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特開2023-52482取り外し可能な保護シートを備える屋根膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052482
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】取り外し可能な保護シートを備える屋根膜
(51)【国際特許分類】
   E04D 5/10 20060101AFI20230404BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230404BHJP
   E04G 21/30 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
E04D5/10 D
B32B27/00 Z
B32B27/00 E
E04G21/30 A
【審査請求】有
【請求項の数】35
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023006050
(22)【出願日】2023-01-18
(62)【分割の表示】P 2019085565の分割
【原出願日】2019-04-26
(31)【優先権主張番号】15/973,955
(32)【優先日】2018-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507329365
【氏名又は名称】カーライル・インタンジブル・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・フレンチ
(72)【発明者】
【氏名】アニル・シェノイ
(72)【発明者】
【氏名】シュアン・ジャン
(57)【要約】
【課題】単層の屋根ふき膜の設置の間、膜の表面を、設置業者を支援するその他の有益な特性をも提供する保護シートによって、ちり、引っかき傷および擦り傷から保護する。
【解決手段】単層の屋根ふき膜の設置の間、膜の表面は、設置業者を支援するその他の有益な特性をも提供する保護シートによって、ちり、引っかき傷および擦り傷から保護することができる。屋根積層板は屋根膜を含み、保護シートは屋根膜に取り外し可能なように貼り付けられる。シートは、第2の層に直接的に固定される第1の層を少なくとも含む。第1の層は、紫外線防御、滑り止め、およびアンチグレアのうちの少なくとも1つを屋根積層板に提供し、それ故、それらの点のうちの少なくとも1つにおいて設置業者を支援する。第2の層は屋根膜に取り外し可能なように貼り付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフデッキに固定される屋根積層板であって、
第1の面および第2の面を有し、前記ルーフデッキに固定されるように構成された屋根膜と、
前記第1の面に取り外し可能なように貼り付けられた保護シートであって、少なくとも、第2の層に直接的に固定された第1の層を含み、前記第1の層及び前記第2の層の一方は、文字またはその他のしるしを含み、前記第2の層は、前記屋根膜に取り外し可能なように貼り付けられる、保護シートと、
を備える、屋根積層板。
【請求項2】
前記屋根膜は、PVC、TPO、およびEPDMのうちの少なくとも1つからなる群から選ばれるポリマから形成される、請求項1に記載の屋根積層板。
【請求項3】
前記屋根膜は、40ミル~160ミルの厚さを有する、請求項2に記載の屋根積層板。
【請求項4】
前記保護シートは、前記屋根膜に不水溶性接着剤の層によって貼り付けられる、請求項1に記載の屋根積層板。
【請求項5】
前記不水溶性接着剤の層は、前記保護シートが前記屋根膜から取り外されるときに、前記不水溶性接着剤が前記屋根膜から前記保護シートによって取り外されるように、前記屋根膜に比べて前記第2の層に対して選択的接着性を有する、請求項4に記載の屋根積層板。
【請求項6】
前記保護シートは、前記屋根膜に別途の接着剤なしで固着する、請求項1に記載の屋根積層板。
【請求項7】
ルーフデッキに固定される屋根積層板であって、
第1の面および第2の面を有し、40~160ミルの厚さを有する、PVC、TPO、およびEPDMのうちの少なくとも1つからなる群から選ばれるポリマから形成される、前記ルーフデッキに固定される屋根膜と、
前記第1の面に取り外し可能なように貼り付けられた保護シートであって、第2の層に直接的に固定された第1の層を少なくとも含み、前記第1の層及び前記第2の層の一方は、文字またはその他のしるしを含み、前記第2の層は、前記屋根膜に取り外し可能なように貼り付けられる、保護シートと、
前記第1の面と前記第2の層との間にある接着剤の層であって、前記接着剤は、前記保護シートが前記屋根膜から取り外されるときに、前記第2の層に接着するように構成される、接着剤の層と、
を備える、屋根積層板。
【請求項8】
前記第1の層および前記第2の層の一方は着色される、請求項1または7に記載の屋根積層板。
【請求項9】
前記保護シートは、前記保護シートの第1の縁および第2の縁に沿う第1のミシン目および第2のミシン目を含む、請求項1または7に記載の屋根積層板。
【請求項10】
前記保護シートは、前記屋根膜の第1の縁部および第2の縁部を覆わない、請求項1または7に記載の屋根積層板。
【請求項11】
前記第1の層は、陥凹部によって離間される隆起部のパターンを含む、請求項1または7に記載の屋根積層板。
【請求項12】
前記隆起部および前記陥凹部は、前記第1の層に厚さの差を生成し、前記隆起部は、前記陥凹部よりも比較的厚くなっている、請求項11に記載の屋根積層板。
【請求項13】
前記第1の層は、0.45より大きい乾燥静摩擦係数および0.6より大きい湿潤静摩擦係数を有する、請求項11に記載の屋根積層板。
【請求項14】
前記滑り止め特性は、ブロックコポリマ、アモルファスポリ-アルファオレフィン、酢酸ビニル/エチレン、および、エチレン-酢酸ビニル(EVA)の1つ以上によって提供される、請求項11に記載の屋根積層板。
【請求項15】
前記第1の層は、アンチグレア特性を提供し、60°での光沢度が30より小さいコーティングを含む、請求項1または7に記載の屋根積層板。
【請求項16】
前記アンチグレア特性は、前記第1の層の表面のパターンに存在する、請求項15に記載の屋根積層板。
【請求項17】
前記アンチグレア特性は、低結晶性ポリマによって提供される、請求項15に記載の屋根積層板。
【請求項18】
前記アンチグレア特性は、アモルファスポリ-アルファオレフィン、酢酸ビニル/エチレン、および、エチレン-酢酸ビニル、アクリル、またはシリコーンによって提供される、請求項15に記載の屋根積層板。
【請求項19】
前記第1の層は、酸化防止剤、光安定添加剤、および光反射性顔料のうちの少なくとも1つを含み、紫外線防御特性を提供するように構成される、請求項1または7に記載の屋根積層板。
【請求項20】
前記第1の層および前記第2の層の一方は、着色され、前記第1の層および前記第2の層の他方は、紫外線防御特性を提供するように構成され、酸化防止剤、光安定添加剤、および光反射性顔料のうちの少なくとも1つを含む、請求項1または7に記載の屋根積層板。
【請求項21】
紫外線防御特性が、ヒンダードフェノール、チオシナジスト、ヒドロキシアミン、ホスフェート、アルファトコフェロール、ベンゾチアゾール、ヒドロキシベンゾエート、ベンゾフェノン、トリアジン、および、ヒンダードアミンの1つ以上によって提供される、請求項19または20に記載の屋根積層板。
【請求項22】
前記第1の層は、滑り止め特性およびアンチグレア特性を提供するように構成される、請求項12~14のいずれか一項に記載の屋根積層板。
【請求項23】
前記第1の層は、アンチグレア特性を提供するように構成され、60°での光沢度が30より小さいコーティングを含む、請求項22に記載の屋根積層板。
【請求項24】
前記アンチグレア特性は、前記第1の層の表面のパターンに存在する、請求項22に記載の屋根積層板。
【請求項25】
前記アンチグレア特性は、低結晶性ポリマによって提供される、請求項22に記載の屋根積層板。
【請求項26】
前記アンチグレア特性は、アモルファスポリ-アルファオレフィン、酢酸ビニル/エチレン、および、エチレン-酢酸ビニル、アクリル、またはシリコーンによって提供される、請求項22に記載の屋根積層板。
【請求項27】
前記第1の層は、紫外線防御特性を提供するように構成される、請求項12~14のいずれか一項に記載の屋根積層板。
【請求項28】
前記第1の層は、酸化防止剤、光安定添加剤、および光反射性顔料のうちの少なくとも1つを含み、紫外線防御特性を提供するように構成されている、請求項27に記載の屋根積層板。
【請求項29】
前記第1の層および前記第2の層の一方は、着色され、前記第1の層および前記第2の層の他方は、紫外線防御特性を提供するように構成され、酸化防止剤、光安定添加剤、および光反射性顔料のうちの少なくとも1つを含む、請求項27に記載の屋根積層板。
【請求項30】
前記紫外線防御特性は、ヒンダードフェノール、チオシナジスト、ヒドロキシアミン、ホスフェート、アルファトコフェロール、ベンゾチアゾール、ヒドロキシベンゾエート、ベンゾフェノン、トリアジン、および、ヒンダードアミンの1つ以上によって提供される、請求項27に記載の屋根積層板。
【請求項31】
前記第1の層は、アンチグレア特性を提供するように構成される、請求項19~21のいずれか一項に記載の屋根積層板。
【請求項32】
前記第1の層は、アンチグレア特性を提供するように構成され、60°での光沢度が30より小さいコーティングを含む、請求項31に記載の屋根積層板。
【請求項33】
前記アンチグレア特性は、前記第1の層の表面のパターンに存在する、請求項31に記載の屋根積層板。
【請求項34】
前記アンチグレア特性は、低結晶性ポリマによって提供される、請求項31に記載の屋根積層板。
【請求項35】
前記アンチグレア特性は、アモルファスポリ-アルファオレフィン、酢酸ビニル/エチレン、エチレン-酢酸ビニル、またはシリコーンによって提供される、請求項31に記載の屋根積層板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年4月5日に出願された米国特許第8、833、037号、および2014年7月20日に出願された米国特許第9、163、410号に関し、それぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
膜屋根は、ポリマシートまたはポリマ膜で覆われている屋根である。これらのポリマシートは、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性オレフィン(TPO)、またはエチレン‐プロピレン‐ジエン‐モノマー‐ゴム(EPDM)やその他の材料とすることができる。ポリマシートは、屋根表面にわたって位置付けられ、留め具、接着剤またはバラストによって適所に固定される。隣接したシートは、屋根の全体を覆う単一の1つのポリマシートを形成するように重ね合わせ目に沿って共に結合される。
【0003】
概して、屋根膜は白または黒のいずれかである。理論的には、膜は基本的に任意の色とすることができる。色の選択は、美観目的、または熱エネルギを反射することによってエネルギコストを削減させるためのものであってもよい。色にかかわらず、設置後の外観は、美的観点と機能的観点との両方から最も重要である。
【0004】
既存の屋根を交換するとき、新しいシートをきれいな状態に保つことは困難である。屋根のふき替え用途では、古い屋根カバーの一部分が取り外され、新しい屋根膜がその場所に即座に設置される。これにより、屋根を完全に覆うのに一晩かかる。古い屋根の次の一部分が取り外されるとき、屋根ふき業者は、新しく設置された膜の上を歩く。これは、新しい膜を引っかいて損なうことがある。
【0005】
これらの膜は、概して商業的に成功しているが、それらの設置を容易にするためのさらなる改良の必要性が残されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、単層の屋根ふき膜の設置の間、膜の表面は、設置業者を支援するその他の有益な特性をも提供する保護シートによって、ちり、引っかき傷および擦り傷から保護することができるという認識を前提としている。それらの目的およびその他の目的のために、ルーフデッキに固定される屋根積層板は、屋根膜を含み、屋根膜は、第1の面および第2の面を有し、前記ルーフデッキに固定されるように構成されている。保護シートは、前記第1の面に取り外し可能なように貼り付けられており、第2の層に直接的に固定される第1の層を少なくとも含む。第1の層は、紫外線防御、滑り止め特性、およびアンチグレア特性のうちの少なくとも1つを前記屋根積層板に提供し、それ故、それらの点のうちの少なくとも1つにおいて設置業者を支援する。第2の層は、前記屋根膜に取り外し可能なように貼り付けられている。
【0007】
一実施形態では、前記第1の層は、滑り止め特性を提供するように構成され、陥凹部によって離間される隆起部のパターンを含む。
【0008】
一実施形態では、前記第1の層は、0.45より大きい乾燥静摩擦係数および0.6より大きい湿潤静摩擦係数を有する滑り止め特性を提供するように構成されている。
【0009】
一実施形態では、前記第1の層は、アンチグレア特性を提供するように構成され、60°での光沢度が30より小さいコーティングを含む。
【0010】
一実施形態では、前記第1の層は、紫外線防御を提供するように構成され、酸化防止剤、光安定添加剤、および光反射性顔料のうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
一実施形態では、前記第1の層および前記第2の層の一方は着色され、前記第1の層および前記第2の層の他方は、紫外線防御を提供するように構成され、酸化防止剤、光安定添加剤、および光反射性顔料のうちの少なくとも1つを含む。
【0012】
一実施形態では、前記第1の層および前記第2の層の一方は、文字またはその他のしるしを含む。
【0013】
一実施形態では、前記保護シートは、前記屋根膜に不水溶性接着剤の層によって貼り付けられる。
【0014】
一実施形態では、前記不水溶性接着剤の層は、前記保護シートが前記屋根膜から取り外されるときに、前記不水溶性接着剤が前記屋根膜から前記保護シートによって取り外されるように、前記屋根膜に比べて前記第2の層に対して選択的接着性を有する。
【0015】
一実施形態では、前記屋根膜は、PVC、TPO、EPDM、およびポリオレフィンのうちの少なくとも1つで形成されている。
【0016】
一実施形態では、前記屋根膜は、PVC、TPO、およびEPDMのうちの少なくとも1つからなる群から選ばれるポリマから形成されている。
【0017】
一実施形態では、前記屋根膜は40~160ミルの厚さを有する。
【0018】
一実施形態では、前記保護シートは、前記保護シートの第1の縁および第2の縁に沿う第1のミシン目および第2のミシン目を含む。
【0019】
一実施形態では、前記保護シートは、前記屋根膜の第1の縁部および第2の縁部を覆わない。
【0020】
一実施形態では、前記保護シートは、前記屋根膜に別途の接着剤なしで固着する。
【0021】
本発明の一態様によれば、ルーフデッキに固定される屋根積層板は、屋根膜を含み、屋根膜は、第1の面および第2の面を有し、40~160ミルの厚さを有する、PVC、TPO、およびEPDMのうちの少なくとも1つからなる群から選ばれるポリマから形成されている。前記屋根膜は、前記ルーフデッキに固定される。保護シートは、前記屋根膜に取り外し可能なように貼り付けられ、第2の層に直接的に固定される第1の層を少なくとも含む。前記第1の層は、紫外線防御、滑り止め特性、およびアンチグレア特性のうちの少なくとも1つを前記屋根積層板に提供するように構成され、それ故、それらの点のうちの少なくとも1つにおいて設置業者を支援する。接着剤の層は、前記第1の面と前記第2の層との間に配置されている。
前記不水溶性接着剤は、前記保護シートが前記屋根膜から取り外されるときに、前記第2の層に接着するように構成されている。
【0022】
本発明の実施形態の目的および利点は、以下の詳細な説明および図面の観点からさらに理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態の斜視図である。
図2図1の切断線2-2に沿ってとられた断面図である。
図3】本発明の実施形態を描写する図2に類似した断面図である。
図4】本発明の実施形態を描写する図2に類似した断面図である。
図5】本発明の実施形態を描写する図2に類似した断面図である。
図6】設置の間における本発明の一実施形態の斜視図である。
図7】保護シートを取り外すより前における、図6に示す実施形態の縁部の断面図である。
図8】本発明の一実施形態の斜視図である。
図9】本発明の一実施形態の断面図である。
図10】本発明の一実施形態の断面図である。
図11】本発明の一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
これらの目的およびその他の目的のために図1を参照すると、屋根積層板10は、単層の屋根膜12および離型シートまたは保護シート14を含む。屋根積層板10は、ルーフデッキ16のような屋根の上に設置される。その際、複数の屋根積層板10は、新しい屋根がルーフデッキ16の上に設置される間に、重ね合わせた関係(図6に示し、以下で説明する)で位置付けられてもよい。屋根膜12は、第1の面18および第2の面20を含む。第1の面18は、ルーフデッキ16に面し、設置の間、ルーフデッキ16と接してもよく、第2の面20は、設置後に風雨に曝されるように意図されている。保護シート14は、第1の面22および第2の面24を含み、第2の面24は、屋根膜12の第2の面20の上に置かれて覆う。保護シート14は、屋根膜12に直接的に貼り付けられていてもよく、または以下で説明する接着剤によって屋根膜12から離れていてもよい。保護シート14は、新しい屋根の設置後に取り外されるよう意図されており、したがって新しい屋根の設置の間、屋根膜12の第2の面20を保護する。保護シート14を取り外すと、屋根膜12の第2の面20が露出する。保護シート14は多層膜で形成され、各層は設置業者を支援するように設計された少なくとも1つの有益な特性を提供し、以下で詳細に説明する。
【0025】
屋根膜12は、屋根ふき用途に典型的に使用される任意のポリマから形成することができる。これらのポリマには、ほんの一例として、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性オレフィン(TPO)、エチレン‐プロピレン‐ジエン‐モノマー(EPDM)、ゴム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)やその他のポリオレフィンがある。屋根膜12は、フリースバック(fleeceback)と呼ばれる底部繊維状表面を有することができ、その底部繊維状表面は完全な接着システムにおいて結合強度を改善する。屋根膜12は、任意の色とすることができるが、好ましくは白、またはわずかにオフホワイトである。本発明の実施形態は、膜12が白またはオフホワイトのようなより明るい色であるときに最も有用である。
【0026】
屋根膜12は、略矩形であり、さまざまな大きさに製造することができる。ほんの一例として、屋根膜12は、5フィートという狭さから40フィートという広さとすることができる。長さは、50フィートから100フィート以上とすることができる。屋根膜12は、ルーフカバーとして使用するのに効果的な厚さ、例えば20ミルから160ミル厚、さらなる例としては40ミルから160ミル厚を有する。屋根膜12は、不水溶性であるとともに、長期間、例えば少なくとも15年にわたり自然環境条件に耐えるように設計されている。
【0027】
保護シート14の多層膜は、さまざまな異なるポリマから形成することができるポリマシートである。1つまたは全ての層は、非環境的に(non-environmentally)分解可能なポリマから形成されていてもよい。これらの材料は、屋根膜12に向けて上記した材料のうちのいずれか1つであってもよく、またポリエチレン(低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンを含む)、ポリプロピレン、ポリアミド(すなわち、ナイロン)、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンおよびそれらの組合せである。
【0028】
一実施形態では、図2を参照すると、保護シート14は、層30、層32を含んでもよく、それらは相互に積層された別途のフィルムまたはコーティングとして見えてもよい。例えば、図2では、保護シート14は共に結合される2つの層30、32で構成される。各層30、32は、積層板10に設置業者を支援するように意図された異なる特性を提供することができる。図示しないが、層32は、層30に積層されていてもよく、それ故、保護シート14の表面22を形成してもよい。すなわち、層30、層32の順序は、表面22の所望の特性に応じて変更することができる。一旦、設置が完了すると、層30、層32は取り外される。
【0029】
一実施形態では、層30は保護シート14に色を付与することができる。保護シート14は透明とすることができるが、屋根膜12の色と見分けられる色が付けられていることが好ましい。例えば、屋根膜12が白である場合、保護シート14は、好ましくは緑、赤、青または黄のような透明または白以外の任意の色である。顔料または染料は、保護シート14に対して色を付与するために、その製造の間に層30および/または層32に添加することができる。また、図6を参照すると、例として色は層30の幅にわたって変化してもよい。例えば、層30は、少なくとも2つの異なる色を含むことができる。層30における色は、保護シート14に文字またはその他のしるしまたは情報をもたらすために利用することができる。示すように、保護シート14は、広告情報を含むことができるが、指示、保証情報、およびその他の文字/記号を含んでもよい。
【0030】
図2を続けて参照すると、層30および層32の他方の層32は、保護シート14に、および保護シート14を取り除くより前には屋根積層板10に、紫外線防御を提供することができる。これは、短期間の耐候性、例えば、1日から2年の間または設置後にシート14が取り外されるまでの耐候性に対して達成されてもよい。紫外線防御は、酸化防止剤、紫外線吸収剤および光安定添加剤ならびに明るい効果顔料(light effective pigment)を層32に1つまたは複数添加することによって得ることができる。ほんの一例として、酸化防止剤は、ヒンダードフェノール、チオシナジスト(thiosynergists)、ヒドロキシアミン、ホスフェート、およびアルファトコフェロールであってもよい。市販されている酸化防止剤には、BASF社からのIrganox(登録商標)およびIrgafos(登録商標)、Addivant社からのAnox(登録商標)、Lowinox(登録商標)およびWeston(登録商標)、Songwon社からのSongnox(登録商標)、Everspring社からのEvernox(登録商標)およびEverfos(登録商標)、Mayzo社からのBNX(登録商標)、Rianlon社からのThanox(登録商標)がある。加えて、または別の方法として、紫外線防御は、紫外線吸収剤および光安定剤の添加によって達成することができ、それらは、例えば、ベンゾチアゾール、ヒドロキシベンゾエート、ベンゾフェノン、トリアジン、および様々な分子量のヒンダードアミンであってもよい。これらの添加剤は、BASF社からTinuvin(登録商標)およびChimassorb(登録商標)の商標の下で、Solvay社からCyasorb(登録商標)の商標の下で、Sabo社からSaboSTAB(登録商標)の商標の下で、Songwon社からSongsorb(登録商標)という商標の下で、Mayzo社からBLS(登録商標)という商標の下で、Everspring社からEverSTAB(登録商標)という商標の下で、Rianlon社からThasorb(登録商標)という銘柄の下で、Addivant社からLowiliteという銘柄の下で市販されている。また、光反射性顔料は、紫外線を遮蔽するのに使用することができ、その光反射性顔料は、例えば、二酸化チタンであってもよい。これらの顔料は、Chemours社からTi-Pure(登録商標)として、Kronos社からKronos(登録商標)TiOとして、Cristal社からTiona(登録商標)として、Huntsman社からTroxide(登録商標)として、Tronox社からTronox(登録商標)TiOとして市販されている。
【0031】
一実施形態では、図3を参照すると、保護シート14は図2に上述した層30、層32の一方または両方を含むことができる。保護シート14は、積層板10をルーフデッキ16の上に設置する間に露出されるよう意図されている滑り止め層34をさらに含むことができる。滑り止め層34は、けん引性、特に歩行(foot traffic)でのけん引性を改善するように設計されている。ほんの一例として、乾燥静摩擦係数は0.45より大きくてもよく、湿潤静摩擦係数は0.6より大きくてもよい。摩擦係数測定は、ASTM D1894-14のStandard Test Method for Static and Kinetic Coefficients Of Friction Of Plastic Film and Sheetingによって完了することができる。
【0032】
図1および図3を参照すると、滑り止め層34は、図1に例示したダイアモンドトレッドのような、保護シート14の中または保護シート14の上のパターン36で形成することができる。図3では、パターン36は、陥凹部42によって離間した隆起部40を含むことができる。滑り止め層34におけるこの局所的な相対的厚さの差異は、フィジカルテクスチャリング(physical texturing)を保護シート14の表面22に生じさせる。加えて、または別の方法として、滑り止め層34は、ブロックコポリマ(例えば、SISおよびSBS)、アモルファスポリ-アルファオレフィン、酢酸ビニル/エチレン(VAE)およびエチレン-酢酸ビニル(EVA)のようなゴム状または粘着性ポリマを含むことができるか、またはそれらによって全体的に形成することができる。これらの材料は、層30または層32の上に滑り止め層34として一様なコーティングで形成することができるか、またはこれらの材料は、層30の上のパターン36における隆起部40および陥凹部42のような不連続パターンで形成することができる。
【0033】
図4を参照すると、本発明の一実施形態では、保護シート14は、アンチグレア層44が表面22を形成した状態の、図2に関して上述した層30および層32の一方または両方を含むことができる。しかしながら、3層の保護シート14というよりはむしろ、示すように、保護シート14は、層30、層32のうちの1つと、アンチグレア層44とを含むことができる。アンチグレア層44は、表面22に最初に作用する任意の観測角度での光の反射を減少させるように設計されている。このようにして、設置作業者は保護シート14からの光反射に曝されない。アンチグレア層44は、層30の表面粗さを増加させることによって達成することができる。代替的には、アンチグレア層44は、層30の上における別途のコーティングによって生じさせることができ、そのコーティングは、アモルファスポリ-アルファオレフィン、酢酸ビニル/エチレン(VAE)およびエチレン-酢酸ビニル(EVA)のような低結晶性ポリマ、アクリル、またはシリコーンによって形成することができる。図8に示すように、アンチグレア層44は、表面22上にパターン状のアンチグレア領域を含むことができる。アンチグレア層44は、ASTM D2457-13のStandard Test Method for Specular Gloss of Plastic Films and Solid Plasticsにしたがって60°で測定される光沢度(GU)が20より小さい中間光沢を有することができる。一実施形態では、層34または層44は、上記の特定された範囲で滑り止め特性とアンチグレア特性との両方を有することができる。
【0034】
図2~4を参照すると、層30、層32、層34、および層44のうちの1つまたは複数を含む保護シートは、共押出、共発泡(co-blowing)、または積層工程によって作ることができる。
【0035】
図5に示すように、不水溶性接着剤46の薄い層は、屋根膜12の第2の面20と保護シート14の表面24との間に両者を共に接着するために貼り付けることができる。接着剤46は、透明とすることができ、屋根膜12とは対照的に保護シート14に対して好ましい接着性を有することができる。このようにして、保護シート14が取り外されるとき、接着剤46も取り外される。したがって、表面20は、ちりおよび接着剤がない状態のままである。不水溶性接着剤は、アクリル系接着剤、天然ゴム系接着剤、ブチルゴム系接着剤、スチレンブロックコポリマ系接着剤、エチレン-酢酸ビニル系接着剤、アモルファスポリ‐アルファオレフィン系接着剤およびシリコーン系接着剤であってもよい。
【0036】
屋根積層板10は、別々に屋根膜12および保護シート14を形成し、両者を共に積層することによって形成される。積層板10が接着剤46を含む場合、接着剤46は膜12と共に感圧接着剤を共押出することによって、または膜12を感圧接着剤、特に熱可塑性感圧接着剤で続けてコーティングすることよって形成することができる。一実施形態では、積層板10は、接着剤を含まない(図2)。その際、保護シート14は、粘着付与剤(tackifiers)を保護シート14、例えば層30または層32に取り入れて、粘着付与剤を作用させるようなわずかに引っ張った状態で保護シート14を膜12に貼り付けることによって、膜12に自然に接着させることもできる。露出した粘着付与剤は、保護シート14の膜12に対する弱い接着力を提供する。一旦、保護シート14が膜12に積層されると、屋根積層板10は、ロール38に形成される。
【0037】
屋根膜12をルーフデッキ16にわたって貼り付けるために、図6および7を参照すると、2つの隣接した屋根積層板50および屋根積層板52は、ルーフデッキ16にわたって並んで敷かれている。第1の積層板50の屋根膜12は、概して接着剤(図示しない)または留め具(図示しない)を用いてルーフデッキ16に固定される。第2の屋根積層板52は広げられ、第1の屋根積層板50に隣接するルーフデッキ16に、第2の屋根積層板52の縁54が第1の屋根積層板50の縁56に重なるように接着される。重なり合う縁54および縁56は、互いに接着されるか、または溶接される。
【0038】
図6および7に示す実施形態では、第1の屋根積層板50の上における保護シート14の縁部60は、十分に第2の保護シート14の縁62が第1の屋根積層板50の露出した縁56に重なることができるほどに引っ張りあげられる。その後、重なり合う縁54および縁56は、熱または接着剤によって共に結合される。図7に示すように、その後、第1の屋根積層板50からの保護シート14の縁部60は折り返され、2つの膜12の重なり合った部分64にわたって置かれる。
【0039】
図1に示すように、保護シート14は屋根膜12の全体を縁から縁まで覆う。しかしながら、図9に示すように、保護シート14は、屋根積層板10の縁66および縁70のいずれかの上の4~12インチの部分を除いて膜の全体を覆ってもよい。代替的には、図1および図10に示すように、保護シート14は、2つの別々の保護シート14が共に結合されてもよい重複領域72を含むことができる。
【0040】
図11では、ミシン目80、ミシン目82は、縁84および縁86沿いに形成することができる。ミシン目80、ミシン目82は、ストリップ90およびストリップ92を保護シート14から取り外すことを可能にし、保護シート14のフィールド部94が膜12を保護している状態になる。これらの実施形態は、図11に示すフィールド部94が膜12の上に残ったままで、隣接した屋根積層板10、特に隣接した膜12を共に結合することを可能にする。
【0041】
一旦、屋根が完全に設置されると、全ての保護シート14は膜12から引き離されて、露出した白または着色された膜表面は引っかき傷およびちりがない状態になる。
【0042】
本発明は、さまざまな実施形態の説明によって例示しており、これらの実施形態はある程度詳細に説明されているが、本発明者らは、添付の請求項の範囲をそのような詳細に限定すること、または決して制限することを意図していない。したがって、さらなる利点および変更は当業者にとって容易に明らかになるだろう。本発明のさまざまな特徴は、ユーザの必要性および好みに応じて、単独でまたは任意の組み合わせで使用することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 屋根積層板
12 屋根膜
14 第2の保護シート
16 ルーフデッキ
18 第1の面
20 第2の面
22 第1の面
24 第2の面
30 層
32 層
34 層
36 パターン
38 ロール
40 隆起部
42 陥凹部
44 アンチグレア層
46 不水溶性接着剤
50 第1の屋根積層板
52 第2の屋根積層板
54 縁
56 縁
60 縁部
62 縁
66 縁
70 縁
72 重複領域
80 ミシン目
82 ミシン目
84 縁
90 ストリップ
92 ストリップ
94 フィールド部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】