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  • 特開-硬化性樹脂材料及び樹脂成形体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051773
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】硬化性樹脂材料及び樹脂成形体
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/04 20060101AFI20230404BHJP
   C08J 9/04 20060101ALI20230404BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20230404BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20230404BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20230404BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
C08J5/04 CFF
C08J9/04 101
C08L101/00
C08L75/04
C08K7/14
C08G18/08 038
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140841
(22)【出願日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2021161765
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西島 聡
(72)【発明者】
【氏名】山本 琢真
(72)【発明者】
【氏名】穴井 佑樹
【テーマコード(参考)】
4F072
4F074
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4F072AA04
4F072AA07
4F072AB06
4F072AB09
4F072AB10
4F072AB22
4F072AD43
4F072AE07
4F072AE14
4F072AF16
4F072AF26
4F072AH04
4F072AH24
4F072AJ04
4F072AJ22
4F072AK02
4F072AK14
4F072AL02
4F072AL17
4F074AA79
4F074AC34
4F074AE04
4F074AG01
4F074AG10
4F074BA34
4F074CA23
4F074CC04Y
4F074CC06Y
4F074CC10X
4F074CC22X
4F074DA59
4J002CK021
4J002CK022
4J002DL006
4J002EW047
4J002FA046
4J002FA112
4J002FD016
4J002FD137
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
4J034BA03
4J034DA01
4J034DB03
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF11
4J034DF12
4J034DG00
4J034DG02
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
4J034DQ09
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC52
4J034KB02
4J034KD12
4J034LA22
4J034LA33
4J034NA03
4J034QA01
4J034QB19
4J034QC01
4J034QC04
4J034RA03
4J034RA12
(57)【要約】
【課題】得られる樹脂成形体において、耐燃性を高めることができ、かつ比重のばらつきを抑えることができる硬化性樹脂材料を提供する。
【解決手段】本発明に係る硬化性樹脂材料は、ポリオール化合物(A)と、イソシアネート化合物(B)と、ウレタン樹脂及びガラス繊維を含むウレタン樹脂成形体の粉末(C)と、強化長繊維(D)とを含み、下記の第1の構成又は下記の第2の構成を備える。
第1の構成:硬化性樹脂材料のイソシアネートインデックスが110以上120以下である。
第2の構成:硬化性樹脂材料が、25℃での粘度が1000mPa・s以下である難燃剤(E)を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール化合物(A)と、
イソシアネート化合物(B)と、
ウレタン樹脂及びガラス繊維を含むウレタン樹脂成形体の粉末(C)と、
強化長繊維(D)とを含み、
下記の第1の構成又は下記の第2の構成を備える、硬化性樹脂材料。
第1の構成:硬化性樹脂材料のイソシアネートインデックスが110以上120以下である。
第2の構成:硬化性樹脂材料が、25℃での粘度が1000mPa・s以下である難燃剤(E)を含む。
【請求項2】
前記第1の構成を備える、請求項1に記載の硬化性樹脂材料。
【請求項3】
前記第2の構成を備える、請求項1に記載の硬化性樹脂材料。
【請求項4】
前記第1の構成と前記第2の構成とを備える、請求項1に記載の硬化性樹脂材料。
【請求項5】
前記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)が、ウレタン樹脂成形体の切粉である、請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂材料。
【請求項6】
前記第2の構成を備え、
前記難燃剤(E)が、リン酸エステルである、請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂材料。
【請求項7】
前記ポリオール化合物(A)100重量部に対して、前記リン酸エステルの含有量が4重量部以上16重量部以下である、請求項6に記載の硬化性樹脂材料。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂材料の成形体である、樹脂成形体。
【請求項9】
発泡樹脂成形体である、請求項8に記載の樹脂成形体。
【請求項10】
枕木である、請求項8に記載の樹脂成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とを含む硬化性樹脂材料に関する。また、本発明は、上記硬化性樹脂材料を用いた樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建材等の構造材として、木材等に代えて樹脂成形体が用いられることがある。例えば、鉄道用枕木として、木枕木及びコンクリート枕木に代えて樹脂成形体の枕木が用いられることがある。
【0003】
上記樹脂成形体の一例として、下記の特許文献1には、一方向に引き揃えられた多数の長繊維と充填材とを含有する発泡樹脂成形体が開示されている。上記発泡樹脂成形体では、充填材の含有量が15重量%以下であり、発泡樹脂の発泡倍率が2.0倍~4.0倍であり、充填材の平均粒径が発泡樹脂の平均気泡径の20%以下である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-80191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリオール化合物、イソシアネート化合物及び充填材を含む組成物を一方向に引き揃えられた強化長繊維束に含浸させて、樹脂成形体が製造されることがある。充填材及び強化長繊維束を用いることにより、得られる樹脂成形体の機械的強度を高めることができる。
【0006】
しかしながら、従来の組成物の配合組成では、上記組成物の粘度が過度に高くなることがある。
【0007】
上記組成物の粘度が過度に高くなると、組成物が撹拌によって混合されにくくなるため、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とを良好に反応させることができず、未反応のポリオール化合物が残存することがある。この場合、得られる樹脂成形体の耐燃性が低下する。
【0008】
また、上記組成物の粘度が過度に高くなると、該組成物を、強化長繊維間部分に良好に含浸させることができないことがある。この場合、得られる樹脂成形体の比重にばらつきが生じ、樹脂成形体の機械的強度等の物性が低下することがある。
【0009】
本発明の目的は、得られる樹脂成形体において、耐燃性を高めることができ、かつ比重のばらつきを抑えることができる硬化性樹脂材料を提供することである。また本発明は、上記硬化性樹脂材料を用いた樹脂成形体を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書において、以下の硬化性樹脂材料及び樹脂成形体を開示する。
【0011】
項1.ポリオール化合物(A)と、イソシアネート化合物(B)と、ウレタン樹脂及びガラス繊維を含むウレタン樹脂成形体の粉末(C)と、強化長繊維(D)とを含み、下記の第1の構成又は下記の第2の構成を備える、硬化性樹脂材料。
【0012】
第1の構成:硬化性樹脂材料のイソシアネートインデックスが110以上120以下である。
【0013】
第2の構成:硬化性樹脂材料が、25℃での粘度が1000mPa・s以下である難燃剤(E)を含む。
【0014】
項2.前記第1の構成を備える、項1に記載の硬化性樹脂材料。
【0015】
項3.前記第2の構成を備える、項1に記載の硬化性樹脂材料。
【0016】
項4.前記第1の構成と前記第2の構成とを備える、項1に記載の硬化性樹脂材料。
【0017】
項5.前記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)が、ウレタン樹脂成形体の切粉である、項1~4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂材料。
【0018】
項6.前記硬化性樹脂材料は、前記第2の構成を備え、前記難燃剤(E)が、リン酸エステルである、項1~5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂材料。
【0019】
項7.前記ポリオール化合物(A)100重量部に対して、前記リン酸エステルの含有量が4重量部以上16重量部以下である、項6に記載の硬化性樹脂材料。
【0020】
項8.項1~7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂材料の成形体である、樹脂成形体。
【0021】
項9.発泡樹脂成形体である、項8に記載の樹脂成形体。
【0022】
項10.枕木である、項8又は9に記載の樹脂成形体。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る硬化性樹脂材料は、ポリオール化合物(A)と、イソシアネート化合物(B)と、ウレタン樹脂及びガラス繊維を含むウレタン樹脂成形体の粉末(C)と、強化長繊維(D)とを含む。本発明に係る硬化性樹脂材料は、イソシアネートインデックスが110以上120以下であるという第1の構成を備えるか、又は、25℃での粘度が1000mPa・s以下である難燃剤(E)を含むという第2の構成を備える。本発明に係る硬化性樹脂材料では、上記の構成が備えられているので、得られる樹脂成形体において、耐燃性を高めることができ、かつ比重のばらつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂成形体の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0026】
(硬化性樹脂材料)
本発明に係る硬化性樹脂材料(以下、「樹脂材料」と略記することがある)は、ポリオール化合物(A)と、イソシアネート化合物(B)と、ウレタン樹脂及びガラス繊維を含むウレタン樹脂成形体の粉末(C)と、強化長繊維(D)とを含む。本発明に係る樹脂材料は、下記の第1の構成又は下記の第2の構成を備える。
【0027】
第1の構成:樹脂材料のイソシアネートインデックスが110以上120以下である。
【0028】
第2の構成:樹脂材料が、25℃での粘度が1000mPa・s以下である難燃剤(E)を含む。
【0029】
本発明に係る樹脂材料では、上記の構成が備えられているので、得られる樹脂成形体において、耐燃性を高めることができ、かつ比重のばらつきを抑えることができる。
【0030】
上記樹脂材料は、上記第1の構成を備えていてもよく、上記第2の構成を備えていてもよく、上記第1の構成と上記第2の構成とを備えていてもよい。上記樹脂材料は、上記第1の構成及び上記第2の構成の内の少なくとも一方の構成を備える。上記樹脂材料は、上記第1の構成を備える場合に、上記第2の構成を備えていていなくてもよい。上記樹脂材料は、上記第2の構成を備える場合に、上記第1の構成を備えていていなくてもよい。
【0031】
上記第1の構成を備える樹脂材料は、イソシアネート化合物(B)を適切に調整された量で含むので、硬化反応を良好に進行させることができ、未反応のポリオール化合物(A)の残存量を少なくすることができる。また、ポリオール化合物(A)、イソシアネート化合物(B)及びウレタン樹脂成形体の粉末(C)を含む組成物の粘度を調整しやくすなり、該組成物を強化長繊維(D)間部分に良好に含浸させることができる。その結果、本発明の効果が奏される。
【0032】
上記第2の構成を備える樹脂材料は、難燃剤(E)を含むので、得られる樹脂成形体の耐燃性を高めることができる。また、樹脂材料が特定の粘度を有する難燃剤(E)を含むことにより、ポリオール化合物(A)、イソシアネート化合物(B)、ウレタン樹脂成形体の粉末(C)及び難燃剤(E)を含む組成物の粘度を調整しやくすなり、該組成物を強化長繊維(D)間部分に良好に含浸させることができる。その結果、本発明の効果が奏される。
【0033】
上記樹脂材料が上記第1の構成と上記第2の構成とを備える場合には、上述した効果が相乗的に発揮され、本発明の効果がより一層効果的に発揮される。
【0034】
上記樹脂材料が上記第1の構成を備える場合、上記樹脂材料において、イソシアネートインデックスは、110以上120以下である。ただし、上記樹脂材料が上記第2の構成を備える場合、イソシアネートインデックスは、110未満であってもよく、120を超えていてもよい。
【0035】
上記イソシアネートインデックスは、好ましくは105以上、より好ましくは110以上、更に好ましくは111以上、特に好ましくは112以上、最も好ましくは113以上、好ましくは120以下、より好ましくは119以下、更に好ましくは118以下、特に好ましくは117以下である。上記イソシアネートインデックスが上記下限以上及び上記上限以下であると、特に、樹脂成形体の耐燃性をより一層高めることができる。
【0036】
本明細書において、イソシアネートインデックスとは、樹脂材料中のイソシアネート化合物(B)が有する全イソシアネート基の数を、樹脂材料中の活性水素基の合計数で割った値に100を掛けた値を意味する。すなわち、イソシアネートインデックスは、下記式(1)で算出される値である。なお、樹脂材料中の活性水素基としては、例えば、ポリオール化合物(A)の水酸基及び発泡剤としての水等が挙げられる。
【0037】
イソシアネートインデックス=(X/Y)×100 ・・・(1)
X:樹脂材料中のイソシアネート化合物(B)が有する全イソシアネート基の数
Y:樹脂材料中の活性水素基の合計数
【0038】
以下、上記樹脂材料に含まれる成分の詳細などを説明する。
【0039】
<ポリオール化合物(A)>
上記樹脂材料は、ポリオール化合物(A)を含む。ポリオール化合物とは、2個以上の水酸基(-OH基)を有する化合物である。
【0040】
上記ポリオール化合物(A)における水酸基の個数は、2個であってもよく、2個以上であってもよく、3個であってもよく、3個以上であってもよく、4個であってもよく、4個以上であってもよい。上記ポリオール化合物(A)における水酸基の個数は、6個以下であってもよく、5個以下であってもよく、4個以下であってもよい。
【0041】
上記ポリオール化合物(A)としては、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記ポリオール化合物は、ポリマーポリオールであってもよい。上記ポリオール化合物(A)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0042】
上記ポリラクトンポリオールとしては、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、及びポリバレロラクトングリコール等が挙げられる。
【0043】
上記ポリカーボネートポリオールとしては、水酸基含有化合物とカーボネート化合物との脱アルコール反応物等が挙げられる。上記水酸基含有化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、及びノナンジオール等が挙げられる。上記カーボネート化合物としては、ジエチレンカーボネート、及びジプロピレンカーボネート等が挙げられる。
【0044】
上記芳香族ポリオールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、及びクレゾールノボラック等が挙げられる。
【0045】
上記脂環族ポリオールとしては、シクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロヘキシルメタンジオール、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジオール等が挙げられる。
【0046】
上記脂肪族ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、及びヘキサンジオール等が挙げられる。
【0047】
上記ポリエステルポリオールとしては、多塩基酸と多価アルコールとの脱水縮合物、ラクトンの開環重合物、及びヒドロキシカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等が挙げられる。上記多塩基酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びコハク酸等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、及びネオペンチルグリコール等が挙げられる。上記ラクトンとしては、ε-カプロラクトン、及びα-メチル-ε-カプロラクトン等が挙げられる。上記ヒドロキシカルボン酸としては、ひまし油、及びひまし油とエチレングリコールとの反応生成物等が挙げられる。
【0048】
上記ポリエーテルポリオールとしては、活性水素原子を2個以上有する活性水素化合物とアルキレンオキサイドとの開環重合体等が挙げられる。上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。上記活性水素化合物の分子量は小さいことが好ましい。上記活性水素化合物としては、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、及び1,6-ヘキサンジオール等のジオール化合物;グリセリン、及びトリメチロールプロパン等のトリオール化合物;エチレンジアミン、及びブチレンジアミン等のアミン化合物等が挙げられる。
【0049】
上記ポリマーポリオールとしては、ポリオール化合物に不飽和有機化合物がグラフト重合されたグラフト重合体、ポリブタジエンポリオール、多価アルコールの変性ポリオール、及びこれらの水素添加物等が挙げられる。
【0050】
上記グラフト重合体における上記ポリオール化合物としては、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記グラフト重合体における上記不飽和有機化合物としては、アクリロニトリル、スチレン、及びメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0051】
上記多価アルコールの変性ポリオールとしては、多価アルコールとアルキレンオキサイドとの反応変性物等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、グリセリン及びトリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びこれらの誘導体等の4価以上8価以下のアルコール;フェノール、フロログルシン、クレゾール、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1-ヒドロキシナフタレン、1,3,6,8-テトラヒドロキシナフタレン、アントロール、1,4,5,8-テトラヒドロキシアントラセン、及び1-ヒドロキシピレン等のフェノール化合物;ポリブタジエンポリオール;ひまし油ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体;ポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2以上100以下)ポリオール;フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)等が挙げられる。上記アルキレンオキサイドとしては、炭素数が2以上6以下のアルキレンオキサイドが挙げられる。上記アルキレンオキサイドの具体例としては、エチレンオキサイド、1,2-プロピレンオキサイド、1,3-プロピレンオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド、及び1,4-ブチレンオキサイド等が挙げられる。性状や反応性を良好にする観点からは、上記アルキレンオキサイドは、1,2-プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド又は1,2-ブチレンオキサイドであることが好ましく、1,2-プロピレンオキサイド又はエチレンオキサイドであることがより好ましい。上記アルキレンオキサイドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0052】
上記アルキレンオキサイドを2種以上用いる場合の付加の形態は、ブロック付加であってもよく、ランダム付加であってもよく、ブロック付加とランダム付加との双方であってもよい。
【0053】
上記ポリオール化合物(A)は、水酸基価が490mgKOH/g以上580mgKOH/g以下であるポリオール化合物であることが好ましく、水酸基価が490mgKOH/g以上530mgKOH/g以下であるポリオール化合物であることがより好ましく、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールであることが好ましい。この場合には、樹脂材料中でのウレタン樹脂成形体の粉末(C)の分散性をより一層高めることができる。
【0054】
<イソシアネート化合物(B)>
上記樹脂材料は、イソシアネート化合物を含む。イソシアネート化合物とは、イソシアネート基(-NCO基)を有する化合物である。
【0055】
上記イソシアネート化合物(B)におけるイソシアネート基の個数は、1個であってもよく、2個であってもよく、2個以上であってもよく、3個であってもよく、3個以上であってもよく、4個であってもよく、4個以上であってもよい。上記イソシアネート化合物(B)におけるイソシアネート基の個数は、6個以下であってもよく、5個以下であってもよく、4個以下であってもよい。
【0056】
硬化反応性を高める観点からは、上記イソシアネート化合物(B)におけるイソシアネート基の個数は、2個以上であることが好ましい。すなわち、上記イソシアネート化合物(B)は、ポリイソシアネート化合物(イソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物)であることが好ましい。
【0057】
上記イソシアネート化合物(B)としては、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及び脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。上記イソシアネート化合物(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0058】
上記芳香族ポリイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
【0059】
上記脂環族ポリイソシアネートとしては、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0060】
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0061】
入手が容易であり、利便性に優れることから、上記イソシアネート化合物(B)は、ジフェニルメタンジイソシアネート又は変性ジフェニルメタンジイソシアネートであることが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネートであることがより好ましい。
【0062】
上記ポリオール化合物(A)と上記イソシアネート化合物(B)とは、ウレタン結合を効率的に形成するように、適宜の配合量で用いることができる。上記ポリオール化合物(A)100重量部に対して、上記イソシアネート化合物(B)の含有量は、好ましくは100重量部以上、より好ましくは120重量部以上、更に好ましくは130重量部以上、好ましくは180重量部以下、より好ましくは160重量部以下、更に好ましくは150重量部以下である。上記イソシアネート化合物(B)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記ポリオール化合物(A)と上記イソシアネート化合物(B)との反応効率を高めることができ、未反応の上記ポリオール化合物(A)又は未反応の上記イソシアネート化合物(B)をより一層少なくすることができる。結果として、良好な曲げ弾性率を有する樹脂成形体を形成することができる。
【0063】
<ウレタン樹脂及びガラス繊維を含むウレタン樹脂成形体の粉末(C)>
上記樹脂材料は、ウレタン樹脂及びガラス繊維を含むウレタン樹脂成形体の粉末(C)を含む。ウレタン樹脂及びガラス繊維を含むウレタン樹脂成形体から、ウレタン樹脂成形体の粉末(C)を得ることができる。上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)は、充填材としての役割を果たす。上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0064】
ウレタン樹脂及びガラス繊維を含むウレタン樹脂成形体には、成形により生じる物質が含まれ、意図しない形状に成形された成形体、及び成形に生じる不要部分(屑等)も含まれる。
【0065】
上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)として、例えば、ウレタン樹脂及びガラス繊維を含むウレタン樹脂組成物又はウレタン樹脂成形体を所定の形状に加工等する際に発生する屑片(廃棄物)を用いることができる。ウレタン樹脂組成物又はウレタン樹脂成形体を所定の形状に加工等する際に発生する屑片(従来は廃棄物)も、ウレタン樹脂成形体と呼ぶ。また、上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)は、意図しない形状に成形された成形体であってもよい。この場合には、環境負荷を軽減することができ、かつコストを下げることができる。なお、上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)は、発泡樹脂成形体の粉末であってもよい。
【0066】
環境負荷の軽減の観点及びコストの低減の観点から、上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)は、ウレタン樹脂成形体の切粉であることが好ましい。上記切粉とは、例えば、ウレタン樹脂成形体を切断したときに発生する粉末(研削屑)、ウレタン樹脂成形体の表面をサンディングしたときに発生する粉末(研削屑)、及びウレタン樹脂成形体の一部を削り取ったときに発生する粉末(切削屑)等である。上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)は、ウレタン樹脂成形体の切断屑、研削屑、又は切削屑であることが好ましい。
【0067】
環境負荷の軽減の観点及びコストの低減の観点から、上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)は、樹脂成形体のリサイクル品であることが好ましい。環境負荷の軽減の観点及びコストの低減の観点から、上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)を得るために用いられる上記ウレタン樹脂成形体が、リサイクル品であることが好ましい。本発明の樹脂材料から製造される樹脂成形体のリサイクル性を高める観点からは、更に環境負荷の軽減の観点及びコストの低減の観点からは、上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)は、別のロットで製造された樹脂成形体の粉末(本発明の樹脂材料から製造される樹脂成形体の別ロット品の粉末)であることが好ましい。上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)を得るために用いられる上記ウレタン樹脂成形体は、別のロットで製造された樹脂成形体(本発明の樹脂材料から製造される樹脂成形体の別ロット品)であることが好ましい。また、この場合には、環境負荷をより一層軽減することができ、かつコストをより一層下げることができる。
【0068】
ウレタン樹脂成形体の粉末(C)の形状は、球状であってもよく、球状でなくてもよく、多角形状、板状又は鱗片状等の形状であってもよい。
【0069】
本発明の効果を発揮させる観点から、上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)の粒径D90は、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上、更に好ましくは150μm以上、特に好ましくは200μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは900μm以下、より一層好ましくは700μm以下、更に好ましくは500μm以下、特に好ましくは450μm以下、最も好ましくは430μm以下である。上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)の粒径D90が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0070】
上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)の粒径D90は、分級処理を行うこと等により調整することができる。
【0071】
上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)の粒径D50は、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上、好ましくは150μm以下、より好ましくは130μm以下である。上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)の粒径D50が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0072】
上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)の粒径D90及び粒径D50はそれぞれ、レーザー回折式粒度分布測定装置による粒子径分布測定の体積基準の積算分率において、粒子径の小さい側から積算して90%に相当する径の値、及び粒子径の小さい側から積算して50%に相当する径の値を意味する。上記の粒径D90及び粒径D50を有する上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)の形状は、球状であってもよく、球状でなくてもよく、多角形状、板状又は鱗片状等の形状であってもよい。
【0073】
上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)に含まれる上記ガラス繊維の繊維長は、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1000μm以下、更に好ましくは700μm以下である。上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)に含まれるガラス繊維長が上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)に含まれる上記ガラス繊維の繊維長は、10μm以上であってもよく、100μm以上であってもよい。
【0074】
上記ガラス繊維の繊維長は、分級処理を行うこと等により調整することができる。
【0075】
上記ガラス繊維の繊維長は、ウレタン樹脂成形体の粉末(C)に含まれている充填材をマイクロスコープで撮影し、マイクロスコープ写真を市販の画像解析ソフトを用いて測定することができる。上記ガラス繊維の繊維長は、任意に選択した100個以上のガラス繊維の繊維長の平均値である。なお、得られるマイクロスコープ写真に100個以上のガラス繊維が存在しない場合には、ガラス繊維の数が100個以上となるまで、新たな領域をマイクロスコープで撮影する。
【0076】
上記ポリオール化合物(A)100重量部に対して、上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)の含有量は、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、更に好ましくは12重量部以上、特に好ましくは15重量部以上である。上記ポリオール化合物(A)100重量部に対して、上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)の含有量は、好ましくは50重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは25重量部以下、特に好ましくは23重量部以下、最も好ましくは20重量部以下である。上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)の含有量が上記下限以上であると、得られる樹脂成形体の機械的強度をより一層高めることができる。上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)の含有量が上記上限以下であると、強化長繊維(D)間部分に強化長繊維以外の成分を含む組成物を含浸させやすくなり、得られる樹脂成形体の比重のばらつきを小さくすることができ、また、曲げ弾性率を高めることができる。
【0077】
上記ポリオール化合物(A)と上記イソシアネート化合物(B)との合計100重量部に対して、上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)の含有量は、好ましくは2重量部以上、より好ましくは4重量部以上、好ましくは20重量部以下、より好ましくは15重量部以下である。上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)の含有量が上記下限以上であると、得られる樹脂成形体の機械的強度をより一層高めることができる。上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)の含有量が上記上限以下であると、強化長繊維(D)間部分に強化長繊維以外の成分を含む組成物を含浸させやすくなり、得られる樹脂成形体の比重のばらつきを小さくすることができ、また、曲げ弾性率を高めることができる。
【0078】
<強化長繊維(D)>
上記樹脂材料は、強化長繊維(D)を含む。強化長繊維は、強化繊維であり、長繊維である。強化繊維は、一定の強度を持った繊維状物である。強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等が知られている。長繊維の繊維長は、例えば、平均繊維長が50mm以上である。上記強化長繊維は、強化長繊維シートであってもよい。
【0079】
上記強化長繊維(D)は、モノフィラメントであってもよく、フィブリル化繊維(髭状に繊維が突き出た物質)であってもよい。
【0080】
上記強化長繊維(D)としては、炭素長繊維、ガラス長繊維、アラミド長繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及び長尺強化繊維等が挙げられる。上記強化長繊維は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0081】
樹脂成形体の機械的強度をより一層高める観点からは、上記強化長繊維(D)は、ガラス長繊維であることが好ましい。上記ガラス長繊維とは、ガラスを融解、牽引して繊維状にした繊維状物である。
【0082】
樹脂成形体の機械的強度をより一層高める観点からは、上記強化長繊維(D)の繊維長は、50mm以上であることが好ましく、70mm以上であることがより好ましい。なお、強化長繊維は、引抜成形後に所望の大きさで裁断することができ、裁断する長さによって強化長繊維の繊維長を適宜変えることができるため、強化長繊維(D)の繊維長の上限は特に限定されない。寸法精度を高める観点からは、上記強化長繊維(D)の繊維長は、10m以下であってもよい。また、強化長繊維(D)の繊維長が長くても、強化長繊維(D)以外の成分を含む組成物を強化長繊維(D)に含浸させることにより、強化長繊維(D)が切断されたり、絡み合ったりしにくくすることができる。また、上記樹脂成形体は、引抜成形することにより、強化長繊維(D)の配合割合を多くしても成形可能である。
【0083】
上記強化長繊維(D)として、例えば、ロービング及びヤーン等のストランドをバインダーに軽く付着させて紐状とした繊維が好適に用いられる。
【0084】
上記強化長繊維(D)は、モノフィラメントを引き揃えてロービングにした繊維であることが好ましい。上記モノフィラメントの繊維径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは10μm以上、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは20μm以下である。
【0085】
上記繊維径は、平均径であることが好ましい。上記平均径とは、数平均径であり、ランダムに選択した100個の繊維の繊維径の相加平均値である。また、上記繊維径とは、繊維の長さ方向に直交する方向に沿った断面において、該断面の円相当径の直径を意味する。
【0086】
上記ポリオール化合物(A)100重量部に対して、上記強化長繊維(D)の含有量は、好ましくは200重量部以上、より好ましくは250重量部以上、好ましくは350重量部以下、より好ましくは300重量部以下である。上記強化長繊維(D)の含有量が上記下限以上であると、強化長繊維(D)の含有量に起因して得られる樹脂成形体の曲げ弾性率をより一層高めることができる。上記強化長繊維(D)の含有量が上記上限以下であると、強化長繊維(D)間部分に強化長繊維以外の成分を含む組成物を含浸させやすくなり、得られる樹脂成形体の比重のばらつきを小さくすることができ、また、曲げ弾性率を高めることができる。
【0087】
上記ポリオール化合物(A)と上記イソシアネート化合物(B)との合計100重量部に対して、上記強化長繊維(D)の含有量は、好ましくは70重量部以上、より好ましくは90重量部以上、好ましくは150重量部以下、より好ましくは120重量部以下である。上記強化長繊維(D)の含有量が上記下限以上であると、強化長繊維(D)の含有量に起因して得られる樹脂成形体の曲げ弾性率をより一層高めることができる。上記強化長繊維(D)の含有量が上記上限以下であると、強化長繊維(D)間部分に強化長繊維以外の成分を含む組成物を含浸させやすくなり、得られる樹脂成形体の比重のばらつきを小さくすることができ、また、曲げ弾性率を高めることができる。
【0088】
上記樹脂材料中の強化長繊維(D)を除く成分100重量部に対して、上記強化長繊維(D)の含有量は、好ましくは80重量部以上、より好ましくは90重量部以上、好ましくは150重量部以下、より好ましくは120重量部以下、更に好ましくは110重量部以下である。上記強化長繊維(D)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、強化長繊維(D)の含有量に起因して、得られる樹脂成形体の曲げ弾性率をより一層高めることができる。上記強化長繊維(D)の含有量が上記上限以下であると、強化長繊維(D)間部分に強化長繊維以外の成分を含む組成物を含浸させやすくなり、得られる樹脂成形体の比重のばらつきを小さくすることができ、また、曲げ弾性率を高めることができる。
【0089】
<25℃での粘度が1000mPa・s以下である難燃剤(E)>
上記樹脂材料は、25℃での粘度が1000mPa・s以下である難燃剤(E)を含むことが好ましい。上記難燃剤(E)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0090】
上記樹脂材料が上記第2の構成を備える場合、上記樹脂材料は、難燃剤(E)を含む。ただし、上記樹脂材料が上記第1の構成を備える場合、上記樹脂材料は、難燃剤自体を含んでいなくてもよく、25℃での粘度が1000mPa・sを超える難燃剤を含んでいてもよい。
【0091】
上記難燃剤(E)の25℃での粘度は、好ましくは100mPa・s以上、より好ましくは200mPa・s以上、好ましくは900mPa・s以下、より好ましくは800mPa・s以下である。上記粘度が上記下限以上及び上記上限以下であると、強化長繊維(D)以外の成分を含む組成物を強化長繊維(D)に含浸させることができるので、得られる樹脂成形体の比重のばらつきを小さくすることができ、その結果、樹脂成形体の機械的強度等の物性の低下を抑えることができる。
【0092】
上記粘度は、B型粘度計を用いて測定することができる。
【0093】
上記難燃剤(E)としては、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤及び金属水酸化物難燃剤等が挙げられる。
【0094】
上記リン系難燃剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリスノニルフェニルフォスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、クレジルキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、レゾルシノールビスジフェニルフォスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビスジキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3-ジブロモプロピル)-2,3-ジクロロプロピルホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、ハイドロキノニルジフェニルホスフェート、フェニルノニルフェニルハイドロキノニルホスフェート、フェニルジノニルフェニルホスフェート、ジフェニル-4-ヒドロキシ-2,3,5,6-テトラブロモベンジルホスフォネート、ジメチル-4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモベンジルホスフォネート、及びジフェニル-4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモベンジルホスフォネート等のリン酸エステル;3,9-ビス(フェニルメチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((2-メチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((3-メチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((4-メチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((2,4-ジメチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((2,6-ジメチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((3,5-ジメチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((2,4,6-トリメチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((2-sec-ブチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((4-sec-ブチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((2,4-ジ-sec-ブチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((2,6-ジ-sec-ブチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((2,4,6-トリ-sec-ブチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((2-tert-ブチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((4-tert-ブチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((4-ビフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((1-ナフチル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((2-ナフチル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((1-アントリル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((2-アントリル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス((9-アントリル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(1-フェニルエチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(2-メチル-2-フェニルエチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(ジフェニルメチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(トリフェニルメチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3-フェニルメチル-9-((2,6-ジメチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3-フェニルメチル-9-((2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3-フェニルメチル-9-(1-フェニルエチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3-フェニルメチル-9-ジフェニルメチル-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3-((2,6-ジメチルフェニル)メチル)-9-(1-フェニルエチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3-((2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)メチル)-9-(1-フェニルエチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3-ジフェニルメチル-9-(1-フェニルエチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3-ジフェニルメチル-9-((2,6-ジメチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、及び3-ジフェニルメチル-9-((2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)メチル)-3,9-ジオキソ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン等の環状リン酸エステル;ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(メチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジブチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ブチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジフェニルホスフィン酸)アルミニウム、ビス(ジエチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(メチルエチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(ジフェニルホスフィン酸)亜鉛、ビス(ジエチルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(ジエチルホスフィン酸)チタニル、ビス(メチルエチルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(メチルエチルホスフィン酸)チタニル、ビス(ジフェニルホスフィン酸)チタニル、及びテトラキス(ジフェニルホスフィン酸)チタニル等のアルキルホスフィン酸塩化合物;ヘキサメトキシシクロトリホスファゼン、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン、ジエトキシテトラフルオロシクロトリホスファゼン、フェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、プロポキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、及びブトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン等のアルキルハロゲン化ホスファゼン;ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メレム、ポリリン酸メラム、及びポリリン酸メロン等のポリリン酸塩化合物;ホスフィン酸ナトリウム、ホスフィン酸カルシウム、ホスフィン酸アルミニウム、及びホスフィン酸亜鉛等のホスフィン酸塩化合物;ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、オクタクロロシクロテトラホスファゼン、デカクロロシクロペンタホスファゼン、ドデカクロロシクロヘキサホスファゼン、ヘキサブロモシクロトリホスファゼン、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン、オクタフルオロシクロテトラホスファゼン、デカフルオロシクロペンタホスファゼン、及びドデカフルオロシクロヘキサホスファゼン等のハロゲン化ホスファゼン;赤燐;三塩化リン;五塩化リン等が挙げられる。
【0095】
上記ハロゲン系難燃剤としては、塩素化パラフィン、ヘキサブロモドデカン、及びポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
【0096】
上記金属水酸化物難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及びホウ酸鉛等が挙げられる。
【0097】
本発明の効果をより一層効果的に発揮させる観点からは、上記難燃剤(E)は、リン系難燃剤であることが好ましく、リン酸エステルであることがより好ましい。
【0098】
なお、上記リン系難燃剤において、リン含有率は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下である。リン含有率は、下記式(2)で算出される値である。上記リン含有率が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0099】
リン含有率(%)=(X/Y)×100 ・・・(2)
X:リンの重量
Y:難燃剤の重量
【0100】
上記ポリオール化合物(A)100重量部に対して、上記難燃剤(E)の含有量は、好ましくは4重量部以上、より好ましくは5重量部以上、好ましくは16重量部以下、より好ましくは12重量部以下、更に好ましくは10重量部以下である。上記難燃剤(E)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0101】
上記ポリオール化合物(A)と上記イソシアネート化合物(B)との合計100重量部に対して、上記難燃剤(E)の含有量は、好ましくは1重量部以上、より好ましくは1.5重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは7重量部以下、更に好ましくは5重量部以下である。上記難燃剤(E)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0102】
<発泡剤>
上記樹脂材料は、発泡剤を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。上記樹脂材料が発泡剤を含む場合には、発泡樹脂成形体を得ることができる。発泡樹脂成形体は、軽量であるという利点を有する。
【0103】
上記発泡剤としては、水、及び有機ハロゲン化合物等が挙げられる。入手が容易であり、利便性に優れることから、上記発泡剤は水であることが好ましい。水は上記イソシアネート化合物(B)と反応してCOを発生させることにより発泡剤として作用する。上記発泡剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0104】
上記有機ハロゲン化合物としては、有機塩素化合物、有機フッ素化合物、有機臭素化合物、及び有機ヨウ素化合物等が挙げられる。上記有機ハロゲン化合物は、水素原子の全てがハロゲン原子で置換された有機ハロゲン化合物であってもよく、水素原子の一部がハロゲン原子で置換された有機ハロゲン化合物であってもよい。樹脂成形体の形成時の発泡性を良好にし、樹脂成形体の熱伝導率をより一層長期にわたり低く維持する観点からは、上記有機ハロゲン化合物は、有機塩素化合物、又は有機フッ素化合物であることが好ましい。
【0105】
上記有機塩素化合物としては、飽和有機塩素化合物、及び不飽和有機塩素化合物等が挙げられる。上記飽和有機塩素化合物としては、ジクロロエタン、プロピルクロライド、イソプロピルクロライド、ブチルクロライド、イソブチルクロライド、ペンチルクロライド、及びイソペンチルクロライド等が挙げられる。樹脂成形体の形成時の発泡性を良好にし、樹脂成形体の熱伝導率をより一層長期にわたり低く維持する観点からは、上記有機塩素化合物は、飽和有機塩素化合物であることが好ましく、炭素数が2~5の飽和有機塩素化合物であることがより好ましい。
【0106】
上記有機フッ素化合物としては、飽和有機フッ素化合物、及び不飽和有機フッ素化合物等が挙げられる。
【0107】
上記飽和有機フッ素化合物としては、ハイドロフルオロカーボン等が挙げられる。上記ハイドロフルオロカーボンとしては、ジフルオロメタン(HFC32)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC125)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFC152a)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(HFC4310mee)等が挙げられる。
【0108】
上記不飽和有機フッ素化合物としては、ハイドロフルオロオレフィン等が挙げられる。上記ハイドロフルオロオレフィンとしては、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)(E及びZ異性体)、及び1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO1336mzz)(E及びZ異性体)等が挙げられる。
【0109】
さらに、上記有機フッ素化合物としては、塩素原子とフッ素原子と2重結合とを有する化合物も挙げられる。上記塩素原子とフッ素原子と2重結合とを有する化合物としては、1,2-ジクロロ-1,2-ジフルオロエテン(E及びZ異性体)、及びヒドロクロロフルオロオレフィン等が挙げられる。上記ヒドロクロロフルオロオレフィンとしては、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)(E及びZ異性体)、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233yd)(E及びZ異性体)、1-(4)クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zb)(E及びZ異性体)、2-クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xe)(E及びZ異性体)、2-クロロ-2,2,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xc)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、3-クロロ-1,2,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233ye)(E及びZ異性体)、3-クロロ-1,1,2-トリフルオロプロペン(HCFO-1233yc)、3,3-ジクロロ-3-フルオロプロペン、1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1223xd)(E及びZ異性体)、2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(E及びZ異性体)、及び2-クロロ-1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(E及びZ異性体)等が挙げられる。
【0110】
樹脂成形体の形成時の発泡性を良好にし、樹脂成形体の熱伝導率をより一層長期にわたり低く維持する観点からは、上記有機ハロゲン化合物は、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ハイドロフルオロカーボン又はハイドロフルオロオレフィンであることが好ましい。
【0111】
発泡性を考慮して、上記発泡剤は、適宜の含有量で用いることができる。
【0112】
<他の成分>
上記樹脂材料は、上述した成分以外の他の成分(ポリオール化合物(A)、イソシアネート化合物(B)、ウレタン樹脂成形体の粉末(C)、強化長繊維(D)、難燃剤(E)及び発泡剤のこれら6種とは異なる成分)を含んでいてもよい。
【0113】
上記他の成分としては、触媒、整泡剤、ウレタン樹脂成形体の粉末(C)以外の粉末(充填材)、及び難燃剤(E)以外の難燃剤等が挙げられる。上記他の成分はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0114】
触媒:
上記樹脂材料は、触媒を含むことが好ましい。上記触媒としては、ウレタン化触媒、及び三量化触媒等が挙げられる。上記触媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0115】
上記樹脂材料は、ウレタン化触媒を含むことが好ましい。上記ウレタン化触媒は、上記ポリオール化合物の水酸基と、上記イソシアネート化合物のイソシアネート基との反応を促進させ、ウレタン結合の形成を促進する。
【0116】
上記ウレタン化触媒としては、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫ジウラレート及びジブチルビス(オレオイルオキシ)スタンナン等の有機錫化合物、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、及びN,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン等の第3級アミン化合物、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-メチル,N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、並びにイミダゾール環中の第2級アミン官能基がシアノエチル基で置換されたイミダゾール化合物等が挙げられる。上記ウレタン化触媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0117】
上記ウレタン化触媒は、上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物とが良好に反応するように、適宜の含有量で用いることができる。
【0118】
上記三量化触媒は、イソシアネート化合物のイソシアネート基の三量化反応を促進させ、イソシアヌレート環の形成を促進する。さらに、上記三量化触媒は、樹脂成形体の燃焼時の膨張を抑制する。
【0119】
上記三量化触媒としては、芳香族化合物、カルボン酸のアルカリ金属塩、カルボン酸の4級アンモニウム塩、及び4級アンモニウム塩/エチレングリコール混合物等が挙げられる。上記芳香族化合物としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、及び2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等が挙げられる。上記カルボン酸のアルカリ金属塩としては、酢酸カリウム、及び2-エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。上記三量化触媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0120】
上記三量化触媒は、三量化反応が良好に促進されるように、適宜の含有量で用いることができる。
【0121】
整泡剤:
上記整泡剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等ポリオキシアルキレン整泡剤、及びオルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等が挙げられる。
【0122】
他の充填材(以下、充填材):
上記充填材としては、粉末状の充填材が挙げられる。上記充填材を用いることにより、気泡壁の補強効果が効果的に発揮される。また、上記充填材を用いることにより、コストを低く抑えることができる。上記充填材は、有機粉末であってもよく、無機粉末であってもよく、有機粉末と無機粉末との混合粉末であってもよい。上記充填材は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0123】
上記充填材としては、ガラス繊維屑;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、及び炭酸バリウム等の炭酸塩化合物;ドーソナイト、ハイドロタルサイト、マイカ、イモゴライト、セリサイト、及び石膏繊維等の鉱物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、及び硫酸マグネシウム等の硫酸塩化合物;ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩化合物;タルク、クレー、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、及びセピオライト等の粘土;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、及び窒化ケイ素等の窒化物;カーボンブラック、グラファイト、炭素バルーン、及び木炭粉末等の炭素化合物;チタン酸カリウム、及びチタン酸ジルコン酸鉛等のチタン化合物;アルミニウムボレート等の金属ホウ酸塩化合物;硫化モリブデン等の硫化物;炭化ケイ素等の炭化物;フライアッシュ、石炭灰、及びシラスバルーン等の灰;硅砂等の砂;軽石等の火山砕屑物;木片;竹片;澱粉;米糠;樹脂成形体の粉体等が挙げられる。
【0124】
<硬化性樹脂材料の他の詳細>
上記樹脂材料は、上記ポリオール化合物(A)と、上記イソシアネート化合物(B)と、上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)と、上記強化長繊維(D)と、必要に応じて配合されるこれら以外の成分とを混合することで調製できる。各成分の混合方法は、特に限定されない。1又は複数の成分を含む複数の液を調製し、複数の液を混合して、樹脂材料を得てもよい。複数の液の混合は、樹脂成形体の形成時に行われてもよい。上記ポリオール化合物(A)を含む液に、上記イソシアネート化合物(B)と上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)とを混合した後、この液を上記強化長繊維(D)に含浸させてもよい。上記ポリオール化合物(A)を含む液に上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)を混合し、次いで、上記イソシアネート化合物(B)を混合した後、この液を強化長繊維(D)に含浸させてもよい。
【0125】
(樹脂成形体)
本発明に係る樹脂成形体は、上述した硬化性樹脂材料の成形体である。上記樹脂材料を成形することにより、樹脂成形体を得ることができる。例えば、上記樹脂材料を加熱して、成形及び硬化させることにより、樹脂成形体を得ることができる。このとき、例えば、40℃~100℃に加熱する。上記樹脂成形体は、発泡樹脂成形体であってもよい。上記樹脂成形体が発泡樹脂成形体である場合には、該樹脂成形体を軽量にすることができる。
【0126】
上記樹脂成形体は、建築物、車両・船舶、鉄道施設、水処理施設、工場施設、水産・養殖施設、電気設備、スポーツ・公園施設、及び土木現場等の用途に使用できる。
【0127】
上記樹脂成形体は、建築物において、バルコニー、フロアー材、土台、梁、根太、束、屋根、及び桟木等に好適に用いられる。
【0128】
上記樹脂成形体は、車両又は船舶において、根太、FFU船、デッキ、バルクヘッド、トラック荷台材、及びブリッジ等に好適に用いられる。
【0129】
上記樹脂成形体は、鉄道施設において、歩道板、大三帆条保護板、プラットホーム、及び枕木(橋、分岐、並、短)等に好適に用いられる。
【0130】
上記樹脂成形体は、水処理施設において、覆蓋、角落し、セキ板、フロキューター羽根、ドア、ガラリ、整流板、迂流板、仕切り板、及び傾斜版等に好適に用いられる。
【0131】
上記樹脂成形体は、工場施設において、床板、歩廊、ピット蓋、薬液槽、水槽、作業台、架台、根太材、パレット、及び冷凍庫等に好適に用いられる。
【0132】
上記樹脂成形体は、水産・養殖施設において、孵化槽、養殖槽、活魚槽、及び歩廊等に好適に用いられる。
【0133】
上記樹脂成形体は、電気設備において、クリート、及び管枕等に好適に用いられる。
【0134】
上記樹脂成形体は、スポーツ・公園施設において、パーゴラ、橋、案内板、あずま屋、バックスクリーン、テニス練習板、スコアボード、浮桟橋、吊り橋、遊歩道、スキー板芯材、水車、及びプール部材等に好適に用いられる。
【0135】
上記樹脂成形体は、土木現場において、受圧板、及びSEW土留め壁等に好適に用いられる。
【0136】
上記樹脂成形体は、枕木として特に好適に用いられる。上記枕木の形状は特に限定されてない。上記枕木は、例えば、直方体状の枕木であってもよく、直方体状の本体部と、該本体部から外側に突出している突出部とを備える枕木であってもよい。
【0137】
枕木(樹脂成形体)は、長さ方向と幅方向とを有していてもよい。枕木の曲げ弾性率をより一層良好にする観点からは、上記強化長繊維は、枕木(樹脂成形体)の長さ方向に沿って配置されていることが好ましい。
【0138】
(樹脂成形体の製造方法)
上記樹脂成形体の製造方法は、以下の工程(1)と工程(3)と工程(4)とを備えることが好ましく、以下の工程(1)と工程(2)と工程(3)と工程(4)とを備えることがより好ましい。
【0139】
工程(1):ポリオール化合物とイソシアネート化合物とウレタン樹脂成形体の粉末とを含む第1の組成物を得る工程。
【0140】
工程(2):上記第1の組成物を、強化長繊維が一方向に引き揃えられた強化長繊維束に散布する散布工程。
【0141】
工程(3):上記第1の組成物を、強化長繊維が一方向に引き揃えられた強化長繊維束に含浸させて、硬化性樹脂材料(上述した樹脂材料)を得る含浸工程。
【0142】
工程(4):金型内で上記硬化性樹脂材料を硬化させる硬化工程。
【0143】
上記散布工程では、散布装置を用いて、上記第1の組成物を上記強化長繊維束に散布することが好ましい。また、上記散布工程では、上記強化長繊維束を一方向に進行させながら、上記第1の組成物を上記強化長繊維束に散布することが好ましい。
【0144】
上記含浸工程では、上記第1の組成物を上記強化長繊維束に含浸させて、樹脂材料(複合体)を得る。上記第1の組成物を強化長繊維間部分に良好に含浸させる観点からは、上記含浸工程において、上記第1の組成物と上記強化長繊維束とは、揉み板と含浸板との間で揉まれることが好ましい。ただし、上記含浸工程において、上記含浸板に代えて、例えば、無端ベルトを用いることにより、上記第1の組成物を上記強化長繊維束に含浸させてもよい。
【0145】
上記含浸工程では、温度調節機を用いて上記第1の組成物の温度を制御しながら、上記第1の組成物を上記強化長繊維束に含浸させることが好ましい。上記含浸工程において、上記第1の組成物の温度は、10℃以上であることが好ましく、15℃以上であることがより好ましく、30℃以下であることが好ましく、25℃以下であることがより好ましい。上記含浸工程における上記第1の組成物の温度が上記下限以上であると、第1の組成物の粘度をより一層低くすることができるので、上記第1の組成物を強化長繊維間部分により一層良好に含浸させることができる。上記含浸工程における上記第1の組成物の温度が上記上限以下であると、意図しない発泡硬化反応を抑えることができる。
【0146】
上記硬化工程は、金型内で上記樹脂材料を発泡硬化させる発泡硬化工程であることが好ましい。
【0147】
上記発泡硬化工程では、発泡成形用通路内に設けられた金型内で、上記樹脂材料を発泡硬化させることが好ましい。例えば、上記発泡成形用通路の内面に設けられた金属板を加熱することにより、樹脂材料を発泡硬化させることができる。
【0148】
上記発泡硬化工程において、上記金型の加熱温度は、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。上記金型の加熱温度が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記樹脂材料を良好に発泡硬化させることができる。
【0149】
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂成形体の製造方法を説明するための図である。なお、図1は、発泡樹脂成形体の製造方法を説明するための図である。
【0150】
製造装置100は、ホッパー11と、ベルトフィーダー12と、スクリュー内蔵の押出機4と、ポンプ43と、第1原料タンク21と、ポンプ22と、第2原料タンク31と、ポンプ51と、混合散布装置5と、揉み板61と、含浸板62と、加熱部を有する金型63とを備える。また、製造装置100は、強化長繊維束8を一方向(図中、左側から右側方向)に進行させることが可能な搬送手段を備える。
【0151】
<上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)を得る工程(分級工程ともいう)>
ウレタン樹脂及びガラス繊維を含むウレタン樹脂成形体から、上記ウレタン樹脂成形体の粉末(C)(粉末1)を得る。例えば、ウレタン樹脂成形体の切粉を分級機6に投入して分級処理を行い、粉末1を得る。この工程において、上記ウレタン樹脂成形体は、例えば、ウレタン樹脂組成物又はウレタン樹脂成形体を所定の形状に加工等する際に発生する屑片(従来は廃棄物)であってもよい。
【0152】
<第1の組成物を得る工程>
ウレタン樹脂成形体の粉末1がホッパー11に投入され、次いで、粉末1がベルトフィーダー12によって運搬されて押出機4に供給される。押出機4は、シリンダ内に2軸のスクリューを備える。また、第1原料2が第1原料タンク21に投入され、混合される。第1原料2は、ポリオール化合物を含む液である。第1原料2は、発泡剤を含むことが好ましい。第1原料2は、難燃剤を含むことが好ましい。第1原料2は、ポンプ22によって押出機4に供給される。押出機4では、粉末1と第1原料2とが、押出機4のスクリューの回転により混合され、粉末1と第1原料2との混合液(以降、「混合液A」と記載することがある)が得られる。
【0153】
第2原料3が第2原料タンク31に投入される。第2原料3は、イソシアネート化合物である。第2原料2が、発泡剤を含んでいてもよい。
【0154】
混合液Aが、ポンプ43によって混合散布装置5へ供給される。第2原料3が、ポンプ51によって混合散布装置5へ供給される。混合散布装置5では、混合液Aと第2原料3とが均一に混合されて、第1の組成物7(ポリオール化合物とイソシアネート化合物とウレタン樹脂成形体の粉末と発泡剤との混合液)が得られる。混合液Aが、発泡剤を含んでいてもよく、第2原料3が、発泡剤を含んでいてもよく、混合液Aと第2の原料3との混合時に、発泡剤を含ませてもよい。
【0155】
<散布工程>
第1の組成物7は、混合散布装置5の吐出口から、強化長繊維が一方向に引き揃えられた強化長繊維束8(強化長繊維の繊維束)に散布される。強化長繊維束8を一方向に進行させながら、第1の組成物7が強化長繊維束8に散布される。本実施形態では、強化長繊維はガラス長繊維であり、強化長繊維束8は、ガラス長繊維束である。
【0156】
<含浸工程>
第1の組成物7と強化長繊維束8とは、揉み板61と含浸板62との間で揉まれ、強化長繊維束8を構成する強化長繊維の間の部分に第1の組成物7が含浸される。含浸板62は、含浸に用いられる板であり、含浸用板である。このようにして、第1の組成物7が強化長繊維束8に含浸された樹脂材料81が得られる。本発明では、上記樹脂材料が上記第1の構成又は上記第2の構成を備えるように設計されているため、第1の組成物7が強化長繊維間部分に良好に含浸され、かつ第1の組成物7が強化長繊維間部分に良好に保持される。
【0157】
<硬化工程(好ましくは発泡硬化工程)>
樹脂材料81を金型63に移送し、金型63内で樹脂材料81を硬化(好ましくは発泡硬化)させて、金型63の形状に対応する樹脂成形体(好ましくは発泡樹脂成形体)を得ることができる。なお、樹脂材料81を金型63に順次移送することで、樹脂成形体を連続的に製造することができる。
【0158】
<他の詳細>
上記第1の組成物を得る工程において、上記難燃剤は、第1原料に含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。
【0159】
上記第1の組成物を得る工程において、上記発泡剤は、第1原料に含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。
【0160】
上記第1の組成物及び第1原料はそれぞれ、上記他の成分を含んでいてもよい。例えば、上記第1の組成物は、触媒を含んでいてもよく、整泡剤を含んでいてもよい。上記触媒は、第1原料に含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。上記整泡剤は、第1原料に含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。
【0161】
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0162】
以下の材料を用意した。
【0163】
(ポリオール化合物(A))
ポリエーテルポリオール(水酸基価:510mgKOH/g)
【0164】
(イソシアネート化合物(B))
ジフェニルメタンジイソシアネート
【0165】
(ウレタン樹脂成形体の粉末(C))
ウレタン樹脂成形体の切粉(粒径D90:424μm、粒径D50:83μm)
【0166】
上記ウレタン樹脂成形体の切粉は、別のロットで製造された樹脂成形体(リサイクル品、ウレタン樹脂及びガラス繊維を含む樹脂成形体)の切削屑を分級処理して得られた粉末である。
【0167】
上記ウレタン樹脂成形体の切粉の粒径D90及び粒径D50は、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製「SALD-2200」)を用いて測定した。
【0168】
(強化長繊維(D))
合糸ガラスロービング(繊維径6μm~20μmのモノフィラメントを多数引き揃えてロービングにしたガラス長繊維)
【0169】
(難燃剤(E))
リン酸エステル(大八化学工業社製「プラネロンCP-0050」、25℃での粘度:530mPa・s)
【0170】
上記難燃剤の25℃での粘度は、B型粘度計を用いて測定した。
【0171】
(難燃剤(E)に相当しない難燃剤)
赤リン(粉体)
水酸化アルミニウム(粉体)
【0172】
(触媒)
三級アミン化合物
【0173】
(整泡剤)
シリコンオイル
【0174】
(発泡剤)
【0175】
(実施例1)
図1に示す方法で、樹脂成形体(発泡樹脂成形体)を作製した。また、図1に示す第1原料として、ポリオール化合物と難燃剤と発泡剤と触媒と整泡剤とを含む液を用いた。また、図1に示す第2原料として、イソシアネート化合物を用いた。
【0176】
<第1の組成物を得る工程>
ホッパーに投入されたウレタン樹脂成形体の粉末をベルトフィーダーによって押出機に供給した。また、第1原料タンクに投入された第1原料をポンプによって押出機に供給した。押出機にて、ウレタン樹脂成形体の粉末と第1原料とを混合し、該粉末と第1原料との混合液(混合液A)を得た。次いで、混合液Aをポンプによって混合散布装置へ供給した。また、第2原料タンクに投入された第2原料をポンプによって混合散布装置へ供給した。混合散布装置にて、混合液Aと第2原料とを均一に混合し、第1の組成物を得た。
【0177】
<散布工程>
第1の組成物を、混合散布装置の吐出口から、強化長繊維が一方向に引き揃えられた強化長繊維束(強化長繊維の繊維束)に散布した。なお、強化長繊維束を一方向に進行させながら、第1の組成物を強化長繊維束に散布した。
【0178】
<含浸工程>
第1の組成物と強化長繊維束とを、20℃の条件で、揉み板と含浸板との間で揉みこみ、強化長繊維束を構成する各強化長繊維の間に第1の組成物を含浸させて、第1の組成物が強化長繊維束に含浸された樹脂材料を得た。なお、樹脂材料中の各成分の含有量及びイソシアネートインデックスを表1に示す。
【0179】
<発泡硬化工程>
樹脂材料を金型に移送し、金型内で樹脂材料を発泡硬化させて、樹脂成形体(発泡樹脂成形体)を得た。
【0180】
(実施例2~6及び比較例1~3)
難燃剤の種類及び樹脂材料中の各成分の含有量を表1,2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂成形体を得た。
【0181】
(評価)
(1)樹脂成形体の耐燃性
JIS K6911 A法に準拠して、得られた樹脂成形体の耐燃性試験を行った。着火してから自消するまでの距離である燃焼距離、及び、着火してから自消するまでの時間である燃焼時間をそれぞれ求めた。
【0182】
(2)樹脂成形体の比重のばらつき(標準偏差)
得られた樹脂成形体を、幅12.7mm、厚み12.7mm、長さ127mmに切断した。切断した樹脂成形体を10サンプル用意し、各サンプルの比重を測定した。測定した10サンプルの比重の標準偏差を求めた。なお、比重のばらつきが小さいほど、第1の組成物の強化長繊維間部分への含浸性が良好であったことを意味する。
【0183】
組成及び結果を下記の表1,2に示す。
【0184】
【表1】
【0185】
【表2】
【符号の説明】
【0186】
1…ウレタン樹脂成形体の粉末
2…第1原料
3…第2原料
4…押出機
5…混合散布装置
6…分級機
7…第1の組成物
8…強化長繊維束
10…樹脂成形体
11…ホッパー
12…ベルトフィーダー
21…第1原料タンク
22…ポンプ
31…第2原料タンク
43…ポンプ
51…ポンプ
61…揉み板
62…含浸板
63…金型
81…樹脂材料
100…製造装置
図1