(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051105
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】蓄電素子ユニット、蓄電素子ユニットの設置方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/298 20210101AFI20230404BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20230404BHJP
【FI】
H01M50/298
H01M50/244 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161579
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217836
【弁理士】
【氏名又は名称】合田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 康宏
(72)【発明者】
【氏名】竹井 英俊
(72)【発明者】
【氏名】仲村 命
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 尭彦
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA01
5H040AS01
5H040AT04
5H040AY08
5H040AY14
5H040CC14
5H040CC20
5H040CC35
5H040DD07
5H040DD09
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】省スペースで蓄電素子ユニットを設置する。
【解決手段】蓄電素子ユニット10は、設置位置5に設置される。蓄電素子ユニットの設置方法は、複数の貫通孔21cが設けられた底部21と、第1方向d1の一側s1に開口した開口部23aと、を有する筐体20を、底部21が設置位置5に接するように配置する配置工程と、木ねじ30を第1方向d1の一側s1から貫通孔21cの少なくとも一部を介して設置位置5にねじ留めするねじ留め工程と、蓄電素子モジュール40及び蓄電素子モジュール40を制御する制御モジュール50を第1方向d1の一側s1から開口部23aを介して筐体20に収容する収容工程と、第1方向d1の一側s1からの開口部23aを介した作業によって、蓄電素子モジュール40の配線を制御モジュール50の接続部に接続する接続工程と、を備える。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子ユニットを設置位置に設置する方法であって、
複数の貫通孔が設けられた底部と、第1方向の一側に開口した開口部と、を有する筐体を、前記底部が前記設置位置に接するように配置する配置工程と、
木ねじを前記第1方向の一側から前記貫通孔の少なくとも一部を介して前記設置位置にねじ留めするねじ留め工程と、
蓄電素子モジュール及び前記蓄電素子モジュールを制御する制御モジュールを前記開口部を介して前記筐体に収容する収容工程と、
前記開口部を介した作業によって、前記蓄電素子モジュールの配線を前記制御モジュールの接続部に接続する接続工程と、を備える、蓄電素子ユニットの設置方法。
【請求項2】
前記第1方向は、鉛直方向であり、
前記第1方向の一側は、鉛直方向の上側である、請求項1に記載の蓄電素子ユニットの設置方法。
【請求項3】
前記設置位置は、建物の床面である、請求項1または2に記載の蓄電素子ユニットの設置方法。
【請求項4】
前記蓄電素子モジュールは、前記木ねじを前記第1方向の一側から覆うように、前記筐体に収容される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蓄電素子ユニットの設置方法。
【請求項5】
前記ねじ留め工程において、少なくとも12本の前記木ねじを前記第1方向の一側から前記貫通孔の少なくとも一部を介して前記設置位置にねじ留めする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蓄電素子ユニットの設置方法。
【請求項6】
複数の貫通孔が設けられた底部と、第1方向の一側に開口した開口部と、を有する筐体と、
前記筐体に収容される蓄電素子モジュール及び制御モジュールと、
前記貫通孔に配置された木ねじと、を備え、
前記第1方向に非平行な第2方向及び第3方向における前記筐体の内寸は、前記蓄電素子モジュールの外寸及び前記制御モジュールの外寸より大きい、蓄電素子ユニット。
【請求項7】
前記蓄電素子モジュールは、前記木ねじを前記第1方向の一側から覆う、請求項6に記載の蓄電素子ユニット。
【請求項8】
少なくとも12本の前記木ねじを備える、請求項6または7に記載の蓄電素子ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電素子ユニット及び蓄電素子ユニットの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、複数の蓄電素子モジュールを有した蓄電素子ユニットが知られている。蓄電素子ユニットは、複数の蓄電素子モジュールとともに、該蓄電素子モジュールを収容する筐体を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電素子ユニットは、電力を利用する位置の周辺に設置される。特許文献1に記載されているような蓄電素子ユニットを設置する際には、例えば
図13に示すように、蓄電素子ユニットを設置位置に固定する固定具が使用される。固定具は、例えばL字型のフランジであり、蓄電素子ユニットの外部を、蓄電素子ユニットが設置される位置の近傍に固定する。このように、蓄電素子ユニットを設置する際に、設置位置の近傍のスペースを利用することになる。蓄電素子ユニットの設置のために、蓄電素子ユニットの大きさより広いスペースを確保する必要がある。本開示は、蓄電素子ユニットを省スペースで設置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の蓄電素子ユニットの設置方法は、蓄電素子ユニットを設置位置に設置する方法であって、
複数の貫通孔が設けられた底部と、第1方向の一側に開口した開口部と、を有する筐体を、前記底部が前記設置位置に接するように配置する配置工程と、
木ねじを前記第1方向の一側から前記貫通孔の少なくとも一部を介して前記設置位置にねじ留めするねじ留め工程と、
蓄電素子モジュール及び前記蓄電素子モジュールを制御する制御モジュールを前記開口部を介して前記筐体に収容する収容工程と、
前記開口部を介した作業によって、前記蓄電素子モジュールの配線を前記制御モジュールの接続部に接続する接続工程と、を備える。
【0006】
本開示の蓄電素子ユニットの設置方法において、
前記第1方向は、鉛直方向であり、
前記第1方向の一側は、鉛直方向の上側であってもよい。
【0007】
本開示の蓄電素子ユニットの設置方法において、前記設置位置は、建物の床面であってもよい。
【0008】
本開示の蓄電素子ユニットの設置方法において、前記蓄電素子モジュールは、前記木ねじを前記第1方向の一側から覆うように、前記筐体に収容されてもよい。
【0009】
本開示の蓄電素子ユニットの設置方法において、前記ねじ留め工程において、少なくとも12本の前記木ねじを前記第1方向の一側から前記貫通孔の少なくとも一部を介して前記設置位置にねじ留めしてもよい。
【0010】
本開示の蓄電素子ユニットは、
複数の貫通孔が設けられた底部と、第1方向の一側に開口した開口部と、を有する筐体と、
前記筐体に収容される蓄電素子モジュール及び制御モジュールと、
前記貫通孔に配置された木ねじと、を備え、
前記第1方向に非平行な第2方向及び第3方向における前記筐体の内寸は、前記蓄電素子モジュールの外寸及び前記制御モジュールの外寸より大きい。
【0011】
本開示の蓄電素子ユニットにおいて、前記蓄電素子モジュールは、前記木ねじを前記第1方向の一側から覆ってもよい。
【0012】
本開示の蓄電素子ユニットは、少なくとも12本の前記木ねじを備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、省スペースで蓄電素子ユニットを設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、設置位置に設置された蓄電素子ユニットを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の蓄電素子ユニットの内部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の蓄電素子ユニットの底部を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3のA-A線に沿った底部の断面の一部を拡大して示す部分断面図である。
【
図5】
図5は、底部及び木ねじの断面の一部を拡大して示す部分断面図である。
【
図6】
図6は、底部及び木ねじを示す平面図である。
【
図7】
図7は、
図1の蓄電素子ユニットの筐体に収容される蓄電素子モジュール組立体及び蓄電素子モジュールを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7の蓄電素子モジュール組立体に含まれる蓄電素子モジュールを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8の蓄電素子モジュールに含まれる積層された複数のセルを示す斜視図である。
【
図11】
図11は、
図1の蓄電素子ユニットの筐体に収容される制御モジュールを示す斜視図である。
【
図13】
図13は、設置位置に設置された従来の蓄電素子ユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。本件明細書に添付された図面における縮尺及び縦横の寸法比等は、図示と理解のしやすさのため、実物のそれらから変更され誇張されていることがある。
【0016】
図1は、本実施の形態の蓄電素子ユニットの斜視図である。蓄電素子ユニット10は、充放電が可能な二次電池ユニットとして用いられる。図示された蓄電素子ユニット10は、設置位置5に設置される。設置位置5は、例えば、住宅や施設等の建物の床面である。この場合、蓄電素子ユニット10は、建物の配線と電気的に接続されて、建物内に設置された電気装置の電源として機能する。
【0017】
図2には、蓄電素子ユニット10の内部が示されている。
図1及び
図2に示されるように、蓄電素子ユニット10は、筐体20と、筐体20に収容される複数の蓄電素子モジュール40及び制御モジュール50と、を有している。蓄電素子ユニット10は、設置位置5に蓄電素子ユニット10を設置した際に設置位置5に筐体20を固定するための、後述する複数の木ねじ30をさらに有している。
【0018】
筐体20について説明する。筐体20は、蓄電素子ユニット10の外装体である。筐体20は、略直方体の形状を有している。筐体20は、底部21と、側壁部22と、蓋部23と、開口部23aと、を有している。
図2に示す例において、筐体20は、隣接する底部21、側壁部22及び蓋部23を接続するフレーム部25をさらに有している。
【0019】
以下、筐体20の高さ方向を第1方向d1、第1方向d1から見た平面視での筐体20の短手方向を第2方向d2、長手方向を第3方向d3と称する。ここで、第1方向d1、第2方向d2および第3方向d3は、互いに直交している。本実施の形態では、第1方向d1は、鉛直方向である。第1方向d1の一側s1が鉛直方向の上側であり、第1方向d1の他側s2が鉛直方向の下側である。
【0020】
底部21は、第1方向d1の他側s2に位置している。図示されている例では、側壁部22は、底部21から第1方向d1における一側s1へ立ち上がった4つの側壁部からなる。底部21、側壁部22及び蓋部23は、それぞれ略矩形の板状部材である。
図1に示す例において、4つの側壁部22は、それぞれ、その縁部において、底部21の縁部の一部及び蓋部23の縁部の一部と接続している。隣り合う側壁部22は、互いに縁部の一部において接続している。底部21、側壁部22及び蓋部23はそれぞれの縁部において、直接、又はフレーム部25を介して、隣り合う底部21、側壁部22及び蓋部23の縁部と接続している。底部21、側壁部22及び蓋部23は、蓄電素子モジュール40及び制御モジュール50を収容する収容空間を形成する。4つの側壁部22は、底部21及び蓋部23に対して垂直となっている。底部21及び側壁部22は、それぞれ独立した部材であってもよいし、一体となっていてもよい。
【0021】
4つの側壁部22によって、開口部23aが形成されている。開口部23aは、第1方向d1の一側s1に位置している。蓄電素子ユニット10を取り扱う作業者は、開口部23aを介して、筐体20内で作業できる。
【0022】
蓋部23は、第1方向d1の一側s1に位置している。蓋部23は、第1方向d1において底部21と対向する。蓋部23は、開口部23aを閉鎖する。特に、蓋部23は、筐体20から取り外し可能となっている。
【0023】
底部21は、第1方向d1における他側s2から蓄電素子モジュール40を支持する。より具体的には、底部21は、複数の蓄電素子モジュール40のうち最も第1方向d1における他側s2に配置された蓄電素子モジュール40の底面と接触して、蓄電素子モジュール40を支持する。
【0024】
図3は、底部21を、第1方向d1の一側s1から見た斜視図である。本実施の形態において、底部21、側壁部22及び蓋部23の各々は、
図3に示す底部21のように、樹脂板26と、金属板27と、を有する。金属板27は、樹脂板26よりも筐体20の内側に積層されている。樹脂板26及び金属板27は、それぞれ略板状の形状を有する。
【0025】
底部21の樹脂板26は、平板状の樹脂板本体部26aと、樹脂板本体部26aの周囲に設けられて樹脂板本体部26aに対して角度をなす樹脂板辺縁部26bと、を有する。
図3に示す例において、樹脂板本体部26aと樹脂板辺縁部26bとは、互いに直交している。
【0026】
底部21の金属板27は、平板状の金属板本体部27aと、金属板本体部27aの周囲に設けられて金属板本体部27aに対して角度をなす金属板辺縁部27bと、を有する。
図3に示す例において、金属板本体部27aと金属板辺縁部27bとは、互いに直交している。
【0027】
また、
図3に示す例において、底部21の金属板27は、金属板本体部27aから起立した起立部27eを含むとともに樹脂板26と接続される部分を含む、連結部27dを有している。
図3に示す例において、起立部27eは、第2方向d2に延伸している。複数の連結部27dの起立部27eは、第3方向d3において互いに対向する。
図3に示す例において、底部21の金属板27は、4つの連結部27dを有している。
【0028】
図3に示す例において、連結部27dは、起立部27eのうち金属板本体部27aが位置する側とは反対側の端部に接続し、樹脂板本体部26aに平行な平板状の接続部27fをさらに有する。連結部27dのうち接続部27fが、樹脂板26のうち樹脂板本体部26aと接続される部分となっている。一例として、樹脂板本体部26aはねじ留めのためのねじ留め貫通孔を有し、接続部27fはねじ穴を有する。この場合、ねじを、樹脂板本体部26aのねじ留め貫通孔を通して接続部27fのねじ穴にねじ留めすることで、樹脂板26と金属板27とを互いに対して固定できる。
【0029】
図3に示す例において、金属板本体部27a、金属板辺縁部27b及び連結部27dは、一体として形成されている。より具体的には、一枚の平板状の金属材料が折り曲げられることで、金属板本体部27a、金属板辺縁部27b及び連結部27dを有する金属板27が形成されている。
【0030】
底部21には、複数の貫通孔21cが設けられる。貫通孔21cは、後述する木ねじ30を貫通させて、蓄電素子ユニット10を設置位置5に設置するための孔である。
【0031】
図4は、
図3のA-A線に沿った底部21の断面の一部を拡大して示す部分断面図である。
図4においては、貫通孔21cを貫通する木ねじ30は省略されている。
図3及び
図4に示す例において、樹脂板本体部26aと金属板本体部27aとは、互いの間に起立部27eが介在しているために、第1方向d1において離れている。樹脂板本体部26aには、樹脂板本体部26aを貫通する樹脂板貫通孔26cが設けられている。金属板本体部27aの第1方向d1において樹脂板貫通孔26cと重なる部分には、金属板本体部27aを貫通する金属板貫通孔27cが設けられている。樹脂板貫通孔26cと金属板貫通孔27cとによって、底部21の第1方向d1に底部21を貫通する貫通孔21cが形成される。樹脂板貫通孔26c及び金属板貫通孔27cは、いずれも、底部21の第1方向d1からの観察において、円形の輪郭を有する。金属板貫通孔27cの幅w2は、樹脂板貫通孔26cの幅w1よりも大きくなっている。
【0032】
底部21に設けられる貫通孔21cの数は、蓄電素子ユニット10を設置する際に使用することが想定される木ねじ30の本数に応じて適宜選択されることが好ましい。貫通孔21cの数は、12個以上であることが好ましい。
図3に示す例において、底部21には、16個の貫通孔21cが設けられている。
【0033】
複数の貫通孔21cは、底部21の辺に沿って並んでいる。
図3に示す例において、複数の貫通孔21cは、底部21の周縁に沿って設けられている。一例として、複数の貫通孔21cの各々は、側壁部22から1cm以上離れている。
【0034】
フレーム部25は、隣り合う底部21、側壁部22又は蓋部23同士を接続する。
図2に示す例において、フレーム部25は、略直方体の形状を有する筐体20の辺を構成している。フレーム部25は、長手方向の断面がL字形状となっている。フレーム部25は、例えば金属板27の材料と同様の材料から構成される。
【0035】
図2に示すように、フレーム部25は、蓋部23と4つの側壁部22のそれぞれとを接続するとともに、4つの側壁部22のうち隣り合うもの同士を接続する。
図2に示す例において、フレーム部25は、蓋部23と4つの側壁部22との間に延びる長方形の枠状の第1フレーム部25aと、4つの側壁部22のうち隣り合うもの同士の間にそれぞれ延びる、4つの棒状の第2フレーム部25bとを有する。第1フレーム部25aと、4つの第2フレーム部25bのそれぞれとは、蓋部23の角の位置において互いに対して固定されている。
【0036】
図2に示す例においては、底部21と4つの側壁部22のそれぞれとの間には、フレーム部25は設けられていない。
図2に示す例においては、底部21の金属板27が金属板辺縁部27bを有し、底部21と4つの側壁部22とは、底部21の金属板27の金属板辺縁部27bを利用して、互いに対して固定されている。すなわち、4つの側壁部22のそれぞれは、底部21の金属板27の金属板辺縁部27bに固定されている。
【0037】
図1に示す例において、筐体20は、1つの側壁部22を覆う化粧パネル29をさらに有している。化粧パネル29は、当該1つの側壁部22及び当該1つの側壁部22上に設けられた構成要素を保護する部材である。
図1に示す例において、化粧パネル29は、略板状の形状を有する。化粧パネル29は、例えば樹脂板26の材料と同様の樹脂材料から構成される。
【0038】
木ねじ30について説明する。「木ねじ」とは、ねじ留めしようとする木材などの部材に雌ねじが設けられていなくても、当該部材に先端を接触させて回転させることなどにより、当該部材に入り込んでねじ留めされるねじを指す。
【0039】
図5は、
図3のA-A線に沿った底部21の断面の一部を、木ねじ30の断面とともに示す図である。
図5に示す例では、蓄電素子ユニット10は、木ねじ30によって設置位置5に設置されている。
【0040】
図5に示すように、木ねじ30は、頭部31と、頭部31から延び出す軸部32とを有する。図示は省略するが、頭部31には、ドライバーと係合可能な十字型や一字型の凹部が設けられており、軸部32の少なくとも一部には、らせん状のねじ山が設けられている。
【0041】
図5に示すように、木ねじ30は、底部21に設けられた貫通孔21cを貫通して、設置位置5である建物の床にねじ留めされる。
図5に示す例において、木ねじ30の軸線L1の延伸する方向に垂直な木ねじ30の径方向DDにおける軸部32の幅w3は、金属板貫通孔27cの幅w2以下となっている。また、木ねじ30の径方向DDにおける頭部31の幅w4は、金属板貫通孔27cの幅w2よりも大きく且つ樹脂板貫通孔26cの幅w1以下となっている。これにより、軸部32は樹脂板貫通孔26cを貫通して床にねじ留めされ、頭部31は第1方向d1において樹脂板本体部26aと金属板本体部27aとの間に収容される。
【0042】
蓄電素子ユニット10が有する木ねじ30の数は、想定される蓄電素子ユニット10の振動などに応じて、適宜選択できる。想定される蓄電素子ユニット10の振動とは、例えば、蓄電素子ユニット10が設置される床を有する建物の特徴や、当該建物内での蓄電素子ユニット10が設置される床の位置などに応じて想定される蓄電素子ユニット10の振動のうち、最大の振動である。想定される蓄電素子ユニット10の振動とは、例えば、地震が起こった際に、地震によって揺らされて生じると想定される蓄電素子ユニット10の振動のうち、最大の振動である。一例として、蓄電素子ユニット10は、同じ建物に設置される場合であっても、より高層階の床に設置される場合には、低層階の床に設置される場合よりも、地震によって、より大きく振動すると想定され得る。
【0043】
木ねじ30は貫通孔21cに配置されるため、木ねじ30の数は、貫通孔21cの個数以下である。貫通孔21cの個数は、想定される蓄電素子ユニット10の振動などを考慮した設けられるべき木ねじ30の数以上である。
【0044】
一例として、想定される蓄電素子ユニット10の振動が1530Gal以下の場合に、蓄電素子ユニット10は木ねじ30を12本以上有することが好ましい。想定される蓄電素子ユニット10の振動が1530Galより大きく2600Gal以下の場合に、蓄電素子ユニット10は木ねじ30を16本以上有することが好ましい。想定される蓄電素子ユニット10の振動が2600Galより大きく3931Gal以下の場合に、蓄電素子ユニット10は木ねじ30を21本以上有することが好ましい。想定される蓄電素子ユニット10の振動に応じて蓄電素子ユニット10が上記の数の木ねじ30を有することによって、蓄電素子ユニット10を、想定される振動に対して十分な耐性を有するように設置できる。
【0045】
ここで、蓄電素子ユニット10が振動に対して「耐性を有する」とは、例えば、蓄電素子ユニット10が振動した場合であっても、蓄電素子ユニット10が転倒しないことを意味する。「耐性を有する」とは、蓄電素子ユニット10が振動した場合であっても、蓄電素子ユニット10が転倒せず、且つ蓄電素子ユニット10として通常の動作が可能であることを意味してもよい。「耐性を有する」とは、蓄電素子ユニット10が振動した場合であっても、蓄電素子ユニット10が転倒せず、蓄電素子ユニット10として通常の動作が可能であり、且つ蓄電素子ユニット10の外観が損なわれることもないことを意味してもよい。「耐性を有する」とは、蓄電素子ユニット10が振動した場合に、内部部品の破壊も生じないことを意味してもよい。「Gal」は加速度の単位であり、例えば1Galの振動とは、振動加速度が1cm/s2の振動を意味する。
【0046】
蓄電素子ユニット10が16本の木ねじ30を有する例について説明する。
図6は、筐体20の底部21及び木ねじ30を、第1方向d1における一側s1から見た様子を示す平面図である。上述のように、底部21には、16個の貫通孔21cが設けられている。木ねじ30の本数と貫通孔21cの個数とは、同一である。木ねじ30は、全ての貫通孔21cの各々を上方から貫通して床にねじ留めされる。
【0047】
複数の木ねじ30が、底部21に設けられた複数の貫通孔21cの各々を上方から貫通して床にねじ留めされることによって、床に蓄電素子ユニット10を強固に固定できる。これによって、蓄電素子ユニット10を、振動に対して十分な耐性を有するように設置できる。特に、蓄電素子ユニット10を、地震による振動に対して十分な耐性を有するように設置できる。
【0048】
蓄電素子モジュール40について説明する。
図7は、複数の蓄電素子モジュール40を、筐体20に収容された状態にて示す図である。
図7に示すように、蓄電素子ユニット10は、複数の蓄電素子モジュール組合体41を有している。図示されている例では、蓄電素子ユニット10は、2つの蓄電素子モジュール組合体41を有している。蓄電素子モジュール組合体41は、第1方向d1に積み重ねられた複数の蓄電素子モジュール40を有している。2つの蓄電素子モジュール組合体41は、第1方向d1と非平行な第2方向d2に並べて配列されている。
【0049】
図示された例において、第1の蓄電素子モジュール組合体41Aは、第1方向d1に積み重ねられた4つの蓄電素子モジュール40を有する。第2の蓄電素子モジュール組合体41Bは、第1方向d1に積み重ねられた3つの蓄電素子モジュール40を有する。第2の蓄電素子モジュール組合体41Bは、第1の蓄電素子モジュール組合体41Aに第2方向d2に隣接している。
図2に示すように、第1の蓄電素子モジュール組合体41Aは、第1方向d1における他側s1から制御モジュール50を支持している。
【0050】
図8は、蓄電素子モジュール組合体41に含まれる1つの蓄電素子モジュール40を示している。蓄電素子ユニット10に含まれる複数の蓄電素子モジュール40は、互いに異なる構成を有していてもよいし、互いに同一の構成を有していてもよい。汎用性を向上させる観点から、複数の蓄電素子モジュール40は、互いに同一の構成を有することが好ましく、少なくとも互いに同一の部品を含むことが好ましい。図示された例において、複数の蓄電素子モジュール40は、互いに同一の構成を有している。
【0051】
蓄電素子モジュール40は、複数のセル42と、複数のセル42を収容するケース44と、を有する。セル42は、蓄電素子として取り扱われる最小単位である。セル42は、種々の型式を採用することができ、例えばリチウムイオン二次電池とすることができる。
図9は、1つの蓄電素子モジュール40に含まれる複数のセル42を示しており、
図10は、1つのセル42を示している。1つの蓄電素子モジュール40に含まれる複数のセル42は、互いに同一の構成を有していてもよいし、或いは、互いに異なる構成を有していてもよい。
【0052】
図9及び
図10に示すように、セル42は、偏平形状を有している。セル42は、第1方向d1からの観察において、略矩形形状を有している。セル42は、第2方向d2に短手方向を有し、第3方向d3に長手方向を有している。複数のセル42は、第1方向d1に積層されている。セル42は、中央に位置する中央部42Cと、中央部42Cを取り囲む周縁部42Eと、を有している。中央部42Cの厚みは、周縁部42Eの厚みよりも厚くなっている。図示された例において、セル42は、中央部42Cにおいて、第1方向d1におけるいずれか一方の側に向けて膨出している。複数のセル42は、中央部42Cが少なくとも部分的に互いに第1方向d1に対面するよう、積層されている。
図10に示されたセル42は、正極板及び負極板を含む複数の電極板42aと、複数の電極板42aを収容する外装体42bと、電極板42aと電気的に接続して外装体42bの外部まで延び出したタブ42tと、を有している。セル42は、一対のタブ42tを有している。一対のタブ42tは、一方が正極端子として、他方が負極端子として、機能する。
【0053】
セル42は、第2方向d2における中心を通過する第1方向d1及び第3方向d3に沿った面を基準面として概ね対称的な構成を有している。また、セル42は、第3方向d3における中心を通過する第1方向d1及び第2方向d2に沿った面を基準面として概ね対称的な構成を有している。
【0054】
1つの蓄電素子モジュール40に含まれる多数のセル42は、互いのタブ42t同士が電気的に接続されることによって、互いに電気的に接続している。多数のセル42は、直列に接続されていてもよいし、並列に接続されていてもよい。多数のセル42のタブ42tは、一例として、図示しない電極部材を用いて互いに電気的に接続される。セル42の数量や直列及び並列の接続を適宜設定することで、1つのセル42からの出力を、所望の電圧及び所望の容量とすることができる。図示された例では、1つの蓄電素子モジュール40が16個のセル42を含んでいる。とりわけ
図9に示された例において、並列接続された2つのセル42が、8組直列接続されている。
【0055】
図8に示すように、ケース44は、略直方体状の外形を有している。ケース44は、複数のセル42を収容する。
図8に示すように、ケース44は、周縁部において第1方向d1の一側s1に突出した複数の突出部44aを有している。各突出部44aは、第2方向d2に所定の間隔を空けて配置されている。また、
図8に示すように、ケース44は、周縁部において第1方向d1の一側s1に窪んだ複数の係合部44bを有している。各係合部44bは、第2方向d2に所定の間隔を空けて配置されている。平面視において、各係合部44bは、対応する突出部44aと同じ位置に設けられている。
【0056】
図7に示すように、複数の蓄電素子モジュール40が第1方向d1に積層されると、ある蓄電素子モジュール40の各突出部44aが、第1方向d1の一側s1において当該蓄電素子モジュール40と第1方向d1に隣り合うように配置された他の蓄電素子モジュール40の対応する係合部44bに入り込むようになっている。これにより、互いに隣り合う蓄電素子モジュール40の第2方向d2および第3方向d3への相対移動が規制される。このため、各蓄電素子モジュール40を、第1方向d1に安定して積層できる。
【0057】
図8に示すように、蓄電素子モジュール40は、配線49をさらに有している。図示するように、配線49は、ケーブル配線であってもよい。配線49の一端は、各セル42のタブ42tと電気的に接続されており、配線49の他端は、後述する制御モジュール50の接続部59と電気的に接続されている。蓄電素子モジュール40と制御モジュール50とは、配線49を介して電気的に接続されている。
【0058】
筐体20の内部において、蓄電素子モジュール40は、木ねじ30の第1方向d1の一側s1に配置されている。このため、蓄電素子モジュール40は、木ねじ30を第1方向d1の一側s1から覆っている。
【0059】
制御モジュール50について説明する。制御モジュール50は、蓄電素子モジュール40の各々を制御する。制御モジュール50は、蓄電素子モジュール40を制御する様々な機能を有している。例えば、制御モジュール50は、各蓄電素子モジュール40の充電および放電を制御する機能を有している。制御モジュール50は、交流電力を直流電力に変換する機能及び、直流電力を交流電力に変換する機能を有していてもよい。制御モジュール50は、各蓄電素子モジュール40の充電量等の充電状態を監視する機能や各蓄電素子モジュール40の異常の有無を監視する機能を有していてもよい。制御モジュール50は、蓄電素子ユニット10の外部に設置された制御装置に、蓄電素子モジュール40の充電状態や異常の有無の監視結果などの情報を、送信する機能を有していてもよい。制御モジュール50は、蓄電素子ユニット10の外部の配線と、蓄電素子モジュール40と、の間の電気的接続及び遮断を切り替える機能を有していてもよい。
【0060】
図2に示すように、制御モジュール50は、筐体20に収容されている。制御モジュール50は、蓄電素子モジュール40よりも第1方向d1における一側s1に配置されている。制御モジュール50は、第1の蓄電素子モジュール組合体41Aよりも第1方向d1における一側s1に配置されている。
【0061】
図11には、制御モジュール50の斜視図が示されている。
図11に示すように、制御モジュール50は、略直方体状の外形を有している。制御モジュール50の内部には、入力された制御信号および電力を処理して出力する制御回路が設けられている。
図11に示すように、制御モジュール50は、蓄電素子モジュール40の各々の配線49が接続される複数の接続部59と、蓄電素子ユニット10の外部の配線が接続される入出力部55と、を有している。
【0062】
図11に示すように、接続部59は、第1の接続部59aと、第2の接続部59bと、を含んでいてもよい。第1の接続部59aおよび第2の接続部59bのいずれもが、蓄電素子モジュール40の配線49と接続される。第1の接続部59aは、例えば、蓄電素子モジュール40の配線49のうち電力の送受信に関する部分と接続され、第2の接続部59bは、例えば、蓄電素子モジュール40の配線49のうち電圧情報や温度情報等の情報の送受信に関する部分と接続される。接続部59は、蓄電素子モジュール40の個数に対応するよう、複数設けられていてもよい。図示された例においては、蓄電素子ユニット10が有する7つの蓄電素子モジュール40に対応して、制御モジュール50に7つの接続部59が設けられている。7つの蓄電素子モジュール40の各々の配線49が、制御モジュール50の対応する接続部59に接続される。これにより、制御モジュール50は、蓄電素子モジュール40の各々と電気的に接続される。制御モジュール50は、蓄電素子モジュール40の各々を制御できる。
【0063】
図11に示すように、入出力部55は、第1の入出力部55aと、第2の入出力部55bと、を含んでいてもよい。第1の入出力部55aおよび第2の入出力部55bのいずれもが、蓄電素子ユニット10の外部の配線と接続される。第1の入出力部55aは、例えば、外部の配線のうち制御信号の送受信に関する部分と接続され、第2の入出力部55bは、例えば、外部の配線のうち電力の送受信に関する部分と接続される。これにより、制御モジュール50は、外部への制御信号および電力の送信、並びに外部からの制御信号および電力の受信を行うことができる。
【0064】
蓄電素子モジュール40及び制御モジュール50は、開口部23aを介して筐体20に収容できる。このため、第1方向d1からの平面視において、言い換えると第1方向d1に非平行な第2方向d2及び第3方向d3のそれぞれにおいて、筐体の内寸、特に開口部23aの寸法は、蓄電素子モジュール40の外寸及び制御モジュール50の外寸より大きくなっている。
【0065】
次に、蓄電素子ユニット10を設置位置5に設置する方法の一例について説明する。特に、設置位置5が建物の床面である例について説明する。設置位置5が建物の床面以外であっても、同様の方法で蓄電素子ユニット10を設置し得る。
【0066】
まず、
図12に示すように、蓋部23が取り外された筐体20を、底部21が建物の床面に接するように配置する。筐体20は、建物の床面の第1方向d1の一側s1、言い換えると鉛直方向の上側に位置している。蓋部23が取り外されていることで、筐体20の第1方向d1の一側s1に開口部23aが開口している。
【0067】
次に、開口部23aを介して、言い換えると第1方向d1の一側s1から、貫通孔21cに木ねじ30を配置する。複数の貫通孔21cのうち少なくとも一部、好ましくは12箇所以上に、より好ましくは16箇所以上に、最も好ましくは全てに、木ねじ30を配置する。木ねじ30の頭部31を回転させることで、木ねじ30の軸部32のねじ山が床面から床板に侵入する。床板と軸部32のねじ山とが螺合することで、木ねじ30が貫通孔21cを介して床にねじ留めされる。木ねじ30の頭部31は、開口部23aを介して、言い換えると第1方向d1の一側s1から、回転させることができる。例えば、作業者が開口部23aからドライバーを持った手を筐体20内に入れて、ドライバーを木ねじ30の頭部31に嵌め込んで、ドライバーを回転させることで、木ねじ30の頭部31を回転させることができる。以上の工程で、12本以上、より好ましくは16本以上の木ねじ30が、第1方向d1の一側s1から貫通孔21cを介して床にねじ留めされる。
【0068】
複数の貫通孔21cの各々が、側壁部22から1cm以上離れていることが好ましい。この場合、貫通孔21cに木ねじ30を挿入し、ドライバー等を用いて木ねじ30を回転させる際に、側壁部22が木ねじ30を回転させる作業の邪魔になりにくい。
【0069】
次に、複数の蓄電素子モジュール40及び制御モジュール50を、第1方向d1の一側s1から、開口部23aを介して筐体20に収容する。複数の蓄電素子モジュール40及び制御モジュール50を同時に収容してもよいし、それぞれ別個に収容してもよい。複数の蓄電素子モジュール40を全て同時に収容してもよいし、複数の蓄電素子モジュール40を複数回に分けて収容してもよい。蓄電素子モジュール40は、木ねじ30を第1方向d1の一側s1から覆うように、筐体20に収容される。筐体20に収容された蓄電素子モジュール40及び制御モジュール50は、筐体20に固定される。
【0070】
その後、第1方向d1の一側s1からの開口部23aを介して作業することによって、筐体20内において蓄電素子モジュール40の各々の配線49を制御モジュール50の接続部59に接続する。また、第1方向d1の一側s1からの開口部23aを介した作業によって、蓄電素子ユニット10の外部の配線を筐体20内の制御モジュール50の入出力部55に接続する。
【0071】
最後に、筐体20に蓋部23が取り付けられる。蓋部23は、筐体20の開口部23aを閉鎖する。底部21、側壁部22及び蓋部23によって形成される収容空間に、蓄電素子モジュール40及び制御モジュール50が収容されることになる。
【0072】
以上の工程により、蓄電素子ユニット10が設置位置5としての建物の床面に設置される。
【0073】
従来の蓄電素子ユニット110は、
図13に示すように、筐体120の外部にL字型のフランジ等の固定具130を設けている。固定具130を設置位置5の近傍に固定することで、蓄電素子ユニット110が設置位置5に固定される。このように、従来の蓄電素子ユニット110を設置する際には、設置位置の近傍のスペースを利用することになる。蓄電素子ユニットの設置のために、蓄電素子ユニットの大きさより広いスペースを確保する必要がある。
【0074】
本実施の形態の蓄電素子ユニット10の設置方法では、第1方向d1の一側s1から、言い換えると開口部23aを介して、木ねじ30を貫通孔21cを介して設置位置5にねじ留めでき、蓄電素子モジュール40及び制御モジュール50を筐体20に収容でき、及び、蓄電素子モジュール40の配線49を制御モジュール50の接続部59に接続できる。開口部23aを介した第1方向d1の一側s1からの作業のみで、設置位置5において蓄電素子ユニット10を組み立てて、蓄電素子ユニット10を設置位置5に設置できる。特に大型の蓄電素子ユニット10を設置位置5に設置する場合、蓄電素子ユニット10をそのまま設置位置5まで搬送することは困難である。蓄電素子ユニット10を分解して、設置位置5に筐体20を配置した後、筐体20内に蓄電素子モジュール40及び制御モジュール50を収容することになる。本実施の形態の蓄電素子ユニット10の設置方法によれば、第1方向d1以外の方向からの作業の必要がないため、蓄電素子ユニット10を組み立てて設置するために、蓄電素子ユニット10の大きさより広いスペースを確保する必要がない。すなわち、小さなスペースであっても、蓄電素子ユニット10を設置できる。蓄電素子ユニット10を省スペースで設置できる。
【0075】
第1方向d1は、鉛直方向であり、第1方向d1の一側s1は、鉛直方向の上側である。開口部23aを介した第1方向d1の一側s1からの作業を容易に行うことができる。このため、蓄電素子ユニット10を容易に設置できる。また、鉛直方向である第1方向d1に非平行な方向、すなわち水平方向において、蓄電素子ユニット10を設置するためのスペースを蓄電素子ユニット10自体のスペースより広げることなく、蓄電素子ユニット10を設置できる。すなわち、床面等の水平面において、蓄電素子ユニット10を省スペースで設置できる。
【0076】
設置位置5は、建物の床面である。建物の内部には、大型の蓄電素子ユニット10をそのまま設置位置5まで搬送することは困難である。蓄電素子ユニット10を分解して、設置位置5に筐体20を配置した後、筐体20内に蓄電素子モジュール40及び制御モジュール50を収容することになる。また、建物では、蓄電素子ユニット10を設置するためのスペースを広く確保することが困難である。本実施の形態の蓄電素子ユニット10の設置方法によれば、蓄電素子ユニット10を省スペースで設置できる。設置位置5が建物の床面である場合、本実施の形態の蓄電素子ユニット10の設置方法は、特に有効である。
【0077】
筐体20に収容された蓄電素子モジュール40は、木ねじ30を第1方向d1の一側s1から覆う。これにより、木ねじ30が開口部23aから観察されなくなる。
【0078】
蓄電素子ユニット10は、少なくとも12本以上の木ねじ30を有する。少なくとも12本の木ねじ30が貫通孔21cを介して設置位置5にねじ留めされる。蓄電素子ユニット10が、設置位置5に強固に固定される。蓄電素子ユニット10を地震等による振動に対して十分な耐性を有するように設置できる。
【0079】
第1方向d1に非平行な第2方向d2及び第3方向d3における筐体20の内寸は、蓄電素子モジュール40の外寸及び制御モジュール50の外寸より大きい。筐体20の内部の突出部や蓄電素子モジュール40及び制御モジュール50の外部の突出部に阻害されることなく、蓄電素子モジュール40及び制御モジュール50を、第1方向d1から、言い換えると開口部23aを介して、筐体20に収容できる。とりわけ、筐体20を木ねじ30によって設置位置5に固定した後であっても、蓄電素子モジュール40及び制御モジュール50を筐体20に収容できる。第1方向d1からの作業のみで、蓄電素子ユニット10を設置位置5に設置できる。
【0080】
以上のように、本実施の形態の蓄電素子ユニット10の設置方法は、複数の貫通孔21cが設けられた底部21と、第1方向d1の一側s1に開口した開口部23aと、を有する筐体20を、底部21が設置位置5に接するように配置する配置工程と、木ねじ30を第1方向d1の一側s1から貫通孔21cの少なくとも一部を介して設置位置5にねじ留めするねじ留め工程と、蓄電素子モジュール40及び蓄電素子モジュール40を制御する制御モジュール50を開口部23aを介して筐体20に収容する収容工程と、開口部23aを介した作業によって、蓄電素子モジュール40の配線49を制御モジュール50の接続部59に接続する接続工程と、を備える。このような蓄電素子ユニット10の設置方法によれば、開口部23aを介した第1方向d1の一側s1からの作業のみで、設置位置5において蓄電素子ユニット10を組み立てて、蓄電素子ユニット10を設置位置5に設置できる。このため、省スペースで蓄電素子ユニット10を所望の設置位置5に設置できる。
【0081】
本発明の態様は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した実施の形態に係る内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0082】
5 設置位置
10 蓄電素子ユニット
20 筐体
21 底部
21c 貫通孔
22 側壁部
23 蓋部
23a 開口部
25 フレーム部
26 樹脂板
27 金属板
30 木ねじ
31 頭部
32 軸部
40 蓄電素子モジュール
41 蓄電素子モジュール組合体
42 セル
44 ケース
49 配線
50 制御モジュール
59 接続部