(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047485
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】車輪状態判定装置
(51)【国際特許分類】
G01M 17/02 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
G01M17/02
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156423
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】目黒 貴之
(72)【発明者】
【氏名】永岡 辰也
(72)【発明者】
【氏名】今井 聡
(57)【要約】
【課題】車輪が脱輪するおそれがある状態であることを検出できるようにする。
【解決手段】車輪状態判定装置100は、車両の車輪に設けられた加速度センサ20が所定間隔で検出する、車輪の車軸方向の軸方向加速度を順次取得する第1加速度取得部122と、第1加速度取得部122が取得した軸方向加速度が所定の判定閾値よりも大きい場合には、車輪が脱輪する蓋然性が高いと判定する脱輪判定部125を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪に設けられた加速度センサが所定間隔で検出する、前記車輪の車軸方向の軸方向加速度を順次取得する加速度取得部と、
前記加速度取得部が取得した前記軸方向加速度が所定の判定閾値よりも大きい場合には、前記車輪が脱輪する蓋然性が高いと判定する脱輪判定部と、
を備える、車輪状態判定装置。
【請求項2】
前記脱輪判定部は、取得した前記軸方向加速度が前記判定閾値よりも大きい回数が所定時間内に所定回数に達すると、前記車輪が脱輪する蓋然性が高いと判定する、
請求項1に記載の車輪状態判定装置。
【請求項3】
前記車両が走行する路面の路面状況を判定する路面判定部を更に備え、
前記脱輪判定部は、前記路面判定部が判定した前記路面状況に応じて、前記判定閾値を変更する、
請求項1又は2に記載の車輪状態判定装置。
【請求項4】
前記加速度取得部は、前記車輪の円周方向の円周方向加速度と、前記車輪の半径方向の半径方向加速度とを更に取得し、
前記路面判定部は、前記加速度取得部が取得した前記円周方向加速度及び前記半径方向加速度に基づいて、前記路面状況を判定する、
請求項3に記載の車輪状態判定装置。
【請求項5】
前記脱輪判定部は、前記軸方向加速度の移動平均値に所定係数を掛けた値を前記判定閾値に設定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の車輪状態判定装置。
【請求項6】
前記脱輪判定部は、前記軸方向加速度の移動平均値に移動標準偏差を加えた値を前記判定閾値に設定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の車輪状態判定装置。
【請求項7】
前記加速度取得部は、前記車両の複数の車輪の各々の前記軸方向加速度を取得し、
前記脱輪判定部は、前記複数の車輪の前記軸方向加速度の平均値と標準偏差が示す範囲外に一の車輪の軸方向加速度がある場合には、前記車輪が脱輪する蓋然性が高いと判定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の車輪状態判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪状態判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車輪に設けられた圧力センサでタイヤの空気圧を監視して、タイヤの状態を検出する装置が利用されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車輪が車軸に適切に締結されていない場合(例えば、車輪のホイールのナットが緩んでいる場合)には、車両の走行中に脱輪が発生するおそれがある。上記の特許文献1の技術では、車輪が脱輪するおそれがある状態であることを適切に検出できない。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、車輪が脱輪するおそれがある状態であることを検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様においては、車両の車輪に設けられた加速度センサが所定間隔で検出する、前記車輪の車軸方向の軸方向加速度を順次取得する加速度取得部と、前記加速度取得部が取得した前記軸方向加速度が所定の判定閾値よりも大きい場合には、前記車輪が脱輪する蓋然性が高いと判定する脱輪判定部と、を備える、車輪状態判定装置を提供する。
【0007】
また、前記脱輪判定部は、取得した前記軸方向加速度が前記判定閾値よりも大きい回数が所定時間内に所定回数に達すると、前記車輪が脱輪する蓋然性が高いと判定することとしてもよい。
【0008】
また、前記車両が走行する路面の路面状況を判定する路面判定部を更に備え、前記脱輪判定部は、前記路面判定部が判定した前記路面状況に応じて、前記判定閾値を変更することとしてもよい。
【0009】
また、前記加速度取得部は、前記車輪の円周方向の円周方向加速度と、前記車輪の半径方向の半径方向加速度とを更に取得し、前記路面判定部は、前記加速度取得部が取得した前記円周方向加速度及び前記半径方向加速度に基づいて、前記路面状況を判定することとしてもよい。
【0010】
また、前記脱輪判定部は、前記軸方向加速度の移動平均値に所定係数を掛けた値を前記判定閾値に設定することとしてもよい。
また、前記脱輪判定部は、前記軸方向加速度の移動平均値に移動標準偏差を加えた値を前記判定閾値に設定することとしてもよい。
【0011】
また、前記加速度取得部は、前記車両の複数の車輪の各々の前記軸方向加速度を取得し、前記脱輪判定部は、前記複数の車輪の前記軸方向加速度の平均値と標準偏差が示す範囲外に一の車輪の軸方向加速度がある場合には、前記車輪が脱輪する蓋然性が高いと判定することとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車輪が脱輪するおそれがある状態であることを検出できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一の実施形態に係る車輪状態判定装置100の構成を説明するためのブロック図である。
【
図2】車両1の車輪を説明するための模式図である。
【
図3】加速度センサ20が検出する加速度の向きを説明するための模式図である。
【
図4】軸方向加速度の判定閾値を説明するための模式図である。
【
図5】脱輪判定処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<車輪状態判定装置の構成>
一の実施形態に係る車輪状態判定装置の構成について、
図1を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、一の実施形態に係る車輪状態判定装置100の構成を説明するためのブロック図である。車輪状態判定装置100は、車両の車輪の状態を判定する。例えば、車輪状態判定装置100は、車輪が脱輪するおそれがある状態であるか否かを判定する。車両は、ここでは
図2に示すトラックであるが、これに限定されない。
【0016】
図2は、車両1の車輪を説明するための模式図である。車両1には、車輪10a~10fが設けられている。車輪10a、10bは、前輪であり、車輪10c、10dは、第1後輪であり、車輪10e、10fは第2後輪である。車輪10a~10fは、それぞれボルト及びナットを介して車軸に固定されている。以下では、車輪10a~10fを総称して、車輪10とも呼ぶ。
【0017】
車両1において、車輪10が脱輪するケースが生じうる。車輪10のホイールのナットが緩んでいない場合には、車輪10が車軸から脱輪するおそれはないが、ナットが緩んでいる場合には、走行中にナットが更に緩んでしまい車輪10が車軸から脱輪するおそれがある。走行時の安全性を確保するためには、車輪10が脱輪する前にナットの緩みを解消する等の整備を行うことが望ましい。
【0018】
そこで、本実施形態の車輪状態判定装置100は、詳細は後述するが、車輪10に作用する軸方向加速度の大きさに基づいて、車輪10が脱輪する蓋然性が高いか否かを判定し、蓋然性が高い場合には運転者等に報知を行う。これにより、運転者等は、車輪10が脱輪する前に、車輪10が脱輪するおそれがある状態であることを把握でき、対策を講じやすくなる。なお、軸方向加速度を用いているのは、ナットが緩んでいる場合には、特異的な軸方向加速度が発生することが分かったためである。
【0019】
車輪状態判定装置100は、
図1に示すように、記憶部110と、制御部120を有する。
記憶部110は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。記憶部110は、制御部120が実行するためのプログラムや各種データを記憶する。例えば、記憶部110は、車輪10の脱輪判定処理に用いる判定閾値を記憶する。
【0020】
制御部120は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラムを実行することにより、車輪状態判定装置100の動作を制御する。本実施形態では、制御部120は、第1加速度取得部122、第2加速度取得部123、路面判定部124、脱輪判定部125及び報知制御部126として機能する。なお、本実施形態では、第1加速度取得部122及び第2加速度取得部123が、加速度取得部に該当する。
【0021】
第1加速度取得部122は、車輪10の車軸方向の軸方向加速度を順次取得する。第1加速度取得部122は、
図2に示す車輪10a~10fの各々について、軸方向加速度を順次取得する。第1加速度取得部122は、取得した軸方向加速度を脱輪判定部125に順次出力する。
【0022】
軸方向加速度は、車輪10a~10fの各々に設けられた加速度センサ20が所定間隔で検出したものである。なお、加速度センサ20は、車輪10a~10fのホイールに取り付けられている。
【0023】
図3は、加速度センサ20が検出する加速度の向きを説明するための模式図である。加速度センサ20は、車輪10の車軸方向の軸方向加速度に加えて、円周方向の円周方向加速度、半径方向の半径方向加速度も検出可能である。加速度センサ20は、所定間隔で、軸方向加速度、円周方向加速度及び半径方向加速度を順次検出する。
【0024】
第2加速度取得部123は、車輪10の円周方向加速度と半径方向加速度を取得する。すなわち、第2加速度取得部123は、加速度センサ20が所定間隔で検出した円周方向加速度及び半径方向加速度を取得する。第2加速度取得部123は、取得した円周方向加速度及び半径方向加速度を路面判定部124に出力する。
【0025】
路面判定部124は、車両1が走行する路面の路面状況を判定する。例えば、路面判定部124は、走行する路面が、舗装された路面であるか、砂利がある路面であるかを判定する。
【0026】
路面判定部124は、第2加速度取得部123が取得した円周方向加速度及び半径方向加速度に基づいて、路面状況を判定する。例えば、路面判定部124は、円周方向加速度及び半径方向加速度から路面の上下振動を抜き出し、抜き出した振動から路面を判定する。具体的には、路面判定部124は、振動の大きさが所定値よりも大きい場合には、砂利がある路面であると判定し、振動の大きさが所定値よりも小さい場合には、舗装された路面であると判定する。路面判定部124は、判定結果を脱輪判定部125に出力する。
【0027】
脱輪判定部125は、車両1の車輪10が脱輪するおそれがある状態か否かを判定する。例えば、脱輪判定部125は、車両1の走行中に、
図2に示す車輪10a~10fのいずれかの車輪が脱輪するおそれがある状態か否かを判定する。
【0028】
脱輪判定部125は、車輪10に作用する軸方向加速度を用いて、車輪10が脱輪するおそれがある状態か否かを判定する。具体的には、脱輪判定部125は、特異的な軸方向加速度が発生した場合には、車輪10のホイールのナットが緩んでいると判定し、車輪10が脱輪するおそれがある状態であると判定する。
【0029】
脱輪判定部125は、第1加速度取得部122が取得した軸方向加速度が所定の判定閾値よりも大きい場合に、車輪10が脱輪する蓋然性が高いと判定する。これにより、車輪10が脱輪する前に、車輪10が脱輪するおそれがある状態を検出できる。脱輪判定部125は、軸方向加速度の移動平均値に所定係数を掛けた値を判定閾値に設定する。
【0030】
図4は、軸方向加速度の判定閾値を説明するための模式図である。移動平均値は、軸方向加速度の平均を所定時間毎にプロットしたものである。
図4の破線が、移動平均値に所定係数を掛けた値を示しており、大きさが時間経過と共に変化しているのが分かる。所定係数は、特異的な加速度を検出しやすくなるように調整された係数である。このため、判定閾値も、時間経過と共に変化する。
図4では、時刻t1、t2、t3、t4、t5の際に移動平均値に所定係数を掛けた値を超える特異的な加速度が見られる。脱輪判定部125は、時刻t1~t5の際に、軸方向加速度が判定閾値よりも大きいと判定する。
なお、上記では、脱輪判定部125は、軸方向加速度の移動平均値に所定係数を掛けた値を判定閾値としたが、これに限定されない。例えば、脱輪判定部125は、軸方向加速度の移動平均値に移動標準偏差を加えた値を判定閾値としてもよい。かかる場合にも、特異的な加速度を検出できる。
【0031】
脱輪判定部125は、取得した軸方向加速度が判定閾値よりも大きい回数が所定時間内に所定回数に達すると、車輪10が脱輪する蓋然性が高いと判定する。脱輪判定部125は、軸方向加速度が所定時間内に所定回数に達しない場合には、回数をリセットする。これにより、外乱等によって軸方向加速度が判定閾値より大きいことが突発的に発生しても、所定回数に達しないので、誤検出の発生を抑制できる。
【0032】
脱輪判定部125は、路面判定部124が判定した路面状況に応じて、判定閾値を変更してもよい。例えば、脱輪判定部125は、砂利がある路面の場合の判定閾値を、舗装された路面の場合の判定閾値よりも大きくする。砂利がある路面の場合には、軸方向加速度が大きくなる傾向があるので、判定閾値を大きくすることで、実際には脱輪するおそれがない状態であるのに軸方向加速度が判定閾値より大きくなることを抑制でき、この結果、誤検出の発生を抑制できる。
【0033】
報知制御部126は、報知部30を制御する。例えば、報知制御部126は、脱輪判定部125によって車輪10が脱輪するおそれがある状態であると判定した場合には、その旨を報知部30に報知させる。報知部30は、例えば、画面に情報を表示する表示部、又は音を出力する音出力部である。このように報知されることで、車両1の運転者は、走行を継続すると車輪10が脱輪するおそれがある状態であることを認識できる。
【0034】
<脱輪判定処理の流れ>
脱輪判定処理の流れを、
図5を参照しながら説明する。
図5は、脱輪判定処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図5に示す処理は、車両1の走行中に行われる。ここでは、車輪10f(
図2)に対して脱輪判定処理を行うものとするが、他の車輪10a~10eに対しても同様な処理が行われる。
【0035】
まず、第1加速度取得部122は、加速度センサ20から、車輪10fの軸方向加速度を取得する(ステップS102)。また、第2加速度取得部123は、加速度センサ20から、車輪10fの円周方向加速度と半径方向加速度を取得する(ステップS104)。なお、ステップS102、S104の処理は、同時に行われてもよい。
【0036】
次に、脱輪判定部125は、車輪10fが接する路面の路面状況に対応した判定閾値を設定する(ステップS106)。例えば、脱輪判定部125は、路面判定部124が円周方向加速度及び半径方向加速度に基づいて判定した路面状況に対応した判定閾値を設定する。
【0037】
次に、脱輪判定部125は、第1加速度取得部122が取得した軸方向加速度が判定閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS108)。例えば、脱輪判定部125は、ステップS106で設定した判定閾値よりも軸方向加速度が大きいか否かを判定する。
【0038】
ステップS108で軸方向加速度が判定閾値よりも大きいと判定された場合には(Yes)、脱輪判定部125は、軸方向加速度が判定閾値を超えたカウント数が所定時間内に所定回数に達したか否かを判定する(ステップS110)。ステップS110でカウント数が所定回数に達しない場合には(No)、脱輪判定部125は、カウント数をリセットする。
【0039】
一方で、ステップS110でカウント数が所定時間内に所定回数に達した場合には(Yes)、脱輪判定部125は、車輪10fが脱輪するおそれがある状態であると判定する(ステップS112)。次に、報知制御部126は、車輪10fが脱輪するおそれがある状態である旨を、報知部30に報知させる(ステップS114)。
【0040】
<変形例>
上記では、脱輪判定部125は、一の車輪10の軸方向加速度を用いて、当該一の車輪10が脱輪するおそれがある状態か否かの判定(以下、単に脱輪判定と呼ぶ)を行っていた。これに対して、変形例においては、以下に説明するように、複数の車輪10の軸方向加速度の平均値と標準偏差を用いて、一の車輪10の脱輪判定を行う。
【0041】
第1加速度取得部122は、車両1の複数の車輪10(具体的には、車輪10a~10f)の各々の軸方向加速度を取得する。すなわち、第1加速度取得部122は、判定対象の車輪以外の車輪の軸方向加速度も取得する。
【0042】
脱輪判定部125は、第1加速度取得部122が取得した複数の車輪10の軸方向加速度の平均値と標準偏差であるσが示す範囲内に、判定対象の一の車輪10の軸方向加速度があるか否かに基づいて、脱輪判定を行う。軸方向加速度が正規分布であると仮定すると、軸方向加速度の平均値±1σが示す範囲内に軸方向加速度がある場合には脱輪のおそれがなく、平均値±1σが示す範囲外にあるときは脱輪のおそれがある。なお、標準偏差は2σ、3σでもよい。例えば、脱輪判定部125は、車輪10a~10fの軸方向加速度の平均値±標準偏差が示す範囲外に車輪10fの軸方向加速度がある場合には、車輪10fが脱輪するおそれがある状態であると判定する。なお、脱輪判定部125は、車輪10b~10fについても、同様な判定処理を行う。
【0043】
変形例によれば、複数の車輪10の中から軸方向加速度が異常な車輪10を特定することで、脱輪するおそれがある状態の車輪10を検出することができる。
【0044】
上記では、全ての車輪10a~10fの軸方向加速度の平均値と標準偏差を用いて一の車輪の脱輪判定を行っていたが、これに限定されない。例えば、後輪である車輪10c~10fの軸方向加速度の平均値と標準偏差を用いて、車輪10c~10fのいずれかの車輪の脱輪判定を行ってもよい。同様に、車輪10a、10bの軸方向加速度の平均値と標準偏差を用いて、車輪10a、10bのいずれかの車輪の脱輪判定を行ってもよい。前輪と後輪では挙動が異なるので、同じ挙動を示しやすい車輪同士の軸方向加速度の平均値と標準偏差を用いることで、車輪が脱輪するおそれがある状態を精度良く検出できる。
【0045】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態の車輪状態判定装置100は、車輪10の軸方向加速度を取得し、取得した軸方向加速度が判定閾値よりも大きい場合には、車輪10が脱輪する蓋然性が高いと判定する。
これにより、車輪10が脱輪する前に、車輪10が脱輪するおそれがある状態であることを検出できる。このため、車輪10が脱輪する前に対策を講じやすくなり、走行時の安全性を確保できる。
【0046】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0047】
1 車両
10 車輪
20 加速度センサ
100 車輪状態判定装置
122 第1加速度取得部
123 第2加速度取得部
124 路面判定部
125 脱輪判定部
【手続補正書】
【提出日】2023-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪に設けられた加速度センサが所定間隔で検出する、前記車輪の車軸方向の軸方向加速度を順次取得する加速度取得部と、
前記加速度取得部が取得した前記軸方向加速度が、前記軸方向加速度の移動平均値に基づいて設定される判定閾値よりも大きい回数が所定時間内に所定回数に達すると、前記車輪が脱輪する蓋然性が高いと判定する脱輪判定部と、
を備える、車輪状態判定装置。
【請求項2】
前記車両が走行する路面の路面状況を判定する路面判定部を更に備え、
前記脱輪判定部は、前記路面判定部が判定した前記路面状況に応じて、前記判定閾値を変更する、
請求項1に記載の車輪状態判定装置。
【請求項3】
前記加速度取得部は、前記車輪の円周方向の円周方向加速度と、前記車輪の半径方向の半径方向加速度とを更に取得し、
前記路面判定部は、前記加速度取得部が取得した前記円周方向加速度及び前記半径方向加速度に基づいて、前記路面状況を判定する、
請求項2に記載の車輪状態判定装置。
【請求項4】
前記脱輪判定部は、前記軸方向加速度の移動平均値に所定係数を掛けた値を前記判定閾値に設定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の車輪状態判定装置。
【請求項5】
前記脱輪判定部は、前記軸方向加速度の移動平均値に移動標準偏差を加えた値を前記判定閾値に設定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の車輪状態判定装置。
【請求項6】
前記加速度取得部は、前記車両の複数の車輪の各々の前記軸方向加速度を取得し、
前記脱輪判定部は、前記複数の車輪の前記軸方向加速度の平均値と標準偏差が示す範囲外に一の車輪の軸方向加速度がある場合には、前記車輪が脱輪する蓋然性が高いと判定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の車輪状態判定装置。