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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047965
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】モータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 21/26 20160101AFI20230330BHJP
   H02P 6/185 20160101ALI20230330BHJP
【FI】
H02P21/26
H02P6/185
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157175
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 由樹
【テーマコード(参考)】
5H505
5H560
【Fターム(参考)】
5H505AA06
5H505DD08
5H505EE41
5H505EE49
5H505GG02
5H505GG04
5H505LL14
5H505LL22
5H505LL41
5H560AA02
5H560BB04
5H560BB12
5H560DA12
5H560DB12
5H560DC12
5H560EB01
5H560XA02
5H560XA04
5H560XA12
5H560XA13
(57)【要約】
【課題】モータの制御の安定化を図ること。
【解決手段】モータ制御装置100において、加算器44,45は、モータMを所望の回転数で駆動するためのd軸駆動用電圧指令値Vdm,q軸駆動用電圧指令値Vqmと、モータMのロータ位置の推定に用いられる高周波電流を発生させるためのd軸高周波電圧指令値Vdh,q軸高周波電圧指令値Vqhとを加算することによりd軸電圧指令値Vd,q軸電圧指令値Vqを算出し、軸誤差演算器30は、d軸高周波電圧指令値Vdh,q軸高周波電圧指令値Vqhの印加に応じて発生する高周波電流を用いて軸誤差Δθを算出し、高周波電圧振幅調整器72は、2相電流から分離される鏡相電流ベクトルIhnに基づいて高周波電圧振幅指令値Vhを調整し、高周波電圧指令値生成器43は、調整後の高周波電圧振幅指令値に基づいてd軸高周波電圧指令値Vdh,q軸高周波電圧指令値Vqhを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを所望の回転数で駆動するための駆動用電圧指令値と、前記モータのロータ位置の推定に用いられる高周波電流を発生させるための高周波電圧指令値とを加算することにより電圧指令値を算出する加算器と、
前記高周波電圧指令値の印加に応じて発生する前記高周波電流を用いて軸誤差を算出する軸誤差演算器と、
前記高周波電流を含む3相電流を算出する電流算出器と、
前記3相電流を前記高周波電流を含む2相電流に変換する変換器と、
前記2相電流から分離される鏡相電流ベクトルに基づいて高周波電圧振幅指令値を調整する調整器と、
調整後の前記高周波電圧振幅指令値に基づいて前記高周波電圧指令値を生成する生成器と、
を具備するモータ制御装置。
【請求項2】
前記調整器は、前記鏡相電流ベクトルの振幅ピーク値に基づいて前記高周波電圧振幅指令値を調整する、
請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記調整器は、前記鏡相電流ベクトルの振幅指令値に対する前記振幅ピーク値の偏差と、前記鏡相電流ベクトルの前回の周期における高周波電圧振幅指令値とに基づいて、前記鏡相電流ベクトルの今回の周期における高周波電圧振幅指令値を算出する、
請求項2に記載のモータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交流モータのためのセンサレスベクトル制御におけるロータ位置の推定技術の一つとして、トルク発生に寄与しない高周波電圧をモータに印加し、検出電流に含まれる高周波成分(以下では「高周波電流」と呼ぶことがある)を用いてロータ位置の推定を行う技術がある。この技術では、高周波電圧の印加に応じて発生する高周波磁束ベクトルと同方向へ回転する同相電流ベクトルと、高周波磁束ベクトルとは逆方向へ回転する鏡相電流ベクトルとに基づいてロータ位置を推定する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-171799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、モータのロータ位置の推定の精度(以下では「位置推定精度」と呼ぶことがある)は、鏡相電流ベクトルの振幅に大きく影響を受ける。また、鏡相電流ベクトルの振幅はモータのパラメータ(以下では「モータパラメータ」と呼ぶことがある)によって変化する。電流特性のあるモータパラメータは、モータの負荷やモータの回転数等のモータの駆動条件(以下では「モータ駆動条件」と呼ぶことがある)に応じて変化するため、モータ駆動条件によっては、鏡相電流ベクトルの振幅が小さくなってしまうことがある。鏡相電流ベクトルの振幅が小さくなってしまうと、鏡相電流ベクトルの振幅に対するノイズの比率が大きくなるため、S/N比が十分確保できないことになる。その結果、ノイズの影響によってモータの制御が不安定になってしまう。
【0005】
そこで、本開示では、モータの制御の安定化を図ることができる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のモータ制御装置は、加算器と、軸誤差演算器と、電流算出器と、変換器と、調整器と、生成器とを有する。前記加算器は、モータを所望の回転数で駆動するための駆動用電圧指令値と、前記モータのロータ位置の推定に用いられる高周波電流を発生させるための高周波電圧指令値とを加算することにより電圧指令値を算出する。前記軸誤差演算器は、前記高周波電圧指令値の印加に応じて発生する前記高周波電流を用いて軸誤差を算出する。前記電流算出器は、前記高周波電流を含む3相電流を算出する。前記変換器は、前記3相電流を前記高周波電流を含む2相電流に変換する。前記調整器は、前記2相電流から分離される鏡相電流ベクトルに基づいて高周波電圧振幅指令値を調整する。前記生成器は、調整後の前記高周波電圧振幅指令値に基づいて、前記高周波電圧指令値を生成する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、モータの制御の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施例1のモータ制御装置の構成例を示す図である。
図2図2は、本開示の実施例1の高周波電圧指令値生成器の構成例を示す図である。
図3図3は、本開示の実施例1の軸誤差演算器の構成例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施例1の同相鏡相電流ベクトル生成器の構成例を示す図である。
図5図5は、本開示の実施例1の高周波電圧振幅調整器の構成例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施例1の高周波電圧振幅調整器における処理手順例を示すフローチャートである。
図7図7は、本開示の実施例1のピークホールド算出器の動作例を示す図である。
図8図8は、本開示の実施例2の高周波電圧振幅調整器の構成例を示す図である。
図9図9は、本開示の実施例2の高周波電圧振幅調整器における処理手順例を示すフローチャートである。
図10図10は、本開示の実施例2のピークホールド算出器の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。以下の実施例において、同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明を省略することがある。
【0010】
本開示では、圧縮機を駆動する永久磁石同期モータ(Permanent Magnet Synchronous Motor:PMSM)の位置センサレスベクトル制御を行うモータ制御装置を一例に挙げて説明する。しかし、開示の技術は、磁気突極性を有するモータに対し、磁気突極性を利用してロータ位置の推定を行うモータ制御装置に広く適用可能である。
【0011】
[実施例1]
<モータ制御装置の構成>
図1は、本開示の実施例1のモータ制御装置の構成例を示す図である。図1において、モータ制御装置100は、減算器11,18,19と、速度制御器12と、加算器21,22,44,45と、電流指令値算出器14と、電流制御器20と、d-q/u,v,w変換器23と、PWM(Pulse Width Modulation)変調器24と、IPM(Intelligent Power Module)25とを有する。IPM25は、モータMに接続される。モータMの一例としてPMSMが挙げられる。
【0012】
また、モータ制御装置100は、シャント抵抗26と、電流センサ27a,27bと、3φ電流算出器28とを有する。なお、モータ制御装置100は、シャント抵抗26、または、電流センサ27a,27bの何れか一方を有していれば良い。
【0013】
また、モータ制御装置100は、u,v,w/d-q変換器29と、軸誤差演算器30と、PLL(Phase Locked Loop)制御器31と、位置推定器32と、1/Pn処理器33と、非干渉化制御器36とを有する。
【0014】
また、モータ制御装置100は、高周波除去フィルタ41,42と、高周波電圧指令値生成器43と、Pn処理器46とを有する。
【0015】
また、モータ制御装置100は、高周波電圧振幅調整器72を有する。
【0016】
減算器11は、モータ制御装置100の外部(例えば、上位のコントローラ)からモータ制御装置100へ入力される機械角速度指令値ωmから、1/Pn処理器33より出力される現在の推定角速度である機械角推定角速度ωmを減算することにより角速度誤差Δωを算出する。
【0017】
速度制御器12は、角速度誤差Δωの平均が0に近づくようなトルク指令値Tを生成する。
【0018】
電流指令値算出器14は、トルク指令値Tをd-q座標軸上のd軸電流指令値Idとq軸電流指令値Iqとに分配する。
【0019】
減算器18は、高周波除去フィルタ41より出力される高周波除去d軸電流値Idmをd軸電流指令値Idから減算することにより、d軸電流指令値Idと高周波除去d軸電流値Idmとの誤差であるd軸電流誤差Id_diffを算出する。減算器19は、高周波除去フィルタ42より出力される高周波除去q軸電流値Iqmをq軸電流指令値Iqから減算することにより、q軸電流指令値Iqと高周波除去q軸電流値Iqmとの誤差であるq軸電流誤差Iq_diffを算出する。
【0020】
電流制御器20は、入力されたd軸電流誤差Id_diffに基づいてPI(Proportional Integral)制御を行うことにより仮d軸電圧指令値Vdtを算出する。また、電流制御器20は、入力されたq軸電流誤差Iq_diffに基づいてPI制御を行うことにより仮q軸電圧指令値Vqtを算出する。
【0021】
非干渉化制御器36は、Pn処理器46より出力される電気角速度指令値ωeと、電流指令値算出器14より出力されるd軸電流指令値Idとに基づいて、仮d軸電圧指令値Vdtを補償するためのd軸非干渉化電圧指令値Vdaを生成する。また、非干渉化制御器36は、Pn処理器46より出力される電気角速度指令値ωeと、電流指令値算出器14より出力されるq軸電流指令値Iqとに基づいて、仮q軸電圧指令値Vqtを補償するためのq軸非干渉化電圧指令値Vqaを生成する。d軸非干渉化電圧指令値Vda及びq軸非干渉化電圧指令値Vqaは、d-q座標軸間の干渉をフィードフォワードでキャンセルするための非干渉化補償値である。
【0022】
加算器21は、d軸非干渉化電圧指令値Vdaを仮d軸電圧指令値Vdtに加算することによりd軸駆動用電圧指令値Vdmを算出する。加算器22は、q軸非干渉化電圧指令値Vqaを仮q軸電圧指令値Vqtに加算することによりq軸駆動用電圧指令値Vqmを算出する。これにより、d-q座標軸間の干渉がフィードフォワードでキャンセルされたd軸駆動用電圧指令値Vdm及びq軸駆動用電圧指令値Vqmが得られる。
【0023】
d-q/u,v,w変換器23は、加算器44,45より出力される2相のd軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqを、位置推定器32より出力される電気角位相θeに基づいて、3相のU相出力電圧指令値Vu、V相出力電圧指令値Vv及びW相出力電圧指令値Vwへ変換する。位置推定器32より出力される電気角位相θeは、モータMの現在のロータ位置を示す。
【0024】
PWM変調器24は、U相出力電圧指令値Vu、V相出力電圧指令値Vv、W相出力電圧指令値Vwと、PWMキャリア信号とに基づいて、6相のPWM信号を生成し、生成した6相のPWM信号をIPM25へ出力する。
【0025】
IPM25は、PWM変調器24より出力される6相のPWM信号に基づいて、直流電圧VdcからU相、V相、W相の3相の交流電圧を生成し、生成した3相それぞれの交流電圧をモータMのU相、V相、W相へ印加する。
【0026】
3φ電流算出器28は、シャント抵抗26を用いた1シャント方式で母線電流が検出される場合、PWM変調器24より出力される6相のPWMスイッチング情報と、検出された母線電流とから、モータMのU相電流値Iu、V相電流値Iv、W相電流値Iwを算出する。または、3φ電流算出器28は、電流センサ27a,27bでU相電流及びV相電流が検出される場合、残りのW相電流値Iwを“Iu+Iv+Iw=0”のキルヒホッフの法則に基づいて算出する。3φ電流算出器28は、各相の相電流値Iu,Iv,Iwをu,v,w/d-q変換器29へ出力する。
【0027】
u,v,w/d-q変換器29は、位置推定器32より出力される電気角位相θeに基づいて、3相のU相電流値Iu、V相電流値Iv、W相電流値Iwを、2相のd軸電流値Id及びq軸電流値Iqへ変換する。
【0028】
高周波除去フィルタ41は、d軸電流値Idの高周波成分をd軸電流値Idから除去することにより、トルク発生に寄与する駆動成分である高周波除去d軸電流値Idmをd軸電流値Idから抽出する。また、高周波除去フィルタ42は、q軸電流値Iqの高周波成分をq軸電流値Iqから除去することにより、トルク発生に寄与する駆動成分である高周波除去q軸電流値Iqmをq軸電流値Iqから抽出する。高周波除去フィルタ41,42は、例えば、バンドストップフィルタF(s)により実現される。高周波角周波数ωhをバンドストップの中心周波数とするバンドストップフィルタF(s)は式(1)に従って実現可能である。高周波角周波数ωhは、モータ制御装置100の外部(例えば、上位のコントローラ)からモータ制御装置100へ入力される。式(1)において、“s”はラプラス演算子、“d”はノッチの深さ、“ζ”はノッチの帯域幅を表す所定のフィルタ係数である。
【数1】
【0029】
PLL制御器31は、軸誤差Δθに基づいて、モータMの現在の推定角速度である電気角推定角速度ωeを算出する。
【0030】
位置推定器32は、電気角推定角速度ωeに基づいて電気角位相θeを推定する。
【0031】
1/Pn処理器33は、電気角推定角速度ωeをモータMの極対数Pnで除算することにより機械角推定角速度ωmを算出する。
【0032】
Pn処理器46は、機械角速度指令値ωmにモータMの極対数Pnを乗算することに電気角速度指令値ωeを算出する。
【0033】
高周波電圧指令値生成器43は、高周波角周波数ωhと、高周波電圧振幅調整器72から入力される高周波電圧振幅指令値Vhとに基づいて、d軸高周波電圧指令値Vdh及びq軸高周波電圧指令値Vqhを生成する。以下では、d軸高周波電圧指令値とq軸高周波電圧指令値とを「高周波電圧ベクトル」と総称することがある。高周波電圧ベクトルVdh,Vqhは、ロータ位置の推定に用いられる高周波電流を発生させるために生成され、ロータ位置の推定のためのトルク発生には寄与しない。つまり、ロータ位置の推定に用いられる高周波電流は、高周波電圧ベクトルVdh,Vqhの印加に応じて発生する。
【0034】
加算器44は、ロータ位置の推定のためのトルク発生に寄与するd軸駆動用電圧指令値Vdmとd軸高周波電圧指令値Vdhとを加算することによりd軸電圧指令値Vdを算出する。加算器45は、ロータ位置の推定のためのトルク発生に寄与するq軸駆動用電圧指令値Vqmとq軸高周波電圧指令値Vqhとを加算することによりq軸電圧指令値Vqを算出する。
【0035】
軸誤差演算器30は、d軸電流値Idと、q軸電流値Iqと、高周波角周波数ωhとに基づいて、軸誤差Δθ(実際の回転軸と推定された回転軸との差)を算出する。d軸電流値Id及びq軸電流値Iqには高周波電流が含まれる。つまり、軸誤差演算器30は、高周波電圧ベクトルVdh,Vqhの印加に応じて発生する高周波電流ベクトルを用いて、d-q座標軸とd-q座標軸の推定座標軸とのズレである軸誤差Δθを算出する。また、軸誤差演算器30は、d軸電流値Id及びq軸電流値Iqに含まれる鏡相電流ベクトルIhnを検出し、検出した鏡相電流ベクトルIhnを高周波電圧振幅調整器72へ出力する。
【0036】
高周波電圧振幅調整器72は、鏡相電流ベクトルIhnに基づいて高周波電圧振幅指令値Vhを調整し、調整後の高周波電圧振幅指令値Vhを高周波電圧指令値生成器43へ出力する。これにより、モータMのロータ位置の推定に用いられる高周波電流を発生させるための高周波電圧の振幅が調整される。
【0037】
<高周波電圧指令値生成器の構成>
図2は、本開示の実施例1の高周波電圧指令値生成器の構成例を示す図である。図2において、高周波電圧指令値生成器43は、位相発生器43aと、余弦正弦信号発生器43bと、乗算器43cとを有する。
【0038】
位相発生器43aは、“0≦θh≦2π”の範囲で高周波角周波数ωhを積分することにより、高周波電圧ベクトルの位相である高周波位相θhを生成する。
【0039】
余弦正弦信号発生器43bは、式(2)に従って、高周波位相θhの余弦・正弦値u(θh)を発生する。
【数2】
【0040】
乗算器43cは、余弦・正弦値u(θh)と高周波電圧振幅指令値Vhとに基づいて式(3)に従ってd軸高周波電圧指令値Vdh及びq軸高周波電圧指令値Vqhを生成する。
【数3】
【0041】
<軸誤差演算器の構成>
図3は、本開示の実施例1の軸誤差演算器の構成例を示す図である。図3において、軸誤差演算器30は、同相鏡相電流ベクトル生成器301と、鏡相推定器302とを有する。軸誤差演算器30は、モータMの磁気突極性を利用し、高周波角周波数ωhと、d軸電流値Idと、q軸電流値Iqとに基づいて、軸誤差Δθを算出する。図4は、本開示の実施例1の同相鏡相電流ベクトル生成器の構成例を示す図である。図4において、同相鏡相電流ベクトル生成器301は、符号反転器b11と、D因子フィルタb12,b13とを有する。
【0042】
図4において、符号反転器b11は、高周波角周波数ωhの符号を反転し、符号反転後の高周波角周波数-ωhをD因子フィルタb12へ出力する。
【0043】
D因子フィルタb12,b13は、同相成分と鏡相成分とを分離・抽出するフィルタであり、D因子フィルタb12,b13におけるD因子は、単位行列Iと交代行列Jとラプラス演算子sとを用いた式(4)によって定義される。
【数4】
【0044】
D因子フィルタb12は、符号反転後の高周波角周波数-ωhに基づいて、d軸電流値Id及びq軸電流値Iqに含まれる同相電流ベクトルIhpを検出する。同相電流ベクトルIhpは、高周波電圧ベクトルVdh,Vqhの印加に応じて発生する高周波磁束ベクトルと同方向へ回転する。D因子フィルタb12は、同相電流ベクトルIhpを鏡相推定器302へ出力する。
【0045】
D因子フィルタb13は、高周波角周波数ωhに基づいて、d軸電流値Id及びq軸電流値Iqに含まれる鏡相電流ベクトルIhnを検出する。鏡相電流ベクトルIhnは、高周波電圧ベクトルVdh,Vqhの印加に応じて発生する高周波磁束ベクトルと逆方向へ回転する。D因子フィルタb13は、鏡相電流ベクトルIhnを鏡相推定器302及び高周波電圧振幅調整器72へ出力する。
【0046】
ここで、D因子フィルタb12,b13は、2×1ベクトルの各成分であるスカラ信号に対して、周波数特性F(s+jωh)のフィルタと等価な働きをする。よって、F(s)をローパスの特性をもつように設計してD因子フィルタb12,b13に適用することで、D因子フィルタb12,b13は、ωhを中心周波数とするバンドパスフィルタとして機能することになる。さらに、D因子フィルタb12,b13は、極性分離の特性を有している。つまり、D因子フィルタb12,b13における極性分離のバンドパス特性により、d軸電流値Id及びq軸電流値Iqを同相電流ベクトルIhpと鏡相電流ベクトルIhnとに分離することができる。
【0047】
鏡相推定器302は、同相電流ベクトルIhpと鏡相電流ベクトルIhnとに基づいて、式(5)及び式(6)に従って軸誤差Δθを算出する。つまり、鏡相推定器302は、ノルムを同一化した同相電流ベクトルIhpと鏡相電流ベクトルIhnとのベクトル加算によって得られる合成ベクトルの逆正接を軸誤差Δθとして算出する。
【数5】
【数6】
【0048】
<高周波電圧振幅調整器の構成>
図5は、本開示の実施例1の高周波電圧振幅調整器の構成例を示す図である。図5に示す高周波電圧振幅調整器72aは、図1に示す高周波電圧振幅調整器72に該当する。図5において、高周波電圧振幅調整器72aは、ピークホールド算出器72a1と、減算器72a2と、電圧振幅算出器72a3とを有する。
【0049】
<高周波電圧振幅調整器における処理手順>
図6は、本開示の実施例1の高周波電圧振幅調整器における処理手順例を示すフローチャートである。
【0050】
鏡相電流ベクトルIhnは、d-q座標軸上で、d軸の鏡相電流ベクトルであるd軸鏡相電流ベクトルIdnと、q軸の鏡相電流ベクトルであるq軸鏡相電流ベクトルIqnとに分解可能である。また、鏡相電流ベクトルIhnはd-q座標軸上で真円を描くため、d軸鏡相電流ベクトルIdnとq軸鏡相電流ベクトルIqnとは同一の振幅で揺れ、d軸鏡相電流ベクトルIdnのピーク値及びq軸鏡相電流ベクトルIqnのピーク値は、鏡相電流ベクトルIhnのピーク値に相当する。
【0051】
そこで、図6に示すように、ステップS50では、ピークホールド算出器72a1は、カウンタnを初期値の“1”にセットする。
【0052】
次いで、ステップS100では、ピークホールド算出器72a1は、鏡相電流ベクトルIhnから得られるd軸鏡相電流ベクトルIdnの位相θdhが2πn未満であるか否かを判定する。位相θdhが2πn未満である間は(ステップS100:Yes)、処理はステップS105へ進み、位相θdhが2πnに達したときは(ステップS100:No)、処理はステップS115へ進む。
【0053】
ステップS105では、ピークホールド算出器72a1は、初期値を0としてピークホールド算出器72a1に予め記憶されている仮d軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peak_tempがd軸鏡相電流ベクトルIdnの振幅値未満であるか否かを判定する。仮d軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peak_tempがd軸鏡相電流ベクトルIdnの振幅値未満であるときは(ステップS105:Yes)、処理はステップS110へ進み、仮d軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peak_tempがd軸鏡相電流ベクトルIdnの振幅値以上であるときは(ステップS105:No)、処理はステップS100に戻る。
【0054】
ステップS110では、ピークホールド算出器72a1は、d軸鏡相電流ベクトルIdnの振幅値によって仮d軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peak_tempを更新する。ステップS110の処理後、処理はステップS100に戻る。
【0055】
一方で、ステップS115では、ピークホールド算出器72a1は、仮d軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peak_tempによってd軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peakを更新する。
【0056】
次いで、ステップS120では、ピークホールド算出器72a1は、仮d軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peak_tempを“0”に初期化する。
【0057】
次いで、ステップS125では、ピークホールド算出器72a1は、nをインクリメントする。
【0058】
次いで、ステップS130では、減算器72a2は、d軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peakからd軸鏡相電流ベクトル振幅指令値|Idn|を減算することにより、d軸鏡相電流ベクトル振幅指令値|Idn|に対するd軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peakの偏差|Idn|errを算出する。d軸鏡相電流ベクトル振幅指令値|Idn|は、モータMを安定して駆動するために十分なS/N比が確保できることが分かっている最低限の値に定められ、モータ制御装置100の外部(例えば、上位のコントローラ)から高周波電圧振幅調整器72aへ入力される。
【0059】
次いで、ステップS135では、電圧振幅算出器72a3は、所定のゲイン値gと偏差|Idn|errとを乗算し、前回の周期で算出された高周波電圧振幅指令値Vhからg×|Idn|errを減算した値によって高周波電圧振幅指令値Vhを更新することにより今回の周期での高周波電圧振幅指令値Vhを算出する。これにより、偏差|Idn|errが0に近づいていく。ステップS135の処理後、処理はステップS100に戻る。
【0060】
以上のように、高周波電圧振幅調整器72aでは、周期2π毎に、d軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peakが更新され、d軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peakがd軸鏡相電流ベクトル振幅指令値|Idn|になるように高周波電圧振幅指令値Vhが調整される。
【0061】
また、鏡相電流ベクトルIhnの振幅|Ihn|は式(7)によって表されるため、高周波電圧振幅指令値Vhの調整に応じて振幅|Ihn|が調整される。式(7)において、“Ld”はモータMのd軸インダクタンス、“Lq”はモータMのq軸インダクタンスである。
【数7】
【0062】
なお、図6では、d軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peak及び高周波電圧振幅指令値Vhの更新周期を2πとした。しかし、d軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peak及び高周波電圧振幅指令値Vhの更新周期は、2π以外の所定の周期Tmであっても良い。周期Tmは、例えば4πであっても良い。
【0063】
<ピークホールド算出器の動作>
図7は、本開示の実施例1のピークホールド算出器の動作例を示す図である。図7には、d軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peak及び高周波電圧振幅指令値Vhの更新周期Tmを2πとした場合を一例として示す。
【0064】
図7に示すように、一つの所定期間Tm内において(ステップS100:Yes)、仮d軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peak_tempよりd軸鏡相電流ベクトルIdnの振幅値が大きくなると(ステップS105:Yes)、d軸鏡相電流ベクトルIdnの振幅値によって仮d軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peak_tempが逐次更新される(ステップS110)。つまり、一つの所定期間Tm内でd軸鏡相電流ベクトルIdnの振幅値が上昇する区間においては、d軸鏡相電流ベクトルIdnの振幅の最大値をトレースするように仮d軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peak_tempが更新される。
【0065】
そして、一つの所定期間Tmの終了時点で(ステップS100:No)、仮d軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peak_tempによってd軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peakが更新される(ステップS115)。
【0066】
ピークホールド算出器72a1は、以上の動作を、周期Tmで繰り返す。
【0067】
ここで、鏡相電流ベクトルIhnの振幅|Ihn|は、一般的に、同相電流ベクトルIhpの振幅|Ihp|より小さくなる。また、式(7)から分かるように、振幅|Ihn|は、モータパラメータLd,Lqに応じて変化する。モータパラメータLd,Lqには電流特性があるため、モータ駆動条件によってモータパラメータLd,Lqは変化する。このため、モータ駆動条件によっては、振幅|Ihn|が小さくなってしまい、S/N比が十分確保できないことがある。
【0068】
これに対し、高周波電圧振幅指令値Vhを一律で大きくしておくことにより、如何なるモータ駆動条件でもS/N比が十分確保できる大きさに振幅|Ihn|を保つことが可能になる。
【0069】
しかし、高周波電圧振幅指令値Vhが過度に大きくなると、モータMの騒音増大やモータMの効率悪化等を招いてしまう。
【0070】
そこで、実施例1では、以上のように、d軸鏡相電流ベクトルIdnに基づいて高周波電圧振幅指令値Vhを調整するようにした。こうすることで、モータMの騒音増大やモータMの効率悪化等を防ぎつつ、鏡相電流ベクトルIhnのS/N比を十分に確保できるようになるため、モータMの制御の安定化を図ることができる。
【0071】
以上、実施例1について説明した。
【0072】
[実施例2]
実施例2では、q軸鏡相電流ベクトルIqnに基づいて高周波電圧振幅指令値Vhを調整する点が実施例1と相違する。以下、実施例1と異なる点について説明する。
【0073】
<高周波電圧振幅調整器の構成>
図8は、本開示の実施例2の高周波電圧振幅調整器の構成例を示す図である。図8に示す高周波電圧振幅調整器72bは、図1に示す高周波電圧振幅調整器72に該当する。図8において、高周波電圧振幅調整器72bは、ピークホールド算出器72b1と、減算器72b2と、電圧振幅算出器72b3とを有する。
【0074】
<高周波電圧振幅調整器における処理手順>
図9は、本開示の実施例2の高周波電圧振幅調整器における処理手順例を示すフローチャートである。
【0075】
図9に示すように、ステップS70では、ピークホールド算出器72b1は、カウンタnを初期値の“1”にセットする。
【0076】
次いで、ステップS200では、ピークホールド算出器72b1は、鏡相電流ベクトルIhnから得られるq軸鏡相電流ベクトルIqnの位相θqhが2πn未満であるか否かを判定する。位相θqhが2πn未満である間は(ステップS200:Yes)、処理はステップS205へ進み、位相θqhが2πnに達したときは(ステップS200:No)、処理はステップS215へ進む。
【0077】
ステップS205では、ピークホールド算出器72b1は、初期値を0としてピークホールド算出器72b1に予め記憶されている仮q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peak_tempがq軸鏡相電流ベクトルIqnの振幅値未満であるか否かを判定する。仮q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peak_tempがq軸鏡相電流ベクトルIqnの振幅値未満であるときは(ステップS205:Yes)、処理はステップS210へ進み、仮q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peak_tempがq軸鏡相電流ベクトルIqnの振幅値以上であるときは(ステップS205:No)、処理はステップS200に戻る。
【0078】
ステップS210では、ピークホールド算出器72b1は、q軸鏡相電流ベクトルIqnの振幅値によって仮q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peak_tempを更新する。ステップS210の処理後、処理はステップS200に戻る。
【0079】
一方で、ステップS215では、ピークホールド算出器72b1は、仮q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peak_tempによってq軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peakを更新する。
【0080】
次いで、ステップS220では、ピークホールド算出器72b1は、仮q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peak_tempを“0”に初期化する。
【0081】
次いで、ステップS225では、ピークホールド算出器72b1は、nをインクリメントする。
【0082】
次いで、ステップS230では、減算器72b2は、q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peakからq軸鏡相電流ベクトル振幅指令値|Iqn|を減算することにより、q軸鏡相電流ベクトル振幅指令値|Iqn|に対するq軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peakの偏差|Iqn|errを算出する。q軸鏡相電流ベクトル振幅指令値|Iqn|は、モータMを安定して駆動するために十分なS/N比が確保できることが分かっている最低限の値に定められ、モータ制御装置100の外部(例えば、上位のコントローラ)から高周波電圧振幅調整器72bへ入力される。
【0083】
次いで、ステップS235では、電圧振幅算出器72b3は、所定のゲイン値gと偏差|Iqn|errとを乗算し、前回の周期で算出された高周波電圧振幅指令値Vhからg×|Iqn|errを減算した値によって高周波電圧振幅指令値Vhを更新することにより今回の周期での高周波電圧振幅指令値Vhを算出する。これにより、偏差|Iqn|errが0に近づいていく。ステップS235の処理後、処理はステップS200に戻る。
【0084】
以上のように、高周波電圧振幅調整器72bでは、周期2π毎に、q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peakが更新され、q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peakがq軸鏡相電流ベクトル振幅指令値|Iqn|になるように高周波電圧振幅指令値Vhが調整される。
【0085】
また、鏡相電流ベクトルIhnの振幅|Ihn|は式(7)によって表されるため、高周波電圧振幅指令値Vhの調整に応じて振幅|Ihn|が調整される。
【数7】
【0086】
なお、図9では、q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peak及び高周波電圧振幅指令値Vhの更新周期を2πとした。しかし、q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peak及び高周波電圧振幅指令値Vhの更新周期は、2π以外の所定の周期Tmであっても良い。周期Tmは、例えば4πであっても良い。
【0087】
<ピークホールド算出器の動作>
図10は、本開示の実施例2のピークホールド算出器の動作例を示す図である。図10には、q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peak及び高周波電圧振幅指令値Vhの更新周期Tmを2πとした場合を一例として示す。
【0088】
図10に示すように、一つの所定期間Tm内において(ステップS200:Yes)、仮q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peak_tempよりq軸鏡相電流ベクトルIqnの振幅値が大きくなると(ステップS205:Yes)、q軸鏡相電流ベクトルIqnの振幅値によって仮q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peak_tempが逐次更新される(ステップS210)。つまり、一つの所定期間Tm内でq軸鏡相電流ベクトルIqnの振幅値が上昇する区間においては、q軸鏡相電流ベクトルIqnの振幅の最大値をトレースするように仮q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peak_tempが更新される。
【0089】
そして、一つの所定期間Tmの終了時点で(ステップS200:No)、仮q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peak_tempによってq軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peakが更新される(ステップS215)。
【0090】
ピークホールド算出器72b1は、以上の動作を、周期Tmで繰り返す。
【0091】
以上のように、q軸鏡相電流ベクトルIqnに基づいて高周波電圧振幅指令値Vhを調整することで、実施例1と同様に、モータMの騒音増大やモータMの効率悪化等を防ぎつつ、鏡相電流ベクトルIhnのS/N比を十分に確保できるようになるため、モータMの制御の安定化を図ることができる。
【0092】
以上、実施例2について説明した。
【0093】
以上のように、本開示のモータ制御装置(実施例のモータ制御装置100)は、加算器(実施例の加算器44,45)と、軸誤差演算器(実施例の軸誤差演算器30)と、電流算出器(実施例の3φ電流算出器28)と、変換器(実施例のu,v,w/d-q変換器29)と、調整器(実施例の高周波電圧振幅調整器72,72a,72b)と、生成器(実施例の高周波電圧指令値生成器43)とを有する。加算器は、モータ(実施例のモータM)を所望の回転数で駆動するための駆動用電圧指令値(実施例のd軸駆動用電圧指令値Vdm,q軸駆動用電圧指令値Vqm)と、モータのロータ位置の推定に用いられる高周波電流を発生させるための高周波電圧指令値(実施例のd軸高周波電圧指令値Vdh,q軸高周波電圧指令値Vqh)とを加算することにより電圧指令値(実施例のd軸電圧指令値Vd,q軸電圧指令値Vq)を算出する。軸誤差演算器は、高周波電圧指令値の印加に応じて発生する高周波電流を用いて軸誤差を算出する。電流算出器は、高周波電流を含む3相電流(実施例のU相電流値Iu,V相電流値Iv,W相電流値Iw)を算出する。変換器は、3相電流を高周波電流を含む2相電流(実施例のd軸電流値Id,q軸電流値Iq)に変換する。調整器は、2相電流から分離される鏡相電流ベクトル(実施例のd軸鏡相電流ベクトルIdn,q軸鏡相電流ベクトルIqn)に基づいて高周波電圧振幅指令値(実施例の高周波電圧振幅指令値Vh)を調整する。生成器は、調整後の高周波電圧振幅指令値に基づいて高周波電圧指令値を生成する。
【0094】
例えば、調整器は、鏡相電流ベクトルの振幅ピーク値(実施例のd軸鏡相電流ベクトルピーク値Idn_peak,q軸鏡相電流ベクトルピーク値Iqn_peak)に基づいて高周波電圧振幅指令値を調整する。
【0095】
また例えば、調整器は、鏡相電流ベクトルの振幅指令値(実施例のd軸鏡相電流ベクトル振幅指令値|Idn|,q軸鏡相電流ベクトル振幅指令値|Iqn|)に対する振幅ピーク値の偏差(実施例の偏差|Idn|err,偏差|Iqn|err)と、鏡相電流ベクトルの前回の周期における高周波電圧振幅指令値とに基づいて、鏡相電流ベクトルの今回の周期における高周波電圧振幅指令値を算出する。
【符号の説明】
【0096】
100 モータ制御装置
72,72a,72b 高周波電圧振幅調整器
43 高周波電圧指令値生成器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10