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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039654
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】車両のフロア部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
B62D25/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146886
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】池田 英人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼宮 勲
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB06
3D203BB08
3D203BB12
3D203BB22
3D203CA25
3D203CB04
3D203CB19
3D203DA20
3D203DA51
(57)【要約】
【課題】側突性能を維持しつつ、サイドシルとフロアクロスメンバとの間にケーブルを容易に組み付けすることを可能にする。
【解決手段】フロアパネル1の上面には、サイドシル15とフロアトンネル10を繋ぎ、車両上方に突出する凸形状の横断面形状を有するフロアクロスメンバ20が設けられ、フロアクロスメンバ20の端部にブラケット30が設けらる。外側シートブラケット30のブラケット前壁部32には前側開口部32aが設けられ、ブラケット後壁部33には後側開口部33aが設けられ、前側開口部32aの開口面積は、後側開口部33aの開口面積よりも大きく設定されており、ケーブルは、凸形状の上部に沿って、前側開口部32a及び後側開口部33aを貫通している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のフロア部に配置されているフロアパネルと、前記フロアパネルの車幅方向外側に設けられ、車両前後方向に延びるサイドシルと、前記サイドシルの車幅方向内側に配索されるケーブルと、を備えている、車両のフロア部構造において、
前記フロアパネルの上面には、車幅方向に延びるクロスメンバが設けられ、該クロスメンバの端部は、前記サイドシルに接合され、
前記クロスメンバの車幅方向端部には、ブラケットが設けられ、該ブラケットの前壁部には前側開口部が設けられ、前記ブラケットの後壁部には後側開口部が設けられ、前記前側開口部の開口面積は、前記後側開口部の開口面積よりも大きく設定されており、
前記ケーブルは、前記クロスメンバの外表面に沿うように配置され、前記前側開口部及び前記後側開口部を貫通していることを特徴とする、車両のフロア部構造。
【請求項2】
車幅方向外側に位置する前記ブラケットは、前記サイドシルに接合され、
前記前側開口部及び前記後側開口部のそれぞれの車幅方向外側の縁部は、前記サイドシルに対向しており、
前記クロスメンバの上端は、前記前側開口部の上端よりも車両下方側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の車両のフロア部構造。
【請求項3】
前記サイドシルは、車両上方を臨む天面部と、該天面部の車幅方向内側端に設けられた内側壁部とを有し、前記天面部と前記内側壁部とにより角部が形成されており、
前記ブラケットは、前記角部を跨いだ状態で、前記天面部及び前記内側壁部に接合され、
前記前側開口部の上端における車幅方向内側部は、車両下方に湾曲していることを特徴とする、請求項2に記載の車両のフロア部構造。
【請求項4】
前記後側開口部の上端は、前記前側開口部の上端よりも車両下方側に配置され、前記クロスメンバの上端よりも車両上方側に配置されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の車両のフロア部構造。
【請求項5】
前記クロスメンバが前記フロアパネル及び前記サイドシルに接合される位置は、前記ブラケットが前記サイドシルに接合される位置よりも車両前方側に配置されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の車両のフロア部構造。
【請求項6】
前記クロスメンバの前部には、車両前方に向かうに従い車両下方に傾斜する前側傾斜壁部が設けられ、該前側傾斜壁部の車両下方には、車両前方に突出し車幅方向に延びるメンバフランジ部が設けられ、該メンバフランジ部は、前記フロアパネルに接合されており、
前記メンバフランジ部の前端は、前記前側開口部よりも車両前方に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の車両のフロア部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロア部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体のフロア部を構成するフロアパネルには、フロアパネルの上面が隆起した状態で車両前後方向に延びるフロアトンネルが設けられ、フロアパネルの車幅方向の両側部には、車両前後方向に延びるサイドシルが設けられている。このような構造において、例えば、特許文献1に開示されているように、サイドシルとフロアトンネルとの間のフロアパネルの上面に、車幅方向に延びるフロアクロスメンバが設けられている構造が知られている。
【0003】
この例では、サイドシルと、フロアクロスメンバの車幅方向外側部は、互いに間隔を空けて配置されており、当該間隔には、結合部材が設けられている。当該結合部材は、サイドシルの側面と、フロアクロスメンバの外側部とを繋ぐように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-228482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記例のように、フロアクロスメンバとサイドシルとが間隔を空けて配置されるような構造では、一般に、当該間隔に、ケーブル類を挿通させている。これにより、後部シートに着座する乗員の足を置く場所に、凹凸物が配置されないようにしている。
【0006】
しかし、フロアクロスメンバとサイドシルとが間隔を空けて配置されると、例えば側突のような車幅方向外側からの衝撃荷重に対して、所定の剛性を確保することが困難になる可能性がある。すなわち、当該間隔を設けることにより、ケーブル類を配置しやすくなるのに対し、いわゆる側突性能を確保しにくくなる可能性がある。そのため、ケーブル類の組付け性の向上と、側突性能を両立させる上で、上記例のような構造には、改善の余地があった。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、側突性能を維持しつつ、サイドシルとフロアクロスメンバとの間にケーブルを容易に組み付けることが可能な車両のフロア部構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る車両のフロア部構造は、車体のフロア部に配置されているフロアパネルと、前記フロアパネルの車幅方向外側に設けられ、車両前後方向に延びるサイドシルと、前記サイドシルの車幅方向内側に配索されるケーブルと、を備えている。当該車両のフロア部構造において、前記フロアパネルの上面には、車幅方向に延びるクロスメンバが設けられ、該クロスメンバの端部は、前記サイドシルに接合され、
前記クロスメンバの車幅方向端部には、ブラケットが設けられ、該ブラケットの前壁部には前側開口部が設けられ、前記ブラケットの後壁部には後側開口部が設けられ、前記前側開口部の開口面積は、前記後側開口部の開口面積よりも大きく設定されており、前記ケーブルは、前記クロスメンバの外表面に沿うように配置され、前記前側開口部及び前記後側開口部を貫通している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、側突性能を維持しつつ、サイドシルとフロアクロスメンバとの間にケーブルを容易に組み付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る車両のフロア部構造の一実施形態を示す斜視図である。
図2図1の外側シートブラケット及びその周辺を拡大して示す上面図である。
図3図2の外側シートブラケットを車両前方側から見た斜視図である。
図4図3のA-A矢視の概略断面図である。
図5図3のB-B矢視の概略断面図である。
図6図1の第1のフロアクロスメンバの単体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る車両の車体フロア部構造の一実施形態について、図面(図1図6)を参照しながら説明する。なお、図において、矢印Fr方向は車両前後方向における前方を示す。実施形態の説明における「前部(前端)及び後部(後端)」は、車両前後方向における前部及び後部に対応する。また、矢印R及び矢印Lは、乗員が車両前方を見たときの右側及び左側を示している。
【0012】
本実施形態の車体フロア部構造は、図1図3に示すように、フロアパネル1と、フロアトンネル10と、サイドシル15と、第1のフロアクロスメンバ(クロスメンバ)20と、第2のフロアクロスメンバ29と、フロアサイドメンバ14と、外側シートブラケット(ブラケット)30と、内側シートブラケット38と、有し、サイドシル15の車幅方向内側は、ケーブル40が配索されている。
【0013】
フロアパネル1は、車体のフロア部に配置されているパネル材である。この例のフロアパネル1は、フロアトンネル10の左右にそれぞれ配置されている。左右のフロアパネル1のそれぞれは、ダッシュパネル2の下端から車両後方に向かって延びている。
【0014】
フロアトンネル10は、図1図3に示すように、フロアパネル1の上面から車両上方に隆起した状態で車両前後方向に延びている部材である。フロアトンネル10は、車両前後方向に延びるトンネル上面部11と、該トンネル上面部11の左右端に設けられ、車両前後方向に延びるトンネル側壁部12と、を有している。トンネル側壁部12は、トンネル上面部11の車幅方向外側端から車両下方に向かうに従い車幅方向外側に傾斜し、トンネル側壁部12の下端は、フロアパネル1の車幅方向内側端に接合されている。この例では、トンネル側壁部12の下端に、車幅方向に突出するフランジが設けられ、該フランジがフロアパネル1の車幅方向内側端に、スポット溶接により接合されている。
【0015】
サイドシル15は、図2及び図3に示すように、フロアパネル1の車幅方向外側端に設けられ、車両前後方向に延びる部材である。サイドシル15は、図示による詳細な説明は省略するが、車両前後方向に延びる内側部材16と、車両前後方向に延びる外側部材と、を有している。
【0016】
内側部材16は、図2及び図3に示すように、車幅方向内側を臨む内側壁部16aと、該内側壁部16aの上端から車幅方向外側に延びる上面部(天面部)16bと、上面部16bの車幅方向外側端から車両上方に突出するフランジ部16cと、有している。外側部材は、内側部材16の車幅方向外側に配置されており、外側壁部と、該外側壁部の上端から車幅方向内側に延びる上面部と、該上面部の車幅方向内側端から車両上方に突出するフランジ部とを有している。
【0017】
内側部材16のフランジ部16cと外側部材のフランジ部は、スポット溶接等のより接合されている。サイドシル15の下部の構造についての説明は省略する。
【0018】
続いて、第1のフロアクロスメンバ20について説明する。第1のフロアクロスメンバ20は、図1図2及び図5に示すように、車幅方向に直線的に延びる部材で、フロアパネル1の上面に設けられている。この例では、第1のフロアクロスメンバ20の下部に設けられた複数のフランジが、フロアパネル1の上面にスポット溶接等により接合されている。フランジ等の接合部については、後で説明する。また、第1のフロアクロスメンバ20の一方端はサイドシル15に接合され、他方端はフロアトンネル10に接合されている。この例では、第1のフロアクロスメンバ20の車幅方向外側端部は、サイドシル15の内側部材16の内側壁部16aにスポット溶接等により接合され、第1のフロアクロスメンバ20の車幅方向内側端部は、フロアトンネル10のトンネル側壁部12にスポット溶接等により接合されている。
【0019】
第1のフロアクロスメンバ20は、全体で車幅方向に延びる部材であり、車両上方に突出する凸形状の横断面形状を有している。第1のフロアクロスメンバ20は、図2に示すように、凸形状の上部に位置するメンバ上面部21と、凸形状の前部に位置するメンバ前部22と、凸形状の後部に位置するメンバ後部25と、を有している。第1のフロアクロスメンバ20の詳細については、後で説明する。
【0020】
続いて、外側シートブラケット30及び内側シートブラケット38について説明する。外側シートブラケット30及び内側シートブラケット38は、図2図5に示すように、車両用シートを設置するための部材で、例えば、車両用シートを車両前後方向にスライドさせるためのスライド部材(図示せず)が固定される。本実施形態の外側シートブラケット30は、四角形の上面部と、これを囲う4つの側壁部を有する箱状の部材で、第1のフロアクロスメンバ20の車幅方向外側に設けられている。
【0021】
以下、外側シートブラケット30の形状について説明する。図2に示すように、外側シートブラケット30は、ブラケット上面部31と、ブラケット前壁部32と、ブラケット後壁部33と、ブラケット内側壁部34と、ブラケット外側壁部35と、を有している。
【0022】
ブラケット上面部31は、図2及び図3に示すように、外側シートブラケット30の上部に位置し、車両上方を臨む略四角形状の平面を有している。ブラケット上面部31には、例えば、シートレール等を設置するため貫通孔等が設けられている。
【0023】
ブラケット前壁部32は、図2及び図3に示すように、車両前方を臨む壁部であり、ブラケット上面部31の前端(前辺)から車両下方に向かうに従い車両前方に傾斜している。また、ブラケット前壁部32には、ケーブル40等が挿通可能な前側開口部32aが設けられている。前側開口部32aは、ブラケット前壁部32の車幅方向外側及び下部が切り欠かれることにより形成されている。また、前側開口部32aの開口縁は、湾曲形状W(図3の破線Wで示す部分)を有し、サイドシル15まで延びており、開口縁には、車両前方に突出する突出縁部32eが設けられている。また、ブラケット前壁部32には、前側ブラケットフランジ部32b及び前外側ブラケットフランジ部32cが設けられている。
【0024】
前側ブラケットフランジ部32bは、図3及び図5に示すように、前側開口部32aの下縁の車幅方向内側で、ブラケット前壁部32の下端における車幅方向内側部から車両前方に突出している。前側ブラケットフランジ部32bは、第1のフロアクロスメンバ20の前下側メンバフランジ部23における下段部23gに、スポット溶接等により接合されている。前下側メンバフランジ部23については、後で説明する。前外側ブラケットフランジ部32cは、前側開口部32aの上縁の車幅方向外側で、ブラケット前壁部32の車幅方向外側端から車両前方に突出している。前外側ブラケットフランジ部32cは、車幅方向外側を臨む面を有し、当該面がスポット溶接等によりサイドシル15の内側部材16の内側壁部16aに接合されている。
【0025】
ブラケット後壁部33は、図2及び図5に示すように、車両後方を臨む壁部であり、ブラケット上面部31の後端(後辺)から車両下方に向かうに従い車両後方に傾斜している。また、ブラケット後壁部33には、ケーブル40等が挿通可能な後側開口部33aが設けられている。後側開口部33aは、ブラケット後壁部33の車幅方向外側及び下部が切り欠かれることにより形成されている。また、ブラケット後壁部33には、後側ブラケットフランジ部33b及び後外側ブラケットフランジ部33cが設けられている。
【0026】
後側ブラケットフランジ部33bは、図3及び図5に示すように、後側開口部33aの下縁の車幅方向内側で、ブラケット後壁部33の下端における車幅方向内側部から車両後方に突出している。後側ブラケットフランジ部33bは、第1のフロアクロスメンバ20の後部に位置する後下側メンバフランジ部26における下段部23gに、スポット溶接等により接合されている。後下側メンバフランジ部26については、後で説明する。後外側ブラケットフランジ部33cは、後側開口部33aの上縁の車幅方向外側で、ブラケット後壁部33の車幅方向外側端から車両後方に突出している。後外側ブラケットフランジ部33cは、前外側ブラケットフランジ部32cと同様に、車幅方向外側を臨む面を有し、当該面がスポット溶接等によりサイドシル15の内側部材16の内側壁部16aに接合されている。
【0027】
ブラケット内側壁部34は、図2及び図3に示すように、車幅方向内側を臨む壁部であり、ブラケット上面部31の車幅方向内側端から車両下方に向かうに従い車幅方向内側に傾斜している。また、ブラケット内側壁部34の前端は、ブラケット前壁部32の車幅方向内側端に接続され、角部を形成し、ブラケット内側壁部34の後端は、ブラケット後壁部33の車幅方向内側端に接続され、角部を形成している。また、ブラケット内側壁部34には、内側ブラケットフランジ部34aが設けられている。内側ブラケットフランジ部34aは、ブラケット内側壁部34の下端における車両前後方向の中間部から車幅方向内側に突出しており、第1のフロアクロスメンバ20のメンバ上面部21にスポット溶接等により接合されている。この例では、内側ブラケットフランジ部34aは、後述する幅方向外側ビード部21dの車幅方向内側部に重なった状態で、メンバ上面部21に接合されている。
【0028】
ブラケット外側壁部35は、図3に示すように、車幅方向外側を臨む壁部であり、ブラケット上面部31の車幅方向外側端から車両下方に向かうに従い車幅方向内側に傾斜している。また、ブラケット外側壁部35の前端は、ブラケット前壁部32の車幅方向外側端に接続され、角部を形成し、ブラケット外側壁部35の後端は、ブラケット後壁部33の車幅方向外側端に接続され、角部を形成している。また、ブラケット外側壁部35には、上外側ブラケットフランジ部35aが設けられている。上外側ブラケットフランジ部35aは、ブラケット外側壁部35の下端から車幅方向外側に突出しており、サイドシル15の内側部材16の上面部16bにスポット溶接等により接合されている。
【0029】
また、本実施形態では、前側開口部32aの車幅方向長さ(図3に示す前側開口幅L32)と後側開口部33aの車幅方向長さ(図3に示す後側開口幅幅L33)を有し、前側開口幅L32は後側開口幅L33よりも長く設定されている。さらに、本実施形態では、前側開口部32aの開口面積は、後側開口部33aの開口面積よりも大きく設定されている。また、サイドシル15の車幅方向内側に配索されるケーブル40等が、第1のフロアクロスメンバ20の外表面、すなわち、凸形状の上部に沿うように配置され、前側開口部32a及び後側開口部33aを貫通している。
【0030】
これにより、第1のフロアクロスメンバ20と外側シートブラケット30の間における前側開口部32aにケーブル40が挿入されることで、前側開口部32aの縁に当接させながら挿入方向を調整することが可能となる。また、このように構成することにより、側突性能を維持しつつ、第1のフロアクロスメンバ20と外側シートブラケット30との間にケーブル40を容易に通過させることができる。
【0031】
通常、ケーブル40類を組み付けるときは、サイドシル15やフロアパネル1の端部にケーブル40を押し付けながら配置する。このとき、第1のフロアクロスメンバ20に面する前側開口部32a等を、作業者が視認できることにより、作業者から死角となる部分が減少する。そのため、作業者がケーブル40を挿入するための目標を見極めやすくなる。また、後側開口部33aは、前側開口部32aに対して小さな開口面積となるため、第1のフロアクロスメンバ20と外側シートブラケット30の間にケーブル40が挿入されることで、前側開口部32aに当接させながら挿入方向を調整できるようになる。さらに、この調整により挿入速度が自然と緩やかになり、組付け作業中に、ケーブル40の先端部が外側シートブラケット30に衝突、ケーブル40が破損することを抑制できる。
【0032】
また、上記したように、外側シートブラケット30は、サイドシル15の内側部材16に接合され、さらに、前側開口部32a及び後側開口部33aの車幅方向外側の縁部は、サイドシル15の内側壁部16aに対向している。また、前側開口部32a及び後側開口部33aの開口縁の上端よりも、メンバ上面部21は車両下方に配置されている。
【0033】
このようにサイドシル15に面する前側開口部32a等を有するため、サイドシル15とフロアパネル1の角部を利用して、狙いを定め、ケーブル40を挿入することができる。つまり、フロアトンネル10からサイドシル15に向う方向に角度をつけてケーブル40を挿入することができ、ケーブル40の組付け作業の作業性が向上する。また、第1のフロアクロスメンバ20の凸形状にフロアトンネル10がある側から斜めに挿入されるため、ケーブル40が凸形状に沿って車幅方向に移動してもサイドシル15に接触し、ケーブル40を車両前後方向に誘導することが可能である。
【0034】
本実施形態では、図2図4に示すように、外側シートブラケット30の上外側ブラケットフランジ部35a、前外側ブラケットフランジ部32c及び後外側ブラケットフランジ部33cによって、サイドシル15の内側部材16の上面部16bと内側壁部16aとにより形成される角部17を跨いだ状態で、上面部16b及び内側壁部16aに接合されている。また、前側開口部32aの上端における車幅方向内側部は、車両下方に湾曲している。詳細には、図3に示すように、車幅方向内側部の湾曲形状Wにより、前側開口部32aの前側開口幅L32を幅方向に伸ばし、さらに、前側開口部32aの高さ方向も広げることができる。その結果、前側開口部32aの開口面積の増大に寄与できる。これにより、ケーブル40の誘導を促しやすくなる。
【0035】
上記のように角部17を跨いで接合することにより、前側開口部32aの開口面積を拡大することが可能となる。また、角部17を跨ぐため、側突等の衝撃荷重に対して剛性を向上させることが可能である。また、前側開口部32aの開口面積が広がると、ケーブル40の組付け作業の作業性が向上する。さらに、前側開口部32aが湾曲した場合には、車幅方向外側からの荷重入力は、第1のフロアクロスメンバ20に伝達される。また、前側開口部32aに突出縁部32eが設けられている場合、開口面積がさらに広がり、湾曲した縁部(湾曲形状W)の剛性が向上し、荷重伝達性能を向上させる。
【0036】
続いて、第1のフロアクロスメンバ20の形状について詳細に説明する。先ず、メンバ上面部21について説明する。メンバ上面部21は、図6に示すように、直線部21aと、広がり面部21eと、を有している。直線部21aは、車両上方を臨む略長方形状で、フロアパネル1に平行に配置されている。広がり面部21eは、フロアパネル1に平行で、車両上方を臨み、直線部21aの車幅方向内側に連続して設けられる部分であり、車幅方向内側に向かうに従い車両前後方向の幅が大きくなるように形成されている。すなわち、広がり面部21eの前端は、車幅方向内側に向かうに従い車両前方に傾斜し、広がり面部21eの後端は、車幅方向内側に向かうに従い車両後方に傾斜してる。この例では、広がり面部21eの前端及び後端は、車幅方向内側に向かうに従い、互いに離れるように傾斜し、前端と後端との間における車幅方向に延びる中心線に対して対称である。
【0037】
メンバ上面部21には、車両前後方向に沿って前後方向ビード部21bが設けられている。前後方向ビード部21bは、直線部21aと広がり面部21eとの間に位置し、メンバ上面部21の上面に対して車両下方に凹み、車両前後方向に延びている。この例では、前後方向ビード部21bは、メンバ上面部21の前端から後端までの全域に延びている。
【0038】
また、メンバ上面部21の直線部21aには、車幅方向に延びる幅方向内側ビード部21c及び幅方向外側ビード部21dが設けられている。幅方向内側ビード部21c及び幅方向外側ビード部21dは、直線部21aの車両前後方向の中心に配置され、車幅方向に互いに間隔を空けて配置されている。前後方向ビード部21bは、幅方向内側ビード部21cの車幅方向内側の端部とフロアトンネル10との間に配置されている。なお、図1図3では、幅方向ビード部21c,21dの図示を省略している。
【0039】
メンバ前部22は、図6に示すように、前側傾斜壁部22aと、前側縦壁部22bと、広がり壁部22cと、前下側メンバフランジ部23と、前内側メンバフランジ部24aと、前外側メンバフランジ部24bと、を有している。前側傾斜壁部22aは、広がり面部21eの前端のうちの車幅方向外側部と、直線部21aの前端とから、車両下方に向かうに従い車両前方に傾斜して延びる壁部であり、全体で車幅方向に延びている。前側傾斜壁部22aの下端は、前側縦壁部22bに接続される部分と、前下側メンバフランジ部23に接続される部分を有する。前下側メンバフランジ部23に接続される部分は、前側傾斜壁部22aの下端における車幅方向外側部に位置している。
【0040】
前側縦壁部22bは、前側傾斜壁部22aの下端から車両下方に延びる縦壁で、車幅方向に延びている。また、前側縦壁部22bの車幅方向内側端は、広がり面部21eの車幅方向の中間部に位置し、車両上下方向の寸法が、車幅方向内側に向かうに従い徐々に小さくなるように形成される、いわゆる先細り形状をなしている。この例では、前側縦壁部22bの上端は、車幅方向に延びており、下端における車幅方向内側部は、車幅方向内側に向かうに従い車両上方に傾斜している。前側縦壁部22bの車幅方向内側端は、前側傾斜壁部22aの車幅方向内側端に隣接して配置されている。また、前側縦壁部22bの先細り形状なす部分の上端は、前側傾斜壁部22aに接続され、該先細り形状をなす部分の下端は、広がり壁部22cに接続されている。
【0041】
また、前側縦壁部22bの車幅方向外側端は、メンバ上面部21の直線部21aの車幅方向外側端よりもやや内側に配置されている。前側縦壁部22bの車幅方向外側部は、内側部と同様に、車両上下方向の寸法が、車幅方向外側に向かうに従い徐々に小さくなるように形成される、先細り形状をなしている。前側縦壁部22bの車幅方向外側部の上端は、車幅方向外側に向かうに従いやや車両下方に傾斜し、下端は、車幅方向外側に向かうに従いやや車両上方に傾斜し、これにより、前側縦壁部22bの外側部は、先細り形状をなしている。なお、図1及び図3では、前側縦壁部22bの図示を省略している。
【0042】
続いて、メンバ前部22における広がり壁部22cについて説明する。広がり壁部22cは、図6に示すように、前側傾斜壁部22aの車幅方向内側に形成される壁部で、メンバ上面部21の広がり面部21eの前端のうちの車幅方向内側部から、車両下方に向かに従い車両前方に傾斜している。また、広がり壁部22cは、上記の広がり面部21eの前端の傾斜と同様に、車幅方向内側に向かうに従い車両前方にも傾斜している。また、広がり壁部22cの車幅方向外側部は、前側縦壁部22bの車幅方向内側端よりも車幅方向外側まで延びている。この例では、広がり壁部22cの外側端は、前後方向ビード部21bに対応する位置に設けられている。また、前側縦壁部22bの車幅方向内側部と広がり壁部22cの車幅方向外側部とは、車両前後方向(車両上下方向)に並んで配置されている。
【0043】
前下側メンバフランジ部23は、図2図3及び図6に示すように、第1のフロアクロスメンバ20の前部に設けられ、フロアパネル1にスポット溶接等により接合される部分であり、広がり壁部22cの下端、前側縦壁部22bの下端、及び前側傾斜壁部22aの下端における車幅方向外側部から、車両前方に突出し、車幅方向に延びている。また、前下側メンバフランジ部23の車幅方向中間部には段差23eが設けられ、上段部23fは、車幅方向内側に配置され、下段部23gは、車幅方向外側に配置されている。段差23eは、車幅方向内側に配置される幅方向外側ビード部21dの内端に対応する位置に設けられている。
【0044】
上段部23fの前端は、広がり面部21eの前端の傾斜方向に沿って傾斜する部分と、この部分の外端から車幅方向外側に直線的に延びる部分と、を有している。下段部23gの前端は、段差23eから車幅方向外側に向かうに従い車両前方に傾斜する部分と、この部分の外端から車幅方向外側に直線的に延びる部分とを有している。下段部23gの上面には、上記したように外側シートブラケット30の前側ブラケットフランジ部32bがスポット溶接等により接合される。
【0045】
続いて、前外側メンバフランジ部24b及び前内側メンバフランジ部24aについて説明する。前外側メンバフランジ部24bは、図2及び図3に示すように、サイドシル15の内側部材16の内側側壁16aにスポット溶接等により接合される部分で、前側傾斜壁部22aの車幅方向外側端から車両前方に突出し、前端は円弧をなしている。前外側メンバフランジ部24bの下端は、前下側メンバフランジ部23の下段部23gの車幅方向外側端に対して間隔を空けて配置されている。前内側メンバフランジ部24aは、フロアトンネル10のトンネル側壁部12にスポット溶接等により接合される部分で、広がり壁部22cの車幅方向内側端から車両前方に突出してる。また、前内側メンバフランジ部24aの下部は、前下側メンバフランジ部23に接続されている。前内側メンバフランジ部24aの下端は、前下側メンバフランジ部23の上段部23fの車幅方向内側端に接続され、角部を形成している。
【0046】
続いて、メンバ後部25について説明する。図6に示すように、メンバ後部25は、例えば幅方向内側ビード部21c及び幅方向外側ビード部21dを中心に線対称に形成されている。メンバ後部25は、後側傾斜壁部25aと、後側縦壁部25bと、広がり壁部25cと、後下側メンバフランジ部26と、後内側メンバフランジ部27aと、後外側メンバフランジ部27bと、を有している。後側傾斜壁部25aは、前側傾斜壁部22aと同様に形成されており、前側傾斜壁部22aに対して、幅方向内側ビード部21c等を中心に線対称に形成されている。後側縦壁部25b、広がり壁部25c、後下側メンバフランジ部26、後内側メンバフランジ部27a、及び後外側メンバフランジ部27bも、同様に、メンバ前部22の前側縦壁部22b、広がり壁部22c、前下側メンバフランジ部23、前内側メンバフランジ部24a、及び後外側メンバフランジ部27bと線対称に形成されている。
【0047】
また、本実施形態では、第1のフロアクロスメンバ20の上端は、前側開口部32aの上端よりも車両下方側に配置されている。さらに、後側開口部33aの上端は、前側開口部32aの上端よりも車両下方側に配置され、第1のフロアクロスメンバ20の上端よりも車両上方側に配置されている。前側開口部32aから挿通されたケーブル40が、第1のフロアクロスメンバ20の上部を通り、後側開口部33aに通す作業が容易になる。よって、このように構成することで、ケーブル40の組付け作業の作業性が向上する。
【0048】
また、本実施形態では、第1のフロアクロスメンバ20がフロアパネル1及びサイドシル15に接合される位置は、外側シートブラケット30がサイドシル15に接合される位置よりも車両前方側に配置されている。すなわち、第1のフロアクロスメンバ20の前下側メンバフランジ部23の下段部23g及び前外側メンバフランジ部24bは、外側しーちブラケット30の前外側ブラケットフランジ部32cよりも、車両前方側に配置されている。前側開口部32aがフロアパネル1及びサイドシル15に接合される接合面積は、後側開口部33aの接合面積よりも小さく設定されている。
【0049】
このように構成することにより、第1のフロアクロスメンバ20の車体側(サイドシル15側)の接合部(前外側メンバフランジ部24b)に沿わせながら、前側開口部32aにケーブル40を挿入することが可能となる。車体側の接合部へ沿わせることにより、作業者にとって適度な当接感で組付け性を行うことが可能となり、その結果、ケーブル40の組付け作業の作業性が向上する。
【0050】
この例の第1のフロアクロスメンバ20の前側傾斜壁部22a及び後側傾斜壁部25aは、上記した凸形状の横断面の前部及び後部を構成し、車両上方に向かうに従い互いに近づくように傾斜している。
【0051】
各フランジ部は、メンバ前部22のフランジ部と同様に接合されている。詳細には、メンバ後部25の後下側メンバフランジ部26は、フロアパネル1の上面にスポット溶接等により接合されている。また、メンバ後部25の後内側メンバフランジ部27aは、フロアトンネル10のトンネル側壁部12にスポット溶接等により接合され、さらに、メンバ後部25の後外側メンバフランジ部27bは、サイドシル15の内側部材16の内側壁部16aにスポット溶接等により接合されている。
【0052】
また、本実施形態では、第1のフロアクロスメンバ20の前側傾斜壁部22a及び後側傾斜壁部25aの傾斜角度は、外側シートブラケット30のブラケット前壁部32及びブラケット後壁部33の傾斜角度によりも小さく設定されている。なお、傾斜角度は、フロアパネル1と、前側傾斜壁部22a及び後側傾斜壁部25aのそれぞれとにより形成される鋭角、並びに、フロアパネル1と、ブラケット前壁部32及びブラケット後壁部33のそれぞれとにより形成される鋭角である。このように構成することにより、ケーブル40の引っ掛かりを低減させることができ、その結果、組付け性を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、メンバ前部22の前側傾斜壁部22aの車幅方向外側部(クロスメンバの車幅方向端部に位置する傾斜壁部)の下端は、前側傾斜壁部22aの車幅方向中間部(クロスメンバの車幅方向中間部の傾斜壁部)の下端よりも、メンバ上面部21(傾斜壁部の上端)から離れ、メンバ後部25の広がり壁部22cの下端は、後側傾斜壁部25aの下端よりも、メンバ上面部21(傾斜壁部の上端)から離れている。すなわち、前側傾斜壁部22aの車幅方向外側部の下端は、車幅方向中間部の下端よりも、車両前方に位置し、後側傾斜壁部25aの車幅方向外側部の下端は、車幅方向中間部の下端よりも、車両後方に位置している。
【0054】
また、本実施形態では、例えば、外側シートブラケット30のブラケット内側壁部34よりも車幅方向外側に位置するメンバ前部22の前側傾斜壁部22a(傾斜壁部)の下端は、ブラケット内側壁部34よりも車幅方向内側に位置する前側傾斜壁部22aの下端よりも、前側傾斜壁部22aの上端から離れ、すなわち、車両前方に位置している。同様に、ブラケット内側壁部34よりも車幅方向外側に位置するメンバ後部25の後側傾斜壁部25a(傾斜壁部)の下端は、ブラケット内側壁部34よりも車幅方向内側に位置する後側傾斜壁部25aの下端よりも、後側傾斜壁部25aの上端から離れ、すなわち、車両後方に位置している。また、この例では、メンバ前部22の広がり壁部22cの下端は、前側傾斜壁部22aの下端よりも、車両前方に位置し、メンバ後部25の広がり壁部22cの下端は、後側傾斜壁部25aの下端よりも、車両後方に位置している。
【0055】
また、本実施形態では、上記したように、外側シートブラケット30の下部は、フロアパネル1に接合されており、第1のフロアクロスメンバ20の凸形状の上部には、フロアパネル1に平行なメンバ上面部21が設けられている。例えば、ケーブル40を前側開口部32a等に挿入したときに、車両製造時のラインのスピードに合わせ、勢いよく挿入しまうと、外側シートブラケット30に引っ掛かる可能性がある。このような場合であっても、外側シートブラケット30がフロアパネル1に接合されていることにより、前側開口部32a等が低位置となり、さらに前側開口部32aの上端より第1のフロアクロスメンバ20のメンバ上面部21が低い位置にあることにより、ケーブル40が挿入されるときの引っ掛かりを防止することが可能となり、ケーブル40の組付け作業の作業性が向上する。また、後側開口部33aにケーブル40を挿入したときも、同様の効果を得ることができる。
【0056】
ここで、内側シートブラケット38について説明する。内側シートブラケット38は、第1のフロアクロスメンバ20の車幅方向内側に配置され、この例ではトンネル側壁部12に取り付けられている。内側シートブラケット38の上面部には、シートレール等を設置するための貫通孔等が設けられている。また、内側シートブラケット38の前壁及び後壁には、フランジが設けられ、該フランジは、トンネル側壁部12にスポット溶接等により接合されている。
【0057】
また、本実施形態のフロア部構造は、上記したように、フロアサイドメンバ14を有している。フロアサイドメンバ14は、フロアパネル1の下面側における車幅方向外側部に配置されており、車両前方に向かうに従い車幅方向内側に傾斜して延びている。フロアサイドメンバ14は、サイドシル15の後端から上記のように傾斜して延びており、第1のフロアクロスメンバ20を横切るように配置されている。また、この例のフロアサイドメンバ14は、ハット型の断面形状を有しており、両側部にフランジが設けられている。当該フランジは、フロアパネル1の下面にスポット溶接等により接合されている。
【0058】
また、フロアサイドメンバ14、第1のフロアクロスメンバ20及び外側シートブラケット30は、車両上下方向で重なって配置されている。この例では、図3に示すように、フロアサイドメンバ14は、第1のフロアクロスメンバ20の前下側メンバフランジ部23の下段部23gに重なるように配置されている。また、外側シートブラケット30は、上記したようにサイドシル15に接合されている。
【0059】
また、本実施形態のフロア部構造は、上記したように、第2のフロアクロスメンバ29を有している。図3に示すように、第2のフロアクロスメンバ29は、第1のフロアクロスメンバ20の車両前方側に間隔を空けて配置されており、フロアパネル1に接合されている。この例では、第2のフロアクロスメンバ29の車両上下方向の寸法に対して、第1のフロアクロスメンバ20の車両上下方向の寸法は、小さく設定されている。
【0060】
また、第1のフロアクロスメンバ20の前面及び後面は、フロアパネル1からメンバ上面部21に向かうに従い互いに近づくように傾斜している。この例では、メンバ前部22の前側傾斜壁部22aと、メンバ後部25の後側傾斜壁部25aは、メンバ上面部21に向かうに従い互いに近づくように傾斜している。
【0061】
これに対して、第2のフロアクロスメンバ29の前面及び後面は、フロアパネル1に対して、ほぼ垂直に延びている。この例では、前面及び後面は、上面に向かうに従い互いに近づくように若干傾斜している。すなわち、第1のフロアクロスメンバ20の前面及び後面は、第2のフロアクロスメンバ29の前面及び後面に対して、緩やかに傾斜している。
【0062】
また、本実施形態では、第1のフロアクロスメンバ20と第2のフロアクロスメンバ29との間に位置するフロアパネル1の上面には、バッテリ装置が設置されている。バッテリ装置の外部は、略直方体で、バッテリ装置の車幅方向外側部は、フロアサイドメンバ14の上方に配置されている。
【0063】
また、本実施形態における第1のフロアクロスメンバ20の車幅方向内側端(他方端)は、上面視で、フロアパネル1の裏側(下面側)に設けられたガゼット(図示せず)に重なるように配置されている。この例のガセットは、フロアトンネル10の裏側に設けられ、フロアトンネル10を補強している。
【0064】
本実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0065】
本実施形態では、前側開口部32aは、ブラケット前壁部32の車幅方向外側及び下部が切り欠かれ、湾曲形状Wを有し、サイドシル15まで延びているが、これに限らない。ブラケット前壁部32の下端をU字状に切り欠いてもよい。後側開口部33aについても同様も形成してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 フロアパネル
2 ダッシュパネル
10 フロアトンネル
11 トンネル上面部
12 トンネル側壁部
14 フロアサイドメンバ
15 サイドシル
16 内側部材
16a 内側壁部
16b 上面部(天面部)
16c フランジ部
17 角部
20 第1のフロアクロスメンバ(クロスメンバ)
21 メンバ上面部(上面部)
21a 直線部
21b 前後方向ビード部
21c 幅方向内側ビード部
21d 幅方向外側ビード部
21e 広がり面部
22 メンバ前部
22a 前側傾斜壁部
22b 前側縦壁部
22c 広がり壁部
23 前下側メンバフランジ部(メンバフランジ部)
23e 段差
23f 上段部
23g 下段部
24a 前内側メンバフランジ部
24b 前外側メンバフランジ部
25 メンバ後部
25a 後側傾斜壁部
25b 後側縦壁部
25c 広がり壁部
26 後下側メンバフランジ部
27a 後内側メンバフランジ部
27b 後外側メンバフランジ部
29 第2のフロアクロスメンバ
30 外側シートブラケット(ブラケット)
31 ブラケット上面部
32 ブラケット前壁部
32a 前側開口部
32b 前側ブラケットフランジ部
32c 前外側ブラケットフランジ部
33 ブラケット後壁部
33a 後側開口部
33b 後側ブラケットフランジ部
33c 後外側ブラケットフランジ部
34 ブラケット内側壁部
34a 内側ブラケットフランジ部
35 ブラケット外側壁部
35a 上外側ブラケットフランジ部
38 内側シートブラケット
40 ケーブル
L32 前側開口幅
L33 後側開口幅
W 湾曲形状
図1
図2
図3
図4
図5
図6