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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000452
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】電解水散布装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/14 20060101AFI20221222BHJP
   F24F 8/24 20210101ALI20221222BHJP
   F24F 6/06 20060101ALI20221222BHJP
   C02F 1/461 20230101ALI20221222BHJP
【FI】
A61L9/14
F24F8/24
F24F6/06
C02F1/461 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101281
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】小原 弘士
(72)【発明者】
【氏名】中川 貴司
(72)【発明者】
【氏名】佐々井 真弓
(72)【発明者】
【氏名】木下 剛
(72)【発明者】
【氏名】神原 雄一
【テーマコード(参考)】
3L055
4C180
4D061
【Fターム(参考)】
3L055AA07
3L055BA02
3L055DA11
4C180AA02
4C180AA07
4C180CA10
4C180CB01
4C180EA16X
4C180EA17X
4C180EA53X
4C180EA54X
4C180EA58X
4C180HH01
4C180HH05
4C180KK06
4D061DA03
4D061DB09
4D061EA02
4D061EB02
4D061EB04
4D061EB37
4D061EB39
4D061ED13
4D061FA20
4D061GA04
4D061GC04
4D061GC06
(57)【要約】
【課題】電極の劣化を抑制する技術を提供する。
【解決手段】電解水散布装置1000は、水を供給するための水源部と、電解促進剤または電解促進溶液を投入した水から電解水を生成するための電解槽200と、水源部から電解槽200に水を供給する第1供給部128と、電解水を生成する電極部210と、水と電解水とを混合させるための加湿槽300と、水源部から加湿槽300に水を供給する第2供給部138と、電解槽200から加湿槽300に電解水を供給する第3供給部228と、加湿槽300の電解水を、吸気口から吸い込んだ空気に接触させて吹出口から散布する散布部310と、制御部500と、を備える。制御部500は、第3供給部228による加湿槽300への電解水の供給と第2供給部138による加湿槽300への水の供給を行うことで、電解槽200で生成した電解水を希釈させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を供給するための水源部と、
電解促進剤または電解促進溶液を投入した水から電解水を生成するための電解槽と、
前記水源部から前記電解槽に水を供給する第1供給部と、
前記電解槽にて前記電解水を生成する電極部と、
前記水源部からの水と前記電解槽からの前記電解水とを混合させるための加湿槽と、
前記水源部から前記加湿槽に水を供給する第2供給部と、
前記電解槽から前記加湿槽に前記電解水を供給する第3供給部と、
前記加湿槽の前記電解水を、吸気口から吸い込んだ空気に接触させて吹出口から散布する散布部と、
前記電極部と前記散布部と前記第1供給部と前記第2供給部と前記第3供給部の制御を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第3供給部による前記加湿槽への前記電解水の供給と前記第2供給部による前記加湿槽への水の供給を行うことで、前記電解槽で生成した電解水を希釈させる電解水散布装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第3供給部からの前記電解水の供給を行う前に、前記第2供給部からの水の供給を行う請求項1記載の電解水散布装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第3供給部からの前記電解水の供給を行う前後に、前記第2供給部からの水の供給を行う請求項1記載の電解水散布装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第2供給部から所定量の水の供給を行いさらに前記第3供給部から所定量の前記電解水の供給を行う処理である供給処理を複数回繰り返すことで、前記加湿槽を前記水と前記電解水の混合水で満水にする請求項1記載の電解水散布装置。
【請求項5】
前記電解槽に塩化物イオンを供給するための電解促進剤または電解促進溶液を投入する投入部を備え、
前記制御部は、
前記投入部による電解促進剤または電解促進溶液の投入タイミングと前記第1供給部からの水の供給タイミングを一致させる請求項1から4のいずれかに記載の電解水散布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電解水散布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中の細菌、真菌、ウイルス、臭い等の除去(不活性化を含む)を行うために、電気分解により次亜塩素酸を含む電解水を生成して放出する電解水散布装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。次亜塩素酸の生成には、塩等の電解促進剤を投入し、塩化物イオンを含む水を生成しておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-24811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電解水散布装置では、貯水部にて電解水の生成を行い、生成が行われた電解水と外部から吸い込んだ空気とを内部で連続的に接触させて、接触させた空気を貯水部から直接外部に放出していた。従来の電解水散布装置では、電解水と外部から吸い込んだ空気との接触により貯水部に貯められた電解水が汚れた場合、電極が劣化するおそれがある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、電極の劣化を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の電解水散布装置は、水を供給するための水源部と、電解促進剤を投入した水から電解水を生成するための電解槽と、水源部から電解槽に水を供給する第1供給部と、電解槽にて電解水を生成する電極部と、水源部からの水と電解槽からの電解水とを混合させるための加湿槽と、水源部から加湿槽に水を供給する第2供給部と、電解槽から加湿槽に電解水を供給する第3供給部と、加湿槽の電解水を、吸気口から吸い込んだ空気に接触させて吹出口から散布する散布部と、電極部と散布部と第1供給部と第2供給部と第3供給部の制御を実行する制御部と、を備え、制御部は、第3供給部による加湿槽への電解水の供給と第2供給部による加湿槽への水の供給を行うことで、電解槽で生成した電解水を希釈させる。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、電極の劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例に係る電解水散布装置の内部構成を示す図である。
図2図2(a)-(c)は、図1の電解水散布装置の動作概要を示す図である。
図3図3(a)-(b)は、図2(a)-(c)に続く電解水散布装置の動作概要を示す図である。
図4図4(a)-(b)は、図3(a)-(b)に続く電解水散布装置の動作概要を示す図である。
図5】変形例2に係る電解水散布装置の内部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施例を具体的に説明する前に、実施例の概要を説明する。本実施例は、水と電解促進剤とをもとに電解水を生成してから散布する電解水散布装置に関する。従来の電解水散布装置は、貯水部にて活性酸素種を含む電解水を生成する。また、従来の電解水散布装置は、貯水部において、生成した電解水と、外部から吸い込んだ空気とを連続的に接触させてから、ファンの回転により接触させた空気を外部に放出させる。そのため、貯水部の電解水は空気との接触により汚れやすくなる。電解水が汚れると、電極が劣化するおそれがある。
【0011】
電極の劣化を抑制するために、本実施例に係る電解水散布装置は、これまでの貯水部を、電解槽と加湿槽という2つの水槽に分ける。電解槽には電極が備えられており、電解槽において電極が塩化物イオンを含む水を電気分解して電解水を生成する。また、電解槽において生成された電解水は加湿槽に供給される。さらに、加湿槽では、電解槽からの電解水と、外部から吸い込んだ空気とを連続的に接触させてから、ファンの回転により接触させた空気を外部に放出させる。このような構成により、電解槽の電解水は空気に接触しないので汚れにくくなり、電極の劣化が抑制される。
【0012】
以下、本開示を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。図1は、電解水散布装置1000の内部構成を示す。電解水散布装置1000は、貯水槽100、給水タンク110、蓋112、第1ポンプ120、第1給水管122、供給口124、第2ポンプ130、第2給水管132、渇水フロート160、電解槽200、電極部210、第3ポンプ220、第3給水管222、定量升224、第3給水管226、満水フロート250、渇水フロート260、加湿槽300、散布部310、満水フロート350、渇水フロート360、排水フロート370、電解促進剤投入部400、投入口404、電解促進剤410、制御部500を含む。ここで、第1ポンプ120、第1給水管122、供給口124は、第1供給部128に含まれ、第2ポンプ130、第2給水管132は、第2供給部138に含まれ、第3ポンプ220、第3給水管222、定量升224、第3給水管226は、第3供給部228に含まれる。以下では、(1)基本構成、(2)初期処理、(3)通常処理、(4)再起処理の順に説明する。
【0013】
(1)基本構成
貯水槽100は、天面を開口した箱形状を有しており、水を貯水できる構造を有し、後述の給水タンク110から供給される水を貯める。貯水槽100は、例えば、電解水散布装置1000の下側部分に配置される。給水タンク110は、内部に水を貯めるタンクであり、貯水槽100に着脱可能である。給水タンク110の開口(図示せず)には蓋112が設けられるとともに、蓋112の中央には開閉部(図示せず)が設けられる。開閉部が開くと、給水タンク110内の水が、貯水槽100へ供給される。
【0014】
具体的には、給水タンク110の開口を下向きにして、給水タンク110を貯水槽100に取り付けると、開閉部が開く。つまり、水を入れた給水タンク110が貯水槽100に取り付けられると、開閉部が開いて貯水槽100に給水され、貯水槽100内に水が溜まる。貯水槽100内の水位が上昇して蓋112のところまで到達すると給水タンク110の開口が水封されるので給水が停止する。給水タンク110の内部に水が残っている場合、貯水槽100内の水位が下がった場合に都度、給水タンク110内部の水が貯水槽100に給水される。その結果、貯水槽100内の水位は一定に保たれる。貯水槽100は水を供給するための水源部ともいえる。
【0015】
第1ポンプ120は、貯水槽100内に配置されるとともに、第1給水管122に接続される。第1ポンプ120は、制御部500からの指示に応じて動作すると、貯水槽100に貯まった水を第1給水管122の方に汲み上げる。第1給水管122は貯水槽100と電解槽200とをつなぐ管であり、電解槽200側端に供給口124を有する。第1ポンプ120によって汲み上げられた水は、第1給水管122内を流され、供給口124から電解槽200に供給される。つまり、第1ポンプ120、第1給水管122、供給口124は、貯水槽100から電解槽200に水を供給する。
【0016】
第2ポンプ130は、貯水槽100内に配置されるとともに、第2給水管132に接続される。第2ポンプ130は、制御部500からの指示に応じて動作すると、貯水槽100に貯まった水を第2給水管132の方に汲み上げる。第2給水管132は貯水槽100と加湿槽300とをつなぐ管である。第2ポンプ130によって汲み上げられた水は、第2給水管132内を流されて、加湿槽300に供給される。つまり、第2ポンプ130、第2給水管132は、貯水槽100から加湿槽300に水を供給する。
【0017】
電解槽200は、天面を開口した箱形状を有し、供給口124の下側に配置される。電解槽200は、供給口124から供給される水を貯める。電解槽200の上側には、供給口124と並んで電解促進剤投入部400が配置される。電解促進剤投入部400は、内部に電解促進剤410を装填でき、制御部500より電解促進剤410の投入指示があると、錠剤投入部材(図示せず)を回動させる。錠剤投入部材が回動すると、電解促進剤410が電解槽200に落下する。電解促進剤投入部400は、電解槽200に落下された電解促進剤410の個数をカウントし、電解槽200に電解促進剤410が一錠落下したと判断すると、錠剤投入部材の回動を停止する。つまり、電解促進剤投入部400は、電解槽200に電解促進剤410を投入する。電解促進剤410が電解槽200内の水に溶け込むことにより、電解槽200において塩化物イオンを含む水が生成される。電解促進剤410の一例は、塩化ナトリウムであり、電解促進錠剤として形成される。電解促進剤投入部400は、電解槽200に塩化物イオンを供給するための電解促進剤を投入する投入部ともいえる。
【0018】
電極部210は、電解槽200内の水に浸かるように設置される。電極部210は、通電されることによって、電解槽200内の塩化物イオンを含む水を電気化学的に電気分解し、活性酸素種を含む電解水を生成する。ここで、活性酸素種とは、通常の酸素よりも高い酸化活性を持つ酸素分子と、その関連物質のことである。例えば、活性酸素種には、スーパーオキシドアニオン、一重項酸素、ヒドロキシラジカル、あるいは過酸化水素といった所謂狭義の活性酸素に、オゾン、次亜塩素酸(次亜ハロゲン酸)等といった所謂広義の活性酸素が含まれる。
【0019】
電極部210は、電気分解するための通電を行う通電時間と、その通電停止後の時間、つまり通電を行っていない時間である非通電時間を一周期として、その一周期を複数回繰り返すことで、電解水を生成する。電極部210に対し、非通電時間を設けることで、電極部210の寿命が延びる。非通電時間に対して通電時間を長くすれば、一周期当たりにおいてより多くの量の活性酸素種を含む電解水が生成される。また、通電時間に対して非通電時間を長くすれば、一周期当たりの活性酸素種の生成が抑えられる。さらに、通電時間における電力量を大きくすれば、より多くの量の活性酸素種を含む電解水が生成される。このように、電解槽200は、電解促進剤410を投入した水から電解水を生成するためのタンクであるといえる。
【0020】
第3ポンプ220は、電解槽200内に配置されるとともに、第3給水管222に接続される。第3ポンプ220は、制御部500からの指示に応じて動作すると、電解槽200に貯まった電解水を第3給水管222の方に汲み上げる。第3給水管222は定量升224に接続されており、電解槽200の電解水を定量升224に供給する。定量升224は、一定容量を有する升であり、第3給水管222から供給された一定容量の電解水を貯める。定量升224は第3給水管226に接続され、第3給水管226は加湿槽300の方に延びる。定量升224に貯められた電解水は、第3給水管226内を流されて、加湿槽300に供給される。つまり、第3ポンプ220、第3給水管222、定量升224、第3給水管226は、電解槽200から加湿槽300に電解水を供給する。
【0021】
加湿槽300は、天面を開口した箱形状を有し、貯水槽100から供給された水と電解槽200から供給された電解水とを混合させる。これは、貯水槽100から供給された水により、電解槽200から供給された電解水を希釈することに相当する。加湿槽300には散布部310が設けられる。
【0022】
散布部310は、ファン(図示せず)とフィルタ(フィルタ)とを備える。ファンは、例えば、シロッコファンであり、制御部500による制御に応じて回転する。ファンが回転することによって、電解水散布装置1000の筐体(図示せず)に設けられた吸気口(図示せず)から、電解水散布装置1000の内部に空気が吸い込まれる。
【0023】
フィルタは、加湿槽300に貯水された電解水と、ファンによって電解水散布装置1000内に流入した室内空気とを接触させる部材である。フィルタは、円筒状に構成され、円周部分に空気が流通可能な孔を備える。フィルタの一端が加湿槽300に貯水された電解水に浸漬され、保水されるように、フィルタは、中心軸を回転中心として加湿槽300に回転自在に内蔵される。フィルタは、駆動部(図示せず)により回転され、電解水と室内空気を連続的に接触させる。
【0024】
吸気口からフィルタ、ファン、吹出口(図示せず)に続く風路が形成される。ファンが回転すると、吸気口から吸い込まれ風路内に入った外部の空気は、順に、フィルタ、ファン、吹出口を介して、電解水散布装置1000の外部へ吹き出される。これにより、加湿槽300の電解水と接触させた空気が外部へ放出される。電解水散布装置1000は、生成した電解水由来(揮発を含む)の活性酸素種を空気と共に放出する。
【0025】
貯水槽100に設けられた渇水フロート160、電解槽200に設けられた満水フロート250、渇水フロート260、加湿槽300に設けられた満水フロート350、渇水フロート360、排水フロート370は、水あるいは電解水が存在するか否かを検知する。ここでは、水、電解水を「水」と総称することもある。渇水フロート160、満水フロート250、渇水フロート260、満水フロート350、渇水フロート360、排水フロート370は「フロート」と総称される。各フロートは浮力を有するとともに磁石(図示せず)を有するとともに、磁石の位置は検知部分(図示せず)で検知される。フロートの位置まで水が存在する場合、フロートは、浮力によって所定の位置まで移動し、検知部分は、フロート部分に設けた磁石を検知する。一方、フロートの位置まで水が存在しない場合、検知部分は、フロートに設けた磁石を検知できなくなる。
【0026】
渇水フロート160は貯水槽100の渇水を検知し、満水フロート250は電解槽200の満水を検知し、渇水フロート260は電解槽200の渇水を検知する。ここで、渇水とは、100%の渇水でなくてもよく、わずかの水が残っていてもよい。本実施例において渇水フロート260は渇水検知部と呼ばれてもよい。また、満水フロート350は加湿槽300の満水を検知し、渇水フロート360は加湿槽300の渇水を検知し、排水フロート370は加湿槽300の排水レベルを検知する。ここで、満水とは、100%の満水でなくてもよく、さらに水を入れることが可能な水量であってもよい。各フロートは検知結果を制御部500に送信する。
【0027】
制御部500は、渇水フロート160、満水フロート250、渇水フロート260、満水フロート350、渇水フロート360、排水フロート370から検知結果を受けつける。また、制御部500は、電極部210、散布部310、電解促進剤投入部400、第1供給部128、第2供給部138、第3供給部228の制御を実行する。制御部500の処理の詳細は後述する。
【0028】
一例として、電解槽200において生成される電解水の濃度は30-200ppmの範囲内の濃度(以下、「第1濃度」という)であり、加湿槽300において希釈される電解水の濃度は3-50ppmの範囲内の濃度である。電解槽200において生成される電解水の濃度よりも加湿槽300において希釈される電解水の濃度は低く設定される。
【0029】
(2)初期処理
初期処理は、貯水槽100、電解槽200、加湿槽300に水がない状態から、電解水の初期段階の散布を実行するまでの処理である。以下では、初期処理を説明するために図2(a)-(c)、図3(a)-(b)も使用する。図2(a)-(c)は、電解水散布装置1000の動作概要を示す。図2(a)は、貯水槽100、電解槽200、加湿槽300に水がない状態を示す。これは、電解水散布装置1000を購入後、電解水散布装置1000を設置した場合に相当する。また、貯水槽100、電解槽200、加湿槽300を清掃などのメンテナンスした後の場合にも相当する。
【0030】
図2(b)は、図2(a)に続く状態である。ユーザは、給水タンク110に水を注入し、給水タンク110を貯水槽100に取り付ける。給水タンク110を貯水槽100に取り付けると、蓋112の開閉部が開くことによって、給水タンク110から貯水槽100に水が供給される。
【0031】
図2(c)は、図2(b)に続く状態である。制御部500は、第2ポンプ130を動作させることによって、貯水槽100の水を加湿槽300に供給する。水の供給は、満水フロート350が満水を検知するまでなされる。その結果、加湿槽300は、満水の状態で水を貯える。
【0032】
制御部500は、第1ポンプ120を動作させることによって、貯水槽100の水を電解槽200に供給する。水の供給がなされたと仮定した場合の電解槽200の水面の一部には供給領域240が配置され、供給領域240は、供給口124および投入口404の下側に存在する。ここで、制御部500は、第1供給部128からの水の供給のタイミングと、電解促進剤投入部400により電解促進剤410を投入口404から電解槽200の供給領域240に向かって投下させる投入タイミングを一致させる。その結果、電解促進剤410は、供給領域240に存在し、水に溶け始める。
【0033】
制御部500は、第1ポンプ120を動作させることによって、貯水槽100の水を継続的に電解槽200に供給する。その際、供給口124から供給領域240に向かって水が供給されるので、供給される水の圧力によって電解促進剤410の溶解がさらに進む。水の供給は、満水フロート250が満水を検知するまでなされる。その結果、電解槽200は、電解促進剤410の一部もしくはすべてが溶解された塩化物イオンを含む水を満水の状態で貯える。供給領域240への電解促進剤の投入タイミングと供給領域240への水の供給タイミングが一致することで、電解促進剤の溶解が促進される。溶解の促進は、すなわち電解水の生成時間の短縮に寄与できる。また、溶解が促進されるため、電解槽200は電気分解しやすい状態となり、電極寿命の劣化が抑制される。
【0034】
図3(a)-(b)は、図2(a)-(c)に続く電解水散布装置1000の動作概要を示す。図3(a)は、図2(c)に続く状態である。制御部500は、電極部210に通電を実行することによって、塩化物イオンを含む水を電気分解して、電解水を生成する。ここで、電気分解の時間は、第1濃度の電解水を生成するために必要な時間(例えば、40分間)よりも短い時間(例えば、10分間)とされる。その結果、第1濃度よりも低い第2濃度の電解水が生成される。
【0035】
図3(b)は、図3(a)に続く状態である。第2濃度の電解水が生成されると、制御部500は、第3ポンプ220を動作させることによって、第2濃度の電解水を加湿槽300に供給する。その際、定量升224が使用されるので、定量升224の容量だけの第2濃度の電解水が加湿槽300に供給される。第2濃度の電解水は、加湿槽300において希釈される。制御部500は、第3ポンプ220を停止させてから、散布部310を動作させることによって、加湿槽300の電解水と接触させた空気が外部へ放出される。つまり、40分間よりも短い時間から電解水の散布が開始される。
【0036】
ここで、初期処理において制御部500は第3供給部228からの電解水の供給を行う前に、第2供給部138からの水の供給を行っている。これにより、加湿槽300に水が供給される前に第2濃度の電解水が供給されることを防止することができる。高濃度の電解水は加湿槽300周辺の部品劣化の原因となる可能性がある。つまり、電解水の供給を行う前に水の供給を行うことで、水が供給される前に第2濃度の電解水が加湿槽300に入って第2濃度の電解水による加湿槽300周辺の部品劣化の可能性を低減することができる。
【0037】
また、制御部500は第3供給部228からの電解水の供給を行う前後に、第2供給部138からの水の供給を行ってもよい。これにより、水が供給される前に第2濃度の電解水が加湿槽300に入って、第2濃度の電解水による加湿槽300周辺の部品劣化の可能性を低減することができる。さらに、第3供給部228からの電解水の供給を行う前後に、第2供給部138からの水の供給を行うことで、電解水と水が混ざって加湿槽300内の希釈された電解水の濃度の斑を低減できる。
【0038】
また、制御部500は第2供給部138から所定量の水の供給を行いさらに第3供給部228から所定量の電解水の供給を行う処理である供給処理を複数回繰り返すことで、加湿槽300を水と電解水の混合水で満水の状態にしてもよい。これにより、水が供給される前に第2濃度の電解水が加湿槽300に入って、第2濃度の電解水による加湿槽300周辺の部品劣化の可能性を低減することができる。さらに、第2供給部138から所定量の水の供給を行いさらに第3供給部228から所定量の電解水の供給を行う処理である供給処理を複数回繰り返すことで、電解水と水が混ざって加湿槽300内の希釈された電解水の濃度の斑をさらに低減できる。
【0039】
(3)通常処理
通常処理は、所望の濃度の電解水を散布するための処理である。図4(a)-(b)は、図3(a)-(b)に続く電解水散布装置1000の動作概要を示す。図4(a)は、図3(b)に続く状態である。電解槽200における第2濃度の電解水の一部は加湿槽300に供給されたので、電解槽200には、満水ではない状態で第2濃度の電解水が貯められている。制御部500は、第1ポンプ120を動作させることによって、貯水槽100の水を電解槽200に供給する。その際、供給口124から供給領域240に向かって水が供給されるので、供給される水の圧力によって、溶け残った電解促進剤410がさらに溶解される。水の供給は、満水フロート250が満水を検知するまでなされる。その結果、電解槽200は満水の状態になる。電解槽200への水の供給が終了した後、制御部500は、電極部210に通電を実行することによって、電気分解により電解水を生成する。ここで、電気分解の時間は、第1濃度の電解水を生成するために必要な時間(例えば、40分間)とされる。その結果、第1濃度の電解水が生成される。
【0040】
図4(b)は、図4(a)に続く状態である。第1濃度の電解水が生成されると、制御部500は、第3ポンプ220を動作させることによって、第1濃度の電解水を加湿槽300に供給する。その際、定量升224が使用されるので、定量升224の容量だけの第1濃度の電解水が加湿槽300に供給される。第1濃度の電解水は、加湿槽300において希釈される。制御部500は、第3ポンプ220を停止させてから、散布部310を動作させることによって、加湿槽300の電解水を電解水散布装置1000の外部に散布する。
【0041】
電解水が散布されると、加湿槽300における電解水の量が減少する。渇水フロート360が渇水を検知した場合、制御部500は、第3ポンプ220を動作させることによって、第1濃度の電解水を定量升224の容量分だけ加湿槽300に供給し、第2ポンプ130を動作させることによって、貯水槽100の水を加湿槽300が満水になるまで供給する。これにより、電解水の散布が継続される。このような処理は、渇水フロート260が渇水を検知するまで繰り返される。
【0042】
ここで、通常処理において渇水フロート360が渇水を検知した場合、制御部500は第3供給部228からの電解水の供給を行う前に、第2供給部138からの水の供給を行うことが望ましい。これにより、加湿槽300に水が供給される前に第1濃度の電解水が供給されることを防止することができる。つまり、電解水の供給を行う前に水の供給を行うことで、水が供給される前に第1濃度の電解水が加湿槽300に入って第1濃度の電解水による加湿槽300周辺の部品劣化の可能性を低減することができる。
【0043】
また、制御部500は第3供給部228からの電解水の供給を行う前後に、第2供給部138からの水の供給を行ってもよい。これにより、水が供給される前に第1濃度の電解水が加湿槽300に入って、第1濃度の電解水による加湿槽300周辺の部品劣化の可能性を低減することができる。さらに、第3供給部228からの電解水の供給を行う前後に、第2供給部138からの水の供給を行うことで、電解水と水が混ざって加湿槽300内の希釈された電解水の濃度の斑を低減できる。
【0044】
また、制御部500は第2供給部138から所定量の水の供給を行いさらに第3供給部228から所定量の電解水の供給を行う処理である供給処理を複数回繰り返すことで、加湿槽300を水と電解水の混合水で満水の状態にしてもよい。これにより、水が供給される前に第1濃度の電解水が加湿槽300に入って、第1濃度の電解水による加湿槽300周辺の部品劣化の可能性を低減することができる。さらに、第2供給部138から所定量の水の供給を行いさらに第3供給部228から所定量の電解水の供給を行う処理である供給処理を複数回繰り返すことで、電解水と水が混ざって加湿槽300内の希釈された電解水の濃度の斑をさらに低減できる。
【0045】
(4)再起処理
再起処理は、渇水フロート260が渇水を検知した場合、つまり電解槽200の電解水が渇水した場合において、通常処理を再度実行するための処理である。加湿槽300に第1濃度の電解水を供給してから、渇水フロート260により渇水が検知されると、制御部500は、第1供給部128による電解槽200への水の供給を開始する。つまり、制御部500は、電解槽200が渇水するまで、電解槽200に水を供給しない。これは、水を供給しないことによって、電解槽200における電解水の濃度を第1濃度で維持するためである。また、電解槽200に古い電解水が残りにくくすることによって、無機塩類化合物等の不純物を電解槽200に残りにくくするためである。これにより、電解槽200の手入れ頻度が減少する。
【0046】
ここで、制御部500は、初期処理と同様に、第1ポンプ120を動作させることによって、貯水槽100の水を電解槽200に供給する。制御部500は、第1供給部128からの水の供給のタイミングと、電解促進剤投入部400により電解促進剤410を投入口404から電解槽200の供給領域240に向かって投下させる投入タイミングを一致させる。制御部500は、第1ポンプ120を動作させることによって、貯水槽100の水を継続的に電解槽200に供給する。水の供給は、満水フロート250が満水を検知するまでなされる。また、制御部500は、電極部210に通電を実行することによって、第2濃度の電解水を生成してから、第2濃度の電解水を電解槽200から加湿槽300に供給する。つまり、初期処理の一部と同一の処理が実行される。これに続いて、通常処理が実行される。
【0047】
再起処理を実行する際、初期処理を実行する際と異なって、加湿槽300には電解水が存在する。そのため、第2濃度の電解水を生成して、第2濃度の電解水を電解槽200から加湿槽300に供給する処理が省略されてもよい。以下にて詳細に説明する。
【0048】
制御部500は、第1ポンプ120を動作させることによって、貯水槽100の水を電解槽200に供給する。制御部500は、第1供給部128からの水の供給のタイミングと、電解促進剤投入部400により電解促進剤410を投入口404から電解槽200の供給領域240に向かって投下させる投入タイミングを一致させる。制御部500は、貯水槽100の水を電解槽200が満水になるまで供給せずに一定期間待機する。待機期間は、10分間、つまり初期処理における電気分解の時間よりも短くてもよく、長くてもよい。その後、制御部500は、電解槽200が満水になるまで、水の供給を実行する。これに続いて、通常処理が実行される。つまり、電気分解により、第2濃度の電解水が生成されずに、第1濃度の電解水が生成される。
【0049】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROMなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に提供されてもよい。
【0050】
本実施例によれば、貯水槽100、電解槽200、加湿槽300に分けられるので、電極部210が使用する電解槽200の水に対する気液接触の発生を抑制できる。また、電解槽200の水に対する気液接触の発生が抑制されるので、電解槽200の水を汚れにくくできる。また、電解槽200の水が汚れにくくなるので、電極の劣化を抑制できる。また、第2濃度の電解水を加湿槽300に供給して散布するので、電解水を散布するまでの期間を短縮できる。また、第2濃度の電解水に続いて第1濃度の電解水を生成するので、所望の濃度の電解水を散布できる。また、供給領域240に向かって電解促進剤410を投入するとともに、供給領域240に向かって水を供給するので、水の圧力により電解促進剤410の溶解を進めることができる。
【0051】
また、渇水検知がなされると、第1供給部128によって電解槽200に水を供給するので、渇水検知がなされるまで水の供給を不要にできる。また、渇水検知がなされるまで水の供給が不要になるので、電解槽200における電解水の濃度を維持できる。また、渇水検知がなされるまで水の供給が不要になるので、電解槽200に残った不純物を流すことができる。再起処理として初期処理の一部を実行するので、動作を簡易にできる。再起処理として第2濃度の電解水を生成しないので、第1濃度の電解水を効率的に生成できる。
【0052】
また、高濃度の電解水が加湿槽300に入る前に加湿槽300に水が供給されるので、高濃度の電解水による加湿槽300周辺の部品劣化の可能性を低減することができる。
【0053】
また、高濃度の電解水が加湿槽300に入る前後に加湿槽300に水が供給されるので、高濃度の電解水による加湿槽300周辺の部品劣化の可能性を低減することができる。また、電解水と水が混ざりやすくなるので、加湿槽300内の希釈された電解水の濃度の斑を低減できる。
【0054】
また、加湿槽300に所定量の水が供給されてさらに所定量の高濃度の電解水が供給される処理を複数回繰り返すことで、加湿槽300を水と電解水の混合水で満水の状態にされるので、高濃度の電解水による加湿槽300周辺の部品劣化の可能性を低減することができる。また、電解水と水がさらに混ざりやすくなるので、加湿槽300内の希釈された電解水の濃度の斑をさらに低減できる。
【0055】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0056】
(変形例1)
実施例において渇水フロート260は、フロートにおける磁石の位置により渇水を検知する。しかしながらこれに限らず例えば、定量升224で電解水を供給した回数をもとに渇水が検知されてもよい。例えば、電解槽200が1000mlであり、定量升224が250mlである場合、定量升224で電解水を4回供給した場合に渇水が検知される。本変形例によれば、構成の自由度を増加できる。
【0057】
(変形例2)
実施例では、水源部として貯水槽100が記載されている。また、第1供給部として第1ポンプ120と第1給水管122と供給口124が記載されている。また、第2供給部として第2ポンプ130と第2給水管132が記載されている。また、第3供給部として、第3ポンプ220と第3給水管222と定量升224と第3給水管226が記載されている。また、散布部としてファンとフィルタが記載されている。また、投入部として電解促進剤投入部400が記載され、投入部により電解促進剤410が投入される旨が記載されている。
【0058】
変形例2では、水源部、第1供給部、第2供給部、第3供給部、散布部、および投入部の構成等が異なる。以下、実施例との差異を中心に、図5を参照して説明する。図5は、電解水散布装置2000の内部構成を示す。電解水散布装置2000は、第1送水管601と、第1電磁弁602と、第2送水管603と、第2電磁弁604と、電解促進溶液搬送ポンプ605と、第3送水管606と、塩水タンク607と、電極部608と、電解水搬送ポンプ609と、第4送水管610と、電解槽611と、加湿槽612と、遠心破砕ユニット613と、を備える。
【0059】
水源部は、外部の水道管から供給される水道水である。第1供給部は、第1送水管601と第1電磁弁602とで構成される。第1供給部は、制御部からの出力信号に応じて、電解槽611に水道水を供給する。第1電磁弁602は、制御部からの出力信号に応じて、水源部から第1送水管601に水道水を流すか否か制御する。第1送水管601は、第1電磁弁602と電解槽611との間に接続され、水道水を電解槽611に向けて送水するための管である。
【0060】
第2供給部は、第2送水管603と第2電磁弁604とで構成される。第2供給部は、制御部からの出力信号に応じて、加湿槽612に水道水を供給する。第2電磁弁604は、制御部からの出力信号に応じて、水源部から第2送水管603に水道水を流すか否か制御する。第2送水管603は、第2電磁弁604と加湿槽612との間に接続され、水道水を加湿槽612に向けて送水するための管である。
【0061】
投入部は、電解促進溶液搬送ポンプ605と第3送水管606とで構成される。電解促進溶液搬送ポンプ605により、電解促進溶液が第3送水管606から電解槽611に投入される。電解促進溶液の一例は塩水(塩化ナトリウム水溶液)であり、例えば食塩水が塩水タンク607に格納されている。塩水タンク607は、食塩水を貯める。
【0062】
投入部は、制御部からの投入信号を受けて電解促進溶液搬送ポンプ605により電解槽611に食塩水を投入する。制御部からは同時に水源部である水道水を第1供給部により電解槽611に供給する供給信号が送られ、電解槽611では水道水と食塩水とが混合される。そして、電解槽611内の電極部608による混合された塩水の電気分解が行われ、第1濃度または第2濃度の電解水が生成される。
【0063】
ここで、制御部は、投入部(電解促進溶液搬送ポンプ605)からの食塩水の投入タイミングと、第1供給部からの水道水の供給のタイミングと、を一致させている。電解促進溶液の投入タイミングと水道水の供給タイミングが一致することで、水道水を入れながら食塩水を入れることができ、食塩水の溶解が促進される。溶解の促進は、すなわち電解水の生成時間の短縮に寄与できる。また、溶解が促進されるため、電解槽611は電気分解しやすい状態となるため、電極寿命の劣化が抑制される。
【0064】
第3供給部は電解水搬送ポンプ609と第4送水管610とで構成される。電解水搬送ポンプ609は、制御部からの出力信号に応じて電解槽611の電解水を第4送水管610に送り出す。第4送水管610は、電解水搬送ポンプ609と加湿槽612との間に接続され、電解水を加湿槽612に向けて送水するための管である。このような構成においても、加湿槽612を電解水と水とで混合することができる。加湿槽612にて電解水と水とが混合された混合水は希釈された電解水である。
【0065】
制御部は、第3供給部からの電解水の供給を行う前に、第2供給部からの水道水の供給を行う。また、制御部は、第3供給部からの電解水の供給を行う前後に、第2供給部からの水道水の供給を行ってもよい。また、制御部は、第2供給部から所定量の水道水の供給を行いさらに第3供給部から所定量の電解水の供給を行う処理である供給処理を複数回繰り返すことで、加湿槽612を水道水と電解水の混合水で満水にしてもよい。これにより、加湿槽612周辺の部品劣化の可能性を低減することができる。また、電解水と水道水が混ざって加湿槽612内の希釈された電解水の濃度の斑を低減できる。
【0066】
散布部は、遠心破砕ユニット613が設けられる。散布部は、電解水散布装置2000の内部に取り入れられた空気に対して微細化された混合水を含ませる。具体的には、遠心破砕ユニット613が加湿槽612に貯められた混合水を遠心破砕により微細化して、微細化された混合水がファン等(図示せず)により内部に取り入れた空気中に放出される。微細化された混合水は、液体成分が蒸発した状態で空気と共にファン等により外部へ放出される。散布部は、モータ(図示せず)を用いて遠心破砕ユニット613を回転させ、加湿槽612に貯水されている混合水を遠心力で吸い上げて周囲(遠心方向)に飛散・衝突・破砕させ、通過する空気に水分を含ませる遠心破砕式の構成である。実施例との差異を中心に説明したため、各フロートについての説明は省略する。本変形例によれば、構成の自由度を増加できる。
【0067】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の電解水散布装置は、水を供給するための水源部と、電解促進剤または電解促進溶液を投入した水から電解水を生成するための電解槽と、から電解槽に水を供給する第1供給部と、電解槽にて電解水を生成する電極部と、水源部からの水と電解槽からの電解水とを混合させるための加湿槽と、水源部から加湿槽に水を供給する第2供給部と、電解槽から加湿槽に電解水を供給する第3供給部と、加湿槽の電解水を、吸気口から吸い込んだ空気に接触させて吹出口から散布する散布部と、電極部と散布部と第1供給部と第2供給部と第3供給部の制御を実行する制御部と、を備える。制御部は、第3供給部による加湿槽への電解水の供給と第2供給部による加湿槽への水の供給を行うことで、電解槽で生成した電解水を希釈させる。
【0068】
制御部は、第3供給部からの電解水の供給を行う前に、第2供給部からの水の供給を行ってもよい。
【0069】
制御部は、第3供給部からの電解水の供給を行う前後に、第2供給部からの水の供給を行ってもよい。
【0070】
制御部は、第2供給部から所定量の水の供給を行いさらに第3供給部から所定量の電解水の供給を行う処理である供給処理を複数回繰り返すことで、加湿槽を水と電解水の混合水で満水にしてもよい。
【0071】
電解槽に塩化物イオンを供給するための電解促進剤または電解促進溶液を投入する投入部を備え、制御部は、投入部による電解促進剤または電解促進溶液の投入タイミングと第1供給部からの水の供給タイミングを一致させてもよい。
【符号の説明】
【0072】
100 貯水槽
110 給水タンク
112 蓋
120 第1ポンプ
122 第1給水管
124 供給口
128 第1供給部
130 第2ポンプ
132 第2給水管
138 第2供給部
160 渇水フロート
200 電解槽
210 電極部
220 第3ポンプ
222 第3給水管
224 定量升
226 第3給水管
228 第3供給部
240 供給領域
250 満水フロート
260 渇水フロート
300 加湿槽
310 散布部
350 満水フロート
360 渇水フロート
370 排水フロート
400 電解促進剤投入部
404 投入口
410 電解促進剤
500 制御部
601 第1送水管
602 第1電磁弁
603 第2送水管
604 第2電磁弁
605 電解促進溶液搬送ポンプ
606 第3送水管
607 塩水タンク
608 電極部
609 電解水搬送ポンプ
610 第4送水管
611 電解槽
612 加湿槽
613 遠心破砕ユニット
1000 電解水散布装置
2000 電気水散布装置
図1
図2
図3
図4
図5