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特開2023-46748ブタジエン製造用触媒、ブタジエンの製造装置、及びブタジエンの製造方法
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  • 特開-ブタジエン製造用触媒、ブタジエンの製造装置、及びブタジエンの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046748
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】ブタジエン製造用触媒、ブタジエンの製造装置、及びブタジエンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 21/08 20060101AFI20230329BHJP
   B01J 21/20 20060101ALI20230329BHJP
   B01J 38/12 20060101ALI20230329BHJP
   C07C 11/167 20060101ALI20230329BHJP
   C07C 1/24 20060101ALI20230329BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230329BHJP
【FI】
B01J21/08 Z
B01J21/20 Z
B01J38/12 B
C07C11/167
C07C1/24
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155520
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】柳橋 宣利
(72)【発明者】
【氏名】西山 悠
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA10
4G169BA02B
4G169BC52B
4G169CB20
4G169CB21
4G169CB63
4G169DA06
4G169EA02Y
4G169EB18X
4G169EB18Y
4G169EC03Y
4G169EC08Y
4G169EC14Y
4G169EC15Y
4G169ED03
4G169GA06
4H006AA02
4H006AA04
4H006AB46
4H006AB84
4H006AC25
4H006BA10
4H006BA30
4H006BA55
4H006BC10
4H039CA29
4H039CL25
(57)【要約】
【課題】触媒再生工程を含むブタジエン製造サイクルに用いられ、ブタジエンの製造効率を向上可能なブタジエン製造用触媒、ブタジエンの製造装置、及びブタジエンの製造方法の提供。
【解決手段】エタノールを含む原料からブタジエンを製造するブタジエン製造サイクルに用いられるブタジエン製造用触媒であって、前記ブタジエン製造サイクルは、温度300~400℃で、エタノールを含む原料を前記ブタジエン製造用触媒に接触処理させて、ブタジエンを製造するブタジエン製造工程と、前記ブタジエン製造工程後に温度450~550℃で、酸素を含むガスを前記ブタジエン製造用触媒に接触処理させて、前記ブタジエン製造用触媒を再生する触媒再生工程と、を含み、加熱試験前後の形状維持率が0.7~1である、ブタジエン製造用触媒。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノールを含む原料からブタジエンを製造するブタジエン製造サイクルに用いられるブタジエン製造用触媒であって、
前記ブタジエン製造サイクルは、温度300~400℃で、エタノールを含む原料を前記ブタジエン製造用触媒に接触処理させて、ブタジエンを製造するブタジエン製造工程と、前記ブタジエン製造工程後に温度450~550℃で、酸素を含むガスを前記ブタジエン製造用触媒に接触処理させて、前記ブタジエン製造用触媒を再生する触媒再生工程と、を含み、
下記加熱試験前の前記ブタジエン製造用触媒の平均粒子径をLとし、下記加熱試験を100回行った後の前記ブタジエン製造用触媒の平均粒子径をLとしたときに、L/Lで表される形状維持率が0.7~1である、ブタジエン製造用触媒。
[加熱試験]
1.温度320℃で、窒素を、GHSV500h-1で前記ブタジエン製造用触媒に接触させて19時間保持する。
2.温度500℃で、窒素を、GHSV2000h-1で前記ブタジエン製造用触媒に接触させて4時間保持する。
【請求項2】
前記ブタジエン製造用触媒の平均圧壊強度が5~200Nである、請求項1に記載のブタジエン製造用触媒。
【請求項3】
前記ブタジエン製造用触媒の平均圧壊強度をSとし、前記ブタジエン製造用触媒を触媒前駆体含有水溶液に浸漬させた後の平均圧壊強度をSとしたときに、S/Sで表される圧壊強度維持率が0.8以上である、請求項1又は2に記載のブタジエン製造用触媒。
【請求項4】
前記ブタジエン製造用触媒の平均粒子径が1~20mmである、請求項1~3のいずれか一項に記載のブタジエン製造用触媒。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のブタジエン製造用触媒が充填された反応管と、生成物排出配管と、第1のフィルターを備えるブタジエンの製造装置であって、
前記生成物排出配管は、前記反応管の出口と接続されており、
前記第1のフィルターは、前記反応管と前記生成物排出配管の接続部に位置し、
前記第1のフィルターのメッシュサイズは、前記Lの50%以下である、ブタジエンの製造装置。
【請求項6】
前記ブタジエンの製造装置は、さらに第2のフィルターを備え、
前記第2のフィルターは、前記生成物排出配管内で前記第1のフィルターよりも下流に位置し、
前記第2のフィルターのメッシュサイズは、前記Lの50%以下である、請求項5に記載のブタジエンの製造装置。
【請求項7】
前記ブタジエンの製造装置は、さらに第3のフィルターを備え、
前記第3のフィルターは、前記生成物排出配管内で前記第2のフィルターよりも下流に位置し、
前記第3のフィルターのメッシュサイズは、L>Lのときは(L-L)の70%以下であり、L=LのときはLの24%以下である、請求項6に記載のブタジエンの製造装置。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか一項に記載のブタジエン製造用触媒に、エタノールを含む原料を接触処理させ、ブタジエンを生成する工程を有する、ブタジエンの製造方法。
【請求項9】
請求項5~7のいずれか一項に記載のブタジエンの製造装置を用いて、エタノールを含む原料からブタジエンを製造するブタジエン製造方法であって、
前記反応管に前記原料を供給し、前記ブタジエン製造用触媒に、前記原料を接触処理させ、ブタジエンを生成する工程を有する、ブタジエンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブタジエン製造用触媒、ブタジエンの製造装置、及びブタジエンの製造方法
に関する。
【背景技術】
【0002】
1,3-ブタジエン等のブタジエンは、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)等の原料として用いられている。従来、ブタジエンは、C4留分から精製されていた。C4留分は、石油からエチレンを合成するナフサクラッキングの際に副生する留分である。しかし、シェールガスの利用量の増加に伴って石油の利用量が減少した。その結果、石油のナフサクラッキングで得られるブタジエンの生産量も減少している。このため、1,3-ブタジエンを製造するための代替方法が求められている。
【0003】
ところで、近年では、石油から得られる化学工業原料に代えてバイオマス由来原料から誘導された化学工業原料が注目されている。1,3-ブタジエン等についても、サトウキビやトウモロコシ等のバイオマス由来のバイオエタノールから製造することの重要度が増している。
【0004】
特許文献1は、反応温度350~450℃で、エタノールを酸化ゲルマニウムと酸化マグネシウムとを含有する触媒に接触処理することを特徴とする1,3-ブタジエンの製造方法を開示している。また、炭素質などが堆積して活性が低下した触媒を、反応器内において、前記反応温度よりも高い温度で、空気を流通させ、1~24時間再生処理を行うことで、触媒活性が回復することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2014/129248号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の発明者らが、上記再生処理を含むブタジエンの製造方法を検討した所、ブタジエン製造時の反応温度と、再生処理時の再生温度が異なることに起因し、ブタジエン製造、再生処理を繰り返すことにより、ブタジエン製造用触媒が破壊されるということが判明した。
【0007】
破壊されて生じたブタジエン製造用触媒の破片が、反応管及び反応管以降の配管の一部を閉塞することにより、圧力損失、原料の偏流が発生し、ブタジエンの製造効率が低下する。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、触媒再生工程を含むブタジエン製造サイクルに用いられ、ブタジエンの製造効率を向上可能なブタジエン製造用触媒、ブタジエンの製造装置、及び前記ブタジエン製造用触媒、ブタジエン製造装置を用いたブタジエンの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の態様を有する。
[1] エタノールを含む原料からブタジエンを製造するブタジエン製造サイクルに用いられるブタジエン製造用触媒であって、前記ブタジエン製造サイクルは、温度300~400℃で、エタノールを含む原料を前記ブタジエン製造用触媒に接触処理させて、ブタジエンを製造するブタジエン製造工程と、前記ブタジエン製造工程後に温度450~550℃で、酸素を含むガスを前記ブタジエン製造用触媒に接触処理させて、前記ブタジエン製造用触媒を再生する触媒再生工程と、を含み、下記加熱試験前の前記ブタジエン製造用触媒の平均粒子径をLとし、下記加熱試験を100回行った後の前記ブタジエン製造用触媒の平均粒子径をLとしたときに、L/Lで表される形状維持率が0.7~1である、ブタジエン製造用触媒。
[加熱試験]
1.温度320℃で、窒素を、GHSV500h-1で前記ブタジエン製造用触媒に接触させて19時間保持する。
2.温度500℃で、窒素を、GHSV2000h-1で前記ブタジエン製造用触媒に接触させて4時間保持する。
[2] 前記ブタジエン製造用触媒の平均圧壊強度が5~200Nである、[1]に記載のブタジエン製造用触媒。
[3] 前記ブタジエン製造用触媒の平均圧壊強度をSとし、前記ブタジエン製造用触媒を触媒前駆体含有水溶液に浸漬させた後の平均圧壊強度をSとしたときに、S/Sで表される圧壊強度維持率が0.8以上である、[1]又は[2]に記載のブタジエン製造用触媒。
[4] 前記ブタジエン製造用触媒の平均粒子径が1~20mmである、[1]~[3]のいずれか一項に記載のブタジエン製造用触媒。
[5] [1]~[4]のいずれか一項に記載のブタジエン製造用触媒が充填された反応管と、生成物排出配管と、第1のフィルターを備えるブタジエンの製造装置であって、前記生成物排出配管は、前記反応管の出口と接続されており、前記第1のフィルターは、前記反応管と前記生成物排出配管の接続部に位置し、前記第1のフィルターのメッシュサイズは、前記Lの50%以下である、ブタジエンの製造装置。
[6] 前記ブタジエンの製造装置は、さらに第2のフィルターを備え、前記第2のフィ
ルターは、前記生成物排出配管内で前記第1のフィルターよりも下流に位置し、前記第2のフィルターのメッシュサイズは、前記Lの50%以下である、[5]に記載のブタジエンの製造装置。
[7] 前記ブタジエンの製造装置は、さらに第3のフィルターを備え、前記第3のフィルターは、前記生成物排出配管内で前記第2のフィルターよりも下流に位置し、前記第3のフィルターのメッシュサイズは、L>Lのときは(L-L)の70%以下であり、L=LのときはLの24%以下である、[6]に記載のブタジエンの製造装置。
[8] [1]~[4]のいずれか一項に記載のブタジエン製造用触媒に、エタノールを含む原料を接触処理させ、ブタジエンを生成する工程を有する、ブタジエンの製造方法。
[9] [5]~[7]のいずれか一項に記載のブタジエンの製造装置を用いて、エタノールを含む原料からブタジエンを製造するブタジエン製造方法であって、前記反応管に前記原料を供給し、前記ブタジエン製造用触媒に、前記原料を接触処理させ、ブタジエンを生成する工程を有する、ブタジエンの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、触媒再生工程を含むブタジエン製造サイクルに用いられ、ブタジエンの製造効率を向上可能なブタジエン製造用触媒、及びブタジエンの製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態にかかるブタジエンの製造装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の記載は本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されず、その要旨の範囲内で変形して実施することができる。
【0013】
本実施形態のブタジエン製造用触媒は、エタノールを含む原料からブタジエンを製造するブタジエン製造サイクルに用いられる触媒である。前記ブタジエン製造用触媒は、後述の加熱試験前後における形状維持率が0.7~1である。
はじめに、ブタジエン製造サイクルについて説明を行う。
【0014】
<ブタジエン製造サイクル>
ブタジエン製造サイクルは、ブタジエン製造工程と、触媒再生工程を、を含む。
ブタジエン製造工程は、温度300~400℃で、エタノールを含む原料を前記ブタジエン製造用触媒に接触処理させて、ブタジエンを製造する工程である。
触媒再生工程は、前記ブタジエン製造工程後に温度450~550℃で、酸素を含むガスを前記ブタジエン製造用触媒に接触処理させて、前記ブタジエン製造用触媒を再生する工程である。
【0015】
(ブタジエン製造工程)
ブタジエン製造工程は、本実施形態のブタジエン製造用触媒を用いてエタノールを含む原料からブタジエンを製造する工程である。本発明において、製造対象であるブタジエンは、特に限定されないが、1,3-ブタジエンが好ましい。
【0016】
ブタジエンの製造工程では、ブタジエン製造用触媒にエタノールを含む原料を接触させる。
原料は、ブタジエンに変換され得る物質であり、少なくともエタノールを含む。原料は、例えば、エタノール、又はエタノール及びアセトアルデヒドが好ましい。
原料とブタジエン製造用触媒とを接触処理させる態様は、特に限定されず、例えば、反応管内のブタジエン製造用触媒を含む触媒層に原料をガスとして流通させ、ブタジエン製造用触媒を含む触媒層と原料とを接触させる態様が例示できる。
【0017】
原料がアセトアルデヒドを含まない場合、原料100体積%に対するエタノールの含有量は、10~100体積%であることが好ましく、30~100体積%であることがより好ましく、50~100体積%であることがさらに好ましい。エタノールの含有量が前記下限値以上であると、反応が急激に進行しないので、触媒の温度低下などが起きにくく反応が安定するという効果が得られる。エタノールの含有量が前記上限値以下であると、反応性が高く生産が可能という効果が得られる。
【0018】
原料がアセトアルデヒドを含む場合、原料100体積%に対するエタノールの含有量は、10~80体積%であることが好ましく、20~70体積%であることがより好ましく、30~60体積%であることがさらに好ましい。エタノールの含有量が前記下限値以上であると、反応が急激に進行しないので、触媒の温度低下などが起きにくく反応が安定するという効果が得られる。エタノールの含有量が前記上限値以下であると、反応性が高く生産が可能という効果が得られる。
【0019】
原料がアセトアルデヒドを含む場合、原料100体積%に対するアセトアルデヒドの含有量は、10~80体積%であることが好ましく、20~70体積%であることがより好ましく、30~60体積%であることがさらに好ましい。アセトアルデヒドの含有量が前記下限値以上であると、反応が急激に進行しないので、触媒の温度低下などが起きにくく反応が安定するという効果が得られる。アセトアルデヒドの含有量が前記上限値以下であると、反応性が高く生産が可能という効果が得られる。
【0020】
原料がアセトアルデヒドを含む場合、原料100体積%に対するエタノール及びアセトアルデヒドの合計含有量は、10~100体積%であることが好ましく、30~100体積%であることがより好ましく、50~100体積%であることがさらに好ましい。エタノール及びアセトアルデヒドの合計含有量が前記下限値以上であると、反応が急激に進行しないので、触媒の温度低下などが起きにくく反応が安定するという効果が得られる。エタノール及びアセトアルデヒドの合計含有量が前記上限値以下であると、反応性が高く生産が可能という効果が得られる。
【0021】
原料がアセトアルデヒドを含む場合、エタノールの体積に対するアセトアルデヒドの体積の割合は、0.2~0.8であることが好ましく、0.2~0.7であることがより好ましく、0.4~0.6であることがさらに好ましい。前記割合が、前記範囲内であると、ブタジエンの生産能が高まるという効果が得られる。
【0022】
エタノールとアセトアルデヒドの合計含有量100体積%未満の場合のバランスガスとしては、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガスを例示できる。
不活性ガスは、希釈ガスである。原料ガスが希釈ガスを含むことで、ブタジエン選択率がさらに高まる。
【0023】
原料とブタジエン製造用触媒とを接触処理させる際の温度(反応温度)は、300~400℃であり、320~380℃がより好ましい。反応温度が前記下限値以上であれば、反応速度が充分に高まり、ブタジエンをより効率的に製造できる。反応温度が前記上限値以下であれば、ブタジエン製造用触媒の劣化を抑制しやすい。
【0024】
原料とブタジエン製造用触媒とを接触処理させる際の圧力(反応圧力)は、例えば、0.1~10MPaが好ましく、0.1~3MPaがより好ましい。反応圧力が上記下限値以上であれば、反応速度が高まり、ブタジエンをより効率的に製造できる。反応圧力が上記上限値以下であれば、ブタジエン製造用触媒の劣化を抑制しやすい。
【0025】
ブタジエン製造用触媒を含む触媒層に対する原料のガス空間速度(Gas Hourly Space Velocity:GHSV)は、標準状態換算で、0.1~10000h-1が好ましく、100~5000h-1がより好ましく、200~4000h-1がさらに好ましく、400~3000h-1が特に好ましい。GHSVが前記下限値以上であると、エタノールを含む原料の処理能力が高くなる。GHSVが前記上限値以下であると、ブタジエンの収率が向上する。
上記GHSVは、原料がアセトアルデヒドを含まない場合は、触媒層に含まれるブタジエン製造用触媒の体積に対するエタノールのGHSVであり、原料がアセトアルデヒドを含む場合は、触媒層に含まれるブタジエン製造用触媒の体積に対するエタノールとアルデヒドの合計のGHSVを意味する。すなわち、触媒層が後述の希釈剤を含む場合でも、GHSVの計算には、触媒層中のブタジエン製造用触媒の体積を使用する。以下も同様である。
以下、本明細書において、GHSVは、標準状態換算の値を意味する。
【0026】
後述の製造装置100を用いてブタジエンを製造する場合は、温度制御部5及び圧力制御部6で反応管1内を任意の温度及び任意の圧力とする。ガス化された原料ガスを原料供給配管3から反応管1内に供給する。反応管1内において原料がブタジエン製造用触媒に接触して反応し、ブタジエンが生成する。ブタジエンを含む生成ガスは、生成物排出配管4から排出する。
生成ガスには、エタノール、ブタジエンの他、アセトアルデヒド、プロピレン、エチレン等の化合物が含まれていてもよい。
反応管1内の触媒は第1のフィルター7によって反応管1内に固定されていてもよい。この場合、生成ガスともに反応管から排出されたブタジエン製造用触媒の欠片は、第2のフィルター8、第3のフィルター9、第4のフィルター10で捕集される。
【0027】
ブタジエンを含む生成ガスに対しては、必要に応じて気液分離や蒸留精製等の精製を行い、未反応の原料や副生物を除去する。
【0028】
(触媒再生工程)
触媒再生工程は、前記ブタジエン製造工程後に温度450~550℃で、酸素を含むガスを前記ブタジエン製造用触媒に接触処理させて、前記ブタジエン製造用触媒を再生する工程である。
【0029】
酸素を含むガス100体積%に対する酸素の含有量は、5~50体積%であることが好ましく、10~30体積%であることがより好ましく、17~21体積%であることがさらに好ましい。酸素の含有量が前記下限値以上であると、触媒再生の効率が向上する。酸素の含有量が100体積%未満の場合のバランスガスとしては、上述の不活性ガスが例として挙げられる。酸素を含むガスとして、空気を使用してもよい。
【0030】
酸素を含むガスとブタジエン製造用触媒とを接触処理させる際の温度(再生温度)は、450~550℃であり、480~500℃がより好ましい。再生温度が前記下限値以上であれば、触媒再生が好適に進行する。再生温度が前記上限値以下であれば、ブタジエン製造用触媒の劣化を抑制しやすい。
【0031】
酸素を含むガスとブタジエン製造用触媒とを接触処理させる際の圧力(再生圧力)は、例えば、0.1~10MPaが好ましく、0.1~3MPaがより好ましい。再生圧力が上記下限値以上であれば、触媒再生が好適に進行する。再生圧力が上記上限値以下であれば、ブタジエン製造用触媒の劣化を抑制しやすい。
【0032】
ブタジエン製造用触媒を含む触媒層に対する酸素を含むガスのGHSVは、酸素換算で0.02~10000h-1が好ましく、20~5000h-1がより好ましく、20~4000h-1がさらに好ましく、80~3000h-1が特に好ましい。GHSVが前記下限値以上であると、触媒再生が好適に進行する。GHSVが前記上限値以下であると、再生時の発熱が抑制され、ブタジエン製造用触媒の劣化を抑制しやすい。
【0033】
後述の製造装置100を用いて触媒再生を行う場合は、温度制御部5及び圧力制御部6で反応管1内を任意の温度及び任意の圧力とする。酸素を含むガスを原料供給配管3から反応管1内に供給する。反応管1内において酸素を含むガスがブタジエン製造用触媒に接触して、炭素質が燃焼し、触媒が再生される。燃焼によって生成した排ガスは、生成物排出配管4から排出する。
生成ガスともに反応管から排出されたブタジエン製造用触媒の欠片は、第2のフィルター8、第3のフィルター9、第4のフィルター10で捕集される。
【0034】
≪ブタジエン製造用触媒≫
本発明のブタジエン製造用触媒は、エタノールを含む原料からブタジエンを合成するための触媒である。
【0035】
下記加熱試験前のブタジエン製造用触媒の平均粒子径をLとし、下記加熱試験を100回行った後の前記ブタジエン製造用触媒の平均粒子径をLとしたときに、L/Lで表される形状維持率が0.7~1である。形状維持率は、0.75~0.96であることが好ましく、0.75~0.92であることがより好ましい。
形状維持率が前記下限値以上であると、ブタジエン製造用触媒が破壊されにくくなり、反応管及び反応管以降の配管の一部を閉塞しにくくなる。結果として、圧力損失、原料の偏流が発生しにくくなり、ブタジエンの製造効率が向上する。形状維持率が前記上限値以下であると、配管とブタジエン製造用触媒との固着が抑制されるため、触媒交換時に配管の洗浄が容易となり、メンテナンス性が向上する。
【0036】
[加熱試験]
1.温度320℃で、窒素を、GHSV500h-1で前記ブタジエン製造用触媒に接触させて19時間保持する。
2.温度500℃で、窒素を、GHSV2000h-1で前記ブタジエン製造用触媒に接触させて4時間保持する。
【0037】
本明細書において、ブタジエン製造用触媒の「粒子径」とは、ブタジエン製造用触媒の長径と短径の平均値を意味する。ここで、「長径」は、ブタジエン製造用触媒の粒子を任意の方向から平面視した際の粒子の最長径であり、「短径」は、前記平面において、前記長径に対して垂直な方向の径である。ブタジエン製造用触媒の長径及び短径は、例えば、光学顕微鏡(例えば、キーエンス社製、光学顕微鏡VHX-7000)により測定することができる。
本明細書において、ブタジエン製造用触媒の「平均粒子径」とは、無作為にブタジエン製造用触媒の粒子を100個選択し、それぞれについて粒子径を測定し、それらの値を平均することにより得ることができる。
【0038】
ブタジエン製造用触媒の平均粒子径は、1~20mmであることが好ましく、1.5~15mmであることがより好ましく、1.7~12mmであることがさらに好ましい。
平均粒子径が前記下限値以上であると、エタノールを含む原料ガスの流れが制限されにくく、圧力損失が起きにくい。平均粒子径が前記上限値以下であると、ブタジエン製造用触媒の比表面積が大きくなり、性能が担保されやすい。
【0039】
ブタジエン製造用触媒の平均圧壊強度は、5~200Nであることが好ましく、10~150Nであることがより好ましく、20~100Nであることがさらに好ましい。
平均圧壊強度が前記下限値以上であると、ブタジエン製造用触媒が破壊されにくくなり、反応管及び反応管以降の配管の一部を閉塞しにくくなる。結果として、圧力損失、原料の偏流が発生しにくくなり、ブタジエンの製造効率が向上する。平均圧壊強度が前記上限値以下であると、配管とブタジエン製造用触媒との固着が抑制されるため、触媒交換時に配管の洗浄が容易となり、メンテナンス性が向上する。
【0040】
本明細書において、ブタジエン製造用触媒の「圧壊強度」は、JISZ8841:1993に準拠して測定することができる。
また、ブタジエン製造用触媒の「圧壊強度」は以下の方法によっても測定することができる。ブタジエン製造用触媒の粒子1個を圧縮強度試験機(電動スタンド(型番:MX2-500N-L)、製造販売元:株式会社イマダ)、デジタルフォースゲージ(型番:ZTS-100N、製造販売元:株式会社イマダ))の固定圧縮面上の中央にセットする。圧縮強度試験機の固定圧縮面と稼働圧縮面とが前記粒子に接する位置とし、可動加圧盤を一定の速度で稼働させ、粒子に荷重をかける。加圧速度としては、300mm/分とする。粒子が完全に破壊されるまでの荷重の最大指示値を記録し、この値をブタジエン製造用触媒の圧壊強度とすることができる。
本明細書において、ブタジエン製造用触媒の「平均圧壊強度」とは、無作為にブタジエン製造用触媒の粒子を50個選択し、それぞれについて圧壊強度を測定し、それらの値を平均することにより得ることができる。
【0041】
ブタジエン製造用触媒の平均圧壊強度をSとし、前記ブタジエン製造用触媒を触媒前駆体含有水溶液に浸漬させた後の平均圧壊強度をSとしたときに、S/Sで表される圧壊強度維持率が0.8以上であることが好ましく、0.89~1であることがより好ましく、0.90~1であることがさらに好ましい。触媒前駆体含有水溶液とは、塩化ハフニウム、塩化チタン(TiCl、TiCl、TiCl)、チタンアルコキシド、塩化ジルコニウム(ZrCl)、塩化酸化ジルコニウム(ZrClO)、ジルコニウムアルコキシド等の水溶液である。触媒前駆体含有水溶液としては、例えば、5g/Lの塩化ハフニウムの水溶液を用いることができる。ブタジエン製造用触媒1gに対する触媒前駆体含有溶液の体積は、例えば、50mLである。浸漬温度は、例えば室温であり、浸漬時間は、例えば10時間である。浸漬後のブタジエン製造用触媒を、ろ過により固液分離し、空気雰囲気下、110℃で4時間乾燥し、空気雰囲気下、410℃で5時間焼成後のブタジエン製造用触媒の圧壊強度を測定し、上記平均圧壊強度Sを得ることができる。
圧壊強度維持率が前記下限値以上であると、ブタジエン製造用触媒が破壊されにくくなり、反応管及び反応管以降の配管の一部を閉塞しにくくなる。結果として、圧力損失、原料の偏流が発生しにくくなり、ブタジエンの製造効率が向上する。圧壊強度維持率が前記上限値以下であると、配管とブタジエン製造用触媒との固着が抑制されるため、触媒交換時に配管の洗浄が容易となり、メンテナンス性が向上する。
【0042】
以下、本実施形態のブタジエン製造用触媒の具体的な構成について説明を行う。
【0043】
(活性金属)
ブタジエン製造用触媒は、活性金属を含む。活性金属としては、ハフニウム、ジルコニウム、銅、タンタル、ニオブ、マグネシウム、亜鉛、銀等の金属が例として挙げられ、触媒活性の観点から、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブが好ましく、ハフニウム、ジルコニウムがより好ましい。活性金属は1種類のみを使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0044】
活性金属の形態としては、酸化物、塩化物、硫化物、硝酸塩、炭酸塩等の無機塩、シュウ酸塩、アセチルアセトナート塩、ジメチルグリオキシム塩、エチレンジアミン酢酸塩等の有機塩又はキレート化合物、カルボニル化合物、シクロペンタジエニル化合物、アンミン錯体、アルコキシド化合物、アルキル化合物等が例示され、その中でもブタジエンの製造効率を高める観点から酸化物が好ましい。活性金属は後述の担体中の酸素以外の元素と複合酸化物を形成してもよい。活性金属を2種類以上併用する場合、これら2種類以上の元素の複合酸化物を形成していてもよい。
【0045】
(担体)
ブタジエン製造用触媒は、活性金属が担体に担持された担持触媒であることが好ましい。
【0046】
下記加熱試験1前の担体の平均粒子径をL’とし、下記加熱試験1を100回行った後の前記担体の平均粒子径をL’としたときに、L’/L’で表される形状維持率が0.7~1であることが好ましく、0.8~0.96であることがより好ましく、0.85~0.92であることがさらに好ましい。
形状維持率が前記範囲内であると、上述の範囲の形状維持率を有するブタジエン製造用触媒が得られやすくなる。
【0047】
[加熱試験1]
1.温度320℃で、窒素を、GHSV500h-1で前記担体に接触させて19時間保持する。
2.温度500℃で、窒素を、GHSV2000h-1で前記担体に接触させて4時間保持する。
【0048】
担体の「粒子径」、「平均粒子径」は、上述のブタジエン製造触媒と同様の方法により得ることができる。
【0049】
担体の平均粒子径は、1~20mmであることが好ましく、1.5~15mmであることがより好ましく、2~12mmであることがさらに好ましい。
平均粒子径が前記範囲内であると、上述の範囲の平均粒子径を有するブタジエン製造用触媒が得られやすくなる。
【0050】
担体の平均圧壊強度は、5~200Nであることが好ましく、10~150Nであることがより好ましく、20~100Nであることがさらに好ましい。
平均圧壊強度が前記範囲内であると、上述の範囲の平均圧壊強度を有するブタジエン製造用触媒が得られやすくなる。
【0051】
担体の「圧壊強度」、「平均圧壊強度」は、上述のブタジエン製造触媒と同様の方法により得ることができる。
【0052】
担体の平均圧壊強度をS’とし、前記担体を触媒前駆体水溶液に浸漬させた後の平均圧壊強度をS’としたときに、S’/S’で表される圧壊強度維持率が0.8以上であることが好ましく、0.89~1であることがより好ましく、0.95~1であることがさらに好ましい。
圧壊強度維持率が前記範囲内であると、上述の範囲の圧壊強度維持率を有するブタジエン製造用触媒が得られやすくなる。
【0053】
ブタジエン製造用触媒の担体としては、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア等が挙げられ、シリカが特に好ましい。シリカには、比表面積や細孔直径の異なる種々の製品がある。担体の比表面積や細孔直径を組み合せることで、ブタジエン選択率、原料転化率を制御できる。担体は1種類のみを使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0054】
前記担体の中でも多孔質シリカを担体として使用することが好ましい。多孔質シリカとしては、例えば、メソポーラスシリカ等を使用することができる。
【0055】
(ブタジエン製造用触媒の組成)
ブタジエン製造用触媒が、活性金属が担体に担持された担持触媒である場合、ブタジエン製造用触媒の総質量に対する、活性金属の酸化物換算の担持量は、0.2~40質量%であることが好ましく、2~35質量%であることがより好ましく、4~30質量%であることがさらに好ましい。活性金属の酸化物換算の担持量が前記下限値以上であると、充分な量の活性金属を担持でき、原料転化率とブタジエン選択率がさらに高まる。活性金属の酸化物換算の担持量が前記上限値以下であると、活性金属を均一かつ高分散状態にしやすいため、ブタジエン選択率がさらに高まる。
【0056】
本実施形態のブタジエン製造用触媒は、ハフニウムと、元素Mを含むことが好ましい。元素Mは、チタン及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。元素Mとしては、ジルコニウムが好ましい。ブタジエン製造用触媒中のハフニウムのモル数に対する元素Mのモル数の比(M/Hf)は、20超500以下であることが好ましく、50超400以下であることがより好ましく、100超400以下であることがさらに好ましく、100超300以下であることが特に好ましい。前記モル数の比が前記範囲内であると、ブタジエン収率が高まる。
【0057】
(ブタジエン製造用触媒の物性)
本実施形態のブタジエン製造用触媒の大きさは、上述の平均粒子径の範囲内であることが好ましい。また、ブタジエン製造用触媒の平均粒子径分布はできるだけ狭いことが好ましい。上述の平均粒子径の測定において無作為に選択した100個のブタジエン製造用触媒粒子のうち、平均粒子径±33%の粒子径を有する粒子の割合は80%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
【0058】
本実施形態のブタジエン製造用触媒の形状としては、円柱状、中空円柱状態、球状、リング状等の本分野の触媒の形状が挙げられ、球状であることが好ましい。ブタジエン製造用触媒の形状が球状であると、ブタジエン製造用触媒同士が面接触ではなく、点接触する。したがって、充填状態が均一になりやすいため、原料の偏流が発生しにくくなる。さらに触媒同士の固着も抑制される。
【0059】
ブタジエン製造用触媒の細孔容積の合計(以下、全細孔容積ともいう)は、0.1~10mL/gが好ましく、0.1~5mL/gがより好ましく、0.5~2mL/gがさらに好ましい。全細孔容積が前記範囲の下限値以上であれば、エタノールを含む原料のブタジエン製造用触媒内部への拡散性が向上し、原料転化率とブタジエン選択率がさらに高まる。全細孔容積が前記範囲の上限値以下であれば、原料とブタジエン製造用触媒との接触面積が充分となりやすく、原料転化率とブタジエン選択率がさらに高まる。
なお、ブタジエン製造用触媒の全細孔容積は、水滴定法により測定される値である。水滴定法とは、ブタジエン製造用触媒の表面に水分子を吸着させ、分子の凝縮から細孔容積を測定する方法である。
【0060】
ブタジエン製造用触媒の平均細孔直径は2~50nmが好ましく、2~30nmがより好ましく、2~20nmがさらに好ましく、2~15nmが特に好ましい。平均細孔直径が前記範囲の下限値以上であれば、エタノールを含む原料のブタジエン製造用触媒内部への拡散性が向上し、原料転化率がさらに高まる。また、平均細孔直径が前記範囲の下限値以上であれば、触媒表面の酸強度が強くなりすぎないため、副反応を抑制することができ、結果としてブタジエンの選択率が高まる。平均細孔直径が前記範囲の上限値以下であれば、触媒表面に充分な量の活性点が存在するため、原料転化率とブタジエン選択率がさらに高まる。
【0061】
なお、平均細孔直径は、全細孔容積とBET比表面積とから算出される値である。BET比表面積は、窒素を吸着ガスとし、その吸着量とその時の圧力から算出される値である。具体的には、細孔形状を円筒形であると仮定することにより算出することができる。円筒形の側面積としてBET比表面積A1を、円筒形の体積として全細孔容積V1を使用すると、平均細孔直径Dave1は下記(I)式により算出することができる。
ave1=4V1/A1…(I)
【0062】
平均細孔直径は、水銀圧入法ポロシメーターによっても測定することができる。水銀圧入法は、水銀を加圧してブタジエン製造用触媒の細孔に圧入し、毛細管現象の原理に基づきその圧力と圧入された水銀量から平均細孔直径を算出する。
水銀を圧入した圧力P、触媒の細孔水銀の表面張力γ、接触角θを使用すると、細孔直径は、下記式(II)により算出することができる。平均細孔直径Dave2は下記(II)式によりPの関数として算出されたDの平均値である。
=-(1/P)4γcosθ…(II)
【0063】
本実施形態のブタジエン製造用触媒の比表面積は、100~3000m/gが好ましく、200~2500m/gがより好ましく、200~1500m/gがさらに好ましい。比表面積が前記範囲の下限値以上であれば、触媒表面に充分な量の活性点が存在するため、原料転化率とブタジエン選択率がさらに高まる。比表面積が前記範囲の上限値以下であれば、平均細孔直径が小さくなりすぎず、エタノールを含む原料のブタジエン製造用触媒内部への拡散性が向上し、原料転化率がさらに高まる。
なお、前記比表面積は、窒素を吸着ガスとし、BET式ガス吸着法により測定されるBET比表面積である。
【0064】
ブタジエン製造用触媒における全細孔容積と比表面積との積は、10~100000mL・m/gが好ましく、20~25000mL・m/gがより好ましく、20~2000mL・m/gがさらに好ましい。前記積が前記範囲の下限値以上であれば、触媒表面に充分な量の活性点が存在するため、原料転化率とブタジエン選択率がさらに高まる。前記積が前記範囲の上限値以下であれば、活性点とならない触媒表面が大きくなりすぎず、副反応を抑制することができ、結果としてブタジエン選択率がさらに高まる。
【0065】
本実施形態のブタジエン製造用触媒におけるメソ細孔(細孔径が2~50nmの細孔)の細孔容積の合計(以下、全メソ細孔容積ともいう)が、全細孔容積に対して、50~100%であることが好ましく、80~100%であることがより好ましく、90~100%であることがさらに好ましい。
全細孔容積に対する、全メソ細孔容積が前記範囲の下限値以上であれば、ブタジエン製造用触媒に充分なメソ細孔が存在し、エタノールを含む原料のブタジエン製造用触媒内部への拡散性が向上するため、原料転化率とブタジエン選択率がさらに高まる。
ブタジエン製造用触媒の全細孔容積は、前述した水滴定法により測定される値である。ブタジエン製造用触媒の全メソ細孔容積は、窒素吸着法により2~50nmの細孔を有する細孔の容積を測定し、それらを合計することによって得ることができる。
【0066】
<ブタジエン製造用触媒の製造方法>
ブタジエン製造用触媒は、例えば、活性金属を担体に担持し、その後、乾燥、焼成を行うことによって製造することができる。
【0067】
担体を製造する方法は、特に限定されず、従来公知の製造方法で製造されたものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0068】
例えば、担体としてシリカを製造する方法としては、例えば、ケイ素元素を含む化合物と、無機酸とを含む溶液を混合することによるゾルゲル法が挙げられる。前記ケイ素元素を含む化合物としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸アンモニウム等が例として挙げられる。また、前記無機酸としては、硫酸、硝酸、塩酸等が例として挙げられる。
【0069】
気相成長法、液相成長法などで回転しながら造粒するとよい。
得られたシリカを成形、造粒する。成形、造粒は、従来公知の方法により実施することができる。
【0070】
得られたシリカ成形体又は造粒体を空気雰囲気下で、焼成することにより担体を製造することができる。焼成温度は、600~1200℃が好ましく、700~1100℃がより好ましく、750~1050℃がさらに好ましい。焼成温度が上記下限値以上であると、上述の圧壊強度を有するブタジエン製造用触媒が得られやすくなる。焼成温度が前記上限値以下であると、比表面積の低下が抑制される。
【0071】
上記特性を有するシリカ成形体又は造粒体としては、市販品を使用することもできる。市販品としては、富士シリシア化学株式会社製のシリカ多孔質粒子が例として挙げられる。
【0072】
活性金属の原料化合物としては、特に限定されず、例えば、活性金属の原料化合物としては、それぞれ、例えば、活性金属の塩化物、塩化酸化物、硫化物、硝酸塩、炭酸塩のような無機塩、シュウ酸塩、アセチルアセトナート塩、ジメチルグリオキシム塩、エチレンジアミン酢酸塩のような有機塩、キレート化合物、カルボニル化合物、シクロペンタジエニル化合物、アンミン錯体、アルコキシド化合物、アルキル化合物等が挙げられる。
中でも、上記化合物としては、塩化物または塩化酸化物であることが好ましい。また、上記化合物には、必要に応じて、水和物を使用してもよい。
【0073】
活性金属の原料化合物の具体例としては、塩化ハフニウム(HfCl)、塩化チタン(TiCl、TiCl、TiCl)、チタンアルコキシド、塩化ジルコニウム(ZrCl)、塩化酸化ジルコニウム(ZrClO)、ジルコニウムアルコキシド、ハフニウムアルコキシド等が挙げられる。
なお、上記化合物は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0074】
活性金属の担体への担持方法としては、本分野で公知の担持方法に準じて行うことができる。このような、担持方法としては、例えば、含浸法、共沈法、イオン交換法等が挙げられる。
【0075】
上記担持方法に使用される活性金属の原料化合物を溶解させる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水、及びメタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ヘキサノールのような脂肪族直鎖アルコールのような有機溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
中でも、溶媒としては、取り扱い性が容易である観点から、水単独、水とメタノール又はエタノールとの混合溶媒が好ましい。なお、水としては、金属イオン等を除去したイオン交換水、または蒸留水が好ましい。
【0076】
ブタジエン製造用触媒が、活性金属を2種類以上含む場合、これらの活性金属を担体に担持する方法としては、同時法、逐次法等がある。同時法は、全ての原料化合物を溶解した溶液を担体に上述の方法で担持させる方法である。逐次法は、各原料化合物を別個に溶解した溶液を調製し、逐次的に担体に各溶液を上述の方法で担持させる方法である。
【0077】
次に、溶液が含浸された含浸体を、溶液から分離および乾燥した後、焼成する。これにより、活性金属が担体に固定され、ブタジエン製造用触媒を得ることができる。
含浸体の溶液からの分離は、例えば、濾過、デカンテーション、遠心分離等により行うことができる。
【0078】
乾燥温度は、20~200℃であることが好ましく、50~150℃であることがより好ましい。また、乾燥時間は、1時間~10日間であることが好ましく、2時間~5日間であることがより好ましい。
【0079】
焼成温度は、200~800℃であることが好ましく、400~600℃であることがより好ましい。また、焼成時間は、10分間~2日間であることが好ましく、1~10時間であることがより好ましい。
このような条件で、焼成を行うことにより、触媒中に不純物が残留しないか、ほとんど残留しないようにしつつ、活性金属を直接又は酸素元素を介して担体に強固に結合させることができる。
【0080】
上述した逐次法の場合、第1の担持、乾燥を行った後に、第2の担持を行ってもよいし、第1の担持、乾燥、焼成を行った後に、第2の担持を行ってもよい。
【0081】
(ブタジエンの製造装置)
本実施形態のブタジエンの製造装置は、上述の本実施形態のブタジエン製造用触媒が充填された反応管を備える。
ブタジエンの製造装置は、エタノールを含む原料ガスからブタジエンを製造する。
【0082】
以下、ブタジエンの製造装置の一例について、図1に基づいて説明する。
ブタジエンの製造装置100(以下、単に「製造装置100」という。)は、反応管1と原料供給配管3と生成物排出配管4と温度制御部5と圧力制御部6と第1のフィルター7と、第2のフィルター8と、第3のフィルター9と、第4のフィルター10を備える。
反応管1は、内部に触媒層2を備える。触媒層2には、本発明のブタジエン製造用触媒が含まれる。原料供給配管3は反応管1に接続している。生成物排出配管4は反応管1に接続している。温度制御部5は反応管1に接続している。生成物排出配管4は、圧力制御部6を備える。第1~第4のフィルターは、反応管1の内部の触媒層2の下端から生成物排出配管のいずれか適当な部位に順番に設置されていればよく、第1のフィルター7は反応管1の内部の触媒層2の下端と生成物排出配管4の接続部との間に位置していることが好ましい。また、第1のフィルター7は反応管1と生成物排出配管4との接続部に位置することがより好ましい。生成物排出配管内には、第2のフィルター8、第2のフィルター9、第3のフィルター10が反応器側からこの順で位置している。第2のフィルター8、第3のフィルター9、第4のフィルター10は図1に示す製造装置100のように、鉛直方向に設置されていてもよく、その他の方向に設置されていてもよい。フィルターの設置方向は、設置されている生成物排出配管4の方向に依存する。中でも、第2のフィルター8、第3のフィルター9、第4のフィルター10は図1に示す製造装置100のように、鉛直方向に設置されていることが好ましい。
【0083】
触媒層2は、本実施形態のブタジエン製造用触媒のみを有してもよいし、本実施形態のブタジエン製造用触媒と希釈材とを有してもよい。希釈材は、触媒が過度に発熱することを防止する。
エタノールを含む原料からブタジエンを合成する反応は吸熱反応である。このため、触媒層2は、希釈材を要しないのが通常である。
希釈材は、例えば、ブタジエン製造用触媒の担体と同様のものや、石英砂、アルミナボール、アルミボール、アルミショット等である。
触媒層2に希釈材を充填する場合、希釈材/ブタジエン製造用触媒で表される質量比は、それぞれの種類や比重等を勘案して決定され、例えば、0.5~5が好ましい。
なお、触媒層は、固定床、移動床、流動床等のいずれでもよい。
【0084】
反応管1は、原料ガス及び製造された生成物に対して不活性な材料からなるものが好ましい。反応管1は、100~500℃程度の加熱、又は10MPa程度の加圧に耐え得る形状のものが好ましい。反応管1は、例えば、ステンレス製の略円筒形の部材を例示できる。
【0085】
原料供給配管3は、原料を反応管1内に供給する供給手段である。原料供給配管3は、例えば、ステンレス製等の配管である。
生成物排出配管4は、触媒層2で製造された生成物を含むガスを排出する排出手段である。生成物排出配管4は、例えば、ステンレス製等の配管である。
【0086】
温度制御部5は、反応管1内の触媒層2を任意の温度にできるものであればよい。温度制御部5は、例えば、電気炉等である。
圧力制御部6は、反応管1内の圧力を任意の圧力にできるものであればよい。圧力制御部6は、例えば、公知の圧力弁等である。
なお、製造装置10は、マスフロー等、ガスの流量を調整するガス流量制御部等の周知の機器を備えていてもよい。
【0087】
第1のフィルター7のメッシュサイズは、前記Lの50%以下であることが好ましく、20%~50%であることがより好ましく、25~50%であることがさらに好ましい。
【0088】
第2のフィルター8のメッシュサイズは、前記Lの50%以下であることが好ましく、20%~50%であることがより好ましく、25~50%であることがさらに好ましい。
【0089】
第3のフィルター9のメッシュサイズは、L>Lのときは(L-L)の70%以下であることが好ましく、L=LのときはLの24%以下であることが好ましい。また、第3のフィルター9のメッシュサイズは、L>Lのときは(L-L)の60%以下であることが好ましく、L=LのときはLの20%以下であることが好ましい。
【0090】
第4のフィルター10のメッシュサイズは、1~400μmであることが好ましく、5~300μmであることがより好ましく、10~250μmであることがさらに好ましい。
【0091】
第2のフィルター8、第3のフィルター9、第4のフィルター10のメッシュサイズは1~700μmであることが好ましい。また、第2のフィルター8、第3のフィルター9、第4のフィルター10のメッシュサイズが前記範囲内であると、高分子量の副生成物のトラップしやすくなる。高分子量の副生成物としては、δ-ヘキサノラクトン、2,6-ジイソプロピルフェノール等が挙げられる。第2のフィルター8、第3のフィルター9、第4のフィルター10の厚さ(生成物排出配管4方向の長さ)は1cm以上であることが好ましい。第2のフィルター8、第3のフィルター9、第4のフィルター10はそれぞれ並列に2個以上設置することが好ましい。第2のフィルター8を例として説明すると、生成物排出配管4は、圧力制御部6と第2のフィルター8の間で2つ以上に分岐していることが好ましい。そして分岐した生成物排出配管4それぞれに第2のフィルター8が設置されていることが好ましい。この場合、一部のフィルターが目詰まりした場合に、他のフィルターに生成物を通すことにより、連続的な生産が可能となる。
【0092】
本明細書において、メッシュサイズとは、フィルターのメッシュにおける目開きの部分を意味する。
【0093】
≪ブタジエンの製造方法≫
本実施形態のブタジエンの製造方法は、上述のブタジエン製造用触媒に、エタノールを含む原料を接触処理させ、ブタジエンを生成する工程を有する、ブタジエンの製造方法である。
また、本実施形態のブタジエンの製造方法は、上述のブタジエンの製造装置を用いて、エタノールを含む原料からブタジエンを製造するブタジエン製造方法であって、前記反応管に前記原料を供給し、前記ブタジエン製造用触媒に、前記原料を接触処理させ、ブタジエンを生成する工程を有する、ブタジエンの製造方法である。
ブタジエンの製造方法における反応条件は、上述の(ブタジエン製造工程)に記載の反応条件とすることができる。
【実施例0094】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
【0095】
[触媒の物性分析]
1.平均粒子径の測定
ブタジエン製造用触媒の粒子径は、光学顕微鏡(キーエンス社製、光学顕微鏡VHX-7000)により測定した。無作為に選択した100個のブタジエン製造用触媒の粒子径を上述の方法で測定し、それらの平均を平均粒子径Lとした。下記加熱試験を100回行った後のブタジエン製造用触媒に関しても同様に測定を行い、平均粒子径Lを得た。
【0096】
2.平均圧壊強度の測定
ブタジエン製造用触媒の圧壊強度は、圧縮強度試験機(電動スタンド(型番:MX2-500N-L)、製造販売元:株式会社イマダ)、デジタルフォースゲージ(型番:ZTS-100N、製造販売元:株式会社イマダ))により測定した。無作為に選択した50個のブタジエン製造用触媒粒子の圧壊強度を上述の方法で測定し、それらの平均を平均圧壊強度Sとした。下記浸漬試験後のブタジエン製造用触媒に関しても同様に測定を行い、平均圧壊強度Sを得た。
【0097】
[加熱試験]
加熱試験は以下のように実施した。
1.温度320℃で、窒素を、GHSV500h-1で前記ブタジエン製造用触媒に接触させて19時間保持する。
2.温度500℃で、窒素を、GHSV2000h-1で前記ブタジエン製造用触媒に接触させて4時間保持する。
【0098】
[浸漬試験]
ブタジエン製造用触媒2gを室温の塩化ハフニウムの水溶液100mLに投入し、室温で10時間静置を行った。その後、ろ過により塩化ハフニウムの水溶液を除去し、ブタジエン製造用触媒を空気雰囲気下、110℃で4時間乾燥した後、さらに空気雰囲気下、410℃で5時間焼成して、触媒を製造した。
【0099】
[ブタジエン製造サイクル]
ブタジエン製造サイクルとして、以下の1.ブタジエン製造工程、2.触媒再生工程を1サイクルとした。但し、2回目以降のサイクルにおいては、ブタジエン製造用触媒を新たに充填せず、1回目のサイクルのブタジエン製造工程において充填された触媒層をそのまま継続して使用した。
【0100】
1.ブタジエン製造工程
各例のブタジエン製造用触媒3.4gを直径1/2インチ(1.27cm)、長さ15.7インチ(40cm)のステンレス製の円筒型の反応管に充填して触媒層を形成した。
次いで、反応温度(触媒層の温度)を400℃とし、反応圧力(触媒層の圧力)を0.1MPaとし、GHSV(エタノ―ル基準)400h-1で原料を反応管に供給し、18時間反応を行い、生成ガスを得た。原料ガスは、エタノール30体積%(気体換算)と、窒素70体積%(気体換算)との混合ガスであった。回収した生成ガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、ブタジエン(1,3-ブタジエン)の選択率、原料転化率及びブタジエン収率を求めた。ブタジエン収率は、[原料転化率]×[ブタジエン選択率]で求められる値である。なお、[原料転化率]とは、原料ガスに含まれるエタノールのモル数に対する、反応により消費されたエタノールのモル数が占める百分率であり、反応器に供給したエタノールのモル数と、反応器出口でガスクロマトグラフィーにより検出されたエタノールのモル数から計算することができる。「ブタジエン選択率」とは、上述の反応により消費されたエタノールのモル数に対する、ブタジエンへ変換されたエタノールのモル数が占める百分率であり、反応器に供給したエタノールのモル数と、反応器出口でガスクロマトグラフィーにより検出されたエタノールのモル数と、反応器出口でガスクロマトグラフィーによって検出された1,3-ブタジエンのモル数から計算することができる。
【0101】
2.触媒再生工程
再生温度(触媒層の温度)を500℃とし、再生圧力(触媒層の圧力)を0.1MPaとし、GHSV(酸素基準)2000h-1で酸素を含むガスを反応管に供給し9時間触媒再生を行った。酸素を含むガスは、酸素を21体積%(気体換算)含むガス(空気)である。
【0102】
[実施例1]
1.076gの塩化ハフニウム(HfCl:株式会社高純度化学研究所製)を、水200mLに溶解して、溶液を調製した。
【0103】
次に、この溶液を、4.0gの多孔質担体(富士シリシア化学株式会社製のシリカ多孔質粒子、平均粒径:1.77mm、平均細孔直径:10nm、全細孔容積:1.01mL/g、比表面積:283m/g)に滴下した。
次に、多孔質担体が浸漬された溶液を、大気圧下、超音波洗浄機で、1時間攪拌した後、濾過により溶液を分離した。
回収された多孔質体を120℃で5時間乾燥した後、さらに410℃で5時間焼成して、触媒を製造した。
得られた触媒のL、L、L/L、S、S、及びS/Sを表1に示す。また得られた触媒を用いてブタジエン製造サイクルを100回行った。1サイクル目、50サイクル目、100サイクル目のブタジエン製造工程の反応圧力、原料転化率、ブタジエン選択率、ブタジエン収率を表2に示す。
【0104】
[比較例1]
多孔質担体として、富士シリシア化学株式会社製の円柱状のシリカ多孔質粒子(品番:G-10MP)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で触媒を製造した。
得られた触媒のL、L、L/L、S、S、及びS/Sを表1に示す。また得られた触媒を用いてブタジエン製造サイクルを100回行った。1サイクル目、50サイクル目、100サイクル目のブタジエン製造工程の反応圧力、原料転化率、ブタジエン選択率、ブタジエン収率を表2に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】
【0107】
実施例1の触媒では100サイクル目においても反応圧力の上昇が起こらず、高いブタジエン収率を維持した。一方、比較例1の触媒では、50サイクル目、100サイクル目と徐々に反応圧力が上昇し、ブタジエン収率も低下した。
【符号の説明】
【0108】
1 反応管
2 触媒層
3 原料供給配管
4 生成物排出配管
5 温度制御部
6 圧力制御部
7 第1のフィルター
8 第2のフィルター
9 第3のフィルター
10 第4のフィルター
100 ブタジエンの製造装置
図1