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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048159
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】自動車用のシートバックフレーム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
B60N2/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154080
(22)【出願日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2021156875
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正敏
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DB02
3B087DB04
(57)【要約】
【課題】シートベルト内蔵型の自動車用のシートバックフレームにおいて、高い耐荷重性能を有するとともに簡易な構造で高い寸法精度を確保する。
【解決手段】自動車用のシートバックフレーム1は、車両幅方向に離間して配置された第1サイドフレーム2および第2サイドフレーム3と、第1サイドフレーム2の上端部および第2サイドフレーム3の上端部を連結するアッパーフレーム4と、第1サイドフレーム2の上端部に取り付けられ、シートベルトを案内するアッパーブラケット6とを備える。第1サイドフレーム2は、アルミニウム合金製押出材からなり、車両上下方向に垂直な断面において閉断面部14を有する柱状部材10と、ハイテンション鋼からなり、柱状部材10に接合されるとともに柱状部材10の車両後方に延びる板状の補強部材20とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両幅方向に離間して配置された第1サイドフレームおよび第2サイドフレームと、
前記第1サイドフレームの上端部および前記第2サイドフレームの上端部を連結するアッパーフレームと、
前記第1サイドフレームの上端部に取り付けられ、シートベルトを案内するアッパーブラケットと
を備え、
前記第1サイドフレームは、
アルミニウム合金製押出材からなり、車両上下方向に垂直な断面において閉断面部を有する柱状部材と、
ハイテンション鋼からなり、前記柱状部材に接合されるとともに前記柱状部材の車両後方に延びる板状の補強部材と
を有する、自動車用のシートバックフレーム。
【請求項2】
前記第1サイドフレームの下端は、固定されており、
前記補強部材の下部は、上部に比べて車両前後方向に大きい、請求項1に記載の自動車用のシートバックフレーム。
【請求項3】
前記補強部材の降伏応力は、前記柱状部材の降伏応力の2倍以上である、請求項1または請求項2に記載の自動車用のシートバックフレーム。
【請求項4】
前記柱状部材は、前記閉断面部と、前記閉断面部から20mm以上かつ30mm以下の長さで車両後方へ突出したフランジ部とを含み、
前記補強部材は、前記フランジ部に接合されている、請求項1または請求項2に記載の自動車用のシートバックフレーム。
【請求項5】
前記柱状部材は、直線的に延びる下部および上部と、前記下部および前記上部を繋ぐ湾曲した中間部とを有し、
前記フランジ部は、前記中間部から突出しておらず、前記下部および前記上部から突出している、請求項4に記載の自動車用のシートバックフレーム。
【請求項6】
前記補強部材は、車両上下方向から見て折り曲げられている、請求項1または請求項2に記載の自動車用のシートバックフレーム。
【請求項7】
前記閉断面部は、車両上下方向から見て、車両前方に位置する前壁と、その他の壁とによって構成される多角形状であり、
前記前壁は、前記その他の壁に比べて厚い、請求項1または請求項2に記載の自動車用のシートバックフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のシートバックフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用のシートバックフレームにおいて、シートベルトを内蔵する構造が知られている。このような構造では、自動車が急減速または衝突した際にシートベルトを介してシートバックフレームに大きな荷重が加わる。従って、座屈変形が生じることを抑制するために、高い耐荷重性能を有するシートバックフレームが求められている。
【0003】
特許文献1,2には、高い耐荷重性能を有する自動車用のシートバックフレームが開示されている。当該シートバックフレームでは、車両前方側部分が閉断面形状となっており、高い耐荷重性能を発揮する。また、車両後方側部分が板状となっており、他の様々な部材との接合に利用される。当該シートバックフレームはアルミニウム合金製押出材からなり、これらの形状が一体的に構成されている。また、シートバックフレームの上部を車両後方へ向かって湾曲させ、座面上方の空間を広く確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-101286号公報
【特許文献2】特開2013-189089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2のシートバックフレームでは、複雑な形状を一体的に構成しているため、設計上求められる寸法精度を確保することが困難である。また、シートバックフレームの上部を車両後方へ向かって湾曲させるためには、押し出し成形後に曲げ加工を行う必要があり、特に車両後方側の板状の部分に皺や割れなどの悪影響が生じ、高い寸法精度を確保することが困難となるおそれがある。
【0006】
本発明は、シートベルト内蔵型の自動車用のシートバックフレームにおいて、高い耐荷重性能を有するとともに簡易な構造で高い寸法精度を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
車両幅方向に離間して配置された第1サイドフレームおよび第2サイドフレームと、
前記第1サイドフレームの上端部および前記第2サイドフレームの上端部を連結するアッパーフレームと、
前記第1サイドフレームの上端部に取り付けられ、シートベルトを案内するアッパーブラケットと
を備え、
前記第1サイドフレームは、
アルミニウム合金製押出材からなり、車両上下方向に垂直な断面において閉断面部を有する柱状部材と、
ハイテンション鋼からなり、前記柱状部材に接合されるとともに前記柱状部材の車両後方に延びる板状の補強部材と
を有する、自動車用のシートバックフレームを提供する。
【0008】
この構成によれば、シートベルト内蔵型の自動車用のシートバックフレームにおいて、耐荷重、構造の簡易性、および寸法精度の観点から好適な形状および材質を採用している。具体的には、シートバックフレームでは、自動車が急減速または衝突した際にシートベルトを介して車両前方側に圧縮荷重が付加され、車両後方側に引張荷重が付加される。これに対し、上記構成では、車両前方側に配置された柱状部材が、低比重のアルミニウム合金製の押出材からなり、圧縮荷重に強い閉断面部を有するため、高い耐荷重性能を有するとともに軽量化を図ることができる。また、車両後方側に配置された補強部材が、引張荷重に対して強く安価なハイテンション鋼製の板状であるため、高い耐荷重性能を有するとともに低コスト化を図ることができる。ここで、ハイテンション鋼とは、引張強度が780MPa以上の鋼鉄のことをいう。また、シートバックフレームが曲げ加工を要するような湾曲した形状を有する場合であっても、曲げ加工された後の柱状部材に補強部材を接合できるので、補強部材を曲げ加工する必要なく、補強部材に皺や割れなどの悪影響が生じることを抑制できる。このように、第1サイドフレームにおいて、柱状部材および補強部材が、互いに別体で構成されるとともに好適な形状および材質をしているため、高い耐荷重性能を有するとともに簡易な構造で高い寸法精度を確保できる。
【0009】
前記第1サイドフレームの下端は、固定されていてもよく、
前記補強部材の下部は、上部に比べて車両前後方向に大きくてもよい。
【0010】
この構成によれば、第1サイドフレームの下端が固定され、上端にアッパーブラケットが配置されているため、下部には相対的に高い曲げモーメントが付加され、上部には相対的に低い曲げモーメントが付加される。従って、下部の断面係数を上部に比べて大きくすることで、必要な耐荷重性能を効率的に確保できる。
【0011】
前記補強部材の降伏応力は、前記柱状部材の降伏応力の2倍以上であってもよい。
【0012】
この構成によれば、コストの観点から具体的な設計が可能となる。
【0013】
前記柱状部材は、前記閉断面部と、前記閉断面部から20mm以上かつ30mm以下の長さで車両後方へ突出したフランジ部とを含んでいてもよく、
前記補強部材は、前記フランジ部に接合されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、フランジ部に補強部材が接合されるため、製造が容易となる。特に、フランジ部は20mm以上の寸法を有するため、SPR(セルフピアスリベット)やブラインドリベットなどの機械的接合を容易に行うことができる。また、フランジ部は30mm以下の寸法を有するため、柱状部材の構造を簡易に維持できる。また、仮に、シートバックフレームが湾曲した形状を有する場合であっても、フランジ部が30mm以下であれば柱状部材の曲げ加工による皺や割れなどの悪影響を生じ難くできる。
【0015】
前記柱状部材は、直線的に延びる下部および上部と、前記下部および前記上部を繋ぐ湾曲した中間部とを有していてもよく、
前記フランジ部は、前記中間部から突出しておらず、前記下部および前記上部から突出していてもよい。
【0016】
この構成によれば、柱状部材が湾曲した中間部を有していることで、座面上方の空間を広く確保できる。また、中間部からはフランジ部が突出していないため、前述の皺や割れの悪影響を回避できる。
【0017】
前記補強部材は、車両上下方向から見て折り曲げられていてもよい。
【0018】
この構成によれば、補強部材が折り曲げられているため、補強部材の剛性を向上できる。従って、より高い耐荷重性能や部品剛性を確保できる。特に、補強部材が柱状部材と別体であるため、このように補強部材の形状を様々に設定できる。
【0019】
前記閉断面部は、車両上下方向から見て、車両前方に位置する前壁と、その他の壁とによって構成される多角形状であってもよく、
前記前壁は、前記その他の壁に比べて厚くてもよい。
【0020】
この構成によれば、前壁はその他の壁に比べて車両前方に位置するため、相対的に大きな圧縮荷重が付加されるが、前壁を相対的に厚くしているため、効果的に高い耐荷重性能を発揮できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、シートベルト内蔵型の自動車用のシートバックフレームにおいて、高い耐荷重性能を有するとともに簡易な構造で高い寸法精度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る自動車用のシートバックフレームの斜視図。
図2】第1サイドフレームの側面図。
図3図2のIII-III線に沿った断面図。
図4図4は、図3に対応する第1サイドフレームの第1変形例を示す断面図。
図5図5は、図3に対応する第1サイドフレームの第2変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る自動車用のシートバックフレーム1の斜視図を示している。図1において、車両幅方向において外向きを符号Xで示し、車両前後方向において前向きを符号Yで示し、車両上下方向において上向きを符号Zで示す。
【0025】
シートバックフレーム1は、車両幅方向に離間して配置された第1サイドフレーム2および第2サイドフレーム3を有している。第1サイドフレーム2および第2サイドフレーム3は、車両上下方向に延びている。第1サイドフレーム2は車両幅方向外側に配置され、第2サイドフレーム3は車両幅方向内側に配置されている。
【0026】
シートバックフレーム1は、第1サイドフレーム2の上端部および第2サイドフレーム3の上端部を連結するアッパーフレーム4を有している。また、シートバックフレーム1は、第1サイドフレーム2の下部および第2サイドフレーム3の下部を連結するロアーフレーム5を有している。アッパーフレーム4およびロアーフレーム5は、車両幅方向に延びている。本実施形態では、アッパーフレーム4はアルミニウム合金製の円管部材であり、ロアーフレーム5はハイテンション鋼製の板部材である。
【0027】
シートバックフレーム1は、シートベルト内蔵型であり、シートベルトを巻き取るリトラクタ(図示せず)と、シートベルトを案内するアッパーブラケット6を有している。本実施形態では、アッパーブラケット6は、第1サイドフレーム2の上端部およびアッパーフレーム4の車幅方向外側端部に取り付けられている。また、リトラクタは、アッパーブラケット6に取り付けられている。ただし、リトラクタは、アッパーブラケット6以外の部品に取り付けられていても良く、例えば、後述のロアーフレーム5に取り付けられていても良い。
【0028】
図2は、第1サイドフレーム2の側面図を示している。また、図3は、図2のIII-III線に沿った断面図を示している。
【0029】
第1サイドフレーム2は、下端において、リクライナ7を介してシートクッションフレーム(図示せず)に固定されている。第1サイドフレーム2は、アルミニウム合金製押出材の柱状部材10と、ハイテンション鋼板の補強部材20とを有している。ここで、ハイテンション鋼とは、引張強度が780MPa以上の鋼鉄のことをいう。
【0030】
柱状部材10は、直線的に延びる下部11および上部12と、下部11および上部12を繋ぐ湾曲した中間部13とを有している。
【0031】
柱状部材10は、車両上下方向に垂直な断面において閉断面部14を有する。本実施形態では、閉断面部14は、矩形である。閉断面部14は、車両前方に位置する前壁14aと、車両後方に位置する後壁14bと、それらを繋ぐ側壁14c,14dとを含んでいる。前壁14aは、その他の壁14b~14dに比べて厚い。
【0032】
本実施形態では、柱状部材10は、上記閉断面部14に加えて、閉断面部14から20mm以上かつ30mm以下の長さで車両後方へ突出したフランジ部15とを含んでいる。本実施形態では、フランジ部15は、後壁14bから連続して車両後方へ延びている。また、フランジ部15は、中間部13から突出しておらず、下部11および上部12から突出している。また、車両上下方向において、フランジ部15は、下部11の全体と、上部12の一部に設けられている。即ち、製造過程で、中間部13および上部12の他部分におけるフランジ部15は、切削除去されている。
【0033】
補強部材20は、ハイテンション鋼からなり、柱状部材10の車両後方に延びる板状である。本実施形態では、補強部材20は、柱状部材10のフランジ部15に対してSPR(セルフピアスリベット)によって接合されている(SPR部21参照)。また、補強部材20は、車両上下方向から見て1か所で直角に折り曲げられている。即ち、補強部材20は、車両前後方向および車両幅方向に延びるように概略L字形に構成されている。
【0034】
補強部材20の下部22は、上部23に比べて車両前後方向に大きい(d2>d1)。好ましくは、上部23から下部22に向かって車両前後方向の長さが徐々に大きくなる。
【0035】
本実施形態では、補強部材20の降伏応力は、柱状部材10の降伏応力の2倍以上である。これにより、コストの観点から具体的な設計が可能となる。好ましくは、補強部材20の降伏応力は、柱状部材10の降伏応力の3倍以上である。
【0036】
本実施形態では、第1サイドフレーム2は、リクライナ7に対して、ボルト16a,16bおよびナット17a,17bによって締結されている。ボルト16aは、閉断面部14を車両幅方向に貫通し、閉断面部14内においてカラー18で被覆されている。カラー18は、車両幅方向において側壁14c,14dを支持している。
【0037】
図1を参照して、第2サイドフレーム3は、ハイテンション鋼からなり、板状である。第2サイドフレーム3は、車両上下方向から見て、2か所で直角に折り曲げられ、即ち概略C字形に構成されている。第2サイドフレーム3は、上記補強部材20と同様に、下部3aが上部3bに比べて車両前後方向に大きい。
【0038】
ロアーフレーム5は、第1サイドフレーム2の補強部材20の下部と、第2サイドフレーム3の下部とを連結している。
【0039】
本実施形態のシートバックフレーム1によれば、以下の作用効果を奏する。
【0040】
シートベルト内蔵型の自動車用のシートバックフレーム1において、耐荷重、構造の簡易性、および寸法精度の観点から好適な形状および材質を採用している。具体的には、シートバックフレーム1では、自動車が急減速または衝突した際にシートベルトを介して車両前方側に圧縮荷重が付加され、車両後方側に引張荷重が付加される。これに対し、本実施形態では、車両前方側に配置された柱状部材10が、低比重のアルミニウム合金製の押出材からなり、圧縮荷重に強い閉断面部14を有するため、高い耐荷重性能を有するとともに軽量化を図ることができる。また、車両後方側に配置された補強部材20が、引張荷重に対して強く安価なハイテンション鋼製の板状であるため、高い耐荷重性能を有するとともに低コスト化を図ることができる。また、本実施形態のシートバックフレーム1は曲げ加工を要するような湾曲した形状を有するが、曲げ加工された後の柱状部材10に補強部材20を接合できるので、補強部材20を曲げ加工する必要なく、補強部材20に皺や割れなどの悪影響が生じることを抑制できる。このように、第1サイドフレーム2において、柱状部材10および補強部材20が、互いに別体で構成されるとともに好適な形状および材質をしているため、高い耐荷重性能を有するとともに簡易な構造で高い寸法精度を確保できる。
【0041】
第1サイドフレーム2の下端が固定され、上端にアッパーブラケット6が配置され、シートベルトを介してアッパーブラケット6に荷重が加わるため、下部22には相対的に高い曲げモーメントが付加され、上部23には相対的に低い曲げモーメントが付加される。従って、補強部材20の下部22を上部23に比べて車両前後方向に大きくすることで(d2>d1)、下部22の断面係数を上部23に比べて大きくし、必要な耐荷重性能を効率的に確保できる。
【0042】
フランジ部15に補強部材20が接合されるため、製造が容易となっている。特に、フランジ部15は20mm以上の寸法を有するため、SPR接合を容易に行うことができる。また、フランジ部15は30mm以下の寸法を有するため、柱状部材10の構造を簡易に維持できる。また、仮に、シートバックフレーム1が湾曲した形状を有する場合であっても、フランジ部15が30mm以下であれば柱状部材の曲げ加工による皺や割れなどの悪影響を生じ難くできる。
【0043】
柱状部材10が車両後方へ湾曲するように中間部13を有しているため、座面上方の空間を広く確保できる。また、中間部13からはフランジ部15が突出していないため、前述の皺や割れの悪影響を回避できる。
【0044】
補強部材20が折り曲げられているため、補強部材20の剛性を向上できる。従って、より高い耐荷重性能や部品剛性を確保できる。特に、補強部材20が柱状部材10と別体であるため、本実施形態や他の折り曲げ形状のように補強部材20の形状を様々に設定できる。
【0045】
前壁14aはその他の壁14b~14dに比べて車両前方に位置するため、相対的に大きな圧縮荷重が付加されるが、前壁14aを相対的に厚くしているため、効果的に高い耐荷重性能を発揮できる。
【0046】
(第1変形例)
図4は、図3に対応する第1サイドフレーム2の第1変形例を示す断面図を示している。
【0047】
本変形例では、閉断面部14の形状が上記実施形態とは異なるが、閉断面部14の形状以外は上記実施形態と実質的に同じであるため、詳細な説明を省略する場合がある。
【0048】
本変形例では、閉断面部14が台形状である。本変形例においても、前壁14aは、その他の壁14b~14dに比べて厚い。
【0049】
本変形例では、ボルト16aが閉断面部14内で終端している。そのため、閉断面部14において側壁14cに作業孔Hが設けられ、作業性を向上させている。
【0050】
上記実施形態および本変形例に示すように、閉断面部14の形状は特に限定されず、例えば任意の多角形状であり得る。
【0051】
(第2変形例)
図5は、図3に対応する第1サイドフレーム2の第2変形例を示す断面図を示している。
【0052】
本変形例では、柱状部材10は、フランジ部15(図3,4参照)を有していない。従って、SPR部21(図3,4)も設けられておらず、代替的にブラインドリベット24が使用され、補強部材20が柱状部材10に対して接合されている。
【0053】
補強部材20は、車両上下方向から見て、2か所で直角に折り曲げられ、即ち概略C字形に構成され、柱状部材10よりも部分的に前方にも配置されている。即ち、C字形の補強部材20が柱状部材10を咥えこむように配置されている。
【0054】
補強部材20は、上記実施形態のボルト16a,16bおよびナット17a,17bの締結に加えて、ブラインドリベット24によって前壁14aと締結されている。
【0055】
上記実施形態および本変形例に示すように、補強部材20の形状は特に限定されず、例えば任意の折り曲げ形状を有する板状であり得る。
【0056】
以上より、本発明の具体的な実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 シートバックフレーム
2 第1サイドフレーム
3 第2サイドフレーム
3a 下部
3b 上部
4 アッパーフレーム
5 ロアーフレーム
6 アッパーブラケット
7 リクライナ
10 柱状部材
11 下部
12 上部
13 中間部
14 閉断面部
14a 前壁
14b 後壁(その他の壁)
14c,14d 側壁(その他の壁)
15 フランジ部
16a,16b ボルト
17a,17b ナット
18 カラー
20 補強部材
21 SPR部
22 下部
23 上部
24 ブラインドリベット
図1
図2
図3
図4
図5