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特開2023-38139枯草菌、ファフィア・ロドジマ及びクモノスカビによるタバコ混合発酵方法
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  • 特開-枯草菌、ファフィア・ロドジマ及びクモノスカビによるタバコ混合発酵方法 図1A
  • 特開-枯草菌、ファフィア・ロドジマ及びクモノスカビによるタバコ混合発酵方法 図1B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038139
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】枯草菌、ファフィア・ロドジマ及びクモノスカビによるタバコ混合発酵方法
(51)【国際特許分類】
   A24B 3/12 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
A24B3/12 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168199
(22)【出願日】2021-10-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】202111038749.1
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521450702
【氏名又は名称】ユンナン アカデミー オブ タバコ アグリカルチュラル サイエンシーズ
【氏名又は名称原語表記】YUNNAN ACADEMY OF TOBACCO AGRICULTURAL SCIENCES
【住所又は居所原語表記】NO.33 Yuantong Street, Wuhua District, Kunming City, Yunnan Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー ピンピン
(72)【発明者】
【氏名】ツォウ ツォンミン
(72)【発明者】
【氏名】スン ハオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン シアオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チュー ミンチュン
(72)【発明者】
【氏名】マイ チン
(72)【発明者】
【氏名】ニン イン
(72)【発明者】
【氏名】チン イェン
(72)【発明者】
【氏名】リン チョンロン
(72)【発明者】
【氏名】ホー ユエ
(72)【発明者】
【氏名】チェン イー
(72)【発明者】
【氏名】チアン ヨンレイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ チーホア
(72)【発明者】
【氏名】リウ チュンポー
(72)【発明者】
【氏名】ワン パオシン
(72)【発明者】
【氏名】シャン シャンチャイ
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BA63
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、タバコ葉の品質に悪影響を与えるタバコ葉に含まれる澱粉、タンパク質などの高分子をアルコール類、脂質、アルデヒド類及び香り低分子物質に分解し、タバコ葉の品質を効果的に改善するための方法を提供することである。
【解決手段】枯草菌をLB寒天培地で培養して得たシード液と、ファフィア・ロドジマをYPD液体培地で培養したシード液とを得て、等体積で混合して混合菌液を得、混合菌液を遠心分離して菌体を回収して洗浄し、洗浄した菌体を再懸濁させ、菌懸濁液を得て、タバコ葉に菌懸濁液及びクモノスカビ粉末を加え、25℃で7~10日間発酵させることを含む方法。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
S1)枯草菌をLB寒天培地に接種して37℃で24時間培養し、ファフィア・ロドジマをYPD寒天培地に接種して22℃で5~7日間培養し、それぞれ枯草菌の単一コロニーとファフィア・ロドジマの単一コロニーを得るステップと、
S2)ステップS1の前記枯草菌の単一コロニーをLB液体培地に接種して37℃で20時間培養し、ステップS1の前記ファフィア・ロドジマの単一コロニーをYPD液体培地に接種して22℃で28~29時間培養し、それぞれ枯草菌のシード液及びファフィア・ロドジマのシード液を得るステップと、
S3)前記枯草菌のシード液と前記ファフィア・ロドジマのシード液を等体積で混合して混合菌液を得るステップと、
S4)ステップS3の前記混合菌液を遠心分離して菌体を回収するステップと、
S5)ステップS4で回収した前記菌体を洗浄するステップと、
S6)ステップS5で洗浄した前記菌体を再懸濁させ、菌懸濁液を得るステップと、
S7)タバコ葉にステップS6の前記菌懸濁液及びクモノスカビ粉末を加え、25℃で7~10日間発酵させるステップと
を含むことを特徴とする、枯草菌、ファフィア・ロドジマ及びクモノスカビによるタバコ混合発酵方法。
【請求項2】
ステップS1において、前記LB寒天培地の成分は、トリプトン10g/L、酵母粉末5g/L、塩化ナトリウム10g/L、寒天20g/Lであり、前記YPD寒天培地の成分は、グルコース20g/L、トリプトン20g/L、酵母粉末10g/L、寒天20g/Lであることを特徴とする、請求項1に記載のタバコ発酵方法。
【請求項3】
ステップS2において、前記LB液体培地の成分は、トリプトン10g/L、酵母粉末5g/L、塩化ナトリウム10g/Lであり、前記YPD液体培地の成分は、グルコース20g/L、トリプトン20g/L、酵母粉末10g/Lであることを特徴とする、請求項1に記載のタバコ発酵方法。
【請求項4】
ステップS7の前記タバコ葉は、発酵前に粉末に粉砕され、200メッシュの篩にかけられたものである、請求項1~3のいずれか一項に記載のタバコ発酵方法。
【請求項5】
A)枯草菌のシード液及びファフィア・ロドジマのシード液を提供し、これらを等体積で混合して混合菌液を得るステップと、
B)前記混合菌液を遠心分離して菌体を回収するステップと、
C)前記菌体の懸濁液を調製するステップと、
D)タバコ葉に、前記懸濁液及びクモノスカビ粉末を加え、25℃で7~10日間発酵させるステップと
を含む、タバコ混合発酵方法。
【請求項6】
前記枯草菌のシード液のOD600が1.6~1.8であり、前記ファフィア・ロドジマのシード液のOD600が1.8~2.0である、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枯草菌、ファフィア・ロドジマ及びクモノスカビによるタバコ混合発酵方法に関し、微生物学的技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
タバコ葉の発酵は、タバコ葉を調合した後に天然又は人工介入の条件でタバコ葉の品質を改善する重要な方法である。調合後のタバコ葉の官能的品質は向上するが、刺激性が大きく、青臭さが濃く、香りが単調であり、香気量が十分ではなく、紙巻きタバコの生産に直接使用できない。微生物によってタバコ葉を発酵させることによって上記欠点を明らかに改善し、紙巻きタバコの品質を向上させることができる。また、非燃焼加熱式の紙巻きタバコが低温でより多くの香味物質を放出できることを満足し、一般的な紙巻きタバコの点火及び燃焼による危害を低減することができるとともに、消費者の喫煙感を満足することができる。微生物は、生物学的活性を有する多くの酵素を産生することによってタバコ葉における高分子物質を分解し、アルコール類、脂質、アルデヒド類及び多くの有機酸香り低分子物質を生成し、タバコ葉の官能的品質を改善することができる。また、微生物発酵により、タバコ葉におけるニコチン、タバコに特有のニトロソアミン(TSNA)及びタバコ煙におけるタールなどの有害物質の含有量を低減させ、紙巻きタバコの燃焼及び喫煙によるリスクを低減させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、タバコ葉の品質に悪影響を与えるタバコ葉に含まれる澱粉、タンパク質などの高分子をアルコール類、脂質、アルデヒド類及び香り低分子物質に分解し、タバコ葉の品質を効果的に改善する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題に対して、本発明は、枯草菌、ファフィア・ロドジマ及びクモノスカビによるタバコ混合発酵方法を提案し、前記方法は、
S1)枯草菌をLB寒天培地に接種して37℃で24時間培養し、ファフィア・ロドジマをYPD寒天培地に接種して22℃で5~7日間培養し、それぞれ枯草菌の単一コロニーと、ファフィア・ロドジマの単一コロニーとを得るステップと、
S2)ステップS1の前記枯草菌の単一コロニーをLB液体培地に接種して37℃で20時間培養し、前記ファフィア・ロドジマの単一コロニーをYPD液体培地に接種して22℃で28~29時間培養し、それぞれ枯草菌のシード液及びファフィア・ロドジマのシード液を得るステップと、
S3)前記枯草菌のシード液と前記ファフィア・ロドジマのシード液を等体積で混合して混合菌液を得るステップと、
S4)ステップS3の前記混合菌液を遠心分離して菌体を回収するステップと、
S5)ステップS4で回収した前記菌体を洗浄するステップと、
S6)ステップS5で洗浄した前記菌体を再懸濁させ、菌懸濁液を得るステップと、
S7)タバコ葉にステップS6の菌懸濁液及びクモノスカビ粉末を加え、25℃で7~10日間発酵させるステップと、を含む。
【0005】
更に、ステップS1において、LB寒天培地の成分は、トリプトン10g/L、酵母粉末5g/L、塩化ナトリウム10g/L、寒天20g/Lであり、YPD寒天培地の成分は、グルコース20g/L、トリプトン20g/L、酵母粉末10g/L、寒天20g/Lである。
【0006】
更に、ステップS2において、LB液体培地の成分は、トリプトン10g/L、酵母粉末5g/L、塩化ナトリウム10g/Lであり、前記YPD液体培地の成分は、グルコース20g/L、トリプトン20g/L、酵母粉末10g/Lである。
【0007】
更に、ステップS7のタバコ葉は、発酵前に粉末に粉砕され、200メッシュの篩にかけられたものである。
【発明の効果】
【0008】
従来技術と比べ、本発明の有益な効果は、以下の通りである。
本発明のタバコ葉発酵に用いられる枯草菌は、酵素活性が高いプロテアーゼを産生し、タバコ葉におけるタンパク質を速やかに分解し、タバコ葉の官能的品質を改善することができ、ファフィア・ロドジマがタバコの発酵に初めて使用され、多くの香気物質を産生し、タバコ葉の香りの質及び香気量を向上させることができ、また、枯草菌、ファフィア・ロドジマ及びクモノスカビの調合と混合により、タバコ葉の品質に悪影響を与えるタバコ葉における澱粉、タンパク質、セルロースなどの高分子をアルコール類、脂質、アルデヒド類及び多くの有機酸香り低分子物質に分解し、タバコ葉の品質を改善することができる。
【0009】
本発明において設計する本発明の他の特徴及び利点は、下記の明細書に説明され、且つ、部分的に明細書を通じて明らかになる、又は、本発明を実施することによって理解される。本発明の目的及び他の利点は、明細書、特許請求の範囲及び図面に指摘される構造によって実現され、達成されてもよい。
【0010】
本発明の実施例又は従来技術の技術的解決手段をより明瞭に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に使用される図面を簡単に紹介する。下記の説明における図面は、本発明の例示であることは明確であり、当業者にとって、創造的な労働をすることなく、更にこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本発明の実施例における、枯草菌、ファフィア・ロドジマ、クモノスカビによるタバコ葉の混合発酵後のタバコ葉の表面形態の変化を示す。図1Aは、枯草菌、ファフィア・ロドジマ、クモノスカビによるタバコ葉の混合発酵前の表面形態図である。
図1B図1Bは、枯草菌、ファフィア・ロドジマ、クモノスカビによるタバコ葉の混合発酵後の表面形態図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明瞭にするために、以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。本発明の技術的解決手段を明瞭且つ完全に説明する下記実施例は、本発明の一部の例示であることが明らかであり、これに限定されるものではない。本発明の実施例に基づき、当業者が創造的な労働をすることなく得られる全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0013】
実施例1 枯草菌、クモノスカビ及びファフィア・ロドジマによるタバコ葉の混合発酵
(1)菌種の活性化:枯草菌(DES-59)、をLB寒天培地、ファフィア・ロドジマ(Y119)をYPD寒天培地に接種してそれぞれ平板画線して活性化させ、枯草菌は37℃で24時間培養し、ファフィア・ロドジマは22℃で5~7日間培養した。
【0014】
(2)シード液の調製:ステップ(1)の平板における枯草菌の単一コロニーをLB液体培地に接種し、37℃で20時間培養し、OD600は1.6~1.8であった。ステップ(1)の平板におけるファフィア・ロドジマの単一コロニーはYPD液体培地に接種し、22℃で28~29時間培養し、OD600は1.8~2.0であった。
【0015】
(3)混合菌液の調製:枯草菌のシード液とファフィア・ロドジマのシード液を等体積で混合して混合菌液を得た。
【0016】
(4)遠心分離:ステップ(3)の混合菌液を回転数10000rpmで5~10min遠心分離し、菌体を回収した。
【0017】
(5)洗浄:ステップ(4)で回収した菌体に脱イオン水を加えて洗浄し、ステップ(4)を2回繰り返した。
【0018】
(6)再懸濁:ステップ(5)で洗浄した菌体を脱イオン水に再懸濁し、菌懸濁液を得た。
【0019】
(7)タバコ葉の発酵:タバコ葉に0.4mL/gの菌懸濁液、0.02gのクモノスカビ粉末を加え、25℃の環境で7~10日間発酵させた。タバコ葉は発酵前に粉末に粉砕され、200メッシュの篩にかけられた。
【0020】
(8)タバコ葉シートの製造及び喫煙評価:発酵後のタバコ葉を製紙スラリー法によってタバコ葉シートに製造し、喫煙評価エキスパートよりMC喫煙具で喫煙評価を行った。喫煙評価結果を表1に示した。喫煙評価により、発酵後のタバコ葉が香気香味、協調性、刺激性及び口当たりの点でそれぞれ1.5、1.0、0.5及び1.5点向上したことを見出した。
【0021】
(9)発酵前後の走査電子顕微鏡による分析:電子顕微鏡により走査して発酵前後のタバコ葉の表面形態の変化を分析した。図1Aには、枯草菌、クモノスカビ及びファフィア・ロドジマによるタバコ葉の混合発酵の場合における発酵前のタバコ葉の形態を示し、図1Bには、タバコ葉混合発酵の場合における発酵後のタバコ葉の形態を示した。比較により、発酵前のタバコ葉の表面構造は緻密で、且つ凸凹の不規則な領域を多く有するが、発酵後のタバコ葉の表面構造は比較的緩く平らであり、且ついくつかの孔が生じたことが分かる。この理由は、主にこれらの3つの微生物が多くの活性酵素を産生することにより、タバコ葉における澱粉、タンパク質などの高分子を分解することができ、タバコ物質の放出に寄与するためである。
【0022】
【表1】
【0023】
本実施例の上記ステップにおいて、ステップ(1)の前記LB寒天培地の成分は、トリプトン10g/L、酵母粉末5g/L、塩化ナトリウム10g/L、寒天20g/Lであり、YPD寒天培地の成分は、グルコース20g/L、トリプトン20g/L、酵母粉末10g/L、寒天20g/Lである。
【0024】
ステップ(2)の前記LB液体培地の成分は、トリプトン10g/L、酵母粉末5g/L、塩化ナトリウム10g/Lであり、YPD液体培地の成分は、グルコース20g/L、トリプトン20g/L、酵母粉末10g/Lである。
【0025】
比較例1:枯草菌によるタバコ葉の発酵
(1)菌種の活性化:枯草菌をLB寒天培地に接種して平板画線して活性化させ、37℃で24時間培養した。
【0026】
(2)ステップ(1)の平板の枯草菌の単一コロニーをLB液体培地に接種し、37℃で20時間培養した。OD600(細菌細胞密度)は1.6~1.8であった。
【0027】
(3)ステップ(2)の枯草菌のシード液を回転数10000rpmで5~10min遠心分離し、枯草菌を回収した。
【0028】
(4)洗浄:ステップ(3)で回収した菌体に脱イオン水を加えて洗浄し、ステップ(3)を2回繰り返した。
【0029】
(5)再懸濁:ステップ(4)で洗浄した菌体を脱イオン水に再懸濁し、菌懸濁液を得た。
【0030】
(6)タバコ葉の発酵:タバコ葉に0.4mL/gの菌懸濁液を加え、25℃の環境で7~10日間発酵させた。
【0031】
(7)タバコ葉シートの製造及び喫煙評価:発酵後のタバコ葉を製紙スラリー法によってタバコ葉シートに製造し、喫煙評価エキスパートよりMC喫煙具で喫煙評価を行った。喫煙評価データを表2に示した。その結果、喫煙評価により、発酵後のタバコ葉が香気香味で0.5点増加したことが見出された。
【0032】
【表2】
【0033】
本実施例の上記ステップにおいて、ステップ(1)の前記LB寒天培地の成分は、トリプトン10g/L、酵母粉末5g/L、塩化ナトリウム10g/L、寒天20g/Lであり、ステップ(2)の前記LB液体培地の成分は、トリプトン10g/L、酵母粉末5g/L、塩化ナトリウム10g/Lである。
【0034】
比較例2:クモノスカビによるタバコ葉の発酵
(1)クモノスカビによるタバコ葉の発酵:タバコ葉に0.04gのクモノスカビ粉末、0.4mL/gの脱イオン水を加え、25℃の環境で7~10日間発酵させた。
【0035】
(2)タバコ葉シートの製造及び喫煙評価:発酵後のタバコ葉を製紙スラリー法によってタバコ葉シートに製造し、喫煙評価エキスパートよりMC喫煙具で喫煙評価を行った。喫煙評価を表3に示した。その結果、喫煙評価により、発酵後のタバコ葉が協調性の点で0.5点増加したことが見出された。
【0036】
【表3】
【0037】
比較例3 ファフィア・ロドジマによるタバコ葉の発酵
(1)菌種の活性化:ファフィア・ロドジマをYPD寒天培地に接種して平板画線して活性化させ、22℃で5~7日間培養した。
【0038】
(2)ステップ(1)の平板のファフィア・ロドジマの単一コロニーをYPD液体培地に接種し、22℃で28~29時間培養した。OD600は1.8~2.0であった。
【0039】
(3)ステップ(2)のファフィア・ロドジマのシード液を10000rpmで5~10min遠心分離し、ファフィア・ロドジマ菌体を回収した。
【0040】
(4)洗浄:ステップ(3)で回収したファフィア・ロドジマ菌体に脱イオン水を加えて洗浄し、ステップ(3)を2回繰り返した。
【0041】
(5)再懸濁:ステップ(4)で洗浄されたファフィア・ロドジマ菌体を脱イオン水に再懸濁し、菌懸濁液を得た。
【0042】
(6)タバコ葉の発酵:タバコ葉に0.4mL/gの菌懸濁液を加え、25℃の環境で7~10日間発酵させた。
【0043】
(7)タバコ葉シートの製造及び喫煙評価:発酵後のタバコ葉を製紙スラリー法によってタバコ葉シートに製造し、喫煙評価エキスパートよりMC喫煙具で喫煙評価を行った。喫煙評価データを表4に示した。その結果から、喫煙評価により、発酵後のタバコ葉の香気香味の点数が1.0点増加し、同時に協調性が0.5点増加したことが見出された。
【0044】
【表4】
【0045】
本実施例の上記ステップにおいて、ステップ(1)のYPD寒天培地の成分は、グルコース20g/L、トリプトン20g/L、酵母粉末10g/L、寒天20g/Lであり、ステップ(2)のYPD液体培地の成分は、グルコース20g/L、トリプトン20g/L、酵母粉末10g/Lである。
【0046】
比較例4 枯草菌及びファフィア・ロドジマによるタバコ葉の混合発酵
(1)菌種の活性化:枯草菌をLB寒天培地に接種して平板画線して活性化させ、37℃で24時間培養した。ファフィア・ロドジマはYPD寒天培地に接種して平板画線して活性化させ、22℃で5~7日間培養した。
【0047】
(2)シード液の調製:ステップ(1)の平板の枯草菌の単一コロニーをLB液体培地に接種し、37℃で20時間培養した。OD600は1.6~1.8であった。ステップ(1)の平板のファフィア・ロドジマの単一コロニーをYPD液体培地に接種し、22℃で28~29時間培養した。OD600は1.8~2.0であった。
【0048】
(3)混合菌液の調製:枯草菌のシード液とファフィア・ロドジマのシード液を等体積で混合して混合菌液を得た。
【0049】
(4)遠心分離:ステップ(3)の混合菌液を10000rpmで5~10min遠心分離し、菌体を回収した。
【0050】
(5)洗浄:ステップ(4)で回収した菌体に脱イオン水を加えて洗浄し、ステップ(4)を2回繰り返した。
【0051】
(6)再懸濁:ステップ(5)で洗浄した菌体を脱イオン水に再懸濁し、菌懸濁液を得た。
【0052】
(7)タバコ葉の発酵:タバコ葉に0.4mL/gの菌懸濁液を加え、25℃の環境で7~10日間発酵させた。
【0053】
(8)タバコ葉シートの製造及び喫煙評価:発酵後のタバコ葉を製紙スラリー法によってタバコ葉シートに製造し、喫煙評価エキスパートよりMC喫煙具で喫煙評価を行った。喫煙評価データを表5に示した。喫煙評価により、発酵後のタバコ葉が香気香味、協調性、刺激性及び口当たりの点でそれぞれ1.0、0.5、0.5及び1.0点向上したことが見出された。
【0054】
【表5】
【0055】
本実施例の上記ステップにおいて、ステップ(1)の前記LB寒天培地の成分は、トリプトン10g/L、酵母粉末5g/L、塩化ナトリウム10g/L、寒天20g/Lであり、YPD寒天培地の成分は、グルコース20g/L、トリプトン20g/L、酵母粉末10g/L、寒天20g/Lである。
【0056】
ステップ(2)の前記LB液体培地の成分は、トリプトン10g/L、酵母粉末5g/L、塩化ナトリウム10g/Lであり、YPD液体培地の成分は、グルコース20g/L、トリプトン20g/L、酵母粉末10g/Lである。
【0057】
本発明の実施例に使用されるクモノスカビ粉末としては、安基酵母株式会社の販売する甘酒麹を購入した。使用した枯草菌は、特許文献(CN103013961A)に開示されており、使用したファフィア・ロドジマは、特許文献(CN108013441B)に開示されている。
【0058】
以上を纏め、本発明のタバコ葉発酵に用いられる枯草菌は、酵素活性が高いプロテアーゼを産生し、タバコ葉におけるタンパク質を速やかに分解し、タバコ葉の官能的品質を改善することができる。また、ファフィア・ロドジマは本願においてタバコの発酵に初めて使用され、これにより、多くの香気物質を産生し、タバコ葉の香りの質及び香気量を向上させることが可能になった。更に、枯草菌、ファフィア・ロドジマ及びクモノスカビの調合と混合により、タバコ葉の品質に悪影響を与えるタバコ葉における澱粉、タンパク質、セルロースなどの高分子をアルコール類、脂質、アルデヒド類及び多くの有機酸香り低分子物質に分解し、タバコ葉の品質を改善することができる。
【0059】
前述した実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、当業者は、依然として前述した各実施例に記載の技術的解決手段を改変し、又はその一部の技術的特徴に同等置換を行うことができる。これらの改変又は置換により、対応する技術的解決手段の本質が本発明の各実施例の技術的解決手段の精神及び範囲から逸脱することはないことを理解すべきである。
図1A
図1B