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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051741
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】集合継手
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/12 20060101AFI20230404BHJP
   F16L 55/033 20060101ALI20230404BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20230404BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
E03C1/12 E
F16L55/033
F16L5/00 N
G10K11/16 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116130
(22)【出願日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2021160252
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】渕上 斉太
(72)【発明者】
【氏名】花木 博章
【テーマコード(参考)】
2D061
3H025
5D061
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AA05
2D061AB05
2D061AC02
2D061AC07
3H025CA01
3H025CB05
3H025CB39
5D061EE18
(57)【要約】
【課題】床スラブに配置された集合継手が水没しても、床スラブを介して下階に漏水しない集合継手を提供することを目的とする。
【解決手段】集合継手100は、立管又は横管が配置される集合部10と、集合部10に配置される本管部20と、集合部10と本管部20の少なくともいずれか1つの外周に配置される遮音カバー40と、を備え、遮音カバー40と、集合部10又は本管部20との間に止水材50が配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立管又は横管が配置される集合部と、
前記集合部に配置される本管部と、
前記集合部と前記本管部の少なくともいずれか1つの外周に配置される遮音カバーと、
を備え、
前記遮音カバーと、前記集合部又は前記本管部との間に止水材が配置される、
集合継手。
【請求項2】
前記遮音カバーが、少なくとも前記集合部を覆い、
前記集合部の外周面に、前記止水材を配置する凹部が設けられている、
請求項1に記載の集合継手。
【請求項3】
前記遮音カバーが、少なくとも前記本管部を覆い、
前記本管部の外周面に、前記止水材を配置する凹部が設けられている、
請求項1に記載の集合継手。
【請求項4】
前記遮音カバーが、前記集合部及び前記本管部を覆い、
前記集合部と前記本管部との接続部に、止水材を配置する凹部が設けられている、
請求項1に記載の集合継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合継手に関する。
【背景技術】
【0002】
マンションやホテル等の建物に用いられる単管式排水システムにおいて、各階の排水をまとめて立管に導く集合継手が用いられる。集合継手は、建物における床スラブに形成された貫通孔に配置される。
特許文献1では、火災時に集合継手の内周面を閉塞するために、熱膨張性耐火材を埋め込んだ集合継手が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-94481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
床スラブ及び集合継手は、建物の内部に配置される。しかしながら、建物の建築途中においては、集合継手が床スラブに配置された状態で屋外にあるのと同様の状態となることがある。ここで、床スラブが集合継手の周囲のみ凹型となっているような場合(段差スラブ)、降雨等によって集合継手が水没することがある。すると、集合継手の樹脂部材と、樹脂部材の外周面に配置される遮音カバーとの間に水が浸透する。結果として、床スラブの貫通孔から下階に漏水することがある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、床スラブに配置された集合継手が水没しても、床スラブを介して下階に漏水しない集合継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る集合継手は、立管又は横管が配置される集合部と、前記集合部に配置される本管部と、前記集合部と前記本管部の少なくともいずれか1つの外周に配置される遮音カバーと、を備え、前記遮音カバーと、前記集合部又は前記本管部との間に止水材が配置される。
【0007】
この発明によれば、遮音カバーと、集合部又は本管部との間には止水材が配置される。これにより、床スラブの穴に配置された集合継手において、遮音カバーと集合部又は本管部との隙間を通して水が下階に漏れることを防ぐことができる。
【0008】
また、前記遮音カバーが、少なくとも前記集合部を覆い、前記集合部の外周面に、前記止水材を配置する凹部が設けられていてもよい。
【0009】
また、前記遮音カバーが、少なくとも前記本管部を覆い、前記本管部の外周面に、前記止水材を配置する凹部が設けられていてもよい。
【0010】
この発明によれば、集合部又は本管部の外周面に、止水材を配置する凹部が設けられている。これにより、止水材の位置ずれを防止するとともに、止水材による水漏れの防止をより確実に行うことができる。
【0011】
また、前記遮音カバーが、前記集合部及び前記本管部を覆い、前記集合部と前記本管部との接続部に、止水材を配置する凹部が設けられていてもよい。
【0012】
この発明によれば、集合部と本管部との接続部に、止水材を配置する凹部が設けられている。このような構造とすることで、集合部又は本管部に別途凹部を形成することなく止水材を固定することができる。よって、止水材の機能を担保しつつ、集合部及び本管部の製造を容易とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、床スラブに配置された集合継手が水没しても、床スラブを介して下階に漏水しない集合継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る集合継手の断面図である。
図2】床スラブに配置された集合継手が水没した状態を示す模式図である。
図3】止水材を保持するための凹部を、集合部に設けた例である。
図4】止水材を保持するための凹部を、本管部に設けた例である。
図5】止水材を保持するための凹部を、集合部と本管部との接続部に設けた例である。
図6】止水材及び遮音カバーの外周に補強材を配置した例である。
図7】集合部を射出成形で製造した場合の第1例である。
図8】集合部を射出成形で製造した場合の第2例である。
図9】集合部を射出成形で製造した場合の第3例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る集合継手100を説明する。
本実施形態に係る集合継手100は、複数階を備える建物の単管式排水システムに用いられる。集合継手100は、建物の床スラブSに設けられた貫通孔Hの内部に配置(埋設)される。集合継手100と床スラブSとの間には、モルタルMが充填されている。
集合継手100は、集合部10と、本管部20と、接続管部30と、遮音カバー40と、止水材50と、を備える。
【0016】
以下の説明において、接続管部30の中心軸線Oに沿う方向を軸方向といい、軸方向に沿う接続管部30の集合部10側を上方、本管部20側を下方という。また、軸方向から見た平面視で、中心軸線Oと直交する方向を径方向といい、軸方向から見た平面視で中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0017】
集合部10は、第1立管P1又は横管P3が配置される。具体的には、第1立管P1の端部又は横管P3の端部が、集合部10に挿入される。集合部10は、立管接続部11と、横管接続部12と、集水室13と、本管接続部14と、を備える。
立管接続部11は、第1立管P1が配置される。立管接続部11は集合部10の上方に位置する。図1に示すように、立管接続部11は第1立管P1が挿入される受口である。
【0018】
横管接続部12は、横管P3が配置される。横管接続部12は集合部10の径方向の外側に位置する。図1に示すように、横管接続部12は横管P3が挿入される受口である。横管接続部12は、集合部10に1箇所のみ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。
図1に示すように、横管接続部12における径方向の外端部には、横管P3が各々別に接続される横部接続管12aが取付けられている。横部接続管12aの外径は、横管接続部12の外径よりも大きい。
【0019】
集水室13は、立管接続部11及び横管接続部12を介して第1立管P1及び横管P3から流入した排水が集約される部位である。図1に示すように、集水室13の内部には、集水室13の内部における排水の流れを整えるための整流板13aを備える。
本管接続部14は集合部10の下方に位置する。図1に示すように、本管接続部14は、接続管部30を介して本管部20と接続する。本管接続部14は、接続管部30が接続される受口である。
【0020】
集合部10は、例えば、樹脂組成物を射出成形等で一体に成形した部材である。
樹脂組成物を構成する樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等を例示でき、ポリ塩化ビニル系樹脂が好ましい。「ポリオレフィン系樹脂」とは、ポリオレフィン単体の樹脂か、複数種の樹脂を含む場合、最も多い樹脂がポリオレフィンである樹脂を意味する。同様に「ポリ塩化ビニル系樹脂」とは、ポリ塩化ビニル単体の樹脂か、複数種の樹脂を含む場合、最も多い樹脂がポリ塩化ビニルである樹脂を意味する。
【0021】
本管部20は、集合部10の下部に配置される。本管部20は、上側接続部21と、傾斜管部22と、下側接続部23と、を有する。
上側接続部21は、本管部20の上端寄りに位置し、集合部10の下方に接続している。傾斜管部22は、上側接続部21の下方に位置し、上側接続部21から下方に向かうに従い漸次縮径している。即ち、本管部20は、集合部10から下方に向かい、漸次窄まっている。下側接続部23は、傾斜管部22の下端部から下方に延び、第2立管P2と接続している。
【0022】
上側接続部21の外径は、集合部10の本管接続部14の外径と同等である。傾斜管部22の下端部における外径は、上側接続部21の外径よりも小さい。傾斜管部22の軸方向の大きさは、上側接続部21の軸方向の大きさよりも大きい。上側接続部21は、接続管部30を上方から受け入れて、接続管部30と接続する。つまり、上側接続部21は、接続管部30が接続される受口である。
【0023】
下側接続部23の外径は、上側接続部21の外径よりも小さく、かつ傾斜管部22における下端部の外径よりも大きい。下側接続部23の軸方向の大きさは、上側接続部21の軸方向の大きさよりも小さい。下側接続部23は、第2立管P2を下方から受け入れて、第2立管P2と接続する。つまり、下側接続部23は、第2立管P2が接続される受口である。
【0024】
上側接続部21は、傾斜管部22と一体成形物でもよいし、各々を別に成形し、これを接続したものでもよい。
傾斜管部22は、例えば、樹脂組成物を射出成形することで製造できる。傾斜管部22を構成する樹脂組成物としては、集合部10を構成する樹脂組成物と同様である。図1に示すように、傾斜管部22の内周面には、本管部20の内部の排水流れを整える傾斜部整流板22aが設けられていてもよい。
下側接続部23は、例えば、樹脂組成物を射出成形することで製造できる。下側接続部23を構成する樹脂組成物としては、集合部10を構成する樹脂組成物と同様である。
傾斜管部22と下側接続部23とは、一体成形物でもよいし、各々を別に成形し、これを接続したものでもよい。
【0025】
接続管部30は、集合部10と本管部20とを接続する。接続管部30は、円筒状の部材である。接続管部30の上方は集合部10の本管接続部14の内部に配置される。接続管部30の下方は本管部20の上側接続部21の内部に配置される。これにより、集合部10と本管部20とを接続する。
集合部10及び本管部20は、接着材等により互いに接続されている。
なお、本実施形態では、集合継手100が集合部10及び本管部20を有するが、集合継手100が集合部10及び本管部20以外の部材を有してもよい。
【0026】
遮音カバー40は、集合部10と本管部20の少なくともいずれか1つの外周を覆うように配置される。図1に示すように、遮音カバー40は、集合部10の上方から下方にかけて、及び本管部20の上方から下方にかけて配置される。または、集合部10のみに遮音カバー40が配置され、本管部20には配置されなくてもよい。あるいは、モルタルMの内部に位置する部位のみ遮音カバー40を設けないとしてもよい。
遮音カバー40は、集合部10及び本管部20に巻き付けるように配置され、テープTにより固定される。また、集合部10の立管接続部11の上端は、枝上カバー10cが配置される。遮音カバー40は、吸音材41と、遮音材42と、を備える。
【0027】
吸音材41は、例えば、グラスウール、ロックウール、フェルト等の繊維からなる。また、繊維の密度は40Kg/m以上であることが好ましい。また、特に耐火性の高いロックウールが好適に用いられる。吸音材41は、集合部10及び本管部20の内部にて発生した排水に伴う音を吸収する。このことで、建物の居室内に排水音が漏れ聞こえることを防ぐ。
【0028】
吸音材41は、例えば、シート状である。これにより、集合部10及び本管部20に吸音材41を取り付けるときは、本管部20に巻き付けるようにして取り付ける。
また、上述の通り、吸音材41は繊維からなる。このとき、吸音材41を集合部10及び本管部20に巻きつけて固定するときに吸音材41同士を繋ぎ合わせることが困難な場合がある。この場合は、集合部10又は本管部20に対して外側に化粧層を設けてもよい。化粧層は、例えば、アルミクラフト紙やアルミガラスクロス等が好適に用いられる。このことで、化粧層に接着テープ等が接合できる。よって、吸音材41同士のつなぎ合わせが容易になる。
【0029】
遮音材42は、吸音材41の外側に備えられる。遮音材42は、例えば、EPDM等オレフィン系エラストマー、軟質塩ビ、アスファルシートからなる。遮音材42は、吸音材41によって吸収しきれなかった音を遮る。このことで、より建物の居室内に排水音が漏れ聞こえにくくする。
【0030】
遮音材42は、例えば、シート状である。集合部10及び本管部20に遮音材42を取り付けるときは、集合部10及び本管部20に巻き付けるようにして取り付ける。
また、遮音材42は、あらかじめ集合部10及び本管部20の形状に合わせて管状体に成形されていてもよい。このことで、シート状である場合と比較して、集合部10及び本管部20への取り付けが容易となる。
【0031】
なお、吸音材41と遮音材42とを集合部10及び本管部20に取り付ける時は、あらかじめ吸音材41と遮音材42とを接着剤又は両面テープ等によって固定させてもよい。なお、この場合は、遮音材42はシート状とすることが好ましい。このことによって、遮音カバー40として一度に集合部10及び本管部20に取り付けることができ、作業時間を短縮することができる。
【0032】
ここで、図2は、建設途中の建物において、段差を有する床スラブSに設置された集合継手100が水没した状態を示す図である。このとき、水Wが、以下のようにして下階に漏れることがある。すなわち、まず、集合部10の本管接続部14と遮音カバー40との間に水Wが浸透する。次に、その水Wが遮音カバー40と本管接続部14及び本管部20との間に浸透しつつ、重力に伴い下方に移動する。結果として、本管部20の下側接続部23と遮音カバー40との間から、下階に水Wが漏れる。これは、本管接続部14と遮音カバー40との間を、遮音カバー40の外側からテープTによって目張りした場合も同様である。遮音カバー40の外側からテープTを配置すると皺が発生し、結果として本管接続部14と遮音カバー40との間における隙間を塞ぐことができないためである。
【0033】
上述の水漏れを防ぐために、本実施形態に係る集合継手100においては、上記各構成に加えて止水材50を備える。止水材50は、例えば、ゴム製のOリングやパッキンが用いられる。
図1又は図3に示すように、止水材50は、例えば、遮音カバー40と集合部10における本管接続部14との間に配置される。この場合は、集合部10における本管接続部14の外周面に、止水材50を配置する凹部Aが設けられる。
【0034】
または、図4に示すように、止水材50は、遮音カバー40と本管部20における上側接続部21との間に配置されてもよい。この場合は、本管部20の上側接続部21の外周面に、止水材50を配置する凹部Aが設けられる。
あるいは、図5に示すように、集合部10と本管部20との接続部に、止水材50を配置する凹部Aが設けられてもよい。具体的には、集合部10と本管部20とが接続管部30によって接続されている部位において、本管接続部14及び上側接続部21の軸方向の寸法を短くすることで、接続管部30が外部に露出するようにさせる。このことで、本管接続部14及び上側接続部21と接続管部30との間に段差を生じさせることで、凹部Aとしてもよい。
【0035】
ここで、集合部10及び本管部20は上述のように樹脂材により形成される。樹脂材の表面は平滑であるから、止水材50を凹部Aが形成されていない集合部10又は本管部20に直接配置すると、止水材50が軸方向にずれることがある。これに対し、上述のように設けられた凹部Aに止水材50を配置することで、止水材50が軸方向にずれることを防ぐ。
【0036】
また、止水材50は、遮音カバー40と集合部10又は本管部20との間に配置される。これにより、止水材50は、遮音カバー40と集合部10又は本管部20との間に挟まれるようにして固定される。このとき、止水材50をより確実に固定するために、図6に示すように、止水材50の保持を径方向の外側から付勢する補強材Bを設けてもよい。補強材Bは、例えば、ゴム製のバンドである。これにより遮音カバー40の内周面を止水材50に押し付けるようにすることで、遮音カバー40と止水材50との間の隙間をより確実になくすようにして、水漏れ防止の効果をより確実に担保するようにしてもよい。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る集合継手100によれば、遮音カバー40と、集合部10又は本管部20との間には止水材50が配置される。これにより、床スラブSの穴に配置された集合継手100において、遮音カバー40と集合部10又は本管部20との隙間を通して水Wが下階に漏れることを防ぐことができる。
【0038】
また、集合部10又は本管部20の外周面に、止水材50を配置する凹部Aが設けられている。これにより、止水材50の位置ずれを防止するとともに、止水材50による水漏れの防止をより確実に行うことができる。
【0039】
また、集合部10と本管部20との接続部に、止水材50を配置する凹部Aが設けられている。このような構造とすることで、集合部10又は本管部20に別途凹部を形成することなく止水材50を固定することができる。よって、止水材50の機能を担保しつつ、集合部10及び本管部20の製造を容易とすることができる。
【0040】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、集合継手100の軸方向に、止水材50を複数設けてもよい。
また、熱膨張性黒鉛等の耐火材を、集合部10や本管部20の材料に含んでもよい。
【0041】
また、集合継手100は接続管部30を備えず、集合部10と本管部20とが直接接続されていてもよい。例えば、本管接続部14と上側接続部21とが接着剤で固定されてもよい。これに加えて、上記のいずれかがいずれかに挿入されて固定されてもよく、例えば図7に示すように、排水をスムーズに流下させるには、本管接続部14が差口とされ、受口である上側接続部21に挿入されているのが好ましい。
集合部10を射出成形で製造する場合、図7に示すように、ゲート痕G(金型内に樹脂を注入するゲートに由来する円形の突起)が集合部10の外面に形成されるが、このゲート痕Gが本管接続部14の外面に形成されていると、止水材50がゲート痕Gにより変形して本管接続部14と止水材50との間に隙間が生じ、水漏れが発生する可能性がある。
そこで、ゲート痕Gが本管接続部14に形成されている場合には、図7に示すように、止水材50はゲート痕Gよりも上側に配置することが好ましい。この場合、ゲート痕Gは遮音カバー40の内部に配置されるため、例えば、止水材50の水漏れ防止機能を損ねることが無く、また例えば、ゲート痕Gの突起は繊維からなる吸音材41に埋没して遮音材42の変形を抑えることができる。さらに例えば、遮音カバー40が本管接続部14の大半を覆うことができ、集合継手100を遮音性に優れたものにできる。
なお図8に示すように、止水材50はゲート痕Gよりも下側に配置してもよい。この場合、ゲートが集合部10の中心付近となるため、集合部10にひずみや充填不良による欠損などが生じにくい。
また、ゲートを本管接続部14の下端部の端面または外面に配置し、形成されたゲート痕Gごと本管接続部14の下端部を切除することで、上記のゲート痕Gに起因する問題を解消することができる。
ゲートを立管接続部11や横管接続部12、集水室13の外面となる位置に配置することで、ゲート痕Gが本管接続部14の外面に形成されず、止水材50とゲート痕Gとが干渉することなく、水漏れ防止しやすい。
なお図9に示すように、止水材50の軸方向の大きさがゲート痕Gよりも大きい場合、止水材50とゲート痕Gが同じ位置にあってもよい。止水材50がゲート痕Gにより変形しても、止水材50と本管接続部14の外面、および止水材50と遮音カバー40とが、水漏れ防止可能な程度接触していればよい。
また、止水材50が軸方向にずれないことを担保できれば、集合部10又は本管部20に凹部Aを備えず、止水材50のみが配置されてもよい。例えば、止水材50の内径を集合部10又は本管部20の外径よりも小さくすることで、止水材50によって集合部10又は本管部20を締め付けるようにして固定してもよい。また例えば、前述のゲート痕Gを止水材50に係止させることによって、止水材50の軸方向へのずれ止めを実現してもよい。
【0042】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 集合部
20 本管部
40 遮音カバー
50 止水材
100 集合継手
A 凹部
P1 第1立管
P2 第2立管
P3 横管
W 水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9