IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローリー株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043474
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】紙葉類収納装置および紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 5/06 20060101AFI20230322BHJP
   G07D 11/13 20190101ALI20230322BHJP
【FI】
B65B5/06
G07D11/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151136
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹村 揚一
【テーマコード(参考)】
3E003
3E141
【Fターム(参考)】
3E003AA05
3E003AB03
3E003BC03
3E003BD05
3E003DA06
3E141AA01
3E141FC14
(57)【要約】
【課題】収納袋の取り付けまたは取り外しを、簡単な構造かつ省スペースで行うことができる紙葉類収納装置および紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】本開示の紙葉類収納装置は、紙葉類の収納袋が取り付けられる取付部を有する取付ユニットと、前記収納袋の内部に向かって前記紙葉類を移動させる移動ユニットと、前記取付ユニットおよび前記移動ユニットの相対位置を、前記取付部が前記移動ユニットに覆われる第1位置と、前記取付部が前記収納袋の取り付けまたは取り外しが可能な状態で露出する第2位置と、の間で変化させるように、前記取付ユニットおよび前記移動ユニットの少なくともいずれかをスライド移動させる第1スライド部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類の収納袋が取り付けられる取付部を有する取付ユニットと、
前記収納袋の内部に向かって前記紙葉類を移動させる移動ユニットと、
前記取付ユニットおよび前記移動ユニットの相対位置を、前記取付部が前記移動ユニットに覆われる第1位置と、前記取付部が前記収納袋の取り付けまたは取り外しが可能な状態で露出する第2位置と、の間で変化させるように、前記取付ユニットおよび前記移動ユニットの少なくともいずれかをスライド移動させる第1スライド部と、
を備える、紙葉類収納装置。
【請求項2】
紙葉類処理装置の内部に設けられ、
前記移動ユニットは、前記紙葉類処理装置の内部に固定され、
前記第1スライド部は、前記取付ユニットを前記紙葉類処理装置の外部までスライド移動させることにより、前記相対位置を前記第2位置に変化させる、
請求項1に記載の紙葉類収納装置。
【請求項3】
紙葉類処理装置の内部に設けられ、
前記取付ユニットおよび前記移動ユニットを前記紙葉類処理装置の外部までスライド移動させる第2スライド部をさらに備える、
請求項1に記載の紙葉類収納装置。
【請求項4】
前記第1スライド部は、前記第2スライド部により、前記相対位置が前記第1位置である状態で前記紙葉類処理装置の外部までスライド移動された前記取付ユニットおよび前記移動ユニットの少なくともいずれかを、前記相対位置が前記第2位置となるようにスライド移動させる、
請求項3に記載の紙葉類収納装置。
【請求項5】
前記第1スライド部によるスライド移動の方向と、前記第2スライド部によるスライド移動の方向とは、互いに逆方向である、
請求項4に記載の紙葉類収納装置。
【請求項6】
前記第1スライド部によるスライド移動の方向と、前記第2スライド部によるスライド移動の方向とは、同じ方向である、
請求項4に記載の紙葉類収納装置。
【請求項7】
前記紙葉類収納装置の動作エラーを検知する検知部と、
前記検知部により前記動作エラーが検知された場合に、前記第1スライド部によるスライド移動を制限する制限部と、
をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置。
【請求項8】
前記紙葉類収納装置の動作エラーを検知する検知部と、
前記検知部により前記動作エラーが検知されていない場合に、前記第2スライド部によるスライド移動を制限する制限部と、
をさらに備え、
前記第1スライド部は、前記第2スライド部によるスライド移動が制限された状態で、前記取付ユニットを前記紙葉類処理装置の外部までスライド移動させることにより、前記相対位置を前記第2位置に変化させる、
請求項3から6のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置。
【請求項9】
前記取付ユニットは、前記取付部に取り付けられた前記収納袋を露出可能な開口部をさらに有する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置。
【請求項10】
前記取付ユニットは、前記収納袋に収納される前記紙葉類を保持するステージをさらに有し、
前記開口部は、前記ステージを露出可能である、
請求項9に記載の紙葉類収納装置。
【請求項11】
前記取付ユニットは、前記開口部を閉じる蓋部をさらに有する、
請求項9または10に記載の紙葉類収納装置。
【請求項12】
前記移動ユニットは、
前記取付部に取り付けられた前記収納袋の内部に向かう方向に前記紙葉類を押し込んで移動させる押し部と、
前記押し部による、前記収納袋の内部に向かう前記紙葉類の移動を規制する規制部と、
を備え、
前記規制部は、前記方向に沿って移動する前記押し部を通過させる隙間を有する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置。
【請求項13】
前記取付部は、前記収納袋の孔に嵌め入れて該収納袋を取り付ける取付ピンを有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の紙葉類収納装置。
【請求項14】
前記取付ユニットと前記移動ユニットを係合させてロックする係合機構を有する請求項1乃至14のいずれか1項に記載の紙葉類収納装置。
【請求項15】
紙葉類を受け入れる受入部と、
前記紙葉類に対して所定の処理を行う処理部と、
請求項1から14のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置と、
を備える、紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙葉類を収納する紙葉類収納装置、および紙葉類収納装置を有する紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券、または紙幣などの紙葉類を収納袋に収納する紙葉類収納装置が普及している。例えば特許文献1には、横向きに配置されたバッグの中に紙幣を送り込み、紙幣を立てた状態でバッグの中に積層する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9114952号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、バッグの取り付けまたは取り外しの際に、バッグを保持する保持ユニットをスライドによってラックから引き出した後、保持ユニットをスライドに対して回転させることができる構成が開示されている。このような構成により、保持ユニットに対するバッグの取り付けまたは取り外しを容易に行うことができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示させた技術では、スライドに対して保持ユニットを回転させる必要があるため、構造が複雑化するとともに、保持ユニットを回転させるためのスペースが必要となる。
【0006】
このような事情に鑑み、本開示は、収納袋の取り付けまたは取り外しを、簡単な構造かつ省スペースで行うことができる紙葉類収納装置および紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施の形態に係る紙葉類収納装置は、紙葉類の収納袋が取り付けられる取付部を有する取付ユニットと、前記収納袋の内部に向かって前記紙葉類を移動させる移動ユニットと、前記取付ユニットおよび前記移動ユニットの相対位置を、前記取付部が前記移動ユニットに覆われる第1位置と、前記取付部が前記収納袋の取り付けまたは取り外しが可能な状態で露出する第2位置と、の間で変化させるように、前記取付ユニットおよび前記移動ユニットの少なくともいずれかをスライド移動させる第1スライド部と、を備える。
【0008】
本開示の実施の形態に係る紙葉類収納装置において、露出された取付部に取付ピンを有し、収納袋の孔を取付ピンに引っ掛けることで収納袋を取り付けてもよい。
【0009】
本開示の実施の形態に係る紙葉類収納装置において、紙葉類処理装置の内部に設けられ、前記移動ユニットは、前記紙葉類処理装置の内部に固定され、前記第1スライド部は、前記取付ユニットを前記紙葉類処理装置の外部までスライド移動させることにより、前記相対位置を前記第2位置に変化させてもよい。
【0010】
本開示の実施の形態に係る紙葉類収納装置において、紙葉類処理装置の内部に設けられ、前記取付ユニットおよび前記移動ユニットを前記紙葉類処理装置の外部までスライド移動させる第2スライド部をさらに備えてもよい。
【0011】
本開示の実施の形態に係る紙葉類収納装置において、前記第1スライド部は、前記第2スライド部により、前記相対位置が前記第1位置である状態で前記紙葉類処理装置の外部までスライド移動された前記取付ユニットおよび前記移動ユニットの少なくともいずれかを、前記相対位置が前記第2位置となるようにスライド移動させてもよい。
【0012】
本開示の実施の形態に係る紙葉類収納装置において、前記第1スライド部によるスライド移動の方向と、前記第2スライド部によるスライド移動の方向とは、互いに逆方向であってもよい。
【0013】
本開示の実施の形態に係る紙葉類収納装置において、前記第1スライド部によるスライド移動の方向と、前記第2スライド部によるスライド移動の方向とは、同じ方向であってもよい。
【0014】
本開示の実施の形態に係る紙葉類収納装置において、前記紙葉類収納装置の動作エラーを検知する検知部と、前記検知部により前記動作エラーが検知された場合に、前記第1スライド部によるスライド移動を制限する制限部と、をさらに備えてもよい。
【0015】
本開示の実施の形態に係る紙葉類収納装置において、前記紙葉類収納装置の動作エラーを検知する検知部と、前記検知部により前記動作エラーが検知されていない場合に、前記第2スライド部によるスライド移動を制限する制限部と、をさらに備え、前記第1スライド部は、前記第2スライド部によるスライド移動が制限された状態で、前記取付ユニットを前記紙葉類処理装置の外部までスライド移動させることにより、前記相対位置を前記第2位置に変化させてもよい。
【0016】
本開示の実施の形態に係る紙葉類収納装置において、取付ユニットと移動ユニットを係合させてロックする係合機構を有してもよい。取付ユニットまたは移動ユニットを引き出すとき、動作エラーがある場合には、取付ユニットと移動ユニットを係合させた状態を維持し、取付ユニットと移動ユニットの相対位置は第1位置で維持される。動作エラーがない場合には、アンロック状態となり取付ユニットと移動ユニットの相対位置を第2位置となるようにスライドさせることができる。係合機構は、第2スライド部をスライドさせてロック機構を装置外に引き出すことで、手動でロック解除できる構成としてもよい。
【0017】
本開示の実施の形態に係る紙葉類収納装置において、前記取付ユニットは、前記取付部に取り付けられた前記収納袋を露出可能な開口部をさらに有してもよい。
【0018】
本開示の実施の形態に係る紙葉類収納装置において、前記取付ユニットは、前記収納袋に収納される前記紙葉類を保持するステージをさらに有し、前記開口部は、前記ステージを露出可能であってもよい。
【0019】
本開示の実施の形態に係る紙葉類収納装置において、前記取付ユニットは、前記開口部を閉じる蓋部をさらに有していてもよい。
【0020】
本開示の実施の形態に係る紙葉類収納装置において、前記移動ユニットは、前記取付部に取り付けられた前記収納袋の内部に向かう方向に前記紙葉類を押し込んで移動させる押し部と、前記押し部による、前記収納袋の内部に向かう前記紙葉類の移動を規制する規制部と、を備え、前記規制部は、前記方向に沿って移動する前記押し部を通過させる隙間を有してもよい。
【0021】
本開示の実施の形態に係る紙葉類処理装置は、紙葉類を受け入れる受入部と、受け入れた前記紙葉類を収納する、上述した紙葉類収納装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、収納袋の取り付けまたは取り外しを、簡単な構造かつ省スペースで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の第1の実施の形態の紙葉類収納装置が備える構成について説明するための図
図2】第1の実施の形態において、取付ユニットと移動ユニットの相対位置が第2位置となった様子を説明するための図
図3】第2の実施の形態における、取付ユニットと移動ユニットが第1位置にある様子を示す図
図4】第2の実施の形態における、取付ユニットと移動ユニットが第2位置にある様子を示す図
図5】第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置と、紙葉類処理装置との構成を示した図
図6】第3の実施の形態において、第2スライド部により、相対位置が第1位置のままの取付ユニットと移動ユニットとが紙葉類処理装置の外部まで一体となってスライド移動された様子を示す図
図7】第3の実施の形態において、取付ユニットと移動ユニットとが第2スライド部によって紙葉類処理装置の外部まで引き出された後に、第1スライド部によって取付ユニットと移動ユニットの相対位置を第2位置へと変化させた様子を示した図
図8】第3の実施の形態において、第1スライド部によるスライド移動の方向と第2スライド部によるスライド移動の方向とが同じ方向である場合に、第1スライド部により移動ユニットがスライド移動することにより、相対位置が第2位置へ変化する様子を示す図
図9】第3の実施の形態において、第2スライド部によるスライド移動の方向を図6とは逆方向にした場合に、相対位置が第1位置のままの取付ユニットと移動ユニットとが紙葉類処理装置の外部まで一体となってスライド移動された様子を示す図
図10】第3の実施の形態において、図9の後、第2スライド部によるスライド移動とは逆方向に向かって第1スライド部が移動ユニットを移動させることにより相対位置を第2位置へと変化させた様子を示す図
図11】第3の実施の形態において、図9の後、第2スライド部によるスライド移動と同じ方向に向かって第1スライド部が移動ユニットを移動させることにより相対位置を第2位置へと変化させた様子を示す図
図12】第4の実施の形態において、第1スライド部がロック機構を有する場合の紙葉類処理装置の構成を示す図
図13】第4の実施の形態の変形例において、第2スライド部がロック機構を有する場合の紙葉類処理装置の構成を示す図
図14A】第5の実施の形態において、取付ユニットの構造の一例について説明するための図
図14B】第5の実施の形態において、取付ユニットの構造の一例について説明するための図
図15A】第6の実施の形態において、移動ユニットの構造の一例について説明するための図
図15B】第6の実施の形態において、移動ユニットの構造の一例について説明するための図
図16】第7の実施の形態における、紙葉類処理装置の構成について説明するための図
図17】第7の実施の形態における、紙葉類収納装置の構成について説明するための図
図18】第7の実施の形態における、紙葉類収納装置の紙葉類収納時の動作例について説明するための図
図19】第7の実施の形態における、紙葉類収納装置の紙葉類収納時の動作例について説明するための図
図20】第7の実施の形態における、紙葉類収納装置の紙葉類収納時の動作例について説明するための図
図21】第7の実施の形態における、紙葉類収納装置の紙葉類収納時の動作例について説明するための図
図22】第7の実施の形態における、紙葉類収納装置の紙葉類収納時の動作例について説明するための図
図23】第7の実施の形態における、紙葉類収納装置の紙葉類収納時の動作例について説明するための図
図24】第7の実施の形態における、紙葉類収納装置の収納袋封止時の動作例について説明するための図
図25】第7の実施の形態における、紙葉類収納装置の収納袋封止時の動作例について説明するための図
図26】第7の実施の形態における、紙葉類収納装置の収納袋封止時の動作例について説明するための図
図27】第7の実施の形態における、紙葉類収納装置の収納袋封止時の動作例について説明するための図
図28】第7の実施の形態における、紙葉類収納装置の収納袋封止時の動作例について説明するための図
図29】第7の実施の形態における、紙葉類収納装置の収納袋封止時の動作例について説明するための図
図30】第7の実施の形態における、紙葉類収納装置の収納袋封止時の動作例について説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明、例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明等は省略する場合がある。また、各実施の形態において共通する構成については同一の符号を付し、重複する説明を省略することがある。
【0025】
<第1の実施の形態>
図1は、本開示の第1の実施の形態の紙葉類収納装置が備える構成について説明するための図である。図1に示すように、紙葉類収納装置1は、取付ユニット10と、移動ユニット20と、第1スライド部30と、を備える。
【0026】
取付ユニット10は、紙葉類500を収納する収納袋600を取り付ける。取付ユニット10は、収納袋600の入口部分を取り付けて固定する取付部11を有する。取付部11は、図1に示すように、取付ユニット10の移動ユニット20に近い側の面に設けられている。収納袋600の本体部分は、取付部11に取り付けられた入口部分から取付ユニット10の内部に向かって延びている。これにより、収納袋600は、取付ユニット10の内部に格納される。なお、紙葉類500とは、例えば紙幣、有価証券など、所定の大きさを有する紙類である。
【0027】
以下の説明において、一対の取付部11のうち、一方から他方へ向かう方向を第1方向とする。また、紙葉類500が収納袋600に収納される際に移動する方向、すなわち、収納袋600の入口から底面へ向かう方向を収納方向とする。第1方向と収納方向とは互いに直交する方向である。図1は、第1方向および収納方向に直交する平面に沿った紙葉類収納装置1の断面図である。
【0028】
移動ユニット20は、紙葉類収納装置1の外部から供給された紙葉類500を、収納袋600の内部に移動させ、収納袋600に収納させる。
【0029】
第1スライド部30は、取付ユニット10と移動ユニット20の少なくともいずれかをスライド移動させて、取付ユニット10と移動ユニット20の相対位置を変化させる。第1スライド部30は、取付ユニット10と移動ユニット20の少なくともいずれかを、所定のスライド方向に沿ってスライド移動させる。スライド方向は、例えば、収納方向と同じ方向である。
【0030】
第1スライド部30のスライド方向に沿った長さは、取付ユニット10と移動ユニット20の少なくともいずれかをスライド移動させる距離に基づいて決定される。また、第1スライド部30は伸縮可能に構成されていてもよい。この場合、第1スライド部30が最も長くなった時の長さは、取付ユニット10と移動ユニット20の少なくともいずれかをスライド移動させる距離に基づいて決定されればよい。
【0031】
第1スライド部30は、取付ユニット10と移動ユニット20の相対位置を、図1に示す第1位置と、図2に示す第2位置との間で変化させる。図2は、紙葉類収納装置1における、取付ユニット10と移動ユニット20の相対位置が第2位置となった様子を説明するための図である。図2では、一例として、第1スライド部30により、取付ユニット10が移動される場合について示しているが、本開示はこれに限定されず、第1スライド部30により、移動ユニット20が移動されてもよい。両方を組み合わせて、互いに隔離する方向に移動されてもよい。
【0032】
図1に示す第1位置では、取付ユニット10と移動ユニット20とが互いに近接しており、取付ユニット10の取付部11が移動ユニット20によって覆われた状態となっている。
【0033】
一方、図2に示す第2位置では、取付ユニット10と移動ユニット20とが離れており、取付ユニット10の取付部11が移動ユニット20に覆われておらず、露出した状態となっている。なお、本明細書において、ある物体が露出した状態とは、外部から紙葉類収納装置1のオペレータが当該物体に容易にアクセスできる状態を意味する。すなわち、取付部11が露出した状態とは、オペレータが取付部11への収納袋600の取り付けまたは取り外しのために、取付部11に容易に手を伸ばして取付部11に触れたり、収納袋600を取り付けたりすることができる状態である。
【0034】
取付ユニット10は、取付部11が外部に露出した状態において、紙葉類収納装置1のオペレータが、容易に収納袋600の取付部11への取り付けを行うことができる。
【0035】
第1の実施の形態に係る紙葉類収納装置1によれば、取付ユニット10の取付部11が移動ユニット20に覆われる第1位置と、収納袋600の取付部11への取り付けまたは取り外しが可能な第2位置との間で、第1スライド部30が、取付ユニット10と移動ユニット20との相対位置を変化させることができる。これにより、第1の実施の形態に係る紙葉類収納装置1は、収納袋600の取り付けまたは取り外しを、簡単な構造かつ省スペースで行うことができる。
【0036】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、紙葉類収納装置1は、紙葉類処理装置の内部に設けられている。
【0037】
図3は、第2の実施の形態に係る紙葉類収納装置1と、紙葉類処理装置100との構成を示した図である。なお、以下の説明において、収納袋600は、紙葉類収納装置1に対して、横向きに取り付けられている。横向きとは、収納袋600の入口が上下方向に対して垂直な方向を向いている状態を意味する。したがって、以下の説明において、第1の実施の形態における第1方向は、紙葉類収納装置1が水平面に設置された場合の下方から上方へ向かう方向である。
【0038】
以下の説明において、上下方向は、紙葉類収納装置1および紙葉類処理装置100の上下方向に対応するものとする。紙葉類収納装置1の上下方向と紙葉類処理装置100の上下方向とは同じ方向であり、紙葉類収納装置1および紙葉類処理装置100の上下方向は、上述したスライド方向に直交する方向である。図3は、紙葉類収納装置1および紙葉類処理装置100の、上下方向およびスライド方向を含む平面における断面図である。
【0039】
紙葉類処理装置100は、紙葉類500に対して処理の処理を行う装置である。例えば紙葉類500が紙幣である場合、紙葉類処理装置100は、紙幣の入金および出金の少なくとも一方を行うことができる。
【0040】
紙葉類処理装置100において処理が行われる紙葉類500のうち、その少なくとも一部が移動ユニット20により、取付ユニット10の取付部11に取り付けられた収納袋600の内部に収納される。
【0041】
第2の実施の形態では、移動ユニット20は、紙葉類処理装置100の内部に固定されている。
【0042】
図3には、第2の実施の形態における、取付ユニット10と移動ユニット20が第1位置にある様子が示されている。また、図4は、第2の実施の形態における、取付ユニット10と移動ユニット20が第2位置にある様子を示した図である。
【0043】
第1位置においては、第1の実施の形態と同様に、取付ユニット10と移動ユニット20とが互いに近接しており、取付ユニット10の取付部11が移動ユニット20によって覆われた状態となっている。取付ユニット10と移動ユニット20が第1位置にある場合、取付ユニット10と移動ユニット20はいずれも紙葉類処理装置100の内部に収納されている。
【0044】
一方、第2位置においては、取付ユニット10と移動ユニット20とが離れており、取付ユニット10と移動ユニット20がいずれも紙葉類処理装置100の外部に移動されている。第2位置では、取付ユニット10の取付部11が移動ユニット20に覆われておらず、収納袋600の取り付けまたは取り外しが可能な状態となっている。これにより、取付ユニット10の取付部11が外部に露出する。
【0045】
なお、第2の実施の形態においては、第1スライド部30は、取付ユニット10の全体が紙葉類処理装置100の外部に出るまで、取付ユニット10をスライド移動させる。この際、第1スライド部30は、紙葉類処理装置100のオペレータが紙葉類処理装置100の外部に引き出された取付ユニット10に対して収納袋600の取り付けまたは取り外しが容易となる位置まで、取付ユニット10をスライド移動させるようにしてもよい。これにより、紙葉類処理装置100のオペレータは、紙葉類収納装置1への収納袋600の取り付けを容易に行うことができる。
【0046】
言い換えると、第2の実施の形態における第2位置では、取付部11と紙葉類処理装置100との距離が十分に大きくなる。取付部11と紙葉類処理装置100との距離が十分に大きくなることにより、例えば、取付部11と紙葉類処理装置100との間に、収納袋600の取り付けを行う紙葉類収納装置1のオペレータが手を入れやすくなる。これにより、オペレータは、収納袋600の取付作業を容易に行うことができる。
【0047】
第1スライド部30の長さは、伸縮可能に構成されている。これにより、第1スライド部30は、紙葉類処理装置100の外部まで十分に伸びることができ、取付ユニット10と移動ユニット20との相対位置を、第2位置とすることができる。
【0048】
なお、図4に示す、第2位置における紙葉類処理装置100から取付部11までの距離L1は、上述したように、紙葉類処理装置100のオペレータが、紙葉類処理装置100の外部から取付ユニット10への収納袋600の取り付けまたは取り外しを、余裕をもって行うことができる距離である。
【0049】
第2の実施の形態に係る紙葉類処理装置100によれば、収納袋600の取り付けまたは取り外しを、簡単な構造かつ省スペースで行うことができる。
【0050】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態では、紙葉類収納装置1は、第2スライド部40をさらに有し、取付ユニット10と移動ユニット20との相対位置を、2段階のスライド移動により変化させる。第2スライド部40は、第2の実施の形態における第1スライド部30と同様に、伸縮可能に構成されている。
【0051】
図5は、第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置1と、紙葉類処理装置100との構成を示した図である。
【0052】
第3の実施の形態では、移動ユニット20は、紙葉類処理装置100の内部に固定されておらず、第2スライド部40により、取付ユニット10と移動ユニット20とを紙葉類処理装置100の外部までスライド移動させることができる。図6は、第2スライド部40により、相対位置が第1位置のままの取付ユニット10と移動ユニット20とが紙葉類処理装置100の外部まで一体となってスライド移動された様子を示す図である。
【0053】
図7は、取付ユニット10と移動ユニット20とが第2スライド部40によって紙葉類処理装置100の外部まで引き出された後に、第1スライド部30によって取付ユニット10と移動ユニット20の相対位置を第2位置へと変化させた様子を示した図である。具体的には、図6に示す第1位置から、第2スライド部40によるスライド移動とは逆方向に向かって第1スライド部30により取付ユニット10をスライド移動させることにより、図7に示す第2位置への変化が実現される。
【0054】
このように第2スライド部40を用いることで、取付部11と移動ユニット20との間に、さらに十分なスペースを確保することができる。このため、第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置1は、収納袋600の取り付けまたは取り外しを、簡単な構造かつ省スペースで行うことができる。
【0055】
なお、第3の実施の形態では、第1スライド部30によるスライド移動の方向と第2スライド部40によるスライド移動の方向とが互いに逆方向である場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、図6に示す第1位置から、第2スライド部40によるスライド移動と同じ方向に向かって第1スライド部30により移動ユニット20をスライド移動させる構成としてもよい。図8は、第1スライド部30によるスライド移動の方向と第2スライド部40によるスライド移動の方向とが同じ方向である場合に、第1スライド部30により移動ユニット20がスライド移動することにより、相対位置が第2位置へ変化する様子を示す図である。
【0056】
第3の実施の形態において、第2スライド部40によるスライド移動の方向を、図6に示した方向とは逆方向としてもよい。図9は、第3の実施の形態において、第2スライド部40によるスライド移動の方向を図6とは逆方向にした場合に、相対位置が第1位置のままの取付ユニット10と移動ユニット20とが紙葉類処理装置100の外部まで一体となってスライド移動された様子を示す図である。そして、図10は、図9の後、第2スライド部40によるスライド移動とは逆方向に向かって第1スライド部30が移動ユニット20を移動させることにより相対位置を第2位置へと変化させた様子を示す図である。さらに、図11は、図9の後、第2スライド部40によるスライド移動と同じ方向に向かって第1スライド部30が移動ユニット20を移動させることにより相対位置を第2位置へと変化させた様子を示す図である。
【0057】
第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置1によれば、収納袋600の取り付けまたは取り外しを、簡単な構造かつ省スペースで行うことができる。
【0058】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態では、紙葉類収納装置1は、検知部70と、制限部80と、をさらに備える。
【0059】
検知部70は、紙葉類収納装置1の動作エラーを検知する。検知部70が検知する動作エラーは、例えば移動ユニット20によって紙葉類500を収納袋600へ収納している間に紙葉類収納装置1の少なくともいずれかの構成の動作に生じうるエラーである。
【0060】
紙葉類収納装置1に生じうる動作エラーの例としては、例えば、収納袋600の内部で、立ったまま収納されるべき紙葉類500が倒れてしまう例、または、収納袋600が取付部11から意図せず外れてしまう例などが挙げられる。
【0061】
検知部70は、例えば、紙葉類500が倒れたことを検知するセンサなどを有し、紙葉類500が倒れてしまったことを検知した場合に、動作エラーを検知したと判断する。または、検知部70は、収納袋600が取付部11から外れたことを検知するセンサなどを有し、収納袋600が取付部11から外れたことを検知した場合に、動作エラーを検知したと判断してもよい。なお、本開示における動作エラーは、上述した例以外のエラーであってもよい。検知部70は、複数種類の動作エラーを検知できるように構成されていてもよいし、いずれか1種類の動作エラーのみを検知できるように構成されていてもよい。検知部70は、動作エラーを検知した場合に、エラー検知信号を制限部80に送信する。
【0062】
制限部80は、検知部70からエラー検知信号を受信した場合に、第1スライド部30に設けられたロック機構31を動作させてロックする。ロック機構31は、制限部80の制御に基づいて、第1スライド部30による取付ユニット10および移動ユニット20のスライド移動を制限する。ロック機構31は、例えば電磁ロックである。これにより、検知部70により紙葉類収納装置1の動作エラーが検知されていない場合にのみ、第1スライド部30による取付ユニット10および移動ユニット20のスライド移動が許容される。一方、検知部70により紙葉類収納装置1の動作エラーが検知された場合には、第1スライド部30による取付ユニット10と移動ユニット20の相対位置を変えるスライド移動ができなくなる。
【0063】
図12は、第4の実施の形態において、第1スライド部30がロック機構31を有する場合の紙葉類処理装置100の構成を示す図である。図12において、互いに破線で接続された構成は、互いに通信可能に接続されていることを示している。
【0064】
このような構成により、検知部70により動作エラーが検知された場合に、取付ユニット10と移動ユニット20の相対位置が、図5などに示す第1位置のまま、維持される。なお、制限部80が第1スライド部30によるスライド移動を制限している場合でも、第2スライド部40によるスライド移動は制限されていない。このため、取付ユニット10と移動ユニット20は、相対位置が第1位置であるまま、第2スライド部40により、図6または図9などに示すように、紙葉類処理装置100の外部へスライド移動することができる。
【0065】
一方、検知部70により動作エラーが検知されていない場合には、取付ユニット10と移動ユニット20の相対位置を、第1位置と第2位置の間で変化させることができる。第1スライド部30による相対位置の変更を制限する機構は、第1スライド部30に設けられたロック機構31に限らない。例えば、取付ユニット10と移動ユニット20を係合させてロックする係合機構を設けてもよい。係合機構のロックは、取付ユニット10と移動ユニット20を装置から引き出したあと、手動でロック解除できる構成としてもよい。
【0066】
第4の実施の形態に係る紙葉類収納装置1によれば、動作エラーが検知されていない場合には、取付ユニット10と移動ユニット20の相対位置を第2位置とすることができるので、取付ユニット10への収納袋600の取り付けを容易に行うことができる。一方、動作エラーが検知された場合には、取付ユニット10と移動ユニット20の相対位置が第1位置に固定されるので、動作エラーが解除されるまで、オペレータが取付部11にアクセスできない状態とすることができる。これにより、紙葉類収納装置1のメンテナンスを行うことができる専門家などが来るまでに、動作エラーが解除されていない状態で、オペレータが無理に収納袋600の取り外しを行おうとすることで、より重大な故障が生じる事態を防止することができる。
【0067】
<第4の実施の形態の変形例>
なお、上記説明した第4の実施の形態では、検知部70により動作エラーが検知された場合に、制限部80が第1スライド部30のロック機構31を動作させるとしたが、本開示はこれに限定されない。例えば、検知部70により動作エラーが検知されていない場合に、制限部80が第1スライド部30のロック機構31をロック状態にしておいて、動作エラーが検知された場合にロック機構31のロックを解除するようにしてもよい。例えば、移動ユニット20または取付ユニット10のいずれかのみに係る動作エラーについては、動作エラーを検知した場合にロック機構31を動作してロック解除することで、動作エラーを生じたユニットへのアクセスが容易になる。検知した動作エラーの種類に応じて、ロック機構31の動作を変えてもよい。
【0068】
また、第1スライド部30ではなく、第2スライド部40がロック機構41を有していてもよい。図13は、第4の実施の形態の変形例において、第2スライド部40がロック機構41を有する場合の紙葉類処理装置100の構成を示す図である。このような構成では、検知部70により動作エラーが検知されていない場合に、制限部80が第2スライド部40のロック機構41を動作させる。検知部70により動作エラーが検知された場合に、制限部80が第2スライド部40のロック機構41を動作させるようにしてもよい。
【0069】
また、第1スライド部30と第2スライド部40とがいずれもロック機構を有し、制限部80によりそれぞれ連動して、またはそれぞれ独立して、動作するような構成であってもよい。
【0070】
この場合、制限部80は、検知部70により動作エラーが検知されていない場合に、第2スライド部40によるスライド移動を制限する。この場合でも、第1スライド部30によるスライド移動は規制されないので、例えば第1スライド部30が取付ユニット10を紙葉類処理装置100の外部までスライド移動させることにより、相対位置を第2位置に変化させ、取付ユニット10への収納袋600の取り付けまたは取り外しを行うことができる。
【0071】
<第5の実施の形態>
第5の実施の形態では、紙葉類収納装置1の取付ユニット10の構造について詳細に説明する。取付ユニット10は、収納袋600を横向きに取り付けることができるユニットである。なお、横向きとは、上下方向に直交する向きである。さらに言えば、横向きの収納袋600は、スライド方向および収納方向に沿って取り付けられている。
【0072】
図14Aおよび図14Bは、取付ユニット10の構造の一例について説明するための図である。図14Aおよび図14Bに示すように、取付ユニット10は、取付部11と、取付ピン111と、開口部OPと、ステージ15と、蓋部16と、を有する。図14Aは、上下方向および収納方向を含む平面における取付ユニット10の断面図である。また、図14Bは、取付ユニット10の構造を示す斜視図である。
【0073】
取付部11は、収納袋600を取り付ける部位である。取付部11は、取付ユニット10の移動ユニット20との境界付近に設けられており、取付ユニット10から外部に露出している。取付部11には、取付ピン111が複数設けられている。取付ピン111に、収納袋600の入口付近に設けられている孔が嵌め入れられることにより、収納袋600が取付部11に横向きに取り付けられる。
【0074】
取付ユニット10の上側の面には、開口部OPが設けられている。これにより、開口部OPから、オペレータは、取付ユニット10への内部へ容易にアクセスすることができる。
【0075】
取付ユニット10の内部には、収納方向に沿って移動可能なステージ15が設けられている。ステージ15は、横向きに取り付けられた収納袋600の入口から底部までの深さを調節する。ステージ15の位置は、例えば図12などに示す制御部50によって適宜調整される。
【0076】
ステージ15の左右方向または上下方向における中央付近には隙間が設けられている。図14Aおよび図14Bでは、ステージ15の上下方向における中央付近に隙間が設けられた例が示されている。この隙間を通って、収納袋600の一部が収納方向奥側へ延びる。このような構成により、ステージ15を移動させることで、収納袋600内部の収納可能な空間の大きさが変化する。このため、ステージ15を移動させることで、収納袋600の内部に収納できる紙葉類500の量を調節可能である。
【0077】
また、開口部OPには、開口部OPを閉じる蓋部16が設けられている。蓋部16は、例えば蝶番によって開閉可能となっており、オペレータの手によって開閉されることができる。オペレータは、蓋部16を開くことにより取付ユニット10の内部にアクセスできるので、取付ユニット10への収納袋600の取り付けを容易に行うことができる。
【0078】
<第6の実施の形態>
第6の実施の形態では、紙葉類収納装置1の移動ユニット20の構造について詳細に説明する。
【0079】
図15Aおよび図15Bは、移動ユニット20の構造の一例について説明するための図である。図15Aに示すように、移動ユニット20は、押し部21と、規制部23と、を有する。図15Aは、上下方向およびスライド方向を含む平面における紙葉類収納装置1の断面図である。
【0080】
押し部21は、移動ユニット20の外部から供給される紙葉類500を、移動ユニット20の内部から、取付ユニット10に取り付けられた収納袋600の内部へ押し込む。収納方向は、例えば、第1スライド部30によるスライド方向とほぼ同じ方向である。
【0081】
押し部21は、収納方向に沿って移動することができる。押し部21が移動ユニット20側から取付ユニット10側へ移動するとき、押し部21の先端部によって紙葉類500が押され、収納袋600の内部に押し込まれる。この時、紙葉類500は立った状態のまま押し部21に押される。図13には、紙葉類500が押し部21により押されて収納袋600に収納されている途中の様子が示されている。
【0082】
これにより、紙葉類500は、収納袋600の内部に、立った状態のまま積層されて収納される。収納袋600の奥まで紙葉類500を押し込むと、押し部21は移動ユニット20内部の初期位置まで戻される。押し部21の初期位置とは、例えば、押し部21の可動領域の中で、収納方向における最も手前側の位置、すなわち押し部21の先端部が取付ユニット10から最も離れた位置である。
【0083】
押し部21の取付ユニット10に近い側の先端部は、後述するように、立った状態の紙葉類500を効率よく押すことができる形状に形成されている。
【0084】
規制部23は、移動ユニット20と取付ユニット10との境界付近に設けられ、移動ユニット20の内部の紙葉類500が収納袋600の内部へ移動することを規制する。規制部23は、ステージとの間で収納袋600に収納された紙幣を支持する。また、規制部23は、押し部21による収納袋600への紙葉類500の移動が行われないときには、紙葉類500の移動を規制することで、意図せず紙葉類500が収納袋600の内部へ入り込んでしまうことを防止する。また、規制部23は、押し部21により収納袋600への紙葉類500の移動が行われるときには、規制を解除する。
【0085】
規制部23は、図15Aに示すように、上下に分割された構造を有する。規制部23の上側の部位は、上向きに移動できるように構成され、規制部23の下側の部位は、下向きに移動できるように構成されている。これにより、規制部23は開閉可能となっている。図15Aには、閉じた状態の規制部23の位置が実線で、開いた状態の規制部23の位置が破線で、それぞれ示されている。このような構成により、規制部23は、閉じた状態では、立った状態の紙葉類500が意図せず収納袋600の内部へ入り込むことを効率よく規制できるとともに、開いた状態では、押し部21による紙葉類500の移動を許容する。
【0086】
図15Bは、押し部21および規制部23の構造をより詳細に説明するための図である。図15Bは、移動ユニット20の端部の構造を取付ユニット10側から見た図である。
【0087】
図15Bに示すように、規制部23は、隙間を有する櫛歯形状に形成されている。そして、図15Bに示すように、押し部21は、閉じた状態の規制部23の隙間を通ることができる格子形状に形成されている。このような構成により、押し部21は、立った状態の紙葉類500を効率よく押すことができるとともに、規制部23の開閉状態にかかわらず、移動ユニット20の内部と取付ユニット10の内部との間で移動することができる。
【0088】
なお、紙葉類収納装置1において、規制部23が開いて規制が解除された状態で、押し部21による収納袋600の内部への紙葉類500の移動が完了すると、押し部21が収納袋600の内部の残った状態のまま、規制部23は閉じて規制を再開する。これにより、収納袋600に収納された紙葉類500が移動ユニット20の内部に戻ることを効率よく防止できる。なお、押し部21は図15Bに示すように、閉じた状態の規制部23の隙間を通ることができる形状に形成されているため、この状態でも移動ユニット20の内部に戻ることができる。
【0089】
このような構成により、例えば押し部21の先端部が収納袋600の内部に入り込んだ状態で、初期位置まで戻れなくなる動作エラーが発生した場合でも、押し部21を固定したまま取付ユニット10または移動ユニット20を移動させることで、取付ユニット10と移動ユニット20とを離れた状態とすることができる。これにより、オペレータは動作エラーが発生した押し部21に容易にアクセスできるので、動作エラーを解除することが容易となる。
【0090】
<第7の実施の形態>
第7の実施の形態では、上記説明した各実施の形態に係る紙葉類収納装置1を有する紙葉類処理装置100について説明する。
【0091】
紙葉類処理装置100は、装置内の各機構を制御して、紙葉類の入金処理、または出金処理など、様々な処理を行う処理部を有する装置である。以下の説明では、紙葉類処理装置100の後述する受入部103が配置された側を前とし、その反対側を後とする。また、前後方向と直交する水平方向を左右方向とする。
【0092】
図16に示すように、紙葉類処理装置100は略直方体形状の筐体101を有している。筐体101の内部には、上部ユニット101Aおよび下部ユニット101Bが収容されている。
【0093】
上部ユニット101Aには、操作部102と、受入部103と、投出部104と、搬送部105と、識別部106と、収納繰出部107と、により構成される処理部108と、が設けられている。
【0094】
筐体101の上部には、操作部102が設けられている。操作部102は、紙葉類処理装置100のオペレータによる操作を受け付ける。紙葉類処理装置100は、操作部102に対するオペレータに操作に応じて各種処理を行う。操作部102は、例えば液晶ディスプレイなどの表示部に重ねられたタッチパネルであってもよい。この場合、表示部には、オペレータに紙葉類処理装置100に行わせる処理を選択させる画面、または、紙葉類処理装置100内に収納されている紙葉類500の量(枚数または合計金額など)を示す画面などが表示される。
【0095】
筐体101の前面上部には、受入部103が設けられている。受入部103は、筐体101の外部から内部に紙幣を投入するための受入ホッパ等を有する。また、受入部103の下方には、筐体101の内部から外部に紙幣を投出するための投出部104が設けられている。
【0096】
受入部103は、オペレータによりセットされた、1枚以上の紙葉類からなる紙葉類群を受け入れる。受入部103には、紙葉類群を構成する紙葉類を1枚ずつ筐体101の内部に繰り出すための繰出機構103Aが設けられている。繰出機構103Aから1枚ずつ繰り出された紙葉類は、搬送部105によって1枚ずつ搬送される。
【0097】
搬送部105を構成する搬送路上に、識別部106が設けられている。識別部106は、搬送部105によって搬送される紙葉類の金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態などを識別する。
【0098】
また、搬送部105における識別部106の後段には、収納繰出部107(一時保留部)が設けられている。収納繰出部107は、搬送部105から搬送されてきた紙葉類を一時的に収納するとともに、収納した紙葉類を1枚ずつ搬送部105に繰り出す。これにより、収納繰出部107に収納された紙幣を、収納繰出部107から下部ユニット101Bに設けられた紙葉類収納装置1に搬送することができる。なお、収納繰出部107は、例えばテープリール式の繰出装置により構成されている。
【0099】
搬送部105には投出部104が接続されている。紙葉類処理装置100の出金処理などの際には、搬送部105によって必要な量の紙葉類が投出部104に一時的に集積される。投出部104は筐体101の外部からアクセス可能となっており、オペレータは投出部104に集積された紙葉類を筐体101の前面から取り出すことができる。
【0100】
搬送部105における投出部104との接続箇所には羽根車104Aが設けられている。羽根車104Aの回転により、羽根車104Aの羽根の間に挟まれた紙葉類が投出部104に集積される。
【0101】
以上説明した各構成を有する処理部108は、受入部103から受け入れた紙葉類に対して、入金処理、または出金処理などの各種処理を行う。入金処理は、受け入れた紙葉類を収納繰出部107または紙葉類収納装置1に収納する処理であり、出金処理は収納繰出部107から投出部104へ紙葉類を出金する処理である。
【0102】
下部ユニット101Bには、紙葉類収納装置1が設けられている。図17は、紙葉類収納装置1の全体構成を示す図である。紙葉類収納装置1では、パウチ袋などの収納袋600が横向きに取り付けられ、紙葉類が立った状態で積層して収納される。紙葉類が立った状態とは、紙葉類の表面および裏面が上下方向に対して垂直な方向を向いた状態である。
【0103】
図17に示すように、紙葉類収納装置1は、取付ユニット10と、移動ユニット20と、第1スライド部30と、制御部50と、を備える。図17に示す例では、収納袋600の入口が、紙葉類処理装置100の前側を向くように取り付けられているが、本開示はこれに限定されず、例えば収納袋600の入口は紙葉類処理装置100の左側、右側、後ろ側、またはその他の上下方向に対して垂直な方向を向いていてもよい。すなわち、図17における右側が、紙葉類収納装置1の前側、図17における左側が、紙葉類収納装置1の後側である。図17において、紙葉類収納装置1の前側から後ろ側に向かう方向は、上述した各実施の形態における収納方向およびスライド方向と同じ方向である。
【0104】
取付ユニット10は、上述した第5の実施の形態にて説明した、収納袋600が取り付けられるユニットである。移動ユニット20は、上述した第6の実施の形態にて説明した、搬送部105によって搬送されてきた紙葉類500を、立った状態のまま収納方向に沿って移動させ、収納袋600の内部に収納するユニットである。
【0105】
第1スライド部30は、上述した第1から第6の実施の形態のように、取付ユニット10を紙葉類処理装置100の筐体101の外部までスライド移動させる部位である。下部ユニット101Bの前後左右の壁面には、開閉可能な扉が設けられており、第1スライド部30により、オペレータは、開いた扉から取付ユニット10を筐体101の外部まで引き出すことができる。このため、オペレータは、取付ユニット10に対して収納袋600の取り付けまたは取り外しの作業を容易に行うことができる。第1スライド部30は、例えばスライドレール部材である。図17に示す例では、第1スライド部30は前後方向に沿って設けられており、筐体101の前側または後ろ側に設けられた扉から取付ユニット10を引き出させることができる。なお、第1スライド部30は、取付ユニット10とともに、移動ユニット20をスライド移動させる構成であってもよい。この場合、上述した第3の実施の形態のように、取付ユニット10をスライド移動させる第1スライド部30とは別に、移動ユニット20とを移動させる第2スライド部40が設けられていてもよい。
【0106】
図18から図30を用いて、紙葉類収納装置1の動作例について説明する。図18から図23は、収納袋600に所定枚数の紙葉類を収納する場合の紙葉類収納装置1の動作を、ステップ毎に示した図である。図18から図23では、説明に登場しない閉じ部12および封止部13の図示を省略している。
【0107】
まず、図18に示すように、繰出部24により、移動ユニット20の内部空間である一時保留部SPに所定量の紙葉類500が繰り出され、規制部23にもたれるようにして保留される(ステップS1)。なお、図18に示す例では、収納袋600の内部に予めある程度の量の紙葉類500が収納されており、取付ユニット10のステージ15は収納されている紙葉類500の量に合わせた位置まで移動している。
【0108】
図19に示すように、所定量の紙葉類500が保留されると、規制部23が開かれる(ステップS2)。
【0109】
図20に示すように、規制部23が開かれると、押し部21が紙葉類500を収納方向奥側に向かって押し、収納袋600の内部まで移動させる(ステップS3)。なお、規制部23にもたれるようにして保留されていた紙葉類500は、規制部23が開かれたとき、予め収納袋600の内部に収納されている紙葉類500によって一時的に保持され、倒れないようになっている。例えば新しく取付ユニット10に取り付けられた収納袋600に初めて紙葉類500を収納する場合など、収納袋600の内部に紙葉類500が存在しない場合には、ステージ15が収納方向における最も手前側まで移動することにより、規制部23が開かれても紙葉類500が倒れないようにできる。
【0110】
押し部21の収納方向奥側への移動は、押し部21の先端部が所定の収納位置へ到達するまで継続する。図21では、押し部21の先端部が収納位置へ到達した様子を示している。なお、収納袋600の内部に収納された紙葉類500の厚みによって、押し部21の先端部が収納位置まで到達できない場合には、図21に示すように、ステージ15が収納方向奥側へ移動することにより、押し部21の先端部を収納位置に到達させる(ステップS4)。
【0111】
収納方向における押し部21の先端部の位置が所定の収納位置となった後も、押し部21を収納方向奥側へ移動させる駆動力は継続して供給される。これにより、収納袋600の内部において、紙葉類500は押し部21によって圧縮される。なお、所定の収納位置とは、例えば、規制部23よりも若干収納方向における奥側の位置である。
【0112】
収納方向における押し部21の先端部の位置が所定の収納位置となった後、押し部21に対する駆動力の供給が停止され、押し部21の収納方向における位置が固定される。この状態で、図22に示すように、規制部23が閉じられる(ステップS5)。
【0113】
図23に示すように、規制部23が閉じると、規制部23の隙間を通って、押し部21全体が収納方向手前側に向かって戻される(ステップS6)。これにより、収納袋600の内部において、押し部21による圧縮力がなくなった紙葉類500は収納方向手前側に戻ろうとするが、規制部23によって移動ユニット20の内部まで戻ることはできない。これにより、収納袋600への紙葉類の収納が完了する。
【0114】
図24から図30は、収納袋600に所定量の紙葉類500が収納された状態で、収納袋600を封止する場合の紙葉類収納装置1の動作を、ステップ毎に示した図である。図24は、収納袋600の内部に所定量の紙葉類500が収納された状態を示している(ステップS11)。
【0115】
まず、図25に示すように、押し部21および保持部22が一体となって、規制部23が閉じた状態のまま、収納方向奥側へ向かって移動する(ステップS12)。これにより、収納袋600の内部に収納されている紙葉類500が、押し部21とステージ15とによって圧縮される。
【0116】
押し部21および保持部22の収納方向奥側への移動は、押し部21の先端部が所定の封止位置へ到達するまで継続する。なお、収納袋600の内部に収納された紙葉類500の厚みによって、押し部21の先端部が封止位置まで到達できない場合には、ステージ15が収納方向奥側へ移動することにより、押し部21の先端部を封止位置に到達させる(ステップS13)。図26は、押し部21の先端部が封止位置に到達した状態を示す図である。なお、所定の封止位置とは、封止部13および閉じ部12よりも収納方向奥側となる位置である。
【0117】
押し部21の先端部が封止位置に到達したら、図27に示すように、保持部22の先端部を封止位置で固定し、押し部21全体を移動ユニット20の内部まで戻す(ステップS14)。これにより、紙葉類500が保持部22によって保持される。ステップS14において、押し部21は、押し部21の初期位置まで戻ってもよいし、移動ユニット20内の初期位置より収納方向奥側の適宜の位置で止まっていてもよい。
【0118】
図28に示すように、保持部22が紙葉類500を保持した状態で、閉じ部12が収納袋600を閉じる(ステップS15)。図29に示すように、ある程度閉じた状態で、保持部22全体を移動ユニット20の内部まで戻す(ステップS16)。収納袋600がある程度閉じた状態で保持部22が戻されるので、紙葉類500は、保持部22の代わりに収納袋600の内面によって保持される。このため、紙葉類500が倒れないようになっている。押し部21および保持部22は、初期位置、すなわち押し部21および保持部22の可動領域の中で、収納方向における最も手前側の位置まで戻される。
【0119】
次に、図30に示すように、閉じ部12が収納袋600を完全に閉じ、封止部13が収納袋600の入口部分を封止する(ステップS17)。これにより、収納袋600の封止が完了する。
【0120】
収納袋600の封止が完了したら、オペレータは、図18に示す第1スライド部30により取付ユニット10を筐体101の外部まで引き出す。これにより、オペレータは、紙葉類500が収納されて封止された収納袋600を取付ユニット10から取り外し、新たな収納袋600を取付ユニット10に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0121】
1 紙葉類収納装置
10 取付ユニット
11 取付部
111 取付ピン
12 閉じ部
13 封止部
15 ステージ
16 蓋部
20 移動ユニット
21 押し部
22 保持部
23 規制部
24 繰出部
30 第1スライド部
31 ロック機構
40 第2スライド部
41 ロック機構
50 制御部
70 検知部
80 制限部
100 紙葉類処理装置
101 筐体
101A 上部ユニット
101B 下部ユニット
102 操作部
103 受入部
103A 繰出機構
104 投出部
104A 羽根車
105 搬送部
106 識別部
107 収納繰出部
108 処理部
500 紙葉類
600 収納袋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【手続補正書】
【提出日】2021-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図30
【補正方法】変更
【補正の内容】
図30