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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038194
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】車載機器
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20230309BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20230309BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20230309BHJP
   G08B 21/10 20060101ALI20230309BHJP
   G08B 27/00 20060101ALI20230309BHJP
   G06F 3/04817 20220101ALI20230309BHJP
【FI】
G01C21/26 A
B60R11/02 C
G08B21/00 U
G08B21/10
G08B27/00
G06F3/04817
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203245
(22)【出願日】2022-12-20
(62)【分割の表示】P 2018223966の分割
【原出願日】2018-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】593026627
【氏名又は名称】セルスター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 勇治
(72)【発明者】
【氏名】多田 順一
(72)【発明者】
【氏名】小林 恭二
(72)【発明者】
【氏名】小野 幸範
(57)【要約】
【課題】災危通報を運転者により確実に知らせることができる車載機器を提供する。
【解決手段】車載機器は、ドライブレコーダ、レーダ探知機、カーナビゲーションシステム、カーオーディオシステム又は車載テレビであり、受信部12と表示部11と制御部15を備えている。受信部12は、災危通報を受信可能であり、表示部11は、受信部12が受信した災危通報の内容を示す通報画面34に他の画面から切り替えて表示する。制御部15は、災危通報に含まれる災害又は危機の種類を図柄で表すアイコンを通報画面34の中心又は右寄りに配置し、通報画面34の上部に種類を表す文字列を強調して配置し、通報画面34の左寄りに、災危通報の詳細内容を示し、文、箇条書き又は両方により成る文章を配置する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブレコーダ、レーダ探知機、カーナビゲーションシステム、カーオーディオシステム又は車載テレビである車載機器であって、
災危通報を受信可能な受信部と、
前記災危通報の内容を示す通報画面を生成する制御部と、
前記制御部が生成した前記通報画面に他の画面から切り替えて表示する表示部と、
を備え、
前記制御部は、
前記災危通報に含まれる災害又は危機の種類を図柄で表すアイコンを前記通報画面の中心又は右寄りに配置し、
前記通報画面の上部に前記種類を表す文字列を強調して配置し、
前記通報画面の左寄りに、前記災危通報の詳細内容を示し、文、箇条書き又は両方により成る文章を配置すること、
を特徴とする車載機器。
【請求項2】
災危通報には、災害又は危機の場所を示す情報が含まれ、
前記制御部は、前記場所を示す地図を前記アイコンの周囲に配置すること、
を特徴とする請求項1記載の車載機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記地図を前記通報画面内でズームアップさせること、
を特徴とする請求項2記載の車載機器。
【請求項4】
前記制御部は、
所定地点又は所定ルートと前記場所との距離と閾値とを比較し、
前記距離が前記閾値以下又は下回っていると、前記地図を前記通報画面内でズームアップさせること、
を特徴とする請求項3記載の車載機器。
【請求項5】
前記制御部は、車両の始動後に発令された災危通報を示す前記通報画面を生成し、前記表示部に出力すること、
を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の車載機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災危通報を受信可能な車載機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライブレコーダ、レーダ探知機、カーナビゲーションシステム、カーオーディオシステム及びテレビといった車載機器は、その用途に合わせて運転者に対して情報を提供する。例えば、ドライブレコーダは、撮影した画像を表示し、レーダ探知機は、速度遵守を促す画面を表示し、カーナビゲーションシステムは、自車位置とルートを地図に重ねて表示し、カーオーディオシステムは、再生している音楽の曲名やスペクトルを表示し、テレビはテレビ放送の映像を表示している。近年は、スマートフォン又はタブレット端末も、これら車載機器に成り代わるためのアプリを起動させ、車両に着脱可能に取り付けられることで、車載機器として使用されている。
【0003】
これら車載機器は、主用途以外の外部情報も提供することがある。例えば、レーダ探知機において、交通監視情報以外の情報、例えば、強化月間、旬感、習慣などのイベント等の情報、工事規制、災害による交通規制などの道路規制情報が表示される(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、これら主用途以外の外部情報については、画面の下端に帯状の細長い領域を設け、この領域内に外部情報の内容を表した文字列や文章をスクロール表示させている。即ち、車載機器の主用途に関連する情報とは言えないため、主用途の画面表示を妨げないよう配慮して表示されている。
【0004】
近年、日本の準天頂軌道衛星システムである「みちびき」が位置情報の測位の他に、防災危機管理を担う政府機関から発令された地震、津波、洪水、又は大規模災害等の緊急通報や、テロ等の危機管理情報、避難勧告などの発令情報等などの情報を、災害・危機管理通報サービス(以下、災危通報とする)を介して発信している。災危通報は、災害発生時に迅速な避難のツールとして期待されている。車両に「みちびき」に対応した受信機を搭載する場合には、専用の受信機を搭載するのではなく、他に主用途を有する車載機器に「みちびき」からの災危通報を受信する機能を付与し、表示部を利用して災危通報を表示する試みが進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-182831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
災危通報が示す災害又は危機は、運転者及び運転者に近い者、並びにこれらの者の財産を害する虞があるため、運転者には確実に報知し、運転者に確実に理解させなければならない。しかしながら、運転者は運転に集中している。そのため、画面の下端に文字列をスクロール表示しているだけでは、運転者に災危通報の内容を把握させることは困難であるばかりか、災危通報の報知が交通事故等を誘発してしまう虞もある。そればかりか、運転者が災危通報に気づかない虞もある。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、災危通報を運転者により確実に知らせることができる車載機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係る車載機器は、災危通報を受信可能な受信部と、前記災危通報の内容を示す通報画面を生成する制御部と、前記制御部が生成した前記通報画面に他の画面から切り替えて表示する表示部と、を備えること、を特徴とする。
【0009】
前記災危通報には災害又は危機の種類を示す情報が含まれ、前記制御部は、前記種類を図柄で表すアイコンを前記通報画面内に配置するようにしてもよい。
【0010】
前記制御部は、前記種類を表す文字列、及び前記災危通報の詳細内容を示し、文、箇条書き又は両方により成る文章を、前記アイコンと共に前記通報画面内に配置するようにしてもよい。
【0011】
前記制御部は、前記アイコンを前記通報画面の中心又は右寄りに配置し、前記通報画面の上部に前記文字列を強調して配置し、前記通報画面の左寄りに前記文章を配置するようにしてもよい。
【0012】
前記災危通報には、災害又は危機の場所を示す情報が含まれ、前記制御部は、前記場所を示す地図を前記通報画面内に更に配置するようにしてもよい。
【0013】
前記制御部は、前記地図を前記アイコンの周囲に配置するようにしてもよい。
【0014】
前記制御部は、前記地図を前記通報画面内でズームアップさせるようにしてもよい。
【0015】
前記制御部は、所定地点又は所定ルートと前記場所との距離と閾値とを比較し、前記距離が前記閾値以下又は下回っていると、前記地図を前記通報画面内でズームアップさせるようにしてもよい。
【0016】
前記制御部は、前記受信部が受信した災危通報を蓄積しておく記憶部を備え、前記受信部が過去に受信した災危通報と異なる内容の災危通報を示す前記通報画面を生成し、前記表示部に出力するようにしてもよい。
【0017】
前記制御部は、表示条件を予め記憶し、前記受信部が受信した災危通報が当該表示条件を満たす場合に、当該災危通報の内容を示す通報画面を生成し、前記表示部に出力するようにしてもよい。
【0018】
前記表示条件は、災危通報ごとに設定されている規定の優先度、及び前記表示部が表示する他の画面の種類であり、前記制御部は、災危通報の優先度と前記表示する他の画面の種類に応じて、当該災危通報の内容を示す通報画面を生成し、前記表示部に出力するようにしてもよい。
【0019】
前記制御部は、車両の始動後に発令された災危通報を示す前記通報画面を生成し、前記表示部に出力するようにしてもよい。
【0020】
前記受信部は、複数の災危通報を同時又は短期間のうちに受信し、前記制御部は、災危通報ごとに設定されている規定の優先度を記憶し、前記複数の災危通報の内容を示す各通報画面を優先度順に生成し、優先度順に前記表示部に出力するようにしてもよい。
【0021】
前記表示部は、前記優先度を設定する設定画面を表示し、前記設定画面に対する操作に対して災危通報の種類を示す文字列を前記設定画面内に表示するとともに、前記文字列と同じ内容を表した前記アイコンを前記設定画面内に表示するようにしてもよい。
【0022】
車両に着脱可能に取り付けられるスマートフォン若しくはタブレット端末、ドライブレコーダ、レーダ探知機、カーナビゲーションシステム、カーオーディオシステム又はテレビであるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、運転に集中する運転者であっても表示部の変化を捉えることが容易となり、災危通報に気づくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】車載機器の外観を示す模式図である。
図2】車載機器の内部構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態に係る車載機器の動作を示すフローチャートである。
図5】通報画面を示す模式図である。
図6】第2の実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
図7】表示条件の例を示す模式図である。
図8】第2の実施形態に係る通報画面の表示手順を示すフローチャートである。
図9】第3の実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
図10】第3の実施形態に係る優先度の設定画面を示す模式図である。
図11】第4の実施形態に係る通報画面の遷移を示す模式図である。
図12】第4の実施形態に係る通報画面の遷移手順を示すフローチャートである。
図13】第5の実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
図14】第5の実施形態に係る通報画面の表示手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
(構成)
本発明に係る車載機器の第1の実施形態についてレーダ探知機を例に採り、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、車載機器の外観図であり、図2は、車載機器の主たる内部構成を示すハードウェアブロック図である。図1及び図2に示す車載機器1は、所謂レーダ探知機である。この車載機器1は、レーダ探知機の主用途である速度遵守を促す主機能画面31を表示する。速度遵守を促す状況にない場合、車載機器1は、自車位置を示す地図等の待受画面32を表示する。速度遵守を促す状況にない場合とは、速度遵守を促すべき地点から車両が一定以上離れている場合である。また、車載機器1は、操作に応じて車載機器1の設定画面33を表示する。
【0026】
このような車載機器1は、まず表示部11、音声再生部14、受信部12、加速度センサ13及び不揮発性メモリ17を備えている。表示部11は、情報を搭乗者の視覚に訴える形式で表示するデバイスであり、例えば液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイである。表示部11は、通常は主機能画面31、待受画面32若しくは設定画面33を表示し、又は画面オフにする。音声再生部14は、デジタル音声をアナログ音声に変換するDAC、アンプ及びスピーカを含み、速度遵守を促す音声等を発し、主機能画面31と共に注意を喚起する。
【0027】
受信部12は、測位衛星の電波信号を受信可能なアンテナと復調器を含み、測位衛星の電波信号を受信して、電波信号から測位信号を復調し、測位信号を出力する。加速度センサ13は、車載機器1が取り付けられている車両の加減速及び方向を検出して、加速度情報を出力する。不揮発性メモリ17は、車載機器1の内部メモリ又はmicroSDカード等の外部メモリであり、地図データと、速度遵守を促すべき地点を示す速度遵守地点情報と、速度遵守を促す音声データを記憶している。
【0028】
また車載機器1は制御部15を備えている。制御部15は、不揮発性メモリ17を構成要素とし、更にプロセッサ16等を備える所謂コンピュータ又はマイコンである。この制御部15は、受信部12及び加速度センサ13と信号線によって接続されており、測位信号及び加速度情報を受け取る。また制御部15は表示部11及び音声再生部14と信号線で接続されており、プロセッサ16は、測位信号及び加速度情報から自車位置の緯度及び経度を計算し、不揮発性メモリ17内の速度遵守地点情報が示す地点と自車位置との距離を測り、当該距離を評価し、評価結果に応じて待受画面32から主機能画面31に表示部11の表示を切り替えるとともに、音声再生部14に音源データを出力させる。
【0029】
これにより、車載機器1において、速度遵守地点情報が示す地点に自車位置が近づくと、表示部11には、速度遵守を促す主機能画面31が表示され、また音声再生部14から速度遵守を促す音声が発せられる。速度遵守地点情報が示す地点から自車位置が遠い場合には、表示部11には、不揮発性メモリ17に記憶された地図に自車位置がプロットされた待受画面32が表示される。尚、設定画面33は、操作者の入力に応じて切り替えられる。入力は、表示部11に備えられるタッチパネル、車載機器1とは別体のリモコン又は車載機器1に取り付けられた物理ボタンによって行われるようにすればよい。
【0030】
更に、この車載機器1は、災危通報の内容を示す通報画面34を主機能画面31、待受画面32又は設定画面33といった他の画面から切り替えて表示する。災危通報には災危種類情報、場所情報、行動指針情報及び発令日時情報が含まれている。災危種類情報は、地震、津波、洪水、火山又は台風等の災害、テロ等の危機、その他の身体又は財産に危害を与える虞のある災危の種類を示し、例えば震度、波の高さ、浸水の深さ、火災の規模、テロの規模等によっても区別される。即ち、災危種類情報には、規模情報が含まれる。また、場所情報は、災危の場所、即ち災危通報の発令対象エリアを示す。行動指針情報は、避難勧告などの推奨される行動を示す。発令日時情報は、災危通報が発令された日時を示す。通報画面34には、この災危通報を構成する内容の少なくとも1以上が表示される。
【0031】
このような車載機器1において、受信部12は、測位衛星より災危通報を含んだ電波信号を更に受信し、電波信号から災危通報を復調し、災危通報を出力する。災危通報は、例えば準天頂衛星「みちびき」の管制局から当該衛星を介して、測位信号と同じ中心周波数で送信される。
【0032】
不揮発性メモリ17には、災危通報プログラム25が記憶されている。災危通報プログラム25は、プロセッサ16が実行可能なオブジェクトコード又は機械語命令により記述される。災危通報プログラム25をプロセッサ16が実行する。この災危通報プログラム25のプロセッサ16による実行の結果、制御部15は、図3に示すように、情報蓄積部21、同一性判定部22、生成部23及び画面パーツ記憶部24を備える。
【0033】
同一性判定部22は、プロセッサ16を含み構成され、受信部12が受信した最新受信日時の災危通報が過去に蓄積された災危通報と同一内容であるか判定する。この同一性判定部22は、最新受信日時の災危通報と既に蓄積された過去の災危通報とを、災危種類情報、場所情報、行動指針情報及び発令日時情報の点で比較し、最新受信日時の災危通報が過去分と異なるか判定する。災危通報は、災危種類情報、場所情報、行動指針情報及び発令日時情報が同じであっても、同一内容が発令解除まで定期的に発信され続け得るためである。
【0034】
情報蓄積部21は、不揮発性メモリ17を含み構成され、同一性判定部22で過去分と相違すると判定された災危通報を記憶しておく。この情報蓄積部21は、過去から最新まで複数の災危通報を記憶しておく。
【0035】
生成部23は、プロセッサ16を含み構成され、災危通報の内容を示す通報画面34のビットマップデータを生成し、表示部11に出力する。但し、生成部23は、同一性判定部22により最新受信日時の災危通報が過去分と異なると判定された場合に限り、通報画面34を生成する。表示部11は、制御部15から通報画面34のビットマップデータが入力されると、その通報画面34を表示する。即ち、表示部11は、主機能画面31、待受画面32、設定画面33又は画面オフといった通報画面34ではない他の画面を表示していても、この他の画面から通報画面34に切り替えて表示する。
【0036】
画面パーツ記憶部24は、不揮発性メモリ17により構成され、通報画面34を構成する各種パーツを記憶している。生成部23は、画面パーツ記憶部24から各種パーツを読み出して、各種パーツがレイアウトされた通報画面34をレンダリングし、表示部11に出力する。
【0037】
尚、更に生成部23は、災危通報を受信したことを示す音声データを音声再生部14に出力し、音声再生部14は、災危通報を受信したことを示す音声データを再生する。
【0038】
(作用)
このような構成を有する車載機器1の通報画面34の表示動作は次の通りである。図4は、車載機器1において通報画面34の表示手順を示すフローチャートである。まず、災危通報が発令され、受信部12が災危通報を含む電波信号を受信する(ステップS01)。
【0039】
災危通報を受信すると(ステップS01)、同一性判定部22は、電波信号から取り出された最新受信日時の災危通報と過去の災危通報の内容を比較する(ステップS02)。異なる内容の災危通報が短い間隔で多発する虞もあり、複数遡った各過去の災危通報と比較することが望ましい。尚、災危通報の一部又は全部から求めたチェックサム値で比較を行ってもよく、また災危種類情報、場所情報、行動指針情報及び発令日時情報以外の項目も比較してもよい。
【0040】
最新受信日時の災危通報が、過去の災危通報の何れに対しても、災危種類情報、場所情報、行動指針情報及び発令日時情報の何れかの点で異なれば(ステップS02,Yes)、情報蓄積部21は、最新受信日時の災危通報を記憶する(ステップS03)。
【0041】
最新受信日時の災危通報が記憶されると(ステップS03)、生成部23は、最新受信日時の災危通報の内容を示す通報画面34を他の画面から切り替えて表示部11に表示させる(ステップS04)。即ち、通報画面34のビットマップデータを生成して、他の画面のデータに代えて当該通報画面34のビットマップデータを表示部11に出力する。また、生成部23は、災危通報を受信したことを示す音声を音声再生部14に再生させる(ステップS05)。
【0042】
このように、表示されていた主機能画面31、待受画面32、設定画面33又は画面オフから通報画面34に切り替わると、表示部11の様相が一変するので、運転に集中していた運転者であっても、視野の片隅で画面変化を捉えることが容易となり、災危通報に気づくことができる。尚、設定画面34等のユーザが操作する前提の画面に対しては、通報画面34に切り替えないようにしてもよい。
【0043】
図5は、生成部23が生成する通報画面34を示す模式図である。生成部23は、通報画面34の中央又は右寄りに、災危の種類を図柄で表すアイコン35を配置する。アイコン35は、画面パーツ記憶部24に各種記憶されている。典型的には、災危通報プログラム25内において、災危の種類に応じてアイコン35が指定されており、生成部23は、災危通報に含まれる災危種類情報に対応するアイコン35を読み出す。
【0044】
また、生成部23は、通報画面34の上部に、災危の種類を表す文字列36を強調して配置する。即ち、生成部23は、災危通報に含まれる災危種類情報をテキスト化して通報画面34に配置する。文字列36の強調の手法としては、例えば、文字列36を大きくし、文字列36を太くし、通報画面34の背景が黒等の明度を落とした基調であれば、文字列36の背景色を黄色や金色等の明度を上げた基調にして目立たせる。
【0045】
また、生成部23は、通報画面34の左寄りに、災危通報の詳細内容を表す文章37を配置する。文章37は、1文以上で構成され、箇条書きで構成され、または文と箇条書きで構成される。例えば、文章37の冒頭に「降灰に関連する情報をお知らせします。」等のように、災危種類情報を文で記し、その後、発令日時情報や場所情報等を箇条書きする。生成部23は、この文章37のテンプレートデータを予め記憶しており、テンプレートデータに災危通報の各要素を当てはめて文章37を作成し、通報画面34の左寄りに配置する。尚、この文章37中の一部の情報、例えば発令日時情報を文字列36が表示される領域に表示させるようにしてもよい。
【0046】
また、生成部23は、通報画面34内のアイコン35周囲に、災危の場所、即ち災危通報の対象地域を表す地図38を配置する。例えば、周囲としては、これに限定されないが、アイコン35と文字列36の連続性の観点から、アイコン35よりも画面内下方、又はアイコン35よりも画面内右方が望ましい。
【0047】
図38は、画面パーツ記憶部24に記憶されている。例えば、地図38は、日本列島を表すポリゴンデータであり、緯度経度情報の属性データがポリゴンの頂点等の特徴点に対応づけて付帯している。生成部23は、災危通報に含まれる場所情報が示す緯度経度と地図38内の緯度経度情報との関係より、地図38内における災危の場所を計算し、地図38に災危の場所をプロットする。また、生成部23は、測位信号、加速度情報又は両方から計算された自車位置と地図38内の緯度経度情報との関係より、地図38内における自車位置を計算し、地図38に災危の場所と共に自車位置をプロットする。
【0048】
尚、地図38の各ポリゴンには、ポリゴンが表す県や市町村等のエリア名情報も属性データとして付帯している。ポリゴンが県単位等のように粗い場合には、一つのポリゴンに県名と、当該ポリゴン内に含まれる市町村名が付帯している。場所情報が緯度経度ではなく、例えば県や市町村等のエリア名である場合、生成部23は、場所情報と一致するエリア名情報が付帯するポリゴンに、他のポリゴンとは異なる色付けのテクスチャを貼って、地図38を通報画面34に表示する。
【0049】
ここで、表示部11は、右ハンドル車の運転席よりも左側、例えばバックミラー若しくはその近辺、ダッシュボード中央、又はセンターコンソール若しくはその近辺に存在するものとする。従って、通報画面34が表示されたとき、表示部11の様相変化に気づいた運転者は、表示部11に向けて左側へ視線を移すことになる。
【0050】
この視線移動の初期段階において、まず運転者はアイコン35と地図38を目に止める。アイコン35と地図38は、災危通報をビジュアルで表現している。従って、運転者は、アイコン35及び地図38によって感覚的ではあるが瞬時に災危の種類と場所を認識する。
【0051】
次に、視線が更に移動すると、運転者には、通報画面34の上部の文字列36が目に入る。文字列36は災危の種類を文字で表現している。従って、運転者は、アイコン35と地図38によって感覚的に認識した災危の種類を言語に変換して明確に識別する。
【0052】
そのうえで、視線移動の最終段階において、運転者には、通報画面34の左寄りに表示された文章37が目に入る。運転者は災危の種類を言語によって既に認識しており、また地図38によって災危の場所と自車位置との位置関係をビジュアルで認識しているので、運転中であっても文章37の詳細内容を瞬時に読み取れるものである。
【0053】
即ち、この通報画面34は、運転者に近いほうから遠いほうへ順に、おおざっぱな情報から細かい情報へ遷移させ、運転に集中する運転者に順々に理解を深めるようにしたものである。また、文字列36は、アイコン35及び地図38を文章37へ繋ぎ、そしてビジュアルであるアイコン35及び地図38から言語である文章37へ変換容易にする機能を発揮している。
【0054】
手順説明に戻り、最新受信日時の災危通報が過去の災危通報と同じである場合には(ステップS03,No)、通報画面34の表示処理は終了する。制御部15は、主機能画面31、待受画面32又は設定画面33のレンダリングを維持し、表示部11は、主機能画面31、待受画面32又は設定画面33の表示を維持する。
【0055】
ここで、定期的に繰り返し送信され続ける同じ災危通報は、通報画面34による一度の表示で止めるものであり、何度も繰り返し表示しない。これにより、災危通報34を報知される運転者は、同じ災危通報に気を取られることなく、車両の運転に集中できる。また、運転者は、災危通報を示す通報画面34を見慣れてしまって危機意識が薄弱とならず、災危通報を真剣に受け止めることができる。
【0056】
更に、同じ災危通報が繰り返し送信され続けている最中、異なる別の災危通報が新たに発令される場合もある。同じ災危通報を繰り返し表示し続けていると、新たに発令された異なる別の災危通報が、繰り返し表示されている同じ災危通報に紛れて表示されてしまい、同じ災危通報に見慣れてしまった運転者は、新たに発令された異なる別の災危通報を見落とす虞がある。しかしながら、同じ災危通報を繰り返し表示しないことで、運転者の意識は、新たに発令された異なる別の災危通報に向きやすくなる。
【0057】
(効果)
以上のように、この車載機器1は、災危通報を受信可能な受信部12と、受信部12が受信した災危通報の内容を示す通報画面34に他の画面から切り替えて表示する表示部11と、受信部12から災危通報が入力されて、通報画面34を生成し、表示部11に出力する制御部15を備えるようにした。これにより、運転に集中する運転者であっても、視野の片隅で表示部11の変化を捉えることが容易となり、災危通報に気づくことができる。
【0058】
また、制御部15は、受信部12が受信した災危通報を蓄積しておく情報蓄積部21を備え、表示部11は、受信部12が過去に受信した災危通報と異なる内容の災危通報を示す通報画面34を表示するようにした。これにより、災危通報34を報知される運転者は、同じ災危通報に気を取られることなく、車両の運転に集中できる。また、運転者は、災危通報を示す通報画面34を見慣れてしまって危機意識が薄弱とならず、災危通報を真剣に受け止めることができる。更に、同じ災危通報に新たに発令された異なる別の災危通報が紛れず、運転者の意識は、新たに発令された異なる別の災危通報に向きやすくなる。
【0059】
また、この車載機器1では、災危通報に含まれる災害又は危機の種類を示す情報を表すアイコン35を通報画面34に表示するようにした。これにより、運転者は、感覚的ではあるが瞬時に災危の種類を認識できる。
【0060】
更に、この車載機器1では、通報画面34には、災危通報に含まれる災害又は危機の種類を表す文字列36、及び災危通報の詳細内容を示し、文、箇条書き又は両方により成る文章37が、アイコン35と共に表示されるようにした。これにより、おおざっぱな情報と細かい情報が通報画面34に表示されるため、運転に集中する運転者は、順々に災危通報の理解を深めていくことができる。
【0061】
また、アイコン35は、通報画面34の中心又は右寄りに表示され、文字列36は、通報画面34の上部に強調して表示され、文章37は、通報画面34の左寄りに表示されるようにした。これにより、車載機器1が右ハンドル車の運転席よりも左側に取り付けられている場合、運転者に近いほうから遠いほうへ順に、おおざっぱな情報から細かい情報へ遷移させ、運転に集中する運転者に順々に理解を深めさせることができる。
【0062】
尚、車載機器1として箱型のレーダ探知機を例に採り説明したが、これに限られない。即ち、車載機器1としては、自動車、自動二輪車その他の車両に取り付けられ、受信部12、表示部11、及び災危通報プログラム25を実行可能な制御部15を備えていれば何れでもよい。また、車載機器1は、搭乗者と離れて車両に取り付けられ続ける装置であっても、普段は搭乗者が携帯し、車両の搭乗の際に一時的に車両に取り付けられる装置であってもよい。
【0063】
このような車載機器1としては、箱型のレーダ探知機の他、受信部12を備えた、ドライブレコーダ、バックミラー型のレーダ探知機、カーナビゲーションシステム、カーオーディオシステム、車載テレビ、災危通報プログラム25がインストールされたスマートフォン、又はタブレット端末が挙げられる。
【0064】
ドライブレコーダは、車両内外の画像を撮影及び記録する一方、撮影した画像を映す主機能画面31を他の画面として表示する。カーナビゲーションシステムは、測位衛星からの電波信号に基づく自車位置と目的地までのルートを地図上に描画した主機能画面31を他の画面として表示する。カーオーディオシステムは、コンテンツを音声出力する一方、コンテンツの名称やスペクトルの主機能画面31を他の画面として表示する。車載テレビは、放送電波を受信してテレビ放送を映す主機能画面31を他の画面として表示する。スマートフォン及びタブレット端末は、アプリのインストールにより、ドライブレコーダ、レーダ探知機、カーナビゲーションシステム、カーオーディオシステム又は車載テレビとなる。
【0065】
これらの車載機器1の中には右ハンドル車の運転席より右側のダッシュボードに設置可能なものがある。この場合、通報画面34の中央又は右寄りのアイコン35は、運転者から遠い側に配置されることになる。しかしながら、この設置箇所は、運転席よりも左側に設置される場合よりも運転者に近い。運転者と車載機器1が近い位置にあれば、短い視線移動で通報画面34の全体を一度に眺めることができる。この場合、運転者に近いほうから遠いほうへ順に、細かい情報からおおざっぱな情報を並べるのがよい。おおざっぱな情報は、運転者から遠い位置にあっても、この近い位置関係であれば把握容易だからである。
【0066】
従って、右ハンドル車の運転席より右側のダッシュボードに設置可能な車載機器1であっても、アイコン35は、通報画面34の中心又は右寄りに表示され、文字列36は、通報画面34の上部に強調して表示され、文章37は、通報画面34の左寄りに表示されることが望ましい。
【0067】
尚、左ハンドル車に車載機器1が搭載される場合も想定し、アイコン35、文字列36及び文章37の位置関係を逆転させた通報画面34に変更するための設定画面33を用意し、ユーザの操作に応じて位置関係を逆転できるようにしてもよい。
【0068】
また、受信部12は災危通報を受信できれば、測位衛星から災危通報用の信号を受信可能な専用機器に限られない。例えばIEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN、例えばIEEE802.15等の規格に準拠した無線PAN、携帯電話通信回線、又はVICS(登録商標)等の道路交通情報通信システムの電波で発信されている場合、車載機器1は、これら通信形式で情報を受信可能な受信部12を備えていればよい。車載機器1から発信元までの間に、例えばスマートフォン又はタブレット端末を介在させ、スマートフォン又はタブレット端末が受信した災危通報を、これら通信形式で受信できるようにしてもよい。
【0069】
また、災危通報プログラム25は、制御部15に予めインストールされていることを例に採り説明したが、これに限られない。この災危通報プログラム25は、SDカード若しくはUSBメモリ等の可搬記憶媒体、サーバ等のネットワーク上の記憶媒体、又はパソコン、スマートフォン若しくはタブレット端末といった記憶媒体に保存されていてもよい。ユーザが車載機器1を入手後、事後的に災危通報プログラム25をダウンロードして車載機器1にインストールするようにしてもよい。ユーザに災危通報プログラム25をダウンロードさせる場合、車載機器1は、可搬記憶媒体内のファイルを読み取るスロット、又は無線信号若しくは有線信号を受信する受信機を備え、災危通報プログラム25を記憶した記憶媒体からインストールされる。
【0070】
但し、制御部15は、災危通報プログラム25によるソフトウェア処理に依らず、一部又は全部が専用のハードウェア回路で構成される情報蓄積部21、同一性判定部22、生成部23及び画面パーツ記憶部24を備えるようにしてもよい。
【0071】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る車載機器1を図面を参照しつつ詳細に説明する。第1の実施形態と同一構成又は同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0072】
(構成)
第2の実施形態に係る車載機器1は、所定内容の災危通報を受信したときのみ、通報画面34に切り替える。図6は、第2の実施形態に係る制御部15の構成を示すブロック図である。図6に示すように、制御部15は、情報蓄積部21、同一性判定部22、生成部23及び画面パーツ記憶部24に加え、通報要否判定部26を備えている。
【0073】
通報要否判定部26は、プロセッサ16と不揮発性メモリ17を含み構成され、所定内容の災危通報の受信を判定する。この通報要否判定部26は、災危通報の表示条件を予め記憶している。通報要否判定部26は、受信した災危通報が表示条件に適合するか判定し、生成部23は、表示条件に適合している災危通報を通報画面34で表示する。
【0074】
災危通報の要否は、災危の種類、災危の規模、災危の場所と自車位置、目的地、ルート、又は自宅等の登録地点との位置関係等の要因が複合的に絡んで定まる。例えば、自車位置と遠く離れた位置で、目的地の反対側で規模の小さい災危が発生した場合は、通報画面34を表示する効果は薄い。そのため、図7に示すように、表示条件は、災危の種類、並びに震度、波の高さ、浸水の深さ及びテロの規模等の災危の規模、並びに位置関係のうちの1種類の内容又は2種類以上の内容の組み合わせに対し、表示要否を規定している。
【0075】
(作用)
このような構成を有する車載機器1の通報画面34の表示動作は次の通りである。図8は、第2の実施形態の車載機器1において通報画面34の表示手順を示すフローチャートである。災危通報が発令され、受信部12が災危通報を含む電波信号を受信すると(ステップS11)、同一性判定部22は、情報蓄積部21に記憶されている最新受信日時の災危通報と過去の災危通報の内容を比較する(ステップS12)。
【0076】
最新受信日時の災危通報が過去の災危通報と異なる場合(ステップS12,Yes)、情報蓄積部21は、最新受信日時の災危通報を記憶する(ステップS13)。そして、通報要否判定部26は、災危通報と表示条件とを比較する(ステップS14)。
【0077】
ステップS14において、通報要否判定部26は、災危種類情報と一致する災危の種類を表示条件から検索する。また、通報要否判定部26は、災危種類情報と一致する災危の規模を表示条件から検索する。更に、通報要否判定部26は、場所情報に対する自車位置、目的地、ルート、又は特定の登録地点との距離を算出し、算出された距離が収まる区分を表示条件から検索する。ルート上の各ノードが距離算出の対象である。特定の登録地点は、自宅、実家又は勤め先等のように運転者に関係が高い地点である。そして、通報要否判定部26は、該当の災危の種類、災危の規模及び距離の区分で成る組み合わせに関連づけられた要否を読み出す。読み出した内容が要であれば、災危通報は表示条件に適合している。
【0078】
比較の結果、災危通報が表示条件に適合していると(ステップS14,Yes)、生成部23は、最新受信日時の災危通報の内容を示す通報画面34を他の画面から切り替えて表示部11に表示させる(ステップS15)。また、生成部23は、災危通報を受信したことを示す音声を音声再生部14に再生させる(ステップS16)。
【0079】
一方、最新受信日時の災危通報が過去の災危通報と同じであり(ステップS12,No)、又は災危通報が表示条件に適合しない場合は(ステップS14,No)、通報画面34の表示処理は終了する。制御部15は、主機能画面31、待受画面32又は設定画面33のレンダリングを維持し、表示部11は、主機能画面31、待受画面32又は設定画面33の表示を維持する。
【0080】
(効果)
このように、この車載機器1では、所定の表示条件に適合する災危通報を通報画面34にて表示するようにした。これにより、運転者は、不要不急の通報画面34によって気が紛らわされることなく運転に集中できる。そして、いざ通報画面34が表示されたときには、災危通報を真剣に受け止めることができる。
【0081】
尚、通報画面34で表示されなかった災危通報も情報蓄積部21には記憶されている。制御部15は、操作者による操作に応答し、情報蓄積部21に蓄積された災危通報のリストを表示部11に表示してもよいし、待受画面32として表示させてもよい。そして、制御部15は、操作者が選択したリスト上の災危通報を通報画面31にて表示させるようにしてもよい。または、制御部15は、操作者の操作に応答して、リストに並ぶ各災危通報の通報画面31を順番に連続的に表示させてもよい。
【0082】
表示条件は、災危の種類、災危の規模、位置関係又はこれらの2種以上の組み合わせに直接要否を付さなくともよい。例えば、最優先、優先又は通常を表す優先情報を1種又は2種以上の組み合わせに対して規定しておき、災危通報の優先度に応じて通報画面34の表示を決定してもよい。この場合、表示条件は災危通報の優先度であり、表示条件を満たすとは、通報画面34を表示する優先度であるという意味である。
【0083】
また、表示条件には、更に表示部11に表示させている他の画面の種類を加えてもよい。表示条件には、通報画面34を表示させる優先度を他の画面の種類に関連づけている。通報要否判定部26は、表示条件において表示部11に表示されている画面の種類に対応した優先度を読み出し、読み出した優先度と災危通報の優先度を比較する。そして、読み出した優先度を災危通報が上回っていれば、生成部23は通報画面34を表示させる。これにより、災危通報の緊急性と車載機器1の本来機能の発揮とのバランスを取ることができる。例えば、不要不急の災危通報によって、速度遵守を促す主機能画面31を表示できない事態を回避できる。
【0084】
更に、通報画面34を表示するにしても、災危通報に設定された優先度を用いて、文字列36の強調方法を変更するようにしてもよい。例えば、最優先は、緊急性が伝わる赤色の背景色で文字列36を強調し、優先は、注意すべきであることが伝わる黄色の背景色で文字列36を強調し、通常は、通報画面34全体の基調と異なるが、運転者に大きな緊張感を与えない緑色の背景色で文字列36を強調するようにしてもよい。
【0085】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る車載機器1を図面を参照しつつ詳細に説明する。第1及び第2の実施形態と同一構成又は同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0086】
(構成)
異なる内容の新しい災危通報が短い間隔で多発することがあり得る。車載機器1は、災危通報の受信順や発令日時順ではなく、災危通報に優先度を有しており、優先度の高い順に災危通報の通報画面34を表示させていく。この車載機器1の制御部15は、図9に示すように、優先度判定部27を更に備えている。
【0087】
優先度判定部27は、プロセッサ16と不揮発性メモリ17を含み構成されている。優先度判定部27は、まず災危種類情報と優先度を関連づけて記憶している。複数の災危通報を同時に受信し、または一件の災危通報に対する通報画面34を表示する前に次の件の災危通報を受信したとき、優先度判定部27は、各災危通報に含まれる災危種類情報と関連づけられた優先度を検索する。そして、生成部23は、優先度が高い災危通報から順に通報画面34を生成していく。
【0088】
図10は、優先度の設定画面33を示す模式図である。図10に示すように、優先度判定部27は、優先度の設定画面33を表示する。この設定画面33は操作者によって操作され、優先度は操作者によって決定される。操作者の生活圏、操作者の運転する車両、操作者の目的地等によって、操作者が望む災危通報が異なるためである。
【0089】
設定画面33には、複数の枠33aが並んで配置されている。各枠33aには優先度を示す数値が添えられている。操作者が同じ枠33aをタッチする度に、優先度判定部27は、枠33a内に表示する災危通報の種類を変更していく。枠33aに表示する災危通報の種類は文字列で表される。一方、通報画面34でアイコン35が表示される箇所にも枠33bが表示される。優先度判定部27は、枠33aに表示した災危通報の種類と同じアイコン35を枠33bに表示する。
【0090】
(効果)
このように、この車載機器1は、災危通報ごとに優先度を有し、優先度が高い順に災危通報の通報画面34を表示するようにした。連続して通報画面34が表示された場合、最も注目されるのは最初の通報画面34である。この車載機器1では、より注目すべき優先度の高い災危通報を先に表示するので、運転者にとって重要な災危通報を運転者の注意が向いているうちに伝えることができる。
【0091】
また、優先度は操作者によって選択できるようにした。そして、設定画面33で災危の種類を示す文字列が選択されると、その種類のアイコン35が同時表示されるようにした。これにより、操作者は、アイコン35の持つ意味に予め触れておくことができ、いざ通報画面34が表示されたときには、アイコン35の持つ意味を速やかに認識することができる。
【0092】
尚、複数の通報画面34を連続的に表示する他、複数の災危通報の災危種類情報に合致した選択ボタンを複数並べ、操作者による選択ボタンの選択に応じて、選択された選択ボタンに対応する災危通報の通報画面34を表示するようにしてもよい。選択ボタンを選択する画面と共に表示する地図38は、日本全域であると区別が付きにくいため、自車位置を含む一地方や近隣県単位であることが望ましい。選択ボタンは、アイコン35を用いてもよい。
【0093】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る車載機器1を図面を参照しつつ詳細に説明する。第1乃至第3の実施形態と同一構成又は同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0094】
(構成)
図11は、通報画面34の遷移を示す模式図である。図11に示すように、生成部23は、はじめに通報画面34内に広域地図38aを表示する。そして、生成部23は、災危の場所情報が示す地点を含むエリアの詳細地図38bに変更する。変更の際、生成部23は、災危の場所情報が示す広域地図38a上の地点から詳細地図38bを出現させ、詳細地図38bが大きくなっているズームアップアニメーション表示を行う。
【0095】
但し、場所情報が示す災危の場所に対し、所定の地点及びルートとの距離が一定距離以下又は一定距離を下回っている場合には、生成部23は、ズームアップアニメーション表示はせずに、広域地図38aのままとする。所定の地点とは、自車位置、目的地、又は自宅、実家、勤め先その他登録者に関係が深い特定の登録地点である。
【0096】
(作用)
このような構成を有する車載機器1の通報画面34の表示動作は次の通りである。尚、通報画面34の表示動作については、第1乃至第3の実施形態と同じであり、詳細な説明を省略する。
【0097】
図12は、第4の実施形態において通報画面34の遷移手順を示すフローチャートである。まず、生成部23は、広域地図38aを含む通報画面34を表示部11に表示させる(ステップS31)。そして、生成部23は、災危通報に含まれる場所情報を読み出し(ステップS32)、所定の地点及び所定のルートとの距離を算出する(ステップS33)。
【0098】
ステップS33において、生成部23は、所定の地点の緯度経度と場所情報が示す緯度経度との差を算出する。所定の地点が自車位置の場合には、制御部15で算出された緯度経度が用いられる。所定の地点が目的地及び特定の登録地点の場合には、その緯度経度を不揮発性メモリ17から読み出す。
【0099】
尚、場所情報としてエリア名が災危通報に含まれる場合がある。このケースに備え、地図38の各ポリゴンには、エリア名情報の他、エリア名情報が示すエリアを代表する緯度経度情報を属性データとして更に関連づけておく。生成部23は、地図38から場所情報が示すエリアの緯度経度情報を読み出し、所定の地点の緯度経度との差を算出する。場所情報として複数のエリア名が災危通報に含まれる場合には、各エリア名の緯度経度情報との差を算出し、最も小さい差を採用する。
【0100】
また、ステップS33において、ルートとの距離に関しては、生成部23は、ルート上のノードに付属する緯度経度情報を読み出し、各ノードと場所情報の緯度経度との差を算出する。
【0101】
所定の地点及び所定のルートとの距離を算出すると(ステップS33)、即ち本実施形態では緯度経度の差を算出すると、生成部23は、算出した距離と閾値とを比較する(ステップS34)。閾値は生成部23に予め保持させておく。即ち、災危通報プログラム25に含めておく。緯度経度の差を閾値とした場合、算出した差はメートル法等に換算する必要はないが、閾値がメートル法であれば、緯度経度の差をメートル法に換算してから比較する。
【0102】
比較の結果、算出した距離が閾値以上又は閾値を上回っている場合(ステップS34,No)、生成部23は、ズームアップアニメーション表示を実行せずに終了する。一方、比較の結果、算出した距離が閾値以下又は閾値を下回っている場合(ステップS34,Yes)、生成部23は、場所情報が示す災危の場所を含む詳細地図38bを用いてズームアップアニメーション表示させる(ステップS35)。
【0103】
生成部23は、地図38から場所情報が示す緯度経度を内部に含むポリゴンデータとその隣接ポリゴンデータを詳細地図38bとして用い、広域地図38a上にプロットされた災危の場所を中心にして、詳細地図38bを連続的に拡大表示していく。または、生成部23は、地図38から場所情報が示すエリア名が付属するポリゴンデータとその隣接ポリゴンデータを詳細地図38bとして用いる。
【0104】
このズームアップアニメーション表示が発生したとき、運転者は、自車位置、目的地、自宅、実家、勤め先、又はルート等が災危通報によって示される災危の場所に近いことを認識する。そのため、運転者は、ズームアップアニメーション表示を契機に災危通報が自分若しくは自分に近い者、又はそれらの者の財産が害される虞があると認識し、通報画面34をより真剣に受け止めることができる。
【0105】
(効果)
このように、制御部15は、災危の場所と所定地点又は所定ルートとの距離と閾値とを比較し、距離が閾値以下又は下回っていると、地図38がズームアップしていく通報画面34のデータを生成するようにした。これにより、運転者は、ズームアップアニメーション表示を契機に災危通報の通報画面34をより真剣に受け止めることができる。
【0106】
尚、距離と閾値との比較を省いて、ズームアップアニメーション表示を一律に行うようにしてもよい。即ち、表示部11は、全ての通報画面34において、地図38をズームアップしながら表示するようにしてもよい。運転中に通報画面34に切り替わったことを運転者が気づかない虞もあるが、このズームアップアニメーション表示によって通報画面34が視覚の片隅で変化するので、運転者が通報画面34に気づきやすくなる。
【0107】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係る車載機器1を図面を参照しつつ詳細に説明する。第1乃至第4の何れかの実施形態と同一構成又は同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0108】
(構成)
図13は、第5の実施形態に係る制御部15の構成を示すブロック図である。図13に示すように、制御部15は、情報蓄積部21、同一性判定部22、生成部23、画面パーツ記憶部24に加えて、発令日時判定部28を備えている。
【0109】
発令日時判定部28は、プロセッサ16を含み構成され、車載機器1の起動後に発令された災危通報を検索する。この発令日時判定部28は、車載機器1が起動したときの時刻を取得する。車載機器1に時計ICを備えるようすればよい。そして、生成部23は、この起動日時以降の発令日時情報を含む災危通報を取得し、災危通報を通報画面34に示して表示部11に表示させる。
【0110】
(作用)
このような構成を有する車載機器1の通報画面34の表示動作は次の通りである。図14は、車載機器1において通報画面34の表示手順を示すフローチャートである。まず、車両が始動すると(ステップS41)、発令日時判定部28は、車両が始動した日時を記憶する(ステップS42)。車両の始動は、換言すれば、車載機器1への給電、又は車載機器1と車両の他の電子機器との通信確立であり、発令日時判定部28は、給電や通信確立があると、車載機器1が例えば時計IC等がカウントしている日時を取得し、不揮発性メモリ17に記憶させる。
【0111】
車両の始動後、受信部12が災危通報を含む電波信号を受信すると(ステップS43)、同一性判定部22は、最新受信日時の災危通報と過去の災危通報の内容を比較する(ステップS44)。災危通報が過去分と異なる場合(ステップS44,Yes)、情報蓄積部21は、電波信号から取り出された災危通報を記憶する(ステップS45)。
【0112】
次に、発令日時判定部28は、災危通報から発令日時情報を読み出し(ステップS46)、車両が始動した日時と比較する(ステップS47)。比較の結果、発令日時情報が車両の始動後であると(ステップS47,Yes)、生成部23は、災危通報の内容を示す通報画面34を他の画面から切り替えて表示部11に表示させる(ステップS48)。一方、災危通報が過去分と同じであり(ステップS44,No)、又は発令日時情報が車両の始動前であると(ステップS47,No)、通報画面34の表示処理は終了する。
【0113】
(効果)
このように、この車載機器1の表示部11は、車載機器1の起動後に受信部12が受信した災危通報のみを示す通報画面34を表示するようにした。尚、車載機器1が車両から給電されている場合、車載機器1の起動後とは車両の始動後と言い換えることもできる。スマートフォン又はタブレット端末を車載機器1とする場合、発令日時判定部28は、車内の他の電子機器と無線LANや無線PANでの接続が確立すると、車両の始動と判断し、生成部23は、接続確立後に受信部12が受信した災危通報のみを示す通報画面34を表示するようにしてもよい。これにより、既に運転者が知っている災危通報が車載機器1の起動とともに連続的に表示されることはなく、運転者に煩わしさを与えない。
【0114】
(他の実施形態)
以上のように本発明の実施形態を説明したが、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。そして、この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
1 車載機器
11 表示部
12 受信部
13 加速度センサ
14 音声再生部
15 制御部
16 プロセッサ
17 不揮発性メモリ
21 情報蓄積部
22 同一性判定部
23 生成部
24 画面パーツ記憶部
25 災危通報プログラム
26 通報要否判定部
27 優先度判定部
28 発令日時判定部
31 主機能画面
32 待受画面
33 設定画面
34 通報画面
35 アイコン
36 文字列
37 文章
38 地図
38a 広域地図
38b 詳細地図
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14