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特開2023-49929基礎・土間一体打ち構造及び基礎・土間一体打設工法
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  • 特開-基礎・土間一体打ち構造及び基礎・土間一体打設工法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049929
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】基礎・土間一体打ち構造及び基礎・土間一体打設工法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/01 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
E02D27/01 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159958
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 浩史
(72)【発明者】
【氏名】南野 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】野村 智文
(72)【発明者】
【氏名】市岡 大幸
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046BA11
2D046BA12
2D046BA41
(57)【要約】
【課題】捨て型枠の移動又は変形を抑えて、布基礎の断面形状に影響を与えない。
【解決手段】盛土に沿う捨て型枠2と、捨て型枠2の盛土4と反対側に位置する布基礎3とを備え、少なくとも布基礎3のベース部7と、布基礎3に隣接する土間・コンクリート5とを一体に打設する基礎・土間一体打ち構造において、捨て型枠2は、複数の堰板11と、堰板11同士を平面視環状に結合する結合板12と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
盛土に沿う捨て型枠と、前記捨て型枠の前記盛土と反対側に位置する布基礎とを備え、少なくとも前記布基礎のベース部と、前記布基礎に隣接する土間・コンクリートとを一体に打設する基礎・土間一体打ち構造において、
前記捨て型枠は、複数の堰板と、堰板同士を平面視環状に結合する結合板と、を備えることを特徴とする基礎・土間一体打ち構造。
【請求項2】
前記結合板は、前記堰板の上部を平面視環状に結合することを特徴とする請求項1に記載の基礎・土間一体打ち構造。
【請求項3】
前記結合板は、前記堰板の側面に配置され、
前記結合板と前記堰板とをボルトで結合することを特徴とする請求項1又は2に記載の基礎・土間一体打ち構造。
【請求項4】
前記結合板は、前記堰板の側面に配置され、
前記結合板の係合部を前記堰板の天端に係合させて、前記結合板と前記堰板とを結合することを特徴とする請求項1又は2に記載の基礎・土間一体打ち構造。
【請求項5】
前記結合板は、前記堰板の天端に配置され、
前記結合板と前記堰板とをボルトで結合することを特徴とする請求項1又は2に記載の基礎・土間一体打ち構造。
【請求項6】
盛土に沿う捨て型枠の複数の堰板同士を結合板により平面視環状に結合し、
前記捨て型枠の前記盛土と反対側に布基礎を配置し、
少なくとも前記布基礎のベース部と、前記布基礎に隣接する土間・コンクリートとを一体に打設することを特徴とする基礎・土間一体打設工法。
【請求項7】
前記結合板は、前記堰板の上部を平面視環状に結合することを特徴とする請求項6に記載の基礎・土間一体打設工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基礎・土間一体打ち構造及び基礎・土間一体打設工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、布基礎と、布基礎に隣接する土間・コンクリートとを一体に打設する基礎・土間一体打ち構造及び打設工法が知られている(特許文献1)。
この種の打設工法では、土間の内部の盛土の、布基礎側の縁に沿って、捨て型枠を設けることにより、盛土を土留めするのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-79683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、土間の盛土に転圧を掛ける際に、捨て型枠が移動又は変形し、布基礎の断面形状に影響を与える可能性がある。
そこで、本開示の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、捨て型枠の移動又は変形を抑えて、布基礎の断面形状に影響を与えない、基礎・土間一体打ち構造及び打設工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、盛土に沿う捨て型枠と、前記捨て型枠の前記盛土と反対側に位置する布基礎とを備え、少なくとも前記布基礎のベース部と、前記布基礎に隣接する土間・コンクリートとを一体に打設する基礎・土間一体打ち構造において、前記捨て型枠は、複数の堰板と、堰板同士を平面視環状に結合する結合板と、を備えることを特徴とする。
捨て型枠は、堰板同士を平面視環状に結合する結合板を備えるため、土間の盛土に転圧を掛ける場合に、捨て型枠が移動又は変形するのを抑制し、布基礎の断面形状に影響を与えることを抑制できる。また結合板は、平面視環状に結合されるため、縦の支保工を用いた場合と比較して、横方向だけで補強でき、布基礎のベース部の断面形状への影響を抑えることができる。
【0006】
前記結合板は、前記堰板の上部を平面視環状に結合してもよい。
堰板の上部を結合するため、布基礎のベース部に結合板が残ることがなく、布基礎の断面形状に影響を与えることを抑制できる。
【0007】
前記結合板は、前記堰板の側面に配置され、前記結合板と前記堰板とをボルトで結合してもよい。
結合板は、堰板の側面に配置されるため、結合板と堰板とをボルトで結合するための施工性が向上する。
【0008】
前記結合板は、前記堰板の側面に配置され、前記結合板の係合部を前記堰板の天端に係合させて、前記結合板と前記堰板とを結合してもよい。
結合板の係合部を堰板の天端に係合させるだけで、結合板と堰板とを結合できるため、結合板と堰板とを結合する施工性が向上する。
【0009】
前記結合板は、前記堰板の天端に配置され、前記結合板と前記堰板とをボルトで結合してもよい。
結合板は、堰板の天端に配置されるため、結合板と堰板とをボルトで結合するための施工性が向上する。
【0010】
盛土に沿う捨て型枠の複数の堰板同士を結合板により平面視環状に結合し、前記捨て型枠の前記盛土と反対側に布基礎を配置し、少なくとも前記布基礎のベース部と、前記布基礎に隣接する土間・コンクリートとを一体に打設してもよい。
堰板同士を結合板により平面視環状に結合するため、盛土に転圧を掛ける場合、捨て型枠の移動又は変形が抑制され、布基礎の断面形状に影響を与えない。
【0011】
前記結合板は、前記堰板の上部を平面視環状に結合してもよい。
堰板の上部を結合するため、布基礎のベース部に結合板が残ることがなく、布基礎の断面形状に影響を与えることを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本開示では、捨て型枠は複数の堰板同士を平面視環状に結合する結合板を備えるため、土間の盛土に転圧を掛ける際に、捨て型枠の移動又は変形が抑えられ、布基礎の断面形状への影響を抑えることができる。また結合板は、平面視環状に結合されるため、縦の支保工を用いた場合と比較して、横方向だけで補強でき、布基礎のベース部の断面形状への影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態に係る基礎・土間一体打ち構造の断面図である。
図2】Aは捨て型枠の側面図、Bは同端面図である。
図3】同捨て型枠の平面図である。
図4】A~Cは基礎・土間一体打ち構造の施工手順を示す断面図である。
図5】A~Cは別実施の形態に係る同施工手順を示す断面図である。
図6】Aは別実施の形態に係る捨て型枠の平面図、Bは同側面図、CはBのC-C断面図である。
図7】Aは別実施の形態に係る捨て型枠の平面図、Bは同側面図、CはBのC-C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。
図1は、基礎・土間一体打ち構造1を示す。
一体打ち構造1は、住宅や商工業施設等となる建物に適用される。一体打ち構造1は、捨て型枠2と、布基礎3と、盛土4の上面を覆う土間・コンクリート5とを備える。布基礎3は、プレキャストコンクリート6とベース部7からなり、ベース部7は盛土4の上面を覆う土間・コンクリート5と一体に打設される。
【0015】
図2図3は、捨て型枠2の一例を示す。
捨て型枠2は、複数の押出成形セメント板(堰板 ECP;Extruded cement panel)11と、押出成形セメント板11を結合する結合板12とにより構成される。
押出成形セメント板11は軽量で高い剛性をする。堰板にはALC材(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)なども適用できる。
【0016】
押出成形セメント板11は、図3に示すように、横方向に実(不図示)により結合され、平面視矩形状に枠組されて、布基礎3の内側に配置される。
図1に示すように、押出成形セメント板11の上部11Aは、布基礎3のベース部7の上面7Aよりも上方に突出している。
結合板12は山形鋼であり、該上部11Aの側面11Bにボルト13で結合される。結合板12は、図3に示すように、複数本の山形鋼材12a~12eを平面視環状に枠組して構成される。山形鋼材12a~12eは連結片14で連結される。
結合板12の結合は、一つの押出成形セメント板11に対し1本のボルト13で結合する。結合の施工性が向上する。なお一部破線Lで示すように、対向する押出成形セメント板11同士を一本のボルト13で結合してもよい。
【0017】
本構成では、結合板12は、押出成形セメント板11の上部11Aの側面11Bにボルト13で結合したため、少なくとも布基礎3のベース部7には入らない。
そのため、布基礎3の断面形状に影響を与えることがない。また、結合板12は、環状に枠組されるため、縦の支保工を用いた場合と比較し、横方向で補強でき、布基礎3のベース部7の断面形状に影響を与えることがない。
本実施の形態では、布基礎3の強度が確保される。
【0018】
図4A図4Cは、基礎・ 土間一体打ち構造1の施工手順を示す。
まず、図4Aに示すように、地盤上面レベルGL下に布基礎3を配置する根切り凹部8を掘削する。根切り凹部8に隣接して残る盛土4の縁に沿って捨て型枠2を配置する。捨て型枠2の下端部は、根切り凹部8に埋設する。
根切り凹部8にベース部7を打設する基礎型枠15を設置する。また、基礎型枠15と捨て型枠2との間に、プレキャストコンクリート6を配置する。
【0019】
つぎに、図4Bに示すように、盛土4の上に土間・コンクリート5を打設する。土間・コンクリート5は、布基礎3のプレキャストコンクリート6と捨て型枠2と基礎型枠15との間に打設し、布基礎3のベース部7をプレキャストコンクリート6と一体打設する。コンクリートの養生後に、図4Cに示すように、基礎型枠15を脱型し、成形された布基礎3の土間・コンクリート5とは反対側の空間に土を埋め戻す。
【0020】
本実施の形態では、盛土4に沿う捨て型枠2の複数の押出成形セメント板11同士を、結合板12により平面視環状に結合し、捨て型枠2の盛土4と反対側に布基礎3を配置し、プレキャストコンクリート6と、ベース部7と、布基礎3に隣接する土間・コンクリート5とを一体に打設する。そのため、土間の盛土4に転圧を掛ける場合、捨て型枠2が移動又は変形するのを抑制し、捨て型枠2が膨らむことがなく、布基礎3の断面形状に影響を与えることを抑制できる。
この場合、結合板12は、押出成形セメント板11の上部11Aの側面11Bに平面視環状に結合することが望ましい。
【0021】
図5A図5Cは、別の施工手順を示す。
この基礎・土間一体打ち構造1は、まず、図5Aに示すように、地盤上面レベルGL下に布基礎3を配置する根切り凹部8を掘削する。
根切り凹部8に隣接して残る盛土4の縁に沿って捨て型枠2を配置する。捨て型枠2の下端部は、根切り凹部8に埋設する。根切り凹部8に、基礎型枠15の他に布基礎3を打設する基礎型枠16、17を配置する。
捨て型枠2の形態は、上記実施形態と同じである。
【0022】
つぎに、図5Bに示すように、布基礎3の基礎型枠16、17内にコンクリートを打設すると共に、盛土4上にも土間・コンクリート5を打設する。コンクリートの養生後に、図5Cに示すように、基礎型枠15、16、17を脱型し、成形された布基礎3の土間・コンクリート5とは反対側の空間に土を埋め戻す。
本実施形態では、プレキャストコンクリート6を用いることなく、土間・コンクリート5と共に、ベース部7、起立部9を備える布基礎3を一体に打設できる。
【0023】
いずれの施工手順の場合も、結合板12は、押出成形セメント板11の上部11Aの側面11Bにボルト13で結合したため、布基礎3のベース部7に入らない。
そのため、布基礎3の断面形状に影響を与えることがない。
結合板12は、環状に枠組されるため、縦の支保工を用いた場合と比較し、横方向で補強でき、布基礎3のベース部7の断面形状に影響を与えることがない。
【0024】
図6A図6Cは、別実施の形態を示す。
捨て型枠2の押出成形セメント板11は、上記実施の形態と同様に、横方向に実(不図示)により結合され、平面視矩形状に枠組され、布基礎3の内側に配置される。
結合板12は押出成形セメント板11の側面11Bに配置される。
結合板12はフック状の係合部12Fを備え、係合部12Fを押出成形セメント板11の天端11Cに係合させて、結合板12と押出成形セメント板11とを結合する。
この実施の形態では、フック状の係合部12Fを押出成形セメント板11の天端11Cに引っ掛けて係合できるので、図2図3に示すようにボルト13で結合する場合に比べて、施工性が向上する。
【0025】
図7A図7Cは、さらに別実施の形態を示す。
結合板12は、押出成形セメント板11の天端11Cに配置される。
結合板12は、複数枚の平板状の部材12X~12Zからなり、これらを連結片14で連結し、平面視環状に枠組されて構成される。
いずれの実施の形態でも、捨て型枠2は、複数の押出成形セメント板11同士を平面視環状に強固に結合する結合板12を備えるため、盛土4に転圧を掛け、或いは、土間・コンクリート5を打設する場合、内部の盛土4が捨て型枠2により土留めされ、捨て型枠2には土圧によるはらみが生じない。
【0026】
本実施の形態では、捨て型枠2は、複数の押出成形セメント板11と、押出成形セメント板11同士を平面視環状に結合する結合板12と、を備えるため、盛土4の転圧に耐えかつ安価な材料で盛土4を土留めでき、施工性に優れる。
また、押出成形セメント板11の上部を平面視環状に結合するため、土間の盛土4に転圧を掛ける際に、捨て型枠2の移動又は変形が抑えられ、布基礎3の断面形状に影響のない、一体打ち構造1となる。
さらに、区画ごとに施工することにより、残土を場外に排出する必要がなく、施工が簡単で、施工コストを低減できる。
【0027】
本実施の形態では、基礎・土間一体打ち構造1は、プレキャストコンクリート6を用いて、布基礎3のベース部7と、盛土4の上面を覆う土間・コンクリート5と、を一体に打設するので、基礎・土間一体打ち構造1を安価に施工できる。
基礎・土間一体打ち構造1において、布基礎3のベース部7の一側面の型枠を、盛土4の土留に用いる捨て型枠2が兼ねるため、コンクリート打設後の布基礎3のベース部7の脱型が不要になる。また、布基礎3にプレキャストコンクリート6を用いた場合、その成形のための基礎型枠16、17が不要になり、脱型が不要となる。これにより、一体打ち構造1を、施工性よく、安価にかつ精度良く施工できる。
【符号の説明】
【0028】
1 基礎・土間一体打ち構造
2 捨て型枠
3 布基礎
4 盛土
5 土間・コンクリート
6 プレキャストコンクリート
7 ベース部
11 押出成形セメント板
11A 上部
11B 側面
11C 天端
12 結合板
12F 係合部
13 ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7