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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051368
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】施工管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20230404BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161987
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】片野 景一郎
(72)【発明者】
【氏名】大籔 直孝
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】施工現場をモデル化したデータにおいて存在する継手の情報を利用して、継手の施工管理を行えるようにする。
【解決手段】融着装置、複数の施工端末及び施工管理サーバを備える施工管理システムにおいて、融着装置100は、施工現場においてパイプの連結を行うのに使用される継手のうちで施工対象の継手に固有であって当該施工対象の継手の施工位置を示す継手固有情報を取得する継手固有情報取得部と、継手固有情報取得部により取得された継手固有情報と、施工対象の継手についての施工結果に関連する情報とを含む施工履歴情報を生成する施工履歴情報処理部と、を備える。施工端末は、施工現場のモデルを示す施工モデルデータにおいてモデル内位置が示されるモデル内継手のうち、施工履歴情報の継手固有情報により示される継手の施工位置に対応するモデル内位置のモデル内継手に対して、施工履歴情報を連結する施工モデルデータ処理部を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工現場においてパイプの連結を行うのに使用される継手のうちで施工対象の継手に固有であって当該施工対象の継手の施工位置を示す継手固有情報を取得する継手固有情報取得部と、
前記継手固有情報取得部により取得された継手固有情報と前記施工対象の継手についての施工結果に関連する情報とを含む施工履歴情報を生成する施工履歴情報処理部と、
前記施工現場のモデルを示す施工モデルデータにおいてモデル内位置が示されるモデル内継手のうち、前記施工履歴情報の継手固有情報により示される継手の施工位置に対応するモデル内位置のモデル内継手に対して、前記施工履歴情報を連結する施工モデルデータ処理部と
を備える施工管理システム。
【請求項2】
前記継手固有情報取得部は、パイプとの融着のために継手に通電を行う融着装置に備えられる
請求項1に記載の施工管理システム。
【請求項3】
前記継手固有情報取得部は、
前記施工モデルデータにおいて前記モデル内継手ごとに一意となるように付された継手識別子を取得する
請求項1または2に記載の施工管理システム。
【請求項4】
端末装置は、前記施工モデルデータの前記モデル内継手のうちからモデル内継手を選択する操作により選択されたモデル内継手に付されている継手識別子を出力する継手識別子出力部を備え、
前記継手固有情報取得部は、前記継手識別子出力部により出力された継手識別子を、継手固有情報として取得する
請求項3に記載の施工管理システム。
【請求項5】
前記継手固有情報取得部は、
施工現場にて施工対象の継手の施工が行われる位置を当該施工対象の継手の位置として示す継手位置情報を、継手固有情報として取得する
請求項1から4のいずれか一項に記載の施工管理システム。
【請求項6】
端末装置にて、前記施工履歴情報が連結された施工モデルデータに基づいて、継手の施工の状況に関する情報を表示させる表示制御手段を備える
請求項1から5のいずれか一項に記載の施工管理システム。
【請求項7】
前記表示制御手段は、
前記継手の施工の状況に関する情報として、施工現場における継手の施工の進捗状況を表示する
請求項6に記載の施工管理システム。
【請求項8】
前記表示制御手段は、
施工モデルデータに連結された施工履歴情報における施工品質を示す情報に基づいて、前記継手の施工の状況に関する情報として、施工現場における継手の施工不良に関する情報を表示する
請求項6または7に記載の施工管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
加工制御装置による接合加工の状況を示し、接合加工に係る位置を示す位置情報を含む状況情報を、地図上にて上記の位置情報が示す位置に重畳させて表示する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-191798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
BIM(Building Information Modeling)による建物のモデルのデータを建物の設計、施工に用いることが行われるようになっている。このようなことを背景とすると、BIMのような施工現場をモデル化したデータにおいて存在する継手の情報を利用して継手の施工管理を行えるようにすれば、施工管理の効率化が図られることとなって好ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、施工現場をモデル化したデータにおいて存在する継手の情報を利用して、継手の施工管理を行えるようにすることを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、施工現場においてパイプの連結を行うのに使用される継手のうちで施工対象の継手に固有であって当該施工対象の継手の施工位置を示す継手固有情報を取得する継手固有情報取得部と、前記継手固有情報取得部により取得された継手固有情報と前記施工対象の継手についての施工結果に関連する情報とを含む施工履歴情報を生成する施工履歴情報処理部と、前記施工現場のモデルを示す施工モデルデータにおいてモデル内位置が示されるモデル内継手のうち、前記施工履歴情報の継手固有情報により示される継手の施工位置に対応するモデル内位置のモデル内継手に対して、前記施工履歴情報を連結する施工モデルデータ処理部とを備える施工管理システムである。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明によれば、施工現場をモデル化したデータにおいて存在する継手の情報を利用して、継手の施工管理を行えるようになるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態における施工管理システムの一例を示す図である。
図2】第1実施形態における融着装置の構成例を示す図である。
図3】第1実施形態における施工履歴情報の一例を示す図である。
図4】第1実施形態における施工履歴情報の一例を示す図である。
図5】第1実施形態における施工端末の構成例を示す図である。
図6】第1実施形態における施工管理サーバの構成例を示す図である。
図7】第1実施形態における融着装置、施工端末、及び施工管理サーバが施工モデルデータへの施工履歴情報の連結に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
図8】第1実施形態における継手選択画面の一例を示すフローチャートである。
図9】第1実施形態における施工端末が施工状況の情報の表示に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
図10】第1変形例における継手選択画面の一例を示すフローチャートである。
図11】第2実施形態における施工管理システムの一例を示す図である。
図12】第2実施形態における融着装置及び施工管理サーバが施工モデルデータへの施工履歴情報の連結に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
図13】第4変形例における施工管理システムの一例を示す図である。
図14】第5変形例における施工管理システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
[施工管理システムの構成]
第1実施形態の施工管理システムについて説明する。本実施形態の施工管理システムは、建物を施工する施工現場での電気融着継手の施工についての管理を、BIM(Building Information Modeling)を用いて行うシステムである。
電気融着継手は、ポリエチレンなどの熱可塑性を有する材質のパイプの連結を電気融着によって行えるようにした継手である。以降の説明においては、電気融着継手について単に継手と記載する。
BIMは、建物の構造を3次元モデル化する技術である。本実施形態の施工管理システムにおいては、BIMにより施工対象の建物を3次元モデル化したデータ(施工モデルデータ)を施工管理に用いる。本実施形態の施工モデルデータにおいては、上下水等に対応する配管構造も存在しており、配管構造においてはパイプ(例えば、直管)を連結する継手の存在も示される。
【0010】
図1は、本実施形態の施工管理システムの一例を示している。同図の施工管理システムは、融着装置100、施工端末200(200A、200B)、及び施工管理サーバ300を備える。
【0011】
施工現場1においては、継手を施工する作業者が用いる融着装置100と施工端末200Aとが備えられる。施工端末200Aには、作業者が施工現場1にて行う継手の施工を支援する施工作業支援アプリケーションがインストールされる。
【0012】
融着装置100は、2本のパイプ同士を継手により接合するために継手に通電を行う装置である。作業者は、継手の施工として、継手にパイプを差し込んだうえで融着装置100を用いて継手に通電を行う。通電が行われたことで継手の電熱線が加熱され、電熱線の熱により継手とパイプとが溶融して接合される。
【0013】
融着装置100と施工端末200Aは通信が可能なように接続される。融着装置100と施工端末200Aとの接続は、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によるものであってよい。また、融着装置100と施工端末200Aとの接続は、USB等の有線によるデータインターフェース等により接続されてもよい。
【0014】
施工端末200Aは、施工モデルデータに基づく施工図面を表示させることが可能とされる。また、施工端末200Aは、作業者の操作に応じて、施工対象の継手固有情報を施工モデルデータに基づく施工図面から指定し、出力することが可能とされる。施工端末200Aは、例えばタブレット端末やスマートフォンなどの携帯端末であってよい。
施工端末200Aは、施工管理サーバ300とネットワーク経由で通信可能に接続される。
【0015】
施工管理サーバ300は、施工現場1における継手の施工管理を行うサーバである。
【0016】
施工端末200Bは、施工現場1の管理者が利用する端末である。施工端末200Bは、施工管理サーバ300とネットワーク経由で通信可能に接続される。
施工端末200Bには、管理者が行う施工現場1における継手の施工状況の管理を支援する施工状況管理アプリケーションがインストールされる。
【0017】
なお、融着装置100も、施工管理サーバ300とネットワーク経由で通信可能に接続されてよい。
【0018】
[融着装置の構成例]
図2は、融着装置100の構成例を示している。同図の融着装置100は、通信部101、表示部102、操作部103、コードリーダ104、コネクタ105、105、制御部106、記憶部107を備える。なお、通信機110は、第2実施形態に対応して備えられる部位であることから、ここでの説明を省略する。また、同図の融着装置100としての機能は、融着装置100が備えるCPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することにより実現される。
【0019】
通信部101は、例えば近距離無線通信により施工端末200Aと通信を行う。また、通信部101は、ネットワークの通信に対応可能とされることで、施工管理サーバ300と通信が可能なようにされてよい。
【0020】
表示部102は、制御部106の制御に応じて画像を表示する。
【0021】
操作部103は、ユーザである作業者の操作を受け付ける部位である。融着装置100は、操作部103において、表示部102と組み合わされたタッチパネルを備えてよい。
【0022】
コードリーダ104は、バーコードの読み取りを行う部位である。コードリーダ104は、例えば2次元コード等のバーコード以外のコードの読み取りが可能とされてよい。
【0023】
コネクタ105、105は、それぞれ、継手の電熱線に通電させるための部位である。コネクタ105、105は、それぞれケーブルを介して融着装置100の本体から引き出されるように設けられている。
コネクタ105、105は、それぞれ継手における電熱線と接続可能となるように継手の所定箇所に取り付けられる。この状態のもとで、制御部106の制御に応じてコネクタ105、105に通電が行われることで、継手の電熱線にも電流が供給され、継手とパイプとを融着させることで物理的に連結させることができる。
【0024】
制御部106は、融着装置100における各種制御を行う。制御部106は、継手固有情報取得部161、施工履歴情報処理部162、及び通電制御部163を備える。
【0025】
継手固有情報取得部161は、継手固有情報としての施工継手IDを取得する。
施工履歴情報処理部162は、施工履歴情報を生成する。施工履歴情報処理部162は、継手固有情報取得部161により取得された施工継手IDと、通電制御部163の通電制御による施工結果に関連する情報とを含む情報を、施工履歴情報として生成する。ここでの施工とは、融着装置100により継手に通電することで継手とパイプとの融着を行う工程である。
通電制御部163は、コネクタ105、105に電流を流すための制御(通電制御)を実行する。
【0026】
記憶部107は、融着装置100に関する情報を記憶する。記憶部107は、施工履歴情報記憶部171を備える。施工履歴情報記憶部171は、施工履歴情報を記憶する。施工履歴情報は、施工現場1にて融着装置100により施工(パイプとの融着)が行われた継手ごとの施工結果に関する情報である。
【0027】
[施工履歴情報について]
図3(A)は、1の継手に対応して施工履歴情報記憶部171が記憶する施工履歴情報の一例を示している。同図に示されるように、1の継手に対応する施工履歴情報は、施工基本情報フィールドFL1、施工継手情報フィールドFL2、融着結果情報フィールドFL3、及び継手固有情報フィールドFL4を有する。
【0028】
施工基本情報フィールドFL1は、施工履歴情報における基本的な情報を格納するフィールドである。
図3(B)は、施工基本情報フィールドFL1の一具体例を示している。同図においては、具体的事例として、施工が行われた5つの継手についての施工基本情報フィールドFL1の内容が示される。同図の施工基本情報フィールドFL1は、融着装置ID、施工番号、及び施工日時のフィールドを含む。
【0029】
融着装置IDのフィールドは、対応の施工(融着)に応じた通電を行った融着装置100を示す融着装置IDを格納する。
施工番号のフィールドは、対応の継手の施工に対して付された番号(施工番号)を格納する。
施工日時のフィールドは、対応の継手の施工が行われた日時(施工日時)を格納する。
【0030】
施工継手情報フィールドFL2は、対応の施工対象とされた継手に関する情報(施工継手情報)を格納する。
図3(C)は、施工継手情報フィールドFL2の一具体例を示している。同図は、図3(B)と同じ5つの継手に対応する施工継手情報フィールドFL2を示している。同図の施工継手情報フィールドFL2は、品種、サイズ、製造者、管理番号、標準抵抗、標準出力電圧、標準通電時間、及びバーコードデータのフィールドを含む。
【0031】
品種のフィールドは、対応の施工対象の継手の品種(種別)を示す情報を格納する。
サイズのフィールドは、対応の施工対象の継手のサイズを示す情報を格納する。
製造者のフィールドは、対応の施工対象の継手の製造者(メーカ)を示す情報を格納する。
管理番号のフィールドは、対応の施工対象の継手に付与されている管理番号(製品番号)を格納する。
標準抵抗のフィールドは、対応の施工対象の継手の電熱線の抵抗値を示す情報を格納する。
標準出力電圧のフィールドは、対応の施工対象の継手に通電を行う際に印加すべき標準の出力電圧を示す情報を格納する。
バーコードデータのフィールドは、対応の施工対象の継手に貼付されている仕様バーコードの値(バーコードデータ)を格納する。継手に貼付されている仕様バーコードは、対応の継手の仕様を示す継手仕様情報をコード化したものである。仕様バーコードによる継手仕様情報は、対応の継手の種類、サイズ、シリアルナンバ、SDR値(外形肉厚の係数、電熱線の原料の特性(種類、抵抗変化許容値等)、通電電圧を示す。電熱線の標準抵抗値、電熱線の抵抗許容差、電熱線の温度特性、通電時間、温度補正係数、チェックディジット(C/D)等を示す。
このような仕様バーコードから読み取られる継手仕様情報は、施工継手情報フィールドFL2における情報に反映される。
【0032】
融着結果情報フィールドFL3は、対応の継手について施工を行った結果を示す情報を格納する。
図4(A)は、融着結果情報フィールドFL3の具体例を示している。同図は、図3(B)、図3(C)と同じ5つの継手に対応する融着結果情報フィールドFL3を示している。同図の融着結果情報フィールドFL3は、終了状態、環境温度、実抵抗、最低出力電圧、最高出力電圧、最低出力電流、最高出力電流、最低入力電圧、最高入力電圧、目標通電時間、実通電時間、残り通電時間、及び融着エネルギーのフィールドを含む。
【0033】
終了状態のフィールドは、対応の継手についての施工後の状態(終了状態)を示す終了コードを格納する。終了コードは、正常終了、電源切断、電流異常などの終了状態に応じた所定の値が定められている。終了状態は継手の施工品質を示す情報となる。
環境温度のフィールドは、対応の継手についての施工に際して融着装置100が測定した周囲温度(環境温度)を示す情報を格納する。
実抵抗のフィールドは、施工に際して融着装置100が測定した対応の継手の電熱線の実の抵抗値(実抵抗)を示す情報を格納する。
最低出力電圧のフィールドは、施工に際して融着装置100が通電を行った際に測定された出力電圧の最低値を示す情報を格納する。
最高出力電圧のフィールドは、施工に際して融着装置100が通電を行った際に測定された出力電圧の最高値を示す情報を格納する。
最低出力電流のフィールドは、施工に際して融着装置100が通電を行った際に測定された出力電流の最低値を示す情報を格納する。
最高出力電流のフィールドは、施工に際して融着装置100が通電を行った際に測定された出力電流の最高値を示す情報を格納する。
最低入力電圧のフィールドは、施工に際して融着装置100が通電を行った際に測定された入力電圧の最低値を示す情報を格納する。
最高入力電圧のフィールドは、施工に際して融着装置100が通電を行った際に測定された入力電圧の最高値を示す情報を格納する。
目標通電時間のフィールドは、施工に際して融着装置100が所定の条件に基づいて算出した目標通電時間を格納する。
実通電時間のフィールドは、施工に際して融着装置100が実際に通電を行った実通電時間を格納する。
残り通電時間のフィールドは、施工に際して融着装置100が実際に通電を行った際の目標通電時間に対する実通電時間の不足分である残り通電時間を格納する。
融着エネルギーのフィールドは、施工(融着)に際して融着装置100が使用したエネルギーを示す情報を格納する。
【0034】
継手固有情報フィールドFL4は、対応の継手に対応して取得した継手固有情報を格納する。図4(B)は、継手固有情報フィールドFL4の具体例を示している。同図は、図4(A)と同じ5つの継手に対応する継手固有情報フィールドFL4を示している。
同図の継手固有情報フィールドFL4は、施工継手IDを格納するフィールドを含む。施工現場1の施工モデルデータにおいては配管構造が示されており、配管構造において存在する継手のそれぞれに一意となるようにIDが付されている。このように施工モデルデータにおいて継手ごとに対応付けられたIDが施工継手IDである。
施工継手IDのフィールドは、対応の施工対象とされた継手について、融着装置100が施工モデルデータから取得した施工継手IDが付されている。
【0035】
なお、図4(C)の継手固有情報フィールドFL4は第2実施形態に対応することから、ここでの説明は省略する。
【0036】
[施工端末の構成例]
図5は、施工端末200の構成例を示している。同図の施工端末200は、通信部201、表示部202、操作部203、カメラ204、制御部205、及び記憶部206を備える。
【0037】
通信部201は、近距離無線通信により融着装置100と通信を行う。また、通信部201は、ネットワーク経由で施工管理サーバ300と通信を行う。
【0038】
表示部202は、制御部205の制御に応じて画像を表示する。
【0039】
操作部203は、ユーザである作業者の操作を受け付ける部位である。施工端末200は、操作部203において、表示部202と組み合わされたタッチパネルを備えてよい。
【0040】
カメラ204は、撮像を行うことで撮像画像を得る。
【0041】
制御部205は、施工端末200における制御を実行する。制御部205は、継手識別子出力部251と、施工モデルデータ処理部252と、施工状況情報出力部253とを備える。
【0042】
継手識別子出力部251は、施工モデルデータ記憶部261が記憶する施工モデルデータにおいて存在する継手(モデル内継手)のうちから継手内モデルを選択する操作を受け付ける。継手識別子出力部251は、施工モデルデータにおいて選択された継手内モデルに付されている施工継手ID(継手識別子の一例)を出力する。
具体的に、本実施形態の継手識別子出力部251は、モデル内継手を選択する操作を受け付ける継手選択画面を表示部202に表示する。継手識別子出力部251は、表示された継手選択画面に対する作業者の操作によって選択されたモデル内継手の施工継手IDを出力する。出力の態様として、本実施形態の継手識別子出力部251は、選択されたモデル内継手の施工継手IDを融着装置100に送信するようにされる。
【0043】
施工モデルデータ処理部252は、施工モデルデータ記憶部261が記憶する施工モデルデータを処理する。具体的に、施工モデルデータ処理部252は、施工モデルデータ記憶部261が記憶する施工モデルデータに存在するモデル内継手に対して、同じ継手施工IDの施工履歴情報を連結させる。つまり、モデル内継手に施工履歴情報が対応付けられる。
【0044】
継手識別子出力部251、施工モデルデータ処理部252としての機能は、施工端末200Aにインストールされた施工作業支援アプリケーションにより実現されるものであってよい。
【0045】
施工状況情報出力部253は、施工履歴情報が連結された施工モデルデータに基づいて、施工現場1における継手についての施工状況に関する情報(施工状況情報)を出力する。具体的に、施工状況情報出力部253は、施工状況情報の内容が反映された施工状況画面を表示部202に表示させる。
施工状況情報出力部253としての機能は、施工端末200Bにインストールされた施工状況管理アプリケーションのもとで実現されるものであってよい。
【0046】
記憶部206は、施工端末200に関する情報を記憶する。記憶部206は、施工モデルデータ記憶部261を記憶する。施工モデルデータ記憶部261は、施工管理サーバ300から取得した施工モデルデータを記憶する。施工モデルデータ記憶部261が記憶する施工モデルデータ記憶部261は、作業者が継手の施工を行う際に利用される。
【0047】
[施工管理サーバの構成例]
図6は、施工管理サーバ300の構成例を示している。同図の施工管理サーバ300としての機能は、施工管理サーバ300が備えるCPUがプログラムを実行することにより実現される。
同図の施工管理サーバ300は、通信部301、制御部302、及び記憶部303を備える。
【0048】
通信部301は、ネットワーク経由で施工端末200A、200B等と通信を行う。また、通信部301は、ネットワーク経由で融着装置100と通信可能とされてもよい。
【0049】
制御部302は、施工管理サーバ300における制御を実行する。制御部302は、施工モデルデータ処理部321を備える。
施工モデルデータ処理部321は、施工モデルデータ記憶部331が記憶する施工モデルデータに関する処理を実行する。
【0050】
記憶部303は、施工管理サーバ300に関する情報を記憶する。記憶部303は、施工モデルデータ記憶部331を備える。
施工モデルデータ記憶部331は、施工モデルデータを記憶する。施工モデルデータ記憶部331が記憶する施工モデルデータは、施工モデルデータにおいて存在する継手に対して、データ構造的に、当該継手に対応する施工履歴情報を連結した(対応付けた)ものである。
【0051】
[施工モデルデータ処理に関する処理手順例]
図7のフローチャートを参照して、融着装置100、作業者の施工端末200A、及び施工管理サーバ300が実行する処理手順例について説明する。同図の処理手順は、融着装置100を利用して作業者が行う1の継手の施工に対応して、パイプを連結するための処理となる。
【0052】
まず、融着装置100が実行する処理手順例について説明する。
ステップS101:作業者は、1の継手をパイプと融着させる施工を行うにあたり、融着装置100のコードリーダ104に、施工に使用する継手(施工対象の継手)に貼付されている仕様バーコードを読み取らせる操作を行う。融着装置100の制御部106は、コードリーダ104により読み取られた仕様バーコードから継手仕様情報を取得する。
【0053】
ステップS102:制御部106は、ステップS102により取得した継手仕様情報を施工端末200Aに送信する。
【0054】
ステップS103:ステップS102による継手仕様情報の送信が行われた後において、作業者は、施工端末200Aにて表示された継手選択画面に対する操作により、施工モデルにおいて存在する継手(モデル内継手)のうちから、今回の施工対象の継手に合致するモデル内継手を選択する継手選択操作を行う。
施工端末200Aは、継手選択操作により選択されたモデル内継手の継手施工IDを融着装置100に送信する。融着装置100において通信部101は、施工端末200Aから送信された継手施工IDを受信する。施工端末200Aは、受信した継手施工IDを記憶する。
【0055】
ステップS104:融着装置100の制御部106において、通電制御部163は、ステップS101の仕様バーコードの読み取りにより取得された継手仕様情報に基づいて、施工対象の継手に対応する通電パラメータを設定する。
ステップS105:作業者は、融着装置100のコネクタ105、105を施工対象の継手に取り付け、通電開始の操作を行う。通電開始の操作に応じて、通電制御部163は、コネクタ105、105に通電させる通電制御を実行する。
【0056】
ステップS106:ステップS105により開始された通電制御が完了すると、施工履歴情報処理部162は、今回の施工結果が反映された施工履歴情報を生成する。施工履歴情報は図3(A)に示される構造である。施工履歴情報処理部162は、施工履歴情報を生成するにあたり、継手固有情報フィールドFL4における施工継手IDとして、ステップS103にて受信した継手施工IDを含める。
【0057】
ステップS107:施工履歴情報処理部162は、ステップS106により生成した施工履歴情報を施工履歴情報記憶部171に記憶させる。また、施工履歴情報処理部162は、ステップS106により生成した施工履歴情報を、施工端末200Aに送信する。
【0058】
次に施工端末200Aの処理手順例について説明する。同図の施工端末200Aの処理は、施工端末200Aにインストールされた施工支援アプリケーションが動作することにより実現されるものであってよい。
ステップS201:施工端末200Aにおいて、継手識別子出力部251は、ステップS102により融着装置100から送信された継手仕様情報を受信する。
【0059】
ステップS202:本実施形態の施工モデルデータにおいて、モデル内継手のそれぞれには、対応の仕様を示す情報が付加されている。そこで、継手識別子出力部251は、ステップS201にて受信した継手仕様情報において示される所定の仕様項目が一致する継手内モデルを、選択候補として検索する。検索にあたって用いられる上記の仕様項目としては、例えば、口径、種類(種別)であってよい。
【0060】
ステップS203:継手識別子出力部251は、ステップS202により検索された選択候補を提示した継手選択画面を表示部202に表示する。
図8は、継手選択画面の一例を示している。同図の継手選択画面においては、施工モデルデータ記憶部261が記憶する施工モデルデータに基づいて、施工現場1に対応する建物における配管が示される図面が表示される。そのうえで、継手選択画面においては、選択候補のモデル内継手の箇所がマークMKの配置によって示される。
マークMKは、同図に示される以外の態様とされてよい。また、マークMKに対して例えば長押しなどの所定の操作を行うことにより、対応のモデル内継手の仕様の詳細を示すポップアップウィンドウ等が表示されてもよい。
【0061】
ステップS204:作業者は、継手選択画面においてマークMKが配置されたモデル内継手のうちから、自分が現在において施工対象としている継手と同じ位置のモデル内継手を確認すると、当該同じ位置のモデル内継手のマークMKに対する操作(例えばタップ操作)を行う。継手識別子出力部251は、当該操作を受け付ける。
【0062】
ステップS205:継手識別子出力部251は、ステップS204により受け付けた操作により選択されたモデル内継手に付されている施工継手IDを施工モデルデータから取得する。継手識別子出力部251は、取得した施工継手IDを融着装置100に送信する。
【0063】
ステップS206:施工モデルデータ処理部252は、ステップS107により融着装置100から送信された施工履歴情報を受信する。
【0064】
ステップS207:施工モデルデータ処理部252は、施工モデルデータ記憶部261が記憶する施工モデルデータにステップS206により受信した施工履歴情報を連結する処理を行う。
つまり、施工モデルデータ処理部252は、施工モデルデータ記憶部261が記憶する施工モデルデータのモデル内継手のうちから、受信された施工履歴情報に含まれるのと同じ施工継手IDが付されたモデル内継手を特定する。施工モデルデータ処理部252は、特定した施工継手IDに受信された施工履歴情報を連結する処理を行う。
モデル内継手への施工履歴情報の連結(対応付け)として、施工モデルデータ処理部252は、例えば施工モデルデータ記憶部261が記憶する施工モデルデータにおけるモデル内継手のメタデータに施工履歴情報を付加するようにしてよい。この場合には、施工モデルデータに対して施工履歴情報が埋め込まれる形式となる。
当該ステップS207の処理の結果、施工モデルデータ記憶部261が記憶する施工モデルデータは、モデル内継手と施工履歴情報との連結が行われるようにして更新される。
【0065】
なお、モデル内継手への施工履歴情報の連結(対応付け)として、施工モデルデータ処理部252は、特定したモデル内継手と施工履歴情報とが連結関係にあることを示す継手・履歴連結情報を、施工モデルデータの拡張データとして付加してもよい。本実施形態の場合、継手・履歴連結情報は、モデル内継手と施工履歴情報とで共通となる施工継手IDを示すものであってよい。この場合には、施工モデルデータ記憶部261は、施工モデルデータと拡張データである継手・履歴連結情報を記憶したうえで、継手・履歴連結情報が追加されるように更新されてよい。
【0066】
ステップS208:施工モデルデータ処理部252は、今回のステップS207による施工モデルデータの更新結果を示す更新データを施工管理サーバ300に送信する。この場合の更新データは、例えば連結対象とされたモデル内継手の施工継手IDとステップS206にて受信された施工履歴情報とを含むものであってよい。
【0067】
なお、例えば施工現場1にて施工される前の段階の継手に対して、継手固有情報としての施工継手IDを示すコード(例えば、2次元コードあるいはバーコードであってよい)を貼り付けておくことも可能である。この場合には、作業者が、継手をパイプと融着させる施工を行う際に、継手に貼り付けられたコードをコードリーダ104により読み取らせることにより、融着装置100に施工継手IDを取得させ、施工履歴情報に施工継手IDを含めることができる。
しかしながら、施工現場1にて施工される継手としての部品は、仕様の同じものも多いことから、施工が行われる前の段階で継手に施工継手IDを貼り付けることは、かえって管理が煩雑になるなどの制約が生じることから現実的でない。本実施形態の構成であれば、継手に施工継手IDを貼り付けることをしなくとも、施工端末200Aから融着装置100に適切に施工継手IDを取得させることができる。
【0068】
次に、施工管理サーバ300の処理手順例について説明する。
ステップS301:施工管理サーバ300において施工モデルデータ処理部321は、ステップS208により施工端末200Aが送信した更新データを受信する。
ステップS302:施工モデルデータ処理部321は、ステップS301にて受信した更新データを利用して、施工モデルデータ記憶部331が記憶する施工モデルデータを更新する。更新後の施工モデルデータは、施工現場1にて施工された継手が対応する位置のモデル内継手に対して新たに施工履歴情報が連結されたものとなる。施工モデルデータ記憶部331が記憶する施工モデルデータにおいて、施工履歴情報が連結されたモデル内継手は、施工現場1において対応する位置の継手の施工が完了していることを示すものとなる。
また、対応の継手の施工が、施工不良に対応して行われた再施工である場合には、当該ステップS302にて、前回の施工不良に対応する施工履歴情報を上書きするようにして更新が行われてよい。あるいは、前回の施工不良に対応する施工履歴情報を残したうえで、さらに今回の施工に応じた施工履歴情報を追加して連結するようにされてもよい。
【0069】
[施工状況表示に関する処理手順例]
図9のフローチャートを参照して、管理者が使用する施工端末200Bが施工状況の情報の表示に関連して実行する処理手順例について説明する。同図の処理は、施工端末200Bにて施工状況管理アプリケーションが動作することにより実現されるものであってよい。
【0070】
ステップS401:管理者は、施工現場1における継手の施工状況を把握しようとするにあたり、施工端末200Bに対して施工状況画面の表示を指示する操作を行う。当該操作に応じて、施工端末200Bにおける施工状況情報出力部253は、施工モデルデータ記憶部331から施工モデルデータを取得する。
【0071】
ステップS402:施工状況情報出力部253は、ステップS401により取得した施工モデルデータを利用して、施工現場1における継手の施工についての進捗率(施工進捗率:進捗状況の一例)を算出する。
施工状況情報出力部253は、施工モデルデータに存在するモデル内継手における、施工履歴情報が連結されたモデル内継手の数と施工履歴情報が連結されていないモデル内継手の数とに基づいて施工進捗率を算出可能である。施工履歴情報が連結されたモデル内継手は施工現場1において施工済みの継手を示し、施工履歴情報が連結されていないモデル内継手は施工現場1において未施工の継手を示す。
また、施工進捗率は、施工現場1全体において施工が完了した継手に対応するものとして算出されてもよい。あるいは、施工進捗率は、所定期間における施工計画に対して施工が完了した継手に対応するものとして算出されてもよい。あるいは、施工進捗率は、例えば特定のフロアであるとか、所定の施工区間における施工計画に対して施工が完了した継手に対応するものとして算出されてもよい。また、施工状況情報出力部253は、これらの施工進捗率のそれぞれを算出してもよい。
【0072】
ステップS403:施工状況情報出力部253は、施工不良箇所が有るか否かを判定する。このため、施工状況情報出力部253は、ステップS401により取得した施工モデルデータにおけるモデル内継手に連結された施工履歴情報のうちで、終了状態が正常終了を示していない施工履歴情報の有無を判定する。
【0073】
ステップS404:ステップS403にて施工不良箇所が有ると判定した場合、施工状況情報出力部253は、施工不良の報知とステップS402にて算出した施工進捗率とを含む施工状況画面を表示部202にて表示させる。
施工状況画面における施工不良の報知は、例えば施工モデルデータを利用して表示した施工現場1の図面において施工不良が発生した継手の位置を示すものであってよい。このような施工不良の報知の表示により、管理者は施工現場1において施工不良が発生した箇所を的確に把握し、迅速に再施工などの措置を採ることができる。
また、施工状況画面における施工進捗率は、施工現場1全体におけるものと、所定期間におけるものと、所定の施工区間におけるものとを、同時にあるいは選択的に表示可能とされてよい。
【0074】
ステップS405:ステップS404にて施工不良箇所が無いと判定した場合、施工状況情報出力部253は、ステップS402にて算出した施工進捗率を含み、施工不良の報知は含まない施工状況画面を表示部202にて表示させる。
【0075】
<第1実施形態の変形例>
以下、第1実施形態の変形例について説明する。
[第1変形例]
上記実施形態において施工端末200Aは、継手選択画面上で選択されたモデル内継手に付された施工継手IDを送信し、融着装置100は、送信された施工継手IDを受信することにより施工履歴情報に含める施工継手IDを取得するようにされていた。つまり、上記実施形態の融着装置100は、通信経由で施工継手IDを取得していた。
これに対して、本変形例の融着装置100は、以下のようにして、コードリーダ104がバーコードを読み取ることにより施工履歴情報に含める施工継手IDを取得する。
【0076】
本変形例において、施工端末200Aが継手仕様情報の受信に応じて継手選択画面を表示し、継手選択画面に対して行われるモデル内継手を選択する操作を受け付ける点については、図7のステップS201~S204と同様である。
そのうえで、本変形例の施工端末200Aは、モデル内継手を選択する操作を受け付けると、例えば図10に示されるように、選択されたモデル内継手に付された施工継手IDをコード化したコード画像BCを表示させる。同図のコード画像BCはバーコードの態様であるが、例えば2次元コード等のように他の形式のコードであってよい。
この場合、作業者は、融着装置100のコードリーダ104によりコード画像BCのバーコードを読み取らせる操作を行う。融着装置100は、図7のステップS103の処理として、施工継手IDを受信するのに代えて、コードリーダ104により読み取ったバーコードが示す継手施工IDを取得する。
このような構成によっても、融着装置100が施工対象の継手に対応付けるべき施工継手IDを取得することができる。
【0077】
[第2変形例]
図7のステップS207、S208の処理は、施工端末200に代えて施工管理サーバ300が実行してもよい。この場合には、施工端末200AがステップS206にて受信した施工履歴情報を施工管理サーバ300に転送してよい。あるいは、融着装置100が、ステップS107にて、施工端末200Aに代えて、施工管理サーバ300に施工履歴情報を送信してよい。
【0078】
[第3変形例]
図7では、融着装置100が通電制御を行うごとに施工履歴情報を送信しているが、所定の施工期間において行った通電制御ごとに応じた施工履歴情報を記憶しておき、所定のタイミングで一括して施工履歴情報を送信するようにしてよい。この場合、施工端末200Aあるいは施工管理サーバ300は、送信された施工履歴情報ごとにステップS207、S208、S302等の処理を実行し、施工モデルデータへの施工履歴情報の連結を行う。
【0079】
<第2実施形態>
[概要]
続いて、第2実施形態について説明する。上記第1実施形態においては、施工モデルデータにおいて施工履歴情報を連結させるモデル内継手の位置を特定するための継手固有情報として、モデル内継手に付された施工継手IDを融着装置100に取得させるようにしていた。第1実施形態においては、融着装置100が施工端末200Aから取得したのと同じ施工継手IDが付されたモデル内継手の位置が、施工履歴情報を連結させるモデル内継手の位置として特定される。
これに対して、第2実施形態の融着装置100は、継手固有情報として、施工継手IDに代えて、継手の施工が行われる位置を示す継手位置情報を取得する。施工管理サーバ300は、融着装置100の通電制御に応じて得られる施工履歴情報を施工モデルデータのモデル内継手に連結させる際に、融着装置100が取得した継手位置情報に基づいて連結対象のモデル内継手を特定する。
【0080】
[位置情報取得のためのシステム構成]
図11を参照して、本実施形態において融着装置100が継手固有情報として位置情報を取得するための施工管理システムの構成例について説明する。同図において、図1と同一部分については同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0081】
図11の施工管理システムは、施工現場1において複数の測位対応通信装置500を備える。同図においては、3つの測位対応通信装置500(500-1、500-2、500-3)が備えられた例が示されているが、施工現場1において備えられる測位対応通信装置500の数は特に限定されるものではなく、例えば測位に必要な数を満たしていればよい。
測位対応通信装置500は、具体的には、無線LANのアクセスポイントである。あるいは、測位対応通信装置500は、ビーコン送信機やUWB(Ultra Wide Band)信号送信機等であってよい。以降の説明は、測位対応通信装置500が無線LANのアクセスポイントである場合を例に挙げる。
【0082】
測位対応通信装置500は、融着装置100が備える通信機110と通信を行う。
通信機110は、図2に示すようにコネクタ105に接続されていることで、コネクタ105に通電が行われていることに応じて電力が供給されて通信が可能な状態となる。
【0083】
[処理手順例]
図12のフローチャートを参照して、本実施形態の融着装置100と施工管理サーバ300とが実行する処理手順例について説明する。同図の処理手順は、融着装置100を利用して作業者が行う1の継手の施工に対応して、施工モデルデータに施工履歴情報を連結するための処理となる。
【0084】
まず、融着装置100の処理手順例について説明する。
ステップS501:継手の施工にあたり作業者が行う作業は、第1実施形態と同様でよい。この場合にも、融着装置100は、作業者が継手の施工を行うにあたり、融着装置100のコードリーダ104に、施工対象の継手に貼付されている仕様バーコードを読み取らせる操作を行う。融着装置100の制御部106は、コードリーダ104により読み取られた仕様バーコードから継手仕様情報を取得する。
ステップS502:通電制御部163は、ステップS501の仕様バーコードの読み取りにより取得された継手仕様情報に基づいて、施工対象の継手に対応する通電パラメータを設定する。
ステップS503:作業者は、融着装置100のコネクタ105、105を施工対象の継手に取り付け、通電開始の操作を行う。通電開始の操作に応じて、通電制御部163は、コネクタ105、105に通電させる通電制御を実行する。
【0085】
ステップS504:ステップS503によりコネクタ105に通電が行われたことに応じて通信機110に電源が供給され、通信機110が起動する。起動した通信機110は、通信範囲にある複数(例えば、3以上)の測位対応通信装置500と通信を行う。
通信機110は、通信範囲にある複数の測位対応通信装置500と通信を実行することで、通信先の測位対応通信装置500ごとの位置を示す通信装置位置情報と、通信先の測位対応通信装置500ごとの電波強度とを取得する。通信装置位置情報は、対応の測位対応通信装置500の設置された緯度、経度、及び設置階(階数)の情報を含んでよい。
通信機110は、測位対応通信装置500ごとに取得した通信装置位置情報と電波強度とを継手固有情報取得部161に入力する。継手固有情報取得部161は、入力された通信装置位置情報と電波強度とを利用して通信機110の位置を算出(測定)する。
継手固有情報取得部161は、このようにして算出された位置を示す位置情報を、融着装置100により施工される継手の位置を示す継手位置情報として取得する。
【0086】
ステップS505:また、施工履歴情報処理部162は、ステップS105により開始された通電制御が完了すると、今回の施工結果が反映された施工履歴情報を生成する。この場合の施工履歴情報は、図3(A)に示される構造とされたうえで、継手固有情報フィールドFL4は、図4(B)に代えて、例えば図4(C)に示されるものとなる。図4(C)の継手固有情報フィールドFL4は、継手固有情報として、継手位置情報を格納する。具体的に、図4(C)の継手位置情報は、緯度、経度、階数のフィールドを含む場合を例に挙げている。このようにして、継手位置情報は、緯度、経度により平面方向の位置を示すとともに、階数により高さ方向の位置を示すようにされている。つまり、継手位置情報は、施工現場1としての3次元空間における継手の位置を示すことができる。
【0087】
ステップS506:施工履歴情報処理部162は、ステップS505により生成した施工履歴情報を施工履歴情報記憶部171に記憶させる。また、施工履歴情報処理部162は、ステップS505により生成した施工履歴情報を、施工管理サーバ300に送信する。この場合、融着装置100は、施工管理サーバ300にネットワーク経由で直接に施工履歴情報を送信してもよいし、施工端末200Aを経由して施工管理サーバ300に施工履歴情報を送信してもよい。
【0088】
次に、施工管理サーバ300の処理手順例について説明する。
ステップS601:施工管理サーバ300において施工モデルデータ処理部321は、ステップS506により融着装置100が送信した施工履歴情報を受信する。
【0089】
ステップS602:施工モデルデータ処理部321は、ステップS601にて受信した施工履歴情報に含まれる継手固有情報としての継手位置情報が示す位置と、施工モデルデータ記憶部331が記憶する施工モデルデータにおけるモデル内継手の位置とを照合する。
【0090】
ステップS603:施工モデルデータ処理部321は、ステップS602による照合の結果、継手位置情報が示す位置と合致するモデル内継手が有るか否かを判定する。この際、施工モデルデータ処理部321は、継手位置情報が示す位置とモデル内継手の位置とについて、例えば階数が同じで、緯度及び経度により特定される位置の差分が一定以内であれば、位置が合致すると判定してよい。
【0091】
ステップS604:ステップS603にて継手位置情報が示す位置と合致するモデル内継手が無いと判定された場合には、例えば融着装置100が測定した継手の位置についての誤差が大きかったといった可能性がある。
そこで、この場合の施工モデルデータ処理部321は、施工モデルデータにおいて継手位置情報が示す位置を基準に一定以内の距離の範囲に位置するモデル内継手を候補として選択する。
施工モデルデータ処理部321は、候補のモデル内継手ごとの所定の仕様項目(例えば、種別、口径等)と、施工対象の継手の同じ所定の仕様項目とを照合する。
モデル内継手の仕様項目は、施工モデルデータにおいてはモデル内継手ごとに継手仕様情報が対応付けられている。また、施工対象の継手についての仕様項目は、受信された施工履歴情報に含まれている。
【0092】
ステップS605:施工モデルデータ処理部321は、ステップS604による照合の結果、候補のモデル内継手のうちで、仕様項目の内容が施工対象の継手と合致したものが有ったか否かを判定する。
【0093】
ステップS606:ステップS605にて仕様項目の内容が施工対象の継手と合致するモデル内継手が無いと判定された場合には、例えば融着装置100が測定した継手の位置についての精度に信頼性が無いということがいえる。
そこで、この場合の施工モデルデータ処理部321は、施工モデルデータにおいて示される候補の継手ごとの施工スケジュールと、施工対象の継手の施工日時とを照合する。つまり、この場合の施工モデルデータ処理部321は、既に計画された施工スケジュールにおいて施工対象の継手の施工日時に該当する日時に施工することが示されるモデル内継手を、施工対象の継手に対応するモデル内継手として特定しようとするものである。
モデル内継手ごとの施工スケジュールは、施工モデルデータにおいて示されている。また、施工対象の継手の施工日時は、受信された施工履歴情報に含まれている。
【0094】
ステップS607:施工モデルデータ処理部321は、ステップS606による照合の結果に基づき、施工スケジュールにおいて施工対象の継手の施工日時に該当する日時に施工することが示されるモデル内継手を、連結対象のモデル内継手として決定する。日時でも特定できない場合には、施工者自身が検索するなどして端末上で施工対象となる継手を指定、選択し、モデル内継手として決定する。
【0095】
ステップS608:ステップS603にて継手位置情報が示す位置と合致するモデル内継手が有ると判定された場合、あるいはステップS605にて仕様項目の内容が施工対象の継手と合致するモデル内継手が有ると判定された場合、あるいはステップS607の処理の後、施工モデルデータ処理部321は、施工モデルデータ記憶部331が記憶する施工モデルデータを更新する。
当該ステップS608の処理として、ステップS603にて継手位置情報が示す位置と合致するモデル内継手が有ると判定された場合には、継手位置情報が示す位置と合致するモデル内継手に対してステップS601にて受信された施工履歴情報を連結するようにして施工モデルデータを更新する。
当該ステップS608の処理として、ステップS605にて仕様項目の内容が施工対象の継手と合致するモデル内継手が有ると判定された場合には、施工対象の継手と仕様項目の内容が合致したモデル内継手に対して施工履歴情報を連結するようにして施工モデルデータを更新する。
当該ステップS608の処理として、ステップS607の処理を経た場合には、当該ステップS607にて連結対象として決定されたモデル内継手に対して施工履歴情報を連結するようにして施工モデルデータを更新する。
【0096】
<第2実施形態の変形例>
以下、第2実施形態の変形例について説明する。以下に説明する変形例については、第1実施形態に対応する第1~第3変形例に続くものとして、第4以降の番号を付す。
【0097】
[第4変形例]
図13は、第4変形例に対応する施工管理システムの構成例を示している。図13において図11と同一部分には同一符号を付して適宜説明を省略する。
第4変形例の施工管理システムにおいては、融着装置100が継手固有情報としての継手位置情報を取得するにあたり、上記第2実施形態の測位対応通信装置500に代えて、測位対応通信装置500Aが備えられる。上記第2実施形態の測位対応通信装置500は、無線LANのアクセスポイント、あるいはビーコン送信機、あるいはUWB信号送信機とされていた。これに対して、本変形例の測位対応通信装置500Aは、例えばIMES(Indoor Messaging System)に対応する送信機(IMES送信機)であってよい。測位対応通信装置500Aは、通信範囲に位置する端末の位置を測定し、測定した位置を示す位置情報を当該端末に送信する。測位対応通信装置500Aが送信する位置情報は、例えば緯度、経度、高さ(例えば、階数または標高)により位置を示すものであってよい。
測位対応通信装置500Aは、施工現場1において継手の施工が行われる場所を通信範囲としてカバーできるように配置されてよい。
【0098】
本変形例においては、融着装置100が通電制御を行うことで起動した通信機110が測位対応通信装置500Aから送信される位置情報を受信する。融着装置100の継手固有情報取得部161は、図12のステップS504の処理として、通信機110が受信した位置情報を、継手位置情報(継手固有情報)として取得する。
【0099】
[第5変形例]
図14は、第5変形例に対応する管理システムの構成例を示している。図14において図11と同一部分には同一符号を付して適宜説明を省略する。
第5変形例の施工管理システムにおいては、融着装置100が継手固有情報としての継手位置情報を取得するにあたり、上記第2実施形態の測位対応通信装置500に代えて、測位対応通信装置500Bが備えられる。本変形例の測位対応通信装置500Bは、例えばQuuppa Intelligent Locating System(登録商標)に対応するロケータであってよい。
測位対応通信装置500Bは、施工現場1において継手の施工が行われる場所を通信範囲としてカバーできるように適宜配置されてよい。
【0100】
本変形例においては、融着装置100が通電制御を行うことで起動した通信機110が信号を送信する。通信機110が送信する信号には、融着装置100を一意に識別する融着装置IDが含まれる。
ロケータとしての測位対応通信装置500Bは、通信機110が信号を送信する際に出力された電波の入射角を計算し、自己の位置と、計算された入射角と、受信した融着装置IDとを含む位置算出要求を位置演算サーバ600に送信する。
位置演算サーバ600は、受信された位置算出要求に含まれる測位対応通信装置500Bの位置と入射角の情報等を利用して、位置を算出する。位置演算サーバ600は、このように算出した位置を示す位置情報と融着装置IDとを含む位置情報通知を施工管理サーバ300に送信する。施工管理サーバ300は、受信した位置情報通知を、対応の融着装置100に転送する。融着装置100は、図12のステップS504の処理として、施工管理サーバ300から送信された継手位置通知に含まれる位置情報を継手位置情報として取得する。
【0101】
<その他変形例>
以下に、上記の第1実施形態と第2実施形態に対応する他の変形例について説明する。以下に説明する変形例については、第2実施形態に対応する第4、第5変形例に続くものとして、第6以降の番号を付す。
【0102】
[第6変形例]
施工管理システムとして、上記の第1実施形態のように継手固有情報を施工継手IDとして取得する構成と、上記の第2実施形態のように継手固有情報を位置情報として取得する構成とが、施工現場1の環境に応じて、適宜切り替え可能とされてよい。
【0103】
[第7変形例]
上記各実施形態の構成は、例えば施工対象の継手が融着により施工されるものではなく、例えば接着により施工されるものである場合にも適用されてよい。この場合には、管理システムにおいて融着装置100は省略されてよい。
そのうえで、第1実施形態との対応では、作業者は、施工端末200Aに対する操作によって施工履歴を入力し、施工対象の継手に対応するモデル内継手を選択するようにされる。施工端末200Aは、入力された施工履歴を示す施工履歴情報に、選択されたモデル内継手に付された施工継手IDを含めるようにされてよい。
また、第2実施形態との対応では、作業者は、施工端末200Aを通信機110として用いることで継手位置情報を取得するようにされてよい。また、この場合にも、作業者は、施工端末200Aに対する操作によって施工履歴を入力する。施工端末200Aは、入力された施工履歴を示す施工履歴情報に、選択されたモデル内継手に付された施工継手IDを含めるようにされてよい。
【0104】
[第8変形例]
本実施形態の施工端末200(200A、200B)は、施工履歴情報が連結された施工モデルデータを利用して、継手の施工結果を示す帳票データを作成可能とされてよい。施工端末200は、作成した帳票データを表示、印刷等により出力可能とされてよい。
そのうえで、本実施形態の施工端末200は、施工現場1にて例えば継手の施工が行われた配管に対して行われた水圧検査等の検査結果等についても施工モデルデータに連結可能とされてよい。また、施工端末200は、施工モデルデータに連結させた検査結果も帳票として出力可能とされてよい。
【0105】
なお、上述の施工管理システムにおける各装置の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の施工管理システムにおける各装置の処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 施工現場、100 融着装置、200(200A、200B) 施工端末、300 施工管理サーバ、500(500-1~500-3、500A、500B) 測位対応通信装置、600 位置演算サーバ
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