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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051334
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】配管用継手及び排水配管システム
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/12 20060101AFI20230404BHJP
   E03C 1/122 20060101ALI20230404BHJP
   E04D 13/04 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
E03C1/12 E
E03C1/122 Z
E04D13/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161934
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】高柳 聡
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AA05
2D061AB10
2D061AC01
2D061AC07
2D061AD03
2D061AE00
2D061BA10
2D061DE01
2D061DE10
(57)【要約】
【課題】竪管への雨水の流入性や排水性を向上させた配管用継手を提供する。
【解決手段】配管用継手3は、管本体部22と、管本体部22に形成され横管6に接続される横管接続部23と、管本体部22の下部に形成され竪管7が接続される竪管接続部24と、管本体部22の内部に設けられた整流部材28と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管本体部と、
前記管本体部に形成され横管に接続される横管接続部と、
前記管本体部の下部に形成され竪管が接続される竪管接続部と、
前記管本体部の内部に設けられた整流部材と、
を備える配管用継手。
【請求項2】
前記竪管接続部の内径が前記横管接続部の内径よりも小さい請求項1に記載の配管用継手。
【請求項3】
前記管本体部の上部に開口部が形成され、
前記開口部に着脱自在に装着された第1蓋部材を備える請求項1又は2に記載の配管用継手。
【請求項4】
前記第1蓋部材の下部に形成され、前記横管接続部の中心軸線と前記竪管接続部の中心軸線の両方に対し傾斜する水流案内用斜面を備える請求項3に記載の配管用継手。
【請求項5】
前記第1蓋部材に設けられ、前記管本体部の内側に向かって突出する整流板を備える請求項3又は4に記載の配管用継手。
【請求項6】
前記管本体部と前記竪管接続部との間に配置された縮径部を備える請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の配管用継手。
【請求項7】
前記管本体部の内面に突設された整流板を備える請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の配管用継手。
【請求項8】
前記管本体部に対し前記竪管接続部が偏心配置された請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の配管用継手。
【請求項9】
前記管本体部の上部に形成され、第2竪管が接続される第2竪管接続部を備える請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の配管用継手。
【請求項10】
前記管本体部の内側に設けられた底板を備える請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の配管用継手。
【請求項11】
建物屋上床に設置されたルーフドレンと、
前記ルーフドレンに接続されて前記建物屋上階の腰壁を貫通する前記横管と、
前記横管の外側端に、前記横管接続部が接続された請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の配管用継手と、
前記竪管接続部に接続された前記竪管と、
を備える排水配管システム。
【請求項12】
前記配管用継手は、前記管本体部の上部に形成され第2竪管が接続される第2竪管接続部を備え、
前記第2竪管接続部に接続される前記第2竪管と、
前記第2竪管に着脱自在に装着された第2蓋部材と、
を備える請求項11に記載の排水配管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管用継手及び排水配管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集中豪雨の頻度が増加していることに伴って、建物の雨水の排水を効率良くするために、雨水配管が大型化される傾向にある。
例えば、図46に示す建物屋上階の排水配管システムでは、建物屋上床300のコーナ部分において腰壁301が立設されている部分に沿って枠型のルーフドレン302が設置されている。このルーフドレン302に接続された横管303が、腰壁301を水平に貫通するように設置されている。横管303の外側端に、エルボ管305を介し排水用の竪管306が接続されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
建物屋上階の排水配管システムにおいて、図47に示すように、横管303と竪管306との接続部分にエルボ管305の代わりにチーズ継手307を設けた排水配管システムが知られている。チーズ継手307の天井部には、着脱自在の蓋板308が設けられる。
あるいは、図48に示すように、横管303と竪管306との接続部分に、エルボ管305の代わりに排水マス309を設けた排水配管システムが知られている。排水マス309の天井部には、着脱自在の蓋板310が設けられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】カネソウ株式会社 「製品情報 鋳鉄製ルーフドレン 防水層張掛け幅100mm よこ引き 打込型」、[online]、[令和3年9月27日検索]、インターネット(URL http://www.kaneso.co.jp/seihin/WHXA.htm)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図46に示す排水配管システムにおいて、屋上の雨水はルーフドレン302を介し横管303に導入され、エルボ管305を介し竪管306に流れ込むことで排水される。
一般的な排水配管システムにおいて、横管303と竪管306は同一径に設計されるので、近年のゲリラ豪雨等の対策も考慮し、排水能力向上のために、横管303と竪管306をいずれも大径化する傾向にある。
【0006】
ところが、豪雨対策のために竪管を大径化すると、階数の多い建物において配管重量が増大する。配管重量に耐えるため、あるいは、風力等に耐えるため、より強固な支持構造が必要となる問題がある。また、支持金具による配管支持箇所が多くなること、より強度の高い支持金具を必要とすること、場合によっては躯体強度の再検討も必要になる等、多様な影響が生じることも考えられる。加えて、大径の竪管の保管スペースの確保、運搬重機の大型化、より多くの工数が必要となる等、建物の設計施工に様々な影響を及ぼすおそれがある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、竪管への雨水の流入性や排水性を向上させた配管用継手、及びこの配管用継手を備える排水配管システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の配管用継手は、管本体部と、前記管本体部に形成され横管に接続される横管接続部と、前記管本体部の下部に形成され竪管が接続される竪管接続部と、前記管本体部の内部に設けられた整流部材と、を備えることを特徴としている。
この発明では、横管に接続される横管接続部を通して管本体部内に流れ込んだ雨水が、管本体部の内部に設けられた整流部材により、管本体部の内部で安定した流れとなる。管本体部よりも下流側に竪管が接続されているため、竪管への雨水の流入性や排水性を向上させることができる。
【0009】
また、前記配管用継手において、前記竪管接続部の内径が前記横管接続部の内径よりも小さくてもよい。
この発明では、例えば、ゲリラ豪雨等の対策のために横管を大径化したとしても、竪管接続部の内径を横管接続部の内径よりも小さくしているので、より小さな内径の竪管を接続することができる。
横管が大径となり、横管から竪管に流入する雨水量が増加したとしても、竪管を流れる雨水には重力が作用し、横管を流れる雨水よりも速く雨水が排出されるので、排水能力に問題は生じない。
ゲリラ豪雨対策のために横管を大径化したとして、竪管を小径化できることにより、竪管を支持する金具の強度を大きくする必要がなくなる。さらに、支持金具の必要個数も削減できる。また、竪管を小径化できることにより、躯体に対する負荷を削減できる。加えて、大径の竪管を用いることがなくなり、大径竪管の保管スペースを削減でき、運搬重機の小型化に寄与し、建物の設計施工に負荷をかけることのない構造を提供できる。
【0010】
また、前記配管用継手において、前記管本体部の上部に開口部が形成され、前記開口部に着脱自在に装着された第1蓋部材を備えてもよい。
この発明では、例えば、管本体部の内部に異物等が堆積するか、異物による目詰まり等を起こした場合、第1蓋部材を取り外して管本体部等の内部を清掃することができ、メンテナンス性に優れた配管用継手を提供できる。
【0011】
また、前記配管用継手において、前記第1蓋部材の下部に形成され、前記横管接続部の中心軸線と前記竪管接続部の中心軸線の両方に対し傾斜する水流案内用斜面を備えてもよい。
この発明では、横管から管本体部の内側に流入した雨水の流れを、この雨水が水流案内用斜面に当たって向きを変えることにより、円滑に方向を変えて竪管側に導入できる。このため、管本体部の内側を流れる雨水の流れを円滑化できる。
【0012】
また、前記配管用継手において、前記第1蓋部材に設けられ、前記管本体部の内側に向かって突出する整流板を備えてもよい。
この発明では、管本体部から竪管接続部へ流れ込む雨水の流れを、整流板により円滑化できる。
【0013】
また、前記配管用継手において、前記管本体部と前記竪管接続部との間に配置された縮径部を備えてもよい。
この発明では、管本体部から竪管に向かって流れ込む雨水を、縮径部により円滑に導入できる。
【0014】
また、前記配管用継手において、前記管本体部の内面に突設された整流板を備えてもよい。
この発明では、管本体部から竪管接続部へ流れ込む雨水の流れを、整流板により円滑化できる。
【0015】
また、前記配管用継手において、前記管本体部に対し前記竪管接続部が偏心配置されてもよい。
この発明では、例えば、配管用継手の付近に位置している外壁に対し、竪管をより近い位置、あるいは離れた位置に設置することができる。竪管を外壁により近い位置に配置できるならば、竪管に作用する風圧を軽減できるので、竪管の支持構造に、風圧による負担が少なくなる。
【0016】
また、前記配管用継手において、前記管本体部の上部に形成され、第2竪管が接続される第2竪管接続部を備えてもよい。
この発明では、第2竪管接続部を有することにより、例えば配管用継手(管本体部)が公知の構成のチーズ継手になり、配管用継手の施工に要するコストを低減させることができる。
【0017】
また、前記配管用継手において、前記管本体部の内側に設けられた底板を備えてもよい。
この発明では、底板を利用し、例えば管本体部の内側等に種々の部材の設置が可能となる。
【0018】
また、本発明の排水配管システムは、建物屋上床に設置されたルーフドレンと、前記ルーフドレンに接続されて前記建物屋上階の腰壁を貫通する前記横管と、前記横管の外側端に、前記横管接続部が接続された前記のいずれかに記載の配管用継手と、前記竪管接続部に接続された前記竪管と、を備えることを特徴としている。
この発明では、竪管への雨水の流入性や排水性を向上させた配管用継手を用いて、ルーフドレンから横管に流れ込む雨水を処理する排水配管システムを構成することができる。
【0019】
また、前記排水配管システムにおいて、前記配管用継手は、前記管本体部の上部に形成され第2竪管が接続される第2竪管接続部を備え、前記第2竪管接続部に接続される前記第2竪管と、前記第2竪管に着脱自在に装着された第2蓋部材と、を備えてもよい。
この発明では、管本体部の内部に異物等が堆積するか、異物による目詰まり等を起こした場合、第2竪管により管本体部から比較的離れた位置に配置された第2蓋部材を取り外して、第2竪管を通して配管用継手の内部を清掃することができる。このため、メンテナンス性に優れた排水配管システムを提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の配管用継手及び排水配管システムでは、竪管への雨水の流入性や排水性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る排水配管システムを適用した建物の一例を示す断面図である。
図2】同排水配管システムにおける要部を分解した断面図である。
図3】同排水配管システムにおける第1接続部材の斜視図である。
図4】同排水配管システムにおけるサイフォン起動部材の斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態の第1変形例に係る排水配管システムを適用した建物の一例を示す断面図である。
図6】同排水配管システムにおける径違いソケット及びサイフォン起動部材を分解した状態の斜視図である。
図7】同径違いソケット及びサイフォン起動部材を組立てた状態の斜視図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る排水配管システムを適用した建物の一例を示す断面図である。
図9】同排水配管システムにおける要部を分解した断面図である。
図10】本発明の第2実施形態の第1変形例の排水配管システムにおける要部を分解した断面図である。
図11】本発明の第2実施形態の第2変形例の排水配管システムにおける要部を分解した断面図である。
図12】本発明の第2実施形態の第3変形例の排水配管システムにおける要部を分解した断面図である。
図13】本発明の第2実施形態の第4変形例の排水配管システムにおける要部を分解した断面図である。
図14】同排水配管システムにおける要部の平面図である。
図15】本発明の第2実施形態の第4変形例の排水配管システムにおける要部の平面図である。
図16】本発明の第2実施形態の第4変形例の排水配管システムにおける要部の平面図である。
図17】本発明の第2実施形態の第5変形例の排水配管システムにおける要部を分解した断面図である。
図18】本発明の第2実施形態の第6変形例の排水配管システムにおける要部を分解した断面図である。
図19】本発明の第2実施形態の第7変形例の排水配管システムにおける断面図である。
図20】同排水配管システムにおける側面図である。
図21】本発明の第2実施形態の第8変形例の排水配管システムにおける断面図である。
図22】本発明の第2実施形態の第9変形例の排水配管システムにおける断面図である。
図23】本発明の第2実施形態の第10変形例の排水配管システムにおける断面図である。
図24】本発明の第2実施形態の第11変形例の排水配管システムを適用した建物の一例を示す部分断面図である。
図25】本発明の第3実施形態に係る排水配管システムを適用した建物の一例を示す断面図である。
図26】同排水配管システムが備える配管用継手の斜視図である。
図27】同配管用継手の要部を断面とした斜視図である。
図28】同配管用継手の内部構造を示す断面図である。
図29図28に示すA1-A1線に沿う断面図である。
図30】同配管用継手において管本体部に対する竪管接続部の位置関係を示す説明図である。
図31】本発明の第3実施形態の第1変形例の配管用継手において管本体部に対する竪管接続部の位置関係を示す説明図である。
図32】本発明の第3実施形態の第2変形例の配管用継手において管本体部に対する竪管接続部の位置関係を示す説明図である。
図33】本発明の第3実施形態の第3変形例の配管用継手における部分断面図である。
図34】同配管用継手における正面図である。
図35】本発明の第3実施形態の第4変形例の配管用継手における一部を透過した斜視図である。
図36】本発明の第4実施形態に係る排水配管システムを適用した建物の一例を示す断面図である。
図37】同配管用継手に用いられる径違いソケット及びサイフォン起動部材を分解した斜視図である。
図38】同径違いソケット及びサイフォン起動部材を組立てた状態の斜視図である。
図39】本発明の第4実施形態の第1変形例に係る排水配管システムを適用した建物の一例を示す断面図である。
図40】同排水配管システムの配管用継手の一部を破断した斜視図である。
図41図40に示すA2-A2線に沿う断面図である。
図42】横管の長さに応じた影響を検証するために行った検証試験の概要を示す斜視図である。
図43】長さ0.3mの横管を設けた検証試験装置の構成を示す説明図である。
図44】長さ1.0mの横管を設けた検証試験装置の構成を示す説明図である。
図45図19及び図20に示す検証試験装置による試験結果を示すグラフである。
図46】排水配管システムに係る第1の従来例を示す構成図である。
図47】排水配管システムに係る第2の従来例を示す構成図である。
図48】排水配管システムに係る第3の従来例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る配管用継手及び排水配管システムの第1実施形態を、図1から図7を参照しながら説明する。
本実施形態に係る配管用継手を備えた排水配管システムは、例えば、ビルやマンション等の建物の排水用に適用される。
図1に示す第1実施形態の配管用継手3は、建物1Aの屋上床(屋上を構成する床)1と、この屋上床1のコーナー部分に立設された腰壁2と、の接続部分の外側に設けられている。腰壁2は、建物1Aの屋上階の腰壁である。
屋上床1と腰壁2との接合部分の内側に、枠型のルーフドレン5が設けられている。このルーフドレン5に、腰壁2を水平に貫通した横管6が接続されている。横管6の外端側に、配管用継手3が接続されている。配管用継手3の下部に、竪管7が接続されている。
第1実施形態では、ルーフドレン5と、横管6と、配管用継手3と、竪管7と、後述する第2竪管36と、第2蓋部材37と、を備えて、排水配管システムS1が構成されている。
竪管7は、建物1Aの外壁8に沿って下方に延在されている。竪管7は、建物1Aの近傍の地面に設けられている図示略の集水枡あるいは他の排水管等の排水設備に接続されている。
【0023】
ルーフドレン5は、底板10と側板11とからなるL字型の枠体12を有する。枠体12には、配管接続用の筒部材13が一体化されている。側板11の底部側に、透孔11aが形成されている。この透孔11aから外側に延出するように、筒部材13が側板11の外側に延出されている。
底板10は、屋上床1のコーナー部分に設置され、側板11は、腰壁2の底部に密着されている。そして、ルーフドレン5は、建物1Aの屋上床1のコーナー部分に設置されている。その際に、筒部材13は、腰壁2の底部に形成した透孔2aに挿入されている。
枠体12の内側には、複数の通水孔を備えたL字枠状のストレーナ17が、ボルト18とナット19により枠体12に着脱自在に装着されている。枠体12とストレーナ17とにより、ルーフドレン5が構成されている。
【0024】
ルーフドレン5の底板10とストレーナ17の底部により、屋上床1側の防水シート15の端部が挟まれ、押さえられている。同様に、側板11とストレーナ17の上部により、腰壁2側の防水シート16の端部が挟まれ、押さえられている。
なお、本実施形態において適用したルーフドレン5は、1つの例である。本発明に適用するルーフドレンの構造には、一般的な枠型や箱型等、一般的な構造のルーフドレンを適宜用いてもよい。
【0025】
横管6は、排水用である。横管6は、適宜の水勾配を有しながら水平面に沿って延びている。横管6における長手方向の一部は、腰壁2の透孔2a内に配置されている。横管6の第1端部は、ルーフドレン5の筒部材13に接続されている。横管6における第1端部とは反対側の第2端部は、透孔2aの外側に突出している。横管6は、腰壁2を貫通している。横管6は、塩化ビニル樹脂等で形成されている。
【0026】
図1及び図2に示すように、配管用継手3は、管本体部22と、横管接続部23と、竪管接続部24と、第2竪管接続部25と、第1接続部材26と、第2接続部材27と、サイフォン起動部材(整流部材)28と、を備えている。なお、管本体部22、横管接続部23、竪管接続部24、及び第2竪管接続部25は、継手本体30を構成する。図2では、ソケット33及び竪管7を、二点鎖線で示している。配管用継手3は、配管用枡部材であってもよい。
管本体部22は、T字形をなす、いわゆるチーズ管である。管本体部22は、円管状の直管部の側面に、直管部内に連通する開口部である接続部が設けられて構成されている。管本体部22は、直管部の中心軸線が鉛直方向に沿うように、腰壁2の外側に設置されている。なお、管本体部22を設置する場合、直管部の中心軸線を鉛直方向から多少傾斜して設置しても差し支えない。
【0027】
横管接続部23、竪管接続部24と、第2竪管接続部25は、それぞれ円筒状である。
横管接続部23は、管本体部22の接続部に、接続部と同軸に形成されている。横管接続部23内に、横管6の第2端部が配置されている。横管接続部23及び横管6が互いに接着等されることにより、横管接続部23が横管6の外端側に接続されている。
竪管接続部24は、管本体部22の直管部の下部に、直管部と同軸に形成されている。竪管接続部24の内径は、直管部の内径よりも大きい。
第2竪管接続部25は、管本体部22の直管部の上部に形成されている。第2竪管接続部25の内径は、直管部の内径よりも大きい。この例では、第2竪管接続部25は、竪管接続部24と同一形状である。
【0028】
継手本体30を構成する管本体部22、横管接続部23、竪管接続部24、及び第2竪管接続部25は、例えば、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)あるいはPB(ポリブテン)等のオレフィン系樹脂、硬質塩化ビニル樹脂やABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂)、AES(アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合体樹脂)等の樹脂を射出成型することで、一体に形成される。
以上のように構成された継手本体30は、管本体部22において、直管部の中心軸線に直交し、接続部の中心軸線を通る基準面に対して面対称な、公知(既存)のチーズ型継手である。
【0029】
図2及び図3に示すように、第1接続部材26は、第1フランジ部26aと、小径筒部26bと、第2フランジ部26cと、大径筒部26dと、を有する。
第1フランジ部26a及び第2フランジ部26cは、それぞれ円環状である。小径筒部26b及び大径筒部26dは、それぞれ円筒状である。
第1フランジ部26aは、水平面に沿うように配置されている。第1フランジ部26aの内径は、配管用継手3の管本体部22の内径よりも小さい。
【0030】
小径筒部26bは、第1フランジ部26aの外周縁から下方に向かって突出している。小径筒部26bは、管本体部22の下端部に、管本体部22の径方向内側から嵌め合っている。
第2フランジ部26cは、小径筒部26bの下端部から径方向外側に、全周にわたって突出している。
大径筒部26dは、第2フランジ部26cの外周縁から下方に向かって突出している。大径筒部26dは、竪管接続部24の上端部に、竪管接続部24の径方向内側から嵌め合っている。
以上のように構成された第1接続部材26は、継手本体30に接着剤等により固定されている。
なお、図3に二点鎖線L1で示すように、第1接続部材26の大径筒部26dの鉛直方向の長さは、比較的長くてもよい。
【0031】
図2に示すように、第2接続部材27は、接続筒部27aと、フランジ部27bと、を有する。
接続筒部27aは、円筒状である。接続筒部27aの内周面には、図示しない内ねじ部が形成されている。
フランジ部27bは、円環状である。フランジ部27bは、接続筒部27aの上端部から径方向外側に、全周にわたって突出している。
第2接続部材27のフランジ部27bは、第1接続部材26の第1フランジ部26aに、第1フランジ部26aの下方から接触している。
第2接続部材27の接続筒部27aには、ソケット33を介して竪管7が接続されている。すなわち、竪管接続部24には、第1接続部材26、第2接続部材27、及びソケット33を介して竪管7が接続されている。
竪管7は、ソケット33から下方に向かって延びている。
【0032】
図2及び図4に示すように、例えば、サイフォン起動部材28は、蓋部材28aと、複数の縦リブ28bと、フランジ部28cと、接続筒部28dと、把持リブ28eと、を有する。
蓋部材28aは、円板状であり、水平面に沿って配置されている。蓋部材28aには、貫通孔が設けられていてもよい。
複数の縦リブ28bは、蓋部材28aの下面から下方に向かって延びている。
フランジ部28cは、複数の縦リブ28bの下端部に設けられている。蓋部材28aとフランジ部28cとの間の開口が、雨水の流入開口部28fである。蓋部材28aの下面における中央側には、流入開口部28fから流入した雨水を下向きの流れとするための誘導ガイド(図示略)が形成されている。
接続筒部28dは、フランジ部28cから下方に向かって延びている。接続筒部28dの外周面には、外ねじ部(符号省略)が形成されている。
把持リブ28eは、蓋部材28aの上面側に形成されている。
【0033】
サイフォン起動部材28では、接続筒部28dの上端開口部の外周に、フランジ部28cが形成されている。接続筒部28dの上端開口部が、排水の落し口部である。
流入開口部28fの面積は、接続筒部28dの上端側開口面積(落し口部の開口面積)よりも大きい面積となるように、サイフォン起動部材28の各部の大きさや高さ、形状が調整されている。本実施形態では、流入開口部28fの面積は、円形の蓋部材28aの円周の長さと、フランジ部28cから蓋部材28aまでの高さHとの積により求めることができる。
【0034】
蓋部材28aを設けるための好適な接続筒部28dの内径は、50mm以上170mm以下である。接続筒部28dの内径は、70mm以上170mm以下がより好適である。
すなわち、接続筒部28dの落し口部の開口外径を下限の50mm以上とすることで、サイフォン起動部材28を流れる大流量の雨水排水を、スムーズに排水することができる。
そして、上限の170mm以下とすることで配管用継手3に収容する場合の収まりが小さくなり、配管用継手3の大型化を防ぐことができる。
【0035】
この例では、管本体部22の直管部の内径に対し接続筒部27a,28dの内径が1/2程度に設定されている。また、横管6の内径に対し接続筒部27a,28dの内径が1/2程度に形成されることとなるので、竪管7の内径が横管6の内径の1/2程度に形成されている。
なお、本実施形態では竪管7の内径が横管6の内径の1/2程度に形成されているが、竪管7の内径が横管6の内径の1/2~1/1程度に形成されていてもよい。即ち、管本体部22の内径に対し接続筒部27a,28dの内径を1/2~1/1程度の範囲としてもよい。いずれにしても、本実施形態では、管本体部22の直管部の内径(横管6の内径にほぼ等しい)に対し、接続筒部27a,28dの内径(竪管7の内径にほぼ等しい)が等しいか、あるいは、小さく形成されている。
【0036】
以上のように構成された第1接続部材26、第2接続部材27、及びサイフォン起動部材28は、継手本体30と同一の材料でそれぞれ形成されている。
例えばサイフォン起動部材28は、既存の部材であり、継手本体30とは別体である。
【0037】
第2接続部材27及びサイフォン起動部材28は、第1接続部材26の第1フランジ部26aを上下に挟みつつ、第2接続部材27の内ねじ部にサイフォン起動部材28の外ねじ部が螺合することにより、それぞれが第1接続部材26を介して継手本体30に固定されている。
図2に示すように、サイフォン起動部材28は、管本体部22の内部に設けられている。
【0038】
図1に示すように、第2竪管36の下端部は、継手本体30(配管用継手3)の第2竪管接続部25に接続されている。第2竪管36は、竪管7と同様に構成されている。第2竪管36は、第2竪管接続部25から上方に向かって延びている。例えば、第2竪管36は、腰壁2の上端部近傍まで延びている。
第2蓋部材37は、キャップ状の部材であり、天板37aと、天板37aの一方の面に設けられたの接続筒37bと、を備えている。第2蓋部材37には、空気抜き孔が形成されていることが望ましい。第2蓋部材37は、第2竪管36の上端部にソケット38を介して着脱自在に装着されている。
接続筒37bは、ソケット38の上端部に着脱可能に嵌め合っている。天板37aは、ソケット38の上端に、この上端よりも上方から接触又は近接している。
【0039】
次に、以上のように構成された排水配管システムS1の動作について説明する。
雨水等が防水シート15に沿って流れ、ルーフドレン5に到達すると、その雨水は透孔11aを通過して横管6に流入し、配管用継手3の横管接続部23を介し管本体部22の内部に流れ込む。管本体部22に流れ込んだ雨水は流れる方向を下向きに変更し、サイフォン起動部材28を通過して流れる。雨水は、サイフォン起動部材28により、管本体部22の内部で安定した流れとなる。雨水は、竪管7を伝わって排水管等の排水設備側に排出される。
【0040】
一方、近年のゲリラ豪雨対策等により、排水能力を向上させるために、横管6の径を大きくする傾向がある。本実施形態の構造では横管6の内径と竪管7の内径が等しいか、竪管7の内径が小さい。竪管7に雨水が流れ込むと、竪管7の流れる雨水には重力が作用するので、横管6を流れる雨水よりも竪管7を流れる雨水の方が円滑に排出される。従って、横管6を介し大量の雨水が竪管7側に流れ込んだとしても竪管7を流れる雨水の方が流速が速くなり、内径の小さな竪管7であっても、竪管7による十分な排水性が得られる。
一例として、横管6の呼び径を150mmとした場合、竪管7の呼び径を75mmとすることができる。竪管7の呼び径は、100mm等であってもよい。
【0041】
本実施形態において、横管6より径の小さな竪管7を設けた場合、横管6と同じ外径の竪管を設けていた従来構造よりも、竪管7としての重量を削減できる。竪管7の重量を削減できるので、竪管7を支持する金具の本数を少なくでき、支持金具の強度も小さなもので済むこととなり、躯体に対する過度な負荷も軽減できる。また、竪管7を設置する場合の保管スペースの削減、運搬重機の大型化を抑制でき、建物の設計施工に余裕を生む利点がある。
【0042】
次に、サイフォン起動部材28の作用について説明する。
サイフォン起動部材28は、平面視したときに、落し口部の開口(接続筒部28dの上端開口)を排水が塞ぐとともに、大雨時に多量の雨水が流入開口から流入したときにも空気を吸い込むことなく竪管7を満水状態としたまま水封する。その結果、下流側にサイフォン現象を発生させることができる。このようにサイフォン起動部材28により竪管7による高排水機能を発揮できる。
このため、大量の雨水が横管6から配管用継手3に流れ込んだとしても、良好な排水能力を得ることができる。
【0043】
ところで、ここまでの説明においては、建物1Aの屋上床1に設けられるルーフドレン5に本実施形態を適用した例について説明した。しかし、ルーフドレン5は、バルコニー床やベランダ床、テラス床等にも設置されることがあるので、バルコニー床やベランダ床、テラス床等に設置したルーフドレンに対し、本願の先の実施形態の構造を適用することができる。
【0044】
次に、排水配管システムS1の保守時の動作について説明する。
図1に示すように、建物1Aの屋上床1上の作業者P1は、腰壁2越しに、ソケット38から第2蓋部材37を取り外す。そして、第2竪管36及び配管用継手3の内部を清掃することができる。
公知の構成の継手である継手本体30を用いることにより、配管用継手3の施工に要するコストを低減させることができる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の配管用継手3では、横管6に接続される横管接続部23を通して管本体部22内に流れ込んだ雨水が、管本体部22の内部に設けられたサイフォン起動部材28により、管本体部22の内部で安定した流れとなる。管本体部22よりも下流側に竪管7が接続されているため、竪管7への雨水の流入性や排水性を向上させることができる。
【0046】
配管用継手3が、第2竪管接続部25を備える。このため、例えば配管用継手3(管本体部22)が公知の構成のチーズ継手になり、配管用継手3の施工に要するコストを低減させることができる。
【0047】
また、本実施形態の排水配管システムS1では、竪管7への雨水の流入性や排水性を向上させた配管用継手3を用いて、ルーフドレン5から横管6に流れ込む雨水を処理する排水配管システムを構成することができる。
配管用継手3は第2竪管接続部25を備え、排水配管システムS1は第2竪管36及び第2蓋部材37を備えている。従って、管本体部22の内部に異物等が堆積するか、異物による目詰まり等を起こした場合、第2竪管36により管本体部22から比較的離れた位置に配置された第2蓋部材37を取り外して、第2竪管36を通して配管用継手3の内部を清掃することができる。このため、メンテナンス性に優れた排水配管システムS1を提供できる。
【0048】
なお、図5に示す第1変形例の排水配管システムS1aのように、本実施形態の排水配管システムS1の第1接続部材26、第2接続部材27、及びサイフォン起動部材28に代えて、径違いソケット41及びサイフォン起動部材42を備えてもよい。すなわち、第1変形例の配管用継手3aは、本実施形態の配管用継手3の第1接続部材26、第2接続部材27、及びサイフォン起動部材28に代えて、径違いソケット41及びサイフォン起動部材42を備えている。
【0049】
図6及び図7に示すように、径違いソケット41は、大径部41aと、小径部41bと、接続部41cと、を有する。大径部41a、小径部41b、及び接続部41cは、それぞれ円筒状に形成され、互いに同軸に配置されている。小径部41bの外径は、大径部41aの外径よりも小さい。小径部41bは、大径部41aよりも下方に配置されている。
接続部41cでは、下方に向かうに従い漸次、外径が小さくなる。接続部41cは、大径部41aと小径部41bとの間に配置されている。接続部41cの上端部は、大径部41aの下端部に連なっている。接続部41cの下端部は、小径部41bの上端部に連なっている。
【0050】
図5に示すように、大径部41aは、竪管接続部24内に配置され、竪管接続部24に接続されている。竪管7の上端部は、小径部41b内に配置され、小径部41bに接続されている。
図6及び図7に示すように、サイフォン起動部材42は、本実施形態のサイフォン起動部材28の把持リブ28eに代えて、テーパ部42aを備えている。
テーパ部42aは、円筒状である。テーパ部42aの外径は、上方に向かうに従い、漸次大きくなる。テーパ部42aの上端の外径は、接続筒部28dの外径よりも大きい。テーパ部42aは、接続筒部28dの下端に設けられている。
【0051】
サイフォン起動部材42は、テーパ部42aが接続部41cに、接続部41cの上方から接触するように径違いソケット41に接続されている。
例えばサイフォン起動部材42は、既存の部材であり、継手本体30とは別体である。
【0052】
以上のように構成された排水配管システムS1aによっても、本実施形態の排水配管システムS1と同様の効果を奏することができる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図8から図24を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図8に示すように、本実施形態の排水配管システムS2は、第1実施形態の排水配管システムS1の配管用継手3に代えて、配管用継手45を備えている。
【0054】
配管用継手45は、配管用継手3に対して、第2竪管接続部25に代えて、第1蓋部材46を備えている。
管本体部22の高さ寸法は、横管接続部23の外径より若干大きく形成されている。このため、横管接続部23の最上端位置が、管本体部22の上端より下方に位置している。横管接続部23の最下端位置が、管本体部22の底部近くに位置している。
【0055】
配管用継手45の内部断面拡大構造を、図9に示す。
管本体部22の直管部の上部には、開口部22aが形成されている。
配管用継手45は、管本体部22の内側に設けられた底板22Aを備えている。図9に示す構成では、横管接続部23の最下端位置と底板22Aとが、ほぼ同一高さである。
底板22Aは、サイフォン起動部材28等の部材収納用である。底板22Aの中央部には、竪管7を連通するための透孔22dが形成されている。
管本体部22において、底板22Aより下方の部分に筒状の竪管接続部24が形成されている。
なお、管本体部22、横管接続部23、竪管接続部24、及び底板22Aは、継手本体30Aを構成する。例えば、継手本体30Aは新規の部材である。
【0056】
サイフォン起動部材28において接続筒部28dの外径は、底板22Aの透孔22dの内径より若干小さく形成されている。
管本体部22において、底板22Aの下面側に第2接続部材27が配置されている。この第2接続部材27の内ねじ部に前述のサイフォン起動部材28の接続筒部28dの外ねじ部を螺合することで、サイフォン起動部材28が管本体部22の底板22Aに取り付けられている。即ち、サイフォン起動部材28と第2接続部材27とで底板22Aを挟み付けることで、サイフォン起動部材28が底板22Aに固定されている。
なお、図9ではサイフォン起動部材28と第2接続部材27との螺合を解除し、両者を底板22Aから分離した状態で示している。サイフォン起動部材28及び第2接続部材27の取付状態において、サイフォン起動部材28と第2接続部材27は螺合により一体化されている。
【0057】
第1蓋部材46は、第2蓋部材37と同様に構成されている。すなわち、第1蓋部材46は、第2蓋部材37の天板37a、接続筒37bと同様に構成された天板46a、接続筒46bを有する。第1蓋部材46は、管本体部22の開口部22aに着脱自在に装着されている。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の配管用継手45では、竪管7への雨水の流入性や排水性を向上させることができる。
さらに、配管用継手45は第1蓋部材46を備えている。例えば、管本体部22の内部に異物等が堆積するか、異物による目詰まり等を起こした場合、第1蓋部材46を取り外して管本体部22等の内部を清掃することができ、メンテナンス性に優れた配管用継手45を提供できる。
配管用継手45は、底板22Aを備えている。このため、底板22Aを利用し、例えば管本体部22の内側に、サイフォン起動部材28等の種々の部材の設置が可能となる。
【0059】
図10は、本発明に係る第2実施形態の第1変形例の排水配管システムS2aを示す。排水配管システムS2aが備える配管用継手50が、管本体部22と横管接続部23と竪管接続部24を有している構成は、第2実施形態の配管用継手45と同等である。配管用継手50は、管本体部22の内径が配管用継手45の管本体部22の内径より大きい点で、配管用継手45とは異なる。また、竪管接続部24の内径が配管用継手45の竪管接続部24の内径より大きい点で、配管用継手45とは異なる。
例えば、配管用継手45において、横管6のサイズが呼び径150A、竪管7のサイズが呼び径75Aであった。配管用継手50において、横管6のサイズが呼び径150A、管本体部22と竪管7のサイズが呼び径100Aである。配管用継手50において、管本体部22の呼び径を大きくしている関係から、管本体部22の側壁の上部側が、配管用継手45の管本体部22の側壁よりも肉厚に形成されている。
配管用継手50において、その他の構成は配管用継手45と同等である。
【0060】
配管用継手50のように、竪管7のサイズは、横管6のサイズに対して1/2ではなくてもよい。配管用継手50においても、配管用継手45と同様の作用効果を得ることができる。
【0061】
図11は、本発明に係る第2実施形態の第2変形例の排水配管システムS2bを示す。排水配管システムS2bが備える配管用継手55が、管本体部22と横管接続部23と竪管接続部24を有している構成は、第2実施形態の配管用継手45と同等である。
配管用継手45において、横管6のサイズが呼び径150A、竪管7のサイズが呼び径75Aであった。配管用継手55において、横管6のサイズが呼び径100A、管本体部22と竪管7のサイズが呼び径75Aである。
配管用継手55において、その他の構成は配管用継手45と同等である。
配管用継手55においても、配管用継手45と同様の作用効果を得ることができる。
【0062】
図12は、本発明に係る第2実施形態の第3変形例の排水配管システムS2cを示す。排水配管システムS2cが備える配管用継手60が、管本体部22と横管接続部23と竪管接続部24を有している構成は、第2実施形態の配管用継手45と同等である。
配管用継手45において、横管6のサイズが呼び径150A、竪管7のサイズが呼び径75Aであった。配管用継手60において、横管6のサイズが呼び径100A、管本体部22と竪管7のサイズが呼び径100Aである。
配管用継手60において、その他の構成は配管用継手45と同等である。第2実施形態の第2変形例の排水配管システムS2bの如く、横管6と竪管7の呼び径サイズが同一であってもよい。
配管用継手60においても、配管用継手45と同様の作用効果を得ることができる。
【0063】
図13及び図14は、本発明に係る第2実施形態の第4変形例の排水配管システムS2dを示す。排水配管システムS2dが備える配管用継手65が、管本体部66と横管接続部23と竪管接続部24を有している構成は、第2実施形態の配管用継手45と同等である。
配管用継手65は、管本体部66の平面視形状が4角型である点に特徴を有する。管本体部66の平面視形状に特に制約はなく、図15に示すように楕円状(又は円状)の管本体部67であってもよく、図16に示すように、平面視半分が円形であり、平面視残り半分が4角型の管本体部68であってもよい。
図13及び図14に示す角型の管本体部66の方が、隣接する壁面により接近させて設置できるので、壁面に設置する場合に安定した支持構造を実現できる。
【0064】
図17は、本発明に係る第2実施形態の第5変形例の排水配管システムS2eを示す。排水配管システムS2eが備える配管用継手70が、管本体部22と横管接続部71と竪管接続部24を有している構成は、第2実施形態の配管用継手45と同等である。
配管用継手70においては、横管接続部71が枝管部分を有していない。横管接続部71が、管本体部22の側面に形成した接続孔72と、その外周回りに形成された厚肉部73と、を有する点が異なる。
横管接続部71のように、接続孔72と厚肉部73とから横管接続部71を構成してもよい。
配管用継手70においても、配管用継手45と同様の作用効果を得ることができる。
【0065】
図18は、本発明に係る第2実施形態の第6変形例の排水配管システムS2fを示す。排水配管システムS2fが備える配管用継手75が、管本体部22と横管接続部76と竪管接続部24を有している構成は、第2実施形態の配管用継手45と同等である。
配管用継手75においては、横管接続部76が枝管部分を有しておらず、管本体部22の高さ方向中央部側面に形成された接続孔77と、その外周部に形成された厚肉部78と、からなる点が異なる。
横管接続部56のように接続孔77と厚肉部78とから横管接続部76を構成し、形成位置を管本体部22の高さ方向中央部に形成してもよい。
図18に示す構造の場合、横管6からの排水は底板22Aあるいはサイフォン起動部材28より高い位置から管本体部22に流入される。
配管用継手75においても、配管用継手70と同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
図19及び図20は、本発明に係る第2実施形態の第7変形例の排水配管システムS2gを示す。排水配管システムS2gが備える配管用継手80が、管本体部22と横管接続部23と竪管接続部24を有している構成は、第2実施形態の配管用継手45と同等である。また、横管接続部23に横管6が接続され、竪管接続部24に竪管7が接続されている構成も同等である。
配管用継手80では、竪管接続部24にS型のエルボ管81を介し竪管7を接続した点に特徴を有する。エルボ管81を介し竪管7を配置することで、竪管7を図8に示す排水配管システムS2と対比し、腰壁2の壁面により接近した位置に配置できる。
竪管7を壁面に近い位置に配置することで、腰壁2の壁面と下階の外壁の壁面に沿って接近した位置に竪管7を配置できる。これにより、竪管7を腰壁2と外壁に固定する金具の長さを短くできるので、金具による竪管7の取付構造を安定化できる。
【0067】
図21は、本発明に係る第2実施形態の第8変形例の排水配管システムS2hを示す。排水配管システムS2hが備える配管用継手85が、管本体部22と横管接続部23と竪管接続部24を有している構成は、第2実施形態の配管用継手45と同等である。
配管用継手85においては、管本体部22の底板22Aに透孔22dが形成されていない点に特徴を有する。配管用継手85は、一例として、竪管7の上端部に取り付ける以前の工場出荷段階の配管用継手である。
工場で配管用継手85を製造後、設置現場に搬入し、現場の竪管のサイズに合わせ、作業者が現場において底板22Aに必要な内径の透孔22dを形成するとよい。底板22Aに必要な内径の透孔22dを形成することで、竪管接続部24が完成する。
配管用継手85においても、配管用継手45と同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
図22は、本発明に係る第2実施形態の第9変形例の排水配管システムS2iを示す。排水配管システムS2iが備える配管用継手90が、管本体部22と横管接続部23と竪管接続部24を有している構成は、第2実施形態の配管用継手45と同等である。
配管用継手90においては、管本体部22の底板22Aに透孔22dが形成されていない点に特徴を有する。配管用継手90は、竪管7の上端部に取り付ける以前の、例えば工場出荷段階の配管用継手である。
工場で配管用継手90を製造後、設置現場に搬入し、現場の竪管のサイズに合わせ、作業者が現場にて底板22Aに必要な内径の透孔22dを形成するとよい。底板22Aに必要な内径の透孔22dを形成することで、竪管接続部24が完成する。
配管用継手90においても、配管用継手50(配管用継手45)と同様の作用効果を得ることができる。
【0069】
図23は、本発明に係る第2実施形態の第10変形例の排水配管システムS2jを示す。排水配管システムS2jが備える配管用継手95が、管本体部22と横管接続部23と竪管接続部24を有している構成は、第2実施形態の第1変形例の配管用継手50と同等である。
配管用継手95においては、管本体部22の底板22Aに呼び径75A用の透孔22eを形成した点に特徴を有する。管本体部22は呼び径100A用のサイズであるので、底板22Aの大きさも呼び径100Aの大きさの透孔を形成可能であるが、底板22Aに呼び径75A用の透孔22eを形成している。
第10変形例の排水配管システムS2jのように、呼び径100A対応の透孔を形成可能な底板22Aに、呼び径75A対応の透孔22eを形成してもよい。この配管用継手95では、呼び径100A対応の配管用継手を呼び径75A用に適用したこととなり、特定の大きさの配管用継手を2種類のサイズの竪管用に共用化できたこととなる。
配管用継手95においても、配管用継手50と同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
図24は、本発明に係る第2実施形態の第11変形例の排水配管システムS2kを示す。排水配管システムS2kが備える配管用継手100は、第2実施形態の配管用継手45に対して第2竪管接続部25を備えている。
そして、配管用継手100の第2竪管接続部25に、第2竪管36、第2蓋部材37等が接続されている。
【0071】
ところで、これまで説明した配管用継手においては、着脱自在の第1蓋部材46等を設けて管本体部22等の内部を開放できるように構成した。第1蓋部材46を取り外し、管本体部22の内部を清掃するためである。また、サイフォン起動部材28の取り付けを容易とするためである。しかし、第1蓋部材46等は必須の構成要素ではなく、省略しても差し支えない。
横管接続部23の大きさが充分に大きい場合、あるいは、腰壁2の内側から管本体部22の内部を清掃可能な場合等は、第1蓋部材46等を略し、管本体部22の上部を閉じた構造としてもよい。
【0072】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図25から図35を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図25に示すように、本実施形態の排水配管システムS3は、第2実施形態の排水配管システムS2の配管用継手45に代えて、配管用継手105を備えている。第3実施形態の配管用継手105は、サイフォン起動部材を備えていない。
配管用継手105では、横管接続部23の内径は上述のように横管6を挿入可能な内径とされるが、管本体部22の直管部の内径は、横管接続部23の内径と同等程度に形成されている。横管接続部23は管本体部22の上端より若干下方位置に形成されている。
図25から図27に示す構成において、管本体部22の高さ寸法は横管接続部23の外径より若干大きく形成されている。横管接続部23の最上端位置が、管本体部22の上端より若干下方に位置されている。横管接続部23の最下端位置が、管本体部22の底部近くに位置されている。
【0073】
第3実施形態では、管本体部22の内径に対して、竪管接続部24の内径が1/2程度である。また、横管6の内径に対し竪管接続部24の内径が1/2程度であるので、竪管7の内径が横管6の内径の1/2程度である。本実施形態では、竪管接続部24の内径が横管接続部23の内径よりも小さい。
なお、本実施形態では竪管7の内径が横管6の内径の1/2程度であるが、竪管7の内径が横管6の内径の1/2~2/3程度に形成されていてもよい。即ち、管本体部22の内径に対し、竪管接続部24の内径を1/2~2/3程度の範囲としてもよい。
いずれにしても、本実施形態では、管本体部22の内径(横管6の内径にほぼ等しい)より竪管接続部24の内径(竪管7の内径にほぼ等しい)が小さい。
【0074】
配管用継手105の全体概形を図26に示し、配管用継手105の内部断面構造を図27に示す。
図26及び図27に示すように、配管用継手105は、配管用継手45のサイフォン起動部材28に代えて、縮径部106、整流板107、第1蓋部材108、水流案内用斜面109を備えている。
縮径部106は、円筒状であって、下方に向かうに従い漸次、内径及び外径がそれぞれ小さくなる。縮径部106は、管本体部22と竪管接続部24との間に配置されている。
配管用継手105は、整流板107を複数備えている。複数の整流板107は、管本体部22の下端部から縮径部106の下端部にかけて管本体部22と縮径部106の周回りに所定の間隔をあけて突設されている。
縮径部106は、管本体部22及び竪管接続部24と一体である。
【0075】
整流板107は、管本体部22の下端部から縮径部106の下端部にかけて、管本体部22の長さ方向(上下方向)に延在するように配置されている。なお、整流板107は、延出部108aの下端108cと干渉しなければ、管本体部22の下部側にも形成されていてもよい。
本実施形態では、図27から図29に示すように6枚の整流板107が設けられている。これらの整流板107は、上部側の突出量(幅)が大きく下部側の突出量(幅)が順次小さくなる形に形成されている。本実施形態において整流板107の設置数は6つであるが設置数は1つ以上であればよい。整流板107は、縮径部106の管軸を中心として放射状に複数設けるのが好ましい。
【0076】
図27及び図28に示すように、第1蓋部材108は、開口部22aに嵌め込み嵌合される円柱状の部材である。第1蓋部材108は、管本体部22の開口部22aに着脱自在に装着されている。
第1蓋部材108の底部側には、開口部22aを閉じるとともに管本体部22の上端側より管本体部22の底部側にまで延出する延出部108aが形成されている。
水流案内用斜面109は、この延出部108aに、すなわち第1蓋部材108の下部に形成されている。水流案内用斜面109は、開口部22aを第1蓋部材108で閉じた状態において、横管接続部23の中心軸線23aと竪管接続部24の中心軸線24aの両方に対し傾斜している。この水流案内用斜面109は、図27に示すように斜め上方に向かって凹む円弧状である。
【0077】
延出部108aに水流案内用斜面109が形成されているため、第1蓋部材108の鉛直方向の厚さは、横管接続部23側において薄く、その反対側に向かうに従い徐々に厚くなる。このため、延出部108aの下端108cは、管本体部22の下部側に延在されている。より詳しく説明すると、延出部108aの下端108cは、横管接続部23の最下端位置に対応する高さ位置になるように延在されている。
第1蓋部材108の水流案内用斜面109は、横管接続部23側から流入する雨水の量が増加した場合、雨水の流れる方向を円滑に下向きに変更し、配管用継手105の内部で乱流等が生じないように雨水の流れを調整するために設けられている。また、第1蓋部材108は、配管用継手105の内部を清掃する必要が生じた場合等に取り外しが可能なように、管本体部22に嵌合されている。
この第1蓋部材108の上端部には、外向きのフランジ部108dが形成されている。第1蓋部材108で管本体部22の開口部22aを閉じた場合に、管本体部22の開口部22aの周縁上面をフランジ部108dが覆う。
【0078】
雨水等が防水シート15に沿って流れ、ルーフドレン5に到達すると、その雨水は透孔11aを通過して横管6に流入し、配管用継手105の横管接続部23を介し管本体部22の内部に流れ込む。管本体部22に流れ込んだ雨水は、水流案内用斜面109に当たって流れる方向を下向きに変更し、縮径部106を通過し、竪管7を伝わって排水枡等の排水設備側に排出される。
【0079】
管本体部22の内部に流れ込む雨水の量が多くなると、雨水は水流案内用斜面109に当たるようになる。雨水の流れる方向が、水平向きから円滑に下向きに変更される。このため、大量の雨水が配管用継手105に流れ込んだとしても、管本体部22の内側に乱流や乱流に起因する逆向き流れ等が生じるおそれが少なく、良好な排水能力を得ることができる。
また、管本体部22の底部から縮径部106にかけて複数の整流板107を設けたので、管本体部22の底部側から縮径部106にかけて流れる雨水の流れを整流化できる。これにより、配管用継手105から竪管7に対し円滑に雨水を排出できる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態の配管用継手105では、竪管7への雨水の流入性や排水性を向上させることができる。
さらに、竪管接続部24の内径が横管接続部23の内径よりも小さい。例えば、ゲリラ豪雨等の対策のために横管6を大径化したとしても、竪管接続部24の内径を横管接続部23の内径よりも小さくしているので、より小さな内径の竪管7を接続することができる。
横管6が大径となり、横管6から竪管7に流入する雨水量が増加したとしても、竪管7を流れる雨水には重力が作用し、横管6を流れる雨水よりも速く雨水が排出されるので、排水能力に問題は生じない。
ゲリラ豪雨対策のために横管6を大径化したとして、竪管7を小径化できることにより、竪管7を支持する金具の強度を大きくする必要がなくなる。さらに、支持金具の必要個数も削減できる。また、竪管7を小径化できることにより、躯体に対する負荷を削減できる。加えて、大径の竪管7を用いることがなくなり、大径竪管7の保管スペースを削減でき、運搬重機の小型化に寄与し、建物1Aの設計施工に負荷をかけることのない構造を提供できる。
【0081】
配管用継手105は、水流案内用斜面109を備える。横管6から管本体部22の内側に流入した雨水の流れを、この雨水が水流案内用斜面109に当たって向きを変えることにより、円滑に方向を変えて竪管7側に導入できる。このため、管本体部22の内側を流れる雨水の流れを円滑化できる。
配管用継手105は、縮径部106を備える。従って、管本体部22から竪管7に向かって流れ込む雨水を、縮径部106により円滑に導入できる。
【0082】
図30は、第3実施形態に係る配管用継手105における管本体部22の中心軸線22bと竪管接続部24の中心軸線24aの位置関係を模式的に描いた説明図である。配管用継手105では、中心軸線22bと中心軸線24aが同じ位置で重なる構成となっている。
図31は、第3実施形態の第1変形例の配管用継手115における管本体部22の中心軸線22bと竪管接続部24の中心軸線24aの位置関係を模式的に描いた説明図である。
配管用継手115では、竪管接続部24が縮径部106の下方に設けられている点は配管用継手105の構造と同等であるが、竪管接続部24が図31に示すように右側に偏心された位置に形成されている点が異なる。
配管用継手115では、中心軸線22bと中心軸線24aとが、図31において左右に離間されている。即ち、竪管接続部24は、配管用継手105の竪管接続部24に対し外壁8からより離れた位置に設置される。このため、配管用継手115では、配管用継手105と比較した場合、外壁8から若干離れた位置に竪管7を配置できる。
【0083】
図32は、第3実施形態の第2変形例の配管用継手120における管本体部22の中心軸線22bと竪管接続部24の中心軸線24aとの位置関係を模式的に描いた説明図である。配管用継手120では、竪管接続部24が縮径部106の下方に設けられている点は配管用継手105と同等であるが、竪管接続部24が図32に示すように左側に偏心された位置に形成されている点が異なる。
配管用継手120では、中心軸線22bと中心軸線24aが、図32において左右に離間されている。即ち、竪管接続部24は配管用継手105に対し外壁8により近い位置に形成されている。このため、配管用継手120では、配管用継手105より外壁8に近い位置に竪管7を配置できる。
以上のように、配管用継手115,120では、管本体部22に対し竪管接続部24が偏心配置されている。
【0084】
外壁8に近い位置に竪管7を配置できることは、竪管7を支持する金具の強度をより小さくしても支持できることを意味するので竪管7の設置工事が容易となり、設備費を削減できる効果がある。
管本体部22に対し竪管接続部24が偏心配置されていると、例えば、配管用継手115,120の付近に位置している外壁8に対し、竪管7をより近い位置、あるいは離れた位置に設置することができる。竪管7を外壁8により近い位置に配置できるならば、竪管7に作用する風圧を軽減できるので、竪管7の支持構造に、風圧による負担が少なくなる。
【0085】
なお、上記実施形態では縮径部106の周回りに所定の間隔をあけて複数の整流板107が突設されていたが、整流板107の設置位置はこれに限るものではない。例えば、第1蓋部材108に整流板を1つまたは複数設けてもよい。第1蓋部材108の水流案内用斜面109を複数の板状にすることで、整流板としてもよい。第1蓋部材108の水流案内用斜面109から突出するように、整流板を設けてもよい。
この場合、整流板は横管接続部23及び竪管接続部24の管軸を通る平面と平行に配置することが好ましい。また、縮径部106と干渉しなければ、延出部108aの下端108cよりも下側の管本体部22の下部内面にも形成されていてもよい。さらに、第1蓋部材108と縮径部106の両方に整流板を設けてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、配管用継手105において管本体部22の上端には開口部22aが形成され、この開口部22aは着脱自在に嵌合された第1蓋部材108が設けられていた。しかし、管本体部22の側面に開口部が設けられ、側面の開口部に着脱自在に嵌合された第1蓋部材が設けられていてもよい。
【0087】
また、管本体部22の下方に設けられた縮径部106は、管本体部22と一体に成形されていてもよく、別部材として形成されていてもよい。管本体部22と縮径部106とが別部材の場合、射出成形での金型設計上の制約が少なく、縮径部106と一体に設けられる整流板の形状の自由度を高くできる。
また、整流板を別部材として成形した場合には、管本体部22に第1蓋部材を設けなくてもよい。管本体部22と縮径部106とを嵌合する前に管本体部22または縮径部106の内部に整流板を配置することができる。
【0088】
図33及び図34は、第1蓋部材108に複数の整流板108eを設けた、本発明に係る第3実施形態の第3変形例の配管用継手125を示す。この形態の配管用継手125には、第1蓋部材108の水流案内用斜面109から横管接続部23側と竪管接続部24側に突出する複数の整流板108eが設けられている。複数の整流板108eは、管本体部22の内側に向かって突出している。複数の整流板108eは、管本体部22の内面に突設されるように設けられてもよい。なお、第1蓋部材108に設けられる整流板108eの数は、1つでもよい。
整流板108eは、図33に示す向きで側断面視した場合、中心角をほぼ90°とする扇型に形成されている。また、複数の整流板108eは、図33のように断面視した状態で、図33の表示面に対し平行に複数枚(図面では5枚)、所定の間隔をあけて配置されている。複数の整流板108eは、図34のように正面視した状態で、左右方向に所定の間隔をあけて配置されている。複数の整流板108eは、横管接続部23の中心軸線及び竪管接続部24の中心軸線と、それぞれ平行に配置されている。
【0089】
配管用継手125は整流板108eを備えることにより、横管接続部23から竪管接続部24へ流れ込む雨水の流れを円滑化できる。
複数の整流板108eが管本体部22の内側に向かって突出している場合には、管本体部22から竪管接続部24へ流れ込む雨水の流れを、整流板108eにより円滑化できる。
【0090】
図35は、内部にサイフォン起動部材131を設けた、第3実施形態の第4変形例の配管用継手130を示す。配管用継手130には、管本体部22の内底部にサイフォン起動部材131が設けられている。
サイフォン起動部材131は、取付部132と、複数(例えば4つ)の整流片133と、水抜け板134と、を有している。
取付部132は、背の低い筒型である。複数の整流片133は、取付部132の内周側4箇所から、内側斜め上方に延出されている。水抜け板134は、円板型である。水抜け板134は、複数の整流片133の上端部に一体に接続されている。
【0091】
整流片133は、取付部132の内周側に内周回りに90°間隔で4つ延出されている。各整流片133は、取付部132の内周部から取付部132の中心軸線に向かって斜め上方に延出されている。
各整流片133の上端部が水抜け板134に接合する部分には、水抜け板134の周面に接続する傾斜部136が形成されている。傾斜部136は、水抜け板134の周面に対し傾斜しつつ接合している。
【0092】
取付部132は、管本体部22の内周面に接着等の取付手段により固定されている。
取付部132から上方に延出する4つの整流片133は、管本体部22の周面における横管6との接続部に望むように配置されている。
また、水抜け板134は、管本体部22の中心軸線に対し直交する向きに(水平に)配置される。水抜け板134は、管本体部22に対し横管6が接続した部分の高さ半分ほどの位置に設置されている。
【0093】
水抜け板134と取付部132との間の開口が、排水の流入開口部F1とされる。
流入開口部F1の面積は、取付部132の上面側開口面積(落し口部の開口面積)よりも大きい面積となるように、サイフォン起動部材131の各部の大きさや高さ、形状が調整されている。
【0094】
水抜け板134の直径は、管本体部22の内径の半分程度である。水抜け板134は取付部132の上方に設置されているので、管本体部22に流れ込んだ排水は、水抜け板134の周囲を通過して縮径部106に至り、竪管7側に排出される。
また、排水量が増加し、管本体部22の内部において水抜け板134よりも高い位置まで排水が達すると、サイフォン起動部材131を排水が通過する際にサイフォン現象が発生する。即ち、サイフォン起動部材131よりも下方の竪管7側に気泡等を巻き込むことなく、竪管7の内部を排水で満たしつつ効率良く排水できる。
このため、竪管7に多量の排水を流すことができる。従って、内径の大きな横管6から内径の小さな竪管7側に多量の排水が流れ込んだとして、竪管7を利用した良好な排水性を確保できる。
横管6の長さは、必要以上長くする必要は無い。例えば、横管6の長さが2m以下であれば、サイフォン現象の発生に影響がなく、問題はない。また、横管6の長さは1.0m以内がより好ましい。
【0095】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図36から図41を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図36に示すように、本実施形態の排水配管システムS4では、第1実施形態の排水配管システムS1における第1接続部材26及び第2接続部材27が一体化されている。排水配管システムS4は、排水配管システムS1の配管用継手3に代えて、配管用継手140を備えている。配管用継手140は、配管用継手3の第1接続部材26、第2接続部材27、サイフォン起動部材28に代えて、径違いソケット141、サイフォン起動部材146を備えている。
【0096】
図37及び図38に示すように、径違いソケット141は、大径部142と、小径部143と、接続部144と、を有する。大径部142、小径部143、及び接続部144は、それぞれ円筒状に形成され、互いに同軸に配置されている。小径部143の外径は、大径部142の外径よりも小さい。小径部143は、大径部142よりも下方に配置されている。
接続部144では、下方に向かうに従い漸次、外径が小さくなる。接続部144は、大径部142と小径部143との間に配置されている。接続部144の上端部は、大径部142の下端部に連なっている。接続部144の下端部は、小径部143の上端部に連なっている。
図36に示すように、大径部142は、竪管接続部24内に配置され、竪管接続部24に接続されている。竪管7の上端部は、小径部143内に配置され、小径部143に接続されている。
以上のように構成された径違いソケット141は、縮径部として機能する。径違いソケット141は、管本体部22と別体である。
【0097】
図37及び図38に示すように、サイフォン起動部材146は、蓋部材147と、フランジ部148と、接続筒部149と、を有する。
例えば、蓋部材147は、有頂筒状である。蓋部材147の側面には、排水用の流入開口部F2が形成されている。
フランジ部148及び接続筒部149は、それぞれ円筒状に形成されている。
フランジ部148は、蓋部材147の下端部を、蓋部材147の径方向外側から覆っている。蓋部材147は、フランジ部148に接続されている。
接続筒部149は、フランジ部148よりも下方に配置されている。接続筒部149は、図示しない接続部を介してフランジ部148に接続されている。
【0098】
以上のように構成されたサイフォン起動部材146は、径違いソケット141に、径違いソケット141の上方から組付けられている。具体的には、小径部143内に接続筒部149が配置され、接続部144上にフランジ部148が配置されている。そして、図36に示すように、配管用継手140の竪管接続部24に径違いソケット141が接続されたときに、管本体部22と蓋部材147との間に、径方向に隙間が形成される。
そして、サイフォン起動部材146は、大雨時に多量の雨水が流入開口部F2から流入したときに、空気を吸い込むことなく竪管7を満水状態としたまま水封する。その結果、サイフォン起動部材146よりも下流側にサイフォン現象を発生させて、竪管7の内部を排水で満たしつつ効率良く排水できる。
【0099】
以上説明したように、本実施形態の配管用継手140では、竪管7への雨水の流入性や排水性を向上させることができる。
【0100】
図39は、本発明に係る第4実施形態の第1変形例の排水配管システムS4aを示す。図39及び図40に示すように、排水配管システムS4aが備える配管用継手155は、第4実施形態の配管用継手140の竪管接続部24、サイフォン起動部材146に代えて、底板156、竪管接続部157、及びサイフォン起動部材158を備えている。
図40及び図41に示すように、底板156は、円環状である。底板156は、管本体部22の下端部における径方向内側に形成されている。
竪管接続部157は、円筒状である。竪管接続部157は、底板156の内周縁から下方に向かって延びている。すなわち、竪管接続部157の外径は、管本体部22の外径よりも小さい。
【0101】
サイフォン起動部材158は、水抜け板161と、一対の支持脚162と、を有する。
水抜け板161は、円板状であり、水平面に沿うように配置されている。水抜け板161は、管本体部22内に、管本体部22から離間するように配置されている。水抜け板161は、横管接続部23における鉛直方向の中間部と、鉛直方向において同じ位置に配置されている。
各支持脚162は、平板状である。各支持脚162は、横管接続部23の中心軸線、及び鉛直方向にそれぞれ沿って配置されている。一対の支持脚162は、横管接続部23の中心軸線及び鉛直方向にそれぞれ直交する方向に互いに間隔を空けて配置されている。一対の支持脚162の上端部は、水抜け板161にそれぞれ接合されている。一対の支持脚162の下端部は、竪管接続部157にそれぞれ接合されている。すなわち、サイフォン起動部材158は、管本体部22と一体である。
以上のように構成された配管用継手155は、例えば射出成形により一体に形成されている。
【0102】
図39に示すように、配管用継手155の竪管接続部157は、ソケット163を介して竪管7の上端部に接続されている。
【0103】
以上のように構成された配管用継手155では、サイフォン起動部材158によりサイフォン現象を発生させて、竪管7の内部を排水で満たしつつ効率良く排水できる。
さらに、雨水が横管6から管本体部22に流れ込む際に、水抜け板161及び一対の支持脚162が、横管6から流れ込む雨水に対して支障となるのを抑制することができる。
【0104】
以上、本発明の第1実施形態から第4実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態から第4実施形態では、管本体部は、例えば、中心角が90°の円弧状の曲がり管を用いたエルボ管でもよい。この場合、配管用継手は、横管接続部と、竪管接続部と、を備える。
整流部材がサイフォン起動部材であるとしたが、整流部材は排水の流れを整える作用があるものであれあ、特に限定されない。
【0105】
「排水能力の検証試験」
図8に示す配管用継手45を適用し、実際に排水を行った場合の有効性について以下の3種類の検証試験を行った。
検証試験において、図42に示す3階建ての建物1Bを利用し、3階のフロア173に横幅30cm、深さ35cm、長さ8mの軒樋模擬体175を設置した。軒樋模擬体175の一方の端面壁175aに、図43に示す、V字形の横管(横引管:呼び径150A)176を接続し、この横管176の先端部に、配管用継手45の横管接続部23を接続した。配管用継手45の竪管接続部24に、建物1Bの3階のフロア173から1階のフロア171に到達する高さ約6mの竪管(呼び径75A)178を接続した。
1階のフロア171に設置した雨水枡179に、接続管180を介して竪管178を接続した。この雨水枡179は、1階のフロア171に設置した横管181を介し、排水ピット182に接続した。
なお、軒樋模擬体175において、横管176を接続した端面壁175aの内側に、ルーフドレン5を配置した。
【0106】
第1の検証試験は、以上説明の検証試験装置を用い、軒樋模擬体175に所定量の水を流した場合の排水性について検証試験を行った。検証試験は、軒樋に所定量の水道水(5L/s、10L/s、15L/s、20L/s)を流し、長さ30cmの横管176から配管用継手45を通過させて竪管178に水道水を排出した場合、軒樋模擬体175の端面壁175aから50cm離間した位置での水位(水下水位と表記)を測定することで行った。第1の検証試験の結果を、図45に記載する。
【0107】
第2の検証試験は、先に説明した検証試験装置において、軒樋模擬体175の端面壁175aに設けた横管176を取り外し、代わりに、図44に示すように軒樋模擬体175の端面壁175aから45cm離れた側壁175bに、L字型の横管(横引管:呼び径150A)185を接続した。この横管185の先端部に、配管用継手45の横管接続部23を接続した。軒樋模擬体175の長さ方向に沿う横管185の長さは1mとした。
なお、軒樋模擬体175において横管185を接続した側壁175bの内側に、ルーフドレン5を配置した。
第2の検証試験は、軒樋に所定量の水道水(5L/s、10L/s、15L/s、20L/s)を流し、長さ1mの横管185から配管用継手45を通過させて竪管178に排水した場合、軒樋模擬体175の端面壁175aから50cm離間した位置での水位(水下水位と表記)を測定することで行った。第2の検証試験の結果を、図45に記載する。
【0108】
第3の検証試験は、第1の検証試験で用いた検証装置において、配管用継手45に替えて90°Y管を継手として用い、呼び径150Aの横管に呼び径150Aの竪管を接続し、第1の検証試験と同等の検証試験を行った。第3の検証試験の結果を、図45に示す。
【0109】
図45に示すグラフでは、軒樋模擬体175に流した水量(流量)(5L/s、10L/s、15L/s、20L/s)を横軸に示し、縦軸に水下水位(0~300mm)を示した。
図45のグラフに示すように、いずれの検証試験においても、軒樋模擬体175に流した水量が増加すると、水下水位は徐々に上昇する。図45に示すグラフにおいて、同じ水量の比較において、水下水位の値の低い方が排水性に優れていることを意味している。
【0110】
第3の検証試験結果は、従来例に相当する。これに対し、第1の検証試験結果と第2の検証試験結果が本願発明においてサイフォン起動部材を備えた場合の試験例に相当する。横管176を用いた第1の検証試験結果と、横管185を用いた第2の検証試験結果を比較すると、横管の長さが0.3mであっても1.0mであっても、若干の水位差はあるものの、いずれの検証試験でも良好な排水性を発揮した。
このことから、横管の長さが1.0mであっても0.3mであってもサイフォン現象の発生に支障ないことが分かった。
従来例に相当する第3の検証試験では呼び径150Aの竪管を用い、第1、第2の検証試験で用いた呼び径75Aの2倍の管径の竪管を用いている。従来構造の半分の径である呼び径75Aの竪管を用いているとしても、本願構造では、より優れた排水性を発揮することがわかった。
これは、配管用継手の内部に設けたサイフォン起動部材28がサイフォン現象を利用して円滑な排水を行った結果であると考えられる。
【符号の説明】
【0111】
1A 建物
2 腰壁
3,45,50,55,60,65,70,75,80,85,90,95,100,105,115,120,125,130,140,155 配管用継手
5 ルーフドレン
6 横管
7 竪管
22,66,67,68 管本体部
22a 開口部
22A,156 底板
23,71,76 横管接続部
23a,24a 中心軸線
24,157 竪管接続部
25 第2竪管接続部
28,42,131,146,158 サイフォン起動部材(整流部材)
36 第2竪管
37 第2蓋部材
46,108 第1蓋部材
106 縮径部
108e 整流板
109 水流案内用斜面
S1,S1a,S2,S2a,S2b,S2c,S2d,S2e,S2f,S2g,S2h,S2i,S2j,S2k,S3,S4,S4a 排水配管システム
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