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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037157
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】材料試験機
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/06 20060101AFI20230308BHJP
   G01N 3/32 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
G01N3/06
G01N3/32 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143725
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩原 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西村 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】松浦 融
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA02
2G061AB06
2G061BA07
2G061BA15
2G061DA02
2G061EA01
2G061EA02
2G061EB05
2G061EB06
2G061EC02
(57)【要約】
【課題】供試体の特性が非線形性を有する場合に、適正な制御パラメータを決定する。
【解決手段】疲労試験機1は、油圧アクチュエータ15を備え、油圧アクチュエータ15によって供試体SPに試験力FPを付与し、供試体SPを変形させて疲労試験を行う疲労試験機1であって、油圧アクチュエータ15の変位Xに対して試験力FPが非線形に変化する場合に、供試体SPの剛性値RGの最大値MRを求める剛性算出部212と、剛性値RGの最大値MRに基づいて、油圧アクチュエータ15の動作を規定する制御パラメータ(PG,IG,DG)の値を決定する制御決定部214と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータを備え、前記アクチュエータによって供試体に試験力を付与し、前記供試体を変形させて材料試験を行う材料試験機であって、
前記アクチュエータの変位に対して前記試験力が非線形に変化する場合に、前記供試体の剛性値の最大値を求める剛性算出部と、
前記剛性値の最大値に基づいて、前記アクチュエータの動作を規定する制御パラメータの値を決定する制御決定部と、
を備える、材料試験機。
【請求項2】
前記剛性算出部は、
前記材料試験における前記変位の最小値と、前記変位の最大値との間を複数の区間に分割し、
前記複数の区間の各々における前記剛性値を算出し、
前記剛性値の最大値を求める、
請求項1に記載の材料試験機。
【請求項3】
前記変位と前記試験力とを所定時間毎に取得する取得部を備え、
前記複数の区間の各々は、前記取得部が所定個数の前記変位及び前記試験力を取得する期間に対応し、
前記剛性算出部は、前記所定個数の前記変位及び前記試験力から前記剛性値を算出する、
請求項2に記載の材料試験機。
【請求項4】
前記変位の最大値を含む前記区間における前記剛性値である第1剛性値と、前記変位の最小値を含む前記区間における前記剛性値である第2剛性値と、に基づいて、前記供試体が、前記変位に対して前記試験力が非線形に変化するか否かを判定する判定部を備える、
請求項2又は請求項3に記載の材料試験機。
【請求項5】
前記判定部は、前記第1剛性値の前記第2剛性値に対する比が、所定閾値以上である場合に、前記供試体が、前記変位に対して前記試験力が非線形に変化すると判定する、
請求項4に記載の材料試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
疲労試験機において、作業者の手間を軽減する種々の技術が知られている。
例えば、特許文献1に記載の疲労試験機は、繰り返し波形の振幅および周波数範囲を設定する手段を設け、試験片の装着状態で、設定された周波数範囲で周波数を順次自動的に変化させながら、設定された振幅のもとに試験片に試験力が加わるように負荷機構(油圧シリンダ)を駆動制御し、周波数ごとの力検出手段の出力を取り込み、試験片を含む系の周波数応答特性を表すグラフを作成して表示等の出力を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-292400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の疲労試験機等の材料試験機では、供試体の特性の非線形性を考慮せずに、制御パラメータの調整を行っていた。
非線形な特性をもつ供試体に対して、例えば、アクチュエータの変位に対して試験力が線形に変化すると仮定して制御パラメータを調整する場合には、制御が不安定となり、供試体に過負荷がかかる場合があった。
また、例えば、作業者が安全な制御パラメータを設定する場合には、応答性が悪い状態で試験を行わざるを得なかった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、供試体の特性が非線形性を有する場合に、適正な制御パラメータを決定することの可能な材料試験機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る材料試験機は、アクチュエータを備え、前記アクチュエータによって供試体に試験力を付与し、前記供試体を変形させて材料試験を行う材料試験機であって、前記アクチュエータの変位に対して前記試験力が非線形に変化する場合に、前記供試体の剛性値の最大値を求める剛性算出部と、前記剛性値の最大値に基づいて、前記アクチュエータの動作を規定する制御パラメータの値を決定する制御決定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る材料試験機は、供試体の剛性値の最大値に基づいて、アクチュエータの動作を規定する制御パラメータの値を決定するため、適正な制御パラメータを決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る疲労試験機の構成の一例を示す図である。
図2】供試体の変位と試験力との関係の一例を示すグラフである。
図3】制御装置の構成の一例を示す図である。
図4】供試体の剛性の変化の一例を示すグラフである。
図5】供試体の変位と試験力との関係の一例を示すグラフである。
図6】制御パラメータの一例を示す図表である。
図7】本実施形態に係る制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る疲労試験機1の構成の一例を示す図である。
疲労試験機1は、供試体SPの疲労試験を行う。疲労試験機1は、例えば、供試体SPに試験力FPを繰り返し印加する。試験力FP及び繰り返し回数は、予め設定される。繰り返し回数は、例えば、10回~10回である。
図1に示すように、疲労試験機1は、試験機本体10と、制御ユニット20と、を備える。
試験機本体10は、制御ユニット20からの指示に従って、供試体SPの疲労試験を実行する。制御ユニット20は、試験機本体10の動作を制御する。
疲労試験機1は、「材料試験機」の一例に対応する。
【0011】
図1に示すように、試験機本体10は、基台11上に、一対の支柱12a,12bと、ヨーク13と、によって負荷枠を形成し、支柱12a,12bに、クロスヘッド14を固定して構成される。
【0012】
基台11には、油圧アクチュエータ15が配置され、油圧アクチュエータ15のピストンロッド15aには、供試体SPの下端を固定する下部治具16aが取り付けられる。また、クロスヘッド14には、ロードセル17を介して、供試体SPの上端を固定する上部治具16bが取り付けられる。
ロードセル17は、供試体SPに作用する試験力FPを検出する。
【0013】
油圧アクチュエータ15は、サーボ弁18によって、圧油方向と圧油量とが制御されて、ピストンロッド15aが伸縮する。その結果、上部治具16bと下部治具16aとの間に固定された供試体SPに試験力FPが印加される。油圧アクチュエータ15のストローク、すなわち供試体SPの変位Xは、油圧アクチュエータ15に取り付けられた差動トランス19によって検出される。
油圧アクチュエータ15は、「アクチュエータ」の一例に対応する。
【0014】
制御ユニット20は、信号入出力装置21A、制御装置21B、及び、入出力装置22を備える。
信号入出力装置21Aは、試験機本体10と制御装置21Bとの間に配置され、制御装置21Bに入出力される種々の信号を処理する。
信号入出力装置21Aは、第1増幅器23、第1A/D変換器24、第2増幅器27、第2A/D変換器28、第3増幅器25、及びD/A変換器26を備える。
【0015】
第1増幅器23は、ロードセル17から出力される試験力信号SG1を増幅し、第1A/D変換器24に出力する。
第1A/D変換器24は、第1増幅器23によって増幅された試験力信号をA/D変換して、試験力情報FDを生成し、生成した試験力情報FDを制御装置21Bに出力する。試験力情報FDは、供試体SPに印加される試験力FPを示す。
第2増幅器27は、差動トランス19から出力される変位信号SG2を増幅し、第2A/D変換器28に出力する。
第2A/D変換器28は、第2増幅器27によって増幅された変位信号をA/D変換して、変位情報XDを生成し、生成した変位情報XDを制御装置21Bに出力する。変位情報XDは、油圧アクチュエータ15の変位Xを示す。
【0016】
制御装置21Bは、第1A/D変換器24から入力される試験力情報FDと、第2A/D変換器28から入力される変位情報XDとに基づいて、指令情報dXを生成し、指令情報dXをD/A変換器26に出力する。
D/A変換器26は、制御装置21Bから入力される指令情報dXをD/A変換し、指令信号を生成し、生成した指令信号を第3増幅器25に出力する。
第3増幅器25は、D/A変換器26から出力される制御信号を増幅し、増幅した制御信号SG3をサーボ弁18に出力する。
サーボ弁18は、第3増幅器25から出力される制御信号SG3に従って、油圧アクチュエータ15に対して、圧油方向と圧油量とを制御する。
【0017】
入出力装置22は、例えば、油圧アクチュエータ15の変位Xの最小値XN、変位Xの最大値XM、及び変位Xの周波数等を、制御装置21Bへ入力する入力部と、供試体SPの荷重変位特性等を試験結果として出力する出力部と、を備える。
【0018】
また、疲労試験機1が実行する疲労試験は、例えば、繰り返し回数に到達するまで連続して実行される。繰り返し回数は、例えば、例えば、10回~10回である。繰り返し回数の1回は、変位Xの変化の1周期Wに対応する。
換言すれば、変位Xの変化の1周期Wの繰り返し回数倍の時間だけ、疲労試験機1は、疲労試験を連続して実行する。ただし、供試体SPが破壊又は破損したと判断した場合には、疲労試験機1は、疲労試験を終了する。
【0019】
図2は、供試体SPの変位Xと試験力FPとの関係の一例を示すグラフである。供試体SPは、例えば、プラスチックであり、具体的には、例えば、エポキシ樹脂である。
図2の横軸は、変位Xを示し、図2の縦軸は、試験力FPを示す。グラフG1は、変位Xと試験力FPとの関係の一例を示す。変位Xは、油圧アクチュエータ15の変位Xである。
【0020】
グラフG1は、グラフG11とグラフG12とを含む。グラフG11は、変位Xが増加する場合の変位Xと試験力FPとの関係の一例を示す。グラフG12は、変位Xが減少する場合の変位Xと試験力FPとの関係の一例を示す。
グラフG1の傾きは、供試体SPの剛性値RGを示す。剛性値RGは、次の式(1)で求められる。
RG=ΔFP/ΔX (1)
すなわち、変位Xが微小変位ΔXだけ増加した場合における試験力FPの変化量ΔFPによって、剛性値RGが求められる。微小変位ΔXは、例えば、0.01mmである。
【0021】
グラフG1に示すように、供試体SPの剛性値RGは、変位Xが大きい程大きくなる。また、図2に示すように、グラフG1は、下に凸の曲線であるため、供試体SPの剛性値RGは、非線形性を有する。換言すれば、図2では、油圧アクチュエータ15の変位Xに対して試験力FPが非線形に変化する。
【0022】
図3は、制御装置21Bの構成の一例を示す図である。
制御装置21Bは、試験機本体10に疲労試験を実行させる。
制御装置21Bは、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等のストレージ装置と、信号入出力装置21A、及び入出力装置22の各々とのインターフェース回路と、各種の電子回路と、を有するコンピュータを備える。
【0023】
制御装置21Bは、例えば、パーソナルコンピュータで構成され、試験機本体10の動作を制御する。制御装置21Bは、プロセッサ21Cと、メモリ21Dと、を備える。
プロセッサ21Cは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)等で構成される。
メモリ21Dは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等で構成される。メモリ21Dは、制御プログラムPGMを記憶する。
【0024】
なお、制御装置21Bは、パーソナルコンピュータに限らず、ICチップやLSIなどの集積回路といった1つ又は複数の適宜の回路によって構成されてもよい。また、制御装置21Bは、例えば、タブレット端末、又はスマートフォン等で構成されてもよい。
また、制御装置21Bは、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等、プログラムされたハードウェアを備えてもよい。また、制御装置21Bは、SoC(System-on-a-Chip)-FPGAを備えてもよい。
【0025】
図3に示すように、制御装置21Bは、取得部211と、剛性算出部212と、判定部213と、制御決定部214と、試験実行部215と、測定値記憶部216と、パラメータ記憶部217と、を備える。
具体的には、制御装置21Bのプロセッサ21Cが制御プログラムPGMを実行することによって、取得部211、剛性算出部212、判定部213、制御決定部214、及び試験実行部215として機能する。また、制御装置21Bのプロセッサ21Cが制御プログラムPGMを実行することによって、メモリ21Dを、測定値記憶部216、及びパラメータ記憶部217として機能させる。
【0026】
測定値記憶部216は、取得部211によって取得された試験力情報FDと変位情報XDと時間Tとを対応付けて記憶する。時間Tは、疲労試験を開始した時点からの経過時間である。なお、疲労試験は、試験実行部215によって試験機本体10に対して指示される。試験機本体10は、試験実行部215からの指示に従って、疲労試験を実行する。なお、図4を参照して説明するように、取得部211は、例えば、1msec毎に、試験力情報FDと変位情報XDとを取得する。
【0027】
パラメータ記憶部217は、制御決定部214が決定した制御パラメータを記憶する。制御パラメータは、試験実行部215によって読み出される。
本実施形態では、試験実行部215は、PID制御によって、指令情報dXを制御する。そこで、制御パラメータは、比例ゲインPG、積分ゲインIG、及び微分ゲインDGを含む。
【0028】
取得部211は、変位Xと試験力FPとを所定時間ΔT毎に取得する。具体的には、取得部211は、変位情報XDと試験力情報FDとを所定時間ΔT毎に信号入出力装置21Aから取得する。所定時間ΔTは、例えば、1msecである。換言すれば、所定時間ΔTは、互いに隣接する2つの測定点の時間間隔を示す。測定点は、取得部211が変位Xと試験力FPとを取得するタイミングを示す。
また、取得部211は、例えば、疲労試験を開始した時点からの経過時間である時間Tを試験実行部215から取得する。また、取得部211は、例えば、変位情報XDと試験力情報FDとを信号入出力装置21Aから最初に取得した時点からの経過時間を時間Tとして取得してもよい。
また、取得部211は、取得された試験力情報FDと変位情報XDと時間Tとを対応付けて測定値記憶部216に記憶させる。
【0029】
本実施形態では、所定時間ΔTが1msecである場合について説明するが、これに限定されない。所定時間ΔTが長い程、制御装置21Bの処理が簡素化される。所定時間ΔTが短い程、剛性値RGを正確に取得できる。
【0030】
剛性算出部212は、疲労試験における変位Xの最小値と、変位Xの最大値との間を複数の区間に分割する。そして、剛性算出部212は、複数の区間の各々における剛性値RGを算出し、剛性値RGの最大値MRを求める。
本実施形態では、取得部211が、例えば、時間TAにおいて変位情報XD及び試験力情報FDを取得する場合に、剛性算出部212は、時間TAの前後100点の測定点に基づき、時間TAに対応する剛性値RGを算出する。時間TAの前後100点の測定点は、例えば、時間TAの前の測定点50点と、時間TAの後の測定点49点と、時間TAの測定点とで構成される。1点の測定点は、変位Xと試験力FPとを取得部211が取得するタイミングに対応する。
剛性算出部212は、例えば、変位Xを横軸とし、試験力FPを縦軸として、時間TAの前後100点の測定点について、最小二乗法によって近似直線を算出する。そして、剛性算出部212は、近似直線の傾きを剛性値RGとして求める。
100点の測定点における「100」は、「所定個数」の一例に対応する。
【0031】
本実施形態では、時間TAの前後100点の測定点を用いて剛性値RGを算出する場合について説明するが、これに限定されない。測定点の点数が少ない程、制御装置21Bの処理が簡素化される。測定点の点数が多い程、剛性値RGを正確に算出できる。
【0032】
時間TAの前後100点の測定点は、「区間」の一例に対応する。なお、所定時間ΔTは、例えば、1msecであるため、時間TAの前後100点の測定点の測定時間、すなわち区間の長さは、例えば、0.1sec(=1msec×100)である。
100点は、「所定個数」の一例に対応する。
本実施形態では、剛性算出部212は、時間TAを、所定時間ΔTずつ増加し、所定時間ΔTだけ増加する度に、時間TAに対応する剛性値RGを算出する。すなわち、剛性算出部212は、「区間」を所定時間ΔTずつズラして、剛性値RGを算出する。換言すれは、本実施形態では、剛性算出部212は、1msec毎に剛性値RGを算出する。
剛性値RGについては、図4を参照して更に説明する。
【0033】
本実施形態では、所定時間ΔT毎に剛性値RGを算出する場合について説明するが、これに限定されない。剛性値RGを算出する時間間隔が長い程、制御装置21Bの処理が簡素化される。剛性値RGを算出する時間間隔が短い程、剛性値RGの変化を正確に算出できる。
【0034】
判定部213は、供試体SPが、変位Xに対して試験力FPが非線形に変化するか否かを判定する。
判定部213は、例えば、第1剛性値RG1と第2剛性値RG2と、に基づいて、供試体SPが変位Xに対して試験力FPが非線形に変化するか否かを判定する。
第1剛性値RG1は、変位Xの最大値XMを含む区間における剛性値RGである。第1剛性値RG1は、剛性値RGの最大値MRと一致する。
第2剛性値RG2は、変位Xの最小値XNを含む区間における剛性値RGである。
具体的には、判定部213は、第1剛性値RG1の第2剛性値RG2に対する比が、所定閾値以上である場合に、供試体SPが、変位Xに対して試験力FPが非線形に変化すると判定する。所定閾値は、例えば、1.1である。
第1剛性値RG1及び第2剛性値RG2については、図4を参照して更に説明する。
【0035】
制御決定部214は、剛性値RGの最大値MRに基づいて、油圧アクチュエータ15の動作を規定する制御パラメータの値を決定する。剛性値RGの最大値MRは、第1剛性値RG1と一致する。
本実施形態では、試験実行部215は、PID制御によって、指令情報dXを制御する。そこで、制御パラメータは、比例ゲインPG、積分ゲインIG、及び微分ゲインDGを含む。
【0036】
試験実行部215は、供試体SPの疲労試験を実行する。試験実行部215は、PID制御によって、指令情報dXを制御する。試験実行部215は、制御パラメータの値を決定するための予備試験と、供試体SPの疲労試験とを実行する。
予備試験では、例えば、供試体SPと同等の特性を有する模擬供試体を用いて、疲労試験と同等の振幅及び周波数で模擬疲労試験を実行する。ここでは、便宜上、模擬供試体が供試体SPと同一である場合について説明する。
ただし、疲労試験では、繰り返し回数は、例えば、例えば、10回~10回であるのに対して、模擬疲労試験では、繰り返し回数は、例えば、5回である。また、予備試験では、制御パラメータの値として、制御が不安定とならない安全な値に設定する。
【0037】
また、本実施形態では、図3を参照して説明した取得部211、剛性算出部212、判定部213、及び制御決定部214の処理は、予備試験の試験中に実行される。なお、剛性算出部212、判定部213、及び制御決定部214の処理のうちの少なくとも1つの処理は、予備試験の試験完了後に実行してもよい。
【0038】
図4は、供試体SPの剛性値RGの変化の一例を示すグラフである。ただし、図4に示すグラフは、試験実行部215が実行する予備試験における測定点に基づいて生成される。
図4の横軸は時間Tを示し、図4の右縦軸は、試験力FPを示し、図4の左縦軸は、剛性値RGを示す。
グラフG21は、試験力FPの変化を示す。グラフG22は、剛性値RGの変化を示す。グラフG23は、剛性値RGの平均値を示す。
【0039】
周期Wは、予備試験における模擬疲労試験の周期である。周期Wは、例えば、2秒間である。換言すれば、模擬疲労試験の周波数は、0.5Hzである。
【0040】
グラフG22に示す剛性値RGは、剛性算出部212によって算出される。剛性値RGは、グラフG21に示す試験力FPの増加に伴って増加し、グラフG21に示す試験力FPの減少に伴って減少する。しかしながら、図4での供試体SPは、非線形の特性を有するため、グラフG22に示す剛性値RGの変化は正弦波ではなく、複雑な波形形状を示している。
ただし、図4に示す4周期の各々の剛性値RGの変化を示す波形は、概ね一致している。換言すれば、図5に示すように、変位Xと試験力FPとの関係は、グラフG31に示すように、概ね1つの曲線上を変化する。なお、図5のグラフG31に示す曲線は、図2に示す曲線と同様に下に凸の曲線である。
また、グラフG22に示すように、剛性値RGの最大値MRは、約85kNである。
【0041】
グラフG23に示す剛性値RGの平均値は、剛性算出部212によって算出された剛性値RGの、その時点までの平均値を示す。例えば、時間Tが2secにおける剛性値RGの平均値は、時間Tが0secから2secまでに剛性算出部212によって算出された2000個の剛性値RGの平均値を示す。グラフG23に示すように、剛性値RGの平均値は、約70kN/mmに収束する。
【0042】
図5は、供試体SPの変位Xと試験力FPとの関係の一例を示すグラフである。なお、図5に示すグラフは、試験実行部215が実行する予備試験における測定点に基づいて生成される。
図5の横軸は変位Xを示し、図5の縦軸は、試験力FPを示す。
グラフG31は、変位Xと試験力FPとの関係を示す。グラフG31に示す曲線は、図2に示す曲線と同様に下に凸の曲線である。
グラフG31に示すように、変位Xの最小値XNは0.10mmであり、変位Xの最大値XMは、0.20mmである。また、グラフG31に示すように、試験力FPの最小値は1500Nであり、試験力FPの最大値は8500Nである。
【0043】
グラフG32は、グラフG31において変位Xが最大の点PMにおけるグラフG31の接線を示す。グラフG32の傾きは、点PMにおける第1剛性値RG1を示す。
グラフG33は、グラフG31において変位Xが最小の点PNにおけるグラフG31の接線を示す。グラフG33の傾きは、点PMにおける第2剛性値RG2を示す。
図5では、第1剛性値RG1の第2剛性値RG2に対する比が約1.4であり、所定閾値(=1.1)以上であるため、判定部213は、供試体SPが、変位Xに対して試験力FPが非線形に変化すると判定する。
【0044】
なお、図5に示すグラフG31をLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイに表示してもよいし、プリンターによって印刷してもよい。この場合には、供試体SPが、変位Xに対して試験力FPが非線形に変化することをユーザーが容易に確認できる。
また、ユーザーが、供試体SPが非線形性について予め知得している場合には、図5に示すグラフG31を表示、又は印刷することによって、ユーザーが治具の不備や取り付けの不具合を推定できる。例えば、供試体SPが非線形性を有さないときに、図5に示すグラフG31にように、供試体SPが非線形性を有するとの結果が得られた場合には、ユーザーが治具の不備や取り付けの不具合を推定できる。
【0045】
図6は、制御パラメータの一例を示す図表である。
図4を参照して説明したように、剛性値RGの平均値は、約70kN/mmである。剛性値RGが70kN/mmの場合には、制御パラメータは、図6に示すように、例えば、比例ゲインPGが「255」に設定され、積分ゲインIGが「5」に設定され、微分ゲインDGが「0.1」に設定され、フィルター係数Nは「100」に設定される。
【0046】
なお、制御パラメータを構成する比例ゲインPG、積分ゲインIG、微分ゲインDG、及びフィルター係数Nは次の式(2)で表される。
【数1】
なお、偏差E(s)に乗じて、操作量U(s)を求める伝達関数として、比例ゲインPG、積分ゲインIG、微分ゲインDG、及びフィルター係数Nが規定される。
【0047】
また、図4のグラフG22に示すように、剛性値RGの最大値が85kN/mmである場合には、制御パラメータは、図6に示すように、例えば、比例ゲインPGが「215」に設定され、積分ゲインIGが「5」に設定され、微分ゲインDGが「0.1」に設定され、フィルター係数Nは「100」に設定される。
【0048】
すなわち、例えば、剛性値RGの平均値に基づいて制御パラメータを設定する場合には、剛性値RGの最大値MRに基づいて制御パラメータを設定する場合と比較して、比例ゲインPGが過大な値に設定される。その結果、制御が不安定となり、供試体SPに過負荷がかかる場合があった。
【0049】
剛性値RGの最大値MRに基づいて制御パラメータを設定することによって、適正な制御パラメータを決定できる。その結果、制御が不安定となること、及び供試体SPに過負荷がかかることを抑制できる。
【0050】
また、作業者が安全な制御パラメータを設定する場合には、応答性が悪い状態で試験を行わざるを得なかったが、剛性値RGの最大値MRに基づいて制御パラメータを設定することによって、適正な制御パラメータを決定できる。その結果、応答性の良好な状態で試験を行うことができる。
【0051】
図7は、本実施形態に係る制御装置21Bの処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS101において、取得部211は、変位Xと試験力FPとを所定時間ΔT毎に取得する。所定時間ΔTは、例えば、1msecである。
次に、ステップS103において、剛性算出部212は、剛性値RGを算出する。取得部211が、例えば、時間TAにおいて変位情報XD及び試験力情報FDを取得する場合に、剛性算出部212は、時間TAの前後100点の測定点に基づき、時間TAに対応する剛性値RGを算出する。具体的には、剛性算出部212は、例えば、変位Xを横軸とし、試験力FPを縦軸として、時間TAの前後100点の測定点について、最小二乗法によって近似直線を算出する。そして、剛性算出部212は、近似直線の傾きを剛性値RGとして求める。
【0052】
次に、ステップS105において、判定部213は、第1剛性値RG1を算出する。第1剛性値RG1は、変位Xの最大値XMを含む区間における剛性値RGである。本実施形態では、区間は、100点の測定点に対応する。
次に、ステップS107において、判定部213は、第2剛性値RG2を算出する。第2剛性値RG2は、変位Xの最小値XNを含む区間における剛性値RGである。
次に、ステップS109において、判定部213は、第1剛性値RG1の第2剛性値RG2に対する比(=RG1/RG2)が、所定閾値以上であるか否かを判定する。所定閾値は、例えば、1.1である。
【0053】
第1剛性値RG1の第2剛性値RG2に対する比が、所定閾値以上ではないと判定部213が判定した場合(ステップS109;NO)には、判定部213は、供試体SPが、変位Xに対して試験力FPが非線形に変化しないと判定し、その後、処理が終了する。第1剛性値RG1の第2剛性値RG2に対する比が、所定閾値以上であると判定部213が判定した場合(ステップS109;YES)には、処理がステップS111へ進む。
そして、ステップS111において、判定部213は、供試体SPが、変位Xに対して試験力FPが非線形に変化すると判定する。
【0054】
次に、ステップS113において、制御決定部214は、剛性値RGの最大値MRを取得する。本実施形態では、剛性値RGの最大値MRは、第1剛性値RG1と一致する。
次に、ステップS115において、制御決定部214は、剛性値RGの最大値MRに基づいて、油圧アクチュエータ15の動作を規定する制御パラメータの値を決定する。その後、処理が終了する。本実施形態では、試験実行部215は、PID制御によって、油圧アクチュエータ15の動作を制御する。そこで、制御パラメータは、比例ゲインPG、積分ゲインIG、及び微分ゲインDGを含む。比例ゲインPG、積分ゲインIG、及び微分ゲインDGは、上記式(2)で規定される。
【0055】
図3図7を参照して説明したように、剛性算出部212は、疲労試験における変位Xの最小値と、変位Xの最大値との間を複数の区間に分割する。そして、剛性算出部212は、複数の区間の各々における剛性値RGを算出し、剛性値RGの最大値MRを求める。したがって、区間を適正に設定することによって、剛性値RGの最大値MRを適正に算出できる。
本実施形態では、取得部211が、例えば、時間TAにおいて変位情報XD及び試験力情報FDを取得する場合に、剛性算出部212は、時間TAの前後100点の測定点に基づき、時間TAに対応する剛性値RGを算出する。時間TAの前後100点の測定点は、「区間」の一例に対応する。区間を本実施形態のように設定することによって、剛性値RGの最大値MRを適正に算出できる。
【0056】
また、剛性算出部212は、所定個数(100個)の測定点の各々に対応する変位X及び試験力FPから剛性値RGを算出するため、剛性値RGを適正に算出できる。
本実施形態では、剛性算出部212は、例えば、変位Xを横軸とし、試験力FPを縦軸として、時間TAの前後100点の測定点について、最小二乗法によって近似直線を算出する。そして、剛性算出部212は、近似直線の傾きを剛性値RGとして求める。したがって、剛性値RGを適正に算出できる。
【0057】
また、判定部213は、第1剛性値RG1と第2剛性値RG2とに基づいて、供試体SPが変位Xに対して試験力FPが非線形に変化するか否かを判定する。第1剛性値RG1は、変位Xの最大値XMを含む区間における剛性値RGである。第2剛性値RG2は、変位Xの最小値XNを含む区間における剛性値RGである。したがって、供試体SPが変位Xに対して試験力FPが非線形に変化するか否かを適正に判定できる。
【0058】
また、判定部213は、第1剛性値RG1の第2剛性値RG2に対する比(=RG1/RG2)が、所定閾値以上である場合に、供試体SPが、変位Xに対して試験力FPが非線形に変化すると判定する。したがって、所定閾値を適正な値に設定することによって、供試体SPが変位Xに対して試験力FPが非線形に変化するか否かを適正に判定できる。
【0059】
上述した本実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0060】
(第1項)
第1態様に関わる材料試験機は、アクチュエータを備え、前記アクチュエータによって供試体に試験力を付与し、前記供試体を変形させて材料試験を行う材料試験機であって、前記アクチュエータの変位に対して前記試験力が非線形に変化する場合に、前記供試体の剛性値の最大値を求める剛性算出部と、前記剛性値の最大値に基づいて、前記アクチュエータの動作を規定する制御パラメータの値を決定する制御決定部と、を備える。
【0061】
第1項に記載の材料試験機によれば、前記アクチュエータの変位に対して前記試験力が非線形に変化する場合に、剛性値の最大値に基づいて、前記アクチュエータの動作を規定する制御パラメータの値を決定する。
よって、前記アクチュエータの変位に対して前記試験力が非線形に変化する場合に、制御パラメータの値を適正に決定できる。したがって、制御が不安定となること、及び供試体に過負荷がかかることを抑制できると共に、応答性の良好な状態で試験を行うことができる。
【0062】
(第2項)
第1項に記載の材料試験機において、前記剛性算出部は、前記材料試験における前記変位の最小値と、前記変位の最大値との間を複数の区間に分割し、前記複数の区間の各々における前記剛性値を算出し、前記剛性値の最大値を求める。
【0063】
第2項に記載の材料試験機によれば、前記材料試験における前記変位の最小値と、前記変位の最大値との間を複数の区間に分割し、前記複数の区間の各々における前記剛性値を算出し、前記剛性値の最大値を求める。
したがって、区間を適正に設定することによって、剛性値の最大値を適正に算出できる。
本実施形態では、取得部211が、例えば、時間TAにおいて変位情報XD及び試験力情報FDを取得する場合に、剛性算出部212は、時間TAの前後100点の測定点に基づき、時間TAに対応する剛性値RGを算出する。時間TAの前後100点の測定点は、「区間」の一例に対応する。区間を本実施形態のように設定することによって、剛性値RGの最大値MRを適正に算出できる。
【0064】
(第3項)
第2項に記載の材料試験機において、前記変位と前記試験力とを所定時間毎に取得する取得部を備え、前記複数の区間の各々は、前記取得部が所定個数の前記変位及び前記試験力を取得する期間に対応し、前記剛性算出部は、前記所定個数の前記変位及び前記試験力から前記剛性値を算出する。
【0065】
第3項に記載の材料試験機によれば、前記取得部が取得した前記所定個数の前記変位及び前記試験力から前記剛性値を算出する。
したがって、前記剛性値を適正に算出できる。
本実施形態では、剛性算出部212は、例えば、変位Xを横軸とし、試験力FPを縦軸として、時間TAの前後100点の測定点について、最小二乗法によって近似直線を算出する。そして、剛性算出部212は、近似直線の傾きを剛性値RGとして求める。したがって、剛性値RGを適正に算出できる。
【0066】
(第4項)
第2項又は第3項に記載の材料試験機において、前記変位の最大値を含む前記区間における前記剛性値である第1剛性値と、前記変位の最小値を含む前記区間における前記剛性値である第2剛性値と、に基づいて、前記供試体が、前記変位に対して前記試験力が非線形に変化するか否かを判定する判定部を備える。
【0067】
第4項に記載の材料試験機によれば、前記変位の最大値を含む前記区間における前記剛性値である第1剛性値と、前記変位の最小値を含む前記区間における前記剛性値である第2剛性値と、に基づいて、前記供試体が、前記変位に対して前記試験力が非線形に変化するか否かを判定する。
したがって、簡素な処理で、前記供試体が、前記変位に対して前記試験力が非線形に変化するか否かを適正に判定できる。
本実施形態では、図4を参照して説明したように、グラフG32の傾きに対応する第1剛性値RG1が、グラフG33の傾きに対応する第2剛性値RG2と比較して大きい。そこで、グラフG31に示すように、変位Xと試験力FPとの関係を示す曲線は下に凸の曲線である。したがって、前記供試体が、前記変位に対して前記試験力が非線形に変化することを適正に判定できる。
【0068】
(第5項)
第4項に記載の材料試験機において、前記判定部は、前記第1剛性値の前記第2剛性値に対する比が、所定閾値以上である場合に、前記供試体が、前記変位に対して前記試験力が非線形に変化すると判定する。
【0069】
第5項に記載の材料試験機によれば、前記第1剛性値の前記第2剛性値に対する比が、所定閾値以上である場合に、前記供試体が、前記変位に対して前記試験力が非線形に変化すると判定する。
したがって、簡素な処理で、前記供試体が、前記変位に対して前記試験力が非線形に変化することを適正に判定できる。
本実施形態では、図4を参照して説明したように、第1剛性値RG1の第2剛性値RG2に対する比(=RG1/RG2)が約1.4であり、所定閾値(=1.1)以上であるため、判定部213は、供試体SPが、変位Xに対して試験力FPが非線形に変化すると判定する。
【0070】
なお、本実施形態に係る疲労試験機1は、あくまでも本発明に係る「材料試験機」の態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形および応用が可能である。
例えば、本実施形態では、「材料試験機」が疲労試験機1である場合について説明するが、これに限定されない。「材料試験機」が、アクチュエータを備え、アクチュエータによって供試体に試験力を付与し、供試体を変形させて材料試験を行えばよい。「材料試験機」が、例えば、引張試験機、圧縮試験機、曲げ試験機、ねじり試験機、クリープ試験機、衝撃試験機等であってもよい。
【0071】
本実施形態では、「アクチュエータ」が油圧アクチュエータ15である場合について説明するが、これに限定されない。「アクチュエータ」が、例えば、電動アクチュエータ、すなわち、モータであってもよい。
【0072】
本実施形態では、試験実行部215が、PID制御によって、油圧アクチュエータ15を制御する場合について説明したが、これに限定されない。試験実行部215が、例えば、PI制御、又は、PD制御等によって、油圧アクチュエータ15を制御してもよい。
【0073】
また、図1、及び図3に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
【0074】
また、図7に示すフローチャートの処理単位は、制御装置21Bの処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。図7のフローチャートに示す処理単位の分割の仕方や名称によって制限されることはなく、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0075】
また、疲労試験機1の制御装置21Bは、プロセッサ21Cに、制御プログラムPGMを実行させる。また、この制御プログラムPGMは、コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体に記録しておくことも可能である。記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリデバイスを用いることができる。
具体的には、フレキシブルディスク、HDD、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。
また、記録媒体は、制御装置21Bが備える内部記憶装置であるRAM、ROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。また、制御プログラムPGMをサーバ装置等に記憶させておき、サーバ装置から制御装置21Bに、制御プログラムPGMをダウンロードしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 疲労試験機(材料試験機)
10 試験機本体
14 クロスヘッド
15 油圧アクチュエータ(アクチュエータ)
15a ピストンロッド
16a 下部治具
16b 上部治具
17 ロードセル
18 サーボ弁
19 差動トランス
20 制御ユニット
21A 信号入出力装置
21B 制御装置
21C プロセッサ
21D メモリ
211 取得部
212 剛性算出部
213 判定部
214 制御決定部
215 試験実行部
216 測定値記憶部
217 パラメータ記憶部
PGM 制御プログラム
PG 比例ゲイン
IG 積分ゲイン
DG 微分ゲイン
N フィルター係数
FP 試験力
FD 試験力情報
RG 剛性値
RG1 第1剛性値
RG2 第2剛性値
MR 最大値
SG1 試験力信号
SG2 変位信号
SG3 制御信号
SP 供試体
T、TA 時間
W 周期
X 変位
XD 変位情報
XM 最大値
XN 最小値
dX 指令情報
ΔFP 変化量
ΔT 所定時間
ΔX 微小変位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7