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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051687
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】排水構造
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/10 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
E03F5/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050287
(22)【出願日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2021160860
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】後藤 友佑
(72)【発明者】
【氏名】寺地 信治
(72)【発明者】
【氏名】那須 秀之
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063DA02
2D063DA06
2D063DA24
2D063DB04
(57)【要約】
【課題】排水能力を高めることができる排水構造を提供する。
【解決手段】排水構造1は、排水枡部20と、配管80と、ドレン部材30と、を備えている。排水枡部20は、底面53bを有する。配管80は、底面53bを上下方向に貫通し、上端80aが排水枡部20内に配置されている。ドレン部材30は、配管80の上端80aに配置され、配管80に流入する雨水を整流する。配管80における底面53bよりも上方には、吸引孔82が配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板を有する枡と、
前記底板を上下方向に貫通し、上端が前記枡内に配置される管と、
前記管の上端に配置され、前記管に流入する水を整流するドレン部材と、を備え、
前記管における前記底板よりも上方には、吸引孔が配置されていることを特徴とする排水構造。
【請求項2】
前記枡内には、前記吸引孔の上方にごみ除け部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の排水構造。
【請求項3】
前記枡内には、前記吸引孔の上方に集水管が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁の側溝には、雨水を排水するために排水構造が設けられている。排水構造として、例えば、排水枡部の下部を形成する絞り部の内部において配管の上端が配置され、配管の上端にドレン部材が配置されているものが知られている。この排水構造によれば、排水枡部の開口部から雨水が絞り部の内部に流れ込み、絞り部から溢れた雨水がドレン部材を経て配管に流れ込む。この際に、雨水がドレン部材で整流される。
よって、雨水のなかに空気を含まない状態で雨水を配管に流して排水できる。これにより、排水構造により高流量の排水を実現でき排水能力を高めることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-197030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の排水構造は、雨水の排水能力を高める観点において改善の余地が残されている。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、排水能力を高めることができる排水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
「1」本発明に係る排水構造は、底板を有する枡と、前記底板を上下方向に貫通し、上端が前記枡内に配置される管と、前記管の上端に配置され、前記管に流入する水を整流するドレン部材と、を備え、前記管における前記底板よりも上方には、吸引孔が配置されている。
【0007】
上述の排水構造であれば、管における底板よりも上方に吸引孔を配置した。よって、例えば、枡内に流れ込む水が少量で水位がドレン部材の下方に位置する場合、あるいは雨が止んで水位がドレン部材の下方に位置する場合、枡内に流れ込んだ水を、吸引孔を経て管に流すことができる。これにより、枡内に流れ込んだ少量の水が、枡内においてドレン部材の下方の空間に溜まらないようにできる。
【0008】
一方、枡内に流れ込む水が多量で水位がドレン部材の上方に位置する場合、枡内に流れ込んだ水を、ドレン部材を経て管に流すことができる。この場合、枡内に流れた水で吸引孔を塞ぐ(吸引孔を空気に中に露出させない)ことが可能である。これにより、ドレン部材は、接続されている管に排水される雨水に空気を含ませないようにでき、雨水の排水能力を高めることができる。
【0009】
ここで、例えば、ドレン部材から管への水の排水中において、水の流入条件により水位がドレン部材の上端よりも下方に位置することも考えられる。このため、ドレン部材から吸い込んだ空気が水とともに管に入ることが考えられる。この場合には、例えば、管内の空気(すなわち、空間)に吸引孔から水を流すことが可能である。これにより、枡内に流れ込んだ多量の雨水の排水能力をより一層高めることができる。
【0010】
「2」本形態において、前記枡内には、前記吸引孔の上方にごみ除け部材が設けられていてもよい。
【0011】
この場合には、枡内において吸引口の上方にごみ除け部材を設けた。よって、水とともに枡内に流れ込んだごみをごみ除け部材で水から除去できる。これにより、ごみ除け部材の下方に流れ込んだ水が吸引孔を通過しても、吸引孔にごみが吸い込まれて吸引孔がごみで詰まることを防ぐことができる。
【0012】
ここで、例えば、ごみ除け部材をドレン部材の直下に設置することにより、ごみ除け部材で水から除去されたごみをドレン部材から管に排出できる。これにより、排水構造のメンテナンスをなくすこと、あるいはメンテナンスの回数を減らすことができる。その結果、いわゆるセルフクリーニング性能により点検・清掃にかかるコストを低減することができる。
【0013】
「3」本形態において、前記枡内には、前記吸引孔の上方に集水管が設けられていてもよい。
【0014】
この場合には、枡内において吸引口の上方に集水管を設けた。よって、集水管から枡内に水を流すことができる。これにより、ドレン部材から管に水が流れ込む前に、集水管から吸引孔に水を流すことができる。したがって、ドレン部材を経て管に水が流れ込む際に、吸引孔を水で一層良好に塞いで吸引口から空気を吸い込まないようにできる。この結果、ドレン部材を経て管に流れ込む水に空気をより含まないようでき、ドレン部材を経た水を管に高流量の状態で流すことができる。
【0015】
ここで、例えば、集水管から枡内に流れる水には空気が含まれていることが考えられる。そこで、集水管を吸引孔から、ある程度離した位置に接続させることにより、集水管から枡内に水が流れる際に、水に含まれている空気を吸引孔から管に吸い込まないようにできる。よって、管内を流れる水に空気を含まないようできる。これにより、ドレン部材を経た水を管に一層高流量の状態で流すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、管における底板よりも上方に吸引孔を配置することにより排水能力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る排水構造を橋梁に設置した状態を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る排水構造の構成を示す模式断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る排水構造に備えたドレン部材を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るドレン部材を示す斜視断面図である。
図5図4の正面図である。
図6】排水構造の最大流量及び排水構造の上限水位を測定する実施形態及び比較例の排水構造を示す模式図である。
図7】実施形態及び比較例に係る排水構造の最大流量を示すグラフである。
図8】実施形態及び比較例に係る排水構造の上限水位を示すグラフである。
図9】本発明の一実施形態に係る排水構造の変形例1に備えたドレン部材及びごみ除け部材を示す分解断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る排水構造の変形例1に備えたドレン部材及びごみ除け部材を示す断面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る排水構造の変形例1の施工例を説明する断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る排水構造の変形例2に備えたドレン部材を示す断面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る排水構造の変形例3に備えたドレン部材及びごみ除け部材を示す斜視図である。
図14】本発明の一実施形態に係る排水構造の変形例3に備えたドレン部材及びごみ除け部材を示す平面図である。
図15】本発明の一実施形態に係る排水構造の変形例3に備えたドレン部材を示す平面図である。
図16】本発明の一実施形態に係る排水構造の変形例3に備えたごみ除け部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る排水構造について説明する。
<構成>
(排水構造の概要)
図1は、本発明に係る実施形態の排水構造1を橋梁に設置した状態を示す図である。図1に示すように、実施形態の排水構造1は、橋梁200の側溝に沿って複数配置されている。橋梁200に降った雨水(水)が排水構造1に流れ込み、橋梁200外に排水される。
【0019】
図2は、実施形態の排水構造1の構成を示す模式断面図である。
図2に示すように、排水構造1は、金属蓋10と、排水枡部(枡)20と、ドレン部材(整流部材)30と、配管(管)80と、ごみ除け部材90と、集水管100と、を備える。
【0020】
(金属蓋)
金属蓋10は、金属製の複数の孔を有する蓋である。複数の孔は雨の流入を妨げなければどのような形状でも良く、例えば、グレーチングのように網目状に形成されていても良いし、長方形の孔が複数開けられていても良い。金属蓋10は、排水枡部20に支持されており、金属蓋10から雨水が排水枡部20に流れ込む。金属蓋10は、実施形態では一例として四角形状であるが、これに限らず四角以外の多角形、丸、または楕円であってもよい。
【0021】
(排水枡部)
排水枡部20は、上枡21と、下枡22と、高さ調整部23と、を有している。上枡21は、金属製であり、金属蓋10の周囲に配置される枠体である。上枡21の内側が排水枡部20の開口部20aに対応し、金属蓋10が配置される。なお、本実施形態に係る排水枡部20は一例であり、排水枡部20としては、後述する底面53bを有する他の形態を適宜採用することができる。
【0022】
上枡21は、側壁41と、蓋載置部42と、を有する。側壁41は、金属蓋10の周囲を囲むように形成されている。蓋載置部42は、側壁41の下端から内側に向かって側壁41に対して概ね垂直に形成されている。蓋載置部42に金属蓋10が載置される。
【0023】
下枡22は、例えばFRP製であり、側壁51と、上枡支持部52と、絞り部53と、接続部54と、を有する。
【0024】
側壁51は、上枡21の周囲を囲むように形成されている。上枡支持部52は、側壁51の下端から内側に向かって側壁51に対して概ね垂直に形成されている。上枡支持部52に、上枡21が支持される。上枡支持部52と蓋載置部42には、下枡22に対する上枡21の高さ位置を調整する高さ調整部23が設けられている。
【0025】
絞り部53は、外観が円柱形状であり、上枡支持部52の下方に設けられている。絞り部53は、筒状部53aと、底面(底板)53bを有する。筒状部53aの上端である絞り上部53cは後述する接続部54によって上枡支持部52と接続されている。底面53bは、筒状部53aの先端である下端を塞ぐように配置されている。
【0026】
また、絞り部53は、左右方向において開口部20aの中央よりも左右の一方よりに配置されている。底面53bには、貫通孔53dが形成されており、貫通孔53dに挿通された配管80が設けられている。よって、底面53bは、排水枡部20から下方への雨水の漏洩を止水する止水面として機能する。また、底面53bは、絞り部53の下端である絞り下部に相当する。なお、底面53bと配管80の間を止水剤等で埋めてもよい。配管80については後で詳しく説明する。
【0027】
接続部54は、上枡支持部52と絞り部53とを接続する。接続部54は、上枡支持部52の内側の端から絞り部53の筒状部53aの上端までを接続する。接続部54は、開口部20aに対して垂直な方向の断面積が上枡支持部52から絞り部53に向かって除々に小さくなるように形成されている。
【0028】
高さ調整部23は、下枡22に対する上枡21の高さ位置を調整する。高さ調整部23は、ボルト61と、ナット62と、を有する。ボルト61は、上枡支持部52に形成された貫通孔に挿入されている。ボルト61は、上枡支持部52に対して略垂直に配置されている。ボルト61のヘッド61aが、上枡21の蓋載置部42に下方から当接している。ナット62は、貫通孔と同軸になるように上枡支持部52に固定されている。ナット62には、ボルト61が挿通されている。ボルト61のナット62への捻じ込み量を変更することによって、上枡21の下枡22に対する高さを変更することができる。高さ調整部23は、上枡支持部52の対向する長辺と対向する短辺の全てに設けられていてもよいし、どちらか一方のみに設けられていてもよい。
【0029】
ここで、下枡22の上端までコンクリート201が設けられ、コンクリート201の上部に舗装202が設けられている。舗装202の上端と、上枡21の上端の位置は概ね一致している。舗装202の厚さにあわせるように、高さ調整部23によって下枡22に対する上枡21の位置を調整することができる。
【0030】
(ドレン部材)
ドレン部材30は、接続されている配管80に排水される雨水にサイフォン現象の発生を誘発する。ドレン部材30は、排水枡部20に流入した雨水の排水能力を向上させるための高排水機能を有する排水部材である。なお、本実施形態に係るドレン部材30は一例であり、ドレン部材30としては、配管80に流入する水を整流可能な他の形態を適宜採用することができる。
【0031】
図3は、ドレン部材30を示す斜視図である。図4は、ドレン部材30の斜視断面図である。図5は、図4の正面図である。
【0032】
ドレン部材30は、硬質塩化ビニル樹脂やポリカーボネート、ABS、AES等の合成樹脂を用いて射出成形によって作成することができる。なお、合成樹脂に限るものではなく、鋳型を用いた鋳鉄製であってもよい。
【0033】
ドレン部材30は、蓋部材31と、装着筒32と、複数の縦リブ33と、を有する。
【0034】
蓋部材31は、板状であり、円盤状に形成されている。装着筒32は筒状に形成されている。蓋部材31と装着筒32の各々の中心軸は、共通軸上に配置され、鉛直方向に一致している。この共通軸をドレン軸Oとし、ドレン軸O方向に沿うドレン部材30の装着筒32を下側とし、蓋部材31側を上側とする。また、ドレン部材30をドレン軸O方向から視た平面視においてドレン軸Oに直交する方向を径方向とし、ドレン軸O周りに周回する方向を周方向とする。
【0035】
装着筒32は、落し口部34を形成する筒部71と、筒部71の上端から径方向の外側に延びる板状の鍔部72と、を有する。筒部71と鍔部72が連設される内面側の接続部分32aは、テーパー面或いは曲面に形成されたベルマウス形状に形成されている。接続部分32aが曲面である場合、ドレン軸Oと平行な方向の断面の曲率半径は5mm~20mmであるほうが好ましい。
【0036】
落し口部34は、雨水を排水する部分であり、落し口部34の上端の開口(筒部71の上端の内側ともいえる)を排水口34aとする。排水口34aは、鍔部72の内側ともいえる。排水口34aから蓋部材31までの距離は、鍔部72から蓋部材31までの距離と概ね同じである。ドレン軸Oに沿った方向において排水口34aと鍔部72の位置が概ね一致する。
【0037】
落し口部34の開口34bは、排水口34aよりも下側であって、径が一定の部分を示し、開口34bの開口径がR1(図5参照)として示されている。また、開口径がR1の開口34bの面積を、落し口部34の開口面積とする。なお、開口径R1は筒部71の内径に相当し、落し口部34の開口面積は、筒部71の内径を直径とする面積に相当する。また、接続部分32aによって、開口34bから排水口34aに向かって除々に径が大きくなっている。
【0038】
また、実施形態では。ドレン部材30の中心軸であるドレン軸Oが鉛直方向に一致しているため、蓋部材31の面積と落し口部34の開口面積は、それぞれ鉛直方向に直交する面に対する蓋部材31の投影面積及び落し口部34の開口の投影面積に相当する。なお、実施形態では、蓋部材31の外径寸法と鍔部72の外径寸法は略同一に形成されている。
【0039】
ドレン部材30は、例えば、筒部71を配管80(図2参照)の内側に上方から差し込むことによって配置される。
【0040】
図3及び図4に示すように、蓋部材31の外周縁31aと、鍔部72の外周縁72aの間に形成される部分が、雨水が落し口部34の排水口34aに流入する流入開口30aとなる(図4の矢印B参照)。流入開口30aの面積は、落し口部34の開口34bの開口面積(径R1の部分)よりも大きい面積となるよう、蓋部材31の大きさや高さ形状が調整される。
【0041】
複数の縦リブ33は、図4に示すように、装着筒32の鍔部72の上面72dと、蓋部材31の下面31cの外周部とを連結している。蓋部材31は、複数の縦リブ33によって下方から支持され、図4図5に示すように、装着筒32から所定高さH1を確保した位置で支持されている。複数の縦リブ33は、流入開口30aに設けられ、平面視において径方向に沿って形成され、周方向に対して交差して形成されている。縦リブ33は、流入開口30aから落し口部34に流入する雨水を整流する機能を有している。すなわち、ドレン部材30は、配管80の上端80a(双方、図2参照)に配置され、配管80に流入する雨水を整流することができる。
実施形態では、縦リブ33は、6つ形成されており、6つの縦リブ33は、ドレン軸Oを中心として等間隔の角度(約60度間隔)で設けられているが、これに限られるものではない。
【0042】
蓋部材31は、鉛直方向の上方から視て落し口部34の開口34bを塞ぐように配置されている。また、蓋部材31の面積は落し口部34の開口34bの開口面積(径R1の部分)より大きく設定されている。なお、実施形態では蓋部材31の中心と落し口部34の開口の中心が鉛直方向に一致しているが、蓋部材31と落し口部34がともに傾いて斜めに配置されている場合には、蓋部材31の蓋面積が落し口部34の開口面積と同じ面積とすると、鉛直方向から視て落し口部34の開口34bを塞ぐことができず、蓋部材31と落し口部34の間に空気が入る隙間(渦流による空気芯)が生じることになる。
【0043】
そのため、鉛直方向に直交する面に対する蓋部材31の投影面積が落し口部34の開口34bの投影面積より大きく設定されているほうが好ましい。
【0044】
蓋部材31の蓋直径R2または最小幅寸法は、落し口部34の開口径R1(開口34bの径R1)より大きく、かつ開口径R1の245%以下である。さらに、蓋部材31の鍔部72の外周縁72aからの高さをH1、開口径をR1とした場合に、R1/H1の値が1.3~8.0の範囲を満たし、H1が10~60mmの範囲を満たし、開口面積は30cm以上190cm以下であるほうが好ましい。
【0045】
なお、蓋部材31の上面31b(図3参照)には、上方に突出し、周方向に間隔を空けて配置された把持リブ35が設けられている。把持リブ35は、ドレン部材30を配管80(図2参照)に接続する際に作業者によって把持される。
【0046】
(ドレン部材の排水枡部における位置)
次に、ドレン部材30の排水枡部20の内側における位置について述べる。
【0047】
実施形態では、図2に示すように、ドレン部材30の排水口34a(図4も参照)が底面53bよりも高い位置に配置されている。よって、絞り部53のような狭い箇所に手を挿入して把持リブ35を把持する必要がなく、ドレン部材30と配管80の接続を行いやすくなる。
【0048】
(配管)
実施形態の排水構造1に用いられる配管80としては、例えば口径が75A~125Aのものを用いることができる。なお、配管80は、口径75A~125Aに限定するものではない。配管80は、底面53bの貫通孔53dに挿通されることにより底面53bを上下方向に貫通している。すなわち、配管80は、底面53bに対して概ね垂直に配置されており、その上端80aが排水枡部20内(具体的には、概ね絞り部53の内側)に位置している。なお配管80は、その下流側において、継手を介して他の配管(横管や縦管)等に接続される。配管80を流れた水は、前述の継手や他の配管を流れた後、公共枡等に排水される。
【0049】
配管80の上端80aの開口端には受口81が設けられている。受口81には、例えば、ドレン部材30の筒部71が内側に上方から差し込まれている。なお、上端80aに受口81を設ける例について説明するが、受口81を設けなくてもよい。また、受口81は、例えば、配管80に接合されたソケット等の継手であってもよく、配管80の端部が拡径加工された構成であってもよい。
【0050】
また、配管80の上端80aには、底面53bよりも上方の位置に吸引孔82が配置されている。吸引孔82は、配管80の側壁を径方向に貫通している。吸引孔82は、絞り部53の内側の雨水を配管80の内側に案内する水抜き孔である。吸引孔82は、例えば、底面53bの上方で、かつ底面53bに近接した位置に配置されている。吸引孔82は、絞り部53における1/2の高さ位置よりも下方に配置され、好ましくは、絞り部53における1/4の高さ位置よりも下方に配置されている。吸引孔82は、例えば、配管80に1個、あるいは配管80の周方向に複数個が等間隔に設けられている。
【0051】
ここで、雨水が絞り部53内に流れて吸引孔82の位置まで溜まることにより、ドレン部材30から配管80に雨水が流れ込む前に、吸引孔82を塞ぐ(吸引孔82を空気に中に露出させない)ことが可能である。よって、ドレン部材30を経て配管80に雨水が流れ込む際に、吸引孔82から配管80に空気を吸い込まないようにできる。これにより、ドレン部材30は、接続されている配管80に排水される雨水にサイフォン現象の発生を誘発させることが可能になる。
【0052】
また、吸引孔82は、底面53bに近接した位置に配置されている。よって、比較的空気が入り難い位置に吸引孔82を配置できる。これにより、吸引孔82から空気が入ることを抑えることができ、ドレン部材30によるサイフォン現象の発生を誘発させることが可能になる。
【0053】
ところで、配管80の上端80aに、ドレン部材30と吸引孔82との間に他の吸引孔82を設けることも考えられる。しかし、他の吸引孔82から空気が入りやすくなるため、ドレン部材30と吸引孔82との間に他の吸引孔82を設けることは好ましくない。特に、絞り部53の筒状部53a内に集水管100(後述する)を設ける場合には、底面53bに近接した位置のみに吸引孔82を配置することが好ましい。
なお、配管80に吸引孔82を配置した作用、効果については図7から図8等で詳しく説明する。
【0054】
(ごみ除け部材)
また、排水枡部20内には、吸引孔82の上方にごみ除け部材90が設けられている。ごみ除け部材90は、例えば、ドレン部材30の鍔部72に設けられている。よって、ごみ除け部材90は、ドレン部材30の流入開口30a(図4も参照)の直下に設置されている。
【0055】
なお、実施形態では、ごみ除け部材90をドレン部材30の鍔部72に設ける例について説明するが、これに限定しない。例えば、ごみ除け部材90を流入開口30aの下方で、かつ流入開口30aのなるべく近くに設置することが可能な他の個所に設けてもよい。例えば、ドレン部材30の鍔部72に対して下方に、前記高さH1に相当する距離、離れた位置を基準位置としたとき、ごみ除け部材90が、鍔部72よりも下方で、かつ、前記基準位置よりも上方に配置されていてもよい。
【0056】
また、ごみ除け部材90は、例えば、網材あるいは板材で形成されている。ごみ除け部材90を網材で形成する場合には、例えば、網材の網穴(網目)を吸引孔82の直径よりも小さく設定する。また、ごみ除け部材90を板材で形成する場合には、例えば、板材と排水枡部20との間に吸引孔82の直径よりも小さい隙間を形成する。
【0057】
これにより、雨水とともに排水枡部20内に流れ込んだごみ(主に土砂)のうち、吸引孔82が詰まるサイズや形状のごみをごみ除け部材90で雨水から除去できる。よって、ごみ除け部材90の下方に流れ込んだ雨水が吸引孔82を通過しても、吸引孔82にごみが吸い込まれて吸引孔82がごみで詰まることを防ぐことができる。
【0058】
また、ごみ除け部材90は、ドレン部材30の流入開口30a(図4も参照)の直下に設置されている。これにより、ごみ除け部材90で雨水から除去されたごみは、ドレン部材30のサイフォン現象(サイフォン作用)により雨水とともに流入開口30a等を経て配管80に排出される。
【0059】
なお、ごみ除け部材90をドレン部材30の上方に設けることも考えられるが、大半のごみはドレン部材30のサイフォン現象で雨水とともに排出される。このため、ごみ除け部材90をドレン部材30の上方に設けない方が好ましい。すなわち、ごみ除け部材90をドレン部材30の流入開口30aの高さに近づけた方がごみを流入開口30aから吸い込み易く好ましい。
【0060】
(集水管)
さらに、絞り部53の筒状部53a内には、吸引孔82の上方に集水管100が設けられている(接続されている)。よって、集水管100は、筒状部53a内において吸引孔82の上方に連通されている。集水管100は、路面下の雨水を絞り部53に流す管である。路面下の雨水を集水管100から絞り部53に流すことにより、例えば、絞り部53に流れた路面下の雨水を吸引孔82から配管80に流して排出することができる。集水管100は、吸引孔82の上方で、かつ吸引孔82からある程度離した位置に接続されている。例えば、集水管100と吸引孔82との上下方向の距離は、絞り部53の上下方向の大きさの1/4以上であってもよい。
【0061】
このように、集水管100を吸引孔82の上方に接続させた。よって、集水管100から絞り部53内に雨水を流すことにより、吸引孔82の位置まで雨水を溜めやすくできる。これにより、例えば、ドレン部材30から配管80に雨水が流れ込む前に、集水管100から流れる雨水で吸引孔82を一層良好に塞ぐことができる。よって、ドレン部材30を経て配管80に雨水が流れ込む際に、吸引孔82から配管80に空気を吸い込まないようにできる。これにより、ドレン部材30によるサイフォン現象の発生を誘発させることが可能になる。
【0062】
ここで、集水管100から絞り部53内に流れる雨水には空気が含まれていることが考えられる。そこで、集水管100を吸引孔82から、ある程度離した位置に接続させた。これにより、集水管100から絞り部53内に雨水が流れる際に、雨水に含まれている空気を吸引孔82から配管80に吸い込まないようにできる。
【0063】
このように、吸引孔82から配管80に空気を吸い込まないようにすることにより、配管80内を流れる雨水に空気を含まないようできる。したがって、ドレン部材30を経た雨水を配管80に流す際に、ドレン部材30のサイフォン現象を早期に発生させることができ、雨水を配管80に高流量の状態で流すことができる。
【0064】
<作用>
図2に示すように、橋梁200(図1参照)に降った雨水は、金属蓋10から接続部54に沿って絞り部53に流れ込む(矢印A参照)。さらに、路面下の雨水は集水管100を経て絞り部53に流れ込む。路面下の雨水が絞り部53に流れ込むことにより、ドレン部材30から配管80に雨水が流れ込む前に、集水管100から流れる雨水で吸引孔82を塞ぐことができる。
【0065】
絞り部53内の水位が吸引孔82よりも上方に達すると、吸引孔82から配管80内に水が流入する。
絞り部53に流れ込んだ雨水の水位が鍔部72を超えると、超えた分の雨水が排水口34aに流れ込み、配管80から排水される。このとき、集水管100から流れる雨水で吸引孔82が塞がれている。これにより、ドレン部材30によってサイフォン現象が誘発され、配管80に効率よく雨水を排水することができる。
【0066】
また、排水枡部20内に流れ込んだごみのうち、吸引孔82が詰まるサイズや形状のごみをごみ除け部材90で雨水から除去できる。よって、吸引孔82がごみで詰まることを防ぐことができる。
【0067】
さらに、ごみ除け部材90で雨水から除去されたごみは、ドレン部材30のサイフォン現象(サイフォン作用)により雨水とともに流入開口30a等を経て配管80に排出される。よって、排水構造1のメンテナンスをなくすこと、あるいはメンテナンスの回数を減らすことができる。その結果、いわゆるセルフクリーニング性能により点検・清掃にかかるコストを低減することができる。
【0068】
次に、排水構造1の最大流量及び排水構造の上限水位を図6から図8に基づいて説明する。
図6は、排水構造の最大流量及び排水構造の上限水位を測定する実施形態及び比較例の排水構造を示す模式図である。図7は、実施形態及び比較例に係る排水構造の最大流量(L/s)を示すグラフである。図8は、実施形態及び比較例に係る排水構造の上限水位(%)を示すグラフである。
【0069】
図6に示すように、排水構造300は、実施形態の排水構造を示す。なお、実施形態の排水構造300は、後述する実施例1及び実施例2に対応している。以下、実施例1の排水構造300を「排水構造300A」、実施例2の排水構造300を「排水構造300B」として説明することもある。
【0070】
実施形態(実施例1及び実施例2)の排水構造300は、ドレン部材30及びごみ除け部材90を備えている。また、実施形態の排水構造300は、長さL1が600mmの配管80を備えている。実施例1の排水構造300Aの配管80は、孔径5mmの吸引孔82が1個形成されている。実施例2の排水構造300Bの配管80は、孔径5mmの吸引孔82が3個形成されている。
【0071】
一方、排水構造400は、比較例の排水構造を示す。比較例の排水構造400は、ドレン部材30を備えているが、ごみ除け部材90は備えていない。また、比較例の排水構造400は、長さL1が600mmの配管401を備えている。比較例の配管401は、吸引孔82が形成されていない。
【0072】
配管80、配管85、配管86、及び配管401は、それぞれの口径が75A(呼び径)である。配管85、86は、実施形態(実施例1、実施例2)及び比較例に共通の配管である。配管85は、第1端が配管80または配管401の下端に接続される横管である。配管85の長さL2は8000mmに設定されている。配管86は、上端が配管85の第2端に接続される縦管である。配管86の長さL3は6000mmに設定されている。配管86の下端は、流出口87に接続されている。
すなわち、実施例1、実施例2、比較例の主な相違点は、実施例1に吸引孔82を1個形成し、実施例2に吸引孔82を3個形成し、比較例に吸引孔82を形成しない点である。
【0073】
次に、排水構造の最大流量を図6図7に基づいて説明する。
図7のグラフにおいて縦軸は排水構造の最大流量(L/s)を示す。また、G1は比較例の最大流量を示すグラフである。G2は実施例1の最大流量を示すグラフである。G3は実施例2の最大流量を示すグラフである。
【0074】
比較例の排水構造400は、グラフG1に示すように19.5(L/s)である。実施例1の排水構造300Aは、グラフG2に示すように19.5(L/s)である。実施例2の排水構造300Bは、グラフG3に示すように20(L/s)である。
ここで、実施例2の排水構造300Bは、配管80に吸引孔82が3個形成されている。これにより、実施例2の排水構造300Bが、比較例の排水構造400に比べて最大流量を多く確保でき、最大流量の観点から、排水能力が高められていることがわかる。
【0075】
続いて、排水構造の上限水位を図6図8に基づいて説明する。
図8のグラフにおいて縦軸は上限水位(%)を示す。また、G4は実施例1の上限水位を示すグラフである。G5は実施例2の上限水位を示すグラフである。
図8のグラフにおいては、比較例の排水構造400の上限水位を100%とし、比較例の上限水位を基準にして、実施例1の排水構造300Aの上限水位及び実施例2の排水構造300Bの上限水位を求めた。
【0076】
ここで上限水位とは、比較例および実施例1、2の各排水構造300A、300B、400それぞれにおいて、降雨量を同一としたときの排水枡部20における水位の高さを示す。すなわち、上限水位が低いほど、降雨量が同一であるときに、排水枡部20における水位が低く、排水能力が高いことを意味する。
【0077】
図8のグラフに示すように、実施例1の排水構造300Aは、上限水位が比較例の上限水位に対して-16.5(%)下方に位置する。実施例2の排水構造300Bは、上限水位が比較例の上限水位に対して-17.4(%)下方に位置する。
【0078】
ここで、実施例1の排水構造300A及び実施例2の排水構造300Bは、配管80に吸引孔82が形成されている。よって、実施例1の排水構造300A及び実施例2の排水構造300Bが、比較例の排水構造400に比べて雨水を効率よく排水でき、排水能力が高められていることがわかる。
これにより、例えば、実施形態の排水構造1を高さの低い排水枡部20にも有効に適用でき、排水構造1の適用範囲を広げることが可能になる。
【0079】
以上説明したように、実施形態の排水構造1によれば、図2に示すように、配管80の上端80aを排水枡部20の底面53bの上方に配置した。さらに、底面53bの上方に位置する上端80aに吸引孔82を配置した。よって、例えば、排水枡部20内に流れ込む雨水が少量で水位がドレン部材30の下方に位置する場合、あるいは雨が止んで水位がドレン部材の下方に位置する場合、排水枡部20内に流れ込んだ水を、吸引孔82を経て配管80に流すことができる。これにより、排水枡部20内に流れ込んだ少量の雨水が、排水枡部20内においてドレン部材30内の下方の空間に溜まらないようにでき、例えば美観面を良好に確保できる。
【0080】
一方、排水枡部20内に流れ込む雨水が多量で水位がドレン部材30の上方に位置する場合、雨水が絞り部53内に流れて吸引孔82を塞ぐことが可能である。これにより、ドレン部材30は、接続されている配管80に排水される雨水にサイフォン現象の発生を誘発させることが可能になり、雨水の排水能力を高めることができる。
【0081】
さらに、路面下の雨水が集水管100を経て絞り部53に流れ込むことにより、集水管100から流れる雨水で吸引孔82を一層良好に塞ぐことができる。これにより、ドレン部材30にサイフォン現象の発生を誘発させることが一層良好に可能になり、雨水の排水能力を一層高めることができる。
【0082】
ここで、例えば、ドレン部材30から配管80への雨水の排水中において、雨水の流入条件により雨水の水位がドレン部材30の蓋部材31よりも下方に位置することも考えられる。このため、ドレン部材30から吸い込んだ空気が雨水とともに配管80に入ることが考えられる。この場合には、例えば、配管80内の空気(すなわち、空間)に吸引孔82から雨水を流すことが可能である。これにより、排水枡部20内に流れ込んだ多量の雨水の排水能力をより一層高めることができる。
【0083】
実施形態の排水構造1を、以下の変形例1~変形例3のように一部を変更することが可能である。
【0084】
{変形例1}
図9は、排水構造1の変形例1に備えたドレン部材及びごみ除け部材を示す分解断面図である。図10は、排水構造1の変形例1に備えたドレン部材及びごみ除け部材を示す断面図である。
変形例1は、ドレン部材30をドレン部材30Cに変更したものである。
図9に示すように、変形例1のドレン部材30Cは、上記したドレン部材30の装着筒32の筒部71の外周部にオネジ71aが形成されたドレン部材本体610と、これとは別体の装着部材620とを有している。
【0085】
ドレン部材本体610の鍔部72には、その軸方向において蓋部材31とは反対側に突出する凸状部72eが形成されている。凸状部72eは、円環状であり、鍔部72の径方向における中間位置から内側に形成されている。
【0086】
装着部材620は、筒状、具体的には円筒状の筒部621と、筒部621の軸方向の一端から径方向の外側に延びる板状の鍔部622とを有する。筒部621の内周部にはメネジ621aが形成されている。鍔部622には、その軸方向の筒部621とは反対側の端部に凹状部622aが形成されている。凹状部622aは、円環状であり、鍔部622の径方向における中間位置から内側に形成されている。
【0087】
ごみ除け部材90Cは有孔の円板状であり、その外径が絞り部53の円筒状の筒状部53aの内径よりも若干小径となっている。
【0088】
そして、ドレン部材本体610のオネジ71aを、装着部材620のメネジ621aに螺合させることで、これらが連結されてドレン部材30Cとなる。その際に、ドレン部材本体610の筒部71を、ごみ除け部材90Cの径方向内側に挿入し、鍔部72の凸状部72eを、ごみ除け部材90Cの径方向中央の孔90Caと装着部材620の凹状部622aとに嵌合させる。そして、ドレン部材本体610の鍔部72と、装着部材620の鍔部622とで、ごみ除け部材90Cを挟持する。これにより、図10に示すように、ごみ除け部材90Cがドレン部材30Cに位置決めされて一体に取り付けられる。ドレン部材30Cは、装着部材620の筒部621が配管80の受口81に嵌合される。
【0089】
<施工例>
変形例1を施工する施工例について説明する。
図11は、排水構造1の変形例1の施工例を説明する断面図である。
排水構造1の変形例1の施工例では、ドレン部材30C及び配管80を下方から施工する。
【0090】
このため、変形例1は、排水枡部20とは一部異なる排水枡部20Cを有している。排水枡部20Cは、排水枡部20に対して絞り部53とは一部異なる絞り部53Cを有する点が異なる排水枡部本体25と、いずれも排水枡部本体25に対して別体の、連結部材110、止水部材130、第1バンド部材140及び第2バンド部材150とを有している。排水枡部本体25の絞り部53Cは、絞り部53に対して底面53bが設けられていない点が異なっている。また、下方から施工するため、変形例1のごみ除け部材90Cは、その外径が、絞り部53Cの筒状部53aの内径よりも若干小径となっている。
【0091】
連結部材110は、EPDM等の弾性シール材料からなる弾性シール部材である。連結部材110は、第1筒状部111と、第2筒状部112と、接続部113とを有する一体成形品である。
【0092】
第1筒状部111は、筒状、具体的には円筒状である。
第2筒状部112は、筒状、具体的には円筒状である。第2筒状部112の内径は、第1筒状部111の内径よりも小径である。第2筒状部112の外径は、第1筒状部111の外径よりも小径である。
接続部113は、板状、具体的には有孔の平板状である。接続部113は、第1筒状部111の中心軸線の方向における第2筒状部112側の端縁部の全周と、第2筒状部112の中心軸線の方向における第1筒状部111側の端縁部の全周とを繋いでいる。
【0093】
止水部材130は、EPDM等の弾性シール材料からなる弾性シール部材である。止水部材130は、無端の環状である。止水部材130は、円形に整えられた状態で、その内周部が円筒状をなし、その外周部が、中心軸線の方向に沿って徐々に縮径するテーパ状をなす。
【0094】
第1バンド部材140及び第2バンド部材150は、いずれも無端の環状となっており、いずれも拡径及び縮径が可能となっている。第1バンド部材140及び第2バンド部材150は、いずれも金属製であり、具体的には、いずれもステンレス鋼材製である。第1バンド部材140及び第2バンド部材150は、いずれもドライバー等の工具で拡縮可能な汎用のステンレスホースバンドである。
【0095】
変形例1の施工例では、コンクリート201に新設で埋設された排水枡部本体25、或いは、コンクリート201に既設で埋設されていて古い配管類が取り外された状態の排水枡部本体25に対して、絞り部53Cの筒状部53aの下方から、ドレン部材30C及び配管80を施工する。コンクリート201に埋設された状態の排水枡部本体25は、絞り部53Cの筒状部53aの下部がコンクリート201よりも下方に突出している。
【0096】
変形例1の施工例では、絞り部53Cの筒状部53aの外周部に止水部材130を装着する。その際に、止水部材130は、下側ほど外周部の外径が小さくなる向きとされる。筒状部53aに装着された止水部材130は径方向外方に弾性変形して筒状部53aの外周部に密着する。
【0097】
他方で、配管80に、連結部材110を、その第2筒状部112において装着しておく。その際に、第2筒状部112は径方向外方に弾性変形して配管80の外周部に密着する。また、予めごみ除け部材90Cが取り付けられたドレン部材30Cを配管80に装着する。この状態で、連結部材110は、その軸方向において第2筒状部112よりも第1筒状部111がドレン部材30C側に位置する向きとなる。
【0098】
この状態の配管80を、ドレン部材30Cを先頭にして、絞り部53Cの筒状部53aに下方から挿入する。そして、連結部材110の第1筒状部111を、筒状部53aの外周部に装着されている止水部材130に被せるように嵌合させる。
【0099】
そして、各部の位置調整を行いつつ、第1筒状部111の外周部に仮装着されていた第1バンド部材140を締め付けると共に、第2筒状部112の外周部に仮装着されていた第2バンド部材150を締め付ける。これにより、連結部材110が、配管80に固定されると共に絞り部53Cの筒状部53aにも固定される。その結果、絞り部53Cの筒状部53aに配管80が連結される。この状態で、連結部材110の接続部113が、排水枡部20Cの底面53bを構成することになる。
【0100】
ここで、この状態で、変形例1のごみ除け部材90Cは、筒状部53aの軸方向において筒状部53aの上端部と位置を重ね合わせて配置されるようになっている。また、この状態で、ごみ除け部材90Cは、全周にわたって、筒状部53aの内周部との間に、吸引孔82の直径よりも小さい幅の隙間を形成する。これにより、ドレン部材30Cに取り付けられたごみ除け部材90Cがごみの吸引孔82側への移動を抑制する。
【0101】
なお、この変形例1において、ドレン部材30C及びごみ除け部材90Cが取り付けられる前の配管80を、上記施工例と同様にして、絞り部53Cの筒状部53aに下方から挿入して連結し、その後、ごみ除け部材90Cが予め取り付けられた状態のドレン部材30Cを、排水枡部20Cの上側から開口部20aを介して、配管80に取り付けるようにしても良い。
【0102】
この場合、ごみ除け部材90Cを絞り部53Cの筒状部53aに下方から挿入する場合に必要な筒状部53aとごみ除け部材90Cとの間の隙間が不要となるため、ごみ除け部材90Cは、筒状部53aの内周部に接していても良くなる。このように接していれば、ごみ除け部材90Cと排水枡部本体25との間をごみが通過することを一層抑制することができる。なお、このように接していても、ごみ除け部材90Cと排水枡部本体25との間には、微小な隙間があって水を通過させることできる。
【0103】
また、この場合、ごみ除け部材90Cを絞り部53Cの筒状部53aよりも上側に配置すれば、筒状部53aの内径よりも大きなごみ除け部材90Cをドレン部材30Cに取り付けることが可能となる。この場合も、ごみ除け部材90Cを排水枡部本体25の内面に接するように拡げることが可能である。
【0104】
{変形例2}
図12は、排水構造1の変形例2に備えたドレン部材を示す断面図である。
変形例2は、ドレン部材30をドレン部材30Dに変更し、ごみ除け部材90をなくしたものである。
図12に示すように、変形例2のドレン部材30Dは、上記したドレン部材30の装着筒32の鍔部72を径方向外方に拡げた鍔部72Dを有している。鍔部72Dは、ドレン部材30Dと継ぎ目なく一体に形成されている。鍔部72Dは、その外径が絞り部53Cの筒状部53aの内径よりも若干小径となっている。
【0105】
この変形例2においても、ドレン部材30Dが取り付けられた状態の配管80を、変形例1の施工例と同様にして、絞り部53Cの筒状部53aに下方から挿入して連結する。この状態で、変形例2のドレン部材30Dは、その鍔部72Dが、筒状部53aの軸方向において筒状部53aの上端部と位置を重ね合わせて配置されるようになっている。また、この状態で、鍔部72Dは、全周にわたって、筒状部53aの内周部との間に、吸引孔82の直径よりも小さい幅の隙間を形成する。これにより、ドレン部材30Dの鍔部72Dがごみの吸引孔82側への移動を抑制する。
【0106】
ここで、この変形例2において、ドレン部材30Dが取り付けられる前の配管80を、変形例1の施工例と同様にして、絞り部53Cの筒状部53aに下方から挿入して連結し、その後、ドレン部材30Dを、排水枡部20Cの上側から開口部20aを介して配管80に取り付けるようにしても良い。
この場合は、ドレン部材30Dの鍔部72Dは、筒状部53aの内周部に接していても良くなる。
また、この場合、鍔部72Dを絞り部53Cの筒状部53aよりも上側に配置すれば、筒状部53aの内径よりも大きな鍔部72Dとすることが可能となる。この場合も、鍔部72Dを排水枡部本体25の内面に接するように拡げることが可能である。
【0107】
{変形例3}
図13は、排水構造1の変形例3に備えたドレン部材及びごみ除け部材を示す断面図である。図14は、排水構造1の変形例3に備えたドレン部材及びごみ除け部材を示す平面図である。図15は、排水構造1の変形例3に備えたドレン部材を示す平面図である。図16は、排水構造1の変形例3に備えたごみ除け部材を示す平面図である。
【0108】
変形例3は、ドレン部材30をドレン部材30Eに、ごみ除け部材90Cをごみ除け部材90Eに、それぞれ変更したものである。
図13及び図14に示すように、変形例3のドレン部材30Eは、上記したドレン部材30の蓋部材31の外径を小径にした蓋部材31Eを有している。図15に示すように、蓋部材31Eの外径は、鍔部72の外径よりも小径であり、複数の縦リブ33の外接円の直径よりも小径となっている。複数の縦リブ33の外接円の直径は、鍔部72の外径と同等になっている。
【0109】
図16に示すように、ごみ除け部材90Eは、有孔の円板状である。ごみ除け部材90Eの外径は、絞り部53Cの筒状部53aの内径よりも若干小径となっている。ごみ除け部材90Eの内径は、図13及び図14に示すように、鍔部72の外径よりも小径であって、蓋部材31Eの外径よりも大径になっている。図16に示すように、ごみ除け部材90Eの内周部には、径方向外方に凹む凹部90Eaが、ドレン部材30Eの縦リブ33と同数設けられている。
【0110】
ごみ除け部材90Eは、ドレン部材30Eに、ドレン部材30Eの軸方向における蓋部材31E側から配置される。そして、ごみ除け部材90Eは、複数の凹部90Eaが、複数の縦リブ33に嵌合された後、図13に示すように、装着筒32の鍔部72に載置される。そして、必要により、ごみ除け部材90Eがドレン部材30Eに接着されて固定される。
【0111】
この変形例3においても、ドレン部材30E及びごみ除け部材90Eが取り付けられた状態の配管80を、変形例1の施工例と同様にして、絞り部53Cの筒状部53aに下方から挿入して連結する。この状態で、ドレン部材30Eに取り付けられたごみ除け部材90Eが、筒状部53aの軸方向において筒状部53aの上端部と位置を重ね合わせて配置されるようになっている。また、この状態で、ごみ除け部材90Eは、全周にわたって、筒状部53aの内周部との間に、吸引孔82の直径よりも小さい幅の隙間を形成する。これにより、ごみ除け部材90Eがごみの吸引孔82側への移動を抑制する。
【0112】
ここで、この変形例3において、ドレン部材30E及びごみ除け部材90Eが取り付けられる前の配管80を、変形例1の施工例と同様にして、絞り部53Cの筒状部53aに下方から挿入して連結し、その後、ドレン部材30E及びごみ除け部材90Eを、排水枡部20Cの上側から開口部20aを介して配管80に取り付けるようにしても良い。或いは、ごみ除け部材90Eが取り付けられる前のドレン部材30E及び配管80を、変形例1の施工例と同様にして、絞り部53Cの筒状部53aに下方から挿入して連結し、その後、ごみ除け部材90Eを、排水枡部20Cの上側から開口部20aを介して、ドレン部材30Eに取り付けるようにしても良い。
これらのいずれの場合も、ごみ除け部材90Eは、筒状部53aの内周部に接していても良くなる。
また、これらのいずれの場合も、ごみ除け部材90Eを絞り部53Cの筒状部53aよりも上側に配置すれば、筒状部53aの内径よりも大きなごみ除け部材90Eをドレン部材30Eに取り付けることが可能となる。この場合も、ごみ除け部材90Eを排水枡部本体25の内面に接するように拡げることが可能である。
【0113】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0114】
前記実施形態では、排水枡部20内において吸引孔82の上方にごみ除け部材90を設けた例について説明したが、ごみ除け部材90を設けなくてもよい。
前記実施形態では、絞り部53の筒状部53a内にで、かつ吸引孔82の上方に集水管100を設けた例について説明したが、集水管100を設けなくてもよい。
【0115】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1…排水構造、20…排水枡部(枡)、30…ドレン部材、53b…底面(底板)、80…配管(管)、80a…配管の上端、82…吸引孔、90…ごみ除け部材、100…集水管。
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