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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042188
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】車体後部構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/48 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
B60R19/48 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149362
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】中森 大
(72)【発明者】
【氏名】山本 勝大
(57)【要約】
【課題】センサ及びセンサに接続するハーネスを含むセンサ類を保護する。
【解決手段】車体後部構造100は、後輪Tよりも車両後方に配置されるリヤバンパ10と、後輪Tよりも車幅方向内側で且つリヤバンパ10における車両前方側の部分に取り付けられる対象センサS’と、少なくとも対象センサS’に接続するハーネスHと、リヤバンパ10における車両前方の面であるバンパ裏面10aのうちの後輪Tよりも車幅方向内側の部分に固定されるカバー部材20とを含む。カバー部材20は、対象センサS’の下方に位置し且つ車幅方向に所定幅を有して車両前方に向かって延出する延出部21を有している。ハーネスHは、少なくともカバー部材20に固定されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後輪よりも車両後方に配置されるリヤバンパと前記後輪よりも車幅方向内側で且つ前記リヤバンパにおける車両前方側の部分に取り付けられる対象センサと少なくとも前記対象センサに接続するハーネスとを含む、車体後部構造であって、
前記リヤバンパにおける車両前方の面であるバンパ裏面のうちの前記後輪よりも車幅方向内側の部分に固定されるカバー部材を含み、
前記カバー部材は、前記対象センサの下方に位置し且つ車幅方向に所定幅を有して車両前方に向かって延出する延出部を有しており、
前記ハーネスは、少なくとも前記カバー部材に固定されていることを特徴とする車体後部構造。
【請求項2】
前記延出部は、車両前後方向について前側下がりに傾斜している、請求項1に記載の車体後部構造。
【請求項3】
前記延出部は、車幅方向について内側下がりに傾斜している、請求項1又は2に記載の車体後部構造。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記延出部における前記対象センサよりも車幅方向外側に位置する外端部から前記対象センサよりも上方の所定位置まで前記延出部に連続して延在する上方延長部を有する、請求項1~3のいずれか一つに記載の車体後部構造。
【請求項5】
前記延出部は、前記対象センサの直下を横切る第1延出片と、前記第1延出片に連続して前記第1延出片の車幅方向内側に延びる第2延出片と、を有し、
前記第1延出片の前端は、前記第2延出片の前端よりも車両前方に位置している、請求項1~4のいずれか一つに記載の車体後部構造。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記延出部から下方に延びるとともに前記バンパ裏面と相対する縦壁部を有し、
前記ハーネスは、前記縦壁部の車両前方で前記カバー部材を車幅方向に横断するように敷設される横断ハーネス部と、前記横断ハーネス部から分岐する分岐ハーネス部と、を有し、
前記縦壁部には貫通孔が開口されており、
前記横断ハーネス部からの前記分岐ハーネス部の分岐部は、車両前方から視た平面視で前記貫通孔の領域内に位置するように配置されている、請求項1~5のいずれか一つに記載の車体後部構造。
【請求項7】
前記横断ハーネス部及び前記分岐ハーネス部はそれぞれ前記カバー部材に固定されている、請求項6に記載の車体後部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リヤバンパを含む車体後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両の後部にはリヤバンパが設けられている。そして、リヤバンパにおける車両前方側の部分には電磁波を用いて車両後方の障害物等を検出するバックソナー等のセンサが取り付けられ、リヤバンパ内にはセンサと接続するハーネスが敷設されることがある。
【0003】
このようなセンサが取り付けられたリヤバンパを含む車体後部構造の一例として、特許文献1に開示された車体後部構造が知られている。この特許文献1の車体後部構造では、リヤバンパは車幅方向全体に亘って延びる本体部と本体部から車両前方に向かって張り出す張り出し部とを有しており、リヤバンパにおける張り出し部の上方の部分にセンサが取り付けられるようになっている。そして、リヤバンパの張り出し部は、リヤバンパの本体部における車両前方に突出した形状に形成された横壁及び縦壁からなる部分と一体に成形されている。そして、このリヤバンパと一体に成形された張り出し部によって、後輪により巻き上げられた雨水や泥等のセンサへの到達が抑制され、センサの保護が図られ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-37854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の車体後部構造では、張り出し部を設けるために、リヤバンパ自体に車両前方に突出した部分を有する凹凸構造を設ける必要がある。しかし、小型車等において車両デザイン上の要求等によりリヤバンパ自体に十分な凹凸を設けることができない場合もあるため、このような車両における車体後部構造では、センサの保護のための工夫が求められ得る。また、センサだけでなく、ハーネスに対する保護も求められ得る。
【0006】
そこで、本発明は、リヤバンパに十分な凹凸を設けることが困難な場合でも、センサ及びセンサに接続するハーネスを含むセンサ類を保護することができる構造を有した車体後部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明の一態様によると、後輪よりも車両後方に配置されるリヤバンパと前記後輪よりも車幅方向内側で且つ前記リヤバンパにおける車両前方側の部分に取り付けられる対象センサと少なくとも前記対象センサに接続するハーネスとを含む、車体後部構造が提供される。この車体後部構造は、前記リヤバンパにおける車両前方の面であるバンパ裏面のうちの前記後輪よりも車幅方向内側の部分に固定されるカバー部材を含む。そして、前記車体後部構造において、前記カバー部材は、前記対象センサの下方に位置し且つ車幅方向に所定幅を有して車両前方に向かって延出する延出部を有しており、前記ハーネスは、少なくとも前記カバー部材に固定されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様による前記車体後部構造では、前記カバー部材が前記対象センサの下方に位置し且つ車幅方向に所定幅を有して車両前方に向かって延出する延出部を有している。これにより、前記カバー部材の前記延出部によって、後輪により下方から上方に巻き上げられた雨水や泥等の対象センサへの到達(換言すると、対象センサへの被水等)が抑制され、対象センサS’を保護することができる。そして、前記カバー部材は前記リヤバンパにおける車両前方の面であるバンパ裏面のうちの前記後輪よりも車幅方向内側の部分に固定されているため、前記バンパ裏面に十分な凹凸を設けることが困難な場合でも、前記リヤバンパと別の部材である前記カバー部材を前記リヤバンパに固定することで、対象センサを保護することができる。また、前記ハーネスは少なくとも前記カバー部材に固定されているため、雨水や泥等が前記ハーネスに接触したとしても、この接触による荷重の少なくとも一部を前記カバー部材に伝達することができる。その結果、例えば、前記ハーネスにおけるつなぎ目(具体的には、ハーネスにおける対象センサとの接続部分や対象センサへ分岐する分岐部等)の破損を抑制することもできるため、対象センサ及びハーネスを含むセンサ類を保護することができる。また、前記ハーネスが対象センサ以外のセンサとも接続されている場合には、前記ハーネスにおける対象センサ以外のセンサとの接続部分や当該センサへ分岐する分岐部の破損も抑制することができる。つまり、本発明の一態様による前記車体後部構造では、対象センサを含むセンサ及びこれらのセンサに接続するハーネスを含むセンサ類を保護することができる。
【0009】
このようにして、本発明は、リヤバンパに十分な凹凸を設けることが困難な場合でも、センサ及びセンサに接続するハーネスを含むセンサ類を保護することができる構造を有した車体後部構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る車体後部構造の車両後方から視た平面図である。
図2】前記車体後部構造の車両前方側から視た斜視図である。
図3】前記車体後部構造の車両前方から視た部分拡大平面図である。
図4】前記車体後部構造のカバー部材の平面図である。
図5】前記車体後部構造の車両上方から視た部分上面図である。
図6】前記車体後部構造の車両下方から視た部分下面図である。
図7図3に示すA-A線における部分断面図である。
図8図3に示すB-B線における部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1図3は本発明の一実施形態に係る車体後部構造100を説明するための図であり、図1は車両後方から視た車体後部構造100の平面図であり、図2は車両前方側から視た斜視図であり、図3は車両前方から視た部分拡大平面図である。なお、図において、矢印Fr方向は車両前後方向で車両前方を示し、矢印O方向は車両幅方向(車幅方向)で車両外方(車幅方向外側)を示し、矢印U方向は車両上下方向で車両上方を示している。以下の説明における「前」及び「後」は車両前後方向における前及び後に対応し、「上」及び「下」は車両上下方向における上及び下に対応している。また、「左」及び「右」は、車両前方側から車両後方側に向かって視た状態での、車幅方向における左及び右に対応している。
【0012】
[車体後部構造の概要]
図1に示すように、車体後部構造100は、自動車等の車両の車体の後部の構造として適用されている。車体後部構造100は、図1図3に示すように、リヤバンパ10と、複数(ここでは、4個)のセンサSと、ハーネスHと、カバー部材20と、を備えている。車体後部構造100が適用される車両は、ここでは、小型の自動車であるものとする。
【0013】
リヤバンパ10は、車両の後輪Tよりも車両後方に配置され、車体の一部を構成する図示省略したリヤパネルに取り付けられる。リヤバンパ10は中型や大型の自動車等のリヤバンパよりも比較的に凹凸の少ない形状のデザインで形成され、リヤバンパ10における車両前方の面であるバンパ裏面10aは比較的に凹凸の少ない面を広範囲に有する。
【0014】
リヤバンパ10は、例えば、中間面部11と、上縁部12と、下縁部13と、右湾曲部14と、左湾曲部15と、ライセンスプレート取付部16と、を有する。
【0015】
中間面部11は、リヤバンパ10における上下方向の中間位置において車幅方向に延在し、リヤバンパ10の主要部分を構成する。中間面部11は、車両後方から視た平面視で車幅方向に長い概ね矩形状の領域であり、車両後方に僅かに膨出するように形成される。バンパ裏面10aのうちの中間面部11の部分は凹凸の少ない面として形成される。
【0016】
上縁部12は、中間面部11の上縁から連続して概ね車両上方に向かって延びており、車体の後部に設けられるバックドア用開口部の下縁を構成する。
【0017】
下縁部13は、中間面部11の下縁に連続して延びており、車両下方に向かうにしたがって車両前方側に偏向するように湾曲している。下縁部13における車幅方向外側の両端部には、それぞれ、リヤバンパ10を車体(例えばリヤパネル)に締結するためのブラケット17が設けられている。なお、ブラケット17は、例えば、樹脂により形成されてもよいし、樹脂と金属との複合材により形成されてもよい。
【0018】
右湾曲部14及び左湾曲部15は、それぞれ、車両前方から視た平面視において、リヤバンパ10の車幅方向の端部を構成している。右湾曲部14は、中間面部11の右縁に連続して延びており車幅方向右側に向かうにしたがって車両前方に偏向するように湾曲している。左湾曲部15は、中間面部11の左縁に連続して延びており車幅方向左側に向かうにしたがって車両前方に偏向するように湾曲している。
【0019】
ライセンスプレート取付部16は、リヤバンパ10における車幅方向中央部に設けられている。具体的には、ライセンスプレート取付部16は、リヤバンパ10における中間面部11から下縁部13までに亘る範囲において、車両前方に向かって突出するように形成されている。ライセンスプレート取付部16は、車両前後方向から視た平面視で車幅方向に長い概ね台形状に形成されており、上辺が中間面部11における車両上下方向の中間位置に位置し、下辺が下縁部13における車両上下方向の中間位置に位置している。そして、ライセンスプレート取付部16における車両後方の面に、ライセンスプレート16aが取り付けられている(図1参照)。
【0020】
そして、図示省略したリヤパネルには、車室内の空気を喚起するためのベンチレータが取り付けられる車幅方向に長い矩形状のベンチレータ取付孔30が開口されている。なお、ベンチレータ取付孔30は、図1及び図3に点線で示すように、車両前後方向から視た平面視で、車両上下方向について中間面部11の上縁とライセンスプレート16aの上縁(上辺)との間において、ライセンスプレート16aの右上角部近傍とライセンスプレート16aの左上角部近傍との二箇所にそれぞれ位置している。
【0021】
複数のセンサSは、リヤバンパ10における車両前方側の部分に取り付けられている。センサSは、例えば、電磁波を用いて車両後方の障害物等を検出するものである。特に限定されるものではないが、左右に2個ずつ、合計4個のセンサSがバンパ裏面10a側からリヤバンパ10に取り付けられている。
【0022】
4個のセンサSのうちの2個はリヤバンパ10のうちの中間面部11において互いに車幅方向に離隔して取り付けられ、残りのセンサSは右湾曲部14と左湾曲部15とに取り付けられている。ここで、中間面部11の2個のセンサSは、後輪Tよりも車幅方向内側に位置しており、以下では、これらのセンサSのそれぞれを適宜に対象センサS’と呼ぶ。つまり、対象センサS’は、後輪Tよりも車幅方向内側で且つリヤバンパ10における車両前方側の部分に取り付けられており、後述するようにカバー部材20によって直接的に保護される対象のセンサである。そして、対象センサS’は、カバー部材20の後述する延出部21の上方に位置している。
【0023】
ハーネスHは、少なくとも対象センサS’に接続する配線部材である。ハーネスHは、ここでは、対象センサS’と対象センサS’以外のセンサSとを含む上述した複数(4個)のセンサSに接続する配線部材である。ハーネスHは、リヤパネルに設けられたハーネス挿通孔(図示省略)及びこのハーネス挿通孔に取り付けられるリヤパネル側キャップ31の孔を通じて車体側からリヤバンパ10内に敷設されている。ハーネスHの構成要素や敷設ルート等については、後に詳述する。
【0024】
カバー部材20は、センサS及びハーネスHを含むセンサ類を保護するための部材である。本実施形態では、2個のカバー部材20が車幅方向に互いに離隔して配置される。
【0025】
[車体後部構造の詳細]
以下では、車体後部構造100における主にカバー部材20とハーネスHについて詳述する。図4はカバー部材20の平面図であり、図5は車体後部構造100の車両上方から視た部分上面図であり、図6は車体後部構造100の車両下方から視た部分下面図であり、図7図3に示すA-A線における部分断面図であり、図8図3に示すB-B線における部分断面図である。
【0026】
[カバー部材]
カバー部材20は、前述したように、センサS及びハーネスHを含むセンサ類を保護するための部材である。カバー部材20は、リヤバンパ10のバンパ裏面10aのうちの後輪Tよりも車幅方向内側の部分に固定されており、リヤバンパ10とは別の部材として形成されている。
【0027】
本実施形態では、カバー部材20は、車両前方から視て、後輪Tよりも車幅方向内側の2個のセンサSのうちの右側の対象センサS’と左側の対象センサS’のそれぞれに対応して配置されている。つまり、車体後部構造100は、車幅方向に互いに離隔する複数(2個)のカバー部材20を有している。以下では、車両前方から視て右側のカバー部材20を一例に挙げてカバー部材20の構造等を説明する。左側のカバー部材20は右側のカバー部材20と同一の要素を有し且つ右側のカバー部材20に対して概ね左右対称の構造を有しているため、左側のカバー部材20の構造については説明を省略する。
【0028】
本実施形態では、図3及び図4に示すように、カバー部材20(右側のカバー部材20)は、延出部21と上方延長部22を有するカバー本体部20Aと、縦壁部23と、補強部24と、上側固定部25と、内側固定部26と、下側固定部27と、張り出し部28と、を有する。カバー部材20は例えば樹脂材からなり、各要素(21~28)は射出成形等により一体に成形されている。
【0029】
カバー本体部20Aは、車両前方に延出し対象センサS’の下方及び車幅方向外側から対象センサS’を取り囲むように形成されている。カバー本体部20Aは、延出部21と上方延長部22とを有し、主に、これらの要素(延出部21及び上方延長部22)により対象センサS’を直接的に保護するように、対象センサS’の下方及び車幅方向外側において、所定厚みを有して延在している。
【0030】
延出部21は、対象センサS’の下方に位置し且つ車幅方向に所定幅を有して車両前方に向かって延出する部分である。延出部21は、カバー本体部20Aにおける車幅方向に長く延在した部分である。延出部21の車幅方向内側の一端は対象センサS’よりも車幅方向内側に位置し、延出部21の車幅方向外側の他端は対象センサS’よりも車幅方向外側に位置している。具体的には、延出部21の車幅方向内側の一端はライセンスプレート取付部16における車両前方のリヤパネルに相対する取付壁16b(バンパ裏面10aの一部)に位置し、延出部21の車幅方向外側の他端は車幅方向について対象センサS’と後輪Tとの間の位置に位置している。そして、延出部21の車両前後方向の前端は、取付壁16bよりも車両前方に位置している。
【0031】
本実施形態では、延出部21は、車両前後方向について前側下がりに傾斜し、且つ、車幅方向について内側下がりに傾斜している。また、延出部21は、車両上下方向について、後輪Tの回転中心軸線Xよりも上方に位置している。具体的には、本実施形態では、延出部21は、車両上下方向について、後輪Tの上端よりも上方に位置している。
【0032】
本実施形態では、図4図6に示すように、延出部21は、第1延出片21aと第2延出片21bとを有する。第1延出片21aは対象センサS’の直下を横切る部分であり、第2延出片21bは第1延出片21aに連続して第1延出片21aの車幅方向内側に延びる部分である。第1延出片21aの前端は、第2延出片21bの前端よりも車両前方に位置している。つまり、延出部21における対象センサS’の直下に位置する部分(第1延出片21a)は、当該部分(第1延出片21a)より車幅方向内側の部分(第2延出片21b)よりも車両前方に突出している。延出部21は、第1延出片21aの部分では車両前後方向について第2延出片21bの部分よりも広い幅を有している。第2延出片21bは、第1延出片21aからライセンスプレート取付部16の側壁16cを超えて取付壁16bの部分まで延在している。
【0033】
延出部21の車幅方向内側で且つ車両後方側の角部には、大きく切り欠かれた第1切り欠き部21cが形成されており、第1切り欠き部21c内に、ライセンスプレート取付部16の車幅方向外側の角部が配置される。また、図5に示すように、延出部21の第2延出片21bの車幅方向内側の部分は取付壁16bの前方に位置し、この部分には、車両後方に退避するように切り欠かれた第2切り欠き部21dが形成されている。
【0034】
上方延長部22は、延出部21における対象センサS’よりも車幅方向外側に位置する端部から対象センサS’よりも上方の所定位置まで延出部21に連続して延在する部分である。つまり、延出部21と上方延長部22とからなるカバー本体部20Aは、車幅方向内側から外側に向かって延び、その後、対象センサS’よりも車幅方向外側の位置で車両上方側に屈曲している。
【0035】
上方延長部22は、例えば、車両前方から視た平面視で、クランク状に形成されている。具体的には、上方延長部22は、延出部21の車幅方向外側の端部から上方に延びる下縦壁部22aと、下縦壁部22aの上端から車幅方向外側に延びる中間横壁部22bと、中間横壁部22bの車幅方向外側の端部から上方に延びる上縦壁部22cとからなる。下縦壁部22aと上縦壁部22cは互いに車幅方向に離隔し、これらの要素の間の段差部分が中間横壁部22bにより接続されている。また、中間横壁部22bは、延出部21と同様に、車両前後方向について前側下がりに傾斜し、且つ、車幅方向について内側下がりに傾斜している。そして、延出部21の第1延出片21aと上方延長部22の中間横壁部22bは互いに車両上下方向に離隔し、これらの要素の間の段差部分が下縦壁部22aにより接続されている。また、ここでは、中間横壁部22bの車両上下方向についての高さ位置は、対象センサS’の車両上下方向についての高さ位置に合わせられている。したがって、対象センサS’は、カバー本体部20Aにおける延出部21と上方延長部22との境の屈曲部の近傍(換言すると、下側の前記段差部分の内側)において、カバー本体部20Aにより囲まれるように配置されている。
【0036】
縦壁部23は、図7及び図8に示すように、延出部21から下方に延びるとともにバンパ裏面10aと相対する部分である。ここで、車両前後方向について、延出部21の後端はバンパ裏面10aの近傍に位置しており、延出部21の前端はライセンスプレート取付部16の取付壁16bよりも車両前方に位置している。縦壁部23は、第1縦壁部23aと、第1縦壁部23aよりも車幅方向内側の第2縦壁部23bと、を有している。
【0037】
例えば、第1縦壁部23aは、第1延出片21aの下面では車両前後方向の中間部から下方に延びている(図7参照)。第2縦壁部23bは、第1縦壁部23aに連続して取付壁16bの車両前方の位置まで延在している。第2縦壁部23bは、第2延出片21bのうちの取付壁16bの車両前方の部分の後端から下方に延びている(図8参照)。そして、第1縦壁部23aは、ここでは、車幅方向内側にライセンスプレート取付部16の側壁16cの近傍の位置まで延長されるとともに、延出部21よりも車幅方向外側に延長されて、上方延長部22まで延在している。ここで、ライセンスプレート取付部16の取付壁16bは、ライセンスプレート16aが車両後方で斜め上方を仰ぐように僅かに傾斜している。第1縦壁部23a及び第2縦壁部23bは、取付壁16bと同様に僅かに傾斜している。そして、第1縦壁部23aとバンパ裏面10aとの間には、十分な隙間が空けられており(図7参照)、第2縦壁部23bとバンパ裏面10aの一部である取付壁16bの車両前方の面との間には、僅かな隙間が空けられている(図8参照)。
【0038】
本実施形態では、縦壁部23には、貫通孔23cが開口されている。貫通孔23cは、例えば、第1縦壁部23aと取付壁16bの車両前方の第2縦壁部23bとに、それぞれ開口されている。第1縦壁部23aの貫通孔23cは、第1縦壁部23aにおける第1延出片21aの下方の部分に開口され、第2縦壁部23bの貫通孔23cは第2縦壁部23bにおける第2切り欠き部21dの下方の部分に開口されている。
【0039】
補強部24は、縦壁部23と延出部21との間を接続する部分である(図3図6及び図7参照)。補強部24は、ここでは、延出部21の下面において車幅方向に間隔を空けた複数の箇所(図では5箇所)に設けられる。各補強部24は、例えば、車幅方向から視た平面視で直角三角形の薄板状に形成されている。
【0040】
上側固定部25は、カバー本体部20Aの上端部に設けられリヤバンパ10に固定される部分である。上側固定部25は、ここでは、上方延長部22の上端部において車幅方向外側に突出するように設けられている。図5では、上側固定部25はリヤバンパ10の上縁部12の下方に隠れており示されていない。また、上側固定部25は、リヤバンパ10の中間面部11の上縁近傍(上縁部12近傍)で且つ車幅方向について側壁16cと後輪Tとの間に位置している。換言すると、上側固定部25は、車両上下方向について、ベンチレータ取付孔30と略同じ高さ位置で、且つ、バックドア開口部の下縁を構成するリヤバンパ10の上縁部12とライセンスプレート取付部16との間に位置している。
【0041】
内側固定部26は、ライセンスプレート取付部16に固定される部分である。内側固定部26は、ここでは、ライセンスプレート取付部16の取付壁16bの車両前方で且つ側壁16c側に寄せた位置に設けられている。具体的には、内側固定部26は、延出部21(第2延出片21b)の車幅方向内側の端部の下方で且つ第2縦壁部23bの車両前方の面における上端側の部分に設けられている。
【0042】
下側固定部27は、縦壁部23の下端側の部分に設けられリヤバンパ10に固定される部分である。下側固定部27は、ここでは、第1縦壁部23aの車両前方の面における下端側で且つ側壁16c側の位置において側壁16cに沿うように配置されている。
【0043】
各固定部(25~27)には、カバー部材20をリヤバンパ10に固定するための固定用孔が開口されている。そして、リヤバンパ10のバンパ裏面10aにおける各固定部(25~27)に対応する位置には、例えば、前記固定用孔に挿通されることにより対応する固定部(25~27)を係止可能なクリップ等の締結具を有したボス部が設けられている。そして、前記締結具が各固定部(25~27)の前記固定用孔に挿通されることにより、カバー部材20が前記締結具を介してリヤバンパ10に固定される。
【0044】
そして、下側固定部27は、車幅方向について上側固定部25と内側固定部26との間に位置しており、車両上下方向について内側固定部26よりも下方に位置している。内側固定部26は、車両上下方向について上側固定部25と下側固定部27との間に位置している。このように、本実施形態では、カバー部材20をリヤバンパ10に固定するための固定部は、カバー部材20における車両上下方向及び車幅方向に互いに離れた3箇所に設けられている。つまり、カバー部材20は、車両上下方向及び車幅方向に互いに離れた3箇所の固定部(25~27)による3点支持により、安定してリヤバンパ10に確実に固定されている。
【0045】
張り出し部28は、延出部21の下方に位置し車両前方に張り出すとともに、内側固定部26よりも車幅方向外側に延在する部分である。つまり、張り出し部28は、延出部21の下方において延出部21と車幅方向について重なるように延在している。具体的には、張り出し部28は、縦壁部23の下端に沿って車幅方向に延在し且つ車両前方に延出している。
【0046】
張り出し部28は、ここでは、カバー部材20の車幅方向の幅の全体に亘って延在している。そして、張り出し部28は、延出部21と同様に、車両前後方向について前側下がりに傾斜している。また、張り出し部28は、車幅方向外側の外側張り出し部28aと、車幅方向内側の内側張り出し部28bと、外側張り出し部28aと内側張り出し部28bとの間を接続する中間張り出し部28cと、からなる。外側張り出し部28aは内側張り出し部28bよりも車両上方に位置し、外側張り出し部28a及び内側張り出し部28bはそれぞれ車幅方向に直線的に延びている。中間張り出し部28cは車幅方向について内側下がりに傾斜している。そして、張り出し部28の車両前後方向の前端部の車幅方向の中間部には、図6に示すように、車両後方に退避するように切り欠かれた第3切り欠き部28dが形成されている。具体的には、第3切り欠き部28dは、張り出し部28における内側張り出し部28bと中間張り出し部28cとの境界部分に形成されている。
【0047】
本実施形態では、カバー部材20は、カバー部材20における対象センサS’の下方に位置する部分においてT字状断面を有する。具体的には、前記T字状断面は、図7に示すように、延出部21と縦壁部23とにより構成されるとともに、張り出し部28と縦壁部23とによっても構成されている。したがって、ここでは、カバー部材20は、I字状断面(換言すると、H字状断面)を有している。
【0048】
[ハーネス]
ハーネスHは、前述したように複数のセンサSに接続する配線部材である。ハーネスHは、車体側からリヤパネル側キャップ31を経由してリヤバンパ10内に敷設されており、基端側ハーネス部Haと、主ハーネス部Hbとを有している。以下では、リヤパネル側キャップ31は、図3に示すように、車両前方から視て右湾曲部14の上部の車両前方の位置に配置されているものとして説明する。
【0049】
基端側ハーネス部Haは、車体側からリヤパネル側キャップ31を経由してリヤバンパ10内に延びる部分である。基端側ハーネス部Haは、リヤパネル側キャップ31からカバー部材20の車幅方向外側の端部付近まで概ね車両上下方向に延びている。
【0050】
主ハーネス部Hbは、基端側ハーネス部HaとコネクタCを介して接続される部分であり、ハーネスHにおけるリヤバンパ10内に敷設される大半の部分を構成している。コネクタCは、カバー部材20における張り出し部28の上方で且つ縦壁部23の車両前方に位置しており、カバー部材20内の領域に配置されている。
【0051】
本実施形態では、主ハーネス部Hbは、縦壁部23の車両前方でカバー部材20を車幅方向に横断するように敷設される横断ハーネス部Hb1と、横断ハーネス部Hb1から分岐する分岐ハーネス部Hb2とを有している。
【0052】
横断ハーネス部Hb1は、ここでは、二つのカバー部材20の全体を車幅方向に連続して横断するように敷設されている。具体的には、横断ハーネス部Hb1は、二つのカバー部材20の各縦壁部23の車両前方で且つ延出部21と張り出し部28との間(換言すると、車両上下方向に互いに離隔する二つの庇の間)を通るように、二つのカバー部材20の全体を車幅方向に横断している。そして、ここでは、横断ハーネス部Hb1の一端部はコネクタCに接続され、横断ハーネス部Hb1の他端部は左湾曲部15の上部のセンサSに接続されている。
【0053】
分岐ハーネス部Hb2は、ここでは、横断ハーネス部Hb1の長手方向の複数の箇所から分岐している。つまり、ハーネスHは、複数の分岐ハーネス部Hb2を有している。具体的には、分岐ハーネス部Hb2は、横断ハーネス部Hb1から、右湾曲部14の上部のセンサSと左側の対象センサS’と右側の対象センサS’とに向けてそれぞれ分岐している。
【0054】
本実施形態では、横断ハーネス部Hb1からの分岐ハーネス部Hb2の分岐部Spは、車両前方から視た平面視で、縦壁部23の貫通孔23cの領域内に位置するように配置されている。具体的には、図2及び図3に示すように、車両前方から視た平面視で、右湾曲部14のセンサS用の分岐ハーネス部Hb2の分岐部Spは右側のカバー部材20における第1縦壁部23aの貫通孔23cの領域内に位置し、右側の対象センサS’用の分岐ハーネス部Hb2の分岐部Spは右側のカバー部材20における第2縦壁部23bの貫通孔23cの領域内に位置している。そして、図2に示すように、左側の対象センサS’用の分岐ハーネス部Hb2の分岐部Spは左側のカバー部材20における第2縦壁部23bの貫通孔23cの領域内に位置している。
【0055】
そして、ハーネスHは、少なくともカバー部材20に固定されている。ここでは、ハーネスHは、カバー部材20だけでなく、リヤバンパ10のバンパ裏面10aにも固定されている。本実施形態では、ハーネスHにおける横断ハーネス部Hb1及び分岐ハーネス部Hb2はそれぞれカバー部材20に固定されている。また、ハーネスHのカバー部材20やリヤバンパ10への固定は、バンド付きクリップ等の適宜の固定具32を用いてなされている。
【0056】
具体的には、ハーネスHの横断ハーネス部Hb1は、各カバー部材20に固定されている。例えば、横断ハーネス部Hb1は、図3に示すように、各縦壁部23の車両前方の面における車幅方向の中間部にそれぞれ配置された固定具32により各カバー部材20に固定されるとともに、バンパ裏面10aのうちの中間面部11における左側のカバー部材20よりも車幅方向外側の部分に配置された固定具32によりリヤバンパ10に固定されている。
【0057】
右側の対象センサS’用の分岐ハーネス部Hb2は、分岐部Spから第2延出片21bの第2切り欠き部21dを経由して延出部21の上面に沿うように敷設され、その後、第1延出片21aの直上の対象センサS’に接続するように延びている。右側の対象センサS’用の分岐ハーネス部Hb2は、延出部21の上面における第2切り欠き部21dよりも車幅方向外側の部分に配置された固定具32によりカバー部材20に固定されている。そして、左側の対象センサS’用の分岐ハーネス部Hb2は、右側の対象センサS’と同様の敷設ルートを経由して固定具32により左側のカバー部材20の固定されている。
【0058】
また、右湾曲部14のセンサS用の分岐ハーネス部Hb2は、縦壁部23(第1縦壁部23a)における延出部21よりも車幅方向外側に延長された部分に配置された固定具32によりカバー部材20に固定されるとともに、バンパ裏面10aのうちの中間面部11におけるカバー部材20よりも車幅方向外側の部分に配置された固定具32によりリヤバンパ10に固定されている。
【0059】
なお、ハーネスHのコネクタCや分岐部Spとの関係では、図3に示すように、張り出し部28の第3切り欠き部28dは、張り出し部28におけるコネクタCや分岐部Spの下方の部分以外の部分に形成されている。したがって、張り出し部28におけるコネクタCや分岐部Spの下方の部分は、張り出し部28における他の部分よりも車両前方に大きく張り出している。
【0060】
次に、本実施形態に係る車体後部構造100の作用について、主に防水や防泥等の観点で説明する。
【0061】
車体後部構造100では、雨水や泥等が後輪Tにより下方から上方に巻き上げられたとしても、雨水や泥等は、対象センサS’の下方に位置し且つ車幅方向に所定幅を有して車両前方に向かって延出する延出部21に衝突する。したがって、後輪Tにより巻き上げられた雨水や泥等の対象センサS’への到達(換言すると、対象センサS’への被水等)が延出部21によって抑制され、対象センサS’が保護される。このように、車体後部構造100は対象センサS’の防水や防泥の観点において優れた保護機能を有している。そして、カバー部材20はバンパ裏面10aのうちの後輪Tよりも車幅方向内側の部分に固定されているため、バンパ裏面10aに十分な凹凸を設けることが困難な場合でも、リヤバンパ10と別の部材であるカバー部材20をリヤバンパ10に固定することで、対象センサS’を保護することができる。また、ハーネスHは少なくともカバー部材20に固定されているため、雨水や泥等がハーネスHに接触したとしても、この接触による荷重の少なくとも一部をカバー部材20に伝達することができる。その結果、例えば、ハーネスHにおけるつなぎ目(具体的には、ハーネスHにおける対象センサS’との接続部分や対象センサS’へ分岐する分岐部Sp等)の破損を抑制することもできるため、対象センサS’及びハーネスHを含むセンサ類を保護することができる。また、本実施形態のように、ハーネスHが対象センサS’以外のセンサSとも接続されている場合には、ハーネスHにおける対象センサS’以外のセンサSとの接続部分や当該センサSへ分岐する分岐部Spの破損も抑制することができる。つまり、車体後部構造100では、対象センサS’を含むセンサS及びこれらのセンサSに接続するハーネスHを含むセンサ類を保護することができる。
【0062】
このように、本実施形態に係る車体後部構造100は、リヤバンパに十分な凹凸を設けることが困難な場合でも、センサS及びセンサSに接続するハーネスHを含むセンサ類を保護することができる構造を有している。
【0063】
本実施形態では、延出部21は車両前後方向について前側下がりに傾斜している。これにより、後輪Tから巻き上げられた雨水や泥等の異物Mが延出部21の上面に到達したとしても(図7参照)、雨水や泥等の異物Mが延出部21の前端から流れ落ち易くなり、雨水や泥等がハーネスH付近に滞留することが抑制される。その結果、ハーネスHに負荷が作用し難くなり、対象センサS’を含むセンサSの故障の発生を効果的に低減することができる。このように、車体後部構造100は、排水や排泥の観点において優れた保護機能を有している。
【0064】
本実施形態では、延出部21は車幅方向について内側下がりに傾斜している。これにより、延出部21の上面における雨水や泥等の異物Mが延出部21の車両内側の部分からも流れ落ち易くなり、排水や排泥性能が向上する。
【0065】
本実施形態では、カバー部材20は、延出部21における対象センサS’よりも車幅方向外側に位置する端部から対象センサS’よりも上方の所定位置まで延出部21に連続して延在する上方延長部22を有している。これにより、対象センサS’が、延出部21及び上方延長部22によって、当該対象センサS’の下方及び車幅方向外側から囲まれる。その結果、雨水や泥等が後輪Tから巻き上げられて車幅方向外側から対象センサS’に向かって飛散したとしても、この車幅方向外側から内側に向かう雨水や泥等は上方延長部22に衝突する。したがって、対象センサS’への被水等が対象センサS’の車幅方向外側においても抑制され、雨水や泥等の車幅方向外側からの回り込みが抑制される。
【0066】
本実施形態では、延出部21において、対象センサS’の直下を横切る第1延出片21aの前端は、第1延出片21aに連続して第1延出片21aの車幅方向内側に延びる第2延出片21bの前端よりも車両前方に位置している。これにより、対象センサS’に対する防水機能が第1延出片21aにより確保されるとともに、雨水や泥等が第1延出片21aの内側の領域により排出され易くなるため、防水機能及び排水機能を向上させることができる。
【0067】
本実施形態では、横断ハーネス部Hb1からの分岐ハーネス部Hb2の分岐部Spは、車両前方から視た平面視で、縦壁部23の貫通孔23cの領域内に位置するように配置されている。ここで、分岐部Spは、泥等の異物が溜まり易い場所であるが、分岐部Spの後方に貫通孔23cが設けられているため、泥等が車両前方から分岐部Spの近傍に到達したとしても、その泥等が貫通孔23cを通り抜けて排出され易くなり、分岐部Spへの泥等の異物の滞留が効果的に低減される。
【0068】
本実施形態では、横断ハーネス部Hb1及び分岐ハーネス部Hb2はそれぞれカバー部材20に固定されているため、ハーネスHの破損をより確実に低減することができる。
【0069】
なお、本実施形態では、2個のカバー部材20が車幅方向に互いに離隔して配置されているが、これに限らず、対象センサS’の個数や位置に応じた適宜の個数のカバー部材20が配置されてもよい。また、複数の対象センサS’が互いに近接して設けられる場合には、カバー部材20の延出部21は複数の対象センサS’の下方に配置され、1個のカバー部材20によって複数の対象センサS’を直接的に保護するように構成してもよい。
【0070】
また、ハーネスHは、対象センサS’以外のセンサSにも接続しているが、対象センサS’のみに接続されてもよい。そして、ハーネスHのリヤバンパ10への敷設入口であるリヤパネル側キャップ31は車両前方から視て右湾曲部14の上部の車両前方に限らず、例えば、左湾曲部15の上部の車両前方の位置等の適宜の位置に配置されてもよい。
【0071】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上述の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
10…リヤバンパ、10a…バンパ裏面、16…ライセンスプレート取付部、20…カバー部材、20A…カバー本体部、21…延出部、21a…第1延出片、21b…第2延出片、22…上方延長部、23…縦壁部、23c…貫通孔、24…補強部、25…上側固定部、26…内側固定部、27…下側固定部、28…張り出し部、100…車体後部構造、H…ハーネス、Hb1…横断ハーネス部、Hb2…分岐ハーネス部、S’…対象センサ、T…後輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8