(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037553
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】表面改質された中空シリカ及び表面改質された中空シリカの分散液
(51)【国際特許分類】
C09D 17/00 20060101AFI20230308BHJP
C09C 1/28 20060101ALI20230308BHJP
C09C 3/12 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
C09D17/00
C09C1/28
C09C3/12
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020415
(22)【出願日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0117800
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】318007591
【氏名又は名称】ケーシーテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】イ ユ ジン
(72)【発明者】
【氏名】ハ スン フン
(72)【発明者】
【氏名】キム ス ヨン
【テーマコード(参考)】
4J037
【Fターム(参考)】
4J037CB23
4J037EE03
4J037EE12
4J037EE43
4J037EE47
4J037EE48
4J037FF02
4J037FF15
(57)【要約】
【課題】本発明は、表面改質された中空シリカ粒子及び表面改質された中空シリカの分散液に関する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液は、中空のコア及び前記コアを取り囲むシリカシェルを含む中空シリカ粒子、カップリング剤、及び有機溶媒を含み、表面にケイ素原子に直接結合した有機基を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空のコア及び前記コアを取り囲むシリカシェルを含み、
前記シリカシェル表面のケイ素原子に直接結合した有機基を有し、
前記有機基は下記の一般式(1)で表される基を含む、表面改質された中空シリカ粒子。
-R-C=CH2 (1)
(一般式(1)において、Rは、H又は1~12の炭化水素基)
【請求項2】
中空のコア及び前記コアを取り囲むシリカシェルを含み、
前記シリカシェル表面のケイ素原子に直接結合した有機基を有し、
前記有機基は下記の一般式(2)で表される基を含む、表面改質された中空シリカ粒子。
-R-OC(=O)CCH3=CH2 (2)
(一般式(1)において、Rは、1~12の炭化水素基)
【請求項3】
中空のコア及び前記コアを取り囲むシリカシェルを含み、
前記シリカシェル表面のケイ素原子に直接結合した有機基を有し、
前記有機基は下記の一般式(3)で表される基を含む、表面改質された中空シリカ粒子。
-R- (3)
(一般式(3)において、Rは、1~12の炭化水素基)
【請求項4】
中空のコア及び前記コアを取り囲むシリカシェルを含み、
前記シリカシェル表面のケイ素原子に直接結合した有機基を有し、
前記有機基は下記の一般式(4)で表される基を含む、表面改質された中空シリカ粒子。
-C6H5 (4)
【請求項5】
中空のコア及び前記コアを取り囲むシリカシェルを含む中空シリカ粒子と、
シランカップリング剤と、
有機溶媒と、
を含み、
表面にケイ素原子に直接結合した有機基を有する、表面改質された中空シリカの分散液。
【請求項6】
前記有機基は、下記の一般式(1)~(4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項5に記載の表面改質された中空シリカの分散液。
-R-C=CH2 (1)
(一般式(1)において、Rは、H又は1~12の炭化水素基)
-R-OC(=O)CCH3=CH2 (2)
(一般式(2)において、Rは、1~12の炭化水素基)
-R- (3)
(一般式(3)において、Rは、1~12の炭化水素基)
-C6H5 (4)
【請求項7】
前記シランカップリング剤は、アルキル基シラン、ビニル基シラン、フェニル基シラン、グリシジル基シラン、及びメタアクリル基シランからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項5に記載の表面改質された中空シリカの分散液。
【請求項8】
前記アルキル基シランは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びメチルフェニルジメトキシシランからなる群より選択された少なくとも1つを含む、請求項7に記載の表面改質された中空シリカの分散液。
【請求項9】
前記ビニル基シランは、ビニルトリメトキシシラン(Vinyl trimethoxy silane)、ビニルトリエトキシシラン(Vinyl triethoxy silane)、ビニルトリアセトキシシラン(Vinyl tri acetoxy silane)、ビニルトリクロロシラン(vinyl trichlorosilane)、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン(vinyl tris(methoxyethoxy)silane)、及びビニルトリイソプロポキシシラン(Vinyl tri-isopropoxy silane)からなる群より選択された少なくとも1つを含む、請求項7に記載の表面改質された中空シリカの分散液。
【請求項10】
前記フェニル基シランは、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルクロロシラン、ジクロロジフェニルシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジエトキシジフェニルシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、及びメチルフェニルジクロロシランからなる群より選択された少なくとも1つを含む、請求項7に記載の表面改質された中空シリカの分散液。
【請求項11】
前記グリシジル基シランは、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシエチルエチルジメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、及びγ-グリシドキシプロピルビニルジエトキシシランからなる群より選択された少なくとも1つを含む、請求項7に記載の表面改質された中空シリカの分散液。
【請求項12】
前記メタアクリル基シランは、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、3-トリメトキシプロピルアクリレート、3-トリメトキシシリルエチルメタクリレート、3-トリエトキシシリルエチルメタクリレート、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメキトシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメキトシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメキトシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメキトシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシランからなる群より選択された少なくとも1つを含む、請求項7に記載の表面改質された中空シリカの分散液。
【請求項13】
前記中空シリカ粒子は、前記表面改質された中空シリカの分散液のうち1重量%~25重量%であり、
前記シランカップリング剤は、前記表面改質された中空シリカの分散液のうち5重量%~50重量%である、請求項5に記載の表面改質された中空シリカの分散液。
【請求項14】
前記中空シリカ粒子は、前記シランカップリング剤によって表面改質されたものである、請求項5に記載の表面改質された中空シリカの分散液。
【請求項15】
前記表面改質された中空シリカの分散液のD50値は10nm~200nmである、請求項5に記載の表面改質された中空シリカの分散液。
【請求項16】
前記有機溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン又は乳酸エチル、グリコールエーテル誘導体、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、又は、ジエチレングリコールジメチルエーテル;グリコールエーテルエステル誘導体、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、又は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA);カルボン酸塩、酢酸エチル、n-酢酸ブチル、及び酢酸アミル;二塩基酸のカルボン酸塩、ジエチルオキシラート、及びマロン酸ジエチル;グリコールのジカルボン酸、エチレングリコールジアセテート及びプロピレングリコールジアセテート;及びヒドロキシカルボン酸、乳酸メチル、乳酸エチル、エチルグリコール酸、及びエチル-3-ヒドロキシプロピオン酸;ケトンエステル、ピルビン酸メチル又はピルビン酸エチル;アルコキシカルボン酸エステル、メチル3-メトキシプロピオン酸、エチル3-エトキシプロピオン酸、エチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸、又は、メチルエトキシプロピオン酸;ケトン誘導体、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、又は2-ヘプタノン;ケトンエーテル誘導体、ジアセトンアルコールメチルエーテル;ケトンアルコール誘導体、アセトール又はジアセトンアルコール;ケタール又はアセタール、1、3-ジオキソラン及びジエトキシプロパン;ラクトン、ブチロラクトン、及びガンマバレロラクトン;アミド誘導体、ジメチルアセトアミド又はジメチルホルムアミド、アニソール;及びそれらの混合物からなる群より選択された少なくとも1つを含む、請求項5に記載の表面改質された中空シリカの分散液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面改質された中空シリカ及び表面改質された中空シリカの分散液に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にPDP、LCDなどの平板ディスプレイ装置には、外部から入射される光の反射を最小化するための反射防止フィルムが装着されている。
【0003】
光の反射を最小化するための方法として、樹脂に無機微粒子などのフィラーを分散させて基材フィルム上にコーティングして凹凸を与える方法(anti-glare;AGコーティング)、基材フィルム上に屈折率の異なる複数の層を形成させて光の干渉を使用する方法(anti-reflection;ARコーティング)又はこれらを混用する方法などが挙げられる。
【0004】
また、今までは、反射防止フィルムに含まれている低屈折層の耐スクラッチ性を向上させるためには、ナノメートルサイズの様々な粒子(例えば、シリカ、アルミナ、ゼオライトなどの粒子)を添加する方法が主に試みられた。しかし、上記のようにナノメートルサイズの粒子を使用する場合、低屈折層の反射率を低くすることが困難であり限界があった。
【0005】
そのため、外部から入射される光の絶対反射量を減らすための中空シリカ粒子を製造するなど、多くの研究が行われているが、従来における中空シリカの物性では、透明でありながらも低い屈折率を有する中空シリカ粒子分散液を製造することが充分でなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためのもので、本発明の目的は、屈折率及び反射率が低く、透過率が高いことから優れた光学的特性を有する表面改質された中空シリカ及び表面改質された中空シリカの分散液を提供することにある。
【0007】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及したものなどに制限されず、言及されない更なる課題は、下記の記載により当該の分野当業者にとって明確に理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る表面改質された中空シリカ粒子は、中空のコア及び前記コアを取り囲むシリカシェルを含み、前記シリカシェル表面のケイ素原子に直接結合した有機基を有し、前記有機基は下記の一般式(1)で表される基を含む。
-R-C=CH2 (1)
(一般式(1)において、Rは、H又は1~12の炭化水素基)
【0009】
本発明の他の実施形態に係る表面改質された中空シリカ粒子は、中空のコア及び前記コアを取り囲むシリカシェルを含み、前記シリカシェル表面のケイ素原子に直接結合した有機基を有し、前記有機基は下記の一般式(2)で表される基を含む。
-R-OC(=O)CCH3=CH2 (2)
(一般式(2)において、Rは、1~12の炭化水素基)
【0010】
本発明の更なる実施形態に係る表面改質された中空シリカ粒子は、中空のコア及び前記コアを取り囲むシリカシェルを含み、前記シリカシェル表面のケイ素原子に直接結合した有機基を有し、前記有機基は下記の一般式(3)で表される基を含む。
-R- (3)
(一般式(3)において、Rは、1~12の炭化水素基)
【0011】
本発明の更なる実施形態に係る表面改質された中空シリカ粒子は、中空のコア及び前記コアを取り囲むシリカシェルを含み、前記シリカシェル表面のケイ素原子に直接結合した有機基を有し、前記有機基は下記の一般式(4)で表される基を含む。
-C6H5 (4)
【0012】
本発明の更なる実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液は、中空のコア及び前記コアを取り囲むシリカシェルを含む中空シリカ粒子と、シランカップリング剤と、有機溶媒とを含み、表面にケイ素原子に直接結合した有機基を有する。
【0013】
一実施形態において、前記有機基は、下記の一般式(1)~(4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであってよい。
-R-C=CH2 (1)
(一般式(1)において、Rは、H又は1~12の炭化水素基)
-R-OC(=O)CCH3=CH2 (2)
(一般式(2)において、Rは、1~12の炭化水素基)
-R- (3)
(一般式(3)において、Rは、1~12の炭化水素基)
-C6H5 (4)
【0014】
一実施形態において、前記シランカップリング剤は、アルキル基シラン、ビニル基シラン、フェニル基シラン、グリシジル基シラン、及びメタアクリル基シランからなる群より選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0015】
一実施形態において、前記アルキル基シランは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びメチルフェニルジメトキシシランからなる群より選択された少なくとも1つを含むことができる。
【0016】
一実施形態において、前記ビニル基シランは、ビニルトリメトキシシラン(Vinyl trimethoxy silane)、ビニルトリエトキシシラン(Vinyl triethoxy silane)、ビニルトリアセトキシシラン(Vinyl tri acetoxy silane)、ビニルトリクロロシラン(vinyl trichlorosilane)、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン(vinyl tris(methoxyethoxy)silane)、及びビニルトリイソプロポキシシラン(Vinyl tri-isopropoxy silane)からなる群より選択された少なくとも1つを含むことができる。
【0017】
一実施形態において、前記フェニル基シランは、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルクロロシラン、ジクロロジフェニルシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジエトキシジフェニルシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、及びメチルフェニルジクロロシランからなる群より選択された少なくとも1つを含むことができる。
【0018】
一実施形態において、前記グリシジル基シランは、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシエチルエチルジメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、及びγ-グリシドキシプロピルビニルジエトキシシランからなる群より選択された少なくとも1つを含むことができる。
【0019】
一実施形態において、前記メタアクリル基シランは、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、3-トリメトキシプロピルアクリレート、3-トリメトキシシリルエチルメタクリレート、3-トリエトキシシリルエチルメタクリレート、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメキトシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメキトシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメキトシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメキトシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシランからなる群より選択された少なくとも1つを含むことができる。
【0020】
一実施形態において、前記中空シリカ粒子は、前記表面改質された中空シリカの分散液のうち1重量%~25重量%であり、前記シランカップリング剤は、前記表面改質された中空シリカの分散液のうち5重量%~50重量%であってもよい。
一実施形態において、前記中空シリカ粒子は、前記シランカップリング剤によって表面改質されたものであってもよい。
一実施形態において、前記表面改質された中空シリカの分散液のD50値は10nm~200nmであってもよい。
【0021】
一実施形態において、前記有機溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン又は乳酸エチル、グリコールエーテル誘導体、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、又は、ジエチレングリコールジメチルエーテル;グリコールエーテルエステル誘導体、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、又は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA);カルボン酸塩、酢酸エチル、n-酢酸ブチル、及び酢酸アミル;二塩基酸のカルボン酸塩、ジエチルオキシラート、及びマロン酸ジエチル;グリコールのジカルボン酸、エチレングリコールジアセテート及びプロピレングリコールジアセテート;及びヒドロキシカルボン酸、乳酸メチル、乳酸エチル、エチルグリコール酸、及びエチル-3-ヒドロキシプロピオン酸;ケトンエステル、ピルビン酸メチル又はピルビン酸エチル;アルコキシカルボン酸エステル、メチル3-メトキシプロピオン酸、エチル3-エトキシプロピオン酸、エチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸、又は、メチルエトキシプロピオン酸;ケトン誘導体、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、又は2-ヘプタノン;ケトンエーテル誘導体、ジアセトンアルコールメチルエーテル;ケトンアルコール誘導体、アセトール又はジアセトンアルコール;ケタール又はアセタール、1、3-ジオキソラン及びジエトキシプロパン;ラクトン、ブチロラクトン、及びガンマバレロラクトン;アミド誘導体、ジメチルアセトアミド又はジメチルホルムアミド、アニソール;及びそれらの混合物からなる群より選択された少なくとも1つを含むことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施形態に係る表面改質された中空シリカ粒子は、均一な大きさを有することができる。
本発明の一実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液は、均一な大きさの表面改質された中空シリカ粒子を含み、全光線透過率(T.T)が高く、ヘイズが低いことが分かり、反射率も低いため低い屈折率を有することができる。
本発明の一実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液の製造方法は、シランカップリング剤によって表面改質された中空シリカを含むことにより全光線透過率(T.T)が高く、ヘイズが低いことが分かり、反射率も低いため低い屈折率を有する表面改質された中空シリカの分散液を製造することができる。
本発明の一実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液の硬化体を含む拡散フィルムは、透過率が高く反射率は低いことから、光学的に優れた特性を実現することができる。
本発明の一実施形態に係る拡散フィルム及びディスプレイ用光学部材は、携帯電話、タブレットPC、PDP、ノート型パソコン、モニター、TVのバックライトユニットに組み込まれる拡散フィルムを製造するために用いられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液の製造工程を概略的に示したフローチャートである。
【
図2】
図1に示すコア準備ステップの細部工程を概略的に示したフローチャートである。
【
図3】
図1に示すコアシェル粒子準備ステップの細部工程を概略的に示したフローチャートである。
【
図4】本発明の製造例に係る中空シリカ粒子のTEMイメージである。
【
図5】本発明の実施例1に係る表面改質された中空シリカの分散液のTEMイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して実施形態を詳細に説明する。しかし、実施形態には多様な変更が加えられることができ、特許出願の権利範囲がこの実施形態により制限されたり限定されることはない。実施形態に対するすべての変更、均等物ないし代替物が権利範囲に含まれるものとして理解されなければならない。
【0025】
本明細書で用いる用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられるものであって、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0026】
異なる定義がされない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0027】
また、添付図面を参照して説明することにおいて、図面符号に関係なく、同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略することにする。実施形態の説明において、関連する公知技術に対する具体的な説明が実施形態の要旨を不要に曖昧にするものと判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0028】
また、実施形態の構成要素の説明において、第1,第2,A,B,(a),(b)などの用語を使用することがある。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものにすぎず、その用語によって該当の構成要素の本質や順番又は順序などが限定されない。
【0029】
いずれか一つの実施形態に含まれている構成要素と、共通の機能を含む構成要素は、他の実施形態で同じ名称を用いて説明することにする。反対となる記載がない以上、いずれか一つの実施形態に記載した説明は、他の実施形態にも適用され、重複する範囲において具体的な説明は省略することにする。
【0030】
以下、本発明の表面改質された中空シリカ及び表面改質された中空シリカの分散液に対して、実施形態及び図面を参照して具体的に説明する。しかし、本発明がこのような実施形態及び図面に制限されることはない。
【0031】
本発明の一実施形態に係る表面改質された中空シリカ粒子は、中空のコア及び前記コアを取り囲むシリカシェルを含み、前記シリカシェル表面のケイ素原子に直接結合した有機基を有し、前記有機基は下記の一般式(1)で表される基を含む。
-R-C=CH2 (1)
(一般式(1)において、Rは、H又は1~12の炭化水素基)
【0032】
本発明の他の実施形態に係る表面改質された中空シリカ粒子は、中空のコア及び前記コアを取り囲むシリカシェルを含み、前記シリカシェル表面のケイ素原子に直接結合した有機基を有し、前記有機基は下記の一般式(2)で表される基を含む。
-R-OC(=O)CCH3=CH2 (2)
(一般式(2)において、Rは、1~12の炭化水素基)
【0033】
本発明の更なる実施形態に係る表面改質された中空シリカ粒子は、中空のコア及び前記コアを取り囲むシリカシェルを含み、前記シリカシェル表面のケイ素原子に直接結合した有機基を有し、前記有機基は下記の一般式(3)で表される基を含む。
-R- (3)
(一般式(3)において、Rは、1~12の炭化水素基)
【0034】
本発明の更なる実施形態に係る表面改質された中空シリカ粒子は、中空のコア及び前記コアを取り囲むシリカシェルを含み、前記シリカシェル表面のケイ素原子に直接結合した有機基を有し、前記有機基は下記の一般式(4)で表される基を含む。
-C6H5 (4)
【0035】
本発明において「中空シリカ」は、コアの空いた空間(中空)とシリカの殻を含む粒子として、シリカの多孔質の殻が、その内部の中空を取り囲んだ構造を有する。本発明において、シリカ殻は、シリカの殻壁部分に複数の小さい孔を有しており、従って、中空シリカは内部コアの中空が存在し、シリカ殻に複数のメソ気孔が分散している。
【0036】
本発明の更なる実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液は、中空のコア及び前記コアを取り囲むシリカシェルを含む中空シリカ粒子、シランカップリング剤(Silane coupling agent;SCA)、及び有機溶媒を含み、表面にケイ素原子に直接結合した有機基を有する。
【0037】
一実施形態において、前記有機基は、下記の一般式(1)~(4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つであってよい。
-R-C=CH2 (1)
(一般式(1)において、Rは、H又は1~12の炭化水素基)
-R-OC(=O)CCH3=CH2 (2)
(一般式(2)において、Rは、1~12の炭化水素基)
-R- (3)
(一般式(3)において、Rは、1~12の炭化水素基)
-C6H5 (4)
【0038】
一実施形態において、前記シランカップリング剤は、アルキル基シラン、ビニル基シラン、フェニル基シラン、グリシジル基シラン、及びメタアクリル基シランからなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0039】
一実施形態において、前記アルキル基シランは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びメチルフェニルジメトキシシランからなる群より選択された少なくとも1つを含んでもよい。
【0040】
一実施形態において、前記ビニル基シランは、ビニルトリメトキシシラン(Vinyl trimethoxy silane)、ビニルトリエトキシシラン(Vinyl triethoxy silane)、ビニルトリアセトキシシラン(Vinyl tri acetoxy silane)、ビニルトリクロロシラン(vinyl trichlorosilane)、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン(vinyl tris(methoxyethoxy)silane)及びビニルトリイソプロポキシシラン(Vinyl tri-isopropoxy silane)からなる群より選択された少なくとも1つを含んでもよい。
【0041】
一実施形態において、前記フェニル基シランは、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルクロロシラン、ジクロロジフェニルシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジエトキシジフェニルシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、及びメチルフェニルジクロロシランからなる群より選択された少なくとも1つを含んでもよい。
【0042】
一実施形態において、前記グリシジル基シランは、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシエチルエチルジメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、及びγ-グリシドキシプロピルビニルジエトキシシランからなる群より選択された少なくとも1つを含んでもよい。
【0043】
一実施形態において、前記メタアクリル基シランは、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、3-トリメトキシプロピルアクリレート、3-トリメトキシシリルエチルメタクリレート、3-トリエトキシシリルエチルメタクリレート、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメキトシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメキトシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメキトシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメキトシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシランからなる群より選択された少なくとも1つを含んでもよい。
【0044】
一実施形態において、前記中空シリカ粒子は、前記表面改質された中空シリカの分散液のうち1重量%~25重量%であり、前記シランカップリング剤は、前記表面改質された中空シリカの分散液のうち5重量%~50重量%であってもよい。
【0045】
一実施形態において、前記中空シリカ粒子は、前記シランカップリング剤によって表面改質されたものである。
【0046】
一実施形態において、前記表面改質された中空シリカの分散液のD50値は10nm~200nmであってもよい。
【0047】
好ましくは、前記表面改質された中空シリカの分散液のD50値は、10nm~180nm、10nm~150nm、10nm~100nm、10nm~150nm、10nm~30nm、50nm~200nm、50nm~180nm、50nm~150nm、50nm~100nm、50nm~80nm、80nm~200nm、80nm~150nm、80nm~130nm、80nm~100nm、100nm~200nm、100nm~150nm、100nm~130nm、150nm~200nm又は180nm~200nmであってもよい。
【0048】
一実施形態において、前記表面改質された中空シリカの分散液のD50値が10nm未満の場合、表面改質された中空シリカの分散液の屈折率が高くなる恐れがあり、粒子の凝集による分散性の制御が難しい。200nm超過の場合、ヘイズ(haze)が高まって透明性が低下し、シェルの強度が低下してフィルムに充填する際にシェルが壊れる恐れがある。
【0049】
一実施形態において、前記表面改質された中空シリカの分散液のD50値は、粒子のサイズ分布の中央値に定義される。
【0050】
表面改質された中空シリカの分散液の代表的なサンプルを収集し、走査電子顕微鏡(SEM)で表面改質された中空シリカの分散液の直径を測定することができる。そして、中空部分の内径は、透過電子顕微鏡の写真(TEM)で測定したものである。
【0051】
一実施形態において、前記コアの平均直径が10nm~100nmであってもよい。
【0052】
一実施形態において、前記コアの平均直径が10nm未満の場合、表面改質された中空シリカの分散液の屈折率が高くなる恐れがあり、粒子の凝集による分散性の制御が難しい。100nm超過の場合、ヘイズが高まって透明性が低下し、シェルの強度が低下してフィルムに充填する際シェルが壊れる恐れがある。コアの平均直径により最終的に製造される中空シリカの平均直径が決定され、コアの平均直径を制御して最終的に製造される中空シリカの平均直径を制御できる。
【0053】
一実施形態において、前記シェルの平均の厚さは、1nm~50nmであってもよい。
【0054】
一実施形態において、前記シェルの平均の厚さが1nm未満の場合、表面改質された中空シリカの分散液を製造するとき、コアが除去されることにより共に除去される問題があり、50nmを超える場合、表面改質された中空シリカの分散液が不透明になり、シリカの比率が高まることでシリカ自体の特性が発現するという問題がある。
【0055】
一実施形態において、前記表面改質された中空シリカの分散液の表面積(surface area)は30m2/g~150m2/gであってもよい。
【0056】
好ましくは、前記表面改質された中空シリカの分散液の表面積は、30m2/g~140m2/g、30m2/g~120m2/g、30m2/g~100m2/g、30m2/g~50m2/g、40m2/g~150m2/g、40m2/g~140m2/g、40m2/g~120m2/g、40m2/g~100m2/g、50m2/g~150m2/g、50m2/g~140m2/g、50m2/g~120m2/g、50m2/g~100m2/g、60m2/g~150m2/g、60m2/g~100m2/g、30m2/g~120m2/g、30m2/g~100m2/g、60m2/g~80m2/g、70m2/g~150m2/g、70m2/g~130m2/g、80m2/g~150m2/g、80m2/g~130m2/g、90m2/g~150m2/g、90m2/g~100m2/g、100m2/g~150m2/g、100m2/g~130m2/g、110m2/g~150m2/g又は110m2/g~120m2/gであってもよい。
【0057】
一実施形態において、前記表面改質された中空シリカの分散液の表面積が30m2/g未満の場合、粒子間凝集によって分散性が低下する問題があり、80m2/g超過の場合、樹脂及び溶剤の浸透により後工程を耐えることが難く、シェルの強度が低下して中空シリカの構造が壊れるという問題がある。
【0058】
一実施形態において、前記シェルの気孔体積(pore volume)は、0.1cm3/g~0.7cm3/gであってもよい。好ましくは、前記シェルの気孔体積は0.1cm3/g~0.5cm3/g、0.2cm3/g~0.7cm3/g、0.2cm3/g~0.6cm3/g、0.3cm3/g~0.7cm3/g、0.2cm3/g~0.5cm3/g又は0.4cm3/g~0.5cm3/gであってもよい。
【0059】
一実施形態において、前記シェルの気孔体積が0.1cm3/g未満の場合、粒子間凝集によって分散性が低下する問題があり、0.7cm3/g超過の場合、樹脂及び溶剤の浸透により後工程を耐えることが難く、シェルの強度が低下して中空シリカの構造が壊れるという問題がある。
【0060】
本発明の表面改質された中空シリカの分散液は、基材に適用した後固体フィルムに転換される、中空シリカを含んでいるいずれかの液体、液化可能又はマスティック(mastic)組成物を示すもので、前記表面改質された中空シリカの分散液はいずれかの構造物の表面の内部又は外部に適用され得る。
【0061】
一実施形態において、前記有機溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン又は乳酸エチル、グリコールエーテル誘導体、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、又は、ジエチレングリコールジメチルエーテル、グリコールエーテルエステル誘導体、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、又は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、カルボン酸塩、酢酸エチル、n-酢酸ブチル、及び酢酸アミル;二塩基酸のカルボン酸塩、ジエチルオキシラート及びマロン酸ジエチル;グリコールのジカルボン酸、エチレングリコールジアセテート及びプロピレングリコールジアセテート;及びヒドロキシカルボン酸、乳酸メチル、乳酸エチル、エチルグリコール酸、及びエチル-3-ヒドロキシプロピオン酸;ケトンエステル、ピルビン酸メチル又はピルビン酸エチル;アルコキシカルボン酸エステル、メチル3-メトキシプロピオン酸、エチル3-エトキシプロピオン酸、エチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸、又は、メチルエトキシプロピオン酸;ケトン誘導体、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン又は2-ヘプタノン;ケトンエーテル誘導体、ジアセトンアルコールメチルエーテル;ケトンアルコール誘導体、アセトール又はジアセトンアルコール;ケタール又はアセタール、1、3-ジオキソラン及びジエトキシプロパン;ラクトン、ブチロラクトン及びガンマバレロラクトン;アミド誘導体、ジメチルアセトアミド又はジメチルホルムアミド、アニソール;及びこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つであってもよい。
【0062】
本発明の表面改質された中空シリカの分散液は、先に説明したような高い透明性、低い反射率、眩しい防止効果を有する表面改質された中空シリカの分散液とレジン、有機溶媒などを混合して製造することができる。
【0063】
前記表面改質された中空シリカの分散液との屈折率を調節して透明な組成物を製造するためには、レジンの屈折率は1.5未満であることが好ましく、好ましくは、UV硬化性樹脂のうち中空粒子と屈折率に類似した樹脂を選択して使用することが好ましい。
【0064】
一実施形態において、前記UV硬化性樹脂は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0065】
一実施形態において、前記表面改質された中空シリカの分散液には、ハードコーティング剤、UV遮断剤、又はIR遮断剤をさらに含んでもよく、前記添加剤は、周知のものを使用し、その他に必要な場合は追加的機能を与える添加剤をさらに含んでもよい。
【0066】
一実施形態において、前記表面改質された中空シリカの分散液は、いずれかのコーティング組成物であってもよく、いずれかの基材に適用されてもよい。
【0067】
本発明の表面改質された中空シリカの分散液は、偏光フィルム、プリズムシート、ARシートなどのディスプレイ用光学部材を製造するために用いられてもよい。
【0068】
本発明の一実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液は、低い屈折率、反射防止、眩しい防止効率を示すことで、光学的に優れた特性を実現することができる。
【0069】
本発明の一実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液は、均一な大きさの表面改質された中空シリカ粒子を含み、全光線透過率(T.T)が優れており、ヘイズが低いことが分かり、反射率も低くて低い屈折率を有し得る。
【0070】
本発明の他の実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液の製造方法は、一実施形態において、カチオン性界面活性剤及びモノマーを合成してコアを準備するステップ、前記コア上にシリカシェルを形成してコアシェルの粒子を準備するステップ、前記コアシェルの粒子を800℃以上の温度で下焼してコアを除去し中空シリカ粒子を準備するステップ、及び前記中空シリカ粒子をシランカップリング剤に分散させるステップを含む。
【0071】
図1は、本発明の一実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液の製造工程を概略的に示したフローチャートである。
【0072】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液の製造方法は、コア準備ステップS110、コアシェル粒子準備ステップS120、中空シリカ粒子準備ステップS130、及び分散ステップS140を含む。
【0073】
一実施形態において、前記コア準備ステップS110は、カチオン性界面活性剤及びモノマーを合成してコアを準備する。
【0074】
一実施形態において、前記カチオン性界面活性剤及びモノマーを合成してコアを準備するステップは、蒸留水に前記カチオン性界面活性剤及び前記モノマーを入れて窒素パージして混合物を準備するステップ、前記混合物を50℃~100℃の温度範囲で加熱した後、窒素の雰囲気下で重合開始剤を投入し10時間~48時間撹拌して重合溶液を準備するステップ、及び前記重合溶液を有機溶媒で洗浄した後、60℃~120℃の温度範囲で10時間~48時間の間に乾燥するステップを含む。
【0075】
図3は、
図2に示すコア準備ステップの細部工程を概略的に示したフローチャートである。
【0076】
図3を参照すると、本発明のコア準備ステップS110は、混合物準備ステップS111、重合溶液準備ステップS112、及び洗浄及び乾燥ステップS113を含む。
【0077】
一実施形態において、前記混合物準備ステップS111は、蒸留水に前記カチオン性界面活性剤及び前記モノマーを入れて窒素パージして混合物を準備するステップである。
【0078】
好ましくは、蒸留水とカチオン性界面活性剤を入れて撹拌し窒素パージした後60℃~100℃の温度範囲、最も好ましくは、90℃でモノマーを入れて撹拌し、混合物を準備する。
【0079】
一実施形態において、前記カチオン性界面活性剤は、臭化セチルトリメチルアンモニウム(cetyltrimethylammonium bromide;CTAB)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム臭化物(hexadecyltrimethylammonium bromide;TMABr)、ヘキサデシルトリメチルピリジニウム塩化物(hexadecyltrimethylpyridinium chloride;TMPrCl)、テトラメチルアンモニウム塩化物(tetramethylammonium chloride;TMACl)、プルロニック(登録商標)P-123(Pluronic P-123、EO20PO70EO20)及びトリメチルベンゼン(trimethylbenzene;TMB)からなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0080】
一実施形態において、前記カチオン性界面活性剤は、10、000~2、500、000の分子量(Mw)を有してもよい。好ましくは、100、000~2、000、000、200、000~1、500、000、200、000~1、000、000であってもよい。
【0081】
一実施形態において、前記モノマーは、スチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、及び酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。好ましくは、前記モノマーは、スチレンであってもよい。
【0082】
一実施形態において、前記モノマー:前記カチオン性界面活性剤の混合比率は1:0.00001~1:0.001であってもよい。前記モノマー:前記カチオン性界面活性剤の混合比率が1:0.00001未満の場合、重合されたポリスチレン(Polystyrene)の粒子周辺を十分取り囲まないことから立体障害の効果が少なく、凝集問題が生じる恐れがあり、1:0.001超過の場合、界面活性剤が重合前の溶液に溶解されず粘度が高くなり、均一なポリスチレンの粒子形成が困難である恐れがある。
【0083】
一実施形態において、前記モノマー対比前記カチオン性界面活性剤の混合比率が高ければ、前記コアの平均直径が小さくなり、前記シリカシェルの厚さは厚くなり、一方、前記モノマー対比前記カチオン性界面活性剤の混合比率が低くなると、前記コアの平均直径が大きくなって、前記シリカシェルの厚さは薄くなる。
【0084】
一実施形態において、前記重合溶液準備ステップS112は、前記混合物を50℃~100℃の温度範囲で加熱した後、窒素の雰囲気下で重合開始剤を投入し10時間~48時間撹拌して重合溶液を準備するステップである。好ましくは、75℃~95℃の温度範囲、最も好ましくは、90℃を到達した後、窒素の雰囲気下で重合開始剤を投入する。
【0085】
一実施形態において、前記重合開始剤は、2、2’’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(2、2’’-Azobis(2-methylpropionamidine)dihydrochloride;AIBA)、2、2-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2、2-アゾビス(2-メチルイソブチロニトリル)、2、2-アゾビス(2、4-ジメチルバレロニトリル)、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、o-クロロベンゾイルペルオキシド、o-メトキシベンゾイルペルオキシド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、及びt-ブチルパーオキシイソブチレートからなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0086】
一実施形態において、前記洗浄及び乾燥ステップS113は、前記重合溶液を有機溶媒で洗浄した後、60℃~120℃の温度範囲で10時間~48時間の間に乾燥するステップである。好ましくは、70℃~100℃の温度範囲、最も好ましくは、80℃で24時間の間に乾燥させてもよい。
【0087】
一実施形態において、前記有機溶媒は、エタノール、メタノール、クロロホルム、クロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロエタン、及びジメチルスルホキシドからなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。好ましくは、エタノールで重合溶液を洗浄しコアを収得することができる。
【0088】
一実施形態において、前記コア上にシリカシェルを形成してコアシェルの粒子を準備するステップは、蒸留水に前記コアを希釈して分散液を準備するステップ、前記分散液に塩基性物質を混合してpHを調節するステップ、前記pH調節された分散液を20℃~80℃の温度範囲で加熱した後、シランカップリング剤を投入してコアシェルの形成溶液を準備するステップ、前記コアシェルの形成溶液を20℃~90℃の温度範囲で12時間~48時間反応させてコアシェルの反応溶液を準備するステップ、及び前記コアシェルの反応溶液を有機溶媒で洗浄した後60℃~120℃の温度範囲で10時間~48時間の間に乾燥するステップを含んでもよい。
【0089】
図3は、
図1に示すコアシェル粒子準備ステップの細部工程を概略的に示したフローチャートである。
【0090】
図3を参照すると、本発明のコアシェル粒子準備ステップは、分散液準備ステップS121、pH調節ステップS122、コアシェルの形成溶液準備ステップS123、コアシェルの反応溶液準備ステップS124、コアシェルの反応溶液乾燥ステップS125を含む。
【0091】
一実施形態において、前記分散液準備ステップS121は、蒸留水に前記コアを希釈して分散液を準備するステップである。
【0092】
一実施形態において、前記pH調節ステップS122は、前記分散液に塩基性物質を混合してpHを調節するステップである。
【0093】
前記塩基性物質は、アンモニア水、アンモニウムメチルプロパノール(ammonium methyl propanol;AMP)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetra methyl ammonium hydroxide;TMAH)、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、イミダゾール、及びその塩からなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0094】
一実施形態において、前記分散液に塩基性物質を混合してpHを調節するステップは、前記分散液のpHが7~12の範囲で調節することができる。好ましくは、前記分散液のpHが8~11であってもよい。
【0095】
一実施形態において、前記分散液のpHが低ければ中性に近づき、シランの加水分解、縮合反応が発生することが困難になることから、シェルの形成が均一ではなく、前記コアシェルの反応溶液の温度が高ければ、シランの加水分解、縮合反応の速度が速くなって、コアの周辺にシリカを形成せず個別的な球状のシリカが形成される可能性が高い。
【0096】
一実施形態において、前記コアシェルの形成溶液準備ステップS123は、前記pH調節された分散液を20℃~80℃の温度範囲で加熱した後、シランカップリング剤を投入しコアシェルの形成溶液を準備するステップである。好ましくは、30℃~50℃の温度範囲、最も好ましくは、30℃に到達した後、シランカップリング剤を投入する。
【0097】
一実施形態において、前記コアシェルの反応溶液準備ステップS124は、前記コアシェルの形成溶液を20℃~90℃の温度範囲で1時間~7時間反応させてコアシェルの反応溶液を準備するステップである。好ましくは、30℃~80℃の温度範囲、最も好ましくは、30℃で12時間~48時間の間に反応させてもよい。
【0098】
一実施形態において、前記コアシェルの反応溶液乾燥ステップS125は、前記コアシェルの反応溶液を乾燥しコアシェルの粒子を収得することができる。
【0099】
一実施形態において、前記コアシェルの反応溶液を有機溶媒で洗浄した後、60℃~120℃の温度範囲で10時間~48時間の間に乾燥してもよい。
【0100】
一実施形態において、前記コアシェルの粒子を下焼し、コアを除去するステップS130は、前記コアシェルの粒子を800℃以上1、000℃未満の温度範囲で1時間~10時間の間に実行したものである。
【0101】
本発明において、コアを除去するステップにおいて、下焼温度が800℃以上の高温になるにつれ、コアシェルの粒子は、周辺SiO2粒子同士の結合が多くなり、空いている空間が満たされてシェルの緻密度が増加し、気孔体積及び表面積が減少する。
【0102】
一実施形態において、前記下焼温度が800℃未満の場合はシェルの緻密度が低くなり、1、000℃超過の場合、粒子同士の凝集が強くて大きいサイズの凝集体が形成される問題がある。
【0103】
一実施形態において、前記分散ステップS140は、前記中空シリカ粒子をシランカップリング剤に分散させることにある。
【0104】
一実施形態において、前記シランカップリング剤は、アルキル基シラン、ビニル基シラン、フェニル基シラン、グリシジル基シラン、及びメタアクリル基シランからなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0105】
一実施形態において、前記アルキル基シランは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びメチルフェニルジメトキシシランからなる群より選択された少なくとも1つを含んでもよい。
【0106】
一実施形態において、前記ビニル基シランは、ビニルトリメトキシシラン(Vinyl trimethoxy silane)、ビニルトリエトキシシラン(Vinyl triethoxy silane)、ビニルトリアセトキシシラン(Vinyl tri acetoxy silane)、ビニルトリクロロシラン(vinyl trichlorosilane)、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン(vinyl tris(methoxyethoxy)silane)及びビニルトリイソプロポキシシラン(Vinyl tri-isopropoxy silane)からなる群より選択された少なくとも1つを含んでもよい。
【0107】
一実施形態において、前記フェニル基シランは、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルクロロシラン、ジクロロジフェニルシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジエトキシジフェニルシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、及びメチルフェニルジクロロシランからなる群より選択された少なくとも1つを含んでもよい。
【0108】
一実施形態において、前記グリシジル基シランは、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシエチルエチルジメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、及びγ-グリシドキシプロピルビニルジエトキシシランからなる群より選択された少なくとも1つを含んでもよい。
【0109】
一実施形態において、前記メタアクリル基シランは、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、3-トリメトキシプロピルアクリレート、3-トリメトキシシリルエチルメタクリレート、3-トリエトキシシリルエチルメタクリレート、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメキトシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメキトシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメキトシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメキトシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシランからなる群より選択された少なくとも1つを含んでもよい。
【0110】
一実施形態において、前記中空シリカ粒子は、前記表面改質された中空シリカの分散液のうち1重量%~25重量%であり、前記シランカップリング剤は、前記表面改質された中空シリカの分散液のうち5重量%~50重量%であってもよい。前記中空シリカ粒子が1重量%未満の場合、反射防止及び眩しい防止効果を十分に達成することができず、25重量%超過の場合は、透明性が減少してレジンの含量が少なくなり、硬化効率が低下する恐れがある。
【0111】
本発明の一実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液の製造方法は、シランカップリング剤によって表面改質された中空シリカを含むことで、全光線透過率(T.T)が高く、ヘイズが低いことが分かり、反射率も低くて低屈折率を有する表面改質された中空シリカの分散液を製造することができる。
【0112】
本発明の更なる実施形態係る拡散フィルムは、本発明の一実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液、及び他の実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液の製造方法により製造された表面改質された中空シリカの分散液の硬化体を含む。
【0113】
一実施形態において、前記拡散フィルムの透過率は94%以上であり、ヘイズ(Haze)は1.2%以下であり、反射率は0.8%以下であってもよい。
【0114】
一実施形態において、基材を準備し、前記基材に本発明の一実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液を積層又は塗布かつUV硬化させてコーティング層を形成することで、硬化体を製造することがでる。
【0115】
一実施形態において、前記コーティング方法は、グラビアコーティング、オフセットグラビアコーティング、2及び3つのロール加圧コーティング(roll pressure coating)、2つ及び3つのロールリバースコーティング(roll reverse coating)、浸漬コーティング、1及び2つのロールキスコーティング、トレーリングブレードコーティング(trailing balde coating)、nipコーティング、フレキソコーティング(flexographic coating)、インバーテッドナイフコーティング(inverted knife coating)、ポリッシュバーコーティング(polishing bar coating)及び線巻ドクターコーティング(wire wound doctor coating)からなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。コーティング後にコーティング層をUV光線で硬化させ、硬化処理は10秒~1時間の間に完結する。
【0116】
本発明の一実施形態に係る拡散フィルムは、携帯電話、タブレットPC、PDP、ノート型パソコン、モニター、TVのバックライトユニットに入る拡散フィルムを製造するために用いられる。
【0117】
本発明の一実施形態に係る表面改質された中空シリカの分散液の硬化体を含む拡散フィルムは、透過率が高くて反射率は低いことから、光学的に優れた特性を実現することができる。
【0118】
本発明の更なる実施形態係るディスプレイ用光学部材は、本発明の一実施形態の拡散フィルムを含むことができる。
【0119】
本発明の一実施形態に係る拡散フィルムは、携帯電話、タブレットPC、PDP、ノート型パソコン、モニター、TVのバックライトユニットに組み込まれる光学部材に適用され得る。
【実施例0120】
以下、実施例及び比較例によって本発明をより詳しく説明する。
但し、下記の実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例に限定されることはない。
【0121】
[製造例]
(コアの製造)
500mlの3口フラスコに蒸留水とカチオン性界面活性剤CTAB(Cetyltrimetylammonium bromide)を入れて撹拌した。90℃まで昇温しながら窒素の雰囲気を作る。90℃でスチレンモノマー(styrene monomer)を入れて30分撹拌し混合物を準備した。重合開始剤として2、2’’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(2、2’’-Azobis(2-methylpropionamidine)dihydrochloride;AIBA)を入れて24時間の間に撹拌して重合溶液を準備した。
重合の完了した溶液をエタノールで洗浄した後、80℃のオーブンで24時間の間に乾燥させてポリスチレン(PS)粒子を製造した。
【0122】
(中空シリカ粒子の製造)
前記で製造されたポリスチレン(PS)粒子を蒸留水に希釈してアンモニア水を添加し、pH10で滴定した。30℃の温度でTEOS(Tetraethylorthosilicate)を添加し12時間の間に撹拌してコアシェルの形成溶液を準備した。その後、コアシェルの形成溶液を80℃オーブンで24時間の間に乾燥させた。乾燥されたコアシェル粉末は、Box Furnaceで800℃で5時間下焼を実行し、表面改質された中空シリカ粉末を収得した。
【0123】
[実施例1]ビニル基を有する表面処理剤を用いた中空シリカの分散液
500ml容量の容器にエタノール87gとビニル基を有する表面処理剤として下記の構造式(1)のトリメトキシシラン(vinyl trimethoxy silane;VTMS)3gを入れ、25℃の温度下でスターラーバー(stirrer bar)を用いて5分間混合した。
【0124】
【0125】
その後、前記溶液に10gの中空シリカを入れ、25℃の温度下でスターラーバーを用いて30分間混合液を形成した。その後、前記混合液に10mmジルコニアボール500gを入れてボールミル装備を用いて24時間分散し、中空シリカエタノール分散液を取得した。100ml容量のペイントシェーカー用の容器にエタノール分散液50gと、0.03mmジルコニアビーズ50gを入れてペイントシェーカーを用いた。その後、前記溶液にPGMEAを混合して真空減圧下でエタノールを除去し、20wt%の中空シリカ-PGMEAの分散液を取得した。
【0126】
[実施例2]メタアクリル基を有する表面処理剤を用いた中空シリカの分散液
メタアクリル基を有する表面処理剤として、下記の構造式(2)の3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレート(3-trimethoxysilylpropyl methacrylate;MPS)を使用したことを除いては、実施例1と同じ方法を用いて中空シリカの分散液を取得した。
【0127】
【0128】
[実施例3]アルキル基を有する表面処理剤を用いた中空シリカの分散液
アルキル基を有する表面処理剤として、下記の構造式(3)のメチルトリメトキシシラン(methyltrimethoxysilane;MTMS)を使用したことを除いては、実施例1と同じ方法を用いて中空シリカの分散液を取得した。
【0129】
【0130】
[実施例4]フェニル基を有する表面処理剤を用いた中空シリカの分散液
フェニル基を有する表面処理剤として、下記の構造式(4)のフェニルトリメトキシシラン(phenyltrimethoxysilane;PTMS)を使用したことを除いては、実施例1と同じ方法を用いて中空シリカの分散液を取得した。
【0131】
【0132】
[比較例1]ポキシ基を有する表面処理剤を用いた中空シリカの分散液
エポキシ基を有する表面処理剤として、下記の構造式(5)のグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Glycidoxypropyl trimethoxysilane;GPTMS)を使用したことを除いては、実施例1と同じ方法を用いて中空シリカの分散液を取得した。
【0133】
【0134】
[比較例2]アミノ基を有する表面処理剤を用いた中空シリカの分散液
アミノ基を有する表面処理剤として、下記の構造式(6)のアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン(Aminoethylaminopropyl trimethoxysilane;APTMS)使用したことを除いては、実施例1と同じ方法を用いて中空シリカの分散液を取得した。
【0135】
【0136】
図4は、本発明の製造例に係る中空シリカ粒子のTEMイメージであり、
図5は、本発明の実施例1に係る表面改質された中空シリカの分散液のTEMイメージである。
下記の表1は本発明の実施例1~4、比較例1、2による表面改質された中空シリカの分散液の物性及びコーティング物性を示したものである。
【0137】
【0138】
表1を参照すると、比較例1及び2の表面改質された中空シリカの分散液は、エポキシ基、アミノ基を含むシランカップリング剤を用いてゲル化され、分散液及びコーティング物性を評価することができなかった。
【0139】
実施例1~4の表面改質された中空シリカの分散液は、表面改質された中空シリカ粒子が均一で、全光線透過率(T.T)が94%以上で優れており、ヘイズが低いことが分かり、反射率も低いことが分かる。
【0140】
上述したように実施例が、たとえ限定された実施例と図面によって説明されたが、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、前記の記載から様々な修正及び変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順に実行されたり、及び/又は説明された構成要素が説明された方法と異なる形態に結合又は組み合せわせられたり、他の構成要素又は均等物によって代替、置換されても適切な結果が達成されることができる。
従って、他の実現、他の実施例及び特許請求の範囲と均等なものなども後述する請求の範囲の範囲に属する。