(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041677
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】視野を増加させるためのファイバスキャナの座屈モードの作動
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20230316BHJP
H02N 2/12 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
G02B26/10 109Z
H02N2/12
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211638
(22)【出願日】2022-12-28
(62)【分割の表示】P 2021164533の分割
【原出願日】2018-04-03
(31)【優先権主張番号】62/481,497
(32)【優先日】2017-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー マーク ダルリンプル
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー シー. デューナー
(72)【発明者】
【氏名】アルバート ダニエル カーロマグノ
(72)【発明者】
【氏名】シャオヤン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ロバート ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ケー. ジョーンズ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ デイビッド メルヴィル
(57)【要約】
【課題】視野を増加させるためのファイバスキャナの座屈モードの作動の提供。
【解決手段】本願は、光ファイバスキャナシステムおよび関連方法に関する。より具体的には、限定ではないが、本願は、光ファイバが圧電アクチュエータ(圧電器)等の機械的アクチュエータを用いて旋転(whirling)運動において発振される、走査ファイバディスプレイに使用されるような光学ファイバ発振器に関する。本明細書に説明されるのは、ファイバ走査システムおよび光ファイバを走査する方法の実施形態である。開示されるシステムおよび方法は、有利には、光ファイバの一部の座屈を誘発することによって、ファイバ走査システム内の光ファイバのための走査範囲、発振振幅、および/または最大ポインティング角度に対する改良を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
遠位ファイバ端部および近位ファイバ端部を有する光ファイバと、
第1の継手によって前記光ファイバに機械的に結合されている第1の電気機械的変換器であって、前記第1の継手は、第2の継手と前記遠位ファイバ端部との間に位置付けられており、前記第1の電気機械的変換器は、ハブと、前記ハブを囲繞するフレームと、前記フレームと前記ハブとに機械的に結合されている複数の側方電気機械的変換器とを含み、前記光ファイバは、前記ハブを通過し、前記ハブは、前記第1の継手によって前記光ファイバに機械的に結合されている、第1の電気機械的変換器と、
前記第2の継手によって前記光ファイバに機械的に結合されている第2の電気機械的変換器であって、前記第2の継手は、前記第1の継手と前記近位ファイバ端部との間に位置付けられている、第2の電気機械的変換器と、
前記第1の電気機械的変換器および前記第2の電気機械的変換器のうちの少なくとも一方と電気的に連通する電圧源であって、前記電圧源は、複数の電圧を前記第1の電気機械的変換器および前記第2の電気機械的変換器に印加することにより、螺旋経路に従って、前記光ファイバの前記遠位ファイバ端部の配向を変動させるように構成されており、前記複数の電圧は、時間の関数として増加または減少する振幅を伴う正弦波プロファイルを有する第1の電圧と、大きさが周期的に漸増する第2の電圧とを含む、電圧源と
を備える、システム。
【請求項2】
前記遠位ファイバ端部は、拘束されていない、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の電気機械的変換器は、圧電管を備え、前記光ファイバは、前記圧電管の縦軸に沿って前記圧電管を通過する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の電圧は、相互に重畳されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記電圧源による前記第2の電圧の印加は、前記第1の継手と前記第2の継手との間の前記光ファイバを座屈させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記電圧源による前記第2の電圧の印加は、前記第2の電圧がない場合の前記光ファイバの前記遠位ファイバ端部のポインティング角度を越えて前記光ファイバの前記遠位ファイバ端部のポインティング角度を増大させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の電圧の振幅の増加または減少および前記第2の電圧の大きさの漸増は、互いに対して同期されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の電圧の振幅の増加または減少に関連付けられた周波数は、前記第2の電圧の繰り返し周波数にほぼ等しい、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の電圧の正弦波周波数は、前記第2の電圧の繰り返し周波数よりも大きい、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記電圧源による前記第2の電圧の印加は、前記第1の電気機械的変換器または前記第2の電気機械的変換器の遠位端部と、前記第1の電気機械的変換器または前記第2の電気機械的変換器の近位端部との間の前記第1の電気機械的変換器または前記第2の電気機械的変換器の全長の変化をもたらす、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記近位ファイバ端部は、光源に結合されており、前記光源は、前記光源によって生成された電磁放射が前記光ファイバを通して前記近位ファイバ端部から前記遠位ファイバ端部に伝送するためのものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
方法であって、
前記方法は、複数の電圧を光ファイバ走査システムの第1の電気機械的変換器および第2の電気機械的変換器に印加することにより、光ファイバの遠位ファイバ端部の配向を変動させることを含み、
前記光ファイバ走査システムは、
遠位ファイバ端部および近位ファイバ端部を有する光ファイバと、
第1の継手によって前記光ファイバに機械的に結合されている第1の電気機械的変換器であって、前記第1の継手は、第2の継手と前記遠位ファイバ端部との間に位置付けられており、前記第1の電気機械的変換器は、ハブと、前記ハブを囲繞するフレームと、前記フレームと前記ハブとに機械的に結合されている複数の側方電気機械的変換器とを含み、前記光ファイバは、前記ハブを通過し、前記ハブは、前記第1の継手によって前記光ファイバに機械的に結合されている、第1の電気機械的変換器と、
前記第2の継手によって前記光ファイバに機械的に結合されている第2の電気機械的変換器であって、前記第2の継手は、前記第1の継手と前記近位ファイバ端部との間に位置付けられている、第2の電気機械的変換器と、
複数の電圧を印加するために前記第1の電気機械的変換器および前記第2の電気機械的変換器と電気的に連通する電圧源であって、前記複数の電圧は、時間の関数として増加または減少する振幅を伴う正弦波プロファイルを有する第1の電圧と、大きさが周期的に漸増する第2の電圧とを含む、電圧源と
を含む、方法。
【請求項13】
複数の電圧を前記第1の電気機械的変換器および前記第2の電気機械的変換器に印加することは、螺旋経路に従って、前記遠位ファイバ端部の配向を変動させる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電圧源による前記第2の電圧の印加は、前記第1の継手と前記第2の継手との間の前記光ファイバを座屈させる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記電圧源による前記第2の電圧の印加は、前記第2の電圧がない場合の前記光ファイバの前記遠位ファイバ端部のポインティング角度を越えて前記光ファイバの前記遠位ファイバ端部のポインティング角度を増大させる、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年4月4日に出願された米国仮出願第62/481,497号の利益およびそれに対する優先権を主張するものであり、該米国仮出願は、その全体が本明細書中に参照により援用される。
【背景技術】
【0002】
走査デバイスは、典型的には、周波数と引き換えに走査範囲をトレードオフする。一般に、周波数が増加されるにつれて、走査範囲は、減少し、周波数が減少するにつれて、走査範囲は、増加され得る。しかしながら、いくつかの用途では、周波数および走査範囲の両方を増加させることが望ましい。付加的走査システム設計が、走査システムの走査範囲および有用性を改良および拡張させるために必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本願は、光ファイバスキャナシステムおよび関連方法に関する。より具体的には、限定ではないが、本願は、光ファイバが圧電アクチュエータ(圧電器)等の機械的アクチュエータを用いて旋転(whirling)運動において発振される、走査ファイバディスプレイに使用されるような光学ファイバ発振器に関する。光ファイバはさらに、圧縮力の印加によって座屈するように誘発され、座屈は、光ファイバの最大偏向を増加させ、これは、システムの視野を増加させ得る。座屈および旋転の組み合わせは、実施形態では、旋転のみのシステムと比較して、サイズ、形状因子、または周波数を犠牲にせずに、有用な視野の増加を提供することができる。
【0004】
光学走査システムでは、周波数は、分解能およびリフレッシュレートの両方にとって重要であり得、2つの明確に異なる周波数体系が、検討するために有用であり得る。例えば、走査ファイバディスプレイでは、第1の周波数は、ファイバの反復走査が出力視野が変更され得る頻度を決定付け得る、リフレッシュレートに関連し得る。第2の周波数体系は、単一走査内の個々の発振に関連し得、本周波数は、ファイバの非重複運動間の区別の精度およびこれらの運動がファイバの単一走査内で行われ得る速度を決定付けることによって、分解能に影響を及ぼし得る。
【0005】
しかしながら、範囲は、所与のプロジェクタ設計のための視野にとって重要であり得る。例えば、発振ファイバの最大振幅または範囲は、ファイバによって生成され得る出力画像の広さの限界を提供し得る。発振範囲が増加されると、より広い視野が提供され得る。
【0006】
走査デバイスは、それらの小さい形状因子および有用な分解能および視野に起因して、ディスプレイデバイスとして有用であり得る。しかしながら、高走査範囲を伴う高周波数走査デバイスを取得するために、本分野内の革新が要求される。現在説明されている光ファイバ走査システムは、小さい形状因子を維持しながら、改良された視野プロジェクタを可能にする。実施例として、開示される走査システムを走査ファイバディスプレイプロジェクタに組み込むことによって、プロジェクタの視野は、従来の走査ファイバディスプレイデバイスに対して増加され得る。
【0007】
限定ではないが、本願は、光ファイバを備える、光ファイバ走査デバイスまたはシステム等のデバイスおよびシステムを提供する。ある側面では、光ファイバ走査システムは、遠位ファイバ端部および近位ファイバ端部を有する、光ファイバと、座屈力を光ファイバに印加するように構成される、第1の電気機械的変換器等の遠位ファイバ端部と近位ファイバ端部との間の光ファイバに機械的に結合される、第1の電気機械的変換器と、遠位ファイバ端部の旋転を励起するように構成される、第2の電気機械的変換器等の遠位ファイバ端部と近位ファイバ端部との間の光ファイバに機械的に結合される、第2の電気機械的変換器とを備える。実施形態では、遠位ファイバ端部は、制約されず、これは、遠位ファイバ端部が、機械的作動に応答して、側方に偏向することを可能にし得る。
【0008】
随意に、第1の電気機械的変換器および光ファイバを機械的に結合する、第1の継手は、光ファイバの縦軸と平行な軸に沿って第1の軸方向堅度を有する。随意に、第2の電気機械的変換器および光ファイバを機械的に結合する、第2の継手は、光ファイバの縦軸と平行な軸に沿って第2の軸方向堅度を有する。実施形態では、第1の軸方向堅度および第2の軸方向堅度は、第1の継手と第2の継手との間の距離が、5μm未満の最小距離等の特定の距離だけ、1μm~5μmの距離だけ、または、1μm~50μm、5μm~10μm、10μm~20μm、20μm~30μm、40μm~50μm、または50μmを上回るもの等のより大きな距離だけ低減されるとき、光ファイバの座屈を誘発するために十分である。
【0009】
第1の電気機械的変換器および第2の電気機械的変換器のための種々の構成は、本明細書に説明される光ファイバ走査システムとともに有用である。例えば、第1の電気機械的変換器は、随意に、遠位座屈端部および近位座屈端部を有する、座屈圧電器に対応する。光ファイバは、遠位座屈端部、近位座屈端部、または遠位座屈端部および近位座屈端部の両方に機械的に結合されてもよい。実施形態では、座屈圧電器は、圧電管または圧電スタックである。随意に、光ファイバは、圧電管または圧電スタックを通して通過する。座屈圧電器は、1つ以上の電圧の印加によって座屈圧電器の長さを制御するための複数の電極を含んでもよい。例えば、遠位座屈端部と近位座屈端部との間の座屈圧電器の長さを低減させることは、座屈力を光ファイバに印加する。
【0010】
別の実施例では、第2の電気機械的変換器は、遠位管端部および近位管端部を有する、旋転圧電管等の圧電管に対応する。実施形態では、光ファイバは、旋転圧電管を通して通過する。遠位管端部は、旋転遠位継手によって、光ファイバに機械的に結合されてもよい。随意に、光ファイバは、光学走査システムにおいて使用される特定の構成に応じて、遠位管端部、近位管端部、または遠位管端部および近位管端部の両方に機械的に結合される。随意に、遠位ファイバ端部は、遠位管端部を越えて延在し、遠位管端部は、遠位ファイバ端部と近位管端部との間に位置付けられる。実施形態では、近位ファイバ端部は、近位管端部を越えて延在し、近位管端部は、近位ファイバ端部と遠位管端部との間に位置付けられる。随意に、光ファイバは、近位管端部に固定されない。
【0011】
実施形態では、旋転圧電管は、光ファイバの遠位端の旋転を誘発する等のための1つ以上の電圧の印加によって圧電管の遠位管端部の側方偏向を制御するための複数の電極を含む。実施形態では、旋転圧電管は、光ファイバの座屈に適応するために十分な内径を有する。旋転遠位継手は、光ファイバの座屈を誘発するために十分である軸方向堅度等、旋転圧電管の縦軸に沿って軸方向堅度を有してもよい。旋転遠位継手は、座屈の間、光ファイバの側方回転に適応するために十分な側方堅度を有してもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、光ファイバ走査システムはさらに、旋転圧電管および第1の電気機械的変換器に機械的に結合される、支持管を備える。随意に、第1の電気機械的変換器は、支持管の内側に位置付けられる。随意に、第1の電気機械的変換器は、遠位座屈端部および近位座屈端部を有する、座屈圧電器管等、上記に説明されるような座屈圧電器管に対応する。実施形態では、遠位座屈端部は、近位管端部と近位座屈端部との間に位置付けられる。いくつかの実施形態では、光ファイバおよび遠位座屈端部は、座屈遠位継手によって機械的に結合され、縦方向ファイバ軸に沿った座屈遠位継手の移動は、光ファイバの座屈を座屈遠位継手と旋転遠位継手との間に生じさせる。随意に、支持管は、旋転近位継手によって近位管端部に機械的に結合される遠位端と、座屈近位継手によって近位座屈端部に機械的に結合される近位端と等、遠位端および近位端を有する。
【0013】
別の実施例では、第2の電気機械的変換器は、ハブと、ハブを囲繞するフレームと、フレームおよびハブに機械的に結合される、複数の側方電気機械的変換器とを含む。いくつかの実施形態では、光ファイバは、ハブを通して通過し、ハブは、旋転継手によって、光ファイバに機械的に結合される。第2の電気機械的変換器は、随意に、ハブから半径方向に延在し、ハブをフレームに結合する、複数の撓曲部を含む。側方電気機械的変換器は、ハブの側方偏向を制御し、遠位ファイバ端部の旋転を励起するための電極を含む、圧電要素に対応してもよい。例えば、1つ以上の電圧の電極への印加は、圧電要素の長さを修正および制御する。随意に、圧電要素は、シーケンスで作動され、旋転継手を側方回転運動において移動させてもよい。
【0014】
別の実施例では、第1および第2の電気機械的変換器は、組み合わせられてもよい。例えば、第1の電気機械的変換器および第2の電気機械的変換器は、随意に、圧電管(例えば、遠位管端部および近位管端部を有する圧電管等)を備えてもよい。随意に、光ファイバは、圧電管を通して通過し、遠位ファイバ端部は、遠位管端部を越えて延在する。遠位管端部および光ファイバは、遠位継手において機械的に結合されてもよい。近位管端部および光ファイバは、近位継手において機械的に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位継手および近位継手は、圧電管の長さが低減されるとき等、圧電管の縦軸に沿って、光ファイバの座屈を誘発するために十分である、軸方向堅度を有する。随意に、遠位継手は、座屈の間、光ファイバの側方回転に適応するために十分な側方堅度を有する。実施形態では、圧電管は、遠位継手と近位継手との間の光ファイバの座屈に適応するために十分な内径を有する。実施形態では、遠位管端部は、遠位ファイバ端部と近位管端部との間に位置付けられ、近位ファイバ端部は、近位管端部を越えて延在し、近位管端部は、近位ファイバ端部と遠位管端部との間に位置付けられる。
【0015】
実施形態では、圧電管は、圧電管端部の遠位管端部の側方偏向を制御するための、そして1つ以上の電圧の印加等によって圧電管の長さを制御するための複数の電極を含む。随意に、電圧は、相互上に重畳され、同時座屈および旋転を誘発してもよい。例えば、座屈電圧は、複数の電極のそれぞれに同時に印加され、圧電管の長さを縦方向管軸に沿って変化させ、複数の電極に個々に印加される異なる旋転電圧は、螺旋構成等において、遠位管端部を側方に偏向させてもよい。
【0016】
具体的実施形態では、光ファイバ走査システムは、座屈力を光ファイバに印加するように構成される第1の電気機械的変換器等、光ファイバに機械的に結合される第1の電気機械的変換器と、光ファイバの旋転を励起するように構成される第2の電気機械的変換器等、光ファイバに機械的に結合される第2の電気機械的変換器とを備える。
【0017】
旋転および座屈運動は、組み合わせられ、旋転専用ファイバスキャナから利用可能なもの以上に光ファイバスキャナの視野を増加させてもよいことを理解されたい。随意に、座屈力は、周期的に、振幅を漸増させる。随意に、ファイバの旋転振幅は、周期的に、漸増する。随意に、座屈力の漸増および旋転振幅の漸増は、同期される。随意に、圧電器は、上記に説明されるように、電気機械的変換器として使用されてもよい。
【0018】
例えば、光ファイバ走査システムは、圧電管であって、光ファイバがそれを通して通過する、圧電管と、圧電管に機械的に結合される、支持管と、支持管の内側に配置され、光ファイバに機械的に結合される、座屈圧電器とを備えてもよい。光ファイバはまた、座屈圧電器によって画定された内部空間を通して通過してもよいことを理解されたい。
【0019】
種々の圧電管は、開示される光ファイバ走査システムおよびデバイスおよび方法とともに有用であることを理解されたい。例えば、圧電管は、随意に、半径方向に分極された圧電管を備えてもよい。随意に、圧電管は、圧電スタックを備えてもよい。圧電管は、光ファイバの外径を上回る内径等、光ファイバの座屈に適応するために十分な寸法の内径を有してもよい。そのような直径における差異は、圧電管の内側表面に接触せずに、光ファイバが圧電管の内側で座屈することを可能にし得る。
【0020】
種々の実施形態では、圧電管は、遠位管端部および近位管端部を有する。用語「遠位」および「近位」は、コンポーネントの異なる位置または端部を参照する、相対的用語であることを理解されたい。例えば、光ファイバは、遠位ファイバ端部と、近位ファイバ端部とを有する。光ファイバの遠位ファイバ端部は、圧電管の遠位管端部を越えて遠位に延在してもよい。例えば、圧電管の遠位管端部は、光ファイバの遠位ファイバ端部と圧電管の近位管端部との間に位置付けられてもよい。光ファイバの近位ファイバ端部は、圧電管の近位管端部を越えて近位に延在してもよい。例えば、圧電管の近位管端部は、光ファイバの近位ファイバ端部と圧電管の遠位管端部との間に位置付けられてもよい。実施形態では、光ファイバの遠位ファイバ端部は、制約されない。随意に、光ファイバは、近位管端部に固定されない。
【0021】
種々の光ファイバは、開示される光ファイバ走査システムおよびデバイスおよび方法とともに有用である。例えば、光ファイバは、随意に、クラッディング、1つ以上のコア、単一モード光ファイバ、マルチモード光ファイバ、ステップインデックス光ファイバ、フォトニック結晶光ファイバ、可視光学導波管、赤外線光学導波管、紫外線光学導波管、および複数の光ファイバのうちの1つ以上のものを備える。
【0022】
光ファイバの座屈を達成するために、種々のコンポーネントが、相互に機械的に結合されてもよい。例えば、光ファイバおよび圧電管の遠位管端部は、旋転遠位継手によって、機械的に結合されてもよい。本明細書で使用されるように、「旋転遠位継手」および「遠位旋転継手」は、同義的に使用されてもよい。旋転遠位継手は、管軸に沿って、光ファイバの座屈を誘発するために十分である、軸方向堅度を有し得ることを理解されたい。随意に、旋転遠位継手は、座屈の間、光ファイバの側方回転に適応するために十分な側方堅度を有する。いくつかの実施形態では、旋転遠位継手は、旋転遠位継手と座屈遠位継手との間の距離が、約5μm未満(約0.01μm~約5μmまたは約0.1μm~約5μm等)の閾値量等の閾値量以上低減されるとき、管軸に沿って、光ファイバの座屈を誘発するために十分である、軸方向堅度を有する。
【0023】
加えて、または代替として、座屈遠位継手は、光ファイバおよび座屈圧電器を機械的に結合する。本明細書で使用されるように、「座屈遠位継手」および「遠位座屈継手」は、同義的に使用されてもよい。実施形態では、座屈圧電器は、遠位圧電端部と、近位圧電端部とを有する。例えば、座屈圧電器の遠位圧電端部は、圧電管の近位管端部と座屈圧電器の近位圧電端部との間に位置付けられる。随意に、光ファイバおよび座屈圧電器の遠位圧電端部は、座屈遠位継手によって機械的に結合される。例えば、ファイバ軸に沿った座屈遠位継手の移動は、光ファイバの座屈を座屈遠位継手と旋転遠位継手との間に生じさせ得る。
【0024】
種々の構成が、本明細書に説明されるシステム、デバイス、および方法と併用される、座屈圧電器のために検討される。例えば、座屈圧電器は、随意に、第2の圧電管を備える。随意に、座屈圧電器は、圧電スタックを備える。
【0025】
旋転運動を達成するために、電圧の圧電管への印加が、圧電管の次元特性を変化させるために使用されてもよい。例えば、圧電管は、1つ以上の電圧の印加によって、圧電管の遠位管端部の側方偏向を制御する等のための複数の電極を含んでもよい。随意に、複数の電極は、圧電管の長さに沿って延在する、相互から180°に配列される、第1の対の電極を含む。随意に、複数の電極は、圧電管の長さに沿って延在し、相互から180°および第1の対の電極から90°に配列される、第2の対の電極を含む。随意に、圧電管の内側表面は、複数の電極のための電圧接地を提供する。
【0026】
座屈運動を達成するために、電圧の座屈圧電器への印加が、座屈圧電器の次元特性を変化させるために使用されてもよい。例えば、座屈圧電器は、1つ以上の電圧の印加によって、座屈圧電器の長さを制御する等のための複数の電極を含んでもよい。
【0027】
電圧の圧電要素への印加は、1つ以上の電圧源の使用によって達成されてもよい。例えば、光ファイバ走査システムはさらに、1つ以上の旋転電圧を複数の電極に印加する電圧源等、圧電管の複数の電極と電気連通する、電圧源を備えてもよい。例示的旋転電圧は、約10kHz~約80kHzの周波数を有する。代替として、または加えて、光ファイバ走査システムはさらに、座屈電圧を複数の電極に印加する電圧源等、座屈圧電器の複数の電極と電気連通する、電圧源を備えてもよい。例示的座屈電圧は、約15Hz~約300Hzの周波数または繰り返し率を有してもよい。
【0028】
支持管を含む、実施形態では、支持管は、遠位端と、近位端とを有してもよい。例えば、支持管の遠位端および圧電管の近位管端部は、旋転近位継手によって機械的に結合されてもよい。本明細書で使用されるように、「旋転近位継手」および「近位旋転継手」は、同義的に使用されてもよい。支持管の近位端および座屈圧電器の近位圧電端部は、座屈近位継手によって機械的に結合されてもよい。本明細書で使用されるように、「座屈近位継手」および「近位座屈継手」は、同義的に使用されてもよい。
【0029】
異なる光ファイバ走査システム構成が、検討され、それは、上記に説明される特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。例えば、光ファイバ走査システムは、管軸と、1つ以上の側方軸と、遠位管端部と近位管端部とを有する圧電管等の圧電管と、圧電管を通して通過する光ファイバと、管軸に沿って、光ファイバの座屈を誘発するために十分である、軸方向堅度を有する、遠位継手等、圧電管の遠位管端部および光ファイバを機械的に結合する、遠位継手と、圧電管の近位管端部および光ファイバを機械的に結合する、近位継手とを備えてもよい。随意に、遠位継手は、座屈の間、光ファイバの側方回転に適応するために十分な側方堅度を有してもよい。随意に、遠位継手は、遠位継手と近位継手との間の距離が、約5μmまたはそれ未満(0.01μm~5μm、0.1μm~約5μm、または1μm~5μm等)の閾値量等の少なくとも閾値量だけ低減されるとき、管軸に沿って、光ファイバの座屈を誘発するために十分である、軸方向堅度を有する。有用な圧電管は、遠位継手と近位継手との間の光ファイバの座屈に適応するために十分な内径を有するものを含むことを理解されたい。
【0030】
実施形態では、光ファイバは、圧電管の遠位管端部を越えて遠位に延在する、光ファイバの遠位ファイバ端部等、遠位ファイバ端部および近位ファイバ端部を有する。随意に、圧電管の遠位管端部は、光ファイバの遠位ファイバ端部と圧電管の近位管端部との間に位置付けられる。随意に、光ファイバの近位ファイバ端部は、圧電管の近位管端部を越えて近位に延在する。随意に、圧電管の近位管端部は、光ファイバの近位ファイバ端部と圧電管の遠位管端部との間に位置付けられる。光ファイバの遠位ファイバ端部は、制約されなくてもよいことを理解されたい。実施形態では、近位ファイバ端部は、圧電管の近位管端部を越えて近位に延在し、遠位ファイバ端部は、圧電管の遠位管端部を越えて遠位に延在する。
【0031】
圧電管は、1つ以上の電圧の印加によって圧電管端部の遠位管端部の側方偏向および圧電管の長さを制御する等のための複数の電極を含んでもよい。例えば、複数の電極は、圧電管の長さに沿って延在し、相互から180°に配列される、第1の対の電極を含む。随意に、複数の電極は、圧電管の長さに沿って延在し、相互から180°および第1の対の電極から90°に配列される、第2の対の電極を含む。随意に、座屈電圧は、旋転電圧と同時に等、圧電管の長さを変化させるために、複数の電極に印加される。
【0032】
電圧源は、複数の電極と電気接触して含まれてもよいことを理解されたい。電圧源は、約10kHz~約80kHzの周波数を有する、1つ以上の旋転電圧等、1つ以上の旋転電圧を複数の電極に印加してもよい。随意に、電圧源は、遠位継手と光ファイバの遠位ファイバ端部との間の光ファイバの領域に対応する、光ファイバのカンチレバー式部分の自然周波数とほぼ等しい周波数を有する、1つ以上の旋転電圧等、1つ以上の旋転電圧を複数の電極に印加してもよい。随意に、電圧源は、代替として、または加えて、約60Hzまたは約120Hz等の約15Hz~約300Hzの周波数を有する、座屈電圧等、座屈電圧を複数の電極に印加してもよい。
【0033】
別の側面では、光ファイバを走査する方法が、提供される。例えば、本側面の方法は、第1の電圧を光ファイバ走査システムに印加し、光ファイバの旋転を誘発するステップと、第2の電圧を光ファイバ走査システムに印加し、光ファイバの座屈を誘発するステップとを含む。本側面の方法のために使用される光ファイバ走査システムは、光ファイバと、遠位ファイバ端部と近位ファイバ端部との間の光ファイバに機械的に結合され、座屈力を光ファイバに印加するように構成される、第1の電気機械的変換器と、遠位ファイバ端部と近位ファイバ端部との間の光ファイバに機械的に結合され、遠位ファイバ端部の旋転を励起するように構成される、第2の電気機械的変換器とを含む、光ファイバ走査システム等、本明細書に説明される光ファイバ走査システムのいずれかに対応してもよい。随意に、第1の電気機械的変換器は、複数の電極を含み、第2の電圧を印加するステップは、第2の電圧を複数の電極に印加し、座屈力の縦方向印加を誘発するステップを含む。随意に、第2の電気機械的変換器は、複数の電極を含み、第1の電圧を印加するステップは、第1の電圧を複数の電極に印加し、遠位ファイバ端部の旋転を励起するための光ファイバの側方偏向を誘発するステップを含む。いくつかの実施形態では、光ファイバの旋転は、遠位ファイバ端部を第1の所定の量だけ偏向させる。いくつかの実施形態では、光ファイバの座屈は、第1の所定の量に重畳される第2の所定の量だけ遠位ファイバ端部の偏向を生じさせる。
【0034】
具体的実施形態では、光ファイバを走査する方法は、本明細書に説明される光ファイバ走査システムのいずれか等、第1の電圧を光ファイバ走査システムに印加し、光ファイバ走査システムの光ファイバの旋転を誘発するステップを含んでもよい。実施例として、そのような光ファイバ走査システムは、第1の電圧の印加によって圧電管の遠位管端部の側方偏向を制御するための複数の電極を含む圧電管等の圧電管と、圧電管を通して通過する、光ファイバとを含んでもよい。
【0035】
第1の電圧は、随意に、可変振幅を有する正弦波プロファイル等、正弦波プロファイルを有する。随意に、本側面の方法は、第2の電圧を光ファイバ走査システムに印加し、光ファイバの座屈を誘発するステップを含む、またはさらに含む。
【0036】
別の実施例として、本側面の方法とともに有用な光ファイバ走査システムは、第2の複数の電極を有する、座屈圧電器を備える、またはさらに備えてもよい。随意に、第2の電圧を印加するステップは、座屈圧電器の長さに沿って等、第2の電圧を第2の複数の電極に印加し、座屈圧電器の軸方向拡張または縮小を誘発するステップを含む。随意に、第2の電圧を印加するステップは、第2の電圧を複数の電極に印加し、圧電管の軸方向拡張または縮小を誘発するステップを含む。例示的な第2の電圧は、約60Hzまたは約120Hz等の約15Hz~約300Hzの周波数を有するものを含む。例示的な第2の電圧は、鋸歯または三角形プロファイルを呈してもよい。随意に、遅延は、第2の電圧が印加される前に使用されてもよい。例えば、第2の電圧を印加するステップは、第1の電圧を印加した後、所定の時間量にわたって、第2の電圧を印加するステップを含んでもよい。第2の電圧を印加するステップは、光ファイバの旋転が光ファイバを所定の量だけ偏向させた後、第2の電圧を印加するステップを含んでもよいことを理解されたい。随意に、光ファイバの旋転は、光ファイバを第1の所定の量だけ偏向させ、光ファイバの座屈は、光ファイバを第1の所定の量に重畳される第2の所定の量だけ偏向させる。光ファイバの旋転は、円形経路、螺旋経路において、リサージュ運動を伴って等、光ファイバの端部が移動することに対応し得ることを理解されたい。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
システムであって、
遠位ファイバ端部および近位ファイバ端部を有する光ファイバと、
前記遠位ファイバ端部と前記近位ファイバ端部との間の前記光ファイバに機械的に結合される第1の電気機械的変換器であって、前記第1の電気機械的変換器は、座屈力を前記光ファイバに印加するように構成される、第1の電気機械的変換器と、
前記遠位ファイバ端部と前記近位ファイバ端部との間の前記光ファイバに機械的に結合される第2の電気機械的変換器であって、前記第2の電気機械的変換器は、前記遠位ファイバ端部の旋転を励起するように構成される、第2の電気機械的変換器と
を備える、システム。
(項目2)
前記遠位ファイバ端部は、制約されない、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記座屈力は、周期的に、振幅を漸増させ、前記光ファイバの旋転のための旋転振幅は、周期的に漸増し、前記座屈力の漸増および前記旋転振幅の漸増は、同期される、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記第1の電気機械的変換器および前記光ファイバを機械的に結合する第1の継手は、前記光ファイバの縦軸と平行な軸に沿って第1の軸方向堅度を有し、前記第2の電気機械的変換器および前記光ファイバを機械的に結合する第2の継手は、前記光ファイバの縦軸と平行な軸に沿って第2の軸方向堅度を有し、前記第1の軸方向堅度および前記第2の軸方向堅度は、前記第1の継手と前記第2の継手との間の距離が、0.1μm~5μmの距離だけ低減されるとき、前記光ファイバの座屈を誘発するために十分である、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記第1の電気機械的変換器は、遠位座屈端部および近位座屈端部を有する座屈圧電器に対応し、前記光ファイバは、前記遠位座屈端部、前記近位座屈端部、または前記遠位座屈端部および前記近位座屈端部の両方に機械的に結合される、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記座屈圧電器は、圧電管または圧電スタックであり、前記光ファイバは、前記圧電管または前記圧電スタックを通して通過する、項目5に記載のシステム。
(項目7)
前記座屈圧電器は、1つ以上の電圧の印加によって前記座屈圧電器の長さを制御するための複数の電極を含む、項目5に記載のシステム。
(項目8)
前記座屈力は、前記遠位座屈端部と前記近位座屈端部との間の前記座屈圧電器の長さを低減させることによって、前記光ファイバに印加される、項目5に記載のシステム。
(項目9)
前記第2の電気機械的変換器は、遠位管端部および近位管端部を有する旋転圧電管に対応し、前記光ファイバは、前記旋転圧電管を通して通過し、前記遠位管端部は、旋転遠位継手によって、前記光ファイバに機械的に結合される、項目1に記載のシステム。
(項目10)
前記光ファイバは、前記遠位管端部、前記近位管端部、または前記遠位管端部および前記近位管端部の両方に機械的に結合される、項目9に記載のシステム。
(項目11)
前記旋転圧電管は、1つ以上の電圧の印加によって前記遠位管端部の側方偏向を制御するための複数の電極を含む、項目9に記載のシステム。
(項目12)
前記旋転圧電管および前記第1の電気機械的変換器に機械的に結合される支持管をさらに備え、前記第1の電気機械的変換器は、前記支持管の内側に位置付けられる、項目9に記載のシステム。
(項目13)
前記遠位ファイバ端部は、前記遠位管端部を越えて延在し、前記遠位管端部は、前記遠位ファイバ端部と前記近位管端部との間に位置付けられる、項目9に記載のシステム。
(項目14)
前記近位ファイバ端部は、前記近位管端部を越えて延在し、前記近位管端部は、前記近位ファイバ端部と前記遠位管端部との間に位置付けられ、前記光ファイバは、前記近位管端部に固定されない、項目9に記載のシステム。
(項目15)
前記旋転圧電管は、前記光ファイバの座屈に適応するために十分な内径を有する、項目9に記載のシステム。
(項目16)
前記旋転遠位継手は、前記旋転圧電管の縦軸に沿って軸方向堅度を有し、前記軸方向堅度は、前記光ファイバの座屈を誘発するために十分であり、前記旋転遠位継手は、座屈の間、前記光ファイバの側方回転に適応するために十分な側方堅度を有する、項目9に記載のシステム。
(項目17)
前記第1の電気機械的変換器は、遠位座屈端部および近位座屈端部を有する座屈圧電器に対応し、前記遠位座屈端部は、前記近位管端部と前記近位座屈端部との間に位置付けられ、前記光ファイバおよび前記遠位座屈端部は、座屈遠位継手によって機械的に結合され、縦方向ファイバ軸に沿った前記座屈遠位継手の移動は、前記光ファイバの座屈を前記座屈遠位継手と前記旋転遠位継手との間に生じさせる、項目9に記載のシステム。
(項目18)
前記旋転圧電管および前記座屈圧電器に機械的に結合される支持管をさらに備え、前記座屈圧電器は、前記支持管の内側に位置付けられ、前記支持管は、遠位端および近位端を有し、前記支持管の遠位端および前記近位管端部は、旋転近位継手によって機械的に結合され、前記支持管の近位端および前記近位座屈端部は、座屈近位継手によって機械的に結合される、項目17に記載のシステム。
(項目19)
前記第2の電気機械的変換器は、ハブと、前記ハブを囲繞するフレームと、前記フレームおよび前記ハブに機械的に結合される複数の側方電気機械的変換器とを含み、前記光ファイバは、前記ハブを通して通過し、前記ハブは、旋転継手によって、前記光ファイバに機械的に結合される、項目1に記載のシステム。
(項目20)
前記第2の電気機械的変換器はさらに、前記ハブから半径方向に延在し、前記ハブを前記フレームに結合する複数の撓曲部を含む、項目19に記載のシステム。
(項目21)
前記側方電気機械的変換器は、前記ハブの側方偏向を制御し、前記遠位ファイバ端部の旋転を励起するための電極を含む圧電要素に対応する、項目19に記載のシステム。
(項目22)
前記第1の電気機械的変換器および前記第2の電気機械的変換器は、圧電管を備え、前記圧電管は、遠位管端部および近位管端部を有し、前記光ファイバは、前記圧電管を通して通過し、前記遠位ファイバ端部は、前記遠位管端部を越えて延在し、前記遠位管端部および前記光ファイバは、遠位継手において機械的に結合され、前記近位管端部および前記光ファイバは、近位継手において機械的に結合され、前記遠位継手および前記近位継手は、前記圧電管の縦軸に沿って、前記光ファイバの座屈を誘発するために十分である軸方向堅度を有し、前記遠位継手は、座屈の間、前記光ファイバの側方回転に適応するために十分な側方堅度を有し、前記圧電管は、前記遠位継手と前記近位継手との間の前記光ファイバの座屈に適応するために十分な内径を有する、項目1に記載のシステム。
(項目23)
前記遠位管端部は、前記遠位ファイバ端部と前記近位管端部との間に位置付けられ、前記近位ファイバ端部は、前記近位管端部を越えて延在し、前記近位管端部は、前記近位ファイバ端部と前記遠位管端部との間に位置付けられる、項目22に記載のシステム。
(項目24)
前記圧電管は、前記遠位管端部の側方偏向を制御するために、かつ、1つ以上の電圧の印加によって、前記圧電管の長さを制御するために、複数の電極を含む、項目22に記載のシステム。
(項目25)
前記複数の電極に同時に印加される座屈電圧は、前記圧電管の長さを縦方向管軸に沿って変化させ、前記複数の電極に個々に印加される異なる旋転電圧は、前記遠位管端部を螺旋構成において側方に偏向させる、項目24に記載のシステム。
(項目26)
方法であって、
第1の電圧を光ファイバ走査システムに印加し、光ファイバの旋転を誘発することであって、前記光ファイバ走査システムは、
前記光ファイバであって、前記光ファイバは、遠位ファイバ端部および近位ファイバ端部を有する、前記光ファイバと、
前記遠位ファイバ端部と前記近位ファイバ端部との間の前記光ファイバに機械的に結合される第1の電気機械的変換器であって、前記第1の電気機械的変換器は、座屈力を前記光ファイバに印加するように構成される、第1の電気機械的変換器と、
前記遠位ファイバ端部と前記近位ファイバ端部との間の前記光ファイバに機械的に結合される第2の電気機械的変換器であって、前記第2の電気機械的変換器は、前記遠位ファイバ端部の旋転を励起するように構成される、第2の電気機械的変換器と
を含む、ことと、
第2の電圧を前記光ファイバ走査システムに印加し、前記光ファイバの座屈を誘発することと
を含む、方法。
(項目27)
前記第1の電気機械的変換器は、複数の電極を含み、前記第2の電圧を印加することは、前記第2の電圧を前記複数の電極に印加し、前記座屈力の縦方向印加を誘発することを含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記第2の電気機械的変換器は、複数の電極を含み、前記第1の電圧を印加することは、前記第1の電圧を前記複数の電極に印加し、前記遠位ファイバ端部の旋転を励起するために前記光ファイバの側方偏向を誘発することを含む、項目26に記載の方法。
(項目29)
前記光ファイバの旋転は、前記遠位ファイバ端部を第1の所定の量だけ偏向させ、前記光ファイバの座屈は、前記第1の所定の量に重畳される第2の所定の量だけ前記遠位ファイバ端部の偏向を生じさせる、項目26に記載の方法。
(項目30)
項目2-25に記載の任意の組み合わせの特徴によって特徴付けられる、項目1に記載のシステム。
(項目31)
前記光ファイバ走査システムは、項目2-25に記載の任意の組み合わせの特徴によって特徴付けられる、項目26に記載の方法。
【0037】
前述は、他の特徴および実施形態とともに、以下の説明、請求項、および付随する図面を参照することに応じて、より明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、光ファイバの座屈の使用に伴って増加されたファイバ偏向を示す、例示的ファイバ走査システムの概略図を提供する。
【0039】
【
図2】
図2Aは、ファイバ走査システムの圧電管コンポーネントの概略図を提供し、
図2Bは、圧電管の旋転運動の概略的オーバービューを提供する。
【0040】
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態の例示的ファイバ走査システムの断面の略図を提供する。
【0041】
【
図4】
図4は、旋転運動を誘発するためにファイバ走査システムの圧電管の異なる電極に印加される、例示的電圧のプロットを提供する。
【0042】
【
図5】
図5は、座屈運動を誘発するためにファイバ走査システムの圧電器の電極に印加される、例示的電圧のプロットを提供する。
【0043】
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態の例示的ファイバ走査システムの断面の略図を提供する。
【0044】
【
図7】
図7は、いくつかの実施形態の例示的ファイバ走査システムの断面の略図を提供する。
【0045】
【
図8-1】
図8は、いくつかの実施形態の例示的ファイバ走査システムの略図を提供する。
【
図8-2】
図8は、いくつかの実施形態の例示的ファイバ走査システムの略図を提供する。
【0046】
【
図9】
図9は、ファイバ走査システム実施形態の光学画像を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本明細書に説明されるのは、ファイバ走査システムおよび光ファイバを走査する方法の実施形態である。開示されるシステムおよび方法は、有利には、光ファイバの一部の座屈を誘発することによって、ファイバ走査システム内の光ファイバのための走査範囲、発振振幅、および/または最大ポインティング角度に対する改良を提供する。
【0048】
用語「座屈」は、構造が圧縮負荷下で呈するであろう、特性変形を指すことを理解されたい。座屈は、構造の端部または構造内の2つの点間への力の印加の結果として生じ得る。座屈は、横方向である、または別様に、印加される力の方向と同軸ではない、構造の変形をもたらし得る。座屈は、一般に、柱状または伸長構造で観察または特性評価され、構造は、構造の固定端、構造の遊離端、または概して、構造の2つの勝手な点の間で印加され得る、印加される力の点間で曲がる、撓む、または屈曲するであろう。印加される力の大きさ、方向、および場所、力が印加される速度、および構造の材料性質に応じて、座屈は、異なるモードをとり得る。座屈の特性形状は、構造の端部が固定または支持される方法およびその有無等、座屈される構造の境界条件に依存し得ることを理解されたい。本発明において採用される座屈は、有利には、光ファイバの遊離端の偏向が、ファイバの軸に沿った点間で生じる座屈によって増幅または別様に増加される、座屈モードを利用する。
【0049】
図1は、例示的ファイバ走査システム100の略図を提供する。図示されるように、ファイバ走査システム100は、圧電管105と、圧電管105を通して通過する、光ファイバ110とを含む。用語「圧電器」は、用語「圧電材料」、「圧電変換器」、「圧電アクチュエータ」、および「圧電デバイス」と同義的に使用され、材料が変形されるときの電圧の生成または電圧または電場が材料に印加されるときの材料の変形等の圧電効果を呈する、材料を指すことを理解されたい。種々の圧電材料が、本明細書に説明されるシステムおよび方法とともに有用であることを理解されたい。例示的圧電材料は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)等のあるセラミック材料および石英等のある結晶性材料を含む。圧電器は、種々の実施形態では、電圧の圧電材料への印加を制御し、圧電器の制御された拡張、縮小、または変形を誘発することによって、アクチュエータとして使用されてもよい。圧電器は、圧電器上の種々の点間に印加される電圧を有し、任意の所望の構成における拡張、縮小、または変形を提供し得、特定の構成における電圧の印加は、偏向または屈曲運動を好適に設計された圧電システム内にもたらし得る。例えば、いくつかの実施形態では、圧電管は、例えば、4つ以上の個々の電極を伴う、半径方向に分極された圧電管を備えてもよい。圧電器は、特定の用途のために、任意の好適な形状をとってもよい。いくつかの実施形態では、圧電器は、中心円筒形開口部を有する円筒形構造等の管状構造として構築される。他の実施形態では、圧電器は、円筒形または直方体形状として構築される。圧電器は、1つ以上の電極を組み込み、材料上の所望の点への電圧の印加を簡略化または別様に可能にする。
【0050】
圧電管105は、遠位端155と、近位端160とを有してもよい。例えば、圧電管105の遠位端は、遊離されてもよい一方、圧電管105の近位端160は、他の物体または構造に対する圧電管105の近位端160の運動を制限するために、別の物体または構造に固定されてもよい。本明細書で使用されるように、用語「遠位」および「近位」は、圧電管または光ファイバ等の物体の相対的場所を反映させるように意図される。他の構造または物体もまた、遠位および近位場所を有すると識別されてもよい。例えば、光ファイバは、遠位端と、近位端とを有してもよい。用語「遠位端」および「近位端」は、物体の物理的端部を指し得る、または特定の領域を画定する物体の場所を指し得る。近位および遠位は、単一本体または構造に対して参照され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、用語「近位」および「遠位」は、用語「第1」および「第2」、「上部」および「底部」(または「底部」および「上部」)、「左」および「右」(または「右」および「左」)等と入れ替えられてもよい。一実施形態では、用語「近位」は、機械的基底面を指し得る一方、用語「遠位」は、機械的基底面からの距離を指し得る。
【0051】
圧電管105は、空間が光ファイバ110と圧電管105の内側表面との間に存在するように、光ファイバ110の外径より大きい内径を含む。本構成は、圧電管105が、座屈ゾーン115内等、光ファイバ110の座屈に適応することを可能にし得る。光ファイバ110の外径と圧電管105の内径との間の差異は、光ファイバ110が、座屈の間、圧電管105の内側表面に接触しないように、任意の好適な大きさを有してもよいことを理解されたい。しかしながら、いくつかの構成では、光ファイバ110と圧電管105の内側表面との間の接触は、複雑な座屈運動をもたらし得る。
【0052】
光ファイバ110は、任意の好適な構成をとってもよい。例えば、光ファイバ110は、ガラス、ポリマー、またはプラスチックベースの光ファイバを備えてもよい。光ファイバ110は、随意に、コアと、クラッディングとを含んでもよい。光ファイバ110は、随意に、マルチコア光ファイバを備えてもよい。光ファイバ110は、単一モードまたはマルチモード光ファイバを備えてもよい。光ファイバ110は、フォトニック結晶光ファイバを備えてもよい。光ファイバは、可視光学導波管、赤外線光学導波管、および/または紫外線光学導波管を備えてもよい。光ファイバ110は、随意に、複数の光ファイバを備えてもよい。
【0053】
光ファイバ110の端部間の点は、他の物体に固定されてもよい。例えば、
図1に描写されるように、光ファイバ110および圧電管105の遠位端155は、旋転遠位継手120において機械的に結合されてもよい。光ファイバ110は、座屈遠位継手125において固定されてもよい。本構成は、有利には、光ファイバ110が、座屈ゾーン115内で座屈することを可能にし得る。光ファイバ110の座屈は、旋転遠位継手120と座屈遠位継手125との間の任意の好適な相対的運動によって遂行されてもよいことを理解されたい。例えば、座屈は、座屈遠位継手125を旋転遠位継手120に向かう方向に沿って移動させること等によって、旋転遠位継手120と座屈遠位継手125との間の距離を短縮することによって誘発されてもよい。随意に、座屈ゾーン内の光ファイバ110の座屈は、旋転遠位継手が座屈遠位継手125に向かって移動するように、圧電管105の長さを短縮することによって遂行されてもよい。
【0054】
旋転遠位継手120は、光ファイバ110を圧電管105の遠位端155に機械的に結合するための任意の好適な材料を備えてもよい。有利には、旋転遠位継手120は、圧電管105の管軸と平行方向に沿って、旋転遠位継手120と座屈遠位継手125との間の距離が短縮されるとき、光ファイバが座屈することを可能にするために十分である、軸方向堅度を呈し得る。随意に、光ファイバ110の座屈は、旋転遠位継手120と座屈遠位継手125との間の距離が、閾値量を上回って減少されるときに生じ得る。例示的閾値量は、5μmまたはそれ未満を含む。随意に、軸方向堅度は、圧電管105の管軸と垂直な1つ以上の側方軸に沿った側方堅度に等しいまたはそれを上回ってもよい。
【0055】
図1は、光ファイバ110の3つの異なる構成を図示し、座屈を通して達成され得る、光ファイバ110の偏向における利点を描写する。光ファイバ110は、青色における中立配向130で描写され、光ファイバは偏向しない。圧電管105は、圧電管105に沿った点における電圧の好適な印加を通して、旋転運動を受けるように誘発され得る。旋転運動は、物体の端部の円形、螺旋、リサージュ、または擬似円形運動を表し得る。圧電管105の旋転は、光ファイバ110が、緑色における旋転配向140によって描写される最大旋転偏向を取得し得るように、光ファイバ110の遠位端が旋転運動もまた受けるように誘発し得る。旋転配向140は、旋転単独によって達成され得る、光ファイバ110の最大偏向を表し得ることを理解されたい。さらに、
図1に描写される物体および要素の相対的距離およびサイズは、本発明によって達成される利点をより明確に描写するために、正確な縮尺ではなく、例証的目的のためだけのものであることを理解されたい。赤色における配向150は、旋転遠位継手120と座屈遠位継手125との間の光ファイバ110の旋転および座屈の組み合わせによって達成され得る、光ファイバ110の最大偏向を表し得る。
【0056】
光ファイバ110の座屈は、旋転運動を受けるにつれて、光ファイバ110の任意の配向で生じ得ることを理解されたい。光ファイバ110の座屈は、座屈の方向が、予測可能および/または制御可能であるように、光ファイバが圧電管105の旋転を通して変位されるときに生じることが有利であり得る。例えば、光ファイバ110が中立配向130にあって、座屈が、旋転遠位継手120と座屈遠位継手125との間の距離を低減させることによって誘発されるとき、座屈は、任意の方向に生じ得、これは、予測不能であり得る。光ファイバが配向140等における圧電管105の旋転運動を通してすでに変位されているとき、光ファイバ110の座屈を誘発することによって、座屈の方向は、予測可能であって、光ファイバ110の偏向における増加が、配向150に描写されるように達成され得るように、旋転運動に関係し得る。
【0057】
図2Aは、圧電管200の断面図の略図を提供する。図示されるように、圧電管200は、圧電本体205と、4つの電極210、215、220、および225と、中心開口部230とを含む。電極210-225は、有利には、電圧の印加が、複数の方向における圧電管200の変形を有効にすることを可能にする。
図2Bは、適切な電圧の4つの電極210-225への印加による、中立位置240を参照して円形パターンにおける圧電管200の遠位端の運動(誇張されている)を描写する。圧電管200の内側表面と電気接触して位置付けられる、内側電極235が、含まれてもよく、これは、開口部230の内部表面上に位置付けられる、鍍着に対応してもよい。随意に、内側電極は、電圧接地または他の基準電圧を提供してもよく、そこから、全ての他の電圧は、オフセットされる。代替として、または加えて、1つ以上の付加的電極が、圧電管200の一端または両端と電気接触して位置付けられてもよい。圧電管200は、圧電管105等の本明細書に説明される他の圧電管と同一または異なってもよい。
【0058】
図4は、圧電管の遠位端の旋転のための例示的圧電駆動電圧を図示する、プロットを提供する。例えば、描写される圧電駆動電圧は、4つの電極210-225に印加され、圧電管の遠位端の旋転を誘発し、約25kHzの駆動周波数を反映させ得る。他の周波数も、約15kHz~約40kHzまたは約40kHz~約75kHz等の約10kHz~約80kHzの周波数を含め、旋転電圧のために有用であり得る。旋転電圧の大きさまたは振幅は、旋転偏向を増加または減少させるために、時間の関数として変化し得ることを理解されたい。例えば、旋転電圧は、中立位置またはゼロ偏向を表す約0Vから、最大旋転偏向を表す最大の大きさまたは振幅まで、大きさまたは振幅変化を呈し、圧電管200の遠位端が、螺旋形状の偏向または旋転パターンに追従することを可能にし得る。2014年1月15日に出願され、参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許出願第14/156,366号は、光ファイバの旋転を誘発するための圧電駆動電圧および好適な電子機器についての付加的詳細を説明する。
【0059】
図3は、例示的ファイバ走査システム300の略図を提供し、これは、
図1に描写されるファイバ走査システム100と同一または異なってもよい。ファイバ走査システム300は、圧電管305と、圧電管305を通して通過する、光ファイバ310と、圧電管305に機械的に結合される、支持管315と、支持管315の内側に配置され、光ファイバ310に機械的に結合される、座屈圧電器320とを含む。図示されるように、圧電管305は、遠位管端部325と、近位管端部330とを有し、光ファイバ310は、遠位ファイバ端部335と、近位ファイバ端部340とを有し、支持管315は、遠位端345と、近位端350とを有し、座屈圧電器320は、遠位圧電端部355と、近位圧電端部360とを有する。
【0060】
図示されるように、光ファイバ310および圧電管305の遠位管端部325は、遠位旋転継手365において機械的に結合され、圧電管305の近位管端部330および支持管315の遠位端345は、近位旋転継手370において機械的に結合され、光ファイバ310および座屈圧電器320の遠位圧電端部355は、座屈遠位継手375において機械的に結合され、座屈圧電器320の近位圧電端部360および支持管315の近位端350は、座屈近位継手380において機械的に結合される。
【0061】
図示されるように、圧電管305の遠位管端部325は、光ファイバ310の遠位ファイバ端部335と圧電管305の近位管端部330との間に位置付けられ、圧電管305の近位管端部330は、光ファイバ310の近位ファイバ端部340と遠位管端部325との間に位置付けられ、座屈圧電器320の遠位圧電端部355は、圧電管305の近位管端部330と座屈圧電器320の近位圧電端部360との間に位置付けられる。
【0062】
光ファイバ310の座屈が、例えば、遠位旋転継手365と遠位座屈継手375との間の距離を減少させることによって、誘発されると、光ファイバ310は、座屈ゾーン385内(すなわち、遠位旋転継手365と遠位座屈継手375との間)で座屈する。圧電管305の内径は、光ファイバ310が圧電管305の内側表面に接触せずに、座屈ゾーン385内の光ファイバ310の座屈に適応するために十分な直径であり得る。
【0063】
構造ループは、ファイバ走査システム300内の力の概念フローを説明するために使用され得る。構造ループは、システム堅度、対称性、動的応答等を決定する際に有用であり得ることを理解されたい。さらに、座屈ゾーン385を通した力のフローは、側方運動における光ファイバの座屈を誘発するために使用されることを理解されたい。側方運動は、非座屈構成と比較して、遠位ファイバ端部335の変位を増幅させ得る。側方運動は、軸方向(
図3では垂直方向)である、変位方向に沿った遠位座屈継手375の移動に起因して生じ得る。
図3では、近位座屈継手380における図の底部から開始して、構造ループのための力は、座屈圧電器320から遠位座屈継手375へと上方に、遠位座屈継手375から半径方向に光ファイバ310の中に、光ファイバ310に沿って遠位旋転継手365へと上向きに、遠位旋転継手365から圧電管305の中に半径方向に、圧電管305に沿って近位旋転継手370へと下向きに、近位旋転継手370から支持管315へと半径方向に、支持管315に沿って近位座屈継手380へと下向きに、近位座屈継手380から座屈圧電器320に戻るように半径方向にフローする。遠位旋転継手365と遠位ファイバ端部335との間の光ファイバ310の制約されない部分は、構造ループ外にあって、光ファイバ310の本部分は、構造ループ内の力から実質的に解放されていることを示すことを理解されたい。しかしながら、座屈ゾーン385内の光ファイバ310の座屈は、遠位旋転継手365における光ファイバ310の配向に影響を及ぼし得ることを理解されたい。これは、遠位ファイバ端部335の偏向が、座屈ゾーン385内の光ファイバ310の座屈によって達成されることを可能にし得る。
【0064】
電圧は、座屈変位を誘発するために、遠位圧電端部355またはその近位および近位圧電端部360またはその近位において、座屈圧電器320に印加されてもよい。構成に応じて、電圧の座屈圧電器320への印加は、座屈圧電器320を
図3では垂直方向等の圧電軸に沿って拡張または収縮させ得る。
図3に図示されるように、圧電軸に沿った座屈圧電器320の拡張は、遠位座屈継手375と遠位旋転継手365との間の距離が、減少され、光ファイバ310の座屈を座屈ゾーン385内で誘発するように、遠位座屈継手375の変位をもたらすであろう。
【0065】
図5は、座屈圧電器を駆動し、時間の関数として、光ファイバの増加された座屈を誘発するための例示的座屈駆動電圧を図示する、プロットを提供する。
図5に示される鋸歯電圧プロファイルの繰り返し率は、約50Hzであって、これは、ファイバ走査システムを組み込むファイバ走査ディスプレイのためのディスプレイのフレームレートまたはリフレッシュレートを表し得る。他の座屈駆動電圧および構成が、使用されてもよいことを理解されたい。例えば、約23.976Hz、約24Hz、約25Hz、約29.97Hz、約50Hz、約59.94Hz、約60Hz、約85Hz、約120Hz、および約240Hzの一般的フレームレートまたはリフレッシュレートを含む、周波数約15Hz~約300Hz等、他の繰り返し周波数が、使用されてもよい。三角形プロファイル、正弦波プロファイル、台形プロファイル、正方形プロファイル等の他の電圧プロファイルが、使用されてもよい。加えて、座屈駆動電圧プロファイルは、サイクルの開始時等、ゼロ電圧の周期を含んでもよく、これは、光ファイバの座屈の開始前の遅延を表し得る。遅延の含有は、例えば、旋転電圧が、座屈運動の印加が導入される前に、最初に、好適な大きさの偏向を光ファイバ内で生成することを可能にするために有用であり得る。このように、座屈の方向は、低またはゼロ初期旋転変位で生じ得る、ランダム座屈を誘発する代わりに、偏向の方向に合致するように制御されてもよい。
【0066】
本明細書に説明されるファイバ走査システム内で使用される座屈圧電器は、任意の好適な構成をとってもよく、座屈圧電器の反対端部に位置付けられるような1つ以上の電極を含んでもよいことを理解されたい。
図3に図示されるように、座屈圧電器320は、管状圧電器として構成される。座屈圧電器のための管状圧電器の使用は、有利であって、円筒形対称構成を提供し得る。座屈圧電器が、1つ以上の別個の非管状圧電器を備える場合等の他の実施形態も、検討される。随意に、座屈圧電器は、ともにスタックされた複数の個々の圧電要素に対応する、圧電スタックを組み込む、または別様に備えてもよい。管状圧電器、圧電スタック等を含む、圧電器は、市販のものであってもよいことを理解されたい。随意に、圧電スタックは、単一電圧が、個々の圧電材料層のそれぞれにまたはそれを横断して同時に印加され得るように、並列に電気的に接続される、複数の個々の圧電材料層の構造を指し得る。圧電スタックの使用は、いくつかの実施形態では、圧電スタックが、同様に定寸される単一圧電要素より特定の電圧のために大きい全体的変位を呈し得るため、有利であり得る。
【0067】
図6は、圧電スタックを備える、座屈圧電器を含む、例示的ファイバ走査システム600の略図を提供する。
図6に描写されるファイバ走査システム600は、
図3に描写されるファイバ走査システム300に類似する。例えば、ファイバ走査システム600は、圧電管605と、圧電管605を通して通過する、光ファイバ610と、圧電管605に機械的に結合される、支持管615と、支持管615の内側に配置され、光ファイバ610に機械的に結合される、座屈圧電器スタック620とを含む。図示されるように、圧電管605は、遠位管端部625と、近位管端部630とを有し、光ファイバ610は、遠位ファイバ端部635と、近位ファイバ端部640とを有し、支持管615は、遠位端645と、近位端650とを有し、座屈圧電器スタック620は、遠位圧電端部655と、近位圧電端部660とを有する。座屈圧電器スタック620は、5つの個々の圧電コンポーネントを有するように図示されるが、より多いまたはより少ない個々の圧電コンポーネントが、圧電スタック内に含まれてもよいことを理解されたい。
【0068】
図示されるように、光ファイバ610および圧電管605の遠位管端部625は、遠位旋転継手665において機械的に結合され、圧電管605の近位管端部630および支持管615の遠位端645は、旋転近位継手670において機械的に結合され、光ファイバ610および座屈圧電器スタック620の遠位圧電端部655は、遠位座屈継手675において機械的に結合され、座屈圧電器スタック620の近位圧電端部660および支持管615の近位端650は、座屈近位継手680において機械的に結合される。光ファイバ610の座屈は、座屈ゾーン685内で生じ、これは、遠位旋転継手665と遠位座屈継手675との間に位置付けられる。
【0069】
動作時、1つ以上の電圧が、圧電管605の1つ以上の電極を用いて等、圧電管605に提供され、圧電管605の遠位管端部625の運動を誘発してもよい。同様に、1つ以上の電圧が、座屈圧電器スタック620の1つ以上の電極を用いて等、座屈圧電器スタック620に提供され、座屈圧電器スタックの管軸に沿って、座屈圧電器スタック620の軸方向拡張および/または縮小を誘発してもよい。1つ以上の電圧源が、圧電管605および圧電スタック620の電極と電気連通または電気接触して位置付けられてもよい。
図4および5を参照して上記に説明されるように、約10kHz~約80kHzの周波数を有する、旋転電圧が、1つ以上の電圧源によって、遠位旋転継手665と遠位ファイバ端部635との間の位置等において、圧電管605に印加され、圧電管605の遠位管端部625および光ファイバ610の旋転を誘発してもよい。約15Hz~約300Hzの繰り返し周波数を有する座屈電圧が、1つ以上の電圧源によって、座屈圧電器スタック620に印加され、座屈圧電器スタック620の拡張および/または縮小を誘発してもよい。
【0070】
図3および6に説明される構成では、光ファイバの座屈は、座屈圧電器または座屈圧電器スタックを拡張させることによって達成される。しかしながら、座屈が圧電器を収縮させることによって達成される、構成も、検討される。例えば、別の構成では、遠位座屈継手は、近位旋転継手に機械的に取り付けられてもよく、光ファイバが遠位座屈継手において座屈圧電器または座屈圧電器スタックに機械的に結合される代わりに、座屈ゾーンが遠位旋転継手と近位座屈継手との間の領域まで拡張されるように、光ファイバが、近位座屈継手において座屈圧電器または圧電スタックに機械的に結合されてもよい。光ファイバの座屈を本代替構成において誘発するために、圧電軸に沿った座屈圧電器または座屈圧電器スタックの縮小は、近位座屈継手と遠位旋転継手との間の距離が減少されるように、近位座屈継手の変位をもたらすであろう。そのような構成は、圧電管および座屈圧電器または座屈圧電器スタックの機械的結合に起因した支持管の随意の排除を含む、いくつかの利点を提供し得る。
【0071】
単一圧電管が旋転および座屈の両方のために使用される、付加的ファイバ走査システム構成も、さらに本明細書で検討される。例えば、
図7は、光ファイバの座屈および旋転のために単一圧電管を使用する、ファイバ走査システム700の略図を提供する。ファイバ走査システム700は、圧電管705と、圧電管705を通して通過する、光ファイバ710とを含む。圧電管705は、遠位管端部715と、近位管端部720とを有し、光ファイバ710は、遠位ファイバ端部725と、近位ファイバ端部730とを有する。圧電管705の遠位管端部715は、光ファイバ710の遠位ファイバ端部725と圧電管705の近位管端部720との間に位置付けられる。近位管端部720は、光ファイバ710の近位ファイバ端部730と圧電管705の遠位管端部715との間に位置付けられる。
【0072】
ファイバ走査システムはまた、圧電管705の遠位管端部715および光ファイバ710を機械的に結合する、遠位継手735と、圧電管705の近位管端部720および光ファイバ710を機械的に結合する、近位継手740とを含む。有利には、遠位継手735および近位継手740は、遠位継手735と近位継手740との間の座屈ゾーン745内での光ファイバ710の座屈を促進するための機械的特性を呈する。例えば、遠位継手735は、圧電管705の軸に沿って、遠位継手735と近位継手740との間の圧電管705の長さを短縮することによって、光ファイバ710の座屈を可能にするために十分な大きさである、軸方向堅度を呈し得る。遠位継手735は、圧電管705の管軸と垂直な1つ以上の側方方向に沿って、遠位継手735と近位継手740との間の光ファイバの座屈が、光ファイバ710の遠位ファイバ端部725の変位を生じさせるように、光ファイバの側方または角度偏向に適応するために十分な大きさである、側方堅度を呈し得る。随意に、遠位継手735の軸方向堅度は、遠位継手735の側方堅度未満またはそれとほぼ等しくてもよい。加えて、または代替として、近位継手740は、圧電管705の軸に沿って、遠位継手735と近位継手740との間の圧電管705の長さを短縮することによって、光ファイバ710の座屈を可能にするために十分な大きさである、軸方向堅度を呈し得る。いくつかの実施形態では、いかなる制約も、近位継手740の側方または軸方向堅度に課されない。随意に、近位継手740の側方堅度は、近位継手740における光ファイバ710の角度偏向が防止されるように、固定および非回転可能継手を提供するために十分な大きさである。
【0073】
圧電管705の所望の旋転および座屈運動を達成するために、電圧は、異なる周波数特性を伴って、圧電管705に印加されてもよい。
図4および5およびその関連付けられた説明を参照して上記に説明されるように、旋転電圧は、座屈電圧より高い周波数を有してもよい。座屈および旋転電圧は、座屈電圧および旋転電圧の重畳として、圧電管705に印加されてもよい。このように、圧電管705の全長が、例えば、圧電管705の4つの電極のそれぞれに印加される電圧の一般的座屈プロファイル成分を用いて制御されてもよい一方、圧電管705の旋転運動は、4つの電極に印加される電圧のそれぞれの個々の旋転電圧成分を用いて制御されてもよい。
【0074】
図8A-8Cは、開示される光ファイバ走査システムとともに有用である、ハブおよびフレームベースの旋転機構の概略図を提供する。
図8Aは、光学走査システム800の第1の側の斜視図を示す。光学走査システム800は、テーパ状ファイバ805を含む。テーパ状ファイバ805の遠位端810から放出される光は、投影される。光学走査システム800はまた、フレーム815と、圧電要素825(
図8Aでは不可視)によって駆動される、ハブ820とを含む。圧電要素825は、フレーム815およびハブ820の両方に結合され、テーパ状ファイバ805の発振を所定のパターンで協働して誘発する。
【0075】
図8Aは、間隙830をハブ820とフレーム815との間に図示する。いくつかの実施形態では、ハブ820は、定位置で回転または傾斜し、テーパ状ファイバ805の所望の走査パターンを達成するように構成されることができ、他の実施形態では、ハブ820は、側方に偏移し、所望の走査パターンを誘発するように構成されることができる。ハブ820は、円形形状を有するように描写されるが、楕円形、長方形、および他の多角形幾何学形状等の多くの他の形状もまた、可能性として考えられることを理解されたい。
【0076】
図8Bは、ハブ820が複数の撓曲部835によってフレーム815に結合され得る方法を示す。撓曲部835は、フレーム815および/または撓曲部835内に組み込まれる、歪みセンサを有することができる。圧電要素825の作動は、縦方向に延在および収縮し、テーパ状ファイバ805の遠位端810を操縦するあるパターン、例えば、円形パターンで、ハブを操縦する。本移動は、順次、圧電要素825を作動させることによって遂行されることができる。例えば、第1の圧電要素が、最初に、作動され、その後、第1の圧電要素から時計回りまたは反時計回りに隣接して位置する第2の圧電要素、その後、第3の圧電要素および第4の圧電要素が続くことができる。作動は、例えば、
図4に示されるように、制御信号に従ってもよい。4つの圧電要素が、図示されるが、2つ以上の圧電要素(例えば、2~20)が、使用されてもよい。例えば、2つのみの圧電要素が、使用されるとき、各要素は、最初に、1つの方向に拡張し、第1の側方偏向を生成し、次いで、収縮し、第1の側方偏向と反対の第2の後の偏向を生成するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ハブ820の反対側上の圧電要素は、1つの圧電要素が、縦方向に拡張し、他の圧電要素が、縦方向に収縮する等、並行して作動されることができる。いくつかの実施形態では、圧電要素は、ハブ820の反対側上にある。圧電要素の作動を変動させることによって、変動走査パターンが、達成されることができる。
【0077】
図8Cは、ハブ820の拡大図を示し、圧電要素825は、撓曲部835によって、ハブ820に取り付けられる。歪みセンサ840が、撓曲部835に隣接する、またはそれを横断して延在することができる。歪みセンサ840は、ハブ820およびテーパ状ファイバ805の移動を監視するように構成されることができる。歪みセンサ840は、撓曲部835の捻転および撓曲を監視するように構成されることができる。歪みセンサ840によって監視される撓曲部835の捻転および撓曲は、閉ループフィードバック制御を行い、一貫した所望の走査パターンを達成するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、各撓曲は、複数の歪みセンサ840を含み、撓曲部835のそれぞれによって被られている異なるタイプの応力を測定することができる。
図8Dはまた、圧電要素825がフレーム815のチャネル845の上方および/またはその中に配列される方法の拡大図を示す。チャネル845は、ハブ820の作動および移動の間、圧電ストリップ825の側方運動に適応するように配列および成形されることができる。
【0078】
図8Dは、座屈作動を伴うファイバ走査システムの中に組み込まれる、ハブおよびフレーム作動ベースの旋転機構の側面断面図を示す。図示されるように、フレーム815は、座屈圧電器850の遠位端に機械的に取り付けられる。座屈圧電器850は、近位座屈継手に対応し得る、要素855を用いて、座屈圧電器850の近位端に機械的に取り付けられる。要素855とハブ820との間の距離を圧縮することによって、テーパ状ファイバ805は、
図8Dにおける矢印860によって示されるように、側方方向に沿って座屈するように誘発されることができる。座屈作動は、
図5に描写される、制御信号に従ってもよく、例えば、座屈は、テーパ状ファイバ805の遠位端810が、螺旋パターンに沿って等、旋転を受けるにつれて、経時的に漸増してもよい。
図8Dは、座屈圧電器850の内側に位置付けられるように圧電要素825を示すが、実施形態は、圧電要素825が、フレーム815およびハブ820の反対側上にあって、ファイバ805のテーパ状部分により近い場合を含んでもよい。圧電要素825が間隙830内に位置付けられる構成もまた、検討される。
【0079】
ファイバ走査ディスプレイ内で使用されるとき、正弦波信号の旋転電圧は、時間の関数として増加する振幅を有してもよく、これは、ゼロ位置からさらに先へ先へと螺旋パターンに沿って等、光ファイバの遠位端が最大限に偏向される結果をもたらし得ることを理解されたい。最小から最大の正弦波振幅変化は、ディスプレイのリフレッシュまたはフレームレートに合致する繰り返し率を有してもよい。座屈電圧振幅も同様に、ディスプレイのリフレッシュまたはフレームレートに合致する繰り返し率に伴って、時間の関数として増加してもよい。これらの振幅増加は、随意に、同期されてもよい。随意に、座屈電圧の印加は、いくつかの実施形態では、低またはゼロ偏向では、座屈電圧の印加が座屈を予測不能方向に生じさせ得るため、座屈が、座屈方向が、予測可能であって、旋転方向に合致する時間に生じ得るように、光ファイバの旋転が開始するために、特定の時間量だけ遅延されてもよい。加えて、または代替として、座屈電圧の印加は、旋転偏向が、その最大範囲に近接する、近づく、または別様に到達する時間の近傍等、座屈によって達成され得る付加的偏向利得が、必要とされるまで、特定の時間量だけ遅延されてもよい。
【0080】
光ファイバを走査するための方法もまた、本明細書に開示される。一般的方法では、第1の電圧が、光ファイバ走査システムに印加され、光ファイバの旋転を誘発し、第2の電圧がさらに、光ファイバ走査システムに印加され、光ファイバの座屈を誘発する。本明細書に説明される光ファイバ走査システムのいずれかは、
図1、3、6、7、および8A-8Dに描写される光ファイバ走査システムのいずれか等の開示される方法と併用されてもよいことを理解されたい。例えば、第1の電圧は、圧電管に印加されてもよく、第2の電圧は、座屈圧電器に印加されてもよい。別の実施例では、第1および第2の電圧の両方が、単一圧電管に印加される。随意に、第1および第2の電圧は、重畳される。
【0081】
第1の電圧は、光ファイバの旋転と関連付けられた運動を表す周波数を有してもよく、1つ以上の正弦波電圧プロファイルに対応してもよく、これは、光ファイバを螺旋パターンで旋転させるために、振幅を増加させ得る。第1の電圧の周波数は、光ファイバの発振部分の自然共振周波数に合致またはほぼ合致してもよい。構成に応じて、本周波数は、約10kHz~約80kHzの範囲内であってもよい。第1の電圧はまた、ディスプレイのためのリフレッシュまたはフレームレートを表す、より低速の繰り返し周波数を呈し得、高周波数の間、旋転電圧が繰り返され、光ファイバを反復螺旋運動で旋転させる。
【0082】
座屈運動と関連付けられた第2の電圧もまた、ディスプレイのためのリフレッシュまたはフレームレートを表す、繰り返し周波数を有してもよい。構成に応じて、本周波数は、約15Hz~約300Hzの範囲内であってもよく、60Hzまたは120Hzの一般的リフレッシュレートに合致する繰り返し周波数が、使用されてもよい。上記に説明されるように、第2の電圧は、正方形、鋸歯、三角形、台形、または他のプロファイルを有してもよい。随意に、第2の電圧は、各反復の間、振幅を増加させてもよく、また、一定または減少電圧の1つ以上の周期を含んでもよい。随意に、第2の電圧の振幅の増加は、第1の電圧の振幅の増加の全部または一部と同期されてもよい。
【0083】
より多いまたはより少ないコンポーネントが、本明細書に説明されるファイバ走査システム内に含まれてもよいことを理解されたい。例えば、ファイバ走査システムは、圧電管および/または座屈圧電器または圧電スタック等の圧電器と電気連通または電気接触する、1つ以上の電圧源を含んでもよい。本明細書に説明されるシステムおよび方法とともに有用な電圧源は、コンピュータ制御式電圧源、プログラマブル電圧源等を含む。圧電材料に印加される電圧は、任意の好適な大きさをとってもよい。例えば、低電圧圧電材料は、本明細書に説明される方法およびシステムと併用されてもよく、これは、大きさ約0V~約150Vを有する電圧の印加によって駆動されてもよい。随意に、より高いまたはより低い最大電圧圧電器が、採用されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータは、例えば、電圧約0V~約10Vまたは約-10V~約10V等の制御電圧を生成してもよく、本制御電圧は、プログラマブル電圧源への入力信号として、電圧駆動器または増幅器等のプログラマブル電圧源を駆動するために使用されてもよいことを理解されたい。プログラマブル電圧源は、次いで、入力信号を約0V~約100Vまたは約-100V~約100V等のより高い電圧信号に変換および/または増幅させ、例えば、圧電器または圧電スタックを駆動してもよい。
【0084】
随意に、光学源が、本明細書に説明されるシステムおよび方法と併用されてもよい。例えば、ファイバ走査システムは、光ファイバに光学的に結合され、電磁放射が、光ファイバを通して導波されるおよび/または別様に通過され、電磁放射出力を光ファイバの遠位ファイバ端部に生成することを可能にする、1つ以上の光学源を含んでもよい。そのような構成は、少なくとも部分的に、ファイバ走査ディスプレイに対応してもよい。光学源は、切替可能である、コンピュータ制御される、および/またはプログラム可能であってもよい。光ファイバの遠位ファイバ端部が旋転および/または座屈によって移動されるにつれて、光学源によって生成された出力のタイミングを同期して制御することによって、光学画像が、出力されてもよい。種々の光学源が、限定ではないが、レーザ光学ソース、発光ダイオード等を含む、本明細書に開示されるシステムおよび方法とともに有用であることを理解されたい。光学源は、複数の波長源または単一波長源を含んでもよい。複数の波長源の使用は、フルカラー画像の生成のために有用であり得る。
【0085】
随意に、ファイバ走査システムは、光ファイバへの光学源の光学結合を促進する1つ以上の光学コンポーネント、例えばレンズ、プリズム、フィルタ等を含んでもよい。随意に、1つ以上の光学コンポーネントは、光ファイバに光学的に結合され、随意に、光ファイバの遠位ファイバ端部と光学連通して位置付けられる、レンズ、フィルタ、または他の要素等のファイバ走査システムによる、画像の出力を促進してもよい。
【0086】
本発明は、以下の非限定的実施例を参照することによってさらに理解され得る。
座屈圧電器アクチュエータを伴うファイバ走査システム
【0087】
図7に示されるものに類似する、光ファイバ走査システムが、以下のように構築された。約125μm直径の光ファイバが、4-電極の半径方向に分極された圧電管の中に挿入された。光ファイバは、約2.5mmのカンチレバー長を圧電管の遠位端と光ファイバの遠位端との間に有していた。光ファイバは、圧電管の近位端上で近位座屈継手に固定された。圧電管は、遠位端から近位座屈位置まで約2.4mmの長さを有していた。増加振幅の正弦波電圧が、電極のそれぞれに印加され、90度位相偏移され、発振旋転運動を誘発した。三角形電圧が、正弦波電圧のそれぞれに対するオフセットとして全ての電極に印加され、座屈運動のための圧電管の全長の変化を誘発させた。構築された光ファイバスキャナシステムの写真は、
図9に提供され、(上から時計回りに)俯瞰図、上側側面図、中央側面図、下側側面図、および代替下側側面図を示す。
【0088】
採用されている用語および表現は、限定ではなく、説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用には、示され、説明される特徴またはその部分のいかなる均等物も除外する意図はないが、種々の修正が、請求される発明の範囲内で可能であることが認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態および随意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の修正および変形例が、当業者によって用いられ得、そのような修正および変形例は、添付の請求項によって定義されるような本発明の範囲内と見なされることを理解されたい。
【0089】
本発明の例示的実施形態の上記の説明は、例証および説明の目的のために提示されている。包括的であること、または本発明を説明される精密な形態に限定することは意図されず、多くの修正および変形例が、上記の教示を踏まえて可能である。実施形態は、発明の原理およびその実用的用途を解説し、それによって、他の当業者が、考慮される特定の用途に適するように、種々の実施形態で、かつ種々の修正を伴って、本発明を利用することを可能にするために、選定および説明された。
【0090】
置換物の群が本明細書に開示されるとき、これらの群の全ての個々の要素、および置換物を使用して形成され得る全ての下位群および部類が、別個に開示されることを理解されたい。マーカッシュ群または他のグループ化が本明細書で使用されるとき、群の全ての個々の要素、および群の可能性として考えられる全ての組み合わせおよび副次的組み合わせは、本開示の中に個別に含まれることを意図している。本明細書で使用されるように、「および/または」は、「および/または」によって分離されるリストの中の項目のうちの1つ、全て、または任意の組み合わせが、リストの中に含まれることを意味する。例えば、「1、2、および/または3」は、「1のみ、2のみ、3のみ、1および2の両方、1および3の両方、2および3の両方、または1、2、および3の全て」と同等である。
【0091】
説明または例示されるコンポーネントの全ての調合または組み合わせが、別様に記述されない限り、本発明を実践するために使用されることができる。材料の具体的名称は、当業者が同一の材料を異なるように命名し得ることが公知であるため、例示的であることを意図している。当業者は、例示される具体的に例示されるもの以外の方法、デバイス要素、および出発材料が、必要以上の実験を用いることなく、本発明の実践で採用され得ることを理解されるであろう。任意のそのような方法、デバイス要素、および出発物質の全ての当技術分野で公知の機能的均等物は、本発明の中に含まれることを意図している。範囲、例えば、温度範囲、時間範囲、周波数範囲、または組成範囲が、本明細書の中で挙げられる度に、全ての中間範囲および部分範囲、および挙げられる範囲の中に含まれる全ての個々の値は、本開示の中に含まれることを意図している。本明細書に説明される異なる実施形態の全部または一部は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、任意の好適な様式で組み合わせられ得る。しかしながら、本発明の他の実施形態は、各個々の側面、またはこれらの個々の側面の具体的組み合わせに関する、具体的実施形態を対象とし得る。