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特開2023-41589防草シートおよび防草シートセットと防草シートの固定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041589
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】防草シートおよび防草シートセットと防草シートの固定方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 21/00 20060101AFI20230316BHJP
   E01H 11/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
A01M21/00 A
E01H11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034080
(22)【出願日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2021148778
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519047624
【氏名又は名称】谷川 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100118924
【弁理士】
【氏名又は名称】廣幸 正樹
(72)【発明者】
【氏名】谷川 真也
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121BB28
2B121BB31
2B121EA21
2B121FA12
(57)【要約】
【課題】防草シート同士を接着層で貼り付け、釘などの杭状固定具で固定する場合に、杭状固定具の脇から雑草が伸び出る場合があった。
【解決手段】遮光性のシート本体と、
前記シート本体の裏面に設けられた接着層を有し、
前記接着層は遮光性を有することを特徴とする防草シートは、防草シートを地面に刺し止めで固定しても、杭状固定具の周囲に遮光性を有する接着層が密着するので、経年劣化で防草シートと杭状固定具の間に隙間ができても、太陽光が地面に届かず、雑草の伸びだしを抑制することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮光性のシート本体と、
前記シート本体の裏面に設けられた接着層を有し、
前記接着層は遮光性を有することを特徴とする防草シート。
【請求項2】
前記接着層は、
前記シート本体の少なくとも一辺の縁部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載された防草シート。
【請求項3】
前記接着層は、前記シート本体に直接接する第1の粘着層と、
前記第1の粘着層に直接接する基材と、
前記基材に直接接する第2の粘着層を有し、
前記第1の粘着層と前記基材と前記第2の粘着層の少なくとも1層が遮光性を有することを特徴とする請求項1または2の何れかに記載された防草シート。
【請求項4】
前記基材がクッション性を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一の請求項に記載された防草シート。
【請求項5】
前記接着層の上方に剥離層が配置された請求項1乃至4の何れか一の請求項に記載された防草シート。
【請求項6】
前記剥離層も遮光性を有することを特徴とする請求項5に記載された防草シート。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一の請求項に記載された防草シートと、
前記防草シートの表面と同色若しくは同系色の頭を有する杭状固定具を有することを特徴とする防草シートセット。
【請求項8】
縁部に接着層を有する複数の防草シートを固定する方法であって、
防草シートの縁部を地面に杭状固定具で固定する工程と、
前記固定した部分に重なるように請求項1乃至6の何れか一の請求項に記載された防草シートの接着層を押し当て、貼り付ける工程を有することを特徴とする防草シートの固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雑草の成長を抑制する防草シートに係るものである。
【背景技術】
【0002】
アスファルト舗装や、タイル敷設といった処理を施していない土が露出した地面には、埋め立て、掘り返しといった整地処理を行っても、時間が経過すると雑草が生えてくる。これは、雑草と言われる植物が、多量の種子をまき散らし、日光さえあれば生育するという特性を有することによると言われている。また、雑草は、一度、生えてしまうと、地上部を刈り取っても、根さえあれば何度でも復活する。したがって、雑草を生えさせたくない場所は、定期的な草抜きや土壌の掘り返しといった作業が必要であり、雑草のない状態の維持には、手間がかかる。
【0003】
防草シートは、この手間を省くために開発されたもので、雑草の育成に必要な日光を遮蔽することで、雑草の育成を抑制するものである。しかし、コンクリートブロックのわずかな隙間からでも雑草は生えるように、防草シートの敷設においても、隙間があるとそこから漏れる日光を伝って雑草は生えてくる。したがって、隙間なく防草シートを敷設しなければならない。ところが、防草シートを隙間なく敷設したつもりであっても、雑草は隙間を見つけて防草シートから伸びだしてくる。
【0004】
防草シートを敷設したにも関わらず雑草が生えてくる原因の一つに、防草シート間の隙間から日光が地面に漏れ、その隙間から地上部を伸ばす場合が多い。
【0005】
特許文献1では、柔軟性を有する帯状のシート本体片面の短手方向の一側縁部に沿って接着層を設け、また、前記シート本体の所定位置に複数の固定用孔を設けて防草シートAを成形し、施工面に、前記防草シートを接着層が上面に位置するようにして敷設すると共に複数の固定用孔へ固定具を打込んで防草シートA(A1)を固定し、次に、後の防草シートA(A2)の一側縁部を先の防草シートA(A1)の接着層上面に重合させて互いに張り合わせ、前記重合部分を含め後の防草シートA(A2)に設けられた各固定用孔へ固定具を打ち込むようにした防草シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-033032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、防草シートの一側縁部に沿って接着層を設け、隣接する防草シート同士を縁部で接着している。したがって、敷設時の防草シート同士の隙間はない状態にすることができる。しかし、特許文献1では、防草シート自体に固定用孔が設けられており、ここから雑草が防草シート表面に伸び出てくる。さらに、固定用孔がない部分でシート同士を重ねて釘打ち固定すると、釘打ちした際のシートと釘の間のわずかな隙間の光を求めて雑草が生えてくるという課題があった。これは、防草シートに釘やアンカーピンなどを打ち込むということは、防草シートを引き裂くことになり、引き裂かれた隙間から漏れる光を目指して雑草が育成するためと考えられた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みて想到されたものであり、防草シートを単独若しくは重ねて杭状固定具で固定しても、防草シートと杭状固定具の間の隙間から雑草が生えてこない防草シートを提供するものである。
【0009】
より具体的に本発明に係る防草シートは、
遮光性のシート本体と、
前記シート本体の裏面に設けられた接着層を有し、
前記接着層は遮光性を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る防草シートの固定方法は、
縁部に接着層を有する複数の防草シートを固定する方法であって、
防草シートの縁部を地面に杭状固定具で固定する工程と、
前記固定した部分に重なるように、縁部に接着層が設けられた他の防草シートの前記接着層を押し当て、貼り付ける工程を有することを特徴とする。
【0011】
また、上記の防草シートと、前記防草シートの表面と同色若しくは同系色の頭を有する杭状固定具を有する防草シートセットも提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る防草シートは、接着層自体に遮光性を付与しているので、仮に経年による応力付与によりシート本体と杭状固定具の間に隙間ができたとしても、接着層が杭状固定具の周囲に存在し、その接着層自体が遮光するので、防草シートを地面に杭状固定具で刺し止めした時に、刺し止めしした部分から雑草が伸びだすということがない。
【0013】
また、防草シートの縁に接着層が設けられることで、防草シート自体の強度が増し、破れにくく、また剥がれにくい防草シートを提供することができる。
【0014】
また、基材がクッション性を有すれば、被接着面が凹凸を有する場合であっても、好適な接着力を発揮できる。さらに接着層が基材の両面に粘着層を有する両面テープであった場合は、防草シート本体に凹凸がある場合であっても、両面テープと防草シート間の接着力を高くすることができ、防草シート本体の加工の自由度を高くすることができる。
【0015】
また、防草シート同士を接着する場合でも、接着層から地面側に光が漏れることがなく、雑草の伸びだしを防止することができる。
【0016】
また、本発明に係る防草シートの固定方法は、防草シートを地面に刺し止めしておいてから、他の防草シートの接着層で刺し止めした部分を覆うので、敷設の際に利用した杭状固定具を隠すことができる。
【0017】
また、本発明に係る防草シートセットには、防草シートの表面の色と頭の色を合わせた杭状固定具が含まれるので、防草シートの固定の際に杭状固定具の頭が防草シート表面に残ったとしても、目立たなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る防草シートの構成を示す図である。
図2】防草シートの縁部の断面図である。
図3図3(a)はロール状、図3(b)はテープ状、図3(c)はパッチ状のそれぞれ防草シートを例示する図である。
図4図4(a)は、本発明に係る防草シートを地面に杭状固定具で固定した際の断面図を示し、図4(b)は、経年後の断面状態を示している図である。
図5図5(a)は基材がクッション性を有する場合、図5(b)は基材がクッション性を有しない場合に異物を噛みこんだ時の接着状態を示す図である。
図6】防草シートを敷設する際の手順を示す流れ図である。
図7】防草シートを敷設する他の手段を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明に係る防草シートおよび杭状固定具と防草シートの固定方法について図面および実施例を示し説明を行う。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態および一実施例を例示するものであり、本発明が以下の説明に限定されるものではない。以下の説明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変することができる。
【0020】
<防草シートの構成>
図1に本発明に係る防草シートの構成を示す。本発明に係る防草シート1は、シート本体10と接着層12を有する。シート本体10は、遮光性および透水性を有するシートである。シート本体10の大きさや形状は、特に限定されない。すなわち、シート状、ロール状、テープ状、パッチ状(シール状)といった文言で想起される大きさや形状に限定されなくてもよい。シート本体10は、使用される際は、枚葉状態で使用される。しかし、販売時にはロール状で提供されてもよい。
【0021】
また、シート本体10は、遮光性を持たせるため、貫通孔は設けられていない。シート本体10にとって、遮光性は雑草の育成を抑制するために必要であり、透水性は、地面に水分を吸わせるために必要である。例えば、透水性が全くなければ、雨が降った際に、地面に雨水が浸透せず、防草シートを敷設した近隣の他の樹木の生育に影響が及ぶおそれもある。また、大きな面積で雨水が地面に浸透しないと、洪水発生の恐れもある。
【0022】
したがって、シート本体10は不織布や織物で形成される場合が多い。しかし、ビニールシートやゴム引きの織物シートといった、透水性の全くない物を排除するものではない。防草シートの敷設面積が狭い場合は、透水性はなくてもよい場合もあるからである。
【0023】
シート本体10は、裏表があってもよい。ここで、裏面10rとは、敷設された際に地面側に予定される面をいい、表面10sとは、その反対側の面を言う。裏表には素材、模様などの違いがあってもよい。また、両面に違いがなく裏表が区別されなくてもよい。また、本明細書では、「上」は、シート本体10の厚み方向の中心から離れる方向をいい、「下」はシート本体10の外側からシート本体10の表面10s(若しくは裏面10r)に向かう方向をいう。
【0024】
シート本体10は、使用される際には枚葉状態となるので、縁部10tを有する。縁部10tは、シート本体10の端面10eから所定長さ分だけシート本体10の中心側に向かう領域をいう。縁部10tにおいて、端面10eからシート本体10の中心に向かう部分を幅10twと呼び、一方の端面10eから他方の端面10eに向かう方向を長さ10tvと呼ぶ。縁部10tの幅である所定長さ分は、1cm~20cm程度の幅10twである。なお、縁部10tの幅10twが所定の長さ分だけ確保できない場合は、幅10tw方向における端面10eから端面10eまでの1/4を幅10twとしてよい。
【0025】
図1では、縁部10tを2カ所示し、端面10eを2カ所示したが、シート本体10には、4カ所の端面10eがあり、縁部10tは裏面10rに4カ所、表面10sに4カ所ある。また、図1では、縁部10tは短冊状となるが、縁部10tは曲線状であってもよい。
【0026】
接着層12はシート本体10の少なくとも1カ所の縁部10tに設けられる。この際、表面10sと裏面10rのどちらに設けてもよい。また、両方に設けられていてもよい。この際、シート本体10の端面10eに沿って、縁部10tの一方の端から他方の端まで長さ方向に形成されるのが望ましい。他の防草シート1と接着する際に、縁部10tにおいて未接着の部分が生じないためである。しかし、途中が切れていたり、シート本体10の隅の部分に接着層12が設けられていない場合を排除するものではない。また、シート本体10の表面10s若しくは裏面10rの全面に接着層12が設けられていてもよい。
【0027】
接着層12は、少なくとも1カ所の縁部10tに設けられていればよいので、複数の縁部10tやシート本体10の全周に設けられていてもよい。また、1カ所の縁部10tは、縁部10tの一部であってもよい。シート本体10が角のない、円形状若しくは楕円状である場合は、縁部10tは1カ所しかないともいえる。このような場合、接着層12は、縁部10tの一部にあればよい。
【0028】
接着層12をシート本体10の縁部10tだけに設ける場合(シート本体10の表面10s若しくは裏面10rの全面に設けない場合)は、接着層12の幅12wは、5cm~15cm程度が好ましく、より好ましくは8cm~12cm程度であるのがよい。シート本体10同士を重ねて接着する際に接着しやすく、また、シート本体10同士の接着に失敗し、接着部分に皴がはいっても、この程度の幅があれば、隙間なく接着することができる。なお、接着層12は、本発明の防草シート1では、基本的には裏面10r(地面と対向する面)に設けられる。ただし、表面10sに接着層12が設けられていてもよい。
【0029】
図2には、防草シート1の縁部10tの断面図を示す。接着層12は、シート本体10の裏面10rに設けられる。図2では紙面上側が地面側となる。シート本体10の上側には第1粘着層14、基材16、第2粘着層18、剥離層20が配置される。また、第1粘着層14、基材16、第2粘着層18は、互いに直接接している。第1粘着層14は、シート本体10の裏面10rに直接接している。なお、剥離層20と接着層12の最上面の粘着層(ここでは第2粘着層18)の間に他の層が形成されることを排除しない。
【0030】
第1粘着層14および第2粘着層18は、粘着性のある材料である。例えば、粘着層としては、慣用の粘着剤が利用できる。例えば、ブチルゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム等のゴム系粘着剤、アスファルト系粘着剤、アクリル系粘着剤、オレフィン系粘着剤などが挙げられる。これらの粘着剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0031】
基材16は、接着層12に強度を付与する。繊維構造体や、高分子シートが好適に利用することができる。特に黒色に着色した高分子シートは強度を備え、また、裂けにくいので、好適である。基材16にクッション性を付与する場合は、エチレンプロピレンジエンゴム系素材やポリエチレンやポリウレタンなどの樹脂材の発泡体等が好適に用いられる。これらの材料は厚み方向に弾性力を有するので、被接着面の凹凸に追従させることができる。その結果、被接着面に対する接着面積を増やすことができ、強く接着させることができる。なお、接着層12は1つの粘着層だけで構成されていてもよい。すなわち、シート本体10の裏面10r上に粘着層が形成され、その上に剥離層20が配置される構成であってもよい。
【0032】
剥離層20は、接着層12の最上面の粘着層に剥離可能に配置されているものである。剥離層20を剥がす際に、最上面の粘着層(図2の場合は第2粘着層18)を剥離層20に付着させることがない。また、剥離層20自体が強度を有する繊維構造体や、高分子シートであってもよい。後述するように、剥離層20は、そのまま残して地面に杭状固定具30(図3参照)で固定される場合がある。その際に、シート本体10の縁部10tの強度を高め、シート本体10が端から裂けるといった支障を回避することができる。また、剥離層20が遮光性を有していてもよい。なお、防草シート1がテープ状で供給される場合は、剥離層20はなくてもよい。
【0033】
本発明に係る防草シート1では、接着層12には遮光性が付与されている。すなわち、接着層12が1つの粘着層だけで構成されている場合は、粘着層が遮光性を有する。また、図2の場合のように、粘着層と基材で構成されている場合は、少なくとも粘着層か基材のいずれかが遮光性を有する。図2のように、2つの粘着層(第1粘着層14と第2粘着層18)と1つの基材16で構成されている場合も、2つの粘着層と1つの基材のうちの少なくとも1層が遮光性を有する。
【0034】
特に基材が遮光性を有していれば、粘着層は透過性を有していてもよい。粘着層に遮光性を付与しようとすると、フィラ等の遮光剤を含有させる必要がある。しかし、粘着層にフィラを入れると、粘着層自体の接着性が低下する。一方、遮光性のある基材の裏表に透過性を有する粘着層を配置すれば、粘着層はフィラを含有させる必要がなく、接着層としての遮光性も接着性も確保することができる。
【0035】
図3には、本発明が提供できる防草シート1のバリエーションの一部を例示する。図3(a)は、ロール状での防草シート1を表す。シート本体10の裏面10rに接着層12が設けられ、接着層12の上側に剥離層20が設けられた長尺物をロールに巻いたものである。なお、接着層12は、シート本体10の裏面10r全面に設けられている場合を示す。
【0036】
図3(b)は、テープ状として提供された場合を示す。ロールとテープの相違点は大きさだけである。テープ状で提供される場合は、剥離層20はなくてもよい。通常の接着テープのように、巻き出しながら使用することができる。特に防草シート1同士の接着の際に用いることができる。また、シート本体10の軽微な破れ等の修理の際に用いる。
【0037】
図3(c)はパッチ状で提供された場合を示している。シート本体10の裏面10rに接着層12が設けられ、剥離層20が覆っている。使用時には剥離層20を剥離して使う。本発明は少なくとも枚葉状態のシートだけでなく、図3に示した形態として提供することができる。なお、図3各図はシート本体10の裏面10r全面に接着層12を設けた場合を示したがシート本体10の縁部10tにだけ接着層12が設けられていてもよい。
【0038】
<防草シートの作用>
図4(a)は、本発明に係る防草シート1を地面に杭状固定具30で固定した際の断面図を示す。ここで、地面とは、ブロック、アスファルトや壁であってもよい。杭状固定具30は、先端が尖った固定具であればよい。具体的には、アンダーピン、釘といった棒状の物だけでなく、ステープル状のように、先端が複数ある物であってもよい。すなわち、地面に合わせて適宜選択してよい。
【0039】
杭状固定具30は、シート本体10および接着層12と剥離層20を通して地面に穿設される。この際接着層12は、粘着層(14、18)を含むため、杭状固定具30の周囲に密着する。また、接着層12中の第1粘着層14および第2粘着層18は、基材16も杭状固定具30の周囲に密着させる。
【0040】
図4(b)は、経年後の断面状態を示している。防草シート1のシート本体10は、風などによって表面がひっぱられ、杭状固定具30の周囲に隙間40が形成される。この際、接着層12(第1粘着層14(図2参照))が露出する場合がある。この状態になると、接着層12を通して地面に光が漏れるおそれがある。防草シートを固定する杭状固定具の脇部分から経年後に雑草が生え出てくる場合があるのは、このためである。
【0041】
しかし、本発明に係る防草シート1では、遮光性を有する基材16(図2参照。)を、遮光性を有する粘着層が上下から杭状固定具30に密着させるので、隙間40の形成を防止することができ、この杭状固定具30の周囲にできる隙間40を通して光が地面に届くことはない。この際、第1粘着層14、第2粘着層18と基材16の全てが遮光性を有していることが望ましいが、少なくとも1層が遮光性を有していてもよい。また、接着層12を粘着層だけで構成した場合は、粘着層が遮光性を有することが必要である。
【0042】
図5を参照する。図5では接着層12が第1粘着層14、第2接着層18と基材16という構成で、直接被接着面(ここでは地面)に接着した場合を示している。また、図5(a)は、基材16がクッション性を有する場合を示し、図5(b)は基材16がクッション性を有していない場合を示している。
【0043】
図5(b)を参照して、基材16がクッション性を有していない場合は、被接着面上の異物50を接着時に噛みこんだ場合、異物50周囲の接着層12が持ち上がる。このような状況になると、接着面積が少なくなり、防草シート1と被接着面に接着力が低下する。
【0044】
一方、図5(a)のように基材16がクッション性を有していると、異物50の部分の基材16が変形し、異物50の周囲にまで接着面を形成することができる。結果、防草シート1と被接着面(地面)との接着力の低下を抑制することができる。
【0045】
また、被接着面上の凹凸に対する接着力の低下を抑制するという観点からは、シート本体10と接着層12との接着についても同様の事がいえる。例えば、シート本体10の強度を高めるために、シート本体10に線維等を含有させ、そのためにシート本体10の表面に凹凸が生じた場合は、接着層12からみればシート本体10が凹凸のある被接着面となる。しかし、基材16がクッション性を有していれば、そのようなシート本体10に対しても好適に接着することができる。
【0046】
<防草シートセット>
再度図4を参照する。杭状固定具30の頭30aは、防草シート1と同色若しくは同系色にするのがよい。杭状固定具30の頭30aが防草シート1の表面10sの色にまぎれ、目立たなくすることができるからである。したがって、防草シート1の販売に際して、防草シート1と、頭30aが防草シート1の表面10s色と同色若しくは同系色である杭状固定具30とを一緒にした防草シートセットを提供することができる。なお、ここで同色若しくは同系色にするとは、杭状固定具30の頭30aを防草シート1の表面10sと同色若しくは同系色の色で塗装することはもとより、防草シート1自体を杭状固定具30の頭30aに沿って切り取り、それを頭30aに貼り付けてもよい。
【0047】
<使用方法のバリエーション>
図6には、本発明に係る防草シート1同士をつなぎ合わせて使用する場合の接合部分の状態を説明する。まず、防草シート1Aを地面の所定の位置に敷く(図6(a))。次に、防草シート1Bの接着層12Bが施された縁部10tを防草シート1Aの縁部10tに重ねる(図6(b))。そして、防草シート1Bの剥離層20Bを剥がしながら、防草シート1Aと防草シート1Bを接着してゆく(図6(c))。そして、杭状固定具30で、2つの防草シート1A、1Bが接着された接着領域を地面と固定する(図6(d))。
【0048】
この構成であれば、杭状固定具30の周囲には、遮光性を有する接着層12が2層分(12A、12B)形成されるので、防草シート1A若しくは防草シート1Bと杭状固定具30の周囲に隙間ができたとしても、遮光性のある接着層が光を遮るので、雑草の伸びだしを抑制することができる。
【0049】
図7には、他の防草シート1の敷設例を示す。図7では、まず、地面に防草シート1Aを敷く。次に接着層12Aが配された縁部10tを杭状固定具30で固定する(図7(a))。その後に、防草シート1Bの接着層12Bが施された縁部10tを防草シート1Aの固定した部分に重ねる(図7(b))。そして、剥離層20Bを剥がしながら防草シート1Aに防草シート1Bを貼り付けていく(図7(c))。
【0050】
この構成であれば、防草シート1Aを杭状固定具30で固定した部分が他の防草シート1Bで覆われるため、そもそも、固定した杭状固定具30と防草シート1Aの間にできる隙間40から光が漏れることがない。したがって、杭状固定具30の脇部分から雑草が伸びだすという現象を回避することができる。なお、防草シート1Aは、本発明の防草シート1でなくてもよい。防草シート1A側と防草シート1Bは防草シート1Bの接着層12Bで接着させることができ、経年後に杭状固定具30と防草シート1Aの間にできる隙間40は、防草シート1Bの接着層12Bが遮光するからである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の防草シートは、雑草の育成防止に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 防草シート
10 シート本体
10s (シート本体の)表面
10r (シート本体の)裏面
10t (シート本体の)縁部
10e (シート本体の)端面
10tw (シート本体の)幅
10tv (シート本体の)長さ
12 接着層
12w (接着層の)幅
14 第1粘着層
16 基材
18 第2粘着層
20 剥離層
30 杭状固定具
30a (杭状固定具の)頭
40 隙間
50 異物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7