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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042050
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20230317BHJP
   F02B 29/04 20060101ALI20230317BHJP
   F02M 26/33 20160101ALI20230317BHJP
   F02B 43/00 20060101ALI20230317BHJP
   F02D 19/02 20060101ALI20230317BHJP
   F01P 3/14 20060101ALI20230317BHJP
   F01P 3/20 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
F02D45/00 368A
F02B29/04 B
F02M26/33 301
F02B43/00 Z
F02D19/02 Z
F01P3/14 Z
F01P3/20 G
F01P3/20 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149126
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末廣 和雅
【テーマコード(参考)】
3G062
3G092
3G384
【Fターム(参考)】
3G062GA08
3G062GA09
3G062GA12
3G062GA17
3G062GA18
3G092AA17
3G092AB08
3G092FA16
3G092HA04Z
3G092HB04Z
3G092HC05Z
3G092HD01Z
3G384AA14
3G384BA27
3G384BA37
3G384BA41
3G384DA01
3G384DA55
3G384ED07
3G384FA33Z
3G384FA45Z
3G384FA86Z
(57)【要約】
【課題】気体燃料を使用する内燃機関において、出力性能を低下させずにノッキングを解消することができる内燃機関の制御装置を提供すること。
【解決手段】圧縮された気体燃料を減圧して気体燃料供給装置41に供給するプレッシャレギュレータ44と、エンジン2の冷却水をプレッシャレギュレータ44に供給する第1の冷却経路C1と、エンジン2に吸入される空気を冷却する水冷式のインタクーラ23と、エンジン2のノッキングを検出するノックセンサ34と、プレッシャレギュレータ44とインタクーラ23との間にて冷却水を循環させる第2の冷却経路C2と、プレッシャレギュレータ44の温度が所定の温度より高く、ノッキングが検出され、インタクーラ23から供給される空気の温度が所定温度より高い場合、プレッシャレギュレータ44へ供給する冷却水の量を減少させる一方、インタクーラ23へ供給する冷却水の量を増加させる制御部3と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気ポートに気体燃料を供給する気体燃料供給装置と、
圧縮された気体燃料を減圧して前記気体燃料供給装置に供給する減圧部と、
前記内燃機関の冷却水を前記減圧部に供給する第1の冷却経路と、
前記内燃機関に吸入される空気を冷却する水冷式のインタクーラと、
前記内燃機関のノッキングを検出するノッキング検出部と、を備える内燃機関の制御装置であって、
前記第1の冷却経路とは独立しており、前記減圧部と前記インタクーラとの間にて冷却水を循環させる第2の冷却経路と、
前記第1の冷却経路の冷却水の流量を調整する第1の流量調整部と、
前記第2の冷却経路の冷却水の流量を調整する第2の流量調整部と、
前記減圧部の温度が所定の温度より高く、前記ノッキング検出部によってノッキングが検出され、前記インタクーラから前記内燃機関に供給される空気の温度が所定温度より高い場合、前記第1の流量調整部により前記減圧部へ供給する冷却水の量を減少させる一方、前記第2の流量調整部により前記インタクーラへ供給する冷却水の量を増加させる制御部と、を備える内燃機関の制御装置。
【請求項2】
内燃機関の吸気ポートに気体燃料を供給する気体燃料供給装置と、
圧縮された気体燃料を減圧して前記気体燃料供給装置に供給する減圧部と、
前記内燃機関の冷却水を前記減圧部に供給する第1の冷却経路と、
前記内燃機関に還流される排気を冷却する水冷式のEGRクーラと、
前記内燃機関のノッキングを検出するノッキング検出部と、を備える内燃機関の制御装置であって、
前記第1の冷却経路とは独立しており、前記減圧部と前記EGRクーラとの間にて冷却水を循環させる第2の冷却経路と、
前記第1の冷却経路の冷却水の流量を調整する第1の流量調整部と、
前記第2の冷却経路の冷却水の流量を調整する第2の流量調整部と、
前記減圧部の温度が所定の温度より高く、前記ノッキング検出部によってノッキングが検出され、前記内燃機関に排気の一部が還流されており、前記EGRクーラから前記内燃機関に供給される排気の温度が所定温度より高い場合、前記第1の流量調整部により前記減圧部へ供給する冷却水の量を減少させる一方、前記第2の流量調整部により前記EGRクーラへ供給する冷却水の量を増加させる制御部と、を備える内燃機関の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フィードバック制御手段を備えた内燃機関の空燃比制御装置において、冷却水温検出手段と吸気温検出手段とを設け、冷却水温度が設定された値よりも大きく、且つ吸入空気温度が設定された値よりも大きい時に、燃料を増量補正する補正制御手段を設けることが記載されている。
【0003】
また、ノッキング検出時に点火時期を遅角制御し、遅角量をモニタする遅角量モニタ手段を設け、冷却水温度が設定された値よりも大きく、且つ吸入空気温度が設定された値よりも大きく、さらに遅角量が設定された値よりも大きい時に、燃料を増量補正する補正制御手段を設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-148216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、内燃機関には、天然ガス等の気体燃料を使用する内燃機関がある。このような内燃機関においてノッキングが発生した場合には、点火時期を遅角させているが、出力性能の低下を招くおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、気体燃料を使用する内燃機関において、出力性能を低下させずにノッキングを解消することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は、内燃機関の吸気ポートに気体燃料を供給する気体燃料供給装置と、圧縮された気体燃料を減圧して前記気体燃料供給装置に供給する減圧部と、前記内燃機関の冷却水を前記減圧部に供給する第1の冷却経路と、前記内燃機関に吸入される空気を冷却する水冷式のインタクーラと、前記内燃機関のノッキングを検出するノッキング検出部と、を備える内燃機関の制御装置であって、前記第1の冷却経路とは独立しており、前記減圧部と前記インタクーラとの間にて冷却水を循環させる第2の冷却経路と、前記第1の冷却経路の冷却水の流量を調整する第1の流量調整部と、前記第2の冷却経路の冷却水の流量を調整する第2の流量調整部と、前記減圧部の温度が所定の温度より高く、前記ノッキング検出部によってノッキングが検出され、前記インタクーラから前記内燃機関に供給される空気の温度が所定温度より高い場合、前記第1の流量調整部により前記減圧部へ供給する冷却水の量を減少させる一方、前記第2の流量調整部により前記インタクーラへ供給する冷却水の量を増加させる制御部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明によれば、気体燃料を使用する内燃機関において、出力性能を低下させずにノッキングを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施例に係る内燃機関の制御装置の概略構成図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る内燃機関の制御装置のインタクーラ冷却制御処理の手順を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の一実施例に係る内燃機関の制御装置のEGRクーラ冷却制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る内燃機関の制御装置は、内燃機関の吸気ポートに気体燃料を供給する気体燃料供給装置と、圧縮された気体燃料を減圧して気体燃料供給装置に供給する減圧部と、内燃機関の冷却水を減圧部に供給する第1の冷却経路と、内燃機関に吸入される空気を冷却する水冷式のインタクーラと、内燃機関のノッキングを検出するノッキング検出部と、を備える内燃機関の制御装置であって、第1の冷却経路とは独立しており、減圧部とインタクーラとの間にて冷却水を循環させる第2の冷却経路と、第1の冷却経路の冷却水の流量を調整する第1の流量調整部と、第2の冷却経路の冷却水の流量を調整する第2の流量調整部と、減圧部の温度が所定の温度より高く、ノッキング検出部によってノッキングが検出され、インタクーラから内燃機関に供給される空気の温度が所定温度より高い場合、第1の流量調整部により減圧部へ供給する冷却水の量を減少させる一方、第2の流量調整部によりインタクーラへ供給する冷却水の量を増加させる制御部と、を備えるよう構成されている。
【0011】
これにより、本発明の一実施の形態に係る内燃機関の制御装置は、気体燃料を使用する内燃機関において、出力性能を低下させずにノッキングを解消することができる。
【実施例0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る内燃機関の制御装置について詳細に説明する。
【0013】
図1において、本発明の一実施例に係る内燃機関の制御装置を搭載した車両1は、内燃機関型のエンジン2と、制御部3とを含んで構成されている。
【0014】
エンジン2には、複数の気筒が形成されている。本実施例において、エンジン2は、各気筒に対して、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなる一連の4行程を行なうように構成されている。エンジン2には、エンジン2のノッキングを検出するノッキング検出部としてのノックセンサ34が設けられている。
【0015】
なお、本実施例において、エンジン2は、直列4気筒のエンジンによって構成されているものとするが、本発明においては、直列6気筒エンジン、V型6気筒エンジン、V型12気筒エンジンまたは水平対向6気筒エンジン等の種々の型式のエンジンによって構成されていてもよい。
【0016】
エンジン2の吸気ポートには、空気をエンジン2の燃焼室に導入するためのインテークマニホールド21が設けられている。インテークマニホールド21は、外気を吸入するための吸気管22に接続されている。すなわち、インテークマニホールド21は、吸気管22とエンジン2の各気筒の吸気ポートとを連通している。
【0017】
吸気管22には、エンジン2の吸入空気を冷却する水冷式のインタクーラ23と、吸入空気を圧縮し、圧縮した吸入空気を吸入空気が吸入される方向である吸気方向の下流側のインタクーラ23に送り込む過給機24と、が設けられている。
【0018】
吸気管22のインタクーラ23の吸気方向の下流側には、インタクーラ23から供給される吸気の温度を検出する吸気温センサ31が設けられている。
【0019】
吸気管22のインテークマニホールド21の吸気方向の上流側には、エンジン2の排気の一部を吸気側に還流させる排気還流管25が接続されている。排気還流管25は、排気の一部を吸気側に還流させるEGR(Exhaust Gas Recirculation)を行わせるようになっている。排気還流管25には、還流させる排気を冷却する水冷式のEGRクーラ26が設けられている。
【0020】
排気還流管25の、EGRクーラ26の排気が還流される方向である還流方向の下流側には、EGRクーラ26から還流される排気の温度を検出する排気温センサ32が設けられている。
【0021】
エンジン2には、吸気ポートに気体燃料を供給する気体燃料供給装置41が設けられている。気体燃料供給装置41には、燃料容器45から気体燃料供給装置41へ燃料を供給する燃料供給管42が接続されている。
【0022】
燃料供給管42の気体燃料が供給される方向である供給方向の燃料容器45よりも下流側には、減圧部としてのプレッシャレギュレータ44、オイルフィルタ43、が順に設けられている。
【0023】
オイルフィルタ43は、通過する気体燃料に含まれるオイルを捕捉する。
プレッシャレギュレータ44は、燃料容器45から供給される気体燃料の圧力を減圧させる。このプレッシャレギュレータ44は、規定の圧力の気体燃料が気体燃料供給装置41に供給されるように作動する。プレッシャレギュレータ44には、プレッシャレギュレータ44の温度を検出する温度センサ33が設けられている。
【0024】
気体燃料供給装置41は、プレッシャレギュレータ44から供給された気体燃料を、その圧力を保ちながら蓄える。
【0025】
プレッシャレギュレータ44は、気体燃料の圧力を低下させるときの断熱膨張により温度が下がってしまうため、長時間の断熱膨張の実行により温度が下がりすぎて、凍結等を起こし、適正な調圧ができなくなる。
【0026】
このため、エンジン2の冷却水をプレッシャレギュレータ44の周辺に取り回し、プレッシャレギュレータ44の温度低下を防ぐ。
【0027】
エンジン2とプレッシャレギュレータ44との間には、エンジン2の冷却水が、エンジン2からプレッシャレギュレータ44の周囲を通りエンジン2に戻る第1の冷却経路C1が設けられている。
【0028】
第1の冷却経路C1の、プレッシャレギュレータ44の冷却水が流れる方向の上流側には、プレッシャレギュレータ44へ流れる冷却水の流量を調整する第1の流量調整部51が設けられている。第1の流量調整部51は、例えば、バルブや可変流量ポンプにより構成される。
【0029】
本実施例においては、インタクーラ23及びEGRクーラ26の冷却水もプレッシャレギュレータ44の周辺に取り回し、プレッシャレギュレータ44の温度によりインタクーラ23及びEGRクーラ26の冷却水を冷やす。
【0030】
エンジン2とインタクーラ23及びEGRクーラ26との間には、インタクーラ23及びEGRクーラ26から出た冷却水が、合流してプレッシャレギュレータ44の周囲を通り、分岐してインタクーラ23及びEGRクーラ26に戻る第2の冷却経路C2が設けられている。
【0031】
第2の冷却経路C2の、プレッシャレギュレータ44とインタクーラ23及びEGRクーラ26への分岐点との間には、インタクーラ23及びEGRクーラ26へ流れる冷却水の流量を調整する第2の流量調整部52が設けられている。第2の流量調整部52は、例えば、バルブや可変流量ポンプにより構成される。
【0032】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、バックアップ用のデータなどを保存するフラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0033】
このコンピュータユニットのROMには、各種定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットを制御部3として機能させるためのプログラムが格納されている。
【0034】
すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、このコンピュータユニットは、本実施例における制御部3として機能する。
【0035】
制御部3の入力ポートには、前述した吸気温センサ31、排気温センサ32、温度センサ33、ノックセンサ34等の各種センサ類が接続されている。
【0036】
制御部3の出力ポートには、前述した第1の流量調整部51、第2の流量調整部52等の各種制御対象類が接続されている。
【0037】
本実施例において、制御部3は、プレッシャレギュレータ44の温度が所定のプレッシャレギュレータ限界温度より高く、ノックセンサ34によりノッキングの発生が検出され、インタクーラ23からエンジン2に供給される空気の温度が所定温度より高い場合、第1の流量調整部51により第1の冷却経路C1の冷却水の流量を減らし、第2の流量調整部52により第2の冷却経路C2の冷却水の流量を増加させる。
【0038】
プレッシャレギュレータ限界温度は、例えば、プレッシャレギュレータ44の設計保証温度であり、プレッシャレギュレータ44の性能を保証することができる温度である。
【0039】
また、制御部3は、プレッシャレギュレータ44の温度が所定のプレッシャレギュレータ限界温度より高く、ノックセンサ34によりノッキングの発生が検出され、排気還流中であり、EGRクーラ26からエンジン2に供給される排気の温度が所定温度より高い場合、第1の流量調整部51により第1の冷却経路C1の冷却水の流量を減らし、第2の流量調整部52により第2の冷却経路C2の冷却水の流量を増加させる。
【0040】
以上のように構成された本実施例に係る内燃機関の制御装置によるインタクーラ冷却制御処理について、図2を参照して説明する。なお、以下に説明するインタクーラ冷却制御処理は、制御部3が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。
【0041】
ステップS1において、制御部3は、プレッシャレギュレータ44の実温度が所定のプレッシャレギュレータ限界温度より高いか否かを判定する。
【0042】
プレッシャレギュレータ44の実温度がプレッシャレギュレータ限界温度より高いと判定した場合には、制御部3は、ステップS2の処理を実行する。プレッシャレギュレータ44の実温度がプレッシャレギュレータ限界温度より高くないと判定した場合には、制御部3は、ステップS5の処理を実行する。
【0043】
ステップS2において、制御部3は、ノックセンサ34によりノッキングの発生が検出されているか否かを判定する。
【0044】
ノッキングの発生が検出されていると判定した場合には、制御部3は、ステップS3の処理を実行する。ノッキングの発生が検出されていないと判定した場合には、制御部3は、ステップS5の処理を実行する。
【0045】
ステップS3において、制御部3は、インタクーラ23からエンジン2に供給される空気の温度である吸気温が所定温度より高いか否かを判定する。
【0046】
吸気温が所定温度より高いと判定した場合には、制御部3は、ステップS4の処理を実行する。吸気温が所定温度より高くないと判定した場合には、制御部3は、ステップS5の処理を実行する。
【0047】
ステップS4において、制御部3は、第1の流量調整部51により第1の冷却経路C1の冷却水の流量を減らし、第2の流量調整部52により第2の冷却経路C2の冷却水の流量を増加させる。ステップS4の処理を実行した後、制御部3は、インタクーラ冷却制御処理を終了する。
【0048】
ステップS5において、制御部3は、第1の流量調整部51を開弁とし、第2の流量調整部52を閉弁とする。ステップS5の処理を実行した後、制御部3は、インタクーラ冷却制御処理を終了する。
【0049】
次に、本実施例に係る内燃機関の制御装置によるEGRクーラ冷却制御処理について、図3を参照して説明する。なお、以下に説明するEGRクーラ冷却制御処理は、制御部3が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。
【0050】
ステップS11において、制御部3は、プレッシャレギュレータ44の実温度が所定のプレッシャレギュレータ限界温度より高いか否かを判定する。
【0051】
プレッシャレギュレータ44の実温度がプレッシャレギュレータ限界温度より高いと判定した場合には、制御部3は、ステップS12の処理を実行する。プレッシャレギュレータ44の実温度がプレッシャレギュレータ限界温度より高くないと判定した場合には、制御部3は、ステップS16の処理を実行する。
【0052】
ステップS12において、制御部3は、ノックセンサ34によりノッキングの発生が検出されているか否かを判定する。
【0053】
ノッキングの発生が検出されていると判定した場合には、制御部3は、ステップS13の処理を実行する。ノッキングの発生が検出されていないと判定した場合には、制御部3は、ステップS16の処理を実行する。
【0054】
ステップS13において、制御部3は、エンジン2で排気還流管25により排気が還流されている排気還流中か否かを判定する。
【0055】
排気還流中であると判定した場合には、制御部3は、ステップS14の処理を実行する。排気還流中でないと判定した場合には、制御部3は、ステップS16の処理を実行する。
【0056】
ステップS14において、制御部3は、EGRクーラ26からエンジン2に供給される排気の温度である排気温度が所定温度より高いか否かを判定する。
【0057】
排気温度が所定温度より高いと判定した場合には、制御部3は、ステップS15の処理を実行する。排気温度が所定温度より高くないと判定した場合には、制御部3は、ステップS16の処理を実行する。
【0058】
ステップS15において、制御部3は、第1の流量調整部51により第1の冷却経路C1の冷却水の流量を減らし、第2の流量調整部52により第2の冷却経路C2の冷却水の流量を増加させる。ステップS15の処理を実行した後、制御部3は、EGRクーラ冷却制御処理を終了する。
【0059】
ステップS16において、制御部3は、第1の流量調整部51を開弁とし、第2の流量調整部52を閉弁または少しだけ開弁する弱開弁とする。ステップS16の処理を実行した後、制御部3は、EGRクーラ冷却制御処理を終了する。
【0060】
このように、本実施例では、制御部3は、プレッシャレギュレータ44の温度が所定のプレッシャレギュレータ限界温度より高く、ノックセンサ34によりノッキングの発生が検出され、インタクーラ23からエンジン2に供給される空気の温度が所定温度より高い場合、第1の流量調整部51により第1の冷却経路C1の冷却水の流量を減らし、第2の流量調整部52により第2の冷却経路C2の冷却水の流量を増加させる。
【0061】
プレッシャレギュレータ44の温度が所定のプレッシャレギュレータ限界温度より高ければ、プレッシャレギュレータ44の凍結を防止しつつ、プレッシャレギュレータ44の温度を低下させる余地がある。
【0062】
このような状況下で、エンジン2のノッキングが検出され、エンジン2に供給される吸気温が所定温度より高い場合、第1の流量調整部51によりプレッシャレギュレータ44へ供給される冷却水の量を減少させてプレッシャレギュレータ44の温度を低下させる一方、第2の流量調整部52によりインタクーラ23へ供給される冷却水の量を増加させる。
【0063】
このため、第1の冷却経路C1より温度の低い冷却水を第2の冷却経路C2によってインタクーラ23へ供給することができ、吸気の温度を低下させてノッキングを解消することができる。点火時期を遅角してノッキングを解消する方法と比べ、出力性能を向上させることができる。
【0064】
また、制御部3は、プレッシャレギュレータ44の温度が所定のプレッシャレギュレータ限界温度より高く、ノックセンサ34によりノッキングの発生が検出され、排気還流中であり、EGRクーラ26からエンジン2に供給される排気の温度が所定温度より高い場合、第1の流量調整部51により第1の冷却経路C1の冷却水の流量を減らし、第2の流量調整部52により第2の冷却経路C2の冷却水の流量を増加させる。
【0065】
プレッシャレギュレータ44の温度が所定のプレッシャレギュレータ限界温度より高ければ、プレッシャレギュレータ44の凍結を防止しつつ、プレッシャレギュレータ44の温度を低下させる余地がある。
【0066】
このような状況下で、エンジン2のノッキングが検出され、エンジン2に供給される排気の温度が所定温度より高い場合、第1の流量調整部51によりプレッシャレギュレータ44へ供給される冷却水の量を減少させてプレッシャレギュレータ44の温度を低下させる一方、第2の流量調整部52によりEGRクーラ26へ供給される冷却水の量を増加させる。
【0067】
このため、第1の冷却経路C1より温度の低い冷却水を第2の冷却経路C2によってEGRクーラ26へ供給することができ、排気が混入した吸気の温度を低下させてノッキングを解消することができる。点火時期を遅角してノッキングを解消する方法と比べ、出力性能を向上させることができる。
【0068】
本実施例では、各種センサ情報に基づき制御部3が各種の判定や算出を行なう例について説明したが、これに限らず、車両1が外部サーバ等の車外装置と通信可能な通信部を備え、該通信部から送信された各種センサの検出情報に基づき車外装置によって各種の判定や算出が行なわれ、その判定結果や算出結果を通信部で受信して、その受信した判定結果や算出結果を用いて各種制御を行なってもよい。
【0069】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0070】
1 車両
2 エンジン(内燃機関)
3 制御部
23 インタクーラ
26 EGRクーラ
31 吸気温センサ
32 排気温センサ
33 温度センサ
34 ノックセンサ(ノッキング検出部)
41 気体燃料供給装置
44 プレッシャレギュレータ(減圧部)
51 第1の流量調整部
52 第2の流量調整部
C1 第1の冷却経路
C2 第2の冷却経路
図1
図2
図3