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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051859
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】止まり、及び軒樋の止まり構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/064 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
E04D13/064 503C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156235
(22)【出願日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2021161071
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】小南 尚志
(57)【要約】
【課題】渡し部材が設置しやすい止まり、及び軒樋の止まり構造を提供すること。
【解決手段】軒樋2の端部に固定される止まり5であって、端部を、軒樋2の長手方向から覆う止まり本体30と、止まり本体30から軒樋側に設けられた底部32、前壁部33および後壁部34と、止まり本体30の上端に配置された庇部38と、を備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軒樋の端部に固定される止まりであって、
前記端部を、前記軒樋の長手方向から覆う止まり本体と、
前記止まり本体から前記軒樋側に設けられた底部、前壁部および後壁部と、
前記止まり本体の上端に配置された庇部と、を備えている止まり。
【請求項2】
前記庇部に切欠きが形成されている、請求項1に記載の止まり。
【請求項3】
前記庇部の上面は軒樋内部に向かって下る傾斜面を有する、請求項1に記載の止まり。
【請求項4】
前記軒樋は、底板の幅寸法が200mm以上である、請求項1に記載の止まり。
【請求項5】
互いに対向する軒樋の2つの端それぞれに、請求項1から4のいずれか1項に記載の止まりが固定され、
前記2つの端それぞれに固定された2つの前記止まりの上に架け渡される渡し部材を備える、軒樋の止まり構造。
【請求項6】
前記渡し部材は、2つの前記止まりの一方にのみ固定され、他方に固定されていない、請求項5に記載の軒樋の止まり構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止まり、及び軒樋の止まり構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軒樋の開口端に止まりを固定した構造が知られている。この構造では、軒樋の内部の雨水が開口端からこぼれ落ちることを止まりで防ぐことができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-285601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の軒樋では、2つの軒樋の端部の間であって互いに対向する止まり同士の間に隙間があけられているため、2つの止まりの間の隙間から雨水が垂れ落ちることが考えられる。そこで、2つの止まり間に流れ落ちる雨水を受ける渡し部材を、2つの止まりの上部に設けることが考えられる。
しかし、このような渡し部材は風を受けやすいため、止まりに固定することが求められるが、上記特許文献1に記載の止まりは、止まり本体が板状であるために止まり本体の上端に設置される渡し部材と止まり本体とを固定しづらかった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、渡し部材が設置しやすい止まり、及び軒樋の止まり構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
<1>本発明の一態様に係る止まりは、軒樋の端部に固定される止まりであって、前記端部を、前記軒樋の長手方向から覆う止まり本体と、前記止まり本体から前記軒樋側に設けられた底部、前壁部および後壁部と、前記止まり本体の上端に配置された庇部と、を備えている。
【0007】
この場合には、止まりの上端に庇部を配置し、庇部に渡し部材を固定した。これにより、渡し部材を庇部(すなわち、止まりの上端)に安定させた状態で固定できる。
【0008】
<2>上記<1>に係る止まりでは、前記庇部に切欠きが形成されている構成を採用してもよい。
【0009】
この場合には、庇部に切欠きを形成した。したがって、雨水を切欠きから軒樋の内部に流すことができる。この結果、雨水が庇部から軒樋の外側下方に垂れ落ちることを防ぐことができる。
【0010】
<3>上記<1>または<2>に係る止まりでは、前記庇部の上面は軒樋内部に向かって下る傾斜面を有する構成を採用してもよい。
【0011】
この場合には、庇部に降った雨水を傾斜面によって軒樋内部へと流すことができる。
【0012】
<4>上記<1>から<3>に係る止まりでは、前記軒樋は、底板の幅寸法が200mm以上である構成を採用してもよい。
【0013】
ここで、一般に、軒樋は、底板の幅寸法200mm以上ものが商業施設等の非住宅向けに使用される大型軒樋に区分けされている。すなわち、止まりは、軒樋の底板の幅寸法を200mm以上とすることにより、商業施設等の非住宅向けに使用される大型軒樋に好適に適用される。
【0014】
<5>本発明の一態様に係る軒樋の止まり構造では、互いに対向する軒樋の2つの端それぞれに、上記<1>から<4>のいずれか1項に係る止まりが固定され、前記2つの端それぞれに固定された2つの前記止まりの上に架け渡される渡し部材を備える。
【0015】
上述の軒樋の止まり構造であれば、互いに対向する軒樋の2つの端に止まりをそれぞれに固定した。これにより、軒樋の内部の雨水が端からこぼれ落ちることを止まりで防ぐことができる。
さらに、隣り合う2つの止まりの上に渡し部材を架け渡した。これにより、2つの止まりの間(すなわち、互いに対向する軒樋の間)から雨水が下方に漏れて垂れ落ちることを渡し部材で防ぐことができる。
【0016】
<6>上記<5>に係る軒樋の止まり構造では、前記渡し部材は、2つの前記止まりの一方にのみ固定され、他方に固定されていない構成を採用してもよい。
【0017】
ここで、例えば、樹脂製の軒樋の場合、環境温度の変化等により互いに対向する軒樋が長手方向に伸縮することが考えられる。そこで、渡し部材を2つの止まりの一方にのみ固定し、他方に固定しないようにした。よって、2つの止まりを軒樋の長手方向に移動させることができる。これにより、互いに対向する軒樋が伸縮する際に、2つの止まりを軒樋の長手方向に移動させて軒樋の伸縮を許容できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、渡し部材が設置しやすい止まり、及び軒樋の止まり構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る軒樋構造の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る軒樋構造が備える軒樋の分解斜視図である。
図3図1のIII-III線に沿って破断した断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る軒樋構造が備える軒樋の止まり構造の斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る軒樋の止まり構造が備えた第1止まりを表面側からみた斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る軒樋の止まり構造が備えた第1軒樋及び第1止まりを分解した斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る軒樋の止まり構造が備えた第1止まりを裏面側からみた平面図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る軒樋の止まり構造が備えた渡し部材の斜視図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る軒樋の止まり構造が備えた第1止まりと軒先との位置関係を示す概略図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る第1止まりを裏面側からみた平面図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る渡し部材の斜視図である。
図12】本発明の第3実施形態に係る雨樋の側面図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る雨樋が備える軒樋の止まり構造の斜視図である。
図14】本発明の第3実施形態に係る雨樋が備える軒樋の止まり構造の側面図である。
図15】本発明の第3実施形態に係る雨樋が備える軒樋の止まり構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る軒樋の止まり構造、止まり、及び軒樋について説明する。なお、実施形態において、折板屋根15が設けられた建築物の軒先16を起点として家から離れる方向を「前方」、軒先16を起点として家に近づく方向を「後方」として説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1図2に示すように、軒樋構造60は、開口端が互い対向する2つの軒樋2、3と、2つの軒樋2、3の間に設けられた軒樋の止まり構造1と、を備えている。
2つの軒樋2、3は、第1軒樋(軒樋)2と、第2軒樋(軒樋)3と、備えている。第1軒樋2及び第2軒樋3は、互いの長手方向に沿って対向する位置に間隔をあけて配置されている。第1軒樋2及び第2軒樋3は、長手方向において互いに対称に形成されている。
【0022】
図2に示すように、第1軒樋2及び第2軒樋3(以下、軒樋2、3とも言う)はいずれも、例えば、複数の軒樋本体10がジョイント(軒継手)11で接続されることにより長手方向に延びた状態で支持具12に支持されている。支持具12は、軒先16に取り付けられている。軒樋2、3では、長手方向に延びた複数の軒樋本体10が折板屋根15の下方に支持具12により支持されている。
【0023】
図1から図3に示すように、軒樋本体10は、例えば、樹脂材で形成されている。軒樋本体10は、底板21の前辺から前壁(外側板)22が立ち上げられ、底板21の後辺から後壁(内側板)23が立ち上げられている。軒樋本体10は、底板21、前壁22、及び後壁23により断面U字状に形成され、前壁22の高さが後壁23の高さより若干(例えば、1.5倍未満)高く形成されている。ただし、前壁22の高さと後壁23の高さとが同等であってもよく、前壁22の高さが後壁23の高さより低くてもよい。
【0024】
また、軒樋本体10は、前壁22の上辺から前耳24が前方に向けて張り出され、後壁23の上辺から後耳25が後方に向けて張り出されている。さらに、軒樋本体10は、底板21と前壁22との交差部において軒樋本体10の内部に前補強部27が形成され、底板21と後壁23との交差部において軒樋本体10の内部に後補強部28が形成されている。なおこれらの前耳24、後耳25、前補強部27、後補強部28はなくてもよい。
【0025】
軒樋本体10は、底板21の幅寸法Wが200mm以上に設定されていることが好ましく、200mm超であることがより好ましく、300mm以上であることがより一層好ましい。ここで、一般に、軒樋2、3は、底板21の幅寸法200mm以上ものが商業施設等の非住宅向けに使用される大型軒樋に区分けされている。すなわち、軒樋2、3は、商業施設等の非住宅向けに使用される大型軒樋であることが好ましい。この場合、軒樋の止まり構造1は、商業施設等の非住宅向けに使用される大型軒樋に適用される。なお、幅寸法Wが200未満であってもよい。
【0026】
非住宅向けの折板屋根15では軒先16の出寸法が大きい場合がある。よって、軒先16が軒樋2、3の上方まで突出することが考えられる。そこで、前述したように、前壁22の高さを後壁23の高さより若干高く形成し、後壁23の高さを低く抑えた。これにより、後壁23を折板屋根15の下方に所定間隔をあけて配置できる。一方、前壁22の高さを後壁23の高さより若干高く形成することにより、例えば外観性を確保できる。
【0027】
図1及び図4に示すように、軒樋の止まり構造1は、第1止まり(止まり)5と、第2止まり(止まり)6と、渡し部材8と、を備えている。
図4に示すように、第1軒樋2及び第2軒樋3には、互いに対向する2つの開口端(端)2a,3aのそれぞれに第1止まり5及び第2止まり6の2つが固定されている。第1止まり5及び第2止まり6は、長手方向において概ね対称に形成された部材である。よって、以下、第1止まり5及び第2止まり6の各構成部位に同じ符号を付して、第1止まり5について詳しく説明し、第2止まり6の詳しい説明を省略する。
【0028】
図5から図7に示すように、第1止まり5は、例えば、樹脂材で形成されている。第1止まり5は、止まり本体30と、底部32と、前壁部33と、後壁部34と、溝部35と、前耳受け部36と、後耳受け部37と、庇部(被固定部)38と、を有する。
止まり本体30は、軒樋本体10の開口端(すなわち、第1軒樋2の開口端2a)を、軒樋本体10の長手方向の外側から覆う。止まり本体30は板状である。軒樋本体10を長手方向から見たとき、止まり本体30と軒樋本体10の開口端とは同等の形状であり、同等の大きさである。
【0029】
止まり本体30の外周部は、長手方向に沿って軒樋本体10の反対側(以下、軒樋の反対側ともいう)に向けて窪む溝部35が形成されている。溝部35が、止まり本体30の外周縁の全周にわたって設けられている。その結果、止まり本体30において溝部35よりも内側に位置する部分が、長手方向に沿って軒樋本体10側(以下、軒樋側ともいう)に向けて突出する凸部31となっている。凸部31は、軒樋本体10の開口端(すなわち、第1軒樋2の開口端2a)に嵌め込み可能に概ね矩形状に形成されている。
【0030】
凸部31の頂面は、底辺31aと、前辺31bと、後辺31cと、頂辺31dと、を有する。底辺31a、前辺31b、及び後辺31cは、上方に開口するU字状に形成されている。底辺31a、前辺31b、及び後辺31cの外方向に間隔をあけてそれぞれ底部32、前壁部33、及び後壁部34が形成されている。底部32、前壁部33、及び後壁部34は、U字状に形成されている。底部32、前壁部33、及び後壁部34は、止まり本体30の外周縁から、軒樋側に延びている。底辺31aと底部32との間、前辺31bと前壁部33との間、及び後辺31cと後壁部34との間に、前述した溝部35が形成されている。
【0031】
なお、軒樋本体10の底板21の幅寸法Wが200mm以上である場合、底部32は200mmを超える幅寸法とされ、軒樋本体10の底板21の幅寸法に合わせて300mmを超えるものとされるのが好ましい。
【0032】
溝部35の前下側の凸角部には、前補強部27の端部に嵌め込み可能な前凹み部41が形成されている。また、U字状の溝部35の後下側の凸角部には、後補強部28の端部に嵌め込み可能な後凹み部42が形成されている。
前壁部33の上端には前耳受け部36が形成されている。前耳受け部36は、前壁部33の上端から前方に向けて延びている。後壁部34の上端には後耳受け部37が形成されている。後耳受け部37は、後壁部34の上端から後方に向けて延びている。
【0033】
第1止まり5を第1軒樋2に、例えば接着剤などにより固定する際には、溝部35の内部に第1軒樋2の開口端2aが嵌め込まれ、止まり本体30の凸部31が開口端2aの内部に嵌め込まれる。また、前凹み部41が前補強部27の端部に嵌め込まれる。さらに、後凹み部42が後補強部28の端部に嵌め込まれる。また、前耳受け部36が前耳24の端部の下側に配置される。さらに、後耳受け部37が後耳25の端部の下側に配置される。
【0034】
これにより、第1軒樋2の開口端2aが第1止まり5により塞がれる。よって、第1軒樋2の内部の雨水が開口端2aからこぼれ落ちることを第1止まり5で防ぐことができる。これにより、第1軒樋2の内部に集められた雨水を不図示の竪樋から流すことができる。
【0035】
また、第1止まり5の止まり本体30の上部(以下、止まり本体上部30aともいう)は後方から前方に向けて上り勾配に形成され、凸部31の頂辺31dが後端31eから前端31fに向けて上り勾配に形成されている。そして、止まり本体上部30aの上縁に、凸部31の頂辺31dの上方向(外方向)に間隔をあけて庇部38が形成されている。換言すれば、第1止まり5の上端に庇部38が配置されている。庇部38は、止まり本体上部30aの上縁に沿って後方から前方に向けて上り勾配に形成されている。また、庇部38は、第1軒樋2の開口端2aの上部に配置されている。
【0036】
また、庇部38は、例えば、前端38bが水平に形成されている。庇部38は、前後方向において、前端38bと前耳受け部36の突片36aとの間に前切欠き(切欠き)45が形成されている。前切欠き45は、前耳受け部36の上方に配置されている。前切欠き45は、前耳受け部36を経て開口端2aの内部(第1軒樋2の内部)に連通されている。
【0037】
さらに、庇部38は、例えば、後端38aが水平に形成されている。庇部38は、前後方向において、後端38aと後耳受け部37の突片37aとの間に後切欠き(切欠き)46が形成されている。後切欠き46は、後耳受け部37の上方に配置されている。後切欠き46は、後耳受け部37を経て開口端2aの内部(第1軒樋2の内部)に連通されている。
【0038】
なお、庇部38の上面は、軒樋の反対側から軒樋側(すなわち、軒樋内部)へ向かって下る傾斜面となっていてもよい。この場合、庇部38に降った雨水を軒樋本体10の内部へと流すことができる。
また、図5から図7では、庇部38は止まり本体上部30aから軒樋側に向かって突出するように設けられているが、止まり本体上部30aから軒樋の反対側に突出していてもよい。この場合、庇部38に切欠き(前切欠き45や後切欠き46)を設けなくとも、軒樋本体10内部へと雨水を流すことができる。さらにこの場合、止まり(第1止まり5)を設置する際に、作業者が庇部38を把持しやすい。庇部38は、止まり本体上部30aから、長手方向の両側(軒樋側および軒樋の反対側の両方)に突出していてもよい。すなわち、庇部38は止まり本体30から長手方向に延びる形態を適宜採用することが可能である。
【0039】
このように、第1止まり5の上端に庇部38が配置されている。また、庇部38に形成された前切欠き45が前耳受け部36を経て開口端2aの内部に連通されている。さらに、庇部38に形成された後切欠き46が後耳受け部37を経て開口端2aに連通されている。
よって、雨水を前切欠き45及び後切欠き46から第1軒樋2の内部に流すことができる。これにより、雨水が庇部38から第1軒樋2の外側下方に垂れ落ちることを防ぐことができる。特に、第2軒樋2の開口端2aや第3軒樋3の開口端3aであって、2つの軒樋2、3の端部が対向せずに渡し部材8が設けられない軒樋2、3の開口端2a、3aに、同一形状の止まりを採用する場合において、庇部38の上面に降った雨水を前切欠き45や後切欠き46から軒樋本体10の内部に流すことができる。図示の例では、前切欠き45および後切欠き46は、渡し部材8によって覆われていないが、覆われていてもよい。
【0040】
図4図8に示すように、第1止まり5及び第2止まり6の2つの上(具体的には、第1止まり5の庇部38及び第2止まり6の庇部38)に渡し部材8が架け渡されている。渡し部材8は、渡し本体51と、前立上片52と、後立上片53と、第1下向片54と、第2下向片55と、を有する。
【0041】
渡し本体51は、平面視において矩形状に形成されている。渡し本体51は、第1止まり5の庇部38及び第2止まり6の庇部38に載置された状態においてそれぞれの庇部38に架け渡されている。渡し本体51は、例えば、第2止まり6の庇部38にのみビス58(図示の例では一対のビス58)で固定されている。すなわち、渡し部材8は、第1止まり5及び第2止まり6の2つのうち一方の第2止まり6にのみ一対のビス58で固定され、他方の第1止まり5に固定されていない。
【0042】
ここで、庇部38は、後端38aから前端38bに向けて上り勾配に形成されている。よって、庇部38のうち折板屋根15の下方に位置する部位38cを、折板屋根15に対して所定間隔をあけて配置できる。これにより、例えば、ビス58を取り付けるための工具を前述の所定間隔に入れることができる。したがって、渡し本体51を第2止まり6の庇部38にビス58で固定する作業を容易に施工できる。
【0043】
つぎに、渡し部材8を一方の第2止まり6にのみ固定して他方の第1止まり5に固定しない理由について説明する。
すなわち、例えば、樹脂製の第1軒樋2及び第2軒樋3の場合、環境温度の変化等により互いに対向する第1軒樋2及び第2軒樋3が長手方向に伸縮することが考えられる。第1軒樋2及び第2軒樋3が長手方向に伸縮することにより、第1軒樋2の開口端2aと第2軒樋3の開口端3aとの間の間隔が長手方向に変化する。
【0044】
そこで、渡し部材8を第2止まり6のみに固定し、第1止まり5に固定しないようにした。よって、第1軒樋2及び第2軒樋3の2つを独立して(互いに干渉させることなく)第1軒樋2及び第2軒樋3の長手方向に移動させることができる。これにより、互いに対向する第1軒樋2及び第2軒樋3が伸縮する際に、第1止まり5及び第2止まり6の2つを第1軒樋2及び第2軒樋3の長手方向に移動させることができる。したがって、渡し部材8を第2止まり6のみに固定して第1止まり5に固定しないようにすることにより、第1軒樋2及び第2軒樋3の長手方向の伸縮を許容できる。
【0045】
ここで、渡し部材8は、第2止まり6の庇部38にビス58に固定され、第1止まり5の庇部38に載置されている。これにより、渡し部材8を第1止まり5及び第2止まり6のそれぞれの上端に安定させた状態で固定できる。
【0046】
この状態において、渡し本体51は、第1止まり5の庇部38及び第2止まり6の庇部38に沿って後辺51aから前辺51bに向けて上り勾配に形成されている。また、渡し本体51は、前辺51bがそれぞれの庇部38の前端38bに対して後方に位置している。さらに、渡し本体51は、後辺51aがそれぞれの庇部38の後端38a(図5に第1止まり5の庇部38の後端38aのみを図示する)に対して前方に位置している。
すなわち、渡し本体51の第1横辺51cが第1軒樋2の開口端2aの上方に位置している。また、渡し本体51の第2横辺51dが第2軒樋3の開口端3aの上方に位置している。
【0047】
前立上片52は、渡し本体51の前辺51bから上方に向けて立ち上げられている。前立上片52は、それぞれの庇部38の前端38bに対して後方に位置している。後立上片53は、渡し本体51の後辺51aから上方に向けて立ち上げられている。後立上片53は、それぞれの庇部38の後端38a(図5に第1止まり5の庇部38の後端38aのみを図示する)に対して前方に位置している。
【0048】
第1下向片54は、渡し本体51の第1横辺51cから下方に向けて垂下されている。第1下向片54は、第1軒樋2の開口端2aの上方に位置している。第2下向片55は、渡し本体51の第2横辺51dから下方に向けて垂下されている。第2下向片55は、第2軒樋3の開口端3aの上方に位置している。
【0049】
このように、渡し部材8が第1止まり5の庇部38及び第2止まり6の庇部38に架け渡された状態で固定されている。また、前立上片52がそれぞれの庇部38の前端38bに対して後方に位置している。さらに、後立上片53がそれぞれの庇部38の後端38a(図5に第1止まり5の庇部38の後端38aのみを図示する)に対して前方に位置している。また、第1下向片54が第1軒樋2の開口端2aの上方に位置している。さらに、第2下向片55が第2軒樋3の開口端3aの上方に位置している。
【0050】
これにより、第1止まり5及び第2止まり6の2つの間(すなわち、互いに対向する第1軒樋2及び第2軒樋3の間)から雨水が下方に漏れて垂れ落ちることを渡し部材8で防ぐことができる。なお前立上片52と、後立上片53と、第1下向片54と、第2下向片55と、のうちの一部または全部がなくてもよい。
【0051】
以上説明したように、第1実施形態の軒樋構造60によれば、第1軒樋2の開口端2a及び第2軒樋3の開口端3aの2つが互いに対向する位置に配置されている。また、第1軒樋2の開口端2aに第1止まり5が固定され、第1軒樋2の開口端2aが第1止まり5により塞がれている。さらに、第2軒樋3の開口端3aに第2止まり6が固定され、第2軒樋3の開口端3aが第2止まり6により塞がれている。
これにより、第1軒樋2及び第2軒樋3の内部に集められた雨水がそれぞれの開口端2a,3aからこぼれ落ちることを第1止まり5及び第2止まり6で防ぐことができる。
【0052】
さらに、隣り合う第1軒樋2及び第2軒樋3のそれぞれの庇部38の上に渡し部材8が架け渡されている。これにより、隣り合う第1止まり5及び第2止まり6の間(すなわち、互いに対向する第1軒樋2及び第2軒樋3の間)から雨水が下方に漏れて垂れ落ちることを渡し部材8で防ぐことができる。
【0053】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態の軒樋の止まり構造100を図9から図11に基づいて説明する。なお、第2実施形態において第1実施形態の軒樋の止まり構造1と同一、類似部位については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0054】
図9から図11に示すように、軒樋の止まり構造100は、第1実施形態の第1止まり5及び渡し部材8を第1止まり(止まり)102及び渡し部材103に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の軒樋の止まり構造1と同様である。第1止まり102は、第1実施形態の止まり本体30及び庇部38を止まり本体105及び庇部(被固定部)106に代えたものである。
【0055】
止まり本体105は、止まり本体上部105aの上縁に水平部105bと傾斜部105cとが形成されている。水平部105bは、止まり本体上部105aの後端105dから前方に向けて水平に延びている。水平部105bは、軒先16に対して所定間隔をあけて下方に配置されている。傾斜部105cは、水平部105bの前端105eから止まり本体上部105aの前端105fに向けて上り勾配に延びている。
【0056】
庇部106は、止まり本体上部105aに沿って形成されている。具体的には、庇部106は、庇水平部106aと、庇傾斜部106bとを有する。庇水平部106aは、水平部105bに沿って水平に延びている。庇水平部106aは、軒先16に対して所定間隔をあけて下方に配置されている。庇傾斜部106bは、傾斜部105cに沿って前方に向けて上り勾配に延びている。
【0057】
渡し部材103は、渡し本体112と、前立上片52と、後立上片53と、第1下向片113と、第2下向片114と、を有する。渡し本体112は、庇部106の庇水平部106a、庇傾斜部106b、及び前端106cに沿って渡し水平部112a、渡し傾斜部112b、及び渡し前端112cが形成されている。渡し水平部112aは、軒先16に対して所定間隔Lをあけて下方に配置されている。ここで、渡し水平部112aは、水平に形成されているので、渡し水平部112aの全体が軒先16に対して均一に所定間隔Lをあけて下方に配置されている。
【0058】
また、第1下向片113は、渡し水平部112a、渡し傾斜部112b、及び渡し前端112cのそれぞれの第1横辺から下方に向けて垂下されている。第2下向片114は、渡し水平部112a、渡し傾斜部112b、及び渡し前端112cのそれぞれの第2横辺から下方に向けて垂下されている。
【0059】
渡し部材103は、渡し本体112が第1止まり102の庇部106及び第2止まりの庇部(図示せず)に載置された状態においてそれぞれの庇部106に架け渡されている。渡し部材103は、第1止まり102及び第2止まりの2つのうち一方の第2止まりにのみ一対のビス(図示せず)で固定され、他方の第1止まり102に固定されていない。
【0060】
ここで、渡し部材103は、渡し水平部112aの全体が軒先16に対して均一に所定間隔Lをあけて下方に配置されている。よって、軒先16の下方に位置するビス(図示せず)を取り付けるための工具を所定間隔に入れることができる。これにより、渡し本体112を第2止まりの庇部にビスで固定する作業を容易に施工できる。
【0061】
また、渡し部材103を第1止まり102及び第2止まりの2つのうち一方の第2止まりにのみ一対のビス(図示せず)で固定し、他方の第1止まり102に固定しないようにした。よって、互いに対向する第1軒樋2及び第2軒樋3(図2参照)が伸縮する際に、第1止まり102及び第2止まりの2つを第1軒樋2及び第2軒樋3の長手方向に移動させることができる。これにより、第1軒樋2及び第2軒樋3の長手方向の伸縮を許容できる。
【0062】
さらに、渡し部材103を第1止まり102の庇部106及び第2止まりの庇部(図示せず)に架け渡した。これにより、第1止まり102及び第2止まりの2つの間から雨水が下方に漏れて垂れ落ちることを渡し部材103で防ぐことができる。
【0063】
(第3実施形態)
以下、図12から図15を参照し、本発明の第3実施形態に係る雨樋(配管構造、軒樋構造)を説明する。
図12に示すように、雨樋90は、マンションなどの建築物40に降る雨を排水する。建築物40は、屋根40aと、庇40bと、を備えている。
屋根40aには、勾配が設けられている。庇40bは、建築物40の壁面のうち、屋根40aの勾配の下端が位置する壁面に設けられている。庇40bは、例えば、建築物40の開口部(例えば、窓や出入口(玄関))の雨除け等として機能する。庇40bは、マンションにおけるベランダ等として機能してもよい。
【0064】
図12および図13に示すように、雨樋90は、上側軒樋91と、下側軒樋92と、93と、排水部材94と、貫通部材95と、渡し部材80と、を備えている。
本実施形態における軒樋の止まり構造1は、第1止まり5と、第2止まり6と、渡し部材80と、貫通部材95と、を備えている。
上側軒樋91は、屋根40aに降る雨水を排水する。上側軒樋91は、例えば、屋根40aの軒先に配置されている。なお以下では、水平方向のうち、上側軒樋91が延びる方向を第1水平方向という。
上側軒樋91は、底部91aと、2つの側部91bと、を備えている。底部91aは、排水勾配を有する平板である。2つの側部91bは、底部91aの幅方向の両端に配置されている。側部91bは、底部91aから上方に延びる。
【0065】
下側軒樋92は、庇40bに降る雨水を排水する。下側軒樋92は、例えば、建築物40の壁面と庇40bとの間に配置されている。下側軒樋92は、第1水平方向に延びる。下側軒樋92は、上側軒樋91よりも第1水平方向に短い。下側軒樋92は、上側軒樋91に対して真下に位置している。
下側軒樋92は、底部92aと、2つの側部92bと、を備えている。底部92aは、排水勾配を有する平板である。2つの側部92bは、底部92aの幅方向の両端に配置されている。側部92bは、底部92aから上方に延びる。
本実施形態においては、下側軒樋92が上記第1実施形態における第1軒樋2及び第2軒樋3にあたり、上記第1実施形態と同様に、止まり構造1が、第1止まり(止まり)5と、第2止まり(止まり)6と、渡し部材80と、を備えている。
【0066】
竪樋93は、上側軒樋91から下方に延びている。竪樋93は、上側軒樋91の排水を下方に排出する。竪樋93は、第1水平方向に間隔をあけて複数設けられている。竪樋93間の第1水平方向の間隔は、例えば、30m以下となっている。複数の竪樋93のうち、第1水平方向の最も端の竪樋93から上側軒樋91の端部(止り)までの第1水平方向の距離は、例えば15m以下となっている。竪樋93の高さは、例えば、2m以上、好ましくは3m以上である。
【0067】
排水部材94は、上側軒樋91の内部に配置されている。排水部材94は、上側軒樋91の底部91aを貫通している。排水部材94は、大雨時に軒樋内に流入した雨水の排水能力を向上させるための高排水機能を有する。排水部材94の単位面積あたりの排水流量は、例えば0.25L/秒・cm以上、好ましくは0.30L/秒・cm以上である。
【0068】
排水部材94は、竪樋93の上端に接続されている。排水部材94は、上側軒樋91から竪樋93に排水を円滑に流入させる。雨樋90では、例えば、竪樋93内に雨水が充満する状態となると、サイフォン現象が発生し、大量の雨水が排水部材94により軒樋から排水される。このとき、サイフォン現象に基づく雨水の流速の上昇を排水部材94が妨げないことで、大量の雨水を軒樋から竪樋93に排水することができるが、竪樋93の配水を下側軒樋92に流出させると流速が高い大量の雨水が下側軒樋92から溢れる恐れがある。
【0069】
そこで本実施形態では、複数の竪樋93のうちの1つの竪樋93Aは、第1止まり(止まり)5と、第2止まり(止まり)6と、の間を通るように配置され、渡し部材80を鉛直方向に貫通する。これにより、竪樋93Aは、下側軒樋92に雨水を流出させることなく、上側軒樋91の雨水を排水する。竪樋93Aは、下側軒樋92の雨水を直接は排水しない。竪樋93Aは、第1水平方向に並ぶ複数の竪樋93のうちの中央に位置する竪樋93Aである。
なお、竪樋93Aの下端が貫通部材95の内部に配置されていればよく、竪樋93Aが渡し部材80を貫通していなくてもよい。この場合、例えば、竪樋93Aの下端が、渡し部材80の上面よりも上方に位置していてもよく、貫通部材95の下端と竪樋93B(竪樋93のうち、貫通部材95から下方に延びる部分)とは直接、または不図示の拡径継手などを介して接続される。この場合、竪樋93Bは、竪樋93Aとは別の管材によって形成される。
また、竪樋93B(竪樋93のうち、貫通部材95から下方に延びる部分)は不図示のチーズなどの分岐部を備えた合流継手を備えていてもよく、下側軒樋92の雨水を、この合流継手の分岐部を介して竪樋93Bに流入させてもよい。
【0070】
図13から図15に示すように、貫通部材95は、渡し部材80に固定される。貫通部材95は、貫通孔51eに配置される。貫通孔51eは、渡し本体51に形成されている。なお貫通孔51eの開口面積は、例えば、5cm~300cm、好ましくは13cm~190cm、より好ましくは20cm~140cmである。
【0071】
貫通部材95は、第1部材61と、第2部材62と、を備えている。第1部材61は、渡し本体51に対して上方から配置される。第1部材61は、渡し本体51に対して固定されていても、固定されていなくてもよい。第2部材62は、渡し本体51に対して下方から配置される。第2部材62は、第1部材61および渡し本体51のうちの少なくとも一方に固定されている。
【0072】
第1部材61および第2部材62のうちの少なくとも1つは、射出成型品である。本実施形態では、第1部材61および第2部材62の両方が射出成型品である。第1部材61および第2部材62は、硬質塩化ビニル樹脂やポリカーボネート、ABS、AES等の合成樹脂の射出成型品である。なお、第2部材62および第1部材61は、合成樹脂材料に限られず、鋳型を用いた鋳鉄材料により形成されてもよい。また、第1部材61および第2部材62は、互いに異なる材料により形成されてもよい。
【0073】
図14および図15に示すように、第1部材61は、第1管63と、第1フランジ64と、を含む。第1管63および第1フランジ64は同軸上に配置されている。
第1管63は、竪樋93Aが挿入される円管である。第1管63は、貫通孔51eに配置される。図示の例では、第1管63は、鉛直方向の全長にわたって同径である。第1管63の外径は、貫通孔51eの内径に対して同等か、僅か(例えば、前記内径の5%程度)に小さい。
【0074】
第1フランジ64は、第1管63から径方向の外側に向けて延びる。第1フランジ64は、渡し本体51の上面に配置される。第1フランジ64は、第1管63における鉛直方向の中央に配置されている。第1フランジ64は、第1管63の管軸に直交する方向に延びる平らな環状(円環状)である。第1フランジ64は、周方向の全周にわたって連続して延びる。第1フランジ64の下面は、渡し本体51の上面に固着(例えば接着)されていてもよい。
なお、第1管63のうち、第1フランジ64よりも下方に位置する部分(以下、下端部ともいう)に、雄ねじが形成されていてもよい。
【0075】
第2部材62は、第2管65と、第2フランジ66と、を含む。第2管65および第2フランジ66は同軸上に配置されている。
第2管65は、円管である。第2管65は、貫通孔51eの下方に配置されている。第2管65は、第1管63の下端部に配置されている。第2管65は、第1管63よりも大径である。第2管65は、第1管63を径方向の外側から覆う。第2管65内には、第1管63の下端部が配置されている。図示の例では、第2管65の下端は、第1管63の下端よりも下方に位置する。第2管65の下端は、第1管63の下端よりも上方に位置していてもよく、第1管63の下端に対して同じ高さであってもよい。
【0076】
第2管65の内周面には、前記雄ねじに嵌め合わされる雌ねじが形成されていてもよい。第2管65が、第1管63の下端部に螺着(ねじ嵌合)されていてもよい。第2管65が、第1管63に接着されていても、されていなくてもよい。
【0077】
第2フランジ66は、第2管65から径方向の外側に向けて延びる。第2フランジ66は、渡し本体51の下面に配置される。第2フランジ66は、第2管65の上端に配置されている。第2フランジ66は、第2管65の管軸に直交する方向に延びる平らな環状(円環状)である。第2フランジ66は、周方向の全周にわたって連続して延びる。第2フランジ66の上面は、渡し本体51の下面に固着(例えば接着)されていても、されていなくてもよい。第2フランジ66の外径は、第1フランジ64の外径に対して、同等であってもよく、大きくてもよく、小さくてもよい。第2フランジ66は、第1フランジ64との間に、渡し本体51を挟む。
【0078】
竪樋93Aが、第1管63または第2管65の内部に配置されていることで、貫通部材95に固定された渡し部材80がずれにくく、さらに、貫通部材95と竪樋93Aとが接着剤などで固定されている場合には、渡し部材80をよりずれにくくすることができる。この場合、止まり5、6に渡し部材を固定する必要はないため、止まり5、6に庇部38等を設けなくてもよく、止まり5、6は軒樋2、3と別部材ではなく一体であってもよく、例えば、軒樋2、3の端部を折り込んだ止まり5、6としてもよい。
【0079】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0080】
前切欠き45及び後切欠き46がなくてもよい。特に、庇部38、106が止まり本体上部30a、105aから軒樋の反対側に突出している場合、切欠きを設けないことが好ましい。
渡し部材8、103や庇部38、106に、ビス58を差し込む下穴が予め形成されていてもよい。これとは反対に、庇部38、106に下穴がなくてもよい。この場合、渡し部材8、103を庇部38、106に固定するときに、渡し部材8、103や庇部38、106それぞれにおいて下穴がない部分をビス58が貫通してもよい。
ビス58は2つに限られない。ビス58が1つでもよく3つ以上でもよい。
ビス58に代えて接着剤を採用してもよい。
渡し部材8、103が、2つの止まり5、102の両方に固定されてもよい。
【0081】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1,100…軒樋の止まり構造、2…第1軒樋(軒樋)、2a,3a…開口端(端)、3…第2軒樋(軒樋)、5,102…第1止まり(止まり)、6…第2止まり(止まり)、8,80,103…渡し部材、21…底板、38,106…庇部(被固定部)、45…前切欠き(切欠き)、46…後切欠き(切欠き)、60…軒樋構造、W…底板の幅寸法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15