(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047082
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】暖機制御装置及び暖機システム
(51)【国際特許分類】
F02D 23/00 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
F02D23/00 F
F02D23/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156012
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 和也
【テーマコード(参考)】
3G092
【Fターム(参考)】
3G092AB02
3G092BA03
3G092DB03
3G092DC15
3G092EA02
3G092GA02
3G092HD09
(57)【要約】
【課題】 簡易な方法で排ガスの浄化触媒を早期に活性化させる暖機制御装置及び暖機システムを提供する。
【解決手段】 暖機制御装置50は、エンジン11の吸気通路16及び排気通路12に接続されてエンジン11の吸気を過給する過給機15を備えるエンジン排気系統40を暖機する装置であって、イグニッションの始動時に過給機15のタービン18を駆動モータ24で回転させる駆動モータ始動部51と、イグニッションの始動時に浄化触媒13の下流側の排気通路12の口径を絞らせる絞り制御部52と、口径が絞られた場合にエンジン11を始動するエンジン始動部53と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの吸気通路及び排気通路に接続されて前記エンジンの吸気を過給する過給機を備えるエンジン排気系統を暖機する暖機制御装置において、
イグニッションの始動時に前記過給機のタービンを駆動モータで回転させる駆動モータ始動部と、
前記イグニッションの始動時に浄化触媒の下流側の前記排気通路の口径を絞らせる絞り制御部と、
前記口径が絞られた場合に前記エンジンを始動するエンジン始動部と、を備えることを特徴とする暖機制御装置。
【請求項2】
前記エンジンの始動から所定時間の経過時に前記駆動モータを停止して前記口径の絞りを解除する解除部を備える請求項1に記載の暖機制御装置。
【請求項3】
エンジンの吸気通路及び排気通路に配置されて前記エンジンの排ガスでタービンを回転させて前記エンジンの吸気を過給可能な過給機と、
前記過給機より排気下流側の前記排気通路に設けられて前記排ガスを浄化する浄化触媒と、
前記浄化触媒より排気下流側の前記排気通路に設けられる排気絞り弁と、
前記過給機の連結シャフトに設置されて前記タービンを回転させる駆動モータと、
イグニッションの始動時に前記タービンを回転させる駆動モータ始動部と、
前記イグニッションの始動時に前記排気絞り弁で前記排気通路の口径を絞る絞り制御部と、
前記口径が絞られた後に前記エンジンを始動するエンジン始動部と、を備えることを特徴とする暖機システム。
【請求項4】
前記エンジンの前記吸気通路上で前記過給機のコンプレッサの吸気側と排気側とを接続するバイパス通路と、
前記バイパス通路を開閉するバイパス弁と、
前記排気絞り弁を閉側に絞る際に前記バイパス通路を開放するように前記バイパス弁を開閉させるバイパス制御部と、を備える請求項3に記載の暖機システム。
【請求項5】
前記エンジンの前記吸気通路に配置されて前記過給機で過給された吸気を冷却するインタークーラを備え、
前記バイパス通路は前記インタークーラと前記エンジンとの間の前記吸気通路から分岐する請求項4に記載の暖機システム。
【請求項6】
前記エンジンの始動から所定時間の経過時に前記駆動モータを停止し、前記口径の絞りを解除し、前記バイパス通路を閉止する解除部を備える請求項4または請求項5に記載の暖機システム。
【請求項7】
外気温を検出する温度計と、
前記外気温が低いほど前記所定時間を長くする暖機時間調整部と、を備える請求項6に記載の暖機システム。
【請求項8】
前記浄化触媒は、
前記排気通路の下流側に排ガス導入口が接続された触媒ケースと、
前記触媒ケースの拡径部に収容された触媒担体と、を備え、
前記連結シャフト、前記触媒担体の中心軸及び前記排ガス導入口の中心が同一軸上に配置される請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の暖機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動車の排ガスを浄化する浄化触媒の暖機技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の排ガスを浄化する浄化触媒は、温度が300℃~500℃程度の活性温度に達するまでは排ガスの浄化機能を十分に発揮しない。例えば、エンジンを停止すると浄化触媒は外気温まで降温するため、エンジンの始動時には十分な排ガス浄化性能を得られない。よって、浄化触媒を暖機してエンジンの始動後できるだけ早期に活性化させることが求められる。
従来では、例えば、アクチュエータでガイド部材の向きを制御して浄化触媒の中央部へ高温の排ガスを誘導することで、触媒を活性化させる技術が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、ガイド部材の向きを変更させるなどタービンの構造を変更する必要があるという課題があった。
また、この変更を可能にするためのアクチュエータ及び軸受を付加する必要もあった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、簡易な方法で排ガスの浄化触媒を早期に活性化させる暖機制御装置及び暖機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る暖機制御装置は、エンジンの吸気通路及び排気通路に接続されて前記エンジンの吸気を過給する過給機を備えるエンジン排気系統を暖機する装置であって、イグニッションの始動時に前記過給機のタービンを駆動モータで回転させる駆動モータ始動部と、前記イグニッションの始動時に前記浄化触媒の下流側の前記排気通路の口径を絞らせる絞り制御部と、前記口径が絞られた場合に前記エンジンを始動するエンジン始動部と、を備えるものである。
【0007】
本実施形態に係る暖機システムは、エンジンの吸気通路及び排気通路に配置されて前記エンジンの排ガスでタービンを回転させて前記エンジンの吸気を過給可能な過給機と、前記過給機より排気下流側の前記排気通路に設けられる浄化触媒と、前記浄化触媒より排気下流側の前記排気通路に設けられる排気絞り弁と、前記過給機の連結シャフトに設置されて前記タービンを回転させる駆動モータと、イグニッションの始動時に前記タービンを回転させる駆動モータ始動部と、前記イグニッションの始動時に前記排気絞り弁で前記排気通路の口径を絞る絞り制御部と、前記口径が絞られた後に前記エンジンを始動するエンジン始動部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、簡易な方法で排ガスの浄化触媒を早期に活性化させる暖機制御装置及び暖機システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る暖機システムの概略構成図。
【
図2】第1実施形態に係る暖機システムの動作を説明するフローチャート。
【
図3】第2実施形態に係る暖機システムの概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
(第1実施形態)
まず、
図1を用いて、第1実施形態に係る暖機システム10について概説する。
第1実施形態に係る暖機システム10は、
図1に示されるように、エンジン11の排気通路12に配置された浄化触媒13を暖機するものである。
【0012】
暖機システム10が接続されるエンジン11は、例えば、自動車等に搭載された4気筒の内燃機関である。エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒に吸入空気を分配するインテークマニホールド及び各種ダクト等で構成される吸気通路16が接続されている。吸気通路16は、その一部である大気開放吸気通路16b(16)の入口に配置されたエアクリーナ17でダストが除去された空気を取り込んでエンジン11に導く。これら吸気通路16及びエアクリーナ17はエンジン11に大気中の空気を供給する吸気系統30を構成する。なお、吸気通路16は、後述するコンプレッサ22の一部で構成しても、コンプレッサ22とは別個のダクト部材で構成してもよい。
【0013】
一方、エンジン11の排気口には、エンジン排気通路12aが接続される。エンジン排気通路12aは、エキゾーストマニホールド及び各種ダクト等で構成される排気通路12の一部である。このエンジン排気通路12aの下流側の開口部には、浄化触媒13の触媒ケース13aに設けられた排ガス導入口13bが接続される。触媒ケース13aの拡径部には、触媒担体13cが収納される。触媒担体13cは、エンジン11から排気通路12に排出された排ガスG中の、例えばCO及びHCを酸化しNOxを還元して無害化する三元触媒である。ただし、触媒担体13cは三元触媒に限定されるものではない。
これら排気通路12及び浄化触媒13は、エンジン11からの排ガスGを大気中へ排出する排気系統40を構成する。なお、排気通路12は、触媒ケース13a又は後述するタービン18の一部で構成しても、これらとは別個のダクト部材で構成してもよい。
【0014】
なお、触媒担体13cはその温度がおよそ300℃以上に上昇すると活性化する。この触媒担体13cの温度は、エンジン11に設けられた温度計25で推定することができる。温度計25はエンジン11の始動前においては外気温を示しているため、外気温と同程度である触媒担体13cの温度を推定することができる。なお、浄化触媒13に触媒温度計が設けられている場合には触媒温度計で直接触媒担体13cの温度を測定してもよい。
また、第1実施形態に係る暖機システム10では、触媒担体13cより下流側の触媒下流排気通路12b(12)に例えば排気ブレーキで構成される排気絞り弁27が設けられる。排気絞り弁27で浄化触媒13の排気流出口の径を絞って加圧することで、触媒ケース13a内での排ガスGの断熱圧縮が可能になる。
【0015】
なお、全実施形態を通して、「上流側」又は「下流側」の表現は、吸気系統30においては吸気流れを基準にし、排気系統40においては排気流れを基準にする。つまり、エンジン11により近い側が、排気系統40においては「上流側」となり、吸気系統30においては「下流側」となる。
【0016】
また、エンジン11には過給機15が設けられる。過給機15は、排ガスGのエネルギーをタービン18で回収してコンプレッサ22を作動させることでエンジン11の吸気を過給してエンジン11の出力を増加させる装置である。タービン(タービンホイール)18とコンプレッサ(コンプレッサインペラ)22とは、これらの回転軸となる連結シャフト21で互いに接続される。
タービン18は、入口側でエンジン排気通路12aに接続され、出口側で浄化触媒13に接続される。そして、タービン18はエンジン11から排出される排ガスGを動力に回転する。
【0017】
コンプレッサ22は、入口が大気中の空気を吸気する大気開放吸気通路16b(16)に接続され、出口が圧縮空気をエンジン11に供給するエンジン吸気通路16a(16)に接続される。
コンプレッサ22は、タービン18の回転に連動して回転してエンジン11の吸気を過給してエンジン11の各気筒の燃焼室に過給空気を強制的に送り込む。また、コンプレッサ22の下流側のエンジン吸気通路16aには、コンプレッサ22によって過給された空気を冷却するインタークーラ23が配置される。
また、過給機15の連結シャフト21には、駆動モータ24が設けられる。駆動モータ24は、タービン18に供給される排ガスGの動力とは独立して強制的にタービン18を回転させる。
【0018】
なお、過給機15を有する多くの排気系統40では、タービン18と浄化触媒13とを接続する排気通路12が直角に屈曲している。しかし、排ガスGを一気に触媒ケース13aに流入させて排ガスGの断熱圧縮の効果を高めるため、連結シャフト21、触媒担体13cの中心軸C及び排ガス導入口13bの中心Oは、同一軸上に配置されることが望ましい。ただし、排気通路12が屈曲していても、断熱圧縮した排ガスGを触媒ケース13a内に送り込むことはできる。
【0019】
次に、暖機システム10が備える暖機制御装置50について、引き続き
図1を用いて説明する。
エンジン11及び充電システム等の電子制御される車載機器は、車載された電子制御ユニット(ECU)60によりコントローラ26を介して制御される。
暖機制御装置50は、このECU60内でCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えたマイクロコンピュータとして構成される。CPUは、制御プログラムに従って所望の演算を実行して、種々の処理や制御を行う。ROMは、CPUで処理する制御プログラムや制御データを記憶し、RAMは、主として制御処理のための各種作業領域として使用される。
【0020】
暖機制御装置50は、コントローラ26を介してエンジン11、過給機15及び浄化触媒13の排気絞り弁27を制御する。
具体的には、暖機制御装置50は、駆動モータ始動部51と、絞り制御部52と、エンジン始動部53と、を備える。駆動モータ始動部51は、イグニッションの始動を確認してから駆動モータ24を駆動させてタービン18を回転させる。絞り制御部52は、イグニッションの始動を確認してから排気絞り弁27で触媒下流排気通路12bの口径を絞る。エンジン始動部53は、排気絞り弁27により触媒下流排気通路12bの口径が絞られた後にエンジン11を始動する。エンジン始動部53は、例えば絞り制御部52から発信された排気絞り弁27の動作指令の信号を感知してエンジン11を始動する。
【0021】
過給機15の通常運転では、タービン18の下流側が上流側よりも圧力が小さくなる。しかし、暖機システム10による暖機運転では、触媒下流排気通路12bの口径を絞ることで逆にタービン18の上流側の圧力よりも下流側の圧力が高くなる。このような暖機制御装置50の制御により、触媒ケース13a内で排ガスGが断熱圧縮されて昇温するため、浄化触媒13が短時間で昇温する。
【0022】
また、暖機制御装置50は、暖機時間調整部54及び解除部55を備えることが望ましい。
暖機時間調整部54は、温度計25で測定された外気温に基づいて暖機時間を決定する。暖機時間調整部54は、事前に実験で取得した暖機時間と浄化触媒13の上昇温度との関係データを保持する。そして、この関係データから、暖機時間調整部54は暖機時の外気温に基づいて暖機時間を決定する。
【0023】
一般に、外気温が低く触媒担体13cが低温なほど触媒担体13cを活性化温度まで昇温するのに時間がかかる。よって、暖機時間調整部54は、温度計25で測定された外気温が低いほど長い暖機時間を決定する。暖機時間として決定された所定時間が経過したとき、触媒担体13cの温度は活性温度に到達したものと推定される。よって、この所定時間の経過時に解除部55が駆動モータ24を停止して排気絞り弁27による絞りを解除して暖機を終了する。このように暖機時間調整部54で暖機時間を決定することで、簡易な方法で浄化触媒13の活性化の有無を判定することができる。
【0024】
次に、
図2のフローチャートを用いて、暖機システム10の動作について説明する。
なお、
図2中及び以下の説明ではステップS11を「S11」として略記する。
まず、車両の走行を開始するためイグニッションをオンにして冷機運転すなわちアイドリング運転を開始する(S11)。この時点では、エンジン11における燃料の燃焼は開始されていないため、エンジン11から高温の排ガスGは排出されない。
【0025】
そして、駆動モータ始動部51がイグニッションがオンにされたことを感知して、駆動モータ24を始動させて断熱圧縮を開始する(S12)。このとき、排気絞り弁27は絞られ、バイパス弁32はバイパス通路31を開放するように切り替えられる。
駆動モータ24が駆動することで、タービン18が回転して浄化触媒13に空気が送風される。このとき、排気絞り弁27が絞られているため、触媒ケース13a内に流入した空気は断熱圧縮をして急激に昇温する。空気が急激に昇温することで、触媒担体13cは短時間で昇温して活性化される。
【0026】
そして、エンジン始動部53が、駆動モータ24の始動、排気絞り弁27及びバイパス弁32の作動を確認した後、エンジン11を始動させる(S13)。イグニッションがオンにされてからエンジン11が始動するまでの時間は数秒以内である。
エンジン11が始動すると、燃料の燃焼により高温の排ガスGがタービン18に流入するため、より一層浄化触媒13の温度は上昇する。
【0027】
なお、このとき、排気絞り弁27は排気通路12を完全には閉止せず、僅かに排ガスGの流出路を確保する。排気絞り弁27を絞ると、タービン18の下流側には背圧が立ちエンジン11からの排ガスGのタービン18への流入はある程度阻害される。タービン18による送風量及び排気絞り弁27の絞り量は、送風量がこの背圧による圧力損失を超過するように調整される。このように調節することで、排ガスGは浄化触媒13に流入する。
これらタービン18からの送風量及び排気絞り弁27の絞り量は、例えば事前に実験で取得したこれら送風量と絞り量との関係を示すデータに基づいて決定される。
【0028】
そして、浄化触媒13の暖機は、暖機時間調整部54で決定された1~2分程度の所定時間が経過するまで継続される(S14においてNO)。
この所定時間が経過すると(S14においてYES)、浄化触媒13の断熱圧縮を終了する(S15)。
このとき、解除部55がステップS12とは逆の動作を行う。つまり、解除部55は、駆動モータ24を停止させ、排気絞り弁27の絞りを開放する(END)。
【0029】
なお、このときタービン18の背圧の大小関係はタービン18の上流側と下流側とで反転する。急激な圧力の変動は、エンジン11及び過給機15の急速なトルク変動を発生させる。よって、急速なトルク変動を回避するため、ステップS15における駆動モータ24、バイパス弁32及び排気絞り弁27の動作はステップS12よりも低速で行うのが好ましい。
なお、過給機15による暖機運転の終了後は、昇温した排ガスGによる従来の暖機により浄化触媒13をさらに昇温してもよい。
【0030】
以上のように、第1実施形態に係る暖機制御装置50によれば、排ガスGを断熱圧縮させて浄化触媒13に供給することで、浄化触媒13を早期に暖機することができる。
【0031】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る暖機システム10の構成図である。
第2実施形態に係る暖機システム10は、
図3に示されるように、エンジン11の吸気通路16上で過給機15のコンプレッサ22の吸気側と排気側とを接続するバイパス通路31を備える。
また、このバイパス通路31には、暖機制御装置50に設けられるバイパス制御部56により制御されてバイパス通路31を開閉するバイパス弁32が設置される。
【0032】
多くの過給機15では、タービン18とコンプレッサ22との連結は切り離すことができない。よって、タービン18を回転させると連動してコンプレッサ22も回転してエンジン11に不要な圧縮空気を供給してしまう。そこで、排気絞り弁27が絞られる際に、バイパス制御部56がバイパス通路31を開放するようにバイパス弁32を開閉させる。そして、浄化触媒13の暖機の間、バイパス通路31で圧縮空気を大気中に戻す。また、このときバイパス弁32でエンジン吸気通路16aの入口を閉止して、コンプレッサ22で過給された圧縮空気がエンジン11に流入することを防止する。
なお、バイパス弁32は、1つの切換え弁であってもよいし、協働する複数の弁で構成されてもよい。
【0033】
また、解除部55は、
図2で示したステップS12の排気絞り弁27が開放される際に、バイパス弁32を切り替えてバイパス通路31を閉止する。このバイパス弁32によってエンジン吸気通路16aは開放される。このときも、第1実施形態と同様に、トルクの急激な変動を防止するため、解除部55はバイパス弁32をゆっくり閉止する。
なお、バイパス通路31は、吸気の圧力損失を軽減する観点から、インタークーラ23の下流側、すなわちインタークーラ23とエンジン11との間の吸気通路16から分岐することが好ましい。
このように、過給機15による浄化触媒13の暖機時に圧縮空気をバイパス通路31に流すことで、圧縮空気がエンジン11に流入することを防止する。
【0034】
なお、第2実施形態では、バイパス通路31及びバイパス弁32でコンプレッサ22により過給された吸気をバイパスさせること以外は、第1実施形態と同様の構成及び動作をするため、重複する説明は省略する。また、図面においても、同一の構成には同一の符号を付して、説明を省略する。
【0035】
以上のように、第2実施形態に係る暖機制御装置50によれば、圧縮空気をバイパスさせることで、圧縮空気のエンジン11への流入を防止することができる。
また、このときコンプレッサ22が仕事をしないため、駆動モータ24の動力の略全部をタービン18による排ガスGの圧縮及び押し出しに用いることができる。
【0036】
本発明の各実施形態を説明したが、これらの各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。各実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、車両によってはインタークーラが設けられていないこともある。
【符号の説明】
【0037】
10…暖機システム、11…エンジン、12(12a,12b)…排気通路(エンジン排気通路,触媒下流排気通路)、13(13a,13b,13c)…浄化触媒(触媒ケース,排ガス導入口,触媒担体)、15…過給機、16(16a,16b)…吸気通路(エンジン吸気通路,大気開放吸気通路)、17…エアクリーナボックス、18…タービン、21…連結シャフト、22…コンプレッサ、23…インタークーラ、24…駆動モータ、25…温度計、26…コントローラ、27…排気絞り弁、30…吸気系統、31…バイパス通路、32…バイパス弁、40…排気系統、50…制御装置、51…駆動モータ始動部、52…絞り制御部、53…エンジン始動部、54…暖機時間調整部、55…解除部、56…バイパス制御部、60…ECU、C…触媒担体の中心軸、G…排ガス、O…触媒ケースの排ガス導入口の中心。