(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047543
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】帯状部材の接続方法、接続構造および加工治具
(51)【国際特許分類】
B29C 63/32 20060101AFI20230330BHJP
F16L 1/00 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
B29C63/32
F16L1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156511
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】白瀧 滉司
(72)【発明者】
【氏名】杉山 佳郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 卓也
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AG08
4F211AH43
4F211SA05
4F211SC03
4F211SD06
4F211SD19
4F211SH18
4F211SH19
4F211SJ21
4F211SP04
(57)【要約】
【課題】 帯状部材の端部同士を、継手部材を用いずに簡単に行えるようにする。
【解決手段】
螺旋管2の製管に用いられる帯状部材の端部同士を接続する方法である。帯状部材3(3F,3R)は、樹脂製の主帯材10と、主帯材10の帯長方向に延びて主帯材10の外周に装着された金属製の補強部材20とを備えている。補強部材20は少なくとも中空の主補強部21を含んでいる。接続方法は、一方の帯状部材3Rの端部から、補強部材20の主補強部21を残して切除し、主補強部21を主帯材10から突出させる切断工程と、主補強部21の突出端部21Eを外側から押圧してその断面を減じる加工工程と、2つの帯状部材3F,3Rの主帯材10同士を帯長方向に接近させるとともに、一方の帯状部材3Rの主補強部21の突出端部21Eを、他方の帯状部材3Fの補強部材20の主補強部21に挿入する挿入工程と、を備えている。
【選択図】
図3C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋管の製管に用いられる帯状部材の端部同士を接続する方法であって、
前記帯状部材は、樹脂製の主帯材と、前記主帯材の帯長方向に延びて前記主帯材に装着された金属製の補強部材とを備え、前記補強部材が少なくとも中空の主補強部を含み、
一方の帯状部材の端部から、前記補強部材の前記主補強部を残して切除し、前記主補強部を前記主帯材から突出させる切断工程と、
前記主補強部の突出端部を外側から押圧してその断面を減じる加工工程と、
2つの帯状部材の前記主帯材同士を帯長方向に接近させるとともに、前記一方の帯状部材の前記主補強部の前記突出端部を、他方の帯状部材の前記補強部材の前記主補強部に挿入する挿入工程と、
を備えたことを特徴とする帯状部材の接続方法。
【請求項2】
前記補強部材が前記主補強部の両側に連なる一対の係合腕部を有し、前記一対の係合腕部が前記主帯材の外周面に形成された一対の係合リブとそれぞれ係合しており、
前記切断工程において、前記補強部材の一対の係合腕部も切除することを特徴とする請求項1に記載の帯状部材の接続方法。
【請求項3】
前記補強部材の前記主補強部は、前記主帯材と離間対向する天壁と前記主帯材から起立して前記天壁に連なる一対の側壁とを有して断面コ字形をなしており、
前記加工工程において、前記天壁と前記一対の側壁を内側に折り曲げることにより、前記主補強部の断面を減じることを特徴とする請求項1または2に記載の帯状部材の接続方法。
【請求項4】
さらに、前記一方の帯状部材の前記主補強部の前記突出端部と、前記他方の帯状部材の前記主補強部とを連結する工程を備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の帯状部材の接続方法。
【請求項5】
螺旋管の製管に用いられる帯状部材の端部同士を接続する構造であって、
前記帯状部材は、樹脂製の主帯材と、前記主帯材の帯長方向に延びて前記主帯材の外周に装着された金属製の補強部材とを備え、前記補強部材が少なくとも中空の主補強部を含み、
一方の帯状部材では、前記主帯材の端から前記主補強部が突出するとともに、前記主補強部の突出端部が断面を減じられており、
前記一方の帯状部材の前記主補強部の前記突出端部が、他方の帯状部材の前記補強部材の前記主補強部に挿入されていることを特徴とする帯状部材の接続構造。
【請求項6】
前記補強部材の前記主補強部は、前記主帯材と離間対向する天壁と前記主帯材から起立して前記天壁に連なる一対の側壁とを有して断面コ字形をなしており、
前記一方の帯状部材の前記主補強部の前記突出端部は、前記天壁と前記一対の側壁が内側に折り曲げられた状態で、断面を減じられていることを特徴とする請求項5に記載の帯状部材の接続構造。
【請求項7】
請求項3に記載の帯状部材の接続方法における前記加工工程で用いられる加工治具であって、
直線状に延び前記主補強部の前記突出端部を保持する保持ブロックと、直線状に延び前記保持ブロックに対向して配置された押圧ブロックと、前記保持ブロックと前記押圧ブロックのうちの一方のブロックを固定し他方のブロックを前記対向方向に移動可能に支持するサポートと、前記他方のブロックを前記一方のブロックに対して前記対向方向に移動させる移動手段とを備え、
前記保持ブロックは、前記突出端部の前記一対の側壁が乗る保持面と、前記保持面に連なり前記一対の側壁の外側への変形を規制する一対の規制面とを有し、
前記移動手段により前記一方のブロックを前記他方のブロックに接近させることにより、前記押圧ブロックにより前記主補強部の前記天壁を内側に折り曲げるとともに、前記一対の規制面に規制された前記一対の側壁を内側に座屈させて折り曲げることにより、前記主補強部の断面を減じるようにしたことを特徴とする加工治具。
【請求項8】
請求項3に記載の帯状部材の接続方法における前記加工工程で用いられる加工治具であって、
サポートと、
直線状に延び前記サポートに固定され、前記主補強部の前記突出端部が被せられる保持ブロックであって、前記突出端部の前記天壁に対峙する第1面と、前記突出端部の前記一対の側壁に対峙する一対の第2面とを有し、これら第1面と一対の第2面には長手方向に延びる成形溝が形成された保持ブロックと、
直線状に延びて前記保持ブロックと平行に配置され、前記第1面に対峙する第1押圧ブロックと、
直線状に延びて前記保持ブロックと平行に配置され、前記一対の第2面に対峙する一対の第2押圧ブロックと、
前記第1押圧ブロックと前記一対の第2押圧ブロックを、それぞれ前記保持ブロックに向けて移動させる3つの移動手段と、
を備え、
前記第1押圧ブロックと前記保持ブロックの前記第1面に形成された前記成形溝の協働により、前記天壁が内側に折り曲げられ、前記一対の第2押圧ブロックと前記保持ブロックの前記一対の第2面に形成された前記成形溝により、前記一対の側壁が内側に折り曲げられ、これにより前記主補強部の突出端部の断面が減じられるようにしたことを特徴とする加工治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、螺旋管を製管するために用いられる帯状部材の端部同士を接続する方法および接続構造、並びに接続方法で用いられる加工治具に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した下水道管等の既設管の内周面に沿って帯状部材(プロファイル)を螺旋状に巻回して螺旋管からなる更生管を製管し、これによって、既設管を更生する方法は公知である。帯状部材は、塩化ビニル樹脂等からなる主帯材と、この主帯材の帯長方向に延びて主帯材の外周に装着された鋼製の補強部材とを備えている。
【0003】
螺旋管の製管に際して帯状部材の長さが足りないときは新たな帯状部材を継ぎ足す。特許文献1に開示された帯状部材の接続方法では、一方の帯状部材の主帯材の端部を切除して、補強部材を所定長さ突出させ、他方の帯状部材の補強部材を所定長さ切除してその先端を主帯材から後退させる。次に、一方の帯状部材の補強部材の突出端部を他方の帯状部材の主帯材に組み付ける。次に、一方の帯状部材の補強部材の突出端部の先端と、他方の帯状部材の補強部材の先端とを、例えば爪と穴とからなる係合構造で連結する。
【0004】
特許文献2に開示された帯状部材の接続方法では、細長く湾曲した鋼製の継手部材を用いる。継手部材は、帯状部材の補強部材の中空の主補強部より小さな断面形状を有している。継手部材を2つの帯状部材の主補強部に挿入し、ビス等で帯状部材の補強部材に連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3396410号公報
【特許文献2】特開2017-13406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の接続方法では、補強部材同士の接続強度が弱い。特許文献2の接続方法では、螺旋管の管径に合わせた円弧形状の継手部材を用意する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、螺旋管の製管に用いられる帯状部材の端部同士を接続する方法であって、前記帯状部材は、樹脂製の主帯材と、前記主帯材の帯長方向に延びて前記主帯材の外周に装着された金属製の補強部材とを備え、前記補強部材が少なくとも中空の主補強部を含み、一方の帯状部材の端部から、前記補強部材の前記主補強部を残して切除し、前記主補強部を前記主帯材から突出させる切断工程と、 前記主補強部の突出端部を外側から押圧してその断面を減じる加工工程と、2つの帯状部材の前記主帯材同士を帯長方向に接近させるとともに、前記一方の帯状部材の前記主補強部の前記突出端部を、他方の帯状部材の前記補強部材の前記主補強部に挿入する挿入工程と、を備えたことを特徴とする。
この方法によれば、別個の継手部材を用いることなく帯状部材を接続でき、しかも一方の帯状部材の主補強部の突出端部を他方の帯状部材の主補強部に挿入するので、接続強度を確保することができる。
【0008】
前記補強部材が前記主補強部の両側に連なる一対の係合腕部を有し、前記一対の係合腕部が前記主帯材の外周面に形成された一対の係合リブとそれぞれ係合するように構成された帯状部材同士を接続する場合には、前記切断工程において、前記補強部材の一対の係合腕部も切除する。
【0009】
前記補強部材の前記主補強部が、前記主帯材と離間対向する天壁と前記主帯材から起立して前記天壁に連なる一対の側壁とを有して断面コ字形をなしている帯状部材同士を接続する場合には、前記加工工程において、前記天壁と前記一対の側壁を内側に折り曲げることにより、前記主補強部の断面を減じる。
この方法によれば、コ字形の主補強部の断面を確実に減じることができる。
【0010】
好ましくは、さらに、前記一方の帯状部材の前記主補強部の前記突出端部と、前記他方の帯状部材の前記主補強部とを連結する工程を備えている。これにより接続強度をさらに高めることができる。
【0011】
本発明の他の態様は、螺旋管の製管に用いられる帯状部材の端部同士を接続する構造であって、前記帯状部材は、樹脂製の主帯材と、前記主帯材の帯長方向に延びて前記主帯材の外周に装着された金属製の補強部材とを備え、前記補強部材が少なくとも中空の主補強部を含み、一方の帯状部材では、前記主帯材の端から前記主補強部が突出するとともに、前記主補強部の突出端部が断面を減じられており、前記一方の帯状部材の前記主補強部の前記突出端部が、他方の帯状部材の前記補強部材の前記主補強部に挿入されていることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記補強部材の前記主補強部は、前記主帯材と離間対向する天壁と前記主帯材から起立して前記天壁に連なる一対の側壁とを有して断面コ字形をなしており、前記一方の帯状部材の前記主補強部の前記突出端部は、前記天壁と前記一対の側壁が内側に折り曲げられた状態で、断面を減じられている。
【0013】
本発明のさらに他の態様は、前記帯状部材の接続方法における前記加工工程で用いられる加工治具であって、直線状に延び前記主補強部の前記突出端部を保持する保持ブロックと、直線状に延び前記保持ブロックに対向して配置された押圧ブロックと、前記保持ブロックと前記押圧ブロックのうちの一方のブロックを固定し他方のブロックを前記対向方向に移動可能に支持するサポートと、前記他方のブロックを前記一方のブロックに対して前記対向方向に移動させる移動手段とを備え、前記保持ブロックは、前記突出端部の前記一対の側壁が乗る保持面と、前記保持面に連なり前記一対の側壁の外側への変形を規制する一対の規制面とを有し、前記移動手段により前記一方のブロックを前記他方のブロックに接近させることにより、前記押圧ブロックにより前記主補強部の前記天壁を内側に折り曲げるとともに、前記一対の規制面に規制された前記一対の側壁を内側に座屈させて折り曲げることにより、前記主補強部の断面を減じるようにしたことを特徴とする。
この加工治具によれば、比較的簡単な構成および作業で、断面コ字形の主補強部の断面を減じることができる。
【0014】
別の態様の加工治具は、サポートと、直線状に延び前記サポートに固定され、前記主補強部の前記突出端部が被せられる保持ブロックであって、前記突出端部の前記天壁に対峙する第1面と、前記突出端部の前記一対の側壁に対峙する一対の第2面とを有し、これら第1面と一対の第2面には長手方向に延びる成形溝が形成された保持ブロックと、直線状に延びて前記保持ブロックと平行に配置され、前記第1面に対峙する第1押圧ブロックと、直線状に延びて前記保持ブロックと平行に配置され、前記一対の第2面に対峙する一対の第2押圧ブロックと、前記第1押圧ブロックと前記一対の第2押圧ブロックを、それぞれ前記保持ブロックに向けて移動させる3つの移動手段と、を備え、前記第1押圧ブロックと前記保持ブロックの前記第1面に形成された前記成形溝の協働により、前記天壁が内側に折り曲げられ、前記一対の第2押圧ブロックと前記保持ブロックの前記一対の第2面に形成された前記成形溝により、前記一対の側壁が内側に折り曲げられ、これにより前記主補強部の突出端部の断面が減じられるようにしたことを特徴とする。
この加工治具によれば、3方向からの押圧により断面コ字形の主補強部の断面を確実に減じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】帯状部材を用いて既設管の内周に沿い更生管(螺旋管)を製管する工程を概略的に示す図である。
【
図3A】先行の帯状部材の終端部と継ぎ足すべき後続の帯状部材の始端部を示す平面図である。
【
図3B】後続の帯状部材の始端部から、主帯材と補強部材の係合腕部を切除して、補強部材の主補強部を突出させる工程を示す平面図である。
【
図3C】主補強部の突出端部の断面を減じる工程を示す平面図である。
【
図3D】断面を減じられた主補強部の突出端部を先行の帯状部材の主補強部に挿入して連結する工程を示す平面図である。
【
図4】主補強部の突出端部を外側から押圧してその断面を減じる加工治具を示す側面図である。
【
図5】
図4におけるVーV矢視断面図であり、(A)は押圧加工前の状態、(B)は押圧加工後の状態をそれぞれ示す。
【
図6】
図3DにおけるVI-VI矢視断面図である。
【
図8】
図7におけるVIII-VIII矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、老朽化した下水道管等の既設管1の内面に更生管2(螺旋管)がライニングされることで、既設管1が更生されている。既設管1としては、下水道管の他、上水道管、農業用水管、水力発電導水管、ガス管などが挙げられる。また筒状体の管に限られず、トンネルであってもよい。
【0017】
更生管2は、帯状部材3(プロファイル)を既設管1の内周に沿って螺旋状に巻回することにより製管される。後述するように帯状部材3は製管の途中で継ぎ足される。以下の説明および図面において、更生管2の製管に供された先行する帯状部材と後続の帯状部材を区別する場合には、先行の帯状部材に符号3Fを付し、後続の帯状部材に符号3Rを付すことにする。
【0018】
図2に示すように、帯状部材3は、主帯材10と、主帯材10の帯長方向に延びる補強部材20を備えている。主帯材10は、ポリ塩化ビニルやポリエチレンなどの樹脂を押出成形することにより得られる。補強部材20は鋼板(金属板)からなる。
【0019】
主帯材10は、平帯部11と、平帯部11の両側縁部に形成された嵌合部13,14と、平帯部11の外周面に形成され平帯部11と直交するように起立した一対の係合リブ15と、補強リブ17とを有している。これらは、主帯材10の帯長方向に延びている。平帯部11は平坦な帯状に形成されており、平帯部11によって更生管2の滑らかな内周面が画成されている。嵌合部13,14は相補形状をなしている。
【0020】
補強部材20は、平帯部11の外周側、言い換えると更生管2の内周面となる面とは反対側において一対の係合リブ15間に配置されている。補強部材20は、断面コ字形をなす中空の主補強部21と、一対の係合腕部25を有している。主補強部21は、断面下向きコ字状であり、平帯部11と平行をなして離間対向する天壁22と、平帯部11から起立して天壁部22に連なる一対の側壁23を有している。各係合腕部25は、側壁22の基端縁から平帯部11に沿って幅方向に延び、さらに斜めに立ち上がっている。一対の腕部25の先端を一対の係合リブ15の先端の凸部15aに係合させることにより、補強部材20は、主帯材10に装着されている。
【0021】
製管機により、帯状部材3が螺旋状に巻かれ隣接する巻き部分の嵌合部13,14が、厚み方向に押圧されて嵌合されることにより、
図1に示す更生管2が製管される。
【0022】
≪帯状部材の接続方法≫
既設管1の全長にわたって更生管2をライニングするには、帯状部材3が1本では足りないために、帯状部材3の継ぎ足しを行なう。すなわち、更生管2の製管に供された先行の帯状部材3Fの終端部と、後続の帯状部材3Rの始端部を接続する。以下、この接続方法について説明する。
<準備工程>
図3Aに示すように、先行の帯状部材3Fの終端部と、後続の帯状部材3Rの始端部とをセイバーソーやグラインダーを用いて切断し、それぞれこれらの端面が帯長方向に対して直交する面になるように整える。
【0023】
<切断工程>
次に、後続の帯状部材3Rの始端部につき、上記と同様の切削工具を用いて、
図2に示すように帯長方向に延びる2本の切断線X1に沿い先端から所定長さ(例えば約80mmm)にわたって切断するとともに、
図3Aに示すように帯幅方向に延びる2本の切断線X2(先端から上記所定長さだけ離れている)に沿って切断する。これにより、
図3Bに示すように、帯状部材3Rの先端から所定長さにわたって、主帯材10が全て取り除かれるとともに、補強部材20の一対の係合受部25が取り除かれ、補強部材20の主補強部21だけが残される。換言すれば、主帯材10の先端から主補強部21が突出する。この突出端部に図中符号21Eを付す。
【0024】
<加工工程>
次に、
図3Cに示すように、後続の帯状部材3Rの補強部材20の主補強部21の突出端部21Eを加工してその断面を減じる。最初にこの加工に用いられる治具30について、
図4、
図5を参照しながら説明する。加工治具30は、コ字形をなすサポート31を有している。サポート31は、互いに平行をなして直線的に延びる上腕部31aと下腕部31bと、これら上腕部31aと下腕部31bの一端に連なる連結腕部31cとを有している。上腕部31aの下面には、上腕部31aの延び方向に直線的に延びる押圧ブロック32が、上腕部31aと一体をなして設けられている。押圧ブロック32の下面は、中央が突出するような山形の断面形状を有している。下腕部31aにはネジ穴33が形成されている。
【0025】
上腕部31aと下腕部31bの間には、直線状に延びる保持ブロック34が、押圧ブロック32と平行をなして上下方向に対向配置されている。サポート31の両側面には上腕部31aと下腕部31b間にかけ渡されたそれぞれ2本のガイドロッド35(ガイド手段)が取り付けられており、これらガイドロッド35により保持ブロック34の横移動が禁じられている。保持ブロック34の上面には保持ブロック34の長手方向に直線的に延びる凹部が形成されている。この凹部には、保持面34aと、この保持面34aの両側縁から立ち上がる一対の規制面34bが形成されている。一対の規制面34bは上方に向かってわずかに離れるように傾斜している。
【0026】
加工治具30はさらに、保持ブロック34を上下方向に移動させる移動手段36を備えている。この移動手段36は、下腕部31bのネジ穴33に螺合するネジロッド36aと、このネジロッド36aの下端部に設けられたハンドル36bとを有している。ネジロッド36aの上端部は、保持ブロック34の下面に回転可能に連結されている。
【0027】
図5(A)に示すように、帯状部材30Rの主補強部21の突出端部21Eを、保持ブロック34の凹部に収容した状態でセットする。突出端部21Eの側壁23が保持ブロック34の保持面34aに乗り、天壁22が保持面34aから離れて押圧と対向している。一対の側壁23の下端縁は保持面34aと規制面34bとの交差部に位置している。
【0028】
次に、移動手段36により保持ブロック34を押圧ブロック32に向けて移動させると、主補強部21の突出端部21Eの天壁22が押圧ブロック32に当たり、さらに保持ブロック34を移動させると、天壁22は押圧ブロック32により内側に折り曲げられる。押圧ブロック32の押圧力は突出端部21Eの一対の側壁23にも作用する。これら側壁23は、保持ブロック34の一対の規制面34bにより外側への膨出を規制されているため内側に座屈する。その結果、
図5(B)に示すように、天壁22と一対の側壁23が内側に折れ曲がることにより、突出端部21Eの断面が減じられる。
【0029】
なお、上記接続工具30において、保持ブロック34をサポート31に固定し、押圧ブロック32を移動手段36により移動させるようにしてもよい。
【0030】
≪挿入工程≫
次に、
図3Cに示すように、後続の帯状部材3Rの始端部と先行の帯状部材3Fの終端部とを対向させた状態で、帯状部材3Rの始端部を帯長方向に帯状部材3Fの終端部に向かって接近させ、これにより、
図3D、
図6に示すように、断面が減じられた主補強部21の突出端部21Eを、先行の帯状部材3Fの補強部材20の主補強部21に挿入するとともに、帯状部材3Rの主帯材10の始端面を先行の帯状部材3Fの主帯材10の終端面と突き合わせるか僅かに離れた位置まで接近させる。
【0031】
≪連結工程≫
次に、
図3D,
図6に示すように、ビス40により、帯長方向に間隔をおいて複数個所で、帯状部材3Fの主補強部21の天壁22と、帯状部材3Rの主補強部21の突出端部21Eの天壁22を、連結する。
【0032】
上述したようにして、先行の帯状部材3Fと後続の帯状部材3Rの接続が完了する。この接続に際して補強部材20の主補強部20が所定長さにわたって重なるので、接続強度を高めることができる。また、2つの帯状部材3F,3Rの補強部材20,20間にかけ渡される円弧状の継手部材を用いずに済む。
【0033】
帯状部材3F,3Rを接続した後(帯状部材3Fに帯状部材3Rを継ぎ足した後)、製管機により更生管2の製管作業を再開する。更生管2の製管が完了した後、帯状部材3F,3Rの主帯材10,10を樹脂溶接する。
【0034】
≪加工治具の変形例≫
図4、
図5の加工治具30の代わりに、
図7、
図8に示す加工治具50を用いてもよい。この加工治具50は、断面矩形をなし直線的に延びる筒状のサポート51を有している。このサポート51の下板部51aの上面中央には、サポート51の延び方向に直線的に延びる保持ブロック52が固定されている。この保持ブロック52の上面(第1面)および両側面(第2面)には、長手方向に延びる成形溝52a,52bが形成されている。
【0035】
サポート51内には、保持ブロック52の上面と対峙する押圧ブロック53(第1押圧ブロック)が配置されるとともに、保持ブロック52の両側面と対峙する一対の押圧ブロック54(第2押圧ブロック)が配置されている。これら押圧ブロック53,54は直線的に延びており、図示しないガイド手段により、保持ブロック52と平行に維持され、保持ブロック52に対して接近離間する方向に移動可能に支持されている。押圧ブロック53,54の先端面は保持ブロック52の成形溝52a,52bに対応して断面形状が山形をなしている。押圧ブロック53,54のための移動手段はネジロッド55により構成されている。ネジロッド55は、サポート51の天板部51bおよび一対の側板部51cに形成されたネジ穴に螺合され、先端部が押圧ブロック53,54に回転可能に連結されている。
【0036】
保持ブロック52に後続の帯状部材3Rの主補強部21の突出端部21Eを被せた状態で、ネジロッド55を回して押圧ブロック53,54を保持ブロック52に向けて移動させることにより、押圧ブロック53と成形溝52aの協働により突出端部21Eの天壁22が内側に折り曲げられ、押圧ブロック54と成形溝52bの協働により側壁23が内側に折り曲げられ、その結果、突出端部21Eの断面が減じられる。なお、この加工において、天壁22と側壁23は成形溝52a,52bの面に到達してもよいし、到達しなくてもよい。
【0037】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
図示した帯状部材の主帯材および補強部材は例示であり、図示した断面形状のものに限られず、種々の形態を適用できる。
上述した実施形態では後続の帯状部材の主補強部を主帯材から突出させたが、先行の帯状部材の主補強部を主帯材から突出させて、後続の帯状部材の主補強部に挿入してもよい。
ビス40により、帯状部材3Fの主補強部21の天壁22と、帯状部材3Rの主補強部21の突出端部21Eの天壁22を、連結したが、突出端部21Eを挿入した後、主補強部を溶接してもよい。
本発明の帯状部材は、既設管の内周にライニングされる更生管に限られず、種々の螺旋管の製管に用いられる帯状部材に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、螺旋管の製管に用いられる帯状部材の接続方法に適用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 既設管
2 更生管(螺旋管)
3 帯状部材(プロファイル)
3F 先行の帯状部材(他方の帯状部材)
3R 後続の帯状部材(一方の帯状部材)
10 主帯材
20 補強部材
21 主補強部
21E 主補強部の突出端部
22 天壁
23 側壁
25 係合腕部
30 加工治具
31 サポート
32 押圧ブロック
34 保持ブロック
34a 保持面
34b 規制面
36 移動手段
50 加工治具
51 サポート
52 保持ブロック
52a,52b 成形溝
53 押圧ブロック(第1押圧ブロック)
54 押圧ブロック(第2押圧ブロック)
55 ネジロッド(移動手段)