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特開2023-38492収容物の保護機能を高めたフレキシブルコンテナバッグ
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  • 特開-収容物の保護機能を高めたフレキシブルコンテナバッグ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038492
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】収容物の保護機能を高めたフレキシブルコンテナバッグ
(51)【国際特許分類】
   B65D 88/22 20060101AFI20230310BHJP
   B65D 81/24 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
B65D88/22 A
B65D81/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145254
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】508282270
【氏名又は名称】有限会社栄和自動車
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(74)【代理人】
【識別番号】100217168
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】飯田 武
(72)【発明者】
【氏名】飯田 泰教
【テーマコード(参考)】
3E067
3E170
【Fターム(参考)】
3E067AA05
3E067AB99
3E067AC01
3E067BA12A
3E067BB05A
3E067BB14A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067CA05
3E067CA30
3E067DA03
3E067EE15
3E067FA01
3E067FC01
3E067GB15
3E170AA29
3E170AB13
3E170DA11
3E170MA10
3E170VA13
3E170VA20
(57)【要約】
【課題】 フレコンバッグに収容した収容物の除湿効果を高め、且つ脱臭効果をも発揮することができる新規なフレコンバッグの開発を技術課題としたものである。
【解決手段】 本発明のフレコンバッグ1は、合成樹脂繊維素材を織成して成るものであり、例えば本体バッグ11の外面に二酸化チタンコーティング2が施されていることを特徴とする。またこの二酸化チタンコーティング2に用いる二酸化チタン水溶液は、有機材料に対して非攻撃性のものであることが好ましい。更に、二酸化チタンコーティング2に用いる二酸化チタン水溶液は、密着促進用の二酸化チタン水溶液と、アッパーコーティング用の二酸化チタン水溶液とであることがより好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂繊維素材を織成したフレキシブルコンテナバッグであって、本体バッグが二酸化チタンコーティングされていることを特徴とする、収容物の保護機能を高めたフレキシブルコンテナバッグ。
【請求項2】
前記二酸化チタンコーティングは、本体バッグの外面に施されていることを特徴とする請求項1記載の、収容物の保護機能を高めたフレキシブルコンテナバッグ。
【請求項3】
前記二酸化チタンコーティングに用いる二酸化チタン水溶液は、有機材料に対して非攻撃性のものであることを特徴とする請求項1または2記載の、収容物の保護機能を高めたフレキシブルコンテナバッグ。
【請求項4】
前記二酸化チタンコーティングに用いる二酸化チタン水溶液は、密着促進用の二酸化チタン水溶液と、アッパーコーティング用の二酸化チタン水溶液とであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の、収容物の保護機能を高めたフレキシブルコンテナバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるフレコンバッグと称されるフレキシブルコンテナバッグの改良に関するものであって、特に収容した物品が外部環境に及ぼす悪影響を抑制することができる、収容物の保護機能を高めた新規なフレキシブルコンテナバッグに係るものである。
【背景技術】
【0002】
粉粒体等を収容するための袋やコンテナとしてフレキシブルコンテナバッグ(以下、「フレコンバッグ」と称する)が広く利用されている。このものは合成樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等の繊維素材が織成されたものであり、気密性は高くない。
【0003】
そして、このようなフレコンバッグに収容する物として、例えば鶏畜用飼料等が知られているが、これをフレコンバッグに収容した状態で、倉庫等に保管した場合、環境管理が極めて厳格に成されている倉庫以外では、室内空気、特に空気中の湿気等が収容物たる飼料等に悪影響を与えることは避けられない。
具体的には、飼料としての用途を阻むまでの本質的な変質は無いとしても、周囲に異臭を発生させたり、この異臭が倉庫内の他の収納物に付着したりする不都合がある。また、倉庫全体が異臭にまみれるといった不都合も生じさせてしまう。
更にまた、一度使用したフレコンバッグでも再利用したいという社会的ニーズは高いが、そのためには例えば使用済みのフレコンバッグを洗浄した後、天日干しすることがあったが、実際には残臭、すなわちフレコンバッグに付着した異臭が落とし切れず、止むなく廃棄することも多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-116504号公報
【特許文献2】特開2021-66122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような背景を考慮してなされたものであって、フレコンバッグに収容した収容物の除湿効果を高め、且つ脱臭効果をも発揮することができる、収容物の保護機能を高めた新規なフレコンバッグの開発を技術課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち請求項1記載の、収容物の保護機能を高めたフレキシブルコンテナバッグは、 合成樹脂繊維素材を織成したフレキシブルコンテナバッグであって、本体バッグが二酸化チタンコーティングされていることを特徴として成るものである。
【0007】
また請求項2記載の、収容物の保護機能を高めたフレキシブルコンテナバッグは、前記請求項1記載の要件に加え、
前記二酸化チタンコーティングは、本体バッグの外面に施されていることを特徴として成るものである。
【0008】
また請求項3記載の、収容物の保護機能を高めたフレキシブルコンテナバッグは、前記請求項1または2記載の要件に加え、
前記二酸化チタンコーティングに用いる二酸化チタン水溶液は、有機材料に対して非攻撃性のものであることを特徴として成るものである。
【0009】
また請求項4記載の、収容物の保護機能を高めたフレキシブルコンテナバッグは、前記請求項1から3のいずれか1項記載の要件に加え、
前記二酸化チタンコーティングに用いる二酸化チタン水溶液は、密着促進用の二酸化チタン水溶液と、アッパーコーティング用の二酸化チタン水溶液とであることを特徴として成るものである。
そして、これら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0010】
まず請求項1記載の発明によれば、フレコンバッグの本体バッグが二酸化チタンコーティングされているため、収容物の除湿・防カビ・脱臭等が図られ、収容物の保護を充分に達成することができる。すなわち、収容物をフレコンバッグに収めた状態で倉庫等に保管しておいても、収容物から異臭が放たれることを効果的に防止することができる。
また収容物の異臭がフレコンバッグに付着し難いため、一度使用したフレコンバッグでも再利用することができる。具体的には、例えば使用済みのフレコンバッグを天日干しすれば、かりに臭いが残っていたとしても、この残臭をほぼ除去することができ、更には天日干しによる殺菌効果によってフレコンバッグを清潔な状態に維持することができるため、再利用の可能性を格段に向上させることができる。
【0011】
また請求項2記載の発明によれば、本体バッグの外面に二酸化チタンコーティングを施すため、バッグ外面により均一に二酸化チタンコーティングを施すことができ(コーティングが施し易く)、上述した収容物の除湿・防カビ・脱臭等の効果を、より一層確実に達成することができる。
【0012】
また請求項3記載の発明によれば、二酸化チタンコーティングを施す二酸化チタン水溶液は、有機材料に対し非攻撃性のものであるため、本体バッグの素材を傷めることがなく(例えば溶解させてしまうことがなく)、本体バッグ自体に悪影響を及ぼすことがないものである。
【0013】
また請求項4記載の発明によれば、二酸化チタンコーティングを施す二酸化チタン水溶液は、密着促進用とアッパーコート(いわゆるトップコート)用とが併用されるため、本体バッグに対するチタンコーティングの密着安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のフレコンバッグの一実施例を示す斜視図、並びに本体バッグに施すチタンコーティングの様子を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の、収容物の保護機能を高めたフレキシブルコンテナバッグ(以下、「フレコンバッグ」と称する)は、形状自体、一般のフレコンバッグと変わるところはなく、繊維素材等によって織成された本体バッグを主要部材とし、このものに目的に応じた補強や荷役用スリング等を適宜具えて成る。そして、本発明では、この本体バッグの表面に二酸化チタンコーティングが施されている。
この二酸化チタンコーティングは、本体バッグの外面に施すことが好ましいが、内面に施しても構わないし、外面及び内面の両面に施しても構わない。
【0016】
また二酸化チタンコーティングに用いる二酸化チタン水溶液は、有機材料に対して非攻撃性のものを適用することが好ましい。
加えて、二酸化チタンコーティングは、異なる二酸化チタン水溶液を併用することが好ましく、まず本体バッグの表面に密着促進用の二酸化チタンコーティングを施し、次いでその上にアッパーコート(いわゆるトップコート)用の二酸化チタンコーティングを施すことが好ましい。
なお、本発明の形態は、これに限らず、本発明の技術思想の下で種々の改変が可能である。
【実施例0017】
以下、本発明を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。
符号1は、本発明たるフレコンバッグ(収容物の保護機能を高めたフレキシブルコンテナバッグ)であり、一例として図1に示すように、本体バッグ11に対し、適宜の荷役用スリング12等が設けられている。このようなフレコンバッグ1には、本体バッグ11の外面に二酸化チタンコーティング2が施されることが望ましい。
また、二酸化チタンコーティング2を形成する二酸化チタン水溶液は、有機材料に対し非攻撃性のものが選択され、合成樹脂素材等から職成される本体バッグ11を傷めてしまうことがなく(例えば溶解させてしまうことがなく)、本体バッグ11自体に悪影響を及ぼすことがないものである。
【0018】
また、二酸化チタン水溶液は、密着促進用の二酸化チタン水溶液と、アッパーコート(いわゆるトップコート)用の二酸化チタン水溶液とが併用され、各々の水溶液によって形成されるコーティング層を密着促進用コーティング21A、アッパーコート用コーティング21Bとする。なお、密着促進用コーティング21Aは、本体バッグ11の表面に直に形成されるコーティング層であり、いわゆるアンダーコートやベースコートに該当する。
【0019】
更に、二酸化チタンコーティング2、すなわち密着促進用コーティング21Aとアッパーコート用コーティング21Bとを形成する手法としては、いずれもスプレーガンによるスプレー塗装の手法が採り得る。この際、できる限りスプレーされる二酸化チタンの粒子は細かいことが望ましく、そのため光触媒専用のスプレーガン、例えばアネスト岩田LPH-50-S9-10を用いるものである。
また塗布量としては、例えばベースを形成する密着促進用コーティング21Aが一回吹き付けで計10g/m2 程度であり、トップを形成するアッパーコート用コーティング21Bが一回吹き付けで10g/m2 程度とする。
そして、このようなコーティングを行った後、約50~100時間程度の乾燥時間を経ると、二酸化チタンコーティング2が硬化し、本発明のフレコンバッグ1が得られる。
また、このようなフレコンバッグ1に飼料等の収容物Wを収容して倉庫に保管した場合、二酸化チタンコーティング2によって収容物Wから異臭が放たれることが効果的に防止される。このように収容物Wは、保管状態で、除湿・防カビ・脱臭等が図られ、充分に保護されるものである。
また本発明のフレコンバッグ1は、収容物Wの異臭が付着し難いため、例えば一度使用したフレコンバッグ1を天日干しするだけで、かりに臭いが残っていても、この残臭をほぼ除去することができ、更には天日干しによる殺菌効果によりフレコンバッグ1を清潔に維持することができるため、再利用の可能性を格段に向上させることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 フレコンバッグ(収容物の保護機能を高めたフレキシブルコンテナバッグ)
2 二酸化チタンコーティング
11 本体バッグ
12 荷役用スリング
21A 密着促進用コーティング
21B アッパーコート用コーティング
W 収容物
図1