(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047451
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】メカニカルシール、及びメカニカルシールの流体圧調整方法
(51)【国際特許分類】
F16J 15/34 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
F16J15/34 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156372
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨田 優記
(72)【発明者】
【氏名】奥村 淳矢
【テーマコード(参考)】
3J041
【Fターム(参考)】
3J041AA02
3J041BA03
3J041BA04
3J041BB02
3J041DA05
3J041DA12
(57)【要約】
【課題】回転密封環及び静止密封環の両シール面間からの被密封流体の漏れ量を調整することができるメカニカルシール、及びメカニカルシールの流体圧調整方法を提供する。
【解決手段】メカニカルシール1の静止側ユニット3は、ケーシング72側に対して軸方向に移動可能に取り付けられ、静止密封環35を保持しているリテーナ34と、被密封流体が導入され当該被密封流体の流体圧P1によりリテーナ34を軸方向一方側に押圧するように機内領域73と連通して形成された第1流体室61と、シール流体が導入され、当該シール流体の流体圧P2によりリテーナ34を軸方向他方側に押圧するように機内領域73及び第1流体室61とは独立して形成された第2流体室62と、シール流体の流体圧P2を調整可能な圧力調整弁4と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸側に一体回転可能に設けられ、軸方向一方側にシール面が形成された回転密封環と、
前記回転軸を包囲したケーシングに設けられ、前記回転密封環のシール面に対向するシール面が軸方向他方側に形成された静止密封環を有する静止側ユニットと、を備え、
前記回転密封環及び前記静止密封環により被密封流体を機内領域に密封するメカニカルシールであって、
前記静止側ユニットは、
前記ケーシング側に対して軸方向に移動可能に取り付けられ、前記静止密封環を保持しているリテーナと、
前記被密封流体が導入され、当該被密封流体の流体圧により前記リテーナを前記軸方向一方側に押圧するように、前記機内領域と連通して形成された第1流体室と、
シール流体が導入され、当該シール流体の流体圧により前記リテーナを前記軸方向他方側に押圧するように、前記機内領域及び前記第1流体室とは独立して形成された第2流体室と、
前記被密封流体及び前記シール流体のうち少なくとも一方の流体圧を調整可能な圧力調整弁と、を有する、メカニカルシール。
【請求項2】
前記静止側ユニットは、前記回転密封環及び前記静止密封環の両シール面を冷却するためのフラッシング流体の一部を、前記シール流体として前記第2流体室に導入する導入流路をさらに有する、請求項1に記載のメカニカルシール。
【請求項3】
前記機内領域は、前記回転密封環及び前記静止密封環の両シール面よりも径方向外側に形成されており、
前記リテーナは、前記静止密封環の前記軸方向一方側の端面における径方向内側の部分だけを前記軸方向他方側に押圧する押圧面を有し、
前記圧力調整弁は、前記シール流体の流体圧を調整可能である、請求項1又は請求項2に記載のメカニカルシール。
【請求項4】
前記リテーナは、
前記第1流体室内の前記被密封流体の流体圧を前記軸方向他方側から受ける第1受圧面と、
前記第2流体室内の前記シール流体の流体圧を前記軸方向一方側から受ける第2受圧面と、を有し、
前記第1受圧面の面積は、前記第2受圧面の面積以上である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のメカニカルシール。
【請求項5】
請求項1に記載のメカニカルシールにおいて、次式の関係を満たすように、前記圧力調整弁により前記少なくとも一方の流体圧を調整する、メカニカルシールの流体圧調整方法。
P1×B1<P2×B2
ただし、上記式の各変数の定義は次の通りである。
P1:第1流体室内の被密封流体の流体圧
B1:リテーナにおいて第1流体室内の被密封流体の流体圧を軸方向他方側から受ける第1受圧面の面積
P2:第2流体室内のシール流体の流体圧
B2:リテーナにおいて第2流体室内のシール流体の流体圧を軸方向一方側から受ける第2受圧面の面積
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メカニカルシール、及びメカニカルシールの流体圧調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、高負荷用のメカニカルシールでは、高圧及び高周速の条件に対応するために、バランス比(静止密封環及び回転密封環の両シール面間を閉じようとする力と、両シール面間を開こうとする力との比率)を通常よりも小さい値(0.6~0.75)に設定し、両シール面間から被密封流体が一定量だけ漏れるのを許容している。これにより、両シール面間において被密封流体による潤滑膜が形成されるので、両シール面間の潤滑を確保することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにバランス比を小さくした場合、被密封流体の流体圧によりシール面同士を押し付ける押付力が小さくなる。前記押付力が小さくなると、メカニカルシールの運転中に、外乱により静止密封環の追従性が低下し易くなる。静止密封環の追従性が低下した場合、例えば両シール面間に異物が噛み込むことで、両シール面間から被密封流体が前記一定量を超えて多量に漏れるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、回転密封環及び静止密封環の両シール面間からの被密封流体の漏れ量を調整することができるメカニカルシール、及びメカニカルシールの流体圧調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、回転軸側に一体回転可能に設けられ、軸方向一方側にシール面が形成された回転密封環と、前記回転軸を包囲したケーシングに設けられ、前記回転密封環のシール面に対向するシール面が軸方向他方側に形成された静止密封環を有する静止側ユニットと、を備え、前記回転密封環及び前記静止密封環により被密封流体を機内領域に密封するメカニカルシールであって、前記静止側ユニットは、前記ケーシング側に対して軸方向に移動可能に取り付けられ、前記静止密封環を保持しているリテーナと、前記被密封流体が導入され、当該被密封流体の流体圧により前記リテーナを前記軸方向一方側に押圧するように、前記機内領域と連通して形成された第1流体室と、シール流体が導入され、当該シール流体の流体圧により前記リテーナを前記軸方向他方側に押圧するように、前記機内領域及び前記第1流体室とは独立して形成された第2流体室と、前記被密封流体及び前記シール流体のうち少なくとも一方の流体圧を調整可能な圧力調整弁と、を有する、メカニカルシールである。
【0007】
本発明によれば、第1流体室に導入される被密封流体及び第2流体室に導入されるシール流体のうち少なくとも一方の流体圧を圧力調整弁により調整することで、リテーナを軸方向他方側に押圧する力を調整することができる。これにより、リテーナに保持されている静止密封環のシール面が回転密封環のシール面を押し付ける押付力を調整できるので、回転密封環及び静止密封環の両シール面間からの被密封流体の漏れ量を調整することができる。
【0008】
(2)前記静止側ユニットは、前記回転密封環及び前記静止密封環の両シール面を冷却するためのフラッシング流体の一部を、前記シール流体として前記第2流体室に導入する導入流路をさらに有するのが好ましい。
この場合、両シール面を冷却するフラッシング流体の一部をシール流体として用いることができるので、メカニカルシールの構成を簡素化することができる。
【0009】
(3)前記機内領域は、前記回転密封環及び前記静止密封環の両シール面よりも径方向外側に形成されており、前記リテーナは、前記静止密封環の前記軸方向一方側の端面における径方向内側の部分だけを前記軸方向他方側に押圧する押圧面を有し、前記圧力調整弁は、前記シール流体の流体圧を調整可能であるのが好ましい。
この場合、静止密封環の軸方向他方側におけるシール面よりも径方向外側の部分が、機内領域の被密封流体の流体圧により押圧されても、その流体圧に対抗するように、静止密封環の軸方向一方側の端面における径方向内側の部分がリテーナの押圧面により押圧される。したがって、圧力調整弁によりシール流体の流体圧を調整し、リテーナの押圧面による静止密封環の押圧力を調整することで、静止密封環のシール面を、回転密封環のシール面に対して径方向に均一に押し付けることができる。これにより、被密封流体の流体圧に起因して、静止密封環のシール面が径方向に不均一に摩耗するのを抑制できるので、メカニカルシールのシール性能が低下するのを抑制することができる。
【0010】
(4)前記リテーナは、前記第1流体室内の前記被密封流体の流体圧を前記軸方向他方側から受ける第1受圧面と、前記第2流体室内の前記シール流体の流体圧を前記軸方向一方側から受ける第2受圧面と、を有し、前記第1受圧面の面積は、前記第2受圧面の面積以上であるのが好ましい。
この場合、リテーナにおける第1受圧面の面積を第2受圧面の面積以上にすることで、第1受圧面の面積を第2受圧面の面積よりも小さくする場合と比較して、静止密封環のバランス径を小さくすることができる。これにより、リテーナの押圧面による静止密封環の押圧力、及び押圧面の周速を低減することができる。特に、高圧及び高周速の条件で使用される高負荷用のメカニカルシールにおいて有効となる。
【0011】
(5)前記(1)のメカニカルシールの流体圧調整方法は、次式の関係を満たすように、前記圧力調整弁により前記少なくとも一方の流体圧を調整する。
P1×B1<P2×B2
ただし、上記式の各変数の定義は次の通りである。
P1:第1流体室内の被密封流体の流体圧
B1:リテーナにおいて第1流体室内の被密封流体の流体圧を軸方向他方側から受ける第1受圧面の面積
P2:第2流体室内のシール流体の流体圧
B2:リテーナにおいて第2流体室内のシール流体の流体圧を軸方向一方側から受ける第2受圧面の面積
【0012】
この場合、上記式の力関係が維持されるので、リテーナには常に軸方向他方側に押圧する力が作用する。これにより、リテーナが軸方向一方側に移動するのを抑制しつつ、リテーナを軸方向他方側に押圧する力を調整することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のメカニカルシールによれば、回転密封環及び静止密封環の両シール面間からの被密封流体の漏れ量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るメカニカルシールを示す断面図である。
【
図4】リテーナの押圧面を変更した参考例において静止密封環のシール面の摩耗状況を説明する断面図である。
【
図5】
図4の参考例において静止密封環のシール面の摩耗状況を説明する断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るメカニカルシールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るメカニカルシールを示す断面図である。
図1において、メカニカルシール1は、ポンプ、撹拌機等の回転機器に用いられ、回転機器の内部において被密封流体(溶剤、水又は油等)を密封するものである。メカニカルシール1は、回転機器の回転軸71と、回転軸71を包囲しているケーシング72との間において、回転軸71の軸方向(以下、単に「軸方向」という)に沿って配置されている。
【0016】
本実施形態のメカニカルシール1は、高圧及び高周速等の高負荷条件で使用されるものであり、回転軸71に一体回転可能に設けられた回転側ユニット2と、ケーシング72に設けられた静止側ユニット3と、を備えている。なお、本明細書では、便宜上、
図1の左側を軸方向一方側といい、
図1の右側を軸方向他方側という(
図2~
図7についても同様)。
【0017】
<回転側ユニット>
回転側ユニット2は、スリーブ11、ストッパリング12、回転密封環13、及びリテーナ14を備えている。スリーブ11は、回転軸71の外周に嵌合して固定された円筒状のスリーブ本体11aと、スリーブ本体11aの軸方向他端部から径方向外側に延びる円環部11bと、円環部11bの径方向外端から軸方向一方側に延びる円筒部11cと、を有している。
【0018】
スリーブ本体11aの軸方向一端部の内周には、その周方向の所定箇所にキー溝11dが形成されている。キー溝11dと回転軸71の外周面と間にはキー部材15が挿入されている。スリーブ本体11aの軸方向一方側における回転軸71の外周には、キー部材15が軸方向一方側に抜け出さないようにストッパリング12が嵌め込まれている。ストッパリング12の軸方向他端部は、スリーブ本体11aの軸方向一端部の外周に嵌合されており、その嵌合部分にはセットスクリュー16が径方向に締め込まれている。以上により、スリーブ11は回転軸71に固定されている。スリーブ本体11aの軸方向他端部の内周面と回転軸71の外周面との間は、Oリング17によりシール(二次シール)されている。
【0019】
スリーブ本体11aと円筒部11cとの間には、回転密封環13が配置されている。回転密封環13の軸方向一方側の端面にはシール面13aが形成されている。回転密封環13は、円筒状のリテーナ14を介して円筒部11cに同心状に取り付けられている。具体的には、回転密封環13の外周面は、リテーナ14の内周面に嵌合して固定されており、リテーナ14の外周面は、円筒部11cの内周面に嵌合されている。リテーナ14の外周面における周方向の一部には、径方向外側に突出する凸部14a(
図2参照)が一体に形成されている。凸部14aは、円筒部11cの内周面において周方向の一部に形成された凹溝11e(
図2参照)に挿入されている。これにより、スリーブ11に対するリテーナ14及び回転密封環13の回転が規制されている。リテーナ14の軸方向他方側にはOリング18が配置されている。Oリング18は、円筒部11cの内周面と回転密封環13の外周面との間をシール(二次シール)している。
【0020】
<静止側ユニット>
静止側ユニット3は、シールケース30、リテーナ34、及び静止密封環35を備えている。シールケース30は、ケーシング72に固定された円環状の第1ケース体31と、第1ケース体31に固定された円環状の第2ケース体32と、第2ケース体32に固定された円筒状の第3ケース体33と、を有している。
【0021】
第1ケース体31の径方向外側部は、ケーシング72の軸方向一方側の側面に当接した状態で、ボルト36によりケーシング72に固定されている。第1ケース体31の径方向内側には、環状溝31aが形成されている。第1ケース体31の軸方向他方側の側面とケーシング72の軸方向一方側の側面との間は、Oリング38によりシール(二次シール)されている。
【0022】
第2ケース体32は、第1ケース体31の環状溝31aに嵌め込まれた状態で、ボルト39により第1ケース体31に固定されている。第2ケース体32の外周面と環状溝31aの内周面との間は、Oリング40によりシール(二次シール)されている。
【0023】
図2は、
図1の要部拡大断面図である。
図2に示すように、第3ケース体33は、ケース本体33aと、ケース本体33aから軸方向一方側に延びる連結筒部33bと、を有している。ケース本体33aの外周面は、ケーシング72の内周面に嵌合されている。ケース本体33aの外周面の軸方向両側それぞれとケーシング72の内周面との間は、Oリング41及びOリング42によりシール(二次シール)されている。
【0024】
連結筒部33bは、円筒状に形成されており、ケース本体33aの外周面よりも小径に形成されている。連結筒部33bの軸方向一方側は、その内周面が第2ケース体32の外周面に嵌合された状態で、ビス43により固定されている。また、連結筒部33bの軸方向一方側は、第2ケース体32に固定された状態で、第1ケース体31の環状溝31aに嵌め込まれている。
【0025】
リテーナ34は、円環状に形成されたリテーナ本体340と、リテーナ本体340の内周端部から軸方向他方側に延びる第1円筒部341と、リテーナ本体340の内周端部から軸方向一方側に延びる第2円筒部342と、を有している。リテーナ本体340は、第3ケース体33の内周側において軸方向に移動可能に配置されている。リテーナ本体340の外周面と第3ケース体33の内周面との間は、Oリング44によりシール(二次シール)されている。
【0026】
リテーナ本体340の軸方向他方側の第1側面340aには、ピン45が軸方向他方側に突出して固定されている。リテーナ本体340の軸方向一方側の第2側面340bには、ピン46が軸方向一方側に突出して固定されている。ピン46は、第2ケース体32に形成されたピン溝32aに挿入されている。これにより、リテーナ34は、ケーシング72側であるシールケース30に対して軸方向へ移動可能に取り付けられるとともに、シールケース30に対する相対回転が規制されている。
【0027】
図1に示すように、第2ケース体32とリテーナ本体340との間には、スプリング47が周方向に所定間隔をあけて複数(
図1では1個のみ図示)設けられている。スプリング47は、第2ケース体32に対してリテーナ本体340を軸方向他方側へ付勢している。
【0028】
図2に示すように、第1円筒部341の外径は、第2円筒部342の外径よりも大きい。これにより、リテーナ本体340における第1側面340aの面積B1は、第2側面340bの面積B2よりも小さい。第2円筒部342は、第2ケース体32の内周側に挿入されている。第2円筒部342の外周面と第2ケース体32の内周面との間は、Oリング48によりシール(二次シール)されている。
【0029】
静止密封環35は、リテーナ34の軸方向他方側に配置されている。静止密封環35の軸方向他端部における径方向内側には、軸方向他方側に突出する円環状のノーズ部35aが形成されている。ノーズ部35aの軸方向他方側の端面は、回転密封環13のシール面13aに対向して接触しうるシール面35bとされている。これにより、ケーシング72内における回転密封環13及び静止密封環35の両シール面13a,35bよりも径方向外側に、被密封流体が密封される機内領域73が形成されている。
【0030】
本実施形態のメカニカルシール1は、上記のように高負荷条件で使用されるため、バランス比(回転密封環13及び静止密封環35の両シール面13a,35b間を閉じようとする力と、両シール面13a,35b間を開こうとする力との比率)が小さい値(例えば、0.6~0.75)となるように、静止密封環35の形状が定められている。したがって、本実施形態のメカニカルシール1は、バランス比を小さくすることで、両シール面13a,35b間から被密封流体が一定量だけ漏れるのを許容している。これにより、両シール面13a,35b間において被密封流体による潤滑膜が形成されるので、両シール面13a,35b間の潤滑を確保することができる。
【0031】
静止密封環35の軸方向一端部における径方向外側には、ピン溝35cが形成されている。ピン溝35cには、リテーナ本体340に固定されたピン45が挿入されている。これにより、静止密封環35は、リテーナ34により保持され、リテーナ34に対する相対回転が規制されている。
【0032】
図3は、静止密封環35の周辺を示す拡大断面図である。
図3に示すように、静止密封環35の軸方向一方側の端面35dは、径方向内側から径方向外側へ向かって順に形成された、第1端面35d1、第2端面35d2、及び第3端面35d3からなる。第1端面35d1には、リテーナ34の第1円筒部341における軸方向他方側の端面341aが当接している。第2端面35d2は、第1端面35d1よりも軸方向一方側に突出して形成されている。第1端面35d1と第2端面35d2との間には、第1円周面35eが形成されている。第1円周面35eの内周側には、第1円筒部341の軸方向他端部が挿入されている。
【0033】
第3端面35d3は、第2端面35d2よりも軸方向一方側に突出して形成されている。第2端面35d2と第3端面35d3との間には、第2円周面35fが形成されている。第2円周面35fの内周面と第1円筒部341の外周面との間は、Oリング49によりシール(二次シール)されている。第3端面35d3は、リテーナ本体340の第1側面340aに対して軸方向他方側に隙間をあけて配置されている。以上の構成により、静止密封環35の軸方向一方側の端面35dにおける径方向内側の部分(第1端面25d1)だけに、リテーナ34(第1円筒部341の端面341a)が当接している。
【0034】
リテーナ34は、後述するように式(1)の力関係が常に維持されることで、常に軸方向他方側に押圧されている。このため、リテーナ34の端面341aは、静止密封環35の第1端面35d1を軸方向他方側に押圧する押圧面として機能する。以下、リテーナ34の端面341aを押圧面341aともいう。
【0035】
<フラッシング流路>
図1及び
図2に示すように、ケーシング72には、フラッシング流体が流れるフラッシング流路74が形成されている。フラッシング流体は、機内領域73に導入されて回転密封環13及び静止密封環35の両シール面13a,35bを冷却する流体であり、被密封流体と同じ流体からなる。
【0036】
フラッシング流路74は、ケーシング72の周方向の所定箇所において径方向に延びて形成されている。フラッシング流路74の径方向外端は、ケーシング72の外側に配置された第1配管75に接続されている。第1配管75は、機内領域73内の被密封流体をフラッシング流体として、フラッシング流路74に供給する配管である。
【0037】
シールケース30は、フラッシング流路74と機内領域73とを連通する連通流路50を有している。連通流路50は、第3ケース体33に形成された環状流路51、第1供給流路52、及び第2供給流路53を有している。環状流路51は、第3ケース体33の周方向に円環状に形成されている。また、環状流路51は、第3ケース体33の外周で開口しており、フラッシング流路74の径方向内端と連通している。本実施形態の環状流路51は、例えば断面矩形状に形成されている。
【0038】
第1供給流路52は、環状流路51と機内領域73とを連通し、回転密封環13及び静止密封環35の両シール面13a,35bにフラッシング流体を供給する流路である。第1供給流路52は、第3ケース体33の周方向に所定間隔をあけて複数形成されている。各第1供給流路52は、両シール面13a,35bに向けてフラッシング流体が供給されるように、第3ケース体33において環状流路51から軸方向他方側かつ径方向内側に向かって傾斜するように形成されている。
【0039】
第2供給流路53は、環状流路51と機内領域73とを連通し、後述する第1流体室61にフラッシング流体を供給する流路である。第2供給流路53は、第1供給流路52と同様に、第3ケース体33の周方向に所定間隔をあけて複数形成されている。各第2供給流路53は、第1流体室61に向けてフラッシング流体が供給されるように、第3ケース体33において第1流体室61の径方向外側に形成されている。
【0040】
<第1流体室>
図2に示すように、静止側ユニット3は、機内領域73と連通して形成された第1流体室61を備えている。第1流体室61は、リテーナ34と静止密封環35との間に形成されている。具体的には、第1流体室61は、リテーナ本体340の第1側面340aと静止密封環35の第2端面35d2及び第3端面35d3との間に形成された隙間によって構成されている。第1流体室61の径方向内側は、上記のOリング49によってシールされている。
【0041】
第1流体室61は、その径方向外側において機内領域73と連通している。これにより、第2供給流路53から機内領域73に供給されたフラッシング流体(被密封流体)は、第1流体室61に導入される。第1流体室61に導入されたフラッシング流体は、その流体圧により、リテーナ本体340の第1側面340aを軸方向一方側に押圧する。したがって、第1側面340aは、第1流体室61内のフラッシング流体の流体圧を軸方向他方側から受ける第1受圧面として機能する。以下、リテーナ本体340の第1側面340aを第1受圧面340aともいう。
【0042】
<第2流体室>
静止側ユニット3は、機内領域73及び第1流体室61とは独立して形成された第2流体室62を備えている。第2流体室62は、第2ケース体32、第3ケース体33、及びリテーナ34によって区画形成されている。具体的には、第2流体室62は、第2ケース体32の軸方向他方側の端面とリテーナ本体340の第2側面340bとの間に形成された隙間、及び連結筒部33bの内周面とリテーナ本体340の外周面との間に形成された隙間によって構成されている。
【0043】
第2流体室62の軸方向一方側は、上記Oリング40,48によってシールされている。また、第2流体室62の軸方向他方側は、上記Oリング44によってシールされている。これにより、第2流体室62は、機内領域73及び第1流体室61とは独立して形成されている。
【0044】
<導入流路>
図1及び
図2に示すように、静止側ユニット3は、第2流体室62にシール流体を導入する導入流路55を備えている。本実施形態では、第1配管75を流れるフラッシング流体の一部が、シール流体として用いられる。導入流路55は、第1ケース体31に形成された第1導入流路55a、第1ケース体31と第3ケース体33との間に形成された第2導入流路55b、及び第3ケース体33に形成された第3導入流路55cを有している。
【0045】
第1導入流路55aは、第1ケース体31の周方向の所定箇所において、断面略L字状に形成されている。第1導入流路55aの一端は、第1ケース体31の外周面で開口し、第1配管75から分岐する第2配管76に接続されている。これにより、第1配管75を流れるフラッシング流体の一部が、シール流体として第2配管76を通過して導入流路55に供給されるので、メカニカルシールの構成を簡素化することができる。第1導入流路55aの他端は、第1ケース体31の軸方向他方側の側面において、ケーシング72よりも径方向内側において開口している。
【0046】
第2導入流路55bは、第3ケース体33におけるケース本体33aの軸方向一方側の側面と、当該側面と対向する第1ケース体31の軸方向他方側の側面との間において円環状に形成され、第1導入流路55aと連通している。第2導入流路55bの軸方向他方側は、上記Oリング41によってシールされている。第3導入流路55cは、第3ケース体33における連結筒部33bの周方向の所定箇所において径方向に貫通して形成されており、第2導入流路55bと第2流体室62とを連通している。
【0047】
以上の構成により、第2配管76を流れるシール流体は、第1導入流路55a、第2導入流路55b、及び第3導入流路55cを順に通過して第2流体室62に導入される。第2流体室62に導入されたシール流体は、その流体圧により、リテーナ本体340の第2側面340bを軸方向他方側に押圧する。したがって、第2側面340bは、第2流体室62内のシール流体の流体圧を軸方向一方側から受ける第2受圧面として機能する。以下、リテーナ本体340の第2側面340bを第2受圧面340bともいう。
【0048】
<排出流路>
図1に示すように、静止側ユニット3は、第2流体室62に導入されたシール流体を外部に排出する排出流路56を備えている。排出流路56は、第1ケース体31に形成された第1排出流路56a、第1ケース体31と第3ケース体33との間に形成された第2排出流路56b、及び第3ケース体33に形成された第3排出流路56cを有している。
【0049】
第1排出流路56aは、第1ケース体31の周方向の所定箇所(第1導入流路55aとは異なる箇所)において、断面略L字状に形成されている。第1排出流路56aの一端は、第1ケース体31の外周面で開口し、ケーシング72の外側に配置された第3配管77に接続されている。第1排出流路56aの他端は、第1ケース体31の軸方向他方側の側面において、ケーシング72よりも径方向内側において開口している。
【0050】
第2排出流路56bは、第1排出流路56aと連通する流路である。本実施形態では、第1排出流路56aが円環状の第2導入流路55bと連通しており、その第2導入流路55bが第2排出流路56bを兼ねている。第3排出流路56cは、第3ケース体33における連結筒部33bの周方向の所定箇所(第3導入流路55cとは異なる箇所)において、径方向に貫通して形成されている。これにより、第3排出流路56cは、第2排出流路56b(第2導入流路55b)と第2流体室62とを連通している。
【0051】
以上の構成により、第2流体室62内のシール流体は、第3排出流路56c、第2排出流路56b、及び第1排出流路56aを順に通過して第3配管77に排出される。なお、第2排出流路56bは、第2導入流路55bとは独立して形成されていてもよい。
【0052】
<圧力調整弁>
メカニカルシール1は、シール流体の流体圧を調整可能な一対の圧力調整弁4と、逆止弁5と、をさらに備えている。逆止弁5は、第2配管76に設けられ、第2配管76内のシール流体が第1配管75に逆流するのを防止している。一対の圧力調整弁4は、第2配管76において逆止弁5よりも導入流路55側に設けられた第1圧力調整弁4Aと、第3配管77に設けられた第2圧力調整弁4Bと、によって構成されている。
【0053】
第1圧力調整弁4Aは、第2配管76において第2流体室62に導入されるシール流体の流体圧を手動で調整可能である。第2圧力調整弁4Bは、第3配管77において第2流体室62から排出されたシール流体の流体圧を手動で調整可能である。
【0054】
<シール流体の流体圧の調整方法>
図1及び
図2において、リテーナ34の第1受圧面340a及び第2受圧面340bをそれぞれ流体圧によって押圧する力は、両受圧面340a,340bの面積B1,B2を用いた次式(1)の力関係を常に維持している必要がある。
P1×B1<P2×B2 (1)
ここで、P1は、第1流体室61(機内領域73)内におけるフラッシング流体(被密封流体)の流体圧であり、P2は、第2流体室62内におけるシール流体の流体圧である。
【0055】
上記式(1)の力関係が常に維持されることで、リテーナ34には常に軸方向他方側に押圧する力が作用するので、リテーナ34が軸方向一方側に移動するのを防止することができる。これにより、リテーナ34の軸方向一方側への移動に起因して、Oリング49がリテーナ34と静止密封環35との間から脱落するのを抑制できるので、機内領域73の被密封流体が機外に漏洩するのを抑制することができる。
【0056】
一対の圧力調整弁4によりシール流体の流体圧P2を調整する際にも、上記式(1)の力関係が常に維持されている必要がある。本実施形態では、上記のように、第1受圧面(第1側面)340aの面積B1は、第2受圧面(第2側面)340bの面積B2よりも小さい。このため、両面積B1,B2の大小関係に基づいて上記式(1)の力関係が常に維持されるように、一対の圧力調整弁4により、シール流体の流体圧P2は、フラッシング流体の流体圧P1よりも小さい範囲で調整される。
【0057】
なお、リテーナ34には、上記のようにスプリング47(
図1参照)によって軸方向他方側へ付勢する力が作用しているが、本実施形態のメカニカルシール1は高負荷(高圧)条件で使用されるため、各流体圧P1,P2も高圧となる。このため、上記式(1)の右辺及び左辺それぞれの力は、スプリング47の付勢力よりもかなり大きい値となるので、上記式(1)においてスプリング47の付勢力を無視しても問題はない。
【0058】
上記式(1)の力関係が常に維持されるように、一対の圧力調整弁4によりシール流体の流体圧P2を調整することで、リテーナ34の押圧面341a(
図3参照)が静止密封環35を軸方向他方側に押圧する力を調整することができる。この押圧する力を調整することで、静止密封環35のシール面35bが回転密封環13のシール面13aを押し付ける押付力を調整することができる。これにより、回転密封環13及び静止密封環35の両シール面13a,35b間からの被密封流体の漏れ量を適切に調整することができる。
【0059】
ところで、
図3に示すように、静止密封環35におけるシール面35bよりも径方向外側の外周には、被密封流体の流体圧P1により軸方向一方側かつ径方向内側に向かって押圧される。このように流体圧P1が作用すると、静止密封環35には、その断面の重心Gを中心として
図3の時計回り方向に回転モーメントM1が発生する。このため、
図4に示すように、例えばリテーナ34の静止密封環35を押圧する押圧面を、端面341aの代わりに第1側面340aとし、その第1側面340aにより静止密封環35の第3端面35d3を押圧するようにした場合、つまり回転モーメントM1の発生を助長するようにリテーナ34が静止密封環35を押圧するようにした場合、以下のような問題が生じる。
【0060】
図4において、回転モーメントM1が発生すると、静止密封環35のシール面35bにおける径方向外側部が径方向内側部よりも回転密封環13のシール面13aに強く押し付けられ、当該径方向外側部が優先して摩耗する。その結果、
図5に示ように、静止密封環35のシール面35bにおける径方向外側部を、回転密封環13のシール面13aに押し付けることができなくなり、機内領域73の被密封流体が多量に漏れてしまうおそれがある。
【0061】
これに対して
図3に示すように、本実施形態では、シール流体の流体圧P2(
図2参照)により、リテーナ34の端面(押圧面)341aが、静止密封環35の重心Gよりも径方向内側に位置する第1端面35d1を軸方向他方側に押圧する。つまり、被密封流体の流体圧P1に対向するように、リテーナ34の押圧面341aが静止密封環35の第1端面35d1を押圧する。その押圧力F1により、静止密封環35には、重心Gを中心として
図3の反時計回り方向に回転モーメントM2が発生する。これにより、静止密封環35には、互いに逆方向となる回転モーメントM1,M2が発生する。
【0062】
したがって、一対の圧力調整弁4によりシール流体の流体圧P2を調整し、リテーナ34の押圧面341aによる静止密封環35の押圧力F1を調整することで、両回転モーメントM1,M2を互いに打ち消し合うようにすることができる。これにより、静止密封環35のシール面35bを、回転密封環13のシール面13aに対して、径方向に均一に押し付けることができる。その結果、静止密封環35のシール面35bが径方向に不均一に摩耗するのを抑制できるので、メカニカルシール1のシール性能が低下するのを抑制することができる。
【0063】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態に係るメカニカルシールを示す断面図である。本実施形態のメカニカルシール1は、第2配管76、リテーナ34における第1及び第2受圧面340a,340bの両面積B1,B2の大小関係、及びシール流体の流体圧の調整方法が、第1実施形態と異なる。
【0064】
本実施形態の第2配管76は、第1配管75とは独立して設けられている。第2配管76には、第1配管75を流れるフラッシング流体(被密封流体)と同じ流体が、シール流体として流れる。なお、第2配管76には、フラッシング流体と異なる流体を、シール流体として流してもよい。
【0065】
図7は、
図6の要部拡大断面図である。
図7に示すように、本実施形態のリテーナ34において、第1円筒部341の外径は、第2円筒部342の外径よりも小さい。これにより、リテーナ本体340における第1受圧面340aの面積B1は、第2受圧面340bの面積B2よりも大きい。このため、両面積B1,B2の大小関係に基づいて上記式(1)の力関係が常に維持されるように、一対の圧力調整弁4により、シール流体の流体圧P2は、フラッシング流体の流体圧P1よりも大きい範囲で調整される。
【0066】
本実施形態では、リテーナ本体340における第1受圧面340aの面積B1が、第2受圧面340bの面積B2よりも大きいので、面積B1が面積B2よりも小さい場合(
図2参照)と比較して、静止密封環35のバランス径D1(本実施形態では静止密封35を押圧するリテーナ35(第1円筒部341)の外径)小さくすることができる。なお、第1受圧面340aの面積B1は、第2受圧面340bの面積B2以上であればよい。本実施形態の他の構成は、第1実施形態と同様であるため、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
以上より、本実施形態においても、一対の圧力調整弁4によりシール流体の流体圧P2を調整することで、リテーナ34の押圧面341aが静止密封環35を軸方向他方側に押圧する力を調整することができる。この押圧する力を調整することで、静止密封環35のシール面35bが回転密封環13のシール面13aを押し付ける押付力を調整することができる。これにより、回転密封環13及び静止密封環35の両シール面13a,35b間からの被密封流体の漏れ量を適切に調整することができる。
【0068】
また、リテーナ34における第1受圧面340aの面積B1が、第2受圧面340bの面積B2よりも大きいので、面積B1を面積B2よりも小さくする場合と比較して、静止密封環35のバランス径D1を小さくすることができる。これにより、リテーナ35の押圧面341aによる静止密封環35の押圧力、及び押圧面341aの周速を低減することができる。特に、本実施形態のように高圧及び高周速の条件で使用される高負荷用のメカニカルシール1において有効となる。
【0069】
[その他]
上記各実施形態の圧力調整弁4は、手動により流体圧P2を調整可能であるが、自動で流体圧P2を調整してもよい。その場合、例えば、回転密封環13及び静止密封環35の両シール面13a,35b間からの被密封流体の漏れ量をセンサで検知し、その検知情報を受信した制御部において前記漏れ量が所定範囲外である場合に、圧力調整弁4を制御して流体圧P2を自動で調整すればよい。
【0070】
上記各実施形態の圧力調整弁4は、シール流体の流体圧P2を調整しているが、これに加えて又はこれに代えて、第1配管75に圧力調整弁4を設け、フラッシング流体(被密封流体)の流体圧P1を手動又は自動で調整してもよい。この場合、第1配管75に設けられた圧力調整弁4により、第1実施形態では流体圧P1を流体圧P2よりも大きい範囲で調整し、第2実施形態では流体圧P1を流体圧P2よりも小さい範囲で調整すればよい。なお、第1実施形態において圧力調整弁4により流体圧P1を調整する際には、流体圧P1を昇圧する機構を設けるのが好ましい。例えば、回転側ユニット2よりも軸方向他方側において、回転軸71とケーシング72との間に、フローティングリングを設け、このフローティングリングと回転軸71と間を流れるフラッシング流体の隙間を小さくし、流体圧P1を昇圧すればよい。
【0071】
第1実施形態の第2配管76は、第1配管75から分岐しているが、第2実施形態と同様に、第1配管75とは独立して設けられていてもよい。その場合、第2配管76を流れるシール流体は、第1配管75を流れるフラッシング流体(被密封流体)と同じ流体であってもよいし、異なる流体であってもよい。
【0072】
第2実施形態の第2配管76は、第1配管75とは独立して設けられているが、第1実施形態と同様に、第1配管75から分岐していてもよい。
本発明のメカニカルシールは、高負荷条件以外で使用される場合にも適用することができる。その場合、上記式(1)は、スプリング47の付勢力を加味した力関係に設定すればよい。
【0073】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
1 メカニカルシール
3 静止側ユニット
4 圧力調整弁
13 回転密封環
13a シール面
34 リテーナ
35 静止密封環
35b シール面
35d1 第1端面(端面)
55 導入流路
61 第1流体室
62 第2流体室
71 回転軸
72 ケーシング
340a 第1側面(第1受圧面)
340b 第2側面(第2受圧面)
341a 端面(押圧面)
B1 第1受圧面の面積
B2 第2受圧面の面積
P1 フラッシング流体(被密封流体)の流体圧
P2 シール流体の流体圧