(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051417
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】蓄電素子モジュールキット、蓄電素子ユニット、建物、および蓄電素子ユニットの施工方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/256 20210101AFI20230404BHJP
【FI】
H01M50/256 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162065
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 康宏
(72)【発明者】
【氏名】竹井 英俊
(72)【発明者】
【氏名】仲村 命
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 尭彦
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AS01
5H040AT04
5H040GG24
5H040NN01
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】蓄電素子モジュールを持ち運ぶ際の取り扱い性を改善する。
【解決手段】蓄電素子モジュールキット30は、蓄電素子モジュール40と、蓄電素子モジュールに取り付けられる第1ハンドル部材35Aと、蓄電素子モジュールに取り付けられる第2ハンドル部材35Bと、を含む。第1ハンドル部材および第2ハンドル部材は、蓄電素子モジュールに取り付けられた状態において、蓄電素子モジュールに対して揺動可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子モジュールと、
前記蓄電素子モジュールに取り付けられる第1ハンドル部材と、
前記蓄電素子モジュールに取り付けられる第2ハンドル部材と、を備え、
前記第1ハンドル部材および前記第2ハンドル部材は、前記蓄電素子モジュールに取り付けられた状態において、前記蓄電素子モジュールに対して揺動可能である、蓄電素子モジュールキット。
【請求項2】
前記第1ハンドル部材は、前記蓄電素子モジュールに取り付けられた状態において、前記第2ハンドル部材から離れる側において揺動可能であり、
前記第2ハンドル部材は、前記蓄電素子モジュールに取り付けられた状態において、前記第1ハンドル部材から離れる側において揺動可能である、請求項1に記載の蓄電素子モジュールキット。
【請求項3】
前記蓄電素子モジュールに取り付けられた状態の前記第1ハンドル部材について、前記第2ハンドル部材から離れる側における揺動可能角度範囲は、前記第2ハンドル部材に接近する側における揺動可能角度範囲よりも大きく、
前記蓄電素子モジュールに取り付けられた状態の前記第2ハンドル部材について、前記第1ハンドル部材から離れる側における揺動可能角度範囲は、前記第1ハンドル部材に接近する側における揺動可能角度範囲よりも大きい、請求項1又は2に記載の蓄電素子モジュールキット。
【請求項4】
筐体内に収容された前記蓄電素子モジュールに取り付けられた状態の前記第1ハンドル部材は、前記筐体に接触しない範囲で揺動可能であり、
前記筐体内に収容された前記蓄電素子モジュールに取り付けられた状態の前記第2ハンドル部材は、前記筐体に接触しない範囲で揺動可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電素子モジュールキット。
【請求項5】
前記蓄電素子モジュールは、前記第1ハンドル部材の揺動中心から離れた位置に設けられた第1突出部を含み、
前記第1ハンドル部材は、前記第1突出部に接触することによって、前記第2ハンドル部材から離れる側への揺動を規制され、
前記蓄電素子モジュールは、前記第2ハンドル部材の揺動中心から離れた位置に設けられた第2突出部を含み、
前記第2ハンドル部材は、前記第2突出部に接触することによって、前記第1ハンドル部材から離れる側への揺動を規制される、請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電素子モジュールキット。
【請求項6】
前記蓄電素子モジュールの重心は、前記第1ハンドル部材の揺動中心および前記第2ハンドル部材の揺動中心の間に位置する、請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電素子モジュールキット。
【請求項7】
前記第1ハンドル部材および前記第2ハンドル部材は、前記蓄電素子モジュールの長手方向に互いから離れた位置において、前記蓄電素子モジュールに取り付けられ、
前記第1ハンドル部材の揺動中心および前記第2ハンドル部材の揺動中心は、前記蓄電素子モジュールの前記長手方向に直交している、請求項1~6のいずれか一項に記載の蓄電素子モジュールキット。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の蓄電素子モジュールキットと、
前記蓄電素子モジュールを収容する筐体と、を備える、蓄電素子ユニット。
【請求項9】
請求項8に記載の蓄電素子ユニットを備える、建物。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載の蓄電素子モジュールキットの前記第1ハンドル部材および前記第2ハンドル部材を、前記蓄電素子モジュールキットの前記蓄電素子モジュールに取り付ける工程と、
前記第1ハンドル部材および前記第2ハンドル部材を把持して、筐体内に前記蓄電素子モジュールを配置する工程と、を備える、蓄電素子ユニットの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子モジュールキット、蓄電素子ユニット、建物、および蓄電素子ユニットの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は蓄電素子ユニットを開示している。蓄電素子ユニットは、筐体と、筐体内に収容された複数の蓄電素子モジュールと、を含んでいる。蓄電素子モジュールは、多数のセルを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、蓄電素子ユニットの容量増大の要求から、蓄電素子モジュールの寸法が大型化し、蓄電素子モジュールの重量が増加している。設置済みの蓄電素子ユニットの点検時や修理時には、重量化した蓄電素子モジュールを筐体内から取り出すことや、蓄電素子モジュールを筐体内に収容することが行われるが、その際の負担が大きくなっている。
【0005】
また、蓄電素子ユニットが大型重量化していることから、組み上がった蓄電素子ユニットの搬送時や設置場所への据え付け時における負担が増大している。蓄電素子ユニットの大型重量化への対処方法として、設置場所にて蓄電素子ユニットを組み立てることも検討されている。この施工方法では、設置場所に固定された筐体内に蓄電素子モジュールを収容することになる。
【0006】
以上の背景において、蓄電素子モジュールを持ち運ぶ際の取り扱い性を改善することが要望されている。本発明は、蓄電素子モジュールを持ち運ぶ際の取り扱い性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による蓄電素子モジュールキットは、
蓄電素子モジュールと、
前記蓄電素子モジュールに取り付けられる第1ハンドル部材と、
前記蓄電素子モジュールに取り付けられる第2ハンドル部材と、を備え、
前記第1ハンドル部材および前記第2ハンドル部材は、前記蓄電素子モジュールに取り付けられた状態において、前記蓄電素子モジュールに対して揺動可能である。
【0008】
本発明による蓄電素子モジュールキットにおいて、
前記第1ハンドル部材は、前記蓄電素子モジュールに取り付けられた状態において、前記第2ハンドル部材から離れる側において揺動可能であり、
前記第2ハンドル部材は、前記蓄電素子モジュールに取り付けられた状態において、前記第1ハンドル部材から離れる側において揺動可能でもよい。
【0009】
本発明による蓄電素子モジュールキットにおいて、
前記蓄電素子モジュールに取り付けられた状態の前記第1ハンドル部材について、前記第2ハンドル部材から離れる側における揺動可能角度範囲は、前記第2ハンドル部材に接近する側における揺動可能角度範囲よりも大きく、
前記蓄電素子モジュールに取り付けられた状態の前記第2ハンドル部材について、前記第1ハンドル部材から離れる側における揺動可能角度範囲は、前記第1ハンドル部材に接近する側における揺動可能角度範囲よりも大きくてもよい。
【0010】
本発明による蓄電素子モジュールキットにおいて、
筐体内に収容された前記蓄電素子モジュールに取り付けられた状態の前記第1ハンドル部材は、前記筐体に接触しない範囲で揺動可能であり、
前記筐体内に収容された前記蓄電素子モジュールに取り付けられた状態の前記第2ハンドル部材は、前記筐体に接触しない範囲で揺動可能でもよい。
【0011】
本発明による蓄電素子モジュールキットにおいて、
前記蓄電素子モジュールは、前記第1ハンドル部材の揺動中心から離れた位置に設けられた第1突出部を含み、
前記第1ハンドル部材は、前記第1突出部に接触することによって、前記第2ハンドル部材から離れる側への揺動を規制され、
前記蓄電素子モジュールは、前記第2ハンドル部材の揺動中心から離れた位置に設けられた第2突出部を含み、
前記第2ハンドル部材は、前記第2突出部に接触することによって、前記第1ハンドル部材から離れる側への揺動を規制されてもよい。
【0012】
本発明による蓄電素子モジュールキットにおいて、前記蓄電素子モジュールの重心は、前記第1ハンドル部材の揺動中心および前記第2ハンドル部材の揺動中心の間に位置してもよい。
【0013】
本発明による蓄電素子モジュールキットにおいて、
前記第1ハンドル部材および前記第2ハンドル部材は、前記蓄電素子モジュールの長手方向に互いから離れた位置において、前記蓄電素子モジュールに取り付けられ、
前記第1ハンドル部材の揺動中心および前記第2ハンドル部材の揺動中心は、前記蓄電素子モジュールの前記長手方向に直交してもよい。
【0014】
本発明による蓄電素子ユニットは、
本発明による蓄電素子モジュールキットのいずれかと、
前記蓄電素子モジュールを収容する筐体と、を備える。
【0015】
本発明による建物は、本発明による蓄電素子ユニットを備える。
【0016】
本発明による蓄電素子ユニットの施工方法は、
本発明による蓄電素子モジュールキットのいずれかの前記第1ハンドル部材および前記第2ハンドル部材を、前記蓄電素子モジュールキットの前記蓄電素子モジュールに取り付ける工程と、
前記第1ハンドル部材および前記第2ハンドル部材を把持して、筐体内に前記蓄電素子モジュールを配置する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、蓄電素子モジュールを持ち運び際の取り扱い性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、蓄電素子ユニットの一例を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の蓄電素子ユニットを、一部の構成を省略して、示す斜視図である。
【
図3】
図3は、蓄電素子ユニットに含まれる蓄電素子モジュールキットの一例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の蓄電素子モジュールキットに含まれた蓄電素子モジュールを示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3の蓄電素子モジュールキットを、ハンドル部材が蓄電素子モジュールに取り付けられた状態にて、示す側面図である。
【
図6】
図6は、
図5に相当する部分拡大図であって、ハンドル部材が蓄電素子モジュールに対して揺動した状態を示す。
【
図7】
図7は、
図5に相当する部分拡大図であって、ハンドル部材が蓄電素子モジュールに対して揺動した状態を示す。
【
図8】
図8は、
図4の蓄電素子モジュールを示す上面図である。
【
図9】
図9は、
図8のA部を拡大して示す上面図であって、第1側壁部に設けられた開口部および連結部を示す。
【
図10】
図10は、
図9のB-B線断面図であって、第1側壁部に設けられた開口部および連結部を示す。
【
図12】
図12は、
図9に対応する上面図であって、第1側壁部の開口部にハンドル部材のフックが挿入された状態を示す。
【
図15】
図15は、
図13に対応する断面図であって、ハンドル部材が蓄電素子モジュールに取り付けられた状態を示す。
【
図16】
図16は、
図3の蓄電素子モジュールキットを示す上面図であって、蓄電素子モジュールにハンドル部材が取り付けられた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実際のそれらから変更し誇張してある。また、一部の図において示された構成等が、他の図面において省略されることもある。
【0020】
本明細書において、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に限定されることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
【0021】
図面間における方向関係を明確化するため、第1方向D1、第2方向D2、第3方向D3、Z方向DZ、X方向DXおよびY方向DYを図面間で共通する方向として矢印で示している。矢印の先端側が、各方向D1,D2,D3,DZ,DX,DYの第1側となる。各方向において、第1側とは逆側となる側が第2側となる。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面から手前に向かう矢印を、例えば
図5に示すように、円の中に点を設けた記号により示した。
【0022】
Z方向DZ、X方向DXおよびY方向DYは、蓄電素子モジュール40に対して用いる。第1方向D1、第2方向D2および第3方向D3は、蓄電素子ユニット10に対して用いる。すなわち、第1方向D1、第2方向D2および第3方向D3は、収容箱15や、内部スペース15Sに適切に収容された状態の蓄電素子モジュール40に用いる。
【0023】
図1~
図16は、一実施の形態を説明するための図である。このうち、
図1は、蓄電素子ユニット10を示す分解斜視図であり、
図2は、一部の構成要素を取り除いて蓄電素子ユニット10を示す斜視図である。蓄電素子ユニット10は、充放電が可能な二次電池ユニットとして用いられる。図示された蓄電素子ユニット10は、例えば、住宅や公共施設等の建物に適用される。蓄電素子ユニット10は、建物の配線と電気的に接続され、建物内に設置された電気装置の電源として機能する。
【0024】
図2に示された例において、蓄電素子ユニット10は、収容箱15、蓄電素子モジュール40、および一対のハンドル部材35を含んでいる。蓄電素子モジュール40は、収容箱15内の内部スペース15Sに収容されている。一対のハンドル部材35は、蓄電素子モジュール40を取り扱う際に使用される。本実施の形態では、蓄電素子モジュール40を持ち運ぶ際の取り扱い性を改善するための工夫がなされている。
【0025】
図1に示すように、収容箱15は、蓋板部18および筐体20を含んでもよい。図示された筐体20は、一つの面が開口した直方体状の形状を有している。筐体20は、第3方向D3における第1側に開口した開口部20Aを有する。具体的な適用において、Z方向DZは鉛直方向でもよく、Z方向DZにおける第1側は鉛直方向における上側でもよい。図示された蓋板部18は板状である。蓋板部18は、筐体20に着脱可能となっている。蓋板部18は、筐体20に取り付けられて開口部20Aを塞ぐ。筐体20は、蓋板部18との間に、蓄電素子モジュール40等を収容する直方体状の内部スペース15Sを形成する。筐体20および蓋板部18は、重量物である蓄電素子モジュール40を収容するのに必要となる強度を有している。筐体20および蓋板部18は、例えば、フレームと、フレームに固定されたパネル材とを有する。フレームは、例えば金属によって構成される。パネルは、例えば金属や樹脂によって構成される。
【0026】
筐体20は、底壁部21と、底壁部21から延び出した側壁部22と、を含んでいる。側壁部22は、底壁部21から第3方向D3における第1側に延び出している。底壁部21は、第3方向D3における第2側から、内部スペース15Sを区画する。側壁部22は、第1側壁部22Aと、第2側壁部22Bと、第3側壁部22Cと、第4側壁部22Dと、を含む。第1側壁部22Aおよび第2側壁部22Bは、第1方向D1に対面している。第1側壁部22Aは、第1方向D1における第1側から内部スペース15Sを区画する。第3側壁部22Cおよび第4側壁部22Dは、第2方向D2に対面している。第3側壁部22Cは、第2方向D2における第1側から内部スペース15Sを区画する。
図2では、第1側壁部22Aおよび第3側壁部22Cを取り除いた筐体20を示している。
【0027】
図2に示すように、蓄電素子ユニット10は、複数の蓄電素子モジュール40を含んでもよい。収容箱15の内部スペース15Sにおいて、複数の蓄電素子モジュール40が、第3方向D3に積み重ねられてもよい。内部スペース15Sにおいて、複数の蓄電素子モジュール40が、第1方向D1に並べられてもよい。筐体20に収容される蓄電素子モジュール40の数量は、蓄電素子ユニット10に要求される電気特性に対応して適宜選択され得る。
【0028】
図示された例において、蓄電素子ユニット10は、蓄電素子モジュールの第1群G1および蓄電素子モジュールの第2群G2を含んでいる。第1群G1は、第3方向D3に積み重ねられた三つの蓄電素子モジュール40を含んでいる。第2群G2は、第3方向D3に積み重ねられた四つの蓄電素子モジュール40を含んでいる。第1群G1および第2群G2は、第1方向D1に隣接して配置されている。第1群G1が第1方向D1における第1側に位置し、第2群G2が第1方向D1における第2側に位置している。第1群G1および第2群G2は、第2方向D2において同一の位置に配置されている。
【0029】
蓄電素子モジュール40は、セル41と、セル41を収容するケース45と、を含んでもよい。セル41は、蓄電素子として取り扱われる最小単位である。
図3および
図4は、蓄電素子モジュール40の一例を示す斜視図である。
図3は、蓄電素子モジュールキットを示す斜視図である。すなわち、
図3は、一対のハンドル部材35とともに、蓄電素子モジュール40を示す斜視図である。
図4は、
図3に示された蓄電素子モジュール40を、端部カバー46および端部カバー47を取り除いて示す、分解斜視図である。
図4に示されるように、ケース45は、ケース本体50およびケース蓋体70を含んでもよい。
【0030】
図4に示されるように、セル41は、偏平形状を有し、X方向DXおよびY方向DYに広がっている。図示された例において、複数のセル41は、X方向DXおよびY方向DYの両方に直交するZ方向DZに積み重ねられている。セル41は、平面視において、長方形形状を有している。セル41は、X方向DXに長方形形状の短辺を有し、Y方向DYに長方形形状の長辺を有する。X方向DXおよびY方向DYは直交している。
図4に示されたセル41は、正極板および負極板を含む複数の電極板(図示せず)を収容する外装体42と、電極板と電気的に接続して外装体42の外部まで延び出した一対のタブ43と、を有している。一対のタブ43は、それぞれ正極端子または負極端子として機能する。外装体42に収容された電極板によって、セル41の中央部41cの厚みは、中央部41cの周辺に位置する周縁部41eの厚みよりも厚くなっている。
【0031】
図3に示すように、蓄電素子モジュール40は、Y方向DYに長手方向を有する。蓄電素子モジュール40は、Z方向DZに厚み方向を有する。蓄電素子モジュール40は、X方向DXに短手方向を有する。
図2に示すように、
図3および
図4に示された蓄電素子モジュール40は、X方向DXが第1方向D1と平行となり、Y方向DYが第2方向D2と平行になり、Z方向DZが第3方向D3と平行となるようにして、収容箱15内に収容されている。
【0032】
図2に示すように、蓄電素子ユニット10は、第1群G1および第2群G2を収容箱15に固定するストッパ28を更に含んでもよい。図示された例において、ストッパ28は、第1群G1を固定する第1ストッパ28Aと、第2群G2を固定する第2ストッパ28Bと、を含んでいる。図示されたストッパ28は、第2方向D2における両端部において、筐体20に取り外し可能に取り付けられる。筐体20に固定された第1ストッパ28Aは、第3方向D3における第1側から第1群G1に接触する。第1ストッパ28Aは、底壁部21との間に第1群G1を保持する。筐体20に固定された第2ストッパ28Bは、第3方向D3における第1側から第2群G2に接触する。第2ストッパ28Bは、底壁部21との間に第2群G2を保持する。
【0033】
図2に示すように、蓄電素子ユニット10は、制御モジュール25を更に含んでもよい。図示された制御モジュール25は、第2ストッパ28B上に配置されている。制御モジュール25は、例えば、複数の蓄電素子モジュール40の充電および放電を制御する機能、蓄電素子モジュール40の充電状態(例えば充電量)を監視する機能、蓄電素子モジュール40の異常の有無を監視する機能の一以上を有してもよい。制御モジュール25は、蓄電素子ユニット10の外部に設置された制御装置に、蓄電素子モジュール40の充電状態や異常の有無の監視結果などの情報を、送信してもよい。また、制御モジュール25は、蓄電素子ユニット10の外部の配線(例えば、建物の配線)と、蓄電素子モジュール40と、の間の電気的接続および遮断を切り替える開閉器を含んでもよい。
【0034】
ところで、
図2において、一対のハンドル部材35が第1ストッパ28A上に配置されている。上述したように、ハンドル部材35は、蓄電素子モジュール40を持ち運ぶ際に使用される。
図5~
図7に示すように、ハンドル部材35は、蓄電素子モジュール40に取り付けられる。作業者は、ハンドル部材35を把持して、蓄電素子モジュール40を持ち運ぶことができる。ハンドル部材35は、不使用時に、図示された例のように収容箱15の内部スペース15Sに収容されて保管されてもよい。
図2に示された例において、保管中の一対のハンドル部材35は、それぞれ第1ストッパ28Aにねじ止めされている。ただし、この例に限られず、ハンドル部材35は、収容箱15の内部スペース15S以外に保管されてもよい。
【0035】
次に、ハンドル部材35、およびハンドル部材35を取り付け可能とする蓄電素子モジュール40のケース45について、さらに説明する。
【0036】
蓄電素子ユニット10および蓄電素子モジュールキット30は、一対のハンドル部材35を含んでいる。一対のハンドル部材35は、第1ハンドル部材35Aおよび第2ハンドル部材35Bを含んでいる。第1ハンドル部材35Aおよび第2ハンドル部材35Bは、異なる構成を有してもよい。第1ハンドル部材35Aおよび第2ハンドル部材35Bは、図示された例のように、同一の構成を有してもよい。以下の説明において、第1および第2ハンドル部材35A,35Bに共通し得る事項については、第1および第2ハンドル部材35A,35Bを区別することなく、単に「ハンドル部材35」と表記して記載する。
【0037】
ハンドル部材35は、蓄電素子モジュール40とともに、蓄電素子モジュールキット30を構成する。ハンドル部材35は、蓄電素子モジュール40に取り付け可能である。図示された例のように、ハンドル部材35は、蓄電素子モジュール40に着脱可能でもよい。ハンドル部材35は、金属製の板状材を切断および折り曲げることによって作製されてもよい。
【0038】
図3に示された例において、ハンドル部材35は、作業者が把持するための把持部36と、板状材で形成される一対のフック37と、を含んでいる。把持部36は、ベース部36aと、ベース部36aから立ち上がった一対の延出部36bと、を含んでいる。ベース部36aおよび延出部36bは接続している。ベース部36aは一対の延出部36bの間に位置している。ベース部36aと延出部36bは、共に、板状である。ベース部36aは、一対の短辺と一対の長辺とを含む長方形形状を有している。各延出部36bはベース部36aの長辺に接続している。ベース部36aと延出部36bは、非平行となるように、より具体的には直交するように、接続している。ベース部36aおよび一対の延出部36bは、一枚の金属板を折り曲げることによって形成されてもよい。また、
図3に示されるように、少なくとも一方の延出部36bは、ストッパ28にハンドル部材35を固定するためのねじが貫通する貫通孔36cを有してもよい。
図2に示された例において、貫通孔36cが設けられた延出部36bがストッパ28に接触するようにして、ハンドル部材35がストッパ28に取り付けられている。この例によれば、ハンドル部材35がストッパ28に取り付けられた状態において、延出部36bがストッパ28に面接触し、ハンドル部材35がストッパ28上に安定して保持される。
【0039】
図3に示された例において、一対のフック37は、ベース部36aの各短辺からそれぞれ延び出している。各フック37は板状材によって形成されている。一対のフック37は、ベース部36aに対して屈曲するようにして、ベース部36aの短辺からそれぞれ延び出している。図示された例において、板状材のベース部36aの短辺に沿った幅は、ベース部36aから離間するにしたがって、短くなっていく。フック37は、ベース部36aから離間した端部領域において、U字状に180°湾曲したフック形状部37Xを含んでいる。この湾曲したフック形状部37Xによって、フック形状が形成されている。フック形状をなす湾曲の軸線は、フック37をなす板状材の板面への法線方向に延びている。図示された例において、一対のフック37は、ベース部36aの長辺に沿った方向に対面している。一対のフック37は、同一の形状を有している。各フック37のフック形状部37Xに含まれベース部36aから離間する側の縁部をなす突出端部37bは、曲線状の外輪郭を含んでいる。また、湾曲したフック形状部37Xの端部であるフック先端部37aは、曲線状の輪郭を有している。
【0040】
図4に示すように、ケース本体50は、底部51と、底部51から立ち上がった側壁部52と、を有している。底部51および側壁部52は、複数のセル41を収容する内部スペース15Sを区画する。図示された例において、底部51は、Z方向DZから複数のセル41に対面する。底部51は、Z方向DZに積層された複数のセル41を支持する。側壁部52は、ケース本体50に収納される複数のセル41を、底部51へのZ方向DZに直交する方向から取り囲む。側壁部52は、複数のセル41を保護し、Z方向DZに直交する方向に沿った、セル41のケース本体50に対する相対移動を規制する。一方、側壁部52は、Z方向DZに沿った、セル41のケース本体50に対する相対移動を許容する。ケース本体50は、樹脂材料の一体成型によって形成されていてもよいし、樹脂材料を別々に成型した底部51および側壁部52を組み立てることによって形成されてもよい。
【0041】
図4に示すように、側壁部52は、第1側壁部52Aと、第2側壁部52Bと、第3側壁部52Cと、第4側壁部52Dと、を含む。第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bは、X方向DXに対面している。第1側壁部52Aは、X方向DXにおける第1側から内部スペース15Sを区画する。第3側壁部52Cおよび第4側壁部52Dは、Y方向DYに対面している。第3側壁部52Cは、Y方向DYにおける第1側から内部スペース15Sを区画する。
【0042】
図4に示された例において、第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bには、Z方向DZにおける第1側に突出した突出部53が設けられている。突出部53は、Z方向DZにおける第1側から重ねられる他の蓄電素子モジュール40に接触し、Z方向DZにおける第2側から、当該他の蓄電素子モジュール40を支持する。図示された例において、第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bには、Y方向DYに沿って複数の突出部53が配列されている。
図4に示された例において、第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bには、Z方向DZにおける第2側に位置する他の蓄電素子モジュール40の53を受ける受け部54が設けられている。突出部53が受け部54に収容されることにより、Z方向DZに隣り合う二つの蓄電素子モジュール40のZ方向DZへの相対位置を維持するだけでなく、二つの蓄電素子モジュール40のZ方向DZと非平行な方向への相対移動も規制することができる。図示された例において、第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bには、Y方向DYに沿って複数の受け部54が配列されている。
【0043】
図4に示された例において、第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bの各々は、底部51から離間したZ方向DZにおける第1側となる領域において、X方向DXに互いに対面した主壁部60aおよび外壁部60bを含んでいる。主壁部60aは、底部51からZ方向DZに延び出している。外壁部60bは、主壁部60aの外側に位置している。外側とは、内部スペース15Sから離れる外側を意味する。すなわち、主壁部60aは、X方向DXにおいて、内部スペース15Sおよび外壁部60bの間に位置する。外壁部60bは、主壁部60aとの間に隙間を形成している。外壁部60bは、主壁部60aと接続し、主壁部60aとの所定の相対位置に維持される。
【0044】
さらに、
図4に示されるように、外壁部60bは、X方向DXにおける外側に開口する受容部60eを有していてもよい。図示された例において、受容部60eは、Y方向DYに間隔を空けて複数設けられている。受容部60eは、主壁部60aおよび外壁部60bの間に挿入された、後述するケース蓋体70の固定部72と係合することで、ケース蓋体70をケース本体50に保持することができる。
【0045】
次に、
図8~
図11を用いて、第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bにそれぞれ設けられた開口部61、連結部62、第2開口部65および側方開口部66について、説明する。
【0046】
図8は、
図3および
図4に示された蓄電素子モジュール40を示す平面図である。
図9は、
図8のA部拡大図であって、第1側壁部52Aに設けられた開口部61および連結部62を示す上面図である。
図8および
図9に示されるように、一対の壁部60a,60bは、互いから離間して配置されている。一対の壁部60a,60bによって形成される第1側壁部52Aは、Z方向DZにおける第1側に開口している。この開口によって、フック37を挿入可能な開口部61が形成されている。また、一対の壁部60a,60bの間には、開口部61に挿入されたフック37が掛けられる連結部62が設けられている。図示された例において、蓄電素子モジュール40に取り付けられたハンドル部材35が位置する空間や蓄電素子モジュール40に取り付けられるためにハンドル部材35が移動する空間は、第1側壁部52Aの内部となる一対の壁部60a,60bの間に形成された空間となる。ハンドル部材35が位置するようになる第1側壁部52A内の空間は、セル41を収容する内部スペース15Sと、主壁部60aによって区分けされている。したがって、ハンドル部材35を蓄電素子モジュール40に取り付ける状態、蓄電素子モジュール40を持ち運ぶ状態、およびハンドル部材35を蓄電素子モジュール40から取り外す状態において、フック37が複数のセル41に接触することを、抑制することができる。結果として、フック37のセル41への接触に起因したセル41の損傷を抑制することができる。
【0047】
図8に示されるように、開口部61および連結部62は、第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bにそれぞれ設けられている。第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bは、X方向DXに互いから離間している。また、第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bに含まれる各一対の壁部60a,60bは、X方向DXに対面している。このような例によれば、ハンドル部材35が有する一対のフック37を、第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bにそれぞれ設けられた開口部61に挿入することができる。また、一対のフック37を、第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bにそれぞれ設けられた連結部62に掛けることができる。これにより、一対のフック37を有するハンドル部材35を、蓄電素子モジュール40に取り付けることができる。
【0048】
図示された例において、開口部61および連結部62は、Y方向DYに離間して第1側壁部52Aに複数設けられている。また、開口部61および連結部62は、Y方向DYに離間して第2側壁部52Bに複数設けられている。具体的には、開口部61および連結部62は、Y方向DYに離間して第1側壁部52Aに二つ設けられている。また、開口部61および連結部62は、Y方向DYに離間して第2側壁部52Bに二つ設けられている。このような例によれば、
図5および
図16に示すように、第1ハンドル部材35Aおよび第2ハンドル部材35Bを蓄電素子モジュール40に取り付けることができる。
【0049】
また、図示された例において、開口部61および連結部62は、Y方向DYに互いに隣接して設けられている。互いに隣接する開口部61および連結部62において、連結部62は、開口部61よりもY方向DYにおける外側、すなわちY方向DYに沿って第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bの寸法を2等分する側壁部中心線WLから離間する側に設けられている。
【0050】
さらに、図示された例において、第1側壁部52Aに設けられた開口部61および第2側壁部52Bに設けられた開口部61は、X方向DXに互いに対面している。第1側壁部52Aに設けられた連結部62および第2側壁部52Bに設けられた連結部62は、X方向DXに互いに対面している。すなわち、第1側壁部52Aに設けられた開口部61および第2側壁部52Bに設けられた開口部61は、Y方向DYにおいて同一の位置に配置されている。第1側壁部52Aに設けられた連結部62および第2側壁部52Bに設けられた連結部62は、Y方向DYにおいて同一の位置に配置されている。したがって、
図8に示すように、第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bの各一対の壁部60a,60bは、Y方向DYに沿って、開口部61および連結部62が設けられている二つの第1領域WAと、開口部61および連結部62が設けられていない第2領域WBと、を有している。二つの第1領域WAの一方において、第1ハンドル部材35Aが蓄電素子モジュール40に取り付けられる。二つの第1領域WAの他方において、第1ハンドル部材35Aが蓄電素子モジュール40に取り付けられる。
【0051】
開口部61および連結部62についてさらに詳述する。
【0052】
図8および
図9に示されるように、開口部61は、Z方向DZにおける第1側に開口している。図示された例において、開口部61は、Z方向DZにおける第1側からの観察において、略矩形形状を有している。Y方向DYに沿った開口部61の長さは、X方向DXに沿った開口部61の長さより長い。すなわち、図示された例において、開口部61は、X方向DXに短手方向を有し、Y方向DYに長手方向を有している。また、開口部61は、主壁部60aおよび外壁部60bを連結する第1隔壁63aによって、Y方向DYにおける第1側の開口縁61aを形成している。
【0053】
図9および
図10によく示されるように、一対の壁部60a,60bは、互いに対面する面にリブ64を有している。
図10は、
図9のB-B線に沿った断面を示している。リブ64は、X方向DXに沿った開口部61の寸法を2等分する壁部中心線OLに向けて、一対の壁部60a,60bからそれぞれ突出している。
図9に示すように、リブ64は、上面視において長方形状の形状を有している。リブ64は、細長い開口部61の近傍において、一対の壁部60a,60bを補強する。また、リブ64は、開口部61を通過したフック37の、Z方向DZの移動を円滑に案内する。リブ64は、例えば樹脂製の部材によって構成されていてもよい。
【0054】
また、図示された例において、X方向DXに対向する一対の壁部60a,60bの各々は、Y方向DYに離間して複数のリブ64を有している。
図9および
図10に示されるように、リブ64は、Y方向DYに間隔を空けて複数設けられている。
【0055】
ところで、
図9によく示されるように、リブ64が設けられた開口部61のX方向DXに沿った幅は、X方向DXに沿った開口部61の最小幅である。一対の壁部60a,60bが対面するX方向DXに沿った開口部61の最小幅は、フック37を着脱可能とするため、フック37の厚みよりも大きいことが好ましい。とりわけ、一対の壁部60a,60bが対面するX方向DXに沿った開口部61の最小幅の、フック37の厚みに対する比は、1.5以上であることがより好ましい。また、一対の壁部60a,60bが対面するX方向DXに沿った開口部61の最小幅の、フック37の厚みに対する比は、1.8以下であることが好ましい。
【0056】
なお、主壁部60aから突出したリブ64と、外壁部60bから突出したリブ64とは、互いに異なる突出高さを有していてもよい。図示された例において、外壁部60bから突出したリブ64のX方向DXに沿った突出高さは、主壁部60aから突出したリブ64のX方向DXに沿った突出高さよりも大きくなっている。このため、リブ64によって、
図3に示すように底部51に直接接続していない外壁部60bを、効果的に補強することができる。
【0057】
図9および
図10に示すように、一対の壁部60a,60bの間には、開口部61に挿入されたフック37が掛けられる連結部62が設けられている。
図9に示された例において、連結部62は、X方向DXに沿って延びており、主壁部60aおよび外壁部60bを連結している。
図10に示すように、連結部62は、フック37が掛けられる第1連結部62aと、第1連結部62aに接続した第2連結部62bと、を含んでいる。第1連結部62aは、X方向DXからの観察において、円弧や楕円弧等の弧に沿って延びている。
図11に示すように、連結部62は、X方向DXにおける第1側からの観察において、弧状に延びる曲面62sを有している。第1連結部62aは、Z方向DZにおける第2側に凸、図示された例において下側に凸な半円弧に沿って延びている。結果として、第1連結部62aは、湾曲した板状の部分となっている。第2連結部62bは、一対の壁部60a,60bのZ方向DZにおける第1側の縁から第1連結部62aまで、Z方向DZに延びている。第2連結部62bは、フック37が掛けられた第1連結部62aを、Z方向DZにおける第1側から補強する。
【0058】
図8および
図9に示された例において、一対の壁部60a,60bは、Z方向DZにおける第1側に開口した第2開口部65を設けられている。第2開口部65内にフック37のフック先端部37aが挿入可能である。第2開口部65は、連結部62に対して、Y方向DYにおける外側、すなわち側壁部中心線WLから離間する側に設けられている。言い換えると、連結部62は、Y方向DYにおいて、開口部(第1開口部)61および第2開口部65の間に位置している。また、
図9に示された例において、第2開口部65は、主壁部60aおよび外壁部60bを連結する第2隔壁63bによって、Y方向DYにおける第2側の開口縁65aを形成している。第2開口部65は、Z方向DZにおける第1側からの観察において、略矩形形状を有している。第2開口部65は、X方向DXおよびY方向DYのそれぞれに長さを有している。図示された例において、Y方向DYに沿った第2開口部65の長さは、第Y方向DYに沿った開口部(第1開口部)61の長さよりも短くなっている。
【0059】
図11に示された例において、外壁部60bは、X方向DXに開口した側方開口部66を有している。側方開口部66は、Z方向DZおよびY方向DYに長さを有している。図示された例において、側方開口部66のZ方向DZにおける第1側に位置する開口縁66aは、少なくとも一部の領域において、連結部62によって形成されている。この具体例によれば、作業者は、開口部61に挿入されたフック37の、連結部62に対する相対的な位置を容易に観察することができる。すなわち、フック37が連結部62に掛けられているとき又は掛けられようとしているとき、作業者は、側方開口部66からフック37を観察することができる。一方、フック37が連結部62に掛けられていないとき、作業者は、側方開口部66からフック37を観察することができない。結果として、作業者は、蓄電素子モジュール40へのハンドル部材35の取付状況の適否を容易に確認することができる。
【0060】
図4に示されるように、ケース45は、内部スペース15SをZ方向DZにおける第1側から区画するケース蓋体70を含んでいる。ケース蓋体70は、ケース本体50に保持される板状の部材である。ケース蓋体70は、ケース本体50に収容されたセル41を保護し、Z方向DZに沿ったセル41のケース本体50に対する相対移動を規制する。ケース蓋体70は、例えば樹脂製の板状の部材である。
図4に示すように、ケース蓋体70は、カバー本体71と、カバー本体71から延び出した固定部72と、を含んでもよい。固定部72は、第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bの外壁部60bに設けられた受容部60eと係合可能となっている。固定部72が受容部60eと係合することで、ケース蓋体70がケース本体50によって保持される。図示された例において、固定部72は、底部51へのZ方向DZに移動可能に受容部60eと係合する。
【0061】
図8を用いて既に説明したように、第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bの各一対の壁部60a,60bは、Y方向DYに沿って、開口部61および連結部62が設けられている第1領域WAと、開口部61および連結部62が設けられていない第2領域WBと、を含んでいる。
図8に示されるように、第1領域WAにおけるX方向DXに沿ったケース蓋体70の幅LCは、側壁部52a,52bのX方向DXへの離間間隔LD(
図4参照)以下、言い換えると側壁部52a,52bの各主壁部60aによって形成されるセル41の収容空間のX方向DXに沿った幅LD(
図4参照)以下となっている。したがって、第1領域WAにおいて、ケース蓋体70は、一対の壁部60a,60bに設けられた開口部61および連結部62を、Z方向DZにおける第1側から覆わない。この例によれば、ケース蓋体70を取り付けた状態であっても、ハンドル部材35のフック37を開口部61に挿入することができる。したがって、ケース本体50に収容された複数のセル41を上方から保護しながら、蓄電素子モジュール40を容易に持ち運ぶことができる。
【0062】
次に、以上の構成からなる蓄電素子モジュール40の作用について説明する。まず、ハンドル部材35を蓄電素子モジュール40に取り付ける方法について説明する。
【0063】
最初に、
図12および
図13に示すように、第1側壁部52Aおよび第2側壁部52Bに設けられた開口部61に、ハンドル部材35の一対のフック37が挿入される。
図12は、ハンドル部材35のフック37を第1側壁部52Aの開口部61に挿入した状態を、Z方向DZにおける第1側から示している。
【0064】
図示された例において、X方向DXに沿った開口部61の最小幅の、フック37の厚みに対する比は、1.5以上となっている。この具体例によれば、開口部61のX方向DXに沿った幅は、フック37の厚みに対して十分な大きさに確保されている。したがって、開口部61にフック37を容易に挿入することができる。また、図示された例において、開口部61の最小幅の、フック37の厚みに対する比は、1.8以下となっている。この具体例によれば、開口部61内においてフック37が意図せずX方向DXに移動することを抑制することができる。以上により、蓄電素子モジュール40へのハンドル部材35の取り付け作業を容易化できる。
【0065】
図示された例において、一対の壁部60a,60bは、互いに対向する面にリブ64を有している。この具体例によれば、開口部61のX方向DXに沿った幅は、リブ64が設けられている領域において最小値となる。開口部61に挿入されたフック37が、蓄電素子モジュール40に対してX方向DXに相対移動したとき、フック37はリブ64に接触する。これにより、フック37と壁部60a,60bとの接触面積を減少させることができ、フック37と壁部60a,60bとの接触による摩擦抵抗を低減させることができる。また、X方向DXに突出したリブ64がZ方向DZに延びているので、ハンドル部材35のZ方向DZへの移動を円滑に誘導することができる。以上により、蓄電素子モジュール40へのハンドル部材35の取り付け作業を容易化できる。
【0066】
図示された例において、外壁部60bは、内部スペース15Sを区画する主壁部60aのX方向DXにおける外側に位置している。外壁部60bから突出したリブ64のX方向DXへの突出高さは、主壁部60aから突出したリブ64のX方向DXへの突出高さよりも大きい。この例によれば、外壁部60bをリブ64によって十分に補強することができるので、外壁部60bを小型軽量化することができる。更に外壁部60bの小型軽量化によって、蓄電素子モジュール40および蓄電素子ユニット10の小型軽量化を図ることができる。
【0067】
その後、開口部61に挿入された一対のフック37は、一対の壁部60a,60bの間において、Z方向DZにおける第2側に更に挿入される。フック37のフック先端部37aが連結部62よりもZ方向DZにおける第2側まで達すると、次に、
図14に示すように、ハンドル部材35はY方向DYにおける第2側に移動させられる。フック先端部37aが連結部62よりもY方向DYにおける第2側に位置するまで、ハンドル部材35は第2方向D2に移動させられる。
【0068】
図示された例において、連結部62は、X方向DXにおける外側からの観察において、弧状の輪郭を有している。この具体例によれば、開口部61に挿入されたフック37のフック先端部37aが連結部62よりもZ方向DZにおける第2側に達していない場合であっても、Y方向DYに移動するフック37のフック先端部37aが連結部62の曲面62s上を滑るようにして、Y方向DYにおける第2側へフック37誘導される。これにより、ハンドル部材35は、
図14に示された位置に達する。
【0069】
次に、フック先端部37aが連結部62よりもY方向DYにおける第2側まで達すると、
図15に示すように、ハンドル部材35はZ方向DZにおける第1側に移動させられる。フック先端部37aが連結部62よりもY方向DYにおける第2側に十分に達していない場合であっても、Z方向DZに移動するフック37のフック先端部37aが連結部62の曲面62s上を滑るようにして、Y方向DYにおける第2側へ誘導される。図示された例において、一対の壁部60a,60bは、Z方向DZにおける第1側に開口した第2開口部65を設けられている。フック先端部37aと連結部62との接触によって、フック先端部37aが第2開口部65に向けて誘導される。これにより、ハンドル部材35は、
図15に示された位置に達する。
【0070】
図15に示すように、フック37がZ方向DZにおける第1他側に移動すると、フック先端部37aは、第2開口部65を通過し、側壁部52A,52Bから露出する。そして、フック37の把持部36から最も離間した突出端部37bが、Z方向DZにおける第2側から連結部62の曲面62sに接触する。この例によれば、フック先端部37aが第2開口部65から突出することによって、ハンドル部材35が蓄電素子モジュール40に対して適切な位置に取り付けられたことを確認することができる。
【0071】
図示された例において、Y方向DYに沿った第2開口部65の長さは、Y方向DYに沿った開口部(第1開口部)61の長さよりも短い。この具体例によれば、第2開口部65を通過したフック37のフック先端部37aは、第2開口部65によって、X方向DXおよびY方向DYへの移動を規制される。これにより、蓄電素子モジュール40に取り付けられたハンドル部材35の、蓄電素子モジュール40に対する相対移動を、第2開口部65によって抑制することができる。結果として、ハンドル部材35を蓄電素子モジュール40に対して適切な位置に安定して維持することができる。
【0072】
以上のようにして、
図5ハンドル部材35が蓄電素子モジュール40に取り付けられる。なお、上述した手順とは逆の手順を取ることにより、ハンドル部材35を蓄電素子モジュール40から取り外すことができる。
【0073】
次に、ハンドル部材35を用いて蓄電素子モジュール40を持ち運びする際の作用について説明する。
【0074】
図示された例において、蓄電素子ユニット10および蓄電素子モジュールキット30は、第1ハンドル部材35Aおよび第2ハンドル部材35Bを含んでいる。ケース本体50の各側壁部52A,52Bは、Y方向DYに離間して二つの連結部62を含んでいる。
図5および
図16に示すように、第1ハンドル部材35Aに含まれる二つのフック37は、第1側壁部52AのY方向DYにおける第2側に位置する連結部62と、第2側壁部52BのY方向DYにおける第2側に連結部62と、に掛けられる。同様に、第2ハンドル部材35Bに含まれる二つのフック37は、第1側壁部52AのY方向DYにおける第1側に位置する連結部62と、第2側壁部52BのY方向DYにおける第1側に連結部62と、に掛けられる。作業者は、第1ハンドル部材35Aの把持部36を一方の手で把持し、第2ハンドル部材35Bの把持部36を他方の手で把持し、第1および第2ハンドル部材35A,35Bを介して蓄電素子モジュール40を持ち運ぶ。
【0075】
ところで、蓄電素子モジュール40の持ち運びは、蓄電素子ユニット10の組み立て時、点検時、整備時、修理時等に行われる。これらの作業時、蓄電素子モジュール40は、収容箱15への持ち込みおよび収容箱15からの取り出しを実施される。収容箱15が筐体20および蓋板部18を含む場合、蓋板部18を取り外すことによって開放された開口部20Aを介し、筐体20への搬出入が実施される。すなわち、収容箱15の内部スペース15Sへのアクセスが、筐体20の開口部20Aを介した経路に、制約される。
【0076】
昨今では、蓄電素子ユニットの容量増大の要求から、蓄電素子ユニットが大型重量化している。このため、組み上がった蓄電素子ユニットの搬送時や設置場所への据え付け時における負担が増大している。蓄電素子ユニットの大型重量化への対処方法として、設置場所にて蓄電素子ユニットを組み立て、大型重量化した蓄電素子ユニットの搬送および設置場所への据え付けの負担を軽減することも検討されている。しかしながら、蓄電素子ユニットの容量増大の要求から、蓄電素子モジュールの重量も増加している。このため、まず、蓄電素子モジュールを持ち運ぶ際の負担を軽減する必要がある。
【0077】
昨今では、蓄電素子ユニットの容量増大の要求から、蓄電素子モジュールの寸法が大型化し、蓄電素子モジュールの重量が増加している。したがって、蓄電素子モジュールを持ち運ぶ際の負担が増大している。さらに、蓄電素子ユニットが大型重量化していることから、組み上がった蓄電素子ユニットの搬送時や設置場所への据え付け時における負担が増大している。
【0078】
蓄電素子ユニットの大型重量化への対処方法として、設置場所にて蓄電素子ユニットを組み立て、大型重量化した蓄電素子ユニットの搬送および設置場所への据え付けの負担を軽減することも検討されている。この施工方法では、まず、上述したようにして、第1および第2ハンドル部材35A,35Bを蓄電素子モジュール40に取り付ける。次に、作業者は、第1および第2ハンドル部材35A,35Bを把持して、設置場所に固定された筐体20内に蓄電素子モジュール40を収容する。その後、ストッパ28によって蓄電素子モジュール40を筐体20に固定し、次に、制御モジュール25を筐体20内に収容して、その後、筐体20に蓋板部18を取り付けて開口部20Aを塞ぐ。これにより、蓄電素子ユニット10の組み立てが完了する。
【0079】
本実施の形態において、蓄電素子モジュールキット30および蓄電素子ユニット10は、蓄電素子モジュール40と、蓄電素子モジュール40に取り付けられる第1ハンドル部材35Aと、蓄電素子モジュール40に取り付けられる第2ハンドル部材35Bと、を含んでいる。したがって、
図5に示すように、蓄電素子モジュール40に取り付けられた第1ハンドル部材35Aおよび第2ハンドル部材35Bを把持して、蓄電素子モジュール40を持ち運ぶことができる。
【0080】
とりわけ本実施の形態によれば、
図6および
図7に示すように、第1ハンドル部材35Aは、蓄電素子モジュール40に取り付けられた状態において、蓄電素子モジュール40に対して揺動可能となっている。また、第2ハンドル部材35Bは、蓄電素子モジュール40に取り付けられた状態において、蓄電素子モジュール40に対して揺動可能となっている。
【0081】
揺動を可能にする一具体例として、ケース本体50の連結部62が、フック37に接触する曲面62sを含んでもよい。
図10や
図15に示すように、曲面62sは、第1連結部62aによって構成されており、X方向DXからの観察において弧状となっている。より具体的には、曲面62sは、X方向DXからの観察において、Z方向DZにおける第2側に突出した、弧状、とりわけ半円弧状でもよい。この構成によれば、把持部36を把持した作業者が、第1および第2ハンドル部材35A,35Bを用いて蓄電素子モジュール40を持ち上げた状態において、各ハンドル部材35A,35Bを蓄電素子モジュール40に対して円滑に揺動させることができる。
【0082】
第1および第2ハンドル部材35A,35Bが蓄電素子モジュール40に対して揺動可能に取り付けられることにより、作業者の体格に応じて適切な位置や、作業者の作業状態や作業姿勢に応じて適切な位置に、第1および第2ハンドル部材35A,35Bの把持部36が移動する。例えば、作業者の肩幅の広さに応じた適切な位置に、第1および第2ハンドル部材35A,35Bの把持部36が移動する。これにより、第1および第2ハンドル部材35A,35Bを介して蓄電素子モジュール40を安定して持ち運ぶことができ、蓄電素子モジュール40を持ち運ぶ際の取り扱い性を改善できる。
【0083】
特に、筐体20の鉛直方向上方に開口した開口部20Aを介して筐体20内に蓄電素子モジュール40を配置する際や、鉛直方向上方に開口した開口部20Aを介して筐体20内から蓄電素子モジュール40を取り出す際、第1および第2ハンドル部材35A,35Bの把持部36を把持することによって、蓄電素子モジュール40を持ち運ぶ際の取り扱い性を改善できる。また、作業スペースを十分に確保しにくい状態で蓄電素子ユニット10を組み立てる際、例えば蓄電素子ユニット10の設置場所において蓄電素子ユニット10を組み立てる際、蓄電素子モジュール40の取り扱い性を改善できる。
【0084】
蓄電素子モジュール40を持ち運ぶ際の取り扱い性が改善されることから、設置場所にて蓄電素子ユニット10を容易に組み立てることができる。これにより、大型重量化した蓄電素子ユニット10の搬送および設置場所への据え付けの負担を解消することができる。したがって、本実施の形態は、大型重量化し得る大容量の蓄電素子ユニット10に好適と言える。
【0085】
上述の一実施の形態の具体例において、
図6に示すように、第1ハンドル部材35Aは、蓄電素子モジュール40に取り付けられた状態において、第2ハンドル部材35Bから離れる側において揺動可能となっていてもよい。第2ハンドル部材35Bは、蓄電素子モジュール40に取り付けられた状態において、第1ハンドル部材35Aから離れる側において揺動可能となっていてもよい。
【0086】
図6において、二点鎖線で示された第1ハンドル部材35Aは、蓄電素子モジュール40に取り付けられ、Z方向DZに沿ってZ方向DZにおける第1側に延び出している。
図6に二点鎖線で示された蓄電素子モジュール40の位置が基準位置となる。第1ハンドル部材35Aが第2ハンドル部材35Bから離れる側において揺動可能とは、基準位置に対して第2ハンドル部材35Bから離れる側へ揺動可能であることを意味する。同様に、第2ハンドル部材35Bが第1ハンドル部材35Aから離れる側において揺動可能とは、第2ハンドル部材35Bが基準位置に対して第1ハンドル部材35Aから離れる側へ揺動可能であることを意味する。
【0087】
図6において、実線で示された第1ハンドル部材35Aは、二点鎖線で示された基準位置から、Y方向DYにおける第2側に、蓄電素子モジュール40に対して揺動している。実線で示された第1ハンドル部材35Aは、揺動可能な範囲において、最もY方向DYにおける第2側に傾倒した位置に配置されている。すなわち、実線で示された第1ハンドル部材35Aは、基準位置に対して、図示されていない第2ハンドル部材35Bから離れる側へ、最大限揺動した状態にある。第2ハンドル部材35Bについては、図示を省略しているが、蓄電素子モジュール40に取り付けられた第1ハンドル部材35Aおよび第2ハンドル部材35Bの中心を通過してY方向DYに直交する面を中心として、第1ハンドル部材35Aと面対称に揺動することができる。
【0088】
この具体例によれば、第1および第2ハンドル部材35A,35Bが互いに接近した位置にて蓄電素子モジュール40に取り付けられていたとしても、把持部36が互いから離れるように、第1および第2ハンドル部材35A,35Bを蓄電素子モジュール40に対して揺動させることができる。すなわち、蓄電素子モジュール40の形状等の制約から、各側壁部52A,52Bに設けられた二つの連結部62のY方向DYに沿った離間距離を長く設定できない場合においても、第1および第2ハンドル部材35A,35Bの揺動によって、一対の把持部36を互いから十分に離すことができる。これにより、蓄電素子モジュール40を持ち運ぶ際における取り扱い性を改善できる。また、第1および第2ハンドル部材35A,35Bを蓄電素子モジュール40に取り付けてなる蓄電素子モジュールキット30の大型化を抑制することができる。これにともなって、取り扱い性を改善された蓄電素子モジュール40を、限られた寸法の開口部20Aを介して筐体20内に配置することや、限られた寸法の開口部20Aを介して筐体20内から持ち出すことができる。
【0089】
上述の一実施の形態の具体例において、蓄電素子モジュール40に取り付けられた状態の第1ハンドル部材35Aについて、第2ハンドル部材35Bから離れる側における外側揺動可能角度範囲θX(
図6参照)は、第2ハンドル部材35Bに接近する側における内側揺動可能角度範囲θY(
図7参照)よりも大きくてもよい。蓄電素子モジュール40に取り付けられた状態の第2ハンドル部材35Bについて、第1ハンドル部材35Aから離れる側における外側揺動可能角度範囲は、第1ハンドル部材35Aに接近する側における内側揺動可能角度範囲よりも大きくてもよい。
【0090】
図6は、外側揺動可能角度範囲θXを示している。
図7において、二点鎖線によって、基準位置にある第1ハンドル部材35Aを示している。
図7において、実線で示された第1ハンドル部材35Aは、二点鎖線で示された基準位置から、Y方向DYにおける第1側に、蓄電素子モジュール40に対して揺動している。実線で示された第1ハンドル部材35Aは、揺動可能な範囲において、最もY方向DYにおける第1側に傾倒した位置に配置されている。すなわち、実線で示された第1ハンドル部材35Aは、基準位置に対して、図示されていない第2ハンドル部材35Bに接近する側へ、最大限揺動した状態にある。したがって、
図7は、内側揺動可能角度範囲θYを示している。第2ハンドル部材35Bについては、図示を省略しているが、蓄電素子モジュール40に取り付けられた第1ハンドル部材35Aおよび第2ハンドル部材35Bの中心を通過してY方向DYに直交する面を中心として、第1ハンドル部材35Aと面対称に揺動することができる。
【0091】
この具体例によれば、第1および第2ハンドル部材35A,35Bが互いに接近した位置にて蓄電素子モジュール40に取り付けられていたとしても、把持部36が互いから離れるように、第1および第2ハンドル部材35A,35Bを蓄電素子モジュール40に対して揺動させることができる。これにより、蓄電素子モジュール40を持ち運ぶ際における取り扱い性を改善できる。その一方で、第1および第2ハンドル部材35A,35Bの互いに接近する内側への揺動可能範囲が規制される。第1および第2ハンドル部材35A,35Bの揺動可能範囲が適切に制限されることによって、第1および第2ハンドル部材35A,35Bの取り扱いが容易となる。また、第1および第2ハンドル部材35A,35Bの互いに接近する側への揺動が規制されることによって、第1および第2ハンドル部材35A,35Bの間に配線等が挟まれることを抑制できる。
【0092】
なお、以上のような作用効果を期待する上、外側揺動可能角度範囲θXは、好ましくは35°以上75°以下であり、より好ましくは45°以上65°以下である。内側揺動可能角度範囲θYは、好ましくは0°以上35°以下であり、より好ましくは5°以上25°以下である。
【0093】
なお、図示された例において、ハンドル部材35のフック形状部37Xは、フック先端部37aを含む領域よりも、突出端部37bを含む領域において、幅広となっている。そして、一方の第1ハンドル部材35が、他方のハンドル部材35に接近する側に揺動しようとすると、フック形状部37Xが第2開口部65内へ進むことになる。図示された例では、フック形状部37Xが第2開口部65にはまり込むことによって、一方の第1ハンドル部材35が他方のハンドル部材35に接近する側への揺動が規制される。ただし、ハンドル部材35の揺動可能範囲を決定する構成は、特に制限されず、図示された例と異なる構成を採用してもよい。
【0094】
上述の一実施の形態の具体例において、筐体20内に収容された蓄電素子モジュール40に取り付けられた状態の第1ハンドル部材35Aは、筐体20に接触しない範囲で揺動可能である。筐体20内に収容された蓄電素子モジュール40に取り付けられた状態の第2ハンドル部材は、筐体に接触しない範囲で揺動可能である。さらに、蓄電素子モジュール40に取り付けられた第1および第2ハンドル部材35A,35Bは、いずれの揺動位置においても、Z方向DZからの観察において蓄電素子モジュール40の外輪郭の内側に位置してもよい。
【0095】
この具体例によれば、第1および第2ハンドル部材35A,35Bを用いた蓄電素子モジュール40の筐体20への搬出入時に、第1および第2ハンドル部材35A,35Bや、第1および第2ハンドル部材35A,35Bを把持した作業者の手等が、筐体20に接触することを抑制できる。すなわち、第1および第2ハンドル部材35A,35Bの揺動可能範囲が適切に制限されることによって、蓄電素子モジュール40を持ち運ぶ際における取り扱い性をより改善できる。また、筐体20内に収容された蓄電素子モジュール40に取り付けられた第1および第2ハンドル部材35A,35Bが、蓄電素子モジュール40に対して揺動して筐体20に接触して筐体20を損傷することや筐体20との間に配線等を挟むことを抑制できる。
【0096】
上述の一実施の形態の具体例において、ケース本体50は、第1ハンドル部材35Aの揺動中心CXから離れた位置に設けられた第1突出部53Aを含んでいる。第1ハンドル部材35Aは、第1突出部53Aに接触することによって、第2ハンドル部材35Bから離れる側への揺動を規制される。ケース本体50は、第2ハンドル部材35Bの揺動中心から離れた位置に設けられた第2突出部53Bを含んでいる。第2ハンドル部材35Bは、第2突出部53Bに接触することによって、第1ハンドル部材35Aから離れる側への揺動を規制される。
【0097】
この具体例によれば、第1突出部53Aが第1ハンドル部材35Aから離れて設けられている。したがって、第1ハンドル部材35Aが第1突出部53Aに接触した状態において、第1ハンドル部材35Aと蓄電素子モジュール40との間に隙間Gを形成することができる。隙間Gが形成されることによって、配線等が第1ハンドル部材35Aと蓄電素子モジュール40との間に挟まれて損傷することを抑制することができる。同様に、第2ハンドル部材35Bと蓄電素子モジュール40との間に隙間を形成することによって、配線等が第2ハンドル部材35Bと蓄電素子モジュール40との間に挟まれて損傷することを抑制することができる。
【0098】
上述の一実施の形態の具体例において、蓄電素子モジュール40の重心は、第1ハンドル部材35Aの揺動中心CXおよび第2ハンドル部材35Bの揺動中心CYを結ぶ方向(図示された例において、Y方向DY)において、第1ハンドル部材35Aの揺動中心CXおよび第2ハンドル部材35Bの揺動中心CYの間に位置している。すなわち、蓄電素子モジュール40に取り付けられた第1ハンドル部材35Aおよび第2ハンドル部材35Bの間に、蓄電素子モジュール40の重心が位置する。したがって、第1および第2ハンドル部材35A,35Bを用いることによって、蓄電素子モジュール40の重さを分担して支えることできる。これにより、蓄電素子モジュールを安定して持ち運ぶことができる。
【0099】
上述の一実施の形態の具体例において、第1ハンドル部材35Aおよび第2ハンドル部材35Bは、蓄電素子モジュール40の長手方向であるY方向DYに互いから離れた位置において、蓄電素子モジュール40に取り付けられる。したがって、二つのハンドル部材35を有効に活用して、長手方向を有した蓄電素子モジュール40を安定して持ち運ぶことができる。また、第1ハンドル部材35Aの揺動中心CXおよび第2ハンドル部材35Bの揺動中心CYは、蓄電素子モジュール40の長手方向に直交したX方向DXに延びている。この構成によれば、二つのハンドル部材35によって、長手方向を有した蓄電素子モジュール40の重さを略均等に分担して支持することができる。これにより、蓄電素子モジュール40を持ち運ぶ際における取り扱い性をより改善できる。
【0100】
以上において説明してきた一実施の形態において、蓄電素子モジュールキットおよび蓄電素子ユニットは、蓄電素子モジュールと、蓄電素子モジュールに取り付けられた第1ハンドル部材と、蓄電素子モジュールに取り付けられた第2ハンドル部材と、を含んでいる。そして、第1ハンドル部材35Aは、蓄電素子モジュール40に取り付けられた状態において、蓄電素子モジュール40に対して揺動可能である。また、第2ハンドル部材35Bは、蓄電素子モジュール40に取り付けられた状態において、蓄電素子モジュール40に対して揺動可能である。したがって、蓄電素子モジュール40を持ち運ぶ際の取り扱い性を改善できる。
【0101】
図示された具体例を参照して一実施の形態を説明してきたが、図示された具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加を行うことができる。例えば、上述した一具体例において、連結部62は、開口部61に対して、Y方向DYにおける外側、すなわち側壁部中心線WLから離間する側に設けられている例を示したが、これに限られない。連結部62は、開口部61に対して、Y方向DYにおける内側、すなわち側壁部中心線WLに接近する側に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0102】
10:蓄電素子ユニット、15:収容箱、15S:内部スペース、18:蓋板部、20:筐体、20A:開口部、21:底壁部、22:側壁部、22A:第1側壁部、22B第2側壁部、22C第3側壁部、22D第4側壁部、25:制御モジュール、28:ストッパ、28A:第1ストッパ、28B:第2ストッパ、30:蓄電素子モジュールキット、35:ハンドル部材、35A:第1ハンドル部材、35B:第2ハンドル部材、36:把持部、36a:ベース部、36b:延出部、36c:貫通孔、37:フック、37X:フック形状部、37a:フック先端部、37b:突出端部、40:蓄電素子モジュール、41:セル、41c:中央部、41e:周縁部、42:外装体、45:ケース、46:端部カバー、47:端部カバー、50:ケース本体、51:底部、52:側壁部、52A:第1側壁部、52B:第2側壁部、52C:第3側壁部、52D:第4側壁部、53:突出部、53A:第1突出部、53B:第2突出部、54:受け部、60a:主壁部、60b:外壁部、60e:受容部、61:開口部、61a:開口縁、62:連結部、62a:第1連結部、62b:第2連結部、62s:曲面、63a:第1隔壁、63b:第2隔壁、64:リブ、65:第2開口部、65a:開口縁、66:側方開口部、66a:開口縁、70:ケース蓋体、71:カバー本体、72:固定部、DX:X方向、DY:Y方向、DZ:Z方向、D1:第1方向、D2:第2方向、D3:第3方向、G:隙間