(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004372
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】制御システム、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
E05B49/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105999
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】向山 文祥
(72)【発明者】
【氏名】橋本 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉川 彩衣
(72)【発明者】
【氏名】眞田 恵里
(72)【発明者】
【氏名】藤原 洋子
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA02
2E250BB08
2E250BB53
2E250DD02
2E250FF27
2E250FF36
(57)【要約】
【課題】電気錠が第三者に不正に解錠されてしまうことを抑制すること。
【解決手段】制御システム10は、取得部11と、認証部12と、制御部13と、を備える。取得部11は、認証用媒体40からユーザの認証用情報を取得する。認証部12は、取得部11が取得した認証用情報に基づいてユーザの認証を行う。制御部13は、認証部12による認証が成功したと判定された場合、施設の出入口の開閉部材に設けられた電気錠20の施錠又は解錠を指示するコマンドを出力する。制御部13は、電気錠20が施錠された場合、所定の条件を満たすまで、電気錠20の解錠を指示するコマンドの出力を制限する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証用媒体からユーザの認証用情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記認証用情報に基づいて前記ユーザの認証を行う認証部と、
前記認証部による前記認証が成功した場合、施設の出入口の開閉部材に設けられた電気錠の施錠又は解錠を指示するコマンドを出力する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記電気錠が施錠された場合、所定の条件を満たすまで、前記電気錠の解錠を指示する前記コマンドの出力を制限する、
制御システム。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記電気錠が施錠されてから所定時間が経過することである、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記所定の条件は、前記電気錠が前記施設において前記ユーザのみが立ち入りを許可された場所側から解錠されることである、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記所定時間の長さを設定するための設定入力を受け付けると、前記所定時間を前記設定入力に基づく長さで設定する設定部を更に備える、
請求項2に記載の制御システム。
【請求項5】
前記設定部は、前記ユーザが所持する情報端末との間で通信することにより、前記情報端末での前記ユーザの操作に応じた前記設定入力を受け付ける、
請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記開閉部材には、前記ユーザの前記設定入力を受け付ける設定装置が設けられており、
前記設定部は、前記設定装置との間で通信することにより、前記設定装置での前記ユーザの操作に応じた前記設定入力を受け付ける、
請求項4又は5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記認証用媒体の前記認証に成功した状態で前記電気錠の施錠を指示するコマンドを出力した場合、前記所定の条件を満たすまで、前記認証用媒体と同一の認証用媒体に基づく前記電気錠の解錠を指示する前記コマンドの出力を制限する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記認証用媒体の前記認証に成功した状態で前記電気錠の施錠を指示するコマンドを出力した場合であって、前記認証用媒体とは異なる他の認証用媒体の前記認証に成功した状態で前記電気錠の解錠操作を受け付けた場合、前記電気錠の解錠を指示する前記コマンドを出力する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項9】
認証用媒体からユーザの認証用情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップが取得した前記認証用情報に基づいて前記ユーザの認証を行う認証ステップと、
前記認証ステップによる前記認証が成功した場合、施設の出入口の開閉部材に設けられた電気錠の施錠又は解錠を指示するコマンドを出力する制御ステップと、を含み、
前記制御ステップでは、前記電気錠が施錠された場合、所定の条件を満たすまで、前記電気錠の解錠を指示する前記コマンドの出力を制限する、
制御方法。
【請求項10】
1以上のプロセッサに、
請求項9に記載の制御方法を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気錠の制御システム、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物のドアを施錠又は解錠するための電気錠システムが知られている。特許文献1には、屋外から意図に反して解錠されにくい電気錠システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電気錠が第三者に不正に解錠されてしまうことを抑制することができる制御システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る制御システムは、取得部と、認証部と、制御部と、を備える。前記取得部は、認証用媒体からユーザの認証用情報を取得する。前記認証部は、前記取得部が取得した前記認証用情報に基づいて前記ユーザの認証を行う。前記制御部は、前記認証部による前記認証が成功した場合、施設の出入口の開閉部材に設けられた電気錠の施錠又は解錠を指示するコマンドを出力する。前記制御部は、前記電気錠が施錠された場合、所定の条件を満たすまで、前記電気錠の解錠を指示する前記コマンドの出力を制限する。
【0006】
本発明の一態様に係る制御方法は、取得ステップと、認証ステップと、制御ステップと、を含む。前記取得ステップでは、認証用媒体からユーザの認証用情報を取得する。前記認証ステップでは、前記取得ステップが取得した前記認証用情報に基づいて前記ユーザの認証を行う。前記制御ステップでは、前記認証ステップによる前記認証が成功した場合、施設の出入口の開閉部材に設けられた電気錠の施錠又は解錠を指示するコマンドを出力する。前記制御ステップでは、前記電気錠が施錠された場合、所定の条件を満たすまで、前記電気錠の解錠を指示する前記コマンドの出力を制限する。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、前記制御方法を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る制御システム等は、電気錠が第三者に不正に解錠されてしまうことを抑制することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る制御システムの全体構成を示す概要図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る設定装置の一例を示す概要図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る制御システムの第1動作例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る制御システムの第2動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る電気錠の制御システム(以下、単に「制御システム」とも記載される)の概要について説明する。
図1は、実施の形態に係る制御システムの全体構成を示す概要図である。
図2は、実施の形態に係る制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【0013】
図1及び
図2に示すように、実施の形態に係る制御システム10は、電気錠20の施錠及び解錠を制御するためのシステムである。制御システム10及び電気錠20は、例えば、施錠及び解錠の対象となる開閉部材60に取り付けられる。開閉部材60は、いわゆる開き戸であり、施設の出入口(例えば、住宅の玄関)に設けられる。実施の形態では、開閉部材60は、ドアである。なお、開閉部材60は、開き戸に限らず、引き戸であってもよい。また、施設の出入口とは、施設の外と中を行き来するための場所に限定されず、施設内の場所であってもよい。さらに、施設は、住宅に限定されず、オフィスビル、病院、又は介護施設等であってもよい。
【0014】
以下の説明では、施設の出入口が施設の外と中を行き来するための場所として説明する。したがって、以下の説明では、施設の中を「屋内」、施設の外を「屋外」ともいう。なお、以下の説明は、施設の出入口が施設内の場所である場合にも同様に適用し得る。この場合、「屋内」を「ユーザA1(後述する他のユーザを含む)のみが立ち入りを許可された場所」、「屋外」を「ユーザA1以外の者も立ち入りが許可された場所」と読み替えればよい。
【0015】
電気錠20は、制御システム10による制御に基づいて開閉部材60を施錠及び解錠する構造体である。電気錠20は、具体的には、デッドボルトと、電動モータと、電動モータの駆動力をデッドボルトに伝達する伝達機構と、を有する。電動モータは、制御システム10から出力されるコマンドに従って駆動する。実施の形態では、電気錠20は、制御システム10から出力されるコマンドに基づいて駆動信号を出力する錠駆動部を有している。このため、電動モータは、錠駆動部から出力される駆動信号に従って駆動する。そして、電動モータの駆動力が伝達機構を介してデッドボルトに伝達されることによって、デッドボルトが施錠位置又は解錠位置に移動する。また、実施の形態では、電気錠20は開閉部材60に対して1つだけ取り付けられているが、2つ以上取り付けられていてもよい。
【0016】
制御システム10は、
図2に示すように、取得部11と、認証部12と、制御部13と、設定部14と、記憶部15と、を備えている。これらの構成要素は、例えば筐体に収容された状態で、開閉部材60のドアハンドル部分に設けられる。なお、制御システム10は、少なくとも取得部11、認証部12、及び制御部13を備えていればよく、設定部14及び記憶部15は備えていなくてもよい。
【0017】
取得部11は、認証用媒体40からユーザA1の認証用情報を取得する。ここで、認証用情報は、ユーザA1を個別に識別するためのID(Identifier)情報と、パスワード又は暗証番号等の認証コード情報と、を含む。なお、認証コード情報は、ユーザA1及び後述する他のユーザを含む全てのユーザに共通であってもよいし、ユーザごとに異なっていてもよい。
【0018】
認証用媒体40は、例えばスマートフォン若しくはタブレット端末等の携帯型の情報端末、又は制御システム10に専用のリモートコントロール用の鍵装置である。実施の形態では、認証用媒体40は、ユーザA1が所持する情報端末41である。すなわち、情報端末41に制御システム10に専用のアプリケーションをインストールすることにより、情報端末41が認証用媒体40として機能している。
【0019】
具体的には、取得部11は、無線通信回路によって実現される。例えば、取得部11は、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)等の無線通信の通信規格に従って、認証用媒体40との間で通信を行い、認証用媒体40から認証用情報を取得する。実施の形態では、取得部11は、制御システム10が設置された位置(ここでは、開閉部材60)を基準とした所定の通信範囲内に認証用媒体40が存在する場合に、認証用媒体40との間で通信することにより、認証用媒体40から認証用情報を取得する。
【0020】
認証部12は、取得部11が取得した認証用情報に基づいてユーザA1の認証を行う。具体的には、認証部12は、取得部11が取得した認証用情報が、記憶部15に記憶されている登録情報に含まれるか否かを判定することにより、ユーザA1の認証を行う。認証用情報が登録情報に含まれている場合、認証部12は、ユーザA1の認証に成功したと判定する。一方、認証用情報が登録情報に含まれていない場合、認証部12は、ユーザA1の認証に失敗したと判定する。実施の形態では、認証部12は、例えば、制御部13及び設定部14と共にマイクロコンピュータにより実現されるが、プロセッサにより実現されてもよい。
【0021】
制御部13は、認証部12による認証が成功した場合、施設の出入口の開閉部材60に設けられた電気錠20の施錠又は解錠を指示するコマンドを出力する。言い換えれば、制御部13は、認証部12による認証が失敗した場合、特に何も実行しない。このため、例えば電気錠20が施錠された状態で、認証部12による認証が失敗した場合、電気錠20は解錠されず、施錠されたままとなる。以下では、電気錠20の施錠を指示するコマンドを「施錠コマンド」、電気錠20の解錠を指示するコマンドを「解錠コマンド」ともいう。
【0022】
実施の形態では、認証部12による認証が成功した場合、制御部13は、施錠コマンド又は解錠コマンドを出力可能な状態となる。そして、この状態において、例えば認証用媒体40におけるユーザA1の施錠操作又は解錠操作、又は操作受付装置30におけるユーザA1の施錠操作又は解錠操作を受け付けると、制御部13は、操作に応じて施錠コマンド又は解錠コマンドを出力する。
【0023】
ここで、操作受付装置30は、ユーザA1が電気錠20を施錠又は解錠するために行う操作を受け付ける装置である。操作受付装置30は、例えば開閉部材60のドアハンドルの部分に設けられるスイッチ、又はドアハンドルの一部等である。例えば、電気錠20を解錠させる場合、ユーザA1は、ドアハンドルに設けられたスイッチを押す、又はドアハンドルを握る等の操作を行えばよい。
【0024】
また、制御部13は、開閉センサ50の検知結果に基づいて、電気錠20を自動的に施錠する機能を有している。開閉センサ50は、いわゆるドアセンサであり、開閉部材60の開閉状態を検知し、検知結果を制御システム10に出力する。開閉センサ50は、例えば開閉部材60及びドア枠61のうちの一方に取り付けられた磁石と、開閉部材60及びドア枠61のうちの他方に取り付けられたマグネットセンサとにより実現される、磁力式のセンサである。制御部13は、開閉センサ50の検知結果が開閉部材60の開状態から閉状態に遷移すると、施錠コマンドを出力することにより、電気錠20を自動的に施錠する。
【0025】
なお、開閉センサ50は、開閉部材60及びドア枠61のうちの一方に取り付けられたRFID(Radio Frequency Identifier)タグと、開閉部材60及びドア枠61のうちの他方に取り付けられたRFIDリーダとによって実現される、電波式のセンサであってもよく、開閉センサ50の具体的態様は、特に限定されない。
【0026】
ここで、制御部13は、電気錠20が施錠された場合、所定の条件を満たすまで、電気錠20の解錠を指示するコマンド(解錠コマンド)の出力を制限する機能を有している。ここで、「電気錠20が施錠された場合」とは、例えば上述のように開閉センサ50の検知結果に基づいて電気錠20が自動的に施錠された場合である。また、「解錠コマンドの出力を制限する」とは、操作受付装置30又は認証用媒体40における解錠操作を受け付けても解錠コマンドを出力しないことを含む他、操作受付装置30又は認証用媒体40において解錠操作を受け付けないことを含み得る。
【0027】
実施の形態では、所定の条件は、以下に示す2つの条件である。制御部13は、以下に示す2つの条件のうちのいずれか一方を満たした場合、解錠コマンドの出力の制限を解除する、つまり、解錠コマンドを出力可能な状態に戻る。
【0028】
第1の条件として、所定の条件は、電気錠20が施錠されてから所定時間が経過することである。所定時間は、例えば1~3分等の数分間であるが、秒単位であってもよい。つまり、制御部13は、電気錠20が施錠されてから所定時間が経過するまでは、以下に説明する第2の条件を満たさない限り、解錠コマンドの出力を制限する。
【0029】
第2の条件として、所定の条件は、電気錠20が施設においてユーザA1(後述する他のユーザを含む)のみが立ち入りを許可された場所側から解錠されることである。実施の形態では、この所定の条件は、電気錠20が施設における屋内側から解錠されることである。つまり、制御部13は、電気錠20が施錠されてから施設における屋内側から解錠されるまでは、上述の第1の条件を満たさない限り、解錠コマンドの出力を制限する。
【0030】
もちろん、制御部13が解錠コマンドを出力可能な状態は、認証に成功した認証用媒体40が所定の通信範囲内に存在している間のみ継続される。認証に成功した認証用媒体40が所定の通信範囲内から離れると、制御部13は、施錠コマンド及び解錠コマンドの両方の出力を制限する状態となる。
【0031】
設定部14は、所定時間の長さを設定するための設定入力を受け付けると、所定時間を設定入力に基づく長さで設定する。実施の形態では、設定部14は、以下に示す2つの手段のいずれかにより、設定入力を受け付ける。なお、例えば、設定部14が所定時間の長さを零に設定する設定入力を受け付けた場合、制御部13による解錠コマンドの出力を制限する機能が無効となってもよい。
【0032】
第1の手段として、設定部14は、ユーザA1が所持する情報端末41との間で通信することにより、情報端末41でのユーザA1の操作に応じた設定入力を受け付ける。具体的には、ユーザA1は、例えば情報端末41にて制御システム10に専用のアプリケーションを起動し、当該アプリケーションにて所定時間の長さを設定する操作を行う。この操作は、例えば情報端末41がタッチパネルディスプレイを備えている場合であれば、ユーザA1がタッチパネルディスプレイに指で触れる等することで行われる。そして、情報端末41は、所定時間の長さを設定する操作を受け付けると、所定時間の長さについての情報を含む信号を、制御システム10に対して送信する。これにより、設定部14は、当該信号を受信することで、設定入力を受け付けることになる。
【0033】
第2の手段として、設定部14は、設定装置70との間で通信することにより、設定装置70でのユーザA1の操作に応じた設定入力を受け付ける。ここで、設定装置70は、ユーザA1の設定入力を受け付ける装置である。実施の形態では、設定装置70は、
図3に示すように、開閉部材60に設置されている。
図3は、実施の形態に係る設定装置70の一例を示す概要図である。
図3に示すように、設定装置70は、開閉部材60が開放された状態においてのみ露出するように、開閉部材60の側面62に埋め込んで設置されている。このため、ユーザA1が電気錠20を解錠して開閉部材60を開放させた場合にのみ設定装置70を操作することが可能であるため、ユーザA1以外の第三者B1が設定装置70を操作することが基本的にできないようになっている。
【0034】
設定装置70は、設定スイッチ71と、ダイアル72と、を有している。ダイアル72の外周には、所定時間の長さを表す目盛り(ここでは、「0」、「1分」、「2分」、「3分」)が記されている。ユーザA1は、ダイアル72を回転操作することにより、所望の所定時間の長さに合わせた後、設定スイッチ71を押すという一連の操作を行う。すると、設定装置70は、ダイアル72が指定する所定時間の長さについての情報を含む信号を、制御システム10に対して送信する。これにより、設定部14は、当該信号を受信することで、設定入力を受け付けることになる。
【0035】
記憶部15は、認証部12がユーザA1の認証を行う際に用いられる登録情報、制御部13が電気錠20を制御するために実行する制御プログラム、及び設定部14により設定された所定時間の長さについての情報が主として記憶される記憶装置である。記憶部15は、例えば半導体メモリによって実現される。登録情報は、登録済みのユーザA1ごとの認証用情報を含む。登録情報は、例えば操作受付装置30又は情報端末41等でユーザA1が特定の入力を行うことにより、記憶部15に記憶させることが可能である。
【0036】
[動作]
以下、実施の形態に係る制御システム10の動作の一例について説明する。
図4は、実施の形態に係る制御システム10の第1動作例を示すフローチャートである。
図5は、実施の形態に係る制御システム10の第2動作例を示すフローチャートである。第1動作例は、制御部13による基本的な動作の一例であって、開始時において電気錠20は施錠されている。第2動作例は、制御部13が解錠コマンドの出力を制限している状態における動作の一例である。
【0037】
まず、第1動作例について説明する。認証用媒体40を所持するユーザA1が開閉部材60の近傍まで移動し、認証用媒体40が所定の範囲内に到達すると、取得部11は、認証用媒体40との間で通信することにより、認証用媒体40から認証用情報を取得する(S11)。処理S11は、制御方法における取得ステップST1に相当する。次に、認証部12は、取得部11が取得した認証用情報に基づいて、ユーザA1の認証を行う(S12)。処理S12は、制御方法における認証ステップST2に相当する。
【0038】
認証部12がユーザA1の認証に失敗した場合(S13:No)、電気錠20は解錠されず、施錠されたままとなる。一方、認証部12がユーザA1の認証に成功した場合(S13:Yes)、制御部13は、解錠コマンドを出力可能な状態となる。そして、この状態において、ユーザA1による電気錠20の解錠操作を受け付けると、解錠コマンドを出力する(S14)。処理S14は、制御方法における制御ステップST3の一部に相当する。
【0039】
その後、制御部13は、電気錠20が施錠されるまでは(S15:No)、特に何も実行しない。一方、制御部13は、電気錠20が施錠された場合(S15:Yes)、解錠コマンドの出力を制限する(S16)。
【0040】
そして、制御部13は、所定の条件を満たすまでは(S17:No)、解錠コマンドの出力を制限し続ける。このため、解錠コマンドの出力が制限されている間は、基本的に電気錠20が解錠されることがない。一方、制御部13は、所定の条件が満たされた場合(S17:Yes)、解錠コマンドの出力の制限を解除する(S18)。したがって、これ以降は、電気錠20を解錠することが可能である。処理S16~S18は、制御方法における制御ステップST3の一部に相当する。
【0041】
次に、第2動作例について説明する。まず、第1動作例と同様に、制御部13は、所定の条件を満たすまで解錠コマンドの出力を制限している(S21)。ここで、未だ所定の条件を満たしていない状態で、認証用媒体40が所定の範囲内に到達し、かつ、認証用媒体40の所持者について認証部12が認証に成功した、と仮定する。
【0042】
認証に成功した認証用媒体40がユーザA1の認証用媒体40である場合(S22:No)、制御部13は、解錠コマンドの出力の制限を維持する(S24)。したがって、電気錠20を解錠及び施錠したユーザA1は、所定の条件が満たされるまでは、電気錠20を解錠することができない。つまり、制御部13は、認証用媒体40の認証に成功した状態で電気錠20の施錠を指示するコマンドを出力した場合、所定の条件を満たすまで、認証用媒体40と同一の認証用媒体40に基づく電気錠20の解錠を指示するコマンドの出力を制限する。
【0043】
一方、認証に成功した認証用媒体40がユーザA1とは異なる他のユーザの認証用媒体40(つまり、他の認証用媒体40)である場合(S22:Yes)、制御部13は、解錠コマンドを一時的に出力可能な状態となる。そして、この状態において、他のユーザによる電気錠20の解錠操作を受け付けると、解錠コマンドを出力する(S23)。処理S21~S24は、制御方法における制御ステップST3の一部に相当する。ここでいう他のユーザは、例えば施設が住宅であれば、ユーザA1と同居する家族等であって、ユーザA1と同様に施設への立ち入りを許可された者である。
【0044】
なお、ここでは、制御部13は、解錠コマンドを一時的に出力可能な状態となっているが、所定の条件を満たした場合と同様に、解錠コマンドの出力の制限を解除してもよい。
【0045】
つまり、制御部13は、認証用媒体40の認証に成功した状態で電気錠20の施錠を指示するコマンドを出力した場合であって、認証用媒体40とは異なる他の認証用媒体40の認証に成功した状態で電気錠20の解錠操作を受け付けた場合、電気錠20の解錠を指示するコマンドを出力する。
【0046】
[利点]
以下、実施の形態に係る制御システム10の利点について、比較例の制御システムとの比較を交えて説明する。比較例の制御システムは、制御部が解錠コマンドの出力を制限する機能を有していない点で、実施の形態に係る制御システム10と相違する。比較例の制御システムでは、認証部12による認証が成功した後に、認証用媒体40が所定の範囲内に存在し続ける限り、制御部は、施錠コマンド又は解錠コマンドを出力可能な状態を維持する。このため、比較例の制御システムでは、電気錠20が施錠された場合であっても、ユーザA1以外の第三者B1が電気錠20の解錠操作を行うと、制御部は、電気錠20に対して解錠コマンドを出力してしまう。つまり、比較例の制御システムでは、ユーザA1の意図に反して電気錠20を解錠してしまう、という課題がある。認証用媒体40が所定の範囲内に存在し続ける状況は、例えばユーザA1が屋内側(例えば、内玄関)において靴を着脱する等、屋内側で何らかの作業を行うべくユーザA1が滞在し続ける場合に起こり得る。
【0047】
これに対して、実施の形態に係る制御システム10では、制御部13は、電気錠20が施錠された場合、所定の条件を満たすまで、電気錠20の解錠を指示するコマンド(解錠コマンド)の出力を制限する。このため、実施の形態に係る制御システム10では、認証用媒体40が所定の範囲内に存在し続けていた場合に、第三者B1が電気錠20の解錠操作を行ったとしても、制御部13が解錠コマンドを出力することがないため、ユーザA1の意図に反して電気錠20が解錠されることがない。したがって、実施の形態に係る制御システム10では、電気錠20が第三者B1に不正に解錠されてしまうことを抑制することができる、という利点がある。
【0048】
(変形例)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。以下、実施の形態の変形例について列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせてもよい。
【0049】
実施の形態では、制御部13は、他の認証用媒体40の認証に成功した状態で電気錠20の解錠操作を受け付けた場合、電気錠20の解錠コマンドを出力しているが、これに限られない。例えば、制御部13は、認証用媒体40の如何を問わず、所定の条件を満たすまで解錠コマンドの出力を制限してもよい。
【0050】
実施の形態では、開閉センサ50の検知結果に基づいて電気錠20を自動的に施錠しているが、これに限られない。例えば、開閉部材60は、ユーザA1が手動で電気錠20を施錠可能な機構を有していてもよい。この場合、制御部13は、ユーザA1が屋内側から手動で電気錠20を施錠することにより、電気錠20が施錠されたと判定すると、解錠コマンドの出力を制限する。この場合、開閉センサ50は不要である。
【0051】
実施の形態では、設定装置70は、開閉部材60の側面62に埋め込んで設置されているが、これに限られない。例えば、設定装置70は、開閉部材60の屋内側のドアハンドル部分等、ユーザA1が屋内側からのみ操作可能な位置に設置されていてもよい。
【0052】
実施の形態では、所定時間の長さを設定する手段として、設定装置70及び情報端末41の両方が用意されているが、いずれか一方のみが用意されていてもよい。例えば、情報端末41のみで所定時間の長さを設定する場合であれば、設定装置70を設置しなくてもよい。また、所定時間の長さは、例えば制御システム10の製造時又は施工時に設定されていれば、後に変更可能でなくてもよい。この場合、設定装置70及び情報端末41は、いずれも所定時間の長さを設定する手段として用意されていなくてもよい。
【0053】
実施の形態では、所定の条件は、電気錠20が施錠されてから所定時間を経過すること、及び電気錠20が施設の内側から解錠されることのいずれか一方を満たすことであるが、いずれか一方のみであってもよい。
【0054】
また、実施の形態では、電気錠20は開閉部材60に設けられているが、ドア枠61に設けられていてもよい。
【0055】
また、実施の形態では、制御システム10は、単一の装置によって実現されたが、複数の装置によって実現されてもよい。制御システム10が複数の装置によって実現される場合、制御システム10が備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。また、実施の形態では、制御システム10は、電気錠20と共に開閉部材60に設置された装置により実現されているが、これに限られない。例えば、制御システム10は、施設内に設置される制御装置、又は施設外に設置されるサーバ装置等によって実現されてもよい。施設内に設置される制御装置は、例えば、EMS(Energy Management System)コントローラなどである。また、制御システム10は、電気錠20に内蔵されていてもよい。
【0056】
また、実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0057】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0058】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0059】
例えば、本発明は、電気錠制御装置として実現されてもよいし、電気錠制御装置を備える開閉部材60として実現されてもよい。本発明は、実施の形態の制御システム10等のコンピュータが実行する電気錠20の制御方法として実現されてもよい。本発明は、電気錠20の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0060】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【0061】
(まとめ)
以上述べたように、制御システム10は、取得部11と、認証部12と、制御部13と、を備える。取得部11は、認証用媒体40からユーザA1の認証用情報を取得する。認証部12は、取得部11が取得した認証用情報に基づいてユーザA1の認証を行う。制御部13は、認証部12による認証が成功した場合、施設の出入口の開閉部材60に設けられた電気錠20の施錠又は解錠を指示するコマンドを出力する。制御部13は、電気錠20が施錠された場合、所定の条件を満たすまで、電気錠20の解錠を指示するコマンドの出力を制限する。
【0062】
このような制御システム10によれば、認証用媒体40が所定の範囲内に存在し続けていた場合に、第三者B1が電気錠20の解錠操作を行ったとしても、制御部13が解錠コマンドを出力することがないため、ユーザA1の意図に反して電気錠20が解錠されることがない。したがって、このような制御システム10では、電気錠20が第三者B1に不正に解錠されてしまうことを抑制することができる、という利点がある。
【0063】
また、例えば、制御システム10では、所定の条件は、電気錠20が施錠されてから所定時間が経過することである。
【0064】
このような制御システム10によれば、認証用媒体40を所持するユーザA1が開閉部材60の近傍に滞在すると考えられる所定時間の間、電気錠20が第三者B1に不正に解錠されてしまうことを抑制することができる、という利点がある。
【0065】
また、例えば、制御システム10では、所定の条件は、電気錠20が施設においてユーザA1(他のユーザを含む)のみが立ち入りを許可された場所側から解錠されることである。
【0066】
このような制御システム10によれば、ユーザA1が意図的に電気錠20を解錠するまでの間、電気錠20が第三者B1に不正に解錠されてしまうことを抑制することができる、という利点がある。
【0067】
また、例えば、制御システム10は、所定時間の長さを設定するための設定入力を受け付けると、所定時間を設定入力に基づく長さで設定する設定部14を更に備える。
【0068】
このような制御システム10によれば、ユーザA1の好みに応じて所定時間の長さを変更することができるので、利便性が向上しやすい、という利点がある。
【0069】
また、例えば、制御システム10では、設定部14は、ユーザA1が所持する情報端末41との間で通信することにより、情報端末41でのユーザA1の操作に応じた設定入力を受け付ける。
【0070】
このような制御システム10によれば、制御システム10の設置場所に赴かずとも、情報端末41を用いて所定時間の長さを設定することができるので、利便性が向上しやすい、という利点がある。
【0071】
また、例えば、制御システム10では、開閉部材60には、ユーザA1の設定入力を受け付ける設定装置70が設けられている。設定部14は、設定装置70との間で通信することにより、設定装置70でのユーザA1の操作に応じた設定入力を受け付ける。
【0072】
このような制御システム10によれば、例えばユーザA1が開閉部材60を開放させる等して施設の出入口を通過する際に、ついでに所定時間の長さを設定することができるので、利便性が向上しやすい、という利点がある。
【0073】
また、例えば、制御システム10では、制御部13は、認証用媒体40の認証に成功した状態で電気錠20の施錠を指示するコマンドを出力した場合、所定の条件を満たすまで、認証用媒体40と同一の認証用媒体40に基づく電気錠20の解錠を指示するコマンドの出力を制限する。
【0074】
このような制御システム10によれば、電気錠20の施錠に関わった認証用媒体40が所定の範囲内に存在し続けた場合に、第三者B1が電気錠20の解錠操作を行ったとしても、制御部13が解錠コマンドを出力することがない。このため、ユーザA1の意図に反して電気錠20が解錠されることがなく、電気錠20が第三者B1に不正に解錠されてしまうことを抑制しやすい、という利点がある。
【0075】
また、例えば、制御システム10では、制御部13は、認証用媒体40の認証に成功した状態で電気錠20の施錠を指示するコマンドを出力した場合であって、認証用媒体40とは異なる他の認証用媒体40の認証に成功した状態で電気錠20の解錠操作を受け付けた場合、電気錠20の解錠を指示するコマンドを出力する。
【0076】
このような制御システム10によれば、電気錠20の解錠が規制されている状態において、ユーザA1とは異なる他のユーザが電気錠20を解錠することができるので、他のユーザにとっての利便性が向上する、という利点がある。
【0077】
また、例えば、制御方法は、取得ステップST1と、認証ステップST2と、制御ステップST3と、を含む。取得ステップST1では、認証用媒体40からユーザA1の認証用情報を取得する。認証ステップST2では、取得ステップST1が取得した認証用情報に基づいてユーザA1の認証を行う。制御ステップST3では、認証ステップST2による認証が成功した場合、施設の出入口の開閉部材60に設けられた電気錠20の施錠又は解錠を指示するコマンドを出力する。制御ステップST3では、電気錠20が施錠された場合、所定の条件を満たすまで、電気錠20の解錠を指示するコマンドの出力を制限する。
【0078】
このような制御方法によれば、認証用媒体40が所定の範囲内に存在し続けていた場合に、第三者B1が電気錠20の解錠操作を行ったとしても、制御部13が解錠コマンドを出力することがないため、ユーザA1の意図に反して電気錠20が解錠されることがない。したがって、このような制御方法では、電気錠20が第三者B1に不正に解錠されてしまうことを抑制することができる、という利点がある。
【0079】
また、例えば、プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の制御方法を実行させる。
【0080】
このようなプログラムによれば、認証用媒体40が所定の範囲内に存在し続けていた場合に、第三者B1が電気錠20の解錠操作を行ったとしても、制御部13が解錠コマンドを出力することがないため、ユーザA1の意図に反して電気錠20が解錠されることがない。したがって、このようなプログラムでは、電気錠20が第三者B1に不正に解錠されてしまうことを抑制することができる、という利点がある。
【符号の説明】
【0081】
10 制御システム
11 取得部
12 認証部
13 制御部
14 設定部
20 電気錠
40 認証用媒体
41 情報端末
60 開閉部材
70 設定装置
A1 ユーザ
ST1 取得ステップ
ST2 認証ステップ
ST3 制御ステップ