(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044412
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】建物ユニットの側面雨仕舞構造
(51)【国際特許分類】
E04G 21/28 20060101AFI20230323BHJP
E04B 1/348 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
E04G21/28 B
E04B1/348 Z
E04B1/348 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152434
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】小島 浩一
(57)【要約】
【課題】主に、最小限の面積の雨仕舞シートで建物ユニットの側面に形成された開口部分を確実に覆い得るようにする。
【解決手段】
建物ユニット2の側面雨仕舞構造に関する。直方体状をした建物ユニット2における、室内11側となる側面12に形成された開口部分13に、開口部分13(の面全体)を塞ぐように雨仕舞シート14(側面カバー)を取付ける。
雨仕舞シート14は、建物ユニット2に設けられた開口部分13を画成する開口形成部材31の外面31aに対し、外面31aの内周寄りの部分に沿って取付けた両面テープ33にて貼付けられた透明な樹脂シート34としても良い。
雨仕舞シート14は、周縁部14aが、開口形成部材31の外面31aの外周部分に取付けられたシール材36よりも内周側に位置しても良い。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状をした建物ユニットにおける、室内側となる側面に形成された開口部分に、該開口部分を塞ぐように雨仕舞シートが取付けられていることを特徴とする建物ユニットの側面雨仕舞構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建物ユニットの側面雨仕舞構造であって、
前記雨仕舞シートは、前記建物ユニットに設けられた前記開口部分を画成する開口形成部材の外面に対し、該外面の内周寄りの部分に沿って取付けた両面テープにて貼付けられた透明な樹脂シートであると共に、
前記雨仕舞シートは、周縁部が、前記外面の外周寄りの部分に取付けられたシール材よりも内周側に位置していることを特徴とする建物ユニットの側面雨仕舞構造。
【請求項3】
請求項2に記載の建物ユニットの側面雨仕舞構造であって、
前記両面テープには、コーナー部に斜めの増し貼り部が形成されており、
前記シール材には、増し貼り部を迂回する迂回部が形成されていることを特徴とする建物ユニットの側面雨仕舞構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物ユニットの側面雨仕舞構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅などの建物には、ユニット建物で構成されたものがある。ユニット建物は、予め工場で製造された直方体状の建物ユニットを建築現場へ搬送して、建築現場で組み合わせて設置することにより、短期間のうちに構築できるようにした建物である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような建物ユニットでは、建物ユニットの工場から建築現場への出荷から、建築現場でのユニット建物の据付けや建物完成までの間に、建物ユニットの内部に雨水が入り込まないようにする必要がある。
【0004】
そのために、特許文献1では、例えば、降雨時に、建物ユニットの上部に、建物ユニットの上面全体を覆う大きさの防水シートを被せて、建物ユニットを出荷するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、降雨時に建物ユニットの上部に、建物ユニットの上面全体を覆う大きさの防水シートを被せて出荷するようにしているが、上面に加えて建物ユニットの側面に形成された開口部分をも同時に覆うためには、建物ユニットの下面まで達する相当大判の防水シートが必要となる。しかも、防水シートを単純に大判化したとしても、建物ユニットの側面の開口部分を確実に塞ぐように覆うのは難しい。
【0007】
そこで、本発明は、上記した問題点の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に対して、本発明は、
直方体状をした建物ユニットにおける、室内側となる側面に形成された開口部分に、該開口部分を塞ぐように雨仕舞シートが取付けられている建物ユニットの側面雨仕舞構造を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記構成によって、最小限の面積の雨仕舞シートで建物ユニットの側面に形成された開口部分を確実に仮雨仕舞することなどができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態にかかる建物ユニットの側面雨仕舞構造を実施して構築されるユニット建物の全体斜視図である。
【
図2】側面に形成された開口部分の全面を雨仕舞シートで塞いだ建物ユニットの全体斜視図である。
【
図3】
図1のユニット建物の施工手順を示す斜視図である。
【
図4】
図3に続くユニット建物の施工手順を示す斜視図である。
【
図5】ユニット建物に対する雨仕舞シートの設置位置や設置状態を示す、平面的な建物ユニットの配置図である。
【
図6】雨仕舞シートの設置の仕方を示す建物ユニットの全体斜視図である。
【
図7】(a)は雨仕舞シートを取付ける側面(室内側側面)を示す建物ユニットの全体側面図、(b)は(a)の下部の部分拡大図である。
【
図8】
図6に続く雨仕舞シートの設置の仕方を示す建物ユニットの全体斜視図である。
【
図9】雨仕舞シートの周縁部とシール材との納まり関係を示す部分拡大横断面図である。このうち、(a)は良い施工例、(b)は悪い施工例である。
【
図10】側面の一部が開口部となっている場合の、雨仕舞シートの設置の仕方を示す
図6と同様の建物ユニットの全体斜視図である。
【
図11】(a)は
図10の場合の建物ユニットの側面図である。(b)は(a)の下部の部分拡大図、(c)は(a)の上部の部分拡大図である。
【
図12】(a)は雨仕舞シートの一時的なカットの仕方を示す建物ユニットの全体斜視図、(b)(c)はカット後の雨仕舞シートの扱い方を順に示す部分拡大斜視図である。
【
図13】(a)は雨仕舞シートの撤去の仕方を示す建物ユニットの全体斜視図、(b)は(a)の隣接する建物ユニットの柱間の部分の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1~
図13は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例0012】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0013】
戸建住宅や集合住宅などの建物1を、
図1に示すようなユニット建物で構成する。
【0014】
ユニット建物は、
図2に示すような、箱型(直方体状)の建物ユニット2を予め工場で製造して建築現場へ搬送し、
図3、
図4に示すように、建築現場で組み合わせて設置することにより、短期間のうちに構築できるようにした建物1である。
【0015】
ユニット建物は、建築現場で、基礎3の上に下階Lの建物ユニット2を横に並べて据付け(
図3)、下階Lの建物ユニット2の上に上階Hの建物ユニット2を横に並べて据付ける(
図4)ことなどによって構築される。
【0016】
なお、
図3中、4は基礎3を仮雨仕舞するための基礎カバー、5は下階Lの建物ユニット2の上面(天井面)を仮雨仕舞するための天井カバーである。天井カバー5は、この実施例の側面雨仕舞構造とは別に設けられる。
【0017】
そして、この実施例では、建物ユニット2の側面雨仕舞構造は、以下のような構成を備えるようにしている。
【0018】
(1)
図2に示すような直方体状をした建物ユニット2における、室内11側(
図5)となる側面12に形成された開口部分13に、開口部分13を塞ぐように雨仕舞シート14を取付ける。
【0019】
ここで、
図2(または
図6)に示すように、建物ユニット2は、6つの面を有するユニット建物の単位構造体である。建物ユニット2は、4本の柱15の上端間を4本の天井梁16で矩形状に連結し、4本の柱15の下端間を4本の床梁17で矩形状に連結してなるボックスラーメン構造のユニットフレームをその骨格部分に有している。
【0020】
図5(a)(b)に示すように、ユニット建物では、建物ユニット2は、4つの側面が、屋外21側や室内11側へ向けられる。このうち、屋外21側へ向いた側面(屋外側側面)や、側面の屋外21側へ向いた部分には、外壁23が取付けられる。外壁23を取付けられた部分は、外壁23で塞がれることで防水される。
【0021】
建物ユニット2の室内11側となる側面12(室内側側面)は、建物ユニット2を隣接配置したときに、互いに合わされる面である。建物ユニット2の4つの側面のうちの少なくとも一つが、「室内11側となる側面12」になる。
【0022】
そして、この室内11側の側面12は、連続した室内空間を形成するために全部または一部が開放されることで、開口部分13が形成される。よって、同一階に複数の建物ユニット2を隣接して設置する場合、互いに隣接する建物ユニット2の相対する側面12(室内側側面)には、それぞれ雨仕舞シート14を貼り付ける必要のある開口部分13が必ず1つ以上形成される。この場合、相対するとは、向かい合わされて、つながれることである。
【0023】
ユニット建物では、建築プランによって建物ユニット2が様々な形に配置されるため、建物ユニット2には、開口部分13が単数または複数形成される。即ち、1つの建物ユニット2には、隣接する建物ユニット2の数だけ開口部分13が形成される。
【0024】
例えば、
図5(a)に示すように、建物ユニット2を3つ(平面視L字状に)組み合わせた場合には、真ん中の建物ユニット2の隣接する2つの直交する側面12(室内側側面)にそれぞれ開口部分13が形成される。また、両側の建物ユニット2の、上記開口部分13と向かい合う1つの側面12(室内側側面)に開口部分13が形成される。残りの側面(屋外側側面)には、外壁23が取付けられて外壁23で塞がれる。
【0025】
また、開口部分13は、
図5(a)に示すように、側面12(室内側側面)の全面に及ぶ場合や、
図5(b)に示すように、側面12(室内側側面)の一部のみとなる場合が存在する。側面12の全面に及ぶ場合は、同じ大きさの建物ユニット2どうしをズレなく合わせることで生じる。側面12の一部となる場合は、例えば、大きさの異なる建物ユニット2どうしを合わせることや、建物ユニット2どうしをズラして合わせることなどによって生じ得る。側面12の一部が開口部分13となる場合には、側面12(室内側側面)の残りの部分に、外壁23が設置されて外壁23で塞がれる。
【0026】
雨仕舞シート14は、仮雨仕舞を行うための防水性を有する薄くて柔軟なシート状物である。雨仕舞シート14には、折り畳んだり、丸めたりできるものが使われる。雨仕舞シート14には、特に加工などが施されていない一枚物のシート材が使用される。雨仕舞シート14は、天井カバー5とは別部材として構成されて、天井カバー5とは別に取り扱われる。そして、雨仕舞シート14は、工場にて建物ユニット2の各開口部分13に取り付けられる。
【0027】
仮雨仕舞は、建物ユニット2の製造から建築現場への据付け完了や建物1の完成までの間に、建物ユニット2を雨などの浸水から一時的に保護することである。よって、雨仕舞シート14は、下階Lの建物ユニット2および上階Hの建物ユニット2の室内11側の側面12に形成される全ての開口部分13を塞ぐようにそれぞれ設置される。そして、雨仕舞シート14は、建物ユニット2の据付け完了後に役目を終了して、各開口部分13から全部または一部が撤去される。
【0028】
雨仕舞シート14は、建物ユニット2の室内11側の側面12と面一になるように、開口部分13に設置される。雨仕舞シート14は、開口部分13とほぼ同じ形状および大きさとされて、開口部分13に隙間なく取付けられることで開口部分13の面全体を塞ぐ。これにより、雨仕舞シート14は、側面カバーとなる。
【0029】
なお、建物1の完成後のユニット建物や建物ユニット2に対する恒常的な雨仕舞手段は、雨仕舞シート14とは別に設けられる。
【0030】
雨仕舞シート14は、一時的なもので良いため、例えば、建築用の作業シートや、建築用の防水紙、防水フィルムなど、どのようなものを使用しても良いが、具体的な雨仕舞シート14については後述する。
【0031】
(2)上記において、
図6~
図8に示すように、雨仕舞シート14は、建物ユニット2に設けられた開口部分13を画成する開口形成部材31の外面31aに対し、貼付けられた透明な樹脂シート34(
図8)としても良い。この雨仕舞シート14は、外面31aの内周寄りの部分に沿って取付けた両面テープ33(
図6)にて貼付けられても良い。
図9(a)に示すように、雨仕舞シート14は、周縁部14aが、外面31aの外周寄りの部分に取付けられたシール材36よりも内周側に位置されても良い。
【0032】
ここで、開口形成部材31は、開口部分13を画成する枠となる部分である。開口部分13が側面12(室内側側面)の全面に及ぶ場合には、開口形成部材31は、建物ユニット2の室内11側の側面12を形成する左右の柱15と、上下の天井梁16および床梁17となる(例えば、
図7)。
【0033】
また、
図10(
図11)に示すように、開口部分13が側面12の一部のみとなる場合には、開口形成部材31は、室内11側の側面12を形成する一方の柱15と、天井梁16および床梁17の(一方の柱15の側の)一部と、仕切部材37となる。仕切部材37は、左右の柱15間の位置に設置される。仕切部材37は、外壁23の内側縁部を固定するために天井梁16と床梁17との間に架設された上下方向38に延びる金属製または木製の縦部材とされる。
【0034】
開口形成部材31の外面31aは、建物ユニット2単体の状態で、開口形成部材31の屋外21側を向いた面である。外面31aは、建物ユニット2を搬送するときには、外部に露出する露出面となり、建物ユニット2を据付けたときには隣接する建物ユニット2の開口部分13の開口形成部材31と対向する隠れ面となる。
【0035】
外面31aの内周寄りの部分は、開口形成部材31の幅範囲内における、開口部分13の内側に近い(内周側の)部分である(
図7(b))。
【0036】
両面テープ33は、接着強度が強く、しかも、貼り直しができる工業用の気密防水テープを使用する。両面テープ33は、開口形成部材31の外面31aの内周に沿って上下左右に矩形状となるように貼り付ける(
図7(a))。
【0037】
樹脂シート34は、コストや強度や接着性や作業性が良く、また例えば、搬送時の風圧や振動などの外力によって外れないように、透明なポリエチレンシートを使用するのが好ましい。樹脂シート34は、基本的に継ぎ目のない一枚物を使用する。
【0038】
周縁部14aは、側面視ほぼ矩形状をした雨仕舞シート14の端末となる上下および左右の4つの辺(端末部)である(
図8)。雨仕舞シート14の周縁部14aは、外面31aの外周部分に取付けられたシール材36の上に重ならないように施工される。
図9(a)は良い施工例であり、
図9(b)はシール材36の上に重なった悪い施工例である。
【0039】
外面31aの外周寄りの部分は、開口形成部材31の幅範囲内における、両面テープ33よりも外側(外周側)となる部分である(
図7(a)(b))。シール材36は、工場にて、両面テープ33を取付けた後に、両面テープ33と重ならないように、所要の隙間を有して両面テープ33とほぼ平行に取付けられる。
【0040】
シール材36は、建物1の完成後のユニット建物や建物ユニット2の恒常的な雨仕舞手段として、工場で開口形成部材31に取付けられる。シール材36は、隣接する建物ユニット2の開口形成部材31にも同様に設けられて、互いに突き合わされることで、建物ユニット2間をシールする。建物ユニット2間のシール材36は、更に、現場作業でコーキング剤によってシールされる。
【0041】
シール材36は、柱15や仕切部材37に沿って上下方向38へ延びる縦シール36aや、天井梁16や床梁17に沿って横へ延びる横シール36bとされる。縦シール36aには、例えば、細長いシリコン発泡体などが使用される。横シール36bには、例えば、細長い多孔質架橋ポリエチレン吸音材などが使用される。
【0042】
(3)
図7(b)に示すように、両面テープ33には、コーナー部に斜めの増し貼り部39が形成されても良い。
また、シール材36には、増し貼り部39を迂回する迂回部42が形成されても良い。
【0043】
ここで、増し貼り部39は、開口形成部材31の内周側の部分に沿って矩形状に貼った両面テープ33のコーナー部に対し、両端部が両面テープ33からはみ出るように、コーナー部の上に重ねて斜めに貼った、別の両面テープ33の小片である。
【0044】
迂回部42は、少なくとも横シール36bの両端部に形成された、増し貼り部39を上または下に迂回する部分である。上側の横シール36bの迂回部42は、上へ迂回される。下側の横シール36bの迂回部42は、下へ迂回される。同様の迂回部42は、必要に応じて(例えば、スペースに余裕がある場合などに)、縦シール36aに形成しても良い。縦シール36aの迂回部42は、開口形成部材31の外面31aの外周側へ迂回される。
【0045】
また、シール材36は、両端部が柱15や仕切部材37の上端部や下端部に達するまで上下方向38に延びる部分(上下延長部分41)を有しても良い。上下延長部分41は、縦シール36aおよび横シール36bの少なくとも一方または両方に設けられる。この上下延長部分41が、上下に位置する建物ユニット2の縦シール36aおよび横シール36bの上下延長部分41と上下に繋げられる(連続部)。これにより、シール材36どうしが上下延長部分41によって上下方向38に連続されるため、上または下に位置する建物ユニット2との間がシール材36によって隙間なくシールされる。上下の建物ユニット2間のシール材36は、更に、現場作業でコーキング剤によってシールされる。
【0046】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0047】
工場において、建物ユニット2を製造した後に、製造された建物ユニット2の室内11側となる側面12に形成された開口部分13に、雨仕舞シート14を取付けて、開口部分13(の面全体)を雨仕舞シート14で塞ぐようにする。これにより、出荷前の段階で既に開口部分13が雨仕舞シート14で塞がれた状態の建物ユニット2が得られる。そして、建物ユニット2ごとに、開口部分13が雨仕舞シート14によって確実に仮雨仕舞されているので、製造から出荷までの建物ユニット2の保管も容易となる。
【0048】
この際、開口部分13を画成する建物ユニット2の開口形成部材31の外面31aに対し、外面31aの内周寄りの部分に沿って両面テープ33を取付け、両面テープ33に開口部分13とほぼ同じ大きさおよび形状の透明な樹脂シート34を貼付ける。
【0049】
そして、開口形成部材31の外面31aの外周部分に、両面テープ33と重ならないように両面テープ33から離してシール材36を取付ける。そして、雨仕舞シート14の周縁部14aは、必要に応じて切除し、シール材36と重ならないように、周縁部14aがシール材36よりも内周側に位置されるようにする。両面テープ33は、コーナー部分に斜めの増し貼り部39を設けても良く、シール材36は、増し貼り部39を迂回する迂回部42を有するように設置しても良い。シール材36の両端部には、柱15などの下端部に達する上下延長部分41を形成しておくのが好ましい。
【0050】
このようにして室内11側となる側面12の開口部分13が雨仕舞シート14で塞がれている建物ユニット2を、建築現場へ搬送して、建築現場で組み合わせて設置する。
【0051】
なお、雨仕舞シート14は、例えば、
図8に示すように、下側部分を残して上側部分のみ貼り付けた状態にしておき、搬送する直前に下側部分を貼り付けて完全に塞ぐようにすれば、搬送までの間に、建物ユニット2の室内空間を様々に有効活用することができる。
【0052】
例えば、屋外21の保管場所などに保管された建物ユニット2の内部空間を、建築資材などの仮置場などとして使用することができる。この場合、雨仕舞シート14が開口部分13の全面を覆っているので、雨天などであっても、建物ユニット2の室内空間を濡らさずに、建築資材などの出し入れを行うことができる。
【0053】
あるいは、下側の貼り付ける前の開いた部分を通して建物ユニット2内に建築現場で使用する建築資材などを入れるようにすれば、建築資材を建物ユニット2と一緒に建築現場まで運搬することができて、建築資材の輸送効率が向上される。
【0054】
建築現場での建物ユニット2の据付けは、例えば、基礎3の上に一側から他側へ向けて下階Lの建物ユニット2を順番に据付けて行き(
図3)、下階Lの建物ユニット2の上に一側から他側へ向けて上階Hの建物ユニット2を順番に据付けて行くようにする(
図4)。
【0055】
なお、例えば、建物ユニット2の据付け後、全ての建物ユニット2の据付けが終了する前に、開口部分13からの出入(隣接する建物ユニット2への移動など)が必要になることがある。この場合には、
図12に示すように、雨仕舞シート14の一部を、縦横に、例えば、L字状などとなるように切欠いても良い。そして、この切欠いた部分45(切り込み部分)をめくり、テープ46で雨仕舞シート14に止めることで出入りスペースを確保することができる。そして、切った雨仕舞シート14や、不用意に破れた雨仕舞シート14は、必要に応じて、切欠いた部分45や破れ目などに沿ってテープ46を貼ることで補修することができる。
【0056】
そして、少なくとも同一階の建物ユニット2の据え付けが全て済んだ後に、雨仕舞シート14は、主要部を開口部分13から除去される。この場合、
図13(a)(b)に示すように、雨仕舞シート14は、建物ユニット2ごとに、個別に切除する(切除部分47)。各雨仕舞シート14は、その雨仕舞シート14が貼り付けられた開口形成部材31の内周縁部31b(柱15の内側面、天井梁16の下面、床梁17の上面の位置)に沿ってそれぞれ切除する。
【0057】
なお、使用する開口形成部材31の構成部品や寸法が異なることで、隣接する建物ユニット2の、互いに向かい合う開口部分13の大きさが、若干異なる場合がある。この場合にも、雨仕舞シート14は、各開口部分13の内周縁部31bの位置に合わせて、それぞれ異なる大きさに切断する。
【0058】
開口形成部材31の外面31aにおける内周寄りの部分に対して両面テープ33で貼り付けられている、雨仕舞シート14の周縁部14aおよびその周辺部分は、そのまま建物ユニット2に残して残留部分48とする。残留部分48は、内壁材49などによって隠されるので、建物1の完成後に室内11から見えることはない。
【0059】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果が得られる。
【0060】
(効果 1)建物ユニット2の側面雨仕舞構造は、直方体状をした建物ユニット2における、室内11側となる側面12に形成された開口部分13に、(工場からの出荷前に予め)開口部分13(の面全体)を塞ぐように雨仕舞シート14(側面カバー)が取付けられても良い。
【0061】
これにより、各建物ユニット2における室内11側の側面12の開口部分13を、雨仕舞シート14で塞いで、建物ユニット2ごとに、室内11側の側面12を確実に仮雨仕舞することができる。また、上記により、室内11側の側面12の開口部分13が仮雨仕舞された建物ユニット2を工場で容易に製造することができる。室内11側の側面12の開口部分13のみを塞ぐだけなので、開口部分13を塞ぐのに必要な最小限の面積の雨仕舞シート14で室内11側の側面12の仮雨仕舞が比較的簡単確実にできるようになり、雨仕舞シート14の無駄がない。また、雨仕舞シート14の取り扱いも容易になる。
【0062】
そして、室内11側の側面12の開口部分13を雨仕舞シート14で塞ぐことで、建物ユニット2の室内11側の側面12が濡れなくなる。そのため、降雨時であっても、建物ユニット2を工場から建築現場へ搬送して、建築現場で次々と据付けて行くことが可能になる。また、上記により、建物ユニット2の据付け後において、建物ユニット2の室内11側の側面12に対し、浸水部分を補修する作業を不要化できる。
【0063】
また、雨仕舞シート14は、建物ユニット2の建築現場への据付け完了後の適宜の時期(例えば、同一階または全ての建物ユニット2の据付け終了後など)に、撤去作業を行う。雨仕舞シート14は、建物ユニット2の内側(室内11側)からの作業で簡単に切取って撤去することができるので、施工者は濡れることなく安全に撤去作業ができる。
【0064】
(効果 2)建物ユニット2の側面雨仕舞構造では、雨仕舞シート14は、透明な樹脂シート34としても良い。この雨仕舞シート14は、建物ユニット2の室内11側の側面12に設けられた開口部分13を画成する開口形成部材31の外面31aに対し、外面31aの内周寄りの部分に沿って取付けた両面テープ33にて貼付けられても良い。また、雨仕舞シート14は、周縁部14aが、開口形成部材31の外面31aの外周部分に取付けられたシール材36よりも内周側に位置されても良い。
【0065】
これにより、開口部分13に対して雨仕舞シート14を両面テープ33で簡単、確実に取付けること、および、剥がれないように取付けることができる。また、雨仕舞シート14を透明にすることで、開口部分13の内外間の様子を、雨仕舞シート14を透して目視することができるので、作業性が良くなる。そして、雨仕舞シート14の周縁部14aがシール材36よりも内周側に位置されることで、開口部分13に設けられるシール材36のシール機能を妨げることがなくなり、また、雨仕舞シート14を開口部分13に確実に取付けることができる。なお、雨仕舞シート14は、建物ユニット2の据付け後に、建物ユニット2の内側からの作業で開口形成部材31の内周縁部31bに沿うように切取ることで、両面テープ33に取付けられた部分を残して撤去することができる。残った部分(残留部分48)は、建物ユニット2の間にそのまま放置しても、最終的に(内壁材49などによって)隠されるので支障はない。
【0066】
(効果 3)建物ユニット2の側面雨仕舞構造では、両面テープ33には、コーナー部に斜めの増し貼り部39が形成されても良い。また、シール材36には、増し貼り部39を迂回する迂回部42が形成されても良い。
【0067】
このように、両面テープ33のコーナー部に増し貼り部39を設けることで、コーナー部に対して両面テープ33を注意深く貼り付ける必要をなくせると共に、コーナー部に対する樹脂シート34の貼り付け状態の信頼性を確保できるようになる。また、シール材36に、迂回部42を設けることで、増し貼り部39の位置でシール材36が両面テープ33と干渉しなくなるため、シール材36のシール性を迂回部42によって保つことができる。