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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040919
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/57 20230101AFI20230315BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20230315BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20230315BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230315BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230315BHJP
   B60R 11/04 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
H04N5/225 700
H04N5/225 100
G03B17/56 A
G03B17/02
G03B15/00 V
B60R11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148120
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片野 健一
(72)【発明者】
【氏名】神津 聡
【テーマコード(参考)】
2H100
2H105
3D020
5C122
【Fターム(参考)】
2H100BB06
2H105AA26
3D020BA20
3D020BC02
5C122DA14
5C122EA57
5C122FB03
5C122FB08
5C122FC01
5C122FC02
5C122GE01
5C122GE05
5C122GE06
5C122GE07
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】カメラユニット1の取付位置の調整を行い易くする。
【解決手段】車載カメラ100は、カメラユニット1と、カメラケース21と、ねじ91を備える。カメラユニット1は、光学部品を内部に保持する鏡筒を有する光学ユニット2と、撮像素子を含み、光学ユニット2に固定される撮像基板3とを備える。カメラケース21は、車両の室内に取り付けられ、カメラユニット1が取り付けられる。ねじ91は、カメラユニット1をカメラケース21に固定する。光学ユニット2は、カメラユニット1をカメラケース21に取り付けるための取付部4cを有する。取付部4cは、ねじ91と係合する溝部4fを有する。ねじ91及び溝部4fは、カメラユニット1のカメラケース21に対する取付位置を所定の範囲で変更してもねじ91による固定が可能なように構成されている。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内に設けられ、前記車両のガラスを介して外部を撮影する撮像装置であって、
光学部品を内部に保持する鏡筒を有する光学ユニットと、撮像素子を含み、前記光学ユニットに固定される基板と、を備えたカメラユニットと、
前記車両の室内に取り付けられ、前記カメラユニットが取り付けられるカメラケースと、
前記カメラユニットを前記カメラケースに固定する固定手段と、を備え、
前記光学ユニットは、前記カメラユニットを前記カメラケースに取り付けるための取付部を有し、
前記取付部は、前記固定手段と係合する係合部を有し、
前記固定手段及び前記係合部は、前記カメラユニットの前記カメラケースに対する取付位置を所定の範囲で変更しても前記固定手段による固定が可能なように構成されている
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記係合部は、前記取付部を貫通し、前記カメラユニットの前記カメラケースに対する取付位置を変更可能な方向に長い貫通孔である
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記取付位置を変更可能な方向に関して開口していない長孔である
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記取付位置を変更可能な方向に関して何れか一方が開口した切り欠きである
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記カメラケースは、前記取付部の取付面が取り付けられる取付受面を有し、
前記取付受面には、前記固定手段を挿入可能な複数の孔が形成されており、
前記貫通孔は、前記複数の孔の間隔よりも細かい段数で前記取付位置を調節可能に形成されている
ことを特徴とする請求項2ないし4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記固定手段は、ねじであり、ねじ部が前記貫通孔に挿通される
ことを特徴とする請求項2ないし5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記固定手段は、接着剤であり、
前記貫通孔は、前記接着剤を溜める接着剤溜りとして機能する
ことを特徴とする請求項2ないし4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記光学部品の光軸方向及び上下方向にそれぞれ直交する方向を横方向とした場合に、
前記カメラユニットは、前記カメラケースの一部と当接し、前記カメラユニットが前記カメラケースに対して前記横方向に相対移動することを規制する規制部を有し、
前記規制部は、前記カメラユニットの前記カメラケースに対する取付位置を変更可能な方向に前記カメラユニットをガイドする
ことを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記固定手段と前記係合部の係合範囲は、前記車両のガラスの表面と対向する前記鏡筒の先端部が前記ガラスの表面と最も近づいた位置に前記カメラユニットの前記カメラケースに対する取付位置を変更しても、前記鏡筒の先端部が前記カメラケースの前記ガラスの表面と最も近い部分よりも前記ガラス側に突出しないように規制されている
ことを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記カメラケースは、前記鏡筒を挿通可能な挿通孔が形成された本体壁部と、前記本体壁部の前記挿通孔を挟んだ両側から前記ガラスと反対側に突出するように設けられた一対の支持壁部と、を備え、
前記固定手段は、前記取付部を前記一対の支持壁部に形成された取付受面に固定する
ことを特徴とする請求項1ないし9の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記鏡筒は、前記光学部品としてのレンズを複数保持し、
前記複数のレンズは、第1のレンズと、それぞれが前記第1のレンズよりも外径が大きい第2のレンズ及び第3のレンズとを含み、
前記鏡筒は、前記レンズの光軸方向に関して、前記第1のレンズが前記第2のレンズと前記第3のレンズとの間に配置されるように、前記第1のレンズが保持される中間部の内径よりも、前記第2のレンズ及び前記第3のレンズがそれぞれ保持される両端側の内径が大きくなるように形成されている
ことを特徴とする請求項1ないし10の何れか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮像装置としての車載カメラを車両に取り付け、車載カメラで撮像した画像を画像処理することで、路面の車線、車両、人物、道路標識等を認識する技術が用いられている。一般的に、車載カメラは車両のフロントガラスに沿うように取り付けられるが、取り付ける際には、カメラの位置決めを正確に行うことが求められる。
【0003】
例えば、特許文献1には、レンズを保持する鏡筒部と、撮像素子を保持するベース部と一体成形されたカメラモジュールを、車両に取り付けられたカメラケースに固定する構成が開示されている。特許文献1に記載の構成の場合、ベース部が、カメラモジュールをカメラケースに固定するための取付部を有し、取付部には、ねじを挿通するためのねじ孔が形成されている。このねじ孔は丸孔である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-158098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成の場合、カメラモジュールをカメラケースに固定するための取付部に形成されたねじ穴を丸孔としている。このため、車載カメラの取付位置の調整を行いにくい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像装置は、車両の室内に設けられ、前記車両のガラスを介して外部を撮影する撮像装置であって、光学部品を内部に保持する鏡筒を有する光学ユニットと、撮像素子を含み、前記光学ユニットに固定される基板と、を備えたカメラユニットと、前記車両の室内に取り付けられ、前記カメラユニットが取り付けられるカメラケースと、前記カメラユニットを前記カメラケースに固定する固定手段と、を備え、前記光学ユニットは、前記カメラユニットを前記カメラケースに取り付けるための取付部を有し、前記取付部は、前記固定手段と係合する係合部を有し、前記固定手段及び前記係合部は、前記カメラユニットの前記カメラケースに対する取付位置を所定の範囲で変更しても前記固定手段による固定が可能なように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カメラユニットの取付位置の調整を行い易い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係るカメラユニットの斜視図。
図2】第1の実施形態に係るカメラユニットの側面図。
図3】第1の実施形態に係るカメラユニットの断面図。
図4】第1の実施形態に係るカメラユニットの鏡筒及びベース部を示す斜視図。
図5】第1の実施形態に係る車載カメラの斜視図。
図6】第1の実施形態に係る車載カメラを図5とは反対側から見た斜視図。
図7】第1の実施形態に係るカメラケースの斜視図。
図8】第1の実施形態に係る車載カメラの断面図。
図9】第1の実施形態に係る車載カメラを図8の状態よりも上方に移動させた状態で示す断面図。
図10図8のA-A断面図。
図11】第1の実施形態に係るカメラユニットをカメラケースに取り付ける状態を示す斜視図。
図12】第2の実施形態に係る車載カメラの斜視図。
図13】第2の実施形態に係る車載カメラを図12とは反対側から見た斜視図。
図14】第2の実施形態に係るカメラケースの斜視図。
図15】第2の実施形態に係る車載カメラの断面図。
図16】第2の実施形態に係る車載カメラを図15の状態よりも上方に移動させた状態で示す断面図。
図17】第3の実施形態に係るカメラユニットをカメラケースに取り付ける状態を示す斜視図。
図18】第1の実施形態の別例に係る車載カメラの断面図で、カメラユニットをスペーサを介してカメラケースに取り付けた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1ないし図11図18を用いて説明する。まず、本実施形態のカメラユニット1の概略構成について、図1ないし図3を用いて説明する。
【0010】
[カメラユニット]
カメラユニット1は、撮像装置としての車載カメラ100(図5など参照)を構成する。車載カメラ100は、詳しくは後述するが、車両の室内に設けられ、車両のガラスを介して外部を撮影するものである。例えば、車両のフロントガラス或いはフロントガラス近傍の天井などに固定され、フロントガラスを介して外部を撮影する。
【0011】
カメラユニット1は、図1及び図2に示すように、レンズ等の光学部品を内部に保持する鏡筒4を有する光学ユニット2と、撮像素子15を含み、光学ユニット2に固定される撮像基板3とで構成される。撮像素子15を保持する撮像基板3は、光学ユニット2のベース部5に固定される。ベース部5は、鏡筒4と一体に形成されている。
【0012】
光学ユニット2は、図3に示すように、鏡筒4及びベース部5からなるカメラ筐体6と、レンズ11、12、13、間隔環9、光学フィルタ14で構成される。鏡筒4は筒状の形状を有し、その内部に複数のレンズ11、12、13、間隔環9、光学フィルタ14を保持している。即ち、鏡筒4は、レンズを複数保持しており、本実施形態では3つのレンズを保持している。
【0013】
鏡筒4の内壁は、それぞれのレンズ11、12、13の周囲を囲むようにレンズ受け面4a1、4a2、4a3が形成されており、これにより各レンズ11、12、13が鏡筒4内で位置決めされ、上記各レンズ11、12、13は、光軸が鏡筒4の中心軸と一致するように、光軸方向に並べられている。本実施形態では、レンズ11、12、13は、複数の異なる径のレンズから構成されており、前方のレンズ11と後方のレンズ13の径が大きく、それらより径の小さいレンズ12がその中間に配置されている。ここで、光軸方向に関して前方は、撮像素子15と反対側であり、カメラユニット1により撮影する側(図3の左側)である。光軸方向に関して後方は、撮像素子15側(図3の右側)である。
【0014】
レンズ12を第1のレンズ、レンズ11を第2のレンズ、レンズ13を第3のレンズとした場合、第2のレンズ及び第3のレンズであるレンズ11、13は、第1のレンズであるレンズ12よりも外径が大きい。そして、鏡筒4は、レンズ11~13の光軸方向に関して、レンズ12がレンズ11とレンズ13との間に配置されるように、レンズ12が保持される中間部の内径よりも、レンズ11、13がそれぞれ保持される両端側の内径が大きくなるように形成されている。具体的には、鏡筒4は、レンズ12を保持するレンズ受け面4a2の内径よりも、レンズ11を保持するレンズ受け面4a1のうちの内径が最も大きい部分の内径と、レンズ13を保持するレンズ受け面4a3の内径の方が大きくなるように形成されている。
【0015】
鏡筒4及びベース部5は、樹脂で一体成形され、樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂が用いられる。また、ベース部5は、鏡筒4の後方に設けられ、レンズ受け面4a3の内径よりも大きい内径を有する。このような鏡筒4及びベース部5で構成されるカメラ筐体6は、例えば射出成型により形成されるが、鏡筒4及びベース部5の内壁面を形成する金型は、レンズ11とレンズ12の間に位置する絞り形状4bを境に前後に分割して形成される。即ち、鏡筒4及びベース部5は、絞り形状4bの内径が最も小さく、この部分を境に金型を前後に抜けるように形成されている。このような鏡筒4は、光軸方向中間部でくびれた形状となっている。
【0016】
本実施形態では、鏡筒4をこのような形状とすることで、鏡筒4の前後に配置するレンズ11、13の径を中間に配置するレンズ12の径よりも大きくできる。複数のレンズ11~13をこのような配置とすることで、より広角の撮影が可能となり、かつ比較的大型の撮像素子に対応可能な鏡筒を実現することができる。詳細には、被写体側のレンズを大きくすると広角化し易く、撮像素子側のレンズを大きくすると大型の撮像素子に対応し易くなる。なお、例えば鏡筒の前方に行くほどレンズを大きくすることが考えられるが、そうすると、カメラユニット1の重心が中央よりも前側になってしまい、後述するカメラユニット1の取付位置からも前側に大きくずれ易い。重心が取付位置から前側に大きくずれると、カメラユニット1の取付構造の強度を確保すべく、装置全体が大型化し、重量も増大してしまう。これに対して本実施形態では、上述のようにレンズ11~13を配置することで、広角の撮影が可能となると共に、カメラユニット1の重心を取付位置に近づけることができる。また、鏡筒4の成型時において金型を前後に抜くことで鏡筒4を簡単に製造できる。
【0017】
光学フィルタ14は、所定の波長の光をカットするものである。光学フィルタ14としては、例えば、赤外線をカットする赤外線カットフィルタなどが挙げられる。撮像基板3は、撮像素子15が実装された回路基板である。
【0018】
撮像基板3と鏡筒4とは、組み合わさった状態において、相対位置の調整が可能となっている。レンズの光軸に対する撮像素子15の受光面(撮像面)15aが直交するように、光学ユニット2と撮像素子15の位置決めを行った後、撮像基板3と鏡筒4と一体のベース部5の後端とを接着剤等を用いて固定する。
【0019】
撮像素子15は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の半導体イメージセンサ素子である。撮像素子15は、矩形板状であり、表面が単一平面をなす受光面15aで構成されており、レンズ11、12、13により受光面に結像された被写体像を撮像して画像信号を出力する。これに繋がる配線やコネクタは不図示であるが、後述するカメラケース21(図5など)側の基板と電気的に接続される。
【0020】
撮像基板3が固定されるベース部5は、車載カメラ100を車両に取り付けた状態の上下方向の両側が光軸方向と平行で上下方向に直交する平面となるような部分円筒状に形成されている。即ち、ベース部5の外径形状は、上下方向両側面が平坦面5a、5b、上下方向及び光軸方向に直交する幅方向両側面が湾曲面5c、5dとしている。湾曲面5c、5dは、同一の曲率中心を有し、この曲率中心は鏡筒4の中心軸上(即ち、光軸上)にある。
【0021】
また、ベース部5の後側は撮像基板3に設けられた撮像素子15が侵入可能となるように開口5eが形成されており、ベース部5の前側には、鏡筒4が前方に突出するように一体に形成されている。開口5eは、撮像基板3が固定されることで塞がれる。
【0022】
鏡筒4及びベース部5は、レンズ11、12、13、間隔環9、光学フィルタ14が内部に収納されて位置決めされた後、熱かしめやUV接着剤によりこれらを固定し、保持する。撮像基板3も上述のように接着剤等によりベース部5に固定される。
【0023】
[カメラ筐体]
図4に示すように、鏡筒4及びベース部5からなるカメラ筐体6は、カメラユニット1をカメラケース21に取り付けるための取付部4cを備える。取付部4cは、光軸方向と直交し、車載カメラ100を車両に取り付けた状態の上下方向(光軸が水平方向の場合には鉛直方向)に直交する幅方向(横方向ともいう)に関して、ベース部5の両側にそれぞれベース部5から突出するように形成されている。一対の取付部4cは、ベース部5と一体に形成されている。
【0024】
取付部4cには、カメラケース21と取り付けるための取付面4d、規制部としてのガイド面4e、係合部としての溝部4fが形成されている。取付面4dは、取付部4cの前側の面に形成された平面で、撮像素子15の撮像面としての受光面15aに対して傾斜している。本実施形態の場合、取付面4dは、車載カメラ100を車両に取り付けた状態で、鉛直方向に対して傾斜している。また、取付面4dの傾斜方向は、上方に向かう程、後方に向かう方向(フロントガラスから離れる方向)としている。なお、車載カメラ100の車両への取付状態によっては、取付面4dの傾斜方向はこれに限らず、上方に向かう程、前方に向かう方向に傾斜させても良い。また。例えば、車両に取り付けた状態で光軸が斜め下方に向いており、受光面15aが鉛直方向に対して傾斜するような場合には、取付面4dの傾斜方向を鉛直方向と略平行としても良い。
【0025】
ガイド面4eは、ベース部5の幅方向両側に形成された、幅方向と直交する平面であり、カメラケース21の一部(後述するガイド部21e)と当接し、カメラユニット1がカメラケース21に対して幅方向に相対移動することを規制する。具体的には、ガイド面4eは、ベース部5の幅方向両側で、取付面4dの前側に隣接した位置に、取付面4dと直交するように形成されている。このようなガイド面4eは、後述するように、カメラユニット1のカメラケース21に対する取付位置を変更可能な方向にカメラユニット1をガイドする。本実施形態では、カメラユニット1を上下方向に移動可能にガイドする。
【0026】
溝部4fは、取付部4cに形成されたU字状の切り欠きである。溝部4fは、後述する固定手段としてのねじ91(図8など参照)と係合する。そして、ねじ91及び溝部4fは、カメラユニット1のカメラケース21に対する取付位置を所定の範囲で変更してもねじ91による固定が可能なように構成されている。本実施形態の場合、係合部としての溝部4fは、取付部4cを貫通し、カメラユニット1のカメラケース21に対する取付位置を変更可能な方向に長い貫通孔である。そして、本実施形態では、この貫通孔を、取付位置を変更可能な方向(上下方向)に関して何れか一方が開口した切り欠きとしている。具体的には、貫通孔の上下方向に関して下方を開口させることで、溝部4fとしている。なお、貫通孔の上方を開口させるようにしても良い。また、係合部である貫通孔は、取付位置を変更可能な方向に関して開口していない長孔としても良い。
【0027】
本実施形態では、カメラユニット1をカメラケース21に固定する固定手段をねじ91としている。そして、ねじ91のねじ部が貫通孔、即ち、溝部4fに挿通された状態で、カメラユニット1がカメラケース21にねじ止め固定される。溝部4fは、上下方向に長い貫通孔であるため、この範囲内でねじ止め位置を変更可能となっている。カメラユニット1のカメラケース21に対する固定についての詳細は、後述する。
【0028】
また、図4に示すように、ベース部5は、光学ユニット2の組立時に位置精度の基準となる基準面4g、4h、4iを有する。基準面4gは、ベース部5の幅方向片側の湾曲面5cに設けられ、基準面4hは、ベース部5の上側の平坦面5aに設けられている。また、基準面4iは、ベース部5の前側の側面5fに設けられている。
【0029】
[車載カメラ]
図5ないし図11を参照して、車載カメラ100について、即ち、カメラユニット1がカメラケース21に搭載された状態について説明する。図5に示すように、カメラユニット1はカメラケース21の内部に組み込まれ、カメラケース21の前方にはフード22が取り付けられる。カメラケース21は、車両の室内に取り付けられている。例えば、車両のフロントガラス或いはフロントガラス近傍の天井などに固定されている。そして、カメラユニット1は、カメラケース21に取り付けられることで、カメラケース21に保持される。なお、フード22は、カメラケース21のケース部210に対して着脱可能であり、カメラユニット1のフロントガラス23に対する位置調整の結果、大型のサイズのものが必要でなければ、小型のサイズのものと取り換えてもよい。
【0030】
図6は、カメラケース21を後方(車室側)から見た図である。内部構造が分かりやすいように図中ではカメラケース21の後方を覆う蓋部材は省略してある。図7は、カメラケース21の構成の詳細を説明する図である。即ち、カメラユニット1を取り付けていない状態である。カメラケース21は、カメラユニット1を覆うケース部210を有し、ケース部210の幅方向両側面には、係合部21aがそれぞれ側面から突出するように設けられている。そして、カメラケース21は、係合部21aを介して車両側に設けられた保持部材(不図示)により保持されることで、車室に取り付けられる。
【0031】
ケース部210は、前方側に本体壁部211を有し、本体壁部211には、カメラユニット1の鏡筒4を挿通可能な挿通孔としての開口部21bが形成されている。開口部21bは、鏡筒4が上下方向に移動可能なように上下方向に長い長孔としている。また、カメラケース21は、本体壁部211の開口部21bを挟んだ両側からフロントガラスと反対側(後側)に突出するように設けられた一対の支持壁部としての取付受部21cを有する。取付受部21cの後側の側面は、上方に向かう程、後方に傾斜した斜面となっており、この斜面を、上述したカメラユニット1側の取付部4cの取付面4dが取り付けられる取付受面21dとしている。この取付受面21dは、取付面4dと同様に、撮像素子15の受光面(撮像面)15aに対して傾斜している。
【0032】
また、一対の取付受部21cの互いに対向する内側面の一部には、それぞれガイド部21eが形成されている。ガイド部21eは、上下方向に平行な平面であり、カメラユニット1がカメラケース21に取り付けられた状態で、カメラ筐体6のガイド面4eと当接する。即ち、ガイド部21eは、ガイド面4eと当接することで、カメラユニット1がカメラケース21に対して幅方向に移動することを規制すると共に、カメラユニット1が上下方向に移動することを案内する。
【0033】
また、取付受部21cの取付受面21dには、上下方向に複数のねじ孔21fが設けられている。本実施形態では、一対の取付受部21cのそれぞれに3個のねじ孔21fが設けられている。これらのねじ孔21fは、上述のねじ91をねじ止めするための孔である。
【0034】
図8は、カメラユニット1がカメラケース21に組み込まれ、車室内に搭載された状態を示している。カメラユニット1は、カメラケース21に対して、カメラ筐体6の取付部4cを介して取り付けられる。具体的には、図6及び図8に示すように、取付部4cの取付面4dを取付受部21cの取付受面21dに当接させた状態で、取付部4cに形成された溝部4fにねじ91を挿通し、ねじ91をねじ孔21fにねじ止めすることで、カメラユニット1がカメラケース21に対して固定される。
【0035】
ここで、本実施形態では、カメラユニット1がカメラケース21に対して光軸方向が水平方向と略平行となるように取り付けられる。この場合に、カメラユニット1側の取付面4dの水平方向に対する角度と、カメラケース21側の取付受面21dの水平方向(光軸方向)に対する角度は同一となっている(図8の角度b)。即ち、取付面4dと取付受面21dは傾斜しているが、撮影光軸は水平を保つ。
【0036】
また、カメラケース21に対向している車両のフロントガラス23の表面の水平方向に対する角度を図8の角度aとし、撮像素子15の受光面15aの水平方向に対する角度は図中の角度cとする。この場合に。角度aは、角度bよりも小さく(a<b)、角度bは角度cよりも小さい(b<c)。本実施形態では、カメラユニット1の光軸は水平方向へ向いているので、角度cは、約90度となっている。
【0037】
この状態でカメラユニット1をカメラケース21に対し、ねじ91により固定することができる。この時、カメラユニット1の鏡筒4の先端と、フロントガラス23との間隔は、図8のCL1で示される。この間隔CL1をさらに少なくし、かつフロントガラス23に干渉しないように位置を調整することを考える。
【0038】
図9は、カメラユニット1の位置を調整した後の状態を示している。位置調整は、カメラユニット1の取付面4dを取付受部21cの取付受面21dに沿って移動させることで行う。例えば、カメラユニット1をカメラケース21に対して上方に移動させるようとすると、カメラユニット1は図9中のp方向へ移動することになる。この際、フロントガラス23の角度aと取付受面21d及び取付面4dの角度bが、a<bの関係であるため、フロントガラス23との間隔CL2は、調整前の間隔CL1より小さくなる。
【0039】
即ち、取付受面21d及び取付面4dが受光面15aに対して傾斜しており、更に、取付受面21d及び取付面4dが、カメラユニット1が対向する車両のフロントガラス23の表面に対して傾斜している。このため、カメラユニット1をカメラケース21に対して相対移動させることで、光軸の向きを変えずに、鏡筒4の先端とフロントガラス23の表面との間隔を変化させることができる。そして、本実施形態では、a<bの関係にあるため、カメラユニット1を上方に移動させることで、フロントガラス23の表面との間隔を小さくできる。即ち、鏡筒4の先端をフロントガラス23の表面に近づけることができる。
【0040】
ここで、フロントガラス23の水平方向に対する角度aと、カメラケース21の取付受面21d及び取付面4dの水平方向に対する角度bとには差分があり、特に、この角度の差分が適度に小さい場合、カメラユニット1の移動量に比べて、カメラユニット1の鏡筒先端とフロントガラス23との間隔CL1は徐々に変化する関係となる。言い換えれば、位置調整の敏感度が小さいと言える。そのため、組立作業者がカメラユニット1の位置を移動させて間隔調整作業を行うときに、微少な間隔調整作業を行い易い。
【0041】
なお、上述の説明では、角度aと角度bの関係について、a<bとなる例を示したが、角度aと角度bの差分が同程度であれば、b<aの関係となっても同様の効果を得られる。この場合、カメラユニット1を下方に移動させるほど、鏡筒4の先端がフロントガラス23の表面に近づくことになる。
【0042】
図10は、図8のカメラユニット1の光軸中心を通るA-A断面図を示している。カメラケース21のガイド部21eは、取付受部21cを構成する斜面(取付受面21d)の側面内側に設けられている。カメラ筐体6のガイド面4eは、カメラケース21のガイド部21eと対向する位置に設けられている。図7でも示したように、ガイド部21eはカメラユニット1が幅方向に移動することを規制し、上下方向への移動を案内するように、上下方向へ延びたレール状の形状を成している。そのため、組立作業者がカメラユニット1の位置を移動させて間隔調整作業を行うときには、カメラユニット1をガイド部21eに沿って上下方向へ移動させる。この際、幅方向の移動が規制されているため、上述のように組立作業がしやすい。
【0043】
図11は、図9の状態における、カメラユニット1とカメラケース21の取付の構成についての詳細を示している。カメラケース21の取付受部21cには、固定手段としてのねじ91を挿入可能な複数の孔としての複数のねじ孔21fが設けられている。また、カメラ筐体6の取付部4cに形成された溝部4fは、下方へ開放されたU字状に形成されている。ねじ孔21fは、一定の間隔をあけて配置され、溝部4fの溝の長さはねじ孔21fの間隔よりもやや長く設定されている。このような構成のため、カメラユニット1を取付受部21cに沿って移動させたとき、少なくとも1つのねじ孔21fと溝部4fがねじ91によって固定可能である。よって、ねじ孔21fの設置範囲内であれば、任意の位置でカメラユニット1をねじ91により固定できる。即ち、溝部4fは、上下方向に長い貫通孔であるため、カメラユニット1のカメラケース21に対する取付位置を所定の範囲で変更してもねじ91による固定が可能である。
【0044】
なお、溝部4fが上下方向に長い貫通孔であるため、ねじ91を任意のねじ孔21fに緩くねじ止めした状態で、取付部4cの取付受部21cに対する上下方向の位置を微調整可能となっている。このため、鏡筒4をできるだけフロントガラスに近づけると共に、鏡筒4がフロントガラスに干渉しない位置にカメラユニット1を取り付け易い。溝部4fは、ねじ孔21fの間隔よりも細かい段数で、カメラユニット1のカメラケース21に対する取付位置を調節可能な係合部であれば良い。本実施形態では、無段階の段数として長孔として溝部が設けられている。なお、固定手段は、ねじ以外に例えばピンなどの挿入部材であっても良く、例えば、ピンの場合には取付受面21dには、ピンを挿入可能な複数の孔を形成する。そして、ねじ91の場合と同様に、溝部4fを、この孔の間隔よりも細かい段数で、カメラユニット1のカメラケース21に対する取付位置を調節可能に形成する。
【0045】
また、本実施形態の場合、取付受面21dに対する取付面4dの取付位置は、カメラユニット1のカメラケース21に対する取付位置を変更しても、フロントガラス23の表面と対向する鏡筒4の先端部が、カメラケース21のフロントガラス23の表面と最も近い部分よりもフロントガラス23側に突出しないように規制されている。特に、鏡筒4の先端部がフロントガラス23の表面と最も近づいた位置にカメラユニット1のカメラケース21に対する取付位置を変更しても、鏡筒4の先端部がカメラケース21のフロントガラス23の表面と最も近い部分よりもフロントガラス23側に突出しないように、カメラユニット1の取付位置が規制されている。具体的には、ねじ91と溝部4fの係合範囲をこのように規制している。また、ねじ孔21fの位置についても、この条件を満たすような位置としている。
【0046】
例えば、本実施形態の場合、カメラケース21のフロントガラス23の表面と最も近い部分は、フード22の先端部である。そして、ねじ孔21fの位置及び溝部4fの長さを適宜設定することで、カメラユニット1をフロントガラス23に最も近づけても、鏡筒4の先端とフロントガラス23の表面との間隔が、フード22の先端とフロントガラス23の表面との間隔よりも大きくなるようにしている。上述の例では、カメラユニット1を上方に移動するほど、鏡筒4がフロントガラス23に近づくため、ねじ孔21fと溝部4fの形状との関係を適切に設定することで、カメラユニット1を最も上方に移動しても、即ち、最も上方のねじ孔21fにねじ止め固定し、更に、溝部4fとねじ91の係合範囲内で更にカメラユニット1の取付位置を上方に微調整しても、鏡筒4がフード22よりもフロントガラス23側に突出しないようにしている。これにより、カメラユニット1の取付位置の調整作業中に鏡筒4がフロントガラス23と接触することを防止できる。また、仮に外部からの振動、衝撃が加わっても、鏡筒4の先端がフロントガラス123に干渉することはなく、干渉による光学性能の劣化が起きる可能性は少ない。
【0047】
また、溝部4fは、下方に開口した切り欠きとしているため、ねじ91を完全に取り外さなくても、カメラユニット1の交換が可能である。即ち、ねじ91を緩め、カメラユニット1を溝部4fのU字状の解放部を介して上方へずらしながら取り去ることも可能である。また、ねじ91が仮止めされた状態でカメラユニット1を溝部4fのU字状の解放部を介して上方より組み立てることも可能である。そのため、カメラユニット1の交換作業が必要であっても煩わしい作業が少なく済む。
【0048】
また、本実施形態の場合、取付受面21d及び取付面4dが鉛直方向に対して傾斜しており、更に、上方に向かう程、後方に傾斜している。このため、カメラユニット1の重心がカメラユニット1のカメラケース21に対する取付位置よりも前方に位置していても、取付強度を確保し易い。上述のように、鏡筒4には複数のレンズ11~13が保持されている。一方、カメラユニット1の取付部4cは、鏡筒4よりも後方にあるベース部5に設けられている。レンズ11~13は、他の部材に対して重量物であるため、カメラユニット1の重心は、取付部4cよりもレンズ11~13が保持されている鏡筒4側にずれ易い。
【0049】
したがって、取付受部21cと取付部4cとの固定部分、即ち、取付位置には、この取付位置を中心に前方側が下方に向くようなモーメントが作用する。この際、取付受面21dと取付面4dとが垂直方向の面で当接していた場合、このモーメントを取付受面21dで受けることができず、これらを結合するねじに大きなせん断力がかかってしまう。すると、ねじの強度を確保すべく、ねじを太くするなどして取付強度を大きくする必要があり、装置の大型化を招く虞がある。
【0050】
これに対して本実施形態のように、取付受面21d及び取付面4dを鉛直方向に対して傾斜させていれば、上述のモーメントの一部を取付受面21dで受けることができ、ねじ91に作用するせん断力を小さくできる。この結果、ねじ91を太くするなどしなくても、十分な取付強度を確保でき、装置の大型化を抑制できる。
【0051】
なお、本実施形態では、上述のように、鏡筒4に配置するレンズ11~13を配置する際に、外径が大きいレンズ12を他のレンズ11、13の間に配置しているため、外径が大きいレンズから順に前側から配置する構成よりも、重心を後側にずらすことができる。このため、上述のように取付位置に作用するモーメントを小さくできる。したがって、この点からをカメラユニット1の取付強度を確保し易い。
【0052】
上述のように、本実施形態では、取付受面21d及び取付面4dを撮像素子15の受光面15aに対して傾斜させ、取付面4dを取付受面21dに対して移動させることで、カメラユニット1の取付位置を変更可能としている。このため、特許文献2に記載の構成のように、ガラスの角度に応じて台座を削る手間がなく、取付コストの増加を抑制でき、ガラスの傾斜角度に応じたカメラユニット1の取付位置の調整を行い易い。
【0053】
また、ねじ91及び溝部4fは、カメラユニット1のカメラケース21に対する取付位置を所定の範囲で変更してもねじ91による固定が可能なように構成されている。本実施形態では、溝部4fを上下方向に長い貫通孔としており、この溝部4fを介してねじ91により取付部4cを取付受面21dにねじ止めする構成としている。このため、カメラユニット1の取付位置の調整を行い易い。即ち、溝部4fの範囲でねじ止めする位置を調整できるため、カメラユニット1の取付位置の調整を行い易い。
【0054】
なお、上述の実施形態では、取付面4dを取付受面21dに直接当接させることで、取付面4dを取付受面21dに取り付ける構成について説明した。但し、図18に示すように、取付面4dをスペーサ92を介して取付受面21dに取り付けるようにしても良い。このスペーサ92としては、両面が平行な板状の部材で、この部材に溝部4fと同様の切り欠きを形成することが好ましい。また、スペーサを両側面が互いに非平行な板状の部材としても良い。例えば、取付受面21dの傾斜角度に対して、更に角度を調整したい場合には、このようなスペーサを設けることで、カメラユニット1の取付角度を微調整可能である。また、スペーサは、金属や樹脂などの部材であっても良いし、ゴムなどの弾性部材であっても良い。或いは、スペーサをワッシャのようにねじの緩み止めを行うような部材としても良い。
【0055】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図12ないし図16を用いて説明する。上述の第1の実施形態では、取付面4dが、カメラユニット1が対向する車両のガラスの表面に対して傾斜する方向に形成された構成について説明した。これに対して本実施形態では、取付面4dが、カメラユニット1が対向する車両のガラスの表面と平行に形成されている。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、重複する説明及び図示を正暦又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0056】
図12に示すように、カメラユニット1はカメラケース121の内部に組み込まれる。本実施形態では、カメラケース121はフード22を有していないが、フード22を有していても良い。図13は、カメラケース121を後方(車室側)から見た図である。内部構造が分かりやすいように図中ではカメラケース121の後方を覆う蓋部材は省略してある。
【0057】
図14は、カメラケース121の構成の詳細を説明する図である。カメラケース121は、第1の実施形態と同様に、カメラユニット1を覆うケース部210を有し、ケース部210の幅方向両側面には、係合部121aがそれぞれ側面から突出するように設けられている。そして、カメラケース121は、係合部121aを介して車両側に設けられた保持部材(不図示)により保持されることで、車室に取り付けられる。
【0058】
ケース部210は、前方側に本体壁部211を有し、本体壁部211には、カメラユニット1の鏡筒4を挿通可能な挿通孔としての開口部121bが形成されている。また、カメラケース121は、本体壁部211の開口部121bを挟んだ両側からフロントガラスと反対側(後側)に突出するように設けられた一対の支持壁部としての取付受部121cを有する。取付受部121cの後側の側面は、上方に向かう程、後方に傾斜した斜面となっており、この斜面を、カメラユニット1側の取付部4cの取付面4dが取り付けられる取付受面121dとしている。この取付受面121dは、取付面4dと同様に、撮像素子15の受光面(撮像面)15aに対して傾斜している。
【0059】
また、一対の取付受部121cの互いに対向する内側面の一部には、それぞれガイド部121eが形成されている。ガイド部121eは、カメラ筐体6のガイド面4eと当接することで、カメラユニット1がカメラケース121に対して幅方向に移動することを規制すると共に、カメラユニット1が上下方向に移動することを案内する。取付受部121cの取付受面121dには、ねじ91をねじ止めするための複数のねじ孔121fが設けられている。
【0060】
図15は、カメラユニット1がカメラケース121に組み込まれ、車室内に搭載された状態を示している。カメラユニット1はカメラケース121に対して、カメラ筐体6の取付部4cを介して取り付けられる。即ち、取付部4cの取付面4dを取付受部121cの取付受面121dに当接させた状態で、取付部4cに形成された溝部4fにねじ91を挿通し、ねじ91をねじ孔121fにねじ止めすることで、カメラユニット1がカメラケース121に対して固定される。
【0061】
ここで、本実施形態でも、カメラユニット1がカメラケース121に対して光軸方向が水平方向と略平行となるように取り付けられる。この場合に、カメラユニット1側の取付面4dの水平方向に対する角度と、カメラケース121側の取付受面121dの水平方向(光軸方向)に対する角度は同一となっている(図15の角度b)。即ち、取付面4dと取付受面121dは傾斜しているが、撮影光軸は水平を保つ。
【0062】
また、カメラケース121に対向している車両のフロントガラス123の表面の水平方向に対する角度を図15の角度aとし、撮像素子15の受光面15aの水平方向に対する角度は図中の角度cとする。この場合に。角度aと角度bを等しくしている(a=b)。また、角度bは角度cよりも小さく(b<c)、本実施形態では、約90度となっている。
【0063】
この状態でカメラユニット1をカメラケース121に対し、ねじ91により固定している。この時、カメラユニット1の鏡筒4の先端と、フロントガラス123との間隔は、図中のCL3で示される。本実施例では、角度aと角度bは等しく設定されているので、間隔CL3はカメラユニット1の位置に関わらず一定である。
【0064】
フロントガラス123との位置を一定に保ちつつ、カメラユニット1の光軸位置を調整することを考える。図16は、カメラユニット1の光軸位置を上方へ調整した後の状態を示している。位置調整は、カメラユニット1を取付受部121cの取付受面121dに沿って移動させることで行う。すると、カメラユニット1は図16中のp方向へ移動することになる。フロントガラス123との間隔はCL3で変わらず、カメラユニット1の光軸位置が上方へ移動し、調整作業が完了する。
【0065】
ここで、カメラケース121のフロントガラス123の表面と最も近い部分とフロントガラス123との間隔をCL4とすると、間隔CL3が間隔CL4よりも大きくなるように、取付受面121dに対する取付面4dの取付位置が規制されている。カメラユニット1はカメラケース121の内部に常に収まった状態であり、フロントガラス123とカメラケース121との間隔CL4より、カメラユニット1の鏡筒4の先端とフロントガラス123との間隔CL3のほうが常に大きい。このため、仮に外部からの振動、衝撃が加わっても、鏡筒4の先端がフロントガラス123に干渉することはなく、干渉による光学性能の劣化が起きる可能性は少ない。
【0066】
このように本実施形態では、フロントガラス123と鏡筒4の先端との位置関係を一定に保ちつつ、簡単にカメラユニット1の光軸位置を調整することができる。
【0067】
<第3の実施形態>
第3の実施形態について、図17を用いて説明する。上述の各実施形態では、取付部4cを取付受部21c、121cにねじ91により固定する構成について説明した。これに対して本実施形態では、取付部4cを取付受部21cに接着剤により固定するようにしている。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態又は第2の実施形態と同様であるため、重複する説明及び図示は、省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、以下の説明では、第1の実施形態の構成を元に説明しているが、第2の実施形態にも同様に本実施形態を適用可能である。
【0068】
図17に示すように、本実施形態のカメラ筐体6の取付部4cには、係合部としての長孔部104fが形成されている。長孔部104fは、取付部4cを貫通し、カメラユニット1のカメラケース21に対する取付位置を変更可能な方向、即ち、上下方向に長い貫通孔である。また、本実施形態では、カメラユニット1をカメラケース21に固定する固定手段を接着剤としている。このため、長孔部104fは、接着剤を溜める接着剤溜りとして機能する。即ち、取付面4dを取付受面21dに当接させた状態で、長孔部104fに接着剤を充填することで、取付部4cを取付受部21cに固定する。この際、接着剤を長孔部104fに充填することで、接着剤が他の部位に流れにくくしている。また、長孔部104f内で接着剤を固化することで、固化した接着剤が長孔部104fと係合するような状態となり、より強固に固定が可能となる。なお、第1の実施形態の溝部4fを長孔部104fに置き換えて、長孔部104fを介してねじ91により固定するようにしても良い。
【0069】
<他の実施形態>
カメラユニット1の固定方法は、上述のような、ねじ、接着剤以外の手段でもよく、例えば板バネ部材のような別部品を追加してその付勢力を利用するものであっても良い。即ち、固定手段及び係合部は、カメラユニット1のカメラケース21、121に対する取付位置を所定の範囲で変更しても固定手段による固定が可能なように構成されていれば良い。したがって、例えば、クリップのようなもので、取付部と取付受部と挟むことで固定するようにしても良い。
【0070】
また、カメラ筐体6の取付部4cは、カメラ筐体6の羽場方向側面に張り出した形状をしているが、この形状に限らず、カメラ筐体6の上下方向面に形成してもよい。また、鏡筒4の筒状の形状の一部で形成してもよい。
【0071】
さらに望ましくは、上記実施例で示した同様の効果が得られるのであれば、異なる形態によってもよい。例えば、別部品を追加して複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよいし、上記実施形態の構成の一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1・・・カメラユニット
2・・・光学ユニット
3・・・撮像基板
4・・・鏡筒
4c・・・取付部
4d・・・取付面
4e・・・ガイド面(規制部)
4f・・・溝部(係合部)
5・・・ベース部
11・・・レンズ(光学部品、第2のレンズ)
12・・・レンズ(光学部品、第1のレンズ)
13・・・レンズ(光学部品、第3のレンズ)
15・・・撮像素子
15a・・・受光面(撮像面)
21、121・・・カメラケース
21c、121c・・・取付受部(支持壁部)
21d、121d・・・取付受面
21e、121e・・・ガイド部
21f、121f・・・ねじ孔
91・・・ねじ(固定手段)
100・・・車載カメラ(撮像装置)
104f・・・長孔部(係合部)
210・・・ケース部
211・・・本体壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18