態では、成熟ソルチリンタンパク質は、シグナル配列を含まない。一部の実施形態では、成熟ソルチリンタンパク質は、細胞上に発現される。
【0130】
本開示のソルチリンタンパク質は、複数のドメインを含み、それには、限定ではないが、シグナル配列、プロペプチド、内腔ドメイン、Vps10pドメイン、10CCドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインが含まれる。加えて、本開示のタンパク質は、限定ではないが、脳、脊髄、心臓及び骨格筋、甲状腺、胎盤、及び精巣を含むいくつかの組織において高レベルで発現される。
【0131】
したがって、本明細書で使用される場合、本開示の「ソルチリン」タンパク質には、限定ではないが、哺乳類ソルチリンタンパク質、ヒトソルチリンタンパク質、霊長類ソルチリンタンパク質、マウスソルチリンタンパク質、及びラットソルチリンタンパク質が含まれる。加えて、本開示の抗ソルチリン抗体は、哺乳類ソルチリンタンパク質、ヒトソルチリンタンパク質、霊長類ソルチリン、マウスソルチリンタンパク質、及びラットソルチリンタンパク質のうちの1種または複数内のエピトープに結合し得る。
【0132】
ソルチリンタンパク質ドメイン
本開示のソルチリンタンパク質は、Asp-boxモチーフ、10枚ブレードのベータプロペラ構造、及び疎水性ループを含有するVps10pドメイン;及び10CCドメインなどのいくつかのドメインを含有する。
【0133】
本明細書に開示のとおり、本開示のソルチリンタンパク質とプロニューロトロフィンまたはニューロトロフィンとの間の相互作用は、10枚ブレードのベータプロペラ構造及びAsp-boxモチーフを含有するVps10pドメインによって媒介される。ある特定の実施形態では、本開示のソルチリンタンパク質は、10枚ブレードのベータプロペラ構造を含み、かつヒトソルチリン(配列番号81)のアミノ酸残基78~611または配列番号81のアミノ酸残基78~611に対応する哺乳類ソルチリンのアミノ酸残基内に位置するVps10pドメインを含む。ある特定の実施形態では、ヒトソルチリン(配列番号81)のアミノ酸残基190~220または配列番号81のアミノ酸残基190~220に対応する哺乳類ソルチリンのアミノ酸残基は、Vps10pドメイン内に位置する。
【0134】
本開示のVps10pドメインは、Asp-boxモチーフを含み得る。本明細書で使用される場合、Asp-boxモチーフは、次の配列を有する:(S/T)-X-(D/N)-X-X-X-X-(W/F/Y)(配列番号84)、またはX-X-(S/T)-X-(D/N)-X-G-X-(T/S)-(W/F/Y)-X(配列番号85)(式中、Xは、任意のアミノ酸を表す)。ヒトソルチリンでは、Asp-boxモチーフは、ヒトソルチリンのアミノ酸残基200~207に位置するSSDFAKNF(配列番号86)である。したがって、ある特定の実施形態では、Asp-boxモチーフは、ヒトソルチリン(配列番号81)のアミノ酸残基200~207または配列番号81のアミノ酸残基200~207に対応する哺乳類ソルチリンのアミノ酸残基に位置する。
【0135】
本明細書に開示のとおり、本開示のソルチリンタンパク質とp75との間の相互作用は、Vps10pドメインの疎水性ループの10CCドメインによって媒介される。
【0136】
ある特定の実施形態では、本開示のソルチリンタンパク質は、ヒトソルチリン(配列番号81)のアミノ酸残基610~757または配列番号81のアミノ酸残基610~757に対応する哺乳類ソルチリンのアミノ酸残基内に位置する10CCドメインを含有する。好ましい実施形態では、ヒトソルチリン(配列番号81)のアミノ酸残基592~593、610~660、及び/または667~749または配列番号81のアミノ酸残基592~593、610~660、及び/または667~749に対応する哺乳類ソルチリンのアミノ酸残基は、ソルチリンの10CCドメイン内に位置する。
【0137】
他の実施形態では、本開示のソルチリンタンパク質は、Vps10pドメイン内にヒトソルチリン(配列番号81)のアミノ酸残基130~141または配列番号81のアミノ酸残基130~141に対応する哺乳類ソルチリンのアミノ酸残基内に位置する疎水性ループを含有する。
【0138】
当業者は分かるであろうとおり、本開示のドメインの開始及び終了残基は、使用されるコンピュータモデリングプログラムまたはドメインを決定するために使用される方法に応じて変化し得る。
【0139】
ソルチリン結合パートナー
本開示のソルチリンタンパク質は、限定ではないが、プログラニュリン(PGRN)タンパク質;ニューロトロフィン、例えば、プロ-ニューロトロフィン、プロ-ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-3、プロ-ニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、プロ-神経成長因子(Pro-NGF)、神経成長因子(NGF)、プロ-脳由来神経栄養因子(Pro-BDNF)、及び脳由来神経栄養因子(BDNF);ニューロテンシン、p75、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、アミロイド前駆体タンパク質、Aベータペプチド、PCSK9、p75NTR、及び受容体関連タンパク質(RAP)を含む1つまたは複数のタンパク質と相互作用する(例えば、それに結合する)ことができる。
【0140】
プログラニュリン(PGRN)
本開示のソルチリンタンパク質は、プログラニュリンと直接相互作用し(例えば、それに結合し)、プログラニュリンの分解を媒介することが示されている(例えば、Zheng,Y et al.,(2011)PLoS ONE 6(6):e21023)。
【0141】
プログラニュリンは、PGRN、プロエピテリン、グラニュリン-エピテリン前駆体、PC(前立腺癌)細胞由来成長因子(PCDGF)及びアクログラニンと様々に呼ばれる。プログラニュリンは、593のアミノ酸からなるタンパク質であり、前駆体PGRNからタンパク質分解的に切断され得る6~25kDaの範囲の小さなグラニュリン(エピテリン)モチーフの7.5回のリピート構造を有する、68.5kDの分泌糖タンパク質をコードしている。プログラニュリン切断産物の例には、限定ではないが、グラニュリンA/エピテリン1、グラニュリンBエピテリン2、グラニュリンC、グラニュリンD、グラニュリンE、グラニュリンF、グラニュリンG及びプログラニュリンに由来する任意の他の既知のペプチド産物が含まれる。
【0142】
したがって、プログラニュリンレベルを上昇させる、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる、及び/またはソルチリンとプログラニュリンとの相互作用(例えば、結合)を遮断する本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの発現及び/もしくは活性レベルの低下、細胞死(例えば、神経細胞死)、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期うつ病、アテローム硬化性血管疾患、正常老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト-ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多発性萎縮症、椎間板変性、シャイ-ドレーガー症候群、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性播種性脳脊髄炎、肉芽腫性障害、サルコイドーシス、老人病、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、炎症性疾患、関節炎、多発性硬化症、代謝障害、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織もしくは血管損傷、外傷、及び/または1つまたは複数の正常老化の望ましくない症状に関連する状態及び/または疾患を予防し、そのリスクを減少させ、またはそれを処置するために有益であろう。加えて、プログラニュリンレベルを上昇させ、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させ、及び/またはソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用(例えば、結合)を遮断する本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し得る、1つまたは複数のプログラニュリン活性を誘導し得る、プログラニュリンまたはそのフラグメントのエンドソーム内在化を減少させ得る、及び/またはプログラニュリンの有効濃度を増加させ得る。
【0143】
一部の実施形態では、プログラニュリンレベルを上昇させ、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させ、及び/またはソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用(例えば、結合)を遮断する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号81)のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632、及び/または740~749内;または配列番号81のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632、及び/または740~749に対応する哺乳類ソルチリンのアミノ酸残基内の1つまたは複数のアミノ酸に結合する。他の実施形態では、プログラニュリンレベルを上昇させ、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させ、及び/またはソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用(例えば、結合)を遮断する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号81)のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595、及び/またはGlu700;または配列番号81の1つまたは複数のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595、及び/またはGlu700に対応する哺乳類ソルチリンのアミノ酸残基のうちの1つまたは複数のアミノ酸に結合し得る。
【0144】
他のソルチリンリガンド
本開示のソルチリンタンパク質は、プロ-ドメインを含み、典型的にアポトーシス促進性であるプロ-ニューロトロフィン(例えば、pro-NGF)と直接的に相互作用する(例えば、結合する)ことが示されている。この結合は、配列番号81のアミノ酸残基163~174に対応するソルチリン上の線状エピトープを介して媒介され得る。本開示のソルチリンタンパク質はまた、ソルチリンのベータ-プロペラ構造内でニューロテンシンと相互作用する(例えば、結合する)ことが示されており、重要な接触は、ヒトソルチリンのセリン283にあることが示されている。
【0145】
本開示のソルチリンタンパク質はまた、低親和性神経成長因子(NGF)受容体(p75)と、ソルチリンの10CCドメインまたはソルチリンのVps10pドメインの疎水性ループ内で相互作用する(例えば、結合する)ことが示されている。本明細書に開示のとおり、本開示のソルチリンタンパク質は、p75と共に、アポトーシスシグナル伝達を誘導するプロ-ニューロトロフィンについて補助受容体として機能し得る。本開示のソルチリンタンパク質はさらに、アミロイド前駆体タンパク質(APP)と相互作用する(例えば、結合する)ことが示されている。
【0146】
本開示のソルチリンタンパク質は、リポタンパク質リパーゼ(LpL)と相互作用する(例えば、結合する)ことが示されている。本明細書に開示のとおり、本開示のソルチリンタンパク質は、LpLに結合し、その分解を変更する。本開示のソルチリンタンパク質は、アポリポタンパク質AV(APOA5)と相互作用する(例えば、結合する)ことが示されている。本明細書に開示のとおり、本開示のソルチリンタンパク質は、APOA5に結合し、その分解を変更する。
【0147】
本開示のソルチリンタンパク質は、アポリポタンパク質E(APOE、APOE2、APOE3、APOE4)と相互作用する(例えば、結合する)ことが示されている。本明細書に開示のとおり、本開示のソルチリンタンパク質は、APOE、さらには、AベータペプチドなどのAPOEが運搬する作用物質に結合し、その分解及び輸送を変更する。加えて、本開示のソルチリンタンパク質は、受容体関連タンパク質(RAP)と相互作用する(例えば、結合する)ことが示されている。さらに、本開示のソルチリンタンパク質は、プロタンパク質コンバターゼサブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)と相互作用し(例えば、結合し)、それを循環に分泌することが示されている。
【0148】
抗ソルチリン抗体のいずれかの一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンと1種または複数の本開示の他のソルチリンリガンドとの間の相互作用を阻害し(例えば、遮断し)得る。一部の実施形態では、1種または複数の他のリガンドは、プロ-ニューロトロフィン、ニューロテンシン、低親和性神経成長因子(NGF)受容体(p75)、アミロイド前駆体タンパク質、リポタンパク質リパーゼ、アポリポタンパク質AV、アポリポタンパク質、受容体関連タンパク質、及び/またはプロタンパク質コンバターゼサブチリシン/ケキシン9型のうちの1種または複数である。そのような抗体は、1種または複数の他のソルチリンリガンド発現及び/または活性のレベルの低下、細胞死(例えば、ニューロン細胞死)に関連する状態及び/または疾患を予防し、そのリスクを減少させ、またはそれを処置するために有益であり得る。一部の実施形態では、1種または複数の他のリガンドは、プロ-ニューロトロフィン、ニューロテンシン、低親和性神経成長因子(NGF)受容体(p75)、アミロイド前駆体タンパク質、リポタンパク質リパーゼ、アポリポタンパク質AV、アポリポタンパク質、受容体関連タンパク質、及び/またはプロタンパク質コンバターゼサブチリシン/ケキシン9型のうちの1種または複数である。
【0149】
ソルチリンと本開示の1種または複数の他のソルチリンリガンドとの相互作用を阻害する(例えば、遮断する)本開示の抗ソルチリン抗体はまた、1種または複数の他のソルチリンリガンドによって誘導される細胞死(例えば、アポトーシス)も阻止し得る。一部の実施形態では、1種または複数の他のリガンドは、プロ-ニューロトロフィン、ニューロテンシン、低親和性神経成長因子(NGF)受容体(p75)、アミロイド前駆体タンパク質、リポタンパク質リパーゼ、アポリポタンパク質AV、アポリポタンパク質、受容体関連タンパク質、及び/またはプロタンパク質コンバターゼサブチリシン/ケキシン9型のうちの1種または複数である。
【0150】
抗ソルチリン抗体のいずれかの一部の実施形態では、ソルチリンと本開示の1種または複数のソルチリンリガンドとの相互作用を阻害する(例えば、遮断する)本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号81)のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632、及び/または740~749内のアミノ酸残基内;または配列番号81のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632、及び/または740~749に対応する哺乳類ソルチリンのアミノ酸残基内の1つまたは複数のアミノ酸と結合する。一部の実施形態では、1種または複数の他のリガンドは、プロ-ニューロトロフィン、ニューロテンシン、低親和性神経成長因子(NGF)受容体(p75)、アミロイド前駆体タンパク質、リポタンパク質リパーゼ、アポリポタンパク質AV、アポリポタンパク質、受容体関連タンパク質、及び/またはプロタンパク質コンバターゼサブチリシン/ケキシン9型のうちの1種または複数である。
【0151】
抗ソルチリン抗体のいずれかの他の実施形態では、ソルチリンと本開示の1種または複数のソルチリンリガンドとの相互作用を阻害する(例えば、遮断する)本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号81)のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595、及び/またはGlu700;または配列番号81の1つまたは複数のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595、及び/またはGlu700に対応する哺乳類ソルチリンのアミノ酸残基のうちの1つまたは複数のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、1種または複数の他のリガンドは、プロ-ニューロトロフィン、ニューロテンシン、低親和性神経成長因子(NGF)受容体(p75)、アミロイド前駆体タンパク質、リポタンパク質リパーゼ、アポリポタンパク質AV、アポリポタンパク質、受容体関連タンパク質、及び/またはプロタンパク質コンバターゼサブチリシン/ケキシン9型のうちの1種または複数である。
【0152】
ソルチリン抗体
本開示のある特定の態様は、1つまたは複数の改善及び/または増強された機能特性を含む抗ソルチリン抗体に関する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、WO2016164637に記載のとおりの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体、S-60に比べて、1つまたは複数の改善及び/または増強された機能特性を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリン(例えば、ヒトソルチリン)について、対照抗ソルチリン抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む対照抗ソルチリン抗体)のものよりも高い親和性を有する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞レベル(例えば、細胞表面レベル)を、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む対照抗ソルチリン抗体)のものよりも高い程度まで低下させ、かつ50%効果濃度(EC50)は対照抗体のものよりも低い。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体と比べて、ソルチリンの細胞表面レベルの最大低下を改善する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体と比べて、細胞外プログラニュリン(PGRN)の分泌を増加させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへのPGRNの結合を、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む対照抗ソルチリン抗体)よりも高い程度まで遮断し、かつ50%効果濃度(EC50)は対照抗体のものよりも低い。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体と比べて、ソルチリンへのPGRN結合の最大遮断を改善する。
【0153】
また、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる50%効果濃度(EC50)の減少、ソルチリンの細胞表面レベルの最大低下の改善、PGRNの細胞外分泌の増加、ソルチリンへのPGRN結合を遮断する50%効果濃度(EC50)の減少、及びソルチリンへのPGRN結合の最大遮断の改善を含む、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体と比べて1つまたは複数の改善及び/または増強された機能特性を示す種々のFcバリアントを有する抗ソルチリン抗体も本明細書では企図される。
【0154】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒト抗体、二重特異性抗体、モノクローナル抗体、多価抗体、コンジュゲート抗体、またはキメラ抗体である。
【0155】
好ましい一実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体である。
【0156】
抗ソルチリン抗体結合エピトープ
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質及び/または天然に存在するバリアントに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトタンパク質であるソルチリンタンパク質に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、野生型タンパク質であるソルチリンタンパク質に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、天然に存在するバリアントであるソルチリンタンパク質に結合する。
【0157】
ある特定の好ましい実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンタンパク質に特異的に結合する。
【0158】
本開示のある特定の態様は、不連続ソルチリンエピトープに結合する抗ソルチリン抗体を提供する。一部の実施形態では、不連続ソルチリンエピトープは、2つ以上のエピトープ、3つ以上のエピトープ、4つ以上のエピトープ、5つ以上のエピトープ、6つ以上のエピトープ、7つ以上のペプチド、8つ以上のエピトープ、9つ以上のエピトープ、または10以上のエピトープを含む。一部の実施形態では、ペプチドはそれぞれ、配列番号81のアミノ酸配列の5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、20以上、21以上、22以上、23以上、24以上、25以上、26以上、27以上、28以上、29以上、もしくは30以上のアミノ酸残基;または配列番号81のアミノ酸配列に対応する哺乳類ソルチリンタンパク質上の5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、20以上、21以上、22以上、23以上、24以上、25以上、26以上、27以上、28以上、29以上、または30以上のアミノ酸残基を含む。本開示の他の態様は、ソルチリンの立体配座エピトープに結合する抗ソルチリン抗体を提供する。
【0159】
本開示のある特定の態様は、ヒトソルチリン(配列番号81)のアミノ酸残基207~231内;または配列番号81のアミノ酸残基207~231に対応する哺乳類ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つまたは複数のアミノ酸に結合する抗ソルチリン抗体を提供する。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号81)のアミノ酸残基Thr218、Tyr222、Ser223、及び/またはSer227;または配列番号81のアミノ酸残基Thr218、Tyr222、Ser223、及び/またはSer227に対応する哺乳類ソルチリン上のアミノ酸残基のうちの1つまたは複数のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号81)のアミノ酸残基F105、L108、R109、G110、I537、F569、E590、F592、L593、S595、及び/またはW597;または配列番号81のアミノ酸残基F105、L108、R109、G110、I537、F569、E590、F592、L593、S595、及び/またはW597に対応する哺乳類ソルチリン上のアミノ酸残基のうちの1つまたは複数のアミノ酸に結合する。本開示の他の態様は、アミノ酸残基(S/T)-X-(D/N)-X-X-X-X-(W/F/Y)(式中、Xは、任意のアミノ酸を表す)(配列番号84)を有するエピトープに結合する抗ソルチリン抗体を提供する。
【0160】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、細胞の表面上に発現する本開示のソルチリンタンパク質に結合し、かつ裸の抗体は、ソルチリンタンパク質と、プログラニュリン(PGRN)、プロ-ニューロトロフィン、ニューロトロフィン、プロ-ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-3、プロ-ニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、プロ-神経成長因子(pro-NGF)、神経成長因子(NGF)、プロ-脳由来神経栄養因子(pro-BDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aベータペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9、及び受容体関連タンパク質(RAP)から選択されるタンパク質との間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、細胞の表面上に発現する本開示のソルチリンタンパク質に結合し、かつ裸の抗体は、ソルチリンタンパク質とPGRNとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。
【0161】
一部の実施形態では、本開示のソルチリンタンパク質に結合する本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンタンパク質と、プログラニュリン、プロ-ニューロトロフィン、ニューロトロフィン、プロ-ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-3、プロ-ニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、プロ-神経成長因子(pro-NGF)、神経成長因子(NGF)、プロ-脳由来神経栄養因子(pro-BDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aベータペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9、及び受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用(例えば、結合)を、細胞表面上または細胞内部のいずれかのこれらのタンパク質との相互作用に利用可能なソルチリンの有効レベルを低下させることによって阻害する。
【0162】
一部の実施形態では、本開示のソルチリンタンパク質に結合する本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンタンパク質と、プログラニュリン、プロ-ニューロトロフィン、ニューロトロフィン、プロ-ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-3、プロ-ニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、プロ-神経成長因子(pro-NGF)、神経成長因子(NGF)、プロ-脳由来神経栄養因子(pro-BDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aベータペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9、及び受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用(例えば、結合)を、ソルチリンの分解を誘導することによって阻害する。
【0163】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン、または限定ではないが、哺乳類ソルチリンタンパク質、もしくは非ヒト霊長類ソルチリンタンパク質を含む、そのホモログに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンに特異的に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンに結合し、かつ他の種からのソルチリンオルソログまたはホモログと交差反応しない。
【0164】
抗ソルチリン抗体競合結合
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、表1~29に列挙されている抗体のいずれかから選択される少なくとも1つの他の抗ソルチリン抗体の結合を競合的に阻害する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、及びS-60-9(WO2016164637に記載);またはS-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24;及びそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの抗体の結合を競合的に阻害する。
【0165】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、その抗ソルチリン抗体が、ソルチリンへのS-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、及びS-60-9(WO2016164637に記載);またはS-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24;及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つまたは複数の抗体の結合を、その抗ソルチリン抗体の非存在下でのソルチリンへの結合と比較して約50%~100%の範囲の量で減少させる場合に、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、及びS-60-9(WO2016164637に記載);またはS-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つまたは複数の抗ソルチリン抗体と競合する。
【0166】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、その抗ソルチリン抗体が、ソルチリンへのS-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、及びS-60-9(WO2016164637に記載);またはS-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24;及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つまたは複数の抗体の結合を、その抗ソルチリン抗体の非存在下でのソルチリンへの結合と比較して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%減少させる場合に、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、及びS-60-9(WO2016164637に記載);またはS-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つまたは複数の抗ソルチリン抗体と競合する。
【0167】
一部の実施形態では、ソルチリンへのS-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、及びS-60-9(WO2016164637に記載);またはS-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つまたは複数の抗体の結合を100%減少させる本開示の抗ソルチリン抗体は、抗ソルチリン抗体が、ソルチリンへのS-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、及びS-60-9(WO2016164637に記載);またはS-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つまたは複数の抗体の結合を本質的に完全に遮断することを示している。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体ならびにS-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、及びS-60-9(WO2016164637に記載);またはS-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つまたは複数の抗体は、抗ソルチリン抗体と、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、及びS-60-9(WO2016164637に記載);またはS-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つまたは複数の抗体との10:1の比、9:1の比、8:1の比、7:1の比、6:1の比、5:1の比、4:1の比、3:1の比、2:1の比、1:1の比、0.75:1の比、0.5:1の比、0.25:1の比、0.1:1の比、0.075:1の比、0.050:1の比、0.025:1の比、0.01:1の比、0.0075:の比、0.0050:1の比、0.0025:1の比、0.001:の比、0.00075:1の比、0.00050:1の比、0.00025:1の比、0.0001:の比、1:10の比、1:9の比、1:8の比、1:7の比、1:6の比、1:5の比、1:4の比、1:3の比、1:2の比、1:0.75の比、1:0.5の比、1:0.25の比、1:0.1の比、1:0.075の比、1:0.050の比、1:0.025の比、1:0.01の比、1:0.0075の比、1:0.0050の比、1:0.0025の比、1:0.001の比、1:0.00075の比、1:0.00050の比、1:0.00025の比、または1:0.0001の比に対応する量で存在する。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、及びS-60-9(WO2016164637に記載);またはS-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つまたは複数の抗体の量と比較して約1.5倍から100倍の範囲、または100倍超の量の過剰で存在する。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、及びS-60-9(WO2016164637に記載);またはS-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つまたは複数の抗体の量と比較して約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍、または100倍過剰である量で存在する。
【0168】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、表1~29に列挙されている抗体のいずれかから選択される少なくとも1つの抗体が結合するソルチリンエピトープと同じか、または重複するヒトソルチリンのエピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、及びS-60-9(WO2016164637に記載);またはS-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24;及びそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの抗体が結合するソルチリンエピトープと同じか、または重複するヒトソルチリンのエピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、表1~29に列挙されている抗体のいずれかから選択される少なくとも1つの抗体が結合するのと本質的に同じソルチリンエピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、及びS-60-9(WO2016164637に記載);またはS-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24;及びそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの抗体が結合するのと本質的に同じソルチリンエピトープに結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法は、Morris(1996)“Epitope Mapping Protocols,”in Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press,Totowa,NJ)で提供される。
【0169】
BIAcore分析、ELISAアッセイ、またはフローサイトメトリーなどの当技術分野で公知の任意の適切な競合アッセイまたはソルチリン結合アッセイを利用して、抗ソルチリン抗体が、ソルチリンへの結合についてS-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、及びS-60-9(WO2016164637に記載);またはS-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24;及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つまたは複数の抗体と競合するかどうかを決定することができる。例示的な競合アッセイでは、固定化ソルチリンまたは細胞表面上にソルチリンを発現する細胞を、ソルチリン(例えば、ヒトまたは非ヒト霊長類)に結合する第1の標識抗体及びソルチリンへの結合について第1の抗体と競合するその能力について試験されている第2の非標識抗体を含む溶液中でインキュベートする。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在してもよい。対照として、固定化ソルチリンまたはソルチリンを発現する細胞を、第1の標識抗体は含むが、第2の非標識抗体は含まない溶液中でインキュベートする。ソルチリンへの第1の抗体の結合を許容する条件下でのインキュベーションの後に、過剰の非結合抗体を除去し、固定化ソルチリンまたはソルチリンを発現する細胞と会合した標識の量を測定する。固定化ソルチリンまたはソルチリンを発現する細胞と会合した標識の量が、対照試料と比べて試験試料において実質的に減少した場合、それは、第2の抗体が、ソルチリンへの結合について第1の抗体と競合していることを示す。Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)を参照されたい。
【0170】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-16、S-60-18、S-60-19、S-60-24、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される抗体の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む抗体と競合する。
【0171】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-16、S-60-18、S-60-19、及びS-60-24からなる群から選択される抗体の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む抗体と本質的に同じソルチリンエピトープに結合する。
【0172】
追加の抗ソルチリン抗体、例えば、本開示のソルチリンタンパク質に特異的に結合する抗体は、当技術分野で公知の様々なアッセイによって、それらの物理的/化学的特性及び/または生物学的活性について同定され、スクリーニングされ、及び/または特徴づけられ得る。
【0173】
抗ソルチリン抗体重鎖及び軽鎖可変領域
A.重鎖HVR
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、HVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3(表14~16に示されているとおり)から選択される1つまたは複数の(例えば、1つまたは複数、2つ以上、または3つすべての)HVRを含む重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、HVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3(表14~16に示されているとおり)を含む。
【0174】
一部の実施形態では、HVR-H1は、YSISSGYYWG(配列番号1)の配列を含む。一部の実施形態では、HVR-H2は、式I:TIYHSGSTYYNPSLX1S(配列番号4)(式中、X1は、KまたはEである)による配列を含む。一部の実施形態では、HVR-H2は、配列番号2~3から選択される配列を含む。一部の実施形態では、HVR-H3は、式II:ARQGSIX1QGYYGMDV(配列番号7)による配列を含む。一部の実施形態では、HVR-H3は、配列番号5~6から選択される配列を含む。
【0175】
一部の実施形態では、HVR-H1は、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、HVR-H1は、置換(例えば、配列番号1のアミノ酸配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するアミノ酸配列を含むが、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、最大1個、最大2個、最大3個、最大4個、または最大5個のアミノ酸が、配列番号1のHVR-H1アミノ酸配列において置換、挿入、及び/または欠失している。一部の実施形態では、HVR-H2は、配列番号2~3から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、HVR-H2は、置換(例えば、配列番号2~3のアミノ酸配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するアミノ酸配列を含むが、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、最大1個、最大2個、最大3個、最大4個、または最大5個のアミノ酸が、配列番号2~3から選択されるHVR-H2アミノ酸配列において置換、挿入、及び/または欠失している。一部の実施形態では、HVR-H3は、配列番号5~6から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、HVR-H3は、置換(例えば、配列番号5~6のアミノ酸配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するアミノ酸配列を含むが、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、最大1個、最大2個、最大3個、最大4個、または最大5個のアミノ酸が、配列番号5~6から選択されるHVR-H3アミノ酸配列において置換、挿入、及び/または欠失している。
【0176】
一部の実施形態では、重鎖可変領域は、YSISSGYYWG(配列番号1)の配列を含むHVR-H1、式Iによる配列を含むHVR-H2、及び式IIによる配列を含むHVR-H3を含む。
【0177】
一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号1の配列を含むHVR-H1、配列番号2~3から選択される配列を含むHVR-H2、及び配列番号5~6から選択される配列を含むHVR-H3を含む。
【0178】
一部の実施形態では、重鎖可変領域は、抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24、またはそれらの任意の組み合わせ(表14~16に示されているとおり)のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含む。
【0179】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、(a)抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24のHVR-H1アミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24のHVR-H2アミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び(c)抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24のHVR-H3アミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3のうちの1つまたは複数を含む重鎖可変領域を含む。
【0180】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、及びアミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含む。
【0181】
B.軽鎖HVR
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3(表17~19に示されているとおり)から選択される1つまたは複数の(例えば、1つまたは複数、2つ以上、または3つすべての)HVRを含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3(表17~19に示されているとおり)を含む。
【0182】
一部の実施形態では、HVR-L1は、式III:RSSQX1LLX2SX3GYNYLD(配列番号28)(式中、X1は、SまたはGであり、X2は、RまたはHであり、かつX3は、N、T、S、G、R、D、H、K、Q、Y、E、W、F、I、V、A、M、またはLである)による配列を含む。一部の実施形態では、HVR-L1は、配列番号8~27から選択される配列を含む。一部の実施形態では、HVR-L1は、RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)、RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)、RSSQSLLRSSGYNYLD(配列番号10)、RSSQSLLRSGGYNYLD(配列番号11)、RSSQSLLRSRG YNYLD(配列番号12)、RSSQSLLRSDGYNYLD(配列番号13)、RSSQSLLRSHGYNYLD(配列番号14)、RSSQSLLRSKGYNYLD(配列番号15)、RSSQSLLRSQGYNYLD(配列番号16)、RSSQSLLRSYGYNYLD(配列番号17)、RSSQSLLRSEGYNYLD(配列番号18)、RSSQSLLRSWGYNYLD(配列番号19)、RSSQSLLRSFGYNYLD(配列番号20)、RSSQSL LRSIGYNYLD(配列番号21)、RSSQSLLRSVGYNYLD(配列番号22)、RSSQSLLRSAG YNYLD(配列番号23)、RSSQSLLRSMGYNYLD(配列番号24)、RSSQSLLRSLGYNYLD(配列番号25)、RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号26)、またはRSSQGLLRSNGYNYLD(配列番号27)の配列を含む。具体的な一実施形態では、HVR-L1は、RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)の配列を含む。別の具体的実施形態では、HVR-L1は、RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)(表19に示されているとおり)の配列を含む。
【0183】
一部の実施形態では、HVR-L2は、式IV:LGSNRX1S(配列番号31)(式中、X1は、AまたはVである)による配列を含む。一部の実施形態では、HVR-L2は、配列番号29~30から選択される配列を含む。
【0184】
一部の実施形態では、HVR-L3は、式V:MQQQEX1PLT(配列番号34)(式中、X1は、AまたはTである)による配列を含む。一部の実施形態では、HVR-L3は、配列番号32~33から選択される配列を含む。
【0185】
一部の実施形態では、HVR-L1は、配列番号8~27から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、HVR-L1は、置換(例えば、配列番号8~27から選択されるアミノ酸配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するアミノ酸配列を含むが、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、最大1個、最大2個、最大3個、最大4個、または最大5個のアミノ酸が、配列番号8~27から選択されるHVR-L1アミノ酸配列において置換、挿入、及び/または欠失している。一部の実施形態では、HVR-L2は、配列番号29~30から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、HVR-L2は、置換(例えば、配列番号29~30のアミノ酸配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するアミノ酸配列を含むが、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、最大1個、最大2個、最大3個、最大4個、または最大5個のアミノ酸が、配列番号29~30から選択されるHVR-L2アミノ酸配列において置換、挿入、及び/または欠失している。一部の実施形態では、HVR-L3は、配列番号32~33から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、HVR-L3は、置換(例えば、配列番号32~33のアミノ酸配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するアミノ酸配列を含むが、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、最大1個、最大2個、最大3個、最大4個、または最大5個のアミノ酸が、配列番号32~33から選択されるHVR-L3アミノ酸配列において置換、挿入、及び/または欠失している。
【0186】
一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、式IIIによる配列を含むHVR-L1、式IVによる配列を含むHVR-L2、及び式Vによる配列を含むHVR-L3を含む。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号8~27から選択される配列を含むHVR-L1、配列番号29~30から選択される配列を含むHVR-L2、及び配列番号32~33から選択される配列を含むHVR-L3を含む。
【0187】
一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24、またはそれらの任意の組み合わせ(表17~19に示されているとおり)のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む。
【0188】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、(a)抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24のHVR-L1アミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24のHVR-L2アミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(c)抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24のHVR-L3アミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3のうちの1つまたは複数を含む軽鎖可変領域を含む。
【0189】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む。
【0190】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む。
【0191】
C.重鎖HVR及び軽鎖HVR
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、HVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3(表14~16に示されているとおり)から選択される1つまたは複数の(例えば、1つまたは複数、2つ以上、または3つすべての)HVRを含む重鎖可変領域、ならびにHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3(表17~19に示されているとおり)から選択される1つまたは複数の(例えば、1つまたは複数、2つ以上、または3つすべての)HVRを含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、HVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3(表14~16に示されているとおり)を含み、かつ軽鎖可変領域は、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3(表17~19に示されているとおり)を含む。
【0192】
一部の実施形態では、重鎖可変領域は、YSISSGYYWG(配列番号1)の配列を含むHVR-H1、式Iによる配列を含むHVR-H2、及び式IIによる配列を含むHVR-H3を含み、かつ軽鎖可変領域は、式IIIによる配列を含むHVR-L1、式IVによる配列を含むHVR-L2、及び式Vによる配列を含むHVR-L3を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号1の配列を含むHVR-H1、配列番号2~3から選択される配列を含むHVR-H2、及び配列番号5~6から選択される配列を含むHVR-H3を含み、かつ軽鎖可変領域は、配列番号8~27から選択される配列を含むHVR-L1、配列番号29~30から選択される配列を含むHVR-L2、及び配列番号32~33から選択される配列を含むHVR-L3を含む。
【0193】
一部の態様では、重鎖可変領域は、配列番号1の配列を含むHVR-H1、配列番号2~3から選択される配列を含むHVR-H2、及び配列番号5~6から選択される配列を含むHVR-H3を含み、かつ軽鎖可変領域は、配列番号8~27から選択される配列を含むHVR-L1、配列番号29~30から選択される配列を含むHVR-L2、及び配列番号32の配列を含むHVR-L3を含む。
【0194】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24、またはそれらの任意の組み合わせ(表14~16に示されているとおり)のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびに抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、S-60-24、またはそれらの任意の組み合わせ(表17~19に示されているとおり)のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0195】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、HVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含む重鎖可変領域ならびにHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含み、その際、抗体は、抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24(表14~19に示されているとおり)のHVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む。
【0196】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、その際、重鎖可変領域は、(a)抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24のHVR-H1アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24のHVR-H2アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び(c)抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24のHVR-H3アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3のうちの1つまたは複数を含み;かつ軽鎖可変領域は、(a)抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24のHVR-L1アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24のHVR-L2アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(c)抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24のHVR-L3アミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3のうちの1つまたは複数を含む。
【0197】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0198】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRVS(配列番号30)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0199】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLES(配列番号3)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0200】
一部の態様では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0201】
一部の態様では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0202】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0203】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号26)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0204】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;ならびにアミノ酸配列RSSQGLLRSNGYNYLD(配列番号27)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0205】
D.重鎖可変領域
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号54~56から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号54~56から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、置換(例えば、配列番号54~56から選択されるアミノ酸配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するアミノ酸配列を含むが、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、最大1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、または最大10個のアミノ酸が、配列番号54~56から選択される重鎖可変領域アミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。
【0206】
一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号56のアミノ酸配列を含む。
【0207】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24(表30に示されているとおり)の重鎖可変領域を含む。
【0208】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、及びアミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域を含む。
【0209】
E.軽鎖可変領域
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号57~80から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号57~80から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、置換(例えば、配列番号57~80から選択されるアミノ酸配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するアミノ酸配列を含むが、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、最大1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、または最大10個のアミノ酸が、配列番号57~80から選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。
【0210】
一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号57のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号60のアミノ酸配列を含む。
【0211】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24(表31に示されているとおり)の軽鎖可変領域を含む。
【0212】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0213】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0214】
F.重鎖可変領域及び軽鎖可変領域
一部の態様では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号54~56からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み;及び/または軽鎖可変領域は、配列番号57~80からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号54~56から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ軽鎖可変領域は、配列番号57~80から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、置換(例えば、配列番号54~56から選択されるアミノ酸配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び置換(例えば、配列番号57~80から選択されるアミノ酸配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むが、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、最大1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、または最大10個のアミノ酸が、配列番号54~56から選択される重鎖可変領域アミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失しており;かつ最大1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、または最大10個のアミノ酸が、配列番号57~80から選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。
【0215】
一部の態様では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号54~56からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み;及び/または軽鎖可変領域は、配列番号57~58、60~78、及び80からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0216】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンタンパク質に結合し、その際、該抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号58のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号59のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号58のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号78のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号79のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0217】
一態様では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号56のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号57のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0218】
一態様では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号56のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号60のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0219】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24(表30に示されているとおり)の重鎖可変領域、及び抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24(表31に示されているとおり)の軽鎖可変領域を含む。
【0220】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号56のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号56及び60から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、S-60-15[N33(wt)](表30に示されているとおり)の重鎖可変領域、及び抗体S-60-15[N33(wt)](表31に示されているとおり)の軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、S-60-15.1[N33T](表30に示されているとおり)の重鎖可変領域、及び抗体S-60-15.1[N33T](表31に示されているとおり)の軽鎖可変領域を含む。
【0221】
例示的な抗ソルチリン抗体
一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24から選択される抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗ソルチリンモノクローナル抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24から選択される抗体の重鎖及び軽鎖を含む抗ソルチリンモノクローナル抗体である。
【0222】
(1)S-60-10
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-10の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む;及び/または軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-10の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-10の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-10のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-10の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、その際、軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-10のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-10の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-10の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-10の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-10または配列番号54のVH配列を含む。特定の実施形態では、VHは、(a)抗体S-60-10のHVR-H1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-10のHVR-H2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-10のHVR-H3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-10の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-10の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号57のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-10の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号57のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-10または配列番号57のVL配列を含む。特定の実施形態では、VLは、(a)抗体S-60-10のHVR-L1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-10のHVR-L2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-10のHVR-L3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。
【0223】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号105または配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号139のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号105または配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号139のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0224】
(2)S-60-11
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-11の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む;及び/または軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-11の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-11の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-11のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-11の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、その際、軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-11のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-11の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-11の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-11の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-11または配列番号54のVH配列を含む。特定の実施形態では、VHは、(a)抗体S-60-11のHVR-H1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-11のHVR-H2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-11のHVR-H3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-11の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-11の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号58のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-11の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号58のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-11または配列番号58のVL配列を含む。特定の実施形態では、VLは、(a)抗体S-60-11のHVR-L1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-11のHVR-L2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-11のHVR-L3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。
【0225】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号105または配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号140のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号105または配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号140のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0226】
(3)S-60-12
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-12の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む;及び/または軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-12の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号59のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-12の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-12のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-12の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号59のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、その際、軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-12のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-12の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-12の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-12の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-12または配列番号54のVH配列を含む。特定の実施形態では、VHは、(a)抗体S-60-12のHVR-H1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-12のHVR-H2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-12のHVR-H3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-12の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号59のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-12の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号59のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-12の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号59のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-12または配列番号59のVL配列を含む。特定の実施形態では、VLは、(a)抗体S-60-12のHVR-L1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-12のHVR-L2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-12のHVR-L3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。
【0227】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号105または配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号141のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号105または配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号141のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0228】
(4)S-60-13
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-13の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む;及び/または軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-13の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-13の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-13のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-13の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、その際、軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-13のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-13の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-13の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号55のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-13の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号55のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-13または配列番号55のVH配列を含む。特定の実施形態では、VHは、(a)抗体S-60-13のHVR-H1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-13のHVR-H2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-13のHVR-H3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-13の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-13の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号57のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-13の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号57のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-13または配列番号57のVL配列を含む。特定の実施形態では、VLは、(a)抗体S-60-13のHVR-L1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-13のHVR-L2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-13のHVR-L3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。
【0229】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号135または配列番号136のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号139のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号135または配列番号136のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号139のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0230】
(5)S-60-14
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-14の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む;及び/または軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-14の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-14の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-14のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-14の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、その際、軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-14のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-14の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-14の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号55のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-14の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号55のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-14または配列番号55のVH配列を含む。特定の実施形態では、VHは、(a)抗体S-60-14のHVR-H1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-14のHVR-H2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-14のHVR-H3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-14の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-14の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号58のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-14の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号58のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-14または配列番号58のVL配列を含む。特定の実施形態では、VLは、(a)抗体S-60-14のHVR-L1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-14のHVR-L2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-14のHVR-L3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。
【0231】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号135または配列番号136のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号140のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号135または配列番号136のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号140のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0232】
(6)S-60-15
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-15の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む;及び/または軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-15の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-15の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-15のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-15の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、その際、軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-15のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-15の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-15の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-15の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-15または配列番号56のVH配列を含む。特定の実施形態では、VHは、(a)抗体S-60-15のHVR-H1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-15のHVR-H2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-15のHVR-H3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-15の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-15の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号57のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-15の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号57のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-15または配列番号57のVL配列を含む。特定の実施形態では、VLは、(a)抗体S-60-15のHVR-L1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-15のHVR-L2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-15のHVR-L3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。
【0233】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号137または配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号139のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号137または配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号139のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0234】
(7)S-60-15.1
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-15.1の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む;及び/または軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-15.1の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-15.1の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-15.1のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-15.1の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、その際、軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-15.1のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-15.1の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-15.1の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-15.1の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-15.1または配列番号56のVH配列を含む。特定の実施形態では、VHは、(a)抗体S-60-15.1のHVR-H1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-15.1のHVR-H2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-15.1のHVR-H3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-15.1の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-15.1の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号60のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-15.1の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号60のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-15.1または配列番号60のVL配列を含む。特定の実施形態では、VLは、(a)抗体S-60-15.1のHVR-L1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-15.1のHVR-L2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-15.1のHVR-L3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。
【0235】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号137または配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号142のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号137または配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号142のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0236】
(8)S-60-16
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-16の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む;及び/または軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-16の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号77のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-16の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-16のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-16の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号77のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、その際、軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-16のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-16の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-16の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-16の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-16または配列番号56のVH配列を含む。特定の実施形態では、VHは、(a)抗体S-60-16のHVR-H1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-16のHVR-H2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-16のHVR-H3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-16の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号77のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-16の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号77のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-16の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号77のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-16または配列番号77のVL配列を含む。特定の実施形態では、VLは、(a)抗体S-60-16のHVR-L1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-16のHVR-L2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-16のHVR-L3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。
【0237】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号137または配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号131のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号137または配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号131のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0238】
(9)S-60-18
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-18の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む;及び/または軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-18の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号78のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-18の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-18のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-18の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号78のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、その際、軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-18のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-18の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-18の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-18の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-18または配列番号56のVH配列を含む。特定の実施形態では、VHは、(a)抗体S-60-18のHVR-H1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-18のHVR-H2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-18のHVR-H3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-18の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号78のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-18の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号78のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-18の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号78のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-18または配列番号78のVL配列を含む。特定の実施形態では、VLは、(a)抗体S-60-18のHVR-L1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-18のHVR-L2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-18のHVR-L3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。
【0239】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号137または配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号132のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号137または配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号132のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0240】
(10)S-60-19
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-19の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む;及び/または軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-19の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号79のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-19の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-19のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-19の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号79のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、その際、軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-19のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-19の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-19の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-19の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号54のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-19または配列番号54のVH配列を含む。特定の実施形態では、VHは、(a)抗体S-60-19のHVR-H1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-19のHVR-H2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-19のHVR-H3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-19の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号79のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-19の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号79のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-19の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号79のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-19または配列番号79のVL配列を含む。特定の実施形態では、VLは、(a)抗体S-60-19のHVR-L1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-19のHVR-L2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-19のHVR-L3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。
【0241】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号105または配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号133のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号105または配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号133のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0242】
(11)S-60-24
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-24の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む;及び/または軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-24の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号80のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-24の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、その際、重鎖可変ドメインは、抗体S-60-24のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-24の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号80のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、その際、軽鎖可変ドメインは、抗体S-60-24のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-24の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-24の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-24の重鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号56のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-24または配列番号56のVH配列を含む。特定の実施形態では、VHは、(a)抗体S-60-24のHVR-H1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-24のHVR-H2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-24のHVR-H3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-24の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号80のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含み、かつ置換(例えば、参照配列に対して保存的置換、挿入、または欠失)を含有するが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに結合する能力は維持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、抗体S-60-24の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号80のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、合計1~5個のアミノ酸が、抗体S-60-24の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列または配列番号80のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域において(すなわち、FR領域において)生じる。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、FR領域において生じる。任意選択で、抗ソルチリン抗体は、配列の翻訳後修飾を含めて、抗体S-60-24または配列番号80のVL配列を含む。特定の実施形態では、VLは、(a)抗体S-60-24のHVR-L1アミノ酸配列、(b)抗体S-60-24のHVR-L2アミノ酸配列、及び(c)抗体S-60-24のHVR-L3アミノ酸配列から選択される1つ、2つまたは3つのHVRを含む。
【0243】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号137または配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号134のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号137または配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号134のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0244】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-16、S-60-18、S-60-19、及びS-60-24からなる群から選択される抗体の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む抗体と本質的に同じソルチリンエピトープに結合する。
【0245】
一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗ソルチリンモノクローナル抗体S-60-10である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、S-60-10と本質的に同じソルチリンエピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-10の重鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-10の軽鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-10の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む単離抗体である。
【0246】
一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗ソルチリンモノクローナル抗体S-60-11である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、S-60-11と本質的に同じソルチリンエピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-11の重鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-11の軽鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-11の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む単離抗体である。
【0247】
一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗ソルチリンモノクローナル抗体S-60-12である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、S-60-12と本質的に同じソルチリンエピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-12の重鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-12の軽鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-12の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む単離抗体である。
【0248】
一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗ソルチリンモノクローナル抗体S-60-13である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、S-60-13と本質的に同じソルチリンエピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-13の重鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-13の軽鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-13の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む単離抗体である。
【0249】
一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗ソルチリンモノクローナル抗体S-60-14である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、S-60-14と本質的に同じソルチリンエピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-14の重鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-14の軽鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-14の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む単離抗体である。
【0250】
一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗ソルチリンモノクローナル抗体S-60-15である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、S-60-15と本質的に同じソルチリンエピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-15の重鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-15の軽鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-15の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む単離抗体である。
【0251】
一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗ソルチリンモノクローナル抗体S-60-15.1である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、S-60-15.1と本質的に同じソルチリンエピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-15.1の重鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-15.1の軽鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-15.1の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む単離抗体である。
【0252】
一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗ソルチリンモノクローナル抗体S-60-16である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、S-60-16と本質的に同じソルチリンエピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-16の重鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-16の軽鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-16の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む単離抗体である。
【0253】
一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗ソルチリンモノクローナル抗体S-60-18である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、S-60-18と本質的に同じソルチリンエピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-18の重鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-18の軽鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-18の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む単離抗体である。
【0254】
一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗ソルチリンモノクローナル抗体S-60-19である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、S-60-19と本質的に同じソルチリンエピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-19の重鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-19の軽鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-19の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む単離抗体である。
【0255】
一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗ソルチリンモノクローナル抗体S-60-24である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、S-60-24と本質的に同じソルチリンエピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-24の重鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-24の軽鎖可変領域を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体S-60-24の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む単離抗体である。
【0256】
ある特定の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、アンタゴニスト抗体である。ある特定の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、アゴニスト抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスのものである。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、IgGクラスのものであり、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプを有する。
【0257】
追加の抗ソルチリン抗体、例えば、本開示のソルチリンタンパク質に特異的に結合する抗体は、当技術分野で公知の様々なアッセイによって、それらの物理的/化学的特性及び/または生物学的活性について、同定され、スクリーニングされ、及び/または特徴づけされ得る。
【0258】
本開示のある特定の態様は、対応する単一の抗ソルチリン抗体の利用と比較して、一緒に使用した場合に、相加効果または相乗効果を示す2つ以上の抗ソルチリン抗体の使用に関する。
【0259】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンタンパク質に結合する抗体フラグメントである。
【0260】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン、ヒトソルチリンの天然に存在するバリアント、及びヒトソルチリンの疾患バリアントからなる群から選択される1つまたは複数のヒトタンパク質に結合する抗体フラグメントである。
【0261】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、またはscFvフラグメントである抗体フラグメントである。
【0262】
抗体フレームワーク
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、VH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4(表20~23に示されているとおり)から選択される1つまたは複数(例えば、1つまたは複数、2つ以上、3つ以上、または4つすべて)のフレームワーク領域を含む重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、VH FR1は、QVQLQESGPGLVKPSETLSL TCAVSG(配列番号35)の配列を含む。一部の実施形態では、VH FR2は、WIRQPPGKGLEWIG(配列番号36)の配列を含む。一部の実施形態では、VH FR3は、式VI:X1VTISVDTSKNQFSLX2LSSVTAADTAVYYC(配列番号39)(式中、X1は、QまたはRであり、かつX2は、EまたはKである)による配列を含む。一部の実施形態では、VH FR3は、配列番号37~38からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態では、VH FR4は、WGQGTTVTVSS(配列番号40)の配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号35の配列を含むVH FR1、配列番号36の配列を含むVH FR2、式VIによるVH FR3、及び配列番号40の配列を含むVH FR4を含む重鎖可変領域を含む。
【0263】
一部の実施形態では、抗体は、配列番号35の配列を含むVH FR1、配列番号36の配列を含むVH FR2、配列番号37~38から選択される配列を含むVH FR3、及び配列番号40の配列を含むVH FR4を含む重鎖可変領域を含む。
【0264】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24(表20~23に示されているとおり)のVH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4を含む重鎖可変領域を含む。
【0265】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、VL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4(表24~27に示されているとおり)から選択される1つまたは複数(例えば、1つまたは複数、2つ以上、3つ以上、または4つすべて)のフレームワーク領域を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、VL FR1は、式VII:DIVMTQSPLSLPVTPGX1X2ASISC(配列番号44)(式中、X1は、EまたはGであり、かつX2は、PまたはSである)による配列を含む。一部の実施形態では、VL FR1は、配列番号41~43からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態では、VL FR2は、式VIII:WYLQKPGQX1PQLLIY(配列番号47)(式中、X1は、SまたはPである)による配列を含む。一部の実施形態では、VL FR2は、配列番号45~46からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態では、VL FR3は、式IX:GVPDRX1SGSGSGT DFTLKISRX2EAEDVGX3YYC(配列番号52)(式中、X1は、FまたはLであり、X2は、AまたはVであり、かつX3は、VまたはAである)による配列を含む。一部の実施形態では、VL FR3は、配列番号48~51からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態では、VL FR4は、FGGGTKVEIK(配列番号53)の配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、式VIIによる配列を含むVL FR1、式VIIIによる配列を含むVL FR2、式IXによる配列を含むVL FR3、及び配列番号53の配列を含むVL FR4を含む軽鎖可変領域を含む。
【0266】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号41~43から選択される配列を含むVL FR1、配列番号45~46から選択される配列を含むVL FR2、配列番号48~51から選択される配列を含むVL FR3、及び配列番号53の配列を含むVL FR4を含む軽鎖可変領域を含む。
【0267】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24(表24~27に示されているとおり)のVL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4を含む軽鎖可変領域を含む。
【0268】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、VH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4(表20~23に示されているとおり)から選択される1つまたは複数(例えば、1つまたは複数、2つ以上、3つ以上、または4つすべて)のフレームワーク領域を含む重鎖可変領域、ならびにVL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4(表24~27に示されているとおり)から選択される1つまたは複数(例えば、1つまたは複数、2つ以上、3つ以上、または4つすべて)のフレームワーク領域を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号35の配列を含むVH FR1、配列番号36の配列を含むVH FR2、式VIによるVH FR3、及び配列番号40の配列を含むVH FR4を含む重鎖可変領域;ならびに式VIIによる配列を含むVL FR1、式VIIIによる配列を含むVL FR2、式IXによる配列を含むVL FR3、及び配列番号53の配列を含むVL FR4を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号35の配列を含むVH FR1、配列番号36の配列を含むVH FR2、配列番号37~38から選択される配列を含むVH FR3、及び配列番号40の配列を含むVH FR4を含む重鎖可変領域;配列番号41~43から選択される配列を含むVL FR1、配列番号45~46から選択される配列を含むVL FR2、配列番号48~51から選択される配列を含むVL FR3、及び配列番号53の配列を含むVL FR4を含む軽鎖可変領域を含む。
【0269】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24(表20~23に示されているとおり)のVH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4を含む重鎖可変領域、ならびに抗体S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16;S-60-18、S-60-19、またはS-60-24(表24~27に示されているとおり)のVL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4を含む軽鎖可変領域を含む。
【0270】
抗ソルチリン抗体活性
抗ソルチリン抗体のいずれかのある特定の態様では、本開示の抗ソルチリン抗体は、限定されないが、ソルチリンの細胞レベル(例えば、ソルチリンの細胞表面レベル、ソルチリンの細胞内レベル、及び/またはソルチリンの総レベル)を減少させること;プログラニュリンレベル(例えば、プログラニュリンの細胞外レベル及び/または細胞プログラニュリンのレベル)を上昇させること;及びプログラニュリンとソルチリンとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害することを含めて、ソルチリンタンパク質の1つまたは複数の活性を阻害することができる。本明細書において企図されるとおり、本開示の抗ソルチリン抗体は、限定されないが、本開示のプロ-ニューロトロフィン(プロ-ニューロトロフィン-3、プロ-ニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNFなど)、本開示のニューロトロフィン(ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aベータペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、及び受容体関連タンパク質(RAP)のうちの1つまたは複数との相互作用(例えば、結合)を阻害すること、PCSK9の分泌を減少させること、ベータアミロイドペプチドの産生を減少させることを含めて、ソルチリンタンパク質の追加の活性を阻害し得る。
【0271】
ある特定の実施形態では、本開示は、(a)プログラニュリンの細胞外レベルを上昇させる、ソルチリンの細胞レベルを低下させる、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する、またはそれらの任意の組み合わせを行う;(b)ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる、プログラニュリンの細胞外レベルを上昇させる、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する、またはそれらの任意の組み合わせを行う;(c)ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる、ソルチリンの細胞内レベルを低下させる、ソルチリンの総レベルを低下させる、またはそれらの任意の組み合わせを行う;(d)ソルチリン分解、ソルチリン切断、ソルチリン内在化、ソルチリン下方調節、またはそれらの任意の組み合わせを誘導する;(e)ソルチリンの細胞レベルを低下させる、及びソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する;(f)ソルチリンの細胞レベルを低下させる、及びプログラニュリンの細胞レベルを上昇させる;及び/または(g)プログラニュリンの有効濃度を上昇させる抗ソルチリン抗体を提供する。
【0272】
ある特定の実施形態では、本開示は、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる、プログラニュリンの細胞外レベルを上昇させる、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する、またはそれらの任意の組み合わせを行う抗ソルチリン抗体を提供する。
【0273】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、(a)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルを、150pM未満である50%効果濃度(EC50)で低下させる;(b)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルを、対照と比べて1.25nM IgGで約50%超、0.63nM IgGで約80%超、または150nM IgGで約69%超低下させる;標準的なELISAによって測定した場合に、プログラニュリン分泌を、0.63nM IgGで対照に対して約1.13倍超、または50nM IgGで対照に対して約1.22倍超増加させる;フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンへのプログラニュリンの結合を、0.325nM未満である50%効果濃度(EC50)で遮断する;(e)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンへのプログラニュリンの結合を、対照と比べて50nM IgGで約88%超または150nM IgGで約27.5%超遮断する;または(f)それらの任意の組み合わせ(例えば、実施例2~4を参照されたい)。
【0274】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、(a)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルを、681pM未満である50%効果濃度(EC50)で低下させる;(b)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルを、対照と比べて1.25nM IgGで約40%超、0.6nM IgGで約29%超、または150nM IgGで約62%超低下させる;(c)標準的なELISAによって測定した場合に、プログラニュリン分泌を、0.63nM IgGで対照に対して約1.11倍超、または50nM IgGで対照に対して約1.75倍超増加させる;(d)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンへのプログラニュリンの結合を、0.751nM未満である50%効果濃度(EC50)で遮断する;(e)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンへのプログラニュリンの結合を、対照と比べて50nM IgGで約90%超、または150nM IgGで約95%超遮断する;または(f)それらの任意の組み合わせを行う(例えば、実施例2~4を参照されたい)。
【0275】
ソルチリンレベルの低下
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、細胞の表面上に発現される本開示のソルチリンタンパク質に結合し、表面発現したソルチリンタンパク質に結合した後に本開示の1つまたは複数のソルチリン活性を調節する(例えば、誘導する、または阻害する)。
【0276】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞レベルをインビトロで低下させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞レベルをインビボで(例えば、個体の脳、及び/または末梢器官で)低下させ得る。一部の実施形態では、ソルチリンの細胞レベルの低下は、ソルチリンの細胞表面レベルの低下を含む。本明細書で使用される場合、抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載か、または当技術分野で公知の任意のインビトロ細胞アッセイまたは適切なインビボモデルによって測定した場合に、飽和抗体濃度(例えば、0.6nM、0.63nM、1.25nM、50nMまたは150nM)で、及び/または対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)と比べて、ソルチリンの細胞表面レベルの低下を誘導するならば、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる。一部の実施形態では、ソルチリンの細胞レベルの低下は、ソルチリンの細胞内レベルの低下を含む。本明細書において企図されているとおり、抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載か、または当技術分野で公知の任意のインビトロ細胞アッセイまたは適切なインビボモデルによって測定した場合に、飽和抗体濃度で、及び/または対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)と比べて、ソルチリンの細胞内レベルの低下を誘導する場合に、ソルチリンの細胞内レベルを低下させる。一部の実施形態では、ソルチリンの細胞レベルの低下は、ソルチリンの総レベルの低下を含む。本明細書において企図されているとおり、抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載か、または当技術分野で公知の任意のインビトロ細胞アッセイまたは適切なインビボモデルによって測定した場合に、飽和抗体濃度で、及び/または対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)と比べて、ソルチリンの総レベルの低下を誘導する場合に、ソルチリンの総レベルを低下させる。
【0277】
本明細書で使用される場合、ソルチリンのレベルは、ソルチリンをコードする遺伝子の発現レベル;ソルチリンをコードする1つまたは複数の転写物の発現レベル;ソルチリンタンパク質の発現レベル;及び/または細胞内及び/または細胞表面上に存在するソルチリンタンパク質の量を指し得る。遺伝子発現、転写、翻訳、及び/またはタンパク質量または局在化のレベルを測定するために当技術分野で公知の任意の方法を使用して、ソルチリンのレベルを決定することができる。
【0278】
ソルチリンの細胞レベルは、限定ではないが、ソルチリンの細胞表面レベル、ソルチリンの細胞内レベル、及びソルチリンの総レベルを指し得る。一部の実施形態では、ソルチリンの細胞レベルの低下は、ソルチリンの細胞表面レベルの低下を含む。一部の実施形態では、ソルチリンの細胞レベル(例えば、ソルチリンの細胞表面レベル)を低下させる本開示の抗ソルチリン抗体は、次の特徴のうちの1つまたは複数を有する:(1)1つまたは複数のソルチリン活性を阻害する、または減少させる;(2)そのリガンドのうちの1つまたは複数へのソルチリンの結合を阻害する、または減少させる能力;(3)ソルチリン発現細胞におけるソルチリン発現を減少させる能力;(4)ソルチリンタンパク質と相互作用する、結合する、またはそれを認識する能力;(5)ソルチリンタンパク質と特異的に相互作用し、かつ結合する能力;及び(6)本明細書において記載または企図される疾患または障害の何らかの態様を処置する、寛解する、または予防する能力。
【0279】
一部の実施形態では、本開示の単離抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの下方制御を誘導する。一部の実施形態では、単離本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの切断を誘導する。一部の実施形態では、本開示の単離抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの内在化を誘導する。一部の実施形態では、本開示の単離抗ソルチリン抗体は、ソルチリンのシェディングを誘導する。一部の実施形態では、本開示の単離抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの分解を誘導する。一部の実施形態では、本開示の単離抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの脱感作を誘導する。一部の実施形態では、本開示の単離抗ソルチリン抗体は、ソルチリンを一過性に活性化するリガンド模倣物質として作用する。一部の実施形態では、本開示の単離抗ソルチリン抗体は、リガンド模倣物質として作用して、ソルチリンを一過性に活性化し、その後、ソルチリンの細胞レベルの低下及び/またはソルチリンと1つまたは複数のソルチリンリガンドとの間の相互作用(例えば、結合)の阻害を誘導する。一部の実施形態では、本開示の単離抗ソルチリン抗体は、リガンド模倣物質として作用して、ソルチリンを一過性に活性化し、その後、ソルチリンの分解を誘導する。一部の実施形態では、本開示の単離抗ソルチリン抗体は、リガンド模倣物質として作用して、ソルチリンを一過性に活性化し、その後、ソルチリンの切断を誘導する。一部の実施形態では、本開示の単離抗ソルチリン抗体は、リガンド模倣物質として作用して、ソルチリンを一過性に活性化し、その後、ソルチリンの内在化を誘導する。一部の実施形態では、本開示の単離抗ソルチリン抗体は、リガンド模倣物質として作用して、ソルチリンを一過性に活性化し、その後、ソルチリンのシェディングを誘導する。一部の実施形態では、本開示の単離抗ソルチリン抗体は、リガンド模倣物質として作用して、ソルチリンを一過性に活性化し、その後、ソルチリン発現の下方制御を誘導する。一部の実施形態では、本開示の単離抗ソルチリン抗体は、リガンド模倣物質として作用して、ソルチリンを一過性に活性化し、その後、ソルチリンの脱感作を誘導する。
【0280】
ある特定の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリン分解を誘導することによって、ソルチリンの細胞レベル(例えば、ソルチリンの細胞表面レベル、ソルチリンの細胞内レベル、及び/またはソルチリンの総レベル)を低下させ得る。したがって、一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリン分解を誘導する。
【0281】
本開示の抗ソルチリン抗体は、ピコモル範囲の50%効果濃度(EC50)(例えば、インビトロで測定した場合)で、ソルチリンの細胞レベル(例えば、細胞表面レベル)を低下させ得る。ある特定の実施形態では、抗体のEC50は、約680.9pM未満である。ある特定の実施形態では、抗体のEC50は、約72.58pM~約680.9nMである。ある特定の実施形態では、抗体のEC50は、約103.6pM~約680.9nMである。ある特定の実施形態では、抗体のEC50は、約600pM、500pM、400pM、300pM、200pM、100pM、50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、1pM、または0.5pM未満である。
【0282】
一部の実施形態では、抗体のEC50は、約675pM、650pM、625pM、600pM、575pM、550pM、525pM、500pM、475pM、450pM、425pM、400pM、375pM、350pM、325pM、300pM、275pM、250pM、225pM、200pM、175pM、150pM、125pM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、9pM、8pM、7pM、6pM、5pM、4pM、3pM、2pM、1pM、または0.5pM以下である。
【0283】
一部の実施形態では、抗体のEC50は、約680.9pM未満である。一部の実施形態では、抗体のEC50は、約0.1pM、0.5pM、1pM、10pM、20pM、30pM、40pM、50pM、60pM、70pM、80pM、90pM、100pM、125pM、150pM、175pM、200pM、225pM、250pM、275pM、300pM、325pM、350pM、375pM、400pM、425pM、450pM、475pM、500pM、525pM、550pM、575pM、600pM、625pM、650pM、675pM以上である。すなわち、抗体のEC50は、約675pM、650nM、650pM、625pM、600pM、575pM、550pM、525pM、500pM、475pM、450pM、425pM、400pM、375pM、350pM、325pM、300pM、275pM、250pM、225pM、200pM、175pM、150pM、125pM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、1pM、または0.5pMの上限、及び約0.1pM、0.5pM、1pM、10pM、20pM、30pM、40pM、50pM、60pM、70pM、80pM、90pM、100pM、125pM、150pM、175pM、200pM、225pM、250pM、275pM、300pM、325pM、350pM、375pM、400pM、425pM、450pM、475pM、500pM、525pM、550pM、575pM、600pM、625pM、650pM、または675pMから独立に選択される下限を有する範囲のいずれかであってよく、その際、下限は、上限よりも小さい。一部の実施形態では、抗体のEC50は、約1pM、2pM、3pM、4pM、5pM、6pM、7pM、8pM、9pM、10pM、15pM、20pM、25pM、30pM、35pM、40pM、45pM、50pM、55pM、60pM、65pM、70pM、75pM、80pM、85pM、90pM、95pM、100pM、105pM、110pM、115pM、120pM、125pM、130pM、135pM、140pM、145pM、150pM、155pM、160pM、165pM、170pM、175pM、180pM、185pM、190pM、195pM、または200pMのうちのいずれかである。
【0284】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルを、150pM未満である50%効果濃度(EC50)で低下させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体のEC50は、約103.6pMである。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体のEC50は、約72.58pMである。
【0285】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルを、1.25nM IgGで約40%超または0.63nM IgGで約80%超低下させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルを、1.25nM IgGで約60.92%低下させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルを、150nM IgGで約69.3%低下させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルを、150nM IgGで約70.3%低下させる。
【0286】
例えば、フローサイトメトリー(例えば、実施例2を参照されたい)による方法を含む、抗体EC50値を測定する様々な方法が当技術分野で公知である。一部の実施形態では、EC50は、ヒトソルチリンを発現するように遺伝子操作された細胞を使用してインビトロで測定される。一部の実施形態では、EC50は、約4℃の温度で測定される。一部の実施形態では、EC50は、約25℃の温度で測定される。一部の実施形態では、EC50は、約35℃の温度で測定される。一部の実施形態では、EC50は、約37℃の温度で測定される。一部の実施形態では、EC50は、一価抗体(例えば、Fab)または一価形態の全長抗体を使用して決定される。一部の実施形態では、EC50は、Fc受容体結合の増強を示す定常領域を含有する抗体を使用して決定される。一部の実施形態では、EC50は、Fc受容体結合の減少を示す定常領域を含有する抗体を使用して決定される。
【0287】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞表面レベルの低下において、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)と比べて高い有効性を有する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)よりも低いEC50(例えば、インビトロで測定した場合)で、ソルチリンの細胞レベル(例えば、細胞表面レベル)を低下させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞レベル(例えば、細胞表面レベル)を、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)のEC50よりも少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%低いEC50で低下させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞レベル(例えば、細胞表面レベル)を、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)のEC50よりも少なくとも約1倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約15倍、少なくとも約17.5倍、少なくとも約20倍、少なくとも約22.5倍、少なくとも約25倍、少なくとも約27.5倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低いEC50で低下させる。
【0288】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)よりも少なくとも1.5倍低いEC50を有する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)よりも少なくとも1.1倍低いEC50を有する。
【0289】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、(a)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルを、681pM未満である50%効果濃度(EC50)で低下させる;(b)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルを、対照と比べて1.25nM IgGで約40%超、0.6nM IgGで約29%超、または150nM IgGで約62%超低下させる;(c)標準的なELISAによって測定した場合に、プログラニュリン分泌を、0.63nM IgGで対照に対して約1.11倍超、または50nM IgGで対照に対して約1.75倍超増加させる;(d)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンへのプログラニュリンの結合を、0.751nM未満である50%効果濃度(EC50)で遮断する;(e)フローサイトメトリーによって測定した場合に、ソルチリンへのプログラニュリンの結合を、対照と比べて50nM IgGで約90%超、または150nM IgGで約95%超遮断する;または(f)それらの任意の組み合わせを行う(例えば、実施例2~4を参照されたい)。
【0290】
プログラニュリンレベルの上昇
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞外レベルをインビトロで増加させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞レベルをインビボで(例えば、個体の脳、血液、及び/または末梢器官において)上昇させ得る。本明細書で使用される場合、抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載か、または当技術分野で公知の任意のインビトロ細胞アッセイまたは組織(脳組織など)アッセイによって測定した場合に、飽和抗体濃度(例えば、0.6nM、0.63nM、1.25nM、50nMまたは150nM)で、及び/または対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)と比べて、プログラニュリンの細胞外レベルの上昇を誘導する場合に、プログラニュリンの細胞外レベルを上昇させる。本明細書において企図されているとおり、抗ソルチリン抗体は、抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載か、または当技術分野で公知の任意のインビトロ細胞アッセイまたは組織(脳組織など)アッセイによって測定した場合に、飽和抗体濃度(例えば、0.6nM、0.63nM、1.25nM、50nMまたは150nM)で、及び/または対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)と比べて、細胞プログラニュリンのレベルの上昇を誘導する場合に、プログラニュリンの細胞レベルを上昇させる。
【0291】
本明細書で使用される場合、プログラニュリンのレベルは、プログラニュリンをコードする遺伝子の発現レベル;プログラニュリンをコードする1つまたは複数の転写物の発現レベル;プログラニュリンタンパク質の発現レベル;及び/または細胞から分泌される、及び/または細胞内に存在するプログラニュリンタンパク質の量を指し得る。遺伝子発現、転写、翻訳、タンパク質量、タンパク質分泌、及び/または局在化のレベルを測定するために当技術分野で公知の任意の方法を使用して、プログラニュリンのレベルを決定することができる。
【0292】
本明細書で使用される場合、プログラニュリンレベルは、限定ではないが、プログラニュリンの細胞外レベル、プログラニュリンの細胞内レベル、及びプログラニュリンの総レベルを指し得る。一部の実施形態では、プログラニュリンのレベルの上昇は、プログラニュリンの細胞外レベルの上昇を含む。
【0293】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、標準的なELISAによって測定した場合に、プログラニュリン分泌を、0.63nM IgGで対照に対して約1.11倍超増加させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、標準的なELISAによって測定した場合に、プログラニュリン分泌を、0.63nM IgGで対照に対して約1.42倍超増加させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、標準的なELISAによって測定した場合に、プログラニュリン分泌を、50nM IgGで対照に対して約1.75倍超増加させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、標準的なELISAによって測定した場合に、プログラニュリン分泌を、50nM IgGで対照に対して約1.97倍増加させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、標準的なELISAによって測定した場合に、プログラニュリン分泌を、50nM IgGで対照に対して約2.29倍増加させる。
【0294】
例えば、ELISA(例えば、実施例2及び4を参照されたい)による方法を含む、プログラニュリン分泌を測定する様々な方法が当技術分野で公知である。一部の実施形態では、EC50は、ヒトソルチリンを発現する細胞を使用してインビトロで測定される。一部の実施形態では、プログラニュリン分泌は、一価抗体(例えば、Fab)または一価形態の全長抗体を使用して決定される。一部の実施形態では、プログラニュリン分泌は、Fc受容体結合の増強を示す定常領域を含有する抗体を使用して決定される。一部の実施形態では、プログラニュリン分泌は、Fc受容体結合の減少を示す定常領域を含有する抗体を使用して決定される。
【0295】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンのレベルの上昇において、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)と比べて高い有効性を有する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンのレベル(例えば、細胞外レベル)を、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)よりも低いEC50(例えば、インビトロで測定した場合)で上昇させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンのレベル(例えば、細胞外レベル)を、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)よりも少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%上昇させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンのレベル(例えば、細胞外レベル)を、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)よりも約1倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約15倍、少なくとも約17.5倍、少なくとも約20倍、少なくとも約22.5倍、少なくとも約25倍、少なくとも約27.5倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高く上昇させる。
【0296】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンレベルを、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)よりも約1.1倍高く上昇させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンレベルを、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)よりも約1.3倍高く上昇させる。
【0297】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの有効濃度を上昇させる。プログラニュリンの有効濃度は、血漿または脳脊髄液中のプログラニュリンの濃度を指す。一部の実施形態では、プログラニュリンの有効濃度の上昇は、1.5倍超の上昇である。一部の実施形態では、プログラニュリンの有効濃度は、7~28日間にわたって上昇する。
【0298】
ソルチリンと結合パートナーとの間の相互作用の低下
ある特定の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質と、プログラニュリン、プロ-ニューロトロフィン、ニューロトロフィン、プロ-ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-3、プロ-ニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、プロ-神経成長因子(pro-NGF)、神経成長因子(NGF)、プロ-脳由来神経栄養因子(pro-BDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aベータペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9、及び受容体関連タンパク質(RAP)、及び/または天然に存在するバリアントから選択される1つまたは複数のタンパク質との間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。具体的な一実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とプログラニュリンとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。
【0299】
一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質と、プロ-ニューロトロフィン、プロ-ニューロトロフィン-3、プロ-ニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、及びBDNFなどの本開示のニューロトロフィンとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害し得る。他の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とニューロテンシンとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害し得る。他の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とp75との間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。他の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とSort-proとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害し得る。他の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とAPPとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害し得る。他の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、Aベータペプチドの産生を阻害し得る。他の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、PCSK9の輸送及び分泌を阻害し得る。他の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とLpLとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害し得る。他の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とAPOA5との間の相互作用(例えば、結合)を阻害し得る。他の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とAPOEとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害し得る。他の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とRAPとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害し得る。
【0300】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、細胞の表面上に発現される本開示のソルチリンタンパク質に結合し、裸の抗体は、ソルチリンタンパク質と1つまたは複数のソルチリンリガンドとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。一部の実施形態では、本ソルチリンタンパク質に結合する本開示の抗ソルチリン抗体は、細胞表面上または細胞内部のこれらのタンパク質と相互作用するために利用可能なソルチリンの有効なレベルを低下させることによって、ソルチリンタンパク質と1つまたは複数のソルチリンリガンドとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。一部の実施形態では、本ソルチリンタンパク質に結合する本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの分解を誘導することによって、ソルチリンタンパク質と1つまたは複数のソルチリンリガンドとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。
【0301】
A.ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用の減少
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用(例えば、結合)を遮断(例えば、阻害)しながら、プログラニュリンレベルを上昇させる、及び/またはソルチリンの細胞レベルを低下させる。したがって、一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用(例えば、結合)を遮断する。本明細書で使用される場合、抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載か、または当技術分野で公知の任意のインビトロアッセイまたは細胞培養アッセイにおいて、飽和抗体濃度(例えば、0.6nM、0.63nM、1.25nM、50nMまたは150nM)で、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)と比べて、ソルチリンへのプログラニュリン結合を減少させる場合に、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用(例えば、結合)を遮断する。
【0302】
本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへのプログラニュリン結合を、ピコモル範囲の50%効果濃度(EC50)(例えば、インビトロで測定した場合)で減少させ得る。ある特定の実施形態では、抗体のEC50は、約2.2nM未満である。ある特定の実施形態では、抗体のEC50は、約1.22nM未満である。ある特定の実施形態では、抗体のEC50は、約751pM未満である。ある特定の実施形態では、抗体のEC50は、約325pM~約751nMである。ある特定の実施形態では、抗体のEC50は、約405pM~約751nMである。ある特定の実施形態では、抗体のEC50は、約588pM~約751nMである。ある特定の実施形態では、抗体のEC50は、約2.2nM、2.1nM、2.0nM、1.9nM、1.8nM、1.7nM、1.6nM、1.5nM、1.4nM、1.3nM、1.2nM、1.1nM、1.0nM、900pM、800pM、700pM、600pM、500pM、400pM、300pM、200pM、100pM、50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、1pM、または0.5pM未満である。
【0303】
一部の実施形態では、ソルチリンへのプログラニュリン結合を減少させるための抗体のEC50は、約2.2nM、2.1nM、2.0nM、1.9nM、1.8nM、1.7nM、1.6nM、1.5nM、1.4nM、1.3nM、1.2nM、1.1nM、1.0nM、900pM、800pM、700pM、600pM、500pM、475pM、450pM、425pM、400pM、375pM、350pM、325pM、300pM、275pM、250pM、225pM、200pM、175pM、150pM、125pM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、9pM、8pM、7pM、6pM、5pM、4pM、3pM、2pM、1pM、または0.5pM以下である。
【0304】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体のEC50は、約1.22nMである。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体のEC50は、約588pMである。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体のEC50は、約405pMである。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体のEC50は、約325pMである。
【0305】
例えば、フローサイトメトリー(例えば、実施例3を参照されたい)による方法を含む、抗体EC50値を測定する様々な方法が当技術分野で公知である。一部の実施形態では、ソルチリンへのプログラニュリン結合を減少させるためのEC50は、ヒトソルチリンを発現する細胞を使用してインビトロで測定される。一部の実施形態では、EC50は、約4℃の温度で測定される。一部の実施形態では、EC50は、約25℃の温度で測定される。一部の実施形態では、EC50は、約35℃の温度で測定される。一部の実施形態では、EC50は、約37℃の温度で測定される。一部の実施形態では、ソルチリンへのプログラニュリン結合を減少させるためのEC50は、一価抗体(例えば、Fab)または一価形態の全長抗体を使用して決定される。一部の実施形態では、EC50は、Fc受容体結合の増強を示す定常領域を含有する抗体を使用して決定される。一部の実施形態では、ソルチリンへのプログラニュリン結合を減少させるためのEC50は、Fc受容体結合の減少を示す定常領域を含有する抗体を使用して決定される。
【0306】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへのプログラニュリン結合の減少において、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)と比べて高い有効性を有する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへのプログラニュリン結合を、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)よりも低いEC50(例えば、インビトロで測定した場合)で減少させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへのプログラニュリン結合を、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)のEC50よりも少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%低いEC50で減少させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへのプログラニュリン結合を、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)のEC50よりも少なくとも約1倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約15倍、少なくとも約17.5倍、少なくとも約20倍、少なくとも約22.5倍、少なくとも約25倍、少なくとも約27.5倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低いEC50で減少させる。
【0307】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)よりも少なくとも1.3倍低いEC50を有する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)よりも少なくとも1.8倍低いEC50を有する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)よりも少なくとも1.9倍低いEC50を有する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、対照抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体)よりも少なくとも2.3倍低いEC50を有する。
【0308】
本明細書に記載か、または当技術分野で公知の任意のインビトロ細胞アッセイまたは適切なインビボモデルを使用して、ソルチリンと1つまたは複数のソルチリンリガンドとの間の相互作用(例えば、結合)の阻害または減少を測定し得る。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリン発現を減少させることによって(例えば、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させることによって)、ソルチリンと1つまたは複数のソルチリンリガンドとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害する、または減少させる。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載か、または当技術分野で公知の任意のインビトロアッセイまたは細胞培養アッセイを利用すると、飽和抗体濃度で、ソルチリンと1つまたは複数のソルチリンリガンドとの間の相互作用(例えば、結合)を、なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、または少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれ以上阻害する、または減少させる。
【0309】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、フローサイトメトリーによって測定すると、ソルチリンへのプログラニュリン結合を50nM IgGで約90%超、または150nM IgGで約96%超遮断する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、フローサイトメトリーによって測定すると、ソルチリンへのプログラニュリン結合を50nM IgGで約90.74%遮断する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、フローサイトメトリーによって測定すると、ソルチリンへのプログラニュリン結合を150nM IgGで約96.5%遮断する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、フローサイトメトリーによって測定すると、ソルチリンへのプログラニュリン結合を150nM IgGで約96.9%遮断する。
【0310】
炎症誘発性メディエーターの発現の減少
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、細胞で発現されるソルチリンタンパク質への結合後に、炎症誘発性メディエーターの発現を減少させ得る。
【0311】
本明細書で使用される場合、炎症誘発性メディエーターは、炎症応答を誘導する、活性化する、促進する、または別段に減少させる機序において、(例えば、炎症誘発性シグナル伝達経路を介して)直接または間接のいずれかで関与するタンパク質である。炎症誘発性メディエーターを同定し特徴づけるための当技術分野で公知の任意の方法を使用してよい。
【0312】
炎症誘発性メディエーターの例には、限定ではないが、I型及びII型インターフェロン、IL-6、IL12p70、IL12p40、IL-1β、TNF-α、IL-8、CRP、IL-20ファミリーメンバー、IL-33、LIF、OSM、CNTF、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-17、IL-18、及びCRPなどのサイトカインが含まれる。炎症誘発性メディエーターのさらなる例には、限定ではないが、CXCL1、CCL2、CCL3、CCL4、及びCCL5などのケモカインが含まれる。
【0313】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、炎症誘発性メディエーター、IL-6、IL12p70、IL12p40、IL-1β、TNF-α、CXCL1、CCL2、CCL3、CCL4、及びCCL5の機能的発現及び/または分泌を減少させ得る。ある特定の実施形態では、炎症誘発性メディエーターの発現の減少は、マクロファージ、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、T細胞、及び/またはミクログリア細胞で生じる。発現の減少には、限定ではないが、遺伝子発現の減少、転写発現の減少、またはタンパク質発現の減少が含まれ得る。遺伝子、転写物(例えば、mRNA)、及び/またはタンパク質発現を決定するための当技術分野で公知の任意の方法を使用してよい。例えば、ノーザンブロット分析を、炎症誘発性メディエーター遺伝子発現レベルを決定するために使用してよく、RT-PCRを、炎症誘発性メディエーター転写のレベルを決定するために使用してよく、ウエスタンブロット分析を、炎症誘発性メディエータータンパク質レベルを決定するために使用してよい。
【0314】
本明細書で使用される場合、炎症誘発性メディエーターは、本開示のアゴニスト抗ソルチリン抗体などのソルチリン作用物質で処置された対象の1つまたは複数の細胞におけるその発現が、アゴニスト抗ソルチリン抗体で処置されていない対応する対象の1つまたは複数の細胞で発現される同じ炎症誘発性メディエーターの発現よりも多い場合に、発現を減少していた可能性がある。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、対象の1つまたは複数の細胞における炎症誘発性メディエーター発現を、例えば、抗ソルチリン抗体で処置されていない対応する対象の1つまたは複数の細胞における炎症誘発性メディエーター発現と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも160%、少なくとも170%、少なくとも180%、少なくとも190%、または少なくとも200%減少させ得る。他の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、対象の1つまたは複数の細胞における炎症誘発性メディエーター発現を、例えば、抗ソルチリン抗体で処置されていない対応する対象の1つまたは複数の細胞における炎症誘発性メディエーター発現と比較して、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.15倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.25倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.35倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.45倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.55倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4.0倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5.0倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6.0倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7.0倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8.0倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9.0倍、少なくとも9.5倍、または少なくとも10倍減少させ得る。
【0315】
一部の実施形態では、上記実施形態のいずれかによる抗ソルチリン抗体に、下記のセクション1~7に記載のとおりの特徴のいずれかを、単独で、または組み合わせで組み込むことができる。
【0316】
(1)抗ソルチリン抗体結合親和性
本明細書において提供される抗体のいずれかの一部の実施形態では、抗体は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、または<0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(Kd)を有する。
【0317】
本開示の抗ソルチリン抗体は、標的抗原(例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳類ソルチリン)についてナノモルまたはさらにピコモル親和性を有し得る。ある特定の実施形態では、標的抗原(例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳類ソルチリン)についての本開示の抗ソルチリン抗体の結合親和性は、解離定数、KDによって測定される。解離定数は、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、フローサイトメトリー、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、表面プラスモン共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法(例えば、ForteBioによるOctet Systemを参照されたい)、メソスケールディスカバー(例えば、MSD-SETを参照されたい)、等温滴定熱量測定(ITC)、示差走査熱量測定(DSC)、円偏光二色性(CD)、ストップトフロー分析、及び比色分析または蛍光タンパク質融解分析などの任意の生化学的または生物物理学的技術を含む任意の分析技術;または細胞結合アッセイによって決定され得る。一部の実施形態では、ソルチリンについてのKDは、約25℃の温度で決定される。一部の実施形態では、解離定数(KD)は、4℃または室温で、例えば、FACSまたはバイオレイヤー干渉法アッセイを利用して測定され得る。
【0318】
一部の実施形態では、ソルチリンについてのKDは、約4℃の温度で決定される。一部の実施形態では、KDは、一価抗体(例えば、Fab)または一価形態の全長抗体を使用して決定される。一部の実施形態では、KDは、二価抗体及びモノマー組換えソルチリンタンパク質を使用して決定される。
【0319】
ある特定の実施形態では、ヒトソルチリン、哺乳類ソルチリン、または両方についての本開示の抗ソルチリン抗体のKDは、本明細書に記載のとおりのFACSを使用して測定される(例えば、実施例1及び4を参照されたい)。ある特定の実施形態では、ヒトソルチリン、哺乳類ソルチリン、または両方についての本開示の抗ソルチリン抗体のKDは、本明細書に記載のとおりのバイオレイヤー干渉法を使用して測定される(例えば、実施例4を参照されたい)。
【0320】
一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体よりも最高2.5倍低い解離定数(KD)(この場合、KDは、FACSによって決定される)を有する(例えば、実施例1を参照されたい)。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、約1.10E-8M~約4.68E-10Mの範囲(この場合、KDは、FACSによって決定される)(例えば、実施例1を参照されたい)、または約270~約2910pM(この場合、KDは、バイオレイヤー干渉法によって決定される)(例えば、実施例4を参照されたい)の解離定数(KD)を有する。
【0321】
ある特定の実施形態では、ヒトソルチリン、哺乳類ソルチリン、または両方についての本開示の抗ソルチリン抗体のKDは、100nM未満、90nM未満、80nM未満、70nM未満、60nM未満、50nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、10nM未満、9nM未満、8nM未満、7nM未満、6nM未満、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.1nM未満、0.09nM未満、0.08nM未満、0.07nM未満、0.06nM未満、0.05nM未満、0.04nM未満、0.03nM未満、0.02nM未満、0.01nM未満、0.009nM未満、0.008nM未満、0.007nM未満、0.006nM未満、0.005nM未満、0.004nM未満、0.003nM未満、0.002nM未満、0.001nM未満、または0.001nM未満であり得る。
【0322】
ヒトソルチリン、哺乳類ソルチリン、または両方についての抗ソルチリン抗体の解離定数(KD)は、10nM未満、9.5nM未満、9nM未満、8.5nM未満、8nM未満、7.5nM未満、7nM未満、6.9nM未満、6.8nM未満、6.7nM未満、6.6nM未満、6.5nM未満、6.4nM未満、6.3nM未満、6.2nM未満、6.1nM未満、6nM未満、5.5nM未満、5nM未満、4.5nM未満、4nM未満、3.5nM未満、3nM未満、2.5nM未満、2nM未満、1.5nM未満、1nM未満、0.95nM未満、0.9nM未満、0.89nM未満、0.88nM未満、0.87nM未満、0.86nM未満、0.85nM未満、0.84nM未満、0.83nM未満、0.82nM未満、0.81nM未満、0.8nM未満、0.75nM未満、0.7nM未満、0.65nM未満、0.64nM未満、0.63nM未満、0.62nM未満、0.61nM未満、0.6nM未満、0.55nM未満、0.5nM未満、0.45nM未満、0.4nM未満、0.35nM未満、0.3nM未満、0.29nM未満、0.28nM未満、0.27nM未満、0.26nM未満、0.25nM未満、0.24nM未満、0.23nM未満、0.22nM未満、0.21nM未満、0.2nM未満、0.15nM未満、0.1nM、0.09nM未満、0.08nM未満、0.07nM未満、0.06nM未満、0.05nM未満、0.04nM未満、0.03nM未満、0.02nM未満、0.01nM、0.009nM未満、0.008nM未満、0.007nM未満、0.006nM未満、0.005nM未満、0.004nM未満、0.003nM未満、0.002nM未満、または0.001nM未満であり得る。
【0323】
ある特定の実施形態では、ソルチリンについての抗体の解離定数(KD)は、例えば、KDが、FACSによって決定される場合、約0.560nM~約1.63nMである。ある特定の実施形態では、ソルチリンについての抗体の解離定数(KD)は、例えば、KDがバイオレイヤー干渉法によって決定される場合、約0.270nM~約2.910nMである。一部の実施形態では、抗体は、ヒトソルチリン、マウスソルチリン、または両方について、約0.36nM~約0.43nMの範囲、または1.02nM未満である解離定数(KD)を有する。一部の実施形態では、解離定数は、1.02nM未満である。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、0.560nM以下の解離定数を有する。
【0324】
具体的な一実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、約0.560nMの解離定数を有する。具体的な一実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、約0.423nMの解離定数を有する。具体的な一実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、約0.365nMの解離定数を有する。具体的な一実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、約0.344nMの解離定数を有する。具体的な一実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、約0.298nMの解離定数を有する。具体的な一実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、約0.270nMの解離定数を有する。別の具体的な実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、約0.260nMの解離定数を有する。
【0325】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンについて、対照抗ソルチリン抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む対照抗ソルチリン抗体)よりも低い解離定数(KD)を有する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、標的(例えば、ヒトソルチリン)について、対照抗ソルチリン抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む対照抗ソルチリン抗体)の標的についてのKDよりも少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%低いKDを有する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、標的(例えば、ヒトソルチリン)について、対照抗ソルチリン抗体(例えば、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む対照抗ソルチリン抗体)の標的についてのKDよりも少なくとも約1倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約15倍、少なくとも約17.5倍、少なくとも約20倍、少なくとも約22.5倍、少なくとも約25倍、少なくとも約27.5倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約600倍、少なくとも約700倍、少なくとも約800倍、少なくとも約900倍、または少なくとも約1000倍低いKDを有する。
【0326】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体よりも少なくとも100倍低いKDを有する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体よりも少なくとも50倍低いKDを有する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体よりも少なくとも10倍低いKDを有する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体よりも少なくとも5倍低いKDを有する。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体よりも少なくとも2倍低いKDを有する。
【0327】
具体的な一実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体よりも約2.79倍低いKDを有する。別の具体的な実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンについて、S-60に対応する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗ソルチリン抗体よりも約2.05倍低いKDを有する。
【0328】
(2)抗体フラグメント
本明細書において提供される抗体のいずれかの一部の実施形態では、抗体は、抗体フラグメントである。抗体フラグメントには、限定されないが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、及びscFvフラグメント、ならびに下記の他のフラグメントが含まれる。ある特定の抗体フラグメントの概説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。scFvフラグメントの抗体フラグメントの概説については、例えば、WO 93/16185;及び米国特許第5571894号及び同第5587458号を参照されたい。エピトープ残基に結合し、かつインビボ半減期の増大を有するサルベージ受容体を含むFab及びF(ab’)2フラグメントの考察については、米国特許第5869046号を参照されたい。
【0329】
ダイアボディは、二価または二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体フラグメントである。例えば、EP404097;WO1993/01161;Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。三重特異性抗体及び四重特異性抗体も、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)に記載されている。シングルドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部もしくは一部または軽鎖可変ドメインの全部もしくは一部を含む抗体フラグメントである。ある特定の実施形態では、シングルドメイン抗体は、ヒトシングルドメイン抗体(例えば、米国特許第6248516号を参照されたい)である。
【0330】
抗体フラグメントは、限定されないが、インタクトな抗体のタンパク質分解消化、さらには、本明細書に記載のとおりの組換え宿主細胞(例えば、E.coliまたはファージ)による産生を含む様々な技術によって作製することができる。
【0331】
一部の実施形態では、抗体フラグメントを、第2のソルチリン抗体及び/またはアミロイドベータまたはそのフラグメント、Tau、IAPP、アルファ-シヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、膵島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メディン、プロラクチン、トランスチレチン、リゾチーム、ベータ2ミクログロブリン、ゲルソリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、プロリン-アルギニン(PR)リピートペプチド、及びそれらの任意の組み合わせから選択される疾患の原因タンパク質に特異的に結合する1つまたは複数の抗体と組み合わせて使用する。
【0332】
(3)キメラ及びヒト化抗体
本明細書において提供される抗体のいずれかの一部の実施形態では、抗体は、キメラ抗体である。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4816567号に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはサルなどの非ヒト霊長類に由来する可変領域)及びヒト定常領域を含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のクラスから変えられている「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体には、その抗原結合フラグメントが含まれる。
【0333】
本明細書において提供される抗体のいずれかの一部の実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、親の非ヒト抗体の特異性及び親和性は維持しながら、ヒトに対する免疫原性を減少させるためにヒト化される。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、ヒトにおいて実質的に非免疫原性である。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、標的について、ヒト化抗体が由来する別種の抗体と実質的に同じ親和性を有する。例えば、米国特許第5530101号、同第5693761号;同第5693762号;及び同第5585089号を参照されたい。ある特定の実施形態では、抗原結合ドメインの天然親和性を縮小することなく、その免疫原性を減少させながら修飾することができる抗体可変ドメインのアミノ酸が同定されている。例えば、米国特許第5766886号及び同第5869619号を参照されたい。一般に、ヒト化抗体は、HVR(またはその一部)が非ヒト抗体に由来し、かつFR(またはその一部)がヒト抗体配列に由来する1つまたは複数の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は任意選択で、ヒト定常領域の少なくとも一部も含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体中の一部のFR残基は、例えば、抗体特異性または親和性を回復または改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)からの対応する残基で置換されている。
【0334】
ヒト化抗体及びそれらを作製する方法は、例えば、Almagro et al.Front.Biosci.13:161 9-1633(2008)において概説されており、さらに、例えば、米国特許第5821337号、同第7527791号、同第6982321号、及び同第7087409号に記載されている。ヒト化のために使用され得るヒトフレームワーク領域には、限定されないが、「ベストフィット」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい);軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992)及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993)を参照されたい);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照されたい);ならびにスクリーニングFRライブラリに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)を参照されたい)が含まれる。
【0335】
(4)ヒト抗体
本明細書において提供される抗体のいずれかの一部の実施形態では、抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技術を使用して産生することができる。ヒト抗体は、一般的に、van Dijk et al.Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)及びLonberg Curr.Opin.Immunol.20:450-459(2008)に記載されている。
【0336】
ヒト抗体は、抗原曝露に応答してインタクトなヒト抗体またはヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するために修飾されているトランスジェニック動物に抗原を投与することによって調製することができる。マウス抗体産生不全のマウス系統を、そのようなマウスがマウス抗体の非存在下でヒト抗体を産生することを予想して、ヒトIg遺伝子座の大きなフラグメントで操作することができる。大きなヒトIgフラグメントは、大きな可変遺伝子多様性、さらには、抗体産生及び発現の適正な調節を保存し得る。抗体の多様化及び選択のためのマウス機構、ならびにヒトタンパク質に対する免疫学的寛容性の欠如を利用することによって、これらのマウス株で再現されるヒト抗体レパートリーは、ヒト抗原を含む目的の任意の抗原に対する高親和性完全ヒト抗体をもたらし得る。ハイブリドーマ技術を用いて、望ましい特異性を有する抗原特異的ヒトMAbを作製して選択することができる。ある特定の例示的な方法が、米国特許第5545807号、EP546073、及びEP546073に記載されている。例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載する米国特許第6075181号及び同第6150584号;HUMAB(登録商標)技術を記載する米国特許第5770429号;K-M MOUSE(登録商標)技術を記載する米国特許第7041870号、ならびにVELOCIMOUSE(登録商標)技術を記載する米国特許出願公開第2007/0061900号も参照されたい。そのような動物が産生するインタクトな抗体からのヒト可変領域を、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって、さらに修飾してもよい。
【0337】
ヒト抗体は、ハイブリドーマベースの方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が記載されている(例えば、Kozbor J.Immunol.133:3001(1984)及びBoerner et al.J.Immunol.147:86(1991)を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術によって生成されたヒト抗体は、Li et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1 03:3557-3562(2006)にも記載されている。追加の方法には、例えば、米国特許第7189826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の生成を記載)に記載の方法が含まれる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)も、Vollmers et al.Histology and Histopathology 20(3):927-937(2005)及びVollmers et al.Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology 27(3):185-91(2005)に記載されている。ヒト抗体はまた、ヒト由来ファージディスプレイライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって生成してもよい。次いで、そのような可変ドメイン配列を、所望のヒト定常ドメインと組み合わせてもよい。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技術は下に記載する。
【0338】
本明細書において提供される抗体のいずれかの一部の実施形態では、抗体は、インビトロ方法及び/または所望の活性(複数可)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離されたヒト抗体である。適切な例には、限定されないが、ファージディスプレイ(CAT、Morphosys、Dyax、Biosite/Medarex、Xoma、Symphogen、Alexion(以前のProliferon)、Affimed)リボソームディスプレイ(CAT)、酵母ベースのプラットフォーム(Adimab)などが含まれる。ある特定のファージディスプレイ法では、VH及びVL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングし、ファージライブラリにおいて無作為に再び結合し、次いで、これを、Winter et al.Ann.Rev.Immunol.12:433-455(1994)に記載されているとおりに、抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成し、かつそのようなライブラリを、所望の結合特徴を持つ抗体についてスクリーニングするための様々な方法が当技術分野で公知である。Sidhu et al.J.Mol.Biol.338(2):299-310,2004;Lee et al.J.Mol.Biol.340(5):1073-1093,2004;Fellouse Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004);及びLee et al.J.Immunol.Methods 284( -2):1 19-132(2004)も参照されたい。ファージは典型的には、抗体フラグメントを、一本鎖Fv(scFv)フラグメントまたはFabフラグメントのいずれかとして提示する。免疫源からのライブラリは、ハイブリドーマの構築を必要とせずに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。別法では、Griffiths et al.EMBO J.12:725-734(1993)によって記載されているとおり、ナイーブなレパートリーをクローニングして(例えば、ヒトから)、いずれの免疫化も伴うことなく、広範な非自己抗原、さらには自己抗原に対する抗体の単一の源を得ることができる。最後に、Hoogenboom et al.J.Mol.Biol.,227:381-388、1992に記載されているとおり、ナイーブなライブラリを、幹細胞からの非再編成V遺伝子セグメントをクローニングし、かつ無作為配列を含むPCRプライマーを使用して、高可変HVR3領域をコードし、かつインビトロで再編成を達成することによって、合成によって作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリについて記載している特許公報には、例えば:米国特許第5750373号、及び米国特許出願公開第2007/0292936号及び同第2009/0002360号が含まれる。ヒト抗体ライブラリから単離された抗体は、本明細書では、ヒト抗体またはヒト抗体フラグメントとみなされる。
【0339】
(5)Fc領域を含む定常領域
本明細書において提供される抗体のいずれかの一部の実施形態では、抗体は、Fcを含む。一部の実施形態では、Fcは、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及び/またはIgG4アイソタイプである。一部の実施形態では、抗体は、IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスのものである。
【0340】
本明細書において提供される抗体のいずれかのある特定の実施形態では、抗体は、IgG2アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗体は、ヒトIgG2定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG2定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、Fc受容体への結合とは関係なく、1つまたは複数のソルチリン活性を誘導する。一部の実施形態では、抗体は、阻害性Fc受容体に結合する。ある特定の実施形態では、阻害性Fc受容体は、阻害性Fc-ガンマ受容体IIB(FcγRIIB)である。
【0341】
本明細書において提供される抗体のいずれかのある特定の実施形態では、抗体は、IgG1アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗体は、マウスIgG1定常領域を含有する。一部の実施形態では、抗体は、ヒトIgG1定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG1定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、阻害性Fc受容体に結合する。ある特定の実施形態では、阻害性Fc受容体は、阻害性Fc-ガンマ受容体IIB(FcγRIIB)である。
【0342】
本明細書において提供される抗体のいずれかのある特定の実施形態では、抗体は、IgG4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗体は、ヒトIgG4定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG4定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、阻害性Fc受容体に結合する。ある特定の実施形態では、阻害性Fc受容体は、阻害性Fc-ガンマ受容体IIB(FcγRIIB)である。
【0343】
本明細書において提供される抗体のいずれかのある特定の実施形態では、抗体は、ハイブリッドIgG2/4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗体は、ヒトIgG2のEUナンバリングによるアミノ酸118~260、及びヒトIgG4のEUのナンバリングによるアミノ酸261~447を含むアミノ酸配列を含む(WO1997/11971;WO2007/106585)。
【0344】
一部の実施形態では、Fc領域は、アミノ酸置換を含まないFc領域を含む対応する抗体と比較して、補体を活性化させずに、クラスタリングを増加させる。一部の実施形態では、抗体は、抗体が特異的に結合する標的の1つまたは複数の活性を誘導する。一部の実施形態では、抗体は、ソルチリンに結合する。
【0345】
エフェクター機能を修飾する、及び/または抗体の血清半減期を増加させるために、本開示の抗ソルチリン抗体を修飾することがさらに望ましいことがある。例えば、定常領域上のFc受容体結合部位は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を減少させるために、FcγRI、FcγRII、及び/またはFcγRIIIなどの特定のFc受容体に対する結合親和性を除去する、または減少させるように修飾され、または変異してもよい。一部の実施形態では、エフェクター機能は、抗体の(例えば、IgGのCH2ドメインの)Fc領域のN-グリコシル化を除去することによって損なわれる。一部の実施形態では、エフェクター機能は、WO99/58572及びArmour et al.,Molecular Immunology 40:585-593(2003);Reddy et al.,J.Immunology 164:1925-1933(2000)に記載されているとおり、ヒトIgGの233~236、297、及び/または327~331などの領域を修飾することによって損なわれる。他の実施形態では、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害及び抗体依存性細胞貪食を含む体液性応答を活性化することなく、隣接細胞上のソルチリン抗体のクラスター化を増加させるための、ITIM含有FcgRIIb(CD32b)に対する選択性の発見を増加させるために、エフェクター機能を修飾するように本開示の抗ソルチリン抗体を修飾することが望ましくあり得る。
【0346】
抗体の血清半減期を増加させるために、例えば、米国特許第5,739,277号に記載されているとおり、サルベージ受容体結合エピトープを、抗体(特に、抗体フラグメント)に取り込むことがある。本明細書で使用される場合、「サルベージ受容体結合エピトープ」という用語は、IgG分子のインビボ血清半減期の増加を担う、IgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)のFc領域のエピトープを指す。他のアミノ酸配列修飾。
【0347】
(6)多重特異性抗体
同じまたは別のポリペプチド(例えば、本開示の1つまたは複数のソルチリンポリペプチド)上のものを含む、少なくとも2つの異なるエピトープについて結合特性を有する抗体は、多重特異性である。一部の実施形態では、多重特異性抗体は、二重特異性抗体であり得る。一部の実施形態では、多重特異性抗体は、三重特異性抗体であり得る。一部の実施形態では、多重特異性抗体は、四重特異性抗体であり得る。そのような抗体は、全長抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)に由来し得る。一部の実施形態では、多重特異性抗体は、ソルチリン上の第1の部位に結合する第1の抗原結合領域を含み、かつソルチリン上の第2の部位に結合する第2の抗原結合領域を含む。一部の実施形態では、多重特異性抗体は、ソルチリンに結合する第1の抗原結合領域及び第2のポリペプチドに結合する第2の抗原結合領域を含む。
【0348】
本明細書に記載の抗体の6つのHVRを含み、ソルチリンに結合する第1の抗原結合領域と、第2のポリペプチドに結合する第2の抗原結合領域を含む多重特異性抗体を本明細書では提供する。一部の実施形態では、第1の抗原結合領域は、本明細書に記載の抗体のVHまたはVLを含む。
【0349】
多重特異性抗体のいずれかの一部の実施形態では、第2のポリペプチドは、(a)血液脳関門を通過する輸送を促進する抗原;(b)トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR-1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマ単一ドメイン抗体、TMEM 30(A)、タンパク質形質導入ドメイン、TAT、Syn-B、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチド、アンギオペップペプチド、ならびにANG1005から選択される血液脳関門を通過する輸送を促進する抗原;(c)アミロイドベータ、オリゴマーアミロイドベータ、アミロイドベータ斑、アミロイド前駆体タンパク質またはそのフラグメント、Tau、IAPP、アルファ-シヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、C9orf72(染色体9オープンリーディングフレーム72)、c9RANタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、アタキシン1、アタキシン2、アタキシン3、アタキシン7、アタキシン8、アタキシン10、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、膵島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メディン、プロラクチン、トランスチレチン、リゾチーム、ベータ2ミクログロブリン、ゲルソリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、ユビキチン、及びプロリン-アルギニン(PR)リピートペプチドから選択される病原タンパク質;(d)免疫細胞上に発現されるリガンド及び/またはタンパク質(リガンド及び/またはタンパク質は、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-1BB、CD27、GITR、PD-L1、CTLA-4、PD-L2、PD-1、B7-H3、B7-H4、HVEM、BTLA、KIR、GAL9、TIM3、A2AR、LAG-3、及びホスファチジルセリンからなる群から選択される);及び/または(e)1つまたは複数の腫瘍細胞上に発現されるタンパク質、脂質、多糖、または糖脂質及びそれらの任意の組み合わせである。
【0350】
血液脳関門を通過する輸送を促進する多数の抗原は、当技術分野で公知である(例えば、Gabathuler R.,Neurobiol.Dis.37:48-57(2010)を参照されたい)。そのような第2の抗原には、限定ではないが、トランスフェリン受容体(TR);インスリン受容体(HIR);インスリン様成長因子受容体(IGFR);低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR-1及び2);CRM197(ジフテリア毒素の無毒性変異体)を含むジフテリア毒素受容体;TMEM30(A)(Flippase)などのラマ単一ドメイン抗体;TAT、Syn-B、またはペネトラチンなどのタンパク質形質導入ドメイン;ポリアルギニンまたは一般的に正電荷を有するペプチド;ANG1005(例えば、Gabathuler、2010を参照されたい)などのアンギオペップペプチド、ならびに血液脳関門内皮細胞上に豊富にある他の細胞表面タンパク質(例えば、Daneman et al.,PLoS One 5(10):e13741(2010)を参照されたい)が含まれる。
【0351】
多価抗体は、ソルチリン抗原、さらには、限定ではないが、追加の抗原Aβペプチド抗原またはα-シヌクレインタンパク質抗原、またはTauタンパク質抗原、またはTDP-43タンパク質抗原;またはプリオンタンパク質抗原;またはハンチンチンタンパク質抗原;またはRAN;グリシン-アラニン(GA)、グリシン-プロリン(GP)、グリシン-アルギニン(GR)、プロリン-アラニン(PA)、もしくはプロリン-アルギニン(PR)から構成されるジペプチドリピートを含む翻訳産物抗原(DPRペプチド)、インスリン受容体、インスリン様成長因子受容体を認識し得る。血液脳関門を通過する抗体移動を促進する、トランスフェリン受容体または他の任意の抗原。一部の実施形態では、第2のポリペプチドは、トランスフェリンである。一部の実施形態では、第2のポリペプチドは、Tauである。一部の実施形態では、第2のポリペプチドは、Aβである。一部の実施形態では、第2のポリペプチドは、TREM2である。一部の実施形態では、第2のポリペプチドは、α-シヌクレインである。
【0352】
多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(好ましくは、2つのポリペプチド鎖)を含有し、ポリペプチド鎖(複数可)は、2つ以上の可変ドメインを含む。例えば、ポリペプチド鎖(複数可)は、VD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fcを含んでもよく、ここで、VD1は、第1の可変ドメインであり、VD2は、第2の可変ドメインであり、Fcは、Fc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1及びX2は、アミノ酸またはポリペプチドを表し、nは、0または1である。同様に、ポリペプチド鎖(複数可)は、VH-CH1-柔軟なリンカー-VH-CH1-Fc領域鎖;またはVH-CH1-VH-CH1-Fc領域鎖を含んでもよい。本明細書の多価抗体は好ましくは、少なくとも2つの(好ましくは、4つの)軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに含む。本明細書の多価抗体は、例えば、約2つから約8つの軽鎖可変ドメインポリペプチドを含んでもよい。本明細書で企図される軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含み、任意選択で、CLドメインをさらに含む。
【0353】
多重特異性抗体を作製する技術には、限定されないが、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え同時発現(Milstein and Cuello Nature 305:537(1983)、WO 93/08829、及びTraunecker et al.EMBO J.10:3655(1991)を参照されたい)、及び「ノブ-イン-ホール」操作(例えば、米国特許第5731168号を参照されたい)が含まれる。WO2013/026833(CrossMab)も参照されたい。多重特異性抗体はまた、静電ステアリングエフェクトを操作して抗体Fc-ヘテロダイマー分子を作製すること(WO2009/089004A1);2つ以上の抗体を架橋すること(例えば、米国特許第4676980号を参照されたい);ロイシンを使用すること;「ダイアボディ」技術を使用して二重特異性抗体フラグメントを作製すること(例えば、Hollinger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)を参照されたい);及び一本鎖Fv(scFv)ダイマーを使用すること(例えば、Gruber et al.J.Immunol.152:5368(1994)を参照されたい);及び例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載のとおりに三重特異性抗体を調製することによって作製され得る。
【0354】
「オクトパス抗体」を含む3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作抗体も、本明細書に含まれる(例えば、US2006/0025576を参照されたい)。本明細書の抗体には、複数のソルチリンに結合する抗原結合部位を含む「二重作用性(Dual Acting)FAb」または「DAF」も含まれる(例えば、US2008/0069820を参照されたい)。
【0355】
(7)安定性が改善された抗体
製造、貯蔵、及びインビボ投与における安定性を改善するための本開示の抗ソルチリン抗体、またはその抗体フラグメントのアミノ酸配列修飾も企図される。例えば、限定ではないが、酸化及び脱アミドを含む複数の経路による本開示の抗体または抗体フラグメントの分解を減少することが、望ましいことがある。抗体または抗体フラグメントのアミノ酸配列バリアントは、抗体または抗体フラグメントをコードする核酸に、適切なヌクレオチド変化を導入することによって、またはペプチド合成によって調製される。そのような修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列からの残基の欠失、及び/またはそこへの残基の挿入、及び/またはその中での残基の置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせが、最終構築物に到達するために行われる。ただし、最終構築物は、所望の特徴(すなわち、分解感受性の減少)を有する。
【0356】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体のHVR-L1領域中のアスパラギン(N33)部位は、脱アミドによる分解に対して感受性があり得る。ある特定の実施形態では、S-60-15(配列番号8)のHVR-L1領域中のアスパラギン(N33)部位は、脱アミドに対して感受性があり得る。脱アミドされると、S-60-15のHVR-L1領域中のアスパラギン(N33)部位は、AsnからAsp/IsoAspへの変化を生じる。ある特定の実施形態では、S-60-15のHVR-L1領域中のアスパラギン(N33)部位は、脱アミドを防止または減少させるために、置換されていてもよい。S-60-15のHVR-L1領域中のアスパラギン(N33)部位にアミノ酸置換を有するS-60-15の非限定的な例示的アミノ酸配列バリアントには、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、またはS-60-15.17[N33L]が含まれる。
【0357】
(8)抗体バリアント
本明細書において提供される抗体のいずれかの一部の実施形態では、抗体のアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することが望ましいことがある。
【0358】
(i)置換、挿入、及び欠失バリアント
本明細書において提供される抗体のいずれかの一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換を有する抗体バリアントを提供する。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することによって、またはペプチド合成によって調製され得る。そのような修飾には、例えば、抗体のアミノ酸配列からの残基の欠失、そこへの残基の挿入、及び/またはその中での残基の置換が含まれる。表37:アミノ酸置換
【0359】
抗体の生物学的特性における実質的な修飾は、(a)例えば、シートもしくはヘリックスコンフォメーションとしての、置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖のかさ高さ、を維持することに及ぼす影響が著しく異なる置換を選択することによって達成される。天然に存在する残基は、一般的な側鎖特性に基づき、グループに分けられる。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro;及び
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0360】
例えば、非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを、別のクラスのメンバーに置き換えることを伴う。このような置換残基を、非ヒト抗体と相同であるヒト抗体の領域に導入してもよいし、または分子の非相同領域に導入してもよい。
【0361】
本明細書に記載のポリペプチドまたは抗体に対する変化の作成では、ある特定の実施形態によると、アミノ酸の疎水性親水性指標(hydropathic index)を考慮することができる。各アミノ酸には、その疎水性及び荷電の特徴に基づいて疎水性親水性指標が割り当てられている。この疎水性親水性指標は、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);トレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタミン酸(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸(-3.5);アスパラギン(-3.5);リシン(-3.9);及びアルギニン(-4.5)である。
【0362】
タンパク質に対する相互作用的な生物学的機能の付与におけるアミノ酸の疎水性親水性指標の重要性は、当技術分野で理解されている。Kyte et al.J.Mol.Biol.,157:105-131(1982)。ある特定のアミノ酸は、類似の疎水性親水性指標またはスコアを有する他のアミノ酸によって置換することができ、置換されても類似の生物学的活性を維持することは公知である。疎水性親水性指標に基づいた変化の作成では、ある特定の実施形態では、疎水性親水性指標が±2の範囲内であるアミノ酸の置換が含まれる。ある特定の実施形態では、疎水性親水性指標が±1の範囲内であるアミノ酸の置換が含まれ、ある特定の実施形態では、疎水性親水性指標が±0.5の範囲内である置換が含まれる。
【0363】
特に、同様のアミノ酸の置換によって作製される生物学的に機能的なタンパク質またはペプチドが、本明細書においてのとおり、免疫学的な実施形態で使用されることが意図される場合、同様のアミノ酸の置換を親水性に基づいて効果的に行うことができることも当技術分野で理解されている。ある特定の実施形態では、あるタンパク質の最大の局所平均親水性(その隣接するアミノ酸の親水性によって支配される)は、このタンパク質の免疫原性及び抗原性、すなわちそのタンパク質の生物学的特性に相関する。
【0364】
次の親水性値が、これらのアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リシン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5)、及びトリプトファン(-3.4)。同様の親水性値に基づいた変化の作成では、ある特定の実施形態では、親水性値が±2の範囲内であるアミノ酸の置換が含まれ、ある特定の実施形態では、親水性値が±1の範囲内であるアミノ酸の置換が含まれ、ある特定の実施形態では、親水性値が±0.5の範囲内であるアミノ酸の置換が含まれる。また、親水性に基づいて一次アミノ酸配列からエピトープを同定することもできる。これらの領域はまた、「エピトープコア領域」とも呼ばれる。
【0365】
ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、そのような改変が、抗原に結合する抗体の能力を実質的に減少させない限り、1つまたは複数のHVR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に減少させない保存的改変(例えば、本明細書において提供するとおりの保存的置換)は、HVR中にあってよい。そのような改変は、例えば、HVRの抗原接触残基の外側にあってよい。上記で提供されているバリアントVH及びVL配列のある特定の実施形態では、各HVRは改変されていないか、または1個、2個または3個以下のアミノ酸置換を含有する。
【0366】
アミノ酸配列挿入は、長さが1残基~100以上の残基を含有するポリペプチドの範囲のアミノ末端融合及び/またはカルボキシル末端融合、ならびに、単一または複数のアミノ酸残基の配列間挿入を含む。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入バリアントには、抗体の血清半減期を増加させる酵素(例えば、ADEPT用)またはポリペプチドに対する抗体のN末端またはC末端への融合が含まれる。
【0367】
抗体の適切なコンフォメーションを維持することに関与しない任意のシステイン残基はまた、分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋を防止するために、一般にセリンで置換されてもよい。逆に、システイン結合(複数可)は、(特に抗体がFvフラグメントなどの抗体フラグメントである場合)その安定性を改善するために抗体に添加されてもよい。
【0368】
(ii)グリコシル化バリアント
本明細書において提供される抗体のいずれかの一部の実施形態では、抗体を、抗体がグリコシル化される程度を増加または減少させるように改変する。抗体へのグリコシル化部位の付加または欠失は、1つまたは複数のグリコシル化部位が作成または除去されるようにアミノ酸配列を改変することによって好都合に達成され得る。
【0369】
抗体のグリコシル化は典型的には、N結合型またはO結合型のいずれかである。N結合型は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付加を指す。トリペプチド配列アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-トレオニン(Xはプロリンを除く任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的付加のための認識配列である。したがって、ポリペプチドのこれらのトリペプチド配列のいずれかが存在すると、潜在的なグリコシル化部位が作製される。O結合型グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはトレオニンへの糖N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つの付加を指すが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリシンも使用され得る。
【0370】
抗体へのグリコシル化部位の付加は、抗体が、上記のトリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含有するように、アミノ酸配列を改変することによって、都合よく達成される(N結合型グリコシル化部位)。改変はまた、元の抗体の配列に、1つまたは複数のセリンまたはトレオニン残基を付加することによって、またはこれらによって置換することによって、行われ得る(O結合型グリコシル化部位)。
【0371】
抗体がFc領域を含む場合、それに結合している炭水化物を改変してもよい。哺乳類細胞によって産生される天然の抗体は典型的には、N型結合によりFc領域のCH2ドメインのAsn297(Kabatナンバリングによる)と結合した分岐型の二分岐オリゴ糖(branched,biantennary oligosaccharide)を含む。オリゴ糖は、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース及びシアル酸、さらには二分岐オリゴ糖構造の「基部(stem)」においてGlcNAcと結合したフコースを含むことができる。一部の実施形態では、本発明の抗体におけるオリゴ糖の修飾は、ある特定の改善された特性を有する抗体バリアントを生成するように作成され得る。
【0372】
一実施形態では、Fc領域と結合した(直接的または間接的に)フコースを欠く炭水化物構造を有する抗体バリアントを提供する。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号及び同第2004/0093621号を参照されたい。「脱フコシル化」または「フコース欠失」抗体バリアントに関連する刊行物の例には、US2003/0157108;US2003/0115614;US2002/0164328;US2004/0093621;US2004/0132140;US2004/0110704;US2004/0110282;US2004/0109865;Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004);Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)が含まれる。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例には、タンパク質フコシル化を欠失したLed 3 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986);US2003/0157108)、及びアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞などのノックアウト細胞株(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)及びKanda et al.Biotechnol.Bioeng.94(4):680-688(2006)を参照されたい)。
【0373】
(iii)修飾定常領域
本明細書において提供される抗体のいずれかの一部の実施形態では、抗体Fcは、抗体Fcアイソタイプ及び/または修飾形態である。一部の実施形態では、抗体Fcアイソタイプ及び/または修飾形態は、Fcガンマ受容体に結合することができる。
【0374】
本明細書において提供される抗体のいずれかの一部の実施形態では、修飾抗体Fcは、IgG1修飾Fcである。一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、1つまたは複数の修飾を含む。例えば、一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域に対して)を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換は、N297A(Bolt S et al.(1993)Eur J Immunol 23:403-411)、D265A(Shields et al.(2001)R.J.Biol.Chem.276,6591-6604)、L234A、L235A(Hutchins et al.(1995)Proc Natl Acad Sci USA,92:11980-11984;Alegre et al.,(1994)Transplantation 57:1537-1543.31;Xu et al.,(2000)Cell Immunol,200:16-26)、G237A(Alegre et al.(1994)Transplantation 57:1537-1543.31;Xu et al.(2000)Cell Immunol、200:16-26)、C226S、C229S、E233P、L234V、L234F、L235E(McEarchern et al.,(2007)Blood,109:1185-1192)、P331S(Sazinsky et al.,(2008)Proc Natl Acad Sci USA 2008,105:20167-20172)、S267E、L328F、A330L、M252Y、S254T、及び/またはT256Eから選択され、アミノ酸位置は、EUナンバリング規則による。本明細書において提供される抗体のいずれかの一部の実施形態では、抗体は、IgG1アイソタイプであり、Fc領域は、L234A、L235A、及びP331S位にアミノ酸置換を含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリング規則による。
【0375】
IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるN297A変異を含む。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるD265A及びN297A変異を含む。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるD270A変異を含む。一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、EUナンバリングによるL234A及びL235A変異を含む。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるL234A及びG237A変異を含む。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるL234A、L235A及びG237A変異を含む。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるP238D、L328E、E233、G237D、H268D、P271G及びA330R変異のうちの1つ以上(すべてを含む)を含む。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるS267E/L328F変異のうちの1つまたは複数を含む。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるP238D、L328E、E233D、G237D、H268D、P271G及びA330R変異を含む。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるP238D、L328E、G237D、H268D、P271G及びA330R変異を含む。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるP238D、S267E、L328E、E233D、G237D、H268D、P271G及びA330R変異を含む。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるP238D、S267E、L328E、G237D、H268D、P271G及びA330R変異を含む。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるC226S、C229S、E233P、L234V、及びL235A変異を含む。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるL234F、L235E、及びP331S変異を含む。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるS267E及びL328F変異を含む。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるS267E変異を含む。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、カッパ軽鎖を有するIgG2の定常重1(CH1)及びヒンジ領域(EUナンバリングによるIgG2のアミノ酸118~230)での、IgG1のCH1及びヒンジ領域の置換を含む。
【0376】
IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、2つ以上のアミノ酸置換を含まないFc領域を有する対応する抗体と比較して、補体を活性化させることなく、抗体クラスタリングを増加させる2つ以上のアミノ酸置換を含む。したがって、IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、Fc領域を含む抗体であり、その際、抗体は、アミノ酸置換をE430G位で、ならびに1つまたは複数のアミノ酸置換をFc領域に、EUナンバリングによるL234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331S、及びそれらの任意の組み合わせから選択される残基位置で含む。一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G、L243A、L235A、及びP331S位で含む。一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G及びP331S位で含む。一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G及びK322A位で含む。一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G、A330S、及びP331S位で含む。一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G、K322A、A330S、及びP331S位で含む。一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G、K322A、及びA330S位で含む。一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G、K322A、及びP331S位で含む。
【0377】
IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、IgG1修飾Fcはさらに、補体活性化を排除するために、EUナンバリング規則によるA330L変異(Lazar et al.,(2006)Proc Natl Acad Sci USA,103:4005-4010(2006))、またはL234F、L235E、及び/またはP331S変異(Sazinsky et al.,(2008)Proc Natl Acad Sci USA,105:20167-20172)のうちの1つまたは複数を含んでもよい。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、IgG1修飾Fcはさらに、EUナンバリングによるA330L、A330S、L234F、L235E、及び/またはP331Sのうちの1つまたは複数を含んでもよい。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、ヒト血清中での抗体半減期を増強する1つまたは複数の変異(例えば、EUナンバリング規則によるM252Y、S254T、及びT256E変異のうちの1つまたは複数(すべてを含む))を含んでもよい。IgG1修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、IgG1修飾Fcはさらに、EUナンバリングによるE430G、E430S、E430F、E430T、E345K、E345Q、E345R、E345Y、S440Y、及び/またはS440Wのうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0378】
本開示の他の態様は、修飾定常領域(すなわち、Fc領域)を有する抗体に関する。標的受容体を活性化するFcgR受容体への結合に依存する抗体は、FcgR結合を排除するように操作された場合、そのアゴニスト活性を失うことがある(例えば、Wilson et al.Cancer Cell 19:101-113(2011);Armour at al.Immunology 40:585-593(2003);及びWhite et al.Cancer Cell 27:138-148(2015)を参照されたい)。したがって、適切なエピトープ特異性を有する本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体がヒトIgG2アイソタイプ(CH1及びヒンジ領域)由来のFcドメイン、もしくは阻害性FcgRIIB受容体に優先的に結合することができる別の種類のFcドメイン、またはそれらの変形形態を有する時、標的抗原を最小限の有害作用で活性化することができると考えられる。
【0379】
本明細書において提供される抗体のいずれかの一部の実施形態では、修飾抗体Fcは、IgG2修飾Fcである。一部の実施形態では、IgG2修飾Fcは、1つまたは複数の修飾を含む。例えば、一部の実施形態では、IgG2修飾Fcは、1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域に対して)を含む。IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換は、EUナンバリング規則によるV234A(Alegre et al.Transplantation 57:1537-1543(1994);Xu et al.Cell Immunol、200:16-26(2000));G237A(Cole et al.Transplantation,68:563-571(1999));H268Q、V309L、A330S、P331S(US 2007/0148167;Armour et al.Eur J Immunol 29:2613-2624(1999);Armour et al.The Haematology Journal 1(Suppl.1):27(2000);Armour et al.The Haematology Journal 1(Suppl.1):27(2000))、C219S、及び/またはC220S(White et al.Cancer Cell 27,138-148(2015));S267E、L328F(Chu et al.Mol Immunol、45:3926-3933(2008));及びM252Y、S254T、及び/またはT256Eから選択される。IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるV234A及びG237A位で含む。IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるC219SまたはC220S位で含む。IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるA330S及びP331S位で含む。IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるS267E及びL328F位で含む。
【0380】
IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリング規則によるC127Sアミノ酸置換を含む(White et al.,(2015)Cancer Cell 27,138-148;Lightle et al.Protein Sci.19:753-762(2010);及びWO2008/079246)。IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、抗体は、EUナンバリング規則によるC214Sアミノ酸置換を含むカッパ軽鎖定常ドメインを有するIgG2アイソタイプを有する(White et al.Cancer Cell 27:138-148(2015);Lightle et al.Protein Sci.19:753-762(2010);及びWO2008/079246)。
【0381】
IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリング規則によるC220Sアミノ酸置換を含む。IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、抗体は、EUナンバリング規則によるC214Sアミノ酸置換を含むカッパ軽鎖定常ドメインを有するIgG2アイソタイプを有する。
【0382】
IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリング規則によるC219Sアミノ酸置換を含む。IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、抗体は、EUナンバリング規則によるC214Sアミノ酸置換を含むカッパ軽鎖定常ドメインを含むIgG2アイソタイプを有する。
【0383】
IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、IgG2アイソタイプ重鎖定常ドメイン1(CH1)及びヒンジ領域を含む(White et al.Cancer Cell 27:138-148(2015))。IgG2修飾Fcのいずれかのある特定の実施形態では、IgG2アイソタイプCH1及びヒンジ領域は、EUナンバリングによる118~230のアミノ酸配列を含む。IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、抗体Fc領域は、EUナンバリング規則によるS267Eアミノ酸置換、L328Fアミノ酸置換、または両方、及び/またはN297AまたはN297Qアミノ酸置換を含む。
【0384】
IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcはさらに、1つまたは複数のアミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G、E430S、E430F、E430T、E345K、E345Q、E345R、E345Y、S440Y、及びS440W位で含む。IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcはさらに、ヒト血漿中の抗体半減期を増強するための1つまたは複数の変異(例えば、EUナンバリング規則によるM252Y、S254T、及びT256E変異の1つまたは複数(すべてを含む))を含んでもよい。IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcはさらに、A330S及びP331Sを含んでもよい。
【0385】
IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、IgG2/4ハイブリッドFcである。一部の実施形態では、IgG2/4ハイブリッドFcは、IgG2 aa118~260及びIgG4 aa261~447を含む。IgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、1つまたは複数のアミノ酸置換を、EUナンバリングによるH268Q、V309L、A330S、及びP331S位で含む。
【0386】
IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるA330L、L234F;L235E、またはP331S;及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つまたは複数の追加のアミノ酸置換を含む。
【0387】
IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかのある特定の実施形態では、Fcは、1つまたは複数のアミノ酸置換を、EUナンバリングによるC127S、L234A、L234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331S、E345R、E430G、S440Y、及びそれらの任意の組み合わせから選択される残基位置で含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G、L243A、L235A、及びP331S位で含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G及びP331S位で含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G及びK322A位で含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G、A330S、及びP331S位で含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G、K322A、A330S、及びP331S位で含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G、K322A、及びA330S位で含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G、K322A、及びP331S位で含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるS267E及びL328F位で含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるC127S位で含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE345R、E430G及びS440Y位で含む。
【0388】
本明細書において提供される抗体のいずれかの一部の実施形態では、修飾抗体Fcは、IgG4修飾Fcである。一部の実施形態では、IgG4修飾Fcは、1つまたは複数の修飾を含む。例えば、一部の実施形態では、IgG4修飾Fcは、1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域に対して)を含む。IgG4修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換は、EUナンバリング規則によるL235A、G237A、S229P、L236E(Reddy et al.J Immunol 164:1925-1933(2000))、S267E、E318A、L328F、M252Y、S254T、及び/またはT256Eから選択される。IgG4修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcはさらに、EUナンバリング規則によるL235A、G237A、及びE318Aを含んでもよい。IgG4修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcはさらに、EUナンバリング規則によるS228P及びL235Eを含んでもよい。IgG4修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、IgG4修飾Fcはさらに、EUナンバリング規則によるS267E及びL328Fを含んでもよい。
【0389】
IgG4修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、IgG4修飾Fcは、抗体の安定性を増強するために、EUナンバリング規則によるS228P変異(Angal et al.,(1993)Mol Immunol,30:105-108)、及び/またはPeters et al.,(2012)J Biol Chem.13;287(29):24525-33に記載されている1つまたは複数の変異を含む。
【0390】
IgG4修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、IgG4修飾Fcはさらに、ヒト血清中での抗体半減期を増強するための1つまたは複数の変異(例えば、EUナンバリング規則によるM252Y、S254T、及びT256E変異のうちの1つまたは複数(すべてを含む))を含んでもよい。
【0391】
IgG4修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるL235Eを含む。IgG4修飾Fcのいずれかのある特定の実施形態では、Fcは、1つまたは複数のアミノ酸置換を、EUナンバリングによるC127S、F234A、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、E345R、E430G、S440Y、及びそれらの任意の組み合わせから選択される残基位置で含む。IgG4修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G、L243A、L235A、及びP331S位で含む。IgG4修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G及びP331S位で含む。IgG4修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G及びK322A位で含む。IgG4修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430位で含む。IgG4修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fc領域は、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE430G及びK322A位で含む。IgG4修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるS267E及びL328F位で含む。IgG4修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるC127S位で含む。IgG4修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、アミノ酸置換を、EUナンバリングによるE345R、E430G及びS440Y位で含む。
【0392】
(9)他の抗体修飾
抗体のいずれかの一部の実施形態では、抗体は、誘導体である。用語「誘導体」は、アミノ酸(または核酸)の挿入、欠失、または置換以外の化学的修飾を含む分子を指す。ある特定の実施形態では、誘導体は、限定されないが、ポリマー、脂質、または他の有機もしくは無機部分との化学結合を含む、共有結合修飾を含む。ある特定の実施形態では、化学的に修飾された抗原結合タンパク質は、化学的に修飾されていない抗原結合タンパク質よりも優れた循環半減期を有し得る。ある特定の実施形態では、化学的に修飾された抗原結合タンパク質は、所望の細胞、組織、及び/または器官について改善された標的能力を有し得る。一部の実施形態では、誘導抗原結合タンパク質は、限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールを含む、1つまたは複数の水溶性ポリマーの付加を含むように、共有結合修飾される。例えば、米国特許第4640835号、同第4496689号、同第4301144号、同第4670417号、同第4791192号及び同第41793374号を参照されたい。ある特定の実施形態では、誘導抗原結合タンパク質は、限定されないが、モノメトキシ-ポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、ポリ-(N-ビニルピロリドン)-ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコ-ポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)及びポリビニルアルコール、ならびにこのようなポリマーの混合物を含む1つまたは複数のポリマーを含む。
【0393】
ある特定の実施形態では、誘導体は、ポリエチレングリコール(PEG)サブユニットで共有結合修飾される。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の水溶性ポリマーは、誘導体の1つまたは複数の特異的位置、例えば、アミノ末端で結合される。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の水溶性ポリマーは、誘導体の1つまたは複数の側鎖に無作為に結合される。ある特定の実施形態では、PEGを使用して、抗原結合タンパク質の治療能力を改善する。ある特定の実施形態では、PEGを使用して、ヒト化抗体の治療能力を改善する。ある特定のこのような方法は、例えば、米国特許第6,133,426号に説明され、これは、あらゆる目的についても、参照により本明細書に援用される。
【0394】
ペプチド類似体は、テンプレートペプチドのものに類似の特性を有する非ペプチド薬として、製薬業界で広く使用されている。これらの種類の非ペプチド化合物は、「ペプチド模倣体」または「ペプチド模倣物質」と称される。Fauchere,J.,Adv.Drug Res.,15:29(1986)、及びEvans et al.,J.Med.Chem.,30:1229(1987)、これらは、あらゆる目的について参照により本明細書に援用される。このような化合物は、多くの場合に、コンピュータによる分子モデリングを活用して開発される。治療的に有用なペプチドと構造的に類似するペプチド模倣体を使用して、類似の治療的または予防的効果を得ることができる。一般に、ペプチド模倣物質は、ヒト抗体などのパラダイムポリペプチド(すなわち、生化学的特性または薬理学的活性を有するポリペプチド)に構造的に類似であるが、当技術分野で周知の方法によって、-CH2NH-、-CH2S-、-CH2-CH2-、-CH=CH-(cis及びtrans)、-COCH2-、-CH(OH)CH2-、及び-CH2SO-から選択される結合によって任意選択で置き換えられた1つまたは複数のペプチド結合を有する。ある特定の実施形態では、コンセンサス配列の1つまたは複数のアミノ酸の、同じ種類のD-アミノ酸との系統的置換(例えば、L-リシンの代わりにD-リシン)を用いて、より安定なペプチドを生成することができる。加えて、コンセンサス配列または実質的に同一のコンセンサス配列変異を含む拘束性ペプチドは、当技術分野で既知の方法(Rizo and Gierasch Ann.Rev.Biochem.,61:387(1992)、あらゆる目的について参照により本明細書に援用される)によって、例えば、ペプチドを環化させる分子内ジスルフィド架橋を形成することができる内部システイン残基を付加することによって、生成することができる。
【0395】
薬物コンジュゲーションは、特定の腫瘍マーカー(例えば、理想的には、腫瘍細胞内または腫瘍細胞上にのみ見出されるべきポリペプチド)を特異的に標的とする抗体への生物学的活性細胞傷害性(抗がん)ペイロードまたは薬物の連結を含む。抗体は、体内でこれらのタンパク質を追跡し、がん細胞の表面に付着する。抗体と標的タンパク質(抗原)との間の生化学反応は、腫瘍細胞でシグナルを誘発し、次いで、腫瘍細胞は、細胞毒素と一緒に抗体を吸収するまたは内部移行させる。ADCが内部移行された後に、細胞傷害性薬物が放出され、がんを死滅させる。この標的化のために、理想的には、薬物は、より低い副作用を有し、他の化学療法薬より広い治療ウインドウを与える。抗体をコンジュゲートする技術は、開示されており、当技術分野で公知である(例えば、Jane de Lartigue,OncLive July 5,2012;ADC Review on antibody-drug conjugates;及びDucry et al..Bioconjugate Chemistry 21(1):5-13(2010)を参照されたい)。
【0396】
結合アッセイ及び他のアッセイ
本開示の抗ソルチリン抗体は、例えば、ELISA、表面プラスモン共鳴(SPR)、ウエスタンブロット、フローサイトメトリー、FACS、バイオレイヤー干渉法などの公知の方法によって、抗原結合活性について試験され得る。
【0397】
一部の実施形態では、競合アッセイは、本明細書に記載の抗体のいずれかと競合する抗体を同定するために使用され得る。一部の実施形態では、競合アッセイは、ソルチリンへの結合について、表1~30に列挙されている、またはS-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-7、S-60-8、S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16、S-60-18、S-60-19、及びS-60-24から選択される抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗体のいずれかと競合する抗体を同定するために使用され得る。ある特定の実施形態では、そのような競合抗体は、表1~30に列挙されている、またはS-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-7、S-60-8、S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15[N33(wt)]、S-60-15.1[N33T]、S-60-15.2[N33S]、S-60-15.3[N33G]、S-60-15.4[N33R]、S-60-15.5[N33D]、S-60-15.6[N33H]、S-60-15.7[N33K]、S-60-15.8[N33Q]、S-60-15.9[N33Y]、S-60-15.10[N33E]、S-60-15.11[N33W]、S-60-15.12[N33F]、S-60-15.13[N33I]、S-60-15.14[N33V]、S-60-15.15[N33A]、S-60-15.16[N33M]、S-60-15.17[N33L]、S-60-16、S-60-18、S-60-19、及びS-60-24から選択される抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗体のいずれかが結合する同じエピトープ(例えば、線状またはコンフォメーションエピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法は、Morris(1996)“Epitope Mapping Protocols,”in Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press,Totowa,NJ)で提供されている。
【0398】
例示的な競合アッセイでは、固定化ソルチリンまたは細胞表面上にソルチリンを発現する細胞は、ソルチリンに結合する第1の標識抗体(例えば、ヒトまたは非ヒト霊長類)及びソルチリンへの結合について第1の抗体と競合するその能力について試験されている第2の非標識抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在することがある。対照として、固定化ソルチリンまたはソルチリンを発現する細胞は、第1の標識抗体を含むが、第2の非標識抗体を含まない溶液中でインキュベートされる。ソルチリンへの第1の抗体の結合を許容する条件下でインキュベートした後に、過剰の非結合抗体が除去され、固定化ソルチリンまたはソルチリンを発現する細胞と会合した標識の量が測定される。固定化ソルチリンまたはソルチリンを発現する細胞と会合した標識の量が、対照試料と比べて試験試料中で実質的に減少する場合、それは、第2の抗体が、ソルチリンへの結合について、第1の抗体と競合することを示す。Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)を参照されたい。
【0399】
リガンド結合アッセイ
さらに本明細書では、ヒトソルチリン(配列番号81)のHis131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595、及び/またはGlu700に;または配列番号81の1つまたは複数のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595、及び/またはGlu700に対応する哺乳類ソルチリンのアミノ酸残基に結合し、それによって、ソルチリンとソルチリンリガンド(例えば、プログラニュリン、プロ-ニューロトロフィン、pro-NGF、pro-BDNF、プロ-NT3、p75、APP、LpL、APOA5、APOE)との間の相互作用を遮断する抗ソルチリン抗体をスクリーニングする方法を提供する。一部の実施形態では、ペプチドライブラリを合成することができ、その際、ソルチリンタンパク質は、1つのアミノ酸残基によって分離された連続する15マー及び25マーペプチドに切断され、続いて、フィルター上にスポットされる。次いで、ソルチリンリガンドの結合を、抗ソルチリン抗体の存在または非存在下で受容体ペプチドと、または例えば、His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595、及び/またはGlu700で変異しているヒトソルチリンライブラリのペプチドと相互作用するその能力について、SPOT結合分析によって試験することができる(例えば、Frank、R and Overwin,H(1996)Methods.Mol.Biol.66,149-169;Reineke,U et al.,(2002)J.Immunol.Methods 267,13-26;及びAndersen、OS et al.,(2010)J,Biological Chemistry 285、12210-12222)。
【0400】
さらに本明細書では、ソルチリンとソルチリンリガンド(例えば、プログラニュリン、プロ-ニューロトロフィン、pro-NGF、pro-BDNF、プロ-NT3、p75、APP、LpL、APOA5、APOE)との間の相互作用(例えば、結合)を遮断する抗ソルチリン抗体をスクリーニングする方法を提供する。一部の実施形態では、ソルチリンとソルチリンリガンド(例えば、プログラニュリン、プロ-ニューロトロフィン、pro-NGF、pro-BDNF、プロ-NT3、p75、APP、LpL、APOA5、APOE)との間の相互作用は、表面プラスモン共鳴分析(例えば、Skeldal,S et al.,(2012)J Biol Chem.,287:43798;及びAndersen,OS et al.,(2010)The Journal Of Biological Chemistry,285,12210-12222)、プルダウンアッセイ(例えば、Andersen,OS et al.,(2010)The Journal Of Biological Chemistry,285,12210-12222)、セルロース結合タンパク質(例えば、Andersen,OS et al.,(2010)The Journal Of Biological Chemistry,285,12210-12222)、近接ライゲーションアッセイ(例えば、Gustafsen,C et al.,(2013)The Journal of Neuroscience,33:64-71)、及び/または細胞結合アッセイにおけるアルカリホスファターゼ-標識リガンド(例えば、Hu,F et al.,(2010)Neuron 68,654-667)を使用して特徴づけられ得る。
【0401】
細胞アッセイ
さらに本明細書では、作用物質(例えば、抗ソルチリン抗体)を、その細胞表面上にソルチリンタンパク質を発現する細胞と接触させることを含む、抗ソルチリン抗体などのソルチリン結合アンタゴニストをスクリーニングする方法を提供する。一部の実施形態では、作用物質及び細胞をさらに、本開示のソルチリンリガンドと接触させる。一部の実施形態では、細胞自体が、本開示のソルチリンリガンドを発現する。細胞ベースの方法は、細胞の状況下でソルチリンとソルチリンリガンドとの間の相互作用に対する効果を評価することによって、ソルチリン結合アンタゴニスト(例えば、抗ソルチリン抗体)をスクリーニング及び確認するために特に適している。
【0402】
したがって、本開示のある特定の態様は、細胞表面上に本開示のソルチリンタンパク質を発現する細胞に関する。一部の実施形態では、細胞は、本開示のソルチリンタンパク質を内因発現する。一部の実施形態では、細胞は、本開示のソルチリンタンパク質を発現するように組換え操作されている。これらの実施形態のいずれかでは、ポリヌクレオチドによってコードされる本開示のソルチリンタンパク質(内在性または組換え型に関わらない)は好ましくは、限定ではないが、シグナルペプチド及び膜貫通ドメインを含む、少なくとも翻訳後プロセシング、膜移行、及び細胞表面への標的化に必要なタンパク質ドメインを含む。一部の実施形態では、シグナルペプチド及び/または膜貫通ドメインは、内在性ソルチリンシグナルペプチド及び/または膜貫通ドメインを指し得る。他の実施形態では、シグナルペプチド及び/または膜貫通ドメインは、所望の宿主細胞における細胞表面発現を促進することが知られている外在性シグナルペプチド及び/または膜貫通ドメインを指し得る。好ましい実施形態では、ソルチリンタンパク質はまた、本開示のソルチリンリガンドと結合するために十分なドメインを含有する。
【0403】
これらの実施形態では、細胞表面上に本開示のソルチリンタンパク質を発現する任意の細胞を使用してよい。一部の実施形態では、細胞は、その細胞表面上に本開示のソルチリンタンパク質を内因発現する。一部の実施形態では、細胞は、その細胞表面上に本開示のソルチリンタンパク質を発現するように組換え操作されている。細胞表面上に発現されるソルチリンタンパク質に結合する能力を維持するように、本開示の任意の適切なソルチリンリガンドを使用してよい。ソルチリンリガンドは、蛍光標識される必要はない。ソルチリンリガンドのレベルは、限定ではないが、ELISA、SPR、ウエスタンブロット法、質量分析法、免疫沈降、ペプチドマイクロアレイなどを含む当技術分野で公知の任意のアッセイによって検出することができる。
【0404】
一部の実施形態では、本明細書に開示の方法は、細胞表面上のソルチリンタンパク質及びソルチリンリガンドの両方を発現する細胞を、そのソルチリンタンパク質及びソルチリンリガンドが発現され、ソルチリンリガンドが培地中に放出される条件下で培地中で培養すること;細胞を作用物質(例えば、抗ソルチリン抗体)と、そのソルチリンタンパク質がソルチリンリガンドに結合することができる条件下で接触させること;ならびに作用物質の非存在下での培地中のソルチリンリガンドのレベルと比較して、培地中のソルチリンリガンドのレベルの増加を検出することを伴う。ソルチリンリガンドのレベルの上昇は、その作用物質がソルチリン結合アンタゴニストであることを示す。理論に束縛されることは望まないが、細胞表面上に発現されたソルチリンタンパク質と、分泌されたソルチリンリガンドとの間の相互作用は、ソルチリンリガンドのエンドサイトーシス及びリソソーム分解をもたらすと考えられる。したがって、この相互作用が(例えば、本開示のソルチリン結合アンタゴニストの添加によって)減少すると、培地中におけるソルチリンリガンドのレベルの経時的な上昇がもたらされると考えられる。
【0405】
これらの実施形態では、細胞表面上に本開示のソルチリンタンパク質を発現し、本開示のソルチリンリガンドを発現し、分泌する任意の細胞を使用することができる。一部の実施形態では、細胞は、その細胞表面上に本開示のソルチリンタンパク質を内因発現し得る。一部の実施形態では、細胞は、本開示のソルチリンリガンドを内因発現し、分泌し得る。一部の実施形態では、細胞はU-251細胞であり、ソルチリンリガンドはプログラニュリンタンパク質である。一部の実施形態では、細胞は、本開示のソルチリンタンパク質をその細胞表面上に発現するように組換え操作され得る。一部の実施形態では、細胞は、本開示のソルチリンリガンドを発現し、分泌するように組換え操作され得る。
【0406】
本明細書に記載の細胞アッセイのいずれにおいても、本開示のソルチリンリガンドを使用することができる。一部の実施形態では、ソルチリンリガンドは、プログラニュリンタンパク質である。ソルチリンリガンドは、全長タンパク質であり得、またはそのソルチリン結合ペプチドフラグメントであり得る。
【0407】
核酸、ベクター、及び宿主細胞
本開示の抗ソルチリン抗体は、例えば、米国特許第4816567号に記載されているとおりの組換え方法及び組成物を使用して産生され得る。一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体のいずれかをコードするヌクレオチド配列を有する単離核酸が提供される。そのような核酸は、抗ソルチリン抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/またはVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/または重鎖)をコードしてもよい。一部の実施形態では、そのような核酸を含む1つまたは複数のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。一部の実施形態では、そのような核酸を含む宿主細胞も提供される。一部の実施形態では、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、これらを形質導入されている)。一部の実施形態では、宿主細胞は、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。本開示の宿主細胞にはまた、限定ではないが、単離細胞、インビトロ培養細胞、及びエクスビボ培養細胞が含まれる。
【0408】
本開示の抗ソルチリン抗体の作製方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、抗ソルチリン抗体をコードする核酸を含有する本開示の宿主細胞を、抗体の発現に好適な条件下で培養することを含む。一部の実施形態では、抗体は、その後、宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収される。
【0409】
本開示の抗ソルチリン抗体を組換え産生するためには、抗ソルチリン抗体をコードする核酸を単離し、これを、宿主細胞におけるさらなるクローニング及び/または発現のために、1つまたは複数のベクター中に挿入する。そのような核酸は、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され、配列決定され得る。
【0410】
本開示の抗ソルチリン抗体のいずれかをコードする核酸配列、または本明細書に記載されているそれらの細胞表面発現フラグメントまたはポリペプチド(抗体を含む)を含む適切なベクターには、限定ではないが、クローニングベクター及び発現ベクターが含まれる。適切なクローニングベクターは、標準的な技術に従って構築することができる、または当技術分野で入手可能な多数のクローニングベクターから選択されてもよい。選択されたクローニングベクターは、使用されることが意図されている宿主細胞に従って変化することがあるが、有用なクローニングベクターは一般に、自己複製する能力を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼのための単一の標的を有してもよく、及び/またはベクターを含むクローンを選択する際に使用することができるマーカーの遺伝子を保有してもよい。適切な例には、プラスミド及び細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)及びその誘導体、mpl8、mpl9、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにpSA3及びpAT28などのシャトルベクターが含まれる。これら及び他の多くのクローニングベクターは、BioRad、Strategene、及びInvitrogenなどの販売業者から入手可能である。
【0411】
ベクターをコードする抗体のクローニングまたは発現に適した宿主細胞には、原核細胞または真核細胞が含まれる。例えば、本開示の抗ソルチリン抗体は、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要でない時には、細菌において産生されてもよい。細菌における抗体フラグメント及びペプチドの発現については、(例えば、米国特許第5648237号、同第5789199号、及び同第5840523号)。発現後に、抗体は、可溶性画分中の細菌細胞ペーストから単離されてもよく、さらに精製され得る。
【0412】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物も、グルコシル化経路が「ヒト化」されて、部分的または完全なヒトグルコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす真菌及び酵母株を含む抗体をコードするベクターに適したクローニングまたは発現宿主である(例えば、Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004);及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006))。
【0413】
グリコシル化抗体の発現に適した宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)に由来し得る。無脊椎動物細胞の例には、植物及び昆虫細胞が含まれる。特にSpodoptera frugiperda細胞の遺伝子導入のために、昆虫細胞と共に使用され得る多数のバキュロウイルス株が同定されている。植物細胞培養物も、宿主として利用することができる(例えば、トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術について記載している米国特許第5959177号、同第6040498号、同第6420548号、同第7125978号、及び同第6417429号)。
【0414】
脊椎動物細胞も、宿主として使用され得る。例えば、懸濁液中で成長するように構成される哺乳動物細胞系が有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞系の他の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7);ヒト胎児由来腎臓系(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載されている293または293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載されているとおりのTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK);バッファローラット肝細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(Hep G2);マウス乳房腫瘍(MMT 060562);例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載されているとおりのTRI細胞;MRC5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞系には、DHFR-CHO細胞を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980));ならびにY0、NS0、及びSp2/0などの骨髄腫細胞系が含まれる。抗体産生に適した特定の哺乳動物宿主細胞系の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)を参照されたい。
【0415】
医薬組成物
本明細書において、本開示の抗ソルチリン抗体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物及び/または医薬製剤を提供する。
【0416】
一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は好ましくは、使用される投薬量及び濃度で、受容者に対して非毒性である。本明細書に記載の抗体は、固体、半固体、液体または気体の形態の製剤に製剤化され得る。このような製剤の例には、限定ではないが、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、マイクロスフェア、及びエアロゾール剤が含まれる。医学的に許容される担体は、所望の製剤に応じて、動物またはヒト投与のための医薬組成物を製剤化するために一般的に使用されるビヒクルである、薬学的に許容される非毒性担体または希釈剤を含むことができる。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、例えば、pH、容量オスモル濃度、粘度、清澄度、色調、等張性、臭気、無菌性、安定性、溶解もしくは放出の速度、組成物の吸着もしくは浸透を改変する、維持する、または保つための製剤材料を含み得る。
【0417】
ある特定の実施形態では、薬学的に許容される担体には、限定されないが、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリシンなど);抗微生物剤;抗酸化剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、または亜硫酸水素ナトリウムなど);緩衝剤(ホウ酸塩、炭酸水素塩、Tris-HCl、クエン酸塩、リン酸塩、または他の有機酸など);増量剤(例えば、マンニトールまたはグリシンなど);キレート化剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯生成剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ-シクロデキストリン、またはヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンなど);充填剤;単糖類;二糖類;ならびに他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリンなど);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなど);着色剤、香味剤、及び希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウムなど);防腐剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、または過酸化水素など);溶媒(グリセリン、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトールまたはソルビトールなど);懸濁化剤;界面活性剤または湿潤剤(プルロニック(登録商標)、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサポール(tyloxapal)など);安定性増強剤(スクロースまたはソルビトールなど);張度増強剤(アルカリ金属ハロゲン化物、好ましくは、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、マンニトールソルビトールなど);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤、及び/または薬学的アジュバントが含まれる。様々な種類の投与に適する製剤のさらなる例は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Pharmaceutical Press 22nd ed.(2013)に見出すことができる。薬物送達のための方法の簡単な概説については、Langer,Science 249:1527-1533(1990)を参照されたい。
【0418】
非経口投与に適した製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び意図されているレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質を含むことができる水性及び非水性の等張滅菌注射溶液、ならびに、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び防腐剤を含むことができる水性及び非水性滅菌懸濁液が含まれる。
【0419】
製剤は、脳または中枢神経系での保持及び安定化のために最適化されてもよい。薬剤が頭蓋区画に投与される場合、薬剤が区画に保持され、血液脳関門に拡散しない、または別段にこれを越えないことが望ましい。安定化技術は、分子量の増加を達成するために、架橋、多量体化、またはポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、中性タンパク質担体などの基への結合を含む。
【0420】
保持を増加させるための他の方策は、生分解性または生体分解性インプラントへの本開示の抗ソルチリン抗体などの抗体の封入を含む。治療活性な薬剤の放出速度は、ポリマーマトリックスを介した輸送及びインプラントの生分解の速度によって制御される。インプラントは、粒子、シート、パッチ、プラーク、繊維、マイクロカプセルなどであってよく、選択された挿入部位に適合する任意のサイズまたは形状のものであってもよい。用いられ得る生分解性ポリマー組成物は、分解された時に、モノマーを含む生理学的に許容される分解生成物をもたらす有機エステルまたはエーテルである。単独のまたは他のモノマーと組み合わせた無水物、アミド、オルトエステルなども使用され得る。ポリマーは、縮合ポリマーとなるであろう。ポリマーは、架橋されていても、または架橋されていなくてもよい。特に興味深いのは、ヒドロキシ脂肪族カルボン酸のポリマー、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれか、及び多糖類である。目的のポリエステルには、D-乳酸、L-乳酸、ラセミ乳酸、グリコール酸、ポリカプロラクトン、及びそれらの組み合わせのポリマーが含まれる。目的の多糖類には、非水溶性、約5kD~500kDの分子量などであることによって特徴づけられるアルギン酸カルシウム、及び官能化セルロース、特にカルボキシメチルセルロースエステルがある。生分解性ヒドロゲルも、本発明のインプラントに用いられてよい。ヒドロゲルは典型的には、液体を吸収する能力によって特徴づけられるコポリマー材料である。
【0421】
薬学的投薬量
本明細書で提供される抗体(及び任意の追加の治療薬)は、非経口、肺内、鼻内、病変内投与、大脳脊髄内(intracerobrospinal)、頭蓋内、髄腔内、滑液包内、髄腔内、経口、局所、または吸入経路を含む任意の適切な手段によって投与することができる。非経口注入には、ボーラス剤としての、または経時的な連続注入による筋肉内、静脈内投与、動脈内、関節内、腹膜内、または皮下投与が含まれる。一部の実施形態では、投与は、静脈内投与である。一部の実施形態では、投与は、皮下である。投与は、一部では、投与が短時間または長時間かどうかに応じて、任意の適切な経路によって、例えば、静脈内または皮下注射などの注射によってよい。限定されないが、様々な時点での単回または複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含む様々な投与スケジュールが本明細書では企図される。
【0422】
本明細書で提供される抗体は、良好な医学的実施と合致する方法で製剤化され、用量決定され、及び投与されるであろう。この状況で考慮される因子には、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳類、個々の患者の臨床状態、障害の原因、作用物質の送達部位、投与方法、投与のスケジューリング、及び医師に公知の他の因子が含まれる。抗体は、該当する障害を予防または処置するために現在使用されている1つまたは複数の作用物質と共に製剤化されるが、これは必要ではなく、任意選択である。そのような他の作用物質の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害または処置の種類、及び上記で検討した他の因子に依存する。これらは一般に、本明細書の記載と同じ投薬量及び投与経路で、または本明細書に記載の投薬量の約1~99%で、または経験的/臨床的に適切と決定されている任意の投薬量で、かつ任意の経路で使用される。
【0423】
特定の抗ソルチリン抗体の投薬量は、抗ソルチリン抗体の1回または複数回の投与を与えられている個体において経験的に決定されてもよい。個体は、抗ソルチリン抗体の徐々に増加する用量を与えられる。抗ソルチリン抗体の有効性を評価するために、本開示の任意の疾患、障害、または状態(例えば、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期うつ病、アテローム硬化性血管疾患、及び正常老化の望ましくない症状)の臨床症状を監視することができる。
【0424】
疾患を予防または処置するために、本発明の抗体の適切な投薬量(単独で、または1つまたは複数の他の追加の治療薬と組み合わせて使用する場合)は、処置される疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体が予防または処置目的で投与されるかどうか、以前の治療、抗体に対する患者の臨床的履歴及び応答、ならびに主治医の判断に依存する。抗体は、1回で、または一連の処置で、患者に適切に投与される。
【0425】
疾患の種類及び重症度に応じて、例えば、1つまたは複数の別々の投与によるか、または連続注入によるかどうかで、抗体の約1μg/kg~15mg/kg(例えば、0.1mg/kg~10mg/kg)が、患者に投与するための初期投薬量候補であり得る。典型な1日投薬量の1つは、上述の因子に応じて、約1μg/kg~100mg/kgまたはそれ以上の範囲であり得るであろう。状態に応じて、数日間またはそれ以上にわたる反復投与では、処置は一般に、症状の所望の抑制が生じるまで持続されるであろう。抗体の例示的な投薬量の1つは、約0.05mg/kg~約10mg/kgの範囲にあるであろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kgまたは10mg/kg(またはそれらの任意の組み合わせ)の1つまたは複数の用量を患者に投与することができる。このような用量を、間欠的に、例えば、毎週または3週ごとに投与してもよい(例えば、患者が抗体の約2~20用量、または例えば、約6用量を受けるように)。ある特定の実施形態では、投薬頻度は1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに1回、1週間に1回、2週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、もしくは1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、またはそれ以上である。初期の高負荷用量に続いて、1回または複数の低用量を投与してもよい。しかしながら、他の投与計画も有用であり得る。この治療の経過は、従来の技術及びアッセイによって容易に監視される。
【0426】
治療的使用
ある特定の態様では、本開示の抗ソルチリン抗体は、疾患、障害、または損傷を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを有する個体を処置するために使用することができる。本開示の抗ソルチリン抗体は、細胞死(例えば、神経細胞死)、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期うつ病、アテローム硬化性血管疾患、正常老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト-ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多発性萎縮症、椎間板変性、シャイ-ドレーガー症候群、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性播種性脳脊髄炎、肉芽腫性障害、サルコイドーシス、老人病、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、呼吸器感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、炎症性障害、関節炎、多発性硬化症、代謝障害、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織もしくは血管損傷、外傷、ならびに/または1つまたは複数の正常老化の望ましくない症状を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを処置するために使用することができる。
【0427】
ある特定の態様では、疾患、障害、または損傷を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを有する個体を処置する方法であって、それを必要とする個体に、治療有効量の本開示の抗ソルチリン抗体を投与することを含む、方法を本明細書において提供する。一部の実施形態では、疾患、障害または損傷は、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性播種性脳脊髄炎、網膜変性、加齢黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血症性ショック、細菌感染、関節炎、及び変形性関節症からなる群から選択される。
【0428】
本開示のある特定の態様は、プログラニュリンレベルを上昇させることを必要とする個体に、治療有効量の1つまたは複数の本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、個体の脳、血液、及び/または末梢器官においてなど、個体において、プログラニュリンレベルを上昇させる方法を提供する。本開示の他の態様は、1つまたは複数の細胞を1つまたは複数の本開示の抗ソルチリン抗体と接触させることによって、プログラニュリンの細胞外レベルを上昇させる方法を提供する。一部の実施形態では、プログラニュリンのレベルを、ソルチリンの細胞レベルを低下させることなく、上昇させる。本開示の他の態様は、ソルチリンの細胞レベルを低下させることを必要とする個体に、治療有効量の1つまたは複数の本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、個体の脳及び/または末梢器官においてなど、個体において、ソルチリンの細胞レベルを低下させる方法を提供する。本開示の他の態様は、1つまたは複数の細胞を1つまたは複数の本開示の抗ソルチリン抗体と接触させることを含む、1つまたは複数の細胞のソルチリンの細胞レベルを低下させる方法を提供する。
【0429】
本開示のさらなる態様は、プログラニュリンの有効濃度を上昇させること、及び/または本開示のニューロトロフィン(例えば、プロ-ニューロトロフィン-3、プロ-ニューロトロフィン-4/5、プロ-ニューロトロフィン、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aベータペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9、及び受容体関連タンパク質(RAP)の有効濃度を低下させることを必要とする必要とする個体において、それを行う方法であって、個体に、治療有効量の本開示の抗ソルチリン抗体を投与して、ソルチリンとプログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロ-ニューロトロフィン、プロ-ニューロトロフィン-3、プロ-ニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aベータペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、及び/または受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用を阻害することによる、方法を提供する。
【0430】
本開示はまた、ソルチリンとプログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロ-ニューロトロフィン、プロ-ニューロトロフィン-3、プロ-ニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aベータペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9、及び/または受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用を;さらに、個体において、ソルチリン、プログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロ-ニューロトロフィン、プロ-ニューロトロフィン-3、プロ-ニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aベータペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、及び/または受容体関連タンパク質(RAP)の1つまたは複数の活性を阻害する方法であって、個体に、治療有効量の本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによる、方法を提供する。
【0431】
ある特定の態様では、疾患、障害、または損傷を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを有する個体を処置する方法であって、それを必要とする個体に、治療有効量の本開示の抗ソルチリン抗体を投与することを含む、方法を本明細書において提供する。
【0432】
本明細書に開示のとおり、本開示の抗ソルチリン抗体を、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期うつ病、アテローム硬化性血管疾患、正常老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト-ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多発性萎縮症、椎間板変性、シャイ-ドレーガー症候群、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性播種性脳脊髄炎、肉芽腫性障害、サルコイドーシス、老人病、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、呼吸器感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、炎症性障害、関節炎、多発性硬化症、代謝障害、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織もしくは血管損傷、外傷、ならびに/または1つまたは複数の正常老化の望ましくない症状を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを処置するために使用することができる。
【0433】
一部の実施形態では、本開示は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期うつ病、アテローム硬化性血管疾患、正常老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト-ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多発性萎縮症、椎間板変性、シャイ-ドレーガー症候群、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性播種性脳脊髄炎、肉芽腫性障害、サルコイドーシス、老人病、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、呼吸器感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、炎症性障害、関節炎、多発性硬化症、代謝障害、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織もしくは血管損傷、外傷、ならびに1つまたは複数の正常老化の望ましくない症状を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを有する個体を処置することを必要とする個体において、それを行う方法であって、個体に、治療有効量の本開示の抗ソルチリン抗体を投与して(i)ソルチリンとプログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロ-ニューロトロフィン、プロ-ニューロトロフィン-3、プロ-ニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aベータペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、及び/または受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用を阻害する;及び/または(ii)本開示のソルチリン、プログラニュリン、ニューロトロフィン(例えば、プロ-ニューロトロフィン、プロ-ニューロトロフィン-3、プロ-ニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aベータペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、及び/または受容体関連タンパク質(RAP)の1つまたは複数の活性を阻害することによる、方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、個体に、治療有効量の本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、創傷治癒を誘導することを必要とする個体においてそれを行う方法を提供する。
【0434】
本開示はまた、本開示の抗ソルチリン抗体を投与して、ソルチリンとプログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロ-ニューロトロフィン、プロ-ニューロトロフィン-3、プロ-ニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、及びAベータペプチドとの間の相互作用を阻害することによって、神経細胞生存などの細胞生存を促進する方法を提供する。抗ソルチリン抗体を、インビトロで細胞に投与して、細胞生存を促進してもよい。別法では、抗ソルチリン抗体をインビボで(例えば、個体に抗体を投与することによって)投与して、細胞生存を促進してもよい。
【0435】
ある特定の態様では、神経炎症、短い軸索伸長及び異常な分枝によって特徴づけられる軸索変性症、ミクログリア活性化、ならびに炎症応答のうちの1つまたは複数を阻害する方法であって、個体に、治療有効量の本開示の抗ソルチリン抗体を投与することを含む、方法を本明細書において提供する。
【0436】
本開示は、本開示の抗ソルチリン抗体を投与して、ソルチリンとプログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロ-ニューロトロフィン、プロ-ニューロトロフィン-3、プロ-ニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、及びAベータペプチドとの間の相互作用を阻害することによって、神経炎症、短い軸索伸長及び異常な分枝によって特徴づけられる軸索変性症、ミクログリア活性化、ならびに炎症応答を阻害する、ならびに創傷治癒、自食作用及び凝集タンパク質のクリアランスを促進する方法を提供する。抗ソルチリン抗体は、インビトロで細胞に投与してもよい。代替では、抗ソルチリン抗体をインビボで(例えば、個体に抗体を投与することによって)投与してもよい。
【0437】
ある特定の態様では、創傷治癒、自食作用、及び凝集タンパク質のクリアランスのうちの1つまたは複数を促進する方法であって、個体に、治療有効量の本開示の抗ソルチリン抗体を投与することを含む、方法を本明細書において提供する。
【0438】
ある特定の態様では、個体に、治療有効量の本開示の抗ソルチリン抗体を投与することを含む、関節炎を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを有する個体を処置する方法を本明細書において提供する。
【0439】
本開示はまた、1種または複数の炎症誘発性メディエーターの発現を減少させることを必要とする個体に、本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、それを行う方法を提供する。一部の実施形態では、1つまたは複数のプロ-炎症性メディエーターは、IL-6、IL12p70、IL12p40、IL-1β、TNF-α、CXCL1、CCL2、CCL3、CCL4、及びCCL5から選択される。
【0440】
一部の実施形態では、本開示の方法は、2種以上の抗ソルチリン抗体を含む抗ソルチリン抗体を含む。
【0441】
認知症
認知症は、正常な老化から予測され得るものを超えて、以前は損なわれていないヒトの全体的な認知能力の重大な喪失として現れる非特異的な症候群(すなわち、徴候及び症状のセット)である。独特の全体的な脳損傷の結果として、認知症は、変化しないことがある。あるいは、認知症は、進行性であり、身体の損傷または疾患に起因する長期的な衰退をもたらすことがある。認知症は、高齢者集団においてはるかに一般的であるが、65歳前に発症する可能性もある。認知症の影響を受ける認知領域には、限定ではないが、記憶、注意持続、言語、及び問題解決が含まれる。一般に、症状は、個体が認知症と診断される前に、少なくとも6ヶ月間存在しなければならない。
【0442】
認知症の例示的形態には、限定ではないが、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、語義認知症、及びレビー小体型認知症が含まれる。
【0443】
理論に束縛されることは望まないが、本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、認知症を予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することができると考えられる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体の投与は、認知症を有する個体において1つまたは複数のプログラニュリン活性(例えば、ニューロンでの神経栄養及び/または生存活性、及び抗炎症活性)を誘導し得る。
【0444】
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症(FTD)は、脳の前頭葉の進行性の変性から生じる状態である。経時的に、変性は、側頭葉に進むことがある。有病率ではアルツハイマー病(AD)に次いで2番目であるが、FTDは初老期認知症症例の20%を占める。FTDの臨床特徴には、記憶欠損、行動異常、人格変化、及び言語障害が含まれる(Cruts,M.& Van Broeckhoven,C.,Trends Genet.24:186-194(2008);Neary,D.,et al.,Neurology 51:1546-1554(1998);Ratnavalli,E.,Brayne,C.,Dawson,K.& Hodges,J.R.,Neurology 58:1615-1621(2002))。
【0445】
FTD症例のかなりの部分は、常染色体優性様式で遺伝するが、たとえ1つのファミリーであっても、症状は、行動障害を伴うFTDから原発性進行性失語症、大脳皮質基底核神経節変性症に及び得る。FTDは、大部分の神経変性疾患と同様に、罹患した脳における特定のタンパク質凝集体の病理学的存在によって特徴づけられ得る。歴史的に、FTDの最初の記載によって、神経原線維濃縮体またはピック体における高リン酸化Tauタンパク質の神経細胞内蓄積の存在が認識された。微小管関連タンパク質Tauの因果的役割は、いくつかのファミリーにおいてTauタンパク質をコードする遺伝子における変異の同定によって裏付けられた(Hutton,M.,et al.,Nature 393:702-705(1998)。しかしながら、FTD脳の大部分は、高リン酸化Tauの蓄積を示さないが、ユビキチン(Ub)及びTAR DNA結合タンパク質(TDP43)に対する免疫反応性を示す(Neumann,M.,et al.,Arch.Neurol.64:1388-1394(2007))。Ub封入体を伴うそれらのFTD症例(FTD-U)の大部分は、プログラニュリン遺伝子に変異を保有することが示された。
【0446】
プログラニュリン変異は、ハプロ不全をもたらし、家族性FTD症例のうちのほぼ50%に存在することが公知であるので、プログラニュリン変異は、FTDの主要な遺伝的誘因となっている。理論に束縛されることは望まないが、プログラニュリン変異の機能喪失型ヘテロ接合形質は、健康な個体では、プログラニュリン発現が健康な個体でのFTDの発症の予防において用量依存的な重要な役割を果たしていることを示すと考えられる。したがって、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害することによってプログラニュリンのレベルを上昇させることで、FTDを予防する、そのリスクを減少させる、及び/または処置することができる。
【0447】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、FTDを予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体の投与は、FTDを有する個体において1つまたは複数のソルチリン活性を調節し得る。
【0448】
アルツハイマー病
アルツハイマー病(AD)は、認知症の最も一般的な形態である。この疾患に対する治療法はなく、この疾患は、進行するにつれて悪化し、最終的に死をもたらす。ほとんどの場合、ADは、65歳超の人々において診断される。しかしながら、あまり一般的ではない早発性アルツハイマー病は、かなり早い時期に発症し得る。
【0449】
アルツハイマー病の一般的な症状には、最近の出来事を覚えることが困難であることなどの行動徴候;認知症状、混乱、過敏性及び攻撃性、気分変動、言語に伴う障害、ならびに長期記憶喪失が含まれる。疾患が進行するにつれて、身体機能は失われ、最終的には死をもたらす。アルツハイマー病は、完全に明らかになる前の未知で不定の期間の間に発症し、何年もの間、診断未確定で進行し得る。
【0450】
ソルチリンは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)及びAPPプロセシング酵素BACE1に結合することが判明している。理論に束縛されることは望まないが、これらの相互作用がアルツハイマー病に関係すると考えられている。したがって理論に束縛されることは望まないが、本開示の抗ソルチリン抗体を利用して、そのような相互作用を阻害し、アルツハイマー病を予防する、そのリスクを減少させる、及び/または処置することを必要とする個体においてそれを行うことができると考えられる。
【0451】
一部の実施形態では、理論に束縛されることは望まないが、ソルチリンと本開示のニューロトロフィン(例えば、プロ-ニューロトロフィン、プロ-ニューロトロフィン-3、プロ-ニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、p75、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、及び/またはAベータペプチドとの間の相互作用を阻害する、またはソルチリンの1つまたは複数の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体を利用して、アルツハイマー病を予防する、そのリスクを減少させる、及び/または処置することを必要とする個体においてそれを行うことができると考えられる。
【0452】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、アルツハイマー病を予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、アルツハイマー病を有する個体において1つまたは複数のソルチリン活性を調節することができる。
【0453】
血管性認知症
血管性認知症(VaD)は、脳血管疾患(脳内の血管疾患)に起因すると考えられる、わずかに進行性の記憶及び他の認知機能の悪化である。脳血管疾患は、脳(大脳)の血管(脈管構造)の進行性変化である。老化に伴う最も一般的な血管変化は、血管壁におけるコレステロール及び他の物質の蓄積である。これにより、血管壁の肥厚化及び硬化ならびに血管の狭窄が生じ、その影響を受けた動脈によって供給される脳領域への血流が減少し、または完全に停止し得る。血管性認知症患者は多くの場合に、アルツハイマー病(AD)患者と類似の症状を示す。しかしながら、関連する脳での変化は、AD病理に起因するものではなく、最終的に認知症につながる脳内の血流の慢性的減少に起因するものである。VaDは、高齢者において最も一般的な認知症の1つであるとみなされている。VaDの症状には、記憶困難、構成化及び複雑な問題の解決困難、思考力の減退、注意散漫または「関心不在」、記憶から言葉を引き出すのが難しい、気分または行動の変化、例えば、うつ状態、易刺激性、もしくは感情鈍麻、及び幻覚もしくは妄想などが含まれる。
【0454】
理論に束縛されることは望まないが、ソルチリンの1つまたは複数の活性、またはソルチリンと、プログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、リポタンパク質リパーゼ、アポリポタンパク質AV及び/もしくは受容体関連タンパク質との間の1つまたは複数の相互作用は、血管性認知症に関与すると考えられる。したがって、理論に束縛されることは望まないが、ソルチリンと、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)及び/もしくは受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用を阻害する;またはソルチリンの1つまた複数の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体を利用して、血管性認知症を予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することを必要とする個体において、それを行うことができると考えられる。
【0455】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、VaDを予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、VaDを有する個体において、1つまたは複数のソルチリン活性を調節することができる。
【0456】
痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、及び長期うつ病
本明細書で使用される場合、網膜ジストロフィーは、網膜変性を伴う任意の疾患または病態を指す。そのような疾患または病態は、視力低下または完全な失明につながることがある。
【0457】
本明細書で使用される場合、痙攣発作は、てんかん発作も含み、脳の異常な過剰または同期性の神経活動の一過性症状を指す。外見上の影響は、興奮したのたうち運動のような劇的な場合もあれば、意識の軽微喪失のような軽い場合もある。痙攣発作は、精神状態の変化、強直性または間代性運動、痙攣及び他の様々な心的症状として現れ得る。
【0458】
外傷性脳損傷(TBI)は、頭蓋内損傷としても知られ得る。外傷性脳損傷は、外的な力が脳に外傷を与える時に生じる。外傷性脳損傷は、重症度、機構(閉鎖性または穿通性頭部損傷、または他の特徴(例えば、特定の場所で生じるまたは広範囲にわたって生じる)に基づいて分類することができる。
【0459】
脊髄損傷(SCI)は、疾患ではなく外傷によって引き起こされる脊髄へのあらゆる損傷を含む。脊髄及び神経根がどこで損傷を受けているかに応じて、症状は、疼痛から麻痺、失禁まで、大きく変わり得る。脊髄損傷は、患者に影響を与えないことから多様であり得る「不完全型」から、機能の完全な喪失を意味する「完全型」損傷まで種々のレベルで記述される。
【0460】
長期うつ病(LTD)は、長いパターン化された刺激の後に神経シナプスの効率が数時間またはそれ以上にわたって活動依存的に低下することである。長期うつ病は、中枢神経系の多くの領域で、脳領域及び発生の進行に応じた様々な機構により生じ得る。長期うつ病は、海馬、小脳及び種々の神経伝達物質を放出する種々のタイプのニューロンで生じ得る。理論に束縛されることは望まないが、長期うつ病は、神経変性、認知症、及びアルツハイマー病に関連し得ると考えられる。
【0461】
プロニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNFなど)が痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷及び長期うつ病に関与することが判明している。
【0462】
したがって、理論に束縛されることは望まないが、ソルチリンと本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)との間の相互作用を阻害する;またはソルチリンの1つまたは複数の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体を利用して、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷及び/または長期うつ病を予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することを必要とする個体において、それを行うことができると考えられる。
【0463】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷及び/または長期うつ病を予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷及び/または長期うつ病を有する個体において、1つまたは複数のソルチリン活性を調節することができる。
【0464】
アテローム硬化性血管疾患
本明細書で使用される場合、「アテローム硬化性血管疾患」、「ASVD」、及び「アテローム性動脈硬化症」は、互換的に使用され、コレステロール、脂質及びトリグリセリドなどの脂肪物質の蓄積の結果として動脈壁が厚くなる任意の状態を指す。アテローム硬化性血管疾患には、限定ではないが、あらゆるASVD関連状態、障害または疾患が含まれ、限定ではないが、血栓塞栓症、脳卒中、虚血、梗塞、冠状動脈血栓症、心筋梗塞(例えば、心臓発作)及び跛行が含まれる。
【0465】
本明細書に開示のとおり、本開示のソルチリンタンパク質は、受容体関連タンパク質、リポタンパク質リパーゼならびにアポポリポタンパク質(apopolipoproteins)APOA5及びAPOEなどの脂質関連タンパク質に結合することによって、脂質制御に関与する。
【0466】
したがって、理論に束縛されることは望まないが、ソルチリンとリポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、及び/もしくは受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用を阻害する;またはソルチリンの1つまたは複数の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体を利用して、1つまたは複数のアテローム硬化性血管疾患を予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することを必要とする個体において、それを行うことができると考えられる。
【0467】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、アテローム硬化性血管疾患を予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、アテローム硬化性血管疾患を有する個体において1つまたは複数のソルチリン活性を調節することができる。
【0468】
老化の望ましくない症状
本明細書で使用される場合、老化の望ましくない症状には、限定するものではないが、記憶喪失、行動変化、認知症、アルツハイマー病、網膜変性、アテローム硬化性血管疾患、難聴及び細胞分解が含まれる。
【0469】
一部の実施形態では、理論に束縛されることは望まないが、ソルチリンと、プログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、及び/もしくは受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用を阻害する;またはソルチリンの1つまたは複数の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体を利用して、老化の望ましくない症状の1つまたは複数を予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することができると考えられる。
【0470】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、老化の望ましくない症状の1つまたは複数を予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、老化の望ましくない症状の1つまたは複数を有する個体において1つまたは複数のソルチリン活性を調節することができる。
【0471】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
本明細書で使用される場合、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、または運動ニューロン疾患、またはルーゲーリック病は、互換的に使用され、急速な進行性衰弱、筋萎縮及び線維束攣縮、筋痙縮、発話困難(構音障害)、嚥下困難(嚥下障害)、ならびに呼吸困難(呼吸困難症)によって特徴づけられる様々な病因を有する消耗性疾患を指す。
【0472】
GRN遺伝子におけるヘテロ接合性機能喪失型変異によるPGRNハプロ不全は、CSF中PGRNレベルの低下をもたらし、TDP-43病態を伴う前頭側頭型認知症(FTD)の発症の原因となる(Sleegers et al.,(2009)Ann Neurol 65:603;Smith et al.,(2012)Am J Hum Genet 90:1102)。TDP-43はまた、ALSにおける主要な病的タンパク質と同定されているので、ALSとFTDとの間の類似性を示唆している。
【0473】
例えば、TDP-43における20を超える優性変異が、散発性及び家族性ALS患者において同定されており(Lagier-Tourenne et al.,(2009)Cell 136:1001)、TDP-43陽性凝集物が、ALS症例のうちの約95%で見い出されている(Prasad et al.,(2019)Front Mol Neurosci 12:25)。さらに、MOBP、C9ORF72、MOBKL2B、NSF及びFUSなどのALSのリスク遺伝子も、FTDの原因となり得る(Karch et al.,(2018)JAMA Neurol 75:860)。加えて、PGRN及びC9ORF72変異の両方が、異常なミクログリア活性化と関連しており、これは、FTD及びALSの別の共通する病理であると考えられる(Haukedal et al.,(2019)J Mol Biol 431:1818)。他の証拠も、ALS及びFTDが緊密に関連した状態であり、遺伝的、神経病理学的、及び臨床的特徴が重複することを示唆している(Weishaupt et al.,(2016)Trends Mol Med 22:769;McCauley et al.,(2018)Acta Neuropathol 137:715)。総合すると、これらの結果は、両方の疾患が、共用の処置から利益を得ることができるであろうこと、及びPGRN遺伝的変異性が、ALSの経過の調整因子として作用することを示唆している。
【0474】
一部の実施形態では、理論に束縛されることは望まないが、ソルチリンと、プログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、及び/もしくは受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用を阻害する;またはソルチリンの1つまたは複数の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体を利用して、ALSの1つまたは複数の望ましくない症状を予防する、またはそれを処置することができると考えられる。
【0475】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、ALSを予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、ALSを有する個体において1つまたは複数のソルチリン活性を調節することができる。
【0476】
うつ病
本明細書で使用される場合、うつ病または大うつ病性障害(MDD)、臨床的うつ病、大うつ病、単極性うつ病、単極性障害、反復性うつ病または気分変調症は、互換的に使用され、自尊心の低下、及び一般的に楽しい活動に対する興味または喜びを失うことを伴うすべての包括的な気分低下によって特徴づけられる精神障害を指す。
【0477】
したがって、理論に束縛されることは望まないが、ソルチリンと、プログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、及び/もしくは受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用を阻害する;またはソルチリンの1つまたは複数の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体を利用して、うつ病の望ましくない症状の1つまたは複数を予防する、及び/またはそれを処置することができると考えられる。
【0478】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、うつ病を予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、うつ病を有する個体において1つまたは複数のソルチリン活性を調節することができる。
【0479】
パーキンソン病
特発性もしくは原発性パーキンソン症候群、低運動性硬直症候群(HRS)、または振戦麻痺と称されることもあるパーキンソン病は、運動系制御に影響を与える神経変性脳障害である。脳におけるドーパミン産生細胞の漸進的死によって、パーキンソン病の主要な症状がもたらされる。多くの場合、パーキンソン病は、50歳以上の人々において診断される。パーキンソン病は、ほとんどの人々において特発性(公知の原因を有さない)である。しかしながら、遺伝的要因も、この疾患においては役割を果たす。
【0480】
パーキンソン病の症状には、限定ではないが、手、腕、脚、顎、及び顔面の振戦、四肢及び胴体の筋硬直、運動の緩慢(運動緩慢)、姿勢動揺、歩行困難、神経精神障害、発語または行動の変化、うつ病、不安、疼痛、精神病、認知症、幻覚、ならびに睡眠障害が含まれる。
【0481】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、パーキンソン病を予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、パーキンソン病を有する個体において1つまたは複数のプログラニュリン活性を誘導することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、パーキンソン病を有する個体において1つまたは複数のソルチリン活性を調節することができる。
【0482】
ハンチントン病
ハンチントン病(HD)は、ハンチントン遺伝子(HTT)の常染色体優性変異に起因する遺伝性の神経変性疾患である。ハンチンチン遺伝子内のサイトカイン-アデニン-グアニン(CAG)トリプレットリピートの伸長は、その遺伝子によってコードされる変異型のハンチンチンタンパク質(Htt)の産生をもたらす。この変異体ハンチントンタンパク質(mHtt)は、毒性があり、ニューロン死の原因となる。ハンチントン病の症状は、任意の年齢で現れ得るが、35歳及び44歳の間で最も一般的に現れる。
【0483】
ハンチントン病の症状には、限定ではないが、運動制御障害、痙攣、不規則運動(舞踏病)、異常な眼球運動、平衡障害、痙攣発作、咀嚼困難、嚥下困難、認知障害、発語変化、記憶障害、思考困難、不眠症、疲労、認知症、人格変化、うつ病、不安、及び強迫行動が含まれる。
【0484】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、ハンチントン病を予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、ハンチントン病を有する個体において1つまたは複数のプログラニュリン活性を誘導することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、ハンチントン病を有する個体において1つまたは複数のソルチリン活性を調節することができる。
【0485】
タウオパチー病
タウオパチー病またはタウ異常症は、脳内の微小管関連タンパク質Tauの凝集に起因する一群の神経変性疾患である。アルツハイマー病(AD)は、最もよく知られているタウオパチー病であり、ニューロン内のTauタンパク質の蓄積を不溶性神経原線維濃縮体(NFT)の形態で含む。他のタウオパチー病及び障害には、進行性核上性麻痺、ボクサー認知症(慢性外傷性脳症)、前頭側頭型認知症、及び17番染色体に関連するパーキンソン症候群、リティコ-ボディグ病(グアムのパーキンソン認知症複合)、神経原線維変化型老年期認知症、神経節膠腫及び神経節細胞腫、髄膜血管腫症、亜急性硬化性全脳炎、鉛脳症、結節性脳硬化症、ハレルフォルデン-スパッツ病、リポフスチン沈着症、ピック病、大脳皮質基底核変性症、嗜銀顆粒病(AGD)、ハンチントン病、ならびに前頭側頭葉変性症が含まれる。
【0486】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、タウオパチー病を予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、タウオパチー病を有する個体において1つまたは複数のプログラニュリン活性を誘導することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、タウオパチー病を有する個体において1つまたは複数のソルチリン活性を調節することができる。
【0487】
多発性硬化症
多発性硬化症(MS)は、散在性硬化症または散在性脳脊髄炎とも称され得る。MSは、脳及び脊髄の軸索周囲の脂肪ミエリン鞘が損傷し、脱髄及び瘢痕化ならびに広範囲の徴候及び症状をもたらす炎症性疾患である。
【0488】
MSの症状には、限定ではないが、感度の喪失または刺痛感などの感覚の変化、感覚減退及び感覚異常などの穿刺またはしびれ、筋力低下、クローヌス、筋痙攣、移動困難、運動失調などの協調及び平衡障害、構音障害などの発語困難または嚥下障害などの嚥下困難、眼振などの視覚障害、閃光感覚及び複視を含む視神経炎、疲労、急性または慢性疼痛、ならびに膀胱直腸障害、様々な程度の認知障害、うつ病または不安な気分の感情的な症状、通常の周囲温度よりも高い温度に曝されることに起因する現存の症状の悪化であるUhthoff現象、ならびに首を曲げる時に背中に走る電気的感覚であるLhermitte徴候が含まれる。
【0489】
一部の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、多発性硬化症を予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、多発性硬化症を有する個体において1つまたは複数のプログラニュリン活性を誘導することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、多発性硬化症を有する個体において1つまたは複数のソルチリン活性を調節することができる。
【0490】
緑内障及び黄斑変性
緑内障は、限定ではないが、視野欠損及び失明の原因になる視神経の損傷によって特徴づけられる疾患群を記述するものである。緑内障は通常、角膜下の前房における液の圧力(=眼内の圧力)が上昇することによって引き起こされる。緑内障は、視覚にとって重要な網膜神経節細胞の継続的な消失をもたらす。加齢黄斑変性症は通常、高齢者が罹患し、主に、視野の中心である黄斑で視野欠損が生じる。黄斑変性症は、限定ではないが、ドルーゼン、色素変化、視野の歪み、眼の出血、萎縮、視力低下、視野のぼけ、中心暗点、色覚低下及びコントラスト感度の低下を引き起こす。
【0491】
理論に束縛されることは望まないが、本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、緑内障及び黄斑変性を予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することができると考えられる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、緑内障及び黄斑変性を有する個体において1つまたは複数のプログラニュリン活性を誘導することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、緑内障及び黄斑変性を有する個体において1つまたは複数のソルチリン活性を調節することができる。
【0492】
変性椎間板疾患(DDD)
変性椎間板疾患(DDD)は、限定ではないが、椎間板(IVD)が広範な形態的及び生体力学的変化を受け、通常、腰痛を有する患者において臨床的に現れる疾患群を記述するものである。変性椎間板は典型的には、変性した線維軟骨と、修復を示唆する軟骨細胞クラスターとを示す。炎症は存在することもあれば、存在しないこともある。DDDにおける病理所見には、突出、脊椎分離、及び/または脊椎亜脱臼(脊椎すべり症)及び脊柱管狭窄が含まれる。
【0493】
理論に束縛されることは望まないが、本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、DDDを予防する、そのリスクを減少させる、及び/またはそれを処置することができると考えられる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、DDDを有する個体において1つまたは複数のプログラニュリン活性を誘導することができる。一部の実施形態では、抗ソルチリン抗体を投与することによって、DDDを有する個体において1つまたは複数のソルチリン活性を調節することができる。
【0494】
疼痛
疼痛は、限定ではないが、神経損傷から、例えば、外傷または疾患から生じる神経障害性疼痛を記述するものである。そのような損傷には、末梢神経及び/または脊髄に対する損傷も含まれ得る。ソルチリンアンタゴニストは、神経障害性疼痛を緩和することが示されている(Richner M et al.(2019)Sci.Adv.5:eaav9946.)
【0495】
キット/製品
本明細書では、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体を含む製品(例えば、キット)を提供する。製品は、本明細書に記載の抗体を含む1つまたは複数の容器を含んでもよい。容器は、限定されないが、バイアル、ボトル、ジャー、フレキシブルパッケージング(例えば、密封マイラーまたはプラスチックバッグ)などを含む、任意の適切な包装材料であってよい。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数回用量パッケージ)またはサブユニット用量であってもよい。
【0496】
一部の実施形態では、キットはさらに、第2の作用物質を含んでもよい。一部の実施形態では、第2の作用物質は、限定されないが、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液などを含む、薬学的許容される緩衝剤または希釈剤である。一部の実施形態では、第2の作用物質は、薬学的活性薬剤である。
【0497】
製品のいずれかの一部の実施形態では、製品はさらに、本開示の方法による取扱説明書を含む。取扱説明書は一般に、意図された処置のための投薬量、投薬スケジュール、及び投与経路に関する情報を含む。一部の実施形態では、これらの取扱説明書は、本開示の任意の方法に従って、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、ゴーシェ病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、アテローム硬化性血管疾患、正常な老化の望ましくない症状、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、長期うつ病、パーキンソン病、ハンチントン病、タウオパチー病、多発性硬化症、加齢黄斑変性、緑内障、変性椎間板疾患(DDD)、クロイツフェルト-ヤコブ病、正常圧水頭症、那須-ハコラ病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、混合型認知症、レビー小体型認知症、多発性萎縮症、シャイ-ドレーガー症候群、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性播種性脳脊髄炎、肉芽種性障害、サルコイドーシス、老化に伴う疾患、網膜色素変性、網膜変性、呼吸器感染症、敗血症、眼感染症、全身性感染、狼瘡、関節炎、及び創傷治癒から選択される疾患、障害、または損傷を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを有する個体を治療するための、本開示の単離抗体(例えば、本明細書に記載の抗ソルチリン)の投与の記載を含む。一部の実施形態では、疾患、障害、または損傷は、前頭側頭型認知症である。一部の実施形態では、取扱説明書は、抗ソルチリン抗体及び第2の作用物質(例えば、第2の薬学的活性薬剤)を使用するための取扱説明書を含む。
【0498】
診断用途
本開示の単離抗体(例えば、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体)は、診断実用性も有する。したがって、本開示は、個体または個体に由来する組織試料でのソルチリンタンパク質の検出などの診断目的のために、本開示の抗体またはそれらの機能的フラグメントを使用する方法を提供する。
【0499】
一部の実施形態では、個体は、ヒトである。一部の実施形態では、個体は、本開示の疾患、障害、または損傷に罹患している、またはこれを発症するリスクがあるヒト患者である。一部の実施形態では、診断方法は、生検標本、組織、または細胞などの生体試料においてソルチリンタンパク質を検出することを含む。本明細書に記載の抗ソルチリンを、生体試料と接触させ、抗原結合抗体が検出される。例えば、生検標本は、疾患関連細胞を検出及び/または定量化するために、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体で染色されてもよい。検出方法は、抗原結合抗体の定量化を含んでもよい。生体試料における抗体検出は、免疫蛍光顕微鏡検査、免疫細胞化学、免疫組織化学、ELISA、FACS分析、免疫沈降、またはマイクロ陽電子放射型断層撮影を含む当技術分野で公知の任意の方法で行われてもよい。ある特定の実施形態では、抗体は、例えば、18Fで放射性標識され、続いて、マイクロ陽電子放射型断層撮影分析を利用して検出される。抗体結合はまた、陽電子放射型断層撮影(PET)、X線コンピュータ断層撮影、単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)、コンピュータ断層撮影(CT)、及びコンピュータ体軸断層撮影(CAT)などの非侵襲的技術によって、患者において定量化されてもよい。
【0500】
他の実施形態では、本開示の単離抗体(例えば、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体)は、例えば、前臨床疾患モデル(例えば、非ヒト疾患モデル)から得られる脳標本のミクログリアを検出及び/または定量化するために使用され得る。したがって、本開示の単離抗体(例えば、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体)は、対照と比較して、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、アテローム硬化性血管疾患、那須-ハコラ病、または多発性硬化症などの神経系疾患または損傷のためのモデルにおける処置後の治療応答を評価する際に有用であり得る。
【0501】
本開示は、以下の実施例を参照することによって、より十分に理解されるであろう。しかしながら、これらは、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示全体にわたるすべての引用は、参照によって明示的に本明細書に援用される。
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する:
[1]ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、
(a)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(b)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRVS(配列番号30)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(c)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLES(配列番号3)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(d)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(e)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(f)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(g)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号26)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(h)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQGLLRSNGYNYLD(配列番号27)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(i)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号10)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;または
(j)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号21)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、前記抗体。
[2]前記抗ソルチリン抗体が:
(a)ソルチリンの細胞表面レベルを、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体によって生じる低下のレベルよりも大きく低下させる;
(b)プログラニュリンの細胞外レベルを、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体によって生じる上昇のレベルよりも大きく上昇させる;
(c)ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体によって生じる阻害のレベルよりも大きく阻害する;または
(d)(a)~(c)の任意の組み合わせを行う、[1]に記載の抗体。
[3]ヒトソルチリンについて、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体よりも1倍超から最高約2.1倍低い解離定数(KD)を有し、前記KDは、FACSによって決定される、[1]または[2]に記載の抗体。
[4]ヒトソルチリンについて、約5.0E-10M~約1.0E-9Mの範囲の解離定数(KD)を有し、前記KDは、FACSによって決定され、または約250~500pMの範囲のKDを有し、前記KDは、バイオレイヤー干渉法によって決定される、[1]~[3]のいずれかに記載の抗体。
[5]ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、及びアミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域が、アミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、前記抗体。
[6]ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、及びアミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域が、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、前記抗体。
[7]ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、
(a)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(b)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号58のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(c)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号59のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(d)配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(e)配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号58のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(f)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(g)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(h)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号78のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(i)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号79のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(j)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(k)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(l)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または
(m)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号72のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、前記抗体。
[8]ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、前記抗体。[9]ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、前記抗体。[10]ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、配列番号137のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号142のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、前記抗体。
[11]ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号142のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、前記抗体。
[12]IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスのものである、[1]~[9]のいずれかに記載の抗体。
[13]IgGクラスのものであり、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプを有する、[12]に記載の抗体。
[14](a)IgG1またはIgG2アイソタイプであり、かつFc領域が、アミノ酸置換をP331S位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである;
(b)IgG1アイソタイプであり、かつFc領域が、アミノ酸置換をL234A、L235A、及びP331S位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである;
(c)IgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプであり、かつFc領域が、アミノ酸置換をN297A位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである;または
(d)Fc領域が、アミノ酸置換をS267E及びL328F位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである、[13]に記載の抗体。
[15]IgG1アイソタイプであり、かつFc領域が、アミノ酸置換をL234A、L235A、及びP331S位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである、[14]に記載の抗体。
[16]前記ソルチリンタンパク質がヒトソルチリンタンパク質である、[1]~[15]のいずれかに記載の抗体。
[17]前記ヒトソルチリンタンパク質が配列番号81のアミノ酸配列を含む、[16]に記載の抗体。
[18]前記ソルチリンタンパク質が、野生型タンパク質、天然に存在するバリアント、または疾患バリアントである、[1]~[16]のいずれかに記載の抗体。
[19]ヒト抗体、二重特異性抗体、モノクローナル抗体、多価抗体、またはコンジュゲート抗体である、[1]~[18]のいずれかに記載の抗体。
[20]第1の抗原及び第2の抗原を認識する二重特異性抗体である、[19]に記載の抗体。
[21]前記第1の抗原がソルチリンであり、かつ前記第2の抗原が、血液脳関門を通過する輸送を促進する抗原である、[20]に記載の抗体。
[22]前記第2の抗原が、ソルチリン、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR-1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマシングルドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質形質導入ドメイン、TAT、Syn-B、ペネトラチン、ポリ-アルギニンペプチド、アンギオペップペプチド、バシギン、Glut1、CD98hc、及びANG1005からなる群から選択される、[21]に記載の抗体。
[23]ヒトソルチリンタンパク質に結合する抗体フラグメントである、[1]~[9]及び12~22のいずれかに記載の抗体。
[24]前記抗体フラグメントが、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2、Fv、またはscFvフラグメントである、[23]に記載の抗体。
[25][1]~[24]のいずれかに記載の抗体をコードする核酸配列を含む単離核酸。
[26][25]に記載の核酸を含むベクター。
[27][26]に記載のベクターを含む単離宿主細胞。
[28]ソルチリンに結合する抗体を産生する方法であって、[27]に記載の宿主細胞を、前記抗体が産生されるように培養することを含む、前記方法。
[29]前記宿主細胞によって産生される前記抗体を回収することをさらに含む、[28]に記載の方法。
[30][28]または29に記載の方法によって産生されるソルチリンに結合する単離抗体。
[31][1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
[32]疾患、障害、または損傷を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを有する個体を処置する方法であって、前記個体に、治療有効量の[1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗体または[31]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
[33]前記疾患、障害、または損傷が、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性播種性脳脊髄炎、網膜変性、加齢黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血症性ショック、細菌感染、関節炎、または変形性関節症からなる群から選択される、[32]に記載の方法。
[34]前記疾患、障害、または損傷が、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、及び筋萎縮性側索硬化症から選択される、[33]に記載の方法。
[35]神経炎症、短い軸索伸長及び異常な分枝によって特徴づけられる軸索変性症、ミクログリア活性化、ならびに炎症応答のうちの1つまたは複数を阻害することを必要とする個体において、それを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の[1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗ソルチリン抗体または[31]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
[36]創傷治癒、自食作用、及び凝集タンパク質のクリアランスのうちの1つまたは複数を促進することを必要とする個体において、それを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の[1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗ソルチリン抗体または[31]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
[37]関節炎を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを処置することを必要とする個体において、それを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の[1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗ソルチリン抗体または[31]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
[38]1種または複数の炎症誘発性メディエーターの発現を減少させることを必要とする個体において、それを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の[1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗ソルチリン抗体または[31]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
[39]前記1種または複数の炎症誘発性メディエーターが、IL-6、IL12p70、IL12p40、IL-1β、TNF-α、CXCL1、CCL2、CCL3、CCL4、及びCCL5からなる群から選択される、[38]に記載の方法。
[40]ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する方法であって、ソルチリンを発現する細胞を、[1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗ソルチリン抗体または[31]に記載の医薬組成物に曝露することを含む、前記方法。
[41]前記細胞がインビトロである、[40]に記載の方法。
[42]前記細胞がインビボである、[40]に記載の方法。
[43]前記細胞表面で発現されるソルチリンのレベルを低下させることをさらに含む、[40]~[42]のいずれかに記載の方法。
[44]プログラニュリンの細胞外レベルを上昇させる、[40]~[43]のいずれかに記載の方法。
[45]プログラニュリンのレベルを上昇させることを必要とする個体において、それを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の[1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗ソルチリン抗体または[31]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
[46]プログラニュリンのレベルを血漿中で上昇させる、[45]に記載の方法。
[47]プログラニュリンのレベルを脳脊髄液中で上昇させる、[45]に記載の方法。[48]ソルチリンのレベルを低下させることを必要とする個体においてそれを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の[1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗ソルチリン抗体または[31]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。[49]前記ソルチリンのレベルを末梢白血球において低下させる、[48]に記載の方法。
[50]前記個体が、プログラニュリンをコードする遺伝子に1つまたは複数の変異を有する、[32]~[34]及び45~49のいずれかに記載の方法。
[51]前記個体が、プログラニュリンをコードする遺伝子における1つまたは複数の機能喪失型変異についてヘテロ接合である、[50]に記載の方法。
[52]前記個体が前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、または筋萎縮性側索硬化症を有する、またはそのリスクがある、[50]または[51]に記載の方法。
[53]前記抗ソルチリン抗体が2種以上の抗ソルチリン抗体を含む、[32]~[52]のいずれかに記載の方法。
【実施例0502】
実施例1~3は、抗ヒトソルチリン抗体、S-60の親和性成熟バリアントの生成、ならびにSORT1についてのそれらの結合親和性だけではなく、SORT1発現の下方調節、PGRN分泌の増加、及びPGRN-SORT1結合の遮断におけるそれらの生物学的活性に関するそれらのバリアントの特徴づけを記載している。驚くべきことに、生物学的活性の改善は、親和性の上昇と必ずしも相関しないことが見い出された。
【0503】
実施例1:S-60バリアントの生成及びSORT1結合親和性の測定
次の実施例の目的は、抗ヒトソルチリン抗体、S-60の親和性成熟バリアントを生成すること、及びヒトソルチリン(SORT1)への親和性成熟抗体の結合を特徴づけることであった。
【0504】
S-60親和性成熟バリアント
ヒトソルチリン(SORT1)に対する親和性成熟抗体を生成し、SORT1へのそれらの結合を測定した。抗SORT1抗体、S-60、さらにS-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、及びS-60-9は、WO2016164637に記載されている。WO2016164637におけるS-60-9及びS60のV
H及びV
L配列は同一であり、S-60を本明細書では、その抗体を指すために使用する。WO2016164637におけるS-60-5、S-60-6、及びS-60-7のV
H及びV
L配列は同一であり、S-60-7を本明細書では、その抗体を指すために使用する。S-60が、SORT1レベルの強力な下方調節物質及びSORT1とPGRNとの間の結合の強力な遮断物質の両方であることが見い出された(例えば、WO2016164637中の表8~10ならびに
図6A及び10Dを参照されたい)。したがって、S-60をさらなる親和性成熟について選択した。
【0505】
抗SORT1バリアントS-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、S-60-14、S-60-15、S-60-16、S-60-18、S-60-19、及びS-60-24を下記のとおりに生成した。
【0506】
S-60親和性成熟バリアントの産生
抗SORT1抗体S-60を親和性成熟させた。簡単に述べると、多様な抗体ライブラリを、出発親抗体のそれぞれについて酵母において作製した。親和性成熟の第1のラウンドにおける多様性を、親重鎖HVR-H3及び軽鎖(LC)を重鎖(HC)のHVR-H1及びHVR-H2領域の既存の遺伝的多様性と組み合わせるための標準的な分子クローニング技術(「H1/H2」最適化と呼ばれる)を利用することによって作成した。親和性成熟の第2のラウンドでは、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)配列の両方を、特にHVR-H3を中心として最適化した。
【0507】
ライブラリをスクリーニングするために使用された選択圧力には、ヒトSORT1抗原平衡滴定、親抗体Fab競合反応速度、及び多特異性試薬による排除の使用が含まれた。次いで、FACSフローサイトメトリーを利用して、標準的な技術を使用することによって抗体を可視化し、選択した(例えば、Chao et al.Nature Protocols,2006を参照されたい)。次いで、所望の集団を追加の選択ラウンドに進めた。
【0508】
親和性成熟抗SORT1抗体を次のとおり精製した:クローンを飽和まで成長させ、次いで、振盪しながら30℃で48時間にわたって誘導した。誘導後、酵母細胞をペレット化し、精製のために上清を収集した。プロテインAカラムを使用して免疫グロブリンを精製し、酢酸(pH2.0)で溶出した。パパイン消化によってFab断片を生成し、CaptureSelect IgG-CH1アフィニティーマトリックス(LifeTechnologies)で精製した。
【0509】
SORT1への結合親和性の測定
抗SORT1抗体S-60及びその親和性成熟バリアントを、SORT1結合アッセイにおいて試験及び比較した。結合アッセイでは、ヒトSORT1を発現する安定なHEK293T細胞をトリプシン処理によって採取し、PBS中で洗浄し、カウントし、96ウェルU底プレートに1×105細胞/ウェルでプレーティングした。プレートを1,400rpmで3分間にわたって回転させ、一次抗SORT1または対照抗体をFACSバッファー(PBS+2FBS)に添加し、氷上で1時間にわたってインキュベートした。続いて、細胞を前のとおりに遠心し、FACSバッファーで3回洗浄した。次いで、細胞を抗ヒトAPCコンジュゲート二次抗体(BD Biosciences)と共にFACSバッファー中で30分間にわたって氷上でインキュベートした。細胞を再びFACSバッファーで3回洗浄し、BD FACS CantoまたはIntellicyt Flow Cytometerで分析した。結合を平均蛍光強度(MFI)として、GFP陽性細胞集団のPEチャネルで測定した。
【0510】
結果
SORT1への抗SORT1抗体の結合親和性を下記の表1に示す。すべての抗体をhuIgG1骨格で試験した。
表1:SORT1への結合親和性
*注:K
D値は、2つの実験の平均値を表す。
【0511】
抗SORT1抗体S-60-3、S-60-4、S-60-7、S-60-8、S-60-10、S-60-11、S-60-13、S-60-15、S-60-16、S-60-19、及びS-60-24は、SORT1への結合について、S-60と比較して、親和性の有意な改善を示した。特に、S-60-8及びS-60-15は、試験されたバリアントのうちで、SORT1への最高の結合親和性を実証し、親抗体S-60の結合親和性と比較して、それぞれ2.46及び2.05倍上昇した倍数変化を有した。
【0512】
実施例2:SORT1発現及びPGRN分泌に対するS-60バリアントの効果
次の実施例の目的は、SORT1発現及びプログラニュリン(PGRN)の細胞外レベルに対する抗ヒトSORT1抗体S-60の親和性成熟バリアントの効果を特徴づけることであった。
【0513】
SORT1発現及びPGRN分泌アッセイ
S-60の親和性成熟バリアントを実施例1に記載のとおりに生成し、その後、FACSによって、SORT1を下方制御し、PGRNの細胞外レベルを上昇させるそれらの能力についてスクリーニングした。SORT1発現及びPGRN分泌に対する抗SORT1抗体の効果をアッセイするために、SORT1を内因発現し、かつPGRNを分泌するU251細胞を抗SORT1抗体S-60及び親和性成熟バリアントと共にインキュベートした。種々の抗体濃度でのSORT1の細胞表面レベルを、次のとおりにFACSによって測定した:抗SORT1抗体S-60及び親和性成熟バリアントを、3×103細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種されたU251細胞に、0.023nM~150nMの系列希釈法で添加した。72時間後に、細胞をトリプシンで採取し、PBSで洗浄し、Dylight-650コンジュゲート抗SORT1抗体S-2-11(WO2016164637に記載)で標識して、残りのSORT1タンパク質のレベルを定量化した。細胞を5μg/mlの、DyLight-650(Invitrogen)にコンジュゲートしたS-2-11と共に1時間にわたって氷上でインキュベートした後に、細胞をPBS+2FBS中で3回洗浄し、結合を、FACSCanto(商標)またはIntellicytフローサイトメーターを使用してAPCの平均蛍光強度(MFI)として定量化した。
【0514】
72時間の間に細胞上清に分泌されたPGRNの量を、標準的なELISAによって次のとおりに測定した:細胞を採取し、培地を収集し;培地試料中のPGRNの濃度を、製造者指示に従ってR&D SystemsヒトPGRN Duoset ELISAキットを使用して測定した。データをMicrosoft Excel及びGraphPad Prismで解析した。
【0515】
結果
試験されたS-60バリアントのそれぞれでの、SORT1の細胞表面レベルの下方調節(DR)についての50%効果濃度(EC50)を表2に示す。SORT1 DRを、試験された各S-60バリアントについて定量化し、対照(未処理細胞)に対するパーセントとして表した(表2~4)。加えて、表2~4に示されているとおり、細胞外PGRN分泌のレベルを定量化し、未処理対照に比べての倍数変化として表した。独立した実験が、別々の表で表されている(表2~4)。すべての抗体をhuIgG1 WT骨格で試験した。
【0516】
表2:S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-7、及びS-60-8でのSORT1下方制御(DR)及びPGRN分泌のパーセント
表3:
S-60、S-60-3、S-60-24、S-60-15、S-60-16、S-60-18、及びS-60-19でのSORT1下方制御(DR)及びPGRN分泌のパーセント
表4:S-60-24、S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、及びS-60-14でのSORT1下方制御(DR)及びPGRN分泌のパーセント。
【0517】
SORT1 DR EC50、0.6nM IgGの飽和抗体濃度を使用してのSORT1 DRのパーセント、及び0.62または0.63nM IgGの飽和抗体濃度を使用してのPGRN分泌を分析する第1の実験では、次のバリアントを試験した:S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-7、及びS-60-8。表2に示されているとおり、S-60-3は、最低のDR EC50(0.269nM)及び最高のPGRN分泌(対照と比べて1.77倍の上昇)、及び対照に対して1.38倍の上昇を示したS-60を上回る改善を実証した。0.6nM IgGを使用すると、S-60-1は、試験されたバリアントのうち、SORT1発現に対して最も著しい効果を示し、対照と比較してSORT1を50.4%下方調節した一方で、S-60は、SORT1を29.3%下方調節した。
【0518】
その後の実験では、1.25nM IgGの飽和抗体濃度を使用してのDRのパーセント、及び0.63nM IgGの飽和抗体濃度を使用してのPGRN分泌を、次のバリアントについて分析した:S-60、S-60-3、S-60-24、S-60-15、S-60-16、S-60-18、及びS-60-19。表3に示されているとおり、S-60-15及びS-60-16の両方が、対照と比較して1.42倍の上昇で、最高レベルの細胞外PGRN分泌、対照に対して1.11倍の上昇を示すS-60を上回る改善を実証した。実際に、これら2種のバリアントはまた、S-60と比較してSORT1発現を有意に減少させ、SORT1を対照と比べてそれぞれ60.92%及び70.14%下方調節した一方で、S-60は、SORT1を40.17%しか下方制御しなかった。
【0519】
第3の実験では、0.63nM IgGの飽和抗体濃度を使用してのDRのパーセント、及び0.63nM IgGの飽和抗体濃度を使用してのPGRN分泌を次のバリアントについて分析した:S-60-24、S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、及びS-60-14。表4に示されているとおり、S-60-11及びS-60-12は、最高量の細胞外PGRN分泌を、対照と比較して1.89倍の上昇で示した。S-60-11はまた、0.63nM IgGで最高のSORT1 DRを実証し、SORT1を対照と比べて88.76%下方調節した。
【0520】
結論
実施例1の表1に示されているとおり、S-60-8及びS-60-15は、それぞれ4.68E-10M及び5.60E-10の最低KD値で、S-60及び試験された他のS-60バリアントと比較して、SORT1への結合について最高の親和性を実証した。しかしながら、8.56E-10M(表1)の高いKD値を有する特異的なバリアントS-60-3と比較した場合、S-60-8は、PGRN分泌においてより小さな増加を示したが(表2)、S-60-15は、S-60-3が示したよりも、PGRN分泌においてより高い倍数増加を示した(表3)。加えて、S-60-8(0.6nM IgGの飽和濃度で)は、SORT1をそれぞれ61.50%及び60.92%下方調節したS-60-3及びS-60-15(1.25nM IgGの飽和濃度で)と比較して(表3)、SORT1発現のより低いパーセントの減少を実証した(表2)。したがって、S-60-15は、PGRN分泌の増加に関して、S-60-3よりも良好に機能し、SORT1の細胞表面レベルの下方調節においては、S-60-3と比較して同様の効果を示した一方で、S-60-8は、PGRN分泌の増加及びSORT1の細胞表面レベルの下方調節に関しては、S-60-3よりも劣悪に機能した。
【0521】
この研究結果は、SORT1発現の下方調節またはPGRN分泌の増加に関する抗SORT1 S-60抗体バリアントの相対有効性が、ソルチリンについてのそれらの相対結合親和性によっては予期されないことを示している。
【0522】
さらに、S-60-15は、S-60及びS-60-3を含むある特定のS-60バリアント(表3、最後の列)と比較して、PGRN分泌の最大の増加を示した。次いで、S-60-3は、S-60-1、-2、-4、-7、及び-8(表2、最後の列)と比べてPGRN分泌の増加を示した。したがって、S-60-15は、そのS-60バリアントと比べて、PGRN分泌の増加に有効な抗体である。PGRN分泌を増大させる能力は、PGRN欠乏が直接的な原因の役割を果たしているFTD及び他の病態などの疾患を処置するための治療用抗体を選択する際の重要な特性である。そのような抗体は、PGRNレベルを野生型レベルに、またはその近くまで回復させ、それによって、疾患を処置するのに有用であろう。さらに、この特性は、インビボで抗体活性を評価する際の重要な薬力学的パラメータである(下記の実施例5を参照されたい)。
【0523】
実施例3:S-60バリアントはSORT1へのPGRNの結合を遮断する
次の実施例の目的は、SORT1と天然リガンドPGRNとの間の結合相互作用に対する抗ヒトSORT1抗体S-60の親和性成熟バリアントの効果を特徴づけることであった。
【0524】
SORT1-PGRN遮断アッセイ
SORT1へのPGRNの結合を遮断するS-60バリアントの能力も試験した。組換えヒトPGRN(PGRN)(Adipogen)を、製造者指示に従ってThermoScientific/Pierce製のEZ-Link Micro NHS-PEG4キットでビオチン化した。全長非標識ヒトSORT1(SORT1)を発現する安定な細胞株を、HEK293T細胞のウイルス感染、及びハイグロマイシンでの陽性選択によって樹立した(Genscriptカスタムプロジェクト)。対照細胞として、親HEK293T細胞を利用した。
【0525】
SORT1発現細胞または対照細胞を採取し、PBS中で洗浄した。ビオチン化ヒトPGRNをPBS+2%FBS中に、滴定の抗SORT1抗体または対照ヒトIgG1アイソタイプ抗体を伴って、または伴わずに添加し、2時間にわたって氷上でインキュベートした。細胞をPBS+2%FBS中で3回洗浄した後に、細胞をストレプトアビジン-APC(BD Biosciences、1:100)中で、氷上で30分間にわたってインキュベートした。次いで、細胞を再び洗浄し、PBS+2%FBS中に再懸濁し、FACSCanto(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences、Mississauga、ON)で分析した。PGRN結合をSORT1発現細胞集団のAPCの平均蛍光強度(MFI)として測定した。HEK293T細胞上に発現されるSORT1へのビオチン化PGRNの結合を、S-60及びそのバリアント抗体の非存在または存在下でFACSによって測定した。
【0526】
結果
試験されたS-60バリアントのそれぞれでのSORT1へのPGRN結合を遮断する50%効果濃度(EC
50)を表5~7に示す。加えて、SORT1に対してPGRNを遮断する最大レベルを定量化し、50nM IgGまたは150nM IgGの飽和濃度を使用して達成された最大遮断のパーセンテージとして表した(表5~7)。独立した実験は、下で別々の表に示されている。
表5:S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-7、S-60-8、及びS-60での、HEK293T細胞上に発現されるSORT1へのPGRN結合の遮断
表6:S-60、S-60-3、S-60-24、S-60-15、S-60-16、S-60-18、及びS-60-19での、HEK293T細胞上に発現されるSORT1へのPGRN結合の遮断
表7:S-60-24、S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、及びS-60-14での、HEK293T細胞上に発現されるSORT1へのPGRN結合の遮断
【0527】
PGRN結合の遮断EC50及び150nM IgGの飽和最大濃度でのSORT1へのPGRN結合の遮断のパーセンテージを分析する第1の実験では、次のバリアントを試験した:S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-7、S-60-8、及びS-60。表5に示されているとおり、S-60-4は、SORT1へのPGRN結合の95.7%遮断に達する、最低のEC50値(0.584nM)を実証した。分析されたバリアントのうち、S-60-7がPGRN結合の最大の減少を示し、SORT1へのPGRN結合の96.5%を遮断したが、PGRN結合の遮断ではS-60ならびにバリアントS-60-3及びS-60-4よりも低い効率(高いEC50値)を示した。
【0528】
SORT1へのPGRN結合遮断EC50及び50nM IgGの飽和濃度でのPGRN結合遮断のパーセンテージを分析するその後の実験では、次のバリアントを試験した:S-60、S-60-3、S-60-24、S-60-15、S-60-16、S-60-18、及びS-60-19。表6に示されているとおり、S-60-24、S-60-15、及びS-60-16は、1.11nM~1.22nMの範囲で、S-60と比較して最低のEC50値を示した。さらに、S-60-15バリアントは、S-60と比較して最強の効力を示し、SORT1へのPGRN結合の90.74%遮断を達成した。
【0529】
第3の実験では、次のバリアントを試験した:S-60-24、S-60-10、S-60-11、S-60-12、S-60-13、及びS-60-14。表7に示されているとおり、S-60-11は最低のEC50(0.410nM)を示し、SORT1へのPGRN結合の94.97%遮断を達成した。分析されたバリアントのうち、S-60-24が、PGRN結合の最大の減少を示し、SORT1へのPGRN結合の95.64%を遮断した。
【0530】
結論
実施例1の表1に示されているとおり、S-60-8及びS-60-15は両方とも、S-60及び試験された他のS-60バリアントと比べて、SORT1への結合について最高の親和性を実証し、その際、S-60-8が、SORT1について最高の親和性を有した。しかしながら、S-60と比較すると、S-60-8が、PGRNへの結合の遮断ではより低い効率(S-60と比べて高いEC50値)を示した一方で(表5)、S-60-15は、PGRNへの結合の遮断では、より高い効率を示した(S-60と比べてEC50値の低下)(表6)。さらに、S-60-8は、S-60と比較して、より小さいSORT1へのPGRN結合の最大遮断パーセント(表5)を実証した一方で、S-60-15は、S-60と比べて、より大きなSORT1へのPGRN結合の最大遮断パーセントを示した(表6)。したがって、S-60-15は、S-60-8が、S-60-15と比較して、より高いSORT1への親和性結合を示したという事実にも関わらず、S-60と比較して、SORT1へのPGRN結合の遮断におけるEC50値及びSORT1へのPGRN結合の遮断の最大パーセンテージに関しては、S-60-8よりも良好に機能した。
【0531】
したがって、この研究の結果は予想外にも、SORT1へのPGRN結合度の遮断に関する抗SORT1 S-60抗体バリアントの相対有効性は、SORT1へのそれらの相対結合親和性によっては予測されなかったことを示している。
【0532】
実施例4:S-60-15の安定性及びストレス試験分析
次の実施例の目的は、様々なストレス試験条件下での安定性について、先行する実施例に記載のS-60-15、S-60の親和性成熟バリアントを特徴づけることであった。
【0533】
医療用抗体の安定性は、臨床有効性のために重要である。製造、貯蔵、及びインビボ投与の間、治療用抗体は、多数の経路によって分解されるリスクがある。そのような分解を担う因子は、未だ十分には理解されていない。S-60-15が、SORT1について高い結合親和性を実証し(実施例1を参照されたい)、SORT1の細胞表面レベルを効果的に低下させ、かつ細胞外PGRN分泌を増加させ(実施例2を参照されたい)、さらには、SORT1へのPGRN結合を実質的に遮断し(実施例3を参照されたい)、かつ予想外にも、これらの機能性試験を、SORT1についてより高い親和性を示したS-60-8よりも良好に果たしたことを考慮して、S-60-15を安定性についてさらに評価した。
【0534】
pH及び温度ストレス試験
S-60-15内のアミノ酸残基の安定性を測定するために、S-60-15の試料を、pH及び温度ストレス条件にかけて、製造、貯蔵、及びインビボ投与の間に生じるストレス条件を模倣した。簡単に述べると、S-60-15の個々の試料を、pH3.5またはpH5.0で、かつ40℃または50℃でのストレス試験にかけた。試料を様々な時点で、2つのpH条件では0、1、3及び5日間、ならびに高温ストレスでは及び0、7、14及び30日間で、DTT及びIAAで処理し、続いて、トリプシン消化することによって試験した。消化された試料を、質量分光検出を伴う液体クロマトグラフィーによって、Xevo G2-XS QTOF質量分析計に連結されたWaters ACQUITY UPLCを使用し、BEH C18カラムを使用して分析した。結果を表8に示す。
【0535】
【0536】
ストレスで翻訳後修飾(PTM)を受ける可能性を有するアミノ酸を同定し、ストレスを受けた試料から生成された対応するペプチドフラグメントを動態学的に追跡した。結果によって、2つのアスパラギン-グリシン部位(S-60-15の重鎖のFc領域(配列番号11)中の1つ及び軽鎖のFab領域(配列番号15)中の1つ)がPTMを最も受けやすいことが確認され、30日間にわたる50℃貯蔵にかけた後に、それぞれ45.9%及び65.6%の脱アミドを示した。他のPTMまたは切断部位は、ストレス試験で、顕著なPTMまたは分解を示さなかった。
【0537】
アスパラギン(N33)部位の脱アミド
S-60-15の重鎖のFc領域におけるいずれの脱アミドも、その領域がSORT1と直接的に相互作用しないので、SORT1へのS-60-15の結合親和性に影響を及ぼすはずがない。しかしながら、S-60-15のFab領域におけるアスパラギン(N33)部位は、HVR-L1(配列番号8)、抗原結合に関与する軽鎖の相補性決定領域にある。したがって、S-60-15のFab領域中のアスパラギン(N33)部位の脱アミドは、SORT1へのS-60-15の結合親和性に影響を及ぼし得る。脱アミドで、S-60-15のFab領域中のアスパラギン(N33)部位は、AsnからAsp/IsoAspへの変化を受ける。
【0538】
特定部位の変異誘発を利用して、S-60-15のFab領域中のアスパラギン(N33)部位の脱アミドの効果、ならびに分解及び脱アミドの可能性を減少させる潜在的なアミノ酸置換、ならびに生じる製造負債(manufacturing liability)を試験した。S-60-15huIgG1のHVR-L1 N33位に対して17つの異なる点変異を生成し、標準的な手順を使用して配列決定した。L234A/L235A/P331S(「LALAPS」モチーフ)変異を含むG1m3またはG1m(f)アロタイプをバックグラウンドとして使用した(Jefferis R nad Lefranc M-P,Mabs,2009 Jul-Aug;1(4):332-338)。LALAPS点変異は、Fcガンマ受容体結合、補体活性化、及び抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)などのエフェクター機能を最小化することによって、全体安全性を改善することが意図されている。LALAPS変異の結果としてのFcガンマ受容体結合、補体活性化、及びADCCの減少は、様々な実験で観察されている(データは図示せず)。バイオレイヤー干渉法(BLI)データを5Hzの速度で、25℃で、Pall ForteBio Octet RED96機器で収集した。データ分析をForteBio Data Analysis Software、バージョン9.0を使用して行った。標準的な反応速度バッファー(PBS、0.1BSA、0.02Tween-20、pH7.2)をアッセイ及び試薬の調製で使用した。すべてのアッセイで、分析前に、センサーチップをバッファー中で平衡化させた。
【0539】
初期オフレートスクリーニングのために、S-60-15 LALAPS N33及びN33X変異体(1μg/mL、負荷時間300秒)をAnti-Human IgG Fc Capture Dip及びReadバイオセンサー(Pall ForteBio、Menlo Park、CA)上で捕捉した。次いで、20nMのヒスチジン標識ヒトSORT1(R&D Systems、Minneapolis、MN)を、捕捉された抗SORT1表面に結合させた(会合時間200秒、解離時間1200秒)。生じたBLIシグナルを、応答における基準(1μg/mL S60-15+0nM SORT1)センサーとの差異として得た。ゼロリガンド対照(0μg/mL IgG+20nM SORT1)は、センサーチップ表面への抗原の測定可能な非特異的結合を示さなかった。1:1相互作用モデルを使用する全、ローカルフィッティングを適用して、各N33変異での会合及び解離速度定数(それぞれk
a及びk
d)を得た。親和定数(K
D)を比k
d/k
aから計算した。表9に示されているとおり、種々のアミノ酸置換をN33で作製し、オフレートスクリーン(非ストレス条件下)で、SORT1への結合を試験した。
表9:SORT1へのS-60-15 N33X変異体結合で得られたk
a、k
d、及びK
D
注:k
a、k
d、及びK
Dは、複数回の実験からの平均値を表す。
【0540】
このN33X変異体パネルのスクリーニングによって、N33の脱アミドを模倣しているS-60-15.5抗体(N33D)が、N33野生型(wt)での270pMと比較して、1000pMのKDで結合の有意な減少をもたらしたことが示された(表9)。対照的に、S-60-15.1抗体(N33T)は、SORT1に対するS-60-15親和性の最良の維持を有し、パネルにおいて最も小さい野生型とのKD差を示した(表9)。
【0541】
加えて、複数の濃度のSORT1を使用する完全な反応速度分析を、huIgG1及びhuIgG1 LALAPSとしてのS-60-15.1[N33T]について、独立した実験で行った。反応速度データを表10に示す。反応速度データは、S60-15.1[N33T]が、huIgG1及びhuIgG1 LALAPSの両方として高親和性抗体であることを示す。
【0542】
表10:huIgG1及びhuIgG1 LALAPSとしてのS-60-15.1[N33T]でのSORT1結合反応速度データ。
【0543】
細胞結合及び機能性
続いて、huIgG1及びhuIgG1 LALAPSの両方としてのS-60-15.1[N33T]、ならびにS-60-15.5[N33D]を下記のとおり、細胞結合及び機能性について試験した。
【0544】
すでに記載したとおり、親和性成熟抗体S-60、S-60-15.1[N33T]及びS-60-15.5[N33D]を、HEK293T細胞上に発現されるヒトSORT1への結合について並べて試験した。結果を表11に示す。huIgG1またはhuIgG1 LALAPSとしてのS-60-15.1[N33T]は、S-60よりも高い親和性(表11)を、より低いK
d及びより高いB
maxと共に示した。Fcバリアントは、親和性に対する効果を有さず、S-60-15.1[N33T]huIgG1対huIgG1 LALAPSのK
d及びB
maxにおいてわずかな差のみを有すると考えられた。S-60-15.5[N33D]の完全に脱アミド化されたバージョンは、ヒトSORT1発現細胞へのいずれの有意な結合も示さず(表11、N.B.(結合なし))、N33残基のアミド化が標的結合に必須であることを示唆した。
表11:FACSによって測定した場合の細胞結合親和性値
【0545】
SORT1を内因発現し、かつPGRNを分泌するU251細胞を、種々の濃度の抗SORT1抗体S-60、S-60-15.1[N33T]またはS-60-15.5[N33D]と共にインキュベートし、実施例2に記載されているとおり、SORT1の細胞表面レベルをFACSによって測定した。対照は、未処置細胞であった。ソルチリン下方調節のパーセンテージを定量化するために、150nM IgGの飽和抗体濃度を使用した。PGRN分泌を定量化するために、50nM IgGの飽和抗体濃度を利用した。結果を表12に示す。huIgG1またはhuIgG1 LALAPSとしてのS-60-15.1[N33T]は、SORT1の有意な下方制御及びPGRN分泌の増加をもたらした。SORT1の下方制御のレベル及びPGRN分泌の増加のレベルは両方とも、S-60と比較して、huIgG1またはhuIgG1 LALAPSとしてのS-60-15.1[N33T]において有意に改善された。huIgG1としてのS-60-15.1[N33T]は、huIgG1 LALAPSとしてのS-60-15.1[N33T]と比較して、EC
50及びSORT1下方調節パーセントにおいてわずかな低下のみを実証し、PGRN分泌のわずかな倍数増加を有した。対照的に、S-60-15.5[N33D]の完全に脱アミド化されたバージョンは、これらの機能性アッセイのそれぞれで、S-60よりも劣悪に機能した;SORT1の有意な下方制御を示さず、かつ分泌PGRNレベルのごくわずかな変化を有した。
表12:S60抗体バリアントによる細胞表面SORT1の下方制御(DR)
【0546】
実施例3に記載のとおり、HEK293T細胞上に発現されるSORT1へのビオチン化PGRNの結合を、抗SORT1抗体S-60、S-60-15.1[N33T]及びS-60-15.5[N33D]の存在または非存在下でFACSによって測定した。結果を表13に示す。150nM IgGの飽和抗体濃度を使用して、SORT1へのPGRN結合の遮断のパーセンテージを定量化した。
表13:HEK293T細胞上に発現されるSORT1へのPGRN結合の遮断。
【0547】
LALAPSを含む、及び含まないS-60-15.1[N33T]バリアントは両方とも、S-60-15.5と比較して、さらに、S-60と比較して、最低のEC50値及び最高レベルのSORT1へのPGRN結合の遮断を実証した。したがって、S-60-15.1[N33T]は、SORT1へのPGRN結合の遮断において、S-60及びS-60-15.5よりも良好に機能した。
【0548】
まとめると、S-60-15は、貯蔵ストレス下でN33での広範な脱アミドを受けることが見い出され(表8を参照されたい)、これは、分解の可能性を増加させ、製造負債をもたらす。すでに記載の抗SORT1抗体S-60ならびにバリアントS-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-7、及びS-60-8も、VLの33位にアスパラギンを含有する。特に、HVR-L1部位内のN33脱アミド部位の位置はおそらく、SORT1へのS-60-15の結合に影響を及ぼす。試験された複数のS-60-15バリアントのうちの1種であるS-60-15.1[N33T]は、S-60-15と比較して、SORT1への有意な結合親和性を維持し(表9を参照されたい)、S-60と比較して、SORT1への結合親和性の有意な改善を示した(表11を参照されたい;表1のS-60-15WTと比較されたい)。HVR-L1残基が抗原と接触し得るので、結合親和性のこの高い維持は、HVR-L1内に好ましくない置換を有する抗体では予測されなかった。また予想外に、S-60-15.1[N33T]バリアントは、S-60と比較して、SORT1の下方制御の増加、PGRNの分泌の増加、及びSORT1へのPGRN結合の遮断の増加を維持した(表12及び13を参照されたい)。HVR配列の好ましくない置換も同様に抗体の機能的特徴に負の影響を及ぼすと予測されたであろうことから、これらの結果も予測されなかった。代わりに、S-60-15.1[N33T]は、VLの33位での製造負債の除去によってすでに記載の抗体よりも安定していることに加えて、細胞表面SORT1を下方調節する、PGRN分泌を増加させる、及びSORT1へのPGRNの結合を遮断する望ましい特性を維持する。
【0549】
実施例5:非ヒト霊長類での抗ソルチリン抗体のPK及びPD
この実施例では、静脈内(IV)投与された抗ソルチリン抗体S-60-15.1[N33T]LALAPSの薬物動態(PK)及び薬力学(PD)を非ヒト霊長類において決定した。
【0550】
材料及び方法
単回投与薬物動態及び薬力学研究
単回投与薬物動態研究のために、カニクイザルに、抗ソルチリン抗体を0日目に、5mg/kg、20mg/kg、60mg/kg、または200mg/kgの単回IV投与によって投与した(n=1用量あたり動物3匹)。血液及びCSFを、その後の複数時点で動物から採取して、抗ソルチリン抗体薬物動態の尺度である血漿及び脳脊髄液(CSF)中の抗ソルチリン抗体濃度を得た。薬力学の尺度であるプログラニュリン(PGRN)濃度及び白血球(WBC)上のソルチリン(SORT1)のレベルも決定した。
【0551】
抗ソルチリン抗体濃度を、抗ソルチリン抗体特異的抗イディオタイプ抗体を用いるELISAアッセイを使用してアッセイした。PGRN濃度を、市販のELISAキットでアッセイした。白血球上のSORT1のレベルを、ELISAアッセイを使用してアッセイし、タンパク質濃度に対して正規化した。
【0552】
結果
表14は、試験された抗ソルチリン抗体用量のそれぞれについての血漿平均C
max、平均AUC、及びt
1/2を示している。
表14.示されている抗ソルチリン抗体用量でのC
max、平均AUC、及びt
1/2(各用量でn=3)。
【0553】
図1Aに示されているとおり、末梢白血球中のSORT1発現レベルは、試験された抗ソルチリン抗体用量のいずれでも非ヒト霊長類を処置した後に低下した。より多い抗ソルチリン抗体用量(60mg/kg、200mg/kg)は、より低い抗ソルチリン抗体用量(5mg/kg、20mg/kg)と比較して、末梢白血球中のSORT1レベルのより早期及びより長期の低下の両方をもたらした。
【0554】
PGRNのレベルは、抗ソルチリン抗体の単回IV注射を投与された非ヒト霊長類の血漿中において、時間及び用量依存的に上昇した(
図1B)。特に、血漿中PGRNレベルは、試験されたすべての抗ソルチリン抗体用量について、基線レベルと比較して、C
maxで3~4倍上昇した。血漿中PGRNレベルは、高い抗体用量では、長期間にわたって上昇したままであった。加えて、血漿中PGRNレベルの上昇は、末梢白血球でのSORT1の発現レベルの低下と相関した。
【0555】
CSF中のPGRNのレベルも、抗ソルチリン抗体の単回IV注射を投与された非ヒト霊長類で上昇した。
図1Cに示されているとおり、CSF中PGRNレベルは、20mg/kg、60mg/kg、または200mg/kgのいずれかを投与された動物において、基線に対して2~3倍上昇した。血漿中PGRNレベルで観察されるとおり、CSF中PGRNレベルは、より高い抗体用量群では、長時間にわたって上昇したままであった。
【0556】
表15は、非ヒト霊長類における、試験された抗ソルチリン抗体用量のそれぞれでのCSF平均C
max、平均AUC、及びt
1/2を示している。抗ソルチリン抗体CSF濃度は平均で、血漿中で観察された量の約0.1%であった。
表15.非ヒト霊長類における抗ソルチリン抗体CSF PKパラメータ及び推定半減期。
【0557】
反復投与の薬物動態及び薬力学研究
さらなる薬物動態及び薬力学研究を、反復投与レジメンにしたがって抗ソルチリン抗体を投与された非ヒト霊長類で行った。これらの研究では、動物(雄2匹及び雌2匹)に、抗ソルチリン抗体を60mg/kgの用量で、週1回、4週間にわたって投与した。その後の様々な時点で、末梢白血球でのSORT1発現レベルを決定した。加えて、抗ソルチリン抗体の血漿及びCSF中レベルを決定した。
【0558】
図2Aに示されているとおり、末梢白血球におけるSORT1レベルは、研究期間を通じて低下したままであった。血漿中PGRNレベルは、ピークレベルでは、基線の5~6倍に上昇した(
図2B)。血漿中PGRNの減少が、抗ソルチリン抗体の4回目及び最終回の投与後に観察されたが;しかしながら、血漿中PGRNレベルは、基線の2倍に上昇したままであった。加えて、CSF中PGRNレベルは、基線の3~4倍に上昇した(
図2C)。
【0559】
平均Cmax及びAUC0-168によって推定された全身抗ソルチリン抗体曝露は、1日目は2100μg/mL及び114,000μg/mL×時間、ならびに22日目は3020μg/mL及び174,000μg/mL×時間であった。これらの結果は、曝露が1日目と比較して22日目で高いことを示し、抗体の多少の蓄積を示した。
【0560】
これらの動物における抗ソルチリン抗体のCSF濃度は、血漿中で観察されたものの0.03%~0.12%の範囲であり、CSF中の他の抗体の分布と一致した(Pestalozzi et al.,(2000)J Clin Oncol 18(11):2349-51;Petereit et al.,(2009)Mult Scler 15(2):189-92)。
【0561】
まとめると、これらの結果は、S-60-15.1[N33T]バリアントは、相対的に短い半減期を有するにもかかわらず、in vivoでの持続的活性、末梢白血球でのSORT1レベルの低下ならびに血漿及びCSF中PGRNレベルの上昇を有することを示している。
【0562】
さらに、4週間及び26週間反復投与毒性学研究の両方でのカニクイザルへのS-60-15.1[N33T]のIV投与は、毎週、最高200mg/kgで忍容性が良好であり、サイトカイン放出、死亡率、体重、呼吸速度及び深度、ならびに注射部位での局所耐容性の評価を含む、それらの、及び他の毒性学研究に基づき、ヒトにおける臨床研究の実行を排除するであろう不利な所見はなかった。したがって、S-60-15.1[N33T]は、本明細書において企図されているとおりのFTD及び他の適応症のヒト臨床研究において試験するために適している。
【0563】
抗ソルチリン抗体の投与による毒性に関して不利な所見が存在しないことは、ソルチリンが複数のリガンドの受容体として作用し、かつ細胞輸送及びシグナル伝達において多数の役割を有するという事実(Nykjaer、A et al.,(2012)Trends Neurosci 35:261-270)を考慮すると、驚くべきことであった。ソルチリンの多数のリガンド及び機能的役割によって、抗ソルチリン抗体の投与は、オフターゲット作用をもたらすと予測されたかもしれないが;しかしながら、S-60-15.1[N33T]抗体は、投与された用量で、忍容性が良好であった。
S-60抗体バリアントのV
H領域の配列、S-60とのアラインメント、及びHVR位置
S-60抗体バリアントのV
L領域の配列、S-60とのアラインメント、及びHVR位置
表16:抗SORT1抗体の重鎖HVR H1配列
表17:抗SORT1抗体の重鎖HVR H2配列
表18:抗SORT1抗体の重鎖HVR H3配列
表19:抗SORT1抗体の軽鎖HVR L1配列
表20:抗SORT1抗体の軽鎖HVR L2配列
表21:抗SORT1抗体の軽鎖HVR L3配列
表22:抗SORT1抗体の重鎖フレームワーク1配列
表23:抗SORT1抗体の重鎖フレームワーク2配列
表24:抗SORT1抗体の重鎖フレームワーク3配列
表25:抗SORT1抗体の重鎖フレームワーク4配列
表26:抗SORT1抗体の軽鎖フレームワーク1配列
表27:抗SORT1抗体の軽鎖フレームワーク2配列
表28:抗SORT1抗体の軽鎖フレームワーク3配列
表29:抗SORT1抗体の軽鎖フレームワーク4配列
表30:抗SORT1抗体の重鎖可変領域配列
表31:抗SORT1抗体の軽鎖可変領域配列
表32:ソルチリンアミノ酸配列
表33:S-60-15ペプチド配列
表34:Fcドメインアミノ酸配列
表35:全長重鎖アミノ酸配列
表36:全長軽鎖アミノ酸配列
【0564】
[配列表]
SEQUENCE LISTING
<110> Alector LLC
<120> ANTI-SORTILIN ANTIBODIES AND METHODS OF USE THEREOF
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<151> 2019-06-28
<150> US 62/860,184
<151> 2019-06-11
<150> US 62/698,007
<151> 2018-07-13
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20
<210> 43
<211> 23
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<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic Construct
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Asp Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Leu Ser Leu Pro Val Thr Pro Gly
1 5 10 15
Glu Ser Ala Ser Ile Ser Cys
20
<210> 44
<211> 23
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Gly Val Pro Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr
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Gly Val Pro Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr
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Gly Val Pro Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr
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Gly Val Pro Asp Arg Leu Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr
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20 25 30
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1 5 10 15
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20 25 30
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Gln Val Gln Leu Gln Glu Ser Gly Pro Gly Leu Val Lys Pro Ser Glu
1 5 10 15
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20 25 30
Tyr Tyr Trp Gly Trp Ile Arg Gln Pro Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp
35 40 45
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50 55 60
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65 70 75 80
Leu Lys Leu Ser Ser Val Thr Ala Ala Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Gln Gly Ser Ile Gln Gln Gly Tyr Tyr Gly Met Asp Val Trp
100 105 110
Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser
115 120
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<223> Synthetic Construct
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Gln Val Gln Leu Gln Glu Ser Gly Pro Gly Leu Val Lys Pro Ser Glu
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Thr Leu Ser Leu Thr Cys Ala Val Ser Gly Tyr Ser Ile Ser Ser Gly
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Tyr Tyr Trp Gly Trp Ile Arg Gln Pro Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp
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Ile Gly Thr Ile Tyr His Ser Gly Ser Thr Tyr Tyr Asn Pro Ser Leu
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Leu Lys Leu Ser Ser Val Thr Ala Ala Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
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Glu Pro Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Gln Ser Leu Leu Arg Ser
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Asn Gly Tyr Asn Tyr Leu Asp Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
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Asn Gly Tyr Asn Tyr Leu Asp Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Pro
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Asp Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Leu Ser Leu Pro Val Thr Pro Gly
1 5 10 15
Glu Pro Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Gln Ser Leu Leu Arg Ser
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100 105 110
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<223> Synthetic Construct
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Arg Gly Tyr Asn Tyr Leu Asp Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
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Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Leu Gly Ser Asn Arg Ala Ser Gly Val Pro
50 55 60
Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
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Ser Arg Ala Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Met Gln Gln
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Gln Glu Ala Pro Leu Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys
100 105 110
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<223> Synthetic Construct
<400> 64
Asp Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Leu Ser Leu Pro Val Thr Pro Gly
1 5 10 15
Glu Pro Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Gln Ser Leu Leu Arg Ser
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Ser Arg Ala Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Met Gln Gln
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100 105 110
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<223> Synthetic Construct
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<223> Synthetic Construct
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<400> 77
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Asp Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Leu Ser Leu Pro Val Thr Pro Gly
1 5 10 15
Gly Pro Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Gln Ser Leu Leu Arg Ser
20 25 30
Asn Gly Tyr Asn Tyr Leu Asp Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45
Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Leu Gly Ser Asn Arg Ala Ser Gly Val Pro
50 55 60
Asp Arg Leu Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80
Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Met Gln Gln
85 90 95
Gln Glu Thr Pro Leu Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic Construct
<400> 79
Asp Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Leu Ser Leu Pro Val Thr Pro Gly
1 5 10 15
Glu Pro Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Gln Ser Leu Leu His Ser
20 25 30
Asn Gly Tyr Asn Tyr Leu Asp Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45
Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Leu Gly Ser Asn Arg Ala Ser Gly Val Pro
50 55 60
Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80
Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Met Gln Gln
85 90 95
Gln Glu Thr Pro Leu Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys
100 105 110
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic Construct
<400> 80
Asp Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Leu Ser Leu Pro Val Thr Pro Gly
1 5 10 15
Glu Ser Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Gln Gly Leu Leu Arg Ser
20 25 30
Asn Gly Tyr Asn Tyr Leu Asp Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45
Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Leu Gly Ser Asn Arg Ala Ser Gly Val Pro
50 55 60
Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80
Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Met Gln Gln
85 90 95
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Gly Leu Gly Leu Leu Leu Leu Leu Gln Leu Leu Pro Pro Ser Thr Leu
20 25 30
Ser Gln Asp Arg Leu Asp Ala Pro Pro Pro Pro Ala Ala Pro Leu Pro
35 40 45
Arg Trp Ser Gly Pro Ile Gly Val Ser Trp Gly Leu Arg Ala Ala Ala
50 55 60
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65 70 75 80
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Gly Arg Val Phe Arg Ser Ser Asp Phe Ala Lys Asn Phe Val Gln Thr
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435 440 445
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450 455 460
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565 570 575
Arg Ser Met Asn Ile Ser Ile Trp Gly Phe Thr Glu Ser Phe Leu Thr
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595 600 605
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Gln Pro Glu Leu Lys Gly His Glu Leu Glu Phe Cys Leu Tyr Gly Lys
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Cys Gln Gly Gly Met Asn Pro Ala Arg Glu Val Lys Asp Leu Lys Lys
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Lys Cys Thr Ser Asn Phe Leu Asn Pro Lys Lys Gln Asn Ser Lys Ser
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Ser Ser Val Pro Ile Ile Leu Ala Ile Val Gly Leu Met Leu Val Thr
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Val Val Ala Gly Val Leu Ile Val Lys Lys Tyr Val Cys Gly Gly Arg
770 775 780
Phe Leu Val His Arg Tyr Ser Val Leu Gln Gln His Ala Glu Ala Asp
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<221> VARIANT
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<220>
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<221> VARIANT
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<212> PRT
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<212> PRT
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<223> Synthetic Construct
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<212> PRT
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<223> Synthetic Construct
<400> 91
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Lys
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<223> Synthetic Construct
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<212> PRT
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<223> Synthetic Construct
<400> 94
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<210> 95
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic Construct
<400> 95
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20
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<400> 97
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<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic Construct
<400> 98
Ser Ser Gln Ser Leu Leu Arg
1 5
<210> 99
<211> 28
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic Construct
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<220>
<223> Synthetic Construct
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Ser Gly Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe Tyr Pro Arg
1 5 10 15
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic Construct
<400> 102
Val Asp Asn Ala Leu Gln Ser Gly Asn Ser Gln Glu Ser Val Thr Glu
1 5 10 15
Gln Asp Ser Lys
20
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<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic Construct
<400> 103
Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys
1 5 10 15
Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr
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Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser
35 40 45
Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser
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Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr
65 70 75 80
Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys
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Pro Ala Pro Glu Ala Ala Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro
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Leu Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr
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Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser
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Leu Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr
245 250 255
Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn
260 265 270
Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe
275 280 285
Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn
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Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu
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Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro
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Cys Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Ala Ala
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Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu
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Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser
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His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu
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Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro
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Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr
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Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val
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Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu
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Tyr Tyr Trp Gly Trp Ile Arg Gln Pro Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp
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Gln Val Gln Leu Gln Glu Ser Gly Pro Gly Leu Val Lys Pro Ser Glu
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Thr Leu Ser Leu Thr Cys Ala Val Ser Gly Tyr Ser Ile Ser Ser Gly
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Tyr Tyr Trp Gly Trp Ile Arg Gln Pro Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp
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Ala Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr
180 185 190
Val Pro Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn
195 200 205
His Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Lys Val Glu Pro Lys Ser
210 215 220
Cys Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Ala Ala
225 230 235 240
Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu
245 250 255
Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser
260 265 270
His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu
275 280 285
Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr
290 295 300
Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn
305 310 315 320
Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Ser
325 330 335
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340 345 350
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355 360 365
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370 375 380
Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro
385 390 395 400
Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr
405 410 415
Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val
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Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu
435 440 445
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130 135 140
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180 185 190
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225 230 235 240
Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu
245 250 255
Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser
260 265 270
His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu
275 280 285
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290 295 300
Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn
305 310 315 320
Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Ser
325 330 335
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340 345 350
Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Asp Glu Leu Thr Lys Asn Gln Val
355 360 365
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370 375 380
Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro
385 390 395 400
Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr
405 410 415
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50 55 60
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225 230 235 240
Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu
245 250 255
Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser
260 265 270
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275 280 285
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290 295 300
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305 310 315 320
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325 330 335
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355 360 365
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Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro
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405 410 415
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420 425 430
Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu
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65 70 75 80
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115 120 125
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<212> PRT
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<223> Synthetic Construct
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100 105 110
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210 215
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<223> Synthetic Construct
<400> 144
Asp Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Leu Ser Leu Pro Val Thr Pro Gly
1 5 10 15
Glu Pro Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Gln Ser Leu Leu Arg Ser
20 25 30
Gly Gly Tyr Asn Tyr Leu Asp Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45
Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Leu Gly Ser Asn Arg Ala Ser Gly Val Pro
50 55 60
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65 70 75 80
Ser Arg Ala Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Met Gln Gln
85 90 95
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195 200 205
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<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic Construct
<400> 145
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1 5 10 15
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195 200 205
Pro Val Thr Lys Ser Phe Asn Arg Gly Glu Cys
210 215
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic Construct
<400> 146
Asp Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Leu Ser Leu Pro Val Thr Pro Gly
1 5 10 15
Glu Pro Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Gln Ser Leu Leu Arg Ser
20 25 30
Asp Gly Tyr Asn Tyr Leu Asp Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45
Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Leu Gly Ser Asn Arg Ala Ser Gly Val Pro
50 55 60
Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80
Ser Arg Ala Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Met Gln Gln
85 90 95
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100 105 110
Arg Thr Val Ala Ala Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Glu
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Gln Leu Lys Ser Gly Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe
130 135 140
Tyr Pro Arg Glu Ala Lys Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln
145 150 155 160
Ser Gly Asn Ser Gln Glu Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser
165 170 175
Thr Tyr Ser Leu Ser Ser Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu
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Lys His Lys Val Tyr Ala Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser
195 200 205
Pro Val Thr Lys Ser Phe Asn Arg Gly Glu Cys
210 215
疾患、障害、または損傷を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを有する個体を処置する方法において使用するための、ソルチリンタンパク質に結合する抗体を含む組成物であって、前記抗体は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、
(a)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(b)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRVS(配列番号30)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(c)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLES(配列番号3)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(d)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(e)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(f)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(g)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号26)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(h)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQGLLRSNGYNYLD(配列番号27)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(i)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSSGYNYLD(配列番号10)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;または
(j)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSIGYNYLD(配列番号21)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、前記組成物。
前記疾患、障害、または損傷が、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性播種性脳脊髄炎、網膜変性、加齢黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血症性ショック、細菌感染、関節炎、または変形性関節症からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
神経炎症、短い軸索伸長及び異常な分枝によって特徴づけられる軸索変性症、異常なミクログリア活性化、ならびに炎症応答のうちの1つまたは複数を阻害することを必要とする個体においてそれを行う方法において使用するための、ソルチリンタンパク質に結合する抗体を含む組成物であって、前記抗体は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、
(a)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(b)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRVS(配列番号30)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(c)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLES(配列番号3)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(d)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(e)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(f)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(g)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号26)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(h)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQGLLRSNGYNYLD(配列番号27)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(i)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSSGYNYLD(配列番号10)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;または
(j)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSIGYNYLD(配列番号21)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、前記組成物。
創傷治癒、自食作用、及び凝集タンパク質のクリアランスのうちの1つまたは複数を促進することを必要とする個体においてそれを行う方法において使用するための、ソルチリンタンパク質に結合する抗体を含む組成物であって、前記抗体は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、
(a)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(b)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRVS(配列番号30)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(c)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLES(配列番号3)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(d)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(e)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(f)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(g)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号26)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(h)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQGLLRSNGYNYLD(配列番号27)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(i)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSSGYNYLD(配列番号10)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;または
(j)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSIGYNYLD(配列番号21)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、前記組成物。
1種または複数の炎症誘発性メディエーターの発現を減少させることを必要とする個体においてそれを行う方法において使用するための、ソルチリンタンパク質に結合する抗体を含む組成物であって、前記抗体は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、
(a)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(b)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRVS(配列番号30)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(c)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLES(配列番号3)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(d)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(e)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(f)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(g)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号26)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(h)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQGLLRSNGYNYLD(配列番号27)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(i)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSSGYNYLD(配列番号10)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;または
(j)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSIGYNYLD(配列番号21)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、前記組成物。
前記1種または複数の炎症誘発性メディエーターが、IL-6、IL12p70、IL12p40、IL-1β、TNF-α、CXCL1、CCL2、CCL3、CCL4、及びCCL5からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
プログラニュリンのレベルを上昇させることを必要とする個体においてそれを行う方法において使用するための、ソルチリンタンパク質に結合する抗体を含む組成物であって、前記抗体は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、
(a)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(b)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRVS(配列番号30)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(c)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLES(配列番号3)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(d)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(e)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(f)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(g)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号26)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(h)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQGLLRSNGYNYLD(配列番号27)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(i)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSSGYNYLD(配列番号10)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;または
(j)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSIGYNYLD(配列番号21)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、前記組成物。
ソルチリンのレベルを低下させることを必要とする個体においてそれを行う方法において使用するための、ソルチリンタンパク質に結合する抗体を含む組成物であって、前記抗体は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、
(a)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(b)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRVS(配列番号30)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(c)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLES(配列番号3)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(d)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(e)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(f)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(g)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号26)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(h)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQGLLRSNGYNYLD(配列番号27)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(i)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSSGYNYLD(配列番号10)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;または
(j)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSIGYNYLD(配列番号21)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、前記組成物。
前記個体が前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症またはパーキンソン病を有する、またはそのリスクがある、請求項14または15に記載の組成物。
細胞上に発現するソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する方法であって、細胞表面上に発現するソルチリンを発現する細胞をソルチリンタンパク質に結合する抗体に曝露することを含み、
前記抗体は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、
(a)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(b)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRVS(配列番号30)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(c)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLES(配列番号3)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(d)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(e)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(f)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(g)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号26)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(h)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQGLLRSNGYNYLD(配列番号27)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(i)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSSGYNYLD(配列番号10)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;または
(j)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSIGYNYLD(配列番号21)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、前記方法。
ヒトソルチリンについて、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体よりも、少なくとも1.1倍低い解離定数(KD)を有し、前記KDは、FACSによって決定される、請求項1~16及び22のいずれか1項に記載の組成物。
前記抗体が、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、及びアミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;およびアミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~16及び22~24のいずれか1項に記載の組成物。
前記抗体が、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、及びアミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含む重鎖可変領域;およびアミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~16及び22~24のいずれか1項に記載の組成物。
前記抗体が、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~16、22~25及び27のいずれか1項に記載の組成物。
前記抗体が、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~16、22~24、26及び27のいずれか1項に記載の組成物。
前記抗体が、配列番号137のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号142のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~16、22~25、27及び28のいずれか1項に記載の組成物。
前記抗体が、配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号142のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~16、22~25、27及び28のいずれか1項に記載の組成物。
(a)前記抗体がIgG1またはIgG2アイソタイプであり、かつFc領域が、アミノ酸置換をP331S位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである;
(b)前記抗体がIgG1アイソタイプであり、かつFc領域が、アミノ酸置換をL234A、L235A、及びP331S位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである;
(c)前記抗体がIgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプであり、かつFc領域が、アミノ酸置換をN297A位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである;または
(d)前記抗体のFc領域が、アミノ酸置換をS267E及びL328F位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである、
請求項33に記載の組成物。
前記抗体がIgG1アイソタイプであり、かつFc領域が、アミノ酸置換をL234A、L235A、及びP331S位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである、請求項34に記載の組成物。
前記ソルチリンタンパク質が、野生型タンパク質、天然に存在するバリアント、または疾患バリアントである、請求項1~16及び22~36のいずれか1項に記載の組成物。
前記抗体がヒト抗体、二重特異性抗体、モノクローナル抗体、多価抗体、またはコンジュゲート抗体である、請求項1~16及び22~38のいずれか1項に記載の組成物。
前記第2の抗原が、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR-1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマシングルドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質形質導入ドメイン、TAT、Syn-B、ペネトラチン、ポリ-アルギニンペプチド、アンギオペップペプチド、バシギン、Glut1、CD98hc、及びANG1005からなる群から選択される、請求項41に記載の組成物。
本開示は、以下の実施例を参照することによって、より十分に理解されるであろう。しかしながら、これらは、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示全体にわたるすべての引用は、参照によって明示的に本明細書に援用される。
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する:
[1]ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、
(a)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(b)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRVS(配列番号30)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(c)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLES(配列番号3)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(d)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(e)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(f)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(g)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIQQGYYGMDV(配列番号5)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号26)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQETPLT(配列番号33)を含むHVR-L3を含む;
(h)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQGLLRSNGYNYLD(配列番号27)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;
(i)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSSGYNYLD(配列番号10)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む;または
(j)前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、アミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列RSSQSLLRSIGYNYLD(配列番号21)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、前記抗体。
[2]前記抗ソルチリン抗体が:
(a)ソルチリンの細胞表面レベルを、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体によって生じる低下のレベルよりも大きく低下させる;
(b)プログラニュリンの細胞外レベルを、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体によって生じる上昇のレベルよりも大きく上昇させる;
(c)ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体によって生じる阻害のレベルよりも大きく阻害する;または
(d)(a)~(c)の任意の組み合わせを行う、[1]に記載の抗体。
[3]ヒトソルチリンについて、配列番号56の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号79の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗ソルチリン抗体よりも1倍超から最高約2.1倍低い解離定数(KD)を有し、前記KDは、FACSによって決定される、[1]または[2]に記載の抗体。
[4]ヒトソルチリンについて、約5.0E-10M~約1.0E-9Mの範囲の解離定数(KD)を有し、前記KDは、FACSによって決定され、または約250~500pMの範囲のKDを有し、前記KDは、バイオレイヤー干渉法によって決定される、[1]~[3]のいずれかに記載の抗体。
[5]ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、及びアミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域が、アミノ酸配列RSSQSLLRSTGYNYLD(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、前記抗体。
[6]ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、アミノ酸配列YSISSGYYWG(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列TIYHSGSTYYNPSLKS(配列番号2)を含むHVR-H2、及びアミノ酸配列ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号6)を含むHVR-H3を含み;かつ前記軽鎖可変領域が、アミノ酸配列RSSQSLLRSNGYNYLD(配列番号8)を含むHVR-L1、アミノ酸配列LGSNRAS(配列番号29)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列MQQQEAPLT(配列番号32)を含むHVR-L3を含む、前記抗体。
[7]ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、
(a)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(b)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号58のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(c)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号59のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(d)配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(e)配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号58のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(f)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(g)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(h)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号78のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(i)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号79のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(j)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(k)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(l)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または
(m)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号72のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、前記抗体。
[8]ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、前記抗体。[9]ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、前記抗体。[10]ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、配列番号137のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号142のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、前記抗体。
[11]ソルチリンタンパク質に結合する抗体であって、配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号142のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、前記抗体。
[12]IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスのものである、[1]~[9]のいずれかに記載の抗体。
[13]IgGクラスのものであり、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプを有する、[12]に記載の抗体。
[14](a)IgG1またはIgG2アイソタイプであり、かつFc領域が、アミノ酸置換をP331S位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである;
(b)IgG1アイソタイプであり、かつFc領域が、アミノ酸置換をL234A、L235A、及びP331S位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである;
(c)IgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプであり、かつFc領域が、アミノ酸置換をN297A位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである;または
(d)Fc領域が、アミノ酸置換をS267E及びL328F位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである、[13]に記載の抗体。
[15]IgG1アイソタイプであり、かつFc領域が、アミノ酸置換をL234A、L235A、及びP331S位で含み、残基位置のナンバリングは、EUナンバリングによるものである、[14]に記載の抗体。
[16]前記ソルチリンタンパク質がヒトソルチリンタンパク質である、[1]~[15]のいずれかに記載の抗体。
[17]前記ヒトソルチリンタンパク質が配列番号81のアミノ酸配列を含む、[16]に記載の抗体。
[18]前記ソルチリンタンパク質が、野生型タンパク質、天然に存在するバリアント、または疾患バリアントである、[1]~[16]のいずれかに記載の抗体。
[19]ヒト抗体、二重特異性抗体、モノクローナル抗体、多価抗体、またはコンジュゲート抗体である、[1]~[18]のいずれかに記載の抗体。
[20]第1の抗原及び第2の抗原を認識する二重特異性抗体である、[19]に記載の抗体。
[21]前記第1の抗原がソルチリンであり、かつ前記第2の抗原が、血液脳関門を通過する輸送を促進する抗原である、[20]に記載の抗体。
[22]前記第2の抗原が、ソルチリン、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR-1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマシングルドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質形質導入ドメイン、TAT、Syn-B、ペネトラチン、ポリ-アルギニンペプチド、アンギオペップペプチド、バシギン、Glut1、CD98hc、及びANG1005からなる群から選択される、[21]に記載の抗体。
[23]ヒトソルチリンタンパク質に結合する抗体フラグメントである、[1]~[9]及び12~22のいずれかに記載の抗体。
[24]前記抗体フラグメントが、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2、Fv、またはscFvフラグメントである、[23]に記載の抗体。
[25][1]~[24]のいずれかに記載の抗体をコードする核酸配列を含む単離核酸。
[26][25]に記載の核酸を含むベクター。
[27][26]に記載のベクターを含む単離宿主細胞。
[28]ソルチリンに結合する抗体を産生する方法であって、[27]に記載の宿主細胞を、前記抗体が産生されるように培養することを含む、前記方法。
[29]前記宿主細胞によって産生される前記抗体を回収することをさらに含む、[28]に記載の方法。
[30][28]または29に記載の方法によって産生されるソルチリンに結合する単離抗体。
[31][1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
[32]疾患、障害、または損傷を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを有する個体を処置する方法であって、前記個体に、治療有効量の[1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗体または[31]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
[33]前記疾患、障害、または損傷が、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性播種性脳脊髄炎、網膜変性、加齢黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血症性ショック、細菌感染、関節炎、または変形性関節症からなる群から選択される、[32]に記載の方法。
[34]前記疾患、障害、または損傷が、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、及び筋萎縮性側索硬化症から選択される、[33]に記載の方法。
[35]神経炎症、短い軸索伸長及び異常な分枝によって特徴づけられる軸索変性症、ミクログリア活性化、ならびに炎症応答のうちの1つまたは複数を阻害することを必要とする個体において、それを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の[1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗ソルチリン抗体または[31]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
[36]創傷治癒、自食作用、及び凝集タンパク質のクリアランスのうちの1つまたは複数を促進することを必要とする個体において、それを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の[1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗ソルチリン抗体または[31]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
[37]関節炎を予防する、そのリスクを減少させる、またはそれを処置することを必要とする個体において、それを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の[1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗ソルチリン抗体または[31]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
[38]1種または複数の炎症誘発性メディエーターの発現を減少させることを必要とする個体において、それを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の[1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗ソルチリン抗体または[31]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
[39]前記1種または複数の炎症誘発性メディエーターが、IL-6、IL12p70、IL12p40、IL-1β、TNF-α、CXCL1、CCL2、CCL3、CCL4、及びCCL5からなる群から選択される、[38]に記載の方法。
[40]ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する方法であって、ソルチリンを発現する細胞を、[1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗ソルチリン抗体または[31]に記載の医薬組成物に曝露することを含む、前記方法。
[41]前記細胞がインビトロである、[40]に記載の方法。
[42]前記細胞がインビボである、[40]に記載の方法。
[43]前記細胞表面で発現されるソルチリンのレベルを低下させることをさらに含む、[40]~[42]のいずれかに記載の方法。
[44]プログラニュリンの細胞外レベルを上昇させる、[40]~[43]のいずれかに記載の方法。
[45]プログラニュリンのレベルを上昇させることを必要とする個体において、それを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の[1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗ソルチリン抗体または[31]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
[46]プログラニュリンのレベルを血漿中で上昇させる、[45]に記載の方法。
[47]プログラニュリンのレベルを脳脊髄液中で上昇させる、[45]に記載の方法。[48]ソルチリンのレベルを低下させることを必要とする個体においてそれを行う方法であって、前記個体に、治療有効量の[1]~[24]及び[30]のいずれかに記載の抗ソルチリン抗体または[31]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。[49]前記ソルチリンのレベルを末梢白血球において低下させる、[48]に記載の方法。
[50]前記個体が、プログラニュリンをコードする遺伝子に1つまたは複数の変異を有する、[32]~[34]及び45~49のいずれかに記載の方法。
[51]前記個体が、プログラニュリンをコードする遺伝子における1つまたは複数の機能喪失型変異についてヘテロ接合である、[50]に記載の方法。
[52]前記個体が前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、または筋萎縮性側索硬化症を有する、またはそのリスクがある、[50]または[51]に記載の方法。
[53]前記抗ソルチリン抗体が2種以上の抗ソルチリン抗体を含む、[32]~[52]のいずれかに記載の方法。