(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046798
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】撮像装置、監視システム及び撮像方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/69 20230101AFI20230329BHJP
H04N 23/67 20230101ALI20230329BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
H04N5/232 960
H04N5/232 120
H04N7/18 U
H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155587
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡戸 研太
(72)【発明者】
【氏名】勝呂 健太郎
【テーマコード(参考)】
5C054
5C122
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054FD07
5C054HA19
5C122DA11
5C122EA42
5C122FA11
5C122FB03
5C122FC00
5C122FD01
5C122FE02
5C122FE05
5C122FH10
5C122FH11
5C122FH14
5C122FK23
5C122HA02
5C122HA65
5C122HA82
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】カメラから被写体までの距離が既知でない状況であっても、被写体を目標とする画面上の寸法で表示する映像を撮像すること。
【解決手段】外部からの光を結像するレンズ系と、前記レンズ系を用いて第1の映像データを取得する撮像部と、前記第1の映像データの中から、監視対象を示す第1の対象フレームを判定し、前記第1の対象フレームにおける前記監視対象を目標とする画面上の寸法で表示する映像を撮像するための第1の撮像条件を判定する撮像管理部と、判定した前記第1の撮像条件に基づいて前記レンズ系を設定するレンズ系駆動部とを含むこと。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置であって、
外部からの光を結像するレンズ系と、
前記レンズ系を用いて第1の映像データを取得する撮像部と、
前記第1の映像データの中から、監視対象を示す第1の対象フレームを判定し、前記第1の対象フレームにおける前記監視対象を目標とする画面上の寸法で表示する映像を撮像するための第1の撮像条件を判定する撮像管理部と、
判定した前記第1の撮像条件に基づいて前記レンズ系を設定するレンズ系駆動部と、
を含むことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像管理部は、
所定のオブジェクト検出手法を用いて前記第1の映像データを解析し、前記監視対象に対する類似性基準を満たす物体が所定の判定領域において映るフレームを前記第1の対象フレームとして判定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像管理部は、
前記監視対象における関心領域を判定し、
前記監視対象の関心領域の種類毎に、推奨の画面上の寸法を規定する推奨寸法基準を参照することで、前記関心領域を前記目標の画面上寸法で表示する映像を撮像するための撮像条件を前記第1の撮像条件として判定する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像部は、
判定した前記第1の撮像条件に基づいて設定した前記レンズ系を用いて第2の映像データを取得し、
前記撮像管理部は、
前記第2の映像データの中から、前記監視対象を示す第2の対象フレームを判定し、
所定の画像処理手法を用いて前記第2の対象フレームを解析することで、前記監視対象の前記関心領域の特徴を抽出する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記レンズ系は、
フォーカスレンズとズームレンズを含み、
前記第1の撮像条件は、前記フォーカスレンズの設定値及び前記ズームレンズの設定値を規定する情報である、
ことを特徴とする、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記監視対象が自動車であり、
前記関心領域が前記自動車のナンバープレートであり、
前記関心領域の特徴が前記ナンバープレートに記載されている前記自動車の車番である、
ことを特徴とする、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
監視システムであって、
所定の監視対象を示す映像データを取得する撮像装置と、
前記撮像装置によって取得される前記映像データを記録する映像記録装置と、
前記映像データを表示する表示装置とを含み、
前記表示装置は、
前記映像記録装置から第1の映像データを取得し、
前記第1の映像データの中から、前記監視対象を示す第1の対象フレームを指定するユーザ入力をユーザインターフェースを介して受信し、前記第1の対象フレームの情報を前記撮像装置に転送し、
前記撮像装置は、
前記表示装置から受信した前記第1の対象フレームの情報に基づいて、前記第1の対象フレームにおける前記監視対象を目標とする画面上の寸法で表示する映像を撮像するための第1の撮像条件を判定する撮像管理部と、
外部からの光を結像するレンズ系と、
前記レンズ系を用いて映像データを取得する撮像部と、
を含むことを特徴とする監視システム。
【請求項8】
前記撮像部は、
判定した前記第1の撮像条件に基づいて設定した前記レンズ系を用いて第2の映像データを取得し、
前記撮像管理部は、
前記第2の映像データの中から、前記監視対象を示す第2の対象フレームを判定し、
所定の画像処理手法を用いて前記第2の対象フレームを解析することで、前記監視対象における関心領域の特徴を抽出する、
ことを特徴とする、請求項7に記載の監視システム。
【請求項9】
撮像方法であって、
第1の映像データを取得する工程と、
前記第1の映像データの中から、所定の監視対象を示す第1の対象フレームを判定する工程と、
前記監視対象における関心領域を判定する工程と、
前記関心領域の種類毎に、推奨の画面上寸法を規定する推奨寸法基準を参照し、前記関心領域を目標とする画面上の寸法で表示する映像を撮像するための第1の撮像条件を判定する工程と、
前記第1の撮像条件に基づいて撮像装置のレンズ系を設定する工程と、
前記第1の撮像条件に基づいて設定したレンズ系を用いて第2の映像データを取得する工程と、
前記第2の映像データの中から、前記監視対象を示す第2の対象フレームを判定する工程と、
所定の画像処理手法を用いて前記第2の対象フレームを解析することで、前記監視対象の前記関心領域の特徴を抽出する工程と、
を含む撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置、監視システム及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被写体を撮像し、映像データを取得する撮像装置が知られている。これらの撮像装置の例として、例えば不審物や不審者を撮像可能な監視カメラや、道路沿いに設置され、通過する自動車の映像を撮像するよう撃装置等が挙げられる。
【0003】
斯かる撮像装置を所定の場所に設置し、監視対象を撮像することで監視用の映像データを取得する運用が一般的である。ただし、撮像を行う際、確認すべき事象や物体の見逃しを抑制するために、監視対象が映像に収まるように撮像装置の画角を適宜に設定・調整することが重要である。
【0004】
撮像装置の画角を調整する手段がいくつか提案されている。
例えば、監視カメラの画角調整方法の1つとして、特許文献1(特開2020-198639号公報)が存在する。
特許文献1には、「画角調整方法は、カメラ2による撮影領域に存在し、寸法及びカメラ2からの距離が既知であり基準長を判別可能な既存の物体をターゲットとして設定する工程と、カメラ2によって撮影された画像上で撮像されるマークのサイズを計算する工程と、計算されたサイズとなるようにマークを画像上に表示する工程と、画像上でターゲットの表示をマークに合わせるように、カメラ2の画角を調整する工程と、を含む。マークのサイズを計算する工程は、既知のデータであるカメラ2からターゲットまでの距離に基づいて、マークのサイズを計算する」技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、カメラの撮影領域に存在する既知の物体を被写体として設定し、この被写体の既知のデータである寸法及びカメラからの距離を用いて、カメラの画角調整を行う手段が記載されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の画角調整手段では、カメラから被写体までの距離が既知である必要がある。このため、例えば被写体が移動している等のような、カメラから被写体までの距離の推定が難しい場合には、被写体を目標の画面上寸法で表示するための画角を判定することが困難となる。これにより、被写体を十分な大きさで示す画像が得られず、被写体に関する重要な視覚情報が得られないことがある。
【0008】
そこで、本開示は、カメラから被写体までの距離が既知でない状況であっても、被写体を適切な画面上の大きさで表示する映像を撮像することが可能な撮像手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、代表的な本開示の撮像装置の一つは、外部からの光を結像するレンズ系と、前記レンズ系を用いて第1の映像データを取得する撮像部と、前記第1の映像データの中から、監視対象を示す第1の対象フレームを判定し、前記第1の対象フレームにおける前記監視対象を目標とする画面上の寸法で表示するための第1の撮像条件を判定する撮像管理部と、判定した前記第1の撮像条件に基づいて前記レンズ系を設定するレンズ系駆動部とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、カメラから被写体までの距離が既知でない状況であっても、被写体を適切な画面上の大きさで表示する映像を撮像することが可能となる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の発明を実施するための形態における説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の実施例1に係る撮像装置を用いた監視システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施例2に係る撮像装置を用いた監視システムの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施例に係る撮像方法の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本開示の実施例に係る撮像装置を自動車の車番認識に適用した場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0013】
まず、
図1を参照して、本開示の実施例1に係る撮像装置を用いた監視システムの構成について説明する。
【0014】
図1は、本開示の実施例1に係る撮像装置110を用いた監視システム100の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本開示の実施例1に係る監視システム100は、撮像装置110、映像記録装置120及び映像表示装置130から構成されている。
図1に示す監視システム100は、例えばオブジェクト検出、防犯対策、アクティビティ検出等、任意の用途のために用いられてもよい。
【0015】
撮像装置110は、所定の環境や、当該環境における監視対象を撮影し、映像データを取得する装置である。撮像装置110は、例えば、パン、フォーカス、チルト、ズーム等の機能を備えてもよい。撮像装置110の例として、例えば監視カメラや、よう撃装置等のような可搬型装置が挙げられる。
図1に示すように、撮像装置110は、ズームレンズ111と、フォーカスレンズ112と、撮像部113と、撮像管理部114と、フォーカスレンズ駆動部115と、ズームレンズ駆動部116とから構成される。
【0016】
ズームレンズ111及びフォーカスレンズ112(以下、「レンズ系」と総称する)は、外部からの光を結像する光学素子である。より具体的には、ズームレンズ111は、像の位置を変えずに、撮像装置110の焦点距離を連続的に変化させることができるレンズである。また、フォーカスレンズ112は、撮像装置110の焦点を被写体に合わせるためのレンズである。ズームレンズ111及びフォーカスレンズ112の設定値を変更することで、撮像装置110の画角を調整することができる。
なお、ここでは、ズームレンズ111及びフォーカスレンズ112を含むレンズ系を一例として示しているが、本開示はこれに限定されず、他のレンズも含まれてもよい。
【0017】
撮像部113は、レンズ系を通過する光を映像データに変換する機能部である。撮像部113は、例えばレンズ系を通過する光を電気信号に変換する撮像素子や、当該電気信号を映像信号に変換する映像信号処理機能を備えてもよい。撮像部113によって取得される映像データは、後述する映像記録装置120及び/又は映像表示装置130に出力してもよい。
【0018】
撮像管理部114は、所定の監視対象を目標の画面上寸法で表示する映像を撮像するための撮像条件を判定する機能部である。より具体的には、撮像管理部114は、撮像部113によって取得される映像データの中から、監視対象を示す対象フレーム(第1の対象フレーム)を判定し、この対象フレームに基づいて撮像条件(第1の撮像条件)を判定してもよい。ある実施例では、対象フレームの選択は、映像表示装置130を介して入力されるユーザ入力に基づいて行われてもよく、所定のオブジェクト検出手法によって行われてもよい。
なお、ここでの「撮像条件」とは、監視対象を目標の画面上寸法で表示する映像を撮像するためのレンズ系(つまり、ズームレンズ111及びフォーカスレンズ112)の設定値を規定する情報である。ズームレンズ111及びフォーカスレンズ112の設定値を、撮像条件に指定されている値に設定することで、撮像装置は、監視対象を目標の画面上寸法で表示する映像を撮像可能な画角に設定される。
また、ここでの「画面上寸法」とは、監視対象(又は後述する関心領域)がディスプレイ等の画面に表示された際の大きさを意味し、例えば画素数で表してもよい。同様に、「目標の画面上寸法」は、例えばオブジェクト検出や文字認識に適した寸法を意味する。
【0019】
フォーカスレンズ駆動部115及びズームレンズ駆動部116は、撮像管理部114によって判定される撮像条件に従って、フォーカスレンズ112及びズームレンズ111のそれぞれの設定値(例えば、ズーム値、フォーカス値等)を調整するための機能部である。フォーカスレンズ駆動部115及びズームレンズ駆動部116を用いてフォーカスレンズ112及びズームレンズ111のそれぞれの設定値を撮像管理部114によって判定される撮像条件に基づいて設定することで、監視対象を目標の画面上寸法で表示する映像を撮像することが可能となる。
【0020】
映像記録装置120は、撮像装置110から出力される映像データを記録映像として格納するための記憶装置である。また、映像記録装置120は、当該記録映像を映像表示装置130に出力するように構成されてもよい。
映像記録装置120は、例えばハードディスクドライブ、ランダムアクセスメモリ、読出し専用メモリ、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ、又はフラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ等を含んでもよい。
【0021】
映像表示装置130は、撮像装置110又は映像記録装置120から出力される映像データを管理者等のユーザに表示し、当該ユーザからの入力を受け付けるための装置である。ある実施例では、映像表示装置130のユーザは、マウスやタッチ画面等の操作手段を用いて、映像データの中から、監視対象を示す対象フレーム(第1の対象フレーム)を選択し、選択した対象フレームの情報を上述した撮像管理部114に入力してもよい。その後、撮像管理部114は、ユーザに選択された対象フレームに基づいて、監視対象を目標の画面上寸法で表示するための撮像条件を判定する。
ここで、ユーザが対象フレームを選択する際、監視対象がフレームのなるべく中央に写っているフレームを選択することが望ましい。
映像表示装置130は、例えばディスプレイ及び操作手段を備えるデスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォン等、任意のコンピューティングデバイスであってもよい。
【0022】
以上説明した、本開示の実施例1に係る撮像装置110を用いた監視システム100によれば、予め撮像された録画映像の中から、被写体を映す所定の画像フレームを選択し、選択した画像フレームに基づいて当該被写体を目標の画面上寸法で表示する映像を撮像するための撮像条件を判定することで、例えば被写体が移動しておりカメラから被写体までの距離が既知でない状況であっても、被写体を鮮明に撮像することが可能となる。
【0023】
次に、
図2を参照して、本開示の実施例2に係る撮像装置を用いた監視システムの構成について説明する。
【0024】
図2は、本開示の実施例2に係る撮像装置210を用いた監視システム200の構成の一例を示す図である。本開示の実施例2に係る撮像装置210を用いた監視システム200は、撮像管理部114が撮像装置210ではなく、映像表示装置130の内部に含まれる点において本開示の実施例1に係る監視システム100と異なり、それ以外の構成は同様である。
【0025】
一例として、映像表示装置130をタブレット端末として構成した場合、撮像管理部114の機能をタブレット端末内のCPUに実行させてもよい。撮像管理部114を映像表示装置130の内部に実装することにより、撮像装置210側の処理負荷を抑えることができる。
また、上述した実施例1及び実施例2では、説明の便宜上、映像記録装置120を独立した装置として示したが、本開示はこれに限定されず、映像記録装置120を撮像装置110又は映像表示装置130の内部に含む構成も可能である。
【0026】
次に、
図3を参照して、本開示の実施例に係る撮像処理の流れについて説明する。
【0027】
図3は、本開示の実施例に係る撮像処理300の流れを示すフローチャートである。
図3に示す撮像処理300は、監視対象を目標とする画面上の寸法で表示する映像を撮像するための処理であり、上述した撮像装置(例えば、
図1に示す撮像装置110、
図2に示す撮像装置210)の機能部によって構成される。
【0028】
まず、ステップS310では、撮像装置の撮像部(例えば、
図1及び
図2に示す撮像部113)は、レンズ系(例えば、
図1及び
図2に示すズームレンズ111及びフォーカスレンズ112)を用いて第1の映像データを取得する。ここで、撮像装置は、設置されている環境や、当該環境に存在する物体を撮像することで第1の映像データを取得してもよい。その後、撮像部は、取得した第1の映像を映像記録装置(例えば、
図1及び
図2に示す映像記録装置120)に保存する。ここでの第1の映像データは、複数の連続する画像フレーム(静止画像)から構成される映像を意味する。
一例として、撮像装置が道路沿いに設置されているよう撃装置として実現した場合、よう撃装置は、道路を通過する自動車(監視対象)を示す映像を第1の映像として取得することができる。
なお、この段階では、撮像装置のレンズ系は、監視対象を目標とする画面上の寸法、つまり、好適な大きさの画像で表示するための映像を撮像できる撮像条件に基づいて設定されていないため、撮像装置は、監視対象を鮮明に撮像できる画角になっていない場合がある。
【0029】
次に、ステップS320では、撮像管理部(例えば、
図1及び
図2に示す撮像管理部114)は、ステップS310で取得された第1の映像データの中から、所定の監視対象を示す第1の対象フレームを判定する。ここで、上述したように、ある実施例では、撮像管理部は、所定のオブジェクト検出手法を用いて第1の映像データを解析し、監視対象に対する類似性基準を満たす物体が所定の判定領域において映るフレームを第1の対象フレームとして判定してもよい。一例として、監視対象が自動車の場合、撮像管理部は、自動車を検出するように訓練された畳み込みニューラルネットワークを用いて、自動車がフレームの中央に写るフレームを第1の対象フレームとして判定してもよい。
また、他の実施例では、第1の対象フレームの選択は、上述した映像表示装置(例えば、
図1及び
図2に示す映像表示装置130)を介して入力されるユーザ入力に基づいて行われてもよい。一例として、ユーザは、第1の映像データを確認し、マウスやタッチ画面を用いて監視対象がフレームの中央に映るフレームを第1の対象フレームとして選択してもよい。
【0030】
次に、ステップS330では、撮像管理部は、ステップS320で判定された対象フレームにおいて、監視対象の関心領域を検出する。ここでの関心領域とは、監視対象に対応する領域においてユーザが特に鮮明に映したい領域であり、目標とする画面上の寸法で表示したい領域である。例えば、関心領域は、監視対象を識別するのに重要な視覚情報を有する領域であってもよい。例として、監視対象が「人間」の場合、関心領域は「頭部」であってもよく、監視対象が「自動車」の場合、関心領域は「ナンバープレート」であってもよい。
関心領域は、ユーザが任意に設定することとしてもよい。例えば、ユーザは、上述した映像表示装置の操作手段を用いて、対象フレームにおける関心領域を手動で選択してもよい。また、オブジェクト検出手法を用いる場合、ユーザは、オブジェクト検出手法の設定時に関心領域を予め指定しておいてもよい。
なお、関心領域の設定は任意であり、監視対象に対応する領域において特に鮮明に映したい領域がない場合には、ユーザは関心領域を設定しなくてもよい。この場合、監視対象全体が関心領域として扱われてもよい。
【0031】
ステップS330で関心領域が検出されない場合、本処理はステップS320へ戻り、対象フレームの判定が再度行われ、別のフレームが対象フレームとして選択される。上述したように、この対象フレームの再度判定は、ユーザに手動で別のフレームの選択を促してもよく、異なる期間に対応する映像データに対してオブジェクト検出手法を再実行することで自動で判定してもよい。
【0032】
次に、ステップS330では、撮像管理部は、関心領域を目標の画面上の寸法で表示する映像を撮像するための撮像条件を判定する。ここで、撮像管理部は、監視対象の関心領域の種類毎に、推奨の画面上の寸法を規定する推奨寸法基準を参照してもよい。その後、撮像管理部は、当該推奨寸法基準が規定する推奨の画面上の寸法で当該関心領域を表示する映像を撮像するためのズームレンズ及びフォーカスレンズの設定値を第1の撮像条件として算出してもよい。次に、撮像管理部は、算出した第1の撮像条件をフォーカスレンズ駆動部及びズームレンズ駆動部(例えば、
図1及び
図2に示すフォーカスレンズ駆動部115及びズームレンズ駆動部116)に転送する。
【0033】
一例として、監視対象が自動車であり、関心領域が自動車のナンバープレートである場合を説明する。まず、撮像管理部は、第1の対象フレームにおける自動車のナンバープレートの画面上の寸法xを算出する。その後、撮像管理部は、推奨寸法基準を参照することで、ナンバープレートの推奨の画面上の寸法yを判定する。ナンバープレートの現在の画面上の寸法がxであり、ナンバープレートの推奨の画面上の寸法がyの場合、ナンバープレートを寸法yで表示する映像を撮像するためには、現在のズームレンズの設定値に対してy/x倍する必要がある。このため、撮像管理部は、ズームレンズの倍率がy/x倍となるためのズーム値を第1の撮像条件として算出し、算出した第1の撮像条件をズームレンズ駆動部に転送する。
なお、説明の便宜上、ズームレンズの設定値のみを調整する場合を一例として説明したが、本開示はこれに限定されず、関心領域を目標の画面上の寸法で表示する映像を撮像するためにズームレンズ及びフォーカスレンズのそれぞれの設定値を調整することが必要な場合もある。
【0034】
次に、ステップS350では、フォーカスレンズ駆動部及びズームレンズ駆動部は、撮像管理部から受信した第1の撮像条件をレンズ系(つまり、ズームレンズ及びフォーカスレンズ)に適用する。より具体的には、ズームレンズ駆動部は、第1の撮像条件に規定されるズームレンズの設定値を実現するためのズームレンズの駆動量を計算し、当該駆動量に従って、ズームレンズを光軸方向に沿って移動させる。また、フォーカスレンズ駆動部は、第1の撮像条件に規定されるフォーカスレンズの設定値を実現するためのフォーカスレンズの駆動量を計算し、当該駆動量に従って、フォーカスレンズを移動させる。
これにより、撮像装置の画角が調整され、監視対象の関心領域を目標の画面上寸法で表示する映像を撮像することが可能となる。
【0035】
次に、ステップS360では、撮像装置の撮像部は、ステップS350で第1の撮像条件が適用されたレンズ系を用いて第2の映像データを取得する。ここでの第2の映像データは、上述した第1の映像データと実質的に同様の環境や物体を示す映像である。ただし、第2の映像データは、第1の撮像条件が適用されたレンズ系を用いて撮像されたため、第1の映像データと画角が異なり、監視対象の関心領域が目標の画面上寸法で表示される映像である。
【0036】
次に、ステップS370では、撮像管理部は、ステップS360で取得された第2の映像データの中から判定した第2の対象フレームについて、関心領域の特徴を抽出する。
より具体的には、まず、撮像管理部は、ステップS330で判定された関心領域を含むフレームを第2の対象フレームとして判定する。ここでは、上述したように、撮像管理部は、映像表示装置を介して入力されるユーザ入力に基づいて第2の対象フレームを判定してもよく、オブジェクト検出手法を用いて第2の映像データを解析することで、関心領域が映るフレームを第2の対象フレームとして判定してもよい。
【0037】
そして、関心領域を含む第2の対象フレームを判定した後、撮像管理部は、所定の画像処理手段を用いることで、第2の対象フレームにおける関心領域の特徴を抽出する。ここでの特徴とは、関心領域を特徴付ける任意の情報であり、監視対象や関心領域の種類に応じて決定されてもよい。また、この特徴抽出は、例えば畳み込みニューラルネットワークや光学文字認識等、任意の画像処理手法によって行われてもよい。
【0038】
一例として、監視対象が自動車であり、関心領域が自動車のナンバープレートの場合、撮像管理部は、光学文字認識を用いて第2の対象フレームを解析することで、ナンバープレートに記載されている車番を特徴として抽出してもよい。
このように、監視対象の関心領域が目標の画面上寸法で表示される映像を所定の画像処理手法によって解析することで、高精度の特徴抽出が可能となる。ここで抽出される特徴は、例えば被写体の識別やアクティビティ検出等に用いることで、監視対象に関する洞察を得ることができる。
【0039】
以上説明した撮像処理300によれば、第1の映像データに基づいて、所定の監視対象や関心領域を目標の画面上寸法で撮像するための第1の撮像条件を判定して、レンズ系に適用することができる。その後、第1の撮像条件が適用されたレンズ系を用いて撮像を行うことで、所定の監視対象や関心領域を目標の画面上寸法で表示する第2の映像データを取得することができる。そして、このように取得した第2の映像データを解析することで、監視対象や関心領域に関する情報(車番等)を高精度で判定することが可能となる。
【0040】
次に、
図4を参照して、本開示の実施例に係る撮像装置を自動車の車番認識に適用した場合について説明する。
【0041】
近年、路上のセキュリティ及び安全性を守る観点から、自動車のナンバープレートを検出し、文字及び数字で構成される車番を高精度で認識する手段が求められている。そこで、本開示の実施例に係る撮像装置を用いることで、例えば被写体が高速で移動している自動車で撮像装置から自動車までの距離が既知でない状況であっても、高精度の車番認識が可能となる。
図4は、本開示の実施例に係る撮像装置を自動車の車番認識に適用した場合の一例を示す図である。
【0042】
まず、本開示の実施例に係る撮像装置は、監視対象となる自動車が走行する道路沿いに、自動車が撮像可能に設置される。この場合、撮像装置は、例えばよう撃装置等のような可搬型装置であってもよい。
【0043】
撮像装置が設置された後、当該撮像装置の撮像部は、通過する自動車を撮像することで、第1の映像データを取得する。この第1の映像データは、例えば上述した映像記憶装置に格納されてもよく、映像表示装置に直接に送信されてもよい。次に、撮像装置の撮像条件判定部は、第1の映像データの中から、自動車を示す第1の対象フレーム410を、オブジェクト検出手法又はユーザ入力によって判定する。
【0044】
第1の対象フレーム410の一例を
図4に示す。この段階では、撮像装置のレンズ系は、自動車を目標の画面上寸法で表示する映像を撮像するための撮像条件に基づいて設定されていないため、
図4に示す第1の対象フレーム410のように、自動車の一部が含まれず、ナンバープレートが鮮明に映らないことがある。
【0045】
次に、撮像条件判定部は、自動車のナンバープレート411を関心領域として判定し、上述した推奨寸法基準を参照することで、このナンバープレート411を文字認識に適した画面上寸法で表示する映像を撮像するためのズームレンズ及びフォーカスレンズの設定値を第1の撮像条件として判定する。その後、撮像条件判定部は、第1の撮像条件として判定したズームレンズ及びフォーカスレンズの設定値のそれぞれを、ズームレンズ駆動部及びフォーカスレンズ駆動部に転送する。
この第1の撮像条件を受信したズームレンズ駆動部及びフォーカスレンズ駆動部は、ズームレンズ及びフォーカスレンズのそれぞれを第1の撮像条件に規定される設定値に設定する。
【0046】
次に、撮像部は、第1の撮像条件が適用されたレンズ系を用いて第2の映像データを取得し、撮像管理部は、取得された第2の映像データの中から、自動車を示す第2の対象フレーム420を、オブジェクト検出手法又はユーザ入力によって判定する。
【0047】
第2の対象フレーム420の一例を
図4に示す。
図4に示すように、この第2の対象フレームは、第1の撮像条件が適用されたレンズ系を用いて撮像されたため、第1の映像データと画角が異なり、ナンバープレート411が文字認識に適した、より大きな画面上の寸法で表示される。
この第2の対象フレーム420に対して、光学文字認識等のような画像処理を施すことにより、自動車の車番を高精度で認識することが可能となる。
【0048】
以上説明した本開示の実施例に係る撮像装置によれば、予め撮像された録画映像の中から、被写体を表示する所定の画像フレームを選択し、選択した画像フレームに基づいて当該被写体を目標の画面上の寸法で表示する映像を撮像するための撮像条件を判定することで、例えば被写体が移動しておりカメラから被写体までの距離が既知でない状況であっても、被写体を鮮明に撮像することが可能となる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
100、200 監視システム
110、210 撮像装置
111 ズームレンズ
112 フォーカスレンズ
113 撮像部
114 撮像管理部
115 フォーカスレンズ駆動部
116 ズームレンズ駆動部
120 映像記録装置
130 映像表示装置
300 撮像処理
410 第1の対象フレーム
411 ナンバープレート
420 第2の対象フレーム