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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038308
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】眼科装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/15 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
A61B3/15
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008697
(22)【出願日】2023-01-24
(62)【分割の表示】P 2019021002の分割
【原出願日】2019-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 尚樹
(57)【要約】
【課題】検者の位置によらず眼科装置に対して検査開始指示やアライメント動作開始指示を行うことができる眼科装置を提供する。
【解決手段】眼科装置1は、眼科装置本体から離間された状態でこの眼科装置本体を操作可能な操作部30を有し、操作部30は、操作入力動作に基づく操作入力信号を出力する操作入力部56と、操作入力部56から出力される操作入力信号に基づいて、眼科装置本体による検査開始または被検眼に対するアライメント動作開始を眼科装置本体に指示する動作開始信号を眼科装置本体に送出する駆動制御部57とを有する。
【選択図】 図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を介して被検者の被検眼像を観察しつつ検査を行う眼科装置本体と、
前記被検眼像を少なくとも提示可能な表示面を有するモニタ部と
を有する眼科装置において、
前記眼科装置本体から離間された状態でこの眼科装置本体を操作可能な操作部を有し、
前記操作部は、
棒状に形成された操作部本体と、
操作入力動作に基づく操作入力信号を出力する操作入力部と、
前記操作入力部から出力される操作入力信号に基づいて、前記眼科装置本体による検査開始または被検眼に対するアライメント動作開始を前記眼科装置本体に指示する動作開始信号を前記眼科装置本体に送出する駆動制御部と
を有し、
前記操作入力部は、前記操作部本体の傾動動作を検出して前記操作入力信号を出力する傾動検出部と、
前記操作部本体の長手方向に沿った検出軸周りの回転動作を検出して前記操作入力信号を出力する回転検出部と、
押圧により前記操作入力信号を出力する動作指示部と
を有することを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
前記駆動制御部は前記動作開始信号を無線で前記眼科装置本体に送出する通信部を有し、
前記眼科装置本体は前記駆動制御部からの前記動作開始信号を受信する本体通信部を有することを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記傾動検出部は前記傾動動作を検出可能な加速度センサを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記眼科装置本体は、前記操作部が略直立するように収納する収納部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の眼科装置。
【請求項5】
前記眼科装置本体は、
ベース部と、
前記被検者に対して可動可能に構成され、かつ光学系を介して前記被検者の前記被検眼像を観察しつつ検査を行う測定ヘッドと、
前記測定ヘッドを前記ベース部に対して水平方向及び垂直方向に移動させる駆動部と
を有し、
前記駆動制御部は、前記操作部本体の前記傾動動作に基づく前記操作入力信号に基づいて前記測定ヘッドを水平方向に移動させる駆動制御信号と、前記操作部本体の前記回転動作に基づく前記操作入力信号に基づいて前記測定ヘッドを垂直方向に移動させる駆動制御信号を前記駆動部に送出する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検者に対面して上下左右前後方向に可動され、かつ、光学系を介して被検眼像を観察しつつ検査を行う測定ヘッドと、被検眼像と操作ボタンとを少なくとも提示可能なタッチパネル式の表示面を有するモニタ部と、測定ヘッドの頂部に設けられ、かつ、モニタ部が取り付けられ、しかも垂直軸回りに可動する垂直軸部と水平軸回りに回動する水平軸部とを有する取付部とを有する眼科装置は公知である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、眼科装置に対して装着可能な操作ユニットを設け、この操作ユニットに備えられた操作レバーにより眼科装置に対して指示を行う構成も公知である(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-148030号公報
【特許文献2】特開2016-209153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された眼科装置は、モニタ部のタッチパネルを検者がタッチすることで測定ヘッドに対して操作開始やアライメント動作開始を指示し、また、特許文献2に開示された眼科装置は、操作レバーにより眼科装置に対して操作開始やアライメント動作開始を指示する構成であったため、次に述べるような課題を抱えていた。
【0006】
すなわち、被検者は様々な体格を有し、また、被検者の年齢も幼児から老人まで幅広く、さらには、眼瞼が下がっている被検者、病理眼を有する被検者、精神疾患の被検者など、眼科装置による検査の際にも被検者毎に種々のサポートが必要である。このため、検者は被検者の背中をサポート(支持)する、被検者の頭が検査時に動かないように手を添える、検査時に眼瞼が下がらないように被検者の開瞼状態を手で維持するなど、眼科装置による検査の際に種々の動作を行う必要がある。従って、検査開始時に検者がタッチパネルをタッチし、あるいは操作レバーを操作して検査開始指示やアライメント動作開始指示を行うことが煩雑であった。
【0007】
特に、被検者毎に検者の立ち位置も姿勢も異なり、また、検者も様々な体格を有し、利き腕も異なり、さらには好みの操作姿勢等がある。このため、限定された移動範囲のみ移動するモニタ部、さらには取付位置も限定された操作レバーを用いて検査開始指示等を行うことが手間であった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、検者の位置によらず眼科装置に対して検査開始指示やアライメント動作開始指示を行うことができる眼科装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の眼科装置は、光学系を介して被検者の被検眼像を観察しつつ検査を行う眼科装置本体と、被検眼像を少なくとも提示可能な表示面を有するモニタ部とを有し、さらに、眼科装置本体から離間された状態でこの眼科装置本体を操作可能な操作部を有し、操作部は、棒状に形成された操作部本体と、操作入力動作に基づく操作入力信号を出力する操作入力部と、操作入力部から出力される操作入力信号に基づいて、眼科装置本体による検査開始または被検眼に対するアライメント動作開始を眼科装置本体に指示する動作開始信号を前記眼科装置本体に送出する駆動制御部とを有し、操作入力部は、操作部本体の傾動動作を検出して操作入力信号を出力する傾動検出部と、操作部本体の長手方向に沿った検出軸周りの回転動作を検出して操作入力信号を出力する回転検出部と、押圧により操作入力信号を出力する動作指示部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このように構成された本発明の眼科装置は、眼科装置本体から離間された状態でこの眼科装置本体を操作可能な操作部を有し、操作部は、操作入力動作に基づく操作入力信号を出力する操作入力部と、操作入力部から出力される操作入力信号に基づいて、眼科装置本体による検査開始または被検眼に対するアライメント動作開始を眼科装置本体に指示する動作開始信号を眼科装置本体に送出する駆動制御部とを有する。
【0011】
従って、操作部により眼科装置本体に対して検査開始指示等を行うことで、検者の位置によらず眼科装置に対して検査開始指示等を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一の実施の形態である眼科装置の全体構成を示す斜視図である。
図2】第一の実施の形態である眼科装置を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
図3】第一の実施の形態である眼科装置を示す図であって、(a)は側面図、(b)は背面図である。
図4】第一の実施の形態である眼科装置を示す図であって、(a)は側面図、(b)は背面図である。
図5】第一の実施の形態である眼科装置を示す図であって、(a)は側面図、(b)は背面図である。
図6】第一の実施の形態である眼科装置を示す図であって、(a)は側面図、(b)は背面図である。
図7】第一の実施の形態である眼科装置の取付部の概略構成を示す斜視図である。
図8】第一の実施の形態である眼科装置の取付部と回路基板との位置関係を示す一部分解斜視図である。
図9】第一の実施の形態である眼科装置の取付部のうち垂直筒部の取付構造の概略構成を示す部分断面図である。
図10】第一の実施の形態である眼科装置の取付部のうち中空筒部の取付構造の概略構成を示す断面図である。
図11】第一の実施の形態である眼科装置の取付部の概略構成を示す側面図である。
図12】第一の実施の形態である眼科装置の表示画面に表示される被検眼像と操作ボタンとの一例を示す説明図であって、アライメント完了後測定実行時の状態を示す図である。
図13】第一の実施の形態である眼科装置の表示画面に表示される被検眼像と操作ボタンとの一例を示す説明図であって、アライメント完了前の被検眼像の状態を示す図である。
図14】第一の実施の形態である眼科装置の操作部の外観構成を示す斜視図である。
図15】第一の実施の形態である眼科装置の概略構成を示すブロック図である。
図16】本発明の第二の実施の形態である眼科装置の操作部の外観構成を示す斜視図である。
図17】本発明の第三の実施の形態である眼科装置の操作部の外観構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(第一の実施の形態)
図1図6は、それぞれ本発明の実施の形態である眼科装置を示す斜視図、正面図、側面図及び背面図である。
【0015】
なお、本明細書を通じて各図に記すようにX軸、Y軸及びZ軸を取り、図1(b)における左右方向(X軸正方向が左方向、負方向が右方向)、前後方向(Y軸正方向が後方向、負方向が前方向)及び上下方向(Z軸正方向が上方向、Z軸負方向が下方向)を基準として明細書中の説明を行う。また、水平方向とはX-Y平面に沿った方向、垂直方向とはZ軸に沿った方向である。
【0016】
より詳細には、図1は、眼科装置が検眼用テーブルに設置された状態で、操作部により操作されている状態を示す斜視図である。
【0017】
また、図2は検者が眼科装置を間に介して被検者に向かい合って検査を行う場合のモニタ部の位置を説明するための図であり、図2(a)はモニタ部の表示面が検者の側に向けられている状態を示す側面図、図2(b)は図2(a)に示す矢印A方向からモニタ部の表示画面を目視した状態を示す正面図である。
【0018】
また、図3は被検者と同じ側に検者が立って検査を行う場合のモニタ部の位置を説明するための図であり、図3(a)はモニタ部の表示面が被検者の側に向けられている状態を示す側面図、図3(b)は図3(a)に示す矢印B方向からモニタ部の表示画面を目視した状態を示す背面図である。
【0019】
また、図4は眼科装置の右側に検者が立った状態で検査を行う場合のモニタ部の位置を説明するための図であり、図4(a)は図4(b)に示す矢印C方向からモニタ部の表示画面を目視した状態を示す眼科装置の側面図、図4(b)は被検者から見てモニタ部の表示画面が右側に向けられている状態を示す背面図である。
【0020】
さらに、図5は眼科装置の右側に検者が座った状態で検査を行う場合のモニタ部の位置を説明するための図であり、図5(a)は図5(b)に示す矢印D方向からモニタ部の表示画面を目視した状態を示す側面図、図5(b)は被検者から見てモニタ部の表示画面が右側に向けられている状態を示す背面図である。
【0021】
そして、図6は眼科装置の左側に検者が座った状態で検査を行う場合のモニタ部の位置を説明するための図であり、図6(a)は図6(b)に示す矢印E方向からモニタ部の表示画面を目視した状態を示す側面図、図6(b)は被検者から見てモニタ部の表示画面が左側に向けられている状態を示す背面図である。
【0022】
これら図において、本実施の形態である眼科装置1は、ベース部2と測定ヘッド3とを有する。ベース部2の前方には顎受け部4が設けられ、この顎受け部4の上部には、この顎受け部4と一体に形成された額当て5が設けられている。本実施の形態である眼科装置1の被検者は、眼科装置1の前方に設けられた椅子等に座った状態で眼科装置1と対峙し、顎受け部4に顎を置き、額当て5に額を当てた状態で検査を受ける。これらベース部2及び測定ヘッド3により、本実施の形態に係る眼科装置本体が構成されている。
【0023】
好ましくは、眼科装置1は、図1に示すように、検眼用テーブル40上に設置されて被検者の被検眼の検査に供される。
【0024】
測定ヘッド3の内部には、図2図6に破線で示すように、公知の観察・撮影用の光学系6が設けられている。この光学系6により、被検者の前眼部、被検眼の角膜、眼底等が観察・撮影可能である。
【0025】
ベース部2には、図2図6に破線で示すように、測定ヘッド3を駆動する公知の駆動機構・駆動回路8が設けられている。駆動機構・駆動回路8の駆動部には、例えば、図示を略すステッピングモータが用いられる。
【0026】
測定ヘッド3は、モニタ部10のタッチパネル式の表示面25を操作することにより、駆動機構・駆動回路8によりベース部2に対して水平方向及びこれに垂直な垂直方向に駆動される。これにより、測定ヘッド3はベース部2に水平方向及びこれに垂直な垂直方向にそれぞれ可動可能に支持されている。さらに、タッチパネル式の表示面25を操作することにより、光学系6による検査開始指示やアライメント動作開始指示が入力され、この検査開始指示等に基づいて光学系6による検査やアライメント動作が開始される。
【0027】
また、本実施の形態である眼科装置1は、概略を図1に示すように、この眼科装置1に対して少なくとも検査開始指示または被検眼に対するアライメント動作開始指示を行う操作部30を有する。この操作部30は、図1において図略の通信部を有し、通信部は動作開始信号を無線で送信する。従って、操作部30は、ベース部2から離間された状態で眼科装置本体が操作可能に構成されている。測定ヘッド3の内部には、図2図6に破線で示すように、操作部30の通信部から送信された動作開始信号を受信する本体通信部55(図15参照)が設けられている。
【0028】
ここで、操作部30が行う眼科装置1の動作開始指示には、測定ヘッド3の内部に設けられた光学系6により被検者の被検眼を検査を開始する指示、光学系6を作動させることで被検眼に対するアライメント動作を開始する指示、さらには、駆動機構・駆動回路8により測定ヘッド3をベース部2に対して水平方向及び垂直方向に駆動させる指示が含まれる。
【0029】
なお、眼科装置1に対してタッチパネル式の表示面25を介して操作指示を行うか、あるいは、操作部30を介して動作開始指示を行うかについては、本実施の形態である眼科装置1は、少なくとも操作部30を介して動作開始指示可能とされている。当然、表示面25及び操作部30のいずれからも操作可能としてもよい。この場合、検者が自身の姿勢等に応じていずれかを選択する。あるいは、眼科装置1の設定により操作部30または表示面25のいずれかのみ操作可能としてもよい。
【0030】
操作部30の詳細については後述する。
【0031】
測定ヘッド3の頂部9には、モニタ部10が取り付けられた取付部11が設けられている。モニタ部10は、被検眼像及び操作ボタン像を少なくとも提示可能なタッチパネル式の表示面25を有する。
【0032】
取付部11の概略構成について、図7等を参照して説明する。図7に拡大して示すように、取付部11は、板金製の垂直軸受け部材12と、板金製の水平軸受け部材13とから概略構成されている。
【0033】
垂直軸受け部材12は、略平板状の台座部12aと、この台座部12aの左右両端部に設けられ、この台座部12aから左右にそれぞれ延出する一対の固定板部12bとから概略構成されている。
【0034】
固定板部12bは、ネジ等の図略の固定部材により、測定ヘッド3の頂部9に固定されている。台座部12aの略中央部には、長手方向が垂直方向に延在する垂直筒部14が、例えば溶着手段により溶着固定されている。
【0035】
水平軸受け部材13は、図7及び図8に示すように、水平板部13aと、この水平板部13aの左右両端部から図中上方に立ち上げられて形成された一対の支承板部13bとから構成されている。
【0036】
水平板部13aの略中央部には、図8に示すように、その中央に円形開口13cが形成されており、垂直筒部14はこの円形開口13cに挿入されている。
【0037】
図9に示すように、垂直筒部14の上端部には径の狭い段差部14aが形成されている。垂直筒部14の段差部14aには、水平軸受け部材13の水平板部13aを図中上下から挟むようにして円板状の摩擦リング板15が挿入されていると共に、この摩擦リング板15と水平板部13aとを挟むようにして、摩擦リング板15よりも小径の円板状の抜け止めリング部材15′が嵌め込まれている。
【0038】
これにより、水平板部13aは、垂直筒部14の段差部14aに支承され、さらに、抜け止めリング部材15′と摩擦リング板15により垂直軸方向に適宜の下方への圧力を受けつつ垂直筒部14の軸回り、より正確にはZ軸方向に沿った回転軸回りに適宜の力を受けて回動可能とされ、垂直軸(Z軸)回りの適宜の位置で停止状態を維持可能とされている。
【0039】
一対の支承板部13b、13bには、図7及び図8に示すように、支持部を構成する支持アーム部材13dが取り付けられている。この支持アーム部材13dは、一対のアーム板部13e、13fと、これらアーム板部13e、13fの先端部に架け渡された取付けブラケット板部13gとを有する。
【0040】
図7及び図8において左上側に位置するアーム板部13eには水平軸支部13hが設けられている。一方、図7及び図8において右下側に位置するアーム板部13fには円形開口13jが形成されている。
【0041】
水平軸支部13hは一方の支承板部13b、すなわち図7及び図8において左上側に位置する支承板部13bに、水平軸回り、より正確にはX軸方向に沿った回転軸に沿って回動可能に支承されている。水平軸支部13hには公知のトルクヒンジ部材が用いられる。このトルクヒンジ部材により水平軸回りの回動力の調整を行うことができる。
【0042】
他方の支承板部13b、すなわち図7及び図8において右下部に位置する支承板部13bには、円形開口13jに対向する位置に、この円形開口13jと略同径の円形開口13kが形成されている。そして、これら円形開口13j、13kには、図7図8及び図10に示すように中空筒部19が挿通されている。この中空筒部19は他方の支承板部13bに固定されている。
【0043】
これにより、支持アーム部材13dはこの中空筒部19と水平軸支部13hとにより水平軸回り、より正確にはX軸方向に沿った回転軸に沿って回動可能とされている。従って、これら中空筒部19及び水平軸支部13hにより、本実施の形態の水平軸部Hが構成されている。一方、支持アーム部材13dは、これを支持する水平軸受け部材13が垂直筒部14、摩擦リング板15及び抜け止めリング部材15′により垂直軸回り、より正確にはZ軸方向に沿った回転軸に沿って回動可能とされている。
【0044】
中空筒部19には、図10に示すようにその軸方向(長手方向)に間隔を開けて一対の環状溝20、20が形成されている。これら環状溝20、20には、軸方向の抜け止めリング部材としてのC形止め輪21、21がそれぞれ装着されている。これにより、中空筒部19は支承板部13bに対する軸方向の抜け止めが図られている。
【0045】
中空筒部19には、図10に示すように、樹脂製の軸受けフランジ部材22が貫挿されている。支持アーム部材13dは、この軸受けフランジ部材22に適宜の力を受けて回動可能に摺接されている。
【0046】
なお、図10において、符号13f′はアーム板部13fに屈曲形成された屈曲板部であり、円形開口13jはこの屈曲板部13f′に形成され、アーム板部13fはこの屈曲板部13f′を介して中空筒部19に回動可能に支承されている。
【0047】
中空筒部19を回動可能に支承する支承板部13bには、図7及び図11に拡大して示すように、水平軸回り方向、より正確には支承板部13bの周方向に間隔を開けて一対の突起部13m、13mが形成されている。図11に示すように、これら突起部13m、13mの間にC形止め輪21の開放端部21a、21aが配置されている。
【0048】
中空筒部19は、突起部13m、13mの間にC形止め輪21の開放端部21a、21aが配置されることにより、中空筒部19の水平軸回り方向の回転が阻止され、中空筒部19の耐久性の向上が図られている。
【0049】
図7に示すように、中空筒部19の貫通穴19a及び垂直筒部14の貫通穴14bを通じて、モニタ部10と測定ヘッド3とを電気的に接続するリード線16bが引き出されている。これにより、モニタ部10の回動操作に伴うリード線16bのねじれが防止される。
【0050】
上述したように、取付けブラケット板部13gは、図7図8及び図10に示すように、一対のアーム板部13e、13fの先端部に跨って配置されている。取付けブラケット板部13gには、図8に示すように、回路基板23が配設されている。
【0051】
回路基板23の裏側には図略の制御回路ユニットが配設され、その表側には、図2(b)、図3(b)、図4(a)、図5(a)、図6(a)に示す表示面25を有する図略の液晶ディスプレイが回路基板23と略並行に配設されている。
【0052】
図11に最もよく示すように、取付けブラケット板部13gと一対のアーム板部13e、13fの為す角度は鈍角である。より正確には、取付けブラケット板部13gの面の法線と水平軸部Hの回転軸(X軸)を通る垂直面(X-Z平面)との為す角度が鈍角となるように、取付けブラケット板部13g及びアーム板部13e、13fの形状が定められている。
【0053】
そして、モニタ部10を構成する液晶ディスプレイの表示面25は取付けブラケット板部13gの(右)面と略並行であるので、結果的にモニタ部10と支持アーム部材13dとの為す角度が鈍角となる。これにより、モニタ部10の検者に対面する側から被検者に対面する側への位置変更作業を支障なく行うことができる。
【0054】
アーム板部13eと支承板部13bとには、図7に示すように、モニタ部10(一対のアーム板部13e、13f)の水平軸回りの回動を検出する検出センサ26a、26bが設けられている。これら検出センサ26a、26bは、例えば、モニタ部10の表示面25が水平状態のときにオンし、水平状態から所定角度を超えたときに、オフする構成とされている。
【0055】
制御回路ユニットは、その検出センサ26a、26bと協働して、モニタ部10が水平軸回りに回動されて、その表示面25が逆さまになる前と逆さまになったときとで、被検眼像と操作ボタン像との見た目上の位置が同じ位置となるように、かつ、表示面25に表示される画像情報が上下左右反転するように制御する。
【0056】
制御回路ユニットは、例えば、その検出センサ26a、26bによる出力信号の立ち上がりと立ち下がりを検出すると、その表示面25による画像情報が上下左右反転するように制御する。
【0057】
表示面25は、図12及び図13に拡大して示すように、矩形状とされている。表示面25には、被検眼像等表示領域25cと操作ボタン像表示領域とが設けられている。被検眼像等表示領域25cには、その画面中央に矩形状の目標エリアマーク25gと最小瞳孔径判定マーク25hとが表示されている。
【0058】
操作ボタン像表示領域は、表示面25に向かってその被検眼像等表示領域25cを挟んでその左右両辺部と被検眼像等表示領域25cの下辺部とに設けられている。
【0059】
操作ボタン像表示領域には、表示面25に向かって左側の表示領域25dにキーボードボタンB1、RボタンB2、顎受け上下動ボタンB3、測定モードボタンB4が配置されている。表示面25に向かって右側の表示領域25eにセットアップボタンB5、LボタンB6、測定ヘッド3を前後動させる測定ヘッド前後ボタン(Z方向ボタン)B7、スタートボタンB8、マニュアル・オート切り替えボタンB9が配置されている。
【0060】
表示面25に向かって下辺部の表示領域25fに白内障ボタンB10、ターゲット像ボタンB11、角膜直径ボタンB12、プリントボタンB13、グラフィックプリントボタンB14、観察像表示ボタンB15、全測定値クリアボタンB16が配置されている。
【0061】
キーボードボタンB1は患者のIDを入力するのに用いられ、測定モードボタンB4は、レフ(眼屈折力)、ケラト(角膜形状)、レフ/ケラトのいずれかの測定モードに切り替えるのに用いられ、RボタンB2は右眼を選択するのに用いられ、LボタンB6は左眼を選択するのに用いられ、スタートボタンB8はマニュアルモード時に測定を開始させるのに用いられ、セットアップボタンB5はセットアップ画面を表示するのに用いられる。
【0062】
白内障ボタンB10は白内障等があって測定エラーが生じやすいときに用いられ、ターゲット像ボタンB11は記憶している測定ターゲットを表示面25に表示させる際に用いられ、角膜直径ボタンB12は角膜の直径を測定するモードに切り替える際に用いられる。
【0063】
プリントボタンB13は測定結果をプリントアウトするのと紙送りをするのとに用いられ、グラフィックプリントボタンB14は屈折状態示す図形をプリントアウトするのに用いられ、観察像表示ボタンB15は観察像を表示するのに用いられ、全測定値クリアボタンB16は全測定値をクリアするのに用いられる。
【0064】
顎受け上下動ボタンB3は、顎受け部4の高さを上下動させて、被検者の被検眼の高さを調整するのに用いられる。測定ヘッド前後ボタン(Z方向ボタン)B7は被検眼に対して測定ヘッド3を前後方向に駆動させる際に用いられる。
【0065】
なお、最小瞳孔径判定マーク25hは、この最小瞳孔径判定マーク25h以下の瞳孔径の場合、測定を中止するのに用いられる。
【0066】
被検眼像等表示領域25cには、観察中の前眼部像の他、測定結果やその他検査に関連する文字、記号、符号等の他、図形等の画像が適宜表示される。
【0067】
本実施の形態である眼科装置では、被検眼像等表示領域25cには被検者の前眼部像Gfと測定結果S,C、Aが表示される。ここで、図11において、Gf′は虹彩像、Gf”は瞳孔像である。また、P1は角膜輝点像、P2はアライメント指標像である。
【0068】
制御回路ユニットは、例えば、図13に示すように、前眼部像Gfの観察モードのときに、検者が指等でその被検眼像等表示領域25cをタッチすると、タッチ箇所tpに対応する画像部位が画面中心G0に位置するように、測定ヘッド3を上下左右に駆動し、これにより、被検眼像の瞳孔像Gf”が画面中央に位置するように制御される。
【0069】
制御回路ユニットは、例えば、画面中心G0からタッチ箇所tpまでの画面上での距離Lを演算し、この距離Lに基づいて左右方向ステッピングモータと上下方向ステッピングモータとを駆動制御することにより、被検眼に対して測定ヘッド3を上下左右に移動させる。この動作が、被検眼に対するアライメント動作である。
【0070】
ここでは、制御回路ユニットは、第1回目のタッチで測定ヘッド3を高速駆動し、第2回目のタッチで低速駆動するようにステッピングモータを駆動する。
というのは、第1回目のタッチの際には、画面中心G0と瞳孔中心PDOとの距離が大きく、測定の迅速化を図るために高速駆動するのが望ましいが、第2回目のタッチの際には、画面中心G0と瞳孔中心PDOとの距離は小さいと考えられ、瞳孔中心PDOが目標エリアマーク25g内に正確に入るように測定ヘッド3を制御するのには、低速駆動が望ましいからである。
【0071】
制御回路ユニットは、目標エリアマーク25gの近傍に瞳孔中心PDOが位置して、角膜輝点像P1が検出されると、角膜輝点像P1の検出位置と画面中心G0との距離に基づいて自動的に測定ヘッド3が上下左右方向に駆動されると共に、角膜輝点像P1のピントが合焦するように、測定ヘッド3が前後方向に駆動され、角膜輝点像P1が目標エリアマーク25g内に入りかつ角膜輝点像P1の出力値が所定値を超えると測定が自動的に実行される。
【0072】
モニタ部10の姿勢が図2に示す姿勢の状態から図3に示す姿勢になるようにモニタ部10を回動させると、又は、モニタ部10の姿勢が図4図5に示す姿勢の状態から図6に示す姿勢の状態になるようにモニタ部10を回動させると、モニタ部10が水平軸回りに回動されて表示面25が逆さまになる前と逆さまになったときとで被検眼像と操作ボタンとの見た目上の位置が同じ位置となるようにかつ表示面25に表示される画像情報が上下左右反転するように制御され、結果として、図2図4図5に示すモニタ部10の姿勢のときの表示面25と図3図6に示す姿勢のときの表示面25とは、図12及び図13に示すように見た目上同じとなる。
【0073】
次に、図14を参照して、本実施の形態である眼科装置1が備える操作部30について説明する。
【0074】
操作部30は、図1及び図14に示すように、棒状に形成された操作部本体31を有する。操作部本体31の内部には、図14に図示するX′軸方向、Y′軸方向及びZ′軸方向の加速度をそれぞれ独立に検出可能な加速度センサ32が設けられている。ここに、Z′軸は操作部本体31の長手方向に沿った方向に、X′軸及びY′軸は、Z′軸にそれぞれ直交する方向に設定されている。既に説明したX軸、Y軸及びZ軸は眼科装置1、特にベース部2、測定ヘッド3を基準とした座標系であるが、X′軸、Y′軸及びZ′軸は操作部本体31を基準とした座標系である。3軸独立に加速度が検出可能な加速度センサ自体は公知であるので、その構成や検出原理については説明を省略する。
【0075】
操作部本体31の長手方向端部(図14では上端部)にはスイッチ33が設けられている。このスイッチ33はいわゆるモーメンタリスイッチであり、操作部30の操作者(通常は検者)がこのスイッチ33を操作部本体31の長手方向に押し込んだ際にのみ信号を出力する。モーメンタリスイッチの構成や原理は公知であるので、ここでの説明は省略する。
【0076】
操作部本体31には、これら加速度センサ32及びスイッチ33から出力される信号に基づいて眼科装置1に対する操作指示信号を無線で出力する図略の制御基板が設けられている。
【0077】
次に、図15を参照して、眼科装置1の制御系の構成を説明する。
【0078】
本実施の形態である眼科装置1は、制御部50、駆動部51、測定部52、本体操作部53、表示部54、本体通信部55及び操作部30を有する。
【0079】
操作部30は、操作入力部56、駆動制御部57及び通信部58を有する。
【0080】
操作入力部56は傾動検出部56a、回転検出部56b及び動作指示部56cを有する。加速度センサ32を含む傾動検出部56aは、操作部本体31の長手方向の傾動動作を検出して操作入力信号を出力する。同様に加速度センサ32を含む回転検出部56bは、操作部本体31の長手方向に沿った検出軸周りの回転動作を検出して操作入力信号を出力する。スイッチ33を含む動作指示部56cは、スイッチ33が操作されることによる入力動作に基づいて操作入力信号を出力する。
【0081】
駆動制御部57は、傾動検出部56a、回転検出部56b及び動作指示部56cを含む操作入力部56からの操作入力信号に基づいて、光学系6による検査開始または眼科装置本体による被検眼に対するアライメント動作開始を指示する動作開始信号を通信部58を介して制御部50に送出する。
【0082】
また、駆動制御部57は、傾動検出部56aにより検出された操作部本体31の傾動動作に基づいて、測定ヘッド3をベース部2に対して水平方向に駆動させる駆動制御信号を、制御部50を介して駆動部51に送出する。また、駆動制御部57は、回転検出部56bにより検出された操作部本体31の回転動作に基づいて、測定ヘッド3をベース部2に対して垂直方向に駆動させる駆動制御信号を制御部50を介して駆動部51に送出する。
【0083】
通信部58は、駆動制御部57が出力する動作指示信号及び駆動制御信号を、無線により本体通信部55に送出する。通信部58が送出する無線信号の方式に特段の限定はなく、電磁波、赤外光を含む光のいずれの方式であってもよい。電磁波によるものについては、いわゆる近距離無線通信方式に含まれる方式、例えば無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)など、その具体的な方式に制限はない。
【0084】
制御部50は、眼科装置1における電気制御系を構成するものであり、内蔵する内部メモリ50aに格納されたプログラムにより眼科装置1の各部を統括的に制御する。
【0085】
制御部50は、本体操作部53及び操作部30の駆動制御部57からの操作指示に基づいて、駆動部51を適宜駆動制御して、ベース部2に対する測定ヘッド3の水平及び垂直方向の位置を調整する。
【0086】
また、制御部50は、本体操作部53からの操作入力信号及び操作部30の駆動制御部57からの動作開始信号に基づいて、測定部52による被検眼像のアライメント動作、観察及び検査を開始し、撮像された被検眼像及び検査結果を、例えば図12に示すように表示部54の表示面25に表示する。さらに、制御部50は、図11に示すように表示部54の表示面25に各種操作ボタン像を表示させる。
【0087】
ここで、制御部50は、操作部30の駆動制御部57から操作指示信号が送信されてきたら、表示面25上に図略のポインタを表示させ、駆動制御部57からの操作指示信号に基づいてこのポインタを表示面25内で移動させる制御を行ってもよい。そして、ポインタが表示面25上の特定の位置、例えば操作ボタンの上に位置した状態で、駆動制御部57から動作開始信号が送信されてきたら、この操作ボタンに対応する動作を実行してもよい。
【0088】
駆動部51は、ベース部2に設けられた駆動機構・駆動回路8を含む。駆動部51は、制御部50からの指示に基づいて、測定ヘッド3を駆動する。
【0089】
測定部52は、測定ヘッド3の内部に設けられた光学系6を含み、制御部50からの指示に基づいて眼科装置1の前方に位置する被検者の被検眼像を観察しつつ検査を行う。
【0090】
本体操作部53は、モニタ部10の表示面25に設けられた図略のタッチパネルを含み、表示面25に表示された各種操作ボタン像に対する操作入力を受け入れ、この操作入力信号を制御部50に出力する。なお、眼科装置1のベース部2にジョイスティックや操作ボタンが備えられている場合、これらジョイスティック等も本体操作部53に含まれる。
【0091】
表示部54はモニタ部10を含み、制御部50からの表示制御信号に基づいて表示面25に、一例として図12及び図13に示すような画像を表示する。
【0092】
本体通信部55は、操作部30の通信部58から無線で送信された各種信号を受信し、これを制御部50に送出する。本体通信部55は、操作部30の通信部58との間での無線通信が可能なものである。従って、本体通信部55が対応する無線方式も通信部58が対応する無線方式を含む。
【0093】
このように構成された本実施の形態である眼科装置1は、眼科装置本体から離間された状態でこの眼科装置本体を操作可能な操作部30を有し、操作部30は、操作入力動作に基づく操作入力信号を出力する操作入力部56と、操作入力部56から出力される操作入力信号に基づいて、眼科装置本体による検査開始または被検眼に対するアライメント動作開始を眼科装置本体に指示する動作開始信号を眼科装置本体に送出する駆動制御部57とを有する。
【0094】
従って、操作部30により眼科装置本体に対して検査開始指示等を行うことで、検者の位置によらず眼科装置に対して検査開始指示等を行うことができる。
【0095】
(第二の実施の形態)
次に、図16を参照して、本発明の第二の実施の形態である眼科装置について説明する。
【0096】
図16は、本発明の第二の実施の形態である眼科装置1の操作部30の外観構成を示す斜視図である。本実施の形態である眼科装置1は、操作部30の構成のみが上述した第一の実施の形態である眼科装置1と異なる。従って、第一の実施の形態である眼科装置1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0097】
また、第二の実施の形態の説明及び後述する第三の実施の形態の説明において、Z′軸正方向を上方向、負方向を下方向、X′軸正方向を右方向、負方向を左方向、Y′軸正方向を奥行き方向、負方向を手前方向として説明する。
【0098】
第二の実施の形態に係る操作部30は、操作部本体31の外形が薄板状の矩形に形成されている。
【0099】
操作部本体31の手前側上面には、第一の実施の形態に係る操作部30に設けられたスイッチ33とは異なる形状のスイッチ34が設けられている。このスイッチ34は、上下左右それぞれ4方向の指示が可能な上スイッチ34a、下スイッチ34b、右スイッチ34c及び左スイッチ34dを有する。そして、これら上下左右スイッチ34a~34dの中央に、第一の実施の形態に係る操作部30に設けられたスイッチ33と同様の機能を有する決定スイッチ34eが設けられている。
【0100】
また、操作部本体31の図中左側部には、長手方向に延在する指示スイッチ35が設けられている。この指示スイッチ35は、いわゆるモーメンタリ動作を行うシーソースイッチであり、上下方向に揺動可能に構成されている。そして、検者がこの指示スイッチ35の上部を押し下げた時のみ第1の信号を出力し、下部を押し下げた時のみ第2の信号を出力する。
【0101】
本実施の形態に係る操作部30の操作入力部56は、上下左右スイッチ34a~34dの操作及び指示スイッチ35の押圧操作に基づいて操作入力信号を出力する。また、決定スイッチ34eを含む操作入力部56は、決定スイッチ34eの押圧操作に基づいて操作入力信号を出力する。
【0102】
駆動制御部57は、操作入力部56からの操作入力信号に基づいて、光学系6による検査開始または眼科装置本体による被検眼に対するアライメント動作開始を指示する動作開始信号を通信部58を介して制御部50に送出する。
制御部50は、本体操作部53からの操作入力信号及び操作部30の駆動制御部57からの動作開始信号に基づいて、測定部52による被検眼像のアライメント動作、観察及び検査を開始し、撮像された被検眼像及び検査結果を表示部54の表示面25に表示する。
【0103】
また、制御部50は、操作部30の駆動制御部57から動作開始信号が送信されてきたら、表示面25上に図略のポインタを表示させ、駆動制御部57からの操作指示信号に基づいてこのポインタを表示面25内で移動させる制御を行ってもよい。具体的には、上下左右スイッチ34a~34dが操作されたら、ポインタを表示面25内で同様に上下左右方向に移動させる制御を行ってもよい。そして、ポインタが表示面25上の特定の位置、例えば操作ボタンの上に位置した状態で決定スイッチ34eが操作されたら、この操作ボタンに対応する動作を実行してもよい。
【0104】
また、駆動制御部57は、操作入力部56により検出された左右スイッチ34c、34dの操作に基づいて、測定ヘッド3をベース部2に対して水平方向に駆動させる駆動制御信号を、制御部50を介して駆動部51に送出する。また、駆動制御部57は、操作入力部56により検出された指示スイッチ35からの第1の信号に基づいて、測定ヘッド3をベース部2に対して垂直上方向に駆動させる駆動制御信号を制御部50を介して駆動部51に送出する。同様に、駆動制御部57は、操作入力部56により検出された指示スイッチ35からの第2の信号に基づいて、測定ヘッド3をベース部2に対して垂直下方向に駆動させる駆動制御信号を制御部50を介して駆動部51に送出する。
【0105】
従って、本実施の形態である眼科装置1でも、上述の第一の実施の形態における眼科装置1と同様の効果を得ることができる。
【0106】
(第三の実施の形態)
次に、図17を参照して、本発明の第三の実施の形態である眼科装置について説明する。
【0107】
図17は、本発明の第三の実施の形態である眼科装置1の操作部30の外観構成を示す斜視図である。本実施の形態である眼科装置1は、上下左右スイッチ34a~34d及び決定スイッチ34eに代えて、ジョイスティック36を設けたことのみが上述した第二の実施の形態である眼科装置1と異なる。従って、第二の実施の形態である眼科装置1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0108】
操作部本体31の手前側上面には、ジョイスティック36が設けられている。このジョイスティック36は、少なくとも上下左右の4方向、好ましくは、この4方向に加えて、右上、左上、右下、左下の4方向、計8方向に傾動可能に構成されている。そして、ジョイスティック36は、この傾動方向に応じた信号を出力する。
【0109】
さらに、ジョイスティック36は、奥行き方向へ押し込むことができ、この押し込み動作に応じた信号も出力する。
【0110】
本実施の形態に係る操作部30の操作入力部56は、ジョイスティック36の傾動動作及び押し込み動作に基づいて操作入力信号を出力する。
【0111】
駆動制御部57は、ジョイスティック36の押し込み動作により出力される操作入力信号に基づいて、測定ヘッド3による検査動作の開始等を指示する動作開始信号を通信部58を介して制御部50に送出する。
【0112】
また、制御部50は、操作部30の駆動制御部57から操作指示信号が送信されてきたら、表示面25上に図略のポインタを表示させ、駆動制御部57からの操作指示信号に基づいてこのポインタを表示面25内で移動させる制御を行ってもよい。具体的には、ジョイスティック36の押し込み動作以外の操作がされたら、ポインタを表示面25内で同様に上下左右方向、好ましくは右上、左上、右下、左下方向に移動させる制御を行ってもよい。そして、ポインタが表示面25上の特定の位置、例えば操作ボタンの上に位置した状態で、駆動制御部57から動作開始信号が送信されてきたら、この操作ボタンに対応する動作を実行してもよい。
【0113】
駆動制御部57は、操作入力部56により検出されたジョイスティック36の押し込み動作以外の操作に基づいて、測定ヘッド3をベース部2に対して水平方向に駆動させる駆動制御信号を、制御部50を介して駆動部51に送出する。また、駆動制御部57は、操作入力部56により検出された指示スイッチ35からの第1の信号に基づいて、測定ヘッド3をベース部2に対して垂直上方向に駆動させる駆動制御信号を制御部50を介して駆動部51に送出する。同様に、駆動制御部57は、操作入力部56により検出された指示スイッチ35からの第2の信号に基づいて、測定ヘッド3をベース部2に対して垂直下方向に駆動させる駆動制御信号を制御部50を介して駆動部51に送出する。
【0114】
従って、本実施の形態である眼科装置1でも、上述の第一の実施の形態における眼科装置1と同様の効果を得ることができる。
【0115】
(その他)
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0116】
一例として、上述の各実施の形態における眼科装置1において、操作部30をその長手方向が直立するように収納する収納部を、ベース部2の周囲に設けてもよい。この場合、検者は、操作部30が収納部に収納された状態で眼科装置1を操作することもできる。加えて、眼科装置1が作動していない状態において、操作部30をこの収納部に収納しておくことで、操作部30を常に同じ位置に収納することができて紛失等の事態を防ぐことができる。
【0117】
さらに、垂直軸回り及び水平軸回りに回転可能にモニタ部を支持する支持部材の構成は上述の実施の形態に限定されず、モニタ部を垂直軸回り及び水平軸回りに回転可能に支持しうる構成であれば種々の構成が採用可能である。一例として、モニタ部を水平軸回りに回転可能に支持する支持部として、モニタ部の表示面を略上下方向に沿って支持しつつこのモニタ部を垂直軸回りに可動可能に支持する構成が挙げられる。また、モニタ部を支持部に水平軸回りに回動自在に取り付け、測定ヘッドの頂部又は支持部を、測定ヘッドの本体部に対して、垂直軸回りに回動自在に設ける構成も好適に採用可能である。さらに、支持部及びモニタ部を、測定ヘッドの本体部に対して着脱自在に構成してもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 眼科装置
2 ベース部(眼科装置本体)
3 測定ヘッド(眼科装置本体)
6 光学系
8 駆動機構・駆動回路
9 頂部
10 モニタ部
11 取付部
25 表示面
30 操作部
31 操作部本体
32 加速度センサ
33、34 スイッチ
34e 決定スイッチ
35 指示スイッチ
36 ジョイスティック(指示スイッチ)
55 本体通信部
56 操作入力部
56a 傾動検出部
56b 回転検出部
56c 動作指示部
57 駆動制御部
58 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17