(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041377
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】パワー基板およびそれを用いた空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20230316BHJP
F24F 1/24 20110101ALI20230316BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230316BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20230316BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20230316BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20230316BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
F24F1/24
H01L23/12 Z
H01L25/04 C
H01L23/36 Z
H01L23/46 Z
H05K7/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148724
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェッサダゴーン ティチプンデッチャ
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
5H770
【Fターム(参考)】
5E322AA03
5E322AA11
5E322AB01
5E322AB02
5E322AB08
5E322FA04
5F136CB06
5F136DA27
5H770AA21
5H770BA05
5H770CA02
5H770DA03
5H770PA12
5H770PA21
5H770PA45
5H770QA01
5H770QA02
5H770QA06
5H770QA22
5H770QA27
5H770QA40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】放熱を良好に行うパワー基板及びそれを用いた空気調和機の室外機を提供する。
【解決手段】室外機の機械室に配置される固定板210を有する電装品モジュール200において、パワーデバイス274が搭載されたパワー基板270は、パワーデバイス274に接続される第1のパターンと、第1のパターンと繋がっていない第2のパターンと、第1のパターンと第2のパターンの間を繋ぎ、パワー基板の基板面より突出するジャンパと、を備え、ジャンパをヒートシンク310と熱的に接続することで放熱を良好に行う。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーデバイスが搭載されたパワー基板において、
前記パワーデバイスに接続される第1のパターンと、
前記第1のパターンと繋がっていない第2のパターンと、
前記第1のパターンと、前記第2のパターンとの間を繋ぎ、前記パワー基板の基板面より突出するジャンパと、
を備えることを特徴とするパワー基板。
【請求項2】
前記ジャンパにおいて、前記第1のパターンと、前記第2のパターンとの間に架け渡される導体部の表面積は、前記第1のパターンに前記ジャンパが接続される接続部と、前記第2のパターンに前記ジャンパが接続される接続部をつないで形成される面の面積よりも広い、
ことを特徴とする請求項1に記載のパワー基板。
【請求項3】
前記ジャンパは少なくともその表面が金属で形成される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のパワー基板。
【請求項4】
前記パワーデバイスは、冷却器に熱的に結合され、
前記冷却器、前記第1のパターンおよび前記ジャンパは、前記パワー基板の同一の基板面に備えられる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のパワー基板。
【請求項5】
前記パワー基板は、冷媒配管を有する空気調和機の室外機に取り付けられる基板であり、
前記冷却器は、前記冷媒配管の一部に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載のパワー基板。
【請求項6】
前記ジャンパは、前記冷却器に熱的に結合される、
ことを特徴とする請求項4または5に記載のパワー基板。
【請求項7】
前記ジャンパは、前記第1のパターンと、前記第2のパターンとが所定の距離をおいて互いに隣り合う箇所に設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のパワー基板。
【請求項8】
平滑コンデンサが搭載されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のパワー基板が取り付けられる空気調和機の室外機であって、
前記パワー基板は、
前記室外機が水平面上に設置されたとき、前記基板面が鉛直方向に平行、かつ、前記平滑コンデンサが、前記ジャンパの上方に位置するように配置される、
ことを特徴とする空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、パワー基板およびそれを用いた空気調和機の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室外機では、設置スペースの抑制のために電装部においても小型化が求められる。この電装部を小型化するためには、電装部に含まれるパワー基板の基板面積を小さくすることが有効で、そのためには基板面に搭載するIPM(Intelligent Power Module)などのパワーデバイスも小型のものが望ましい。
【0003】
電装部の小型化のためにパワー基板の基板面積を小さくすると、基板自体の放熱量が小さくなることが問題となる。このように基板面積を小さくした場合でも放熱性を確保する従来技術としては、電解コンデンサの端子とパワーデバイスの端子とを接続する金属体を設け、この金属体に放熱部を設ける技術が知られている。これによれば、基板面積を多く占有することなく、パワーデバイスにより発生する熱を放熱できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術は、近年開発が進む小型のパワーデバイスに対応したものではなく、放熱が十分に実施されているとは言えない。例えば、パワーデバイスが小型になると、パワーデバイスにおけるピン間の距離が小さくなり、ピンに接続されるパターンの幅が狭くなる。このようにパターンの幅が狭くなる場合、電気抵抗が大きくなることでパターンの発熱量が大きくなるとともに、パワーデバイスやパターンの発熱に対しパターンからの放熱量が小さくなることが問題となる。こうした問題は、特に大電流が流れるパワー基板において顕著となる。
【0006】
そこで、本開示では、放熱を良好に行うことができるパワー基板およびそれを用いた空気調和機の室外機を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によるパワー基板は、パワーデバイスが搭載されたパワー基板において、パワーデバイスに接続される第1のパターンと、第1のパターンと繋がっていない第2のパターンと、第1のパターンと、第2のパターンとの間を繋ぎ、パワー基板の基板面より突出するジャンパと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
放熱を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる室外機の斜視図である
【
図2】
図2は、実施形態にかかる室外機のサービスパネルを取り外した状態の斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる室外機の機械室から電装品モジュールを取り外した状態の斜視図である。
【
図4】
図4は、電装品モジュールと冷却器の展開斜視図である。
【
図5】
図5は、上フレームと下フレームを仕切板へ取り付ける取付説明図である。
【
図6】
図6は、電装品モジュールの縦断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかる室外機の天面パネルを取り外した平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態にかかる室外機の右側面パネルを取り外した右側面図である。
【
図12】
図12は、パワー基板のIPM素子、ジャンパおよび出力端子付近の正面拡大図である。
【
図13】
図13は、
図12におけるIPM素子、ジャンパおよび出力端子を取り外した状態の正面拡大図である。
【
図14】
図14は、パワー基板のジャンパ付近の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態にかかるパワー基板およびそれを用いた空気調和機の室外機を説明する。実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の実施形態で説明するパワー基板およびそれを用いた空気調和機の室外機は、一例を示すに過ぎず、実施形態を限定するものではない。また、以下の各実施形態は、矛盾しない範囲内で適宜組みあわせてもよい。
【0011】
図1~
図3、
図8、
図9に実施形態にかかる室外機100を示す。この室外機100は、空気調和機において室外に設置されるものである。室外機100と、室内に設置される室内機とは、冷媒配管30によって接続され、蒸気圧縮式冷凍サイクルを形成している。
【0012】
例えば、室外機100は、室外空気と冷媒を熱交換する室外熱交換器11、送風ファン11F、冷媒を圧縮する圧縮機12、流入した冷媒を気液分離するアキュムレータ15などを備える。また、室外機100には、潤滑油および冷媒の混合流体から潤滑油を分離する油分離器、流入した冷媒を膨張させて所定の圧力に減圧させる膨張弁、暖房運転と冷房運転を切り替える四方弁なども設けられている。
【0013】
室内機側には、室内空気と冷媒を熱交換する室内熱交換器、送風ファンなどが設けられている。そして、冷媒配管30は、これら室外熱交換器11、圧縮機12、油分離器、膨張弁、アキュムレータ15、四方弁および室内熱交換器を接続している。
【0014】
室外機100の筐体110は、正面パネル111、その正面パネル111の右横のサービスパネル112、右側面パネル113、左側面パネル114、天面パネル115、背面パネル116、底面パネル117を備える。底面パネル117には、スタンド118が取り付けられている。
【0015】
この筐体110は、仕切板119によって、正面パネル111の奥側が熱交換器室110Aになり、サービスパネル112の奥側が機械室110Bになるように、左右方向に区画されている。この仕切板119は、機械室110Bの壁面の一部を構成している。そして、熱交換器室110Aには、室外熱交換器11や送風ファン11Fが配置されている。
【0016】
また、機械室110Bには、冷媒配管30、圧縮機12、膨張弁、アキュムレータ15、サブアキュムレータ15A、四方弁などが収容されている。機械室110Bは、サービスパネル112を取り外すことにより、室外機100の正面側から視認可能となっている。
【0017】
200は電装品モジュールであり、
図4~
図9に示すように、正面がサービスパネル112の裏面と対面するよう機械室110Bに配置される固定板210と、固定板210の上部が取り付けられる長尺形状の上フレーム220と、固定板210の下部が取り付けられる長尺形状の下フレーム230とを備える。
【0018】
また、電装品モジュール200は、上フレーム220を仕切板119に取り付ける取付金具240と、下フレーム230を仕切板119に取り付ける取付金具250と、メイン基板260と、パワー基板270とを備える。メイン基板260は、制御回路の一部を構成する電子部品やその他の電子部品が搭載されるプリント基板である。パワー基板270は、制御回路の残りの部分を構成する電子部品やその他の電子部品、後述する複数のパワーデバイス274が搭載されるプリント基板であり、両面基板が用いられる。このメイン基板260、パワー基板270に搭載される電子部品はあくまで一例であり、適宜変更可能である。
【0019】
上記のように、電装品モジュール200のプリント基板はメイン基板260とパワー基板270に分割されている。メイン基板260は、裏面260bが固定板210の正面211aに対面するように固定板210に搭載される(
図4参照)。パワー基板270は、裏面270bが固定板210の裏面211bに対面するよう固定板210に搭載される(
図4参照)。
【0020】
300は冷却器であり、後述するように液側冷媒配管30LのU字折曲部31が取り付けられた状態で上フレーム220と下フレーム230に跨るように(
図6参照)、その上フレーム220と下フレーム230に取り付けられる。
【0021】
固定板210は、本体部211と、その本体部211の上端から裏面211bの方向に90度に折り曲げられた補強用の上横片212と、その上横片212の後端から上方に90度に折り曲げられた取付用の上縦片213とを備える。本体部211には、正面211aにメイン基板260が搭載され裏面211bにパワー基板270が搭載される。
【0022】
また、固定板210は、本体部211の下端から正面211aの方向に90度に折り曲げられた補強用の下横片214と、その下横片214の前端から下方に90度に折り曲げられた下縦片215とを備える。この下縦片215の両端には下方に突出させた取付部215aが形成されている。
【0023】
上フレーム220は、固定板210の上縦片213にネジ止めされる縦片221と、この縦片221の上端から後方に90度に折り曲げられた補強用の横片222と、縦片221の左端から前方に向けて45度に折り曲げられた取付片223とを備える。224は冷却器300が取り付けられる端部である。
【0024】
下フレーム230は、下縦片231と、下縦片231の上端から後方に90度に折り曲げられた上横片232と、上横片232の奥端から上方に90度に折り曲げられた補強用の上縦片233と、下縦片231の左端から前方に向けて45度に折り曲げられた取付片234とを備える。下縦片231は、固定板210の下縦片215にネジ止めされる。そして、下縦片231の正面側には端子板400が取り付けられる。235は冷却器300が取り付けられる端部である。
【0025】
冷却器300は、パワー基板270の正面270aに搭載された後述する複数のパワーデバイス274に熱的に結合されるアルミニウム製のヒートシンク310と、このヒートシンク310に形成された断面が半円形状の2個の溝311に嵌め込まれた液側冷媒配管30LのU字折曲部31と、このU字折曲部31をヒートシンク310に固定するための板金製のカバー320とで構成されている。
【0026】
ヒートシンク310は、溝311に加えて、パワーデバイス274が押し付けられて熱的に結合する厚板部312と、この厚板部312の両側に形成されたカバー取付部313、314を有する。カバー320は、液側冷媒配管30LのU字折曲部31を押圧する中央の押え部321と、この押え部321の一端から折り曲げられたフック部322と、押え部321の他端からフック部322と向き合うように折り曲げられた押え部323とを備える。
【0027】
図10は、メイン基板260の正面図である。
図10に示すように、メイン基板260の正面260aには、前述したように制御回路の一部を構成する電子部品やその他の電子部品が搭載されている。
【0028】
即ち、メイン基板260の正面260aには、AC入力電流検出/温度検出回路261、アクチュエータ駆動回路262、表示設定回路263、メイン制御IC264、EMCフィルタ回路265(EMC:ElectroMagnetic Compatibillity)、スイッチング電源回路266、突入電流制御回路267、コネクタ268などが搭載されている。
【0029】
アクチュエータ駆動回路262は、膨張弁や四方弁等のアクチュエータを駆動するための回路である。表示設定回路263は、表示器としてのLEDランプ263a、操作部としてのディップスイッチ263bおよびボタンスイッチ263cなどを含む。EMCフィルタ回路265は、コモンモードチョークコイル265a、コンデンサ265bを含む外来ノイズおよび自発ノイズの対策用の回路である。スイッチング電源回路266は、スイッチングトランス266aやスイッチングIC266bを有する。
【0030】
260bはメイン基板260の裏面である。260cはメイン基板260の上端、260dはメイン基板260の下端、260eはメイン基板260の左端、260fはメイン基板260の右端である。このメイン基板260は、裏面260bが固定板210の本体部211の正面211aと対面するように、その正面211aに搭載される。
【0031】
図11は、パワー基板270の正面図である。
図11に示すように、パワー基板270の正面270aには、前述したように制御回路の残りの部分を構成する後述する複数のパワーデバイス274を含む電子部品が搭載されている。
【0032】
即ち、パワー基板270の正面270aには、整流用のダイオードブリッジ回路271a、バイポーラトランジスタのゲート部分にMOSFETを組み込み動作抵抗を小さくしたIGBT素子271b(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)が搭載される。また、パワー基板270の正面270aには、高速動作用のFRD素子271c(FRD:Fast Recovery Diode)、力率改善用のPFCコイル271d(PFC:Power Factor Correction)、大電力平滑用のアルミ電解コンデンサ271eが搭載される。このアルミ電解コンデンサ271eは、本発明の平滑コンデンサの一例である。
【0033】
これらダイオードブリッジ回路271a、IGBT素子271b、FRD素子271c、PFCコイル271dおよびアルミ電解コンデンサ271eなどは、外部から供給される交流電力を直流電力に変換して出力するコンバータ回路271を構成する。さらに、パワー基板270の正面270aには、コンバータ回路271から供給される直流電力を交流電力に変換して出力するインバータ回路を構成するIPM素子272(IPM:Intelligent Power Module)、インバータ制御IC273および出力端子275も搭載されている。
【0034】
出力端子275は、パワーデバイス274に含まれるIPM素子272と電気的に接続された端子であり(詳細は後述)、IPM素子272が変換した交流電力を圧縮機12のモータ等へ出力する。この出力端子275には、3相(U、V、W)の交流電力を出力する出力端子275u、275v、275wが含まれる(
図12参照)。
【0035】
270bはパワー基板270の裏面である。270cはパワー基板270の上端、270dはパワー基板270の下端、270eはパワー基板270の左端、270fはパワー基板270の右端である。ダイオードブリッジ回路271a、IGBT素子271b、FRD素子271c、IPM素子272などは、それぞれ発熱の大きなパワーデバイス274であり、左端270eの近傍に冷却器300による冷却がし易いように、縦配列で搭載されている。
【0036】
このパワー基板270は、裏面270bが固定板210の本体部211の裏面211bと対面するように、その裏面211bに搭載される。冷却器300は、複数のパワーデバイス274に対面してそれらに当接される。
【0037】
このパワー基板270は、複数のパワーデバイス274の縦配列のサイズに応じてその上下方向サイズが設定され、そのサイズ内に収まるように、PFCコイル271d、アルミ電解コンデンサ271e、インバータ制御IC273などは配置される。このようにして、パワー基板270の上下方向サイズは複数のパワーデバイス274の縦配列の上下方向サイズに対応して若干大きなサイズに設定される。なお、IGBT素子271bはMOSFET等に置き換えられる場合もある。
【0038】
メイン基板260は、パワー基板270の上下方向サイズに対応して同程度の上下方向サイズに設定される。そして、メイン基板260では、サイズ内に収まるように、AC入力電流検出/温度検出回路261、アクチュエータ駆動回路262、表示設定回路263、メイン制御IC264、EMCフィルタ回路265、スイッチング電源回路266、突入電流制御回路267およびコネクタ268などが搭載される。
【0039】
前述した電装品モジュール200を室外機100の機械室110Bに配置するには、まず仕切板119に斜面241を有する取付金具240と、斜面251を有する取付金具250を予め取り付けておく。そして、電装品モジュール200の配置では、
図5に示すように、上フレーム220の取付片223を取付金具240の斜面241にネジ止めし、下フレーム230の取付片234を取付金具250の斜面251にネジ止めする。これにより、上フレーム220と下フレーム230が、仕切板119に片持ち支持の形で横姿勢で取り付けられる。
【0040】
次に、電装品モジュール200の配置では、
図6に示すように、上フレーム220の縦片221の端部224と下フレーム230の上縦片233の端部235の間に跨るように、冷却器300のヒートシンク310をネジB1、B2で取り付ける。
【0041】
また、電装品モジュール200の配置では、
図7に示すように、ヒートシンク310の溝311に液側冷媒配管30LのU字折曲部31を押し当ててから、カバー320のフック部322をヒートシンク310の一方のカバー取付部313に係合する。次に、電装品モジュール200の配置では、押え部323をヒートシンク310の他方のカバー取付部314に押し付けて、その押え部323をカバー取付部314にネジB3、B4で固着する。この作業は、室外機100の背面パネル116を取り外した状態で行われる。
【0042】
以上によって、上フレーム220の端部224と下フレーム230の端部235の間に跨るように、且つヒートシンク310の厚板部312がサービスパネル112の方向を向くように、冷却器300が取り付けられる。
【0043】
また、電装品モジュール200の配置では、固定板210の本体部211の正面211aにメイン基板260を搭載し、裏面211bにパワー基板270を搭載しておく。そして、これらメイン基板260とパワー基板270が搭載された固定板210は、その上縦片213が上フレーム220の縦片221に、その下縦片215が下フレーム230の下縦片231に合わさるように、ネジB5、B6によって取り付けられる。これにより、室外機100を水平面上に設置した場合、メイン基板260とパワー基板270とは、室外機100の機械室110Bにおいて、基板面が鉛直方向に平行に配置される。
【0044】
このとき、上フレーム220の取付片223が取付金具240によって、下フレーム230の取付片234が取付金具250によって、それぞれ仕切板119に取り付けられている。且つ、上フレーム220の端部224と下フレーム230の端部235が冷却器300によって液側冷媒配管30LのU字折曲部31に固定されている。したがって、固定板210は強固に固定される。
【0045】
また、パワー基板270の複数のパワーデバイス274は、冷却器300のヒートシンク310の厚板部312に対面して押し付けられてそこで熱的に結合が行われる。よって、空気調和機の運転が開始すれば、パワーデバイス274で発生した熱は冷却器300によって冷却される。ヒートシンク310の厚板部312に熱伝導性の高い放熱用グリースを塗布しておけば、熱的な結合がより良好となる。
【0046】
以上のようにして機械室110Bに電装品モジュール200が取り付けられた後に、その電装品モジュール200のメイン基板260のコネクタ268およびパワー基板270の出力端子275に、所要の配線が接続されたプラグが接続され、端子板400に所要の別の配線が接続される。
【0047】
電装品モジュール200が取り付けられた機械室110Bでは、下フレーム230の下縦片231は上横片232によって固定板210よりも正面側に突出し、その下縦片231の正面231aに端子板400が取り付けられるので、端子板400が前方に突出してそこへのアクセスが容易となる。また、機械室110Bでは、下縦片231の裏面231bには広い空間SPができるので、下フレーム230がその空間SPに配置される配管などの邪魔をしなくなる。
【0048】
また、機械室110Bでは、パワー基板270に搭載された複数のパワーデバイス274は、固定板210の裏面211b側において冷却器300に熱的に結合するが、冷却器300に対しては押し付けられているだけである。よって、ネジB5、B6を緩めれば、固定板210、メイン基板260およびパワー基板270は、冷却器300に邪魔されることなく、一体として、機械室110Bの正面から取り外すことが可能となる。このように、機械室110Bでは、メイン基板260とパワー基板270のメンテナンスが容易となる。
【0049】
また、メイン基板260には、その正面260aに、LEDランプ263a、ディップスイッチ263b、ボタンスイッチ263cなどを含む表示設定回路263や複数のコネクタ268を搭載している。このため、室外機100からサービスパネル112を取り外すだけで、空気調和機の設定・動作内容の確認およびその変更や、回路接続の切り替えなどが容易となる。
【0050】
次に、
図12~
図14を参照し、パワー基板270に搭載されたパワーデバイス274に含まれるIPM素子272と、出力端子275(275u、275v、275w)との接続について説明する。
図12は、パワー基板270のIPM素子272および出力端子275u、275v、275w付近の正面拡大図である。
図13は、
図12におけるIPM素子272、ジャンパおよび出力端子275u、275v、275wを取り外した状態の正面拡大図である。なお、
図13における二点鎖線は、取り外す前のIPM素子272、ジャンパおよび出力端子275u、275v、275wを示している。
図14は、パワー基板270のジャンパ付近の斜視図である。
【0051】
図12に示すように、パワーデバイス274に含まれるIPM素子272と、出力端子275との間は、それぞれが機械的に繋がっていない電極配線のパターン281u、281v、281w(本発明の第1のパターン)およびパターン283u、283v、283w(本発明の第2のパターン)が基板面に沿って配置される。そして、パターン281uとパターン283uがジャンパ282uで、パターン281vとパターン283vがジャンパ282vで、パターン281wとパターン283wがジャンパ282wでそれぞれ接続される。つまり、ジャンパは第1のパターンと第2のパターンを繋ぎ、それぞれを電気的、且つ、機械的に接続する。
【0052】
具体的には、IPM素子272において、U相の交流電力を出力する端子272uは、パターン281uに接続されている。同様に、V相の交流電力を出力する端子272vは、パターン281vに接続され、W相の交流電力を出力する端子272wは、パターン281wに接続されている。
【0053】
また、U相の交流電力を外部に出力する出力端子275uには、パターン283uが接続されている。同様に、V相の交流電力を外部に出力する出力端子275vには、パターン283vが接続され、W相の交流電力を外部に出力する出力端子275wには、パターン283wが接続されている。
【0054】
パターン281u、281v、281wは、それぞれ対応する出力端子275u、275v、275wに接続されたパターン283u、283v、283wに向かって基板上を延在するように配置されるが、パターン283u、283v、283wとは直接繋がってはいない。そこで、パターン281u、281v、281wと、パターン283u、283v、283wとは、所定の距離(例えば数cm)をおいて互いに隣り合う箇所で、ジャンパ282u、282v、282wを介して接続される。
【0055】
ジャンパ282u、282v、282wは、少なくとも表面が金属で形成され、大電流を流すことが可能(例えば定格電流が60A)な導電性の部材である。一例として、ジャンパ282u、282v、282wには、材質を銅とし、ニッケル下地スズメッキで表面処理したものを適用できる。
【0056】
図14に示すように、ジャンパ282u、282v、282wは、例えばU字形(V字形などの形状であってもよい)に形成されており、両端部を基板面の接続箇所に取り付けてハンダ等で固定される。すなわち、ジャンパ282u、282v、282wは、基板面に対しては逆U字形に固定される。このため、ジャンパ282u、282v、282wは、パワー基板270の基板面より突出する。
【0057】
パワー基板270では、このように基板面より突出するジャンパ282u、282v、282wを介することで、効率的な放熱を行うことができる。具体的には、パワーデバイス274(例えばIPM素子272)と接続するパターン281u、281v、281wよりジャンパ282u、282v、282wを介してパターン283u、283v、283wに大電流が流れることで生じる熱、または、パワーデバイス274自体が発熱しパワー基板270に伝導した熱の放熱を効率的に行うことができる。
【0058】
図13に示すように、ジャンパ282uの一端側は、パターン281uにおいて、パターン283uと隣り合う端部の接続部281uaに取り付けられる。また、ジャンパ282uの他端側は、パターン283uにおいて、パターン281uと隣り合う端部の接続部283uaに取り付けられる。このため、ジャンパ282uにおいて、パターン281uと、パターン283uとの間に架け渡される導体部(
図14の例ではU字状)の表面積は、パターン281uにジャンパ282uが接続される接続部281uaと、パターン283uにジャンパ282uが接続される接続部283uaをつないで形成される面(ジャンパ282uに対応する二点鎖線部分、例えば接続部281uaと接続部283uaをつなぐためのパターンを形成する銅箔の表面)の面積よりも広くなる。
【0059】
ジャンパ282vの一端側は、パターン281vにおいて、パターン283vと隣り合う端部の接続部281vaに取り付けられる。また、ジャンパ282vの他端側は、パターン283vにおいて、パターン281vと隣り合う端部の接続部283vaに取り付けられる。このため、ジャンパ282vにおいて、パターン281vと、パターン283vとの間に架け渡される導体部(
図14の例ではU字状)の表面積は、パターン281vにジャンパ282vが接続される接続部281vaと、パターン283vにジャンパ282vが接続される接続部283vaをつないで形成される面(ジャンパ282vに対応する二点鎖線部分、例えば接続部281vaと接続部283vaをつなぐためのパターンを形成する銅箔の表面)の面積よりも広くなる。
【0060】
ジャンパ282wの一端側は、パターン281wにおいて、パターン283wと隣り合う端部の接続部281waに取り付けられる。また、ジャンパ282wの他端側は、パターン283wにおいて、パターン281wと隣り合う端部の接続部283waに取り付けられる。このため、ジャンパ282wにおいて、パターン281wと、パターン283wとの間に架け渡される導体部(
図14の例ではU字状)の表面積は、パターン281wにジャンパ282wが接続される接続部281waと、パターン283wにジャンパ282wが接続される接続部283waをつないで形成される面(ジャンパ282wに対応する二点鎖線部分、例えば接続部281waと接続部283waをつなぐためのパターンを形成する銅箔の表面)の面積よりも広くなる。
【0061】
また、ジャンパ282u、282v、282wの取付位置は、鉛直方向と平行に配置されたパワー基板270の基板面において、アルミ電解コンデンサ271eよりも下方(図示例では斜め左下)である。すなわち、アルミ電解コンデンサ271eは、ジャンパ282u、282v、282wの上方に位置するように配置される。
【0062】
また、ジャンパ282u、282v、282wは、前述した冷却器300におけるヒートシンク310と熱的に接続してもよい。具体的には、
図11において二点鎖線で示した冷却器300におけるヒートシンク310の厚板部312が、ジャンパ282u、282v、282wと対面しており、熱伝導性が高く、絶縁性のある放熱用グリース等を介してジャンパ282u、282v、282wと熱的に接続する。
【0063】
また、パターン281uとパターン283u、パターン281vとパターン283v、パターン281wとパターン283wの3組のパターンがそれぞれジャンパで接続されることを説明したが、少なくとも1組のパターンがジャンパで接続されていればよい。例えば、パターン281uとパターン283uがジャンパ282uで、パターン281vとパターン283vがジャンパ282vで接続され、パターン281wとパターン283wはパターンで接続されるようにし、2組のパターンだけがジャンパで接続されるようにしてもよい。
【0064】
以上のように、パワーデバイス274が搭載されたパワー基板270において、正面270aには、パワーデバイス274に接続されるパターン281u、281v、281wと、このパターン281u、281v、281wと繋がっていないパターン283u、283v、283wとを備える。そして、パワー基板270の正面270aには、パターン281u、281v、281wと、パターン283u、283v、283wとの間を繋ぎ、パワー基板270の基板面より突出するジャンパ282u、282v、282wとを備える。
【0065】
これにより、パワー基板270では、パワーデバイス274(例えばIPM素子272)と接続するパターン281u、281v、281wよりジャンパ282u、282v、282wを介してパターン283u、283v、283wに大電流が流れることで生じる熱は、ジャンパ282u、282v、282wに伝導される。そして、ジャンパ282u、282v、282wは、パワー基板270の基板面より突出して基板面から離れ空間に浮いた状態にあることから、パターン281u、281v、281wおよびパターン283u、283v、283wよりも効率よく放熱することができる。すなわち、パワー基板270では、基板面に沿って配置されるパターン281u、281v、281w等でのみ放熱される場合と比較して、放熱を良好に行うことができる。
【0066】
また、ジャンパ282u、282v、282wにおいて、パターン281u、281v、281wと、パターン283u、283v、283wとの間に架け渡される導体部(
図14の例ではU字状)の表面積は、パターン281u、281v、281wにジャンパ282u、282v、282wが接続される接続部281ua、281va、281waと、パターン283u、283v、283wにジャンパ282u、282v、282wが接続される接続部283ua、283va、283waをつないで形成される面(
図13におけるジャンパ282u、282v、282wに対応する二点鎖線部分、例えば接続部281vaと接続部283vaをつなぐためのパターンを形成する銅箔の表面)の面積よりも広い。このように、パターン281u、281v、281wの接続部281ua、281va、281waと、パターン283u、283v、283wの接続部283ua、283va、283waとを繋いで形成される面よりも、パターン283u、283v、283wの導体部の表面積を広くすることで、パワー基板270では、前述した大電流により生じる熱の放熱量を高めることができる。
【0067】
また、ジャンパ282u、282v、282wは、少なくともその表面が金属で形成される。これにより、パワー基板270では、ジャンパ282u、282v、282wの金属で形成された表面より、前述した大電流により生じる熱の放熱を効率的に行うことができる。
【0068】
また、パワーデバイス274は、冷却器300に熱的に結合され、冷却器300、パターン281u、281v、281wおよびジャンパ282u、282v、282wは、パワー基板270の同一の基板面に備えられる。これにより、同一の基板面側にある冷却器300を介して前述した大電流により生じる熱の放熱を行うことができる。
【0069】
また、パワー基板270は、冷媒配管30を有する空気調和機の室外機100に取り付けられる基板であり、冷却器300は、冷媒配管30の一部に取り付けられる。これにより、空気調和機における冷媒配管30を介して冷却器300を冷却することができる。
【0070】
また、ジャンパ282u、282v、282wは、冷却器300に熱的に結合される。これにより、パワー基板270では、冷却器300を介してジャンパ282u、282v、282wを冷却することができ、前述した大電流により生じる熱の放熱を効率的に行うことができる。
【0071】
また、ジャンパ282u、282v、282wは、パターン281u、281v、281wと、パターン283u、283v、283wとが所定の距離をおいて互いに隣り合う箇所に設けられる。このように、パワー基板270では、基板上の配線パターンを跨いで交差させるような部分に用いられるジャンパ282u、282v、282wを、パターン281u、281v、281wと、パターン283u、283v、283wとが所定の距離をおいて互いに隣り合う箇所に設けることで、前述した大電流により生じる熱の放熱を効率的に行うことができる。
【0072】
また、アルミ電解コンデンサ271eが搭載されることを特徴とするパワー基板270が取り付けられる空気調和機の室外機100において、パワー基板270は、室外機100を水平面上に設置したとき、基板面が鉛直方向に平行、かつ、アルミ電解コンデンサ271eが、ジャンパ282u、282v、282wの上方に位置するように配置される。一般に、パターン281u、281v、281wよりジャンパ282u、282v、282wを介してパターン283u、283v、283wに大電流が流れることで生じる熱量は、その抵抗値が十分小さいことから、アルミ電解コンデンサ271eより生じる熱量と比較すると小さくなる。したがって、基板面が鉛直方向に平行、かつ、アルミ電解コンデンサ271eが、ジャンパ282u、282v、282wの上方に位置するように配置することで、より高熱となる部材が上方となることから、いわゆる煙突効果による対流が生じやすくなる。この対流により、パワー基板270では、より効率的な放熱を行うことができる。
【符号の説明】
【0073】
11…室外熱交換器
11F…送風ファン
12…圧縮機
15…アキュムレータ
30…冷媒配管
30L…液側冷媒配管
31…U字折曲部
100…室外機
110…筐体
110A…熱交換器室
110B…機械室
111…正面パネル
112…サービスパネル
113…右側面パネル
114…左側面パネル
115…天面パネル
116…背面パネル
117…底面パネル
118…スタンド
119…仕切板
200…電装品モジュール
210…固定板
211…本体部
211a…正面
211b…裏面
220…上フレーム
230…下フレーム
231a…正面
231b…裏面
260…メイン基板
261…AC入力電流検出/温度検出回路
262…アクチュエータ駆動回路
263…表示設定回路
263a…LEDランプ
263b…ディップスイッチ
263c…ボタンスイッチ
264…メイン制御IC
265…EMCフィルタ回路
265a…コモンモードチョークコイル
265b…コンデンサ
266…スイッチング電源回路
266a…スイッチングトランス
266b…スイッチングIC
267…突入電流制御回路
268…コネクタ
270…パワー基板
270a…正面
270b…裏面
271…コンバータ回路
271a…ダイオードブリッジ回路
271b…IGBT素子
271c…FRD素子
271d…PFCコイル
271e…アルミ電解コンデンサ
272…IPM素子
272u~272w…端子
273…インバータ制御IC
274…パワーデバイス
275、275u~275w…出力端子
281u~281w、283u~283w…パターン
281ua~281wa、283ua~283wa…接続部
282u~282w…ジャンパ
300…冷却器
310…ヒートシンク
311…溝
312…厚板部
313、314…カバー取付部
320…カバー
321、323…押え部
322…フック部
400…端子板
B1~B6…ネジ
SP…空間