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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051065
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】雨樋システム及び接続部材
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/068 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
E04D13/068 501X
E04D13/068 501P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161518
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】村尾 健太
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 正哉
(57)【要約】
【課題】高い施工技能を必要とせず、少ない作業工程で容易に施工することができる雨樋システムを提供することを目的とする。
【解決手段】雨樋システム100は、複数の軒樋10と、軒樋10を長さ方向に接続する接続部材20と、を備え、軒樋10と接続部材20とは、摺動可能に接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の軒樋と、
前記軒樋を長さ方向に接続する接続部材と、
を備え、
前記軒樋と前記接続部材とは、摺動可能に接続されている、
雨樋システム。
【請求項2】
前記軒樋の長さが1.8m以下である、
請求項1に記載の雨樋システム。
【請求項3】
前記軒樋と前記接続部材との接続部には、前記接続部材の本体部と前記軒樋との隙間を閉塞するパッキンが設けられている、
請求項1又は2に記載の雨樋システム。
【請求項4】
内部に軒樋が配置されるU字状の本体部を備え、
前記本体部は前記軒樋を摺動可能に接続する、
接続部材。
【請求項5】
前記本体部における前記U字状の開口部の縁には前記軒樋を固定する把持部が設けられ、
前記本体部における前記U字状の内側面には、前記本体部と前記軒樋との隙間を閉塞するパッキンが設けられている、
請求項4に記載の接続部材。
【請求項6】
前記U字状の内側面に、前記軒樋の端部が挿入される隙間部を備え、
前記隙間部は、前記パッキンに前記軒樋を押し付けるように把持する、
請求項5に記載の接続部材。
【請求項7】
前記本体部における前記U字状の内底面の幅が、前記U字状の開口の幅よりも広い、
請求項4から6のいずれか1項に記載の接続部材。
【請求項8】
前記本体部に、建物に取り付けるための上打ち金具が設けられている、
請求項4から7のいずれか1項に記載の接続部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨樋システム及び接続部材に関する。
【背景技術】
【0002】
建物に排水部材として設けられる軒樋は、接続部材によって長手方向に接続される。このとき、建物周辺の気温変化によって軒樋が膨張あるいは収縮して、接続部材と軒樋との接続が外れることがある。
この対策として、例えば、略L字状に形成された曲り継手において軒樋の伸縮処理(軒樋と継手との接続部で軒樋の変形代を持たせる処理)をするとともに、支持具を取り付けることで、曲がり継手の変形を抑える構造が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-324254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建築部材には省施工性及び易施工性が求められる。しかしながら、従来の軒樋の接続においては高い施工技能が求められる旨の課題がある。例えば、上述の伸縮処理は、建物におけるじょうごの位置に合わせて軒樋の縁切りを行う際に高い施工技能が求められる。また、軒樋の接続部において伸縮処理を行わない箇所には接着が一般的に用いられているが、接着剤の塗布量の調整等において高い技能が求められる。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、高い施工技能を必要とせず、少ない作業工程で容易に施工することができる雨樋システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る雨樋システムは、複数の軒樋と、前記軒樋を長さ方向に接続する接続部材と、を備え、前記軒樋と前記接続部材とは、摺動可能に接続されている。
【0007】
この発明によれば、軒樋と接続部材とは、摺動可能に接続されている。これにより、軒樋が気温等により膨張あるいは収縮した場合でも、軒樋と接続部材とが摺動することでこの変形を吸収することができる。よって、軒樋の伸縮処理を不要とすることができる。更に、軒樋と接続部材とを摺動可能とするため、高度な技能を必要とする接着を不要とすることができる。
これらから、効率的な構造を備える雨樋システムを、より容易な作業によって構成することができる。
【0008】
また、前記軒樋の長さが1.8m以下であってもよい。
【0009】
この発明によれば、軒樋の長さが1.8m以下であることで、接続部材と軒樋との摺動による軒樋の変形の吸収代を担保することができる。
【0010】
また、前記軒樋と前記接続部材との接続部には、前記接続部材の本体部と前記軒樋との隙間を閉塞するパッキンが設けられていてもよい。
【0011】
この発明によれば、軒樋と接続部材との接続部にパッキンが設けられている。これにより、接続部における軒樋と接続部材との隙間をなくし、接続部から雨水が漏れることを防ぐことができる。また、パッキンの摩擦力によって、軒樋と接続部材との固定をより確実に行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る接続部材は、内部に軒樋が配置されるU字状の本体部を備え、前記本体部は前記軒樋を摺動可能に接続する。
【0013】
この発明によれば、内部に軒樋が配置されるU字状の本体部が、軒樋を摺動可能に接続する。これにより、軒樋と接続部材とが摺動することでこの変形を吸収することができる。
【0014】
また、前記本体部における前記U字状の開口部の縁には前記軒樋を固定する把持部が設けられ、前記本体部における前記U字状の内側面には、前記本体部と前記軒樋との隙間を閉塞するパッキンが設けられていてもよい。
【0015】
この発明によれば、U字状の開口部の縁には軒樋を固定する把持部が設けられている。これにより、接続部材に接続された軒樋は把持部によって把持される。よって、接続部材に軒樋を接続する際に、接着することなく軒樋を固定することができる。
また、本体部におけるU字状の内側面にはパッキンが設けられている。よって、本体部と軒樋との隙間はパッキンによって閉塞される。つまり、本体部と軒樋とを接着しないことで、軒樋と接続部材とを摺動可能にすると同時に、本体部と軒樋との隙間から漏水することを防ぐことができる。
【0016】
また、前記U字状の内側面に、前記軒樋の端部が挿入される隙間部を備え、前記隙間部は、前記パッキンに前記軒樋を押し付けるように把持してもよい。
【0017】
この発明によれば、U字状の内側面に、軒樋の端部が挿入される隙間部を備えている。軒樋の端部を隙間部に挿入することで、本体部に接続された軒樋が動くことを抑えることができる。更に、隙間部が、軒樋の外側面及び外底面を本体部の内側面及び内底面に設けられたパッキンに押し付けるように保持する。これにより、より接続部材と軒樋とを確実に固定することができる。
【0018】
また、前記本体部における前記U字状の内底面の幅が、前記U字状の開口の幅よりも広くてもよい。
【0019】
この発明によれば、本体部のU字状の内底面の幅が、U字状の開口の幅よりも広い。これにより、把持部によって軒樋を固定することに加えて、本体部の形状全体によって軒樋を把持することができる。よって、本体部におけるU字状の縁に設けられた把持部による固定に加えて、より確実に固定することができる。特に、軒樋に風等によってU字状の内底面の側から開口の側に向けて力が加わることで、軒樋が本体部のU字状の開口から外れることを防ぐことができる。
【0020】
また、前記本体部に、建物に取り付けるための上打ち金具が設けられていてもよい。
【0021】
この発明によれば、上打ち金具が本体部に設けられている。これにより、軒樋は、軒樋に別途固定部材を設けることなく施工することができる。すなわち、軒樋は、建物に上打ち金具によって取り付けられた接続部材に接続することのみによって施工することができる。よって、より軒樋の易施工性を向上することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高い施工技能を必要とせず、少ない作業工程で容易に施工することができる雨樋システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る雨樋システムが施工された建物を示す図である。
図2】本発明に係る雨樋システムの取付け状態を示す図である。
図3】本発明に係る接続部材と軒樋とを接続工程を示す模式図である。
図4】本発明に係る接続部材によって軒樋が接続された部位を示す正面図である。
図5】本発明に係る接続部材における把持部である。
図6】軒樋が接続部材の把持部によって把持された状態を示す断面図である。
図7図6に示す軒樋における縁部の変形例である。
図8】本発明に係る接続部材の全体図である。
図9】本発明に係る接続部材及び軒樋の断面形状の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る雨樋システム100を説明する。
雨樋システム100は、建物1の屋根4に降った雨水を運搬し、排水口等に移動させる役割を有する。図1に示すように、雨樋システム100は、建物1の屋根4付近(例えば、軒下)に水平方向に設けられる。雨樋システム100は、軒樋10と、接続部材20と、を備える。
【0025】
本実施形態に係る雨樋システム100は、図2に示すように、接続部材20が建物1に間隔をあけて複数設けられ、複数の軒樋10が接続部材20の位置に合わせて長手方向に複数接続されることで構成される。なお、以下において、各部材の方向を示す際に、建物1に取り付けられた状態における軒樋10及び接続部材20を基準として、長手方向、高さ方向、幅方向と呼称することがある。具体的には、軒樋10における雨水が流れる方向に沿う方向を長手方向、建物1の上下方向を高さ方向、前記長手方向及び高さ方向に対し直交する方向を幅方向とする。
【0026】
軒樋10は、雨水を水平方向に運搬する。軒樋10は、U字状の長尺の部材である。本実施形態における軒樋10は、図3に示すように、前記U字状の底部と側部との連結部に強度を担保するためのビード部10Bが設けられている。ビード部10Bは、前記U字状の底部と側部との連結部に適宜曲げ形状を設けることや、前記U字状の内側に部材を追加することによって形成される。また、前記U字状の開口側の縁、すなわち前記U字状の側部における底部と連結していない側の縁には、構造上の強度を担保し、且つ面取りの役割を有する縁部10Eが設けられている。縁部10Eは、軒樋10のU字状における側部を折り曲げるようにして形成される。
【0027】
軒樋10の長手方向の長さは、例えば、1800mm以下であることが好ましく、600mm以下であることがより好ましい。また、図3に示す軒樋10のU字状における高さ方向の寸法は150mm以下の物が好適に用いられる。また、U字状における幅方向の寸法は150mm以下の物が好適に用いられる。なお、軒樋10は、樹脂材を用いた射出成型による製法が好適に用いられる。
【0028】
接続部材20は、軒樋10を長手方向に接続する。このことで、接続部材20は、長手方向に接続された軒樋10によって雨水を長距離に渡って運搬可能とする役割を有する。接続部材20は、本体部21と、上打ち金具22と、を備える。
本体部21は、軒樋10の端部同士を接続する。本体部21はU字状の部材である。本体部21のU字状における内側面及び内底面は、図3に示すように、軒樋10の外側面及び外底面に対応した形状を備えている。このような形状を備えた本体部21の長手方向における両端部に、軒樋10を長手方向から挿入する。これにより、本体部21によって2つの軒樋10を接続する。
上述の形状に加えて、本体部21は、取付部21aと、把持部21bと、パッキン21cと、を備える。また、本体部21は、パッキン21cを除いて樹脂材を用いた射出成型による製法が好適に用いられる。
【0029】
取付部21aは、本体部21を上打ち金具22に取り付ける部位である。取付部21aは、本体部21の長手方向に直交する方向に設けられる。また、取付部21aの両端部は、本体部21のU字状における内側の両側面に連結している。なお、図3に示すように、本体部21と上打ち金具22との取り付けは、例えば、間隔をあけて複数設けられたボルトBによる固定が好適に用いられる。つまり、上打ち金具22と取付部21aとを取り付ける際に互いに接する部位には、同じ間隔でボルト穴Bhが設けられていることが好ましい。このような形状とすることで、取付部21aと上打ち金具22とを取り付ける際における取り付け位置を調整することができる。すなわち、ボルト穴Bh同士の位置を適宜ずらして取り付けることで、上打ち金具22と取付部21aとの取り付け位置を調整可能とすることができる。
図3に示すように、取付部21aは本体部21に一体に成形されていることが好ましいが、建物1への施工時に一体となっていれば、別体で成形されたものを適宜組み付ける構造であってもよい。
【0030】
把持部21bは、本体部21に接続された軒樋10を固定する。図5及び図6に示すように、把持部21bはU字状の形状であり、前記U字状における内側の両側面が、軒樋10における縁部10Eの高さ方向の両面に接するように設けられている。このような形状を備える把持部21bは、図2に示すように、本体部21の長手方向の両端部において、本体部21におけるU字状の両側面における開口側の縁に設けられている。把持部21bは、本体部21に軒樋10が挿入されたときに弾性変形し、反力によって軒樋10の縁部10Eを押さえつけるように把持する。これにより、把持部21bは、本体部21と軒樋10とを固定する。
【0031】
また、図4に示すように、本体部21は、軒樋10の端部同士を長手方向に接続する。このとき、本体部21に対する軒樋10の挿入代は、本体部21における軒樋10の挿入可能量よりも5mm程度短くすることが好ましい。ここで、挿入可能量とは、本体部21に対して軒樋10を挿入することができる最大量をいう。挿入可能量は、例えば、本体部21の内側面あるいは内底面に、不図示の突起等を設けることで決定されることが好ましい。つまり、軒樋10を本体部21に挿入した時、前記突起に突き当たることで挿入可能量が規制されることが好ましい。
【0032】
これにより、例えば、建物1において気温上昇に伴い軒樋10が膨張する等した場合に、その変形量を本体部21によって吸収可能とする。また、本実施形態において、本体部21に接続された軒樋10は把持部21bによる反力によって固定され、接着による固定を用いない。これにより、軒樋10と接続部材20とは、摺動可能に接続されている。
【0033】
パッキン21cは、図3に示すように、本体部21におけるU字状の両側の内側面及び内底面において、長手方向に直交する方向に渡って連続的に設けられている。より具体的には、パッキン21cは、U字状の一方の内側面における上側の縁から、内底面を介して他方の内側面における上側の縁まで、一直線上に連続して伸びている。また、図3に示すように、本体部21の長手方向において、パッキン21cは、本体部21の両端部に設けられた把持部21bよりも中央側に位置している。
【0034】
本体部21に軒樋10を挿入した時、軒樋10の外側面及び外底面は、本体部21の内側面及び内底面にそれぞれ接する。パッキン21cは、この時に生じる本体部21と軒樋10との間の隙間をなくすために設けられる。このことで、雨樋システム100において本体部21と軒樋10との間から漏水することを防ぐとともに、パッキン21cと軒樋10との間に生じる摩擦によって、より確実に本体部21と軒樋10とを固定する役割を有する。パッキン21cには、例えば、ゴムが好適に用いられる。
【0035】
上述のように構成される本体部21は、特に把持部21b及びパッキン21cによって軒樋10を支持する。これに加えて、以下のような構成とすることで、より本体部21と軒樋10との固定を確実にしてもよい。
例えば、図7に示すように、軒樋10の縁部10Eを、図6のように環状に折り曲げず、外側に折り曲げて形成してもよい。この形状によって、把持部21bのU字状における、上側の側面を、縁部10Eによって挟み込む構成としてもよい。このような形状とすることで、軒樋10の縁部10Eと、本体部21の把持部21bとが、互いに噛み合うような形状として、本体部21と軒樋10との固定をより確実にしてもよい。
【0036】
又は、本体部21と軒樋10とが施工後に脱落しないこと、及び本体部21と軒樋10とが接着されておらず、上述の理由による軒樋10の変形量を本体部21と軒樋10との接続部により吸収可能であることが確保できれば、本体部21に把持部21bあるいはパッキン21cの一方、あるいは両方が設けられていなくてもよい。
【0037】
また、図8に示すように、本体部21のU字状における内側面及び内底面において、軒樋10の端部が挿入される隙間部21dを備えていてもよい。隙間部21dは、本体部21のU字状における内側面及び内底面が、前記U字状の更に内側に移動したように設けられた部位(以下、爪部21e)によって形成された空間である。爪部21eは、本体部21におけるU字状の内側面から内底面にかけて連続的に設けられた平面状の部位である。爪部21eは、本体部21におけるU字状の一方の内側面側と、他方の内側面側とに、それぞれ1箇所ずつ設けられている。爪部21eは、本体部21の長手方向の中央から両端部側に向かって延びている。爪部21eは、本体部21の長手方向の中央部において、本体部21のU字状の内側面及び内底面に連結されている。隙間部21dは、本体部21の内側面及び内底面と、爪部21eにおける本体部21に連結されていない部位との間に設けられた隙間である。この隙間部21dに軒樋10を挿入することで、挿入後に建物1が振動したり、雨樋システム100が風を受けたりした場合に、本体部21と軒樋10とがずれることを防ぐことで、本体部21と軒樋10との固定をより確実にしてもよい。
【0038】
また、図9に示すように、本体部21及び軒樋10のU字状について、内底面の幅が、U字状の開口の幅よりも広くなるように形成してもよい。これにより、把持部21bによる固定に加えて、本体部全体によって軒樋10を把持するようにすることで、本体部21と軒樋10との固定をより確実にしてもよい。
【0039】
上打ち金具22は、本体部21を建物1に保持する。上打ち金具22は、固定部22aと、施工部22bと、中間部22cと、を備える。
固定部22aは、本体部21の取付部21aと接する部位である。固定部22aは、図3に示すように、固定部22aはU字状の形状を備える。また、固定部22aのU字状の側面には、取付部21aとのボルト固定に対応するための穴が、間隔をあけて複数設けられている。
【0040】
施工部22bは、上打ち金具22における、建物1に取り付ける部位である。上打ち金具22の施工部22bを建物1へ取り付ける際は、図2に示すように、建物1の屋根4における垂木2の上や、あるいは野地板3の上であることが好ましい。
中間部22cは、固定部22aと施工部22bとの間に位置する部位である。つまり、固定部22aと施工部22bとは、この中間部22cによって連結される。上打ち金具22を建物1に取り付けた際は、この中間部22cが地面に対して鉛直になるようにすることが好ましい。つまり、中間部22cと施工部22bとの間における角度は、施工部22bを建物1に取り付ける部位(垂木2又は野地板3)と平行にした時、中間部22cが地面に対して鉛直になる角度とすることが好ましい。
【0041】
また、固定部22aは、上打ち金具22を建物1に取り付けた状態において、取付部21aが地面に平行となるように、取付部21aを把持できることが好ましい。
上打ち金具22は、例えば、上述の構成を金属部材のプレス加工による成形が好適に用いられる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る雨樋システム100によれば、軒樋10と接続部材20とは、摺動可能に接続されている。これにより、軒樋10が気温等により膨張あるいは収縮した場合でも、軒樋10と接続部材20とが摺動することでこの変形を吸収することができる。よって、軒樋10の伸縮処理を不要とすることができる。更に、軒樋10と接続部材20とを摺動可能とするため、高度な技能を必要とする接着を不要とすることができる。
これらから、効率的な構造を備える雨樋システム100を、より容易な作業によって構成することができる。
【0043】
また、軒樋10の長さが1.8m以下であることで、接続部材20と軒樋10との摺動による軒樋10の変形の吸収代を担保することができる。
【0044】
また、軒樋10と接続部材20との接続部にパッキン21cが設けられている。これにより、接続部における軒樋10と接続部材20との隙間をなくし、接続部から雨水が漏れることを防ぐことができる。また、パッキン21cの摩擦力によって、軒樋10と接続部材20との固定をより確実に行うことができる。
【0045】
また、内部に軒樋10が配置されるU字状の本体部21が、軒樋10を摺動可能に接続する。これにより、軒樋10と接続部材20とが摺動することでこの変形を吸収することができる。
【0046】
また、U字状の開口部の縁には軒樋10を固定する把持部21bが設けられている。これにより、接続部材20に接続された軒樋10は把持部21bによって把持される。よって、接続部材20に軒樋10を接続する際に、接着することなく軒樋10を固定することができる。
また、本体部21におけるU字状の内側面にはパッキン21cが設けられている。よって、本体部21と軒樋10との隙間はパッキン21cによって閉塞される。つまり、本体部21と軒樋10とを接着しないことで、軒樋10と接続部材20とを摺動可能にすると同時に、本体部21と軒樋10との隙間から漏水することを防ぐことができる。
【0047】
また、U字状の内側面に、軒樋10の端部が挿入される隙間部21dを備えている。軒樋10の端部を隙間部21dに挿入することで、本体部21に接続された軒樋10が動くことを抑えることができる。更に、隙間部21dが、軒樋10の外側面及び外底面を本体部21の内側面及び内底面に設けられたパッキン21cに押し付けるように保持する。これにより、より接続部材20と軒樋10とを確実に固定することができる。
【0048】
また、本体部21のU字状の内底面の幅が、U字状の開口の幅よりも広い。これにより、把持部21bによって軒樋10を固定することに加えて、本体部21の形状全体によって軒樋10を把持することができる。よって、本体部21におけるU字状の縁に設けられた把持部21bによる固定に加えて、より確実に固定することができる。特に、軒樋10に風等によってU字状の内底面の側から開口の側に向けて力が加わることで、軒樋10が本体部21のU字状の開口から外れることを防ぐことができる。
【0049】
また、上打ち金具22が本体部21に設けられている。これにより、軒樋10は、軒樋10に別途固定部材を設けることなく施工することができる。すなわち、軒樋10は、建物1に上打ち金具22によって取り付けられた接続部材20に接続することのみによって施工することができる。よって、より軒樋10の易施工性を向上することができる。
【0050】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、隙間部21dと軒樋10との隙間に、パッキン21cが更に設けられていてもよい。
また、本体部21の形状のみによって接続部材20と軒樋10とを固定することができれば、把持部21bは設けられていなくてもよい。
【0051】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 建物
10 軒樋
20 接続部材
21 本体部
21b 把持部
21c パッキン
21d 隙間部
22 金具
100 雨樋システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9