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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051691
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】配管構造
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/12 20060101AFI20230404BHJP
   E03C 1/122 20060101ALI20230404BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20230404BHJP
   F16L 41/02 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
E03C1/12 E
E03C1/122 Z
F16L5/00 H
F16L5/00 N
F16L5/00 C
F16L41/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053537
(22)【出願日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2021161736
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】木村 英治
(72)【発明者】
【氏名】渕上 斉太
(72)【発明者】
【氏名】花木 博章
【テーマコード(参考)】
2D061
3H019
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AB02
2D061AB05
2D061AC07
3H019BA02
3H019BB08
3H019BC01
3H019BD05
(57)【要約】
【課題】集合継手と、接着テープの両端部との間を通して水が流れるのを抑制した配管構造を提供する。
【解決手段】配管構造1は、樹脂製の集合継手10と、集合継手の外周面における、集合継手の軸線O方向の一部を覆うカバー25と、集合継手の外周面及びカバーの外周面のそれぞれに径方向外側から接着され、集合継手及びカバーを、周方向の全体にわたって互いに接続する接着テープ40と、集合継手と接着テープとの間を通して、水が流れるのを抑制する抑制部45と、を備え、接着テープにおける周方向の第1側の端部に配置された第1端部が、接着テープにおける周方向の第2側の端部に配置された第2端部により径方向外側から覆われ、抑制部は、集合継手と、接着テープの両端部との間を通して、水が流れるのを抑制する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の集合継手と、
前記集合継手の外周面における、前記集合継手の軸線方向の一部を覆うカバーと、
前記集合継手の外周面及び前記カバーの外周面のそれぞれに径方向外側から接着され、前記集合継手及び前記カバーを、周方向の全体にわたって互いに接続する接着テープと、 前記集合継手と前記接着テープとの間を通して、水が流れるのを抑制する抑制部と、
を備え、
前記接着テープにおける周方向の第1側の端部に配置された第1端部が、前記接着テープにおける前記周方向の第2側の端部に配置された第2端部により前記径方向外側から覆われ、
前記抑制部は、前記集合継手と、前記接着テープの前記両端部との間を通して、前記水が流れるのを抑制する、配管構造。
【請求項2】
前記抑制部は、
前記接着テープの前記第1端部における前記軸線方向の長さが、前記接着テープの前記第2端部における前記軸線方向の長さよりも短いこと、及び
前記接着テープの前記第2端部の一部が、前記集合継手の外周面に前記径方向外側から接着されていることを含んで構成されている、請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記抑制部は、前記接着テープにおける前記周方向の前記第1側の端縁における前記集合継手の軸線方向における第1側の端部が、前記軸線方向における第2側から前記第1側に向かうに従い漸次、前記周方向の前記第2側に向かうように傾斜することを含んで構成されている、請求項1又は2に記載の配管構造。
【請求項4】
前記抑制部は、前記接着テープにおける前記周方向の前記第1側の端縁における前記集合継手の軸線方向の前記第2側の端部が、前記集合継手の軸線方向における前記第1側から前記第2側に向かうに従い漸次、前記周方向の前記第2側に向かうように傾斜することを含んで構成されている、請求項3に記載の配管構造。
【請求項5】
前記抑制部は、前記接着テープにおける前記周方向の前記第1側の端縁が、階段状に形成されることを含んで構成されている、請求項1に記載の配管構造。
【請求項6】
前記抑制部は、前記接着テープを前記径方向内側に向かって付勢するように、前記接着テープを前記径方向外側から覆う、請求項1に記載の配管構造。
【請求項7】
前記集合継手の一部が、床スラブの貫通孔内に配置され、
前記貫通孔内には、充填材が充填される、請求項1から6のいずれか一項に記載の配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上下方向の流路を有する管に、略水平方向に延びる横管の接続部を有する集合継手を備える配管構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
配管構造の一部は、床スラブの貫通孔内に配置される。貫通孔は、モルタル等の充填材により埋め戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-014769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、鋳鉄製の集合継手が用いられていた。しかし、施工性と耐久性の観点から、樹脂製の集合継手が用いられる場合がある。樹脂は鋳鉄よりも軽いため、樹脂製の集合継手では、排水等の水が流れる際の音が大きくなる傾向がある。集合継手の遮音性を高めるため、集合継手の外周面をカバーで覆うことが行われている。この際に、例えば、集合継手及びカバーは、接着テープにより互いに接続される。接着テープにおける周方向の第1側の端部に配置された第1端部が、接着テープにおける周方向の第2側の端部に配置された第2端部により径方向外側から覆われて接続される。
しかしながら、多層構造の建築物に配管構造を施工する際には、建築物の外部から建築物内に、雨水等の水が入り、床スラブ上にたまることがある。この水は、集合継手と接着テープとの間を通して流れ、床スラブの下方の層に漏れる虞がある。特にこの水は、集合継手と、接着テープの両端部との間を通して流れやすい。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、集合継手と、接着テープの両端部との間を通して水が流れるのを抑制した配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の配管構造は、樹脂製の集合継手と、前記集合継手の外周面における、前記集合継手の軸線方向の一部を覆うカバーと、前記集合継手の外周面及び前記カバーの外周面のそれぞれに径方向外側から接着され、前記集合継手及び前記カバーを、周方向の全体にわたって互いに接続する接着テープと、前記集合継手と前記接着テープとの間を通して、水が流れるのを抑制する抑制部と、を備え、前記接着テープにおける周方向の第1側の端部に配置された第1端部が、前記接着テープにおける前記周方向の第2側の端部に配置された第2端部により前記径方向外側から覆われ、前記抑制部は、前記集合継手と、前記接着テープの前記両端部との間を通して、前記水が流れるのを抑制することを特徴としている。
この発明では、接着テープは、第1端部が第2端部により径方向外側から覆われた状態で用いられる。カバーにより、集合継手の遮音性を高めることができる。そして、集合継手及びカバーを互いに接続する接着テープに対して、配管構造が抑制部を備える。従って、集合継手と、接着テープの両端部との間を通して水が流れるのを防止することができる。
【0007】
また、前記配管構造において、前記抑制部は、前記接着テープの前記第1端部における前記軸線方向の長さが、前記接着テープの前記第2端部における前記軸線方向の長さよりも短いこと、及び前記接着テープの前記第2端部の一部が、前記集合継手の外周面に前記径方向外側から接着されていることを含んで構成されていてもよい。
この発明では、接着テープにおける両端部が重なった部分において、接着テープの第1端部が集合継手の外周面に接着されるだけでなく、接着テープの第2端部の一部を集合継手の外周面に接着することができる。これにより、接着テープの両端部を集合継手に確実に接着することができる。
【0008】
また、前記配管構造において、前記抑制部は、前記接着テープにおける前記周方向の前記第1側の端縁における前記集合継手の軸線方向における第1側の端部が、前記軸線方向における第2側から前記第1側に向かうに従い漸次、前記周方向の前記第2側に向かうように傾斜することを含んで構成されていてもよい。
この発明では、前記端部が軸線方向に沿う場合に比べて、水の通り道となる、接着テープの第1端部と第2端部との隙間が長くなり、集合継手と、接着テープの両端部との間を通して水が流れるのを、より確実に防止することができる。
【0009】
また、前記配管構造において、前記抑制部は、前記接着テープにおける前記周方向の前記第1側の端縁における前記集合継手の軸線方向の前記第2側の端部が、前記集合継手の軸線方向における前記第1側から前記第2側に向かうに従い漸次、前記周方向の前記第2側に向かうように傾斜することを含んで構成されていてもよい。
この発明では、接着テープの第1端部と第2端部との隙間が長くなるとともに、この隙間が折れた形状になり、この隙間の内部を水が流れ難くなる。従って、集合継手と、接着テープの両端部との間を通して水が流れるのを、さらに防止することができる。
【0010】
また、前記配管構造において、前記抑制部は、前記接着テープにおける前記周方向の前記第1側の端縁が、階段状に形成されることを含んで構成されていてもよい。
この発明では、接着テープの第1端部と第2端部との隙間が階段状に折れた形状になり、接着テープの第1端部と第2端部との隙間の内部を水が流れ難くなる。従って、集合継手と、接着テープの両端部との間を通して水が流れるのを、より確実に防止することができる。
【0011】
また、前記配管構造において、前記抑制部は、前記接着テープを前記径方向内側に向かって付勢するように、前記接着テープを前記径方向外側から覆ってもよい。
この発明では、抑制部の付勢により、接着テープが集合継手の外周面に押し付けられる。従って、水の通り道となる集合継手と接着テープとの隙間が狭くなり、集合継手と、接着テープの両端部との間を通して水が流れるのを、より確実に防止することができる。
【0012】
また、前記配管構造において、前記集合継手の一部が、床スラブの貫通孔内に配置され、前記貫通孔内には、充填材が充填されてもよい。
この発明では、貫通孔内に充填材が充填され、床スラブ上に水がたまりやすくなっている状況において、集合継手と、接着テープの両端部との間を通して水が流れるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の配管構造では、集合継手と、接着テープの両端部との間を通して水が流れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態の配管構造の一部を破断した正面図である。
図2図1における、一部を透過させてA1方向に見た図である。
図3図2中の切断線A3-A3の断面図である。
図4】集合継手及び下部カバーに接着テープを接着する手順を説明する図である。
図5】本発明の第1実施形態の第1変形例の配管構造における要部の図である。
図6】集合継手及び下部カバーに接着テープを接着する手順を説明する図である。
図7】本発明の第1実施形態の第2変形例の配管構造における要部の図である。
図8図7中の切断線A5-A5の断面図である。
図9】集合継手及び下部カバーに接着テープを接着する手順を説明する図である。
図10】本発明の第1実施形態の第3変形例の配管構造における要部の図である。
図11】本発明の第2実施形態の配管構造の一部を破断した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る配管構造の第1実施形態を、図1から図10を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の配管構造1は、多層建築物(建築物)101に用いられる。多層建築物101では、上下方向に複数の層102が重なっている。複数の層102同士(即ち、上層階と下層階)の間を、床スラブ103が仕切っている。床スラブ103は、上下方向に貫通する貫通孔103aを有する。
配管構造1は、集合継手10と、カバー25と、接着テープ40と、抑制部45と、を備える。
【0016】
ここで、集合継手10、カバー25、及び接着テープ40は、それぞれ筒状に形成されている。集合継手10、カバー25、及び接着テープ40それぞれの中心軸(軸線)は、共通軸と同軸に配置されている。以下では、共通軸を軸線Oと言い、軸線Oに沿う方向を軸線O方向と言う。軸線O方向のうち、後述する上部接続管11に対する下部接続管12側を下方(軸線O方向の第1側)Z1と言い、下部接続管12に対する上部接続管11側を上方(軸線O方向における第1側とは反対の第2側)Z2と言う。配管構造1を上下方向から見て、軸線Oに直交する方向を径方向と言い、軸線O回りに周回する方向を周方向と言う。
ただし、図中の下方Z1及び上方Z2は、向きを便宜的に示すものであり、本来は基準となるものに対する向きである。後述する第1側X1及び第2側X2も、同様である。
【0017】
集合継手10の形状は、特に限定されない。例えば、集合継手10は、上部接続管11と、上部接続管11に接続された下部接続管12と、を有する。
上部接続管11は、第1の縦管P1に接続可能な縦管接続部13と、縦管接続部13の側面に突設されて横管P3を接続可能な横管接続部14と、を有している。
縦管接続部13における上方の端部には、径方向外側に向けて突出するリブ13aを複数有する。図示の例では、軸線O方向に互いに間隔をあけた3つのリブ13aを、周方向に互いに間隔をあけて4組有する。4組のリブ13aは、周方向に互いに等間隔に配置されている。リブ13aの径方向の大きさは、特に限定されない。
集合継手10を多層建築物101に施工する際に、支持金具(図示せず)がリブ13aに対して径方向外側から当接することで、集合継手10が保持される。
【0018】
横管接続部14は、縦管接続部13の周壁から径方向外側に向けて延びている。本実施形態では、横管接続部14を2つ有している。2つの横管接続部14が延びる方向は、平面視で90°をなす。
なお、上部接続管11が有する横管接続部14の数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
縦管接続部13の内部には、上下方向に延びる縦リブ15が設けられている。縦リブ15は、横管接続部14の基端開口部を避けて配置されている。
上部接続管11は、一体成形物である。上部接続管11の上端部は、第1の縦管P1に接続している。
【0019】
下部接続管12は、上部接続管11の下方に位置している。下部接続管12は、傾斜管部17と、下側管部18と、を有する。
傾斜管部17は、下部接続管12の上端寄りに位置し、下方に向かうに従い漸次縮径している。即ち、下部接続管12は、上部接続管11から下方に向かい、漸次窄まっている。傾斜管部17の内部には、上下方向に延びる整流板19が設けられている。
下側管部18は、傾斜管部17の下端部から下方に延び、第2の縦管P2と接続している。下側管部18は、傾斜管部17の下方に位置する。
なお、本実施形態において、配管構造1は縦リブ15及び整流板19を有してもよいし、有していなくてもよい。
【0020】
集合継手10は、樹脂製である。より具体的には、上部接続管11は、例えば、樹脂組成物を射出成形等で一体に成形した部材である。
樹脂組成物を構成する樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等を例示でき、ポリ塩化ビニル系樹脂が好ましい。「ポリオレフィン系樹脂」とは、ポリオレフィン単体の樹脂か、複数種の樹脂を含む場合、質量が最も多い樹脂がポリオレフィンである樹脂を意味する。同様に「ポリ塩化ビニル系樹脂」とは、ポリ塩化ビニル単体の樹脂か、複数種の樹脂を含む場合、質量が最も多い樹脂がポリ塩化ビニルである樹脂を意味する。
【0021】
下部接続管12を構成する傾斜管部17及び下側管部18は、例えば、樹脂組成物を射出成形することで一体に製造できる。下部接続管12を構成する樹脂組成物としては、上部接続管11を構成する樹脂組成物と同様である。
なお、傾斜管部17及び下側管部18各々を別に成形し、これを接続してもよい。
【0022】
集合継手10における上部接続管11及び下部接続管12は、透明でもよいし、透明でなくてもよい。上部接続管11及び下部接続管12を透明にすることで、上部接続管11及び下部接続管12の接続状態を視認することができる。また、集合継手10に非熱膨張黒鉛や水酸化マグネシウム等の難燃剤を配合してもよい。
上部接続管11及び下部接続管12は、接着材等により互いに接続されている。
【0023】
本実施形態では、傾斜管部17(集合継手10の一部)は、床スラブ103の貫通孔103a内に配置されている。
床スラブ103における貫通孔103aの開口周縁部とカバー25との間(貫通孔103a内)には、モルタル等の充填材104が充填されている。
【0024】
なお、傾斜管部17を、樹脂と熱膨張材とを含有する樹脂組成物を押出成形することで製造してもよい。
傾斜管部17を構成する樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂を例示でき、中でも、ポリ塩化ビニル系樹脂が好ましい。ポリ塩化ビニル系樹脂であれば、火災時に管路をより確実に閉塞できる。
熱膨張材としては、火災時に発生する熱により膨張する素材であればよく、例えば、熱膨張性黒鉛等を例示できる。
【0025】
傾斜管部17は、傾斜管部17の全体が単一の樹脂組成物からなる単層構造でもよいし、複数の層からなる複層構造でもよい。傾斜管部17が複層構造の場合、いずれかの層が熱膨張材を含有する樹脂組成物から形成されていればよい。例えば、傾斜管部17が、表層と中間層と内層とからなる3層構造である場合には、中間層が熱膨張材を含有する樹脂組成物から形成されたものが挙げられる。
【0026】
表層、中間層及び内層は、吸熱剤を含有していてもよい。吸熱剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、カオリン系鉱物(カオリナイト、ハロイサイト、ディッカイト)やハイドロタルサルサイト等の無機水酸化物、セピオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、タルク、マイカ、石英、ゼオライト、ワラストナイト、ネフェリンサイアナイト等の吸水作用のある無機化合物を例示できる。
【0027】
中間層が熱膨張性黒鉛を含有する場合、中間層は黒色を呈する。そのため、表層と内層は黒色以外の着色剤を含有させ、中間層と区別可能にしておくことが好ましい。
表層及び内層の厚みは、それぞれ0.3mm以上3.0mm以下が好ましく、0.6mm以上1.5mm以下がより好ましい。表層及び内層である被覆層の厚みが0.3mm以上であれば、傾斜管部17の管としての機械的強度を充分に確保できる。被覆層の厚みが3.0mm以下であれば、傾斜管部17の耐火性の低下を抑制できる。
また、傾斜管部17は、JIS K6741、硬質ポリ塩化ビニル管に記載の性能を満たすものが好ましい。
【0028】
カバー25は、下部カバー26と、上部カバー27と、を有する。下部カバー26は、下部吸音カバー30と、下部遮音カバー31と、を有する。
下部吸音カバー30は、展開したときに平坦となるシート状に形成されている。下部吸音カバー30は、下部接続管12の外周面(集合継手10の外周面における軸線O方向の一部)を、周方向の全体(全周)にわたって覆っている。下部吸音カバー30は、下部接続管12の外周面に直接接触している。下部吸音カバー30の上端は、横管接続部14よりも下方に配置されている。
【0029】
下部吸音カバー30は、例えばニードルフェルトで形成されている。例えば、ニードルフェルトには、ポリエチレンテレフタレートが40%~50%、アクリル繊維が35%~45%、ウール・レーヨンが10%~20%含まれている。ニードルフェルトを製造する際には、トゲの付いた針をニードルフェルトに刺し込み、機械的に繊維を交絡させている。
なお、下部吸音カバー30をサーマルフェルト、PETフェルト等のフェルトや、アクリル繊維混合物、グラスウール、発泡ウレタン等で形成してもよい。下部吸音カバー30の密度は、80kg/m以上であることが好ましい。下部吸音カバー30の厚さは、10mm程度であることが好ましい。
【0030】
下部遮音カバー31は、展開したときに平坦となるシート状に形成されている。下部遮音カバー31は、下部吸音カバー30の外周面に直接接触している。下部遮音カバー31の上端は、下部吸音カバー30の上端よりも下方に配置されている。
下部遮音カバー31の厚さは、例えば1~5mm程度であることが好ましく、2mm程度であることがより好ましい。また、下部遮音カバー31の面密度は、1~8kg/mであることが好ましく、3.4kg/m程度であることがより好ましい。
下部遮音カバー31は、例えば、オレフィン系材料(オレフィン系樹脂100重量部に対して、無機フィラーを300~600重量部含有する樹脂組成物)等といった弾性を備えた樹脂材料により形成されている。
【0031】
前記無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。
これらのうち、重量とコストのバランスから炭酸カルシウムを前記無機フィラーとして用いることが好ましい。なおこれらは、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
【0032】
前記オレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、アタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリαオレフィンが挙げられる。中でも密度が0.87~0.93g/cmのポリエチレンが、前記オレフィン系樹脂として好ましい。なお、密度が0.87g/cm未満だと、下部遮音カバー31の強度が十分ではなく、0.93g/cmを超えると、下部遮音カバー31を偏平させたとき下部遮音カバー31が座屈してしまうおそれがある。また、オレフィン系樹脂の曲げ弾性率が、100~3000kg/cmであれば、強度、巻き加工性として十分である。
下部遮音カバー31は、オレフィン系材料とは異なる材料で形成されていてもよく、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)等のエラストマー材料等を用いても構わない。
【0033】
ここで、接着テープ40について説明する。
例えば、接着テープ40には、ブチルテープが用いられる。接着テープ40は、帯状である。接着テープ40は、接着テープ40がロール状に巻かれたロール材から巻き出して用いられる。接着テープ40は、図示しない接着層(粘着層)を有していて、接着層が径方向内側となるように集合継手10等に接着される。
接着テープ40は、集合継手10の外周面及び下部カバー26の外周面のそれぞれに径方向外側から接着されている。より詳しく説明すると、接着テープ40は、下部遮音カバー31の上端部における外周面、下部吸音カバー30における下部遮音カバー31よりも上方に突出した部分の外周面、及び集合継手10の外周面にそれぞれ接着されている。
接着テープ40は、集合継手10及び下部カバー26を、周方向の全体にわたって互いに接続する。
なお、接着テープとして、アルミニウム製等の防水テープ等を用いてもよい。
【0034】
図2は、図1において、上部カバー27を透過させてA1方向に見た図である。すなわち、図2は、配管構造1を径方向外側から見た図である。図2及び図3に示すように、ここで、接着テープ40における周方向の第1側X1(以下では、単に第1側X1と言う)の端部を、第1端部41と言う。接着テープ40における、周方向の第1側とは反対側の第2側(以下では、単に第2側X2と言う)の端部を、第2端部42と言う。接着テープ40において、第1端部41以外は、幅(軸線O方向の長さ)が同一である。
接着テープ40において、第1端部41が第2端部42により径方向外側から覆われている(以下では、端部重なり構造と言う)。接着テープ40における第1側X1の端縁41aが、上方から下方に向かうに従い漸次、第2側X2に向かうように傾斜している(以下では、第1傾斜構造と言う)。
図1に示すように、本実施形態では、接着テープ40の上端は、床スラブ103の上面よりも上方に配置されている。接着テープ40の下部は、床スラブ103の貫通孔103a内に配置されている。
なお、接着テープ40が配置される向き及び位置は、これに限定されない。
【0035】
ここで、図4を用いて、集合継手10及び下部カバー26に接着テープ40を接着する手順について説明する。例えば、接着テープ40は、ロール材から巻き出した後で、第1端部41を適宜切断して端縁41aを形成することで、製造される。
下部遮音カバー31の外周面、下部吸音カバー30の外周面、及び集合継手10の外周面に、接着テープ40の第1端部41から、接着テープ40を周方向に引っ張りながら接着させていく。そして、接着テープ40を周方向に接着させていき、図2及び図3に示すように第1端部41の径方向外側に第2端部42をかぶせて接着させる。
接着テープ40を引っ張りながら接着させていくため、図3に示すように、接着テープ40における、第1端部41の第1側X1と第2端部42との間には、隙間S1が形成される。
【0036】
前記抑制部45は、前記端部重なり構造及び前記第1傾斜構造を含んで構成されている。
配管構造1が第1傾斜構造を含むことにより、接着テープ40における第1側X1の端縁が軸線O方向に沿う場合に比べて、隙間S1が長くなり、隙間S1の内部を水が流れ難くなる。このように、抑制部45は、集合継手10と、接着テープ40の両端部41,42(第1端部41及び第2端部42)との間を通して、水が流れるのを抑制する。
なお、接着テープ40における第1側X1の端縁における下方Z1の端部が、上方から下方に向かうに従い漸次、第2側X2に向かうように傾斜していてもよい。
【0037】
図1に示すように、上部カバー27は、上部吸音カバー34と、上部遮音カバー35と、を有する。上部吸音カバー34、上部遮音カバー35は、下部吸音カバー30、下部遮音カバー31と同様にそれぞれ構成されている。上部吸音カバー34、上部遮音カバー35には、貫通孔34a,35aが2つずつ形成されている。
上部吸音カバー34は、上部接続管11の外周面、及び接着テープ40の外周面を、周方向の全体にわたって覆っている。上部吸音カバー34の2つの貫通孔34a内には、上部接続管11の2つの横管接続部14が配置されている。
上部遮音カバー35は、上部吸音カバー34の外周面を、周方向の全体にわたって覆っている。上部遮音カバー35の2つの貫通孔35a内には、上部接続管11の2つの横管接続部14が配置されている。
下部カバー26及び上部カバー27は、図示しないテープ等により集合継手10に固定されてもよい。
【0038】
次に、以上のように構成された配管構造1の動作について説明する。
多層建築物101内において、集合継手10の上部カバー27が配置された層102、及びそれよりも上方Z2の層102には、図示しないトイレ等の排水設備が設けられている。この排水設備から、第1の縦管P1及び横管P3を通して集合継手10内に排水が流れ込む。
排水は、集合継手10内で縦リブ15及び整流板19に当たりながら下方Z1に向かって流れる。排水は、集合継手10から第2の縦管P2内に流れ込み、適宜排水される。
集合継手10内を排水が流れる際に発生する音は、カバー25によりカバー25の外部に漏れ難くなる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の配管構造1では、接着テープ40は、第1端部41が第2端部42により径方向外側から覆われた状態で用いられる。カバー25により、集合継手10の遮音性を高めることができる。そして、集合継手10及びカバー25を互いに接続する接着テープ40に対して、配管構造1が抑制部45を備える。従って、多層建築物101に配管構造1を施工する際に床スラブ103上に水がたまり、集合継手10と、接着テープ40の両端部41,42との間を通してこの水が流れるのを防止することができる。
床スラブは、上部スラブと下部スラブとが段付けされた、いわゆる段差スラブである場合がある。この場合、水は、上部スラブ上よりも下部スラブ上にたまりやすい。貫通孔が下部スラブに形成されている場合には、本実施形態の効果はより顕著になる。
【0040】
抑制部45は、第1傾斜構造を含んで構成されている。このため、前記端縁41aが軸線O方向に沿う場合に比べて、水の通り道となる、接着テープ40の第1端部41と第2端部42との隙間S1が長くなる。その結果、集合継手10と、接着テープ40の両端部41,42との間を通して水が流れるのを、より確実に防止することができる。また、接着テープ40の第1端部41と第2端部42との隙間S1が空き難くなとともに、隙間S1が少なくなる。このことによっても、集合継手10と、接着テープ40の両端部41,42との間を通して水が流れるのを、より確実に防止することができる。
集合継手10の一部が、床スラブ103の貫通孔103a内に配置され、貫通孔103a内には、充填材104が充填される。これにより、貫通孔103a内に充填材104が充填され、床スラブ103上に水がたまりやすくなっている状況において、集合継手10と、接着テープ40の両端部41,42との間を通して水が流れるのを抑制することができる。
【0041】
本実施形態の配管構造1は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図5に示す第1変形例の配管構造1Aのように、本実施形態の抑制部45に代えて、抑制部50を備えてもよい。抑制部50は、接着テープ40Aにおける第1側X1の端縁41bが、階段状に形成されること(以下では、階段構造と言う)を含んで構成されている。抑制部50は、階段構造及び前記端部重なり構造を含んで構成されている。
この変形例では、端縁41bの一部は周方向に延び、端縁41bの他の一部は軸線O方向に延びている。
【0042】
ここで、図6を用いて、集合継手10及び下部カバー26に接着テープ40Aを接着する手順について説明する。例えば、接着テープ40Aは、ロール材から巻き出した後で、第1端部41を適宜切断して端縁41bを形成することで、製造される。
第1変形例の配管構造1Aを構成する接着テープ40Aにおいても、下部遮音カバー31の外周面、下部吸音カバー30の外周面、及び集合継手10の外周面に、接着テープ40Aの第1端部41から、接着テープ40Aを周方向に引っ張りながら接着させていく。そして、接着テープ40Aを周方向に接着させていき、第1端部41の径方向外側に第2端部42をかぶせて接着させる。
【0043】
以上のように構成された第1変形例の配管構造1Aでは、接着テープ40Aの第1端部41と第2端部42との隙間が階段状に折れた形状になり、接着テープ40Aの第1端部41と第2端部42との隙間の内部を水が流れ難くなる。従って、集合継手10と、接着テープ40の両端部41,42との間を通して水が流れるのを、より確実に防止することができる。
【0044】
図7及び図8に示す第2変形例の配管構造1Bのように、本実施形態の抑制部45に代えて、抑制部55を備えてもよい。抑制部55は、接着テープ40Bの第1端部41における幅が、接着テープ40の第2端部42における幅よりも短いこと(以下では、幅変化構造と言う)を含んで構成されている。第2端部42における軸線O方向の一部は、第1端部41よりも軸線O方向に張り出している。
抑制部55は、接着テープ40Bの第1側X1の端縁における下方Z1の端部41cが、上方Z2から下方Z1に向かうに従い漸次、第2側X2に向かうように傾斜すること(以下では、第1傾斜構造と言う)を含んで構成されている。抑制部55は、接着テープ40Bの第1側X1の端縁における上方Z2の端部41dが、下方Z1から上方Z2に向かうに従い漸次、第2側X2に向かうように傾斜すること(以下では、第2傾斜構造と言う)を含んで構成されている。
【0045】
さらに、抑制部55は、接着テープ40Bの第2端部42の一部が、集合継手10の外周面に径方向外側から直接接着されていること(以下では、直接接着構造と言う)を含んで構成されている。
前記抑制部55は、前記端部重なり構造、幅変化構造、第1傾斜構造、第2傾斜構造、及び直接接着構造を含んで構成されている。
【0046】
ここで、図9を用いて、集合継手10及び下部カバー26に接着テープ40Bを接着する手順について説明する。例えば、接着テープ40Bは、ロール材から巻き出した後で、第1端部41を適宜切断して端部41c,41d等を形成することで、製造される。
第2変形例の配管構造1Bを構成する接着テープ40Bにおいても、下部遮音カバー31の外周面、下部吸音カバー30の外周面、及び集合継手10の外周面に、接着テープ40Bの第1端部41から、接着テープ40Bを周方向に引っ張りながら接着させていく。そして、接着テープ40Bを周方向に接着させていき、第1端部41の径方向外側に第2端部42をかぶせて接着させる。
【0047】
以上のように構成された第2変形例の配管構造1Bでは、抑制部55が幅変化構造及び直接接着構造を含んで構成されている。このため、接着テープ40Bにおける両端部41,42が重なった部分において、接着テープ40Bの第1端部41が集合継手10の外周面に接着されるだけでなく、接着テープ40Bの第2端部42の一部を集合継手10の外周面に接着することができる。これにより、接着テープ40Bの両端部41,42を集合継手10に確実に接着することができる。
抑制部55が、第1傾斜構造に加えて第2傾斜構造を含んで構成されている。従って、接着テープ40Bの第1端部41と第2端部42との隙間が長くなるとともに、この隙間が折れた形状になり、この隙間の内部を水が流れ難くなる。従って、集合継手10と、接着テープ40Bの両端部41,42との間を通して水が流れるのを、さらに防止することができる。
【0048】
なお、第2変形例の配管構造1Bでは、抑制部55は、第1傾斜構造及び第2傾斜構造を含まなくてもよい。抑制部55は、幅変化構造及び直接接着構造を含まなくてもよい。
【0049】
図10に示す第3変形例の配管構造1Cのように、本実施形態の抑制部45に代えて、抑制部65を備えてもよい。この抑制部65は、接着テープ40Dの端部41、42同士の所定の長さ(以下、オーバーラップ長さLともいう)の重なりを含む。
【0050】
オーバーラップ長さLは、接着テープ40Dのオーバーラップ部分における接着テープ40Dの長手方向(周方向)の長さである。本変形例では、オーバーラップ長さLは、30mm以上200mm以下である。
なお本変形例の配管構造1Cでは、接着テープ40Dにおける第1側X1の端縁41eが、軸線O方向に平行に延びている。接着テープ40Dにおける第2側X2の端縁42aが、軸線O方向に平行に延びている。その結果、オーバーラップ長さLは、軸線O方向の全長にわたって同等である。
【0051】
ところで、接着テープ40Dにおける第1側X1の端部41を、第2側X2の端部42によって覆う場合、第2側X2の端部42に対する径方向の内側において、第1側X1の端縁41eを起因とする段差(接着テープ40Dの厚さ方向の段差)が生じる。
通常、接着テープ40Dの貼り付けにはある程度のテンションが必要だが、接着テープ40Dにテンションをかけすぎると、接着テープ40Dが周方向(接着テープ40Dの長手方向)に大きく伸びて前記段差に追従せず、前記隙間S1(例えば図3参照)が大きく発生する。
【0052】
例えば、後述するような所定の伸び(JIS Z 0237(2009))の接着テープ40Dを張り付ける場合、オーバーラップ長さLが200mmを超えるようなテンションを接着テープ40Dにかけて張り付けていると、接着テープ40D(第2側X2の端部42)が段差に追従せずに隙間S1が発生する可能性が高い。また、適切なテンションであっても200mmを超えるオーバーラップ長さLは不必要であり、この場合、コストが上昇したり施工がしにくくなったりする。
これに対して、オーバーラップ長さLを200mm以下とすることで、接着テープ40D(第2側X2の端部42)が段差に追従して隙間S1を埋めることができ、巻き付ける施工がしやすい。
【0053】
一方、オーバーラップ長さLが30mm未満である場合、テンションが適切であっても施工がしにくくなる。さらにこの場合、接着テープ40Dの重なりがわずかにずれるだけでも粘着力が低下し、接着テープ40Dの端部41、42同士が剥がれる恐れがある。オーバーラップ長さLを30mm以上とすることで、端部41、42同士の剥がれを防止できる。
【0054】
本変形例において、好ましい接着テープ40Dの一形態について以下に例示する。
接着テープ40Dの幅は、20mm以上75mm以下であることが好ましく、30mm以上50mm以下であることがより好ましい。接着テープ40Dの幅が20mm以上であれば、保管時の温度変化により、接着テープ40Dの引張荷重が変化することを抑制できる。一方、接着テープ40Dの幅が75mm以下であれば、施工時にカバー25にかかる荷重によりテープがずれるのを防止できる。
【0055】
接着テープ40Dの厚さは、巻き付ける前の状態において、0.15mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以上2.5mm以下であることがより好ましく、1.0mm以上2.0mm以下であることが最も好ましい。接着テープ40Dの厚さが0.15mm以上であれば、接着テープ40Dを押しつぶして隙間S1を埋めるように変形させるのに十分な厚さである。一方、接着テープ40Dの厚さが3.0mm以下であれば、接着テープ40Dの厚さで生じる隙間S1を小さくでき、かつ、巻き付けるときに必要な力が少なくて済む。
【0056】
接着テープ40Dの長手方向の引張強さは、23℃の雰囲気下において1N/25mm以上45N/25mm以下であることが好ましく、2N/25mm以上40N/25mm以下であることがより好ましい。接着テープ40Dの引張荷重が1N/25mm以上であれば、接着テープ40Dを巻き付けた時にしわが発生しにくく、かつ破断しにくい。一方、接着テープ40Dの引張荷重が45N/25mm以下であれば、保管時の温度変化により、接着テープ40Dの引張荷重が変化することを抑制できる。
【0057】
接着テープ40Dの長手方向の伸びは、23℃の雰囲気下において300%以上2000%以下であることが好ましい。接着テープ40Dの伸びが300%以上であることで、接着テープ40Dの厚さ方向の段差に追従しやすい。接着テープ40Dの伸びが2000%以下であることで、巻き付け時にテンションがかかりすぎるのを抑えることができる。
【0058】
接着テープ40Dの引張強さと伸びは、23℃の条件下でJIS Z 0237(2009)に準ずる方法で測定することができる。
【0059】
接着テープ40Dの温度変化時の引張荷重の差、具体的には、0℃における引張荷重と、45℃における引張荷重との差の絶対値が、60N以下であることが好ましく、40N以下であることがより好ましい。接着テープ40Dの温度変化時の引張荷重の差が60N以下であれば保管時の温度変化により接着テープ40Dの引張荷重が変化するのを抑制できる。
【0060】
接着テープ40Dの粘着力は、10N以上であることが好ましく、30N以上であることがより好ましい。接着テープ40Dの粘着力が10N以上であれば、保管時の温度変化により、接着テープ40Dの引張荷重が変化することを抑制できる。
【0061】
接着テープ40Dの粘着力は、23℃の条件下でJIS Z 0237(2009)に準ずる方法で測定することができる。
【0062】
基材(樹脂発泡体)の厚さは、100μm以上1500μm以下であることが好ましく、600μm以上1000μm以下であることがより好ましい。基材(樹脂発泡体)の厚さが100μm以上であれば、カバー25へ巻き付ける際に破断しにくい。一方、基材(樹脂発泡体)の厚さが1300μm以下であれば、前記段差に追従しやすく、しわになりにくい。
【0063】
粘着層の厚さは、50μm以上200μm以下であることが好ましく、100μm以上150μm以下であることがより好ましい。粘着層の厚さが50μm以上であれば、保管時の温度変化により、接着テープ40Dが剥離するのを防止できる。一方、粘着層の厚さが200μm以下であれば、粘着層の凝集破壊を防止できる。
【0064】
基材(樹脂発泡体)の発泡倍率は、2倍以上10倍以下であることが好ましく、4倍以上9倍以下であることがより好ましい。基材(樹脂発泡体)の発泡倍率が前記の下限値以上であれば、保管時の温度変化により、接着テープ40Dの引張荷重が変化することを抑制できる。一方、基材(樹脂発泡体)の発泡倍率が前記の上限値以下であれば、カバー25へ巻き付ける際に破断しにくい。
【0065】
基材(樹脂発泡体)の発泡倍率は、例えば、未発泡状態の発泡体を構成する樹脂の比重から、発泡状態の前記の樹脂の比重を割ることで算出できる。比重は、基材(樹脂発泡体)を一定サイズに切断し、質量(電子天秤等で測定)から、体積(厚み、幅、長さ方向の寸法をノギスで測定して算出)を割ることで算出できる。
【0066】
発泡体の材質としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ウレタン、ゴム等が挙げられる。
【0067】
粘着層の材質としては、例えば、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤等が挙げられる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図11を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図11に示すように、本実施形態の配管構造2は、第1実施形態の配管構造1の抑制部45に代えて、抑制部60を備えている。なお、本実施形態の接着テープ40Cに、端縁41aは形成されない。接着テープ40Cにおいても、第1端部41が第2端部42により径方向外側から覆われている。
例えば、抑制部60は、接着テープ40Cに巻き付けられたシュリンクフィルムである。抑制部60は、接着テープ40Cを径方向内側に向かって付勢するように、接着テープ40Cを径方向外側から覆う。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の配管構造2では、抑制部60の付勢により、接着テープ40Cが集合継手10の外周面に押し付けられる。従って、水の通り道となる集合継手10と接着テープ40Cとの隙間が狭くなり、集合継手10と、接着テープ40Cの両端部41,42との間を通して水が流れるのを、より確実に防止することができる。
【0070】
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態及び第2実施形態では、カバーの構成は、集合継手10の遮音性を高めるものであれば、これに限定されない。例えばカバー25は、上部カバー27を有さなくてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1,1A,1B,1C,2 配管構造
10 集合継手
25 カバー
40,40A,40B,40C,40D 接着テープ
41 第1端部
41a,41b 端縁
41c,41d 端部
42 第2端部
45,50,55,60,65 抑制部
103 床スラブ
103a 貫通孔
104 充填材
O 軸線
X1,Z1 第1側
X2,Z2 第2側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11