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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038557
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】乗物用ランプ
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/39 20180101AFI20230310BHJP
   F21S 41/148 20180101ALI20230310BHJP
   F21S 41/29 20180101ALI20230310BHJP
   F21S 41/37 20180101ALI20230310BHJP
   F21S 45/40 20180101ALI20230310BHJP
   F21S 45/50 20180101ALI20230310BHJP
   F21S 41/33 20180101ALI20230310BHJP
   F21W 102/10 20180101ALN20230310BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230310BHJP
   F21W 107/13 20180101ALN20230310BHJP
【FI】
F21S41/39
F21S41/148
F21S41/29
F21S41/37
F21S45/40
F21S45/50
F21S41/33
F21W102:10
F21Y115:10
F21W107:13
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145349
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】柴山 拓也
(57)【要約】
【課題】小型化を図りつつ、十分な照射範囲を確保可能な乗物用ランプを提供する。
【解決手段】乗物用ランプ(10)は、乗物に取り付けられている。乗物用ランプには、表面(12)に光源(14)が設置されたベース部(11)と、光源から出射された光を反射するリフレクタ部(21)と、リフレクタ部からの反射光を透過するレンズ部(31)と、が設けられている。ベース部の表面にリフレクタ部及びレンズ部が設置されて灯室(39)が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物に取り付けられた乗物用ランプであって、
表面に光源が設置されたベース部と、
前記光源から出射された光を反射するリフレクタ部と、
前記リフレクタ部からの反射光を透過するレンズ部と、を備え、
前記ベース部の表面に前記リフレクタ部及び前記レンズ部が設置されて灯室が形成されていることを特徴とする乗物用ランプ。
【請求項2】
前記リフレクタ部と前記レンズ部は透光性部材によって一体に成形されており、
前記リフレクタ部は、前記透光性部材の内面に金属膜が積層され、前記透光性部材の外面に遮光膜が積層されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用ランプ。
【請求項3】
前記リフレクタ部と前記レンズ部は別体に成形されており、
前記リフレクタ部と前記レンズ部の合わせ面が溶着されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用ランプ。
【請求項4】
前記リフレクタ部には前記ベース部の表面に向けて突き出した第1の凸部が形成され、
前記レンズ部には前記ベース部の表面に向けて突き出した第2の凸部が形成され、
前記ベース部の表面には前記第1の凸部及び前記第2の凸部を受け入れる凹部が形成され、前記第1の凸部及び前記第2の凸部が前記凹部に接着されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の乗物用ランプ。
【請求項5】
前記ベース部がヒートシンクとしても機能することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の乗物用ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用ランプとして、ハウジングの開口縁にアウターレンズの外縁が接着されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の乗物用ランプでは、ハウジングとアウターレンズによって灯室が形成され、灯室にリフレクタとLED(Light Emitting Diode)が設置されている。ハウジングの開口縁や接着剤が非透光性の材料であるため、LEDの発光時にハウジングの開口縁が黒縁状に目立たないように、リフレクタからの反射光がハウジングとアウターレンズの接着部分に照射されて乗物用ランプの美観が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-069860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の乗物用ランプはハウジングの内側に隙間を空けてリフレクタを設置する必要があり、ランプを小型化しつつ照射範囲を確保する際の障害になっていた。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、小型化を図りつつ、十分な照射範囲を確保することができる乗物用ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の乗物用ランプは、乗物に取り付けられた乗物用ランプであって、表面に光源が設置されたベース部と、前記光源から出射された光を反射するリフレクタ部と、前記リフレクタ部からの反射光を透過するレンズ部と、を備え、前記ベース部の表面に前記リフレクタ部及び前記レンズ部が設置されて灯室が形成されていることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の乗物用ランプによれば、リフレクタ部がハウジングを兼ねているため、リフレクタ部を覆うハウジングが不要になって乗物用ランプの小型化を図ることができる。ベース部の表面にリフレクタ部及びレンズ部が設置されることで、リフレクタ部及びレンズ部によって灯室が形成される。よって、乗物用ランプの小型化を図りつつ、十分な照射範囲を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施例の乗物用ランプの断面図である。
図2】第2実施例の乗物用ランプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様の乗物用ランプでは、ベース部の表面に光源が設置され、ベース部の表面にリフレクタ部及びレンズ部が設置されて灯室が形成されている。リフレクタ部によって光源から出射された光が反射され、レンズ部によってリフレクタ部からの反射光が透過される。リフレクタ部がハウジングを兼ねているため、リフレクタ部を覆うハウジングが不要になって乗物用ランプの小型化を図ることができる。ベース部の表面にリフレクタ部及びレンズ部が設置されることで、リフレクタ部及びレンズ部によって灯室が形成される。よって、乗物用ランプの小型化を図りつつ、十分な照射範囲を確保することができる。
【実施例0010】
<第1実施例>
以下、添付図面を参照して、第1実施例の乗物用ランプについて説明する。図1は第1実施例の乗物用ランプの断面図である。
【0011】
図1に示すように、乗物用ランプ10は、鞍乗型車両用のヘッドライトであり、車体フレーム(不図示)にランプブレース(不図示)等を介して取り付けられている。乗物用ランプ10は、板状のベース部11の表面12にドーム状の透光性部材20を取り付けて構成されている。ベース部11の表面12には回路基板13が設置されており、回路基板13上には光源としてのLED14が設置されている。透光性部材20の後面側はLED14から出射された光を反射するリフレクタ部21になっており、透光性部材20の前面側はリフレクタ部21からの反射光を透過するレンズ部31になっている。
【0012】
ベース部11は乗物用ランプ10の上壁を形成している。ベース部11の表面12(下面)の略中央に回路基板13を介してLED14が設置され、LED14の前方にはLED14からレンズ部31への直接光を遮るシェード15がネジ止めされている。ベース部11の表面12にはLED14及びシェード15を囲むように環状の凹部16が形成されている。凹部16の径方向外側にはフランジ部17が広がっており、フランジ部17にはネジ穴18が形成されている。ベース部11はアルミダイキャストで形成されており、LED14で生じた熱を放熱するヒートシンクとしても機能している。
【0013】
透光性部材20の前壁はベース部11の表面12から下方に広がっており、透光性部材20の後壁は前壁の下端から後斜め上方に半ドーム状に広がっている。この透光性部材20の後壁の内面に金属膜22が積層され、透光性部材20の後壁の外面に遮光膜23が積層されることで、透光性部材20の後壁にリフレクタ部21が形成されている。透光性部材20の前壁を除いて金属膜22及び遮光膜23が積層され、透光性部材20の前壁が外部に露出されることでレンズ部31が形成されている。このように、リフレクタ部21及びレンズ部31はドーム状の透光性部材20によって一体に成形されている。
【0014】
リフレクタ部21の金属膜22は、アルミ蒸着メッキによって透光性部材20の後壁に積層されている。リフレクタ部21の内面とレンズ部31の内面の境目に段差24が形成されており、レンズ部31に金属膜22が積層されないように、段差24よりもレンズ部31側がマスキングされた状態で透光性部材20の後壁にアルミ蒸着メッキが施されている。これにより、アルミ蒸着メッキの作業性が向上される。リフレクタ部21の遮光膜23は、黒色塗料の塗装によって透光性部材20の後壁を挟んで金属膜22の逆側に積層されている。リフレクタ部21には金属膜22によって反射面が形成され、反射面によってLED14からの出射光がレンズ部31に向けて反射される。
【0015】
リフレクタ部21の反射面には断面視アーチ状の複数の凹面が含まれている。複数の凹面の形状及び個数は、LED14の上方からの出射光を前方に向けて反射するように光学的に設計されている。ベース部11の表面12のLED14から下方に光が出射されると、リフレクタ部21の反射面で出射光が前方に反射されて、レンズ部31を反射光が透過して外部に出射される。このとき、乗物用ランプ10の眩しさを抑えるように、LED14からの直接光がシェード15によって部分的に遮光されており、LED14の直接光がレンズ部31から外部に出射されることが防止されている。
【0016】
上記したように、ベース部11はヒートシンクとして機能するためにアルミダイキャストによって形成されている。アルミダイキャストでは樹脂成形のような十分な弾性が得られないため、ベース部11に対して爪やランス等の機械的な取付構造を採用しても、ベース部11にリフレクタ部21及びレンズ部31を取り付けることができない。このため、ベース部11の表面12に形成された環状の凹部16にホットメルト等の接着剤38が充填され、凹部16に受け止められた接着剤38を介してリフレクタ部21及びレンズ部31がベース部11の表面12に取り付けられている。
【0017】
リフレクタ部21の上縁部には上方に向けて突き出した第1の凸部25が形成されており、レンズ部31の上縁部には上方に向けて突き出した第2の凸部32が形成されている。第1の凸部25及び第2の凸部32は、上記したベース部11の表面12の凹部16に受け入れられるように凹部16よりも薄幅に形成されている。リフレクタ部21の上縁部から外方にフランジ部26が広がっており、フランジ部26にはネジ止め用の貫通穴27が形成されている。レンズ部31の上縁部から前方にフランジ部33が広がっており、フランジ部33にはネジ止め用の貫通穴34が形成されている。
【0018】
リフレクタ部21の第1の凸部25及びレンズ部31の第2の凸部32がベース部11の凹部16に入り込み、接着剤38によって第1の凸部25及び第2の凸部32が凹部16に接着されている。このとき、リフレクタ部21とベース部11に隙間が空かないように、リフレクタ部21の貫通穴27を通じてスクリュー28がベース部11のネジ穴18に締め付けられる。同様に、レンズ部31とベース部11に隙間が空かないように、レンズ部31の貫通穴34を通じてスクリュー35がベース部11のネジ穴18に締め付けられる。このようにして、ベース部11の表面12にリフレクタ部21及びレンズ部31が設置されて灯室39が形成されている。
【0019】
上記したように、第1の凸部25がリフレクタ部21から上方に突き出し、第2の凸部32がレンズ部31から上方に突き出し、凹部16がベース部11の表面12から上方に窪んでいる。このため、リフレクタ部21及びレンズ部31となる透光性部材20が上下抜きの金型(不図示)によって成形可能であり、ベース部11が上下抜きの金型(不図示)によって成形可能になっている。このため、透光性部材20及びベース部11の成形時にスライドコアが不要になって乗物用ランプ10の製造コストを低減することができる。リフレクタ部21及びレンズ部31が一体に成形されることで部品点数も削減されている。
【0020】
ベース部11とリフレクタ部21が乗物用ランプ10のハウジングを兼ねている。このため、ハウジング内にリフレクタ部を設置する一般的な構成と比べてランプサイズを小さくできる。リフレクタ部21には黒色の遮光膜23が積層されているが、リフレクタ部21がカウル(不図示)によって側方から覆われることで鞍乗型車両の美観が確保される。また、リフレクタ部21の第1の凸部25とベース部11の凹部16の隙間、レンズ部31の第2の凸部32とベース部11の凹部16の隙間がそれぞれ接着剤38に封止されることで乗物用ランプ10の防水性が確保されている。
【0021】
以上、第1実施例によれば、リフレクタ部21が乗物用ランプ10のハウジングを兼ねているため、リフレクタ部21を覆うハウジングが不要になって乗物用ランプ10の小型化を図ることができる。ベース部11の表面12にリフレクタ部21及びレンズ部31が設置されることで、リフレクタ部21及びレンズ部31によって灯室39が形成される。よって、乗物用ランプ10の小型化を図りつつ、十分な照射範囲を確保することができる。
【0022】
<第2実施例>
以下、添付図面を参照して、第2実施例の乗物用ランプについて説明する。図2は第2実施例の乗物用ランプの断面図である。
【0023】
図2に示すように、第2実施例の乗物用ランプ40は、鞍乗型車両用のヘッドライトであり、車体フレーム(不図示)にランプブレース(不図示)等を介して取り付けられている。乗物用ランプ40は、板状のベース部41の表面42にリフレクタ部51及びレンズ部61を取り付けて構成されている。ベース部41の表面42には回路基板43が設置されており、回路基板43上には光源としてのLED44が設置されている。リフレクタ部51によってLED44から出射された光が前方に反射され、レンズ部61ではリフレクタ部51からの反射光が透過されて外部に出射される。
【0024】
ベース部41は乗物用ランプ40の上壁を形成している。ベース部41の表面42(下面)の略中央に回路基板43を介してLED44が設置され、LED44の前方にはLED44からレンズ部61への直接光を遮るシェード45がネジ止めされている。ベース部41の表面42にはLED44及びシェード45を囲むように環状の凹部46が形成されている。凹部46の径方向外側にはフランジ部47が広がっており、フランジ部47にはネジ穴48が形成されている。ベース部41はアルミダイキャストで形成されており、LED44で生じた熱を放熱するヒートシンクとしても機能している。
【0025】
リフレクタ部51は非透光性の樹脂材料によってベース部41の後側を覆う半ドーム状に形成されている。リフレクタ部51の内面にはアルミ蒸着メッキによって金属膜52が積層され、この金属膜52によってリフレクタ部51の反射面が形成されている。リフレクタ部51の反射面は、LED44の上方からの出射光を前方に向けて反射するように光学的に設計されている。レンズ部61は透光性の樹脂材料によってベース部41の前側を覆う半ドーム状に形成されている。このように、第2実施例の乗物用ランプ40では、リフレクタ部51とレンズ部61が別体に成形されている。
【0026】
リフレクタ部51の前縁部とレンズ部61の後縁部が溶着されることでベース部41の表面42にドーム状の部材が形成されている。リフレクタ部51の前縁部は溶着代を広げるように外方に張り出し、レンズ部61の後縁部も溶着代を広げるように外方に張り出している。このリフレクタ部51の前縁部とレンズ部61の後縁部の合わせ面59が溶着されている。リフレクタ部51とレンズ部61が別体に成形されるため、金型からリフレクタ部51及びレンズ部61を抜き出すときのアンダーカットを無くすことができ、金型の抜き方向の制約によってデザイン性が低下することがない。また、アルミ蒸着メッキをリフレクタ部51に施す際にレンズ部61のマスキングが不要になる。
【0027】
リフレクタ部51の上縁部には上方に向けて突き出した第1の凸部53が形成されており、レンズ部61の上縁部には上方に向けて突き出した第2の凸部63が形成されている。第1の凸部53及び第2の凸部63は、上記したベース部41の表面42の凹部46に受け入れられるように凹部46よりも薄幅に形成されている。リフレクタ部51の上縁部から外方にフランジ部54が広がっており、フランジ部54にはネジ止め用の貫通穴55が形成されている。レンズ部61の上縁部から前方にフランジ部64が広がっており、フランジ部64にはネジ止め用の貫通穴65が形成されている。
【0028】
リフレクタ部51の第1の凸部53及びレンズ部61の第2の凸部63がベース部41の凹部46に入り込み、ホットメルト等の接着剤68によって第1の凸部53及び第2の凸部63が凹部46に接着されている。このとき、リフレクタ部51とベース部41に隙間が空かないように、リフレクタ部51の貫通穴55を通じてスクリュー56がベース部41のネジ穴48に締め付けられる。同様に、レンズ部61とベース部41に隙間が空かないように、レンズ部61の貫通穴65を通じてスクリュー66がベース部41のネジ穴48に締め付けられる。このようにして、ベース部41の表面42にリフレクタ部51及びレンズ部61が設置されて灯室69が形成されている。
【0029】
上記したように、半ドーム状のリフレクタ部51とレンズ部61が別体に成形されている。リフレクタ部51及びレンズ部61は前後抜きの金型(不図示)で成形されているが、リフレクタ部51及びレンズ部61は上下抜きの金型(不図示)でも成形可能である。リフレクタ部51及びレンズ部61の成形時の金型の抜き方向の制約が無くなって、乗物用ランプ40の製造コストを低減しつつデザインの自由度が確保される。よって、本実施例のようなドーム状のデザインの乗物用ランプ40に限らず、様々なデザインの乗物用ランプを製造することができる。
【0030】
第1実施例と同様に、ヒートシンクとしてのベース部41とリフレクタ部51が乗物用ランプ40のハウジングを兼ねている。このため、ハウジング内にリフレクタ部を設置する一般的な構成と比べてランプサイズを小さくできる。リフレクタ部が非透光性の樹脂材料で形成されているが、リフレクタ部51がカウル(不図示)に覆われることで鞍乗型車両の美観が確保される。また、リフレクタ部51の第1の凸部53とベース部41の凹部46の隙間、レンズ部61の第2の凸部63とベース部41の凹部46の隙間がそれぞれ接着剤68に封止されることで防水性が確保されている。
【0031】
以上、第2実施例の乗物用ランプ40のように、リフレクタ部51とレンズ部61を別体に成形しても、乗物用ランプ40の小型化を図りつつ、十分な照射範囲を確保することができる。
【0032】
なお、第1実施例ではリフレクタ部が半ドーム状、レンズ部が平板状に成形され、第2実施例ではリフレクタ部及びレンズ部が半ドーム状に形成されたが、リフレクタ部及びレンズ部の形状は特に限定されない。リフレクタ部は光源から出射された光を反射可能な形状、レンズ部はリフレクタ部からの反射光を透過可能な形状に形成されていればよい。
【0033】
また、第1、第2実施例ではベース部がアルミダイキャストで形成されてヒートシンクとして機能しているが、ベース部とは別体にヒートシンクが成形されていてもよい。ベース部が樹脂成形されてもよく、ベース部に対してリフレクタ部及びレンズ部が機械的な構造で取り付けられてもよい。
【0034】
また、第1、第2実施例では光源としてLEDを例示したが、光源はベース部の表面に設置可能であれば、どのように構成されていてもよい。
【0035】
また、第1、第2実施例ではリフレクタ部に第1の凸部、レンズ部に第2の凸部、ベース部に凹部が形成されたが、リフレクタ部に第1の凹部、レンズ部に第2の凹部、ベース部に第1、第2の凹部に入り込む凸部が形成されてもよい。また、リフレクタ部及びレンズ部はベース部に取付可能に成形されていればよい。
【0036】
また、第1、第2実施例ではベース部の表面を下に向けた状態で、ベース部の表面にリフレクタ部及びレンズ部が取り付けられたが、ベース部の表面は上向きや横向きにされてもよい。
【0037】
また、第1、第2実施例では乗物用ランプとしてヘッドランプを例示したが、リヤランプやウインカ等の他のランプにも乗物用ランプの構造が適用可能である。
【0038】
また、第1、第2実施例の乗物用ランプは、鞍乗型車両に限らず、四輪車や水上バイク等の他の乗物に採用されてもよい。また、鞍乗型車両とは、ライダーがシートに跨った姿勢で乗車する車両全般に限定されず、ライダーがシートに跨らずに乗車するスクータタイプの車両も含んでいる。
【0039】
以上の通り、本実施例の乗物用ランプ(10、40)は、乗物に取り付けられた乗物用ランプであって、表面(12、42)に光源(LED14、44)が設置されたベース部(11、41)と、光源から出射された光を反射するリフレクタ部(21、51)と、リフレクタ部からの反射光を透過するレンズ部(31、61)と、を備え、ベース部の表面にリフレクタ部及びレンズ部が設置されて灯室(39、69)が形成されている。この構成によれば、リフレクタ部がハウジングを兼ねているため、リフレクタ部を覆うハウジングが不要になって乗物用ランプの小型化を図ることができる。ベース部の表面にリフレクタ部及びレンズ部が設置されることで、リフレクタ部の反射面及びレンズ部の入射面によって灯室が形成される。よって、乗物用ランプの小型化を図りつつ、十分な照射範囲を確保することができる。
【0040】
また、本実施例の乗物用ランプにおいて、リフレクタ部(21)とレンズ部(31)は透光性部材(20)によって一体に成形されており、リフレクタ部は、透光性部材の内面に金属膜(22)が積層され、透光性部材の外面に遮光膜(23)が積層されている。この構成によれば、リフレクタ部とレンズ部が一体に成形されることで、部品点数を低減することができる。
【0041】
また、本実施例の乗物用ランプにおいて、リフレクタ部(51)とレンズ部(61)は別体に成形されており、リフレクタ部とレンズ部の合わせ面(59)が溶着されている。この構成によれば、リフレクタ部とレンズ部が別体に成形されることで、成形時の金型の抜き方向の制約が無くなって、製造コストを低減しつつデザインの自由度を確保できる。
【0042】
また、本実施例の乗物用ランプにおいて、リフレクタ部にはベース部の表面に向けて突き出した第1の凸部(25、53)が形成され、レンズ部にはベース部の表面に向けて突き出した第2の凸部(32、63)が形成され、ベース部の表面には第1の凸部及び第2の凸部を受け入れる凹部(16、46)が形成され、第1の凸部及び第2の凸部が凹部に接着されている。この構成によれば、成形時に第1、第2の凸部の突出方向に金型を抜くことでスライドコアを不要とすることができる。
【0043】
また、本実施例の乗物用ランプにおいて、ベース部がヒートシンクとしても機能する。この構成によれば、ヒートシンクの表面にリフレクタ部とレンズ部によって灯室を形成して、乗物用ランプの小型化を図りつつ部品点数を低減できる。
【0044】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0045】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0046】
10、40:乗物用ランプ
11、41:ベース部
12、42:表面
14、44:LED(光源)
16、46:凹部
21、51:リフレクタ部
25、53:第1の凸部
31、61:レンズ部
32、63:第2の凸部
39、69:灯室
20:透光性部材
22:金属膜
23:遮光膜
59:合わせ面
69:灯室
図1
図2