特開 2023-45228 スポークホイール

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023045228

(43)【公開日】2023-04-03

(54)【発明の名称】スポークホイール

(51)【国際特許分類】

   B60B 1/04 20060101AFI20230327BHJP

【ＦＩ】

B60B1/04 A

B60B1/04 H

【審査請求】未請求

【請求項の数】6

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021153507

(22)【出願日】2021-09-21

(71)【出願人】

【識別番号】000002082

【氏名又は名称】スズキ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100111202

【弁理士】

【氏名又は名称】北村 周彦

(74)【代理人】

【識別番号】100139365

【弁理士】

【氏名又は名称】中嶋 武雄

(74)【代理人】

【識別番号】100150304

【弁理士】

【氏名又は名称】溝口 勉

(72)【発明者】

【氏名】山本 隆世

(57)【要約】

【課題】スポークホイールの加工工数を減らして製造コストを低減する。
【解決手段】スポークホイール（１０）には、外周面にタイヤ（１１）が装着される円環状のリム（１３）と、リムの内側で車軸（１２）に支持される筒状のハブ（１４）と、リムとハブを連結する複数のワイヤスポーク（１５）と、が設けられている。リムには、複数のワイヤスポークを通す複数のスポーク穴（２６）と、複数のスポーク穴の一端側で複数のワイヤスポークの頭部（５１）を受ける支持面（３１）と、が形成されている。支持面がホイール回転方向に延在する溝形状である。
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

鞍乗型車両に用いられるスポークホイールであって、
外周面にタイヤが装着される円環状のリムと、
前記リムの内側で車軸に支持される筒状のハブと、
前記リムと前記ハブを連結する複数のワイヤスポークと、を備え、
前記リムには、前記複数のワイヤスポークを通す複数のスポーク穴と、前記複数のスポーク穴の一端側で前記複数のワイヤスポークの頭部を受ける支持面と、が形成され、
前記支持面がホイール回転方向に延在する溝形状であることを特徴とするスポークホイール。

【請求項2】

断面視にて前記支持面が溝底に向かって溝幅を狭めるように傾斜し、
前記複数のワイヤスポークの頭部底面がテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項１に記載のスポークホイール。

【請求項3】

断面視にて前記支持面が円弧溝状に形成されていることを特徴とする請求項２に記載のスポークホイール。

【請求項4】

前記リムは、前記複数のスポーク穴の他端側で当該複数のスポーク穴に開口縁に連なる面取り面を有し、
前記面取り面がホイール回転方向に延在する溝形状であることを特徴とする請求項１から請求項３のいずれか１項に記載のスポークホイール。

【請求項5】

前記リムの内周面から径方向内側に内周突出部が張り出しており、
前記内周突出部に前記複数のスポーク穴と前記支持面とが形成されていることを特徴とする請求項４に記載のスポークホイール。

【請求項6】

前記内周突出部が車軸方向に離間した一対の内周突出部であり、
前記一対の内周突出部には、車軸方向外側の外側面から車軸方向内側の内側面に前記複数のワイヤスポークを通す前記複数のスポーク穴が形成され、
前記一対の内周突出部の外側面には、前記複数のスポーク穴の一端側で前記複数のワイヤスポークの頭部を受ける前記支持面が形成され、
前記一対の内周突出部の内側面には、前記複数のスポーク穴の他端側で前記複数のスポーク穴に開口縁に連なる前記面取り面が形成されていることを特徴とする請求項５に記載のスポークホイール。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、スポークホイールに関する。

【背景技術】

【0002】

オフロードタイプの鞍乗型車両には、走行時の衝撃を吸収するためにスポークホイールが使用されることが多い。スポークホイールのリムには多数のワイヤスポークを通すためのスポーク穴が形成されている。この種のスポークホイールとして、リム底面から径方向内側に張り出した内周突出部にスポーク穴を形成するタイプや、リム外縁から径方向外側に張り出したフランジにスポーク穴を形成するタイプが知られている（例えば、特許文献１参照）。これらのリムのスポーク穴の形成時には、ワイヤスポークの頭部を収めるためにザグリ加工が施されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開昭６０－０１２３１４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

特許文献１に記載のリムは、専用工具を用いてスポーク穴毎にザグリ加工を実施しなければならず、加工工数が増加してスポークホイールの製造コストが増えるという問題があった。

【0005】

本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、加工工数を減らして製造コストを低減できるスポークホイールを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の一態様のスポークホイールは、鞍乗型車両に用いられるスポークホイールであって、外周面にタイヤが装着される円環状のリムと、前記リムの内側で車軸に支持される筒状のハブと、前記リムと前記ハブを連結する複数のワイヤスポークと、を備え、前記リムには、前記複数のワイヤスポークを通す複数のスポーク穴と、前記複数のスポーク穴の一端側で前記複数のワイヤスポークの頭部を受ける支持面と、が形成され、前記支持面がホイール回転方向に延在する溝形状であることで上記課題を解決する。

【発明の効果】

【0007】

本発明の一態様のスポークホイールによれば、複数のワイヤスポークの頭部が溝形状の支持面に収められる。支持面が溝形状に形成されることで、リムに対して複数のスポーク穴毎に専用工具を用いてザグリ加工を実施する必要がない。よって、リムの成形時に加工工数を減らしてコストを低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】本実施例のスポークホイールの斜視図である。

【図2】本実施例のスポークホイールの側面図である。

【図3】図２のスポークホイールをＡ－Ａ線に沿って切断した断面図である。

【図4】図２のスポークホイールをＢ－Ｂ線に沿って切断した断面図である。

【図5】第１の変形例のスポークホイールの断面模式図である。

【図6】第２の変形例のスポークホイールの断面模式図である。

【図7】第３の変形例のスポークホイールの斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

本発明の一態様のスポークホイールは、鞍乗型車両に用いられるものであり、外周面にタイヤが装着される円環状のリムと、リムの内側で車軸に支持される筒状のハブと、リムとハブを連結する複数のワイヤスポークと、を備えている。リムには、複数のワイヤスポークを通す複数のスポーク穴が形成されると共に、複数のスポーク穴の一端側で複数のワイヤスポークの頭部を受ける支持面がホイール回転方向に延在する溝形状に形成されている。この構成によれば、複数のワイヤスポークの頭部が溝形状の支持面に収められる。支持面が溝形状に形成されることで、リムに対して複数のスポーク穴毎に専用工具を用いてザグリ加工を実施する必要がない。よって、リムの成形時に加工工数を減らしてコストを低減することができる。

【実施例0010】

以下、添付図面を参照して、本実施例について詳細に説明する。図１は本実施例のスポークホイールの斜視図である。また、以下の図では、矢印ＦＲは前方、矢印ＲＥは後方、矢印Ｌは左方、矢印Ｒは右方をそれぞれ示している。

【0011】

図１に示すように、本実施例のスポークホイール１０は、鞍乗型車両のチューブレスタイヤ用のスポークホイールである。スポークホイール１０は、外周面にタイヤ１１が装着される円環状のリム１３と、リム１３の内側で車軸１２に支持される筒状のハブ１４と、リム１３とハブ１４を連結する複数のワイヤスポーク１５と、を備えている。ハブ１４からリム１３に向かって複数のワイヤスポーク１５が略放射状に延びており、複数のワイヤスポーク１５の張りによってスポークホイール１０に作用する荷重が支えられる。スポークホイール１０によって走行時の衝撃が吸収されると共に車輪の軽量化が図られている。

【0012】

リム１３の内周面から径方向内側に一対の内周突出部２３が張り出しており、一対の内周突出部２３には複数のワイヤスポーク１５を通すスポーク穴２６（図３参照）が形成されている。ハブ１４の車軸方向の両端部から径方向外側に一対のフランジ４１が張り出しており、一対のフランジ４１には複数のワイヤスポーク１５を保持する複数のスポークニップル４３が取り付けられている。一対の内周突出部２３には複数のワイヤスポーク１５の頭部５１が掛け止めされ、一対のフランジ４１の複数のワイヤスポーク１５には複数のワイヤスポーク１５の先端部がネジ止めされている。

【0013】

スポークホイール１０のリム１３は押出加工によって成形されている。このリム１３のスポーク穴２６の一端側にザグリ穴を形成するためには、スポーク穴２６毎にザグリ加工を実施しなければならない。また、リム１３のスポーク穴２６の他端側を面取りするためには、スポーク穴２６毎に面取り加工を実施しなければならない。そこで、本実施例のスポークホイール１０では、押出加工によるリム１３の成形時にホイール回転方向の溝形状が形付けられている。この溝形状がザグリ加工で形成されるザグリ穴及び面取り加工で形成される面取り面の代わりに用いられて加工工数が減らされている。

【0014】

図２から図４を参照して、スポークホイールの詳細構成について説明する。図２は本実施例のスポークホイールの側面図である。図３は図２のスポークホイールをＡ－Ａ線に沿って切断した断面図である。図４は図２のスポークホイールをＢ－Ｂ線に沿って切断した断面図である。

【0015】

図２及び図３に示すように、リム１３の底壁２１は、車軸方向の中央を窪ませた段状に形成されている。底壁２１の車軸方向の両端から一対の外周突出部２２が径方向外側に張り出しており、一対の外周突出部２２の内側にタイヤ１１のビードが嵌め込まれる。上記した一対の内周突出部２３は底壁２１の中央を挟んで離間しており、底壁２１の内周面から一対の内周突出部２３がレール状に張り出している。一対の内周突出部２３には複数のスポーク穴２６が形成されており、複数のスポーク穴２６には一対の内周突出部２３の車軸方向外側の外側面２４から車軸方向内側の内側面２５に複数のワイヤスポーク１５が通されている。

【0016】

ワイヤスポーク１５の頭部５１が内周突出部２３の外側面２４に突き当たり、ワイヤスポーク１５の首部５２がスポーク穴２６に入り込んでいる。内周突出部２３の内側面２５付近でワイヤスポーク１５が屈曲して、ワイヤスポーク１５の先端側が径方向内側に直線的に延びている。ワイヤスポーク１５の頭部５１から屈曲部５４まではハブ１４側に浅く傾けられ、ワイヤスポーク１５の屈曲部５４よりも先端側はハブ１４に向けて深く傾けられている。リム１３の車軸方向の一方側の内周突出部２３からハブ１４の車軸方向の他方側のフランジ４１に向かって、ワイヤスポーク１５がリム１３の車軸方向中心線Ｃを斜めに横切っている。

【0017】

断面視にてハブ１４の一対のフランジ４１は、ワイヤスポーク１５の先端側の延在方向に直交するように形成されている。ハブ１４の一対のフランジ４１には複数のニップル穴４２が形成されており、複数のニップル穴４２には複数のスポークニップル４３が取り付けられている。スポークニップル４３にはネジ穴が形成されており、スポークニップル４３のネジ穴にワイヤスポーク１５の先端の雄ネジがねじ込まれている。スポークニップル４３の頭部にはすり割りが付いており、スポークニップル４３がワイヤスポーク１５の先端に締め込まれることでワイヤスポーク１５の張力が調整される。

【0018】

図２及び図４に示すように、一対の内周突出部２３の外側面２４には、複数のスポーク穴２６の一端側で複数のワイヤスポーク１５の頭部５１を受ける支持面３１が形成されている。支持面３１はリム１３の押出成形時に内周突出部２３の外側面２４に形付けられた溝形状になっている。支持面３１は車軸１２を中心にした円形状に沿ってホイール回転方向に延在しており、ホイール回転方向に並んだ複数のワイヤスポーク１５の頭部５１が支持面３１に掛け止めされている。溝形状の支持面３１にワイヤスポーク１５の頭部５１が収容されて、ワイヤスポーク１５の頭部５１の突き出し量が抑えられている。

【0019】

断面視にて支持面３１の溝幅はスポーク穴２６の直径よりも大きく形成されており、支持面３１は溝底に向かって溝幅を狭めるように傾斜している。本実施例では断面視にて支持面３１が円弧溝状に形成されており、支持面３１の外縁３２側よりも支持面３１の内縁３３側に寄せてスポーク穴２６の一端が開口している。複数のワイヤスポーク１５の頭部底面５３はテーパ状に形成されている。これにより、ワイヤスポーク１５の頭部底面５３のテーパ角度に誤差が生じていても、テーパ状の頭部底面５３が円弧溝状の支持面３１によって安定して支持され易くなっている。

【0020】

一対の内周突出部２３の内側面２５には、複数のスポーク穴２６の他端側で複数のスポーク穴２６の開口縁に連なる面取り面３４が形成されている。面取り面３４はリム１３の押出成形時に内周突出部２３の内側面２５に形付けられた溝形状になっている。面取り面３４は車軸１２を中心にした円形状に沿ってホイール回転方向に延在しており、面取り面３４によってホイール回転方向に並んだ複数のスポーク穴２６の開口縁のシャープエッジが無くなっている。スポーク穴２６の開口縁のシャープエッジがワイヤスポーク１５に接することが無く、ワイヤスポーク１５に対する応力集中が緩和される。

【0021】

断面視にて面取り面３４の溝幅はスポーク穴２６の直径よりも大きく形成されており、面取り面３４は溝底に向かって溝幅を狭めるように傾斜している。本実施例では断面視にて面取り面３４は台形溝状に形成されており、面取り面３４の外縁３５と内縁３６の中央にスポーク穴２６の他端が開口している。スポーク穴２６の開口縁が面取り面３４の斜面に連なることで、スポーク穴２６の周辺がＣ面取りされたような形状に形成されている。なお、面取り面３４の溝形状を変更することによって、スポーク穴２６の周辺がＲ面取りされたような形状に形成されていてもよい。

【0022】

支持面３１によってスポーク穴２６への入口が広げられ、面取り面３４によってスポーク穴２６からの出口が広げられている。スポーク穴２６に対してワイヤスポーク１５が挿し込み易くなるため、ワイヤスポーク１５の屈曲部５４の曲げ角度を大きくしたり、ワイヤスポーク１５の屈曲部５４の曲げ半径を大きくしたりして、ワイヤスポーク１５のスポーク形状の自由度が向上される。また、一対の内周突出部２３の厚さを大きくして、一対の内周突出部２３の強度を向上させることができ、支持面３１及び面取り面３４の溝形状による内周突出部２３の強度の低下が抑えられる。

【0023】

リム１３の押出成形時には、一対の内周突出部２３の外側面２４に溝形状の支持面３１が形成され、一対の内周突出部２３の内側面２５に溝形状の面取り面３４が形成される。そして、内周突出部２３の外側面２４側から穴あけ加工が実施されて、支持面３１から面取り面３４に向かって複数のスポーク穴２６が形成される。スポーク穴２６毎のザグリ加工及び面取り加工が不要になって加工工数が低減される。特に面取り加工では一方の内周突出部２３の内側面２５に工具を当てる際に他方の内周突出部２３が邪魔になるが、押出成形によって面取り面３４が形成されることで作業性が悪化することがない。

【0024】

以上、本実施例によれば、複数のワイヤスポーク１５の頭部５１が溝形状の支持面３１に収められる。支持面３１が溝形状に形成されることで、リム１３に対して複数のスポーク穴２６毎に専用工具を用いてザグリ加工を実施する必要がない。また、面取り面３４によってスポーク穴２６の開口縁のシャープエッジが無くなって、複数のワイヤスポーク１５に対する応力集中が緩和される。また、面取り面３４が溝形状に形成されることで、リム１３に対して複数のスポーク穴２６毎に面取り加工を実施する必要がない。よって、リム１３の成形時に加工工数を減らしてコストを低減することができる。

【0025】

なお、本実施例では、リムの内周面に設けられた一対の内周突出部に複数のスポーク穴が形成されたが、リムには一対の内周突出部が設けられていなくてもよい。例えば、図５の第１の変形例に示すように、リム６１の車軸方向の両端から径方向外側に一対の外周突出部６２が張り出しており、一対の外周突出部６２に複数のスポーク穴６３が形成されていてもよい。この場合、一対の外周突出部６２が幅広に形成され、一対の外周突出部６２を径方向に複数のスポーク穴６３が貫通している。外周突出部６２の外周面に支持面６６が形成され、外周突出部６２の内周面に面取り面６７が形成されている。

【0026】

支持面６６及び面取り面６７は、本実施例と同様にリム６１の押出成形時に形付けられた溝形状によって形成されている。支持面６６によってスポーク穴６３の一端側でワイヤスポーク６８の頭部６９が掛け止めされ、面取り面６７によってスポーク穴６３の他端側でスポーク穴６３の開口縁のシャープエッジが無くされている。変形例に示す構成でも、リム６１の押出成形時に支持面６６及び面取り面６７が形成されることによって、複数のスポーク穴６３毎のザグリ加工及び面取り加工が不要になる。よって、リム６１の成形時に加工工数を減らしてコストを低減できる。

【0027】

また、本実施例では、リムの内周面に一対の内周突出部が設けられたが、リムの内周面に単一の内周突出部が設けられていてもよい。例えば、図６の第２の変形例に示すように、リム７１の内周面の車軸方向の中央から径方向内側に単一の内周突出部７２が張り出しており、内周突出部７２に複数のスポーク穴７３が形成されていてもよい。この場合、内周突出部７２が幅広に形成されており、内周突出部７２を車軸方向に複数のスポーク穴７３が貫通している。内周突出部７２の両側面７４に一対の支持面７５が形成されており、この一対の支持面７５は面取り面としても機能している。

【0028】

一対の支持面７５は、本実施例と同様にリム７１の押出成形時に形付けられた溝形状によって形成されている。一方の支持面７５によってスポーク穴７３の一端側でワイヤスポーク７６の頭部７７が掛け止めされ、他方の支持面７５によってスポーク穴７３の他端側でスポーク穴７３の開口縁のシャープエッジが無くされている。変形例に示す構成でも、リム７１の押出成形時に一対の支持面７５が形成されることによって、複数のスポーク穴７３毎のザグリ加工及び面取り加工が不要になる。よって、リム７１の成形時に加工工数を減らしてコストを低減できる。

【0029】

また、本実施例では、リムの内周面に内周突出部が全周に亘って設けられたが、リムの内周面に内周突出部が部分的に設けられてもよい。例えば、図７の第３の変形例に示すように、多数の内周突出部８２がリム８１の内周面に沿って並んでいてもよい。この場合、個々の内周突出部８２にスポーク穴８３が形成され、内周突出部８２を車軸方向に複数のスポーク穴８３が貫通している。また、本実施例と同様に、内周突出部８２の外側面８４には、スポーク穴８３の一端側でワイヤスポーク１５の頭部５１を受ける支持面８５が形成されている。あるいは、図示しないが第２の変形例と同様に、リムの内周面に沿って１列に並んだ多数の内周突出部の両側面に一対の支持面が形成されていてもよい、この一対の支持面は面取り面としても機能する。

【0030】

また、本実施例では、チューブレスタイヤ用のスポークホイールを例示したが、チューブタイヤ用のスポークホイールでもよい。この場合、リムの底壁にスポーク穴が形成されて、リムに内周突出部が形成されていなくてもよい。

【0031】

また、本実施例では、リムの押出成形時に溝形状の支持面及び面取り面が形成されたが、溝形状の支持面及び面取り面の形成方法は限定されない。例えば、リムの押出成形後に切削加工によって溝形状の支持面及び面取り面が形成されてもよい。

【0032】

また、本実施例では、リムに溝形状の支持面及び面取り面が形成されたが、リムには少なくとも溝形状の支持面が形成されていればよい。

【0033】

また、本実施例では、断面視にて支持面が円弧溝状に形成されたが、支持面はワイヤスポークの頭部を受ける溝形状であればよい。例えば、断面視にて支持面は角溝状に形成されていてもよい。

【0034】

また、スポークホイールは、鞍乗型車両に限らず、他の車両に採用されてもよい。また、鞍乗型車両とは、自動二輪車に限定されず、自転車も含んでいる。

【0035】

以上の通り、本実施例のスポークホイール（１０）は、鞍乗型車両に用いられるスポークホイールであって、外周面にタイヤ（１１）が装着される円環状のリム（１３）と、リムの内側で車軸（１２）に支持される筒状のハブ（１４）と、リムとハブを連結する複数のワイヤスポーク（１５）と、を備え、リムには、複数のワイヤスポークを通す複数のスポーク穴（２６）と、複数のスポーク穴の一端側で複数のワイヤスポークの頭部を受ける支持面（３１）と、が形成され、支持面がホイール回転方向に延在する溝形状である。この構成によれば、複数のワイヤスポークの頭部が溝形状の支持面に収められる。支持面が溝形状に形成されることで、リムに対して複数のスポーク穴毎に専用工具を用いてザグリ加工を実施する必要がない。よって、リムの成形時に加工工数を減らしてコストを低減することができる。

【0036】

本実施例のスポークホイールにおいて、断面視にて支持面が溝底に向かって溝幅を狭めるように傾斜し、複数のワイヤスポークの頭部底面（５３）がテーパ状に形成されている。この構成によれば、ワイヤスポークのテーパ状の頭部底面が支持面の斜面によって安定して支持される。

【0037】

本実施例のスポークホイールにおいて、断面視にて支持面が円弧溝状に形成されている。この構成によれば、ワイヤスポークの頭部底面のテーパ角度に誤差があっても、ワイヤスポークのテーパ状の頭部底面が支持面に安定して支持され易くなる。

【0038】

本実施例のスポークホイールにおいて、リムは、複数のスポーク穴の他端側で当該複数のスポーク穴に開口縁に連なる面取り面（３４）を有し、面取り面がホイール回転方向に延在する溝形状である。この構成によれば、スポーク穴の開口縁のシャープエッジが無くなって、複数のワイヤスポークに対する応力集中が緩和される。また、面取り面が溝形状に形成されることで、リムに対して複数のスポーク穴毎に面取り加工を実施する必要がない。よって、リムの成形時に加工工数を減らしてコストを低減することができる。

【0039】

本実施例のスポークホイールにおいて、リムの内周面から径方向内側に内周突出部（２３）が張り出しており、内周突出部に複数のスポーク穴と支持面とが形成されている。この構成によれば、頭部側を屈曲したワイヤスポークによってリムの内周突出部とハブが連結される。

【0040】

本実施例のスポークホイールにおいて、内周突出部が車軸方向に離間した一対の内周突出部であり、一対の内周突出部には、車軸方向外側の外側面から車軸方向内側の内側面に複数のワイヤスポークを通す複数のスポーク穴が形成され、一対の内周突出部の外側面（２４）には、複数のスポーク穴の一端側で複数のワイヤスポークの頭部を受ける支持面が形成され、一対の内周突出部の内側面（２５）には、複数のスポーク穴の他端側で複数のスポーク穴に開口縁に連なる面取り面が形成されている。この構成によれば、一対の内周突出部の外側面に対するスポーク穴毎のザグリ加工が不要になると共に、一対の内周突出部の内側面に対するスポーク穴毎の面取り加工が不要になる。特に、リムの押出成形時に面取り面が形成されるため、一般的な面取り加工とは異なり、一方の内周突出部の内側面に面取り面を形成する際に他方の内周突出部が邪魔になることがない。

【0041】

なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。

【0042】

また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。

【符号の説明】

【0043】

１０：スポークホイール
１１：タイヤ
１２：車軸
１３：リム
１４：ハブ
１５：ワイヤスポーク
２３：内周突出部
２４：内周突出部の外側面
２５：内周突出部の内側面
２６：スポーク穴
３１：支持面
３４：面取り面
５１：頭部
５３：頭部底面

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】