(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045025
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】密閉型圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04C 29/12 20060101AFI20230327BHJP
F04B 39/06 20060101ALI20230327BHJP
F04B 39/16 20060101ALI20230327BHJP
F04C 29/04 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
F04C29/12 C
F04B39/06 U
F04B39/16 K
F04C29/04 J
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153196
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安井 達也
(72)【発明者】
【氏名】上田 健史
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 浩志
(72)【発明者】
【氏名】多田 直人
(72)【発明者】
【氏名】秋本 諒
(72)【発明者】
【氏名】森田 雄大
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB04
3H003AC03
3H003BF05
3H003CD01
3H003CE02
3H129AA04
3H129AA13
3H129AA32
3H129AB03
3H129BB14
3H129CC09
3H129CC26
(57)【要約】
【課題】圧縮機本体容器に接合されたアキュムレータ容器と、圧縮機本体容器との間の断熱性を高める。
【解決手段】密閉型圧縮機は、冷媒の吐出管及び吸入管が設けられた縦置き筒状の圧縮機本体容器と、吸入管に接続されるアキュムレータ容器と、圧縮機本体容器内に配置されてアキュムレータ容器から吸入管を介して吸入した冷媒を圧縮して吐出管から吐出する圧縮部と、圧縮機本体容器内に配置されて圧縮部を駆動するモータと、を備える密閉型圧縮機である。アキュムレータ容器は、カップ状のアキュムレータシェルを有し、アキュムレータシェルの開口側が圧縮機本体容器に接合される。アキュムレータシェルの内部には、この内部を仕切る仕切り部材が設けられ、仕切り部材と圧縮機本体容器のボトムシェルとの間に、圧縮機本体容器からアキュムレータ容器への熱伝導を遮る中空の内部空間を有する断熱部が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒の吐出管及び吸入管が設けられた縦置き筒状の圧縮機本体容器と、前記吸入管に接続されるアキュムレータ容器と、前記圧縮機本体容器内に配置されて前記アキュムレータ容器から前記吸入管を介して吸入した冷媒を圧縮して前記吐出管から吐出する圧縮部と、前記圧縮機本体容器内に配置されて前記圧縮部を駆動するモータと、を備える密閉型圧縮機であって、
前記アキュムレータ容器は、カップ状のアキュムレータシェルを有し、前記アキュムレータシェルの開口側が前記圧縮機本体容器に接合され、
前記アキュムレータシェルの内部には、当該内部を仕切る仕切り部材が設けられ、前記仕切り部材と前記圧縮機本体容器のボトムシェルとの間に、前記圧縮機本体容器から前記アキュムレータ容器への熱伝導を遮る中空の内部空間を有する断熱部が形成されている、密閉型圧縮機。
【請求項2】
前記圧縮機本体容器の前記ボトムシェルは、前記アキュムレータシェルの前記開口側に差し込まれて配置され、
前記アキュムレータシェルの前記開口側は、前記圧縮機本体容器の前記ボトムシェルに接合されている、
請求項1に記載の密閉型圧縮機。
【請求項3】
前記仕切り部材の外周部は、前記アキュムレータシェルの内周面に接合されている、
請求項1または2に記載の密閉型圧縮機。
【請求項4】
前記仕切り部材は、カップ状に形成され、
前記仕切り部材の周壁における下部が前記アキュムレータシェルの開口側に接合され、
前記仕切り部材の開口側が前記圧縮機本体容器に接合されている、
請求項1に記載の密閉型圧縮機。
【請求項5】
前記アキュムレータシェルには、前記内部空間と前記アキュムレータシェルの外側とをつなげる貫通口が設けられている、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
【請求項6】
前記貫通口は、前記アキュムレータシェルの前記開口側の端部における周方向の一部に形成された切り欠き部であり、
前記アキュムレータ容器は、前記アキュムレータシェルの前記開口側が前記圧縮機本体容器に接合された溶接部を有し、前記溶接部が、前記切り欠き部を除いて前記開口側の周方向に亘って設けられている、
請求項5に記載の密閉型圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルを利用した冷凍機または空調機において冷媒を圧縮搬送する密閉型圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
密閉型圧縮機としては、縦型円筒状の圧縮機本体容器の内部に圧縮部と圧縮部を駆動するモータを収容し、圧縮機本体容器の下方に、冷媒を気体冷媒と液体冷媒とに分離(以下、冷媒の気液を分離と称する。)して気体冷媒だけを圧縮部に吸入させるためのアキュムレータ容器が設けられた圧縮機が知られている。
【0003】
特許文献1の圧縮機は圧縮部がロータリ式の圧縮機であり、圧縮部に吸入される冷媒の気液を分離するアキュムレータ容器が、圧縮機本体容器とは独立した容器で構成されて、圧縮機本体容器の下方に配置されており、ブラケットを用いて圧縮機本体容器とアキュムレータ容器とが接続されている。
特許文献2の圧縮機は圧縮部がスクロール式の圧縮機であり、圧縮部と圧縮部を駆動するモータとを収容する圧縮機本体容器の下部にアキュムレータ容器が直接的に接合されている。
特許文献3の圧縮機は、密閉容器の内部を圧力仕切壁で区画し、圧力仕切壁の上部を圧縮部及びモータが収容される圧縮機本体容器とし、圧力仕切壁の下部をアキュムレータ容器としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-109283号公報
【特許文献2】特開平3-202682号公報
【特許文献3】特開平6-66258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1、2,3のように圧縮機本体容器における底部にアキュムレータ容器が接合された圧縮機において、圧縮機の製造コストを抑制するとともに、圧縮機本体容器からアキュムレータ容器への冷媒漏れを防止し、信頼性の高い密閉型圧縮機を実現するために、アキュムレータ容器の上端部を、圧縮機本体容器における底部に溶接する構造が考えられている。しかし、圧縮機本体容器にアキュムレータ容器が接合された場合、圧縮機本体容器の内部で発生した熱がアキュムレータ容器に伝わり易く、アキュムレータ容器内の冷媒が加熱されるおそれがある。アキュムレータ容器内の冷媒が加熱されることで、アキュムレータ容器から圧縮機本体容器に吸入される冷媒の温度が上昇し、この温度上昇に伴って圧力損失が生じてロータリ圧縮機の効率が低下する。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、圧縮機本体容器に接合されたアキュムレータ容器と、圧縮機本体容器との間の断熱性を高めることができる密閉型圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する密閉型圧縮機の一態様は、冷媒の吐出管及び吸入管が設けられた縦置き筒状の圧縮機本体容器と、吸入管に接続されるアキュムレータ容器と、圧縮機本体容器内に配置されてアキュムレータ容器から吸入管を介して吸入した冷媒を圧縮して吐出管から吐出する圧縮部と、圧縮機本体容器内に配置されて圧縮部を駆動するモータと、を備える密閉型圧縮機であって、アキュムレータ容器は、カップ状のアキュムレータシェルを有し、アキュムレータシェルが圧縮機本体容器に接合され、アキュムレータシェルの内部には、この内部を仕切る仕切り部材が設けられ、仕切り部材と圧縮機本体容器のボトムシェルとの間に、圧縮機本体容器からアキュムレータ容器への熱伝導を遮る中空の内部空間を有する断熱部が形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する密閉型圧縮機の一態様によれば、圧縮機本体容器に接合されたアキュムレータ容器と、圧縮機本体容器との間の断熱性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。
【
図2】
図2は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮部を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施例のロータリ圧縮機を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、変形例1における要部を拡大して示す縦断面図である。
【
図5】
図5は、変形例2における要部を拡大して示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、変形例3における要部を拡大して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する密閉型圧縮機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する密閉型圧縮機が限定されるものではない。
【実施例0011】
(ロータリ圧縮機の構成)
本実施例では、密閉型圧縮機の一例として、ロータリ圧縮機について説明する。
図1は、実施例のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。
図2は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮部を示す分解斜視図である。
【0012】
図1に示すように、ロータリ圧縮機1は、圧縮機本体容器10の内部に、圧縮部吸入管102から冷媒を吸入して圧縮した冷媒を圧縮機本体容器10の内部に吐出する圧縮部12と、圧縮部12を駆動するモータ11と、が収容され、圧縮部12で圧縮された高圧冷媒を圧縮機本体容器10の内部に吐出し、さらに吐出管107を通して冷凍サイクルに吐出する内部高圧型の密閉型圧縮機である。
【0013】
圧縮機本体容器10は、縦型円筒状のメインシェル10aと、カップ状のトップシェル10bと、カップ状のボトムシェル10cと、を有し、メインシェル10aの上端部にトップシェル10bの開口側10gが第1の溶接部Vで溶接固定され、メインシェル10aの下端部にボトムシェル10cの開口側10dが第2の溶接部Wで溶接固定されることにより構成されている。
【0014】
冷凍サイクルの低圧冷媒を圧縮部12に吸入するための圧縮部吸入管102がメインシェル10aを貫通して設けられている。詳しくは、メインシェル10aにガイド管101がろう付固定され、圧縮部吸入管102はガイド管101の内側を通ってガイド管101にろう付固定されている。
【0015】
圧縮部12で圧縮された高圧冷媒を圧縮機本体容器10の内部から冷凍サイクルに吐出するための吐出管107がトップシェル10bを貫通して設けられている。吐出管107はトップシェル10bに直接ろう付固定されている。
【0016】
圧縮機本体容器10の下方には、冷凍サイクルから吸入される低圧冷媒の気液を分離して気体冷媒だけを圧縮部12に吸入させるためのアキュムレータ容器25が設けられている。詳しくは、圧縮機本体容器10におけるメインシェル10aとボトムシェル10cの第2の溶接部Wよりも下方の位置で、アキュムレータシェル26の開口側26aをボトムシェル10cの反開口側10eに第3の溶接部Xで溶接固定してアキュムレータシェル26の内部が密閉されることによりアキュムレータ容器25が形成されている。
【0017】
アキュムレータシェル26には、アキュムレータ容器25の内部に冷凍サイクルから冷媒を吸入するアキュムレータ吸入管27と、アキュムレータ内部から気体冷媒を送る気液分離管31と、がそれぞれアキュムレータシェル26を貫通してアキュムレータシェル26にろう付固定されている。
【0018】
気液分離管31はアキュムレータ容器25の外部で吸入管104を介して圧縮部吸入管102に接続されている。
【0019】
アキュムレータシェル26の下部には、ロータリ圧縮機1全体を支持するベース部材310が溶接固定されている。
【0020】
圧縮部12は、シリンダ121と、上端板160Tと、下端板160Sと、回転軸15を有し、上端板160T、シリンダ121、下端板160Sは順に積層され複数のボルト175により固定されている。上端板160Tには主軸受部161Tが設けられている。下端板160Sには副軸受部161Sが設けられている。回転軸15には主軸部153と偏心部152と副軸部151と、が設けられている。回転軸15の主軸部153が上端板160Tの主軸受部161Tに篏合し、回転軸15の副軸部151が下端板160Sの副軸受部161Sに篏合することにより、回転軸15は回転自在に支持される。
【0021】
モータ11は、外側に配置されたステータ111と、内側に配置されたロータ112と、を有している。ステータ111は、メインシェル10aの内周面に焼嵌め固定されている。ロータ112は、回転軸15に焼嵌め固定されている。
【0022】
圧縮機本体容器10の内部には、圧縮部12の摺動部材の潤滑および圧縮室内の高圧部と低圧部とのシールのために、圧縮部12がほぼ浸漬する量の潤滑油18が封入されている。
【0023】
次に、
図2によって圧縮部12を詳しく説明する。
シリンダ121には内部に円筒状の中空部130が設けられ、中空部130にはピストン125が配置されている。ピストン125は回転軸15の偏心部152に篏合している。シリンダ121には中空部130から外向きに設けられた溝部が設けられ、溝部にはベーン127が配置されている。シリンダ121には外周から溝部に通じるスプリング穴124が設けられ、スプリング穴124にはスプリング126が配置されている。ベーン127の一端がスプリング126によってピストン125に押し当てられることにより、シリンダ121の中空部130においてピストン125の外側の空間が吸入室133と吐出室131に区画される。シリンダ121には、外周から吸入室133に連通する吸入穴135が設けられている。吸入穴135には圧縮部吸入管102が接続される。上端板160Tには、上端板160Tを貫通して吐出室131に連通する吐出穴190が設けられている。上端板160Tには、吐出穴190を開閉する吐出弁200と、吐出弁200の反りを規制する吐出弁押さえ201と、がリベット202によって固定されている。上端板160Tの上側には、吐出穴190を覆う上端板カバー170が配置され、上端板160Tと上端板カバー170とで閉塞される上端板カバー室180を形成する。上端板カバー170は、上端板160Tとシリンダ121とを固定する複数のボルト175によって上端板160Tに固定される。上端板カバー170には、上端板カバー室180と圧縮機本体容器10の内部を連通する上端板カバー吐出穴172が設けられている。
【0024】
以下に、回転軸15の回転による吸入冷媒の流れを説明する。
回転軸15の回転によって、回転軸15の偏心部152に嵌合されたピストン125が公転運動することにより、吸入室133が容積を拡大しながら冷媒を吸入する。冷媒の吸入経路として、冷凍サイクルの低圧冷媒は、アキュムレータ吸入管27を通してアキュムレータ容器25の内部に吸入され、アキュムレータ容器25に吸入された冷媒に液が混ざっていた場合にはアキュムレータ容器25内の下部に滞留し、気体冷媒だけがアキュムレータ容器25の内部の上方に開口した気液分離管31に吸入される。気液分離管31に吸入された気体冷媒は、吸入管104と圧縮部吸入管102とを通って吸入室133に吸入される。冷凍サイクルから吸入される冷媒のうち液冷媒の量が多い場合は、アキュムレータ容器25の内部において液冷媒の液面が気液分離管31の開口端31bよりも上昇して多量の液冷媒が気液分離管31に流れ込む可能性がある。気液分離管31を通して圧縮部12に多量の液冷媒が流れ込むと圧縮部12を損傷させる原因となる。気液分離管31に多量の液冷媒が流れ込むことを防止するため、気液分離管31には液冷媒を少量ずつ気液分離管31に吸入させるための液戻し穴34が設けられている。
【0025】
次に、回転軸15の回転による吐出冷媒の流れを説明する。
回転軸15の回転によって、回転軸15の偏心部152に嵌合されたピストン125が公転運動することにより、吐出室131が容積を縮小しながら冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒の圧力が吐出弁200の外側の上端板カバー室180の圧力よりも高くなると、吐出弁200が開いて吐出室131から上端板カバー室180へ冷媒を吐出する。上端板カバー室180に吐出された冷媒は、上端板カバー170に設けられた上端板カバー吐出穴172から圧縮機本体容器10内に吐出される。
【0026】
圧縮機本体容器10内に吐出された冷媒は、ステータ111外周に設けられた上下を連通する切欠き(図示せず)、又はステータ111の巻線部の隙間(図示せず)、又はステータ111とロータ112との隙間115(
図1参照)を通ってモータ11の上方に導かれ、トップシェル10bに設けられた吐出管107から冷凍サイクルに吐出される。
【0027】
次に、潤滑油18の流れを説明する。
圧縮機本体容器10内の下部に封入されている潤滑油18は、回転軸の遠心力により回転軸の内部(図示せず)を通って圧縮部12に供給される。圧縮部12に供給された潤滑油18は、冷媒に巻き込まれ霧状となって冷媒とともに圧縮機本体容器10の内部に排出される。霧状となって圧縮機本体容器10の内部に排出された潤滑油18はモータ11の回転力によって遠心力で冷媒と分離され、油滴となって再び圧縮機本体容器10内の下部に戻る。しかしながら一部の潤滑油18は分離されずに冷媒とともに冷凍サイクルに排出される。冷凍サイクルに排出された潤滑油18は冷凍サイクルを循環してアキュムレータ容器25に戻り、アキュムレータ容器25の内部で分離されアキュムレータ容器25内の下部に滞留する。アキュムレータ容器25内の下部に滞留した潤滑油18は液冷媒とともに液戻し穴34を通って少量ずつ気液分離管31に流入し、吸入冷媒とともに吸入室133に吸入される。
【0028】
(ロータリ圧縮機の特徴的な構成)
次に、実施例のロータリ圧縮機1の特徴について説明する。本実施例における特徴には、
図1に示すように、アキュムレータ容器25の内部に断熱部35が設けられている点が含まれる。
【0029】
(断熱部の構造)
図3は、実施例のロータリ圧縮機を示す斜視図である。
図1及び
図3に示すように、アキュムレータ容器25のアキュムレータシェル26の内部には、この内部を仕切る仕切り部材28が設けられており、仕切り部材28と圧縮機本体容器10のボトムシェル10cとの間に、圧縮機本体容器10とアキュムレータ容器25との間の熱伝導を遮る断熱部35が設けられている。断熱部35は、圧縮機本体容器10のボトムシェル10cに隣り合う位置に設けられており、圧縮機本体容器10からアキュムレータ容器25への熱伝導を遮る中空の内部空間35aを有する。すなわち、中空の内部空間35aは断熱空間である。これにより、圧縮機本体容器10の内部で発生した熱によってアキュムレータ容器25内の冷媒が加熱されることが抑えられる。
【0030】
アキュムレータ容器25は、上述したようにアキュムレータシェル26の上端部である開口側26aが圧縮機本体容器10のボトムシェル10cに接合された第3の溶接部Xを有する。仕切り部材28の周壁28aは、アキュムレータシェル26の上方に向かうように湾曲されている。仕切り部材28の湾曲された周壁28aの外周面は、アキュムレータシェル26の内周面に第4の溶接部Yによって接合されている。また、アキュムレータシェル26の各第3の溶接部X、第4の溶接部Yは、アキュムレータシェル26の周方向にわたって形成されている。
【0031】
したがって、アキュムレータシェル26において冷媒が導入される導入空間は、仕切り部材28によって密閉されている。また、断熱部35の内部空間35aは、アキュムレータシェル26の開口側26aと、圧縮機本体容器10のボトムシェル10cと、仕切り部材28とによって形成されている。
【0032】
また、図示しないが、アキュムレータシェル26には、内部空間35aとアキュムレータシェル26の外側とをつなげる貫通口が、アキュムレータシェル26を貫通して設けられてもよい。アキュムレータシェル26には、例えば、断熱部35に対向する位置に、アキュムレータシェル26を貫通する貫通口が設けられることで、貫通口を通してアキュムレータシェル26の外気を内部空間35aに取り込み、内部空間35aの空気を貫通口から排出することが可能になる。このため、圧縮機本体容器10から断熱部35に伝わる熱によって断熱部35の内部空間35a内の空気が加熱された場合であっても、貫通口を通して断熱部35の内部空間35aが通気されるので、断熱部35による断熱性が低下することが抑えられる。したがって、断熱部35による断熱性を適正に保つことができる。また、アキュムレータシェル26には、複数の貫通口が設けられてもよい。この場合、1つの貫通口から内部空間35aに取り込まれた空気を、他の貫通口からスムーズに排出できる。なお、貫通口がアキュムレータシェル26に設けられる場合、内部空間35aの内面には、内部空間35aに生じる結露によって錆が生じることを防ぐための塗装が施される。
【0033】
また、アキュムレータシェル26に上述した貫通口(図示せず)が設けられる場合には、例えば、アキュムレータ容器25の上下方向において、圧縮機本体容器10のボトムシェル10cと仕切り部材28との間の位置に設けられるが、貫通口の位置を限定するものではない。図示しないが、貫通口は、断熱部35の内部空間35aにおける下部に配置されてもよく、例えば、仕切り部材28がアキュムレータシェル26の内周面に接合された第4の溶接部Yの近傍に配置されてもよい。これにより、例えば、断熱部35の内部空間35aの内面の塗装は、例えば、電着塗装によって施されてもよい。電着塗装の場合、水溶性塗料を溶かした槽に被塗装物であるアキュムレータ容器25を浸漬させ、電極とアキュムレータ容器25との間に電気を流すことでアキュムレータ容器25の断熱部35の内部空間35aの内面に塗膜を形成する。電着塗装の場合には、貫通口から内部空間35a内に入った水溶性塗料を、貫通口から容易に排出できる。
【0034】
(実施例の効果)
上述したように実施例のロータリ圧縮機1において、アキュムレータ容器25が圧縮機本体容器10に接合されており、アキュムレータシェル26の内部に、この内部を仕切る仕切り部材28が設けられる。仕切り部材28と圧縮機本体容器10のボトムシェル10cとの間に、圧縮機本体容器10からアキュムレータ容器25への熱伝導を遮る中空の内部空間35aを有する断熱部35が形成されている。これにより、圧縮機本体容器10に接合されたアキュムレータ容器25と、圧縮機本体容器10との間の断熱性を高められる。したがって、圧縮機本体容器10にアキュムレータシェル26の開口側26aが接合された構造であっても、圧縮機本体容器10の内部で発生した熱がアキュムレータ容器25に伝わることが断熱部35によって抑えられるので、アキュムレータ容器25内の冷媒が加熱されることが抑えられる。したがって、アキュムレータ容器25から圧縮機本体容器10に吸入される冷媒の温度上昇に伴って圧力損失が生じてロータリ圧縮機1の効率が低下することを防げる。
【0035】
また、実施例のロータリ圧縮機1は、圧縮機本体容器10のボトムシェル10cが、アキュムレータシェル26の開口側26aに差し込まれて配置されており、アキュムレータシェル26の開口側26aが圧縮機本体容器10のボトムシェル10cに接合されている。これにより、既存の圧縮機本体容器10を利用し、圧縮機本体容器10のボトムシェル10cをアキュムレータシェル26の開口側26aに差し込むことによって容易に適用できると共に、アキュムレータ容器25を圧縮機本体容器10に取り付けるための取り付けバンド等の取り付け部材を省き、製造コストの増加を抑えることができる。また、アキュムレータ容器25が別部材を介して圧縮機本体容器10のボトムシェル10cに間接的に連結される構造と比較して、別部材が有する固有振動数に起因する騒音、振動を避けられる。
【0036】
また、実施例のロータリ圧縮機1において、仕切り部材28の周壁28aは、アキュムレータシェル26の内周面に接合されている。これにより、仕切り部材28によって、アキュムレータシェル26の内部に、中空の内部空間35aを有する断熱部35を簡素な構造で容易に形成することができる。
【0037】
また、上述したように、アキュムレータシェル26には、断熱部35の内部空間35aとアキュムレータシェル26の外側とをつなげる貫通口が設けられてもよい。この場合、断熱部35の内面には塗装が施される。これにより、貫通口を通してアキュムレータシェル26の外気を内部空間35aに取り入れ、内部空間35aの空気を貫通口から排出することが可能になる。このため、圧縮機本体容器10から断熱部35に伝わる熱によって断熱部35の内部空間35a内の空気が加熱された場合であっても、貫通口を通して断熱部35の内部空間35aが通気されるので、断熱部35による断熱性が低下することが抑えられる。したがって、断熱部35による断熱性を適正に保つことができる。
【0038】
本開示において、アキュムレータシェル26の開口側26aは、圧縮機本体容器10のボトムシェル10cに接合される構造に限定されない。図示しないが、アキュムレータシェル26の開口側26aは、圧縮機本体容器10のメインシェル10aに接合されてもよい。また、断熱部35を形成する仕切り部材28の周壁28aは、アキュムレータシェル26の下方に向かって湾曲されてアキュムレータシェル26の内面にに接合されてもよい。また、アキュムレータシェル26は、図示しないが、開口側26aである上端部を有する円筒状のメインシェルと、このメインシェルの下端部の開口を塞ぐように接合されるすり鉢状のボトムシェルと、を有し、圧縮機本体容器10と同様にメインシェルにボトムシェルが接合されて形成されてもよい。また、アキュムレータシェル26に貫通口が設けられる場合には、貫通口を断熱部35の内部空間35a内における上部に配置し、ロータリ圧縮機1の製造工程で圧縮機本体容器10及びアキュムレータ容器25の上下方向を逆向きに設置した状態で塗装を行うことにより、貫通口から内部空間35a内に入った水溶性塗料を貫通口から容易に排出できる。
【0039】
以下、変形例1、2について図面を参照して説明する。変形例1、2において、実施例と同一の構成部材には、実施例と同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
(変形例1)
変形例1は、アキュムレータ容器25と圧縮機本体容器10とを接合する第3の溶接部X及び第4の溶接部Yを含む構造が、実施例と異なる。
図4は、変形例1における要部を拡大して示す縦断面図である。
【0041】
図4に示すように、変形例1における仕切り部材28は、カップ状に形成されており、筒状の周壁28aを有する。仕切り部材28の周壁28aにおける下部は、アキュムレータシェル26の開口側26aの内周面に沿う曲率で曲げられており、アキュムレータシェル26の開口側26aに圧入されている。同様に、仕切り部材28における周壁28aの開口側28bは、圧縮機本体容器10のボトムシェル10cの周壁に沿う曲率で曲げられており、仕切り部材28の周壁28aの開口側28bに、圧縮機本体容器10のボトムシェル10cが圧入されている。
【0042】
そして、変形例1では、仕切り部材28の周壁28aの内周面が、圧縮機本体容器10のボトムシェル10cの周壁の外周面に接合されることで第3の溶接部Xが形成されている。アキュムレータシェル26の開口側26aの内周面は、仕切り部材28の周壁28aの外周面に接合されることで第4の溶接部Yが形成されている。
【0043】
変形例1においても、実施例と同様にアキュムレータ容器25の断熱部35は、第3の溶接部Xによって内部空間35aが密閉されなくてもよいため、仕切り部材28の周壁28aと圧縮機本体容器10のボトムシェル10cとの第3の溶接部Xがボトムシェル10cの周方向に連続して形成されなくてもよい。また、仕切り部材28とボトムシェル10cとの第3の溶接部Xがボトムシェル10cの周方向に連続して形成されないことで、第3の溶接部Xが形成されない部分の空隙が断熱空間としても機能するので、圧縮機本体容器10からアキュムレータ容器25に熱が伝わることが更に抑えられる。
【0044】
変形例1によれば、仕切り部材28の周壁28aの下部をアキュムレータシェル26の開口側26aに圧入すると共に、仕切り部材28の周壁28aの開口側28bbに圧縮機本体容器10のボトムシェル10cを圧入することが可能になり、圧縮機本体容器10、仕切り部材28及びアキュムレータシェル26が圧力によって互いに固定された状態で溶接を行うことができる。このため、ロータリ圧縮機1の製造性を高められる。また、変形例1においても、実施例と同様に、断熱部35によって、アキュムレータ容器25と圧縮機本体容器10との間の断熱性を高められる。したがって、圧縮機本体容器10の内部で発生した熱によってアキュムレータ容器25内の冷媒が加熱されることが抑えられ、ロータリ圧縮機1の圧縮効率が低下することを防げる。
【0045】
上述した変形例1のように、本開示においてアキュムレータシェル26の開口側26aが圧縮機本体容器10に接合される構造には、アキュムレータシェル26の開口側26aが、仕切り部材28を介して圧縮機本体容器10のボトムシェル10cに間接的に接合される構造が含まれる。
【0046】
(変形例2)
変形例2は、断熱部35の内部空間35aに貫通する貫通口37が仕切り部材28に設けられる点が、変形例1と異なる。
図5は、変形例2における要部を拡大して示す縦断面図である。
【0047】
図5に示すように、変形例2における仕切り部材28には、断熱部35の内部空間35aに貫通する貫通口37が周壁28aに設けられている。仕切り部材28における内部空間35aの内面には、内部空間35aに生じる結露によって錆が生じることを防ぐための塗装が施される。変形例2における仕切り部材28の貫通口37は、第4の溶接部Yよりも上方かつ、圧縮機本体容器10のボトムシェル10cの周壁に沿う曲率の曲げ部分よりも下方に貫通口37が形成されている。このような位置に貫通口37が形成されることにより、貫通口37を通して断熱部35の内部空間35aとアキュムレータシェル26の外側とをつなぐ経路が、アキュムレータシェル26の開口側26aや圧縮機本体容器10のボトムシェル10cによって妨げられることが防げる。このため、例えば、内部空間35aの内面に塗装を施す際に貫通口37を通して塗料を内部空間35aにスムーズに入れられる。
【0048】
仕切り部材28の周壁28aには、例えば、1つのスリット状の貫通口37が設けられるが、貫通口37の開口形状や個数は限定されない。例えば、仕切り部材28の周壁28aには、複数の貫通口37が、断熱部35の内部空間35aを挟んで対向する位置にそれぞれ配置されることが好ましく、複数の貫通口37を通して内部空間35aの空気をスムーズに通気することができる。
【0049】
(変形例3)
図6は、変形例3における要部を示す斜視図である。上述した実施例におけるアキュムレータシェル26の開口側26aの第3の溶接部Xは、アキュムレータシェル26の開口側26aの周方向の一部に切り欠き部39が貫通口37として形成されることで、上述の貫通口37と同様の効果が得られる。
【0050】
図6に示すように、変形例3では、アキュムレータシェル26の開口側26aの端部における周方向の一部に切り欠き部39が形成されている。アキュムレータシェル26の開口側26aは、切り欠き部39を除いて、開口側26aの周方向に亘って第3の溶接部Xによって接合されている。このため、切り欠き部39を通してアキュムレータシェル26の外気を断熱部35の内部空間35aに取り込み、内部空間35aの空気を貫通口37から排出することが可能になる。よって、圧縮機本体容器10から伝わる熱で内部空間35a内の空間が加熱された場合でも、内部空間35a内からアキュムレータシェル26の外側へ排熱できるので、断熱部35の断熱性の低下を抑えることができる。
【0051】
なお、本実施例のロータリ圧縮機は、1つのシリンダを有する、いわゆる1シリンダ型のロータリ圧縮機に限定されず、2つのシリンダを有する、いわゆる2シリンダ型のロータリ圧縮機に適用されてもよい。また、本実施例は、ロータリ圧縮機を一例として説明したが、例えば、スクロール圧縮機等の他の圧縮機に適用されてもよく、本実施例と同様の効果が得られる。
冷媒の吐出管及び吸入管が設けられた縦置き筒状の圧縮機本体容器と、前記吸入管に接続されるアキュムレータ容器と、前記圧縮機本体容器内に配置されて前記アキュムレータ容器から前記吸入管を介して吸入した冷媒を圧縮して前記吐出管から吐出する圧縮部と、前記圧縮機本体容器内に配置されて前記圧縮部を駆動するモータと、を備える密閉型圧縮機であって、
前記アキュムレータ容器は、カップ状のアキュムレータシェルを有し、前記アキュムレータシェルの開口側が前記圧縮機本体容器に接合され、
前記アキュムレータシェルの内部には、当該内部を仕切るカップ状の仕切り部材が設けられ、前記仕切り部材の周壁における下部が前記アキュムレータシェルの開口側に接合され、前記仕切り部材の開口側が前記圧縮機本体容器に接合され、前記仕切り部材と前記圧縮機本体容器のボトムシェルとの間に、前記圧縮機本体容器から前記アキュムレータ容器への熱伝導を遮る中空の内部空間を有する断熱部が形成されている、密閉型圧縮機。
本願の開示する密閉型圧縮機の一態様は、冷媒の吐出管及び吸入管が設けられた縦置き筒状の圧縮機本体容器と、吸入管に接続されるアキュムレータ容器と、圧縮機本体容器内に配置されてアキュムレータ容器から吸入管を介して吸入した冷媒を圧縮して吐出管から吐出する圧縮部と、圧縮機本体容器内に配置されて圧縮部を駆動するモータと、を備える密閉型圧縮機であって、アキュムレータ容器は、カップ状のアキュムレータシェルを有し、アキュムレータシェルが圧縮機本体容器に接合され、アキュムレータシェルの内部には、この内部を仕切るカップ状の仕切り部材が設けられ、仕切り部材の周壁における下部がアキュムレータシェルの開口側に接合され、仕切り部材の開口側が圧縮機本体容器に接合され、仕切り部材と圧縮機本体容器のボトムシェルとの間に、圧縮機本体容器からアキュムレータ容器への熱伝導を遮る中空の内部空間を有する断熱部が形成されている。
冷媒の吐出管及び吸入管が設けられた縦置き筒状の圧縮機本体容器と、前記吸入管に接続されるアキュムレータ容器と、前記圧縮機本体容器内に配置されて前記アキュムレータ容器から前記吸入管を介して吸入した冷媒を圧縮して前記吐出管から吐出する圧縮部と、前記圧縮機本体容器内に配置されて前記圧縮部を駆動するモータと、を備える密閉型圧縮機であって、
前記アキュムレータ容器は、カップ状のアキュムレータシェルを有し、前記アキュムレータシェルの開口側が前記圧縮機本体容器に接合され、
前記アキュムレータシェルの内部には、当該内部を仕切るカップ状の仕切り部材が設けられ、前記仕切り部材の周壁における下部が前記アキュムレータシェルの開口側に接合され、前記仕切り部材の開口側が前記圧縮機本体容器に接合され、前記仕切り部材と前記圧縮機本体容器のボトムシェルとの間に、前記圧縮機本体容器から前記アキュムレータ容器への熱伝導を遮る中空の内部空間を有する断熱部が形成されている、密閉型圧縮機。
冷媒の吐出管及び吸入管が設けられた縦置き筒状の圧縮機本体容器と、前記吸入管に接続されるアキュムレータ容器と、前記圧縮機本体容器内に配置されて前記アキュムレータ容器から前記吸入管を介して吸入した冷媒を圧縮して前記吐出管から吐出する圧縮部と、前記圧縮機本体容器内に配置されて前記圧縮部を駆動するモータと、を備える密閉型圧縮機であって、
前記アキュムレータ容器は、カップ状のアキュムレータシェルを有し、前記アキュムレータシェルの開口側が前記圧縮機本体容器に接合され、
前記アキュムレータシェルの内部には、当該内部を仕切る仕切り部材が設けられ、前記仕切り部材と前記圧縮機本体容器のボトムシェルとの間に、前記圧縮機本体容器から前記アキュムレータ容器への熱伝導を遮る中空の内部空間のみからなる断熱部が形成され、
前記アキュムレータシェルには、前記内部空間と前記アキュムレータシェルの外側とをつなげる貫通口が設けられ、
前記貫通口は、前記アキュムレータシェルの前記開口側の端部における周方向の一部に形成された切り欠き部であり、
前記アキュムレータ容器は、前記アキュムレータシェルの前記開口側が前記圧縮機本体容器に接合された溶接部を有し、前記溶接部が、前記切り欠き部を除いて前記開口側の周方向に亘って設けられている、密閉型圧縮機。