(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047302
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】多重化および逆多重化するマルチモードデバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 6/125 20060101AFI20230329BHJP
G02B 6/122 20060101ALI20230329BHJP
G02B 6/14 20060101ALI20230329BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
G02B6/125 301
G02B6/122 311
G02B6/14
G02B6/12 331
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022138063
(22)【出願日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】63/248,211
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/725,418
(32)【優先日】2022-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】イ-クエイ ウー
(72)【発明者】
【氏名】ルシア ガン
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147AA02
2H147AB17
2H147AB28
2H147BA05
2H147BB02
2H147BB06
2H147BD01
2H147BE15
2H147BE17
2H147BE22
2H147EA13C
2H147EA14B
(57)【要約】
【課題】光を結合または分割することができる導波路を有する光学システムを提供する。
【解決手段】光を多重化および逆多重化するために使用される干渉デバイスの構成が開示される。干渉デバイスは、第1の入力導波路、第2の入力導波路、干渉導波路、および出力導波路を含み得る。基本モードの光は、第1および第2の入力導波路に入射され得、干渉導波路は、基本モードの光を受光し、高次モードの光を生成し得、ここで、2つのモードの光は、干渉導波路を通って伝播する間に重ね合わされ得る。2つのモードの光は、2つのモードを単一モードに折り畳む出力導波路で受光され得る。干渉デバイスを通って伝播する光は、光の波長が互いに異なる場合であっても、光パワーを増加させるために使用され得る。さらに、干渉デバイスは、コヒーレントノイズを低減し得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源および第2の光源から光を結合する干渉デバイスであって、
前記第1の光源から入力光を受光するように構成された第1の入力導波路と、
前記第2の光源から入力光を受光するように構成された第2の入力導波路であって、前記第2の入力導波路が、前記第1の入力導波路からギャップによって物理的に分離されている、第2の入力導波路と、
前記第1の入力導波路および前記第2の入力導波路からの前記光を結合するように構成された干渉導波路と、
前記干渉導波路に物理的に接続された出力導波路と、
を備え、
前記干渉導波路が、
テーパ部分と、
前記テーパ部分に当接している直線部分と、を含み、
前記テーパ部分が、前記第1の光源および前記第2の光源からの前記光を結合する、干渉デバイス。
【請求項2】
前記第1の入力導波路と前記第2の入力導波路との間の前記ギャップが一定であり、
前記第1および第2の光源からの前記入力光が、単一モードの光であり、
前記干渉導波路の前記テーパ部分が、
第1のテーパ部分と、
第2のテーパ部分と、を含み、
前記干渉導波路の前記第1のテーパ部分が、前記第1の入力導波路に当接しており、
前記干渉導波路の前記第2のテーパ部分が、前記第2の入力導波路に当接しており、
前記干渉導波路が、前記単一モードの入力光の一部を高次モードの光に変換し、
前記出力導波路が、前記単一モードの光を出力する、
請求項1に記載の干渉デバイス。
【請求項3】
前記第1および第2の入力導波路が、前記干渉導波路の前記テーパ部分に至るまで平行である、請求項1に記載の干渉デバイス。
【請求項4】
前記第1および第2の入力導波路が、前記第1および第2の入力導波路の長さにわたって直線状である、請求項1に記載の干渉デバイス。
【請求項5】
前記出力導波路が、出力中心軸を含み、
前記干渉導波路が、干渉中心軸を含み、
前記出力中心軸が、前記干渉中心軸からオフセットされている、
請求項1に記載の干渉デバイス。
【請求項6】
前記出力導波路が、第1の幅を含み、
前記干渉導波路が、第2の幅を含み、
前記第2の幅が前記第1の幅よりも広い、
請求項1に記載の干渉デバイス。
【請求項7】
前記第2の入力導波路の前記第2のテーパ部分が、前記単一モードの入力光の一部を高次モードの光に変換し、
前記高次モードの光が、前記第1の入力導波路の前記第1のテーパ部分に結合し、
前記干渉導波路が、前記単一モードの入力光および前記高次モードの光を受光する、
請求項2に記載の干渉デバイス。
【請求項8】
前記第1の入力導波路と前記干渉導波路との間の角度および前記第2の入力導波路と前記干渉導波路との間の角度が同じである、請求項1に記載の干渉デバイス。
【請求項9】
単一モードの光の第1の波長を受光するように構成された第1の入力導波路と、
前記単一モードの光の第2の波長を受光し、前記単一モードの光の前記第2の波長を高次モードの光に変換するように構成された第2の入力導波路と、
干渉導波路であって、
第1のテーパ部分と、
前記第1のテーパ部分に光学的に結合された第2のテーパ部分であって、前記第2の入力導波路から受光した前記単一モードの光を高次モードの光に変換するように構成された第2のテーパ部分と、
前記第1のテーパ部分から前記単一モードの光および前記高次モードの光を受光するように構成された直線部分と、を含む干渉導波路と、
前記干渉導波路に光学的に結合された出力導波路であって、
前記干渉導波路から受光した前記高次モードの光を単一モードの出力光に変換し、
結合された第1および第2の波長の単一モードの出力光を出力して、コヒーレントノイズを軽減するように構成された出力導波路と、
を備える、多重化デバイス。
【請求項10】
前記高次モードの光が、前記第2のテーパ部分から前記第1のテーパ部分に結合し、
前記第1の入力導波路が、前記干渉導波路と同じ幅であり、前記第1の入力導波路が、前記干渉導波路に当接しており、
前記出力導波路が、前記干渉導波路からの前記高次モードの光を、出力のために前記単一モードの光に変換する、
請求項9に記載の多重化デバイス。
【請求項11】
前記第2のテーパ部分が、第1の幅から第2の幅にテーパ状になっており、
前記第2の幅が、前記第1の幅よりも広く、
前記第2のテーパ部分の前記第1の幅が、前記第2の入力導波路と同じ幅である、
請求項9に記載の多重化デバイス。
【請求項12】
前記第1の入力導波路の直線部分が、前記入力単一モードの光を受光する、請求項9に記載の多重化デバイス。
【請求項13】
前記干渉導波路の第1のテーパ部分の第1の端部が、前記第1の入力導波路に当接しており、
前記第1のテーパ部分の前記第1の端部が、第1の幅を有し、
前記第1のテーパ部分の第2の端部が、第2の幅を有し、前記干渉導波路の前記直線部分に当接しており、
前記第1のテーパ部分の前記第2の幅が、前記第1のテーパ部分の前記第1の幅よりも狭い、
請求項12に記載の多重化デバイス。
【請求項14】
前記第1の入力導波路および前記第2の入力導波路が、リブ導波路である、請求項9に記載の多重化デバイス。
【請求項15】
前記干渉導波路が、ストリップ導波路である、請求項9に記載の多重化デバイス。
【請求項16】
光を逆多重化する方法であって、
入力導波路によって、第1の単一モードの光の第1の波長および第2の単一モードの光の第2の波長を受光することと、
干渉導波路によって、前記入力導波路から、前記第1および第2の単一モードの光の前記第1および第2の波長を受光することと、
前記干渉導波路によって、二次モードの光を生成することと、
前記二次モードの光を第3の単一モードの光に変換することと、
第1の出力導波路によって、第1の波長の前記第3の単一モードの光を出力することと、
第2の出力導波路によって、前記第3の単一モードの光の第2の波長を出力することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記第3の単一モードの光の伝送プロファイルを決定するために、前記干渉導波路に対して前記入力導波路を位置決めすることをさらに含む、請求項16に記載の光を逆多重化する方法。
【請求項18】
前記第1および第2の出力導波路を一貫したギャップによって分離することをさらに含む、請求項16に記載の光を逆多重化する方法。
【請求項19】
前記干渉導波路から同じ角度で前記光を出力することをさらに含む、請求項16に記載の光を逆多重化する方法。
【請求項20】
前記干渉導波路の直線部分を、第1の幅を有する前記干渉導波路のテーパ部分の第1の端部に当接することと、
前記第1の端部から前記第1の幅よりも広い第2の幅を有する第2の端部まで前記干渉導波路の前記テーパ部分をテーパ状にすることと、
前記干渉導波路の前記第2の端部を前記第1の出力導波路および前記第2の出力導波路に当接することと、をさらに含む、請求項16に記載の光を逆多重化する方法。
【請求項21】
単一モードの光の第1の波長を受光するように構成された第1の入力導波路と、
前記単一モードの光の第2の波長を受光するように構成された第2の入力導波路と、
前記第1の入力導波路および前記第2の入力導波路に光学的に結合された干渉導波路であって、前記第1および第2の入力導波路から受光した前記単一モードの光の前記第1および第2の波長を、少なくとも2つの異なる次数モードの光に変換するように構成された干渉導波路と、
前記干渉導波路に光学的に結合された出力導波路であって、
前記少なくとも2つの異なる次数モードの光を第3の単一モードの光に変換し、
第1および第2の波長の光を結合して前記第3の単一モードの光を出力して、光の光出力パワーを2倍にするように構成された出力導波路と、
を備える、光結合デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、光を結合する光学システムに関する。より具体的には、本明細書の実施形態は、光を結合または分割することができる導波路を有する光学システムに関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年9月24日に出願された米国仮特許出願第63/248,211号の米国特許法119条(e)の下での利益を主張するものであり、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
一般に、光学システム(フォトニクス集積回路など)は、複数の光源を使用して、様々なタイプの情報を測定するなど、特定のタスクを達成することができる。これらの光学システムの光源は、異なる波長で光を放出することができ、光学システム内の様々な点でこの光を多重化および/または逆多重化することが望ましい場合がある。空間は、特に、光学システムが限られた利用可能な空間を有するデバイスに組み込まれている場合に、光学システムにおいて貴重であり得る。したがって、小さい全体的な設置面積を維持しながら、光を結合または分割できる構成要素を見つけることが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示に記載のシステム、デバイス、方法、および装置の実施形態は、光結合または光分割に使用される干渉デバイスに関する。
【0005】
本開示は、第1の光源および第2の光源からの光を結合する干渉デバイスを記載する。干渉デバイスは、第1の光源から入力光を受光するように構成された第1の入力導波路、第2の光源から入力光を受光するように構成された第2の入力導波路を含み得、第2の入力導波路は、ギャップ、第1の入力導波路および第2の入力導波路から光を結合するように構成された干渉導波路、および干渉導波路に物理的に接続された出力導波路によって、第1の入力導波路から物理的に分離される。第1の入力導波路または干渉導波路のうちの1つは、テーパ部分およびテーパ部分に当接している直線部分を含み得、テーパ部分は、第1の光源および第2の光源からの光を結合する。
【0006】
本開示は、多重化デバイスを記載する。多重化デバイスは、単一モードの光の第1の波長を受光するように構成された第1の入力導波路と、第1の入力導波路に光学的に結合された第2の入力導波路であって、単一モードの光の第2の波長を受光し、単一モードの光の第2の波長を高次モードの光に変換するように構成された第2の入力導波路を含み得る。
多重化デバイスはまた、第1の入力導波路に光学的に結合された干渉導波路であって、第1の入力導波路から単一モードの光および高次モードの光を受光するように構成された干渉導波路を含み得る。さらに、多重化デバイスは、干渉導波路に光学的に結合された出力導波路であって、干渉導波路から受光した高次モードの光を単一モードの光に変換し、結合された第1および第2の波長の単一モードの光を出力して、コヒーレントノイズを軽減するように構成された出力導波路を含み得る。
【0007】
さらに、本開示は、光を逆多重化する方法を記載する。本方法は、入力導波路によって、第1の単一モードの光の第1の波長および第2の単一モードの光の第2の波長を受光し、干渉導波路によって、入力導波路から第1および第2の単一モードの光の第1および第2の波長を受光し、干渉導波路によって、二次モードの光を生成し、二次モードの光を第3の単一モードの光に変換し、第1の出力導波路によって、第3の単一モードの光の第1の波長を出力し、第2の出力導波路によって、第3の単一モードの光の第2の波長を出力することを含み得る。
【0008】
さらに、本開示は、光結合デバイスを記載する。光結合デバイスは、単一モードの光の第1の波長を受光するように構成された第1の入力導波路と、単一モードの光の第2の波長を受光するように構成された第2の入力導波路と、第1および第2の入力導波路に光学的に結合された干渉導波路であって、第1および第2の入力導波路から受光した単一モードの光の第1および第2の波長を少なくとも2つの異なる次数モードの光に変換するように構成された干渉導波路と、干渉導波路に光学的に結合された出力導波路であって、少なくとも2つの異なる次数モードの光を第3の単一モードの光に変換し、第1および第2の波長の光を結合して第3の単一モードの光を出力し、それにより光の光出力パワーを2倍にするように構成された出力導波路とを含み得る。
【0009】
上記の例示的な態様および実施形態に加えて、さらなる態様および実施形態が、図面を参照し、以下の説明を検討することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2A】光を結合するように構成された例示的な干渉デバイスの断面上面図を示す。
【
図2B】光を分割するように構成された例示的な干渉デバイスの断面上面図を示す。
【
図2C】本明細書に記載の干渉デバイスと共に使用するのに好適な例示的な導波路接合部の断面上面図を示す。
【
図2D】本明細書に記載の干渉デバイスと共に使用するのに好適な例示的な導波路接合部の断面上面図を示す。
【
図2E】本明細書に記載の干渉デバイスと共に使用するのに好適な例示的な導波路接合部の断面上面図を示す。
【
図3A】
図2Bの線A-A’に沿って取られた導波路の一例の断面側面図を示す。
【
図3B】
図2Bの線A-A’に沿って取られた導波路の一例の断面側面図を示す。
【
図4A】光を分割または結合するために光学システムで使用され得る例示的な干渉デバイスの断面上面図を示す。
【
図4B】
図4Aの干渉デバイスの入力と出力との間の例示的な伝送プロファイルを示す。
【
図5A】3つの波長の光を分割または結合するために使用され得る例示的な干渉デバイスの断面上面図を示す。
【
図5B】
図5Aの干渉デバイスの入力と出力との間の例示的な伝送プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図でのクロスハッチングまたはシェーディングの使用は、概して、隣り合う要素間の境界を明らかにし、図の視認性も促進するためにも提供される。したがって、クロスハッチングまたはシェーディングの存在も不在も、添付の図に示される任意の要素に関する特定の材料、材料特性、要素の割合、要素の寸法、同様に図示されている要素の共通点、または任意の他の特質、属性、若しくは特性についてのいかなる選好または要件も伝達または指示するものではない。
【0012】
種々の特徴および要素(ならびにそれらの集合および群)の(相対的であれ絶対的であれ)割合および寸法、ならびにそれらの間に提示される境界、分離点および位置関係は、単に本明細書に述べられる種々の実施形態の理解を容易にするために添付の図に提供されるものであり、したがって必ずしも一定の縮尺で提示または図示されていない場合があり、図示される実施形態についての任意の選好または要件を、それを参照して述べられる実施形態を除外して示す意図はないことを理解されたい。
【0013】
ここで、添付図面に図示される代表的な実施形態が詳細に説明される。以下の説明は、これらの実施形態を1つの好ましい実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。反対に、以下の説明は、添付の特許請求の範囲により定義される記載された実施形態の趣旨および範囲に含むことができるような、代替形態、修正形態および均等物を包含することを意図している。
【0014】
以下の実施例の説明では、実践することが可能な特定の実施例を例示として示す、添付図面を参照する。それら様々な実施例の範囲から逸脱することなく、他の実施例を使用することができ、構造上の変更を実施することができる点を理解されたい。
【0015】
本明細書に記載されるのは、2つ以上の異なる波長の光を分割または結合するために使用され得る干渉デバイスである。干渉デバイスの設計は、特定の波長に合わせて調整され得、2つの波長を結合または分割するコンパクトなオプションを表すことができる。本明細書に記載される干渉デバイスは、一般に、複数の光源を使用する光学システムで使用される。これらの光学システムでは、複数の光源からの光を共通の導波路に統合すること(例えば、光学システム内でのルーティングを容易にするために、光を共通の出力にルーティングするためなど)またはある波長を別の波長から分割すること(例えば、所与の1つまたは複数の光源によって提供される波長および/またはパワーを監視および制御するため)が望ましい場合があり、したがって、システムは、1つ以上の光分割デバイスおよび/または1つ以上の光結合デバイスを含み得る。実際、光学システム内の光源の数が増加するにつれて、光分割および光結合デバイスの数、サイズ、および/または複雑さも増加し得る。
【0016】
本明細書に記載の干渉デバイスは、互いに接近する2つ以上の波長を組み合わせるか、または分割する際に特定の有用性を有し、これを比較的小さな形態因子で達成することができる。例えば、いくつかの例では、光学システムは、同じ目標波長を放出するように構成された2つの光源を含むように設計され得る(例えば、1つの光源が故障した場合に冗長光源を提供するため、および/またはその波長で光学システムによって生成される総パワーを増加させるため)。場合によっては、これらの光学システムは、目標波長からのいくらかの偏差を許容することができ、それでも、目標波長を使用して取得された場合と実質的に同じ測定値を取得することができる(これについての正確な閾値は、光学システムの全体的な精度要件に基づいて設定され、光学システムの全体的な設計ならびにその意図された用途にも依存する)。これらの例では、異なる波長を有する光を放出する2つの光源を意図的に選択するが、波長の差が許容可能な偏差許容範囲内にあるようにすることが望ましい場合がある。ここで説明する干渉デバイスは、これらの異なる波長を結合することが可能であり得、同じ波長の入力を結合するマルチプレクサによって達成できるものよりも小さい設置面積でそれを行い得る。
【0017】
例えば、光学システムは、第1の目標波長の光を使用して測定を行うように設計され得る(例えば、1つ以上の光源を使用して第1の目標波長を生成し、光学システムから第1の目標波長の光を放出し、光学システムに戻される第1の目標波長の量を測定する)。光学システムは、光学システムが依然として同等の測定を行うことができる目標波長からの許容可能な偏差を表す偏差許容値を有し得る。言い換えれば、光学システムは、目標波長で実際に生成されたかのように、偏差許容値範囲内の任意の波長の光を処理することができる。許容値が、非限定的な例として、目標波長のいずれかの側で2ナノメートルである場合、光学システムは、この範囲内の2つの異なる波長で光を放出するように構成された2つの光源(例えば、4ナノメートル未満で分離され得る)を含み得、これらの波長を結合するために本明細書に記載される干渉デバイスを使用することができる。上述のように、これは、目標波長の許容可能な境界内で放出されるパワーを増加させ(および/または1つの光源が故障した場合に冗長性を提供し)、より小さな設置面積でそれを行うことができる。
【0018】
いくつかの例では、数ナノメートルだけ意図的にわずかに離間された波長を放出することが望ましい場合があり、それは、これらの波長の各々で測定を行うと所与のシステムでのコヒーレントノイズの影響をまとめて低減することができるからである。例えば、いくつかの変形例では、光源によって放出される波長間に少なくとも3ナノメートルの分離を有することが望ましい場合がある。本明細書に記載の干渉デバイスを使用してそれらを結合することにより、これらの波長をシステム内で一緒にルーティングして、2つの波長を搬送するために必要な固有の導波路の数を低減することができる。さらに、これらの干渉デバイスは、マッハツェンダー干渉計などの他の結合デバイスよりも製造プロセスでのばらつきによる影響をより受けにくい可能性がある。
【0019】
一般に、干渉デバイスは、典型的には、干渉導波路によって少なくとも1つの出力に接続された少なくとも1つの入力を含む。干渉デバイスが複数の光の波長を有する入力を逆多重化するように構成される変形例では、干渉デバイスは、入力導波路、干渉導波路、および2つ以上の出力導波路を含む。他の例では、干渉デバイスは、光を多重化するように構成され得、その場合、干渉デバイスは、2つ以上の入力導波路、干渉計導波路、および単一の出力を含み得る。本明細書に記載されるように、干渉導波路の基本的な機能および干渉デバイス内で発生する光モード結合は、干渉デバイスが光を分割するか、または光を結合するかにかかわらず、同様であり得ることが理解され得る。すなわち、光モードは依然として、一方の導波路から別の導波路に同様に結合してもよく、光学モードは同様の方法で生成されてもよい。
【0020】
本明細書全体を通して使用される場合、参照番号の後に英字がない参照番号は、1つ以上の対応する参照、すべての参照のグループ、または参照のうちのいくつかを指すことができる。例えば、「205」は、それが使用される文脈に応じて、入力導波路205(例えば、入力導波路205a、入力導波路205bなど)のうちのいずれか1つを指すことができ、入力導波路205の全てを指すことができ、または入力導波路のいくつか(例えば、入力導波路205aのうちの1つ)を指すことができる。
【0021】
本開示による方法および装置の代表的な適用例を、本セクションで説明する。これらの実施例は、前後関係を追加し、説明する実施例の理解を助けることのみを目的として提供される。それゆえ、説明する実施例は、具体的な詳細の一部または全てを伴わずに実践することができる点が、当業者には明らかとなるであろう。他の適用例が可能であり、それゆえ以下の実施例は、限定的なものとして解釈されるべきではない。
【0022】
これらの実施形態および他の実施形態について、
図1~
図5Bを参照して以下に説明する。しかしながら、当業者であれば、これらの図に関して本明細書に与えられた発明を実施するための形態は説明を目的とするものに過ぎず、限定するものとして解釈されるべきではないことを容易に理解するであろう。
【0023】
図1は、第1の光源103aおよび第2の光源103bを含む光学システムに使用され得る例示的な干渉デバイス100のブロック図を示す。示されるように、干渉デバイス100は、第1の入力導波路105a、第2の入力導波路105b、干渉導波路セクション110、および出力導波路115を備える。本明細書に記載されるように、干渉導波路セクション110は、1つ以上の干渉導波路を含み得、直線部分、テーパ部分、および/またはモード分離部分などの異なる形状をそれぞれ有する1つ以上のセクションで構成され得る。干渉デバイス100は、2つの異なる波長の光を低光学損失で結合することができ、これらの波長が数ナノメートル(例えば、上述の許容可能な偏差許容値によって決定され得るように、3ナノメートル以下)だけ分離されている場合、光学システムは、目標波長において増加した光パワー(例えば、二倍の光パワー)を有する単一光源によって生成されたかのように、この結合された光を利用し得る。さらに、基礎となる入力波長が異なるため、各入力波長を使用して行われた測定と関連付けられたコヒーレントノイズも異なり得、この差は、結果として得られる測定信号からのコヒーレントノイズの影響を軽減するために使用され得る。
【0024】
入力導波路105a、105bは、光源から入力導波路105a、105bに光を搬送する光路を介して光源から光を受光することができる。一般に、光路は、導波路、光ファイバ、自由空間光通信、光を通過し得る他の要素、それらの組み合わせなどであり得る。言い換えれば、干渉デバイス100は、フォトニクス集積回路に実装され得るが、第1および第2の光源103a、103bは、これらの光源からの光がフォトニクス集積回路に光学的に結合されて入力導波路105a、105bに到達する限り、同じフォトニクス集積回路に直接統合される必要はない。本出願の目的に対して、第1および第2の光源103a、103bは、それぞれ、第1および第2の入力導波路105a、105bに到達する光を表し、光が第1および第2の入力導波路105a、105bに到達する前に光を生成、ルーティング、または他の方法で変化させる構成要素の実際の設計に関して非依存的である。すなわち、光学システムは、好ましくは、入力導波路105a、105bの各々によって受光した光が基本モードの光であるように構成され得る。干渉デバイスは、2つの所定の波長の光を多重化または逆多重化するように特に設計され得るが、動作中、光学システムは、所定の波長以外の1つ以上の波長で干渉デバイスに光を提供し得ることも理解されたい。これらの例では、干渉デバイスは、依然として光を部分的に多重化または逆多重化し得るが、光学システムによって提供される波長に応じて、出力間のより大きな損失または不均一な分布を有する可能性が高い。2つの入力導波路105a、105b、および2つの光源103a、103bが
図1に示されているが、本明細書に記載の干渉デバイスのいくつかの実施形態は、(
図5Aおよび
図5Bに関して説明されるような)3つ以上の光源から光を受光する3つ以上の導波路を含む。
【0025】
上述のように、入力導波路105a、105bは、好ましくは、干渉導波路セクション110に基本モードを有する光を伝搬する。入力導波路105a、105bの各々について、干渉導波路セクション110は、基本モードを有する光(例えば、TE00)を受光し、基本モードの光の一部を高次モードの光(例えば、TE10)に変換することができる。光のモードを変換することは、
図2A~
図4Bを参照して本明細書で説明されるように、様々な方法で達成され得る。干渉導波路セクション110は、干渉デバイス100が基本モードで光を受光し出力するように、干渉導波路セクション110の出力において(すなわち、出力導波路115において)、高次モードの光を変換して基本モードに戻す。基本モードおよび高次モードは、干渉導波路セクション110内で異なる屈折率を有するため、モードは、干渉導波路セクション110内を移動する間に互いに干渉する。
【0026】
出力導波路115に到達する入力導波路に提供される入力光の相対量は、干渉導波路セクション110の寸法、干渉導波路セクション110に対する入力導波路および出力導波路の相対配置、ならびに入力導波路によって受光される光の波長に依存する。したがって、干渉導波路セクション110は、所与の入力導波路105aまたは105bと出力導波路115との間の目標波長の伝送を最大にするように構成され得る。干渉導波路セクション110が入力導波路105a、105bの両方から同時に光を受光する場合(例えば、第1の入力導波路105aからの第1の波長および第2の入力導波路105bからの第2の波長)、干渉導波路セクション110は、第1の波長については基本モードと高次モード、また第2の波長については基本モードと高次モードの両方を搬送する。干渉導波路セクション110は、以下でより詳細に説明するように、第1の入力導波路105aと出力導波路115との間の第1の目標波長の伝送を最大にするように構成され、第2の入力導波路105bと出力導波路115との間の第2の目標波長の伝送を最大にするようにさらに構成され得る。
【0027】
図2Aは、光を結合するために光学システム内に配置された例示的な干渉デバイス200の断面上面図(導波路を覆う任意の層が除去された状態)を示す。干渉デバイス200は、第1の入力導波路205a、第2の入力導波路205b、干渉導波路210、および出力導波路215を含む。
図1のデバイスと同様に、第1および第2の入力導波路205a、205bは、(光学システム(図示せず)の第1および第2の光源からの)基本モードの光を受光することができ、受光した光は、第1の入力導波路205aで受光した光の第1の波長を含み得、受光した光は、第2の入力導波路205bにおいて第2の波長(第1の波長とは異なる)を含み得る。クラッド材料225は、第1および第2の入力導波路205a、205b、干渉導波路210、および出力導波路215を取り囲むことができる(ただし、本出願の原理は、空気が導波路のクラッドとして作用する場合にも適用されるであろう)。第1および第2の入力導波路205a、205bは、干渉導波路210の第1の端部250aで干渉導波路210に接続する(入力導波路と干渉導波路210との間の光学的結合を提供するため)。同様に、出力導波路215は、第2の端部250bで干渉導波路210に接続して、出力導波路を干渉導波路に光学的に結合している。本明細書で使用されるように、互いに「光学的に結合された」2つの要素は、光が一方の要素から他方の要素に通過することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、出力導波路215は、リブ導波路であり得るが、他の実施形態では、出力導波路215は、ストリップ導波路であり得る。
【0028】
図1に関して上述したように、干渉デバイス200は、第1の目標波長と第2の目標波長を結合するように特に設計され得る。これを達成するために、干渉デバイス200は、第1の入力導波路205aと出力導波路215との間で第1の目標波長の伝送を促進するように調整され、第2の入力導波路205bと出力導波路215との間で第2の波長の伝送を促進するようにさらに調整される。上述のように、第1の入力導波路205aと干渉導波路210との間の相対的な配置は、所与の波長において第1の入力導波路205aから出力導波路215に到達する光の量を制御する。同様に、第2の入力導波路205bと干渉導波路210との間の相対的な配置は、所与の波長において第1の入力導波路205aから出力導波路215に到達する光の量を制御する。
【0029】
第1の入力導波路205aと干渉導波路210との間の(第1の端部250aにおける)境界面は、第1の入力導波路205aによって搬送される光の一部を基本モードから高次モードに変換させる。モードの同様の変換は、第2の入力導波路205bによって搬送される光に対して、第2の入力導波路205bと干渉導波路210との間の(第1の端部250aにおける)境界面で生じる。この場合も、所与の波長の異なるモード間の異なるneff(有効屈折率)のため、各波長に対する基本モードおよび高次モードは、干渉導波路210の長さに沿って干渉する。第2の端部250bでは、干渉導波路210と出力導波路215との間の境界面は、各波長に対する高次モードをその基本モードに変換して戻すことができる。
【0030】
干渉導波路における干渉には波長依存性があるため、出力導波路215に到達する入力導波路(例えば、第1または第2の入力導波路205a、205b)によって提供される光のパーセンテージもまた、波長の関数として変化する。例えば、
図2Aは、入力導波路と出力導波路との間の光の相対的な伝送を示すグラフ265を示す。そこに示されるように、波長(W)の関数として第1の入力導波路205aと出力導波路215との間で伝送される光のパーセンテージ(T)を表す第1の伝送プロファイル258、ならびに波長(W)の関数として第2の入力導波路205bと出力導波路215との間で伝送される光のパーセンテージ(T)を表す第2の伝送プロファイル260が存在し得る。これらの伝送プロファイル258、260は、一般に、位相がずれた正弦波曲線である。
【0031】
干渉デバイス200が、第1および第2の入力導波路205a、205bがそれぞれの所定の目標波長を(例えば、これらのそれぞれの波長を放出する対応する光源から)受光するシステムで使用されるように設計される場合、第1および第2の入力導波路205a、205bはそれぞれ、干渉導波路210に対して第1の端部250aに沿って、それぞれの目標波長で出力導波路215への光伝送を最大にするそれぞれの位置に配置することができる。言い換えれば、第1の伝送プロファイル258が第1の目標波長にピークを有し、第2の伝送プロファイル260が第2の波長にピークを有するように、干渉デバイス200を構成することが望ましい場合がある。入力導波路205a、205bの相対位置を選択することに加えて、干渉導波路210の寸法(例えば、長さ、幅など)を変更する、および/または干渉導波路210の第2の端部250bに沿って出力導波路215の位置決めを変更することは、伝送プロファイル258、260を調整することができる(例えば、所与の伝送プロファイルの位相および/または周波数を調整し得る)。
【0032】
図2Aの例では、干渉導波路210は、干渉導波路210の第1の端部250aが干渉導波路210の第2の端部250bよりも広くなるように、第1の端部250aにテーパ部分および第2の端部250bに直線部分を備える。一般に、(例えば、導波路内でより小さい設置面積および/または制約モードを有するように)より薄い干渉導波路を有することが望ましいが、第1および第2の入力導波路205aおよび205bが互いにどの程度接近し得るかについての実際的な制約が存在し得る(これにより、特に目標波長が互いに接近するにつれて、それらのそれぞれの目標波長の伝送を最大にするように入力導波路が配置される能力が制限され得る)。したがって、テーパ部分は、入力導波路205aおよび205bが、それらのそれぞれの目標波長の伝送を最大化しながら、さらに離れて配置されることを可能にし得る。
【0033】
干渉導波路210がテーパ部分を含む場合、テーパ部分の幅、長さ、およびテーパ角度は、伝送プロファイル258、260を同調するように調整され得るが、好ましくは他の高次モードを励起しないように選択される。例えば、干渉導波路210の第1の端部250aの幅は、他の高次モードの光が抑制され得るように十分に徐々にテーパし得る。干渉導波路210の第1の端部250aは、テーパ部分から干渉導波路210の直線部分までテーパし得る。同様に、直線部分は、基本モードの光ならびに高次モードの光が通って伝播するのを可能にするのに十分な幅であり得るが、追加の高次モードを生成しないように、さもなければ光損失を増加させないように設計されることが好ましい。いくつかの実施形態では、干渉導波路210のテーパ部分および直線部分は、ストリップ導波路であり得る。
【0034】
干渉導波路210は、第1の波長の光を第2の波長の光(理想的には、干渉導波路210が伝送を最大にするように設計される第1および第2の目標波長)と結合するためにシステム内で使用することができ、有利には、この結合された光を上述のように使用し得る。例えば、結合された光が測定を行うために使用される場合、光の第1および第2の波長は、出力光が光パワー出力を効果的に2倍にし得るように、互いに十分に接近していてもよい。結合された光は、技術的には2つの異なる波長を有するが、特定の測定の観点からは、出力光(目標出力強度の場合)に目標出力強度における第1の波長のみ、目標出力強度における第2の波長のみ、または第1および第2の波長の混合(集合的に目標出力強度を有する)が含まれるかどうかにかかわらず、光学システムが同じ測定をもたらす(上述のような許容可能な境界内で)という点で等価であると考えられ得る。追加的または代替的に、第1および第2の波長は、光学システムが各波長からの情報を使用して、測定におけるコヒーレントノイズを軽減することができるように、閾値量だけ分離され得る。
【0035】
干渉デバイス200は、2つの波長の光を結合するように構成されるように
図2Aに示されているが、代わりに、干渉デバイス200を光学システムに使用して、2つの波長を有する光を分割することができ、結合された光を受光する入力導波路として出力導波路215を単に使用することによってこれを行うことができることを理解されたい。
図2Bは、光を分割する例示的な干渉デバイス201の断面上面図(導波路を覆う任意の層が除去された状態)を示す。干渉デバイス201は、干渉デバイス200とは反対方向に光が干渉デバイス201を通過することを除いて、干渉デバイス200と同一であり得る。相反定理によって、干渉デバイス201は、デマルチプレクサとして機能し、第1の波長と第2の波長の結合された光を有する入力光を2つの異なる出力(一方は第1の波長の光を有し、他方は第2の波長の光を有する)に分離する。
【0036】
そこに示されるように、干渉デバイス201は、入力導波路205、干渉導波路210、第1の出力導波路215a、および第2の出力導波路215bを含む。第1および第2の出力導波路215a、215bは、干渉導波路210のテーパ部分に接続され得る。これらの構成要素は、
図2Aに関して上述したように(
図2Bの入力導波路205、干渉導波路210、第1の出力導波路215a、および第2の出力導波路215bは、それぞれ
図2Aの出力導波路215、干渉導波路210、第1の入力導波路205a、および第2の入力導波路205bに対応する)構成され得、入力導波路205と第1の出力導波路215aとの間の第1の目標波長の伝送を最大にし、入力導波路205と第2の出力導波路215bとの間の第1の目標波長の伝送を最小にすることを理解されたい。さらに、これらの構成要素は、入力導波路205と第2の出力導波路215bとの間の第2の目標波長の伝送を最大化し、入力導波路205と第1の出力導波路215aとの間の第2の目標波長の伝送を最小化するように構成され得る。このようにして、第1の波長の光を第1の出力導波路215aにのみ結合することができ、第2の波長の光を第2の出力導波路215bにのみ結合することができる。
【0037】
干渉デバイス201の動作原理は、干渉デバイス200の動作原理の逆に過ぎず、ここでは簡単に説明するだけである。具体的には、入力導波路205は、入力導波路205によって搬送された各波長に対する基本モードの光の一部が干渉導波路210内で高次モードに変換されるように、干渉導波路210に接続する。各波長に対する基本モードおよび高次モードは、干渉導波路内で互いに干渉し、各波長に対する高次モードは、干渉導波路210と各出力導波路215a、215bとの間の接続部で基本モードに変換されて戻される。干渉デバイス200は、第1の目標波長の光のみが第1の出力導波路に伝送されるように(例えば、第1の出力導波路に関連付けられた伝送プロファイルにおいて第2の目標波長に谷が存在する)、また第2の目標波長の光のみが第2の出力導波路215bに伝送される(例えば、第2の出力導波路と関連付けられた伝送プロファイルにおいて第1の目標波長に谷が存在する)ように(
図2Aに関して上述したように)構成され得る。このようにして、第1および第2の目標波長を搬送する光は、逆多重化される。
【0038】
入力導波路または出力導波路と干渉導波路との間の境界面を使用して基本モードと高次モードとの間で(またはその逆)光を変換する場合、それは任意の適切な導波路接合部において行われ得る。例えば、
図2Cは、屈曲部を備えた導波路接合部202の例を示す。導波路接合部202は、第1のセクション202aおよび第2のセクション202bとを含み、第1のセクション202aと第2のセクション202bとの間に屈曲部232を備える。第1のセクション202aは、基本モードの光である入力光を受光することができる。第1のセクション202aおよび第2のセクション202bは、上述したモード変換を達成するために必要に応じて、導波路接合部の任意の導波路(例えば、出力導波路および干渉導波路)であり得る。
【0039】
屈曲部232は、傾斜摂動を介して、基本モードの光から高次モードの光を生成し得る。屈曲部232は、第1のセクション202aと第2のセクション202bとの間で特定の方向に屈曲するように示されているが、屈曲部232は、傾斜摂動を使用して高次モードが生成され得る限り、任意の方向であり得る。傾斜摂動は、屈曲部232を導波路接合部202に導入することによって光の境界条件を変化させることができ、したがって、基本モードの光から高次モードの光を生成し得る。第1および第2のセクション202a、202bは、直線状の側面で描かれているが、いくつかの例では、導波路の適切な幅が維持される限り、導波路セクションは湾曲していてもよい。
【0040】
図2Dは、別の導波路接合部203の例を示す。
図2Cの導波路接合部202と同様に、
図2Dの導波路接合部203は、第1および第2のセクション203a、203b(上述のようにモード変換を実行する任意の適切な導波路であってもよい)を含み得る。
図2Dでは、第1のセクション203aと第2のセクション203bとの間の「キンク」233によって、高次モードが生成され得る。キンク233は、基本モードの光を高次モードの光に変換し得る。キンク233は、第1のセクション203aと第2のセクション203bとの間の導波路幅に不連続性を生成し、これが高次モードの光の生成に関与する。キンク233における導波路のセクション間のサイズの急激な変化は、入力で受光した基本モードの光から高次モードの光を生成させることができる。
図2Dの実施形態では、高次モードの光はTE10であり得、基本モードの光は、TE00であり得る。
【0041】
図2Eは、別の導波路接合部204の例を示す。
図2Cおよび2Dと同様に、
図2Eの導波路接合部204は、第1のセクション204aおよび第2のセクション204bを含む。導波路接合部204と導波路接合部202、203との間の違いを、本明細書で説明する。
【0042】
第1のセクション204aは、第1のセクション204aと第2のセクション204bとの間の接合部において、高次モードの光(例えば、3ローブモードの光)に変換される基本モードの光であり得る入力を受光することができる。
図2Eでは、モード変換は、第1のセクション204aのテーパ234を介して生成される。テーパ234は、基本モードの光(例えば、TE00)が少なくとも部分的に高次モードの光(例えば、TE20)に変換され得るのに十分な速さであり得る。第1のセクション204aのテーパ234の速度に応じて、高次モードに変換された光のパーセンテージを制御することができる。同様に、
図2Cおよび2Dでは、屈曲部232およびキンク233は、高次モードに変換された光のパーセンテージを制御し得る。
図2C、2D、および2E(またはそれらの組み合わせ)の任意の導波路接合部の実施形態は、
図2Aおよび2Bで上述した所望のモード変化を作成し得ることが理解され得る。
【0043】
図3Aは、光が干渉デバイス201を通って伝播しない状態での、
図2Bの線A-A’に沿って取られた導波路301の一例の断面側面図を示す。導波路301は、光が伝播し得る一般的な構造を示し、縮尺通りに描かれていない。導波路301は、シリコン基板320、第1のクラッド層325、伝播層330、および第2のクラッド層335を含む。
図3Bに示すように、第1のクラッド層325は、シリコン基板320上に配置され、伝播層330(伝播領域であり得る)は、第1のクラッド層325上に配置され、第2のクラッド層335は、伝播層330上に配置される。
図3Aは、第1のクラッド層325および第2のクラッド層335を示しているが、導波路の側面を取り囲むクラッド層があってもよく、ならびにクラッド層の上下にクラッド層を有していてもよい。この実施形態では、光源によって放出された光は、
図3Aの平面内または平面外に伝播し、具体的には、伝播層330である導波路301の伝播領域330を通って伝播する。いくつかの実施形態では、第1のクラッド層325および第2のクラッド層335は、二酸化ケイ素などの酸化物または他の適切な誘電体材料から形成され得る。
【0044】
図3Bは、
図2Bの線A-A’に沿って取られた導波路301の一例の断面側面図を示し、単一モードを有する光350がそこを通って伝搬する導波路201の断面を示す。
図2Bで前述したように、入力導波路205、干渉導波路210、および出力導波路215はすべて、基本モードの光(例えば、TE00)などの単一モードの光350をサポートし得る。基本モードを有する光は、入力導波路205を通って干渉導波路210に伝播し得る。単一モードの光350は、入力導波路205および干渉導波路210を通って伝搬するものとして上述されているが、干渉導波路210は、基本モードの光以外をサポートし得る。さらに、干渉導波路210内でサポートされているモードの光は、出力導波路215内で単一モードの光350に折り畳まれ得、これは、
図3Bに示される基本モードの光350を出力し得る。
【0045】
図4Aは、光を分割または結合するために光学システムで使用され得る例示的な干渉デバイス400の断面上面図(導波路を覆う任意の層が除去された状態)を示す。干渉デバイス400は、(例えば、上記の目的の1つまたは複数のために)光を結合するために光学システムで使用されるものとして以下に説明されるが、干渉デバイス400は、代わりに、相互操作によって光を分割するために使用され得ることを理解されたい。
【0046】
図4Aに示すように、干渉デバイス400は、第1の入力導波路405a、第2の入力導波路405b、第1の干渉導波路445aおよび第2の干渉導波路445bを含む干渉導波路セクション410、および出力導波路415を含み得る。クラッド材料425は、上述のように、干渉デバイス400の個々の導波路を取り囲むことができる。
【0047】
干渉導波路セクション410は、第1の入力導波路405aと出力導波路415との間の第1の正弦波伝送プロファイルと、第1の入力導波路405aと出力導波路415との間の第2の正弦波伝送プロファイルとを有し得る。これらの伝送プロファイルは、
図4Bの402として集合的に示されている。
図2Aに関して上述した干渉デバイス200と同様に、干渉導波路セクション410は、第1の入力導波路405aから出力導波路415への第1の目標波長の伝送を最大にし、第2の入力導波路405bから出力導波路415への第2の目標波長の伝送を最大にするように構成され得、これにより、第1および第2の目標波長の多重化を容易にすることができる。
【0048】
入力導波路405a、405bと出力導波路415との間の光伝送を容易にするために、第1の干渉導波路445aは、テーパ部分(干渉導波路セクション410の第1のテーパ部分)および直線部分を含み得、第2の干渉導波路445bは、テーパ部分(干渉導波路セクション410の第2のテーパ部分)を含むことができる。第1のテーパ部分は、第1の端部で第1の入力導波路405aに接続され、第2の端部で第1の干渉導波路445aの直線部分に接続される。第1の入力導波路405aは、第1のテーパ部分がその第1の端部からその第2の端部に向かって狭くなるように、第1の干渉導波路445aの直線部分よりも広くてもよい。第2のテーパ部分は、第1の端部で第2の入力導波路405bに接続され、第2のテーパ部分の第2の端部で終端してもよい。第2のテーパ部分の幅は、第1の端部から第2の端部に向かって広くなってもよく、その結果、第1のテーパ部分は、第2のテーパ部分が広がるにつれて狭くなる。第1のテーパ部分および第2のテーパ部分は、それらの間の光結合を可能にするために、互いに十分に近接して(例えば、所定のギャップによって分離されて)位置付けられ得る。
【0049】
まとめると、第1のテーパ部分および第2のテーパ部分は、各入力導波路405a、405bからの入力光の一部を基本モードから高次モードに変換し、各入力光の基本モードおよび高次モードの両方を第1の干渉導波路445aの直線部分に通過させるように構成される。例えば、第1の入力導波路405aは、基本モードで第1の波長の光を受光することができる。第1の波長の光を干渉導波路セクション410の第1のテーパ部分に通過させると、第1および第2のテーパ部分は集合的に、第1の波長の光の一部を高次モードに変換し、2つのモードの光が第1の干渉導波路445aの直線部分を通過するように作用する。
【0050】
同様に、第2の入力導波路405bは、基本モードで第2の波長の光を受光することができる。第1の波長の光を干渉導波路セクション410の第1のテーパ部分に通過させると、第1および第2のテーパ部分は集合的に、第2の波長の光の一部を高次モードに変換し、2つのモードの光が第1の干渉導波路445aの直線部分を通過するように作用する。このようにして、第1の干渉導波路445aの直線部分は、各波長に対して基本モードおよび高次モードの両方で光を受光する。所与の波長に対する異なるモードは、直線部分において互いに干渉することになり(モード間のいくらかの干渉がテーパ部分においても発生し得ることを理解されたい)、各波長に対する高次モードは、基本モードに戻るように変換され得る。
【0051】
各入力導波路405a、405bと出力導波路との間の伝送プロファイルは、少なくとも部分的に、出力導波路415、第1の干渉導波路445a、第2の干渉導波路445a、および第1および第2の入力導波路405a、405bの寸法および相対配置によって決定され得る。
図2Aに関して上述した干渉デバイス200と同様に、これらの構成要素は、第1の伝送プロファイル258が第1の目標波長においてピークを有し、第2の伝送プロファイル260が第2の波長においてピークを有するように、伝送の周波数および位相を設定するように選択され得る。
【0052】
上述のように、干渉デバイス400は、光を多重化する代わりに光を逆多重化するために光学システムで使用され得る。具体的には、出力導波路415は、代わりに入力導波路として使用され得、光学システムは、光の第1の波長および第2の波長の両方を有する光を入力導波路(
図4Aの出力導波路415)に提供するように構成され得る。光が干渉導波路セクション410を通過すると、各波長の基本モードの一部は、高次モードに変換され得る。各波長に対する基本モードおよび高次モードは、干渉導波路セクション410内で互いに干渉し、第1および第2の出力導波路(すなわち、
図4Aの第1の入力導波路405aおよび第2の入力導波路405b)の各々において基本モードに変換されて戻される。
【0053】
各出力導波路で終了する各波長の相対量は、入力導波路と各出力導波路との間の伝送プロファイルに依存する。具体的には、伝送プロファイルは、第1の伝送プロファイルが第1の波長でピークを有し、および第2の波長で谷を有し、その一方で、第2の伝送プロファイルが第1の波長で谷を有し、および第2の波長で谷を有し、その結果、第1の波長のみが第1の出力導波路に結合されるように(干渉デバイスの様々な導波路の相対位置および寸法を調整することによって)構成され得る。その結果、入力波長は逆多重化され得る。
【0054】
上述のように、いくつかの例では、本明細書に記載される干渉デバイスは、3つ以上の波長の光を分割または結合するために使用され得る。
図5Aは、光を分割または結合するために光学システムで使用され得る例示的な干渉デバイス500の断面上面図(導波路を覆う任意の層が除去された状態)を示す。干渉デバイス500は、光を分割するために(例えば、上述した1つ以上の目的のために)光学システムで使用されるものとして以下に説明されるが、干渉デバイス500は、代わりに、相互作用によって光を結合するために使用され得ることを理解されたい。
【0055】
図5Aに示すように、干渉デバイス500は、入力導波路505、干渉導波路510、第1の出力導波路515a、第2の出力導波路515b、および第3の出力導波路515cを含む。クラッド材料525は、入力導波路505、干渉導波路510、および第1、第2、および第3の出力導波路515a~515cを取り囲んで、それらに光閉じ込めを提供することができる。干渉導波路510は、直線部分512およびテーパ部分514を含むが、干渉導波路510の変形例は、必要に応じて、直線および/またはテーパ部分の他の組み合わせを含み得ることを理解されたい。入力導波路505は、干渉導波路510の直線部分512に接続され、第1、第2、および第3の出力導波路515a~515cは、干渉導波路510のテーパ部分514に接続される。
図2Aおよび
図2Bに関して説明したように、テーパ部分514は、干渉導波路510の幅を増加させて、出力導波路515a~515cの配置を容易にする一方で、これらの出力への光の伝送を依然として最大にする。テーパ部分の幅、長さ、およびテーパ角度は、出力導波路515a~515cへの伝送を同調するように調整され得るが、好ましくは、他の高次モードを励起しないように選択される。
【0056】
入力導波路505と干渉導波路510との間の接合部は、複数の高次モードを生成するように構成される。具体的には、干渉導波路515は、所与の波長で、基本モード530(例えば、TE00)で入力光を受光し、基本モードの光の第1の部分を第1の高次モードの光532(例えば、TE01)に、基本モードの光の第2の部分を第2の高次モードの光534(例えば、TE02)に、両方とも変換することができる。したがって、干渉導波路510は、基本モードの光530、第1の高次モードの光532、および第2の高次モードの光534のそれぞれを搬送する。
【0057】
干渉導波路510に導入された各波長に対する光の異なるモードは、干渉導波路510の長さに沿って干渉する。干渉導波路510と出力導波路515a~515cとの間の境界面は、各波長に対する高次モードをその基本モードに変換して戻すことができる。この干渉の波長依存性のために、出力導波路515a~515cの各々に到達する入力導波路505によって提供される光のパーセンテージも、波長の関数として変化する。
図5Bは、波長(「W」)の関数として、入力導波路505と出力導波路との間で伝送される光の相対パーセンテージ(T)を示すグラフ502を示す。示されるように、第1の伝送プロファイル540aは、入力導波路505と第1の出力導波路515aとの間で伝送される光のパーセンテージを表し、第2の伝送プロファイル540bは、入力導波路505と第2の出力導波路515bとの間で伝送される光のパーセンテージを表し、第3の伝送プロファイル540cは、入力導波路505と第3の出力導波路515cとの間で伝送される光のパーセンテージを表す。これらの伝送プロファイルは、一般に、位相がずれている正弦波曲線である。
【0058】
干渉導波路510の構成および入力導波路505および出力導波路515a~515cの相対配置は、第1の出力導波路515aへの第1の波長の伝送を最大にし、第2の出力導波路515bへの第2の波長の伝送を最大にし、第3の出力導波路515cへの第3の波長の伝送を最大にするように選択され得る。このようにして、第1、第2、および第3の波長の光は、それぞれ第1の出力導波路515a、第2の出力導波路515b、および第3の出力導波路515cにのみ結合することができる。結果として、干渉デバイス500が、第1、第2、および第3の波長(またはそのサブセット)を有する光を提供する光学システムに使用される場合、これは、対応する出力導波路に逆多重化される。
【0059】
干渉デバイス500はまた、複数の波長の光を結合するために使用され得る。例えば、干渉デバイス500は、第1の光源(図示せず)が第1の出力導波路515aに光学的に接続され、第2の光源(図示せず)が第2の出力導波路515bに光学的に接続され、第3の光源(図示せず)が第3の出力導波路515cに光学的に接続されている光学システムで使用され得る。これらの例では、第1、第2、および第3の出力導波路515a~515cは、代わりに、それぞれ第1、第2、および第3の光源から光を受光する入力導波路として機能する。動作の原理は、上述の分割動作の逆であり、これらの導波路515a~515cの各々からの伝送(およびその対応する波長)は、入力導波路505(結合動作中に出力導波路として機能する)において最大化される。これにより、3つの波長全てが導波路505内で結合される。
【0060】
本開示による方法および装置の代表的な適用例を、本セクションで説明する。これらの実施例は、前後関係を追加し、説明する実施例の理解を助けることのみを目的として提供される。それゆえ、説明する実施例は、具体的な詳細の一部または全てを伴わずに実践することができる点が、当業者には明らかとなるであろう。他の適用例が可能であり、それゆえ以下の実施例は、限定的なものとして解釈されるべきではない。
【0061】
添付図面を参照して、本開示の実施例を十分に説明してきたが、様々な変更および修正が、当業者には明らかとなるであろうことに留意されたい。そのような変更および修正は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本開示の実施例の範囲内に含まれるものとして理解されたい。
【外国語明細書】