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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045237
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20230327BHJP
   E04H 1/04 20060101ALI20230327BHJP
   E04D 13/03 20060101ALI20230327BHJP
   E04B 7/18 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
E04H1/02
E04H1/04 Z
E04D13/03 Z
E04B7/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153519
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】那須 一滋
(72)【発明者】
【氏名】古賀 博隆
(72)【発明者】
【氏名】野口 豊樹
(72)【発明者】
【氏名】西 紀史
(72)【発明者】
【氏名】細川 英雄
(72)【発明者】
【氏名】西塔 純人
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025AA15
(57)【要約】
【課題】連窓の天窓を勾配屋根の任意の箇所に設けることが可能な住宅を提供すること。
【解決手段】住宅(1)は、勾配屋根(2)を有する。勾配屋根(2)は、桁行方向(A1)に延びる棟木(3)と、棟木の下方に位置し、桁行方向に延びる軒桁(4)と、棟木と軒桁との間に設けられ、桁行方向に延びる複数の母屋(5)と、棟木、軒桁、および母屋の上に掛け渡され、軒桁の下方に軒先を形成する複数の垂木(6)と、複数の垂木のうち間隔をあけて位置する2本の垂木(61,63)によって、その両端部が支持される天窓(81,91)を桁行方向に連ねた連窓(9)とを備える。垂木のうち天窓を支持する垂木(61,62,63)は、それ以外の垂木(64)と比較して強度が高められた構造である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
勾配屋根を有する住宅において、
前記勾配屋根は、
桁行方向に延びる棟木と、
前記棟木の下方に位置し、桁行方向に延びる軒桁と、
前記棟木と前記軒桁との間に設けられ、桁行方向に延びる複数の母屋と、
前記棟木、前記軒桁、および前記母屋の上に掛け渡され、前記軒桁の下方に軒先を形成する複数の垂木と、
前記複数の垂木のうち間隔をあけて位置する2本の垂木によって、その両端部が支持される天窓を桁行方向に連ねた連窓とを備え、
前記垂木のうち前記天窓を支持する垂木は、それ以外の垂木と比較して強度が高められた構造である、住宅。
【請求項2】
前記天窓を支持する垂木は、複数の垂木の集合体である、請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
前記天窓を支持する垂木は、前記垂木の強度を高めるための補強板を含む、請求項1または2に記載の住宅。
【請求項4】
前記複数の天窓の間に位置する垂木は、前記連窓の側部に位置する垂木と比較して強度が高められた構造である、請求項1~3のいずれかに記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、住宅に関し、特に勾配屋根を有する住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、傾斜屋根の一部に太陽光を屋内空間に取り込むための連窓のトップライト(天窓)を設けることが知られている。
【0003】
特開平11-324248号公報(特許文献1)には、勾配屋根に取り付けられる連窓の天窓が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-324248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の連窓の天窓は、野地板の開口部に嵌め込まれるものであるが、勾配屋根の任意の箇所に設けるためには、更なる検討が必要である。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、連窓の天窓を勾配屋根の任意の箇所に設けることが可能な住宅を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある局面による住宅は、勾配屋根を有する住宅において、勾配屋根は、桁行方向に延びる棟木と、棟木の下方に位置し、桁行方向に延びる軒桁と、棟木と軒桁との間に設けられ、桁行方向に延びる複数の母屋と、棟木、軒桁、および母屋の上に掛け渡され、軒桁の下方に軒先を形成する複数の垂木と、複数の垂木のうち間隔をあけて位置する2本の垂木によって、その両端部が支持される天窓を桁行方向に連ねた連窓とを備え、垂木のうち天窓を支持する垂木は、それ以外の垂木と比較して強度が高められた構造である。
【0008】
好ましくは、天窓を支持する垂木は、複数の垂木の集合体である。
【0009】
好ましくは、天窓を支持する垂木は、垂木の強度を高めるための補強板を含む。
【0010】
好ましくは、複数の天窓の間に位置する垂木は、連窓の側部に位置する垂木と比較して強度が高められた構造である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の住宅によれば、連窓の天窓を勾配屋根の任意の箇所に設けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態1に係る勾配屋根を備える住宅の骨組みを模式的に示す図であり、(A)は部分斜視図であり、(B)は天窓周辺を拡大して示す平面図である。
図2図1(B)のII線から見た断面図である。
図3図2の一部分を拡大して示す断面図である。
図4図1(B)のIV線から見た断面図である。
図5】屋内空間の一例を示す模式図である。
図6】本実施の形態2に係る勾配屋根を備える住宅の骨組みを模式的に示す図であり、(A)は部分斜視図であり、(B)は天窓周辺を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0014】
<実施の形態1について>
(概要について)
図1(A),(B)を参照しながら、本実施の形態に係る住宅1について説明する。図1(A)は、本実施の形態1に係る勾配屋根を備える住宅の骨組みを模式的に示す部分斜視図である。図1(A)では、勾配屋根の骨組みを一部分のみ示している。図1(B)は、図1(A)の連窓周辺を拡大して示す平面図である。
【0015】
住宅1は、人が居住するための建物である。住宅1は、一般的には木造構造であり、複数の木材で構成されている。住宅1は、典型的には戸建て住宅であるが、複数の独立した住戸を備える集合住宅(たとえば、長屋など)であってもよい。住宅1は、複数階建てであってもよいし、1階建てであってもよい。
【0016】
図1(A)において図示は省略するが、住宅1は、地面に打設された基礎に対して設けられた土台と、この土台から上方に突出し、住宅1の外壁(外壁)に沿って設けられた複数の柱と、水平方向に延び、複数の柱の上に架け渡されて勾配屋根2の荷重を柱に伝える梁とが設けられている。
【0017】
住宅1は、勾配屋根2を有している。図1(A)において、勾配屋根2として寄棟屋根が表されているが、たとえば切妻屋根、片流れ屋根など、屋根の一部に上方から下方に向かって傾斜する屋根が設けられるものであればよい。
【0018】
(勾配屋根について)
本実施の形態における勾配屋根2について詳しく説明する。勾配屋根2は、桁行方向に延びる棟木3と、棟木3の下方に位置し、桁行方向に延びる軒桁4と、棟木3と軒桁4との間に設けられ、桁行方向に延びる複数の母屋5と、棟木3、軒桁4、および母屋5の上に掛け渡され、軒桁4の下方に軒先60を形成する複数の垂木6とを備える。図1(B)において、桁行方向を矢印A1で示している。勾配屋根2の勾配は、6.0寸以下であることが好ましい。
【0019】
棟木3は、勾配屋根2の最も高い位置に設けられており、棟木3により勾配屋根2の頂部が支えられている。
【0020】
軒桁4は、棟木3と平行に設けられ、勾配屋根2の最も低い位置に設けられている。軒桁4は、上述した複数の柱部により支持されている。これにより、軒桁4は、住宅1の外壁(外周)に沿って設けられている。
【0021】
複数の母屋5は、棟木3と軒桁4との間に平行に設けられる。図1(A)に示す一例では、母屋5は、最下段の第1母屋51と、最上段の第3母屋53と、それらの間に設けられる第2母屋52との3本設けられるが、これに限定されるものではない。母屋5は、少なくとも1本以上設けられていればよい。なお、最下段の第1母屋51は、軒桁4に最も隣接する母屋である。
【0022】
複数の垂木6は、上端縁が棟木3の上に支持され(図1(A))、下端縁は破風下地54に支持され(図1(B))、下端部が軒桁4上に支持されている(図1(A),(B))。これにより、垂木6は、軒桁4よりも下方に軒先60を形成する。つまり、垂木6の下方において、住宅1の壁から外方に突出する庇が形成される。庇の長さL1(軒桁4から下方に向かって突出する長さ)は、強度の関係から、1000cm以下、好ましくは990cm以下である。破風下地54は、桁行方向に沿って延びており、連窓8と向かい合う位置では分断されていないことが好ましい。図4に特に示すように、破風下地54の屋外側には、雨水を受けて外方に流すための軒樋55(破線で示す)が桁行方向に沿って設けられていてもよい。
【0023】
複数の垂木6は、棟木3、軒桁4、および母屋5に対して直交して設けられ、図1(A)に示す一例では、5本設けられているが、これに限定されるものではない。また、図4に示すように、垂木6の上方には野地板21が配置され、野地板21の上方には、複数の屋根材22が敷き詰められる。複数の垂木6については、後述する。
【0024】
(連窓について)
軒桁4と最下段の母屋51との間には、連窓8が設けられる。連窓8は、桁行方向に天窓を連ねたものであり、第1天窓81と、第2天窓91とを含む。本実施の形態では、天窓が2つ連ねられているが、これに限定されず、2つ以上設けられていてもよい。第1,2天窓81,91は、太陽光を屋内空間に効率よく取り入れるための窓である。第1,2天窓81,91は、閉じられた窓(FIX窓)であってもよいし、開閉可能な窓であってもよい。第1,2天窓81,91は、同一形状であることが好ましいが、桁行方向の幅、または桁行方向と直交する方向の幅が異なっていてもよい。つまり、天窓81,91の少なくとも一部が桁行方向に重なっていればよい。
【0025】
図1(B)を特に参照して、第1天窓81は、被覆部82と、被覆部82を取り囲む上枠83、下枠84、左枠85、および右枠86とを含む。同様に、第1天窓81の桁行方向の左側に位置する第2天窓91は、被覆部92と、被覆部92を取り囲む上枠93、下枠94、左枠95、および右枠96とを含む。被覆部82,92は、太陽光の少なくとも一部を透過可能とする高い透光性を有する。被覆部82,92は、典型的には透明のガラスで構成された面状部材である。
【0026】
(垂木について)
さらに図2~4を参照して、複数の垂木6について詳細に説明する。図2は、図1(B)のII線から見た断面図であり、図3は、図2の一部分を拡大して示す断面図であり、図4は、図1(B)のIV線から見た断面図である。
【0027】
上述のように、垂木6は複数本設けられる。理解容易の為、図1(A)に示すように、桁行方向の右側に位置する垂木から順に第1垂木61、第2垂木62、第3垂木63、第4垂木64とし、第1垂木61と第2垂木62の間に設けられる補助垂木を第1補助垂木71、第2垂木62と第3垂木63の間に設けられる補助垂木を第2補助垂木72として説明する。これらの垂木61~64および補助垂木71,72の桁行方向の間隔は、等間隔であることが好ましい。
【0028】
連窓8は、複数の垂木のうち間隔をあけて位置する2本の垂木によって、その両端部が支持される。具体的には、連窓8は、その両端部が第1垂木61と第3垂木63により固定されている。さらに、連窓8を構成する第1天窓81と第2天窓91との間は、第2垂木62により固定されている。
【0029】
連窓8を支持する第1~3垂木61~63は、それ以外の垂木(図1(B)では第4垂木64)と比較して強度が高められた構造である。具体的には、第1~3垂木61~63は、複数の垂木の集合体である。より具体的には、図2に示すように、第1垂木61は、3本の棒状垂木61a,61b,61cが桁行方向に重ねられ、密着した形状である。同様に、第2垂木62は、3本の棒状垂木62a,62b,62cが桁行方向に重ねられ、密着した形状であり、第3垂木63は、3本の棒状垂木63a,63b,63cが桁行方向に重ねられ、密着した形状である。なお、上述した棒状垂木61a~61c,62a~62c,63a~63cは、第4垂木64と同一形状であることが好ましい。
【0030】
第1垂木61を構成する3本の棒状垂木61a,61b,61cは、桁行方向に位置する側面同士が接着剤で接着されていてもよいし、たとえばビスなどで固定されていてもよい。第2垂木62を構成する棒状垂木62a,62b,62c、および、第3垂木63を構成する棒状垂木63a,63b,63cについても同様である。なお、図1(A)では、第1~3垂木61~63は、簡略化して示されているが、実際は図1(B)および図2に示すように複数の棒状の垂木が重ねられている。
【0031】
図1(A),(B)に示すように、第1天窓81を支持する第1,2垂木61,62の間には、第1天窓81で分断される1本の第1補助垂木71が設けられている。同様に、第2天窓91を支持する第2,3垂木62,63の間には、第2天窓91で分断される1本の第2補助垂木72が設けられている。本実施の形態では、天窓81,91を支持する垂木61,62または垂木62,63の間に、補助垂木71,72が1本ずつ設けられているが、補助垂木71,72は必ずしも設けられていなくてもよいし、2本以上設けられていてもよい。
【0032】
特に図1(B),図4に示すように、第1補助垂木71は第1天窓81を挟んで上下に2つに分断されている。上の方の第1補助垂木71の下端は、第1天窓81の上枠83に当接し、下の方の第1補助垂木71の上端は、第1天窓81の下枠84に当接している。同様に、図1(B)に示すように、第2補助垂木72は第2天窓91を挟んで上下に2つに分断されている。上の方の第2補助垂木72の下端は、第2天窓91の上枠93に当接し、下の方の第2補助垂木72の上端は、第2天窓91の下枠94に当接している。
【0033】
次に、第1天窓81の桁行方向の右側の固定について説明する。図1(B)に示すように、桁行方向の右側に位置する第1天窓81の右枠86は、第1垂木61の棒状垂木61cに支持される。具体的には、図2に示すように、棒状垂木61cは右側受桟木41に固定されており、右枠86は第1水切り31を介してビスなどで右側受桟木41に固定されている。なお、棒状垂木61cは、右側受桟木41だけでなく、ビスなどを介して右側野際受け43に固定されていることが好ましい。
【0034】
第2天窓91の桁行方向の左側の固定について説明する。図1(B)に示すように、桁行方向の左側に位置する第2天窓91の左枠95は第3垂木63の棒状垂木63aに支持される。具体的には、図2に示すように、棒状垂木63aは左側受桟木42に固定されており、左枠95は第2水切り32を介してビスなどで左側受桟木42に固定されている。なお、棒状垂木63aは、左側受桟木42だけでなく、ビスなどを介して左側野際受け44に固定されていることが好ましい。
【0035】
最後に、第1天窓81と第2天窓91間の固定について説明する。図1(B)に示すように、桁行方向の右側に位置する第1天窓81の左枠85は第2垂木62の棒状垂木62aに支持され、桁行方向の左側に位置する第2天窓91の右枠96は第2垂木62の棒状垂木62cに支持される。具体的には、図2に示すように、第1天窓81の左枠85と第2天窓91の右枠96との間には、U字形状の第3水切り33が設けられており、第3水切り33を介して、第1天窓81の左枠85は棒状垂木62aに固定され、第2天窓91の右枠96は棒状垂木62cに固定されている。
【0036】
図3を参照して、第1天窓81と第2天窓91間に位置する第2垂木62について詳細に説明する。第2垂木62は、垂木の強度を高めるための補強板65を含む。本実施の形態では、補強板65は、たとえば鋼板、合成樹脂などで形成された板状部材であり、4枚設けられる。補強板65は、第2垂木62の長手方向に沿って設けられ、第2垂木62長手方向の寸法と同一寸法である。具体的には、第1棒状垂木62aの桁行方向の右側には第1補強板65aが設けられ、第1棒状垂木62aと第2棒状垂木62bの間には第2補強板65bが設けられ、第2棒状垂木62bと第3棒状垂木62cの間には第3補強板65cが設けられ、第3棒状垂木62cの桁行方向の左側には第4補強板65dが設けられる。これらの補強板65a~65dは、桁行方向にビスなどが貫通されることで棒状垂木62a~62cに固定されることが好ましい。このように、第2垂木62の両側と棒状垂木62a,62b,62cの間に、補強板65がそれぞれ設けられることで、第2垂木62の長手方向の強度を向上させることができる。
【0037】
同図を参照して、第1棒状垂木62aは、ビスなどを介して第1下地桟木45に固定されている。同様に、第3棒状垂木62cは、ビスなどを介して第2下地桟木46に固定されている。さらに、第2垂木62、第1下地桟木45、および第2下地桟木46は、石膏ボード47,48,49により、その三方が囲まれていることが好ましい。
【0038】
(屋内空間について)
図5を参照して、軒桁4と最下段の母屋51の間に連窓8を設けた場合の屋内空間について説明する。図5には、屋内空間の一例を示す模式図が示されている。図5において、連窓8から光が差し込んでいる以外の部分を薄墨で示している。
【0039】
軒桁4と最下段の母屋51の間、すなわち住宅1の外壁に近い位置に連窓8を設けると、図5に示すように、屋内空間が視覚的に明るくなり、劇的な空間演出が可能となる。特に、住宅1の外壁に近い位置で、かつ入隅部に連窓8を設けると、屋内空間の壁の二面に連窓8から差し込む太陽光を美しく照らし出すことが可能となる。住宅1が複数階建ての場合、階段は外壁際に設けられることが多いため、階段付近をさらに明るく、ドラマチックな空間に演出することが可能となる。
【0040】
また、天窓を配置する場合、天窓からの太陽光が差し込む壁面は、凹凸のない平坦面であることが好ましい。それにより、太陽光が壁面に当たり、太陽光で美しい屋内空間を演出することが可能となる。さらに、連窓8の太陽光が差し込む面の近傍には、他の窓を配置しないことが好ましい。これにより、余計な光で連窓8からの光が作り出す影とのグラデーションを崩さないため、より美しい屋内空間を演出することが可能となる。
【0041】
(作用について)
従来の勾配屋根は、その下端で軒先を形成する垂木が軒桁上に配置されるため、垂木にある程度の強度が求められている。しかし、軒桁上に天窓を配置すると、強度が不足してしまうという問題があり、軒桁上に天窓を配置することができなかった。本実施の形態では、連窓8を支持する垂木61,62,63を他の垂木と比較して強度を高めることで、軒桁4上に天窓81,91を配置することができる。
【0042】
2つの天窓81,91との間に位置する第2垂木62を、連窓8の側方に位置する第1,3垂木61,63よりも強度を持たせることで、2つ天窓81,91を桁行方向に連ねて連窓8とすることができる。さらに、連窓8を軒桁4よりも上方であれば任意の箇所に配置することができるため、空間デザインの幅を広げることができる。
【0043】
<実施の形態2について>
図6を参照して、本実施の形態に係る住宅1Aの構成例について説明する。以下に実施の形態1に示した住宅1との相違点のみ詳細に説明する。
【0044】
住宅1Aの勾配屋根2Aでは、第2母屋52と第3母屋53との間に連窓8Aが設けられている。連窓8Aは、3つの第1天窓81A、第2天窓91A、および第3天窓101Aが桁行方向に連続して配置されている。3つの第1天窓81A、第2天窓91A、および第3天窓101Aは、同一形状であることが好ましい。
【0045】
連窓8を支持する第1~3垂木61~63は、それ以外の垂木(図6(B)では第5垂木66A)と比較して強度が高められた構造である。具体的には、連窓8Aの桁行方向の右側に位置する第1垂木61A、および、連窓8Aの桁行方向の左側に位置する第4垂木64Aは、連窓8Aの間に位置する第2垂木62Aおよび第3垂木63Aよりも強度が高められた構造である。なお、本実施の形態の第1垂木61Aは、上述した実施の形態1の第1垂木61と同一であり、本実施の形態の第4垂木64Aは、上述した実施の形態1の第3垂木63と同一である。本実施の形態の第2垂木62Aおよび第3垂木63Aは、上述した実施の形態1の第2垂木62と同一である。
【0046】
隣り合う垂木の間には、2本の補助垂木が設けられている。具体的には、第1垂木61Aと第2垂木62Aの間には、2本の補助垂木71A,72Aが設けられ、第2垂木62Aと第3垂木63Aの間には、2本の補助垂木73A,74Aが設けられ、第3垂木63Aと第4垂木64Aの間には、2本の補助垂木75A,76Aが設けられる。これらの補助垂木71A~76Aは、上述した実施の形態1の補助垂木71,72と同一である。
【0047】
本実施の形態では、連窓8Aを支持していない他の垂木66Aよりも強度を高めた垂木61A~64Aにより連窓8Aを支持することができるため、勾配屋根2の任意の箇所に配置することができる。これにより、住宅1Aのレイアウトに合わせて、連窓8Aを配置することができるため、住宅1Aのレイアウトの幅を広げることができる。
【0048】
なお、上記実施の形態1,2において、軒桁4と最下段の母屋51との間には連窓8,8Aが設けられるとして説明したが、天窓が一つだけ設けられていてもよいし、間隔をあけて(複数の垂木を位置させて)複数設けられていてもよい。
【0049】
また、上記実施の形態1,2において、垂木6,6Aの強度を高めるために、複数の垂木の集合体にしたり、補強板を設けたりしたが、この構成に限定されない。たとえば、垂木6の強度を高めるために、木材ではなく、強度の高い材質で構成したり、木材の周囲を樹脂でコーティングしたりしてもよく、強度が高まる構成であれば限定されない。さらに、第2垂木62,62Aおよび第3垂木63Aを複数の垂木の集合体にし、さらに補強板を設けたが、いずれか一方で強度を高めてもよい。
【0050】
今回開示した上記各実施の形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した各実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲の記載と均等な意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1,1A 住宅、2,2A 勾配屋根、3 棟木、4 軒桁、5 母屋、6 垂木、8,8A 連窓、51 第1母屋、52 第2母屋、53 第3母屋、61,61A 第1垂木、62,62A 第2垂木、63,63A 第3垂木、64,64A 第4垂木、65 補強板、65a 第1補強板、65b 第2補強板、65c 第3補強板、65d 第4補強板、66A 第5垂木、71,72,71A,72A,73A,74A,75A,76A 補助垂木、81,81A 第1天窓、91,91A 第2天窓、101A 第3天窓。
図1
図2
図3
図4
図5
図6